インクジェットヘッドの製造方法
【課題】発泡室およびインク流路を形成するインク流路壁を高い寸法精度で形成可能な、注型法を用いたインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】エネルギー発生素子を有する基板の上に、インク流路壁となる構造を有する第一のネガ型レジスト層を形成し、それを被覆するように第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成した上で、第一のネガ型レジスト層の表面が露出するまで研磨する。その後、研磨面の上にインク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成し、それを被覆するように第二のネガ型レジスト層を形成した上で、インク吐出口を形成する。そして、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を除去して、発泡室およびインク流路を形成する。
【解決手段】エネルギー発生素子を有する基板の上に、インク流路壁となる構造を有する第一のネガ型レジスト層を形成し、それを被覆するように第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成した上で、第一のネガ型レジスト層の表面が露出するまで研磨する。その後、研磨面の上にインク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成し、それを被覆するように第二のネガ型レジスト層を形成した上で、インク吐出口を形成する。そして、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を除去して、発泡室およびインク流路を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インク等の記録液を吐出して記録を行うインクジェット記録方式(液体吐出記録方式)に適用されるインクジェットヘッドは、一般にインク流路、エネルギー発生素子、及び微細なインク吐出口(「オリフィス」と呼ばれる)とを備えている。そして、インク流路に存在するインクは、インク流路の一部に設けられているエネルギー発生素子からのエネルギーにより、インク滴となってインク吐出口から吐出される。
【0003】
従来、このようなインクジェットヘッドを作製する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
(1)まず、液体吐出用の熱エネルギーを発生するヒーター及びこれらヒーターを駆動するドライバー回路等を形成した素子基板に、インク供給の為の貫通孔を形成する。その後、ネガ型レジストにてインク流路の壁となるパターン形成を行い、これに、電鋳法やエキシマレーザー加工によりインク吐出口を形成したプレートを接着して製造する。
(2)まず、上記(1)と同様に形成した素子基板を用意する。また、接着層を塗布した樹脂フィルム(通常はポリイミドが好適に使用される)にエキシマレーザーにてインク流路及びインク吐出口を形成する。次いで、この加工したインク流路構造体プレートと素子基板とを熱圧を付与して貼り合わせる。
【0004】
上記の製法で製造されるインクジェットヘッドでは、高画質記録のための微小インク滴の吐出を可能にするために、吐出量に影響を及ぼすヒーターと吐出口間の距離をできるだけ短くしなければならない。そのために、インク流路高さを低くしたり、インク流路の一部であって液体吐出エネルギー発生部と接する気泡発生室としての吐出チャンバーや、吐出口のサイズを小さくしたりする必要もある。すなわち、上記製法で製造されるインクヘットヘッドにより微小インク滴を吐出可能にするには、基板上に積層するインク流路構造体プレートの薄膜化が必要とされる。しかし、薄膜のインク流路構造体プレートを高精度で加工して基板に貼り合わせることは極めて困難である。
【0005】
これらの問題を解決する為、特許文献1では、次のようなインクジェットヘッドの製法(注型法とも称する)を開示している。まず、液体吐出エネルギー発生素子を形成した基板上に感光性材料にてインク流路の型をパターンニングする。次いで、その型パターンを被覆するように前記基板上に被覆樹脂層を塗布形成し、該被覆樹脂層に前記インク流路の型に連通するインク吐出口を形成する。その後、型に使用した感光性材料を除去する。該ヘッドの製造方法において、感光性材料としては、除去の容易性の観点からポジ型レジストが用いられている。また、この製法によると、半導体のフォトリソグラフィーの手法を適用しているので、インク流路、インク吐出口等の形成に関して、極めて高精度で微細な加工が可能である。
【0006】
一方で、インクジェット記録ヘッドにおいて、階調を滑らかに表現する、あるいは、粒状性を目立たなくする方法が求められている。その方法としては、一定サイズの記録ドットにより単位面積当たりの記録ドット数を制御するドット密度制御法や、記録ドットのサイズを制御するドット径制御法、およびその組み合わせがある。
【0007】
例えば、従来のインクジェット記録装置では、色の薄いインクと濃いインクをそれぞれ吐出する2列のノズル列が設ける方法が提案されている。この方法では、画像の明部から中間部分は色の薄いインクで記録ドットを形成し、中間調部分から暗部までは色の濃いインクで記録ドットを形成することで、擬似的に記録ドットサイズを制御する。ただし、色の薄いインクと濃いインクを設けるためには、それぞれのインクタンクが必要でありコストアップとなる。
【0008】
そこで、異なるサイズのインク滴を吐出するノズルを設け、画像の明部から中間部分は小さいインク滴で記録ドットを形成し、中間調部分から暗部までは大きいインク滴で記録ドットを形成するような記録方法が提案されている。
【0009】
しかしながら、小さいインク滴は、大きいインク滴より、発泡室の大きさおよび形状寸法のバラツキによる影響が相対的に大きいため、小さいインク滴の吐出量や吐出速度等のバラツキを抑えるために、より高精度に発泡室を形成する必要が生じる。さらに、高精細な画像を形成するためには、より微小なインク滴を形成する必要があり、従来のインク流路の形成方法だけでは目的の発泡室形成精度を達成することが困難になりつつある。
