説明

インクジェットヘッドのアライメント装置

【課題】塗工装置とは独立した機構によってインクジェットヘッドのアライメントを行う装置であって、2列構造のインクジェットヘッドに対してアライメント出来るアライメント装置を提供する。
【解決手段】インクジェットヘッドユニットに設けられたインクジェットヘッドのノズル穴の位置を測定するカメラと、前記カメラの測定状態に基づいてノズル位置データを取得する制御手段と、前記ノズル位置データに基づいてインクジェットヘッドの位置調整を行う位置調整機構と、前記インクジェットヘッドユニットの高さおよび位置を調整する保持手段とを有し、前記インクジェットヘッドが2列構造であることを特徴とするインクジェットヘッドのアライメント装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶ディスプレーのカラーフィルター製造や有機ELディスプレーの電極製造に用いられるインク吐出装置におけるインクジェットヘッドの位置決め作業を行うアライメント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの発達、液晶テレビの大型化、携帯電話の普及などに伴い、カラー液晶ディスプレーの需要が増加する傾向にある。しかし、更なる普及のためにコストダウンは必須であり、コストの比率が大きいカラーフィルターのコストダウンに対する要求が高まっている。
【0003】
現在、カラーフィルターの製造方法としては、(1)染色法、(2)顔料分散法、(3)印刷法、(4)電着法、(5)インクジェット法が知られている。
【0004】
(1)染色法は、ガラス基板上に染色させるための水溶性高分子を形成し、これをフォトリソグラフィーの工程を経て所望の形状にパターンニングした後、染色液に浸すことで着色されたパターンを得て、これを3回繰り返し、R、G、Bのカラーフィルター層を得る方法である。この方法で得られたフィルターは透過率も高く色相も豊富で、技術の完成度も高いため、現在カラー固体撮像素子(CCD)に多用されていたが、染料を使用するため耐光性に劣り、製造工程の数も多いことから、液晶表示素子(LCD)用としては、近年、顔料分散法に取って代わられている。
【0005】
(2)顔料分散法は、近年最も主流のカラーフィルターの製造方法である。まず、ガラス基板上に顔料を分散した樹脂層を形成し、フォトリソグラフィー工程を経てパターニングする。これを3回繰り返し、R、G、Bのカラーフィルター層を得る。この方法は、技術の完成度は高いが工程数が多くコストが高いのが欠点である。
【0006】
(3)印刷法は、熱硬化型の樹脂に顔料を分散させ、印刷を3回繰り返すことで、R、G、Bを塗り分け、その後で熱を加えて樹脂を硬化させることによりカラーフィルター層を得る。この方法は、R、G、B各層の形成に際しては、フォトリソグラフィーを必要としないが、解像度や膜厚の均一性の点に問題がある。
【0007】
(4)電着法は、水溶性高分子に顔料を分散させた電解溶液中で、予めパターニングした透明電極上に70V程度の高電圧を印加し、電着膜を形成することで電着塗装を行い、これを3回繰り返し、R、G、Bのカラーフィルター層を得る。この方法は、予め透明電極をフォトリソグラフィーによりパターニングして、これを電着用の電極として使用する必要があり、パターンの形状が限定されるため、TFT液晶用には使えないという欠点がある。
【0008】
上記のような欠点を補うべく、インクジェット方式を利用したカラーフィルターの製造方法が盛んに開発、検討されている(例えば特許文献2、3、6参照)。インクジェット方式を利用した方法は製造プロセスが簡略で低コストであるという利点がある。
【0009】
このインクジェット方式を利用したカラーフィルターの製造方法によるカラーフィルター製造装置は、記録媒体とR、G、BもしくはY、M、Cの各色に複数のノズルを直線状に配列したインクジェットヘッドが相対的に主走査方向に往復移動し、副走査方向に間欠的に設定量ずつ送る記録媒体送り手段を備え、インクジェットヘッドを主走査方向に移動させつつ、ヘッドからインク液を記録媒体に圧力発生器でインクを所定圧で加圧し、その圧力に基づいてインクをノズル形成面にあるノズルから記録媒体に向けてコントロールされた大きさのインク滴として吐出して各色に複数の着色部を同時に着色する。
【0010】
なお、インクジェットヘッドのノズルからのインク吐出特性は、一定に維持される必要がある。従って、このような製造装置においては、各インクジェットヘッドのノズル位置を高精度に調整し、かつ、吐出工程において、各インクジェットヘッドのノズル位置を維持することが重要である。
