説明

イソインドリン−1−オン、イソインドリン−3−オンおよびイソインドリン−1,3−ジオン誘導体ならびにそれらの使用

本発明は、新規イソインドリン-1-オン、イソインドリン-3-オンおよびイソインドリン-1,3-ジオン誘導体、それらの製造法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用ならびに疾患、特に、血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための医薬の製造のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規イソインドリン-1-オン、イソインドリン-3-オンおよびイソインドリン-1,3-ジオン誘導体、それらの製造法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用ならびに疾患、特に、血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための医薬の製造のためのそれらの使用に関する。
【0002】
血液凝固は、血管壁の欠損を迅速かつ確実に“ふさぐ”のを助ける生物の保護的機構である。したがって、血液の喪失を避けるか、または最小限に保ち得る。血管損傷後の止血は、主に、血漿タンパク質の複雑な反応の酵素学的カスケードが誘導される凝固系により影響を受ける。多くの血液凝固因子がこの過程に関与し、その各々の因子は、活性化されると、各々の次の不活性前駆体をその活性型に変換する。カスケードの最後に、可溶性フィブリノーゲンの不可溶性フィブリンへの変換が起こり、その結果、血塊の形成を生じる。血液凝固では、伝統的に、最終的に結合反応経路に至る内因性および外因性の系が区別される。ここで、プロ酵素X因子から形成されるXa因子は、それが2つの凝固経路を結合するので、重要な役割を果たす。活性化されたセリンプロテアーゼXaは、プロトロンビンをトロンビンに切断する。生じたトロンビンは、順に、フィブリノーゲンをフィブリンに切断する。次のフィブリンモノマーの架橋により血塊を生じ、したがって、止血される。さらに、トロンビンは、血小板凝集の有力なエフェクターであり、同様に、止血にかなり貢献する。
【0003】
止血は、複雑な制御機構を受ける。無制御の凝固系の活性化または活性過程の欠損阻害は、血管(動脈、静脈、リンパ管)または心腔での局所的な血栓または塞栓症の形成を生じ得る。この結果、重篤な血栓塞栓性障害を生じ得る。さらに、消費性凝固障害の場合には、血液凝固亢進により、−全身的に−播種性血管内凝固症候群を生じ得る。血栓塞栓性合併症はさらに、微小血管症性溶血性貧血、体外血液循環、例えば、血液透析、およびまたは、人工心臓弁と関連して生じる。
【0004】
血栓塞栓性障害は、たいていの先進国における死亡症例の最も頻繁な原因である[Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, Eugene Braunwald, 5th edition, 1997, W.B. Saunders Company, Philadelphia]。
【0005】
先行技術から既知である抗凝固剤、すなわち、血液凝固を妨害する物質は、頻繁に、さまざまな重大な欠点を有する。したがって、実際上、血栓塞栓性障害の有効な処置法または予防は、非常に困難であり、満足のいくものではない。
【0006】
血栓塞栓性障害の治療および予防では、最初、非経腸または皮下に投与されるヘパリンが使用される。より有効な薬物動態のために、最近、ますます好ましいのは、低分子量ヘパリンを提供することであるが;しかしながら、低分子量ヘパリンを用いたときでさえ、ヘパリン治療に関する下記の既知の欠点を避けることはできない。したがって、ヘパリンは、経口で投与するときに有効ではなく、相対的に短い半減期を有する。ヘパリンは、複数の血液凝固カスケードの因子を同時に阻害するので、作用は、非選択的である。さらに、出血の高いリスクが存在し;特に、脳内出血および胃腸内出血を生じ得て、それは、血小板減少症、薬剤誘発脱毛症または骨粗鬆症を生じ得る [Pschyrembel, Klinisches Woerterbuch, 257th edition, 1994, Walter de Gruyter Verlag, page 610, entry “Heparin”; Roempp Lexikon Chemie, Version 1.5, 1998, Georg Thieme Verlag Stuttgart, entry “Heparin”].
【0007】
第2クラスの抗凝固剤は、ビタミンKアンタゴニストである。これらは、例えば、1,3-インダネジオン、および、とりわけ、肝臓でのあるビタミンK依存性凝固因子のさまざまな産物の合成を非選択的な方法で阻害するワルファリン、フェノクロプモン、ジクマロールおよび他のクマリン誘導体のような化合物を含む。しかしながら、作用機序のために、作用の開始は非常に遅い(作用開始までの潜在待ち時間は、36から48時間)。化合物を経口で投与することは可能であるが;出血の高いリスクおよび治療係数の低さのために、時間を要する個々の調節および患者のモニタリングを必要とする[J. Hirsh, J. Dalen, D.R. Anderson et al., “Oral anticoagulants: Mechanism of action, clinical effectiveness, and optimal therapeutic range” Chest 2001, 119, 8S-21S; J. Ansell, J. Hirsh, J. Dalen et al., “Managing oral anticoagulant therapy” Chest 2001, 119, 22S-38S; P.S. Wells, A.M. Holbrook, N.R. Crowther et al., “Interactions of warfarin with drugs and food” Ann. Intern. Med. 1994, 121, 676-683]。
【0008】
最近、血栓塞栓性障害の処置および予防のための新規の治療法が記載された。この新規治療法は、Xa因子を阻害することを目的とする。Xa因子が血液凝固カスケードで果たす中心的な役割のために、Xa因子は、抗凝固剤のための最も重要な標的の1つである[J. Hauptmann, J. Stuerzebecher, Thrombosis Research 1999, 93, 203; S.A.V. Raghavan, M. Dikshit, “Recent advances in the status and targets of antithrombotic agents” Drugs Fut. 2002, 27, 669-683; H.A. Wieland, V. Laux, D. Kozian, M. Lorenz, “Approaches in anticoagulation: Rationales for target positioning” Curr. Opin. Investig. Drugs 2003, 4, 264-271; U.J. Ries, W. Wienen, “Serine proteases as targets for antithrombotic therapy” Drugs Fut. 2003, 28, 355-370; L.-A. Linkins, J.I. Weitz, “New anticoagulant therapy” Annu. Rev. Med. 2005, 56, 63-77; A. Casimiro-Garcia et al., “Progress in the discovery of Factor Xa inhibitors” Expert Opin. Ther. Patents 2006, 15, 119-145]。
【0009】
動物モデルで、さまざまなペプチド性および非ペプチド性化合物がXa因子阻害剤として有効であることが示されてきている。多くの直接のXa因子阻害剤がすでに既知である[J.M. Walenga, W.P. Jeske, D. Hoppensteadt, J. Fareed, “Factor Xa inhibitors: Today and beyond” Curr. Opin. Investig. Drugs 2003, 4, 272-281; J. Ruef, H.A. Katus, “New antithrombotic drugs on the horizon” Expert Opin. Investig. Drugs 2003, 12, 781-797; M.L. Quan, J.M. Smallheer, “The race to an orally active Factor Xa inhibitors: Recent advances” Curr. Opin. Drug Discovery & Development 2004, 7, 460-469]。非ペプチド性低分子量Xa因子阻害剤はまた、例えば、WO 03/099276、WO 03/011858およびWO 03/007942に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ヒトおよび動物で、障害、特に、血栓塞栓性障害を制御するために、同等であるか、または改善された活性を有する新規代替化合物を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、式
【化1】

[式中、
Aは、式
【化2】

(式中、
R1Aは、水素、フッ素、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシまたはC3-C6-シクロアルキルアミノを示し、
ここで、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノは、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキルオキシ、C3-C6-シクロアルキルアミノ、(N-C3-C6-シクロアルキル)(N-C1-C4-アルキル)アミノならびにN-R21、SおよびOからなる群からの環員を含み得る4から7員飽和ヘテロ環からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、R21は、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
ヘテロ環は、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキルおよびオキソからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
R1Bは、水素、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシまたはC3-C6-シクロアルキルアミノを示し、
ここで、アルキルは、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキルオキシ、C3-C6-シクロアルキルアミノ、(N-C3-C6-シクロアルキル)(N-C1-C4-アルキル)アミノならびにN-R21、SおよびOからなる群からの環員を含み得る4から7員飽和ヘテロ環からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、R21は、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
ヘテロ環は、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキルおよびオキソからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
R1Cは、水素、フッ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R1Dは、水素、フッ素、シアノ、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R1Eは、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、#は、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
mは、0、1または2の数を示し、
そして、(CH2)m基は、1もしくは2位でフェニル環に結合し、
R2は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
R3は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
ここで、アルキル、アルコキシおよびアルキルアミノは、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキルオキシ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4-テトラヒドロピラニルおよびNR14R15からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、ピペラジニルおよびピペリジニルは、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
そして、
R14は、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
R15は、水素またはC1-C4-アルキルを示し、
R4およびR5は、水素を示し、
そして、
R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成するか、
または、
R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7は、水素を示すか、
または、
R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
R8は、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはチエニルを示し、
ここで、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルは、置換基R11および/もしくは置換基R12で、または2つの異なる置換基R11で、または2つの異なる置換基R12で置換され、
ここで、
R11は、環内の窒素原子に隣接しない炭素原子に結合して、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R12は、環内の窒素原子に隣接する炭素原子に結合して、水素、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
ここで、チエニルは、置換基R13および置換基R16で置換され、
ここで、
R13は、環内の硫黄原子に隣接する炭素原子に結合して、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R16は、水素、フッ素、塩素、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R9は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
ここで、アルキル、アルコキシおよびアルキルアミノは、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキルオキシ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4-テトラヒドロピラニルおよびNR17R18からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、ピペラジニルおよびピペリジニルは、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
そして、
R17は、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
R18は、水素またはC1-C4-アルキルを示し、
R10は、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1 C4-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
ここで、R9は、イソインドリン環の6位に結合し、R10は、その7位に結合するか、
または、
R9は、イソインドリン環の7位に結合し、R10は、その6位に結合する]
で示される化合物およびそれらの塩の1つ、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0012】
本発明による化合物は、式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物、下記の式の式(I)で構成される化合物およびそれらの塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物、ならびに態様として下記した式(I)で構成されるそれらの塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物である(下記の式(I)で構成される化合物がすでに塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物ではないとき)。
【0013】
本発明による化合物は、それらの構造に依存して、立体異性体型(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。したがって、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の複合体を含む。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの複合体から、既知の方法で、立体異性的に均一な構成要素を単離することは可能である。
【0014】
本発明による化合物が互変異性型で存在し得るとき、本発明は、あらゆる互変異性型を含む。
【0015】
本発明の内容で、好ましいは、本発明による化合物の生理学的に許容される塩である。本発明はまた、それらの部分のために医薬適用に関しては適当ではないが、例えば、本発明による化合物を単離または精製するのに使用し得る塩を含む。
【0016】
本発明による化合物の生理学的に許容される塩は、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩を含む。
【0017】
本発明による化合物の生理学的に許容される塩は、また、慣用的な塩基の塩、例えば、例示として好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)ならびにアンモニアまたは1から16個の炭素原子を有する有機アミン(例えば、例示として好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N-メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN-メチルピペリジン)に由来するアンモニウム塩を含む。
【0018】
本発明の内容で、溶媒和物は、固体もしくは液体状態で、溶媒分子と配位して複合体を形成する本発明による化合物の形態である。水和物は、溶媒和物の特定の形態であり、そこでは、配位は、水である。本発明の内容で、好ましい溶媒和物は、水和物である。
【0019】
さらに、本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグを含む。“プロドラッグ”なる用語は、それらの部分のために、生物学的に活性であるか、または不活性であり得るが、それらが体内にとどまる間に、本発明による化合物に変換される(例えば、代謝的に、または加水分解的に)化合物を含む。
【0020】
本発明の内容で、別に規定がなければ、置換基は、下記の意味を有する:
アルキルそれ自体ならびにアルコキシ、アルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノおよびアルコキシカルボニルアミノ中の“アルキ”および“アルキル”は、一般に、1から4個、好ましくは、1または2個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基を示し、例示として好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルおよびtert-ブチルを示す。
【0021】
例示として好ましくは、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシおよびtert-ブトキシを示す。
【0022】
アルキルアミノは、1または2個のアルキル置換基(互いに独立して選択された)を有するアルキルアミノ基を示し、例示として好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert-ブチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ、N-メチル-N-n-プロピルアミノ、N-イソプロピル-N-n-プロピルアミノおよびN-tert-ブチル-N-メチルアミノを示す。例えば、C1-C3-アルキルアミノは、1から3個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ基を示すか、または、アルキル置換基ごとに各々の場合に1から3個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基を示す。
【0023】
例示として好ましくは、アルコキシカルボニルは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert-ブトキシカルボニルを示す。
【0024】
アルキルアミノカルボニルは、1または2個のアルキル置換基を有するアルキルアミノカルボニル基(互いに独立して選択された)を示し、例示として好ましくは、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n-プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、tert-ブチルアミノカルボニル、N,N-ジメチルアミノカルボニル、N,N-ジエチルアミノカルボニル、N-エチル-N-メチルアミノカルボニル、N-メチル-N-n-プロピルアミノカルボニル、N-イソプロピル-N-n-プロピルアミノカルボニルおよびN-tert-ブチル-N-メチルアミノカルボニルを示す。例えば、C1-C3-アルキルアミノカルボニルは、1から3個の炭素原子を有するモノアルキルアミノカルボニル基を示すか、または、アルキル置換基ごとに各々の場合に1から3個の炭素原子を有するジアルキルアミノカルボニル基を示す。
【0025】
例示として好ましくは、アルキルカルボニルアミノは、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n-プロピルカルボニルアミノ、イソプロピルカルボニルアミノおよびtert-ブチルカルボニルアミノを示す。
【0026】
例示として好ましくは、アルコキシカルボニルアミノは、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n-プロポキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノおよびtert-ブトキシカルボニルアミノを示す。
【0027】
シクロアルキルは、一般に、3から6個の炭素原子、好ましくは、3から5個の炭素原子を有するシクロアルキル基を示し、例示として好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを示す。
【0028】
ヘテロシクリルは、一般に、4から7個の環原子およびN、O、S、SO、SO2からなる群から選択される3個まで、好ましくは、2個までのヘテロ原子および/またはヘテロ基を有する単環式ヘテロ環式基を示す。ヘテロシクリル基は、飽和または部分不飽和であり得る。好ましくは、O、NおよびSからなる群から選択される2個までのヘテロ原子を有する5から7員の単環式飽和ヘテロシクリル基を提供し、例えば、例示として好ましくは、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペラジニル、モルホリニルおよびペルヒドロアゼピニルを提供する。
【0029】
ヘテロアリールは、5または6個の環原子およびS、OおよびNからなる群から選択される4個までのヘテロ原子を有する芳香族性単環式基を示し、例示として好ましくは、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニルを示す。
【0030】
本発明による化合物の基を置換するとき、基は、別に規定がなければ、モノもしくはポリ置換であり得る。本発明の内容で、2個以上生じるすべての基の意味は、互いに独立している。1、2または3個の同一もしくは異なる置換基での置換が好ましい。非常にとりわけ好ましくは、1個の置換基での置換である。
【0031】
Aを示し得る基の式で、#に隣接する線の終点は、炭素原子またはCH2基を示さないが、Aが結合する原子への結合部分である。
【0032】
R8を示し得る基の式で、*に隣接する線の終点は、炭素原子またはCH2基を示さないが、R8が結合する原子への結合部分である。
【0033】
好ましくは、Aが、式
【化3】

(式中、
R1Aが、水素、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、メトキシ、エトキシ、tert-ブトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、tert-ブチルアミノ、シクロプロピル、シクロプロピルアミノまたはシクロプロピルオキシを示し、
ここで、アルキル、エトキシ、tert-ブトキシ、エチルアミノ、ジエチルアミノおよびtert.-ブチルアミノが、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、C1-C4-アルキルアミノ、シクロプロピルオキシ、シクロプロピルアミノ、(N-シクロプロピル)(N-メチル)アミノ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-ピペリジニル、4-モルホリニル、1-ピペラジニルおよび4-テトラヒドロピラニルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルおよび4-ピペリジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
R1Bが、水素、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノまたはシクロプロピルを示し、
ここで、アルキルが、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、C1-C4-アルキルアミノ、シクロプロピルオキシ、シクロプロピルアミノ、(N-シクロプロピル)(N-メチル)アミノ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-ピペリジニル、4-モルホリニル、1-ピペラジニルおよび4-テトラヒドロピラニルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルおよび4-ピペリジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
R1Cが、水素、フッ素、オキソまたはメチルを示し、
R1Dが、水素、フッ素またはメチルを示し、
そして、#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
mが、0、1または2の数を示し、
そして、(CH2)m基が、1もしくは2位でフェニル環に結合し、
R2が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-C4-アルキルまたはC1-C4-アルコキシを示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、シクロプロピル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
ここで、アルキル、アルコキシおよびアルキルアミノが、ヒドロキシ、メトキシ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-モルホリニル、1-ピペラジニルおよびNR14R15からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
そして、
R14が、水素、メチルまたはシクロプロピルを示し、
そして、
R15が、水素またはメチルを示し、
R4およびR5が、水素を示し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成するか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、水素を示すか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
R8が、式
【化4】

