イオンビームを操作するシステムおよび方法
【解決手段】主軸(7)を有するイオンビーム(104)を操作するシステムは、自身の異なる領域に主に配置され、互いに独立して第1の電流(808または810において)および第2の電流(808または810において)をそれぞれ伝達するよう構成された第1のコイルおよび第2のコイルを有する上方部材を備える。下方部材は、第1のコイルおよび第2のコイルに対向して主に配置され、互いに独立して第3の電流(812または814において)および第4の電流(814または812において)をそれぞれ伝達するよう構成された第3のコイルおよび第4のコイルを有する。レンズ間隙(306)が、上方部材と下方部材との間に規定され、イオンビームを伝達するよう構成され、第1の電流から第4の電流によって、イオンビームにその主軸を中心とした回転力(F5、F6)を働かせる45度四重極場が生成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イオンビームに関する。本開示は、特に、注入システム内でのイオンリボンビームの回転に関する。
【背景技術】
【0002】
ビームラインイオン注入機は、ワークピースを処理するためのイオンビームを提供する。イオンビームは、スポットビームもしくはリボンビームであり、イオンビームの移動、ワークピースの移動、またはその両方の組み合わせによりワークピースの前面全体に分配される。スポットビームは、略円形もしくは楕円形の断面を有し、リボンビームは略長方形の断面を有する。
【0003】
図1を参照すると、従来技術で知られるワークピース110を処理するためのリボンビーム104を提供するビームラインイオン注入機100の平面図が示されている。ビームライン注入機100は、イオン源102、引き出し電極アセンブリ122、四重極レンズ124、当業者には周知のその他のビームライン構成要素(不図示)、および、リボンビーム104により処理すべきワークピース110を支持するプラテン112を有する最終ステーション126を備える。最終ステーション126は、当業者には周知の更なる構成要素も有している。たとえば、最終ステーション126は、通常、自動ワークピース取り扱い装置を有する。イオンビームが通過する全経路は、イオン注入の際、排気されている。ビームラインイオン注入機100は、多様なサブシステムおよびその構成要素を制御するためのコントローラー(不図示)を備えても良い。従来のビームラインイオン注入機100の動作を記載する前に、リボンビーム104の中心軌跡によってZ軸が規定されるデカルト座標系を定義すると便利である。X軸およびY軸により規定されるX−Y平面は、図1の座標系に示されるようにZ軸に直交しており、Xはリボンビームの大きい方の寸法に沿い、Yは小さい方の寸法に沿う。
【0004】
動作時には、イオン源102のイオン源チャンバーで、導入されたフィードガスを励起することによりプラズマを形成する。引き出し電極アセンブリ122は、イオン源チャンバーの細長引き出し開口に隣接して位置付けられ、そこから明確に定められたリボンビーム104へとイオンを引き出すべく付勢される。この例では、リボンビーム104は、X方向に幅(W)を、Y方向に高さ(H)を有する。四重極レンズ124は、リボンビーム104が通過する間隙に四重極磁場を生成して、水平面(X−Z平面)でイオンビーム104の幅を拡大し、垂直面(Y−Z平面)でイオンビームの高さを狭める力を働かせる。
【0005】
図2は、従来の四重極レンズ124のより詳細な斜視図であり、図3は、Z方向もしくはリボンビーム104の進行方向下流から見た同四重極レンズ124の端面図である。四重極レンズ124は、上方磁心部材302と、リボンビーム104が通過することができる間隙306を形成するよう離間された下方磁心部材304とを有する。複数のコイルが上方および下方磁心部材302および304に沿って巻き付けられている。左側バッキングコイル320、中央コイル322、および右側バッキングコイル324が上方磁心部材302に巻き付けられている。同様に、左側バッキングコイル326、中央コイル328、および右側バッキングコイル330が下方磁心部材304に巻き付けられている。バッキングコイルにより磁気回路内の循環磁束がゼロに維持されることで、飽和が回避され、長距離双極子場(long range dipole field)が、それが望まれないその他の領域に広がるのが防止される。コイル内の電流フローの方向は、図2において矢印で示されており、図3の符号340および342により示されている。間隙306近傍の境界条件によって、水平面(X−Z平面)でリボンビーム104の幅を拡大し、垂直面(Y−Z平面)でリボンビーム104の高さを狭めることで以降のビームラインに所望のアスペクト比を与える四重極場が提供される。リボンビーム104近傍の中央コイル322および328の部分370および372における電流フローの方向は、リボンビームの進行方向下流からの図3の視点で見ると紙面から出る方向である。
【0006】
リボンビーム104は、ワークピース110に衝突する前に、四重極レンズ124の下流に設置されるその他のビームライン構成要素(不図示)、たとえば、少しだけ具体名を挙げてみると、質量分析器、角度修正器、および減速レンズにより操作されてよい。プラテン112に支持されたワークピース110の前面によってワークピース平面118が規定される。ワークピース110としては、半導体ウェハ、フラットパネル、太陽電池パネル、および高分子基材が挙げられるが、これらに限定されない。ワークピース平面118のリボンビーム104は、ワークピース110以上の幅(W)を有する。プラテン112によって、ワークピースはリボンビーム104の長手寸法に直交する方向(たとえば、Y方向)に駆動され、リボンビームがワークピース110の全体に分配されるようになる。
【0007】
あいにく、リボンビームの生成の際、機械的な許容誤差および電場もしくは磁場のその他の制御されない変化によって、イオンビームがビームラインに沿って進行するとき、もしくはワークピースに衝突するときのイオンビームのプロファイルに望ましくない変化が発生することが多い。これらの変化の1つを、本明細書ではビームの「回転(roll)」、つまり、ビームの主軸(すなわちZ軸)を中心とした回転と呼ぶ。たとえば、図4は、ワークピース平面118におけるリボンビーム104の断面図を示す。当業者であれば、リボンビームの断面形状が、図4に示すものに似た全体的に非標準的な(irregular)形状であることを認めるであろう。図4のリボンビーム104はZ軸を中心に回転しており、リボンビーム104の左側は矢印402に示すように上方に回転し、右側は矢印404に示すように下方に回転している。図5は、実際の400eVボロンイオンビームの望ましくない回転ずれ(roll aberration)の別の例を示すリボンビームの2次元プロファイルである。図4と同様に、図5のリボンビームは、リボンビームの左側で上方に回転し、リボンビームの右側で下方に回転している。その他の望ましくない回転ずれが反対の方向にも生じることがあり、リボンの左側が下方に回転し、右側が上方に回転する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような回転ずれの欠点としては、リボンビームのいろいろな部分がビームラインイオン注入機の様々な部分に間違ってぶつかってしまうことでビームラインを下る伝送量が減少することが挙げられる。さらに、リボンビームがウェハに衝突する入射角度の制御が上手くいかなくなることも生じうる。したがって、本技術分野では、上記の欠点および短所を克服する装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施形態では、主軸を有するイオンビームを操作するべく四重極レンズが使用される。四重極レンズは、自身の異なる領域に主に配置され、互いに独立して第1の電流および第2の電流をそれぞれ伝達するよう構成された第1のコイルおよび第2のコイルを有する上方部材を備える。レンズは、第1のコイルおよび第2のコイルに対向して主に配置され、互いに独立して第3の電流および第4の電流をそれぞれ伝達するよう構成された第3のコイルおよび第4のコイルを有する下方部材をさらに備える。四重極レンズは、上方部材と下方部材との間に規定され、イオンビームを伝達するよう構成されたレンズ間隙をさらに備え、第1の電流から第4の電流によって、イオンビームにその主軸を中心とした回転力を働かせる45度四重極場が生成される。
【0010】
別の実施形態では、四重極レンズを使用するイオン注入システムにおいてイオンビームを制御する方法は、所望の平面に対して第1の方向の、イオンビームの、その主軸を中心とした回転を検出する段階と、第1の方向とは逆の第2の方向にイオンビームを回転させる、所望の平面に直交する一組の力を生成する段階とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示をより良く理解できるようにするべく、本明細書に参照として組み込む添付の図面に言及がなされる。
【図1】従来技術に係るビームラインイオン注入機の平面図である。
【図2】図1の従来技術に係る四重極レンズの斜視図である。
【図3】図2の四重極レンズの概略端面図である。
【図4】回転ずれを示す図1のリボンビームの断面図である。
【図5】回転ずれを生じたリボンビームの2次元プロファイルを示す、実際のリボンビームの断面図である。
【図6】本開示の実施形態に係るレンズを有するビームラインイオン注入機の平面図である。
【図7A】回転ずれを生じたリボンビームの断面図である。
【図7B】回転ずれがない理想的なリボンビームの断面図である。
【図8】本開示の実施形態に一致する模範的レンズにおける電流、磁場、および力の空間的配置を示す断面図である。
【図9】本開示の実施形態に一致するレンズの別の実施形態の図である。
【図10】図9に一致するレンズの図形的表示(graphical illustration)である。