【0010】
発泡室の形状寸法のバラツキが発生する要因の一つとしては、発泡室の形状を決定する型レジストとして用いられるポジ型レジストが、各種の工程に使用される溶剤・ガス・熱等により溶解および変形することが挙げられる。これに対して、型レジストの形状寸法を維持する方法として、各種工程に対する耐性が高いポジ型レジストを用いることが考えられる。しかし、ポジ型レジストは発泡室を形作る型レジストであるため、インク流路壁を形成した後に速やかに除去する必要性があり、各種溶剤に対する耐性が高いことは除去性の低下によるタクトの低下を引き起こす可能性があった。
【特許文献1】特公平6−45242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、発泡室およびインク流路を形成するインク流路壁を高い寸法精度で形成可能な、注型法を用いたインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、注型法によるインクジェットヘッドの製造方法において、初めにネガ型レジストにより発泡室を形成することで、発泡室の形状を高精度に形成し且つ他の工程により影響を受けないものとすることに注目している。すなわち、まず、ネガ型レジストによりインク流路壁となる構造を形成する。次いで、該インク流路壁となる構造上に第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を被覆させ、該ポジ型レジストを研磨することにより、該ネガ型レジスト層までポジ型レジストを除去し、該研磨表面上に第二の光崩壊性ポジ型レジストからなるインク流路構造を形成する。そして、該インク流路構造上にネガ型レジストを被覆しインク吐出口を形成する。こうすることで、吐出するインク液滴の吐出量・吐出速度の精度を向上し且つ安定させることが可能であるインク流路形状を形成する方法を提案している。
【0013】
本発明により提案するインクジェットヘッドの製造方法は、インク滴を吐出するインク吐出口が形成されたノズルを有するインク流路と、該インク流路と連通し、該インク吐出口からインク滴を吐出するためのエネルギー発生素子を含む発泡室と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
(1)エネルギー発生素子を有する基板の上に、第一のネガ型レジスト層を形成する工程と、
(2)露光および現像により該第一のネガ型レジスト層をパターニングして、インク流路壁となる構造を形成する工程と、
(3)該インク流路壁となる構造を有する該第一のネガ型レジスト層を被覆するように第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成する工程と、
(4)該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を、該第一のネガ型レジスト層の表面が露出するまで研磨する工程と、
(5)研磨面の上に第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成し、露光および現像により該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層をパターニングして、インク流路となる構造を形成する工程と、
(6)該インク流路となる構造を有する該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を被覆するように第二のネガ型レジスト層を形成し、露光および現像により該第二のネガ型レジスト層をパターニングして、インク吐出口を形成する工程と、
(7)露光および現像により該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を除去して、発泡室およびインク流路を形成する工程と
を有することを特徴としている。
【0014】
また、該工程(4)における研磨を、化学機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polish)技術により行うことを特徴としている。
【0015】
また、 該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を、ポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK)を用いて形成することを特徴としている。
【0016】
また、該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて形成することを特徴としている。
【0017】
また、該工程(5)において、該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層が該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を完全に覆うように、該インク流路となる構造を形成することを特徴としている。さらに、該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を、同一の光崩壊性ポジ型レジストを用いて形成することを特徴としている。
【0018】
本発明により提案するインクジェットヘッドは、上記の製造方法で製造されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来の高精細なインクジェットヘッドの製造方法に比較して、発泡室およびインク流路を形成するインク流路壁を高い寸法精度で形成可能となり、吐出するインク液滴の吐出量・吐出速度の精度を向上し且つ安定させることを可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
通常、注型法を用いたインクジェットヘッドのインク流路の形成方法では、まず初めに光崩壊性のポジ型レジストをインク流路構造に形成する。次いで、該インク流路構造上にネガ型レジストを被覆後、ネガ型レジストを露光および現像することで吐出口を形成し、光崩壊性のポジ型レジストを除去することで、インク流路を形成する。
【0021】
