説明

イミダゾリウム塩およびこれらのイオン性液体の溶媒としてのそれらの使用

【課題】触媒プロセスへの有害な影響を及ぼすことのない触媒プロセスにおいて用いることができる新規な安定イミダゾリウム塩を見出す。
【解決手段】新規な1,2,3−または1,2,3,4−または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩および触媒有機反応における溶媒としてのそれらの使用、ならびにそれらを含有する組成物および遷移金属化合物。それらは、共役ジエンのテロメリゼーション、オレフィンの二量化、オレフィンのオリゴメリゼーション、オレフィンの重合、オレフィンのアルキル化、オレフィンの水素化等の反応において用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダゾリウム塩の溶媒としての使用、および新規なイミダゾリウム塩および同じものを含有する組成物に関する。特に、イミダゾリウム塩は有機反応、特にオレフィンの二相触媒変性などの触媒反応における溶媒として用いることが可能である。
【背景技術】
【0002】
室温から200℃にわたり液体である低融点塩は、多くの有機反応において液体媒体として用いることができる。通常、これらの塩は「イオン性液体」と呼ばれる。イオン性液体は、しばしば、それらが反応用溶媒としてだけではなく、触媒または触媒成分としても役立つ二つの機能を有する。
【0003】
他の場合において、イオン性液体は触媒用の溶媒としてのみ役立つ、すなわち、イオン性液体は反応物または反応生成物と混和性がない。この場合に、反応は触媒溶液の界面で起こり、反応生成物は分離相を形成する。二つの分離液相を用いるこのプロセスは、次の反応を避けるために直ぐに反応生成物を反応混合物から除去しなければならない場合に適する。更に、触媒および反応生成物は穏やかな条件の下で分離することができる。
【0004】
イオン性液体のさらなる利点は、多くのプロセスにおいてそれらの適用を可能とするそれらの化学的および熱的安定性である。更に、それらは揮発性でなく、従って、それらは化学産業従事者および一般社会および環境に対してより安全である。
【0005】
溶媒として技術上公知のイオン性液体の中でも、イミダゾリウム塩は注目を集めてきた(最近のレビューのために、例えば、「Ionic Liquids」by J. D. Holbrey and K. R. Seddon in Clean Products and Processes,1,(1999),223〜236を例として参照)。
【0006】
例えば、CHEMTECH,(September 1995),頁26および続くページには、触媒用の非水性溶媒としての、塩化1,3−ジアルキルイミダゾリウム、特に塩化1−n−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム(BMI+Cl-と略記される)および塩化アルミニウムおよび/またはエチル・アルミニウム・クロリドの混合物が開示されている。
【0007】
Am. Chem. Soc., Div. Pet. Chem.,(1992),37,頁370以下には、イオン性液体としてのBMI+Cl-とAlCl3の混合物中のNiCl2(PR32,(R=i−C37)溶液存在下でのプロピレンの二量化が開示されている。
【0008】
EP−A−0776880号(米国特許第5,874,638号)には、例えば、イオン性液体存在下でのオレフィン化合物のヒドロホルミル化用のプロセスが開示されている。
【0009】
Angew. Chem.,(1995),107(23/24),頁2941以下には、また、液体1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩を用いるヒドロホルミル化反応が開示されている。
【0010】
英国特許出願GB−A−2150740号、ならびにEP−A−0404179号およびEP−A−0398358号には、電解質としての1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムハロゲン化物およびそれらのアルミニウムハロゲン化物との混合物が開示されている。WO99/40025号には、また、電解溶質として有用な第4級オニオム塩が開示されている。なお他の複素環式オニウム塩は、例えば、米国特許第5,827,602号および米国特許第5,683,832号に開示されているような非水性電池において用いることが可能である。
【0011】
第4級イミダゾリウム塩の他の使用は、例えば、フランス特許−A−2434156号、フランス特許−A−2380732号、フランス特許−A−2302301号およびフランス特許−A−2303802号での殺菌剤または植物成長調節剤として、および日本特許第06812354号における合成繊維用の帯電防止剤としても公知である。
【0012】
ハロイミニウム塩(例えば、トリ−置換イミダゾリウム塩化物)は、乳酸重合に有用であるとして報告されてきた(日本特許第01135662号を参照すること)。WO95/21871号には、オレフィン重合反応における触媒としての二置換イミダゾリウムハロゲン化物が示されている。
【0013】
ドイツ特許出願第19919494.7号(国際特許出願WO00/66597号に対応する)には、式(Q1+bA’c-で表される非水性イオン・リガンド液体が開示されている。式中、Q1+は場合により有機基(複数を含む)により置換される単一荷電アンモニウム・カチオンであり、A’c-はリン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルのアニオンであり、cは少なくとも1の整数である。アンモニウム・カチオンの中には、また、上述の1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウムが挙げられる。
【0014】
J.Dupontら(Organometallics,(1998),17,815〜819)には、イオン性液体中に溶解されたパラジウム化合物を用いる1,3−ブタジエンの水素化二量化の触媒プロセスが開示されている。パラジウム触媒化合物[(η3−C47)Pd−μ−Cl]2、[(η3−C47)Pd(1,5−シクロオクタジエン)][BF4]および酢酸パラジウムが用いられてきたので、それらは、室温で、イオン性液体テトラフルオロホウ酸1−n−ブチルメチルイミダゾリウム(BMI+.BF4-)およびヘキサフルオロリン酸1−n−ブチルメチルイミダゾリウム(BMI+.PF6-)中では完全に溶解せず安定しないと言われる。しかし、遂行された水素化二量化反応の終わりで、金属パラジウムはそのように触媒系の再利用を限定することが見出された。これはこれら触媒の水に対する不安定さに帰せられてきた。金属パラジウムの形成は、PdCl2を還流温度でアセトニトリル中の2モル過剰の塩化1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムと反応させることにより得られた新規な触媒前駆体(BMI)2PdCl4の使用により抑制することができたであろう。しかし、この安定触媒に対してさえも、報告された転化率は低かった。
【0015】
ブタジエンの例えばメタノールによるテロメリゼーション用の上述のテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−メチルイミダゾリウム(BMI+.BF4-)または1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタン−スルホニル)イミド(BMI+.Tf2-)などのイオン性液体の存在下で従来のパラジウム・ホスフィン触媒を用いる試みにおいて、本発明者らは、驚くことに、[(η3−C47)Pd−μ−Cl]2、[(η3−C47)Pd(1,5−シクロオクタジエン)][BF4]または酢酸パラジウムのような上述の触媒化合物とは対照的に、イオン性1,3−ジアルキルイミダゾリウム液体存在下での従来のパラジウム・ホスフィン触媒系が、殆ど何の反応性も示さず、従ってイオン性液体の存在下でテロメリゼーション・プロセス用には利用できないことを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】EP−A−0776880号(米国特許第5,874,638号)
【特許文献2】英国特許出願GB−A−2150740号
【特許文献3】EP−A−0404179号
【0017】
【特許文献4】EP−A−0398358号
【特許文献5】WO99/40025号
【特許文献6】米国特許第5,827,602号
【0018】
【特許文献7】米国特許第5,683,832号
【特許文献8】フランス特許−A−2434156号
【特許文献9】フランス特許−A−2380732号
【0019】
【特許文献10】フランス特許−A−2302301号
【特許文献11】フランス特許−A−2303802号
【特許文献12】日本特許第06812354号
【0020】
【特許文献13】日本特許第01135662号
【特許文献14】WO95/21871号
【特許文献15】ドイツ特許出願第19919494.7号(国際特許出願WO00/66597号に対応する)
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Ionic Liquids」by J. D. Holbrey and K. R. Seddon in Clean Products and Processes,1,(1999),223〜236を例として参照)。
【非特許文献2】CHEMTECH,(September 1995),頁26
【非特許文献3】Am. Chem. Soc., Div. Pet. Chem.,(1992),37,頁370以下
【0022】
【非特許文献4】Angew. Chem.,(1995),107(23/24),頁2941以下
【非特許文献5】J.Dupontら(Organometallics,(1998),17,815〜819)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明の根底にある目的は、特に、触媒プロセスへの有害な影響を及ぼすことのない触媒プロセスにおいて用いることができる新規な安定イミダゾリウム塩を見出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0024】
驚くことに、出願人は、イミダゾリウム複素環の少なくとも1,2および3−位置が置換されるイミダゾリウム塩が、溶媒として用いられる場合に有害度のより少ない影響を及ぼし、従って触媒反応、例えば共役ジエンの接触テロメリゼーションにおける溶媒として有利に用いることができるであろうことを見出した。
【0025】
従って、本発明により、アニオンとしての亜リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの、1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩を除く、1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩の、溶媒としての新規用途が提供される。
【0026】
本発明は、以下の態様[1]〜[26]を含むことができる。
【0027】
[1] アニオンとしての亜リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの、1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩を除く、1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩の、溶媒としての使用。
【0028】
[2] 1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩が以下の式(1)で表されるものである[1]に記載の使用:
【0029】
【化1】