(式中、
*は、カルボニル基に結合する位置であり、
R11は、フッ素、塩素、エチニル、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシを示し、
R12は、アミノ、メチル、メチルアミノまたはジメチルアミノを示し、
R13は、フッ素、塩素、エチニル、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシを示し、
そして、
R16は、水素を示す)
の基を示し、
R9が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、メトキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニルまたはジメチルアミノカルボニルを示し、
ここで、メチルおよびメトキシが、ヒドロキシ、メトキシ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-モルホリニル、1-ピペラジニルおよびNR17R18からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
そして、
R17が、水素、メチルまたはシクロプロピルを示し、
そして、
R18が、水素またはメチルを示し、
R10が、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルまたはメトキシを示し、
そして、
ここで、R9が、イソインドリン環の6位に結合し、R10が、その7位に結合するか、
または、
R9が、イソインドリン環の7位に結合し、R10が、その6位に結合する、式(I)の化合物およびそれらの塩の1つ、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0034】
好ましくはまた、Aが、式
【化5】

(式中、
R1Aが、水素、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノまたはシクロプロピルアミノを示し、
ここで、メチル、エチル、イソプロピル、エトキシ、エチルアミノおよびジエチルアミノが、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シクロプロピルアミノ、(N-シクロプロピル)(N-メチル)アミノ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-モルホリニルおよび1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
R1Bが、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピルまたはシクロプロピルを示し、
ここで、エチルおよびイソプロピルが、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シクロプロピルアミノ、(N-シクロプロピル)(N-メチル)アミノ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-モルホリニルおよび1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
R1Cが、水素、フッ素、オキソまたはメチルを示し、
R1Dが、水素、フッ素またはメチルを示し、
そして、#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
mが、1の数を示し、
そして、(CH2)m基が、1もしくは2位でフェニル環に結合し、
R2が、水素を示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、n-プロピル、メトキシ、エトキシまたはメトキシメチルを示し、
R4およびR5が、水素を示し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成するか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、水素を示すか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
R8が、式
【化6】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R13が、フッ素、塩素またはメチルを示し、
そして、
R16が、水素を示す)
の基を示し、
R9が、水素を示し、
R10が、水素を示し、
そして、
ここで、R9が、イソインドリン環の6位に結合し、R10が、その7位に結合するか、
または、
R9が、イソインドリン環の7位に結合し、R10が、その6位に結合する、式(I)の化合物およびそれらの塩の1つ、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0035】
好ましくはまた、Aが、式
【化7】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
mが、1の数を示し、
そして、(CH2)m基が、1もしくは2位でフェニル環に結合し、
R2が、水素を示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノまたはメチルを示し、
R4およびR5が、水素を示し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成するか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、水素を示すか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
R8が、式
【化8】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R13が、塩素を示し、
そして、
R16が、水素を示す)
の基を示し、
R9が、水素を示し、
R10が、水素を示し、
そして、
ここで、R9が、イソインドリン環の6位に結合し、R10が、その7位に結合するか、
または、
R9が、イソインドリン環の7位に結合し、R10が、その6位に結合する、式(I)の化合物およびそれらの塩の1つ、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0036】
好ましくはまた、Aが、式
【化9】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
mが、1の数を示し、
そして、(CH2)m基が、1もしくは2位でフェニル環に結合し、
R2が、水素を示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノまたはメチルを示し、
R4およびR5が、水素を示し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成するか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、水素を示すか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
R8が、式
【化10】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R13が、塩素を示し、
そして、
R16が、水素を示す)
の基を示し、
R9が、水素を示し、
R10が、水素を示し、
そして、
ここで、R9が、イソインドリン環の6位に結合し、R10が、その7位に結合するか、
または、
R9が、イソインドリン環の7位に結合し、R10が、その6位に結合する、式(I)の化合物およびそれらの塩の1つ、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0037】
好ましくはまた、Aが、式
【化11】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0038】
好ましくはまた、Aが、式
【化12】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0039】
好ましくはまた、Aが、式
【化13】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0040】
好ましくはまた、mが、1の数を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0041】
好ましくはまた、R2が、水素を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0042】
好ましくはまた、R3が、水素、フッ素、塩素、シアノまたはメチルを示す、式(I)の化合物を提供する。
【0043】
好ましくはまた、R3が、水素を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0044】
好ましくはまた、R2およびR3が、水素を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0045】
好ましくはまた、R8が、式
【化14】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R13が、塩素を示し、
そして、
R16が、水素を示す)
の基を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0046】
好ましくはまた、R9およびR10が、水素を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0047】
基の各々の組合せまたは好ましい組合せで与えられた個々の基の定義は、基の特定の組合せから独立して、他の組合せのあらゆる基の定義で置換されることもある。
【0048】
非常にとりわけ好ましくは、上記した好ましい範囲の2個またはそれ以上の組合せを提供する。
【0049】
本発明はさらに、式(I)の化合物、またはそれらの塩、それらの溶媒和物またはそれらの塩の溶媒和物を製造する方法であって、
[A] 式
【化15】

[式中、
m、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物を、式
【化16】

[式中、
Aは、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物と反応させるか、または
[B] 式
【化17】

[式中、
R8、R9およびR10は、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物を、式
【化18】

[式中、
A、m、R2およびR3は、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物と反応させて、式(I)(式中、R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成する)の化合物を得るか、または
[C] 式
【化19】

[式中、
A、m、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9およびR10は、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物を、式
【化20】

[式中、
R8は、請求項1で定義した意味を有し、そして
Xは、ハロゲン、好ましくは、臭素もしくは塩素、またはヒドロキシを示す]
の化合物と反応させる方法を提供する。
【0050】
塩の遊離塩基は、例えば、添加した塩基と共にアセトニトリル/水勾配を用いた逆相カラムでのクロマトグラフィーにより、特に、RP18 Phenomenex Luna C18(2)カラムおよびジエチルアミン塩基を用いることによるか、または有機溶媒に塩を溶解させ、塩基性塩の水性溶液、例えば、重炭酸ナトリウムで抽出することにより取得し得る。
【0051】
本発明はさらに、式(I)の化合物のそれらの溶媒和物を製造する方法を提供し、ここで、化合物の塩または化合物の塩の溶媒和物は、添加した塩基と共に、クロマトグラフィーにより化合物に変換される。
【0052】
工程[A]に記載の反応は、一般に、不活性溶媒で、銅(I)の塩、塩基およびジアミンリガンドの添加と共に、60℃から溶媒の還流の温度範囲、大気圧で行われる。
【0053】
不活性溶媒は、例えば、非プロトン性溶媒、例えば、トルエン、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドであり;好ましくは、ジオキサンである。
【0054】
銅(I)の塩は、例えば、ヨウ化銅(I)、塩化銅(I)または酸化銅(I)であり;好ましくは、ヨウ化銅(I)である。
【0055】
塩基は、例えば、リン酸カリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムであり;好ましくは、リン酸カリウムである。
【0056】
ジアミンリガンドは、例えば、1,2-ジアミン、例えば、N,N'-ジメチルエチレンジアミンである。
【0057】
工程[B]による反応は、一般に、塩基の存在下、不活性溶媒で、好ましくは、60℃から溶媒の還流までの温度範囲、大気圧で、行われる。
【0058】
不活性溶媒は、例えば、エーテル、ジオキサンまたはテトラヒドロフランであり; 好ましくは、ジオキサンである。
【0059】
塩基は、例えば、アミン塩基、例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンであり; 好ましくは、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0060】
工程[C]による反応は、式(XI)の化合物と共に、式(X)の化合物の反応の第3工程と同じ反応条件下で行われる。
【0061】
式(III)、(IV)および(V)の化合物は、既知であるか、または適当な出発物質から既知の方法により合成し得る。
【0062】
式(IIa)(式中、R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成する)の化合物は、既知であるか、または式(IV)の化合物を式
【化21】

(式中、
m、R2およびR3は、上記の意味を有する)
の化合物と反応させることにより製造し得る。
【0063】
反応は、式(V)の化合物と共に、式(IV)の化合物の反応と同じ反応条件下で行われる(工程[B])。
【0064】
式(VI)の化合物は、既知であるか、または適当な出発物質から既知の方法により合成し得る。
【0065】
別の工程で、式(IIa)の化合物は、光延反応条件下、式
【化22】

(式中、
R8、R9およびR10は、上記の意味を有する)
の化合物を、式
【化23】

(式中、
m、R2およびR3は、上記の意味を有する)
の化合物と反応させることにより製造し得る。
【0066】
反応は、一般に、不活性溶媒で、好ましくは、-20℃から40℃の温度範囲、大気圧で、行われる。
【0067】
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドであり; 好ましくは、テトラヒドロフランである。
【0068】
式(VII)および(VIII)の化合物は、既知であるか、または適当な出発物質から既知の方法により合成し得る。
【0069】
式(IIb)(式中、R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、R6およびR7は、水素を示す)の化合物および式(IIc)(式中、R4およびR5は、水素を示し、R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成する)の化合物は、既知であるか、または第1工程で、ホウ化水素を含む式(IIa)の化合物を式
【化24】

(式中、
m、R2、R3、R8、R9およびR10は、上記の意味を有する)
の化合物に変換させ、異性体(IXb)および(IXc)を結晶化またはクロマトグラフィーにより分離し、次いで、各異性体を個々に、第2工程でトリフルオロ酢酸およびトリエチルシランと反応させることにより、式(IIb)の化合物または式(IIc)の化合物を取得し得る。
【0070】
第1工程の反応は、一般に、不活性溶媒で、好ましくは、-20℃から50℃の温度範囲、大気圧で、行われる。
【0071】
ホウ化水素は、例えば、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムであり; 好ましくは、水素化ホウ素ナトリウムである。
【0072】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレンもしくはトリクロロメタン、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノールもしくはイソプロパノール、またはエーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサンもしくはテトラヒドロフラン、またはこれらの溶媒の混合物であり; 好ましくは、メタノールおよび塩化メチレンの混合物である。
【0073】
反応は、一般に、不活性溶媒で、好ましくは、-20℃から50℃の温度範囲、大気圧で、行われる。
【0074】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレンまたはトリクロロメタンであり; 好ましくは、塩化メチレンである。
【0075】
別の工程では、式(IIb)の化合物は、式
【化25】

(式中、
R9およびR10は、上記の意味を有し、そして
R19は、メチルまたはエチルを示す)
の化合物を、第1工程で、式(VI)の化合物と反応させ、第2工程で、ニトロ基を還元し、第3工程で、式
【化26】

(式中、
R8は、上記の意味を有し、そして
Xは、ハロゲン、好ましくは、臭素もしくは塩素、またはヒドロキシルを示す)
の化合物と反応させることにより製造し得る。
【0076】
反応は、式(V)の化合物と共に、式(IV)の化合物の反応と同じ反応条件下で行われる(工程[B])。
【0077】
第2工程でのニトロ基の還元は、一般に、不活性溶媒での還元剤を用いて、好ましくは、室温から溶媒の還流までの温度範囲、3バールの大気圧で、行われる。
【0078】
還元剤は、例えば、活性炭素および水素上のパラジウム、塩化錫または三塩化チタンであり; 好ましくは、活性炭素および水素上のパラジウムまたは塩化錫である。
【0079】
不活性溶媒は、例えば、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテル、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールもしくはtert-ブタノール、炭化水素、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分、または他の溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルもしくはピリジンであり; 好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、または、二塩化錫の場合には、ジメチルホルムアミドである。
【0080】
第3工程で、Xがハロゲンを示すとき、反応は、一般に、不活性溶媒で、所望により、塩基の存在下で、好ましくは、-30℃から50℃の温度範囲、大気圧で、行われる。
【0081】
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ピリジン、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドであり; 好ましくは、ピリジンまたはジメチルホルムアミドである。
【0082】
好ましい不活性溶媒は、テトラヒドロフランおよび塩化メチレンである。
【0083】
塩基は、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN-メチルモルホリンであり;好ましくは、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0084】
第3の工程でXがヒドロキシを示すとき、反応は、一般に、不活性溶媒で、脱水剤の存在下で、所望により、塩基の存在下で、好ましくは、-30℃から50℃の範囲の温度、大気圧で行われる。
【0085】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンまたはトリクロロメタン、炭化水素、例えば、ベンゼン、ニトロメタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルである。また、溶媒の混合物を使用することが可能である。特に好ましいのは、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドである。
【0086】
ここで、適当な脱水剤は、例えば、カルボジイミド、例えば、N,N'-ジエチル-、N,N,'-ジプロピル-、N,N'-ジイソプロピル、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノイソプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDC)、N-シクロヘキシルカルボジイミド-N'-プロピルオキシメチル-ポリスチレン(PS-カルボジイミド)またはカルボニル化合物、例えば、カルボニルジイミダゾール、または1,2-オキサゾリウム化合物、例えば、2-エチル-5-フェニル-1,2-オキサゾリウム3-サルフェートもしくは2-tert-ブチル-5-メチル-イソキサゾリウムペルクロラート、またはアシルアミノ化合物、例えば、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン、またはプロパンホスホン酸無水物、またはイソブチルクロロホルメート、またはビス-(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)塩化ホスホリルまたはベンゾトリアゾリルオキシトリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、またはO-(ベンゾトリアゾール-1−イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2-(2-オキソ-1-(2H)-ピリジル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)またはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1−イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、または1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、またはベンゾトリアゾール-1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、またはN-ヒドロキシスクシンイミド、またはこれらの混合物と、塩基である。
【0087】
塩基は、例えば、アルカリ金属炭素塩、例えば、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウムもしくは重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリウム、または有機塩基、例えば、トリアルキルアミン、例えば、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、4-ジメチルアミノピリジンまたはジイソプロピルエチルアミンである。
【0088】
縮合は、好ましくは、HOBtの存在下、HATUまたはEDCで行う。
【0089】
式(X)および(XI)の化合物は、既知であるか、または適当な出発物質から、既知の工程により合成し得る。
【0090】
別の工程で、式(IIc)の化合物は、式(IIb)の化合物のために別の工程で記載したとおり製造し得る。出発物質は、式
【化27】

(式中、
R9およびR10は、上記の意味を有し、そして
R20は、メチルまたはエチルを示す)
の化合物である。
【0091】
式(XII)の化合物は、既知であるか、または適当な出発物質から、既知の工程により合成し得る。
【0092】
式(XIII)の化合物は、既知であるか、または式
【化28】

(式中、
A、m、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9およびR10は、上記の意味を有する)
の化合物のニトロ基を還元することにより製造し得る。
【0093】
式(XIVa)(式中、R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成する)の化合物は、既知であるか、または工程[B]と同様の工程で製造し得る。
【0094】
式(XIVb)(式中、R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、R6およびR7は、水素を示す)の化合物および式(XIVc)(式中、R4およびR5は、水素を示し、R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成する)の化合物は、既知であるか、または式
【化29】

(式中、
A、m、R2およびR3は、上記の意味を有する)
の化合物を、式(X)および(XII)の化合物とそれぞれ反応させることにより製造し得る。
【0095】
反応は、工程[B]と同様の工程で行われる。
【0096】
式(XV)の化合物は、適当な出発物質から、既知の工程により合成し得る。
【0097】
本発明による化合物の製造は、下記の合成スキームで例示し得る:
スキーム1
【化30】

