説明

イソインドリン−1−オン、イソインドリン−3−オンおよびイソインドリン−1,3−ジオン誘導体およびそれらの使用

本発明は、新規イソインドリン−1−オン、イソインドリン−3−オンおよびイソインドリン−1,3−ジオン誘導体、それらの製造方法、障害の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに障害、特に血栓塞栓性障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規イソインドリン−1−オン、イソインドリン−3−オンおよびイソインドリン−1,3−ジオン誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに疾患、特に血栓塞栓性障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固は、血管壁の欠損を迅速かつ確実に「封止」するのを助ける生物の保護メカニズムである。かくして、血液の損失を回避または最小に維持できる。血管損傷後の止血は主に凝血系により実行され、そこでは血漿タンパク質の複雑な反応の酵素的カスケードが誘起される。多数の血液凝固因子がこの過程に関与し、それらの因子の各々は、活性化されると、各々の次の不活性な前駆体をその活性形態に変換する。カスケードの終わりでは、可溶性フィブリノーゲンの不溶性フィブリンへの変換に至り、血餅の形成をもたらす。血液凝固では、伝統的に、共通の反応経路で終わる内因性と外因性のシステムは区別されている。ここで、酵素前駆体のX因子から形成されるXa因子は、この2つの凝血経路を連結するので、鍵となる役割を果たす。活性化されたセリンプロテアーゼXaは、プロトロンビンをトロンビンに切断する。生じるトロンビンは、次いで、フィブリノーゲンをフィブリンに切断する。続くフィブリン単量体のクロスリンクは、血餅の形成を、従って止血を引き起こす。加えて、トロンビンは、同様に止血にかなり貢献する血小板凝集の強力なエフェクターである。
【0003】
止血は、複雑な調節メカニズムに従う。凝血系の制御されない活性化または活性化過程の阻害の欠陥は、血管(動脈、静脈、リンパ管)または心腔における局所的な血栓または塞栓の形成を引き起こし得る。これは、深刻な血栓塞栓性障害を導き得る。加えて、消費性凝固障害の場合、過凝固状態は、汎発性の血管内凝血を−全身的に−もたらし得る。血栓塞栓性の合併症は、さらに、微小血管障害性の溶血性貧血、血液透析などの体外血液循環、および心臓代用弁(prosthetic heart valves)とも関連して起こる。
【0004】
血栓塞栓性障害は、最も工業化された国々における最も頻繁な罹患と死亡の原因である [Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, Eugene Braunwald, 5th edition, 1997, W.B. Saunders Company, Philadelphia]。
【0005】
先行技術から知られている抗凝血剤、即ち、血液凝固を阻害または予防する物質は、様々な、しばしば深刻な、欠点を有する。従って、血栓塞栓性障害の有効な処置方法または予防は、実際のところ非常に困難かつ不満足なものである。
【0006】
血栓塞栓性障害の治療および予防では、ヘパリンが最初に使用され、非経腸で、または皮下に投与される。この頃は、より好適な薬物動態学的特性のために、低分子量ヘパリンがますます好まれている;しかしながら、低分子量ヘパリンを用いても、ヘパリン治療に伴う後述する既知の欠点を回避するのは不可能である。このように、ヘパリンは、経口投与されると効果がなく、比較的短い半減期である。ヘパリンは血液凝固カスケードの複数の因子を同時に阻害するので、作用は非選択的である。さらに、高い出血のリスクがある;特に、脳出血および消化管での出血が起こり得、それは、血小板減少、薬物誘導脱毛症または骨粗鬆症をもたらし得る [Pschyrembel, Klinisches Woerterbuch, 257th edition, 1994, Walter de Gruyter Verlag, page 610, entry "Heparin"; Roempp Lexikon Chemie, Version 1.5, 1998, Georg Thieme Verlag Stuttgart, entry "Heparin"]。
【0007】
第2のクラスの抗凝血剤は、ビタミンKアンタゴニストである。これらには、例えば1,3−インダンジオン類、並びに、ことさらに、肝臓におけるある種のビタミンK依存性凝血因子の様々な生成物の合成を非選択的に阻害する、ワーファリン、フェノプロクモン(phenprocoumon)、ジクマロールおよび他のクマリン誘導体などの化合物が含まれる。しかしながら、作用メカニズムのために、作用の開始は非常に遅い(作用開始までの潜時36ないし48時間)。この化合物は経口投与できる;しかしながら、出血のリスクが高く治療係数が狭いために、時間のかかる患者の個別の調整と監視が必要である。[J. Hirsh, J. Dalen, D.R. Anderson et al., "Oral anticoagulants: Mechanism of action, clinical effectiveness, and optimal therapeutic range" Chest 2001, 119, 8S-21S; J. Ansell, J. Hirsh, J. Dalen et al., "Managing oral anticoagulant therapy" Chest 2001, 119, 22S-38S; P.S. Wells, A.M. Holbrook, N.R. Crowther et al., "Interactions of warfarin with drugs and food" Ann. Intern. Med. 1994, 121, 676-683]。
【0008】
最近、血栓塞栓性障害の処置および予防のための新規治療アプローチが記載された。この新規治療アプローチのねらいは、Xa因子の阻害である。血液凝固カスケードにおいてXa因子が果たす中心的役割のために、Xa因子は、抗凝血剤の最も重要な標的の1つである [J. Hauptmann, J. Stuerzebecher, Thrombosis Research 1999, 93, 203; S.A.V. Raghavan, M. Dikshit, "Recent advances in the status and targets of antithrombotic agents" Drugs Fut. 2002, 27, 669-683; H.A. Wieland, V. Laux, D. Kozian, M. Lorenz, "Approaches in anticoagulation: Rationales for target positioning" Curr. Opin. Investig. Drugs 2003, 4, 264-271; U.J. Ries, W. Wienen, "Serine proteases as targets for antithrombotic therapy" Drugs Fut. 2003, 28, 355-370; L.-A. Linkins, J.I. Weitz, "New anticoagulant therapy" Annu. Rev. Med. 2005, 56, 63-77 ; A. Casimiro-Garcia et al., "Progress in the discovery of Factor Xa inhibitors" Expert Opin. Ther. Patents 2006, 15, 119-145]。
【0009】
動物モデルで、様々なペプチド性および非ペプチド性化合物がXa因子阻害剤として有効であることが示された。既に、多数の直接的Xa因子阻害剤が知られている [J.M. Walenga, W.P. Jeske, D. Hoppensteadt, J. Fareed, "Factor Xa Inhibitors: Today and beyond" Curr. Opin. Investig. Drugs 2003, 4, 272-281; J. Ruef, H.A. Katus, "New antithrombotic drugs on the horizon" Expert Opin. Investig. Drugs 2003, 12, 781-797; M.L. Quan, J.M. Smallheer, "The race to an orally active Factor Xa inhibitor: Recent advances" Curr. Opin. Drug Discovery & Development 2004, 7, 460-469]。非ペプチド性低分子量Xa因子阻害剤も、例えば、WO03/099276、WO03/011858およびWO03/007942に記載されている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、ヒトおよび動物の障害、特に血栓塞栓性障害を制御するための、匹敵するか改善された活性およびより良好な水性溶液中での溶解性を有する新規の代替化合物を提供することである。
【0011】
本発明は、式
【化1】

[式中、
nは、1、2または3の数を表し、
mは、0、1または2の数を表し、
そして、(CH基は、フェニル環に1位または2位で結合し、
は、水素、シアノ、ヒドロキシ、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−シクロアルキルカルボニル、フェニルカルボニル、4ないし7員のヘテロシクリルカルボニルまたは5または6員のヘテロアリールカルボニルを表し、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシメチル、C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルを表し、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシメチル、C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルを表し、
およびRは、水素を表し、
そして、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成するか、
または、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRは、水素を表すか、
または、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
は、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはチエニルを示し、
ここで、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルは、置換基R11および/または置換基R12により、または、2個の異なる置換基R11により、または、2個の異なる置換基Rにより置換されており、
ここで、R11は、環中の窒素原子に隣接していない炭素原子に結合しており、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−シクロアルキルを表し、
12は、環中の窒素原子に隣接している炭素原子に結合しており、水素、アミノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノまたはC−C−シクロアルキルを表し、
そして、
ここで、チエニルは、置換基R13および置換基R14により置換されており
ここで、R13は、環中の硫黄原子に隣接している炭素原子に結合しており、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−シクロアルキルを表し、
14は、水素、フッ素、塩素、アミノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノまたはC−C−シクロアルキルを表し、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルを表し、
10は、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−シクロアルキルを表し、
そして、
ここで、Rは、6位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の7位に結合するか、
または、
ここで、Rは、7位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の6位に結合する]
の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0012】
本発明による化合物は、式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述する式の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含される実施態様として後述する化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(後述する式(I)に含まれる化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物でない場合に)である。
【0013】
本発明による化合物は、それらの構造によって、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在できる。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を含む。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、立体異性的に均一な構成分を既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できる場合、本発明は、全ての互変異性体を含む。
【0014】
本発明に関して、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。本発明はまた、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も含む。
【0015】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0016】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩)、および、アンモニアまたは1個ないし16個の炭素原子を有する有機アミン(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0017】
本発明に関して、溶媒和物は、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態である。水和物は、配位が水とのものである、溶媒和物の特別な形態である。本発明に関して、好ましい溶媒和物は水和物である。
【0018】
さらに、本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグも含む。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらが体内に滞在する時間中に、本発明による化合物に(例えば代謝的または加水分解的に)変換される化合物を含む。
【0019】
本発明に関して、断りのない限り、置換基は、以下の意味を有する:
アルキル自体、並びに、アルコキシ、アルキルアミノ、アルコキシカルボニルおよびアルキルアミノカルボニル中の「アルコ(alk)」および「アルキル」は、一般的に1個ないし4個、好ましくは1個または2個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカル、例えば、そして好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびtert−ブチルを表す。
【0020】
例えば、そして好ましくは、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびtert−ブトキシを表す。
【0021】
アルキルアミノは、1個または2個のアルキル置換基(相互に独立して選択される)を有するアルキルアミノラジカル、例えば、そして好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノを表す。例えば、C−C−アルキルアミノは、1個ないし3個の炭素原子を有するモノアルキルアミノラジカルを表すか、または、アルキル置換基毎に各場合で1個ないし3個の炭素原子を有するジアルキルアミノラジカルを表す。
【0022】
例えば、そして好ましくは、アルコキシカルボニルは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルを表す。
【0023】
アルキルアミノカルボニルは、1個または2個のアルキル置換基(相互に独立して選択される)を有するアルキルアミノカルボニルラジカル、例えば、そして好ましくは、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノカルボニル、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノカルボニルおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノカルボニルを表す。例えば、C−C−アルキルアミノカルボニルは、1個ないし3個の炭素原子を有するモノアルキルアミノカルボニルラジカルを表すか、または、アルキル置換基毎に各場合で1個ないし3個の炭素原子を有するジアルキルアミノカルボニルラジカルを表す。
【0024】
シクロアルキルは、一般的に3個ないし6個の炭素原子、好ましくは3個ないし5個の炭素原子を有するシクロアルキル基、例えば、そして好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを表す。
【0025】
複素環は、一般的に4個ないし7個の環原子を有し、N、O、S、SO、SOからなる群から3個まで、好ましくは2個までのヘテロ原子および/またはヘテロ基を有する単環式複素環式ラジカルを表す。複素環ラジカルは、飽和または部分不飽和であり得る。好ましいのは、O、NおよびSからなる群から2個までのヘテロ原子を有する5員ないし7員の単環式飽和複素環ラジカル、例えば、そして好ましくは、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペラジニル、モルホリニルおよびペルヒドロアゼピニルである。
【0026】
ヘテロアリールは、5個または6個の環原子を有し、S、OおよびNからなる群から4個までのヘテロ原子を有する芳香族性単環式ラジカル、例えば、そして好ましくは、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニルを表す。
【0027】
本発明による化合物中のラジカルが置換されている場合、そのラジカルは、断りのない限り、一置換または多置換されていてよい。本発明に関して、1回以上出てくる全てのラジカルの意味は、相互に独立している。1個、2個または3個の同一または異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換がことさら特に好ましい。
【0028】
が表されている基の式において、*の横のラインの終点は炭素原子またはCH基を表さないが、Rが結合している原子への結合の一部である。
【0029】
好ましいのは、
nが、1、2または3の数を表し、
mが、0、1または2の数を表し、
そして、(CH基が、フェニル環に1位または2位で結合し、
が、水素、シアノ、ヒドロキシまたはC−C−アルキルを表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシを表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシメチル、シクロプロピル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルを表し、
およびRが、水素を表し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成するか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、水素を表すか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
が、式
【化2】

