説明

イオン導電性エラストマーブレンドおよびその製造方法、ならびに該イオン導電性エラストマーブレンドを用いた導電性ローラ

【課題】たとえば電子写真装置等の画像形成装置に用いられた場合の電気的な均一性および安定性に優れるとともに、導電性能の使用環境による変動を低減することが可能なイオン導電性エラストマーブレンドおよびその製造方法、ならびに該イオン導電性エラストマーブレンドを用いた導電性ローラを提供する。
【解決手段】ポリアルキレンオキサイドとベースポリマーとを含有し、アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含有する混合物において該アルキレンオキサイド成分を重合させることにより得られるイオン導電性エラストマーブレンドである。該混合物は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくともいずれかをさらに含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電子写真方式による複写機やFAX、プリンター等、各種の画像形成装置の導電性ローラに対して好適に使用されるイオン導電性エラストマーブレンドおよびその製造方法、ならびに該イオン導電性エラストマーブレンドを用いた導電性ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真装置等の画像形成装置の導電性ローラに使用されるゴム材料においては、カーボンブラックを含有させることにより導電性を得るという手法が用いられてきた。しかしこの手法では、カーボンブラックをポリマー中に均一に分散させることは非常に困難であり、また配合量のわずかな差により抵抗値が大きく変わってしまうことから、製造安定性に欠けるという問題がある。またこの手法では、低電圧と高電圧とを印加したときの抵抗値差(すなわち電圧依存性)が大きい等の欠点もある。よって、カーボンブラックに依存しない新しいメカニズムを有する導電性ゴム組成物の開発が望まれている。
【0003】
たとえば、ポリエチレンオキサイド(PEO)等のイオン導電体をゴム材料にブレンドする新しい導電材料技術の開発が近年行なわれている。このようなイオン導電体タイプの材料は、イオン性物質が均一に分散し易く、抵抗値の安定性に優れ、かつ電圧依存性がほとんどないという利点を有する。
【0004】
特許文献1には、ポリオレフィンからなる主鎖に、1または2以上のアルキレンオキサイド単位を有する側鎖が複数本グラフトしたポリマーと、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属に属する少なくとも1種の金属またはその塩とを導電性付与剤として含有することを特徴とするゴム組成物が提案されている。
【0005】
特許文献2には、エチレンオキサイド単位70〜99モル%およびエチレンオキサイド以外のオキシラン単量体単位1〜30モル%を含有し、かつ架橋性オキシラン単量体単位が15モル%以下であり、ムーニー粘度20〜200のポリエーテル系重合体(A)25〜95重量%および不飽和ゴム(B)5〜75重量%を含有するゴム組成物が提案されている。
【0006】
特許文献3には、ポリエーテル結合を有するゴムを含むイオン導電性のゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対してワックスを0.1〜5質量部配合していることを特徴とする半導電性ゴム部材が提案されている。
【0007】
特許文献4には、導電性軸体の外周上に少なくとも1層以上の弾性層を有する導電性ローラにおいて、該弾性層がエピクロルヒドリン系ゴムと重量平均分子量(Mw)が3000〜10000であるポリエーテルポリオールとを含有するゴム組成物からなることを特徴とする導電性ローラが提案されている。
【0008】
しかし、ポリエチレンオキサイド系等、ポリアルキレンオキサイド系の電解質は一般的に非常に高い吸湿性を有し、該電解質を用いたゴム材料の導電性能は使用環境によって大きく左右されるという問題がある。
【特許文献1】特開平11−49898号公報
【特許文献2】特開2001−139795号公報
【特許文献3】特開2005−225969号公報
【特許文献4】特開2006−39394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の課題を解決し、たとえば電子写真装置等の画像形成装置に用いられた場合の電気的な均一性および安定性に優れるとともに、導電性能の使用環境による変動を低減することが可能なイオン導電性エラストマーブレンドおよびその製造方法、ならびに該イオン導電性エラストマーブレンドを用いた導電性ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるイオン導電性エラストマーブレンドは、ポリアルキレンオキサイドとベースポリマーとを含有し、アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含有する混合物において該アルキレンオキサイド成分を重合させることにより得られる。
【0011】
