説明

インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド並びに画像形成装置

【課題】せん断モード変形を利用したインクジェットヘッドの高解像化を実現する。
【解決手段】中間層を挟んで第1及び第2の圧電性材料基板が一体化されたアクチュエータ部材を形成した後、第1及び第2の圧電性材料基板のそれぞれに複数のインクチャンネルからなるチャンネル列を形成し、各インクチャンネルに駆動電極を形成するとともに、該駆動電極に接続した取出電極を形成し、前記アクチュエータ部材の両面のそれぞれに、各インクチャンネルの一壁面を構成するとともに各インクチャンネルに連通する共通流路を構成する蓋基板を接合し、各インクチャンネルに対応する部分にノズル孔を有するノズルプレートを前記アクチュエータ部材に接合するインクジェットヘッドの製造方法を提供することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電性材料からなる隔壁により隔てられた互いに並行する複数のインクチャンネルを有し、前記インクチャンネルの内壁に形成された駆動電極への駆動電圧に応じて、前記隔壁を変形させ、その変形にともなって前記インクチャンネル内に充填されているインクをそのインクチャンネルに連通したノズルより吐出させるインクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド並びに画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドのノズルからインク液滴を記録媒体に向かって吐出することにより記録を行うものであり、記録動作時の騒音が低く、ランニングコストが安く、高解像、高品質な画像記録が可能であり、様々な分野で幅広く利用されている。
【0003】
従来、インクジェットヘッドには、インク吐出原理として圧電素子のせん断モード変形を利用したものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
特許文献1には、圧電性材料からなる隔壁により隔てられた互いに並行する複数のインクチャンネルを有するインクジェットヘッドが記載されている。しかしながら、このインクジェットヘッドでは、複数のインクチャンネルが1列に並べられた構成となっているため、インクチャンネルとなる溝部を加工する切削手段(ダイサーなど)を改良してもノズルピッチを狭くするには限界があり、高解像度のインクジェットヘッドを実現することは困難である。
【0005】
一方、特許文献2には、複数のインクチャンネルが2列に並べられたインクジェットヘッドが記載されている。このインクジェットヘッドによれば、2つの圧電性材料基板を貼り合わせた基板の両面のそれぞれに、複数のインクチャンネルからなるチャンネル列が形成されており、特許文献1に記載の構成に比べてノズルピッチを狭めることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−252750号公報
【特許文献2】特開2002−11887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載のインクジェットヘッドは、各圧電性材料基板に複数のインクチャンネルからなるチャンネル列をそれぞれ形成してから、チャンネル列が形成された圧電性材料基板同士を貼り合わせているため、位置合わせ時のばらつきや接着剤のばらつきによって、各インクチャンネルに対するノズルの位置がばらつく要因となり、吐出安定性が低下し、高解像度のインクジェットヘッドを実現することは難しい。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、せん断モード変形を利用したインクジェットヘッドの高解像化を実現することができるインクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、圧電性材料からなる隔壁により隔てられた互いに並行する複数のインクチャンネルを有し、前記インクチャンネルの内壁に形成された駆動電極への駆動電圧に応じて、前記隔壁を変形させ、その変形にともなって前記インクチャンネル内に充填されているインクをそのインクチャンネルに連通したノズルより吐出させるインクジェットヘッドの製造方法であって、第1の圧電性材料基板及び第2の圧電性材料基板が中間層を挟んで一体化されたアクチュエータ部材を形成するアクチュエータ部材形成工程と、前記アクチュエータ部材形成工程が行われた後、前記第1の圧電性材料基板に複数のインクチャンネルからなる第1のチャンネル列を形成するとともに、前記第2の圧電性材料基板に複数のインクチャンネルからなる第2のチャンネル列を形成するインクチャンネル形成工程と、各インクチャンネルに駆動電極を形成するとともに、該駆動電極に接続した取出電極を形成する電極形成工程と、前記アクチュエータ部材の両面のそれぞれに、各インクチャンネルの一壁面を構成するとともに各インクチャンネルに連通する共通流路を構成する蓋基板を接合する蓋基板接合工程と、各インクチャンネルに対応する部分にノズル孔を有するノズルプレートを前記アクチュエータ部材に接合するノズルプレート接合工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1の圧電性材料基板及び第2の圧電性材料基板が中間層を挟んで一体化されてから、各圧電性材料基板のそれぞれに複数のインクチャンネルが形成される。即ち、インクチャンネル形成後に圧電性材料基板同士を貼り合わせる工程が不要であるため、各インクチャンネルの位置合わせ時のばらつきや接着剤の厚みのばらつきの影響がなく、各インクチャンネルに対するノズルの位置精度が向上し、吐出安定性が高く、高解像度のインクジェットヘッドを実現することが可能となる。