【図11】図8および図9の実施形態のビームのシミュレーション結果を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して以下により詳細に記載する。しかし、本発明は、多様な形態で実施してよく、本明細書に記載する実施形態に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ徹底したものとなり、当業者に発明の範囲が十分に伝わるようにするべく提供されるものである。図面では、一貫して、同様の参照番号により同様の要素を表す。
【0013】
図6は、本発明の実施形態に係るレンズ607を備えるビームラインイオン注入機600の平面図である。図1に類似するイオン注入機600のその他の構成要素には、同様な符号を与えているので、繰り返しとなる記載は本明細書では省く。一般的に、レンズ607は、リボンビームの所望の平面に直交する力を提供して、意図せぬ回転ずれを改善させる。たとえば、図7Aは、意図せぬ回転ずれを受けた図5と類似のリボンビームの(ワークピース平面118における)断面図を示す。回転ずれにより、リボンビームの面pは、図示のX−Z平面に対して僅かに回転しており、図3に示すように四重極レンズの開口内に平面が規定される。このような回転ずれは、当該技術分野で知られている2次元ビームプロファイル装置(不図示)により検出することができる。一例では、レンズの上流に位置する角度付き遮蔽体(angled shield)は、リボンビームの全体を駆動されて、駆動されつつリボンビームの一部を遮断するビームセンサーのアレイを含む。センサーアレイからの信号を分析することにより、リボンビームの2次元プロファイルを取得することができる。次に、2次元プロファイル等の情報は、レンズ607等の四重極レンズを調整するための適切な信号を送ることができるイオン注入システムのプロセッサーおよび/またはコントローラーに送られる。以下にさらに記載するように、信号をレンズに接続された電源に送って、レンズの動作を制御する適切な電流が提供されるようにしてよい。
【0014】
図7Aの検出された回転ずれを修正するべく、レンズ607は、リボンビームの所望の平面、たとえば、図7Aの例におけるX−Z平面に直交する力(F1)および(F2)を提供するよう構成されている。力(F1)および(F2)により、本例では左にリボンビームは回転し、結果としてワークピース平面でのリボンビームは、理想的な配置に近づき、図7Bに示すように面pはX−Z平面に平行な配置となる。力(F1)および(F2)の方向を反対にして、逆の種類の回転ずれを修正するべくリボンビームが右に回転するようにしてもよい。図7Bの例では、リボンビームの長手寸法もしくは幅(W)は、X軸に沿っている。リボンビームの幅(W)の理想的位置は、任意の方向にあってよいことは当業者には理解されるであろう。たとえば、リボンビームの長手寸法はY軸に沿っていてよく、対応してレンズ607を、Y−Z平面に直交する力(F1)および(F2)を提供するように設置し直してよい。
【0015】
図6の実施形態では、レンズ607は、引き出し電極アセンブリ122からリボンビーム104の進行方向においてすぐ下流に設置されている。この位置では、レンズ607は、引き出し直後の意図せぬ回転ずれを修正して、リボンビームと下流にあるいずれかの構成要素との衝突を最小限にすることができる。または、レンズ607は、その他の事項を考慮して、ビームラインに沿ったその他の位置に設置してよい。
【0016】
図8aから8eを参照すると、レンズ607の一実施形態が示されており、先に詳述したレンズ124等の従来の四重極レンズが変更されて、同じく意図せぬ回転ずれを修正するようになっている。図8aから8eの図に示される領域は、全般的に、単一もしくは複数のコイルにより実施してよい電流フローの空間的分布を示す。したがって、部分808等の部分は、代替的に領域もしくはコイルと呼んでもよい。いずれにせよ、図8aから8eに示す部分は、レンズ間隙306近傍の領域だけを示し、コイル全体を示すのではないことに注意されたい。
【0017】
図8aから8eに示される図は、リボンビーム104の進行方向下流からの視点が提示されている点で図3と類似している。図示を明確にするべく、間隙306近傍の中央コイルの部分だけが示されている(バッキングコイルおよび対応する上方および下方の磁心部材は示されていない)。図8aは、図3で先に詳述したように、リボンビーム近傍の中央コイルの部分370および372における電流の方向を示す。対応する直交四重極磁場によって、図8bに示すようにリボンビーム104の左端および右端に外側方向の力を作用させる力(F3)および(F4)が生成される。本実施形態によると、レンズ607は、力F3およびF4が図3の従来のレンズ124により生成される力と同程度となる電流を伝達するよう構成してよい。
【0018】
さらに、本実施形態では、レンズ607は、リボンビームの回転ずれを打ち消す傾向のある電流を生成するよう構成されている。図8cは、リボンビーム近傍に位置するさらなる回転ずれ電流フローを示す。図(a)と類似して、左上方部808には紙面に向かう方向の電流フローが存在し、右上方部810には紙面から出る方向の電流フローが存在する。左下方部812には紙面から出る方向の電流フローが存在し、右下方部814には紙面に向かう方向の電流フローが存在する。図8cに示す電流フローの分布には、間隙306に、主軸を中心として45度回転した四重極磁場(本明細書では、「45度四重極場」もしくは「45度四重極磁場」とも呼ばれる)を生成する作用がある。図8dは、リボンビーム104が間隙306を通過するとき、45度四重極磁場の磁力線により生成される力(F5)および(F6)を示す。力F5およびF6は、リボンビーム104の所望のX−Z平面に直交し、リボンビームの左側が下方に回転し、右側が上方に回転した状態の回転ずれを修正するべく作用する。逆方向の回転ずれを修正するべく、力(F5)および(F6)の方向は、部分808、810、812、および814における電流フローの方向を制御することにより逆にしてよい。
【0019】
図8eは、図8aおよび8cの電流を重畳したものを示す。本発明によると、図8aおよび8cに示す電流は、1組のコイル巻線に存在しうる。発明の模範的実施形態では、45度四重極磁場の強度は約0.1ジオプター、つまり、約0.05ジオプターから約0.2ジオプターであり、直交四重極磁場の強度は約2ジオプター、つまり約1から4ジオプターである。リボンビームの回転修正に通常必要とされる強度は約0.1ジオプターであり、通常の直交四極子(orthogonal quadrupoles)の強度は約2ジオプターであるので、図8cおよび8dに示す場を生成するべくコイルで使用される電流の振幅は、通常、図8aおよび8bの電流を生成するコイルに使用される電流の振幅の約10%でしかない。したがって、図8aの電流レベルと比較して、図8eに示すように図8aおよび8cの電流を重畳することによって、図8aの電流から図8cの電流が有効に引かれることで、左上方部820および右下方部826に、紙面から出る方向に僅かに小さくなった電流が発生する。さらに、重畳によって図8aの電流に図8cの電流が有効に加わることで、右上方部822および左下方部824に、紙面から出る方向に僅かに大きくなった電流が発生する。
【0020】
したがって、レンズ607は、対角線上に対置された一方の組の部分822および824では、対角線上に対置された他方の組の部分820および826でよりも僅かに大きくなる正味電流を、レンズ間隙306の上方および下方の境界近傍に紙面から出る方向に発生させる1組のコイルにより実施してよい。一例では、図8eの電流の空間的構成は、部分370および372並びに808から814にそれぞれ対応する領域にそれぞれが配置された6つの別々のコイルにより生成してよい。本例では、図8aの比較的大きい方の直交四重極場を生成するコイル(部分370および372に対応)は、上方および下方の磁心に沿って、比較的小さい方の45度四重極場を生成するコイル(部分808から814に対応)と空間的に重なってよい。別の例では、図8eの電流の空間的構成は、部分808から814にそれぞれ対応する領域にそれぞれが配置された4つの別々のコイルにより生成してよい。
【0021】
したがって、図8eの発明の構成の特質は、レンズ間隙近傍のコイル領域での正味電流フローが、上方および下方の部材の全領域で同一方向であることである。これは、領域820から826が各領域内に単一のコイルを有するか、複数のコイルを有するかに拘らず、当てはまる。単一コイル領域である場合は、各コイルの電流は、図8eに示すように、レンズ間隙近傍において同一方向に流れる。ある領域、たとえば領域820が複数のコイルを有する場合は、複数のコイルは、図8aおよび8cに示すように反対の方向に流れる電流(領域もしくはコイル808を領域もしくはコイル370に比較のこと)を提供するよう構成してよい。正味電流は、一方のコイルにおける電流振幅が他方のコイルにおける電流振幅よりも大きいので生じる。さらに、図8eの実施形態によると、正味電流フローの方向は、反対し合う電流フローが存在する領域(たとえば、領域820)と、平行な電流フローが存在する領域(たとえば、領域822のコイル370および810を参照)とで同一である。
【0022】
本発明によると、イオン注入等のイオンビーム処理の間、2次元ビームプロファイル装置を用いて、左側への回転等の意図せぬ回転ずれを検知する。応答して、コントローラー(不図示)は、図8aおよび8cのコイルに電流を供給する電源を制御して、図8eに示すように2組の電流を所望の通りに重畳し、それにより力(F3)、(F4)、(F5)、および(F6)を正しい大きさおよび方向にして、力(F3)および(F4)を用いてリボンビームを拡大し、より重要なことには、意図せぬ回転ずれを力(F5)および(F6)を用いて修正する。力(F5)および(F6)の方向は、図8cの回転ずれ修正コイルの電流フローの方向を制御することにより制御してよい。力(F5)および(F6)の大きさは、部分370および372に対応する中央コイルに供給される電流の振幅の、部分808から814に対応する回転ずれ修正コイルの電流の振幅に対する比を制御することにより制御してよい。
【0023】
