説明

アームレスト

【課題】簡単に製作できて製作コストを低廉化することができ、外観品質を向上させることができ、小型化できるアームレストを提供する。
【解決手段】アームレストフレーム11を前側が開口したケース状に形成し、引き出し部61を出退自在に収納した収納ケース62をアームレストフレーム11に内装して、引き出し部61をアームレストフレーム11の前方Frに出退自在に構成し、表皮材50の前端部に被係止材75を固定するとともに、表皮材50の前端部55をアームレストフレーム11の前端部11Aの内面側に折り返し、収納ケース62の前端部にフランジ62Fを張り出し形成し、フランジ62Fを被係止材75に前側Frから係止させてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮材でアームレストフレームを覆ってあるアームレストに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のアームレストは例えば自動車用シートのシートバックに使用状態と格納状態とに切り換え自在に設けてある。そして、一般に、アームレストフレームを前側が開口したケース状に形成し、カップホルダなどの引き出し部を出退自在に収納した収納ケースをアームレストフレームに内装して、引き出し部をアームレストフレームの前方に出退自在に構成してある(特許文献1参照)。
このアームレストの格納時の外観を違和感のないものとする為、シートバックを覆う表皮材と同一材質の表皮材でアームレストフレームを覆うことが多いが、乗員の着座スペースを確保し、シートバックヘの格納可能な厚みなどを考慮すると、カップホルダを配置するアームレストの前端面の面積を大きく確保することは困難である。
しかしながら、カップホルダ及び収納ケースを収納する開口部周囲の表皮材の端部は、端末が出てこないように開口部にしっかりと固定する必要があり、シワなどの発生で外観が損なわれないようにある程度の張力をかけて固定しなければならない。
このようなカップホルダ内蔵型アームレストのカップホルダ周囲の表皮材を固定する方法としては、従来、収納ケースの周りに樹脂材を設け、その樹脂材に表皮材をタッカー(ステープラ)により固定する技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3144222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術によれば、樹脂材に表皮材をタッカーで固定するために、表皮材を一様に引っ張るにはタッカーの数量を多くする必要があり、タッカーをとめる工数が多く費用がかかっていた。また、タッカーを打つ際に表皮材がずれて外観品質を損なうことがあった。
別の技術として、カップホルダを出退自在に収納する収納ケースの裏側にJ字状のフックを設けて表皮材の前端部に係止させる技術があるが、この技術によれば、収納ケースと周りの部材との間にフック挿入用の隙間を設ける必要があり、アームレストが大型化して(アームレストの上下幅が短いとカップホルダーを収納できない)、シートのレイアウトに大きな影響を与えていた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、簡単に製作できて製作コストを低廉化することができ、外観品質を向上させることができ、小型化できるアームレストを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
表皮材でアームレストフレームを覆ってあるアームレストであって、
前記アームレストフレームを前側が開口したケース状に形成し、
引き出し部を出退自在に収納した収納ケースを前記アームレストフレームに内装して、前記引き出し部を前記アームレストフレームの前方に出退自在に構成し、
前記表皮材の前端部に被係止材を固定するとともに、前記表皮材の前端部を前記アームレストフレームの前端部の内面側に折り返し、
前記収納ケースの前端部にフランジを張り出し形成し、
前記収納ケースを前記アームレストフレームに内装した状態で、前記フランジを前記被係止材に前側から係止させてある点にある。(請求項1)
【0006】