このようなインク流路の形成方法では、インク流路構造となる光崩壊性のポジ型レジストは、インク流路構造を形成後に各種工程において様々な溶剤・ガス・熱などの履歴を経る必要がある。例えば、被覆されるネガ型レジストの溶剤や乾燥・硬化させるための熱工程、エッチング工程に使用されるイオン性ガスやラジカルガスなどがある。このような各種工程からの影響を受けると、該光崩壊性のポジ型レジストは少なからず溶解・変形する。通常、この溶解・変形は微小なものであり、形成されるインク流路においては問題レベルであることが多いが、微小なインク滴を吐出する際には無視できなくなる可能性がある。
【0022】
この問題に対応する一つの方法として、光崩壊性のポジ型レジストに耐溶剤性や耐ガス性や耐熱性を付与することも考えられる。しかし、該ポジ型レジストは最終的には露光と現像またはエッチングにより除去する必要性があるため、耐性を持たせることは除去時のタクト増加に繋がることになる。また、付加する耐性を選択するためには材料の自由度が狭められることにもなる。
【0023】
本発明者らは鋭意検討の結果、インク滴条件に最も影響のある発泡室のインク流路壁を、初めにネガ型レジストのパターニングにより形成することで、インク流路壁となる構造を形成することを考えた。そして、その後にインク流路を注型法を用いて完成することにより、インク流路壁が目的の寸法精度で可能であることを見出した。
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明を工程毎に詳細に説明する。図1〜13は、本発明のインクジェットヘッドの製造方法における各工程時の状態を模式的に示したものである。
【0025】
工程(1):第一のネガ型レジスト層の形成
まず、本発明では、エネルギー発生素子を有する基板1の上に、第一のネガ型レジスト層2を形成する(図1)。基板1としては、インクを吐出させるためのエネルギー発生素子(不図示)が形成された、ガラス、セラミック、金属等からなる基板が用いられる。エネルギー発生素子としては、電気熱発生素子や圧電素子等が使用されるが、これに限られるものではない。また、エネルギー発生素子に電気熱発生素子を用いる場合には、発泡時の衝撃の緩和やインクからのダメージの軽減等の目的で、その表面に保護膜(不図示)が形成されていても良い。
【0026】
第一のネガ型レジスト層2は、基板1の表面上にネガ型レジストを塗布することで形成することができる。ネガ型レジストを塗布する方法としては、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法などの方法があるが、これに限られるものではない。
【0027】
第一のネガ型レジスト層2の形成に用いるネガ型レジストとしては、カチオン重合・ラジカル重合などの反応を利用したものを使用できるが、これに限られるものではない。カチオン重合反応を利用したネガ型レジストを例にとると、ネガ型レジスト中に含まれる光カチオン開始剤から発生するカチオンにより、ネガ型レジスト中に含まれるカチオン重合可能なモノマーやポリマーの分子間での重合や架橋が進むことで硬化する。
【0028】
光カチオン開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩など、具体的には旭電化工業から上市されているSP−170、SP−150(以上、商品名)等が挙げられる。
【0029】
カチオン重合可能なモノマーやポリマーとしては、エポキシ基やビニルエーテル基やオキセタン基を有するものが適しているが、これに限られるものではない。一例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アロンオキセタンOXT−211(商品名、東亜合成株式会社製)等のオキセタン樹脂、セロキサイド2021(商品名、ダイセル化学工業製)等の脂環式エポキシ樹脂、AOE(商品名、ダイセル化学工業製)等の直鎖アルキル基を有するモノエポキシド等を挙げることができる。さらに、特許第3143308号公報に記載の多官能性エポキシ樹脂は、非常に高いカチオン重合性を示し、かつ、硬化させると高い架橋密度を示し、これにより優れた強度を有する硬化物が得られるので特に好ましい。この多官能性エポキシ樹脂としては、例えば、EHPE−3150(商品名、ダイセル化学工業製)等が挙げられる。
【0030】
また、塗布成膜時の膜均一性などの塗布性を向上させるために、ネガ型レジスト中にグリコール系の化合物を含ませることも好ましい。例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテルやトリエチレングリコールメチルエーテルなどの化合物が挙げられるが、これらにとらわれる必要はない。
【0031】
工程(2):インク流路壁となる構造の形成
次に、工程(1)で形成した第一のネガ型レジスト層2の所定領域に対して露光を行い、さらに現像することでパターニングして、インク流路壁となる構造を形成する(図2)。この工程では、インク流路となる部分を遮光して、インク流路となる部分以外の領域に光を照射することで、ネガ型レジストを硬化させて、インク流路壁とする。現像液としては、メチルイソブチルケトンやメチルイソブチルケトン/キシレンの混合溶媒等が使用可能である。
【0032】
工程(3):第一の光崩壊性ポジ型レジスト層の形成
次に、工程(2)で形成した、インク流路壁となる構造を有する第一のネガ型レジスト層2を被覆するように、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を形成する(図3)。第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3の形成に用いる光崩壊型ポジ型レジストとしては、一般には以下のレジストが用いられるが、これに限られるものではない。
・ポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK)やポリビニルケトン等の290nm付近に感光波長域を有するレジスト。
・ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のメタクリル酸エステル単位から構成される高分子化合物のように250nm付近に感光波長域を持つレジスト。