本発明においては、上記の混合物において、アルキレンオキサイド成分の含有量(A)とベースポリマーの含有量(B)との和に占めるアルキレンオキサイド成分の含有量(A)の割合A/(A+B)×100(%)が、1〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
【0012】
本発明においては、上記の混合物がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくともいずれかからなる電解質塩をさらに含有することが好ましい。
【0013】
本発明においては、上記の混合物において、アルキレンオキサイド成分に含まれるエーテル酸素数に対する電解質塩に含まれるカチオン数の割合が、1〜30%の範囲内であることが好ましい。
【0014】
本発明においては、上記の混合物において、アルキレンオキサイド成分の含有量(A)とベースポリマーの含有量(B)と電解質塩の含有量(C)との和に占める、アルキレンオキサイド成分の含有量(A)と電解質塩の含有量(C)との和の割合(A+C)/(A+B+C)×100(%)が、1〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
【0015】
本発明のイオン導電性エラストマーブレンドにおいては、アルキレンオキサイド成分が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体から選択される少なくともいずれかであることが好ましい。
【0016】
本発明によるイオン導電性エラストマーブレンドの製造方法は、上述のいずれかのイオン導電性エラストマーブレンドを得るための製造方法であって、アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含有する混合物を調製する混合物調製工程と、アルキレンオキサイド成分を該混合物において重合させる重合工程と、を含む。
【0017】
本発明による画像形成装置用の導電性ローラは、上述のいずれかのイオン導電性エラストマーブレンドをゴム部分に用いたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明が提供するイオン導電性エラストマーブレンドおよびこれを用いた導電性ローラは、たとえば電子写真方式による複写機やFAX、プリンター等の各種の画像形成装置の導電性ローラに対して使用された場合の電気的な均一性および安定性に優れるとともに、導電性能の使用環境による変動を低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のイオン導電性エラストマーブレンドは、典型的には画像形成装置用の導電性ローラに対して用いられ、ポリアルキレンオキサイドとベースポリマーとを含有し、アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含有する混合物において該アルキレンオキサイド型成分を重合させることにより得られる。本明細書における「アルキレンオキサイド成分」「ポリアルキレンオキサイド」には、特記しない限り分子中にアルキレンオキサイド単位を有する化合物全般が包含される。
【0020】
本発明のイオン導電性エラストマーブレンドは、アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含む混合物の状態で該アルキレンオキサイド成分を重合させて得られるため、アルキレンオキサイド成分が重合することで生成するポリアルキレンオキサイドとベースポリマーとの相溶性が、たとえばポリアルキレンオキサイドとベースポリマーとを混合した場合と比べて顕著に良好である。すなわち、本発明においては、イオン導電性を有するポリアルキレンオキサイドをイオン導電性エラストマーブレンド中に均一かつ微細に分散させることができるため、ポリアルキレンオキサイドのブリードアウトや吸湿を抑制して、イオン導電性エラストマーブレンドの電気的な均一性および安定性を良好に維持し、かつ導電性能の使用環境による変動を低減することができる。
【0021】
<アルキレンオキサイド成分>
アルキレンオキサイド成分は、アルキレンオキサイド単位のみからなる化合物であっても良いが、誘導体のような、他の構造を含むものであっても良い。
【0022】
アルキレンオキサイド成分の好ましい具体例としては、たとえば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体、エポキシ(イソ)ブタン、エポキシへキサン、エポキシヘプタン、エポキシノナン、エポキシオクタン、エポキシデカン等を例示できる。これらは、イオン伝導性と吸湿性の抑制とのバランスに優れる点で好ましい。
【0023】
誘導体としては、重合性、特にラジカル重合性を有するものが好ましい。より具体的には、ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルやポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールの、モノ(ジ)アルキルエーテル、グリセリルエーテル、アリルエーテル、等のエーテル類、ポリアルキレングリコールのアルキルアミン、ポリアルキレングリコールのモノ(ジ)グリシジルエーテル(すなわちエポキシ基を有するもの)等が好ましい。