[式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
11は、フッ素、塩素、エチニル、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシを表し、
12は、アミノ、メチル、メチルアミノまたはジメチルアミノを表し、
13は、フッ素、塩素、エチニル、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシを表し、
そして、
14は、水素を表す]
の基を表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、メトキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニルまたはジメチルアミノカルボニルを表し、
10が、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルまたはメトキシを表し、
そして、
ここで、Rが、6位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の7位に結合するか、
または、
ここで、Rが、7位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の6位に結合する、式(I)の化合物並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0030】
好ましいのは、また、
nが、1または2の数を表し、
mが、1の数を表し、
そして、(CH基が、フェニル環に1位または2位で結合し、
が、水素を表し、
が、水素を表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、n−プロピル、メトキシ、エトキシまたはメトキシメチルを表し、
およびRが、水素を表し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成するか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、水素を表すか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
が、式
【化3】

[式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
13は、フッ素、塩素またはメチルを表し、
そして、
14は、水素を表す]
の基を表し、
が、水素を表し、
10が、水素を表し、
そして、
ここで、Rが、6位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の7位に結合するか、
または、
ここで、Rが、7位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の6位に結合する、式(I)の化合物並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0031】
好ましいのは、また、
nが、1の数を表し、
mが、1の数を表し、
そして、(CH基が、フェニル環に1位または2位で結合し、
が、水素を表し、
が、水素を表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノまたはメチルを表し、
およびRが、水素を表し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成するか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、水素を表すか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
が、式
【化4】

[式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
13は、塩素を表し、
そして、
14は、水素を表す]
の基を表し、
が、水素を表し、
10が、水素を表し、
そして、
ここで、Rが、6位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の7位に結合するか、
または、
ここで、Rが、7位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の6位に結合する、式(I)の化合物並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0032】
好ましいのは、また、nが1の数を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、mが1の数を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが水素を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが水素を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが、水素、フッ素、塩素、シアノまたはメチルを表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが、水素を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、RおよびRが、水素を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが、式
【化5】

[式中、*は、カルボニル基への結合点であり、R13は、塩素を表し、そして、R16は、水素を表す]
の基を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、RおよびR10が、水素を表す、式(I)の化合物である。
【0033】
ラジカルの各々の組合せまたは好ましい組合せで与えられる個々のラジカルの定義は、特に与えられるラジカルの組合せから独立して、いかなる他の組合せのラジカルの定義によっても置き換えられる。
上述の好ましい範囲の2つまたはそれ以上の組合せがことさら特に好ましい。
【0034】
本発明は、さらに、式(I)の化合物、またはそれらの塩、それらの溶媒和物もしくはそれらの塩の溶媒和物の製造方法を提供し、その方法では、
[A]式
【化6】

(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、酸の存在下、臭化シアンと反応させ、Rが水素を表す式(I)の化合物を得るか、
または、
【0035】
[B]式
【化7】

(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、上記の意味を有し、そして、
PGは、ヒドロキシル保護基、好ましくはトリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルを表す)
の化合物を、三段階の工程で、先ず不活性溶媒中で臭化シアンと、好ましくは塩基の存在下、式
【化8】

(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、上記の意味を有し、そして、
PGは、ヒドロキシル保護基、好ましくはトリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルを表す)
の化合物に変換し、次いで、保護基PGの除去により、式
【化9】

(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、上記の意味を有する)
の化合物に変換し、第3段階で、式(V)の化合物を、不活性溶媒中、酸の存在下で環化し、Rが水素を表す式(I)の化合物を得るか、
または、
【0036】
[C]式(II)の化合物を、第1段階で、式
【化10】

(式中、Rは、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−シクロアルキルカルボニル、フェニルカルボニル、4員ないし7員の複素環カルボニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリールカルボニルを表す)
の化合物と反応させ、そして、第2段階で環化するか、
または、
[D]式(II)の化合物を、式
【化11】

(式中、Rは、シアノまたはC−C−アルキルを表し、そして、
Aは、脱離基、好ましくはフェノキシまたはメチルチオを表す)
の化合物と反応させるか、
または、
[E]Rが水素を表す式(I)の化合物を、ヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させ、Rがヒドロキシルを表す式(I)の化合物を得る。
【0037】
必要に応じて、Rが水素を表す式(I)の化合物を、適当な溶媒および/または塩基もしくは酸を用いて、それらの塩、それらの溶媒和物および/またはそれらの塩の溶媒和物に変換できる。
【0038】
それらの塩の遊離塩基は、例えば、塩基を添加したアセトニトリル/水グラジエントを使用する逆相カラムのクロマトグラフィーにより、特に、RP18 Phenomenex Luna C18(2) カラムおよびジエチルアミン塩基を使用することにより、または、それらの塩を有機溶媒に溶解し、重炭酸ナトリウムなどの塩基性の塩の水性溶液で抽出することにより、得ることができる。
【0039】
本発明は、さらに、化合物の塩または化合物の塩の溶媒和物を、塩基を添加したクロマトグラフィーによりそれらの化合物に変換する、式(I)の化合物またはそれらの溶媒和物の製造方法を提供する。
【0040】
工程[A]による反応は、一般的に、不活性溶媒中、好ましくは−20℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはアセトニトリルまたはこれらの溶媒の混合物である。
酸は、例えば、強い無機または有機酸、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸である。
【0041】
工程[B]による第1段階の反応は、一般的に、不活性溶媒中、好ましくは−20℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはアセトニトリル、または、これらの溶媒の混合物である。
【0042】
塩基は、例えば、無機塩基、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムもしくは炭酸セシウム、または、重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリウム、または、アルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウムである。
【0043】
工程[B]による第2段階の、好ましいヒドロキシル保護基(PG)としてのトリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルの開裂は、一般的に、溶媒としてのテトラヒドロフラン中、好ましくはテトラ−n−ブチルアンモニウムフロリド(TBAF)を利用して、好ましくは0℃ないし40℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
【0044】
工程[B]による第3段階の反応は、一般的に、不活性溶媒中、好ましくは−20℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはアセトニトリル、またはこれらの溶媒の混合物である。
酸は、例えば、強い無機酸または有機酸、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸である。
【0045】
工程[B]による第2および第3段階の反応は、特に好ましくは、酸に不安定なヒドロキシル保護基、例えば、トリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルを使用して、過剰の酸の存在下、ワンポット反応で、不活性溶媒中、好ましくは−20℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で、式(V)の化合物の中間体を単離せずに実施する。
【0046】
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはアセトニトリル、またはこれらの溶媒の混合物である。
酸は、例えば、強い無機または有機酸、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸である。
【0047】
工程[C]による第1段階の反応は、一般的に、文献から知られている方法と同様に、例えば、A. Hetenyi et al., J. Org. Chem. 2003, 68, 2175-2182; D. Douglass, J. Am. Chem. Soc. 1934, 56, 719; F.B. Dains et al., J. Am. Chem. Soc. 1925, 47, 1981-1989 または F.B. Dains et al., J. Am. Chem. Soc. 1922, 44, 2637-2643 に記載の通りに、実施する。
【0048】
工程[C]による第2段階の反応は、一般的に、文献から知られている方法と同様に、例えば、B.T. Shibanuma, M. Shiono, T. Mukaiyama, Chem. Lett. 1977, 575-576 に記載の通りに、実施する。
【0049】
工程[D]による反応は、一般的に、文献から知られている方法と同様に、例えば、N. Maezaki, A. Furusawa, S. Uchida, T. Tanaka, Tetrahedron 2001, 57, 9309-9316; G. Berecz, J. Reiter, G. Argay, A. Kalman, J. Heterocycl, Chem. 2002, 39, 319-326; R. Evers, M. Michalik, J. Prakt. Chem. 1991, 333, 699-710; R. Mohr, A. Buschauer, W. Schunack, Arch. Pharm. (Weinheim Ger.) 1988, 321, 221-227; P.J. Garratt et al., Tetrahedron 1989, 45, 829-834 or V.A. Vaillancourt et al., J. Med. Chem. 2001, 44, 1231-1248 に記載の通りに、実施する。
【0050】
工程[E]による反応は、一般的に、文献から知られている方法と同様に、例えば、B.G. Zinner, G. Nebel, Arch. Pharm. Ber. Dtsch. Ges. 1970, 303, 385-390 に記載の通りに、実施する。
【0051】
式(VI)および(VII)の化合物は、知られているか、または、適当な出発物質から、既知方法により合成できる。
式(III)の化合物は、知られているか、または、式(III)の化合物から、当業者に知られている条件を使用して保護基PGを導入することにより、製造できる。
【0052】
好ましいヒドロキシル保護基(PG)としてのトリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルの導入は、一般的に、溶媒としての塩化トリメチルシリルまたは塩化tert−ブチルジメチルシリルおよびテトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドと反応させることにより、好ましくは0℃ないし40℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
【0053】
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、そして、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成する、式(IIa)の化合物は、知られているか、または、式
【化12】

(式中、R、RおよびR10は、上記の意味を有する)
の化合物を、式
【化13】

(式中、m、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させることにより製造できる。
【0054】
この反応は、一般的に、不活性溶媒中、塩基の存在下、好ましくは60℃ないし溶媒の還流の温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、エーテル、例えばジオキサンまたはテトラヒドロフランである;好ましいのは、ジオキサンである。
塩基は、例えば、アミン塩基、例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである;好ましいのは、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0055】
式(VIII)および(IX)の化合物は、知られているか、または、適当な出発物質から、既知方法により合成できる。
【0056】
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、そして、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成する、式(IIIa)の化合物は、知られているか、または、式
【化14】