【0030】
(式中、R1およびR3は同一または異なり、それぞれが10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、およびキラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基からなる群から選択され、
2は10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R2は上に定義されるようなアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
4およびR5は同一または異なり、それぞれが水素、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、キラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R4およびR5は水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、なお更に好ましくは水素であり、および
-はアニオンを表す)。
【0031】
[3] 同一または異なるR1、R2およびR3が、それぞれ独立に(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキル基から選択され;
同一または異なるR4およびR5が、それぞれ独立に水素、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキル基から選択され;および
-がアニオンを表す、[2]に記載の式(1)で表されるイミダゾリウム塩の使用。
【0032】
[4] 同一または異なるR1、R2およびR3が、それぞれ独立にメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチル基から選択され;
同一または異なるR4およびR5が、それぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチル基から選択され;および
-が上述のようなアニオンを表す、[2]または[3]のいずれかに記載の式(1)で表されるイミダゾリウム塩の使用。
【0033】
[5] X-が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビスパーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、ジクロロ銅酸化物、テトラクロロホウ酸塩、テトラクロロアルミン酸塩、ヘプタクロロジアルミン酸塩(Al2Cl7-)、トリクロロ亜鉛酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜リン酸塩のアニオンからなる群のアニオンから選択される、[1]〜[4]のいずれかに記載の使用。
【0034】
[6] X-が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロリン酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラクロロホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビスパーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜リン酸塩のアニオンからなる群のアニオンから選択される、[1]〜[5]に記載の使用。
【0035】
[7] 1,2,3−トリ(C1〜C10)アルキル・イミダゾリウム塩が溶媒として用いられる[1]〜[6]のいずれかに記載の使用。
【0036】
[8] 臭化1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド、トリフルオロメチルスルホン酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド、およびテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウムが溶媒として用いられる、[1]〜[7]のいずれかに記載の使用。
【0037】
[9] 1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩が溶媒として用いられる[1]〜[7]のいずれかに記載の使用。
【0038】
[10] 塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミドおよび/またはテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウムが溶媒として用いられる、[1]〜[7または9]のいずれかに記載の使用。
【0039】
[11] 溶媒が有機反応における溶媒である[1]〜[10]のいずれかに記載の使用。
【0040】
[12] 有機反応が、オレフィンの触媒変性、縮合反応、水素化反応、異性化反応、スズキ・クロスカップリング反応、アミノ化反応、アルカンの部分酸化、ラセミ混合物の動的(kinetic)分割、イミンの水素化、ケトンの水素化、移動型(transfer)水素化および芳香族有機化合物のヒドロキシル化からなる群から選択される、[1]〜[11]のいずれかに記載の使用。
【0041】
[13] オレフィンの触媒変性反応が、共役ジエンのテロメリゼーション、オレフィンの二量化、オレフィンのオリゴメリゼーション、オレフィンの重合、オレフィンのアルキル化、オレフィンの水素化、オレフィン複分解、オレフィンのヒドロホルミル化、オレフィンの閉環複分解、オレフィンの開環複分解重合、オレフィンの対称または不斉エポキシ化(ヘテロ原子置換オレフィンを含む)およびオレフィンのシクロプロパン化から選択される、[1]〜[12]のいずれかに記載の使用。
【0042】
[14] 好ましくは触媒または触媒成分として[1]〜[13]のいずれかに記載の、アニオンとしての亜リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム塩を除く、1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩の使用。
【0043】
[15] 好ましくは二相触媒反応における[1]〜[14]のいずれかに記載の、アニオンとしての亜リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩を除く、1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩の使用。
【0044】
[16] 共役ジエンのテロメリゼーション、オレフィンの二量化、オレフィンのオリゴメリゼーション、オレフィンの重合、オレフィンのアルキル化、オレフィンの水素化、オレフィン複分解、オレフィンのヒドロホルミル化、オレフィンの閉環複分解、オレフィンの開環複分解重合、オレフィンの対称または不斉エポキシ化(ヘテロ原子置換オレフィンを含む)およびオレフィンのシクロプロパン化から特に選択されるオレフィンの触媒変性、縮合反応、水素化反応、異性化反応、スズキ・クロスカップリング反応、アミノ化反応、アルカンの部分酸化、ラセミ混合物の動的分割、イミンの水素化、ケトンの水素化、移動型水素化および芳香族有機化合物のヒドロキシル化からなる群から選択される有機反応における好ましくは遷移金属の金属含有化合物との1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩の使用。
【0045】
[17] 塩が溶媒として用いられる[16]に記載の使用。
【0046】
[18] 以下の式(1)で表されるイミダゾリウム塩:
【0047】
【化2】

【0048】
(式中、R1およびR3は同一または異なり、それぞれが10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、およびキラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基からなる群から選択され、
2は10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R2は上に定義されるようなアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
4およびR5は同一または異なり、それぞれが水素、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、キラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R4およびR5は水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、なお更に好ましくは水素であり、および
-はアニオンを表し、
リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、2,2’−(2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イリデン)ビス[プロパンジニトリル]の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロ−イミダゾリウム・テトラフルオロホウ酸塩、1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム・テトラフルオロホウ酸塩、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く)。
【0049】
[19] 同一または異なるR1、R2およびR3が、それぞれ独立に(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキルから選択され;
同一または異なるR4およびR5が、それぞれ独立に水素、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキルから選択され;および
-がアニオンを表し、
リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、および1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、2,2’−(2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イリデン)ビス[プロパンジニトリル]の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロ−イミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く、[18]に記載のイミダゾリウム塩。
【0050】
[20] 同一または異なるR1、R2およびR3が、それぞれ独立にメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチルから選択され;
同一または異なるR4およびR5が、それぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチルから選択され;および
-が上述のようなアニオンを表し、
リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、および1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、2,2’−(2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イリデン)ビス[プロパンジニトリル]の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロ−イミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く、[18または19]のいずれかに記載のイミダゾリウム塩。
【0051】
[21] X-が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビスパーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、ジクロロ銅酸化物、テトラクロロホウ酸塩、テトラクロロアルミン酸塩、ヘプタクロロジアルミン酸塩(Al2Cl7-)、トリクロロ亜鉛酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜リン酸塩からなる群のアニオンから選択され、
リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、2,2’−(2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イリデン)ビス[プロパンジニトリル]の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く、[18]〜[20]のいずれかに記載のイミダゾリウム塩。
【0052】
[22] X-が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロリン酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラクロロホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビス−パーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜リン酸塩のアニオンからなる群のアニオンから選択され、
リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロ−イミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く、[18〜21]のいずれかに記載のイミダゾリウム塩。
【0053】
[23] 臭化1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド、トリフルオロメチルスルホン酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド、およびテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウムから選択される、[18]〜[22]のいずれかのイミダゾリウム塩。
【0054】
[24] 1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニルアミド、テトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムまたはヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムから選択される、[18]〜[22]のいずれかに記載のイミダゾリウム塩。
【0055】
[25] 溶媒としての1,2,3−または1,2,3,4−または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩、金属化合物、およびリン含有化合物を含む組成物。
【0056】
[26] 遷移金属およびアニオンとしての亜リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩を除く、1,2,3−または1,2,3,4−または1,2,3,4,5−置換イミダゾリン塩を含む組成物。
【0057】
好ましい1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩は以下の式(1)で表されるものである:
【化3】