【0024】
ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、ポリオキシアルキレングリコールモノアクリレート、ポリオキシアルキレングリコールジアクリレート、ポリオキシアルキレングリコールモノメタクリレート、ポリオキシアルキレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらの化合物は1種でも2種以上の組合せでも使用できる。
【0025】
中でも、イオン導電性が特に良好である点で、アルキレンオキサイド成分はエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体であることが好ましく、特に、ポリ(メタ)アクリル酸エステルとされたエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体であることが好ましい。
【0026】
アルキレンオキサイド成分におけるアルキレンオキシ単位の繰返し数は、3以上であることが好ましい。該繰返し数が3以上である場合、カチオンを良好に解離および溶媒和させることができ、イオン導電性が良好に発現する。また、アルキレンオキシ単位の繰返し数は、たとえば20以下とされることができ、この場合アルキレンオキサイド成分の結晶化が抑制されるという利点が得られる。
【0027】
アルキレンオキサイド成分が、たとえば共重合により2種以上のアルキレンオキサイド単位を有する場合には、該2種以上のアルキレンオキサイド単位の繰返し数の合計が上記の範囲内であることが好ましい。
【0028】
なお、アルキレンオキサイド成分における、上記の繰返し数を含む分子構造の同定は、たとえばNMR(核磁気共鳴装置)を用いて行なうことができる。
【0029】
<ベースポリマー>
ベースポリマーとしては、たとえば、エピクロロヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム、ポリエステルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム等から選択される1種または2種以上を使用できる。中でも、エピクロロヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴムは、これら自身がイオン導電性を有するため、アルキレンオキサイド成分との相溶性が特に良好であり、アルキレンオキサイド成分のブリードアウトを良好に防止できる点で特に好ましい。
【0030】
<アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩>
本発明においては、混合物がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくともいずれかからなる電解質塩をさらに含有することが好ましい。アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(陽イオン)と、該カチオンと解離可能なアニオン(陰イオン)と、で構成される。混合物がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくともいずれかからなる電解質塩をさらに含有する場合、電気的な均一性および安定性ならびに導電性能の使用環境による変動の低減効果を良好に付与できることに加えて、イオン導電性エラストマーブレンドのイオン導電性をさらに向上させることができる。
【0031】
カチオンとしては、たとえば、リチウムイオン(Li+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、マグネシウムイオン(Mg+)、カルシウムイオン(Ca+)等を例示できる。また、アニオンとしては、ClO4-、SCN-、CF3SO3-、(CF3SO22-、(CF3SO33-、BF4-、F-、Cl-、Br-、I-等を例示できる。
【0032】
上記のカチオンの1種以上と、上記のアニオンの1種以上とを組合せることにより、本発明で好ましく用いられるアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を形成できる。
【0033】
中でも、アルキレンオキサイド成分との親和性に優れ、イオン導電性が高く、かつ化学的に安定であり、水に溶解し難く吸湿性が低い(すなわち低潮解性である)という点で、過ハロゲン酸塩は特に好ましい。過ハロゲン酸塩としては、Li+、Na+、K+から選択される少なくともいずれかのカチオンと、ClO4-、BrO4-、IO4-から選択される少なくともいずれかのアニオンとの塩が好ましく例示できる。
【0034】
<アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含む混合物>