図9は、本発明の実施形態に一致するレンズ907の別の実施形態の端面図である。図8cから8eの急激な構成(abrupt configuration)とは対照的に、図9のコイル構成は、段階的な構成(graded configuration)を有する。本明細書で用いる「段階的な構成」という文言は、一般的に、磁心軸に平行な方向の単位長当たりのコイルの電流振幅が、磁心軸の長さに沿って変化するようなコイル(磁心に巻き付けられている)の構成をさす。段階的な構成の一例では、磁心軸に沿った方向の単位長当たりのコイルの巻線の量(巻線密度)が、磁心に沿った位置の関数として変化する。段階的な構成では、以下にさらに記載するように、単位長当たりの巻線の量は、右から左へ、または逆方向へ、単調に減少してよく、巻線はレンズの中心線を越えて延伸してよい。
【0024】
図8cを参照すると、レンズの垂直方向中心線833(およびビームの中心)における電流の急激な変化と比較して、コイルが段階的な構成を有する図9に示す発明の実施形態では、中心線920の左から右へと進む位置の関数として、より段階的な電流の変化が生成される。この段階的な電流変化は、レンズ電流を生成するべく使用されるコイルの様々な部分で、可変数の巻き(turns)を用いることで生成される。レンズ907の上方部材は、左上方コイル910および右上方コイル912を有し、レンズ907の下方部材は、左下方コイル914および右下方コイル916を有する。
【0025】
注目すべきことに、図9に概略的に示すように、コイル910から916のそれぞれは、レンズ907の中心線を越えている。たとえば、図9の視点からは、コイル910は、大部分は上方部材922の左側部分において磁心302の周りに配置されているが、上方部材の右側部分にも延伸している。しかし、薄い方の影付き領域(smaller shaded area)に示されるように、コイル910の巻き数は、左側部分910aに比べて右側部分910bで著しく少ない。コイル910の巻き数(つまり、方向Lに沿った単位長当たりの巻き数)は、図9に示唆されるように、左上方領域および右上方領域の両方で、右から左に減少してよい。図9にさらに示すように、コイル912は、コイル910と同様に、しかし逆方向に段階化してよい。言い換えると、コイル912も中心線920を越えているが、巻き数(単位長当たりの数)は、Lに沿って左から右に位置の関数として増加する。下方磁心304に配置されるコイル914および916は、コイル910および912と同様に段階化してよい。
【0026】
一実施形態では、バッキングコイル領域のフィンは取り除き、中央部分のフィン904は残してよい。余分なスペース(extra space)は、バッキングコイル(不図示)に、段階化された四重極コイルと同数の巻き(turns)を維持するべく用いてよい。別の実施形態では、図9に示すように、コイル910から916が配置される領域を、周知のレンズに比べて、たとえば、フィンの間隔を維持したまま中心から数えてフィンを6つ含む領域にまで長くしてよい(図3の従来のレンズ124のフィンが5つの構成を参照)。
【0027】
本発明によると、レンズ907によって、直交四重極場および45度四重極場の両方が別々に調整される。図9にさらに示すように、濃い巻線(dark windings)、つまりコイル912および914を1つの電源(Q1L)により駆動し、薄い巻線(light windings)、つまりコイル910および916を別の電源(Q1R)により駆動してよい。両方の電源を一緒に調整することにより、直交四極子(orthogonal quadrupole)の強度を調整することができる。両方の電源(Q1L)および(Q1R)により供給される電流の比を調整することにより、ビーム104の回転ずれが修正されるように45度四重極場を変化させることができる。
【0028】
図10は、直交四極子および回転四極子の重畳効果を生成することができる、図9と一致するレンズ1007の別の図示である。図10では、バッキングコイルの図示は省かれている。レンズ907と同様に、レンズ1007には、一連の段階化コイル1010、1012、1014、および1016が設けられており、レンズ1007の4分の1の領域にぞれぞれの大部分が配置されている。しかし、コイル910から916と同様に、コイル1010から1016のそれぞれの巻線は、中心線1020を越えている。左上方コイル1010および右下方コイル1016は、電源Q1Lにより動力を与えられ、右上方コイル1012および左下方コイル1014は電源Q1Rにより動力を与えられる。
【0029】
電源Q1Rでなく電源Q1Lにより供給される別の電流により動作する場合、レンズ1007は、リボンビーム104の所望の平面(たとえば、X−Z平面)に直角な力を誘導する45度四重極場を生成し、したがって、意図せぬ回転ずれを修正することができる。レンズ1007は、主に図8aから8eを参照して先に記載したように動作することによって、直交四重極場を生成するよう構成してもよい。したがって、一例では、コイル1010から1016のそれぞれは、イオンビーム近傍の領域で紙面から出る方向の電流を伝達してよく、コイル812および814に動力を与えるQ1Rからの電流は、Q1Lにより動力を与えられるコイル810および816により伝達される電流より僅かに大きい。
【0030】
段階化コイル構成によると、レンズ1007の左側と右側との間で電流密度が段階的に変化し、中心線1020で電流密度が急激に変化しない。これにより、以下に図11を参照して詳述するように、より線形なビーム変位挙動が得られる。
【0031】
本発明の四重極レンズの段階的な構成(図9および図10)および急激な構成(図8cから8e)の両方に共通する特性は、レンズ間隙近傍の電流密度(振幅)を、レンズ間隙において上方部分と下方部分との間に存在し、それらの軸に平行なレンズ中央平面M(図9参照)に関して非対称にすることができることである。たとえば、図8eのレンズの実施形態では、対向する上方部分820と下方部分824との間と、上方部分822と下方部分826との間とに、電流の正味の差が存在する。方向L1に沿った水平位置(lateral positions)P1およびP2では、電流密度は上方部分820より下方部分824で高く、水平位置P3およびP4では、電流密度は上方部分822より下方部分826で低い。方向L1に沿った異なる位置において上方部分と下方部分との間で電流密度に正味の差があることで、イオンビーム104の平面に対して直角の力、たとえばF5およびF6を生成する回転した四重極場の形成が可能になり、これによって通過するビーム104が回転し、回転ずれを修正することが可能になる。
【0032】
さらに、本発明は、回転した四重極場が対称に生成されるようにする手段を提供する。上記の上方−下方非対称に加えて、本発明の実施形態は、電流の対角線上対称(つまり、主にイオンビームの主軸を中心とした180度回転対称)を提供して、均一に分布した回転場を生成する。特に、対角線上に対置された2対のコイル(たとえば、コイル対808および814並びに810および812を参照)のそれぞれには共通の電源から電流を供給してよい。さらに、各コイルを同様に設計してよい。したがって、共通の電源により動力を与えられる場合、第1の対角線上対の第1のコイルの電流分布は、同対の他方のコイルの電流分布に整合される。同じく、第2の対角線上対の第1のコイルの電流分布は、同対の他方のコイルの電流分布に整合される。これによって、四重極レンズの上方部材に沿って左から右の電流分布が、四重極レンズの下方部材に沿って右から左の電流分布に整合されるよう促され、対称的に回転した四重極場が生成される。したがって、対称的に回転した四重極場からの力が通過するイオンビーム104に作用し、ビームの形状がその幅にわたって一次に維持される均一な回転が生成される。
【0033】
図11は、図8の実施形態を図9に比較したシミュレーション結果を示すチャートである。四角形1102は、レンズの右側部分と左側部分との間で電流密度に急激な段階を有する図8の設計の結果を示し、点1104は、図9に示すように、リボンビームの幅にわたって右側部分と左側部分との間で、Q1Rの巻き数が上方に直線的に変化する一方で、電源Q1Lの巻き数が下方に直線的に変化する図9の段階的コイルの実施形態の出力を示す。両方の実施形態とも回転ずれ修正に効果的であるが、点1104のプロットは、段階的コイルの実施形態からは、比較的より線形な変位挙動が得られることを示している。
【0034】
したがって、リボンビームの上下で逆方向に電流成分が進行するレンズ構成が提供され、リボンビームの所望の平面に対して直角の力の形成が可能になる。上方で左から右にかけての、同じく下方で右から左にかけての全電流密度を変化させることによって、リボンビームは、端部は意図せぬ回転ずれに所望の修正を加えるべく回転するが、その平均的方向は変化しない。さらに、単一のレンズ要素内に2つの独立的に調整可能な四極子が設けられている。つまり、結果として得られる四極子の主角度を制御するための電気的手段が、合計すると結果として得られる四極子になる2つの独立的に調整可能な四極子を設けることにより提供され、主角度は2つの独立的に調整可能な四極子の比にしたがって変化する。さらに、リボンビームに対する修正の線形性が、レンズの並んだコイルの水平位置の関数として巻き数を調整することにより最適化されるようにする設計が提供されている。意図せぬ回転ずれの修正は、ビームラインにおける開口および部材に対するリボンビームの配置を容易にするための調整手順(tuning procedure)時に行ってよい。垂直方向注入角度がウェハ幅にわたって不均一になることも減らすことが可能である。
【0035】
本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲を限定されない。事実、本明細書に記載したものに加えて、本開示のその他の多様な実施形態および本開示に対する変更が、当業者には上記の記載および添付の図面から明らかになるであろう。したがって、そのようなその他の実施形態および変更は、本開示の範囲に包含されることが意図されている。さらに、本開示は、本明細書において、特定の目的に対する特定の環境における特定の実施形態を背景として記載されているが、その有用性は、それに限られず、本開示は、任意の数の目的に対する任意の数の環境で有益に実施されうることは当業者には理解されるであろう。したがって、以下に提示する特許請求の範囲は、本明細書に記載された本開示の全範囲および趣旨にかんがみて解釈されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本開示は、イオンビームに関する。本開示は、特に、注入システム内でのイオンリボンビームの回転に関する。