(式中、R1およびR3は同一または異なり、それぞれが10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、およびキラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基からなる群から選択され、
2は10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R2は上に定義されるようなアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
4およびR5は同一または異なり、それぞれが水素、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、キラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R4およびR5は水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、なお更に好ましくは水素であり、および
-はアニオンを表す)。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】例において用いたブタジエンを短鎖重合するための装置を示す。
【図2】本発明によるイオン性液体中のMeOHまたはエチレン・グリコールを用いるブタジエン(C46)のテロメリゼーションの二相プロセスの態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
「キラルまたはアキラルな」とは、最終的に光学活性および/または固有光学活性を有する基をもたらす1以上のキラル中心を所持することが可能である基を意味する。
【0060】
1〜R5の定義における10個以下の炭素原子数(時々「C1〜C10」と略される)、好ましくは6個以下の炭素原子数(時々「C1〜C6」と略される)を有する前述のアルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルおよびn−デシルなどの、場合により置換されていることのある直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。アルキル基は、同一のまたは異なる1以上の置換基により置換することが可能である。これらの中で、好ましい置換基はハロゲン原子である。好ましいものには、6個以下の炭素原子数を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−アミル、n−ヘキシルおよびイソ−ヘキシルがある。好ましい置換アルキル基には、ハロアルキルおよびパーハロアルキル、例えば、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチルおよびパーフルオロブチル基がある。
【0061】
前述の6〜10個の炭素原子数のシクロアルキル基には、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロ−オクチル、ならびにビシクロアルキル基、例えば、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[4.3.0]ノニル、ビシクロ[4.4.0]デシルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプチル基が挙げられる。トリシクロアルキル基、例えばアダマンチル基はシクロアルキルの定義内に含まれ、また本発明の一部である。シクロアルキル基は、例えば、アルキル基およびハロゲン原子の中から選択される1個以上の同一または異種置換基により置換することが可能である。
【0062】
前述の6〜10個の炭素原子数のアリール基には、例えば、フェニルまたはナフチル基が挙げられる。アリール基は1個以上の同一または異種置換基を含有することが可能である。
【0063】
当業者は、アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール基上のすべての多様な置換基がすべて同一かまたは異なると共に、存在する場合、これらの使用が本発明の目的の一つでもあるトリ−、テトラ−およびペンタ−置換イミダゾリウム塩の生成に役立つことを理解するであろう。
【0064】
上述のトリ(C1〜C6)アルキルシリル基の(C1〜C6)アルキル部分に関しては、R1〜R5に対する(C1〜C6)アルキル基の定義を参照すること。
【0065】
上の定義におけるハロゲン原子には、例えばフッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。
【0066】
上の式(1)において、X-アニオンは当業者に公知のあらゆるアニオンを表す。
【0067】
上述の式(1)における好ましいアニオンX-は、好ましくは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビス−パーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、ジクロロ銅酸化物、テトラクロロホウ酸塩、テトラクロロアルミン酸塩、ヘプタクロロジアルミン酸塩(Al2Cl7-)、トリクロロ亜鉛酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜リン酸塩のアニオンからなる群のアニオンから選択されるがそれらに限定されない。
【0068】
上の式(1)における特に好ましいアニオンは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロリン酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラクロロホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビス−パーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜リン酸塩のアニオンから選択されるものである。
【0069】
前述の「ビス−パーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド」および「パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩」記述における(C1〜C10)アルキル部分に関しては、上述のR1〜R5に対するC1〜C10アルキル基の定義を参照すること。
【0070】
溶媒として用いられ式(1)で表される好ましいイミダゾリウム塩は、以下の特徴を単独でまたは組合せて有するものである:−同一または異なるR1、R2およびR3は、それぞれ独立に(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキルから選択され;−同一または異なるR4およびR5は、それぞれ独立に水素、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキルから選択され;および−X-は上述のようなアニオンを表す。
【0071】
溶媒として用いられ式(1)で表される最も好ましいイミダゾリウム塩は、以下の特徴を単独でまたは組合せて有するものである:
−同一または異なるR1、R2およびR3は、それぞれ独立にメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチルから選択され;
−同一または異なるR4およびR5は、それぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチルから選択され;および
−X-は上述のようなアニオンを表す。
【0072】
特に好ましい溶媒は、1,2,3−トリ(C1〜C10)アルキル−イミダゾリウム塩である。前述の「1,2,3−トリ(C1〜C10)アルキル−イミダゾリウム塩」の(C1〜C10)アルキル部分に関しては、上述のR1〜R5に対するC1〜C10アルキル基の定義を参照すること。
【0073】
スルホン化またはカルボキシル化(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜リン酸塩の記述における(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜リン酸塩には、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、などの炭化水素部分において36個以下の炭素原子数を有する片側鋸歯状または両側鋸歯状のホスフィンまたは亜リン酸塩のようなアルキルおよびアリールホスフィンまたは亜リン酸塩のすべての種類のアニオンが挙げられる。
【0074】
溶媒として用いられる式(1)で表される特に好ましい塩には、臭化1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム([EMMI][Br])、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド([EMMI][Tf2N])、トリフルオロメチルスルホン酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム([EMMI][CF3SO3])、塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム([BMMI][Cl])、ヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム([BMMI][PF6])、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド([BMMI][Tf2N])、およびテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウム([BMMI][BF4])が挙げられる。
【0075】
特に好ましい態様において、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩は溶媒として用いられ、更に詳細には、塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミドおよび/またはテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウムが、溶媒として用いられる。
【0076】
好ましくは、上述の置換イミダゾリウム塩は、特に、触媒が特に元素周期系VIIIB族からの遷移金属化合物を含むことが可能である触媒の存在下で、有機反応における溶媒として用いられる。
【0077】
好ましくは、上述の置換イミダゾリウム塩は、共役ジエンのテロメリゼーション、オレフィンの二量化、オレフィンのオリゴメリゼーション、オレフィンの重合、オレフィンのアルキル化、オレフィンの水素化、オレフィン複分解、オレフィンのヒドロホルミル化、オレフィンの閉環複分解、オレフィンの開環複分解重合、オレフィンの対称または不斉エポキシ化(ヘテロ原子置換オレフィンを含む)およびオレフィンのシクロプロパン化から選択されるオレフィンの触媒変性、縮合反応、特にアルデヒドの水素化、異性化反応、スズキ・クロスカップリング反応、アミノ化反応、アルカンの部分酸化、ラセミ混合物の動的分割、イミンの水素化、ケトンの水素化、移動型水素化、および芳香族有機化合物のヒドロキシル化からなる群から選択される、有機反応における溶媒として用いられる。
【0078】
溶媒が式(1)で表されるイミダゾリウム塩である好ましい反応は、オレフィンの触媒変性である。
【0079】
特に好ましいプロセスは共役ジエンのテロメリゼーションである。
【0080】
一部のケースにおいて、アニオンとしての亜リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩を除く、1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩、またはそれらの混合物は触媒としても作用し、従って、本発明は、また、特に遷移金属触媒系における触媒または触媒成分としての上記イミダゾリウム塩の使用に関する。これは、特に、イミダゾリウム塩のアニオンが前述のスルホン化またはカルボキシル化(アルキルおよび/またはアリール)ホスフィンまたは亜リン酸塩のアニオンのようなアニオンを含有するリンであるケースにおいて、特に当てはまる。
【0081】
こうしたアニオンは、例えば、EP−A−0924218号(米国特許第6,103,908号)に開示されており、本発明の範囲内に包含されるべきものである。EP−A−0924218号には式(Q+aa-で表される非水性イオン・リガンド液体が開示されている。式中、Q+は単一荷電第4級アンモニウムおよび/またはホスホニウム・カチオンまたは多荷電アンモニウムおよび/またはホスホニウム・カチオン等価物であり、Aa-は以下の式で表されるトリアリールホスフィン・アニオンである:
【化4】

(式中、Ar1、Ar2およびAr3は6〜14個の炭素原子数の個々のアリール基であり、置換基Y1、Y2およびY3は1〜4個の炭素原子数のアルキルおよびアルコキシ基、塩素、臭素、ヒドロキシル、シアノ、ニトロおよびR6およびR7が個々に水素または1〜4炭素原子数のアルキル基である式NR67で表されるアミノ基からなる群から選択され、m1、m2およびm3は個々に0〜5の整数であり、n1、n2およびn3は、個々に、n1、n2およびn3の少なくとも一つが1以上でありaがn1+n2+n3である0〜3の整数であり、Q+から誘導されるアミンおよび/またはホスフィンは(Q+aa-生成用の化学量論的な必要量に対して5当量以下の過剰で存在するか、またはトリアリールホスフィンAa-のアルカリ金属またはアルカリ土類金属が(Q+aa-生成用の化学量論的な必要量に対して5当量以下の過剰で存在する)。
【0082】
同様に、上述のドイツ特許出願第19919494.7号(国際特許出願第WO00/66597号に相当する)には、式(Q1+bA’b-で表される適する非水性イオン・リガンド液体が開示されている。式中、Q1+は場合により有機基(複数を含む)によって置換されていることのある単一荷電アンモニウム・カチオン、または多荷電アンモニウム・カチオン等価物であり、A’b-はリン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルのアニオンであり、bは少なくとも1の整数である。これらのスルホン化またはカルボキシル化リン酸のアンモニウム塩は、正式に、以下の一般式で表されるヒドロキシスルホン酸またはヒドロキシカルボン酸のアンモニウム塩とのエステル化によりリン酸から誘導することが可能である:
(Qac)c−Y−(OH)d(式中、acは酸残基、すなわち、それぞれスルホン酸残基−SO3-、およびカルボン酸残基であり、Qは場合により有機基(複数を含む)と置換されていることのある単一荷電アンモニウム・カチオン、または多荷電アンモニウム・カチオン等価物であり、Yは有機残基を表し、好ましくは場合によりヒドロキシまたはC1〜C10アルコキシ基によって置換されていることのある全体で20個の炭素原子数以下を有する分岐鎖または非分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基であり、cおよびdは少なくとも1の整数であり、dは好ましくは1または2である)。また、スルホン化またはカルボキシル化リン酸、特にスルホン化アリールまたはカルボキシル化アリール・リン酸のこれらアニオンは、本発明によるイミダゾリウム・カチオンのアニオンとして用いることが可能である。
【0083】
更に、本発明は、二相触媒反応における、アニオンとしての亜リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩を除く、上述の1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩、またはそれらの混合物の、好ましくは溶媒および/または触媒または触媒成分としての使用に関する。
【0084】
本発明は、また、特に上で定義したような有機反応において、金属化合物触媒または触媒成分を有する1,2,3−および/または1,2,3,4−および/または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩、特に上で定義したものの使用に関する。塩は溶媒およびできれば触媒または触媒成分、好ましくは溶媒の役割を有することができる。
【0085】
キラル溶媒をもたらすキラル基(複数を含む)を含有する塩の使用は、それらが用いられる反応に対称選択性を有利に与えることが可能である。
【0086】
なお更に、本発明は以下の式(1)で表される新規なイミダゾリウム塩に関する:
【化5】