本発明においては、上記の混合物において、アルキレンオキサイド成分の含有量(A)とベースポリマーの含有量(B)との和に占めるアルキレンオキサイド成分の含有量(A)の割合A/(A+B)×100(%)が、1〜60質量%の範囲内であることが好ましい。該割合が1質量%以上である場合、イオン導電性エラストマーブレンドのイオン導電性が特に良好であり、60質量%以下である場合、アルキレンオキサイド成分による吸湿が抑えられ、導電性能の使用環境による変動の低減効果が特に顕著であり、また良好な物理的強度を維持できる。なお該割合は、55質量%以下、さらに50質量%以下がより好ましい。
【0035】
本発明において、混合物がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくともいずれかからなる電解質塩を含有する場合、該混合物において、アルキレンオキサイド成分に含まれるエーテル酸素数に対する電解質塩に含まれるカチオン数の割合が、1〜30%の範囲内であることが好ましい。該割合が1%以上である場合、特に良好なイオン導電性が付与され、30%以下である場合、アルキレンオキサイド成分による吸湿が抑えられ、導電性能の使用環境による変動の低減効果が特に顕著である。
【0036】
本発明においては、上記の混合物において、アルキレンオキサイド成分の含有量(A)とベースポリマーの含有量(B)と電解質塩の含有量(C)との和に占める、アルキレンオキサイド成分の含有量(A)と電解質塩の含有量(C)との和の割合(A+C)/(A+B+C)×100(%)が、1〜60質量%の範囲内であることが好ましい。該割合が1質量%以上である場合、イオン導電性エラストマーブレンドのイオン導電性が特に良好であり、60質量%以下である場合、良好な物理的強度を維持できる。なお該割合は、55質量%以下、さらに50質量%以下がより好ましい。
【0037】
<イオン導電性エラストマーブレンドが含有し得る他の成分>
本発明のイオン導電性エラストマーブレンドは、上記した以外に、たとえば、加硫剤、加硫促進剤、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、補強剤等の、公知のゴム配合剤を必要に応じて含有し得る。本発明においては、上記の配合剤を上述の混合物にあらかじめ添加してからアルキレンオキサイド成分を重合させても良いし、混合物中のアルキレンオキサイド成分を重合させた後に上記の配合剤を添加しても良い。
【0038】
加硫剤としては、たとえば、硫黄、テトラアルキルチラウム−ジサルファイド、モルホリン−ジサルファイド、アルキル−フェノール−ジサルファイド等の硫黄および硫黄系有機化合物、酸化マグネシウム等の金属化合物、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、n−ブチル,4,4−ジ(t−メチルパーオキシ)バレレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジクミルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシンー3等のジアルキルパーオキサイド類、ジ(3−t−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(4−t−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物、等があるが、安価で容易に入手でき、かつ加硫作用も十分に大きく、ゴム表面の耐摩耗性が優れる点で、硫黄または硫黄系有機化合物が好ましい。これらの加硫剤は単独で用いても2種類以上組み合わせても良い。
【0039】
加硫促進剤としては、一般的に用いられる加硫促進剤を適宜配合でき、たとえば、ジベンゾチアゾイルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール(D)、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(MZ)等のチアゾール類、ジイソプロピルスルフェンアミド類(DIBS)、シクロヘキシルスルフェンアミド(CZ)等のスルフェンアミド類、テトラメチルチラウムジサルファイド(TT)、テトラエチルチラウム−ジサルファイド(TET)、ジペンタメチレンチラウム−テトラサルファイド(TRA)等のチラウム類、ジメチルジチオカーバメート亜鉛塩(PZ)、ジエチルジチオカーバメート亜鉛塩(EZ)等のジチオ酸塩、その他グアニジン類、チオウレア類、アルデヒドアンモニア塩、ザンテート類などがある。これらの加硫促進剤は単独で用いても2種類以上組み合わせても良い。
【0040】
老化防止剤としては、たとえば公知の老化防止剤を適宜配合することができ、フェニル−α−ナフチルアミン,N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等のアミン類、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等のフェノール類、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類などが挙げられる。
【0041】