【0011】
また、アライメント機構においては、X、θ、Z方向に多くの軸数を要するため、従来の微動ステージやマイクロメータヘッドの組み合わせでの微調整機構を用いるとコンパクト化できない。そしてインクジェットヘッドユニットの寸法が増大してしまい、結果的に装置が大型化することになる。
【0012】
しかし、カラーフィルター等の光学素子の製造にインクジェット塗工装置を用いた場合、非常に高い調整精度が要求される(例えば特許文献1〜5参照)。このため、インクジェットヘッドユニットを出来るだけ軽量化・コンパクト化し、移動精度を高めることが要求されていた。
【0013】
しかしながら、インクジェットヘッドのノズル位置を高精度に調整する作業は、大変時間がかかる。特に大型の記録媒体に吐出する場合、インクジェットヘッドの吐出幅が狭いと何度も塗工媒体上を往復することになるので、タクトタイム短縮のために、インクジェットヘッドを何個も並べておく必要があり、R、G、B等の全てのインクジェットヘッドを高精度に調節しなければならない。
【0014】
そして、塗工装置上で高精度に調整しようとすると、調整時間においてインクジェットヘッドが多いほどかかることから、稼働率の低下につながってしまう。そこで、塗工機からインクジェットヘッドユニットのみを取り外し、外段取りでインクジェットヘッドをアライメント出来る装置を用いる。
【0015】
また、インクジェットヘッドもノズル列が1列の物と2列の物といったように構造が異なる場合がある。2列ノズルを使用する場合、1列ノズルを2個使う場合よりコンパクトになる。しかし1列の場合、そのノズル列を揃えていけばよいが、2列の場合、加工構造上2本のノズル列が完全に平行であることはあり得ない。その場合、1つの列を理想のポジションに揃えても、もう1つの列は理想のポジションには揃えられない。
【特許文献1】特開平9−101412号公報
【特許文献2】特開平9−277571号公報
【特許文献3】特開平10−332924号公報
【特許文献4】特開平11−2711号公報
【特許文献5】特開平11−64626号公報
【特許文献6】特開2001−343513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで本発明は、塗工装置とは独立した機構によってインクジェットヘッドのアライメントを行う装置であって、2列構造のインクジェットヘッドに対してアライメント出来るアライメント装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明において上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、インクジェットヘッドユニットに設けられたインクジェットヘッドのノズル穴の位置を測定するカメラと、前記カメラの測定状態に基づいてノズル位置データを取得する制御手段と、前記ノズル位置データに基づいてインクジェットヘッドの位置調整を行う位置調整機構と、前記インクジェットヘッドユニットの高さおよび位置を調整する保持手段とを有し、前記インクジェットヘッドが2列構造であることを特徴とするインクジェットヘッドのアライメント装置としたものである。
【0018】
また請求項2の発明では、前記カメラを複数有することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置としたものである。
【0019】
また請求項3の発明では、前記位置調整機構は、2列構造のインクジェットヘッドのノズル列方向、高さ方向、水平回転方向の位置座標を取得して、按分して調整することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置としたものである。
【0020】
また請求項4の発明では、前記位置調整機構は、インクジェットヘッドユニットに設けられたアライメントマークを基準としてインクジェットヘッドの位置を調整することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置としたものである。
【0021】
また請求項5の発明では、前記ノズル位置データを塗工装置に送ることで、塗工工程に活用させることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置としたものである。
【0022】