(式中、n、m、R、RおよびPGは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させることにより製造できる。
【0057】
この反応は、式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物の反応と同じ反応条件下で実施する。
式(X)の化合物は、知られているか、または、適当な出発物質から、既知方法により合成できる。
【0058】
およびRが、水素を表し、そして、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成する、式(IIb)の化合物およびRおよびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、そして、RおよびRが、水素を表す、式(IIc)の化合物は、知られているか、または、第1段階で、式(IIa)の化合物をホウ化水素で式
【化15】

(式中、n、m、R、R、R、RおよびR10は、上記の意味を有する)
の化合物に変換し、第2段階で、この混合物をトリフルオロ酢酸およびトリエチルシランと反応させ、式
【化16】

(式中、n、m、R、R、R、RおよびR10は、上記の意味を有する)
の化合物の混合物を得、
次に、結晶化またはクロマトグラフィーにより異性体(IIb)および(IIc)を分離することにより製造できる。
【0059】
一般的に、式(IIb)の化合物は溶液から結晶化し、式(IIc)の化合物が母液に残る。
異性体の分離は、また、第1段階後、結晶化またはクロマトグラフィーにより実施できる。この場合、純粋な異性体を第2段階に使用する。
第1段階の反応は、一般的に、不活性溶媒中、好ましくは−20℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
ホウ化水素は、例えば、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムである;好ましいのは、水素化ホウ素ナトリウムである。
【0060】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレンまたはトリクロロメタン、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールもしくはイソプロパノール、またはエーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン、またはこれらの溶媒の混合物である;好ましいのは、メタノールおよび塩化メチレンの混合物である。
第2段階の反応は、一般的に、不活性溶媒中、好ましくは−20℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレンまたはトリクロロメタンである;好ましいのは、塩化メチレンである。
【0061】
別法において、式(IIb)および(IIc)の化合物は、第1段階で、式
【化17】

(式中、m、R、R、R、RおよびR10は、上記の意味を有する)
の化合物の混合物をホウ化水素と反応させ、式
【化18】

(式中、R、R、R、RおよびR10は、上記の意味を有する)
の化合物の混合物を得、
結晶化またはクロマトグラフィーにより異性体(XIIIb)および(XIIIc)を分離し、次に、第2段階で、それぞれの異性体を個々にトリフルオロ酢酸およびトリエチルシラン、第3段階で、式
【化19】

(式中、nは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させることにより製造できる。
【0062】
第1段階の反応は、式(IIa)の化合物の式(XIb)および(XIc)の化合物への変換と同じ反応条件下で実施する。
第2段階の反応は、式(XIb)および(XIc)の化合物の式(IIb)および(IIc)の化合物への変換と同じ反応条件下で実施する。
第3段階の反応は、一般的に、不活性溶媒中、銅(I)塩、塩基およびジオール配位子を添加して、好ましくは60℃ないし溶媒の還流の温度範囲で、大気圧で実施する。
【0063】
不活性溶媒は、例えば、アルコール、例えばイソプロパノールまたはn−ブタノールである。
銅(I)塩は、例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)または酢酸銅(I)である;好ましいのは、ヨウ化銅(I)または酢酸銅(I)である。
塩基は、例えば、リン酸カリウムまたは炭酸セシウムである;好ましいのは、リン酸カリウムである。
ジオール配位子は、例えば、1,2−ジオール類、例えば、エチレングリコールである。
式(XIV)の化合物は、知られているか、または、適当な出発物質から、既知方法により合成できる。
【0064】
式(XII)の化合物は、知られているか、または、式(VIII)の化合物を式
【化20】

(式中、m、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させることにより製造できる。
【0065】
この反応は、式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物の反応と同じ反応条件下で実施する。
式(XV)の化合物は、知られているか、または、適当な出発物質から、既知方法により合成できる。
【0066】
別法において、式(XII)の化合物は、式
【化21】

(式中、R、RおよびR10は、上記の意味を有する)
の化合物を、式
【化22】

(式中、m、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物と、光延反応条件下で反応させることにより製造できる。
【0067】
この反応は、一般的に、不活性溶媒中、好ましくは−20℃ないし40℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドおよびジクロロメタンである;好ましいのは、テトラヒドロフランである。
式(XVI)および(XVII)の化合物は、知られているか、または、適当な出発物質から、既知方法により合成できる。
【0068】
別法において、式(IIb)の化合物は、第1段階で、式
【化23】

(式中、RおよびR10は、上記の意味を有し、そして、R15は、メチルまたはエチルを表す)
の化合物を、式(XV)と反応させ、
第2段階で、ニトロ基を還元し、そして、
段3段階で、式
【化24】

(式中、Rは、上記の意味を有し、そして、Xは、ハロゲン、好ましくは臭素または塩素またはヒドロキシルを表す)
の化合物と反応させることにより製造できる。
【0069】
第1段階の反応は、式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物の反応と同じ反応条件下で実施する。
第2段階のニトロ基の還元は、一般的に、不活性溶媒中、不活性溶媒中、好ましくは室温から溶媒の還流の温度範囲で、大気圧ないし3barで還元剤を使用して実施する。
還元剤は、例えば、パラジウム活性炭素および水素、二塩化スズまたは三塩化チタンである;パラジウム活性炭素および水素または塩化スズが好ましい。
【0070】
不活性溶媒は、例えば、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテル、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール、炭化水素、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは鉱油画分、または他の溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルまたはピリジンである;好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、または二塩化スズの場合、ジメチルホルムアミドである。
【0071】
第3段階において、Xがハロゲンを表すとき、この反応は、一般的に不活性溶媒中、適当なとき塩基の存在下で、好ましくは−30℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ピリジン、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドである;ピリジンまたはジメチルホルムアミドが好ましい。
塩基は、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンである;ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0072】
第3段階において、Xがヒドロキシを表すとき、この反応は、一般に的に不活性溶媒中、脱水剤の存在下で、適当なとき塩基の存在下で、好ましくは−30℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
【0073】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンもしくはトリクロロメタン、炭化水素、例えば、ベンゼン、ニトロメタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルである。溶媒の混合物を用いることも同様に可能である。ジクロロメタンおよびジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0074】
ここで、適当な脱水剤は、例えば、カルボジイミド類、例えば、N,N’−ジエチル−、N,N’−ジプロピル−、N,N’−ジイソプロピル−、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロピルオキシメチルポリスチレン(PS−カルボジイミド)、またはカルボニル化合物、例えばカルボニルジイミダゾール、または、1,2−オキサゾリウム化合物、例えば2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−サルフェート、または2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレート、または、アシルアミノ化合物、例えば、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、またはプロパンホスホン酸無水物、または、イソブチルクロロホルメート、または、ビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリド、または、ベンゾトリアジルオキシトリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、または、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニムヘキサフルオロリン酸(HATU)、または、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、またはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、または、N−ヒドロキシスクシンイミド、またはこれらの塩基との混合物である。
【0075】
塩基は、例えば、炭酸アルカリ金属、例えば、例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウム、または有機塩基、例えば、トリアルキルアミン、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたはジイソプロピルエチルアミンである。
縮合は、好ましくはHOBtの存在下でHATUまたはEDCとで実施する。
式(XVIII)および(XIX)の化合物は、知られているか、または、適当な出発物質から、既知方法により合成できる。
【0076】
別法において、式(IIc)の化合物は、式(IIb)の化合物の別法のとおりに製造できる。出発物質は、式
【化25】

(式中、RおよびR10は、上記の意味を有し、そして、
16は、メチルまたはエチルを表す)
の化合物である。
【0077】
式(XX)の化合物は、知られているか、または、適当な出発物質から、既知方法により合成できる。
【0078】
本発明による化合物の製造は、下記の合成スキームにより例示説明できる:
スキーム1
【化26】

スキーム2
【化27】

スキーム3
【化28】

スキーム4
【化29】

【0079】
本発明による化合物は、予想し得なかった有用な薬理活性スペクトルを有する。
従って、それらは、ヒトおよび動物における疾患の処置および/または予防のための医薬としての使用に適する。
本発明による化合物は、特に抗凝血剤として作用する、血液凝固因子Xaの選択的阻害剤である。
加えて、本発明による化合物は、好適な物理化学的特性、例えば、治療的適用に有利な、水および生理的媒体における良好な溶解性を有する。
本発明はさらに、障害、好ましくは血栓塞栓性障害および/または血栓塞栓性合併症の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用を提供する。
【0080】
本発明の目的上、「血栓塞栓性障害」には、特に、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)または非ST上昇型心筋梗塞(非STEMI)、安定狭心症、不安定狭心症、血管形成術または大動脈冠動脈バイパス術などの冠動脈介入後の再閉塞および再狭窄、末梢動脈閉塞疾患、肺栓塞症、深部静脈血栓および腎静脈血栓、一過性虚血発作および血栓性および血栓塞栓性卒中などの障害が含まれる。
【0081】
従って、これらの物質は、例えば心房細動などの急性、間欠性または持続性心不整脈を有する患者、および電気的除細動を受けている者、さらに、心臓弁障害を有するか、または人工心臓弁を有する患者における、心原性血栓塞栓症、例えば、脳虚血、卒中および全身性血栓塞栓症および虚血の予防および処置にも適する。加えて、本発明による化合物は、汎発性血管内凝固症候群(DIC)の処置に適する。
【0082】
血栓塞栓性合併症は、さらに、微小血管障害性溶血性貧血、血液透析などの体外血液循環において、そして心臓代用弁と関連して起こる。
【0083】
さらに、本発明による化合物は、アテローム硬化性血管障害および炎症障害、例えば運動器のリウマチ性障害の予防および/または処置にも、そして、それに加えて、アルツハイマー病の予防および/または処置にも適する。さらに、本発明による化合物は、腫瘍の成長および転移形成の阻害、微小血管障害、加齢に伴う黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症および他の微小血管の障害、また、例えば、腫瘍患者における、特に大きい外科的介入または化学もしくは放射線治療を受けている患者における、静脈血栓塞栓症などの血栓塞栓性合併症の予防および処置にも使用できる。
【0084】
本発明による化合物は、さらに、エクスビボの凝血の防止、例えば、血液および血清製品の保存、カテーテルおよび他の医療器具および装置の清浄化/予処理、インビボまたはエクスビボで使用される医療器具および装置の合成物表面(synthetic surface)の被覆、または、Xa因子を含む生物学的サンプルにも使用できる。
【0085】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、抗凝血的に有効な量の本発明による化合物を使用する、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法を提供する。
【0086】
本発明はさらに、抗凝血的に有効な量の本発明による化合物を添加することを特徴とする、インビトロの、特に、保存血液またはXa因子を含む生物学的サンプルにおける、血液凝固を防止する方法を提供する。
【0087】
本発明はさらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる活性化合物を含む医薬を提供する。以下の化合物は、組合せに適する活性化合物として、例として、そして好ましく言及し得る:
・脂質低下剤、特にHMG−CoA(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A)リダクターゼ阻害剤;
・冠血管治療剤/血管拡張剤、特にACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤;AII(アンジオテンシンII)受容体アンタゴニスト;β−アドレナリン受容体アンタゴニスト;アルファ−1−アドレナリン受容体アンタゴニスト;利尿剤;カルシウムチャネル遮断剤;環状グアノシン一リン酸(cGMP)濃度の上昇を引き起こす物質、例えば、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤;
・プラスミノーゲン活性化剤(血栓溶解剤/線維素溶解剤)および血栓溶解/線維素溶解を高める化合物、例えば、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子の阻害剤(PAI阻害剤)またはトロンビン活性型繊維素溶解阻害因子の阻害剤(TAFI阻害剤);
・抗凝血剤;
・血小板凝集阻害性物質(血小板凝集阻害剤、栓球凝集阻害剤);
・フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト(糖タンパク質IIb/IIIaアンタゴニスト);
・並びに抗不整脈薬。
【0088】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に許容し得る補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用を提供する。
【0089】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜もしくは耳の経路で、またはインプラントもしくはステントとして、投与できる。
これらの投与経路のために、本発明による化合物を適する投与形で投与できる。
【0090】
経口投与に適するのは、先行技術で説明される通りに働き、本発明による化合物を迅速に、かつ/または、改変された形態で送達し、本発明による化合物を結晶および/または無定形および/または溶解形態で含むものであり、例えば、錠剤(非被覆および被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、溶解が遅延されるか、または不溶であり、本発明による化合物の放出を制御する被覆を施された錠剤)、口腔中で迅速に崩壊する錠剤、またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0091】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、なかんずく、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤形態の注射および点滴用製剤である。
【0092】
他の投与経路に適する例は、吸入用医薬形態(なかんずく、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬/液/スプレー;舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、眼または耳用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
好ましいのは、経口または非経腸投与、特に経口投与である。
【0093】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、なかんずく、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および香味および/または臭気の隠蔽剤が含まれる。
【0094】
一般に、非経腸投与で約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であると明らかになった。経口投与の投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0095】
それにも拘わらず、必要に応じて、体重、投与経路、活性化合物に対する個体の応答、製剤の様式および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。大量に投与する場合、これらを1日に亘る数回の個別投与に分割するのが望ましいことがある。
【0096】
下記の実施例により、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積に基づく。
【実施例】
【0097】
A. 実施例
略号
【表1】