【背景技術】
【0002】
ビームラインイオン注入機は、ワークピースを処理するためのイオンビームを提供する。イオンビームは、スポットビームもしくはリボンビームであり、イオンビームの移動、ワークピースの移動、またはその両方の組み合わせによりワークピースの前面全体に分配される。スポットビームは、略円形もしくは楕円形の断面を有し、リボンビームは略長方形の断面を有する。
【0003】
図1を参照すると、従来技術で知られるワークピース110を処理するためのリボンビーム104を提供するビームラインイオン注入機100の平面図が示されている。ビームライン注入機100は、イオン源102、引き出し電極アセンブリ122、四重極レンズ124、当業者には周知のその他のビームライン構成要素(不図示)、および、リボンビーム104により処理すべきワークピース110を支持するプラテン112を有する最終ステーション126を備える。最終ステーション126は、当業者には周知の更なる構成要素も有している。たとえば、最終ステーション126は、通常、自動ワークピース取り扱い装置を有する。イオンビームが通過する全経路は、イオン注入の際、排気されている。ビームラインイオン注入機100は、多様なサブシステムおよびその構成要素を制御するためのコントローラー(不図示)を備えても良い。従来のビームラインイオン注入機100の動作を記載する前に、リボンビーム104の中心軌跡によってZ軸が規定されるデカルト座標系を定義すると便利である。X軸およびY軸により規定されるX−Y平面は、図1の座標系に示されるようにZ軸に直交しており、Xはリボンビームの大きい方の寸法に沿い、Yは小さい方の寸法に沿う。
【0004】
動作時には、イオン源102のイオン源チャンバーで、導入されたフィードガスを励起することによりプラズマを形成する。引き出し電極アセンブリ122は、イオン源チャンバーの細長引き出し開口に隣接して位置付けられ、そこから明確に定められたリボンビーム104へとイオンを引き出すべく付勢される。この例では、リボンビーム104は、X方向に幅(W)を、Y方向に高さ(H)を有する。四重極レンズ124は、リボンビーム104が通過する間隙に四重極磁場を生成して、水平面(X−Z平面)でイオンビーム104の幅を拡大し、垂直面(Y−Z平面)でイオンビームの高さを狭める力を働かせる。
【0005】
図2は、従来の四重極レンズ124のより詳細な斜視図であり、図3は、Z方向もしくはリボンビーム104の進行方向下流から見た同四重極レンズ124の端面図である。四重極レンズ124は、上方磁心部材302と、リボンビーム104が通過することができる間隙306を形成するよう離間された下方磁心部材304とを有する。複数のコイルが上方および下方磁心部材302および304に沿って巻き付けられている。左側バッキングコイル320、中央コイル322、および右側バッキングコイル324が上方磁心部材302に巻き付けられている。同様に、左側バッキングコイル326、中央コイル328、および右側バッキングコイル330が下方磁心部材304に巻き付けられている。バッキングコイルにより磁気回路内の循環磁束がゼロに維持されることで、飽和が回避され、長距離双極子場(long range dipole field)が、それが望まれないその他の領域に広がるのが防止される。コイル内の電流フローの方向は、図2において矢印で示されており、図3の符号340および342により示されている。間隙306近傍の境界条件によって、水平面(X−Z平面)でリボンビーム104の幅を拡大し、垂直面(Y−Z平面)でリボンビーム104の高さを狭めることで以降のビームラインに所望のアスペクト比を与える四重極場が提供される。リボンビーム104近傍の中央コイル322および328の部分370および372における電流フローの方向は、リボンビームの進行方向下流からの図3の視点で見ると紙面から出る方向である。
【0006】
リボンビーム104は、ワークピース110に衝突する前に、四重極レンズ124の下流に設置されるその他のビームライン構成要素(不図示)、たとえば、少しだけ具体名を挙げてみると、質量分析器、角度修正器、および減速レンズにより操作されてよい。プラテン112に支持されたワークピース110の前面によってワークピース平面118が規定される。ワークピース110としては、半導体ウェハ、フラットパネル、太陽電池パネル、および高分子基材が挙げられるが、これらに限定されない。ワークピース平面118のリボンビーム104は、ワークピース110以上の幅(W)を有する。プラテン112によって、ワークピースはリボンビーム104の長手寸法に直交する方向(たとえば、Y方向)に駆動され、リボンビームがワークピース110の全体に分配されるようになる。
【0007】
あいにく、リボンビームの生成の際、機械的な許容誤差および電場もしくは磁場のその他の制御されない変化によって、イオンビームがビームラインに沿って進行するとき、もしくはワークピースに衝突するときのイオンビームのプロファイルに望ましくない変化が発生することが多い。これらの変化の1つを、本明細書ではビームの「回転(roll)」、つまり、ビームの主軸(すなわちZ軸)を中心とした回転と呼ぶ。たとえば、図4は、ワークピース平面118におけるリボンビーム104の断面図を示す。当業者であれば、リボンビームの断面形状が、図4に示すものに似た全体的に非標準的な(irregular)形状であることを認めるであろう。図4のリボンビーム104はZ軸を中心に回転しており、リボンビーム104の左側は矢印402に示すように上方に回転し、右側は矢印404に示すように下方に回転している。図5は、実際の400eVボロンイオンビームの望ましくない回転ずれ(roll aberration)の別の例を示すリボンビームの2次元プロファイルである。図4と同様に、図5のリボンビームは、リボンビームの左側で上方に回転し、リボンビームの右側で下方に回転している。その他の望ましくない回転ずれが反対の方向にも生じることがあり、リボンの左側が下方に回転し、右側が上方に回転する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような回転ずれの欠点としては、リボンビームのいろいろな部分がビームラインイオン注入機の様々な部分に間違ってぶつかってしまうことでビームラインを下る伝送量が減少することが挙げられる。さらに、リボンビームがウェハに衝突する入射角度の制御が上手くいかなくなることも生じうる。したがって、本技術分野では、上記の欠点および短所を克服する装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施形態では、主軸を有するイオンビームを操作するべく四重極レンズが使用される。四重極レンズは、自身の異なる領域に主に配置され、互いに独立して第1の電流および第2の電流をそれぞれ伝達するよう構成された第1のコイルおよび第2のコイルを有する上方部材を備える。レンズは、第1のコイルおよび第2のコイルに対向して主に配置され、互いに独立して第3の電流および第4の電流をそれぞれ伝達するよう構成された第3のコイルおよび第4のコイルを有する下方部材をさらに備える。四重極レンズは、上方部材と下方部材との間に規定され、イオンビームを伝達するよう構成されたレンズ間隙をさらに備え、第1の電流から第4の電流によって、イオンビームにその主軸を中心とした回転力を働かせる45度四重極場が生成される。
【0010】
別の実施形態では、四重極レンズを使用するイオン注入システムにおいてイオンビームを制御する方法は、所望の平面に対して第1の方向の、イオンビームの、その主軸を中心とした回転を検出する段階と、第1の方向とは逆の第2の方向にイオンビームを回転させる、所望の平面に直交する一組の力を生成する段階とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示をより良く理解できるようにするべく、本明細書に参照として組み込む添付の図面に言及がなされる。
【図1】従来技術に係るビームラインイオン注入機の平面図である。
【図2】図1の従来技術に係る四重極レンズの斜視図である。
【図3】図2の四重極レンズの概略端面図である。
【図4】回転ずれを示す図1のリボンビームの断面図である。
【図5】回転ずれを生じたリボンビームの2次元プロファイルを示す、実際のリボンビームの断面図である。
【図6】本開示の実施形態に係るレンズを有するビームラインイオン注入機の平面図である。
【図7A】回転ずれを生じたリボンビームの断面図である。
【図7B】回転ずれがない理想的なリボンビームの断面図である。
【図8】本開示の実施形態に一致する模範的レンズにおける電流、磁場、および力の空間的配置を示す断面図である。
【図9】本開示の実施形態に一致するレンズの別の実施形態の図である。
【図10】図9に一致するレンズの図形的表示(graphical illustration)である。
【図11】図8および図9の実施形態のビームのシミュレーション結果を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して以下により詳細に記載する。しかし、本発明は、多様な形態で実施してよく、本明細書に記載する実施形態に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ徹底したものとなり、当業者に発明の範囲が十分に伝わるようにするべく提供されるものである。図面では、一貫して、同様の参照番号により同様の要素を表す。
【0013】