【0011】
本発明において、第1のチャンネル列を構成する各インクチャンネルと、第2のチャンネル列を構成する各インクチャンネルは、チャンネル列を構成する複数のインクが配列される方向(チャンネル列方向)に関して同一位置に配置されていてよいし、一方のチャンネル列の各インクチャンネルが他方のチャンネル列の各インクチャンネルに対してチャンネル列方向に所定のピッチ(例えば1/2ピッチ)をずらして配置されていてもよい。ここでいう「ピッチ」とは、同一チャンネル列において隣接するインクチャンネル同士の間隔をいう。
【0012】
また、「蓋基板」は、1つの基板で構成されていてもよいし、複数の基板で構成されていてもよい。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法の一態様に係り、前記第1のチャンネル列を構成する各インクチャンネルと、前記第2のチャンネル列を構成する各インクチャンネルは、チャンネル列を構成する複数のインクチャンネルが配列される方向に関して、一方のチャンネル列のインクチャンネルが他方のチャンネル列のインクチャンネルと同一位置とならないように交互に配置された構成となっていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、各インクチャンネルが千鳥状に配置されるため、ノズルピッチを狭めることができ、インクジェットヘッドの高解像化が可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドの製造方法の一態様に係り、前記アクチュエータ部材形成工程は、分極用の外部電極を形成する工程と、圧電性材料基板を構成する圧電体を分極処理する工程と、前記分極処理後に前記外部電極を取り除く工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、外部電極を用いて圧電体の分極処理を行うことができるとともに、分極処理後に外部電極を取り除くことにより、隣接するインクチャンネル同士の駆動電極が導通するのを防ぐことができる。
【0017】
また、前記目的を達成するために、本発明に係るインクジェットヘッド(請求項4に記載の発明)は、圧電性材料からなる隔壁により隔てられた互いに並行する複数のインクチャンネルを有し、前記インクチャンネルの内壁に形成された駆動電極への駆動電圧に応じて、前記隔壁を変形させ、その変形にともなって前記インクチャンネル内に充填されているインクをそのインクチャンネルに連通したノズルより吐出させるインクジェットヘッドであって、第1の圧電性材料基板及び第2の圧電性材料基板が中間層を挟んで一体化され、前記第1の圧電性材料基板に複数のインクチャンネルからなる第1のチャンネル列が形成されるとともに、前記第2の圧電性材料基板に複数のインクチャンネルからなる第2のチャンネル列が形成され、さらに、各インクチャンネルに駆動電極が形成されるとともに該駆動電極に電気的に接続される取出電極が形成されたアクチュエータ部材と、前記アクチュエータ部材の両面のそれぞれに接合され、各インクチャンネルの一壁面を構成するとともに各インクチャンネルに連通する共通流路を構成する蓋基板と、前記アクチュエータ部材に接合され、各インクチャンネルに対応する部分にノズル孔を有するノズルプレートと、を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、各インクチャンネルに対するノズルの位置精度が向上し、吐出安定性が高く、高解像度のインクジェットヘッドを実現することが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインクジェットヘッドの一態様に係り、前記第1のチャンネル列を構成する各インクチャンネルと、前記第2のチャンネル列を構成する各インクチャンネルは、チャンネル列を構成する複数のインクチャンネルが配列される方向に関して、一方のチャンネル列のインクチャンネルが他方のチャンネル列のインクチャンネルと同一位置とならないように交互に配置された構成となっていることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、インクジェットヘッドの高密度化、高解像化が可能となる。
【0021】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置(請求項6に記載の発明)は、請求項4又は5に記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、画像品質の向上を図ることができ、好ましい画像を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1の圧電性材料基板及び第2の圧電性材料基板が中間層を挟んで一体化されてから、各圧電性材料基板のそれぞれに複数のインクチャンネルが形成される。即ち、インクチャンネル形成後に圧電性材料基板同士を貼り合わせる工程が不要であるため、各インクチャンネルの位置合わせ時のばらつきや接着剤の厚みのばらつきの影響がなく、各インクチャンネルに対するノズルの位置精度が向上し、吐出安定性が高く、高解像度のインクジェットヘッドを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図
【図2】図1のインクジェットヘッドの側面断面図
【図3】図1のインクジェットヘッドの一部を示した正面断面図
【図4】図1のインクジェットヘッドの製造方法を示した工程図