【0098】
LC−MSおよびHPLCの方法
方法1:MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0099】
方法2:MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0100】
方法3:装置: HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0101】
方法4:装置: HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0102】
方法5:装置: HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Thermo HyPURITY Aquastar 3μ 50 mm x 2.1 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0103】
方法6:MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 50 mm x 4.6 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分10%B→3.0分95%B→4.0分95%B;オーブン:35℃;流速:0.0分1.0ml/分→3.0分3.0ml/分→4.0分3.0ml/分;UV検出:210nm.
【0104】
方法7:MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series;UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分.2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0105】
方法8:装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0106】
方法9:装置:DAD検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5μm;移動相A:過塩素酸(70%の強度)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→9分0%B→9.2分2%B→10分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0107】
方法10:装置:DAD検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;移動相A:過塩素酸(70%の強度)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→15分90%B→15.2分2%B→16分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0108】
方法11:装置:DAD検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;移動相A:過塩素酸(70%の強度)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B→6.7分2%B→7.5分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0109】
方法12:装置:DAD検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil C18 60*2;移動相A:0.01Mリン酸、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分90%A→0.5分90%A、→4.5分10%A、→6.5分10%A;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0110】
出発物質
実施例1A
4−アミノ−2−ベンゾフラン−1,3−ジオン
【化30】

表題化合物の製造は文献[E.L. Eliel et al., J. Am. Chem. Soc. 1955, 77, 5092-5094]から知られている製造法に準じて実施する。
【0111】
実施例2A
4−アミノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
【化31】

表題化合物の製造は文献[H.D.K. Drew, F.H. Pearman, J. Chem. Soc. 1937, 26-33]から知られている製造法に準じて実施する。
【0112】
実施例3A
5−クロロ−N−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化32】

表題化合物の製造はWO03/007942(実施例1)に記載の方法に準じて実施する。
【0113】
実施例4A
5−クロロ−N−(1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化33】

表題化合物の製造はWO03/011858(実施例1)に記載の方法に準じて実施する。
【0114】
実施例5A
5−クロロ−N−[2−(4−ヨードベンジル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化34】

アルゴン下、室温で、10mlのテトラヒドロフラン中の2.1g(9.0mmol、1.3当量)の(4−ヨードフェニル)メタノールの溶液および10mlのテトラヒドロフラン中の2.3gの(9.0mmol、1.3当量)トリフェニルホスフィンの溶液を20mlのテトラヒドロフラン中の2.1g(6.9mmol)の5−クロロ−N−(1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド(実施例4A)の懸濁液に加える。反応懸濁液を0℃に冷却し、10mlのテトラヒドロフラン中の1.4ml(9.0mmol、1.3当量)のジエチルアゾジカルボキシレートの溶液を(懸濁液を溶液に変化する)加え、反応混合物をRTで1時間撹拌する。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣をジクロロメタン/水でトリチュレートする。
収量:2.5g(純度70%、理論値の49%)
LC−MS(方法1):R=3.22分;
MS(ESIpos):m/z=521[M+H]
【0115】
実施例6A
5−クロロ−N−[2−(4−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化35】

段階a:5−クロロ−N−[1−ヒドロキシ−2−(4−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化36】

アルゴン下、0℃で、247mg(6.5mmol、2.2当量)の水素化ホウ素ナトリウムを6mlのメタノールおよび60mlのジクロロメタンの混合物中の2.3g(純度70%、3.0mmol)の5−クロロ−N−[2−(4−ヨードベンジル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(実施例5A)の溶液に加える。反応混合物をRTで1.5時間撹拌し、塩酸(1N)を使用してpH5に調節する。得られた沈殿を濾取し、水およびジクロロメタンで洗浄し、減圧下乾燥する。
収量:1.5g(純度88%、理論値の57%)
LC−MS(方法1):R=2.93分;
MS(ESIpos):m/z=525[M+H]
【0116】
段階b:5−クロロ−N−[2−(4−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化37】

アルゴン下、室温で、2.7ml(35.0mmol、13当量)のトリフルオロ酢酸および0.93ml(5.8mmol、2.2当量)のトリエチルシランを20mlのジクロロメタン中の1.5g(純度88%、2.6mmol)の5−クロロ−N−[1−ヒドロキシ−2−(4−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミドの懸濁液に滴下する。反応混合物をRTで1時間撹拌し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を加える。ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。
収量:1.4g(理論値の95%)
LC−MS(方法3):R=3.32分;
MS(ESIpos):m/z=509[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.27 (s, 1H), 8.25 (d, 1H), 7.72 (d, 2H), 7.64 (d, 1H), 7.59 (t, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.13 (d, 2H), 4.71 (s, 2H), 4.43 (s, 2H).
【0117】
実施例7A
5−クロロ−N−[2−(3−ヨードベンジル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化38】

RTで、10.3ml(59.0mmol、5当量)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを50mlのジオキサン中の3.6g(11.8mmol)の5−クロロ−N−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド(実施例3A)および2.7g(11.8mmol、1当量)の1−(3−ヨードフェニル)メタンアミンの溶液に加える、反応混合物を還流下、9時間撹拌し、氷浴で冷却する。得られた沈殿を濾取し、ジオキサンで洗浄し、減圧下乾燥する。合わせた母液を減圧下濃縮する。残渣をアセトンでトリチュレートし、沈殿を濾取し、アセトンで洗浄し、減圧下乾燥する。
収量:3.9g(理論値の62%)
LC−MS(方法3):R=3.36分;
MS(ESIpos):m/z=523[M+H]
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.40 (s, 1H), 8.33 (d, 1H), 7.87 (t, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.67 (2xd, 2H), 7.37 (d, 1H), 7.34 (d, 1H), 7.15 (t, 1H), 4.73 (s, 2H).
【0118】
実施例8A
5−クロロ−N−[2−(3−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化39】

段階a):5−クロロ−N−[1−ヒドロキシ−2−(3−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化40】

アルゴン下、0℃で、398mg(10.5mmol、1.5当量)の水素化ホウ素ナトリウムを8mlのメタノールおよび80mlのジクロロメタンの混合物中の3.7g(7.0mmol)の5−クロロ−N−[2−(3−ヨードベンジル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(実施例7A)の溶液に加える。反応混合物をRTで1時間撹拌し、塩酸(1N)を使用してpH5に調節する。得られた沈殿を濾取し、水およびジクロロメタンで洗浄し、減圧下乾燥する。
収量:2.3g(理論値の61%)
LC−MS(方法3):R=3.10分;
MS(ESIpos):m/z=525[M+H]
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.00 (s, 1H), 8.30 (d, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.69-7.61 (m, 3H), 7.37 (d, 1H), 7.35-7.30 (m, 2H), 7.15 (t, 1H), 7.00 (d, 1H), 5.80 (d, 1H), 4.80 (d, 1H), 4.43 (d, 1H).
【0119】
段階b):5−クロロ−N−[2−(3−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化41】

アルゴン下、室温で、4.0ml(51.5mmol、12当量)のトリフルオロ酢酸および1.4ml(8.6mmol、2当量)のトリエチルシランを30mlのジクロロメタン中の2.3g(4.3mmol)の5−クロロ−N−[1−ヒドロキシ−2−(3−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミドの懸濁液に滴下する。反応混合物をRTで20時間撹拌し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を加える。ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機相を飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。
収量:1.5g(理論値の97%)
LC−MS(方法3):R=3.33分;
MS(ESIpos):m/z=509[M+H]
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.23 (s, 1H), 8.27 (d, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.61 (t, 1H), 7.33 (d, 2H), 7.29 (d, 1H), 7.19 (t, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.46 (s, 2H).
【0120】
実施例9A
4−アミノ−2−(3−ヨードベンジル)イソインドリン−1−オン
【化42】

段階a):メチル2−(ブロモメチル)−3−ニトロベンゾエート
【化43】

300mlの四塩化炭素中の21g(109mmol)のメチル2−メチル−3−ニトロベンゾエートの溶液を還流下で撹拌し、23g(130mmol、1.2当量)のN−ブロモスクシンイミドおよび1.8g(11mmol、0.1当量)の2,2’−アゾビス−2−メチルプロパンニトリルを加え、混合物を還流下一晩撹拌する。室温に冷却後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、繰り返し水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。
収量:31g(定量)
HPLC(方法12):R=4.33分;
MS(ESIpos):m/z=273[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.16 (d, 1H), 8.11 (d, 1H), 7.74 (t, 1H), 5.03 (s, 2H), 3.92 (s, 3H).
【0121】
段階b):2−(3−ヨードベンジル)−4−ニトロイソインドリン−1−オン
【化44】

RTで、1.3ml(9.1mmol、1.1当量)のトリエチルアミンを40mlのメタノール中の2.3g(8.2mmol)のメチル2−(ブロモメチル)−3−ニトロベンゾエートおよび1.9g(8.2mmol、1当量)の1−(3−ヨードフェニル)メタンアミンの溶液に加える。反応混合物を還流下3時間撹拌する。室温に冷却後、飽和水性塩化アンモニウム溶液を反応混合物に加える。ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/シクロヘキサン 2:1→ジクロロメタン)により単離する。
収量:2.8g(理論値の87%)
LC−MS(方法1):R=2.29分;
MS(ESIpos):m/z=395[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.43 (d, 1H), 8.18 (d, 1H), 7.82 (t, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.18 (t, 1H), 4.84 (s, 2H), 4.77 (s, 2H).
【0122】
段階c):4−アミノ−2−(3−ヨードベンジル)イソインドリン−1−オン
【化45】