図6は、本発明の実施形態に係るレンズ607を備えるビームラインイオン注入機600の平面図である。図1に類似するイオン注入機600のその他の構成要素には、同様な符号を与えているので、繰り返しとなる記載は本明細書では省く。一般的に、レンズ607は、リボンビームの所望の平面に直交する力を提供して、意図せぬ回転ずれを改善させる。たとえば、図7Aは、意図せぬ回転ずれを受けた図5と類似のリボンビームの(ワークピース平面118における)断面図を示す。回転ずれにより、リボンビームの面pは、図示のX−Z平面に対して僅かに回転しており、図3に示すように四重極レンズの開口内に平面が規定される。このような回転ずれは、当該技術分野で知られている2次元ビームプロファイル装置(不図示)により検出することができる。一例では、レンズの上流に位置する角度付き遮蔽体(angled shield)は、リボンビームの全体を駆動されて、駆動されつつリボンビームの一部を遮断するビームセンサーのアレイを含む。センサーアレイからの信号を分析することにより、リボンビームの2次元プロファイルを取得することができる。次に、2次元プロファイル等の情報は、レンズ607等の四重極レンズを調整するための適切な信号を送ることができるイオン注入システムのプロセッサーおよび/またはコントローラーに送られる。以下にさらに記載するように、信号をレンズに接続された電源に送って、レンズの動作を制御する適切な電流が提供されるようにしてよい。
【0014】
図7Aの検出された回転ずれを修正するべく、レンズ607は、リボンビームの所望の平面、たとえば、図7Aの例におけるX−Z平面に直交する力(F1)および(F2)を提供するよう構成されている。力(F1)および(F2)により、本例では左にリボンビームは回転し、結果としてワークピース平面でのリボンビームは、理想的な配置に近づき、図7Bに示すように面pはX−Z平面に平行な配置となる。力(F1)および(F2)の方向を反対にして、逆の種類の回転ずれを修正するべくリボンビームが右に回転するようにしてもよい。図7Bの例では、リボンビームの長手寸法もしくは幅(W)は、X軸に沿っている。リボンビームの幅(W)の理想的位置は、任意の方向にあってよいことは当業者には理解されるであろう。たとえば、リボンビームの長手寸法はY軸に沿っていてよく、対応してレンズ607を、Y−Z平面に直交する力(F1)および(F2)を提供するように設置し直してよい。
【0015】
図6の実施形態では、レンズ607は、引き出し電極アセンブリ122からリボンビーム104の進行方向においてすぐ下流に設置されている。この位置では、レンズ607は、引き出し直後の意図せぬ回転ずれを修正して、リボンビームと下流にあるいずれかの構成要素との衝突を最小限にすることができる。または、レンズ607は、その他の事項を考慮して、ビームラインに沿ったその他の位置に設置してよい。
【0016】
図8aから8eを参照すると、レンズ607の一実施形態が示されており、先に詳述したレンズ124等の従来の四重極レンズが変更されて、同じく意図せぬ回転ずれを修正するようになっている。図8aから8eの図に示される領域は、全般的に、単一もしくは複数のコイルにより実施してよい電流フローの空間的分布を示す。したがって、部分808等の部分は、代替的に領域もしくはコイルと呼んでもよい。いずれにせよ、図8aから8eに示す部分は、レンズ間隙306近傍の領域だけを示し、コイル全体を示すのではないことに注意されたい。
【0017】
図8aから8eに示される図は、リボンビーム104の進行方向下流からの視点が提示されている点で図3と類似している。図示を明確にするべく、間隙306近傍の中央コイルの部分だけが示されている(バッキングコイルおよび対応する上方および下方の磁心部材は示されていない)。図8aは、図3で先に詳述したように、リボンビーム近傍の中央コイルの部分370および372における電流の方向を示す。対応する直交四重極磁場によって、図8bに示すようにリボンビーム104の左端および右端に外側方向の力を作用させる力(F3)および(F4)が生成される。本実施形態によると、レンズ607は、力F3およびF4が図3の従来のレンズ124により生成される力と同程度となる電流を伝達するよう構成してよい。
【0018】
さらに、本実施形態では、レンズ607は、リボンビームの回転ずれを打ち消す傾向のある電流を生成するよう構成されている。図8cは、リボンビーム近傍に位置するさらなる回転ずれ電流フローを示す。図(a)と類似して、左上方部808には紙面に向かう方向の電流フローが存在し、右上方部810には紙面から出る方向の電流フローが存在する。左下方部812には紙面から出る方向の電流フローが存在し、右下方部814には紙面に向かう方向の電流フローが存在する。図8cに示す電流フローの分布には、間隙306に、主軸を中心として45度回転した四重極磁場(本明細書では、「45度四重極場」もしくは「45度四重極磁場」とも呼ばれる)を生成する作用がある。図8dは、リボンビーム104が間隙306を通過するとき、45度四重極磁場の磁力線により生成される力(F5)および(F6)を示す。力F5およびF6は、リボンビーム104の所望のX−Z平面に直交し、リボンビームの左側が下方に回転し、右側が上方に回転した状態の回転ずれを修正するべく作用する。逆方向の回転ずれを修正するべく、力(F5)および(F6)の方向は、部分808、810、812、および814における電流フローの方向を制御することにより逆にしてよい。
【0019】
図8eは、図8aおよび8cの電流を重畳したものを示す。本発明によると、図8aおよび8cに示す電流は、1組のコイル巻線に存在しうる。発明の模範的実施形態では、45度四重極磁場の強度は約0.1ジオプター、つまり、約0.05ジオプターから約0.2ジオプターであり、直交四重極磁場の強度は約2ジオプター、つまり約1から4ジオプターである。リボンビームの回転修正に通常必要とされる強度は約0.1ジオプターであり、通常の直交四極子(orthogonal quadrupoles)の強度は約2ジオプターであるので、図8cおよび8dに示す場を生成するべくコイルで使用される電流の振幅は、通常、図8aおよび8bの電流を生成するコイルに使用される電流の振幅の約10%でしかない。したがって、図8aの電流レベルと比較して、図8eに示すように図8aおよび8cの電流を重畳することによって、図8aの電流から図8cの電流が有効に引かれることで、左上方部820および右下方部826に、紙面から出る方向に僅かに小さくなった電流が発生する。さらに、重畳によって図8aの電流に図8cの電流が有効に加わることで、右上方部822および左下方部824に、紙面から出る方向に僅かに大きくなった電流が発生する。
【0020】
したがって、レンズ607は、対角線上に対置された一方の組の部分822および824では、対角線上に対置された他方の組の部分820および826でよりも僅かに大きくなる正味電流を、レンズ間隙306の上方および下方の境界近傍に紙面から出る方向に発生させる1組のコイルにより実施してよい。一例では、図8eの電流の空間的構成は、部分370および372並びに808から814にそれぞれ対応する領域にそれぞれが配置された6つの別々のコイルにより生成してよい。本例では、図8aの比較的大きい方の直交四重極場を生成するコイル(部分370および372に対応)は、上方および下方の磁心に沿って、比較的小さい方の45度四重極場を生成するコイル(部分808から814に対応)と空間的に重なってよい。別の例では、図8eの電流の空間的構成は、部分808から814にそれぞれ対応する領域にそれぞれが配置された4つの別々のコイルにより生成してよい。
【0021】
したがって、図8eの発明の構成の特質は、レンズ間隙近傍のコイル領域での正味電流フローが、上方および下方の部材の全領域で同一方向であることである。これは、領域820から826が各領域内に単一のコイルを有するか、複数のコイルを有するかに拘らず、当てはまる。単一コイル領域である場合は、各コイルの電流は、図8eに示すように、レンズ間隙近傍において同一方向に流れる。ある領域、たとえば領域820が複数のコイルを有する場合は、複数のコイルは、図8aおよび8cに示すように反対の方向に流れる電流(領域もしくはコイル808を領域もしくはコイル370に比較のこと)を提供するよう構成してよい。正味電流は、一方のコイルにおける電流振幅が他方のコイルにおける電流振幅よりも大きいので生じる。さらに、図8eの実施形態によると、正味電流フローの方向は、反対し合う電流フローが存在する領域(たとえば、領域820)と、平行な電流フローが存在する領域(たとえば、領域822のコイル370および810を参照)とで同一である。
【0022】
本発明によると、イオン注入等のイオンビーム処理の間、2次元ビームプロファイル装置を用いて、左側への回転等の意図せぬ回転ずれを検知する。応答して、コントローラー(不図示)は、図8aおよび8cのコイルに電流を供給する電源を制御して、図8eに示すように2組の電流を所望の通りに重畳し、それにより力(F3)、(F4)、(F5)、および(F6)を正しい大きさおよび方向にして、力(F3)および(F4)を用いてリボンビームを拡大し、より重要なことには、意図せぬ回転ずれを力(F5)および(F6)を用いて修正する。力(F5)および(F6)の方向は、図8cの回転ずれ修正コイルの電流フローの方向を制御することにより制御してよい。力(F5)および(F6)の大きさは、部分370および372に対応する中央コイルに供給される電流の振幅の、部分808から814に対応する回転ずれ修正コイルの電流の振幅に対する比を制御することにより制御してよい。
【0023】
図9は、本発明の実施形態に一致するレンズ907の別の実施形態の端面図である。図8cから8eの急激な構成(abrupt configuration)とは対照的に、図9のコイル構成は、段階的な構成(graded configuration)を有する。本明細書で用いる「段階的な構成」という文言は、一般的に、磁心軸に平行な方向の単位長当たりのコイルの電流振幅が、磁心軸の長さに沿って変化するようなコイル(磁心に巻き付けられている)の構成をさす。段階的な構成の一例では、磁心軸に沿った方向の単位長当たりのコイルの巻線の量(巻線密度)が、磁心に沿った位置の関数として変化する。段階的な構成では、以下にさらに記載するように、単位長当たりの巻線の量は、右から左へ、または逆方向へ、単調に減少してよく、巻線はレンズの中心線を越えて延伸してよい。
【0024】