前記収納ケースの前端部にフランジを張り出し形成し、
前記収納ケースを前記アームレストフレームに内装した状態で、前記フランジを前記被係止材に前側から係止させてあるから、表皮材の前端部をアームレストフレームの内方側に一様に引き込むことができ、表皮材にシワ等が発生することを抑制することができて外観品質を向上させることができる。
しかも、表皮材をアームレストフレームに簡単に組み付けることができて、製作コストを低廉化することができる。
また、収納ケースと周りの部材との間に従来の技術のようなフック挿入用の隙間を設ける必要がなくてアームレストを小型化することができる。(請求項1)
【0007】
本発明において、
前記アームレストフレームの前端部の内面を後側ほど前記アームレストフレームの軸芯側に位置する傾斜面に形成して、前記アームレストフレームの前端部の内面と前記収納ケースのフランジとで前記被係止材を挟持固定してあると、表皮材の前端部を強固に固定することができて、表皮材にシワ等が発生することをより抑制することができ、外観品質をより向上させることができる。(請求項2)
【0008】
本発明において、
前記収納ケースのフランジの頂部と前記アームレストフレームの前端部の内面で前記表皮材の前端部を挟持固定してあると、表皮材の前端部をさらに強固に固定することができて、表皮材にシワ等が発生することをより抑制することができ、外観品質をより向上させることができる。(請求項3)
【0009】
本発明において、
前記被係止材の被係止部を前記被係止材の前端部に断面円形状に膨出形成してあると、収納ケースのフランジを被係止材の被係止部に係止させやすくすることができて、表皮材の組み付け作業の作業性を向上させることができる。(請求項4)
【0010】
本発明において、
前記被係止材を樹脂製のプレートで形成し、
前記表皮材の表側の面に前記被係止材を重ね合わせて縫着してあると、被係止材を簡単に製作することができて、製作コストを低廉化することができる。また、被係止材が表皮材に覆われず、被係止材の被係止部を収納ケースのフランジに直接係止させることができて係止力を高めることができる。(請求項5)
【0011】
本発明において、
前記アームレストフレームの前端面に嵌合孔を形成し、
前記表皮材の裏面に突設した嵌合凸部を前記嵌合孔に嵌合させてあると、アームレストフレームに対する表皮材の位置を正確に決めることができ、表皮材にシワ等が発生することをより抑制することができて、外観品質をより向上させることができる。(請求項6)
【0012】
本発明において、
前記アームレストフレームを縦断面四角形状に形成し、
前記表皮材を前記アームレストフレームに後側から被さる袋状に形成し、
前記表皮材の上側の前端部に前記被係止材を固定し、
前記表皮材の下側の前端部にフックを接続し、
前記フックを前記アームレストフレームの下壁に形成した係止孔に係止させてあると、次の作用を奏することができる。(請求項7)
【0013】
被係止材を表皮材の前端部の全周にわたって固定するのではなく、表皮材の上側の前端部に被係止材を固定してあるので、表皮材の開口部の四隅のように縫代が重なって厚くなっている個所ではその剛性を生かすことができる。
また、収納ケースの上壁と周りの部材との間に従来の技術のようなフック挿入用の隙間を設ける必要がなくてアームレストを小型化することができる。(請求項7)
【0014】
本発明において、
前記アームレストフレームの後端部を自動車用シートのシートバックのシートフレームに横軸芯周りに揺動自在に連結して、乗員の腕を受け止める車両前方側への倒伏姿勢と、乗員の背中を受け止める起立姿勢とに切り換え自在に構成してあると、シートバックに小型化したアームレストを配置することができて、シートバックの外観品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、
簡単に製作できて製作コストを低廉化することができ、外観品質を向上させることができ、小型化できるアームレストを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】リアシートの斜視図
【図2】アームレストの斜視図