RTで、7.4g(32.7mmol、5当量)の塩化スズ(II)二水和物を65mlのエタノール中の2.6g(6.5mmol)の2−(3−ヨードベンジル)−4−ニトロイソインドリン−1−オンの懸濁液に加え、混合物を75℃の油浴温度で2.5時間で撹拌する(溶液の形成)。室温に冷却後、反応混合物を氷水に注ぎ、混合物を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を使用してpH8に調節し、セライトを介して濾過し、フィルターケーキを酢酸エチルで繰り返し洗浄する。相分離後、水性相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。さらなる精製なしで、表題化合物を次の反応のために使用する。
収量:2.0g(理論値の93%)
LC−MS(Method8):R=2.05分;
MS(ESIpos):m/z=365[M+H]
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.70-7.62 (m, 2H), 7.26 (d, 1H), 7.22-7.15 (m, 2H), 6.91 (d, 1H), 6.76 (d, 1H), 5.40 (s, 2H), 4.69 (s, 2H), 4.11 (s, 2H).
【0123】
実施例10A
5−クロロ−N−[2−(3−ヨードベンジル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化46】

RTで、335mg(0.88mmol、1.1当量)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニムヘキサフルオロリン酸(HATU)および0.28ml(1.6mmol、2当量)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを4mlのジメチルホルムアミド中の130mg(0.80mmol)の5−クロロチオフェンカルボン酸の溶液に加え、混合物を30分撹拌し、291mg(0.80mmol)の4−アミノ−2−(3−ヨードベンジル)イソインドリン−1−オン(実施例9A)を加え、混合物をRTで一晩撹拌する。表題化合物を分取RP−HPLC(CromSil C18、アセトニトリル/水グラジエント)により単離する。
収量:270mg(理論値の66%)
LC−MS(方法8):R=2.64分;
MS(ESIpos):m/z=509[M+H]
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): 勾配 = 10.39 (s, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.70-7.64 (m, 3H), 7.61 (d, 1H), 7.55 (t, 1H), 7.32-7.25 (m, 2H), 7.16 (t, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.41 (s, 2H).
【0124】
実施例11A
N−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)フェニレン−1,4−ジアミン
【化47】

段階a):2−[(4−ニトロフェニル)アミノ]エタノール
【化48】

RTで、130ml(2.15mol、3当量)の2−アミノエタノールおよび274ml(1.57mol、2.2当量)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを500mlのエタノール中の101g(716mmol)の4−フルオロニトロフェノールの溶液に加える。反応混合物を50℃で一晩撹拌し、さらに86ml(1.43mol、2.0当量)の2−アミノエタノールおよび249ml(1.43mol、2.0当量)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを次に加え、混合物を50℃でさらに12時間撹拌する。反応溶液を減圧下濃縮し、残渣を600mlの水でトリチュレートする。形成した沈殿を濾取し、繰り返し水で洗浄し、乾燥させる。
収量:127g(理論値の97%)
LC−MS(方法5):R=2.32分;
MS(ESIpos):m/z=183[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 7.99 (d, 2H), 7.30 (t, 1H), 6.68 (d, 2H), 4.82 (t, 1H), 3.63-3.52 (m, 2H), 3.30-3.19 (m, 2H).
【0125】
段階b):N−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−4−ニトロアニリン
【化49】

RTで、30.6g(203mmol、1.2当量)のtert−ブチルジメチルクロロシランおよび17.3g(254mmol、1.5当量)のイミダゾールを300mlのDMF中の30.8g(169mmol)の2−[(4−ニトロフェニル)アミノ]エタノールの溶液に加え、混合物をRTで2.5時間撹拌する。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣を200mlのジクロロメタンおよび100mlの水に溶解させる。相分離後、水性相をジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。
収量:49.7g(定量)
LC−MS(方法3):R=3.09分;
MS(ESIpos):m/z=297[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 7.98 (d, 2H), 7.29 (t, 1H), 6.68 (d, 2H), 3.77-3.66 (m, 2H), 3.35-3.24 (m, 2H), 0.81 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0126】
段階c):N−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)フェニレン−1,4−ジアミン
【化50】

アルゴン下、4gのパラジウム活性炭素(10%)を500mlのエタノール中の59.5g(201mmol)のN−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−4−ニトロアニリンの溶液に加え、混合物をRTで大気圧下、水素雰囲気下で水素化する。触媒をフィルターバンドを介して分離し、エタノールで洗浄し、濾液を減圧下濃縮する。
収量:53g(定量)
LC−MS(方法2):R=1.83分;
MS(ESIpos):m/z=267[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 6.42-6.30 (m, 4H), 4.48 (t, 1H), 4.21 (br. s, 2H), 3.68-3.58 (m, 2H), 3.04-2.93 (m, 2H), 0.82 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0127】
実施例12A
2−[(4−アミノフェニル)アミノ]エタノール
【化51】

アルゴン下、200mgのパラジウム活性炭素(10%)を30mlのエタノール中の2.0g(11mmol)の2−[(4−ニトロフェニル)アミノ]エタノール(実施例11A、段階a)の溶液に加え、混合物をRTで大気圧下、水素雰囲気下で水素化する。触媒をフィルターバンドを介して分離し、エタノールで洗浄し、濾液を減圧下濃縮する。触媒をフィルターを介して除去し、エタノールで洗浄し、濾液を減圧下濃縮する。
収量:1.7g(理論値の97%)
LC−MS(方法5):R=0.47分;
MS(ESIpos):m/z=153[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 6.45-6.31 (m, 4H), 4.59 (t, 1H), 4.50 (br. s, 1H), 4.21 (br. s, 2H), 3.52 (q, 2H), 2.97 (t, 2H).
【0128】
実施例
実施例1
5−クロロ−N−{2−[4−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)フェニル]−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化52】

段階a):N−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]フェニル}−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化53】

RTで、2.8ml(16.2mmol、5当量)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを14mlのジオキサン中の1.00g(3.25mmol)の5−クロロ−N−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド(実施例3A)および0.87g(3.25mmol、1当量)のN−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)フェニレン−1,4−ジアミン(実施例11A)の溶液に加える。反応混合物を還流下4時間撹拌し、次に氷浴で冷却する。形成した沈殿を濾取し、ジオキサンで洗浄し、減圧下乾燥する。
収量:0.81g(理論値の45%)
LC−MS(方法1):R=3.59分;
MS(ESIpos):m/z=556[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.47 (s, 1H), 8.41 (d, 1H), 7.89 (t, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.32 (d, 1H), 7.09 (d, 2H), 6.68 (d, 2H), 5.85 (t, 1H), 3.73 (t, 2H), 3.19 (q, 2H), 0.89 (s, 9H), 0.05 (s, 6H).
【0129】
段階b):N−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]フェニル}−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化54】

アルゴン下、室温で、74mg(0.89mmol、3当量)の重炭酸ナトリウムおよび全0.20mlの臭化シアン溶液(ジクロロメタン中で3M、0.60mmol、2当量)を6mlのテトラヒドロフラン中の164mg(0.30mmol)のN−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]フェニル}−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加え、混合物を40℃で6日撹拌する。水/ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物を粗生成物をジエチルエーテルでトリチュレートすることにより単離する。
収量:0.12g(理論値の69%)
LC−MS(方法1):R=3.30分;
MS(ESIpos):m/z=581[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.48 (s, 1H), 8.41 (d, 1H), 7.91 (t, 1H), 7.79 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.50 (d, 2H), 7.36 (d, 2H), 7.34 (d, 1H), 3.89 (s, 4H), 0.86 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0130】
段階c):5−クロロ−N−{2−[4−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)フェニル]−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化55】

RTで、27μl(0.41mmol、2.1当量)のメタンスルホン酸を18mlのアセトニトリル中の114mg(0.20mmol)のN−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]フェニル}−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの懸濁液に加え(溶液の形成)、混合物をRTで3日撹拌する。表題化合物を形成した沈殿の濾過により単離し、アセトニトリルで洗浄し、減圧下乾燥させる。
収量:46mg(理論値の42%)
HPLC(方法9):R=4.30分;
MS(ESIpos):m/z=467[M+H](遊離塩基);
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.50 (s, 1H), 9.72 (br. s, 1H), 9.10 (br. s, 1H), 8.41 (d, 1H), 7.96 (t, 1H), 7.78 (s, 2H), 7.69 (s, 4H), 7.34 (d, 1H), 4.87 (t, 2H), 4.30 (t, 2H), 2.30 (s, 3H).
【0131】
実施例2
5−クロロ−N−{2−[4−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)フェニル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化56】

段階a):5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル}−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化57】

RTで、5.7ml(32.9mmol、5当量)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを35mlのジオキサン中の2.0g(6.6mmol)の5−クロロ−N−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド(実施例3A)および1.0g(6.6mmol、1当量)の2−[(4−アミノフェニル)アミノ]エタノール(実施例12A)の溶液に加える。反応混合物を還流下5時間撹拌し、次に氷浴で冷却する。形成した沈殿を濾取し、ジオキサンで洗浄し、減圧下乾燥する。
収量:1.9g(理論値の65%)
LC−MS(方法2):R=2.61分;
MS(ESIpos):m/z=442[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.47 (s, 1H), 8.41 (d, 1H), 7.89 (t, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.32 (d, 1H), 7.09 (d, 2H), 6.68 (d, 2H), 5.85 (t, 1H), 4.71 (br. s, 1H), 3.58 (q, 2H), 3.13 (q, 2H).
【0132】
段階b):5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化58】

および5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミドの異性体混合物
【化59】

アルゴン下、0℃で、331mg(8.8mmol、2当量)の水素化ホウ素ナトリウムを60mlのメタノールおよび60mlのジクロロメタンの混合物中の1.9g(4.4mmol)の5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル}−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加える。反応混合物をRTで8時間撹拌し、塩酸(1N)を使用してpH5に調節する。相分離後、水性相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。異性体混合物(1.75g、純度86%、理論値の78%)をさらなる精製なしで次の反応のために使用する。
アルゴン下、室温で、2.7ml(35.3mmol、9当量)のトリフルオロ酢酸および0.94ml(5.9mmol、1.5当量)のトリエチルシランを24mlのジクロロメタン中の1.74g(3.9mmol)の異性体混合物の溶液に滴下する。反応混合物をRTで5日撹拌し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を加える。ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機相を飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、減圧下濃縮する。異性体を分取RP−HPLC(Kromasil 100 C18、アセトニトリル/水/1%強度トリフルオロ酢酸 グラジエント)により単離する。
【0133】
異性体1:
5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
収量:442mg(理論値の25%)
LC−MS(方法1):R=2.34分;
MS(ESIpos):m/z=428[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.43 (s, 1H), 8.30 (d, 1H), 7.66-7.60 (m, 2H), 7.53 (d, 2H), 7.37-7.30 (m, 2H), 6.67 (d, 2H), 5.61 (t, 1H), 4.97 (s, 2H), 4.70 (t, 1H), 3.57 (q, 2H), 3.11 (q, 2H).
【0134】
異性体2:
5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
収量:225mg(理論値の12%)
LC−MS(方法1):R=1.75分;
MS(ESIpos):m/z=428[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.45 (s, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.60-7.49 (m, 4H), 7.28 (d, 1H), 6.64 (d, 2H), 5.52 (t, 1H), 4.88 (s, 2H), 4.69 (t, 1H), 3.55 (q, 2H), 3.10 (q, 2H).
【0135】
段階c):N−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]フェニル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化60】