(式中、R1およびR3は同一または異なり、それぞれが10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、およびキラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基からなる群から選択され、
2は10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R2は上に定義されるようなアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
4およびR5は同一または異なり、それぞれが水素、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、キラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R4およびR5は水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、なお更に好ましくは水素であり、および
-はアニオンを表し、
リン酸のスルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、2,2’−(2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イリデン)ビス[プロパンジニトリル]の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモイミダゾリウム、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモイミダゾリウムを除く)。
【0087】
置換基の説明に関しては定義を参照すること、また好ましい定義は上に与えられている。
【0088】
本発明による好ましいイミダゾリウム塩は、以下の特徴を単独でまたは組合せて有するものである:−同一または異なるR1、R2およびR3は、それぞれ独立に(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキルから選択され;−同一または異なるR4およびR5は、それぞれ独立に水素、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキルから選択され;および−X-は上述のようなアニオンを表す。
【0089】
式(1)で表される大部分の好ましいイミダゾリウム塩は、以下の特徴を単独でまたは組合せて有するものである:
−同一または異なるR1、R2およびR3は、それぞれ独立にメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチルから選択され;
−同一または異なるR4およびR5は、それぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチルから選択され;および
−X-は上述のようなアニオンを表す。
【0090】
本発明の特に好ましい塩は、1,2,3−トリ(C1〜C10)アルキル−イミダゾリウム塩である。前述の「1,2,3−トリ(C1〜C10)アルキル−イミダゾリウム塩」の(C1〜C10)アルキル部分に関しては、上述のR1〜R5に対するC1〜C10アルキル基の定義を参照すること。
【0091】
スルホン化またはカルボキシル化(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは亜リン酸塩の記述における(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜リン酸塩には、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、などの炭化水素部分において36個以下の炭素原子数を有する片側鋸歯状または両側鋸歯状のホスフィンまたは亜リン酸塩のようなアルキルおよびアリールホスフィンまたは亜リン酸塩のすべての種類のアニオンが挙げられる。
【0092】
好ましい態様において、式(1)で表される塩には、R1、R2、R3、R4およびR5が上述のようであり、X-がフッ化物(F-)、塩化物(Cl-)、臭化物(Br-)、ヨウ化物(I-)、ビストリフルオロメチルスルホニルアミド(Tf2-)、トリフルオロメチルスルホン酸塩(CF3SO3-)、ヘキサフルオロリン酸塩(PF6-)、およびテトラフルオロホウ酸塩(BF4-)から選択されるものが挙げられる。
【0093】
更に詳細には、X-はビストリフルオロメチルスルホニルアミド(Tf2-)、トリフルオロメチルスルホン酸塩(CF3SO3-)、ヘキサフルオロリン酸塩(PF6-)、およびテトラフルオロホウ酸塩(BF4-)から選択される。
【0094】
溶媒として用いられる式(1)で表される特に好ましい塩には、臭化1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム([EMMI][Br])、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド([EMMI][Tf2N])、トリフルオロメチルスルホン酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム([EMMI][CF3SO3])、塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム([BMMI][Cl])、ヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム([BMMI][PF6])、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド([BMMI][Tf2N])、およびテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウム([BMMI][BF4])が挙げられる。
【0095】
本発明の特に好ましいイミダゾリウム塩は、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロ(C1〜C10、好ましくはC1(メチル))アルキルスルホニルアミド、テトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムおよびヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムである。
【0096】
本発明は、また、溶媒として特に上に定義したような少なくとも一つの1,2,3−または1,2,3,4−または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩;および少なくとも一つの遷移金属または少なくとも一つの触媒、特に遷移金属化合物を含む触媒を含む組成物または混合物に関し;遷移金属は、特に、例えば更に本明細書において定義されるように第VIIIB族からのものであり得る。触媒は上に定義した触媒反応において通常用いられるあらゆる触媒であることができる。組成物はまた反応物(複数を含む)を含むことが可能である。
【0097】
これらの組成物または混合物は、特定の2種類の例外を除いて上で定義したように塩を含むことが可能である。
【0098】
こうした組成物または混合物は、また、以下に定義されるようなリン含有化合物を含むことが可能である。
【0099】
これらのリン含有化合物の量は、遷移金属モル当り、一般に0.01〜100、好ましくは1〜20、特に1〜5モルである。
【0100】
遷移金属の濃度は、イオン性液体リットル当り、通常1〜200mモルの範囲、更に好ましくは10〜50の範囲内にある。
【0101】
反応系における塩の量は、反応物(複数を含む)、例えばジオレフィン100部当り、通常5〜100部、好ましくは10〜50である。
【0102】
イミダゾリウム塩は、通常200℃未満、好ましくは160℃未満、更に好ましくは140℃未満、なお更に好ましくは120℃未満、および最も好ましくは100℃未満、特に90℃未満の融点を有する(融点はエレクトロサーマル(Electrothermal)などのデジタル装置を用いて常圧で測定される)。
【0103】
塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム(BMMI+Cl-)は、104〜105℃の融点を有し、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド(BMMI+Tf2-)、およびテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム(BMMI+BF4-)は室温において液体である。
【0104】
不斉置換1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムに基づく非水性イオン性液体の合成は、二つの主要機構後に行うことができる。第一の機構により、N−アルキルイミダゾールまたは1,2−ジアルキルイミダゾール(一般に市販品)は有機ハロゲン化物によりアルキル化され、次に、所期の塩はアニオン交換反応(複分解)により得られる。第二の機構により、液体は、アルキル化剤それ自体が適するアニオンを提供することによって、N−アルキルイミダゾールの4級化により直接得られる。
【化6】