【0098】
スキーム2
【化31】

【0099】
スキーム3
【化32】

【0100】
本発明による化合物は、予測不可能な有用な薬理学的活性スペクトルを有する。
【0101】
したがって、それらは、ヒトおよび動物で、疾患を処置および/または予防するための医薬としての使用のために適当である。
【0102】
本発明による化合物は、特に、抗凝固剤として作用する血液凝固Xa因子の選択的阻害剤である。
【0103】
さらに、本発明による化合物は、有利な物理化学的特性、例えば、水および生理学的な培地への十分な溶解性を有し、それは、それらの治療適用のために有利である。
【0104】
本発明はさらに、疾患、好ましくは、血栓塞栓性障害および/または血栓塞栓性合併症の処置および/または予防のための本発明による化合物の使用を提供する。
【0105】
本発明の目的のために、“血栓塞栓性障害”は、特に、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)もしくは非ST上昇型心筋梗塞(非STEMI)のような障害、安定狭心症、不安定狭心症、冠状動脈インターベンション後の再閉塞および再狭窄、例えば、血管形成術もしくは大動脈冠動脈バイパス、末梢動脈閉塞性疾患、肺塞栓症、深部静脈血栓症および腎臓静脈血栓症、一過性虚血性発作、ならびにまた、血栓症および血栓塞栓性卒中を含む。
【0106】
したがって、物質はまた、急性間欠性もしくは持続性不整脈、例えば、心房細動を患う患者および電気的除細動を受ける患者、さらには心臓弁障害を患うか、または人工心臓弁を有する患者で、心原性血栓塞栓症、例えば、脳虚血、卒中および全身性血栓塞栓症ならびに局所虚血を予防および処置するために適当である。さらに、本発明による化合物は、播種性血管内凝固症候群(DIC)を処置するために適当である。
【0107】
血栓塞栓性合併症はさらに、微小血管症性溶血性貧血、体外血液循環、例えば、血液透析、およびまたは、人工心臓弁との結合の間に生じる。
【0108】
さらに、本発明による化合物はまた、アテローム硬化性血管障害および炎症性疾患、例えば、運動器官のリウマチ性疾患の予防および/または処置のために、ならびにさらに、アルツハイマー病の予防および/または処置のために適当である。さらに、本発明による化合物は、癌患者、特に、主要な外科的処置または化学療法または放射線療法を受けている患者で、腫瘍成長および転移形成を阻害するために、細小血管障害、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症および他の微小血管障害のために、およびまた、血栓塞栓性合併症、例えば、静脈血栓塞栓症の予防および処置のために使用し得る。
【0109】
本発明による化合物は、さらにまた、生体外で凝固を妨害するために、例えば、血液および血漿産物を保存するために、カテーテルおよび他の医療用具および装置を消毒するか/前処理するために、インビボまたはエクスビボで使用される医療用具および装置の合成表面を覆うために、またはXa因子を含む生物学的サンプルのために使用し得る。
【0110】
本発明はさらに、障害、特に、上記した障害の処置および/または予防のための本発明による化合物の使用を提供する。
【0111】
本発明はさらに、障害、特に、上記した障害の処置および/または予防のための医薬の製造のための本発明による化合物の使用を提供する。
【0112】
本発明はさらに、本発明による抗凝固性化合物の有効量を用いた、障害、特に、上記した障害の処置および/または予防のための方法を提供する。
【0113】
本発明はさらに、インビトロで、特に、保存血またはXa因子を含む生物学的サンプルで、血液凝固を妨害するための方法を提供し、該方法は、発明による抗凝固性化合物の有効量を加えることを特徴とする。
【0114】
本発明はさらに、特に、上記した障害の処置および/または予防のために本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる活性化合物を含む医薬を提供する。下記の化合物を、例示として好ましくは、組合せのための適当な活性化合物として記載し得る:
・脂質低下剤、特に、HMG-CoA (3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-補酵素A)還元酵素阻害剤;
・冠状動脈血栓症治療剤/血管拡張剤、特に、ACE (アンギオテンシン変換酵素)阻害剤; AII (アンギオテンシンII)受容体アンタゴニスト; β-アドレナリン受容体アンタゴニスト; α-1-アドレナリン受容体アンタゴニスト; 利尿薬; カルシウムチャネルブロッカー; 環状アノシン一リン酸(cGMP)濃度の増加を引き起こす物質、例えば、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤;
・プラスミノゲンアクチベーター(血栓溶解剤/線溶剤)および血栓溶解剤/線溶剤を促進する化合物、例えば、プラスミノゲンアクチベーター阻害剤の阻害剤(PAI阻害剤)またはトロンビン活性化線溶阻害剤の阻害剤(TAFI阻害剤);
・抗凝固剤;
・血小板凝集阻害物質(血小板凝集阻害剤、血小板凝集阻害剤);
・フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト(糖タンパク質-IIb/IIIaアンタゴニスト);
・およびまたは、抗不整脈剤。
【0115】
本発明はさらに、通常は、1個またはそれ以上の不活性で非毒性の薬学的に許容される補助剤と共に、本発明による少なくとも1個の化合物を含む医薬および上記目的のためのそれらの使用を提供する。
【0116】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的であり得る。この目的のために、それらは、適当な方法で、例えば、経口、非経腸、肺、経鼻、舌下、舌、口腔、直腸、真皮、経皮、結膜もしくは耳経路で、またはインプラントもしくはステントとして投与し得る。
【0117】
これらの投与経路のために、本発明による化合物を適当な投与型で投与することが可能である。
【0118】
経口投与のために適当なのは、先行文献に記載されたとおり機能し、本発明による化合物を迅速に送達する投与型および/または修飾型であり、それは、結晶質および/または非晶質および/または溶解型での本発明による化合物、例えば、錠剤(非被覆および被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆または溶解が遅延されるか、不溶性であるか、本発明による化合物の放出を制御する被覆と共に提供される錠剤)、口腔で素早く溶ける錠剤、またはフィルム/ウエハース、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル(例えば、ハードもしくはソフトゼラチンカプセル)、糖衣錠、顆粒、ペレット、粉末、エマルジョン、懸濁液、エアロゾルまたは溶液を含む。
【0119】
非経腸投与は、吸収過程を回避することで(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内で)、または吸収過程を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内で)行われ得る。非経腸投与のための適当な投与形態は、とりわけ、溶液、懸濁液、エマルジョン、凍結乾燥または滅菌粉末の形態で、注射および注入のための製剤である。
【0120】
他の投与経路のために適当な例は、吸入(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻剤/溶液/スプレー; 舌に、舌下に、または口腔に投与される錠剤、フィルム/ウエハースまたはカプセル、座薬、眼もしくは耳のための製剤、膣内カプセル、水性懸濁液(ローション、振盪混合物)、脂溶性懸濁液、軟膏、クリーム、経皮治療系(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布剤、インプラントまたはステントのための医薬型である。
【0121】
好ましくは、経口または非経腸、特に、経口投与である。
【0122】
本発明による化合物は、記載した投与型に変換し得る。これは、不活性で非毒性の薬学的に適当な補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で生じ得る。これらの補助剤は、とりわけ、担体(例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定剤(例えば、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸)、着色剤(例えば、無機色素、例えば、酸化鉄)ならびに香味剤および/または臭気マスキング剤を含む。
【0123】
一般に、非経腸投与では、有効な結果を達成するために、体重の約0.001から1 mg/kg、好ましくは、約0.01から0.5 mg/kgの量を投与することが有利であることが証明された。経口投与の用量は、約0.01から100 mg/kg体重、好ましくは、約0.01から20 mg/kg体重、および非常に特に好ましくは、0.1から10 mg/kg体重である。
【0124】
にもかかわらず、所望により、体重、投与経路、活性化合物への個々の応答、製剤の形態および投与が行われる時間もしくは間隔に依存して、記載した量から逸脱することが必要であり得る。したがって、ある場合には、上記の最小量以下で投与されることが十分であり得て、一方で、他の場合には、上記の上限を超えなければならない。より多量の投与の場合には、これらを1日に複数回の個々の投与に分割することが望ましくあり得る。
【0125】
本発明を、下記の実施例により例示する。本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0126】
下記の試験および実施例のパーセントデータは、他に記載がなければ、重量パーセントであり;部分は、重量部分である。溶媒割合、希釈割合および液体/液体溶液の濃縮データは、各々の場合に、容積に基づく。
【実施例】
【0127】
A. 実施例
略称
【表1】

【0128】
LC-MSおよびHPLC方法
方法1: MS装置型: Micromass ZQ; HPLC装置型: Waters Alliance 2795; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50%強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50%強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90% A → 2.5 分 30% A → 3.0 分 5% A → 4.5 分 5% A; 流速: 0.0 分 1 ml/分、2.5 分/3.0 分/4.5 分 2 ml/分; オーブン: 50℃; UV検出: 210 nm。
【0129】
方法2: MS装置型: Micromass ZQ; HPLC装置型: HP 1100 Series; UV DAD; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50%強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50%強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90% A → 2.5 分 30% A → 3.0 分 5% A → 4.5 分 5% A; 流速: 0.0 分 1 ml/分、2.5 分/3.0 分/4.5 分 2 ml/分; オーブン: 50℃; UV検出: 210 nm。
【0130】
方法3: 装置: HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Quattro LCZ; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50%強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50%強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90% A → 2.5 分 30% A → 3.0 分 5% A → 4.5 分 5% A; 流速: 0.0 分 1 ml/分、2.5 分/3.0 分/4.5 分 2 ml/分; オーブン: 50℃; UV検出: 208-400 nm。
【0131】
方法4: 装置: HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Platform LCZ; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50% 強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50% 強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90% A → 2.5 分 30% A → 3.0 分 5% A → 4.5 分 5% A; 流速: 0.0 分 1 ml/分、2.5 分/3.0 分/4.5 分 2 ml/分; オーブン: 50℃; UV検出: 210 nm。
【0132】
方法5: 装置: HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Platform LCZ; カラム: Thermo HyPURITY Aquastar 3μ 50 mm x 2.1 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50% 強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50% 強ギ酸; 勾配: 0.0 分 100% A → 0.2 分 100% A → 2.9 分 30% A → 3.1 分 10% A → 5.5 分 10% A; オーブン: 50℃; 流速: 0.8 ml/分; UV検出: 210 nm。
【0133】
方法6: MS装置型: Micromass ZQ; HPLC 装置型: Waters Alliance 2795; カラム: Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 50 mm x 4.6 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50% 強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50% 強ギ酸; 勾配: 0.0 分 10% B → 3.0 分 95% B → 4.0 分 95% B; オーブン: 35℃; 流速: 0.0 分 1.0 ml/分 → 3.0 分 3.0 ml/分 → 4.0 分 3.0 ml/分; UV検出: 210 nm。
【0134】
方法7: MS装置型: Micromass ZQ; HPLC装置型: HP 1100 Series; UV DAD; カラム: Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50% 強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50% 強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90%A → 2.5 分 30%A → 3.0 分 5%A → 4.5 分 5%A; 流速: 0.0 分 1 ml/分, 2.5 分/3.0 分/4.5 分。2 ml/分; オーブン: 50℃; UV検出: 210 nm。
【0135】
方法8: 装置: Micromass Quattro LCZ with HPLC Agilent Series 1100; カラム: Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50% 強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50% 強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90%A → 2.5 分 30%A → 3.0 分 5%A → 4.5 分 5%A; 流速: 0.0 分 1 ml/分、2.5 分/3.0 分/4.5 分 2 ml/分; オーブン: 50℃; UV検出: 208-400 nm。
【0136】
方法9: 装置: DAD検出を備えたHP 1100; カラム: Kromasil 100 RP-18、60 mm x 2.1 mm、3.5 μm; 移動相A: 5 mlの過塩素酸(70% 強)/lの水、移動相B: アセトニトリル; 勾配: 0 分 2% B → 0.5 分 2% B → 4.5 分 90% B → 9 分 0% B → 9.2 分 2% B → 10 分 2% B; 流速: 0.75 ml/分; カラム温度: 30℃; UV検出: 210 nm。
【0137】
方法10: 装置: DAD検出を備えたHP 1100; カラム: Kromasil 100 RP-18、60 mm x 2.1 mm、3.5 μm; 移動相A: 5 mlの過塩素酸(70強)/lの水、移動相B: アセトニトリル; 勾配: 0 分 2% B → 0.5 分 2% B → 4.5 分 90% B → 15 分 90% B → 15.2 分 2% B → 16 分 2% B; 流速: 0.75 ml/分; カラム温度: 30℃; UV検出: 210 nm。
【0138】
方法11: 装置: DAD検出を備えたHP 1100; カラム: Kromasil 100 RP-18、60 mm x 2.1 mm、3.5 μm; 移動相A: 5 mlの過塩素酸(70% 強)/lの水、移動相B: アセトニトリル; 勾配: 0 分 2% B → 0.5 分 2% B → 4.5 分 90% B → 6.5 分 90% B → 6.7 分 2% B → 7.5 分 2% B; 流速: 0.75 ml/分; カラム温度: 30℃; UV検出: 210 nm。
【0139】
方法12: 装置: DAD検出を備えたHP 1100; カラム: Kromasil C18 60*2; 移動相A: 0.01 M リン酸、移動相B: アセトニトリル; 勾配: 0 分 90% A → 0.5 分 90% A、 → 4.5 分 10% A、 → 6.5 分 10% A; 流速: 0.75 ml/分; カラム温度: 30℃; UV検出: 210 nm。
【0140】
方法13: 装置: Micromass GCT, GC6890; カラム: Restek RTX-35、15 m x 200 μm x 0.33 μm; 定常ヘリウム速度: 0.88 ml/分; オーブン: 70℃; 吸気: 250℃; 勾配: 70℃、30℃/分 → 310℃(3分間維持される)。
【0141】
方法14: 装置: HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Platform LCZ; カラム: Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50% 強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50% 強ギ酸; 勾配: 0.0 分 100% A → 0.2 分 100% A → 2.9 分 30% A → 3.1 分 10% A → 5.5 分 10% A; オーブン: 50℃; 流速: 0.8 ml/分; UV検出: 210 nm。
【0142】
方法15: 装置: HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Quattro LCZ; カラム: Phenomenex Onyx Monolithic C18、100 mm x 3 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50% 強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50% 強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90% A → 2 分 65% A → 4.5 分 5% A → 6 分 5% A; 流速: 2 ml/分; オーブン: 40℃; UV検出: 208-400 nm。
【0143】
出発物質
実施例1A
4-アミノ-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン
【化33】

表題化合物の製造は、文献[E.L. Eliel et al., J. Am. Chem. Soc. 1955, 77, 5092-5094]から既知の工程と同様の工程で行う。
【0144】
実施例2A
4-アミノ-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン
【化34】

表題化合物の製造は、文献[H.D.K. Drew, F.H. Pearman, J. Chem. Soc. 1937, 26-33]から既知の工程と同様の工程で行う。
【0145】
実施例3A
5-クロロ-N-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化35】

表題化合物の製造は、WO 03/007942に記載された工程と同様の工程で行う(実施例1)。
【0146】
実施例4A
5-クロロ-N-(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化36】

表題化合物の製造は、WO 03/011858に記載された工程と同様の工程で行う(実施例1)。
【0147】
実施例5A
5-クロロ-N-[2-(4-ヨードベンジル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化37】

アルゴン下、室温で、10 mlのテトラヒドロフラン中、2.1 g (9.0 mmol, 1.3 eq.)の(4-ヨードフェニル)メタノールの溶液および10 mlのテトラヒドロフラン中、2.3 g (9.0 mmol, 1.3 eq.)のトリフェニルホスフィンの溶液を、20 mlのテトラヒドロフラン中、2.1 g (6.9 mmol)の5-クロロ-N-(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド(実施例4A)の懸濁液に加える。反応懸濁液を0℃まで冷却し、10 mlのテトラヒドロフラン中、1.4 ml (9.0 mmol, 1.3 eq.)のジエチルアゾジカルボキシレートの溶液を加え(懸濁液は、溶液に変わる)、反応混合物を、室温で1時間、撹拌する。反応混合物を、減圧下、濃縮し、残渣を、ジクロロメタン/水でトリチュレートする。
収量: 2.5 g (70% 純粋、理論上の49%)
LC-MS (方法1): Rt = 3.22 分;
MS (ESIpos): m/z = 521 [M+H]+
【0148】
実施例6Aおよび実施例7A
5-クロロ-N-[2-(4-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例6A)および5-クロロ-N-[2-(4-ヨードベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例7A)
【化38】

工程a): 5-クロロ-N-[1-ヒドロキシ-2-(4-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミドおよび5-クロロ-N-[3-ヒドロキシ-2-(4-ヨードベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミドの異性体混合物
【化39】

アルゴン下、0℃で、247 mg (6.5 mmol, 2.2 eq.)の水素化ホウ素ナトリウムを、6 mlのメタノールおよび60 mlのジクロロメタンの混合物中、2.3 g (70% 純粋, 3.0 mmol)の5-クロロ-N-[2-(4-ヨードベンジル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例5A)の溶液に加える。反応混合物を、室温で1.5時間、撹拌し、塩酸(1 N)を用いて、pH 5に調整する。生じた沈殿をろ過し、水およびジクロロメタンで洗浄し、減圧下、乾燥させる。
【0149】
異性体1:
収量: 1.5 g (88% 純粋、理論上の57%)
LC-MS (方法1): Rt = 2.93 分;
MS (ESIpos): m/z = 525 [M+H]+
【0150】
ジクロロメタン/水の添加で相分離後、水性層を、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧した、濃縮する。
【0151】
異性体混合物:
収量: 0.65 g (58% 純粋、理論上の17%)
LC-MS (方法1): Rt = 2.47 分(異性体2)および2.93 分(異性体1);
MS (ESIpos): m/z = 525 [M+H]+
【0152】
工程b.1): 5-クロロ-N-[2-(4-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化40】

アルゴン下、室温で、2.7 ml (35.0 mmol, 13 eq.)のトリフルオロ酢酸および0.93 ml (5.8 mmol, 2.2 eq.)のトリエチルシランを、20 mlのジクロロメタン中、1.5 g (88% 純粋、2.6 mmol)の5-クロロ-N-[1-ヒドロキシ-2-(4-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミドの懸濁液に、滴下で加える。反応混合物を、室温で1時間、撹拌し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を加える。ジクロロメタンの添加および相分離後、水性層を、ジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。
【0153】
実施例6A:
収量: 1.4 g (理論上の95%)
LC-MS (方法3): Rt = 3.32 分;
MS (ESIpos): m/z = 509 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.27 (s, 1H), 8.25 (d, 1H), 7.72 (d, 2H), 7.64 (d, 1H), 7.59 (t, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.13 (d, 2H), 4.71 (s, 2H), 4.43 (s, 2H)。
【0154】
工程b.2): 5-クロロ-N-[2-(4-ヨードベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化41】

アルゴン下、室温で、1.3 ml (17.0 mmol, 20 eq.)のトリフルオロ酢酸および0.46 ml (2.9 mmol, 3.5 eq.)のトリエチルシランを、10 mlのジクロロメタン中、0.75 g (58% 純粋、0.83 mmol)の異性体混合物の懸濁液に、滴下で加える。反応混合物を、室温で1時間、撹拌し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を加える。ジクロロメタンの添加および相分離後、水性層を、ジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。表題化合物は、ジクロロメタン/メタノールを用いて、粗生成物をトリチュレートすることにより単離する。
【0155】
実施例7A:
収量: 149 mg (84% 純粋、理論上の30%)
LC-MS (方法2): Rt = 2.83 分;
MS (ESIpos): m/z = 509 [M+H]+
【0156】
実施例8A
5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化42】