充填剤としては、たとえば公知の充填剤を適宜配合することができ、カーボンブラック、シリカ(ホワイトカーボン)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、ゼオライト、アルミナ、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、木片、ガラス粉、セラミックス粉等が挙げられる。これらの充填剤は単独で用いても2種類以上組み合わせても良い。
【0042】
本発明のイオン導電性エラストマーブレンドは、典型的にはゴム組成物であり、ソリッドゴム(硬質ゴム)、スポンジゴム(発泡ゴム)のいずれに調製されても良く、適用される画像形成装置の導電性ローラに所望される性能に応じて適宜選択すれば良い。
【0043】
スポンジゴムは、アルキレンオキサイド成分の重合前または重合後に発泡剤、および必要に応じて発泡助剤を添加し、好ましくは密閉条件下で加硫形成ことにより形成できる。
【0044】
発泡剤としては、たとえば化学発泡剤が好適に用いられ、該化学発泡剤は有機系と無機系とに分類される。有機系の発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、バリウムアゾジカルボキシレート(Ba/AC)等のアゾ化合物、N,N‘−ジニトロソペンタメチレンテトラアミン(DPT)等のニトロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH),4,4オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等のヒドラジン誘導体が使用できる。無機系の発泡剤としては、重炭酸ナトリウム(重曹)、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等が使用できる。これらの発泡剤は単独で用いても2種類以上組み合わせても良い。
【0045】
また、発泡助剤としては、たとえば、サリチル酸等の有機酸系助剤の他、尿素系助剤等が使用可能である。
【0046】
その他、公知の軟化剤、可塑剤、補強剤、ステアリン酸等の加工助剤等を添加、混合して使用することができる。
【0047】
<イオン導電性エラストマーブレンドの製造方法>
本発明はまた、上述したイオン導電性エラストマーブレンドを得るための製造方法を提供する。該製造方法は、アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含有する混合物を調製する混合物調製工程と、該アルキレンオキサイド成分を該混合物において重合させる重合工程とを含む。
【0048】
混合物調製工程においては、アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを、たとえば溶媒に溶解させた状態で混合して混合物を調製できる。アルキレンオキサイド成分は両親媒性であって種々の有機溶媒に可溶である。また、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩は、有機溶媒に対する溶解性が低くてもアルキレンオキサイド成分に対する溶解性が一般に良好である。よって、溶解状態で混合物を調製する際には、ベースポリマーを溶解し得る溶媒を適宜選択することが好ましい。上記の溶媒としては、たとえばアセトニトリル、アセトン、トルエン等が好ましく、これらの溶媒は、たとえばベースポリマーがNBR(ニトリルゴム)を含む場合の該NBRの溶解性に優れるという利点を有する。
【0049】
本発明において混合物にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属をさらに含有させる場合には、該アルカリ金属および/または該アルカリ土類金属をも添加して上記の混合を行なう。
【0050】
混合物の調製には、たとえばロール、バンバリーミキサー、ニーダー等、通常混練に使用される混練機を用いることができる。
【0051】
重合工程においては、上記で調製した混合物中でアルキレンオキサイド成分を重合させる。混合物が上記したような溶媒を含む場合、そのまま重合を行なっても良いが、各成分の配合割合をより正確に管理できる点、添加剤等の溶解状態やポリマー同士の相状態をコントロールできる点で、たとえば溶媒除去して粘性固体状にした後に重合させる方法が好ましい。
【0052】
重合条件としては、たとえば重合温度40〜170℃、重合時間1〜24時間程度の条件を採用できる。この場合、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の重合開始剤を適宜用いても良い。また、たとえば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等を用い、光増感重合として紫外線重合を行なっても良い。この場合の重合条件としては、室温で1時間程度、360nm程度の紫外線を照射する方法等を例示できる。
【0053】
以上のような方法で本発明のイオン導電性エラストマーブレンドを調製することができる。
【0054】
<画像形成装置用の導電性ローラ>