【0105】
間接経路(1)のために、P. Bonhote, A. -P. Dias, N. Papageorgiou, K. Kalyanasundaram, Gratzel, M. Inorg. Chem.,(1996),35,1168〜1178;J. S. Wilkes, M. J. Zaworrotko, J. Chem. Soc., Chem. Commun.,(1992),965〜967;J. Fuller, R. T. Carlin, R. A. Osteryoung, J. Electrochem. Soc.,(1997),144,3881〜3886を参照することができる。一般に、臭化物または塩化物イミダゾリウムは、最終イオン性液体の合成における中間物として用いることができる。第二段階に含まれるアニオン交換は異なる溶媒:水(J. D. Holbrey, K. R. Seddon, J. Chem. Soc., Dalton Trans.,(1999),2133〜2139を参照すること)またはアセトン(P. A. Suarez, J. E. L. Dullius, S. Einloft, R. F. de Souza, J. Dupont, Polyhedron,(1996),15,1217〜1219およびP. A. Suarez, S. Einloft, J. E. L. Dullius, R. F. de Souza, J. Dupont, J. Chim. Phys.,(1998),95,1626〜1639を参照すること)中で行うことができる。
【0106】
直接合成経路(2)は、N−アルキルイミダゾールの適切なアルキル化剤との反応により、ハロゲン化物のいかなる添加もなしでイオン性液体を得ることを可能とする。アルキル化剤は、イミダゾール環の4級化および非配位性アニオン導入の両方を実現化することができるはずである。他の中でも、アルキルトリフレート(メチルおよびエチルトリフレート)から誘導されるアルキル化剤は用いることができる(P. Bonhote, A. -P. Dias, N. Papageorgiou, K. Kalyanasundaram, Gratzel, M. Inorg. Chem.,(1996),35,1168〜1178を参照すること)。反応は1,1,1−トリクロロエタンを還流して行われ、溶媒は強度なアルキル剤に対するその安定性およびこの環境におけるイミダゾリウム塩の不溶性を考慮して選択される。アルキルトリフレートの加水分解を防ぐために、反応は乾燥アルゴン下で行われねばならない。ほぼ量で測れる収量が得られた。
【0107】
[R12I][BF4]および[R12I][PF6]塩の合成は、水(J. D. Holbrey, K. R. Seddon, J. Chem. Soc., Dalton Trans.,(1999),2133〜2139を参照すること)、メタノール(J. S. Wilkes, M. J. Zaworrotko, J. Chem. Soc., Chem. Commun.,(1992)965〜967を参照すること)、またはアセトン(P. A. Suarez, J. E. L. Dullius, S. Einloft, R. F. de Souza, J. Dupont, Polyhedron,(1996),15,1217〜1219を参照すること)中でのNaBF4およびNaPF6との対応する塩化物または臭化物塩からの複分解反応を含む第一経路を用いて調製することができる。それらは、また、他のアルキル化剤を用いることにより得ることができる。それらはトリエチルオキソニウム・テトラフルオロホウ酸塩およびトリエチルオキソニウム・ヘキサフルオロリン酸塩である。エチルトリフレートと同様に、オキソニウム塩[Et3O][BF4]は、極めて高い収率を伴って二塩化メチレンを還流することにおいて1−アルキルイミダゾール(または1,2−ジアルキルイミダゾール)の一つの等価物と反応する(H. Oliver, F. Favre.,IFPによる特許出願、フランス特許第2.779.143号(1998)を参照すること)。すべての調製されたイミダゾリウム・イオン性液体は周囲条件下で大気安定性であったし、通常の実験条件下で取り扱うことが可能である。
【0108】
本発明の使用は、今、更に共役ジエンを短鎖重合するためのプロセスにおいて実証される。
【0109】
求核試薬併用添加の下でのジエンの触媒二量化は、1967年にシェル(Shell)でスマットニィ(Smutny)および大阪大学でタカハシにより同時に報告された。反応は、一つの二重結合等価物に対して第三分子(テロゲン)の添加と共に二つの共役ジオレフィン(テロマー)の二量化としてのテロメリゼーションの一般条件下で決定される。
【0110】
通常、共役ジエンを短鎖重合するためのプロセスは、遷移金属化合物およびリン含有化合物の存在下で行われる。
【0111】
共役ジエンは、好ましくは、4〜6個の炭素原子数を有する。特に好ましい共役ジエンは、ブタジエン、イソプレンまたは1,3−ペンタジエンから選択される。最も好ましい共役ジエンはブタジエンである。
【0112】
テロゲンは、例えば、活性水素、好ましくは一般式
H−Aの化合物を含有する化合物であることができる。
式中、Aは、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヒドロアルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、アルカノールオキシ、モノ−またはジアルキルアミノ、トリ(アルキル−および/またはアリール)シリル、および好ましくはアルコキシカルボニル、アルカノイルおよび/またはシアノから選択される少なくとも一つの電子吸引基によりα−位で置換されるアルキル基からなる群から選択され、上述のアルキル部分は互いから独立に分岐鎖または直鎖でありそれぞれは8個以下の炭素原子数を有することが可能であると共に、上述のアリール部分は互いから独立に10個以下の炭素原子数を有することが可能である。
【0113】
従って、活性水素を含有する化合物には、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、s−ブタノールなどのアルカノール、シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール、グリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレン・グリコール、1,2−または1,3−プロパンジオールなどのアルカンジオール、アリル・アルコールなどのアルケノール、フェノール、ナフトールなどの芳香族アルコール、酢酸などのカルボン酸、メチル・アミン、エチル・アミン、ジメチル・アミン、ジエチル・アミンなどの第一級アミンまたは第二級アミンのようなアミン、トリメチル・シラン、トリエチル・シラン、トリフェニル・シラン、フェニル・ジメチル・シランなどのトリ(アルキル−および/またはアリール)シラン、およびマロン酸ジアルキル・エステル、酢酸アルキル・エステルなどの活性メチレン基を持つCH−酸性化合物(いわゆる「マイケル−ドナーズ(Michael-Donors)」)が挙げられる。
【0114】
特に好ましいテロゲンは水、メタノールおよびグリコールであり、最も好ましいものはメタノールである。
【0115】
遷移金属化合物は、リン化合物および塩の存在下でテロメリゼーション反応の触媒作用に適するあらゆる遷移金属化合物であることができる。好ましくは、それは元素周期系のVIIIB(または8、9および10)族元素の化合物であり、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から選択される化合物である。更に好ましい化合物は、コバルト、ロジウム、ニッケル、白金および白金などの化合物から選択される。テロメリゼーション・プロセスを実施するための可能な遷移金属化合物に関しては、A. Behr in 「Aspect of Homogeneneous Catalysis, A series of Advances」;Edited by R. Ugo;D. Reidel Publishing Company;Vol.5;pp.3〜73,(1984)-Tsuji, J. Adv. Organomet. Chem., (1979), 17, 141-W. Keim,「Transition Metals in Homogeneous Catalysis」,Ed. G. N. Schrauzer,p 59,Marcel Dekker, New York,(1971)-R. Baker, Chem. Rev.,73,487,(1973)-P. N. Rylander,「Organic Chemistry」,vol.28,p 175,Academic Press, New York,(1973)を参照すること。
【0116】
最も好ましいものは、パラジウム化合物、例えば、テロメリゼーション・プロセス例えば米国特許第5,043,487号、米国特許第4,356,333号、米国特許第4,142,060号、EP−A−0436226号、WO98/08794号、WO96/30636号および米国特許第4,417,079号に記載されているものにおいて用いられる公知のパラジウム化合物である。
【0117】
これらパラジウム化合物の例には、可溶性パラジウム(0)およびパラジウム(II)化合物、例えば、アセチルアセトン酸パラジウム、酢酸π−アリルパラジウム、塩化π−アリルパラジウム、酢酸パラジウム、炭酸パラジウム、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、塩化ビス(ベンゾニトリル)パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムおよびビス(π−アリル)パラジウムが挙げられる。
【0118】
特に好ましいパラジウム化合物は酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)である。
【0119】
遷移金属化合物の活性化学種は、ブタジエンの存在下での還元または適する添加還元剤により形成することが可能である低原子価遷移金属錯塩である。
【0120】
遷移金属化合物はいかなる任意の量でも反応系において存在することができるが、しかし、商業生産の観点から、遷移金属化合物は、好ましくは、反応混合物リットル当り0.1〜50mg原子、更に好ましくは0.5〜5mg原子の遷移金属原子濃度を確保するような量で存在する。
【0121】
遷移金属化合物対共役ジエンの比は決定的でないが、しかし、好ましくは共役ジエンのモル当り遷移金属10-5〜10-1、特に10-4〜10-2モルである。
【0122】
触媒系の一部を形成するリン含有化合物は特に限定されることはなく、遷移金属化合物に配位できるあらゆるリン含有化合物、例えば、テロメリゼーション・プロセス用に公知の疎水性または親水性の、水可溶性、片側−または両側鋸歯状リン含有化合物であることができる(例えば、米国特許第5,043,487号、米国特許第5,345,007号、米国特許第4,356,333号、EP−A−0436226号、WO98/08794号、WO95/30636号、米国特許第4,417,079号および関連部分が本明細書において参考のため包含される米国特許第4,142,060号から知られるもの)。
【0123】
適する例には、炭化水素部分がそれぞれ独立に36個以下の炭素原子数、好ましくは24個の炭素原子数、更に好ましくは10個の炭素原子数を有すると共に、好ましくはスルホン酸基またはその塩、カルボン酸基またはその塩およびアルキル基から選択される三つの適する置換基の内一つにより置換することが可能である、ホスフィンまたは亜リン酸塩、好ましくは片側−または両側鋸歯状アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アリールアルキルホスフィン、アルキル亜リン酸塩、アリール亜リン酸塩、およびアリールアルキル亜リン酸塩が挙げられる。スルホン酸またはカルボン酸基の塩には、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩のようなアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が挙げられる。
【0124】
これらのホスフィンまたは亜リン酸塩の例には、トリブチルホスフィン、ジメチル−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン(TPP)、トリトリルホスフィン、トリス(パラ−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルエチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、1,2−ビス−ジフェニルホスフィノエタン、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリシクロヘキシルおよび亜リン酸トリフェニル、スルホン化またはカルボキシル化アリールホスフィンのような親水性アリールホスフィン、3ナトリウム・トリス(メタ−スルホナトフェニル)ホスフィン(TPPTS)、ビス(パラ−スルホナトフェニル)フェニルホスフィン・二水和物・2カリウム塩(TPPDS)およびジフェニルホスフィノベンゼン−3−スルホン酸ナトリウム塩(TPPMS)が挙げられる。
【0125】
一般に、亜リン酸塩が用いられるテロゲンに応じて加水分解および転位反応を行うことがあり得るので、ホスフィンは亜リン酸塩よりも好ましい。特に好ましいものは、上述のTPP、TPPTS、TPPDSおよびTPPMSのようなスルホン化されたまたはされていないアリール・ホスフィン化合物である。
【0126】
こうしたリン含有化合物は、テロメリゼーション・プロセスに限定されることなく上に定義された組成物または混合物中に存在することができる。
【0127】
これらリン含有化合物の量は、一般に、遷移金属モル当り1〜100、好ましくは1〜20、特に1〜5モルである。
【0128】
短鎖重合しようとするテロゲン、触媒成分として用いられるリン含有化合物および一部の例における反応物の相対量に応じて、単相反応系を形成することが可能である。これらの単相反応系は、通常、少なくとも一つの非極性溶媒(通常水と混和しない溶媒)の添加により二相系に移相することができる。それによって溶媒および生成物からなる相(通常上部の相)、および塩(またはイオン性液体)および触媒の主要部分からなる相(通常下部の相)が形成される。一部のケースにおいて、用いられるテロゲンおよび触媒系に応じて、触媒部分も生成物相中に含むことが可能である。非極性溶媒には、例えば脂肪族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタンなどのアルカン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのシクロアルカン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、およびジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、メチル−t−ブチル・エーテル(MTBE)、ジエチレン・グリコール、ジメトキシエタン、などの脂肪族または芳香族エーテルを挙げることが可能である。本発明には、また、イミダゾリウム塩がこうした従来型の非極性溶媒および/または水のような極性溶媒と一緒に用いられる場合が含まれる。特に好ましい非極性溶媒はn−ヘプタンである。
【0129】
テロゲンに応じて、所期の生成物は、例えば、メタノールに対してトランス−およびシス−1−メトキシ−2,7−オクタジエンおよび3−メトキシ−1,7−オクタジエン、水に対してシス−およびトランス−2,7−オクタジエン−1−オールおよび1,7−オクタジエン−3−オール、およびグリコールに対してシス−およびトランス−1−ヒドロキシ−2−(2,7−オクタジエニル−1−オキシ)エタンおよび1−ヒドロキシ−2−(1,7−オクタジエニル−3−オキシ)エタンである。
【0130】
得られる不飽和生成物は、公知のやり方で、接触的に対応する飽和化合物に水素化することができる。
【0131】
テロメリゼーション反応は、通常、常圧〜200バール、好ましくは常圧〜30バールの圧力下で行われる。
【0132】
テロメリゼーション反応の温度は、通常、20〜200℃、好ましくは30〜180℃、更に好ましくは40〜140℃およびなお更に好ましくは40〜120℃の範囲にある。
【0133】
遷移金属の濃度は、通常、イオン性液体のリットル当り1〜200mM、更に好ましくは10〜50の範囲にある。
【0134】
反応系における塩の量は、通常、ジオレフィン100部当り5〜100部、好ましくは10〜50である。
【0135】
テロゲン/共役ジオレフィンのモル比は、通常0.5〜10、好ましくは0.5〜5の範囲にある。
【0136】
一般に知られるように、ブタジエンとテロゲンとしての水とのテロメリゼーションは、好ましくは、塩基の存在下およびCO2−圧力下で行われる。適する塩基には、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物およびアミンが挙げられる。適するアミンには、例えば、塩基度定数(pKa)少なくとも7を有する第3アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、などのトリ(C1〜C6)アルキルアミン;1−N,N−ジメチルアミノ−2−プロパノール、1−N,N−ジメチルアミノ−3−ブタノールなどのアミノアルコール;およびN,N−ジメチル−2−メトキシエチルアミン、N,N−ジメチル−3−エトキシプロピルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、およびN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミンが挙げられる。これらの中で、トリエチルアミンが最も好ましい。
【0137】
さらなる炭酸塩および/または重炭酸塩イオンは、n−オクタジエノールの生成率を加速するために第3アミンと共に存在することが可能である。炭酸塩および重炭酸塩イオンは、反応系においてこれらのイオンを放出する二酸化炭素、重炭酸ナトリウムまたは蟻酸から都合よく誘導される。これらの中で二酸化炭素が最も好ましい。
【0138】
ブタジエン・テロメリゼーションを促進する二酸化炭素の量は決定的でなく、共役ジエンのモル当り約10-3〜1、好ましくは10-2〜0.5モルの範囲にあることが可能である。
【0139】
本発明の置換された1,2,3−、1,2,3,4−および1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩は、すでに公知の条件下の速度での水素二量化用溶媒として用いることができる。
【0140】
以下の例において、本発明による使用は、共役ジエンの触媒変性(テロメリゼーション)およびジエンのオリゴメリゼーションにおいて実証される。しかし、本発明がこうした使用に限定されないことは理解されるべきである。
【0141】
例A−非水性イオン性液体の調製
a−材料
すべての合成は、標準シュレンク技術を用いて乾燥アルゴン下で行われる。二塩化メチレンをP25上で蒸留し、0.3nmモレキュラー・シーブ上に保存する。すべての他の試薬(1,2−ジメチルイミダゾール、ピリジン、HPF6、1−クロロブタン)はアルドリッチ(Aldrich)から購入し、特記のない限りそのまま使用する。
【0142】
b−物理化学的測定
プロトンおよび炭素NMRは、溶媒としてCD2Cl2(SDSから)および内部標準としてSiMe4(アルドリッチから)を用いてブルーカー(Bruker)AC300MHzで記録される。
【0143】
c−合成
以下の塩が公知の手順により調製される(例えば、[EMI][Br]、[EMI][Tf2N]、[EMI][CF3SO3]、[BMI][Tf2N]に対してBonhote, P. ;Dias, A. -P. ;Papageorgiou, N. ;Kalyanasundaram, K. ;Gratzel, M. Inorg. Chem.,(1996),35,1168〜1178;[BMI][BF4]に対してHolbrey, J. D. ;Seddon, K. R., J. Chem. Soc., Dalton Trans.,(1999),2133〜2139;[BMI][PF6]に対してSuarez, P. A. Z.;Dullius, J. E. L. ;Einloft, S. ;de Souza, R. F. ;Dupont, J. , Polyhedron,(1996),15,1217〜1219を参照すること)。EMI+Br- (臭化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム)、EMI+Tf2- (1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド)、EMI+CF3SO3-(トリフルオロメチルスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム)、BMI+Cl- (塩化1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム)、BMI+PF6- (ヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム)、BMI+Tf2- (1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド)、およびBMI+BF4- (テトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム)
【0144】
調製例1塩化1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[BMMI][Cl]:
新しく蒸留した1−クロロブタン(88g、0.96モル)を一部、1,2−ジメチルイミダゾール(65g、0.86モル)を含有し電磁攪拌機を備えた500mlの厚壁ガラス反応器に添加する。反応器を密封し、溶液を100℃で16時間にわたり攪拌する(注意:反応圧は2気圧を超える)。反応器を脱ガスし、アセトニトリル(95ml)を含有する丸底フラスコ中に熱い溶液を移す(アルゴン下で)。溶液をトルエン(500ml)に激しく攪拌しながら滴状に添加する。沈殿物が生成し、濾過分離し、トルエンにより洗浄し(3X100ml)、真空下一夜にわたり乾燥する。白色吸湿性の固形物として[BMMI][Cl]を得た(89.73g、70%収率)。1HNMR(CD2Cl2):δ0.97[t,3J=7.15Hz,NCH2CH2CH2CH3];1.39[sext,3J=7.5Hz,NCH2CH2CH2CH3];1.80[quint,3J=7.4Hz,NCH2CH2CH2CH3];2.75[s,CCH3];4.00[s,NCH3];4.19[t,3J=7.1Hz,NCH2CH2CH2CH3];7.52[s,CH];7.84[s,CH];13CNMR(CD2Cl2):δ10.70[NCH2CH2CH2CH3];13.74[NCH2CH2CH2CH3];19.96[NCH2CH2CH2CH3];32.26[CCH3];36.09[NCH3];48.94[NCH2CH2CH2CH3];121.72[CH];123.64[CH];144.03[CCH3];元素分析(計算値):%C=57.14(57.29)、%H=9.08(9.08)、%N=14.85(14.85).Mp=104〜105℃.
【0145】
調製例21−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド[BMMI][Tf2N]:
2O 100ml中のリチウム・ビス((トリフルオロメチル)スルホニル)アミド(41.9g、0.149モル)の溶液をH2O 150ml中の[BMMI][Cl](24.32g、0.129モル)溶液に滴状に添加する。溶液を70℃で2時間にわたり攪拌し、次に室温まで冷却する。二塩化メチレン(50ml)を添加し、すべてを分液漏斗に移す。下部相(イオン性液体+CH2Cl2)を集める。イオン性液体を短いアルミナ・カラムを通して精製し、CH2Cl2をロタベーパー(Rotavapor)上で除去する。得られる疎水性液体を水150mlで3回洗浄し、50℃で真空下3時間にわたり乾燥して無色液体としての[BMMI][Tf2N](44.1g、78.9%収率)を得た。1HNMR(CD2Cl2):δ0.97[t,3J=7.15Hz,NCH2CH2CH2CH3];1.37[sext,3J=7.5Hz,NCH2CH2CH2CH3];1.78[quint,3J=7.4Hz,NCH2CH2CH2CH3];2.59[s,CCH3];3.79[s,NCH3];4.04[t,3J=7.1Hz,NCH2CH2CH2CH3];7.19[s,CH];7.21[s,CH];13CNMR(CD2Cl2):δ9.78[NCH2CH2CH2CH3];13.53[NCH2CH2CH2CH3];19.86[NCH2CH2CH2CH3];31.90[CCH3];35.60[NCH3];49.00[NCH2CH2CH2CH3];121.37[CH];122.91[CH];144.21[CCH3];120.50[q,JC-F=321.4Hz,(CF3SO22N];元素分析(計算値):%C=30.68(30.49)、%H=3.96(3.95)、%N=9.66(9.70)、%Cl<250ppm(0).
【0146】
調製例3テトラフルオロホウ酸1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[BMMI][BF4]:
[BMMI][Tf2N]合成のため前に記載された手順を用いる(水での洗浄を除いて)。[BMMI][Cl]22.23g(0.118モル)およびテトラフルオロホウ酸ナトリウム15.52g(0.141モル)から、無色高粘性の親水性液体としての[BMMI][BF4]25.33g(90%収率)を得た。1HNMR(CD2Cl2):δ0.96[t,3J=7.15Hz,NCH2CH2CH2CH3];1.38[sext,3J=7.5Hz,NCH2CH2CH2CH3];1.78[quintet,3J=7.4Hz,NCH2CH2CH2CH3];2.60[s,CCH3];3.80[s,NCH3];4.06[t,3J=7.1Hz,NCH2CH2CH2CH3];7.25[dd,CH];7.30[dd,CH];13CNMR(CD2Cl2):δ9.58[NCH2CH2CH2CH3];13.61[NCH2CH2CH2CH3];19.79[NCH2CH2CH2CH3];31.94[CCH3];35.36[NCH3];48.70[NCH2CH2CH2CH3];121.30[CH];122.88[CH];144.31[CCH3].元素分析(計算値):%C=45.09(45.03)、%H=7.25(7.14)、%N=11.52(11.67)、%Cl=0.11(0).
【0147】
B−触媒反応
a−材料
Pd(OAc)2(98%)をストレム・ケミカルズ(Strem Chemicals)から購入し、アルゴン下で保存し、さらなる精製なしで用いる。トリフェニルホスフィン(PPh3)をアルドリッチ(Aldrich)から、3ナトリウム・トリス((メタ−スルホナトフェニル)ホスフィン)(TPPTS)を実験室保存品から、ビス(p−スルホナトフェニル)フェニルホスフィン・二水和物・2カリウム塩(TPPDS)をストレム・ケミカルズから、ジフェニルホスフィノベンゼン−3−スルホン酸ナトリウム塩(TPPMS)をTCIから入手する。それらのホスフィンをアルゴン下で保存し、そのものとして用いる。トリエチルアミン(フルーカ(Fluka)>98%)およびジメチルドデシルアミン(アルドリッチ97%)をアルゴン下で蒸留し、凍結ポンピングを行い、使用直前にアルゴンで脱ガスする。すべての実験において用いる水を脱イオン化し、凍結ポンピングおよびアルゴン泡立ちにより脱ガスする。メタノールをMg/I2上で還流することにより取得し、3Åモレキュラーシーブ上に保存する。無水エチレン・グリコールをアルドリッチから入手する。ヘプタンをNa/K上で蒸留し、アルゴン下で3Åモレキュラーシーブ上に保存した。二酸化炭素(N45)およびブタジエン(N25)を「エアー・リキッド(Air-Liquide)」から入手し、直接シリンダーから使用した。
【0148】
b−触媒実験および分析:触媒運転:
すべての触媒反応を、図1に示すようにアルゴン雰囲気下で内側ガラス・スリーブおよび内部熱電対を備えた100ml電磁攪拌ステンレス鋼オートクレーブ中で行う。一般的な反応において、Pd(OAc)2、ホスフィン、イオン性液体、テロゲン(メタノール、エチレン・グリコールまたは水)および最終的にヘプタンおよび/またはアミンを、シュレンク(Schlenk)中に導入し、次にボールバルブを介してパージされたオートクレーブ中に移す。オートクレーブをT<<−10℃に冷却し、所期のブタジエン量を一定規模で置かれたレクチャーボトルから移す(水とのブタジエン反応のテロメリゼーションのために、この段階は5バールの二酸化炭素を導入するためにオートクレーブを室温に暖めることにつながる)。次に、反応器を所期の反応温度に加熱する。選択された反応時間後、オートクレーブを40℃に冷却し、ブタジエンを体積測定ガラス・シリンダ中で凝縮させ、−78℃に冷却する。シリンダ中に凝縮した液体体積(大部分が純粋ブタジエンであると測定される)は注記される。次に、オートクレーブを室温に暖める。オートクレーブ中の残留液相を回収し、計量し、更に分析する(GC、GC−MSおよびNMR)。こうして、メス・シリンダ中に凝縮した未反応ブタジエンの体積(転化率A)、およびオートクレーブ中の液体溶液の質量増加(転化率B)から二つのブタジエン転化率測定値が得られる。転化率Aは、極めて多くの場合、ブタジエン捕集時の可能な損失のせいで転化率Bよりも高い。正確な転化率は、転化率Aと転化率B間の平均と考えられる。
【0149】
仕上げ分析
運転の終わりで単一液相のみが存在する場合、試料をさらなる精製なしで分析する。多相が存在する場合、上部相のみを生成物用として分析する。
【0150】
分析:
テロメリゼーション生成物の同定を、ヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard)GC/MSおよびNMR分析の両方により行う。最終的に、それらを、FID検出器およびHP1カラム(L=30m、内部直径=0.32mm、フィルム厚さ=0.25μm)を備えたHP6890クロマトグラフを用いるガス・クロマトグラフィーにより定量的に分析する。注射器温度は170℃であり、検出器温度は180℃である。温度プログラムは、10℃/分の加熱速度での60℃(3分)〜100℃(0分)から、5℃/分の加熱速度での220℃(30分)までである。
【0151】
c−データ表現略語
・OT: 1,3,7−オクタトリエンおよび1,3,6−オクタトリエン
・ VCH: 4−ビニル−シクロヘキセン
・ オリゴ(Oligo.):3単位以上のブタジエンを含有する生成物
【0152】
・ 1−OMe:(シス+トランス)−1−メトキシ−2,7−オクタジエン
・ 3−OMe:3−メトキシ−1,7−オクタジエン
・ 1−Ol: 1−ヒドロキシ−2,7−オクタジエン
【0153】
・ 3−Ol: 3−ヒドロキシ−2,7−オクタジエン
・ 1−OGly:(シス+トランス)1−ヒドロキシ−2−(2,7−オクタジエニル−1−オキシ)エタン
・ 3−OGly:1−ヒドロキシ−2−(1,7−オクタジエニル−3−オキシ)エタン
【0154】
・ (1+3)−Gly:ビス(オクタジエニル−1−オキシ)−1,2−エタン+ビス(オクタジエニル−3−オキシ)−1,2−エタン
【0155】
転化率および選択率は以下の式により定義される:
・ 転化率(Conv.)A%:反応後の未反応残留ブタジエンから計算される
転化率A=(導入ブタジエン量−回収ブタジエン量)/導入ブタジエン量
【0156】
・ 転化率(Conv.)B%:反応器の増加量から計算される
転化率B=反応器内容物量の増加/導入ブタジエン量
【0157】
・ 生成物Xに対するGC選択率は以下のように評価される:
GC.選択率(X)=生成物Xのモル/Σ(全生成物のモル)
【0158】
・ 直鎖テロマーの選択率(表では包括的に比率1/3として報告される)は以下のように評価される:
比率1/3=直鎖テロマーのモル/分岐鎖テロマーのモル
【0159】
・ C46モル/Pdモルの回転数は以下のように評価される:
回転数(TON)=転化ブタジエンのモル(転化Aと転化Bの平均)/パラジウムのモル
【0160】
・ 有機相中のパラジウム浸出の決定:
Pd浸出%=有機相中のPd量/初期Pd量
【0161】
分析手順は有機生成物を蒸発させ残留物をHNO3/HCl混酸中に溶解させることに存する。次に、この混合物中に含有されるパラジウムをICP/SMにより定量化する。
【0162】
d−触媒反応例(Cat.Ex.)および対照触媒反応例(Com.Cat.Ex.)
上述のテロメリゼーション装置を用いて、触媒反応例および対照触媒反応例を以下に示す条件下で行う。
【0163】
触媒反応例1〜3
1,3−ブタジエンをメタノールにより短鎖重合させるための触媒反応例1〜3を、触媒系としてPd(OAc)2/PPh3を用いて運転する。表1に結果を示す。
【0164】
表1:Pd(OAc)2/PPh3の存在下でのメタノールによる1,3−ブタジエンのテロメリゼーション(a)
【0165】
【表1】