室温で、10.3 ml (59.0 mmol, 5 eq.)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを、50 mlのジオキサン中、3.6 g (11.8 mmol)の5-クロロ-N-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド(実施例3A)および2.7 g (11.8 mmol, 1 eq.)の1-(3-ヨードフェニル)メタンアミンの溶液に加える。反応混合物を、還流下、9時間撹拌し、氷浴で冷却する。生じた沈殿をろ過し、ジオキサンで洗浄し、減圧下、乾燥させる。合わせた母液を、減圧下、濃縮する。残渣を、アセトンでトリチュレートし、沈殿をろ過し、アセトンで洗浄し、減圧下、乾燥させる。
収量: 3.9 g (理論上の62%)
LC-MS (方法3): Rt = 3.36 分;
MS (ESIpos): m/z = 523 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.40 (s, 1H), 8.33 (d, 1H), 7.87 (t, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.67 (2xd, 2H), 7.37 (d, 1H), 7.34 (d, 1H), 7.15 (t, 1H), 4.73 (s, 2H)。
【0157】
実施例9A
7-アミノ-2-(3-ヨードベンジル)イソインドリン-1-オン
【化43】

工程a): メチル 2-(ブロモメチル)-6-ニトロベンゾエート
【化44】

13.98 g (78.54 mmol)のN-ブロモスクシンイミド (NBS)および129 mg (0.79 mmol)の2,2'-アゾビス-2-メチルプロパンニトリル (AIBN)を、300 mlの四塩化炭素中、15.33 g (78.54 mmol)のメチル 2-メチル-6-ニトロベンゾエートの溶液に加え、混合物を、還流で加熱する。15時間後および反応時間のさらに24時間後、各々の場合に、さらに13.98 g (78.54 mmol)のNBSを加える。111時間の全反応時間後、反応混合物を、室温まで冷却し、不溶性物質をろ過し、溶媒を、回転蒸発器で除去する。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン/ジクロロメタン 2:1)により精製する。これにより、2つの画分を得る。第1は、7.7 g (28% 収量)のメチル 2-(ジブロモメチル)-6-ニトロベンゾエートからなり、第2は、12.82 g (60% 収量)の表題化合物からなる。
GC/MS (方法13): Rt = 6.58 分;
MS (TOF, EI): m/z = 273/275 (79Br/81Br, M+);
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 8.08 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.59 (dd, 1H), 4.58 (s, 2H), 3.99 (s, 3H)。
【0158】
工程b): 2-(3-ヨードベンジル)-7-ニトロイソインドリン-1-オン
【化45】

549 mg (2.36 mmol)の1-(3-ヨードフェニル)メタンアミンおよび630 μl (4.49 mmol)のトリエチルアミンを、5 mlのN,N-ジメチルホルムアミド中、615 mg (2.24 mmol)のメチル 2-(ブロモメチル)-6-ニトロベンゾエートの溶液に、連続して加える。80℃で15時間の撹拌後、約25 mlの水を加え、混合物を、ジクロロメタンで、3回抽出する。合わせた有機抽出物を、水および飽和塩化ナトリウム溶液で、連続して洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、混合物をろ過し、減圧下、ろ液から溶媒を除去する。取得した残渣を、移動相ジクロロメタン/メタノール 100:0 → 100:1を用いたシリカゲル上での吸引で、ろ過により精製する。これにより、0.83 g (90%の純度に基づく、84%の収量)の表題化合物を得る。
HPLC (方法8): Rt = 2.79 分;
MS (ESIpos): m/z = 395 (M+H)+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.91 (d, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.81 (dd, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.67 (dd, 1H), 7.32 (d, 1H), 7.18 (dd, 1H), 4.68 (s, 2H), 4.50 (s, 2H)。
【0159】
工程c): 7-アミノ-2-(3-ヨードベンジル)イソインドリン-1-オン
【化46】

2.38 g (10.53 mmol)の塩化錫(II)二水和物を、15 mlのエタノール中、830 mg (2.11 mmol)の2-(3-ヨードベンジル)-7-ニトロイソインドリン-1-オンの溶液に加えて、混合物を、70℃で75分間、加熱する。次いで、反応混合物を、氷水に注ぎ、重炭酸ナトリウム溶液を用いてpH 8に調整し、セリットでろ過する。ろ過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、相を分離させ、水性層を蒸発乾固させる。水性相の残渣を、ろ過材と合わせて、高温エタノールでトリチュレートする。ろ過後、エタノールを、回転蒸発器で除去する。これにより、671 mg (87% 収量)の表題化合物を得て、それは、さらなる精製なしに、さらに反応させる。
HPLC (方法7): Rt = 2.71 分;
MS (ESIpos): m/z = 365 (M+H)+
【0160】
実施例10A
5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化47】

方法1: 5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例8A)からの製造
工程a): 5-クロロ-N-[1-ヒドロキシ-2-(3-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化48】

アルゴン下、0℃で、398 mg (10.5 mmol, 1.5 eq.)の水素化ホウ素ナトリウムを、8 mlのメタノールおよび80 mlのジクロロメタンの混合物中、3.7 g (7.0 mmol)の5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例8A)の溶液に加える。反応混合物を、室温で1時間、撹拌し、塩酸(1 N)を用いて、pH 5に調整する。生じた沈殿をろ過し、水およびジクロロメタンで洗浄し、減圧下、乾燥させる。
収量: 2.3 g (理論上の61%)
LC-MS (方法3): Rt = 3.10 分;
MS (ESIpos): m/z = 525 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.00 (s, 1H), 8.30 (d, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.69-7.61 (m, 3H), 7.37 (d, 1H), 7.35-7.30 (m, 2H), 7.15 (t, 1H), 7.00 (d, 1H), 5.80 (d, 1H), 4.80 (d, 1H), 4.43 (d, 1H)。
【0161】
工程 b): 5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化49】

アルゴン下、室温で、4.0 ml (51.5 mmol, 12 eq.)のトリフルオロ酢酸および1.4 ml (8.6 mmol, 2 eq.)のトリエチルシランを、30 mlのジクロロメタン中、2.3 g (4.3 mmol)の5-クロロ-N-[1-ヒドロキシ-2-(3-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミドの懸濁液に、滴下で加える。反応混合物を、室温で20時間、撹拌し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を加える。ジクロロメタンの添加および相分離の後、水性層を、ジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機層を、飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。
収量: 1.5 g (理論上の97%)
LC-MS (方法3): Rt = 3.33 分;
MS (ESIpos): m/z = 509 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.23 (s, 1H), 8.27 (d, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.61 (t, 1H), 7.33 (d, 2H), 7.29 (d, 1H), 7.19 (t, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.46 (s, 2H)。
【0162】
方法2: 7-アミノ-2-(3-ヨードベンジル)イソインドリン-1-オン(実施例9A)からの製造
352 μl (2.53 mmol)のトリエチルアミンおよび419 mg (2.32 mmol)の5-クロロチオフェンカルボニルクロライド溶液を、20 mlの無水ジクロロメタン中、767 mg (2.11 mmol)の7-アミノ-2-(3-ヨードベンジル)イソインドリン-1-オン(実施例9A)の溶液に加える。反応混合物を、室温で15時間、撹拌する。次いで、混合物を、さらにジクロロメタンで希釈し、水および飽和塩化ナトリウム溶液で、連続して洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、混合物をろ過し、減圧下、ろ液から溶媒を除去する。取得した残渣を、移動相シクロヘキサン/酢酸エチルを5:1で用いたシリカゲル上の吸引で、ろ過により精製する。これにより、538 mg (50% 収量)の表題化合物を得る。
HPLC (方法1): Rt = 3.18 分;
MS (ESIpos): m/z = 509/511 (35Cl/37Cl, M+H)+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.25 (s, 1H), 8.26 (d, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.61 (dd, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.32 (d,1 1H), 7.29 (d, 1H), 7.18 (dd, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.47 (s, 2H)。
【0163】
実施例11A
4-アミノ-2-(3-ヨードベンジル)イソインドリン-1-オン
【化50】

工程a): メチル 2-(ブロモメチル)-3-ニトロベンゾエート
【化51】

300 mlの四塩化炭素中、21 g (109 mmol)のメチル 2-メチル-3-ニトロベンゾエートの溶液を、還流下、撹拌し、23 g (130 mmol, 1.2 eq.)のN-ブロモスクシンイミドおよび1.8 g (11 mmol, 0.1 eq.)の2,2'-アゾビス-2-メチルプロパンニトリルを加え、混合物を、還流下、一晩撹拌する。室温まで冷却後、反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、水で繰り返し洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。
収量: 31 g (定量)
HPLC (方法12): Rt = 4.33 分;
MS (ESIpos): m/z = 273 [M+H]+;
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.16 (d, 1H), 8.11 (d, 1H), 7.74 (t, 1H), 5.03 (s, 2H), 3.92 (s, 3H)。
【0164】
工程b): 2-(3-ヨードベンジル)-4-ニトロイソインドリン-1-オン
【化52】

室温で、1.3 ml (9.1 mmol, 1.1 eq.)のトリエチルアミンを、40 mlのメタノール中、2.3 g (8.2 mmol)のメチル 2-(ブロモメチル)-3-ニトロベンゾエートおよび1.9 g (8.2 mmol, 1 eq.)の1-(3-ヨードフェニル)メタンアミンの溶液に加える。反応混合物を、還流下、3時間撹拌する。室温まで冷却後、飽和水性塩化アンモニウム溶液を、反応混合物に加える。ジクロロメタンの添加および相分離の後、水性層を、ジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。表題化合物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/シクロヘキサン 2:1 → ジクロロメタン)により単離する。
収量: 2.8 g (理論上の87%)
LC-MS (方法1): Rt = 2.29 分;
MS (ESIpos): m/z = 395 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.43 (d, 1H), 8.18 (d, 1H), 7.82 (t, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.18 (t, 1H), 4.84 (s, 2H), 4.77 (s, 2H)。
【0165】
工程c): 4-アミノ-2-(3-ヨードベンジル)イソインドリン-1-オン
【化53】

室温で、7.4 g (32.7 mmol, 5 eq.)の塩化錫(II)二水和物を、65 mlのエタノール中、2.6 g (6.5 mmol)の2-(3-ヨードベンジル)-4-ニトロイソインドリン-1-オンの懸濁液に加え、混合物を、75℃の油浴温度で2.5時間、撹拌する(溶液の形成)。室温まで冷却後、反応混合物を、氷水に注ぎ、混合物を、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を用いて、pH 8に調整し、セリットでろ過し、ろ過ケーキを、酢酸エチルで繰り返し洗浄する。相分離後、水性相を、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。さらなる精製なしに、表題化合物を、次の反応のために使用する。
収量: 2.0 g (理論上の93%)
LC-MS (方法8): Rt = 2.05 分;
MS (ESIpos): m/z = 365 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.70-7.62 (m, 2H), 7.26 (d, 1H), 7.22-7.15 (m, 2H), 6.91 (d, 1H), 6.76 (d, 1H), 5.40 (s, 2H), 4.69 (s, 2H), 4.11 (s, 2H)。
【0166】
実施例12A
5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化54】

室温で、335 mg (0.88 mmol, 1.1 eq.)のO-(7-アザベンゾトリアゾール-1−イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および0.28 ml (1.6 mmol, 2 eq.)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを、4 mlのジメチルホルムアミド中、130 mg (0.80 mmol)の5-クロロチオフェンカルボン酸の溶液に加え、混合物を、30分間撹拌し、291 mg (0.80 mmol)の4-アミノ-2-(3-ヨードベンジル)イソインドリン-1-オン(実施例11A)を加え、混合物を、室温で一晩、撹拌する。表題化合物を、分取RP-HPLC (CromSil C18、アセトニトリル/水勾配)により単離する。
収量: 270 mg (理論上の66%)
LC-MS (方法8): Rt = 2.64 分;
MS (ESIpos): m/z = 509 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.39 (s, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.70-7.64 (m, 3H), 7.61 (d, 1H), 7.55 (t, 1H), 7.32-7.25 (m, 2H), 7.16 (t, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.41 (s, 2H)。
【0167】
実施例13A
5-クロロ-N-[2-(3-ヨード-4-メトキシベンジル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化55】

アルゴン下、室温で、10 mlのテトラヒドロフラン中、1.5 g (5.5 mol, 1.3 eq.)の(3-ヨード-4-メトキシフェニル)メタノールの溶液および10 mlのテトラヒドロフラン中、1.4 g (5.5 mmol, 1.3 eq.)のトリフェニルホスフィンの溶液を、30 mlのテトラヒドロフラン中、1.3 g (4.2 mmol)の5-クロロ-N-(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド(実施例4A)の懸濁液に加える。反応懸濁液を、0℃まで冷却し、10 mlのテトラヒドロフラン中、1.1 ml (5.5 mmol, 1.3 eq.)のジイソプロピルアゾジカルボキシレートの溶液を加え(懸濁液は、溶液に変わる)、混合物を、室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、減圧下、濃縮し、残渣を、ジクロロメタン/水でトリチュレートする。
収量: 2.0 g (理論上の87%)
LC-MS (方法7): Rt = 3.18 分;
MS (ESIpos): m/z = 553 [M+H]+
【0168】
実施例14Aおよび実施例15A
5-クロロ-N-[2-(3-ヨード-4-メトキシベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例14A)および5-クロロ-N-[2-(3-ヨード-4-メトキシベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例15A)
【化56】

工程a): 5-クロロ-N-[1-ヒドロキシ-2-(3-ヨード-4-メトキシベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(異性体1)および5-クロロ-N-[3-ヒドロキシ-2-(3-ヨード-4-メトキシベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(異性体2)
【化57】

アルゴン下、0℃で、199 mg (5.3 mmol, 1.5 eq.)の水素化ホウ素ナトリウムを、10 mlのメタノールおよび100 mlのジクロロメタンの混合物中、1.9 g (3.5 mmol)の5-クロロ-N-[2-(3-ヨード-4-メトキシベンジル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例13A)の溶液に加える。反応混合物を、室温で一晩、撹拌し、塩酸(1 N)を用いてpH 5に調整する。形成された沈殿をろ過し、水およびジクロロメタンで洗浄し、減圧下、乾燥させる(異性体1)。
【0169】
ジクロロメタン/水の添加および相分離の後、水性層を、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する(異性体混合物、異性体1/異性体2 = 1:2)。
【0170】
異性体 1:
収量: 662 mg (理論上の34%)
LC-MS (方法8): Rt = 2.95 分;
MS (ESIpos): m/z = 555 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.02 (s, 1H), 8.29 (d, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.68-7.60 (m, 2H), 7.39-7.29 (m, 3H), 7.01-6.93 (m, 2H), 5.74 (d, 1H), 4.78 (d, 1H), 4.34 (d, 1H), 3.80 (s, 3H)。
【0171】
異性体混合物:
収量: 1.2 g (理論上の64%)
LC-MS (方法8): Rt = 2.54 分(異性体2)および2.95 分(異性体1);
MS (ESIpos): m/z = 555 [M+H]+
【0172】
工程b.1): 5-クロロ-N-[2-(3-ヨード-4-メトキシベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化58】

アルゴン下、室温で、0.95 ml (12.0 mmol, 12 eq.)のトリフルオロ酢酸および0.32 ml (2.0 mmol, 2 eq.)のトリエチルシランを、20 mlのジクロロメタン中、568 mg (1.0 mmol)の異性体1の懸濁液に、滴下で加える。反応混合物を、室温で1時間、撹拌し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を加える。ジクロロメタンの添加および相分離後、水性層を、ジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機層を、飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。
【0173】
実施例14A:
収量: 535 mg (理論上の97%)
LC-MS (方法7): Rt = 3.41 分;
MS (ESIpos): m/z = 539 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.29 (s, 1H), 8.27 (d, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.00 (d, 1H), 4.68 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 3.80 (s, 3H)。
【0174】
工程b.2): 5-クロロ-N-[2-(3-ヨード-4-メトキシベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化59】

アルゴン下、室温で、2.3 ml (29.3 mmol, 12 eq.)のトリフルオロ酢酸および0.78 ml (4.9 mmol, 2 eq.)のトリエチルシランを、20 mlのジクロロメタン中、1.4 g (2.4 mmol)の異性体混合物の懸濁液に滴下で加える。反応混合物を、室温で1時間、撹拌し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を加える。ジクロロメタンの添加および相分離の後、水性層を、ジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機層を、飽和水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。異性体を、分取RP-HPLC (CromSil C18、アセトニトリル/水勾配)により分離する。
収量: 異性体1(実施例14A)の665 mg (理論上の51%)および
異性体2(実施例15A)の160 mg (理論上の12%)
【0175】
実施例15A:
LC-MS (方法1): Rt = 2.45 分;
MS (ESIpos): m/z = 539 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.38 (s, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.56 (t, 1H), 7.31-7.25 (m, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.64 (s, 2H), 4.38 (s, 2H), 3.80 (s, 3H)。
【0176】
実施例16A
モルホリン-3-オン
【化60】