また請求項6の発明では、塗工装置からインクジェットヘッドのノズル位置座標のフィードバックを受けて、前記位置調整機構を用いて指定の座標に自動で調節することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置としたものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明のインクジェットヘッドのアライメント装置による調整方法により、塗工装置とは独立した機構で、2列ヘッドのインクジェットヘッドに対して、より高精度のノズル配列を実現するようにアライメントすることが出来、その事により塗工本体の塗工精度を向上させることが出来る。また、通常の調整方法では精度が悪く使うことの出来ないインクジェットヘッドを使用する事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態では、インクジェット方式によるカラーフィルター製造工程において、微調整機構を用いて各インクジェットヘッドのノズル列方向、回転方向、水平方向および高さ方向の位置調整を行うことにより、高精度なインクジェットヘッド配列にし、かつ、塗工装置の稼働率低下を防ぐことを可能にしたアライメント装置、及び調整方法を提供するものである。
【0025】
このアライメント装置は、図2に示す塗工装置とは独立して設けられ、予め、このアライメント装置で調整したインクジェットヘッドユニットを塗工装置に設置して塗工作業を行う構成となっている。ただし、このアライメント装置で得られたデータを塗工装置に転送して塗出タイミング等の位置合わせ等に用いることが可能となっている。
【0026】
具体的には、インクジェットヘッドユニットにはアライメントマークが付されており、このアライメントマークを検出するとともに、各ヘッドのノズル穴の座標(ノズル位置データ)を検出し、微調整機構を用いてヘッドを整列させ、各インクジェットヘッドの姿勢を保持させる。そして、アライメントマークからの位置情報(ノズル位置データ)を塗工装置に送って活用できるようにし、塗工の段取り時間を大幅に削減する。
【0027】
また、微調整機構は、走査方向とは直交する方向にノズル列を平行に並べ、ヘッド端部を走査方向に直進するよう揃え、高さを水平に、また全てのヘッドを塗工ステージ上から一定量に同じ高さにする。これはアライメント装置上だけでなく、コントローラーからの通信によって塗工装置上においても調整可能であるものとする。このような微調整機構には従来公知の様々な構造が採用可能である。
【0028】
なお、インクジェット法によるカラーフィルターの製造方法は、基本的にガラス基板等の透明基板上にインクを付与し、着色部を形成する。当該方法は、インク自体を硬化して着色する方法、インク吸収性を有する樹脂等からなる受容層を透明基盤上に形成し、該受容層にインクを付与して着色する方法や透明基板上にブラックマトリクスの撥インク性をもった土手の中にインクを付与し着色する方法などに大別されるが、本発明はいずれの方法にも好ましく適用されるものである。
【0029】
まず、本発明の実施の形態によるインクジェットのアライメント装置の説明に先立って、このアライメント装置と組み合わせて用いることができる塗工装置の説明を行う。
【0030】
図2はインクジェット方式によるカラーフィルター製造装置(塗工装置)の概要を示す外観図である。
【0031】
図2において、インクジェットヘッドユニット1は、複数のインクジェットヘッドを並列に配置したものであり、各インクジェットヘッドに対向して配置される透明基板2にインクの塗布を行う。メンテナンス装置3は、インクジェットヘッドの吐出安定性を維持するためのものである。
【0032】
また、主走査方向移動装置4と副走査方向移動装置5により、X−Yステージの駆動系を構成している。主走査方向移動装置4はインク塗布の際に往復動作するY方向可動部(基板ステージ)を移動する。一方、副走査方向移動装置5はインク塗布の際に必要幅分を透明基板2に塗布するために間歇的に送るX方向可動部を移動する。
【0033】
このようなカラーフィルター製造装置では、予めインクジェットヘッドユニット1を透明基板2と主走査方向に相対的に移動させた後、ヘッドからインク液を透明基板2に吐出して塗布を行い、所定回数吐出を行った後に、メンテナンス装置3を用いて吐出特性を安定させる。
【0034】
メンテナンス装置3によってインクジェットヘッドの吐出安定性を向上させた後、カラーフィルターの描画工程に移行する。
【0035】