本発明はまた、上述したようなイオン導電性エラストマーブレンドをゴム部分に用いてなる画像形成装置用の導電性ローラに関する。すなわち、本発明のイオン導電性エラストマーブレンドは、典型的には、画像形成装置の導電性ローラのゴム部分に用いることができる。導電性ローラの構成としては従来公知の構成を適宜採用でき、これに限定されるものではないが、たとえば金属等からなる軸の外周に、本発明のイオン導電性エラストマーブレンドからなる円筒状のゴム部分を形成してなる構成を例示できる。ゴム部分は、本発明のイオン導電性エラストマーブレンドが単層または複層で形成されたものでも良いし、他のゴム層と組み合された複層からなるものでも良い。
【0055】
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお表1〜5中の配合の数値は質量部で示している。
【0056】
<実施例1,2>
ベースポリマーとしてNBR(ニトリルゴム)を用い、アルキレンオキサイド成分として下記の化学式(1)、
【0057】
【化1】

【0058】
においてm=2.7、n=4、xが100以上である構造を有する、ポリオキシアルキレングリコールのポリメタクリル酸エステルであるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体(以下、PM(EOPO)−1とも記載する)を用い、アルカリ金属塩としてKClO4を用い、表1に示す配合でイオン導電性エラストマーブレンドを調製した。なお化学式(1)中の「ran」は、エチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位とがランダム共重合していることを表す。
【0059】
なお、上記のPM(EOPO)−1の分子構造は、NMR(日本電子(株)製、1H−NMR(300MHz))によって同定した。
【0060】
上記のNBRとPM(EOPO)−1とをアセトニトリルに溶解させ、KClO4の10質量%水溶液をさらに加え、マグネチックスターラーを用いて室温で30分間混合し、混合物を得た(混合物調製工程)。
【0061】
なお、上記の混合物は、エチレンオキサイド単位のモル数[EO]、プロピレンオキサイド単位のモル数[PO]、カリウムイオンのモル数[K+]が、下記の式、
([EO]+[PO])/[K+]=20/1
を満たすように調製した。上記の比は、アルキレンオキサイド成分に含まれるエーテル酸素数と電解質塩に含まれるカチオン数との比に対応する。表1では、上記混合物中に含まれるPM(EOPO)−1とKClO4とを、PM(EOPO)−1+KClO4と表している。
【0062】
混合物をシャーレにキャストし、常温常圧でゆっくり乾燥させた。得られた粘性固体を100℃で25時間加熱して、アルキレンオキサイド成分を重合させた(重合工程)。その後、表面状態を平滑にするために60〜100℃で熱プレスし、空冷して、測定用サンプルを得た。
【0063】
<比較例1〜6>
ベースポリマーとしてNBR(ニトリルゴム)を、アルキレンオキサイド成分として、上記化学式(1)中、m=10、n=90、xは100以上である直鎖型エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体(以下、PM(EOPO)−2とも記載する)、すなわちポリアルキレンオキサイドを、アルカリ金属塩としてKClO4を、それぞれ用いて、イオン導電性エラストマーブレンドを調製した。
【0064】
上記のアルキレンオキサイド成分をアセトニトリルに溶解させ、KClO4の10質量%水溶液を加えて両者を混合した後、脱溶媒して、PM(EOPO)−2とKClO4とからなる電解質を得た。
【0065】
該電解質は、エチレンオキサイド単位のモル数[EO]、プロピレンオキサイド単位のモル数[PO]、カリウムイオンのモル数[K+]が、下記の式、
([EO]+[PO])/[K+]=20/1
を満たすように調製した。
【0066】
次に、ベースポリマーとしてのNBRと、上記で得た電解質とを表2に示す配合で混合して二軸ロールで混練し、溶融圧縮成型した。その後、キャスト、脱溶媒し、熱プレスにより、60℃、予熱5分間、加圧5分間で圧縮成型して、空冷し、測定用サンプルを得た。
【0067】
<実施例3〜5,比較例7>
ベースポリマーとしてNBR(ニトリルゴム)を用い、アルキレンオキサイド成分として、前述のPM(EOPO)−1を用い、アルカリ金属塩としてLiClO4を用いた。NBR、PM(EOPO)−1、LiClO4のそれぞれの10質量%アセトン溶液を調製した。各アセトン溶液を用いて混合物を調製し、表3に示す配合で実施例1と同様の方法で測定用サンプルを得た。
【0068】
上記の混合物中では、エチレンオキサイド単位のモル数[EO]、プロピレンオキサイド単位のモル数[PO]、カリウムイオンのモル数[K+]が、下記の式、
([EO]+[PO])/[K+]=20/1
を満たすようにした。
【0069】
<比較例8〜11>
ベースポリマーとしてMBR(ニトリルゴム)を用い、アルキレンオキサイド成分として、PM(EOPO)−2を用い、アルカリ金属塩としてLiClO4を用いた。NBR、PM(EOPO)−2、LiClO4のそれぞれの10質量%アセトン溶液を調製した。
【0070】