表題化合物の製造は、文献[J.-M. Lehn, F. Montavon, Helv. Chim. Acta 1976, 59, 1566-1583]から既知の工程と同様の工程で行う。
【0177】
実施例17A
4-(4-アミノフェニル)モルホリン-3-オン
【化61】

製造は、4-フルオロニトロベンゼンのモルホリン-3-オン(実施例16A)での置換および次の4-(4-ニトロフェニル)モルホリン-3-オンの還元により行う(WO 01/47919の出発物質IおよびII、pp. 55-57を参照のこと)。
【0178】
実施例18A
3-ヒドロキシピペリジン-2-オン
【化62】

表題化合物の製造は、文献[I.S. Hutchinson et al., Tetrahedron 2002, 58, 3137-3143]から既知の工程と同様の工程で行う。
【0179】
実施例19A
1-(4-アミノ-3-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシピペリジン-2-オン
【化63】

表題化合物の製造は、文献[A. Klapers et al., J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 7421-7428]から既知の方法と同様の方法で、2-フルオロ-4-ヨードアニリンおよび3-ヒドロキシピペリジン-2-オン(実施例18A)から行う:
アルゴン下、157 mlのジオキサン中、6.45 g (27.2 mmol)の2-フルオロ-4-ヨードアニリン、3.92 g (34.0 mmol, 1.25 eq.)の3-ヒドロキシピペリジン-2-オン、1.04 g (5.5 mmol, 0.2 eq.)のヨウ化銅(I)、11.56 g (54.5 mmol, 2 eq.)のリン酸カリウムおよび1.2 ml (10.9 mmol, 0.4 eq.)のN,N'-ジメチルエチレンジアミンの懸濁液を、還流で、一晩撹拌する。さらに1.04 g (5.5 mmol, 0.2 eq.)のヨウ化銅(I)および0.9 ml (8.2 mmol, 0.3 eq.)のN,N'-ジメチルエチレンジアミンを加える。反応混合物を、さらに8時間、還流で撹拌し、室温まで冷却後、珪藻土の層を介してろ過し、残渣を、ジクロロメタンおよびメタノール(1:1)の混合物で洗浄する。合わせたろ液を、減圧下、濃縮する。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル 60、ジクロロメタン/メタノール 100:1 → 40:1)により精製する。
収量: 2.57 g (理論上の41%)
HPLC (方法11): Rt = 1.52 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 242 [M+NH4]+;
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 6.94 (d, 1H), 6.81-6.65 (m, 2H), 5.12 (br. s, 2H), 3.99 (dt, 1H), 3.63-3.39 (m, 2H), 2.12-2.00 (m, 1H), 2.00-1.62 (m, 4H)。
【0180】
実施例20A
3-({[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)ピペリジン-2-オン
【化64】

3.16 g (46.5 mmol)のイミダゾールおよび滴下で11 ml (42.6 mmol)のtert-ブチル(ジフェニル)シリルクロライドを、40 mlのN,N-ジメチルホルムアミド中、5.0 g (38.7 mmol)の3-ヒドロキシメチルピペリジン-2-オン [J. Yang et al., Org. Lett. 2000, 2, 763-766]の溶液に、連続して加える。室温で3時間後、約400 mlの水を加え、混合物を、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機抽出物を、飽和塩化アンモニウム溶液、水および飽和塩化ナトリウム溶液で、連続して洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、混合物をろ過し、減圧下、ろ液から溶媒を除去する。取得した残渣を、移動相シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1 → 1:1を用いたシリカゲルを介した吸引で、ろ過により精製する。これにより、9.43 g (理論上の66%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法1): Rt = 2.79 分;
MS (ESIpos): m/z = 368 (M+H)+;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.69-7.65 (m, 4H), 7.42-7.34 (m, 6H), 5.82 (s, broad, 1H), 4.03 (dd, 1H), 3.93 (dd, 1H), 3.32-3.28 (m, 2H), 2.53-2.48 (m, 1H), 2.07-1.99 (m, 1H), 1.96-1.87 (m, 2H), 1.78-1.68 (m, 1H), 1.04 (s, 9H)。
【0181】
実施例21A
3-[3-({[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンゾニトリル
【化65】

弱い真空およびアルゴンでの通気を繰り返し適用することにより、10 mlのトルエン中、250 mg (1.09 mmol)の3-ヨードベンゾニトリル、401 mg (1.09 mmol)の実施例20Aからの化合物、1.85 gのリン酸カリウム(8.73 mmol)、139 μl (1.31 mmol)のN,N'-ジメチルエチレンジアミンおよび166 mg (0.87 mmol)のヨウ化銅(I)から酸素を除去し、次いで、8日間、還流で加熱する。室温まで冷却した後、不可溶性物質をろ過し、生成物を、分取HPLCにより、濃縮ろ液から単離する。これにより、112 mg (理論上の22%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法10): Rt = 5.69 分;
MS (ESIpos): m/z = 469 (M+H)+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.77 (d, 1H), 7.70 (dd, 1H), 7.63-7.57 (m, 6H), 7.49-7.40 (m, 6H), 4.07 (dd, 1H), 3.82 (dd, 1H), 3.71-3.65 (m, 2H), 2.68-2.63 (m, 1H), 2.13-2.08 (m, 1H), 2.06-2.00 (m, 2H), 1.94-1.88 (m, 1H)。
【0182】
実施例22A
1-[3-(アミノメチル)フェニル]-3-({[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)ピペリジン-2-オン ヒドロクロライド
【化66】

50 mg (0.22 mmol)の酸化白金(IV)の存在下、3バールの水素圧で、660 mlのエタノール中、110 mg (0.235 mmol)の実施例21Aからの化合物の溶液を、室温で、水素化する。2時間後、混合物を、セリットでろ過し、ろ液を、乾燥濃縮する。これにより、130 mg (90%の純度に基づく、理論上の97%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法11): Rt = 4.94 分;
MS (ESIpos): m/z = 473 (M+H)+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.27 (broad, 3H), 7.65-7.60 (m, 4H), 7.48-7.41 (m, 7H), 7.37 (d, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.26 (dd, 1H), 4.03 (dd, 1H), 4.01 (s, 2H), 3.86 (dd, 1H), 3.65-3.59 (m, 2H), 2.67-2.63 (m, 1H), 2.15-2.10 (m, 1H), 2.06-1.98 (m, 2H), 1.94-1.89 (m, 1H)。
【0183】
実施例23A
2-{3-[3-({[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}-4-ニトロイソインドリン-1-オン
【化67】

78 μl (0.562 mmol)のトリエチルアミンを、10 mlのメタノール中、70 mg (0.255 mmol)のメチル 2-(ブロモメチル)-3-ニトロベンゾエート(実施例11A、工程a)および130 mg (0.255 mmol)の実施例22Aからの化合物の溶液に加え、混合物を、18時間、還流で加熱する。室温まで冷却後、すべての揮発性成分を、減圧下、除去し、生成物を、分取HPLCにより残渣から単離する。これにより、65 mg (理論上の38%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法11): Rt = 5.62 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 634 (M+H)+, 651 (M+NH4)+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ= 8.41 (d, 1H), 8.16 (d, 1H), 7.81 (t, 1H), 7.62-7.58 (m, 4H), 7.46-7.37 (m, 7H), 7.23-7.18 (m, 3H), 4.85-4.73 (m, 4H), 4.07 (dd, 1H), 3.78 (dd, 1H), 3.67-3.58 (m, 2H), 2.62-2.58 (m, 1H), 2.09-1.97 (m, 3H), 1.92-1.83 (m, 1H), 0.93 (s, 9H)。
【0184】
実施例24A
3-(3-メチル-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)−イル)ベンゾニトリル
【化68】

実施例21Aに記載したのと同様の工程で、500 mg (2.18 mmol)の3-ヨードベンゾニトリルおよび249 mg (2.18 mmol)の1-メチルテトラヒドロピリミジン-2(1H)-オンにより、227 mg (理論上の48%)の表題化合物を得る。反応は、溶媒として、ジオキサンで行う。
HPLC (方法11): Rt = 3.36 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 216 (M+H)+, 233 (M+NH4)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 7.73 (d, 1H), 7.62 (dd, 1H), 7.53-7.47 (m, 2H), 3.68 (t, 2H), 3.34 (t, 2H), 2.86 (s, 3H), 2.06-2.00 (m, 2H)。
【0185】
実施例25A
1-[3-(アミノメチル)フェニル]-3-メチルテトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン ヒドロクロライド
【化69】

実施例22Aに記載したのと同様の工程で、800 mg (3.72 mmol)の実施例24Aからの化合物により、829 mg (理論上の87%)の表題化合物を得る。
LC/MS (方法14): Rt = 1.99 分;
MS (ESIpos): m/z = 220 (M+H)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 8.26 (broad, 3H), 7.39 (s, 1H), 7.33 (dd, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 3.97 (s, 2H), 3.64 (t, 2H), 3.34 (t, 2H), 2.87 (s, 3H), 2.06-2.00 (m, 2H)。
【0186】
実施例26A
2-[3-(3-メチル-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)−イル)ベンジル]-4-ニトロイソインドリン-1-オン
【化70】

実施例23Aに記載したのと同様の工程で、887 mg (3.24 mmol)の実施例25Aからの化合物により、809 mg (理論上の66%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法11): Rt = 3.83 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 381 (M+H)+, 398 (M+NH4)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 8.42 (d, 1H), 8.18 (d, 1H), 7.82 (dd, 1H), 7.28 (dd, 1H), 7.23 (dd, 1H), 7.17 (dd, 1H), 7.06 (dd, 1H), 4.81 (s, 2H), 4.75 (s, 2H), 3.62 (t, 2H), 3.32 (t, 2H, 水のシグナルにより隠される), 2.83 (s, 3H), 2.03-1.97 (m, 2H)。
【0187】
実施例27A
4-アミノ-2-[3-(3-メチル-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)−イル)ベンジル]イソインドリン-1-オン
【化71】

1.89 g (8.37 mmol)の塩化錫(II)二水和物を、15 mlのエタノール中、796 mg (2.09 mmol)の実施例26Aからの化合物の溶液に加え、混合物を、70℃の浴温で2時間、加熱する。次いで、反応混合物を氷水に注ぎ、飽和重炭酸ナトリウム溶液を用いてpH 8に調整し、セリットでの吸引でろ過する。ろ液を、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。混合物を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、ろ過し、ろ液を、蒸発乾固させる。これにより、678 mg (理論上の92%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法11): Rt = 3.22 分;
MS (ES+): m/z = 351 (M+H)+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ= 7.28 (dd, 1H), 7.19-7.13 (m, 3H), 6.97 (dd, 1H), 6.90 (d, 1H), 6.74 (d, 1H), 5.39 (s, 2H), 4.68 (s, 2H), 4.11 (s, 2H), 3.61 (t, 2H), 3.31 (t, 2H), 2.83 (s, 3H), 2.02-1.98 (m, 2H)。
【0188】
実施例28A
3-ブロモ-1-メチルピリド-2(1H)-オン
【化72】

60 mlのトルエン中、5.0 g (28.7 mmol)の3-ブロモ-2-ヒドロキシピリジン、17.9 ml (0.287 mol)のヨードメタン、1.06 g (2.87 mmol)のテトラ-n-ブチルアンモニウムアイオダイドおよび19.9 g (0.144 mol)の炭酸カリウムの混合物を、40℃で15時間、撹拌する。次いで、250 mlの水を加え、反応混合物を、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。ろ過および回転蒸発器での溶媒の除去後、生成物を、移動相シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1 → 1:3を用いたシリカゲルでの吸引で、ろ過により単離する。これにより、4.97 g (理論上の92%)の表題化合物を得る。
GC/MS (方法13): Rt = 5.62 分;
MS (ES+): m/z = 187/189 (79Br/81Br) (M)+;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ= 7.73 (dd, 1H), 7.30 (dd, 1H), 6.06 (dd, 1H), 3.61 (s, 3H)。
【0189】
実施例29A
3-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3−イル)ベンゾニトリル
【化73】

33 mlの2モル水性炭酸ナトリウム溶液および1.51 g (1.31 mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を、90 mlの1,4-ジオキサン中、4.92 g (26.2 mmol)の実施例28Aからの化合物および4.61 g (31.4 mmol)の3-シアノフェニルボロン酸の混合物に加える。反応混合物を、15時間、還流で加熱する。次いで、水を加え、反応混合物を、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。ろ過および回転蒸発器での溶媒の除去後、生成物を、移動相シクロヘキサン/酢酸エチル 5:1を用いたシリカゲルでの吸引で、ろ過により単離する。生成物画分を、ジエチルエーテルからの再結晶により精製する。これにより、3.41 g (理論上の62%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法11): Rt = 3.47 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 211 (M+H)+, 228 (M+NH4)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 8.19 (dd, 1H), 8.05 (dd, 1H), 7.82 (dd, 1H), 7.79-7.77 (m, 2H), 7.60 (dd, 1H), 6.37 (dd, 1H), 3.53 (s, 3H)。
【0190】
実施例30A
3-[3-(アミノメチル)フェニル]-1-メチルピリジン-2(1H)-オン
【化74】

11 mlのクロロホルムおよび108 mg (0.476 mmol)の酸化白金(IV)を、100 mlのエタノール中、1.0 g (4.76 mmol)の実施例29Aからの化合物の溶液に加える。3バールの水素圧で、混合物を、室温で2時間、水素化する。次いで、反応混合物を、セリットでろ過し、減圧下、溶媒を除去する。これにより、0.88 g (理論上の69%)の表題化合物を得る。
LC-MS (方法14): Rt = 2.05 分;
MS (ESIpos): m/z = 215 (M+H)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 8.47 (broad, 3H), 7.80-7.74 (m, 3H), 7.67 (dd, 1H), 7.44-7.40 (m, 2H), 6.35 (dd, 1H), 4.03 (s, 2H), 3.52 (s, 3H)。
【0191】
実施例31A
2-[3-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3−イル)ベンジル]-4-ニトロイソインドリン-1-オン
【化75】

室温で、1 ml (7.43 mmol)のトリエチルアミンを、20 mlのメタノール中、926 mg (3.38 mmol)の実施例11Aからの化合物(工程A)および847 mg (3.38 mmol)の実施例30Aからの化合物の溶液に加える。反応混合物を、1.5時間、還流で加熱する。次いで、回転蒸発器で、反応混合物を、そのもとの容積の約半分まで濃縮する。生じた沈殿を単離し、1リットルのメタノールで洗浄する。これにより、866 mg (理論上の67%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法11): Rt = 3.88 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 376 (M+H)+, 393 (M+NH4)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 8.42 (d, 2H), 8.17 (d, 1H), 7.82 (dd, 1H), 7.73 (dd, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.63-7.59 (m, 2H), 7.38 (dd, 1H), 7.28 (dd, 1H), 6.31 (dd, 1H), 4.83 (s, 2H), 4.82 (s, 2H), 3.50 (s, 3H)。
【0192】
実施例32A
4-アミノ-2-[3-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3−イル)ベンジル]イソインドリン-1-オン
【化76】

実施例27Aに記載したのと同様の工程で、846 mg (2.25 mmol)の実施例31Aからの化合物を、658 mg (理論上の80%)の表題化合物に変換する。
LC-MS (方法15): Rt = 2.09 分;
MS (ES+): m/z = 346 (M+H)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 7.73 (dd, 1H), 7.62-7.58 (m, 3H), 7.37 (dd, 1H), 7.20-7.14 (m, 2H), 7.90 (d, 1H), 6.74 (d, 1H), 6.31 (dd, 1H), 5.37 (s, 2H), 4.74 (s, 2H), 4.12 (s, 2H), 3.49 (s, 3H)。
【0193】
実施例33A
3-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンゾニトリル
【化77】

実施例21Aに記載したのと同様の工程で、6.5 g (28.4 mmol)の3-ヨードベンゾニトリルおよび3.44 g (34.1 mmol)のモルホリノンにより、5.35 g (理論上の91%)の表題化合物を得る。反応は、溶媒として、ジオキサンで行う。
HPLC (方法11): Rt = 2.91 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 203 (M+H)+, 220 (M+NH4)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 7.95 (dd, 1H), 7.80 (ddd, 1H), 7.73 (ddd, 1H), 7.62 (dd, 1H), 4.23 (s, 2H), 3.99 (dd, 2H), 3.79 (dd, 2H)。
【0194】
実施例34A
4-[3-(アミノメチル)フェニル]モルホリン-3-オン ヒドロクロライド
【化78】

実施例30Aに記載したのと同様の工程で、5.30 g (26.2 mmol)の実施例33Aからの化合物により、5.96 g (理論上の91%)の表題化合物を得る。生成物は、アセトニトリル/ジエチルエーテル 1:1から再結晶化する。
HPLC (方法11): Rt = 1.73 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 207 (M+H)+, 224 (M+NH4)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 8.20 (broad, 3H), 7.52 (ddd, 1H), 7.47 (dd, 1H), 7.42 (ddd, 1H), 7.38 (ddd, 1H), 4.23 (s, 2H), 4.03 (s, 2H), 4.00 (dd, 2H), 3.72 (dd, 2H)。
【0195】
実施例35A
7-ニトロ-2-[3-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]イソインドリン-1-オン
【化79】