【図5】インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図
【図6】インクジェット記録装置の印字部周辺を示した要部平面図
【図7】インクジェット記録装置の制御系を示す要部ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0026】
〔インクジェットヘッドの構成〕
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図である。また、図2は図1のインクジェットヘッドの側面断面図、図3は図1のインクジェットヘッドの一部(アクチュエータ部材)を示した正面断面図である。なお、図2は図3のA−A線に相当する位置の断面構造を表している。
【0027】
図1に示すインクジェットヘッド10は、インクチャンネル20となる溝部が両面(上端面12c及び下端面12d)にそれぞれ複数形成されたアクチュエータ部材12と、各インクチャンネル20に対応する複数のノズル22が形成されたノズルプレート14と、各インクチャンネル20の一壁面を構成するカバー基板16(16A、16B)と、共通流路24となる溝部やインク供給口26となる孔部が形成された流路形成基板18(18A、18B)とから主に構成されている。
【0028】
アクチュエータ部材12は、中間層(電極)28を挟んで第1の圧電性材料基板30A及び第2の圧電性材料基板30Bが一体化された構成となっており、各圧電性材料基板30A、30Bのそれぞれには、複数のインクチャンネル20からなるチャンネル列32(第1のチャンネル列32A、第2のチャンネル列32B)が設けられている。
【0029】
図3に示すように、第1のチャンネル列32Aを構成する各インクチャンネル20Aと第2のチャンネル列32Bを構成する各インクチャンネル20Bは、チャンネル列を構成する複数のインクチャンネルが配列される方向(チャンネル列方向;図3の横方向)に沿って交互に配置されている。換言すれば、各チャンネル列32A、32Bは、チャンネル列方向に関して、一方のチャンネル列の各インクチャンネル(例えば20A)が他方のチャンネル列の各インクチャンネル(例えば20B)に対して同一位置とならないようにそれぞれ半ピッチずらして形成されており、各インクチャンネル20A、20Bはいわゆる千鳥状の配置構成となっている。
【0030】
各インクチャンネル(溝部)20は互いに平行で同一形状であり、アクチュエータ部材12の前端面12aからその反対側の後端面12bに向かって細長く延設され、前端面12a側は一定の深さに形成され、後端面12bに近づくに従い次第に浅くなるように形成されている(図2参照)。
【0031】
各圧電性材料基板30A、30Bのそれぞれは、2層の圧電体34、36からなる積層構造を有している。各圧電体34、36は、強誘電性を有する圧電材料、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料等で構成され、互いに離反する方向に分極処理が施されている。具体的には、第1の圧電性材料基板30Aを構成する圧電体34A、36Aは、図3に示す矢印P1、P2方向にそれぞれ分極され、第2の圧電性材料基板30Bを構成する圧電体34B、36Bは、図3に示す矢印P3、P4方向にそれぞれ分極されている。
【0032】
各圧電体34、36を構成する圧電材料は同一であってもよいし、異なる圧電材料で構成されていてもよい。但し、圧電体34、36同士の圧電特性を均一にして吐出安定化を図る観点から、各圧電体34、36を構成する圧電材料は同一であることが好ましい。本例では、各圧電体34、36は同一のセラミックス材料(PZT)で構成されている。
【0033】
図2に示すように、アクチュエータ部材12の上端面12cにはカバー基板16Aが接合されており、当該カバー基板16Aによって第1の圧電性材料基板30Aに形成される各インクチャンネル20Aの一壁面が構成されている。また、カバー基板16Aよりも後端面12b側には流路形成基板18Aが接合されており、各インクチャンネル20Aは流路形成基板18Aによって構成される共通流路24Aに連通している。なお、カバー基板16A及び流路形成基板18Aは1つの基板で構成されていてもよい(後述するカバー基板16B及び流路形成基板18Aも同様である。)
アクチュエータ部材12の下端面12dにも同様にカバー基板16B及び流路形成基板18Bが接合されており、当該カバー基板16Bによって第2の圧電性材料基板30Bに形成される各インクチャンネル20Bの一壁面が構成されるとともに、各インクチャンネル20Bは流路形成基板18Bによって構成される共通流路24Bに連通している。
【0034】
また、アクチュエータ部材12の前端面12aにはノズルプレート14が接合されている。ノズルプレート14には、各インクチャンネル20にそれぞれ対応する複数のノズル22が千鳥状に形成されており、各ノズル22はそれぞれ対応するインクチャンネル20と連通している。
【0035】
各インクチャンネル(溝部)20の両側壁38の表面(側面)には、駆動電圧印加用の駆動電極40が形成されている。また、インクチャンネル20の浅い領域では側面だけでなく底面にも駆動電極40が形成されている。アクチュエータ部材12の上端面12c及び下端面12dには、各インクチャンネル20よりも後方側(後端面12b側)に取出電極42がインクチャンネル毎にそれぞれ形成されており、各取出電極42はそれぞれ対応するインクチャンネル20の側面に設けられている駆動電極40と電気的に接続されている。
【0036】