【0166】
(a)−反応条件:Pd(OAc)2=30mg(0.134mモル);PPh3=105mg(0.400mモル);イオン性液体(4ml);MeOH=15ml(370mモル);C46=20g(370mモル);T=85℃;
【0167】
転化率および反応速度に関する1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム・イオン性液体に対する優れた結果が見出される(Cat.Ex.1および2)。二つの溶媒、検討された[BMMI][Tf2N]および[BMMI][BF4]に対して1時間後定量的な転化率が達成される。テロマーに対する選択率は83%付近であり、再度、テロメリゼーション反応の部位選択性への顕著な効果があり、1−OMe/3−OMe比率は8〜9を超える。塩のアニオンの性質(疎水性Tf2-塩と親水性BF4-塩間)は、活性および選択性に関して、いかなる顕著な差異をも誘発しないように思われる。更に、これらの反応の終わりにおいて、全く完全にパラジウム・ブラックは見られない。二相液−液システムは1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム塩の場合に残ったままである。低い方の相はイオン性液体に相当し、一方で上部の相は生成物および未反応メタノールの混合物である。
【0168】
触媒反応例3〜5
触媒反応例3〜5を、触媒系としてPd(OAc)2および水可溶性TPPMSを用いて運転する。結果を表2に示す。
【0169】
表2:Pd(OAc)2/TPPMSの存在下でのメタノールによる1,3−ブタジエンのテロメリゼーション(a)
【0170】
【表2】

