説明

アンプ

【課題】より簡素な構成で電磁誘導等による音質へのノイズの影響を一層低減させる装置を提供すること。
【解決手段】定電圧回路1からの直流電圧を定電圧供給線50および定電圧用アース線51を介して外部機器200側の定電圧回路10に電源供給する場合、定電圧用アース線51、外部機器内の接地点であるgnd部15、信号用アース線56およびアンプ内の接地点であるgnd部2を通るグランドループが形成されてノイズの原因になるが、スイッチ5の操作によって、演算増幅器3の反転端子と接地点(gnd部2)とが非導通状態となって、グランドループが形成されないことになる。この結果、ノイズが低減され音質劣化を防止することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオシステムを構成する外部機器に電源供給を行うアンプの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
アンプに搭載した電源トランスの出力を、他の機器に搭載された整流回路に直接接続し、更にアース線を整流用アース、定電圧用アース、信号用アースに分離して各機器に接続し、各機器の内の1機器内で上記3本のアース線を、いわゆる一点アースとする構成の装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この発明によれば、各機器に2次トランスを設けずに済みこと等から、コスト低減等を図ることができると共に、ハム等での雑音による音質劣化を低減することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−121956号公報(第2−3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記発明によれば、各機器に2次トランスを設けずに済む代わりに、定電圧用アースおよび信号用アースの他に整流用アースが必要であり、より簡易な構成で電磁誘導等による音質への外来ノイズの影響を低減することが望まれていた。
【0005】
本発明は、かかる従来の課題を解決するためになされたもので、より簡素な構成で電磁誘導等による音質へのノイズの影響を一層低減させる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、オーディオシステム(300)を構成する外部機器(200)から出力される音楽信号を、信号線(55)およびこれとペアになる信号用アース線(56)を介して入力するアンプ(100)であって、
前記信号線(55)を自身の非反転端子、前記信号用アース線を自身の反転端子に夫々接続された演算増幅器(3)と、この演算増幅器(3)の出力信号を増幅する電力増幅器(4)と、電源供給を受けて所定値の直流電圧を出力する定電圧回路(1)と、前記反転端子と当該アンプ内の接地点(2)との間に設けられ、前記反転端子と前記接地点との導通・非導通を選択可能なスイッチ(5)とを備え、
前記定電圧回路(1)からの直流電圧を定電圧供給線(50)およびこれとペアになる定電圧用アース線(51)を介して外部機器(200)側の定電圧回路(10)に電源供給する場合、前記スイッチ(5)の操作によって前記反転端子と前記接地点とが非導通状態となることを特徴とした。
【0007】
この発明によれば、定電圧回路(1)からの直流電圧を定電圧供給線(50)およびこれとペアになる定電圧用アース線(51)を介して外部機器(200)側の定電圧回路(10)に電源供給する場合、定電圧用アース線(51)、外部機器内の接地点(15)、信号用アース線(56)およびアンプ内の接地点(2)を通るグランドループが形成されてノイズの原因になるが、スイッチ(5)の操作によって、演算増幅器(3)の反転端子と接地点(2)とが非導通状態となって、グランドループが形成されないことになる。この結果、ノイズが低減され音質劣化を防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より簡素な構成で電磁誘導等による音質へのノイズの影響を一層低減させる装置を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】オーディオシステム300の構成図である。
【図2】本発明の実施形態における作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の実施の形態では、オーディオシステム300を構成する外部機器200の一例として電子楽器等の音源からの音楽信号がアンプ100に送られる例について説明する。なお、外部機器としてはイフェクタ等の音楽装置であって、楽音信号に効果付加したものを音楽信号として出力するもの等様々なものを採用できる。
【0011】
(構成)
図1は本発明の実施形態であるアンプ100と外部機器200とを有して成るオーディオシステム300の構成図である。アンプ100は、プラグ7が、例えば家庭用コンセントに差し込まれて100(V)の交流電圧が供給された場合、例えば9(V)の所定値の直流電圧を出力する定電圧回路1と、演算増幅器3と、演算増幅器3の出力に接続され演算増幅器3からの信号を増幅する電力増幅器(パワーアンプ)4と、この電力増幅器4に接続されたスピーカ6と、スイッチ5とを有して構成されている。定電圧回路1からは、定電圧供給線50とこれとペアになる定電圧用アース線51とが伸びている。例えば、この定電圧供給線50と定電圧用アース線51とは互いに絶縁された状態で被覆され一本のケーブル53となっている。
【0012】
演算増幅器3と電力増幅器4の電源供給は定電圧回路1から行われている。また、演算増幅器3と電力増幅器4との接地は、アンプ100の内部の接地点であるgnd部2で行われており、これらの電源供給や接地を行うため必要な配線がなされている。また、端子60、端子61は、夫々、信号線55、信号用アース線56を接続するためのものであり、信号線55と信号用アース線56とはペアになってケーブル57を形成している。例えば、信号線55と信号用アース線56とは互いに絶縁された状態で被覆され一本のケーブル57となっている。なお、gnd部2はアンプ100の筺体(ケース)でとることができる。