また、アクチュエータ部材12の上端面12c及び下端面12dの後方側(後端面12b側)には、フレキシブルプリント配線板44(44A、44B)の一端が接合されている。フレキシブルプリント配線板44には、各取出電極42に対応した導電性パターンが形成されており、その導電性パターンと各取出電極42は電気的に接続されている。なお、各フレキシブルプリント配線板44の他端は不図示の駆動回路に接続されており、この駆動回路からフレキシブルプリント配線板44を介して各駆動電極40に所定の駆動電圧が印加されるようになっている。
【0037】
次に、上述したインクジェットヘッド10の動作について説明する。
【0038】
インク供給口26及び共通流路24を介して各インクチャンネル20にインクが充填された状態において、入力画像データに従って、例えば図3(a)に示すインクチャンネル20Aが選択されると、選択されたインクチャンネル20Aの内壁に形成された駆動電極40に所定の駆動電圧が印加される。このとき、インクチャンネル20Aの両側の側壁38、38には各圧電体34A、36Aの分極方向P1、P2と直交する方向Q1、Q2の電界が印加され、各側壁38、38は、圧電厚みすべり効果によってインクチャンネル20Aの内部方向に変形する(図3(b))。この変形によってインクチャンネル20Aの容積が減少してインクチャンネル20A内のインクが加圧され、インクチャンネル20Aに連通するノズル22からインクの一部が液滴(インク液滴)となって吐出される。その後、駆動電圧の印加が停止され、各側壁38、38が元の状態に復帰する際、共通流路24Aからインクチャンネル20Aにインクが供給される。
【0039】
〔インクジェットヘッドの製造方法〕
次に、本実施形態に係るインクジェットヘッド10の製造方法について図4を参照しながら説明する。図4は図1のインクジェットヘッド10の製造方法を示した工程図である。
【0040】
まず、図4(a)に示す積層構造体50を用意する。この積層構造体50は、圧電体と電極が交互に積層されたものであり、図3に示したアクチュエータ部材12の一部を構成する圧電体34A、中間層(電極)28、及び圧電体34Bからなる積層体の両面にそれぞれ分極用の外部電極52A、52Bを形成したものである。なお、外部電極52A、52Bは、後述するように、分極処理後に除去される電極である。
【0041】
次に、各圧電体34A、34Bの両面に配置された外部電極52A、52Bと中間層(電極)28を利用して、各圧電体34A、34Bの分極方向が互いに向き合う方向に分極処理を行う。即ち、図4(a)に示す矢印P1、P3方向に各圧電体34A、34Bを分極する。分極処理後、積層構造体50の両面に形成される外部電極52A、52Bは、研磨などの方法により取り除く(図4(b))。
【0042】
次に、図4(b)に示す積層構造体50の両面にそれぞれ、各圧電体34A、34Bとは反対方向に分極処理された圧電体36A、36Bを接合する(図4(c))。具体的には、積層構造体50の上端面50aに、圧電体34Aの分極方向P1とは反対方向であるP2方向に分極処理された圧電体36Aを接合する。また、積層構造体50の下端面50bにも同様に、圧電体34Bの分極方向P3とは反対方向であるP4方向に分極処理された圧電体36Bを接合する。こうして、中間層(電極)28を挟んで第1の圧電性材料基板30A及び第2の圧電性材料基板30Bが一体化されたアクチュエータ部材12が得られる。
【0043】
次に、図4(c)に示したアクチュエータ部材12の両面(上端面12c及び下端面12d)のそれぞれに、インクチャンネル20A、20Bとなる溝部を複数形成する(図4(d))。このとき、アクチュエータ部材12の前端面(ノズルプレート接合面)12a側から見たときに、第1の圧電性材料基板30Aに形成される各インクチャンネル20Aと第2の圧電性材料基板30Bに形成される各インクチャンネル20Bとが、チャンネル列方向に沿って交互に配置されるように(即ち、各インクチャンネル20A、20Bが千鳥状に配列されるように)形成する。
【0044】
次に、図4(e)に示すように、アクチュエータ部材12の両面(上端面12c及び下端面12d)に複数の取出電極42A、42Bをそれぞれ形成する。各取出電極42A、42Bはインクチャンネル毎に設けられ、各インクチャンネル20A、20Bよりも後方側((図4(e)の左端側)にそれぞれ形成される。
【0045】
次に、図4(f)に示すように、各インクチャンネル20A、20Bとなる溝部の側面に駆動電極40を形成する。このとき、インクチャンネル20A、20Bの浅い領域には側面だけでなく底面にも駆動電極40を形成し、各取出電極42A、42Bとそれぞれ対応するインクチャンネル20A、20Bの側面に形成される駆動電極40と電気的な接続を行う。
【0046】
次に、図4(g)に示すように、アクチュエータ部材12の両面(上端面12c及び下端面12d)のそれぞれに、カバー基板16A、16Bを接合する。これにより、第1の圧電成材料基板30Aに形成される各インクチャンネル20Aの一壁面はカバー基板16Aで構成され、また、第2の圧電成材料基板30Bに形成される各インクチャンネル20Bの一壁面はカバー基板16Bで構成される。
【0047】
次に、図4(h)に示すように、各ノズル22とそれぞれ対応するインクチャンネル20とが連通するように位置合わせした状態で、アクチュエータ部材12の前端面12aにノズルプレート14を接合する。
【0048】
次に、図4(i)に示すように、アクチュエータ部材12の両面(上端面12c及び下端面12d)に少なくとも各取出電極42A、42Bの後端部が表面に露出した状態で流路形成基板18A、18Bをそれぞれ接合する。
【0049】