まず、副走査方向移動装置5によって透明基板2の端部にインクジェットユニット1を移動させる。そして、主走査方向移動装置4により所定の回数n回(nは自然数)だけ主走査を行い、透明基板2上にインクを塗布する。
【0036】
なお、描画動作時のステージとインク吐出タイミングの関係は、主走査方向に基板ステージが移動し、主走査方向の位置に同期させてインクジェットヘッドのノズルよりインクの吐出を行なう。そして、所定の回数走査させた後に副走査移動装置5により透明基板2の塗られていない部分の端部に移動させ、主走査方向に移動して再度、所定の回数塗布を行う。
【0037】
次に、上記工程によって得られるカラーフィルターについて説明する。
【0038】
なお、上記のように、インクジェット法によるカラーフィルターの製造方法には、インク自体を硬化して着色する方法、インク吸収性を有する樹脂等からなる受容層を透明基板上に形成し、この受容層にインクを付与して着色する方法や透明基板上にブラックマトリクスの撥インク性をもった土手の中にインクを付与し、着色する方法などがある。
【0039】
図3はカラーフィルターの塗工中の例を示す模式図である。
【0040】
ブラックマトリクス6は透明基板2に形成されている撥インク性を含んだものであり、インクを硬化させるための障壁となる。また、7はRedインク滴、8はGreenインク滴、9はBlueインク滴を示している。本例では、R、G、Bの3色の着色部を形成するために、3個のインクジェットヘッドを用い、それぞれブラックマトリクスの開口部に対応してインク滴を付与しなければならない。インク吸収性を有する樹脂等からなる受容層にインクを付与する場合においても、混色、吐出位置のミスディレクション等を防ぐために所定の場所に吐出しなくてはならない。
【0041】
カラーフィルターの画素サイズから主走査方向の位置ずれ誤差の許容値を例にとって算出すると、ブラックマトリクス6の開口部が約120μm、インク滴の径が約100μmであり、ステージの移動誤差、塗出ばらつき等を考慮すると、インクジェットヘッドの許容誤差は±5μm程度である。従って、当該装置においてインクジェットヘッドと透明基板との位置合せには非常に高い精度が要求される。このカラーフィルター画素サイズはブラックマトリクスパターンによってある程度変化し、開口部が広い方が塗出の要求精度が緩くなる。また、塗出されるインク滴はインクの種類や滴下量でインク滴の径が異なる。
【0042】
次に、本発明の実施の形態によるインクジェットヘッドのアライメント装置について説明する。
【0043】
図1は本発明の実施の形態によるインクジェットのヘッドアライメント装置の構成を示す外観図である。
【0044】
インクジェットヘッドユニット1には、アライメントする複数のインクジェットヘッド10が並列に配置されており、アライメント装置のX−Yステージ11に支持されている。インクジェットヘッド10のノズル形成面には、複数のノズルより形成されるノズル列が設けられている。
【0045】
インクジェットヘッドユニット1は、ホルダと、このホルダに設けられた複数のインクジェットヘッド10とを備え、各インクジェットヘッド10はそれぞれ支持機構を介してホルダに対して水平面上で直交する2方向と鉛直方向に微調節可能でかつ鉛直軸の周りに微調節可能に支持されている。なお、このような支持機構には従来公知の様々な構造が採用可能である。
【0046】
そして、このアライメント装置のステージ11上には、2個のノズル穴観察用カメラ12が設置されている。なお、ノズル穴観察用カメラ12が2個あることにより、インクジェットヘッドのノズル穴2箇所を同時に観察することが可能である。すなわち、2個のノズル穴を観察することにより、インクジェットヘッドのX方向とY方向を調整するのに非常に有利である。
【0047】
X方向スライダー13、Y方向スライダー14は、インクジェットヘッド10のノズル面を観察する際に、カメラを移動させる。除震台15は、精密アライメントする際に、振動を受けると精密アライメントに影響が出るため、振動を除去するために設けてある。
【0048】
ヘッドユニットホルダー16は、インクジェットヘッドユニット1を受け、Y方向スライダー14とX方向スライダー13の移動方向がそれぞれ塗工装置の主走査方向と副走査方向とに揃うように水平方向で回転する機構となっている。
【0049】
そして、インクジェットヘッドユニット1に付けられたアライメントマークを読み取り、塗工装置の主走査方向とY方向スライダー14が平行になるように調整し、インクジェットヘッドのノズル列がX方向スライダー13と平行となるようインクジェットヘッドを揃える。ノズル穴観察ディスプレー17は、2個のカメラ12からの画像を表示するものであり、レチクル等を画面に示し、ノズル穴を揃えるために使用する。