実施例31Aに記載したのと同様の工程で、2.97 g (10.8 mmol)の実施例9Aからの化合物(工程A)および2.63 g (10.8 mmol)の実施例34Aからの化合物を、2.70 g (理論上の68%)の表題化合物に変換する。生成物を、溶媒としてジクロロメタンを用いて、シリカゲル上でクロマトグラフにかける。
HPLC (方法11): Rt = 3.53 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 368 (M+H)+, 385 (M+NH4)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 7.90 (dd, 1H), 7.87 (dd, 1H), 7.81 (dd, 1H), 7.41 (dd, 1H), 7.37 (dd, 1H), 7.33 (ddd, 1H), 7.21 (ddd, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 4.18 (s, 2H), 3.96 (dd, 2H), 3.72 (dd, 2H)。
【0196】
実施例36A
7-アミノ-2-[3-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]イソインドリン-1-オン
【化80】

実施例27Aに記載したのと同様の工程で、2.68 g (7.29 mmol)の実施例35Aからの化合物を、2.42 g (理論上の91%)の表題化合物に変換する。
HPLC (方法11): Rt = 3.32 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 338 (M+H)+, 355 (M+NH4)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ= 7.40 (dd, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.19 (dd, 1H), 7.17 (d, 1H), 6.60 (d, 1H), 6.57 (d, 1H), 6.08 (s, 2H), 4.64 (s, 2H), 4.24 (s, 2H), 4.18 (s, 2H), 3.95 (dd, 2H), 3.71 (dd, 2H)。
【0197】
実施例
ヨウ化アリールをラクタムと結合させるための一般的な方法1:
アルゴン下、室温で、適当なヨウ化アリール(1 eq.)、ラクタム(1.5 eq.)およびN,N'-ジメチルエチレンジアミン(0.4 eq.)を、ジオキサン(30 ml/mmol)中、ヨウ化銅(I)(0.2 eq.)およびリン酸カリウム(2 eq.)の懸濁液に加える。反応混合物を、還流で撹拌し、室温まで冷却した後、ろ過し、残渣を、ジオキサンで洗浄する。合わせたろ液を、減圧下、濃縮する。表題化合物は、分取RP-HPLC (CromSil C18、アセトニトリル/水勾配)により単離する。
【0198】
実施例1
5-クロロ-N-{1,3-ジオキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)フェニル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化81】

室温で、1.1 ml (7.8 mmol, 5 eq.)のトリエチルアミンを、7 mlのジオキサン中、480 mg (1.56 mmol)の5-クロロ-N-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド(実施例3A)および300 mg (1.56 mmol, 1 eq.)の4-(4-アミノフェニル)モルホリン-3-オン(実施例17A)の溶液に加える。反応混合物を、4時間、還流で撹拌し、次いで、氷水で冷却する。形成された沈殿をろ過し、ジオキサンで洗浄し、減圧下、乾燥させる。
収量: 633 mg (理論上の84%)。
HPLC (方法11): Rt = 4.54 分;
MS (ESIpos): m/z = 482 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.50 (s, 1H), 8.42 (d, 1H), 7.92 (t, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.50 (d, 2H), 7.33 (d, 1H), 4.23 (s, 2H), 4.00 (t, 2H), 3.82 (t, 2H)。
【0199】
実施例2および実施例3
5-クロロ-N-{3-オキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)フェニル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド(実施例2)および5-クロロ-N-{1-オキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)フェニル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド(実施例3)
【化82】

工程a): 5-クロロ-N-{1-ヒドロキシ-3-オキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)フェニル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミドおよび5-クロロ-N-{3-ヒドロキシ-1-オキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)フェニル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミドの異性体混合物
【化83】

アルゴン下、0℃で、35 mg (0.93 mmol, 1.5 eq.)の水素化ホウ素ナトリウムを、20 mlのメタノールおよび20 mlのジクロロメタンの混合物中、300 mg (0.62 mmol)の5-クロロ-N-{1,3-ジオキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)フェニル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド(実施例1)の溶液に加える。反応混合物を、室温で2時間、撹拌し、塩酸(1 N)を用いて、pH 5に調整する。ジクロロメタンの添加および相分離の後、水性層を、ジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。さらなる精製なしに、粗生成物を、次の工程のために使用する。
収量: 240 mg (理論上の80%)。
LC-MS (方法1): Rt = 1.80 分;
MS (ESIpos): m/z = 483 [M+H]+.
【0200】
工程b): 5-クロロ-N-{3-オキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)フェニル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド and 5-クロロ-N-{1-オキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)フェニル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化84】

アルゴン下、室温で、0.23 ml (3.0 mmol, 6 eq.)のトリフルオロ酢酸および79 μl (0.5 mmol, 1 eq.)のトリエチルシランを、3 mlのジクロロメタン中、240 mg (0.5 mmol)の工程a)からの異性体混合物の溶液に、滴下で加える。反応混合物を、室温で2日間、撹拌し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液を加える。ジクロロメタンの添加および相分離の後、水性層を、ジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、濃縮する。異性体を、分取RP-HPLC (CromSil C18、アセトニトリル/水勾配)により単離する。
【0201】
実施例2(異性体1):
収量: 2 mg (理論上の2%)。
LC-MS (方法1): Rt = 2.43 分;
MS (ESIpos): m/z = 468 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.28 (s, 1H), 8.31 (d, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.69 (t, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.50 (d, 2H), 7.40 (d, 1H), 7.36 (d, 1H), 5.10 (s, 2H), 4.22 (s, 2H), 4.00 (t, 2H), 3.78 (t, 2H)。
【0202】
実施例3(異性体2):
収量: 44 mg (理論上の38%)。
HPLC (方法9): Rt = 4.15 分;
MS (ESIpos): m/z = 468 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.50 (s, 1H), 7.98-7.89 (m, 3H), 7.76 (d, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.47 (d, 2H), 7.33 (d, 1H), 5.04 (s, 2H), 4.21 (s, 2H), 3.99 (t, 2H), 3.76 (t, 2H)。
【0203】
実施例4
5-クロロ-N-{3-オキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化85】

一般の方法1にしたがって、76 mg (0.15 mmol)の5-クロロ-N-[2-(4-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例6A)を、23 mg (0.23 mmol, 1.5 eq.)のモルホリン-3-オン(実施例16A)と反応させる。
収量: 58 mg (理論上の53%)。
LC-MS (方法1): Rt = 2.34 分;
MS (ESIpos): m/z = 482 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.27 (s, 1H), 8.24 (d, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.58 (t, 1H), 7.35 (m, 4H), 7.31 (d, 1H), 7.28 (d, 1H), 4.74 (s, 2H), 4.46 (s, 2H), 4.17 (s, 2H), 3.93 (t, 2H), 3.69 (t, 2H)。
【0204】
実施例5
5-クロロ-N-{1-オキソ-2-[4-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化86】

一般の方法1にしたがって、91 mg (84% 純粋、0.15 mmol)の5-クロロ-N-[2-(4-ヨードベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例7A)を、23 mg (0.23 mmol, 1.5 eq.)のモルホリン-3-オン(実施例16A)と反応させる。
収量: 15 mg (理論上の14%)。
LC-MS (方法1): Rt = 1.86 分;
MS (ESIpos): m/z = 482 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.39 (s, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.55 (t, 1H), 7.38 (d, 2H), 7.31 (d, 2H), 7.28 (d, 1H), 4.74 (s, 2H), 4.43 (s, 2H), 4.19 (s, 2H), 3.95 (t, 2H), 3.71 (t, 2H)。
【0205】
実施例6
5-クロロ-N-{3-オキソ-2-[3-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化87】

一般の方法1にしたがって、100 mg (0.2 mmol)の5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例10A)を、30 mg (0.3 mmol, 1.5 eq.)のモルホリン-3-オン(実施例16A)と反応させる。
収量: 34 mg (理論上の36%)。
LC-MS (方法1): Rt = 2.35 分;
MS (ESIpos): m/z = 482 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.29 (s, 1H), 8.28 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.42 (t, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.35-7.28 (m, 3H), 7.24 (d, 1H), 4.78 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 4.19 (s, 2H), 3.97 (t, 2H), 3.73 (t, 2H)。
【0206】
実施例7
5-クロロ-N-{1-オキソ-2-[3-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化88】

一般の方法1にしたがって、76 mg (0.15 mmol)の5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例12A)を、23 mg (0.23 mmol, 1.5 eq.)のモルホリン-3-オン(実施例16A)と反応させる。
収量: 40 mg (理論上の37%)。
LC-MS (方法1): Rt = 1.88 分;
MS (ESIpos): m/z = 482 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.40 (s, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.55 (t, 1H), 7.40 (t, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.18 (d, 1H), 4.75 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 4.18 (s, 2H), 3.95 (t, 2H), 3.71 (t, 2H)。
【0207】
実施例8
5-クロロ-N-{2-[4-メトキシ-3-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化89】

一般の方法1にしたがって、162 mg (0.3 mmol)の5-クロロ-N-[2-(3-ヨード-4-メトキシ-ベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例14A)を、45 mg (0.45 mmol, 1.5 eq.)のモルホリン-3-オン(実施例16A)と反応させる。
収量: 83 mg (理論上の35%)。
LC-MS (方法7): Rt = 2.61 分;
MS (ESIpos): m/z = 512 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.30 (s, 1H), 8.26 (d, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.30 (t, 2H), 7.20 (s, 1H), 7.11 (d, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 4.15 (s, 2H), 3.92 (t, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.52 (t, 2H)。
【0208】
実施例9
5-クロロ-N-{2-[4-メトキシ-3-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化90】

一般の方法1にしたがって、90 mg (0.17 mmol)の5-クロロ-N-[2-(3-ヨード-4-メトキシ-ベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例15A)を、25 mg (0.25 mmol, 1.5 eq.)のモルホリン-3-オン(実施例16A)と反応させる。
収量: 13 mg (理論上の10%)。
LC-MS (方法8): Rt = 2.05 分;
MS (ESIpos): m/z = 512 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ= 10.40 (s, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.64 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.54 (t, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.26 (d, 1H), 7.16 (s, 1H), 7.10 (d, 1H), 4.68 (s, 2H), 4.40 (s, 2H), 4.15 (s, 2H), 3.92 (t, 2H), 3.78 (s, 3H), 5.51 (t, 2H)。
【0209】
実施例10
5-クロロ-N-{2-[2-フルオロ-4-(3-ヒドロキシ-2-オキソピペリジン-1−イル)フェニル]-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化91】

室温で、1.2 ml (6.7 mmol, 5 eq.)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを、5 mlのジオキサン中、412 mg (1.34 mmol)の5-クロロ-N-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド(実施例3A)および300 mg (1.34 mmol, 1 eq.)の1-(4-アミノ-3-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシピペリジン-2-オン(実施例19A)の溶液に加える。反応混合物を、一晩、還流で撹拌し、次いで、氷水で冷却する。形成された沈殿をろ過し、ジオキサンで洗浄し、減圧下、乾燥させる。
収量: 459 mg (理論上の67%)。
LC-MS (方法3): Rt = 2.61 分;
MS (ESIpos): m/z = 514 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.48 (s, 1H), 8.40 (d, 1H), 7.95 (t, 1H), 7.87-7.71 (m, 2H), 7.58 (t, 1H), 7.50 (d, 1H), 7.40-7.27 (m, 2H), 5.49 (s, 1H), 4.12 (m, 1H), 3.85-3.70 (m, 1H), 3.70-3.60 (m, 1H), 2.20-2.07 (m, 1H), 2.07-1.84 (m, 2H), 1.84-1.70 (m, 1H)。
【0210】
実施例11
5-クロロ-N-{2-[4-(3-ヒドロキシ-2-オキソピペリジン-1−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化92】

一般の方法1にしたがって、76 mg (0.15 mmol)の5-クロロ-N-[2-(4-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例6A)を、26 mg (0.23 mmol, 1.5 eq.)の3-ヒドロキシピペリジン-2-オン(実施例18A)と反応させる。
収量: 14 mg (理論上の12%)。
LC-MS (方法8): Rt = 2.47 分;
MS (ESIpos): m/z = 496 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ= 11.29 (s, 1H), 8.26 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.38-7.30 (m, 3H), 7.30-7.22 (m, 3H), 5.26 (s, 1H), 4.76 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 4.10-4.00 (m, 1H), 3.70-3.60 (m, 1H), 3.57-3.47 (m, 1H), 2.13-2.03 (m, 1H), 2.00-1.81 (m, 2H), 1.79-1.68 (m, 1H)。
【0211】
実施例12
5-クロロ-N-{2-[3-(3-ヒドロキシ-2-オキソピペリジン-1−イル)ベンジル]-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化93】

一般の方法1にしたがって、76 mg (0.15 mmol)の5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例8A)を、26 mg (0.23 mmol, 1.5 eq.)の3-ヒドロキシピペリジン-2-オン(実施例18A)と反応させる。
収量: 13 mg (理論上の11%)
LC-MS (方法1): Rt = 2.40 分;
MS (ESIpos): m/z = 510 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ= 10.43 (s, 1H), 8.31 (d, 1H), 7.87 (t, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.40-7.30 (m, 2H), 7.26 (s, 1H), 7.20 (t, 2H), 5.25 (d, 1H), 4.76 (s, 2H), 4.09-4.00 (m, 1H), 3.69-3.60 (m, 1H), 3.55-3.46 (m, 1H), 2.12-2.02 (m, 1H), 1.98-1.80 (m, 2H), 1.79-1.69 (m, 1H)。
【0212】
実施例13
5-クロロ-N-{2-[3-(3-ヒドロキシ-2-オキソピペリジン-1−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化94】

一般の方法1にしたがって、100 mg (0.2 mmol)の5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例10A)を、34 mg (0.3 mmol, 1.5 eq.)の3-ヒドロキシピペリジン-2-オン(実施例18A)と反応させる。
収量: 24 mg (理論上の16%)
LC-MS (方法7): Rt = 2.68 分;
MS (ESIpos): m/z = 496 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ= 11.29 (s, 1H), 8.27 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.39 (t, 1H), 7.34 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.21 (t, 2H), 5.23 (d, 1H), 4.77 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 4.08-4.00 (m, 1H), 3.70-3.61 (m, 1H), 3.59-3.50 (m, 1H), 2.12-2.03 (m, 1H), 2.00-1.80 (m, 2H), 1.79-1.69 (m, 1H)。
【0213】
実施例14
5-クロロ-N-{2-[3-(3-ヒドロキシ-2-オキソピペリジン-1−イル)ベンジル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化95】

一般の方法1にしたがって、76 mg (0.15 mmol)の5-クロロ-N-[2-(3-ヨードベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド(実施例12A)を、26 mg (0.23 mmol, 1.5 eq.)の3-ヒドロキシピペリジン-2-オン(実施例18A)と反応させる。
収量: 12 mg (理論上の11%)
LC-MS (方法7): Rt = 2.10 分;
MS (ESIpos): m/z = 496 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ= 10.40 (s, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.56 (t, 1H), 7.38 (t, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.24-7.18 (m, 2H), 7.15 (d, 1H), 5.21 (d, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.41 (s, 2H), 4.08-4.00 (m, 1H), 3.69-3.60 (m 1H), 3.57-3.48 (m, 1H), 2.12-2.02 (m, 1H), 1.98-1.80 (m, 2H), 1.78-1.68 (m, 1H)。
【0214】
実施例15
5-クロロ-N-{3-オキソ-2-[3-(2-オキソピペリジン-1−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化96】

一般の方法1にしたがって、150 mg (0.295 mmol)の実施例10Aからの化合物を、29 mg (0.295 mmol)のピペリジン-2-オンと反応させる。収量: 15 mg (理論上の11%)。
LC-MS (方法1): Rt = 2.50 分;
MS (ESIpos): m/z = 480 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ= 11.29 (s, 1H), 8.26 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.60 (dd, 1H), 7.38 (dd, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.21-7.18 (m, 2H), 4.75 (s, 2H), 4.44 (s, 2H), 3.60-3.57 (m, 2H), 2.36 (t, 2H), 1.87-1.79 (m, 4H)。
【0215】
実施例16
5-クロロ-N-{1-オキソ-2-[3-(2-オキソピペリジン-1−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化97】

一般の方法1にしたがって、150 mg (0.295 mmol)の実施例12Aからの化合物を、29 mg (0.295 mmol)のピペリジン-2-オンと反応させる。収量: 6 mg (理論上の4%)。
LC-MS (方法7): Rt = 2.27 分;
MS (ESIpos): m/z = 480 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ= 8.48 (s, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.38 (dd, 1H), 7.23 (dd, 1H, CHCl3シグナルにより部分的に隠される), 7.13-7.07 (m, 3H), 6.88 (d, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.21 (s, 2H), 3.62-3.58 (m 2H), 2.47 (t, 2H), 1.95-1.87 (m, 4H)。
【0216】
実施例17
N-(2-{3-[(3S)-3-アミノ-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)-5-クロロチオフェン-2-カルボキサミド
【化98】

【0217】
実施例18
N-(2-{3-[(3S)-3-アミノ-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)-5-クロロチオフェン-2-カルボキサミド
【化99】

【0218】
実施例19
5-クロロ-N-{2-[3-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソピペリジン-1−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化100】