そして最後に、図4(j)に示すように、アクチュエータ部材12の両面(上端面12c及び下端面12d)の後端部にそれぞれフレキシブルプリント配線板44A、44Bの一端を接合して、フレキシブルプリント配線板44A、44Bに形成される導電性パターンと各取出電極42A、42Bとの電気的な接続を行う。なお、フレキシブルプリント配線板44A、44Bの他端は、不図示の駆動回路に接続する。このようにして、本実施形態に係るインクジェットヘッド10を得ることができる。
【0050】
本製造方法によれば、アクチュエータ部材12を構成する第1の圧電性材料基板30A及び第2の圧電性材料基板30Bを中間層(電極)28を介して一体的に構成してから、各圧電性材料基板30A、30Bにそれぞれインクチャンネル20A、20Bとなる溝部を形成しているので、各インクチャンネル20A、20Bの位置合わせを必要とする工程が不要となり、各インクチャンネル20A、20Bに対するノズル22の位置精度が向上し、高密度で吐出安定性が高く、高解像度のインクジェットヘッドを実現することができる。
【0051】
〔画像形成装置〕
次に、本発明に係る画像形成装置としての一実施形態であるインクジェット記録装置について説明する。
【0052】
図5は、インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。図5に示すように、このインクジェット記録装置100は、インクの色毎に設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」と称する。)112K、112C、112M、112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K、112C、112M、112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送する吸着ベルト搬送部122と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126と、を備えている。
【0053】
図5では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0054】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図5のように、裁断用のカッター128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター128は、記録紙116の搬送路幅以上の長さを有する固定刃128Aと、該固定刃128Aに沿って移動する丸刃128Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃128Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃128Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
【0055】
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0056】
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0057】
デカール処理後、カットされた記録紙116は、吸着ベルト搬送部122へと送られる。吸着ベルト搬送部122は、ローラー131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
【0058】
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図5に示したとおり、ローラー131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー134が設けられており、この吸着チャンバー134をファン135で吸引して負圧にすることによってベルト133上の記録紙116が吸着保持される。
【0059】
ベルト133が巻かれているローラー131、132の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図5において、時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は、図5の左から右へと搬送される。
【0060】
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0061】
なお、吸着ベルト搬送部122に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0062】
吸着ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹きつけ、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0063】
印字部112には、記録紙116の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図5の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド112K、112C、112M、112Yが配置されている。記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K、112C、112M、112Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
【0064】