0℃で、29mg(0.43mmol、2当量)のイミダゾールおよび38mg(0.3mmol、1.2当量)のtert−ブチルジメチルシリルクロライドを12mlのジメチルホルムアミド中の91mg(0.21mmol)の5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド(異性体1)の溶液に加える。反応混合物をRTで19時間撹拌する。表題化合物を分取RP−HPLC(CromSil C18、アセトニトリル/水 グラジエント)により単離する。
収量:32mg(理論値の28%)
LC−MS(方法1):R=3.46分;
MS(ESIpos):m/z=542[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.37 (s, 1H), 8.23 (d, 1H), 7.60-7.53 (m, 2H), 7.49 (d, 2H), 7.31-7.24 (m, 2H), 6.62 (d, 2H), 5.55 (t, 1H), 4.91 (s, 2H), 3.69 (t, 2H), 3.12 (q, 2H), 0.83 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0136】
段階d):N−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]フェニル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化61】

アルゴン下、室温で、13mg(0.15mmol、3当量)の重炭酸ナトリウムおよび全51μlの臭化シアン溶液(3Minジクロロメタン、0.15mmol、3当量)を2mlのテトラヒドロフラン中の28mg(0.05mmol)のN−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]フェニル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加え、混合物を40℃で6日撹拌する。水/ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液および飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物を分取RP−HPLC(CromSil C18、アセトニトリル/水 グラジエント)により単離する。
収量:18mg(理論値の62%)
LC−MS(方法1):R=3.38分;
MS(ESIpos):m/z=567[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.27 (s, 1H), 8.30 (d, 1H), 7.92 (d, 2H), 7.71-7.63 (m, 2H), 7.41-7.33 (m, 2H), 7.30 (d, 2H), 5.08 (s, 2H), 3.86 (s, 4H), 0.83 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0137】
段階e):5−クロロ−N−{2−[4−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)フェニル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化62】

RTで、4μl(0.06mmol、2.1当量)のメタンスルホン酸を50mlのアセトニトリル中の17mg(0.03mmol)のN−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]フェニル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加え、混合物をRTで2日撹拌する。表題化合物を分取RP−HPLC(Kromasil 100 C18、アセトニトリル/水 グラジエント)により単離する。
収量:10mg(理論値の59%)
LC−MS(方法3):R=1.79分;
MS(ESIpos):m/z=453[M+H](遊離塩基);
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.21 (s, 1H), 9.40 (br. s, 1H), 8.95 (br. s, 1H), 8.32 (d, 1H), 8.09 (d, 2H), 7.75-7.61 (m, 4H), 7.42 (d, 1H), 7.39 (d, 1H), 5.12 (s, 2H), 4.82 (t, 2H), 4.25 (t, 2H), 2.29 (s, 3H).
【0138】
実施例3
5−クロロ−N−{2−[4−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化63】

段階a):N−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]フェニル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化64】

0℃で、23mg(0.34mmol、2当量)のイミダゾールおよび31mg(0.21mmol、1.2当量)のtert−ブチルジメチルシリルクロライドを3mlのジメチルホルムアミド中の73mg(0.17mmol)の5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド(実施例2、段階b)、異性体2)の溶液に加える。反応混合物をRTで1日撹拌する。表題化合物を分取RP−HPLC(CromSil C18、アセトニトリル/水 グラジエント)により単離する。
収量:28mg(理論値の29%)
LC−MS(方法2):R=3.34分;
MS(ESIpos):m/z=542[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.40 (s, 1H), 7.89 (d, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.60-7.51 (m, 2H), 7.49 (d, 2H), 7.28 (d, 1H), 6.60 (d, 2H), 5.50 (t, 1H), 4.84 (s, 2H), 3.67 (t, 2H), 3.12 (q, 2H), 0.82 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0139】
段階b):N−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]フェニル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化65】

アルゴン下、室温で、11mg(0.13mmol、3当量)の重炭酸ナトリウムおよび全24μlの臭化シアン溶液(ジクロロメタン中で3M、0.07mmol、1.7当量)を2mlのテトラヒドロフラン中の23mg(0.04mmol)のN−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]フェニル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加え、混合物を40℃で3日撹拌する。水/ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液および飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物をさらなる精製なしで次の反応のために使用する。
収量:22mg(理論値の86%)
LC−MS(方法1):R=3.01分;
MS(ESIpos):m/z=567[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.49 (s, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.75 (d, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.28 (d, 2H), 5.00 (s, 2H), 3.83 (s, 4H), 0.83 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0140】
段階c):5−クロロ−N−{2−[4−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化66】

RTで、5μl(0.07mmol、2.1当量)のメタンスルホン酸を5mlアセトニトリル中の20mg(0.04mmol)のN−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]フェニル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの懸濁液に加え、混合物をRTで2日撹拌する。表題化合物をジエチルエーテルでのトリチュレーションにより単離する。
収量:7mg(理論値の32%)
LC−MS(方法2):R=1.76分;
MS(ESIpos):m/z=453[M+H](遊離塩基);
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.59 (s, 1H), 9.59 (br. s, 1H), 8.86 (br. s, 1H), 8.10 (d, 2H), 7.97 (d, 1H), 7.78-7.68 (m, 2H), 7.66-7.55 (m, 3H), 7.33 (d, 1H), 5.05 (s, 2H), 4.87 (t, 2H), 4.26 (t, 2H), 2.30 (s, 3H).
【0141】
実施例4
5−クロロ−N−{2−[4−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)ベンジル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化67】

段階a):5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化68】

アルゴン下、室温で、0.31ml(5.5mmol、4当量)の1,2−エタンジオ−ル、700mg(1.38mmol)の5−クロロ−N−[2−(4−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(実施例6A)および0.5ml(8.3mmol、6当量)の2−アミノエタノールを20mlのイソプロパノール中の26mg(0.14mmol、0.1当量)のヨウ化銅(I)および1.17g(5.5mmol、4当量)のリン酸カリウム懸濁液に加える。反応混合物を80℃、一晩で撹拌し、室温に冷却後、濾過し、残渣をイソプロパノールで洗浄する。合わせた濾液を減圧下濃縮する。表題化合物を分取RP−HPLC(CromSil C18、アセトニトリル/水 グラジエント)により単離する。
収量:220mg(理論値の36%)
LC−MS(方法1):R=2.33分;
MS(ESIpos):m/z=442[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.37 (s, 1H), 8.24 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.58 (t, 1H), 7.34 (d, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.04 (d, 2H), 6.56 (d, 2H), 5.54 (t, 1H), 4.66 (t, 1H), 4.58 (s, 2H), 4.37 (s, 2H), 3.52 (q, 2H), 3.06 (q, 2H).
【0142】
段階b):N−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化69】

0℃で、68mg(1.0mmol、2当量)のイミダゾールおよび90mg(0.6mmol、1.2当量)のtert−ブチルジメチルシリルクロライドを8mlのジメチルホルムアミド中の220mg(0.5mmol)の5−クロロ−N−(2−{4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加える。反応混合物をRTで2日撹拌し、減圧下濃縮する。水/ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物さらなる精製なしで次の反応で使用する。
収量:273mg(理論値の94%)
LC−MS(方法3):R=3.63分;
MS(ESIpos):m/z=556[M+H]
【0143】
段階c):N−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化70】

アルゴン下、室温で、122mg(1.46mmol、3.2当量)の重炭酸ナトリウムおよび全0.36mlの臭化シアン溶液(ジクロロメタン中で3M、1.1mmol、2.3当量)を5mlのテトラヒドロフラン中の270mg(0.46mmol)のN−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加え、混合物を40℃で4日撹拌する。水/ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液および飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 100:1)により単離する。
収量:228mg(理論値の79%)
LC−MS(方法3):R=3.47分;
MS(ESIpos):m/z=581[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.34 (s, 1H), 8.31 (d, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.65 (t, 1H), 7.43 (d, 2H), 7.40 (d, 1H), 7.32 (d, 1H), 7.23 (d, 2H), 4.78 (s, 2H), 4.46 (s, 2H), 3.88 (s, 4H), 0.82 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0144】
段階d):5−クロロ−N−{2−[4−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)ベンジル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化71】

RTで、53μl(0.82mmol、2.1当量)のメタンスルホン酸および25mlのアセトニトリルを20mlのアセトニトリル中の228mg(0.39mmol)のN−(2−{4−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの懸濁液に加える。反応溶液をRTで一晩撹拌し、減圧下濃縮する。表題化合物を粗生成物をジクロロメタンでトリチュレートすることにより単離する。
収量:206mg(理論値の80%)
LC−MS(方法5):R=3.24分;
MS(ESIpos):m/z=467[M+H](遊離塩基);
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.27 (s, 1H), 9.61 (br. s, 1H), 8.80 (br. s, 1H), 8.28 (d, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.62 (t, 1H), 7.52 (s, 4H), 7.36 (d, 1H), 7.31 (d, 1H), 4.83 (t, 2H), 4.81 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 4.22 (t, 2H), 2.33 (s, 3H).
【0145】
実施例5
5−クロロ−N−{2−[3−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)ベンジル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化72】

段階a):5−クロロ−N−(2−{3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化73】

アルゴン下、室温で、0.88ml(16mmol、4当量)の1,2−エタンジオール、2.0g(4.0mmol)の5−クロロ−N−[2−(3−ヨードベンジル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(実施例8A)および1.4ml(24mmol、6当量)の2−アミノエタノールを50mlのイソプロパノール中の75mg(0.4mmol、0.1当量)のヨウ化銅(I)および3.4g(16mmol、4当量)のリン酸カリウムの懸濁液に加える。反応混合物を80℃で2.5日撹拌し、室温に冷却後、濾過し、残渣をイソプロパノールで洗浄する。合わせた濾液を減圧下濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 80:1→30:1)により単離する。
収量:489mg(83%純度、理論値の23%)
LC−MS(方法1):R=2.83分;
MS(ESIpos):m/z=442[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.33 (s, 1H), 8.26 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.59 (t, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.05 (t, 1H), 6.53-6.43 (2d, 3H), 5.58 (t, 1H), 4.64 (t, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 3.52 (q, 2H), 3.06 (q, 2H).
【0146】
段階b):N−(2−{3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化74】

RTで、125mg(1.8mmol、2当量)のイミダゾールおよび166mg(1.1mmol、1.2当量)のtert−ブチルジメチルシリルクロライドを30mlのテトラヒドロフラン中の490mg(83%純度、0.9mmol)の5−クロロ−N−(2−{3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加える。反応混合物をRTで3日撹拌する。水/ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機相を水および飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物を分取RP−HPLC(CromSil C18、アセトニトリル/水 グラジエント)により単離する。
収量:343mg(理論値の67%)
LC−MS(方法7):R=3.63分;
MS(ESIpos):m/z=556[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.35 (s, 1H), 8.27 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.59 (t, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.05 (t, 1H), 6.53-6.43 (m, 3H), 5.59 (t, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 3.65 (t, 2H), 3.11 (q, 2H), 0.80 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0147】
段階c):N−(2−{3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化75】