【図3】アームレストの分解斜視図
【図4】アームレストの平面図
【図5】アームレストの前端部の断面図であり、図4のA−A断面に対応する図
【図6】アームレストフレームの下側フレームの断面図であり、図4のA−A断面に対応する図
【図7】アームレストフレームの下側フレームの断面図であり、図4のB−B断面に対応する図
【図8】図5の被係止材周りの構造の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、乗員(着座者)の臀部及び大腿部を受け止める左右に長い三人掛け用のシートクッション1と、乗員の上体(背中)を受け止める左右一対の非対称のシートバック2,3とを設け、シートバック2,3にヘッドレスト7をそれぞれ連結して自動車用のリアシート4(自動車用シートに相当)を構成してある。
【0018】
左側のシートバック2は右側のシートバック3よりも幅広に設定されて右側にアームレスト100を備えている。アームレスト100は下側の横軸芯O(図2参照)周りに揺動自在であり、アームレストフレーム11(図3参照)の後端部をシートバック2のシートフレームに横軸芯O周りに揺動自在に連結して、乗員の腕を受け止める車両前方側Frへの倒伏姿勢と、乗員の背中を受け止める起立姿勢とに切り換え自在に構成してある。
【0019】
つまり、左側のシートバック2は左席の乗員と中央席の乗員の背中を受け止め可能に構成されている。倒伏姿勢のアームレスト100はシートクッション1に載置して支持され、起立姿勢のアームレスト100は、左側のシートバック2に設けられた車両前方側Frに開放の縦長の凹部6に収容される。
【0020】
左右のシートバック2,3は、軟質の発泡ウレタンから成るシートバックパッドと、シートバックパッドが装着される金属製のシートフレームと、シートバックパッドを覆う表皮材とをそれぞれ備えている。次に、アームレスト100の構造について詳しく説明する。
【0021】
[アームレスト100の構造]
図2〜図4に示すように、アームレスト100(倒伏姿勢のアームレスト100)は、軟質の発泡ウレタンから成る上下一対のパッド40,45と、両パッド40,45が装着される金属製のアームレストフレーム11と、両パッド40,45及びアームレストフレーム11を覆う表皮材50と、アームレストフレーム11に内装されたカップホルダ装置60とを備えている。
【0022】
カップホルダ装置60は、カップホルダ61(引き出し部に相当)を収納ケース62に出退自在に収納して構成してある。そして、上記のように収納ケース62をアームレストフレーム11に内装して、カップホルダ61をアームレストフレーム11の前方Fr(車両前方側Fr)に出退自在に構成してある。カップホルダ61は前面部につまみ61Tを備えている。
【0023】
前記収納ケース62は断面長方形状に形成されてアームレストフレーム11に固定されている。収納ケース62の前端部には径方向外方側に張り出すフランジ62Fが全周にわたって形成され、収納ケース62の左右一対の側壁63の上端部を連結する上壁64にはリブ64Lが形成されている。
【0024】
[パッド40,45の構造]
上側のパッド40は断面門形(下側が開放した断面コの字状)に形成されて、上壁42と左右一対の側壁41と後壁43を備え、下側のパッド45は上側が開放した断面コの字状に形成されて、下壁48と左右一対の側壁46と後壁49を備えている。また、下側のパッド45の下壁48の上面に格子状のリブ48Lが形成され、下壁48の後端部に上方に隆起する隆起部47が形成されている。
【0025】
そして、上側のパッド40がアームレストフレーム11の後述の上側フレーム20に上側から嵌合(外嵌)し、下側のパッド45がアームレストフレーム11の後述の下側フレーム30に下側から嵌合(外嵌)している。
【0026】
上側のパッド40はアームレスト100が倒伏姿勢になった時に乗員の腕を受け止め、下側のパッド45はアームレスト100が起立姿勢になった時に乗員の背中を受け止める。従って、上側のパッド40に加わる荷重よりも大きな荷重が下側のパッド45に加わる。そこで、下側のパッド45の肉厚を上側のパッド40の肉厚よりも厚く設定して、乗員の背中を下側のパッド45で軟らかく受け止めることができるようにしてある。