【0050】
インクジェットヘッドのノズル列構造は1列構造と2列構造の物がある。図4に2列構造のインクジェットヘッドの外観図を示す。インクジェットヘッドユニット1において、1列構造のヘッドを調整するより、2列構造のヘッドを調整した場合において、インクジェットヘッド10の個数が半分になるので、搭載する調整機構も半分となり、インクジェットヘッドユニット1を大幅に縮小する事が出来る。大型基板でカラーフィルターを作成する場合はインクジェットヘッドの個数が多いので2列構造のインクジェットヘッドを用いると有利となる。
【0051】
また、2列構造のインクジェットヘッドを採用することで、インク供給ポートの数が1個のインクジェットヘッドで2個となる。2個のインク供給ポートは近い場所にあるので、図4に示すように、Y字配管インクチューブ21を用いることにより、インク分配器からの配管の数も半分に減らす工夫を行った。
【0052】
2列構造のインクジェットヘッドにおいて、ノズル穴を画像処理の為のマーク位置として登録することで、例えばノズル両端の座標を取得してインクジェットヘッドのノズル穴位置精度を知る事が可能となる。このノズル穴を調整するべきインクジェットヘッドユニットに付けられたアライメントマークからの理想座標に調整機構を用いて調整を行う。
【0053】
インクジェットヘッドのノズル列構造が2列構造の場合、片側のノズル列(A列とする)をX方向スライダー13と平行に揃えたとしても、もう一方のノズル列(B列とする)はX方向スライダー13と平行にならない場合がある。これは、ヘッドの製作精度によるもので、A列とB列との間で平行の許容誤差の5μmを満たすヘッドを作成するのは難しく、精度の良い物を選別すると歩留まりが悪くなる為に、インクジェットヘッドにかけるコストがかかってしまう問題がある。
【0054】
そこで、許容誤差より大きい、例えば図5に示すとおり、5μm以上のノズル穴位置ずれがあるインクジェットヘッドでも調整により使用可能となる割り振り方法で、調整を行う。すなわち、アライメント装置によってA列ヘッドの両端のノズルを観察、調整を行い、X方向の平行を出した後に、B列ヘッドの両端のノズルを観察、測定する。その時にX方向の平行が許容精度である5μm未満に入っていれば次の調整するべきヘッドに進む。B列ヘッドの端部ノズルY座標の差が許容誤差の2倍以下(この場合は5μm<Y≦10μm)の場合は該Y座標の差の半分を計算し、その分微調整を行う。このように割り振りを行うことでA列ヘッド誤差0、B列ヘッド誤差10μmがA列ヘッド誤差−5μm、B列ヘッド誤差5μmとなり、塗工精度を保つ事が可能となる。
【0055】
その事により、インクジェットヘッドのY方向誤差は0≦Y≦許容精度の2倍でよい事になる。また、この事はX方向にも同様の調整方法が適用可能である。Aヘッドの端のノズルとBヘッドの端のノズル間隔は決まっており、そのピッチが異なるとX方向のBMに乗り上げる危険がある。そこで同様の割り振り調整を行うことでX方向についても許容精度の2倍まで使用可能となる。よって、調整する全ての軸においてA列とB列の精度誤差を割り振る事が可能である。
【0056】
アライメント制御盤18は、微調機構モーターの回転の信号を切り替えや調整のために使用する。調整用コントローラー19は、微調機構のモーターを回転させ、インクジェットヘッドの位置調整の際に使用する。アライメント制御盤18において順番に調整していくインクジェットヘッドを切り替えていき、その都度、調整用コントローラー19を使用して位置精度を合わせる。モーター切り替えBOX20は、駆動モーターを切り替えるものであり、アライメント制御盤18により制御する。駆動モーターはそれぞれのインクジェットヘッドに調整軸分だけ設置されている。
【0057】
インクジェットヘッドユニット1の保持手段は塗工装置と同様に例えばインクジェットヘッドユニットフレームを支える等し、もしインクジェットヘッドユニット1がその自重により弾性変形を起こしたとしても、アライメント装置上でも同様の変形をするために、アライメントには影響が無いものである。
【0058】
すなわち、アライメント装置の保持手段はヘッドユニットホルダー16を含み、インクジェットヘッドユニット1の高さおよび位置を調整するものであり、塗工装置においてインクジェットヘッドユニット1が搭載される保持手段と互換性を有するものである。