図8cを参照すると、レンズの垂直方向中心線833(およびビームの中心)における電流の急激な変化と比較して、コイルが段階的な構成を有する図9に示す発明の実施形態では、中心線920の左から右へと進む位置の関数として、より段階的な電流の変化が生成される。この段階的な電流変化は、レンズ電流を生成するべく使用されるコイルの様々な部分で、可変数の巻き(turns)を用いることで生成される。レンズ907の上方部材は、左上方コイル910および右上方コイル912を有し、レンズ907の下方部材は、左下方コイル914および右下方コイル916を有する。
【0025】
注目すべきことに、図9に概略的に示すように、コイル910から916のそれぞれは、レンズ907の中心線を越えている。たとえば、図9の視点からは、コイル910は、大部分は上方部材922の左側部分において磁心302の周りに配置されているが、上方部材の右側部分にも延伸している。しかし、薄い方の影付き領域(smaller shaded area)に示されるように、コイル910の巻き数は、左側部分910aに比べて右側部分910bで著しく少ない。コイル910の巻き数(つまり、方向Lに沿った単位長当たりの巻き数)は、図9に示唆されるように、左上方領域および右上方領域の両方で、右から左に減少してよい。図9にさらに示すように、コイル912は、コイル910と同様に、しかし逆方向に段階化してよい。言い換えると、コイル912も中心線920を越えているが、巻き数(単位長当たりの数)は、Lに沿って左から右に位置の関数として増加する。下方磁心304に配置されるコイル914および916は、コイル910および912と同様に段階化してよい。
【0026】
一実施形態では、バッキングコイル領域のフィンは取り除き、中央部分のフィン904は残してよい。余分なスペース(extra space)は、バッキングコイル(不図示)に、段階化された四重極コイルと同数の巻き(turns)を維持するべく用いてよい。別の実施形態では、図9に示すように、コイル910から916が配置される領域を、周知のレンズに比べて、たとえば、フィンの間隔を維持したまま中心から数えてフィンを6つ含む領域にまで長くしてよい(図3の従来のレンズ124のフィンが5つの構成を参照)。
【0027】
本発明によると、レンズ907によって、直交四重極場および45度四重極場の両方が別々に調整される。図9にさらに示すように、濃い巻線(dark windings)、つまりコイル912および914を1つの電源(Q1L)により駆動し、薄い巻線(light windings)、つまりコイル910および916を別の電源(Q1R)により駆動してよい。両方の電源を一緒に調整することにより、直交四極子(orthogonal quadrupole)の強度を調整することができる。両方の電源(Q1L)および(Q1R)により供給される電流の比を調整することにより、ビーム104の回転ずれが修正されるように45度四重極場を変化させることができる。
【0028】
図10は、直交四極子および回転四極子の重畳効果を生成することができる、図9と一致するレンズ1007の別の図示である。図10では、バッキングコイルの図示は省かれている。レンズ907と同様に、レンズ1007には、一連の段階化コイル1010、1012、1014、および1016が設けられており、レンズ1007の4分の1の領域にぞれぞれの大部分が配置されている。しかし、コイル910から916と同様に、コイル1010から1016のそれぞれの巻線は、中心線1020を越えている。左上方コイル1010および右下方コイル1016は、電源Q1Lにより動力を与えられ、右上方コイル1012および左下方コイル1014は電源Q1Rにより動力を与えられる。
【0029】
電源Q1Rでなく電源Q1Lにより供給される別の電流により動作する場合、レンズ1007は、リボンビーム104の所望の平面(たとえば、X−Z平面)に直角な力を誘導する45度四重極場を生成し、したがって、意図せぬ回転ずれを修正することができる。レンズ1007は、主に図8aから8eを参照して先に記載したように動作することによって、直交四重極場を生成するよう構成してもよい。したがって、一例では、コイル1010から1016のそれぞれは、イオンビーム近傍の領域で紙面から出る方向の電流を伝達してよく、コイル812および814に動力を与えるQ1Rからの電流は、Q1Lにより動力を与えられるコイル810および816により伝達される電流より僅かに大きい。
【0030】
段階化コイル構成によると、レンズ1007の左側と右側との間で電流密度が段階的に変化し、中心線1020で電流密度が急激に変化しない。これにより、以下に図11を参照して詳述するように、より線形なビーム変位挙動が得られる。
【0031】
本発明の四重極レンズの段階的な構成(図9および図10)および急激な構成(図8cから8e)の両方に共通する特性は、レンズ間隙近傍の電流密度(振幅)を、レンズ間隙において上方部分と下方部分との間に存在し、それらの軸に平行なレンズ中央平面M(図9参照)に関して非対称にすることができることである。たとえば、図8eのレンズの実施形態では、対向する上方部分820と下方部分824との間と、上方部分822と下方部分826との間とに、電流の正味の差が存在する。方向L1に沿った水平位置(lateral positions)P1およびP2では、電流密度は上方部分820より下方部分824で高く、水平位置P3およびP4では、電流密度は上方部分822より下方部分826で低い。方向L1に沿った異なる位置において上方部分と下方部分との間で電流密度に正味の差があることで、イオンビーム104の平面に対して直角の力、たとえばF5およびF6を生成する回転した四重極場の形成が可能になり、これによって通過するビーム104が回転し、回転ずれを修正することが可能になる。
【0032】
さらに、本発明は、回転した四重極場が対称に生成されるようにする手段を提供する。上記の上方−下方非対称に加えて、本発明の実施形態は、電流の対角線上対称(つまり、主にイオンビームの主軸を中心とした180度回転対称)を提供して、均一に分布した回転場を生成する。特に、対角線上に対置された2対のコイル(たとえば、コイル対808および814並びに810および812を参照)のそれぞれには共通の電源から電流を供給してよい。さらに、各コイルを同様に設計してよい。したがって、共通の電源により動力を与えられる場合、第1の対角線上対の第1のコイルの電流分布は、同対の他方のコイルの電流分布に整合される。同じく、第2の対角線上対の第1のコイルの電流分布は、同対の他方のコイルの電流分布に整合される。これによって、四重極レンズの上方部材に沿って左から右の電流分布が、四重極レンズの下方部材に沿って右から左の電流分布に整合されるよう促され、対称的に回転した四重極場が生成される。したがって、対称的に回転した四重極場からの力が通過するイオンビーム104に作用し、ビームの形状がその幅にわたって一次に維持される均一な回転が生成される。
【0033】
図11は、図8の実施形態を図9に比較したシミュレーション結果を示すチャートである。四角形1102は、レンズの右側部分と左側部分との間で電流密度に急激な段階を有する図8の設計の結果を示し、点1104は、図9に示すように、リボンビームの幅にわたって右側部分と左側部分との間で、Q1Rの巻き数が上方に直線的に変化する一方で、電源Q1Lの巻き数が下方に直線的に変化する図9の段階的コイルの実施形態の出力を示す。両方の実施形態とも回転ずれ修正に効果的であるが、点1104のプロットは、段階的コイルの実施形態からは、比較的より線形な変位挙動が得られることを示している。
【0034】
したがって、リボンビームの上下で逆方向に電流成分が進行するレンズ構成が提供され、リボンビームの所望の平面に対して直角の力の形成が可能になる。上方で左から右にかけての、同じく下方で右から左にかけての全電流密度を変化させることによって、リボンビームは、端部は意図せぬ回転ずれに所望の修正を加えるべく回転するが、その平均的方向は変化しない。さらに、単一のレンズ要素内に2つの独立的に調整可能な四極子が設けられている。つまり、結果として得られる四極子の主角度を制御するための電気的手段が、合計すると結果として得られる四極子になる2つの独立的に調整可能な四極子を設けることにより提供され、主角度は2つの独立的に調整可能な四極子の比にしたがって変化する。さらに、リボンビームに対する修正の線形性が、レンズの並んだコイルの水平位置の関数として巻き数を調整することにより最適化されるようにする設計が提供されている。意図せぬ回転ずれの修正は、ビームラインにおける開口および部材に対するリボンビームの配置を容易にするための調整手順(tuning procedure)時に行ってよい。垂直方向注入角度がウェハ幅にわたって不均一になることも減らすことが可能である。
【0035】
本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲を限定されない。事実、本明細書に記載したものに加えて、本開示のその他の多様な実施形態および本開示に対する変更が、当業者には上記の記載および添付の図面から明らかになるであろう。したがって、そのようなその他の実施形態および変更は、本開示の範囲に包含されることが意図されている。さらに、本開示は、本明細書において、特定の目的に対する特定の環境における特定の実施形態を背景として記載されているが、その有用性は、それに限られず、本開示は、任意の数の目的に対する任意の数の環境で有益に実施されうることは当業者には理解されるであろう。したがって、以下に提示する特許請求の範囲は、本明細書に記載された本開示の全範囲および趣旨にかんがみて解釈されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸を有するイオンビームを操作する四重極レンズであって、
自身の異なる領域に主に配置され、互いに独立して第1の電流および第2の電流をそれぞれ伝達するべく構成された第1のコイルおよび第2のコイルを有する上方部材と、
主に前記第1のコイルおよび前記第2のコイルに対向して配置され、互いに独立して第3の電流および第4の電流をそれぞれ伝達するべく構成された第3のコイルおよび第4のコイルを有する下方部材と、
前記上方部材と前記下方部材との間に規定され、前記イオンビームを伝達するよう構成されたレンズ間隙と