【0171】
(a)−反応条件:TPPMS=3eq/Pd;[BMMI][Tf2N](4ml);MeOH=15ml(370mモル);C46=20g(370mモル);
【0172】
TPPMSの使用は93%の転化率で単一相系をもたらす(Cat.Ex.3)。テロマーに対する選択率は、84.0%に対して77.9とTPPによるよりもTPPMSによる方が低い。しかし、TPPMSによる方が比率1−OMe/3−OMeは極めてよく13.7である。Cat.Ex.3で得られる溶液への16重量%(10ml)の添加は、生成物/MeOH/ヘプタン相からイオン性液体相のきれいな分離をもたらす。
【0173】
触媒反応例6〜8
触媒反応例6〜8を、Pd(OAc)2および各種ホスフィンを用いてn−ヘプタンの存在下で運転する。有機相中へのパラジウム浸出を二相の微量分析により測定する。結果を表3に示す。
【0174】
表3:Pd(OAc)2および各種ホスフィンを用いるn−ヘプタン存在下でのメタノールによる1,3−ブタジエンのテロメリゼーション(a)
【0175】
【表3】

【0176】
(a)−反応条件:Pd(OAc)2=30mg(0.134mモル);ホスフィン=3eq/Pd;[BMMI][Tf2N](4ml);MeOH=7.5ml(185mモル);ヘプタン=10ml;C46=20g(370mモル);t=3時間;T=85℃;
【0177】
触媒反応例9〜13
触媒反応例7の生成物相を静かに移し、イオン性液体相中に含有されるパラジウムを新しい反応物および共溶媒と共に反応器に再導入する。各触媒反応例10〜14の終わりでの有機相の微量分析により、有機相への1〜4%のパラジウム浸出が示される。活性のわずかな変化は各サイクルで見られる。最初は、活性は、実際に、おそらく開始反応(Pd(OAc)2の活性化学種への転化)が完成するので、より高くある(触媒反応例10〜12)。活性は、おそらく一部にはイオン性液体相を定量的に回復することの機械的困難性(液滴はデカンテーションおよび/または注射器用に用いられるシュレンク管中に残り得る)、パラジウム浸出、または一部のパラジウム失活のせいで、触媒反応例12および13において徐々に劣化する。どの場合においてもパラジウム・ブラックの形成に対する明白な証拠はない。結果を表4に示す。
【0178】
表4:再循環イオン性液体相を用いるn−ヘプタン存在下でのメタノールによる1,3−ブタジエンのテロメリゼーション(a)
【0179】
【表4】

【0180】
(a)−反応条件:Pd(OAc)2=30mg(0.134mモル);TPPMS=146mg(0.401mモル);[BMMI][Tf2N](4ml);MeOH=7.5ml(185mモル);ヘプタン=10ml;C46=20g(370mモル);T=85℃;t=3時間.
【0181】
対照触媒反応例1〜5
対照触媒反応例1〜5を、1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩を用いて運転する。結果を表5に示す。
【0182】
表5:イオン性液体としての1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩の存在下で触媒系としてPd(OAc)2/PPh3を用いるメタノールによる1,3−ブタジエンのテロメリゼーション(a)
【0183】
【表5】

【0184】
(a)−反応条件:Pd(OAc)2=30mg(0.134mモル);PPh3=105mg(0.400mモル);MeOH=15ml(370mモル);C46=20g(370mモル);T=85℃;t=22時間.(b)−イオン性液体1ml;(c)−イオン性液体4ml;(d)−アルドリッチから購入したイオン性液体(イオン性液体1ml等価の97%純度の白色固形物)
【0185】
転化率は極めて低い。しかし、パラジウム・ブラックの明白な形成は全くない:系は、反応の終わりで均質な全く無色の液体として見られる。「パラジウム−ホスフィン」触媒が現場で形成され、確かにいくらかの変性およびそれでの失活を受けると想定された。イオン性液体からのハロゲン化物不純物の混入の可能性が最初に想起される。実際、一部のイオン性液体の合成は、潜在的に残留塩中に存在する塩化物中間体の使用に基づく。しかし、この仮定は、この現象の説明に対して全面的に排除することができる。実際、イオン性液体中のハロゲン化物含量は、常に、触媒の全面汚染には余りにも少なすぎる検出限界(50〜250ppm)未満である。更に、この挙動は、市販の塩(Comp.Cat.Ex.5)、およびそれらの実験において用いられる塩の純度に関するあらゆる問題点を排除する実験室において合成されたイオン性液体の両方により見られる。
【0186】
対照触媒反応例6〜9
触媒反応例6〜9を、転化率および選択率に及ぼすそれらの影響を測定するために、1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩および各種のホスフィン/パラジウム比率を用いて運転する。結果を表6に示す。
【0187】
表6:イオン性液体としての1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩の存在下で触媒系として各種のPd/ホスフィン比率を持つPd(OAc)2/PPh3を用いるメタノールによる1,3−ブタジエンのテロメリゼーション(a)
【0188】
【表6】

【0189】
(a)−反応条件:Pd(OAc)2=30mg(0.134mモル);[EMI][Tf2N](1ml);MeOH=15ml(370mモル);C46=20g(370mモル);T=85℃;t=22時間.
【0190】
再度、大きく過度なPPh3でさえも、触媒系の性能は極めて低いままである。パラジウム当りホスフィン20等価物によっても、転化率は26%を超えない(Comp.Cat.Ex.9)。
【0191】
触媒反応例14および15
n−ヘプタンの存在下でグリコールにより1,3−ブタジエンを短鎖重合するための触媒反応例14〜15を、触媒系としてPd(OAc)2/TPPMSを用いて運転する。表7に結果を示す。
【0192】
表7:触媒系としてPd(OAc)2/TPPMSを用いるn−ヘプタン存在下でのグリコールによる1,3−ブタジエンのテロメリゼーション(a)
【0193】
【表7】