【0033】
第一のネガ型レジスト層2を光崩壊型ポジ型レジストで被覆する方法としては、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法などの方法があるが、これに限られるものではない。
【0034】
工程(4):第一の光崩壊性ポジ型レジストの研磨
次に、工程(3)で形成した第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を、第一のネガ型レジスト層2の表面が露出するまで研磨する(図4)。研磨する方法としては、スラリーを用いて化学機械的研磨方法であるCMP(Chemical Mechanical Polish)技術を用いることが可能である。この場合、第一のネガ型レジスト層2の形成に用いたネガ型レジストは工程(2)の露光により十分に架橋しているため、第一のネガ型レジスト層2は、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3との硬度の差を利用して、研磨ストップ層としての役割を十分に果たす。これにより、安定的に、第一のネガ型レジスト層2の上部まで第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を研磨除去することが可能であり、再現良く第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3の膜厚を得ることが可能である。この研磨により除去されなかった第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3は、後に発泡室となる構造を形成している。
【0035】
工程(5):インク流路パターンの形成
次に、工程(4)での研磨面の上に第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を形成し、その第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の所定領域に対して露光を行い、さらに現像することでパターニングして、インク流路となる構造を形成する(図6または図10)。第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の形成に用いる光崩壊型ポジ型レジストとしては、前述の第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を形成する光崩壊型ポジ型レジストと同様のレジストを用いることができる。
【0036】
第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4は、研磨面の上に光崩壊性ポジ型レジストを塗布することで形成することができる。光崩壊性ポジ型レジストを塗布する方法としては、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法などの方法があるが、これに限られるものではない。
【0037】
次いで、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4に、インク流路パターンの描かれた石英マスクを通して、電離放射線を照射する。この際、電離放射線としては、使用される光崩壊性ポジ型レジストの感光波長域である290nmや250nm付近の波長域を含むものを使用する。これにより、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の、電離照射線を照射した領域にて主鎖分解反応が生じ、その領域の現像液に対する溶解性が選択的に向上する。したがって、この第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を現像することで、インク流路となる構造を形成することができる。
【0038】
現像液としては、溶解性の向上した露光部を溶解し、且つ未露光部を溶解しない溶剤であれば特に制限はなく、一般的にはメチルイソブチルケトンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートなどを用いることが可能である。また、現像時のクラックを防止するための現像液としては、水と任意な割合で混合可能な炭素数6以上のグリコールエーテル、含窒素塩基性有機溶剤、水を含有する現像液が好適に用いられる。例えば、X線リソグラフィーのレジストとして用いられるPMMA用の現像液として、特公平3−10089号公報に開示されている組成の現像液を、本発明においても好適に用いることが可能である。
【0039】
第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の形成に用いる光崩壊型ポジ型レジストは、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を形成する光崩壊型ポジ型レジストと異なる又は同一のレジストを用いることが可能である。ただし、先の研磨後に除去されずに残った第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を完全に覆うように、インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を形成する場合である(図10)。すなわち、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を完全に覆う場合には、露光照射光からの影響を考慮する必要がないため、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を同一のレジストを用いて形成することが可能である。
【0040】