【0027】
[アームレストフレーム11の構造]
図3に示すように、アームレストフレーム11は、断面門形(下側が開放した断面コの字状)の上側フレーム20と、上側が開放した下側フレーム30とから成り、前側が開口した縦断面四角形のケース状に形成されている。
【0028】
[上側フレーム20の構造]
上側フレーム20は、左右一対の側壁23と、両側壁23の上端部間に架設された上壁21とを備えている。上壁21は両側壁23とは別部材で形成され、複数の軽量化用の貫通孔20Hを備えている。この上壁21の左右両端部の複数箇所を下方に折曲して取り付けフランジ21Fを形成し、複数の取り付けフランジ21Fを左右一対の側壁23に幅方向外方側から重ね合わせて連結してある。そして、左右一対の側壁23の後端部にピン挿通孔23Hを同芯状に形成し、左右一対のピン挿通孔23Hにピン24を挿通させてある。アームレストフレーム11は前記ピン24の軸芯(横軸芯)O周りに揺動自在にシートバック2のシートフレームに連結されている。
【0029】
[下側フレーム30の構造]
下側フレーム30は樹脂材で成形されており、左右一対の側壁31と、両側壁31の下端部間に架設された下壁34(アームレストフレーム11の下壁に相当)と、下壁34の後端部から立ち上がる後壁32と、左右一対の側壁31の前端部同士の間に架設された上壁36と、カップホルダ装置60を挿通可能な長方形の環状の前壁35とを備えている。前記上壁36は前後方向の長さ(アームレスト100の前後方向における上壁36の長さ)が短く設定されている。また、前壁35はフランジ状に形成されて、左右一対の側壁31と下壁34と上壁36の前端部側から下側フレーム30の径方向外方側に張り出している。
【0030】
図5〜図8に示すように、アームレストフレーム11の前端部11Aのうち、下側フレーム30の上壁36の前端部36Aの内面36N(アームレストフレーム11の前端部11Aの内面に相当)は後側Rr(車両後方側Rr)ほどアームレストフレーム11の軸芯P側に位置する傾斜面に形成され、上壁36の後端部36Bは水平な壁に構成されている。
【0031】
そして、前記前壁35の前端面に前方Frに開口する嵌合凹部35Hが、前壁35の幅方向(アームレストフレーム11の幅方向)に沿う状態に形成されている。図3,図6,図7に示すように、下側フレーム30の下壁34には下方に突出する格子状の補強リブ34Lが形成され、下壁34の前端部に左右方向に長い長方形状の係止孔34Hが形成されている。後述のように、前記嵌合凹部35Hには表皮材50の上側の前端部55Aの裏面に突設した嵌合凸部57が嵌合(内嵌)し、係止孔34Hには表皮材50の下側の前端部55Bに縫着固定したJ字状のフック56が係止する。
【0032】
上記構造の下側フレーム30に上側フレーム20を外嵌固定して、上側フレーム20の両側壁23の幅方向内側に下側フレーム30の両側壁31を配置してある。
【0033】
[表皮材50の構造]
図3〜図5,図8に示すように、前記表皮材50は、アームレストフレーム11に後側Rrから被さる袋状に縫製されている。この表皮材50はシートバック2,3の表皮材と同一の素材で形成されている。
【0034】
詳述すると、表皮材50は、上側のパッド40の上壁42を覆う上部52と、下側のパッド45の下壁48を覆う下部53と、上下のパッド40,45の側壁23,31を覆う左右一対の側部51と、上下のパッド40,45の後壁43,49を覆う後部54とを備えている。そして、表皮材50の前端部55が径方向内方側に張り出して、上下のパッド40,45の前面とアームレストフレーム11の下側のフレーム30の前壁35とを覆っている。
【0035】
また、上側のパッド40の上壁42の前面を覆う表皮材50の上側の前端部55A(表皮材50の前端部55のうち上側に位置する前端部部分)に被係止材75を重ね合わせて縫着固定してある。符号Lは縫着のラインである。被係止材75は、上側の前端部55Aのほぼ全幅(左右方向で上側の前端部55Aのほぼ全長)にわたる長さの樹脂製のプレートで形成され、表皮材50の上側の前端部55Aの表側の面に、この上側の前端部55Aのほぼ全幅にわたって重ね合わせてある。前記被係止材75の被係止部75Aは被係止材75の前端部に断面円形状(玉縁形状)に膨出形成されている。