を備え、
前記第1の電流から前記第4の電流は、前記イオンビームにその主軸を中心とする回転力を働かせる45度四重極場を生成する四重極レンズ。
【請求項2】
前記第1のコイルから前記第4のコイルのそれぞれにおける前記レンズ間隙近傍の電流は、前記主軸に対して共通の方向に進行する請求項1に記載の四重極レンズ。
【請求項3】
前記上方部材は、第1の半分および第2の半分を有し、前記下方部材は、第1の半分および第2の半分を有し、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、前記上方部材の前記第1の半分および前記第2の半分の周囲だけにそれぞれ配置され、前記第3のコイルおよび前記第4のコイルは、前記下方部材の前記第1の半分および前記第2の半分の周囲だけにそれぞれ配置される請求項2に記載の四重極レンズ。
【請求項4】
前記第1のコイルに前記第2のコイルとは異なる電流振幅で動力が与えられ、前記第3のコイルに前記第4のコイルとは異なる電流振幅で動力が与えられると、前記上方部材および前記下方部材のそれぞれの前記第1の半分と前記第2の半分との間で電流振幅に急激な変化が生じる請求項3に記載の四重極レンズ。
【請求項5】
前記第1のコイルから前記第4のコイルのそれぞれは、前記第1のコイルに前記第2のコイルとは異なる電流振幅で動力が与えられ、前記第3のコイルに前記第4のコイルとは異なる電流振幅で動力が与えられると、前記上方部材および前記下方部材のそれぞれの各領域間で電流振幅に段階的な変化が生じるよう段階的な構成に配置される請求項2に記載の四重極レンズ。
【請求項6】
前記第1の電流および前記第4の電流は同じであり、前記第2の電流および前記第3の電流は同じである請求項1に記載の四重極レンズ。
【請求項7】
前記第1のコイルから前記第4のコイルは、前記イオンビームの進行方向に直交する方向において外側に向かう力を働かせる四重極場を生成するよう相互動作可能である請求項1に記載の四重極レンズ。
【請求項8】
前記第1のコイルから前記第4のコイルに動力が与えられると、前記四重極レンズは、前記レンズ間隙に存在し、前記上方部材および前記下方部材に平行なレンズ中央平面に関して非対称な電流フローを前記第1のコイルから前記第4のコイルに生成する請求項1に記載の四重極レンズ。
【請求項9】
前記第1の電流から前記第4の電流は、イオン注入システムのコントローラーからの制御信号に応答して変化し、前記回転力の方向および前記回転力の量のうち1つ以上を変更する請求項6に記載の四重極レンズ。
【請求項10】
イオン注入機においてイオンビームの回転を制御するシステムであって、
主軸および前記主軸に垂直な平面軸(planar axis)を有する前記イオンビームのビームプロファイルを測定する検出器と、
前記検出器からビームプロファイル情報を受信し、第1の出力電流および第2の出力電流を制御する制御信号を送信するコントローラーと、
四重極レンズと
を備え、
前記四重極レンズは、
自身の第1の領域および第2の領域に主に配置され、互いに独立して第1の電流および第2の電流をそれぞれ伝達するよう構成された第1のコイルおよび第2のコイルを含む上方部材と、
前記上方部材の前記第1のコイルおよび前記第2のコイルに対向する第3の領域および第4の領域に主に配置され、互いに独立して第3の電流および第4の電流をそれぞれ伝達するよう構成された第3のコイルおよび第4のコイルを含む下方部材と、
前記第1の出力電流および前記第2の出力電流によって決まる角度を有する四重極場が生成されるように前記イオンビームを伝達するよう構成された、前記上方部材と前記下方部材との間に規定されたレンズ間隙と
を有するシステム。
【請求項11】
前記レンズ間隙近傍の前記第1の領域から前記第4の領域には、関連する正味電流が、前記主軸に対して共通の方向に流れ、前記システムは、前記第2の領域および前記第3の領域の正味電流に対する前記第1の領域および前記第4の領域の正味電流の比が、前記制御信号にしたがって変化するよう前記第1の出力電流および前記第2の出力電流を独立して変化させるよう構成されている請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記四重極レンズは、
上方軸に沿って配置された上方中央コイルと
下方軸に沿って配置された下方中央コイルと
をさらに有し、
前記上方中央コイルおよび前記下方中央コイルは、前記レンズ間隙近傍で共通の方向に進行する電流を生成して直交四重極場を生成するよう構成され、可変の四重極場の角度は、前記第1のコイルから前記第4のコイルにおける電流の振幅に対する前記上方中央コイルおよび前記下方中央コイルにおける電流の振幅の比により制御される請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のコイルおよび前記第4のコイルは、前記レンズ間隙近傍の前記第1のコイルおよび前記第4のコイルの領域の電流が第1の方向に従うように第1の共通電流を受け取るよう構成され、前記第2のコイルおよび前記第3のコイルは、前記レンズ間隙近傍の前記第2のコイルおよび前記第3のコイルの領域の電流が前記第1の方向とは逆の第2の方向に従うよう第2の共通電流を受け取るよう構成され、前記イオンビームの前記主軸の回転方向は、前記第1の共通電流および前記第2の共通電流の方向を切り替えることにより反転可能である請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記レンズ間隙近傍の前記第1のコイルから前記第4のコイルの領域の電流が前記主軸に対して第1の方向に従うように、前記第1のコイルおよび前記第4のコイルは第1の共通電流を受け取るよう構成され、前記第3のコイルおよび前記第4のコイルは第2の共通電流を受け取るように構成される請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の共通電流が前記第2の共通電流より大きい場合、可変の四重極場は、前記イオンビームをその主軸を中心として第1の方向に回転させるよう作用する請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の共通電流が前記第2の共通電流より小さい場合、前記可変の四重極場は、前記イオンビームを、前記第1の方向とは逆の第2の方向に回転させるよう作用する請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記上方部材は第1の半分および第2の半分を有し、前記下方部材は第1の半分および第2の半分を有し、前記第1の出力電流が前記第2の出力電流とは振幅が異なる場合、前記上方部材および前記下方部材のそれぞれの前記第1の半分と前記第2の半分との間で正味電流の振幅に急激な変化が生じるよう、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、前記上方部材の前記第1の半分および前記第2の半分だけにそれぞれ配置され、前記第3のコイルおよび前記第4のコイルは、前記下方部材の前記第1の半分および前記第2の半分だけにそれぞれ配置される請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のコイルから前記第4のコイルのそれぞれは、段階的構成に配置される請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の出力電流が前記第2の出力電流とは振幅が異なる場合、前記上方部材および前記下方部材のそれぞれの各領域間で電流振幅に段階的な変化が生じる請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記四重極場は、直交四重極場および45度四重極場を含み、前記直交四重極場の大きさは、前記第1の出力電流および前記第2の出力電流を同時に増加または減少させることにより変更され、前記45度四重極場の大きさは、前記第1の出力電流および前記第2の出力電流の比を変化させることにより変更される請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
イオン注入システムにおいて四重極レンズを使用してイオンビームを制御する方法であって、
所望の平面に対して第1の方向の、前記イオンビームの、その主軸を中心とした回転を検出する段階と、
前記第1の方向とは逆の第2の方向に前記イオンビームを回転させる、前記所望の平面に直交する一組の力を生成する段階と
を備える方法。
【請求項22】
前記四重極レンズは、対角線上で対にされた第1の組のコイルおよび第2の組のコイルを含み、前記コイルはそれぞれ、前記四重極レンズのレンズ間隙近傍で、前記主軸に対して同一の方向に電流を供給するよう構成される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記四重極レンズは、第1の上方領域および第2の上方領域を含む上方部材と、第1の下方領域および第2の下方領域を含む下方部材とを有し、対角線上で対にされた前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルは、前記第1の組に前記第2の組に動力を与える電流とは異なる振幅を有する電流で動力が与えられると、前記上方部材の前記第1の上方領域と前記第2の上方領域との間および前記下方部材の前記第1の下方領域と前記第2の下方領域との間で電流振幅に段階的な変化が生じるよう、段階的な構成を有する請求項22に記載の方法。
【請求項1】
主軸を有するイオンビームを操作する四重極レンズであって、
自身の異なる領域に主に配置され、互いに独立して第1の電流および第2の電流をそれぞれ伝達するべく構成された第1のコイルおよび第2のコイルを有する上方部材と、
主に前記第1のコイルおよび前記第2のコイルに対向して配置され、互いに独立して第3の電流および第4の電流をそれぞれ伝達するべく構成された第3のコイルおよび第4のコイルを有する下方部材と、
前記上方部材と前記下方部材との間に規定され、前記イオンビームを伝達するよう構成されたレンズ間隙と
を備え、
前記第1の電流から前記第4の電流は、前記イオンビームにその主軸を中心とする回転力を働かせる45度四重極場を生成する四重極レンズ。