第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を完全に被覆しない(第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3が表面に露出する)場合(図6)には、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4は、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3と異なるレジストで形成する必要がある。これは、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4をパターニングする際に、露光照射光が第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3まで到達するため、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3もパターニングされてしまうからである。
【0041】
工程(6):インク吐出口(ノズル)の形成
次に、工程(5)で形成した、インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を被覆するように第二のネガ型レジスト層2’を形成する(図7または図11)。そして、露光および現像により第二のネガ型レジスト層2’をパターニングして、インク吐出口(ノズル)を形成する(図8または図12)。第二のネガ型レジスト層2’は、ネガ型レジストを塗布することで形成することができる。第二のネガ型レジスト層2’の形成に用いるネガ型レジストとしては、第一のネガ型レジスト層2と同様のレジストを用いることができる。ネガ型レジストを塗布する方法としては、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法などの方法があるが、これに限られるものではない。
【0042】
更に、必要に応じて撥インク層(不図示)を第二のネガ型レジスト層2’の上に形成する。この場合、撥インク層は、第二のネガ型レジスト層2’の形成に用いたネガ型レジストと同様に、架橋可能な感光性を有することが望ましい。また、ネガ型レジストと相溶しないことも重要である。なお、撥インク層は、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法等の方法で形成することができる。
【0043】
次いで、インク吐出口となる部分を遮光して、インク吐出口となる部分以外の領域に光を照射することで、ネガ型レジストを硬化させる。この際、撥インク層を有する場合は、撥インク層の樹脂も同時に硬化させる。その後、現像することで、インク吐出口5を形成する。ネガ型レジスト層と、撥インク層の現像液としては、露光部が溶解せず、未露光部を完全に取り除くことができ、且つその下に配置されている第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を溶解しない現像液が最適である。例えば、メチルイソブチルケトンやメチルイソブチルケトン/キシレンの混合溶媒等が使用可能である。なお、光崩壊性ポジ型レジスト層4を溶解しないことが重要である理由としては、一般的には、一枚の基板に複数のヘッドが配置され、切断工程を経てインクジェットヘッドとして使用されるためである。すなわち、切断時のごみ対策として、インク流路パターンの形成に用いるポジ型レジストを、切断工程後に溶解除去するのが望ましいためである。
【0044】
工程(7):インク流路の形成
その後、インク流路となる構造を有する第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を除去して、互いに連通する発泡室およびインク流路を形成する(図9または図13)。この工程では、インク流路となる構造を有する第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の上から電離放射線を照射し、ポジ型レジストの分解反応を起こすことで、除去液に対する溶解性を向上させる。電離放射線としては、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4のパターニングの際に使用したものと同様のものが使用できる。ただし、本工程ではインク流路となる構造を除去してインク流路を形成することが目的であるため、電離照射線はマスクを介さずに全面に照射することができる。その後、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4のパターニングの際に使用した現像液と同様のものを用いて、インク流路パターンの形成に用いるポジ型レジストを完全に取り除くことが可能である。なお、この工程では、パターニング性を考慮する必要がないことから、ポジ型レジストを溶解可能で、ネガ型レジスト層および撥インク層に影響しない溶剤を用いることができる。
【0045】
なお、工程(7)に先だって、基板1を貫通するインク供給口(不図示)を形成することができる。インク供給口を形成する方法としては、異方性エッチングやドライエッチングなどが一般的に用いられるが、これに限られるものではない。一例として、特定の結晶方位を持ったシリコン基板を用いた異方性エッチングの方法について説明する。まず、シリコン基板1の裏面にインク供給口の大きさのスリット部だけを残してエッチングマスクを形成する。次いで、アルカリ系のエッチング溶液である水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の水溶液からなるエッチング液に、加温しながら浸漬させる。こうすることで、スリット部から露出した部分の基板のみを異方性をもって溶解させることが可能であり、これによりインク供給口を形成することができる。次いで、必要に応じてエッチングマスクを取り除く。なお、この際、シリコン基板1表面のネガ型レジスト層および撥インク層をエッチング液から保護する目的で、保護層として、エッチング液耐性を有する樹脂等を、シリコン基板1表面に形成しても良い。
【0046】
以上の工程により、インクジェットヘッドを作製することができる。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
本実施例においては、図1〜9で示す状態を経るインクジェットヘッドの製造方法によって、インクジェットヘッドを製造した。
【0048】
まず、インクを吐出させるためのエネルギー発生素子とドライバーやロジック回路が形レジスト成されたシリコン基板1を準備した。
【0049】