【0013】
また、演算増幅器3の非反転端子には信号線55が電気的に接続され、また、演算増幅器3の反転端子には信号用アース線56が電気的に接続されている。かくして、外部機器200から出力される音楽信号は、信号線55およびこれとペアになる信号用アース線56を介してアンプ100の演算増幅器3に入力される。そして、演算増幅器3の反転端子とアンプ200内の接地点であるgnd部2との間にはスイッチ5が設けられており、演算増幅器3の反転端子とgnd部2との導通・非導通を選択操作可能に構成されている。
【0014】
一方、オーディオシステム300を構成する外部機器200は、端子65、端子66を介して夫々、定電圧供給線50と定電用アース線51とが電気的に接続されている。そして、外部機器200側の定電圧回路10に電源供給される。電源供給を受けた定電圧回路10は、所定値例えば6(V)の直流電圧を出力して機器内の所要の箇所に電源供給する。この例では増幅器12が電源供給されている。この増幅器12は音源11から出力される音楽信号を増幅して出力する。
【0015】
また、端子68、端子69によって信号線55、信号用アース線56が接続されており、更に、外部機器200内の接地点であるgnd部15には、定電圧用アース線51と、信号用アース線56とが電気的に接続されている。そして、外部機器200から出力される音楽信号(この例では音源11の出力を増幅器12で増幅した信号)を、信号線55および信号用アース線56を介してアンプ100側に送る。これにより、音楽信号がアンプ200側で電力増幅器4によって増幅されてスピーカ6から放音される。なお、gnd部15は外部機器200の筺体(ケース)でとることができる。
【0016】
(作用)
次に作用について説明する。アンプ100から伸びる定電圧供給線50と、定電圧用アース線51とを、外部機器200の端子65、端子66に接続しない場合には、スイッチ5を選択操作して、アンプ100の演算増幅器3の反転端子とgnd部2(接地点)とを導通状能としておいてもグランドループ(接地点を通るノイズ発生ループのこと)は形成されない。しかしながら、アンプ100から伸びる定電圧供給線50と定電圧用アース線51とを、外部機器200の端子65、端子66に接続した場合には、グランドループが形成されてしまうことになる。
【0017】
図2は点線(符号Aで示す)でグランドループが形成された状態を示す説明図である。定電圧用アース線51、外部機器200内の接地点であるgnd部15、信号用アース線56および導通状態のスイッチ5、および、アンプ内の接地点であるgnd部2を通るグランドループが形成され、これがノイズの原因になる。しかしながら、スイッチ5の操作によって、演算増幅器3の反転端子と接地点(gnd部2)とを非導通状態とすると、グランドループが形成されないことになる。この結果、ノイズが低減され音質劣化を防止することが可能になる。なお、本発明の実施形態のアンプ100の定電圧回路1から伸びるケーブル53を接続せず外部機器200に電源供給を行わない場合(例えば、外部機器200が内部電池で動作する場合等)、スイッチ5を導通状態とした方がノイズが低減されるためスイッチ5を導通・非導通選択可能としている。よって、このスイッチ5を設けることにより、外部機器200の電源供給態様の選択の幅を増やすことができる。
【0018】
以上説明してきたように、本発明の実施形態によれば、アンプ100内の演算増幅器3の反転端子とアンプ200内の接地点であるgnd部2との間にスイッチ5を設け、演算増幅器3の反転端子とアンプ200内の接地点であるgnd部2との導通・非導通を選択操作可能としたので、アンプ100から伸びる定電圧供給線50と、定電圧用アース線51とを、外部機器200の端子65、端子66に接続した場合であってもグランドループの形成を阻止することができる。この結果、極めて簡単な構成で電磁誘導等による音質へのノイズの影響を一層低減させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上説明してきたように、オーディオ分野等に利用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 定電圧回路
3 演算増幅器
4 電力増幅器
5 スイッチ
6 スピーカ
10 定電圧回路
11 音源
12 増幅器
50 定電圧供給線
51 定電圧用アース線
55 信号線
56 信号用アース線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオシステムを構成する外部機器から出力される音楽信号を、信号線およびこれとペアになる信号用アース線を介して入力するアンプであって、
前記信号線を自身の非反転端子、前記信号用アース線を自身の反転端子に夫々接続された演算増幅器と、この演算増幅器の出力信号を増幅する電力増幅器と、電源供給を受けて所定値の直流電圧を出力する定電圧回路と、前記反転端子と当該アンプ内の接地点との間に設けられ、前記反転端子と前記接地点との導通・非導通を選択可能なスイッチとを備え、
前記定電圧回路からの直流電圧を定電圧供給線およびこれとペアになる定電圧用アース線を介して外部機器側の定電圧回路に電源供給する場合、前記スイッチの操作によって前記反転端子と前記接地点とが非導通状態となることを特徴としたアンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のアンプにおいて、
前記電力増幅器にはスピーカが接続されていることを特徴とするアンプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−231348(P2012−231348A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98934(P2011−98934)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000130329)株式会社コルグ (111)
【Fターム(参考)】