アルゴン下、室温で、154mg(1.83mmol、3当量)の重炭酸ナトリウムおよび全0.43mlの臭化シアン溶液(ジクロロメタン中で3M、1.3mmol、2.1当量)を15mlのテトラヒドロフラン中の339mg(0.61mmol)のN−(2−{3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加え、混合物を40℃で6日撹拌する。水/ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液および飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物を分取RP−HPLC(CromSil C18、アセトニトリル/水 グラジエント)により単離する。
収量:273mg(理論値の73%)
LC−MS(方法1):R=3.32分;
MS(ESIpos):m/z=581[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.41 (s, 1H), 8.38 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.72 (t, 1H), 7.53 (t, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.40 (d, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.19 (d, 1H), 4.89 (s, 2H), 4.55 (s, 2H), 3.98-3.88 (m, 4H), 0.86 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0148】
段階d):5−クロロ−N−{2−[3−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)ベンジル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化76】

RTで、61μl(0.93mmol、2.1当量)のメタンスルホン酸を15mlのアセトニトリル中の272mg(0.44mmol)のN−(2−{3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]ベンジル}−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加え、混合物をRTで20時間撹拌する。表題化合物を形成した沈殿の濾過により単離し、アセトニトリルで洗浄し、減圧下乾燥する。
収量:97mg(理論値の39%)
HPLC(方法11):R=4.48分;
MS(DCI、NH):m/z=484[M+NH(遊離塩基);
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.29 (s, 1H), 9.58 (br. s, 1H), 8.80 (br. s, 1H), 8.28 (d, 1H), 7.64 (d, 1H), 7.63-7.53 (m, 2H), 7.49-7.41 (m, 3H), 7.36 (d, 1H), 7.31 (d, 1H), 4.82 (s, 2H und t, 2H), 4.52 (s, 2H), 4.23 (t, 2H), 2.29 (s, 3H).
【0149】
実施例6
5−クロロ−N−{2−[3−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)ベンジル]−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化77】

段階a):5−クロロ−N−(2−{3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンジル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化78】

アルゴン下、室温で、0.69ml(12.4mmol、4当量)の1,2−エタンジオール、1.9g(3.1mmol)の5−クロロ−N−[2−(3−ヨードベンジル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(実施例10A)および1.12ml(18.6mmol、6当量)の2−アミノエタノールを65mlのイソプロパノール中の59mg(0.3mmol、0.1当量)のヨウ化銅(I)および2.6g(12.4mmol、4当量)のリン酸カリウムの懸濁液に加える。反応混合物を80℃で3日撹拌し、室温に冷却後、濾過し、残渣をイソプロパノールで洗浄する。合わせた濾液を減圧下濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 60:1→20:1)により単離する。
収量:780mg(85%純度、理論値の49%)
LC−MS(方法7):R=2.07分;
MS(ESIpos):m/z=442[M+H]
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.39 (s, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.54 (t, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.03 (t, 1H), 6.50-6.43 (m, 2H), 6.41 (d, 1H), 5.57 (t, 1H), 4.65 (t, 1H), 4.60 (s, 2H), 4.38 (s, 2H), 3.51 (q, 2H), 3.04 (q, 2H).
【0150】
段階b):N−(2−{3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ベンジル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化79】

RTで、183mg(2.7mmol、2当量)のイミダゾールおよび243mg(1.6mmol、1.2当量)のtert−ブチルジメチルシリルクロライドを53mlのテトラヒドロフラン中の698mg(85%純度、1.3mmol)の5−クロロ−N−(2−{3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンジル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加える。反応混合物をRTで1日撹拌し、さらなる162mg(1.1mmol、0.8当量)のtert−ブチルジメチルシリルクロライドを加え、混合物をRTでさらに2時間撹拌する。水/ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物を分取RP−HPLC(CromSil C18、アセトニトリル/水 グラジエント)により単離する。
収量:391mg(理論値の52%)
LC−MS(方法8):R=3.14分;
MS(ESIpos):m/z=556[M+H]
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.41 (s, 1H), 7.39 (d, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.59 (t, 1H), 7.30 (d, 1H), 7.06 (t, 1H), 6.53-6.47 (m, 2H), 6.55 (d, 1H), 5.61 (t, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.69 (t, 2H), 3.12 (q, 2H), 0.83 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0151】
段階c):N−(2−{3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]ベンジル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化80】

アルゴン下、室温で、175mg(2.08mmol、3当量)の重炭酸ナトリウムおよび全0.44mlの臭化シアン溶液(ジクロロメタン中で3M、1.32mmol、1.9当量)を15mlテトラヒドロフラン中の386mg(0.69mmol)のN−(2−{3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノベンジル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加え、混合物を40℃で4日撹拌する。水/ジクロロメタンの添加および相分離後、水性相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を飽和水性重炭酸ナトリウム溶液および飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。表題化合物をさらなる精製なしで次の反応で使用する。
収量:375mg(理論値の93%)
LC−MS(方法7):R=3.12分;
MS(ESIpos):m/z=581[M+H]
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.56 (s, 1H), 7.97 (d, 1H), 7.75 (t, 2H), 7.68 (t, 1H), 7.50 (t, 1H), 7.39 (d, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.24 (dd, 1H), 7.11 (d, 1H), 4.87 (s, 2H), 4.46 (s, 2H), 3.93 (s, 4H), 0.86 (s, 9H), 0.0 (s, 6H).
【0152】
段階d):5−クロロ−N−{2−[3−(2−イミノ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)ベンジル]−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル}チオフェン−2−カルボキサミドメタンスルホネート
【化81】

RTで、82μl(1.34mmol、2.1当量)のメタンスルホン酸を25mlのアセトニトリル中の370mg(0.64mmol)のN−(2−{3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)(シアノ)アミノ]ベンジル}−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドル−4−イル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミドの溶液に加え、混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物を減圧下濃縮し、表題化合物をアセトンで粗生成物をトリチュレートすることにより単離する。
収量:270mg(理論値の74%)
HPLC(方法7):R=1.42分;
MS(ESIpos):m/z=467[M+H](遊離塩基);
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.50 (s, 1H), 9.59 (br. s, 1H), 8.83 (br. s, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.68-7.60 (m, 2H), 7.60-7.50 (m, 2H), 7.47-7.41 (m, 2H), 7.40 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 4.86-4.73 (s, 2H und t, 2H), 4.46 (s, 2H), 4.21 (t, 2H), 2.31 (s, 3H).
【0153】
B. 薬理活性の評価
本発明による化合物は、特に凝血因子Xaの選択的阻害剤として作用し、プラスミンまたはトリプシンなどの他のセリンプロテアーゼを阻害しないか、または、顕著に高い濃度でのみ阻害する。
【0154】
「選択的」は、Xa因子阻害のIC50値が、他のセリンプロテアーゼ、特にプラスミンおよびトリプシンの阻害のIC50値と比較して、少なくとも100倍低い、凝血因子Xaの阻害剤である。ここで、選択性の試験方法に関して、下記の実施例B.a.1)およびB.a.2)の試験方法を参照する。
【0155】
本発明による化合物の有利な薬理特性は、以下の方法により測定できる。
a)試験の説明(インビトロ)
a.1)Xa因子阻害の測定
ヒトXa因子(FXa)の酵素活性を、FXa特異的発色基質の変換を使用して測定する。Xa因子は、発色基質からp−ニトロアニリンを切断する。測定は、マイクロタイタープレートで以下の通りに実施する。
【0156】
試験物質を様々な濃度でDMSOに溶解し、ヒトFXa(0.5nmol/l、50mmol/lトリスバッファー[C,C,C−トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン]、150mmol/l NaCl、0.1%BSA[ウシ血清アルブミン]、pH=8,3に溶解)と、25℃で10分間インキュベートする。純粋なDMSOを対照として使用する。次いで、発色基質(150μmol/l Pefachrome(登録商標) FXa、Pentapharm より)を添加する。25℃で20分間のインキュベーション時間の後、405nmの吸光度を測定する。試験物質を含有する試験混合物の吸光度を、試験物質を含まない対照混合物と比較し、これらのデータからIC50値を算出する。
【0157】
この試験の代表的活性データを下表1に示す:
表1
【表2】