次いで、シリコン基板1の上に、第一のネガ型レジスト層2を形成した。第一のネガ型レジスト層2の形成に用いるネガ型レジストとしては、以下の組成の溶液を使用した。
・EHPE−3150(商品名、ダイセル化学工業社製) 100質量部
・HFAB(商品名、セントラル硝子社製) 20質量部
・A−187(商品名、日本ユニカー社製) 5質量部
・SP170(商品名、旭電化工業社製) 2質量部
・キシレン 80質量部
シリコン基板1の上にこのレジスト溶液をスピンコート法によって塗布し、ホットプレート上にて90℃の温度で3分間のプリベークを行うことで、14μm膜厚(平板状)の第一のネガ型レジスト層2を形成した(図1)。
【0050】
次いで、マスクアライナーMPA600FA(商品名、キヤノン製)を用い、インク流路壁のパターンが描かれたマスクを介して、2000mJ/cm2の露光量にて第一のネガ型レジスト層2をパターン露光した。次いで、90℃で180秒のPEBを行い、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/3溶液を用いて現像し、キシレンを用いてリンス処理を行うことで、第一のネガ型レジスト層2にインク流路壁となる構造を形成した(図2)。
【0051】
次いで、このインク流路壁となる構造を有する第一のネガ型レジスト層2に、第一の光崩壊型ポジ型レジスト層3を被覆した。なお、第一の光崩壊型ポジ型レジスト層3の形成に用いる光崩壊性ポジ型レジストとしては、ポリメチルイソプロペニルケトン(東京応化工業(株)社製、商品名:ODUR−1010)を用いた。具体的には、樹脂濃度を20質量%になるように調節し、第一のネガ型レジスト層2の上にスピンコート法によって塗布した。その後、ホットプレート上にて120℃の温度で3分間、引き続き窒素置換されたオーブンにて150℃の温度で30分間のプリベークを行い、18μm膜厚の第一の光崩壊型ポジ型レジスト層3を形成した(図3)。
【0052】
次いで、第一の光崩壊型ポジ型レジスト層3を、MAT ARW−681MS(商品名、MAT社製)を用いて、第一のネガ型レジスト層2の表面が露出するまで研磨を行った(図4)。
【0053】
次いで、この研磨した表面の上に、第二の光崩壊型ポジ型レジスト層4を形成した。第二の光崩壊型ポジ型レジスト層4の形成に用いる光崩壊性ポジ型レジストとしては、メタクリル酸メチル(MMA)/メタクリル酸(MAA)共重合体(MMA/MAA=90/10(質量比)、重量平均分子量=100000(ポリスチレン換算))を用いた。具体的には、この共重合体をジエチレングリコールジメチルエーテルに、20質量%の固形分濃度にて溶解したレジスト溶液を、研磨面の上にスピンコート法によって塗布した。その後、ホットプレート上にて100℃の温度で3分間、引き続き窒素置換されたオーブンにて150℃の温度で1時間のプリベークを行い、5μm膜厚の第二の光崩壊型ポジ型レジスト層4を形成した(図5)。
【0054】
次いで、第二の光崩壊型ポジ型レジスト層4の上に、ウシオ電機製Deep−UV露光装置UX−3000(商品名)を用いて、小ドット用の流路パターンの描かれたマスクを介して、50000mJ/cm2の露光量でDeep−UV光を照射した。その後、以下の組成の混合溶液を使用して現像した。
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 60vol%
・モノエタノールアミン 5vol%
・モルホリン 20vol%
・イオン交換水 15vol%
引き続きイソプロピルアルコールを用いてリンス処理を行うことで、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4にインク流路となる構造を形成した(図6)。
【0055】
次いで、第一のネガ型レジスト層2の形成に用いるネガ型レジストと同様のレジストを用いて、インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を被覆するように、約10μm膜厚の第二のネガ型レジスト層2’を形成した(図7)。
【0056】
次いで、第二のネガ型レジスト層2’の上で、ネガ型レジスト層4の上に、感光性を有する以下の組成の樹脂からなる撥インク層(不図示)をラミネート法により形成した。
・EHPE−3150(商品名、ダイセル化学工業社製) 35質量部
・2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ヘキサフロロプロパン
25質量部
・1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフロロイソプロピル)ベンゼン
25質量部
・3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1、2−エポキシプロパン
16質量部
・A−187(商品名、日本ユニカー社製) 4質量部
・SP170(商品名、旭電化工業社製) 1.5質量部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 200質量部
次いで、マスクアライナーMPA600FA(商品名、キヤノン製)を用い、インク吐出口のパターンが描かれたマスクを介して、3000mJ/cm2の露光量にて、第二のネガ型レジスト層2’をパターン露光した。次いで、90℃で180秒のPEBを行い、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/3溶液を用いて現像し、キシレンを用いてリンス処理を行うことで、第二のネガ型レジスト層2’にインク吐出口5を形成した(図8)。
【0057】
次いで、シリコン基板1の裏面に、インク供給口をエッチング処理により形成した。まず、撥インク層の上に、保護層としてOBC(商品名、東京応化製)を全面に塗布した。そして、シリコン基板1の裏面にポリエーテルアミド樹脂(日立化成製、商品名:HIMAL)を用いてスリット状のエッチングマスクを形成した。その後、80℃のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液中に浸漬することでシリコン基板1の異方性エッチングを行い、インク供給口(不図示)を形成した。なお、エッチングマスクは、シリコン基板1を用意する際に、あらかじめ形成されていてもよい。