各ヘッド112K、112C、112M、112Yは、それぞれ、図1に示したインクジェットヘッド10に相当するものである。各ヘッド112K、112C、112M、112Yは、記録紙116の全幅(画像形成可能幅)に対応した長さのノズル列を有するライン型ヘッドで構成されている(図6参照)。また、図示は省略するが、インクジェットヘッド10に相当する短尺のヘッドを複数繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するライン型ヘッドで構成されていてもよい。
【0065】
また、各ヘッド112K、112C、112M、112Yは、記録紙116の全幅に満たない長さのノズル列を有する短尺ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル型ヘッドで構成されていてもよい。
【0066】
各ヘッド112K、112C、112M、112Yがライン型ヘッドで構成される態様によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、各ヘッド112K、112C、112M、112Yがシリアル型ヘッドで構成される態様に比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0067】
なお本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。
【0068】
図5に示したように、インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K、112C、112M、112Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各ヘッド112K、112C、112M、112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0069】
印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
【0070】
本例の印字検出部124は、少なくとも各ヘッド112K、112C、112M、112Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
【0071】
印字検出部124は、各色のヘッド112K、112C、112M、112Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
【0072】
印字検出部124の後段には、後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
【0073】
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
【0074】
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0075】
このようにして生成されたプリント物は、排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置100では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(不図示)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。カッター148は、排紙部126の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター148の構造は前述した第1のカッター128と同様であり、固定刃148Aと丸刃148Bとから構成されている。また、図示を省略したが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
【0076】
図7は、インクジェット記録装置100の制御系を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置100は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
【0077】
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。
【0078】
画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0079】
システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
【0080】
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従ってモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142その他各部のヒータ189を駆動するドライバである。
【0081】
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。プリント制御部180において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ184を介してヘッド112K、112C、112M、112Yのインク滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0082】
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0083】
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられるドットデータに基づいて各色のヘッド112K、112C、112M、112Yのインクチャンネル20(図1参照)を駆動するための駆動信号を生成し、インクチャンネル20に対応する駆動電極40に生成した駆動信号を供給する。ヘッドドライバ184にはヘッド112K、112C、112M、112Yの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0084】