各アセトン溶液を用い、表4に示す配合となるように混合液を調製した。該混合液中では、エチレンオキサイド単位のモル数[EO]、プロピレンオキサイド単位のモル数[PO]、カリウムイオンのモル数[K+]が、下記の式、
([EO]+[PO])/[K+]=20/1
を満たすようにした。
【0071】
該混合液を乾燥した後、100℃で25時間かけてアルキレンオキサイド成分を重合させた後で、NBRを加えて二軸ロールで混練し、溶融圧縮成型して、測定用サンプルを得た。
【0072】
<実施例6>
実施例4で得た測定用サンプルを二軸ロールで素練りした後、ステアリン酸の1.0質量部、亜鉛華の5.0質量部、加硫剤としての硫黄の1.0質量部、加硫促進剤1の2.0質量部、加硫促進剤2の1.5質量部を順に該二軸ロールに投入、混練して、ゴムコンパウンドを得た。得られたゴムコンパウンドをプレス成形し、160℃で15分間加硫して、円柱状(直径29mm、高さ12.7mm)のテストピースを作製した。
【0073】
<比較例12>
比較例9で得た測定用サンプルを用いた他は実施例6と同様の方法でテストピースを作製した。
【0074】
<イオン伝導度の測定>
測定用サンプルを、下記に示すドライ条件、エア条件、ウエット条件においた後、イオン伝導度を測定した。測定用サンプルを10mm角に切り出し、表面に銀ペーストを塗布し、さらにその上に銅箔を貼り付けてガラス基板上に固定し、2極式の測定セルとした。イオン伝導度測定前の各測定サンプルの厚みをマイクロメーターで実測したところ、いずれも1mm前後であった。この値を、抵抗率の計算に用いた。測定には、「Keithley 487 Picoammeter/Voltage Source」を用い、抵抗値が安定する約3分後の値を測定値とした。
(ドライ条件):上記の測定セルを24時間以上真空乾燥した後、乾燥窒素を流したステンレスボックス中に該測定セルを置いて乾燥窒素雰囲気下で測定した。
(ウエット条件):水を張ったデシケーター内に、測定セルの状態で48時間静置し、取り出した直後のイオン伝導度を大気中で測定した。デシケーター内の湿度はおよそ90%以上であることを湿度計により確認した。
(エア条件):常温の大気中に測定セルの状態で48時間静置し、そのまま測定した。
【0075】
<体積抵抗値の測定>
図1は、体積抵抗値の測定方法について説明する図である。SUS製板11の上にテストピース12を載せ、その上に100gのSUS製のおもり13を載せ、抵抗計14(アドバンテスト社製、型番「R8340A」)にて1000Vの電圧を印加し、10秒後の抵抗値を測定し、体積抵抗値とした。測定は、下記に示す常温環境および高温高湿環境で行なった。
(常温環境):温度22℃、湿度55%の環境下に24時間以上放置した後、測定した。
(高温高湿環境):温度28℃、湿度85%の環境下に24時間以上放置した後、測定した。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
注1:NBRは、ベースポリマーとして用いたニトリルゴム(日本ゼオン社製、商品名「DN401LL」)である。
注2:ステアリン酸は、旭電化社製の商品名「脂肪酸 SA−200」である。
注3:亜鉛華は、正同化学社製の商品名「亜鉛華特号」である。
注4:硫黄は、鶴見化学社製の商品名「サルファックスA」である。
注5:加硫促進剤1は、川口化学社製の商品名「アクセルDM」である。
注6:加硫促進剤2は、川口化学社製の商品名「アクセルTT」である。
【0082】
図2は、実施例1,2および比較例1のイオン伝導度の結果を示す図であり、図3は、比較例1〜6のイオン伝導度の結果を示す図であり、図4は、実施例3〜5および比較例7イオンの伝導度の結果を示す図であり、図5は、比較例7〜11のイオン伝導度の結果を示す図であり、図6は、実施例6および比較例12の体積抵抗値の結果を示す図である。なお図中の「電解質含有量」は、アルキレンオキサイド成分の含有量(A)とベースポリマーの含有量(B)とアルカリ金属塩の含有量(C)との合計(A+B+C)に占める、アルキレンオキサイド成分の含有量(A)とアルカリ金属塩の含有量(C)との和(A+C)の割合(単位:質量%)を意味する。
【0083】
実施例1,2および比較例2〜6では、共にエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体をアルキレンオキサイド成分として用いている。しかし、比較例2〜6では、アルキレンオキサイド成分がポリアルキレンオキサイドの状態でベースポリマーと混合されているために、ドライ条件、エア条件およびウエット条件でイオン伝導度に大きな差が認められたのに対し、実施例1,2では、アルキレンオキサイド成分がオリゴマーの状態でベースポリマーと混合されてから重合されていることにより、ドライ条件およびウエット条件のいずれにおいても良好なイオン伝導度を示した。
【0084】
実施例1,2と異なるアルカリ金属塩を用いた実施例3〜5および比較例8〜11においても、実施例3〜5では、アルキレンオキサイド成分がオリゴマーの状態でベースポリマーと混合されてから重合されていることにより、アルキレンオキサイド成分の重合後にベースポリマーを混合した比較例8〜11と比べて、ドライ条件とウエット条件とにおけるイオン伝導度の差が小さくなる傾向が認められた。