【0036】
そして、表皮材50の上側の前端部55Aをアームレストフレーム11の前端部11Aの内面側、詳しくは、下側フレーム30の上壁36の前端部36Aの内面36N側に折り返し、収納ケース62をアームレストフレーム11に内装した状態で、収納ケース62のフランジ62Fを被係止材75に前側Frから係止させてある。
【0037】
さらに、前記上壁36の前端部36Aの内面36Nと収納ケース62のフランジ62Fとで被係止材75を挟持固定するとともに、収納ケース62のフランジ62Fの頂部とアームレストフレーム11の前端部11Aの内面(アームレストフレーム11の前壁35の内面)で表皮材50の上側の前端部55Aを挟持固定してある(図8参照)。
【0038】
図5に示すように、下側のパッド45の下壁48の前面を覆う表皮材50の下側の前端部55B(表皮材50の前端部55のうち下側に位置する前端部部分)にJ字状の樹脂製のフック56を縫着固定して接続してある。符号Lは縫着のラインである。そして、表皮材50の下側の前端部55Bをアームレストフレーム11の下側フレーム30の下壁34の内面側に折り返し、収納ケース62をアームレストフレーム11に内装した状態で、前記下壁34の係止孔34Hにフック56を係止させてある。
【0039】
上側のパッド40の側壁41の前面と下側のパッド45の側壁46の前面とを覆う表皮材50の側方側の前端部55C(図3参照)もアームレストフレーム11の下側フレーム30の前壁35の内面側に折り返して前記内面に固定してある。
【0040】
また、下側フレーム30の前壁35の前端面に形成された嵌合孔35Hに、表皮材50の上側の前端部55Aの裏面に突設した嵌合凸部57を嵌合させてある(図5参照)。
【0041】
上記の構成によれば、前記被係止材75は表皮材50の上側の前端部55Aの表側の面に、この上側の前端部55Aのほぼ全幅にわたって重ねられて縫着固定されているので、表皮材50の前端部55をアームレストフレーム11の内方側に一様に引き込むことができて、表皮材50にシワ等が発生することを抑制することができる。これにより、アームレスト100の外観品質を向上させることができる。
【0042】
被係止材75の被係止部75Aは被係止材75の前端部に断面円形(玉縁形状)に膨出形成されており、収納ケース62をアームレストフレーム11に差し込む時(挿入する時)に収納ケース62のフランジ62Fが前記被係止部75Aに引っかかるので、表皮材50を自動的にアームレストフレーム11内に引き込むことができて組み付け性を向上させることができる。
【0043】
また、収納ケース62のフランジ62Fによって表皮材50が被係止材75を介してアームレストフレーム11の内方側に引き込まれるので、表皮材50とアームレストフレーム11の間に隙間が発生しなくなる。
【0044】
さらに、アームレストフレーム11とカップホルダ装置60との間に被係止材75を配置できる隙間があれば配置可能であるので、カップホルダ装置60の大きさ、アームレスト100の大きさの制限を緩和することができる。
【0045】
そして、被係止材75を表皮材50の前端部55の全周にわたって縫着するのではなく、表皮材50の上側の前端部55Aに被係止材75を重ね合わせて縫着固定してあるので、表皮材50の開口部の四隅のように縫代が重なって厚い個所ではその剛性を生かすことができる。さらに、収納ケース62の上壁64と周りの部材(例えばフレーム30、又は上側フレーム20など)との間に従来の技術のようなフック挿入用の隙間を設ける必要がなくてアームレスト100を小型化することができる。
【0046】
また、表皮材50の組付けの際に係止孔34Hへの挿入・係止作業を行わなければならないJ字状のフック56を、表皮材50の下辺(表皮材50の下側の前端部55B)のみに設けてあるので、前記挿入・係止作業に要する手間を少なくすることができ、その他の辺は収納ケース62の差し込み動作により、表皮材50のアームレストフレーム11内への引き込み動作ができて組み付け性を向上させることができる。