【0058】
次いで、保護層であるOBC(商品名)をキシレンにて除去した。その後、ウシオ電機製Deep−UV露光装置UX−3000(商品名)を用いて撥インク層の上から7000mJ/cm2の露光量で全面に露光し、インク流路となるポジ型レジストを可溶化した。そして、乳酸メチル中に超音波を付与しつつ浸漬することで、インク流路となるポジ型レジストを除去し、図9に示すようなインクジェットヘッドを得た。
【0059】
上記の方法で作製したインクジェットヘッドは、インク流路壁が垂直方向に形成されている形状となった。このインクジェットヘッドをプリンターに搭載し、吐出及び記録評価を行ったところ、安定な印字が可能であり、得られた印字物は高品位なものであった。
【0060】
(実施例2)
実施例1に対して以下のような変更を行う以外は実施例1と同様の方法でインクジェットヘッドを作製した。
・第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3の形成に用いたポジ型レジストを用いて形成した。
・第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4のパターニングを、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3と同様の露光期および現像方法により行った。
・第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4をパターニングして形成したインク流路となる構造を、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を完全に覆う形状にした(図10)。
【0061】
上記方法で作製したインクジェットヘッドは、インク流路壁が垂直方向に形成されている形状となった。このインクジェットヘッドをプリンターに搭載し、吐出及び記録評価を行ったところ、安定な印字が可能であり、得られた印字物は高品位なものであった。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】基板1の上に、第一のネガ型レジスト層2を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図2】第一のネガ型レジスト層2をパターニングして、インク流路壁となる構造を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図3】インク流路壁となる構造を有する第一のネガ型レジスト層2を被覆するように、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図4】第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を、第一のネガ型レジスト層2の表面が露出するまで研磨した状態を示す模式的断面図である。
【図5】研磨面の上に第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図6】第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4をパターニングして、インク流路となる構造を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図7】インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を被覆するように第二のネガ型レジスト層2’を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図8】第二のネガ型レジスト層2’をパターニングして、インク吐出口5を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図9】第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を除去して、発泡室およびインク流路を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図10】第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4をパターニングして、インク流路となる構造を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図11】インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を被覆するように第二のネガ型レジスト層2’を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図12】第二のネガ型レジスト層2’をパターニングして、インク吐出口5を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図13】第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を除去して、発泡室およびインク流路を形成した状態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 基板
2 第一のネガ型レジスト層
2’ 第二のネガ型レジスト層
3 第一の光崩壊性ポジ型レジスト層
4 第二の光崩壊性ポジ型レジスト層
5 インク吐出口
6 発泡室
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インク等の記録液を吐出して記録を行うインクジェット記録方式(液体吐出記録方式)に適用されるインクジェットヘッドは、一般にインク流路、エネルギー発生素子、及び微細なインク吐出口(「オリフィス」と呼ばれる)とを備えている。そして、インク流路に存在するインクは、インク流路の一部に設けられているエネルギー発生素子からのエネルギーにより、インク滴となってインク吐出口から吐出される。
【0003】
従来、このようなインクジェットヘッドを作製する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