【0219】
実施例20
5-クロロ-N-{2-[3-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソピペリジン-1−イル)ベンジル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化101】

【0220】
実施例21
5-クロロ-N-(2-{3-[3-(ヒドロキシメチル)-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化102】

一般の方法1にしたがって、300 mg (0.59 mmol)の実施例10Aからの化合物を、217 mg (0.59 mmol)の実施例20Aからの化合物と反応させる。分取HPLCにより、68 mg (理論上の15%)のシリル保護化化合物を得て、それを、5 mlのTHFに溶解させ、93 μlのテトラ-n-ブチルアンモニウムフルオライドの1モル溶液を、0℃に加える。10分後、混合物を、室温まで温める。1時間後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転蒸発器で溶媒を除去する。粗生成物を、分取HPLCにより精製する。収量: 34 mg (理論上の11%、2工程)
LC-MS (方法7): Rt = 2.64 分;
MS (ESIpos): m/z = 510 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ= 11.29 (s, 1H), 8.27 (d, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.60 (dd, 1H), 7.38 (dd, 1H), 7.34 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.20-7.17 (m, 2H), 4.75 (s, 2H), 4.64 (t, 1H), 4.45 (s, 2H), 3.70-3.53 (m, 4H), 2.48-2.42 (m, 2H, DMSOシグナルにより部分的に隠される), 1.97-1.92 (m, 2H), 1.84-1.78 (m, 2H)。
【0221】
実施例22
5-クロロ-N-(2-{3-[3-(ヒドロキシメチル)-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化103】

工程A: 4-アミノ-2-{3-[3-({[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}イソインドリン-1-オン。42 mg (0.186 mmol)の塩化錫(II)二水和物を、10 mlのエタノール中、59 mg (0.093 mmol)の実施例23Aからの化合物の溶液に加え、混合物を、70℃の浴温で9時間、加熱する。次いで、反応今後物を、氷水に注ぎ、pHを、飽和重炭酸ナトリウム溶液を用いて8に調整し、混合物を、セリットでの吸引でろ過する。ろ液を、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、混合物をろ過し、ろ液を蒸発乾固させる。取得した残渣を、さらなる精製なしに、反応させる。
【0222】
工程B: N-(2-{3-[3-({[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)-5-クロロチオフェン-2-カルボキサミド。工程Aの粗生成物を、2.5 mlのTHFに溶解させ、2.5 mlのTHF中、21 mg (0.166 mmol)のジイソプロピルエチルアミンおよび15 mg (0.083 mmol)の5-クロロチオフェン-2-カルボニルクロライドの溶液を、連続して加える。反応混合物を、室温で1時間、撹拌する。次いで、混合物を、ジクロロメタンで希釈し、水で洗浄する。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒の除去後、取得した粗生成物を、さらなる精製なしに、反応させる。
【0223】
工程C: 5-クロロ-N-(2-{3-[3-(ヒドロキシメチル)-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド。THF中、196 μlのテトラ-n-ブチルアンモニウムフルオライドの1モル溶液を、5 mlのTHF中、工程Bからの粗生成物の溶液に加え、混合物を、室温で15時間、撹拌する。次いで、水を加え、混合物を、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。ろ過および減圧下、溶媒の除去後、生成物を、分取HPLCにより単離する。これにより、5 mg (3工程にわたる理論上の10%)の表題化合物を得る。
LC-MS (方法15): Rt = 2.84 分;
MS (ESIpos): m/z = 510 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.38 (s, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.54 (dd, 1H), 7.35 (dd, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.20-7.16 (m, 2H), 7.12 (d, 1H), 4.72 (s, 2H), 4.61 (t, 1H), 4.41 (s, 2H), 3.70-3.52 (m, 4H), 2.48-2.42 (m, 2H, DMSOシグナルにより部分的に隠される), 1.97-1.91 (m, 2H), 1.87-1.77 (m, 2H)。
【0224】
実施例23
5-クロロ-N-(2-{3-[3-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化104】

【0225】
実施例24
5-クロロ-N-(2-{3-[3-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-2-オキソピペリジン-1−イル]ベンジル}-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化105】

【0226】
実施例25
5-クロロ-N-{2-[3-(3-メチル-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化106】

【0227】
実施例26
5-クロロ-N-{2-[3-(3-メチル-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)−イル)ベンジル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化107】

100 mg (0.285 mmol)の実施例27Aからの生成物を、2.5 mlのTHFに溶解させ、65 μl (0.371 mmol)のジイソプロピルエチルアミンおよび2.5 mlのTHF中、62 mg (0.342 mmol)の5-クロロチオフェン-2-カルボニルクロライドの溶液を、連続して加える。反応混合物を、室温で1時間、撹拌する。次いで、反応混合物を、完全に蒸発乾固させ、生成物を、分取HPLCにより単離する。これにより、69 mg (理論上の49%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法11): Rt = 4.17 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 495 [M+H]+, 512 [M+NH4]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.37 (s, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.54 (dd, 1H), 7.29-7.25 (m, 2H), 7.19 (dd, 1H), 7.15 (dd, 1H), 6.99 (d, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.40 (s, 2H), 3.61 (t, 2H), 3.31 (t, 2H, 水のシグナルにより部分的に隠される), 2.83 (s, 2H), 2.03-1.97 (m, 2H)。
【0228】
実施例27
5-クロロ-N-{2-[3-(3-(2-ヒドロキシエチル)-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化108】

【0229】
実施例28
5-クロロ-N-{2-[3-(3-(2-ヒドロキシエチル)-2-オキソテトラヒドロピリミジン-1(2H)−イル)ベンジル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化109】

【0230】
実施例29
5-クロロ-N-(3-オキソ-2-{3-[2-オキソ-3-(2-ピロリジン-1−イルエチル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)−イル]ベンジル}-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化110】

【0231】
実施例30
5-クロロ-N-(1-オキソ-2-{3-[2-オキソ-3-(2-ピロリジン-1−イルエチル)テトラヒドロピリミジン-1(2H)−イル]ベンジル}-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化111】

【0232】
実施例31
5-クロロ-N-{3-オキソ-2-[3-(2-オキソピリジン1(2H)−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化112】

【0233】
実施例32
5-クロロ-N-{1-オキソ-2-[3-(2-オキソピリジン1(2H)−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化113】

【0234】
実施例33
5-クロロ-N-(2-{3-[3-(ヒドロキシメチル)-2-オキソピリジン1(2H)−イル]ベンジル}-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化114】

【0235】
実施例34
5-クロロ-N-(2-{3-[3-(ヒドロキシメチル)-2-オキソピリジン-1(2H)−イル]ベンジル}-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化115】

【0236】
実施例35
5-クロロ-N-(2-{3-[3-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-オキソピリジン-1(2H)−イル]ベンジル}-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化116】

【0237】
実施例36
5-クロロ-N-(2-{3-[3-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-オキソピリジン-1(2H)−イル]ベンジル}-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化117】

【0238】
実施例37
5-クロロ-N-[2-(3-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-2-オキソピリジン-1(2H)−イル}ベンジル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化118】

【0239】
実施例38
5-クロロ-N-[2-(3-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-2-オキソピリジン-1(2H)−イル}ベンジル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル]チオフェン-2-カルボキサミド
【化119】

【0240】
実施例39
5-クロロ-N-{2-[3-(1-メチル-2-オキソピペリジン-3−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化120】

【0241】
実施例40
5-クロロ-N-{2-[3-(1-メチル-2-オキソピペリジン-3−イル)ベンジル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化121】

【0242】
実施例41
5-クロロ-N-{2-[3-(2-ヒドロキシピリジン-3−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化122】

【0243】
実施例42
5-クロロ-N-{2-[3-(2-ヒドロキシピリジン-3−イル)ベンジル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化123】

【0244】
実施例43
5-クロロ-N-{2-[3-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化124】

【0245】
実施例44
5-クロロ-N-{2-[3-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3−イル)ベンジル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化125】

実施例26に記載したのと同様の工程で、100 mg (0.29 mmol)の実施例32Aからの化合物および63 mg (0.347 mmol)の5-クロロチオフェン-2-カルボニルクロライドにより、100 mg (理論上の70%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法9): Rt = 4.20 分;
MS (ES+): m/z = 490 (M+H)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.37 (s, 1H), 7.84 (d, 1H), 7.73 (dd, 1H), 7.68-7.53 (m, 6H), 7.37 (dd, 1H), 7.26 (d, 1H), 7.23 (dd, 1H), 6.30 (dd, 1H), 4.77 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 3.49 (s, 3H)。
【0246】
実施例45
4-クロロ-N-{3-オキソ-2-[3-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}ベンズアミド
【化126】

実施例26に記載したのと同様の工程で、100 mg (0.296 mmol)の実施例36Aからの化合物および46 mg (0.356 mmol)の4-クロロベンゾイルクロライドにより、111 mg (理論上の79%)の表題化合物を得る。
HPLC (方法11): Rt = 4.53 分;
MS (DCI, NH3): m/z = 476 (M+H)+, 493 (M+NH4)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.42 (s, 1H), 8.44 (d, 1H), 8.00 (d, 2H), 7.71 (d, 2H), 7.61 (dd, 1H), 7.41 (dd, 1H), 7.37 (dd, 1H), 7.32 (ddd, 1H), 7.30 (ddd, 1H), 7.23 (ddd, 1H), 4.77 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 4.18 (s, 2H), 3.94 (dd, 2H), 3.72 (dd, 2H)。
【0247】
実施例46
6-クロロ-N-{3-オキソ-2-[3-(3-オキソモルホリン4−イル)ベンジル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドル4−イル}ニコチンアミド
【化127】

実施例26に記載したのと同様の方法で、100 mg (0.296 mmol)の実施例36Aからの化合物および46 mg (0.356 mmol)の4-クロロニコチニルクロライドにより、26 mg (理論上の18%)の表題化合物を得る。生成物を、分取HPLCにより精製する。
HPLC (方法11): Rt = 4.15 分;
MS (ES+): m/z = 477 (M+H)+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.39 (s, 1H), 8.98 (d, 1H), 8.38 (d, 1H), 8.34 (dd, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.63 (dd, 1H), 7.42 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.33-7.30 (m, 2H), 7.22 (dd, 1H), 4.78 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 4.18 (s, 2H), 3.95 (dd, 2H), 3.72 (dd, 2H)。
【0248】
B. 薬理学的活性の評価
本発明による化合物は、特に、血液凝固Xa因子の選択的阻害剤として作用し、他のセリンプロテアーゼ、例えば、プラスミンもしくはトリプシンを阻害しないか、またはかなり高い濃度でのみ阻害する。
【0249】
血液凝固Xa因子の阻害剤は、“選択的”であり、他のセリンプロテアーゼ、特に、プラスミンおよびトリプシンの阻害に関するIC50値と比較して少なくとも100倍低く、ここで、選択性のための試験方法に関しては、下記の実施例B.a.1)およびB.a.2)の試験法が参照される。
【0250】
本発明による化合物の有利な薬理学的特性は、下記の方法により決定し得る:
a) 試験記載(インビトロ)
a.1) Xa因子阻害の決定
a.1.1) 発色アッセイ:
ヒトXa因子(FXa)の酵素学的活性は、FXaに特異的な発色基質の変換を用いて測定する。Xa因子は、発色基質からp-ニトロアニリンを切断する。決定は、下記のとおり、マイクロタイタープレートで行われる:
【0251】
さまざまな濃度での試験物質をDMSOに溶解させ、ヒトFXa(50 mmol/lのトリスバッファー[C,C,C-トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、150 mmol/lのNaCl、0.1% BSA[ウシ血清アルブミン]、pH = 8.3に溶解させた0.5 nmol/l)と共に、25℃で10分間、インキュベートする。純粋DMSOを、コントロールとして使用する。次いで、発色基質(Pentapharmからの150 μmol/lのPefachrome(登録商標)FXa)を加える。25℃で20分のインキュベーション時間後、405 nmでの消光(extinction)を決定する。試験物質を含む試験混合物の消光を、試験物質なしのコントロール混合物と比較して、IC50値を、これらのデータから計算する。
【0252】
これらの試験からの代表的な活性データを、下記の表1に記載する:
表1
【表2】