【0158】
a.2)選択性の測定
選択的FXa阻害を立証するために、トリプシンおよびプラスミンなどの他のヒトセリンプロテアーゼの阻害について試験物質を調べる。トリプシン(500mU/ml)およびプラスミン(3.2nmol/l)の酵素活性を測定するために、これらの酵素をTrisバッファー(100mmol/l、20mmol/l CaCl、pH=8.0)に溶解し、試験物質または溶媒と10分間インキュベートする。次いで、適切な特異的発色基質(Chromozym Trypsin(登録商標)および Chromozym Plasmin(登録商標);Roche Diagnostics より)の添加により酵素反応を開始し、20分後に吸光度を405nmで測定する。全ての測定は37℃で実行する。試験物質を含む試験バッチの吸光度を、試験物質を含まない対照サンプルと比較し、これらのデータからIC50値を算出する。
【0159】
a.3)抗凝血活性の測定
試験物質の抗凝血活性をインビトロでヒトおよびウサギの血漿で測定する。この目的で、0.11モル濃度クエン酸ナトリウム溶液を受容液として使用して、クエン酸ナトリウム/血液の混合比1/9で血液を採取する。血液を採取した直後に、それを徹底的に混合し、約2500gで10分間遠心分離する。上清をピペットで取り出す。市販の試験キット(Hemoliance(登録商標) RecombiPlastin、Instrumentation Laboratory より)を使用して、プロトロンビン時間(PT、同義語:トロンボプラスチン時間、クイック試験(quick test))を様々な濃度の試験物質または対応する溶媒の存在下で測定する。試験化合物を血漿と37℃で3分間インキュベートする。次いで、トロンボプラスチンの添加により凝血を開始し、凝血が起こる時間を測定する。プロトロンビン時間の倍増をもたらす試験物質の濃度を測定する。
【0160】
b)抗血栓活性(インビボ)の測定
b.1)動静脈シャントモデル(ウサギ)
絶食しているウサギ(系統:Esd:NZW)を、Rompun/Ketavet 溶液(各々5mg/kgおよび40mg/kg)の筋肉内投与により麻酔する。C.N. Berry ら [Semin. Thromb. Hemost. 1996, 22, 233-241] により記載された方法に従い、動静脈シャントにおいて、血栓形成を開始させる。この目的で、左頸静脈および右頸動脈を露出させる。長さ10cmの静脈カテーテルを使用して、2本の血管を体外シャントにより連結する。中央で、このカテーテルを、ループを形成するように配列した粗いナイロン糸を含む長さ4cmのさらなるポリエチレンチューブ(PE160、Becton Dickenson)に取り付け、血栓形成性表面を形成させる。体外循環を15分間維持する。次いでシャントを除去し、血栓を伴うナイロン糸の重さを直ちに測定する。ナイロン糸自体の重量は、実験開始前に測定した。体外循環を設置する前に、耳静脈を介して静脈内に、または咽頭チューブを使用して経口で、試験物質を投与する。
【0161】
c)溶解性アッセイ
必要な試薬:
・PBSバッファーpH7.4:NaCl p.a. 90.00g(例えば、Merck, Art. No. 1.06404.1000)、KHPO p.a. 13.61g(例えば、Merck, Art. No. 1.04873.1000)および1N NaOH83.35g(例えば Bernd Kraft GmbH, Art. No. 01030.4000)を1lのメスフラスコ中に秤量し、フラスコを水で満たし、混合物を約1時間撹拌する。
・酢酸バッファーpH4.6:酢酸ナトリウム5.4gx3HO p.a.(例えば、Merckより、Art. No. 1.06267.0500)を、100mlのメスフラスコ中に秤量し、水50mlに溶解し、氷酢酸2.4gを添加し、混合物を水で100mlとし、pHを確認し、必要であればpH4.6に調節する。
・ジメチルスルホキシド(例えば Baker, Art. No. 7157.2500)
・蒸留水
【0162】
較正溶液の調製:
較正溶液の原液の調製:活性化合物約0.5mgを、2mlの Eppendorf Safe-Lock tube (Eppendorf, Art. No. 0030 120.094) に正確に秤量し、DMSOを600μg/mlの濃度まで(例えば活性化合物0.5mg+DMSO833μl)添加し、全てが溶解するまで混合物をボルテックスする。
較正溶液1(20μg/ml):DMSO1000μlを原液34.4μlに添加し、混合物をホモジナイズする。
較正溶液2(2.5μg/ml):DMSO700μlを較正溶液1 100μlに添加し、混合物をホモジナイズする。
【0163】
サンプル溶液の調製:
PBSバッファーpH7.4中、10g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:活性化合物約5mgを、2mlの Eppendorf Safe-Lock tube (Eppendorf より、Art. No. 0030 120.094)に正確に秤量し、PBSバッファーpH7.4を5g/lの濃度まで添加する(例えば、活性化合物5mg+PBSバッファーpH7.4 500μl)。
【0164】
酢酸バッファーpH4.6中、10g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:活性化合物約5mgを、2mlの Eppendorf Safe-Lock tube (Eppendorf より、Art. No. 0030 120.094)に正確に秤量し、酢酸バッファーpH4.6を5g/lの濃度まで添加する(例えば活性化合物5mg+酢酸バッファーpH4.6 500μl)。
【0165】
水中、10g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:活性化合物約5mgを、2mlの Eppendorf Safe-Lock tube (Eppendorf より、Art. No. 0030 120.094)に正確に秤量し、水を5g/lの濃度まで添加する(例えば活性化合物5mg+水500μl)。
【0166】
実施:
かくして調製されたサンプル溶液を、温度調節できる振盪機(例えば、互換性ブロック Art. No. 5362.000.019 を備えた Eppendorf Thermomixer comfort Art. No. 5355 000.011)で、1400rpm、20℃で24時間振盪する。これらの溶液から各場合で180μlを取り、Beckman Polyallomer 遠心管 (Art. No. 343621)に移す。これらの溶液を約223000gで1時間遠心分離する(例えば Beckman Optima L-90K 超遠心機、タイプ 42.2 Ti ローターを用いて、42000rpmで)。各サンプル溶液から、上清100μlを取り出し、使用した各溶媒(水、PBSバッファー7.4または酢酸バッファーpH4.6)で1:5、1:100および1:1000に希釈する。各希釈から、サンプルをHPLC分析に適する容器に移す。
【0167】
分析:
サンプルをRP−HPLCにより分析する。DMSO中の試験化合物の2点較正曲線を使用して、定量を実施する。溶解度をmg/lで表示する。
分析順序:
1. 較正溶液2.5mg/ml
2. 較正溶液20μg/ml
3. サンプル溶液1:5
4. サンプル溶液1:100
5. サンプル溶液1:1000
【0168】
酸用のHPLC方法:
DAD(G1315A)、定量ポンプ(G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えた Agilent 1100;カラム:Phenomenex Gemini C18, 50 x 2 mm, 5 μ;温度:40℃;移動相A:水/リン酸pH2;移動相B:アセトニトリル;流速:0.7ml/分;グラジエント:0−0.5分85%A、15%B;傾斜:0.5−3分10%A、90%B;3−3.5分10%A、90%B;傾斜:3.5−4分85%A、15%B;4−5分85%A、15%B。
【0169】
塩基用のHPLC方法:
DAD(G1315A)、定量ポンプ(G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えた Agilent 1100;カラム:VDSoptilab Kromasil 100 C18, 60 x 2.1 mm, 3.5 μ;温度:30℃;移動相A:水+5ml過塩素酸/l;移動相B:アセトニトリル;流速:0.75ml/分;グラジエント:0−0.5分98%A、2%B;傾斜:0.5−4.5分10%A、90%B;4.5−6分10%A、90%B;傾斜:6.5−6.7分98%A、2%B;6.7−7.5分98%A、2%B。
【0170】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明による化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明による化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF, Ludwigshafen, Germanyより)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明による化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、次いで、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機を使用して打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。ガイドラインとして、打錠力15kNを打錠に使用する。
【0171】
経口懸濁剤:
組成:
本発明による化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標)(FMC, Pennsylvania, USA のキサンタンガム)400mgおよび水99g。
経口懸濁液10mlは、本発明による化合物の単回用量100mgに相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明による化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0172】
経口液剤:
組成:
本発明による化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明による化合物の単回用量100mgに相当する。
製造:
本発明による化合物を、撹拌しながら、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に懸濁する。本発明による化合物が完全に溶解するまで、撹拌を継続する。
【0173】
i.v.液剤:
本発明による化合物を、飽和溶解度より低い濃度で、生理的に許容し得る溶媒(例えば、等張塩化ナトリウム溶液、グルコース溶液5%および/またはPEG400溶液30%)に溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェン不含の注射容器に満たす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
nは、1、2または3の数を表し、
mは、0、1または2の数を表し、
そして、(CH基は、フェニル環に1位または2位で結合し、
は、水素、シアノ、ヒドロキシ、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−シクロアルキルカルボニル、フェニルカルボニル、4ないし7員のヘテロシクリルカルボニルまたは5または6員のヘテロアリールカルボニルを表し、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシメチル、C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルを表し、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシメチル、C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルを表し、
およびRは、水素を表し、
そして、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成するか、
または、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRは、水素を表すか、
または、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
は、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはチエニルを示し、
ここで、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルは、置換基R11および/または置換基R12により、または、2個の異なる置換基R11により、または、2個の異なる置換基Rにより置換されており、
ここで、R11は、環中の窒素原子に隣接していない炭素原子に結合しており、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−シクロアルキルを表し、
12は、環中の窒素原子に隣接している炭素原子に結合しており、水素、アミノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノまたはC−C−シクロアルキルを表し、
そして、
ここで、チエニルは、置換基R13および置換基R14により置換されており
ここで、R13は、環中の硫黄原子に隣接している炭素原子に結合しており、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−シクロアルキルを表し、
14は、水素、フッ素、塩素、アミノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノまたはC−C−シクロアルキルを表し、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルを表し、
10は、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−シクロアルキルを表し、
そして、
ここで、Rは、6位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の7位に結合するか、
または、
ここで、Rは、7位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の6位に結合する]
の化合物、またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物。
【請求項2】
nが、1、2または3の数を表し、
mが、0、1または2の数を表し、
そして、(CH基が、フェニル環に1位または2位で結合し、
が、水素、シアノ、ヒドロキシまたはC−C−アルキルを表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシを表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシメチル、シクロプロピル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルを表し、
およびRが、水素を表し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成するか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、水素を表すか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
が、式
【化2】

[式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
11は、フッ素、塩素、エチニル、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシを表し、
12は、アミノ、メチル、メチルアミノまたはジメチルアミノを表し、
13は、フッ素、塩素、エチニル、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシを表し、
そして、
14は、水素を表す]
の基を表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、メトキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニルまたはジメチルアミノカルボニルを表し、
10が、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルまたはメトキシを表し、
そして、
ここで、Rが、6位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の7位に結合するか、
または、
ここで、Rが、7位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の6位に結合することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが、1または2の数を表し、
mが、1の数を表し、
そして、(CH基が、フェニル環に1位または2位で結合し、
が、水素を表し、
が、水素を表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、n−プロピル、メトキシ、エトキシまたはメトキシメチルを表し、
およびRが、水素を表し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成するか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、水素を表すか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
が、式
【化3】

[式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
13は、フッ素、塩素またはメチルを表し、
そして、
14は、水素を表す]
の基を表し、
が、水素を表し、
10が、水素を表し、
そして、
ここで、Rが、6位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の7位に結合するか、
または、
ここで、Rが、7位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の6位に結合することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
nが、1の数を表し、
mが、1の数を表し、
そして、(CH基が、フェニル環に1位または2位で結合し、
が、水素を表し、
が、水素を表し、
が、水素、フッ素、塩素、シアノまたはメチルを表し、
およびRが、水素を表し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成するか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、水素を表すか、
または、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
そして、
およびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
が、式
【化4】

[式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
13は、塩素を表し、
そして、
14は、水素を表す]
の基を表し、
が、水素を表し、
10が、水素を表し、
そして、
ここで、Rが、6位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の7位に結合するか、
または、
ここで、Rが、7位に結合し、そして、R10は、イソインドリン環の6位に結合することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の製造方法であって、
[A]式
【化5】

(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、酸の存在下、臭化シアンと反応させ、Rが水素を表す式(I)の化合物を得るか、
または、
[B]式
【化6】

(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、請求項1に記載の意味を有し、そして、
PGは、ヒドロキシル保護基、好ましくはトリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルを表す)
の化合物を、先ず不活性溶媒中で臭化シアンと、好ましくは塩基の存在下、式
【化7】

(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、請求項1に記載の意味を有し、そして、
PGは、ヒドロキシル保護基、好ましくはトリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルを表す)
の化合物に変換し、次いで、保護基PGの除去により、式
【化8】

(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物に変換し、さらに、式(V)の化合物を、不活性溶媒中、酸の存在下で環化する三段階の工程で、Rが水素を表す式(I)の化合物を得るか、
または、
[C]式(II)の化合物を、第1段階で、式
【化9】

(式中、Rは、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−シクロアルキルカルボニル、フェニルカルボニル、4員ないし7員の複素環カルボニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリールカルボニルを表す)
の化合物と反応させ、そして、第2段階で環化するか、
または、
[D]式(II)の化合物を、式
【化10】

(式中、Rは、シアノまたはC−C−アルキルを表し、そして、
Aは、脱離基、好ましくはフェノキシまたはメチルチオを表す)
の化合物と反応させるか、
または、
[E]Rが水素を表す式(I)の化合物を、ヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させ、Rがヒドロキシルを表す式(I)の化合物を得るか、
のいずれかを特徴とする方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
インビトロで血液凝固を防止するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に許容し得る補助剤と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項11】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を、さらなる活性化合物と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項12】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための、請求項10または請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
抗凝血的に有効な量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物、請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の医薬、または、請求項7または請求項8に従い得られる医薬を使用する、ヒトおよび動物における血栓塞栓性障害の処置および/または予防方法。
【請求項14】
抗凝血的に有効な量の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を添加することを特徴とする、インビトロで血液凝固を防止する方法。

【公表番号】特表2009−538850(P2009−538850A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512477(P2009−512477)
【出願日】平成19年5月26日(2007.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004706
【国際公開番号】WO2007/137800
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】