【0059】
もし、塗工中に吐出のずれなどが判明し、インクジェットヘッドの位置調整が行ないたい場合は、モーター切り替えBOX20に調整用コントローラー19を接続し、塗工機本体のステージに取り付けられた倒立顕微鏡でインクジェットヘッドのノズルを確認しながら、所定のインクジェットヘッドを調整することが可能である。そのため、少数のインクジェットヘッドの調整の場合はアライメント装置までインクジェットヘッドユニットを運ばなくてもよい。
【0060】
また、アライメント後に所定の位置に配列した、インクジェットヘッドのノズル穴位置データを塗工装置に送ることで、それぞれのインクジェットヘッドのノズル端部のY座標を塗出タイミングに反映させ、塗工の際の段取り時間を短縮させることが可能である。
【0061】
インクジェットヘッドユニット1を2個以上製作する事により、一つは塗工に用い、もう一つは調整を行っておき、塗工しているインクジェットヘッドの交換時期が来たら、調整済みのインクジェットヘッドユニットと入れ替えることにより、生産を止める事がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態によるインクジェットヘッドのアライメント装置の構成を示す外観図である。
【図2】塗工装置の一例を示す外観図である。
【図3】カラーフィルターの塗工中の例を示す模式図である。
【図4】2列構造のインクジェットヘッドの外観図である。
【図5】割り振り方法の説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1…インクジェットヘッドユニット
2…透明基板
3…メンテナンス装置
4…主走査方向移動装置
5…副走査方向移動装置
6…ブラックマトリクス
7…Redインク滴
8…Greenインク滴
9…Blueインク滴
10…インクジェットヘッド
11…ステージ
12…ノズル穴観察用カメラ
13…X方向スライダー
14…Y方向スライダー
15…除震台
16…ヘッドユニットホルダー
17…ノズル穴観察ディスプレー
18…アライメント制御盤
19…調整用コントローラー
20…モーター切り替えBOX
21…Y字配管インクチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドユニットに設けられたインクジェットヘッドのノズル穴の位置を測定するカメラと、前記カメラの測定状態に基づいてノズル位置データを取得する制御手段と、前記ノズル位置データに基づいてインクジェットヘッドの位置調整を行う位置調整機構と、前記インクジェットヘッドユニットの高さおよび位置を調整する保持手段とを有し、前記インクジェットヘッドが2列構造であることを特徴とするインクジェットヘッドのアライメント装置。
【請求項2】
前記カメラを複数有することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置。
【請求項3】
前記位置調整機構は、2列構造のインクジェットヘッドのノズル列方向、高さ方向、水平回転方向の位置座標を取得して、按分して調整することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置。
【請求項4】
前記位置調整機構は、インクジェットヘッドユニットに設けられたアライメントマークを基準としてインクジェットヘッドの位置を調整することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置。
【請求項5】
前記ノズル位置データを塗工装置に送ることで、塗工工程に活用させることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置。
【請求項6】
塗工装置からインクジェットヘッドのノズル位置座標のフィードバックを受けて、前記位置調整機構を用いて指定の座標に自動で調節することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドのアライメント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−201018(P2008−201018A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40525(P2007−40525)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】