【0253】
a.1.2) 蛍光アッセイ:
ヒトXa因子(FXa)の酵素学的活性は、FXaに特異的な蛍光基質の変換を用いて測定する。FXaは、ペプチド基質からアミノメチルクマリンを切断し、蛍光を測定する。決定は、マイクロタイタープレートで行われる。
【0254】
さまざまな濃度で、試験される物質をジメチルスルホキシドに溶解させ、ヒトFXa (50 mmol/lのTrisバッファー[C,C,C-トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、100 mmol/l NaCl、0.1% BSA [ウシ血清アルブミン]、pH 7.4に1.3 nmol/lで溶解させた)と共に、22℃で15分間、インキュベートする。次いで、基質(Bachemからの5 μmol/lのBoc-Ile-Glu-Gly-Arg-AMC)を加える。30分のインキュベーション時間後、サンプルを、360 nmの波長で励起させ、460 nmでの放出を測定する。試験物質を含む試験バッチの測定された放出を、試験物質なしのコントロールバッチ(ジメチルスルホキシド中、試験物質の代わりにジメチルスルホキシドのみ)と比較し、IC50値を、濃度/活性関係から計算する。
【0255】
a.2) 選択性の決定
a.2.1) 発色アッセイ:
選択的FXa阻害を証明するために、試験物質を、他のヒトセリンプロテアーゼ、例えば、トリプシンおよびプラスミンのそれらの阻害に関して調べる。トリプシン(500 mU/ml)およびプラスミン(3.2 nmol/l)の酵素学的活性を決定するために、これらの酵素を、Trisバッファー(100 mmol/l、20 mmol/lのCaCl2、pH = 8.0)に溶解させ、試験物質または溶媒と共に、10分間、インキュベートする。次いで、酵素反応を、適当な特異的発色基質(Roche DiagnosticsからのChromozym Trypsin(登録商標)およびChromozym Plasmin(登録商標))の添加により開始し、20分後、消光を、405 nmで決定する。すべての決定は、37℃で行われる。試験物質を用いた試験バッチの消光を、試験物質なしのコントロールサンプルと比較し、IC50値を、これらのデータから計算する。
【0256】
a.2.2) 蛍光アッセイ:
Xa因子阻害に関する物質の選択性を証明するために、試験物質を、他のヒトセリンプロテアーゼ、例えば、トリプシンおよびプラスミンの阻害に関して調べる。トリプシン(Sigmaからの83 mU/ml)およびプラスミン(Kordiaからの0.1 μg/ml)の酵素活性を決定するために、これらの酵素を溶解させ(50 mmol/lのTrisバッファー[C,C,C-トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、100 mmol/lのNaCl、0.1% BSA [ウシ血清アルブミン]、5 mmol/lの塩化カルシウム、pH 7.4)、ジメチルスルホキシド中、さまざまな濃度の試験物質と共に、およびまた、試験物質なしのジメチルスルホキシドと共に、15分間インキュベートする。次いで、酵素反応を、適当な基質(トリプシンのために、Bachemからの5 μmol/lのBoc-Ile-Glu-Gly-Arg-AMC、プラスミンのために、Bachemからの50 μmol/lのMeOSuc-Ala-Phe-Lys-AMC)の添加により開始する。22℃で30分のインキュベーション時間後、蛍光を測定する(励起: 360 nm、放出: 460 nm)。試験物質を含む試験バッチの測定された放出を、試験物質なしのコントロールバッチ(ジメチルスルホキシド中、試験物質の代わりにジメチルスルホキシドのみ)と比較し、IC50値を、濃度/活性関係から計算する。
【0257】
a.3) 抗凝固活性の決定
試験物質の抗凝固活性を、ヒトおよびウサギ血漿において、インビトロで決定する。この目的を達成するために、血液を、レシーバーとして0.11モルのクエン酸ナトリウム溶液を用いて、クエン酸ナトリウム/血液が1:9の混合割合で、抜く。血液を抜いた後すぐに、それを完全に混合し、約2500 gで10分間、遠心分離する。上清をピペットで分ける(pipetted off)。プロトロンビン時間(PT, synonyms: thromboplastin time, quick test)を、市販の試験キット(Instrumentation LaboratoryからのHemoliance(登録商標) RecombiPlastin)を用いて、さまざまな濃度の試験物質または相当する溶媒の存在下で決定する。試験化合物を、血漿と共に、37℃で3分間、インキュベートする。次いで、凝固を、トロンボプラスチンの添加により開始し、凝固が生じる時間を決定する。プロトロンビン時間の倍加に影響を与える試験物質の濃度を決定する。
【0258】
b) 抗血栓症活性の決定(インビボ)
b.1) 動静脈吻合モデル(ウサギ)
絶食したウサギ(系統: Esd: NZW)を、Rompun/Ketavet溶液(それぞれ、5 mg/kgおよび40 mg/kg)の筋肉内投与で麻酔する。血栓形成を、C.N. Berry et al. [Semin. Thromb. Hemost. 1996, 22, 233-241]に記載した方法にしたがい、動静脈シャントで開始する。この目的を達成するために、左頸静脈および右頸動脈を露出させる。2つの血管を、10 cmの長さの静脈カテーテルを用いて、体外シャントにより結合させる。真ん中で、このカテーテルを、さらに、ループを形成するように配列された粗面ナイロン糸を含む4 cmの長さのポリエチレンチューブ(PE 160, Becton Dickenson)に結合させ、血栓形成表面を形成する。体外循環は、15分間、維持する。次いで、シャントを除去し、血栓を含むナイロン糸の重さを、即座に、測定する。ナイロン糸自身の重さは、実験が開始される前に決定された。体外循環を設定する前に、試験物質を、耳静脈により静脈内に、または食道を用いて経口で投与する。
【0259】
c) 溶解度アッセイ
必要とされる試薬:
・ PBSバッファーpH 7.4: 90.00 gのNaCl p.a. (例えば、Merck技術番号1.06404.1000)、13.61のKH2PO4 p.a. (例えば、Merck技術番号1.04873.1000)および83.35 gの1N NaOH (例えば、Bernd Kraft GmbH技術番号01030.4000)を、1 lの測定フラスコに計り取り、フラスコを水で充たし、混合物を、約1時間、撹拌する。
・ 酢酸バッファーpH 4.6: 5.4 gの酢酸ナトリウム x 3 H2O p.a. (例えば、Merck技術番号1.06267.0500)を、100 mlの測定フラスコに計り取り、50 mlの水に溶解させ、2.4 gの氷酢酸を加え、混合物を、水で100 mlにし、pHを調べ、必要ならば、pH 4.6に調整する。
・ ジメチルスルホキシド(例えば、Baker技術番号7157.2500)
・ 蒸留水
【0260】
検定溶液の製造:
検定溶液のストック溶液の製造: 約5 mgの活性化合物を、2 ml Eppendorf Safe-Lockチューブ(Eppendorf技術番号0030 120.094)の中に正確に計り取り、DMSOを、600 μg/mlの濃度まで加え(例えば、5 mgの活性化合物 + 833 μlのDMSO)、すべてが溶液になるまで、混合物をボルテックスにかける。
【0261】
検定溶液1 (20 μg/ml): 1000 μlのDMSOを、34.4 μlのストック溶液に加え、混合物を、均質化する。
【0262】
検定溶液 2 (2.5 μg/ml): 700 μlのDMSOを、100 μlの検定溶液1に加え、混合物を、均質化する。
【0263】
サンプル溶液の製造:
PBSバッファーpH 7.4中、10 g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液: 約5 mgの活性化合物を、2 ml Eppendorf Safe-Lockチューブ(Eppendorf技術番号0030 120.094)の中に正確に計り取り、PBSバッファーpH 7.4を、5 g/lの濃度まで加える(例えば、5 mgの活性化合物 + 500 μlのPBSバッファーpH 7.4)。
【0264】
酢酸バッファーpH 4.6中、10 g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液: 約5 mgの活性化合物を、2 ml Eppendorf Safe-Lockチューブ(Eppendorf技術番号0030 120.094)の中に正確に計り取り、酢酸バッファーpH 4.6を、5 g/lの濃度まで加える(例えば、5 mgの活性化合物 + 500 μlの酢酸バッファーpH 4.6)。
【0265】
水中、10 g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液: 約5 mgの活性化合物を、2 ml Eppendorf Safe-Lockチューブ(Eppendorf技術番号0030 120.094)の中に正確に計り取り、水を、5 g/lの濃度まで加える(例えば、5 mgの活性化合物 + 500 μlの水)。
【0266】
実施:
この方法で製造したサンプル溶液を、温度調整可能シェーカー(例えば、互換性のあるブロック(interchangeable block)技術番号5362.000.019と共に、Eppendorf Thermomixer comfort技術番号5355 000.011)を用いて、20℃で24時間、1400 rpmで撹拌する。各々の場合に、180 μlをこれらの溶液から取り出し、Beckman Polyallomer遠心分離管(技術番号343621)に移す。これらの溶液を、約223 000 *gで1時間、遠心分離する(例えば、42 000 rpmでの42.2 Tiローター型を備えたBeckman Optima L-90K超遠心分離機)。サンプル溶液の各々から、100 μlの上清を除去し、使用される各溶媒(水、PBSバッファーpH 7.4または酢酸バッファーpH 4.6)を用いて、1:5、1:100および1:1000に希釈する。各希釈物から、サンプルを、HPLC解析のために適当な容器へ移す。
【0267】
解析:
サンプルを、RP-HPLCにより解析する。定量は、DMSO中、試験化合物の二点検定曲線を用いて行う。溶解度は、mg/lで示す。
解析配列:
1. 検定溶液 2.5 mg/ml
2. 検定溶液 20 μg/ml
3. サンプル溶液 1:5
4. サンプル溶液 1:100
5. サンプル溶液 1:1000
【0268】
酸のためのHPLC法:
DAD (G1315A)、クォータナリポンプ(G1311A)、自動サンプラーCTC HTS PAL、脱気剤(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えたAgilent 1100; カラム: Phenomenex Gemini C18、50 x 2 mm、5 μ; 温度: 40℃; 移動相A: 水/リン酸 pH 2; 移動相B: アセトニトリル; 流速: 0.7 ml/分; 勾配: 0-0.5 分 85% A、15% B; ランプ: 0.5-3 分 10% A、90% B; 3-3.5 分 10% A、90% B; ランプ: 3.5-4 分 85% A、15% B; 4-5 分 85% A、15% B。
【0269】
塩基のためのHPLC法:
DAD (G1315A)、クォータナリポンプ(G1311A)、自動サンプラーCTC HTS PAL、脱気剤(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えたAgilent 1100; カラム: VDSoptilab Kromasil 100 C18、60 x 2.1 mm、3.5 μ; 温度: 30℃; 移動相A: 水 + 5 ml 過塩素酸/l; 移動相B: アセトニトリル; 流速: 0.75 ml/分; 勾配: 0-0.5 分 98% A、2% B; ランプ: 0.5-4.5 分 10% A、90% B; 4.5-6 分 10% A、90% B; ランプ: 6.5-6.7 分 98% A、2% B; 6.7-7.5 分 98% A、2% B。
【0270】
C. 医薬組成物の典型的な態様
本発明による化合物を、下記の方法で、医薬組成物に変換し得る:
錠剤:
組成:
100 mgの本発明による化合物、50 mgのラクトース(一水和物)、50 mgのトウモロコシデンプン(天然)、10 mgのポリビニルピロリドン(PVP 25)(BASF, Ludwigshafen, Germanyからの)および2 mgのステアリン酸マグネシウム。錠剤重量212 mg。直径8 mm。12 mmの曲率半径。
【0271】
製剤:
本発明による化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、水中、PVPの5%強度溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、次いで、ステアリン酸マグネシウムと5分間、混合する。この混合物を、慣用的な錠剤プレスを用いて圧縮する(錠剤の様式のために上記を参照のこと)。基準として、15 kNの圧縮力を圧縮のために使用する。
【0272】
経口懸濁液:
組成:
1000 mgの本発明による化合物、1000 mgのエタノール(96%)、400 mgのRhodigel(登録商標)(FMC, Pennsylvania, USAからのキサンタンガム)および99 gの水。10 mlの経口懸濁液は、本発明による100 mgの化合物の単一用量に相当する。
【0273】
製剤:
Rhodigelをエタノールに懸濁し、本発明による化合物を、懸濁液に加える。撹拌しながら、水を加える。混合物を、Rhodigelの膨張が完成するまで、約6時間撹拌する。
【0274】
経口溶液:
組成:
500 mgの本発明による化合物、2.5 gのポリソルベートおよび97 gのポリエチレングリコール 400。20 gの経口溶液は、本発明による100 mgの化合物の単一用量に相当する。
【0275】
生成物:
本発明による化合物を、撹拌しながら、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に懸濁する。本発明による化合物が完全に溶解するまで、撹拌を続ける。
【0276】
静脈内投与溶液:
本発明による化合物を、生理学的に許容される溶媒(例えば、等張塩化ナトリウム溶液、グルコース溶液5%および/またはPEG 400溶液30%)中、飽和溶解度以下の濃度で溶解させる。溶液をろ過により滅菌し、滅菌および発熱物質フリーの注射容器に充填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
Aは、式
【化2】

(式中、
R1Aは、水素、フッ素、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシまたはC3-C6-シクロアルキルアミノを示し、
ここで、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノは、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキルオキシ、C3-C6-シクロアルキルアミノ、(N-C3-C6-シクロアルキル)(N-C1-C4-アルキル)アミノならびにN-R21、SおよびOからなる群からの環員を含み得る4から7員飽和ヘテロ環からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、R21は、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
ヘテロ環は、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキルおよびオキソからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
R1Bは、水素、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシまたはC3-C6-シクロアルキルアミノを示し、
ここで、アルキルは、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキルオキシ、C3-C6-シクロアルキルアミノ、(N-C3-C6-シクロアルキル)(N-C1-C4-アルキル)アミノならびにN-R21、SおよびOからなる群からの環員を含み得る4から7員飽和ヘテロ環からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、R21は、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
ヘテロ環は、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキルおよびオキソからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
R1Cは、水素、フッ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R1Dは、水素、フッ素、シアノ、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R1Eは、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、#は、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
mは、0、1または2の数を示し、
そして、(CH2)m基は、1もしくは2位でフェニル環に結合し、
R2は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
R3は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
ここで、アルキル、アルコキシおよびアルキルアミノは、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキルオキシ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4-テトラヒドロピラニルおよびNR14R15からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、ピペラジニルおよびピペリジニルは、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
そして、
R14は、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
R15は、水素またはC1-C4-アルキルを示し、
R4およびR5は、水素を示し、
そして、
R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成するか、
または、
R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7は、水素を示すか、
または、
R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
R8は、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはチエニルを示し、
ここで、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルは、置換基R11および/もしくは置換基R12で、または2つの異なる置換基R11で、または2つの異なる置換基R12で置換され、
ここで、
R11は、環内の窒素原子に隣接しない炭素原子に結合して、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R12は、環内の窒素原子に隣接する炭素原子に結合して、水素、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
ここで、チエニルは、置換基R13および置換基R16で置換され、
ここで、
R13は、環内の硫黄原子に隣接する炭素原子に結合して、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R16は、水素、フッ素、塩素、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R9は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
ここで、アルキル、アルコキシおよびアルキルアミノは、ヒドロキシ、C1-C4-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキルオキシ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4-テトラヒドロピラニルおよびNR17R18からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、ピペラジニルおよびピペリジニルは、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
そして、
R17は、水素、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
R18は、水素またはC1-C4-アルキルを示し、
R10は、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1 C4-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
そして、
ここで、R9は、イソインドリン環の6位に結合し、R10は、その7位に結合するか、
または、
R9は、イソインドリン環の7位に結合し、R10は、その6位に結合する]
で示される化合物またはその塩の1つ、その溶媒和物またはその塩の溶媒和物。
【請求項2】
Aが、式
【化3】

(式中、
R1Aが、水素、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、メトキシ、エトキシ、tert-ブトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、tert-ブチルアミノ、シクロプロピル、シクロプロピルアミノまたはシクロプロピルオキシを示し、
ここで、アルキル、エトキシ、tert-ブトキシ、エチルアミノ、ジエチルアミノおよびtert.-ブチルアミノが、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、C1-C4-アルキルアミノ、シクロプロピルオキシ、シクロプロピルアミノ、(N-シクロプロピル)(N-メチル)アミノ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-ピペリジニル、4-モルホリニル、1-ピペラジニルおよび4-テトラヒドロピラニルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルおよび4-ピペリジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
R1Bが、水素、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノまたはシクロプロピルを示し、
ここで、アルキルが、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、C1-C4-アルキルアミノ、シクロプロピルオキシ、シクロプロピルアミノ、(N-シクロプロピル)(N-メチル)アミノ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-ピペリジニル、4-モルホリニル、1-ピペラジニルおよび4-テトラヒドロピラニルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルおよび4-ピペリジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
R1Cが、水素、フッ素、オキソまたはメチルを示し、
R1Dが、水素、フッ素またはメチルを示し、
そして、#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
mが、0、1または2の数を示し、
そして、(CH2)m基が、1もしくは2位でフェニル環に結合し、
R2が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-C4-アルキルまたはC1-C4-アルコキシを示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、シクロプロピル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
ここで、アルキル、アルコキシおよびアルキルアミノが、ヒドロキシ、メトキシ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-モルホリニル、1-ピペラジニルおよびNR14R15からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
そして、
R14が、水素、メチルまたはシクロプロピルを示し、
そして、
R15が、水素またはメチルを示し、
R4およびR5が、水素を示し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成するか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、水素を示すか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
R8が、式
【化4】

(式中、
*は、カルボニル基に結合する位置であり、
R11は、フッ素、塩素、エチニル、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシを示し、
R12は、アミノ、メチル、メチルアミノまたはジメチルアミノを示し、
R13は、フッ素、塩素、エチニル、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシを示し、
そして、
R16は、水素を示す)
の基を示し、
R9が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、メトキシ、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニルまたはジメチルアミノカルボニルを示し、
ここで、メチルおよびメトキシが、ヒドロキシ、メトキシ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-モルホリニル、1-ピペラジニルおよびNR17R18からなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
そして、
R17が、水素、メチルまたはシクロプロピルを示し、
そして、
R18が、水素またはメチルを示し、
R10が、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルまたはメトキシを示し、
そして、
ここで、R9が、イソインドリン環の6位に結合し、R10が、その7位に結合するか、
または、
R9が、イソインドリン環の7位に結合し、R10が、その6位に結合することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、式
【化5】

(式中、
R1Aが、水素、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノまたはシクロプロピルアミノを示し、
ここで、メチル、エチル、イソプロピル、エトキシ、エチルアミノおよびジエチルアミノが、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シクロプロピルアミノ、(N-シクロプロピル)(N-メチル)アミノ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-モルホリニルおよび1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
R1Bが、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピルまたはシクロプロピルを示し、
ここで、エチルおよびイソプロピルが、ヒドロキシ、アミノ、メトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シクロプロピルアミノ、(N-シクロプロピル)(N-メチル)アミノ、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、4-モルホリニルおよび1-ピペラジニルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、1-ピペラジニルが、メチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される置換基により、窒素原子で置換されていてもよく、
R1Cが、水素、フッ素、オキソまたはメチルを示し、
R1Dが、水素、フッ素またはメチルを示し、
そして、#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
mが、1の数を示し、
そして、(CH2)m基が、1もしくは2位でフェニル環に結合し、
R2が、水素を示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、n-プロピル、メトキシ、エトキシまたはメトキシメチルを示し、
R4およびR5が、水素を示し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成するか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、水素を示すか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
R8が、式
【化6】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R13が、フッ素、塩素またはメチルを示し、
そして、
R16が、水素を示す)
の基を示し、
R9が、水素を示し、
R10が、水素を示し、
そして、
ここで、R9が、イソインドリン環の6位に結合し、R10が、その7位に結合するか、
または、
R9が、イソインドリン環の7位に結合し、R10が、その6位に結合することを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、式
【化7】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
mが、1の数を示し、
そして、(CH2)m基が、1もしくは2位でフェニル環に結合し、
R2が、水素を示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノまたはメチルを示し、
R4およびR5が、水素を示し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成するか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、水素を示すか、
または、
R4およびR5が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
そして、
R6およびR7が、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、
R8が、式
【化8】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R13が、塩素を示し、
そして、
R16が、水素を示す)
の基を示し、
R9が、水素を示し、
R10が、水素を示し、
そして、
ここで、R9が、イソインドリン環の6位に結合し、R10が、その7位に結合するか、
または、
R9が、イソインドリン環の7位に結合し、R10が、その6位に結合することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその塩の1つ、その溶媒和物またはその塩の溶媒和物を製造する方法であって、
[A] 式
【化9】

[式中、
m、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物を、式
【化10】

[式中、
Aは、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物と反応させるか、または
[B] 式
【化11】

[式中、
R8、R9およびR10は、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物を、式
【化12】

[式中、
A、m、R2およびR3は、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物と反応させて、式(I)(式中、R4およびR5は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成し、R6およびR7は、それらが結合する炭素原子と共にカルボニル基を形成する)の化合物を得るか、または
[C] 式
【化13】

[式中、
A、m、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9およびR10は、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物を、式
【化14】

[式中、
R8は、請求項1で定義した意味を有し、そして
Xは、ハロゲン、好ましくは、臭素もしくは塩素、またはヒドロキシを示す]
の化合物と反応させることを特徴とする、方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
疾患の処置および/または予防のための医薬の製造のための請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項8】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための医薬の製造のための請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
インビトロで血液凝固を予防するための請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
不活性で非毒性の薬学的に許容される補助剤と共に請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物を含む、医薬。
【請求項11】
さらなる活性化合物と共に請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物を含む、医薬。
【請求項12】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための請求項10または11に記載の医薬。
【請求項13】
抗凝固性である請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物、請求項10から12のいずれか1項に記載の医薬または請求項7もしくは8の方法にしたがって取得した医薬のうち少なくとも1種の有効量を用いた、ヒトおよび動物における血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための方法。
【請求項14】
請求項1から4のいずれか1項に記載の抗凝固性化合物の有効量を加えることを特徴とする、インビトロで血液凝固を予防するための方法。

【公表番号】特表2009−538845(P2009−538845A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512471(P2009−512471)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004692
【国際公開番号】WO2007/137790
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】