【0194】
(a)−反応条件:Pd(OAc)2=30mg(0.134mモル);TPPMS=0.146g(0.401mモル);グリコール=10.5ml(185mモル);[BMMI][Tf2N]=4ml;C46=20g(370mモル);T=85℃;t=45分;(b)−ヘプタン10ml(c)−ヘプタン30ml.
【0195】
触媒反応例16および17
水により1,3−ブタジエンを短鎖重合するための触媒反応例16を、触媒系としてPd(OAc)2/TPPMSを用いて運転する。表8に結果を示す。
【0196】
表8:触媒系としてPd(OAc)2/TPPMSを用いる水による1,3−ブタジエンのテロメリゼーション(a)
【0197】
【表8】

【0198】
(a)−反応条件:Pd(OAc)2=0.050g(0.223mモル);TPPMS=324mg(0.892mモル);[BMMI][BF4]=4ml;C46=15g(278mモル);H2O=5g(278mモル);PCO2=5バール;T=85℃;(b)−t=3時間;(c)−t=5時間;(d)−NEt3=50eq/Pd;
【0199】
触媒反応例18〜21
1,3−ブタジエンの二量化−オリゴメリゼーションのための触媒反応例21を、触媒系としてPd(OAc)2を用いて運転する。表9に結果を示す。
【0200】
表9:触媒系としてPd(OAc)2を用いる1,3−ブタジエンのオリゴメリゼーション(a)
【0201】
【表9】

【0202】
(a)−反応条件:Pd(OAc)2=0.050g(0.223mモル);イオン性液体=4ml;C46=15g(278mモル);H2O=5g(278mモル);H2O=5g(278mモル);PCO2=5バール;T=85℃;t=22時間;
【0203】
ブタジエン転化率に関して、BMMI+Tf2-の使用が転化率をかなり増大させることは留意される。
【0204】
本発明は、今、非限定例として与えられる態様の助けによってより詳細に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、触媒有機化学反応を行う方法:
溶媒とともに反応剤(reactant)を用意するステップであって;該溶媒が、1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩および1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩からなる群から選ばれるステップであり(ただし、該溶媒は、亜リン酸(phosphorus)またはスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの、1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム塩;亜リン酸またはスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの、1,2,3,4,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム塩;亜リン酸またはスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム塩;および亜リン酸またはスルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの、1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム塩ではない);および
前記触媒有機化学反応から生成物を得るステップ。
【請求項2】
1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩が、以下の式(1)で表されるものである請求項1に記載の方法:
【化1】

(式中、R1およびR3は同一または異なり、それぞれが10個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、およびキラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基からなる群から選択され、
2は10個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R2は上に定義されるようなアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
4およびR5は同一または異なり、それぞれが水素、10個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、キラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、およびハロゲン原子からなる群から選択され;および
-はアニオンを表す)。
【請求項3】
同一または異なるR1、R2およびR3が、それぞれ独立に(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキル基から選択され;
同一または異なるR4およびR5が、それぞれ独立に水素、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキル基から選択され;および
-がアニオンを表す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
同一または異なるR1、R2およびR3が、それぞれ独立にメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチル基から選択され;
同一または異なるR4およびR5が、それぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチル基から選択され;および
-が上述のようなアニオンを表す、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
-が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロ亜リン酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビスパーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、ジクロロ銅酸化物、テトラクロロホウ酸塩、テトラクロロアルミン酸塩、ヘプタクロロジアルミン酸塩(Al2Cl7-)、トリクロロ亜鉛酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜亜リン酸塩のアニオンからなる群のアニオンから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
-が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロ亜リン酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラクロロホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビスパーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜亜リン酸塩のアニオンからなる群のアニオンから選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
1,2,3−トリ(C1〜C10)アルキル・イミダゾリウム塩が溶媒として用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
臭化1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド、トリフルオロメチルスルホン酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロ亜リン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド、およびテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウムが溶媒として用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩が溶媒として用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロ亜リン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミドおよび/またはテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウムが溶媒として用いられる、請求項1〜7または9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
溶媒が有機反応における溶媒である請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
有機反応が、オレフィンの触媒変性、縮合反応、水素化反応、異性化反応、スズキ・クロスカップリング反応、アミノ化反応、アルカンの部分酸化、ラセミ混合物の動的(kinetic)分割、イミンの水素化、ケトンの水素化、移動型(transfer)水素化および芳香族有機化合物のヒドロキシル化からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
オレフィンの触媒変性反応が、共役ジエンのテロメリゼーション、オレフィンの二量化、オレフィンのオリゴメリゼーション、オレフィンの重合、オレフィンのアルキル化、オレフィンの水素化、オレフィン複分解、オレフィンのヒドロホルミル化、オレフィンの閉環複分解、オレフィンの開環複分解重合、オレフィンの対称または不斉エポキシ化(ヘテロ原子置換オレフィンを含む)およびオレフィンのシクロプロパン化から選択される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
触媒または触媒成分として、1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩(ただし、アニオンとしての亜リン酸の、スルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム塩を除く)が使用される請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
二相触媒反応における1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩(ただし、アニオンとしての亜リン酸の、スルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩を除く)が使用される請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
オレフィンの触媒変性反応(特に、共役ジエンのテロメリゼーション、オレフィンの二量化、オレフィンのオリゴメリゼーション、オレフィンの重合、オレフィンのアルキル化、オレフィンの水素化、オレフィン複分解、オレフィンのヒドロホルミル化、オレフィンの閉環複分解、オレフィンの開環複分解重合、オレフィンの対称または不斉エポキシ化(ヘテロ原子置換オレフィンを含む)およびオレフィンのシクロプロパン化から選択される反応)、縮合反応、水素化反応、異性化反応、スズキ・クロスカップリング反応、アミノ化反応、アルカンの部分酸化、ラセミ混合物の動的分割、イミンの水素化、ケトンの水素化、移動型水素化および芳香族有機化合物のヒドロキシル化からなる群から選択される有機反応において、金属含有化合物とともに、1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩が使用される方法。
【請求項17】
遷移金属と;1,2,3−置換イミダゾリウム塩、1,2,3,4−置換イミダゾリウム塩または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩(ただし、アニオンとしての亜リン酸の、スルホン化またはカルボキシル化トリエステルとの、1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩を除く)とを含む組成物。
【請求項18】
金属化合物と;亜リン酸(phosphorous)含有化合物と;溶媒としての1,2,3−、または1,2,3,4−、または1,2,3,4,5−置換イミダゾリウム塩とを含む組成物。
【請求項19】
イミダゾリウム塩が、以下の式(1)で表される請求項18に記載の組成物:
【化2】

(式中、R1およびR3は同一または異なり、それぞれが10個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、およびキラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基からなる群から選択され、
2は10個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基およびハロゲン原子からなる群から選択され;更に好ましくは、R2は上に定義されるようなアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、
4およびR5は同一または異なり、それぞれが水素、10個以下の炭素原子数を有するキラルまたはアキラルなアルキル基、4〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子数のキラルまたはアキラルなアリール基、キラルまたはアキラルなトリ(C1〜C10)アルキルシリル基、および水素原子からなる群から選択され;および
-はアニオンを表す(ただし、亜リン酸の、スルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、2,2’−(2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イリデン)ビス[プロパンジニトリル]の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロ−イミダゾリウム・テトラフルオロホウ酸塩、1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム・テトラフルオロホウ酸塩、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く)。
【請求項20】
同一または異なるR1、R2およびR3が、それぞれ独立に(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキルから選択され;
同一または異なるR4およびR5が、それぞれ独立に水素、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)ハロアルキルおよびシクロアルキルから選択され;および
-がアニオンを表す(ただし、亜リン酸の、スルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、および1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、2,2’−(2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イリデン)ビス[プロパンジニトリル]の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロ−イミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く)請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
同一または異なるR1、R2およびR3が、それぞれ独立にメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、sec−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチルから選択され;
同一または異なるR4およびR5が、それぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル、およびパーフルオロブチルから選択され;および
-が上述のようなアニオンを表す(ただし、亜リン酸の、スルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、および1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、2,2’−(2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イリデン)ビス[プロパンジニトリル]の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロ−イミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く)請求項19または20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
-が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロ亜リン酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビスパーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、ジクロロ銅酸化物、テトラクロロホウ酸塩、テトラクロロアルミン酸塩、ヘプタクロロジアルミン酸塩(Al2Cl7-)、トリクロロ亜鉛酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜亜リン酸塩からなる群のアニオンから選択される(ただし、亜リン酸の、スルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、2,2’−(2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イリデン)ビス[プロパンジニトリル]の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く)請求項19〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
-が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヘキサフルオロ亜リン酸塩、フルオロスルホン酸塩、テトラクロロホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ビス−パーフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニル・アミド、パーフルオロ(C1〜C10)アルキル・スルホン酸塩、およびスルホン化またはカルボキシル化(アルキル、シクロアルキルおよび/またはアリール)−ホスフィンまたは−亜亜リン酸塩のアニオンからなる群のアニオンから選択される(ただし、亜リン酸の、スルホン化またはカルボキシル化トリエステルの1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム−、1,2,3,5−テトラメチル−4H−イミダゾリウム−、1,2,3,4−テトラメチル−5H−イミダゾリウム−、および1−トリメチルシリル−2,3,5−トリメチル−4H−イミダゾリウム−塩、ヨウ化1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、臭化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、臭化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、塩化1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、フッ化1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリクロロ−イミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウム、臭化1,3−ジメチル−2,4,5−トリブロモ−イミダゾリウムを除く)請求項19〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
臭化1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド、トリフルオロメチルスルホン酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、塩化1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロ亜リン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメチルスルホニルアミド、およびテトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウムから選択される、請求項19〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ビストリフルオロ(C1〜C10)アルキルスルホニルアミド、テトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムまたはヘキサフルオロ亜リン酸1−n−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムから選択される、請求項19〜23のいずれかに記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−215638(P2010−215638A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−106792(P2010−106792)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【分割の表示】特願2002−537714(P2002−537714)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【Fターム(参考)】