印字検出部124は、図5で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部180に提供する。
【0085】
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124から得られる情報に基づいてヘッド112K、112C、112M、112Yに対する各種補正を行う。
【0086】
以上、本発明のインクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド並びに画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0087】
10…インクジェットヘッド、12…アクチュエータ部材、14…ノズルプレート、16…カバー基板、18…流路形成基板、20…インクチャンネル、22…ノズル、24…共通流路、26…インク供給口、28…中間層(電極)、30…圧電性材料基板、32…インクチャンネル列、34、36…圧電体、38…側壁、40…電極、42…取出電極、44…フレキシブルプリント配線板、100…インクジェット記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電性材料からなる隔壁により隔てられた互いに並行する複数のインクチャンネルを有し、前記インクチャンネルの内壁に形成された駆動電極への駆動電圧に応じて、前記隔壁を変形させ、その変形にともなって前記インクチャンネル内に充填されているインクをそのインクチャンネルに連通したノズルより吐出させるインクジェットヘッドの製造方法であって、
第1の圧電性材料基板及び第2の圧電性材料基板が中間層を挟んで一体化されたアクチュエータ部材を形成するアクチュエータ部材形成工程と、
前記アクチュエータ部材形成工程が行われた後、前記第1の圧電性材料基板に複数のインクチャンネルからなる第1のチャンネル列を形成するとともに、前記第2の圧電性材料基板に複数のインクチャンネルからなる第2のチャンネル列を形成するインクチャンネル形成工程と、
各インクチャンネルに駆動電極を形成するとともに、該駆動電極に接続した取出電極を形成する電極形成工程と、
前記アクチュエータ部材の両面のそれぞれに、各インクチャンネルの一壁面を構成するとともに各インクチャンネルに連通する共通流路を構成する蓋基板を接合する蓋基板接合工程と、
各インクチャンネルに対応する部分にノズル孔を有するノズルプレートを前記アクチュエータ部材に接合するノズルプレート接合工程と、
を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1のチャンネル列を構成する各インクチャンネルと、前記第2のチャンネル列を構成する各インクチャンネルは、チャンネル列を構成する複数のインクチャンネルが配列される方向に関して、一方のチャンネル列のインクチャンネルが他方のチャンネル列のインクチャンネルと同一位置とならないように交互に配置された構成となっていることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記アクチュエータ部材形成工程は、分極用の外部電極を形成する工程と、圧電性材料基板を構成する圧電体を分極処理する工程と、前記分極処理後に前記外部電極を取り除く工程とを含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項4】
圧電性材料からなる隔壁により隔てられた互いに並行する複数のインクチャンネルを有し、前記インクチャンネルの内壁に形成された駆動電極への駆動電圧に応じて、前記隔壁を変形させ、その変形にともなって前記インクチャンネル内に充填されているインクをそのインクチャンネルに連通したノズルより吐出させるインクジェットヘッドであって、
第1の圧電性材料基板及び第2の圧電性材料基板が中間層を挟んで一体化され、前記第1の圧電性材料基板に複数のインクチャンネルからなる第1のチャンネル列が形成されるとともに、前記第2の圧電性材料基板に複数のインクチャンネルからなる第2のチャンネル列が形成され、さらに、各インクチャンネルに駆動電極が形成されるとともに該駆動電極に電気的に接続される取出電極が形成されたアクチュエータ部材と、
前記アクチュエータ部材の両面のそれぞれに接合され、各インクチャンネルの一壁面を構成するとともに各インクチャンネルに連通する共通流路を構成する蓋基板と、
前記アクチュエータ部材に接合され、各インクチャンネルに対応する部分にノズル孔を有するノズルプレートと、
を備えたことを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第1のチャンネル列を構成する各インクチャンネルと、前記第2のチャンネル列を構成する各インクチャンネルは、チャンネル列を構成する複数のインクチャンネルが配列される方向に関して、一方のチャンネル列のインクチャンネルが他方のチャンネル列のインクチャンネルと同一位置とならないように交互に配置された構成となっていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−179632(P2010−179632A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27432(P2009−27432)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】