【0085】
実施例6および比較例12においては、アルキレンオキサイド成分をオリゴマーの状態でベースポリマーと混合した後に重合することで得たイオン導電性エラストマーブレンドを用いてゴムコンパウンドとした実施例6では、アルキレンオキサイド成分の重合後にベースポリマーを混合して得た比較例12と比べて、常温環境と高温高湿環境とにおける体積抵抗値の差が低減されていた。
【0086】
以上の結果より、アルキレンオキサイド成分をベースポリマーと混合した後に該アルキレンオキサイド成分を重合させることにより、電気的な均一性および安定性を良好に維持し、かつ、導電性能の環境による変動が小さいイオン導電性エラストマーブレンドを得ることが可能であることが分かる。
【0087】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のイオン導電性エラストマーブレンドおよびこれを用いた導電性ローラは、たとえば、電子写真方式による複写機やFAX、プリンター等、各種の画像形成装置の導電性ローラに対して好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】体積抵抗値の測定方法について説明する図である。
【図2】実施例1,2および比較例1のイオン伝導度の結果を示す図である。
【図3】比較例1〜6のイオン伝導度の結果を示す図である。
【図4】実施例3〜5および比較例7のイオン伝導度の結果を示す図である。
【図5】比較例7〜11のイオン伝導度の結果を示す図である。
【図6】実施例6および比較例12の体積抵抗値の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
11 SUS製板、12 テストピース、13 おもり、14 抵抗計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアルキレンオキサイドとベースポリマーとを含有し、
アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含有する混合物において前記アルキレンオキサイド成分を重合させることにより得られる、イオン導電性エラストマーブレンド。
【請求項2】
前記混合物において、前記アルキレンオキサイド成分の含有量(A)と前記ベースポリマーの含有量(B)との和に占める前記アルキレンオキサイド成分の含有量(A)の割合A/(A+B)×100(%)が、1〜60質量%の範囲内である、請求項1に記載のイオン導電性エラストマーブレンド。
【請求項3】
前記混合物がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくともいずれかからなる電解質塩をさらに含有する、請求項1または2に記載のイオン導電性エラストマーブレンド。
【請求項4】
前記混合物において、前記アルキレンオキサイド成分に含まれるエーテル酸素数に対する前記電解質塩に含まれるカチオン数の割合が、1〜30%の範囲内である、請求項3に記載のイオン導電性エラストマーブレンド。
【請求項5】
前記混合物において、前記アルキレンオキサイド成分の含有量(A)と前記ベースポリマーの含有量(B)と前記電解質塩の含有量(C)との和に占める、前記アルキレンオキサイド成分の含有量(A)と前記電解質塩の含有量(C)との和の割合(A+C)/(A+B+C)×100(%)が、1〜60質量%の範囲内である、請求項3または4に記載のイオン導電性エラストマーブレンド。
【請求項6】
前記アルキレンオキサイド成分が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体から選択される少なくともいずれかである、請求項1〜5のいずれかに記載のイオン導電性エラストマーブレンド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のイオン導電性エラストマーブレンドを得るための製造方法であって、
前記アルキレンオキサイド成分と前記ベースポリマーとを含有する混合物を調製する混合物調製工程と、
前記アルキレンオキサイド成分を前記混合物において重合させる重合工程と、
を含む、イオン導電性エラストマーブレンドの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6に記載のイオン導電性エラストマーブレンドをゴム部分に用いてなる画像形成装置用の導電性ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−138038(P2008−138038A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323872(P2006−323872)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000114710)ヤマウチ株式会社 (82)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】