【0047】
そして、被係止材75を表皮材50の上側の前端部55Aの表側の面に重ね合わせて縫着してあるから、被係止材75が表皮材50に覆われず、被係止材75の被係止部75Aを収納ケース62のフランジ62Fに直接係合させることができて係止力を高めることができる。
【0048】
[別実施形態]
前記被係止材75は被係止部75Aが膨出していない単なる平板状の樹脂プレートで形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
4 自動車用シート(リアシート)
11 アームレストフレーム
11A アームレストフレームの前端部
34 アームレストフレームの下壁
34H 係止孔
35H 嵌合孔
36N アームレストフレームの前端部の内面
50 表皮材
55 表皮材の前端部
55A 表皮材の上側の前端部
55B 表皮材の下側の前端部
56 フック
57 嵌合凸部
61 引き出し部(カップホルダ)
62 収納ケース
62F フランジ(収納ケースのフランジ)
75 被係止材
75A 被係止部
O 横軸芯
P 軸芯(アームレストフレームの軸芯)
Fr 前側(車両前方側)
Rr 後側(車両後方側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮材でアームレストフレームを覆ってあるアームレストであって、
前記アームレストフレームを前側が開口したケース状に形成し、
引き出し部を出退自在に収納した収納ケースを前記アームレストフレームに内装して、前記引き出し部を前記アームレストフレームの前方に出退自在に構成し、
前記表皮材の前端部に被係止材を固定するとともに、前記表皮材の前端部を前記アームレストフレームの前端部の内面側に折り返し、
前記収納ケースの前端部にフランジを張り出し形成し、
前記収納ケースを前記アームレストフレームに内装した状態で、前記フランジを前記被係止材に前側から係止させてあるアームレスト。
【請求項2】
前記アームレストフレームの前端部の内面を後側ほど前記アームレストフレームの軸芯側に位置する傾斜面に形成して、前記アームレストフレームの前端部の内面と前記収納ケースのフランジとで前記被係止材を挟持固定してある請求項1記載のアームレスト。
【請求項3】
前記収納ケースのフランジの頂部と前記アームレストフレームの前端部の内面で前記表皮材の前端部を挟持固定してある請求項1又は2記載のアームレスト。
【請求項4】
前記被係止材の被係止部を前記被係止材の前端部に断面円形状に膨出形成してある請求項1〜3のいずれか一つに記載のアームレスト。
【請求項5】
前記被係止材を樹脂製のプレートで形成し、
前記表皮材の表側の面に前記被係止材を重ね合わせて縫着してある請求項1〜4のいずれか一つに記載のアームレスト。
【請求項6】
前記アームレストフレームの前端面に嵌合孔を形成し、
前記表皮材の裏面に突設した嵌合凸部を前記嵌合孔に嵌合させてある請求項1〜5のいずれか一つに記載のアームレスト。
【請求項7】
前記アームレストフレームを縦断面四角形状に形成し、
前記表皮材を前記アームレストフレームに後側から被さる袋状に形成し、
前記表皮材の上側の前端部に前記被係止材を固定し、
前記表皮材の下側の前端部にフックを接続し、
前記フックを前記アームレストフレームの下壁に形成した係止孔に係止させてある請求項1〜6のいずれか一つに記載のアームレスト。
【請求項8】
前記アームレストフレームの後端部を自動車用シートのシートバックのシートフレームに横軸芯周りに揺動自在に連結して、乗員の腕を受け止める車両前方側への倒伏姿勢と、乗員の背中を受け止める起立姿勢とに切り換え自在に構成してある請求項1〜7のいずれか一つに記載のアームレスト。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−51476(P2011−51476A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202225(P2009−202225)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】