【請求項2】
前記第1のコイルから前記第4のコイルのそれぞれにおける前記レンズ間隙近傍の電流は、前記主軸に対して共通の方向に進行する請求項1に記載の四重極レンズ。
【請求項3】
前記上方部材は、第1の半分および第2の半分を有し、前記下方部材は、第1の半分および第2の半分を有し、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、前記上方部材の前記第1の半分および前記第2の半分の周囲だけにそれぞれ配置され、前記第3のコイルおよび前記第4のコイルは、前記下方部材の前記第1の半分および前記第2の半分の周囲だけにそれぞれ配置される請求項2に記載の四重極レンズ。
【請求項4】
前記第1のコイルに前記第2のコイルとは異なる電流振幅で動力が与えられ、前記第3のコイルに前記第4のコイルとは異なる電流振幅で動力が与えられると、前記上方部材および前記下方部材のそれぞれの前記第1の半分と前記第2の半分との間で電流振幅に急激な変化が生じる請求項3に記載の四重極レンズ。
【請求項5】
前記第1のコイルから前記第4のコイルのそれぞれは、前記第1のコイルに前記第2のコイルとは異なる電流振幅で動力が与えられ、前記第3のコイルに前記第4のコイルとは異なる電流振幅で動力が与えられると、前記上方部材および前記下方部材のそれぞれの各領域間で電流振幅に段階的な変化が生じるよう段階的な構成に配置される請求項2に記載の四重極レンズ。
【請求項6】
前記第1の電流および前記第4の電流は同じであり、前記第2の電流および前記第3の電流は同じである請求項1に記載の四重極レンズ。
【請求項7】
前記第1のコイルから前記第4のコイルは、前記イオンビームの進行方向に直交する方向において外側に向かう力を働かせる四重極場を生成するよう相互動作可能である請求項1に記載の四重極レンズ。
【請求項8】
前記第1のコイルから前記第4のコイルに動力が与えられると、前記四重極レンズは、前記レンズ間隙に存在し、前記上方部材および前記下方部材に平行なレンズ中央平面に関して非対称な電流フローを前記第1のコイルから前記第4のコイルに生成する請求項1に記載の四重極レンズ。
【請求項9】
前記第1の電流から前記第4の電流は、イオン注入システムのコントローラーからの制御信号に応答して変化し、前記回転力の方向および前記回転力の量のうち1つ以上を変更する請求項6に記載の四重極レンズ。
【請求項10】
イオン注入機においてイオンビームの回転を制御するシステムであって、
主軸および前記主軸に垂直な平面軸(planar axis)を有する前記イオンビームのビームプロファイルを測定する検出器と、
前記検出器からビームプロファイル情報を受信し、第1の出力電流および第2の出力電流を制御する制御信号を送信するコントローラーと、
四重極レンズと
を備え、
前記四重極レンズは、
自身の第1の領域および第2の領域に主に配置され、互いに独立して第1の電流および第2の電流をそれぞれ伝達するよう構成された第1のコイルおよび第2のコイルを含む上方部材と、
前記上方部材の前記第1のコイルおよび前記第2のコイルに対向する第3の領域および第4の領域に主に配置され、互いに独立して第3の電流および第4の電流をそれぞれ伝達するよう構成された第3のコイルおよび第4のコイルを含む下方部材と、
前記第1の出力電流および前記第2の出力電流によって決まる角度を有する四重極場が生成されるように前記イオンビームを伝達するよう構成された、前記上方部材と前記下方部材との間に規定されたレンズ間隙と
を有するシステム。
【請求項11】
前記レンズ間隙近傍の前記第1の領域から前記第4の領域には、関連する正味電流が、前記主軸に対して共通の方向に流れ、前記システムは、前記第2の領域および前記第3の領域の正味電流に対する前記第1の領域および前記第4の領域の正味電流の比が、前記制御信号にしたがって変化するよう前記第1の出力電流および前記第2の出力電流を独立して変化させるよう構成されている請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記四重極レンズは、
上方軸に沿って配置された上方中央コイルと
下方軸に沿って配置された下方中央コイルと
をさらに有し、
前記上方中央コイルおよび前記下方中央コイルは、前記レンズ間隙近傍で共通の方向に進行する電流を生成して直交四重極場を生成するよう構成され、可変の四重極場の角度は、前記第1のコイルから前記第4のコイルにおける電流の振幅に対する前記上方中央コイルおよび前記下方中央コイルにおける電流の振幅の比により制御される請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のコイルおよび前記第4のコイルは、前記レンズ間隙近傍の前記第1のコイルおよび前記第4のコイルの領域の電流が第1の方向に従うように第1の共通電流を受け取るよう構成され、前記第2のコイルおよび前記第3のコイルは、前記レンズ間隙近傍の前記第2のコイルおよび前記第3のコイルの領域の電流が前記第1の方向とは逆の第2の方向に従うよう第2の共通電流を受け取るよう構成され、前記イオンビームの前記主軸の回転方向は、前記第1の共通電流および前記第2の共通電流の方向を切り替えることにより反転可能である請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記レンズ間隙近傍の前記第1のコイルから前記第4のコイルの領域の電流が前記主軸に対して第1の方向に従うように、前記第1のコイルおよび前記第4のコイルは第1の共通電流を受け取るよう構成され、前記第3のコイルおよび前記第4のコイルは第2の共通電流を受け取るように構成される請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の共通電流が前記第2の共通電流より大きい場合、可変の四重極場は、前記イオンビームをその主軸を中心として第1の方向に回転させるよう作用する請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の共通電流が前記第2の共通電流より小さい場合、前記可変の四重極場は、前記イオンビームを、前記第1の方向とは逆の第2の方向に回転させるよう作用する請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記上方部材は第1の半分および第2の半分を有し、前記下方部材は第1の半分および第2の半分を有し、前記第1の出力電流が前記第2の出力電流とは振幅が異なる場合、前記上方部材および前記下方部材のそれぞれの前記第1の半分と前記第2の半分との間で正味電流の振幅に急激な変化が生じるよう、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、前記上方部材の前記第1の半分および前記第2の半分だけにそれぞれ配置され、前記第3のコイルおよび前記第4のコイルは、前記下方部材の前記第1の半分および前記第2の半分だけにそれぞれ配置される請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のコイルから前記第4のコイルのそれぞれは、段階的構成に配置される請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の出力電流が前記第2の出力電流とは振幅が異なる場合、前記上方部材および前記下方部材のそれぞれの各領域間で電流振幅に段階的な変化が生じる請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記四重極場は、直交四重極場および45度四重極場を含み、前記直交四重極場の大きさは、前記第1の出力電流および前記第2の出力電流を同時に増加または減少させることにより変更され、前記45度四重極場の大きさは、前記第1の出力電流および前記第2の出力電流の比を変化させることにより変更される請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
イオン注入システムにおいて四重極レンズを使用してイオンビームを制御する方法であって、
所望の平面に対して第1の方向の、前記イオンビームの、その主軸を中心とした回転を検出する段階と、
前記第1の方向とは逆の第2の方向に前記イオンビームを回転させる、前記所望の平面に直交する一組の力を生成する段階と
を備える方法。
【請求項22】
前記四重極レンズは、対角線上で対にされた第1の組のコイルおよび第2の組のコイルを含み、前記コイルはそれぞれ、前記四重極レンズのレンズ間隙近傍で、前記主軸に対して同一の方向に電流を供給するよう構成される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記四重極レンズは、第1の上方領域および第2の上方領域を含む上方部材と、第1の下方領域および第2の下方領域を含む下方部材とを有し、対角線上で対にされた前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルは、前記第1の組に前記第2の組に動力を与える電流とは異なる振幅を有する電流で動力が与えられると、前記上方部材の前記第1の上方領域と前記第2の上方領域との間および前記下方部材の前記第1の下方領域と前記第2の下方領域との間で電流振幅に段階的な変化が生じるよう、段階的な構成を有する請求項22に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−511131(P2013−511131A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539019(P2012−539019)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/056531
【国際公開番号】WO2011/060258
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/056531
【国際公開番号】WO2011/060258
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]