(1)まず、液体吐出用の熱エネルギーを発生するヒーター及びこれらヒーターを駆動するドライバー回路等を形成した素子基板に、インク供給の為の貫通孔を形成する。その後、ネガ型レジストにてインク流路の壁となるパターン形成を行い、これに、電鋳法やエキシマレーザー加工によりインク吐出口を形成したプレートを接着して製造する。
(2)まず、上記(1)と同様に形成した素子基板を用意する。また、接着層を塗布した樹脂フィルム(通常はポリイミドが好適に使用される)にエキシマレーザーにてインク流路及びインク吐出口を形成する。次いで、この加工したインク流路構造体プレートと素子基板とを熱圧を付与して貼り合わせる。
【0004】
上記の製法で製造されるインクジェットヘッドでは、高画質記録のための微小インク滴の吐出を可能にするために、吐出量に影響を及ぼすヒーターと吐出口間の距離をできるだけ短くしなければならない。そのために、インク流路高さを低くしたり、インク流路の一部であって液体吐出エネルギー発生部と接する気泡発生室としての吐出チャンバーや、吐出口のサイズを小さくしたりする必要もある。すなわち、上記製法で製造されるインクヘットヘッドにより微小インク滴を吐出可能にするには、基板上に積層するインク流路構造体プレートの薄膜化が必要とされる。しかし、薄膜のインク流路構造体プレートを高精度で加工して基板に貼り合わせることは極めて困難である。
【0005】
これらの問題を解決する為、特許文献1では、次のようなインクジェットヘッドの製法(注型法とも称する)を開示している。まず、液体吐出エネルギー発生素子を形成した基板上に感光性材料にてインク流路の型をパターンニングする。次いで、その型パターンを被覆するように前記基板上に被覆樹脂層を塗布形成し、該被覆樹脂層に前記インク流路の型に連通するインク吐出口を形成する。その後、型に使用した感光性材料を除去する。該ヘッドの製造方法において、感光性材料としては、除去の容易性の観点からポジ型レジストが用いられている。また、この製法によると、半導体のフォトリソグラフィーの手法を適用しているので、インク流路、インク吐出口等の形成に関して、極めて高精度で微細な加工が可能である。
【0006】
一方で、インクジェット記録ヘッドにおいて、階調を滑らかに表現する、あるいは、粒状性を目立たなくする方法が求められている。その方法としては、一定サイズの記録ドットにより単位面積当たりの記録ドット数を制御するドット密度制御法や、記録ドットのサイズを制御するドット径制御法、およびその組み合わせがある。
【0007】
例えば、従来のインクジェット記録装置では、色の薄いインクと濃いインクをそれぞれ吐出する2列のノズル列が設ける方法が提案されている。この方法では、画像の明部から中間部分は色の薄いインクで記録ドットを形成し、中間調部分から暗部までは色の濃いインクで記録ドットを形成することで、擬似的に記録ドットサイズを制御する。ただし、色の薄いインクと濃いインクを設けるためには、それぞれのインクタンクが必要でありコストアップとなる。
【0008】
そこで、異なるサイズのインク滴を吐出するノズルを設け、画像の明部から中間部分は小さいインク滴で記録ドットを形成し、中間調部分から暗部までは大きいインク滴で記録ドットを形成するような記録方法が提案されている。
【0009】
しかしながら、小さいインク滴は、大きいインク滴より、発泡室の大きさおよび形状寸法のバラツキによる影響が相対的に大きいため、小さいインク滴の吐出量や吐出速度等のバラツキを抑えるために、より高精度に発泡室を形成する必要が生じる。さらに、高精細な画像を形成するためには、より微小なインク滴を形成する必要があり、従来のインク流路の形成方法だけでは目的の発泡室形成精度を達成することが困難になりつつある。
【0010】
発泡室の形状寸法のバラツキが発生する要因の一つとしては、発泡室の形状を決定する型レジストとして用いられるポジ型レジストが、各種の工程に使用される溶剤・ガス・熱等により溶解および変形することが挙げられる。これに対して、型レジストの形状寸法を維持する方法として、各種工程に対する耐性が高いポジ型レジストを用いることが考えられる。しかし、ポジ型レジストは発泡室を形作る型レジストであるため、インク流路壁を形成した後に速やかに除去する必要性があり、各種溶剤に対する耐性が高いことは除去性の低下によるタクトの低下を引き起こす可能性があった。
【特許文献1】特公平6−45242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、発泡室およびインク流路を形成するインク流路壁を高い寸法精度で形成可能な、注型法を用いたインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、注型法によるインクジェットヘッドの製造方法において、初めにネガ型レジストにより発泡室を形成することで、発泡室の形状を高精度に形成し且つ他の工程により影響を受けないものとすることに注目している。すなわち、まず、ネガ型レジストによりインク流路壁となる構造を形成する。次いで、該インク流路壁となる構造上に第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を被覆させ、該ポジ型レジストを研磨することにより、該ネガ型レジスト層までポジ型レジストを除去し、該研磨表面上に第二の光崩壊性ポジ型レジストからなるインク流路構造を形成する。そして、該インク流路構造上にネガ型レジストを被覆しインク吐出口を形成する。こうすることで、吐出するインク液滴の吐出量・吐出速度の精度を向上し且つ安定させることが可能であるインク流路形状を形成する方法を提案している。
【0013】
本発明により提案するインクジェットヘッドの製造方法は、インク滴を吐出するインク吐出口が形成されたノズルを有するインク流路と、該インク流路と連通し、該インク吐出口からインク滴を吐出するためのエネルギー発生素子を含む発泡室と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
(1)エネルギー発生素子を有する基板の上に、第一のネガ型レジスト層を形成する工程と、
(2)露光および現像により該第一のネガ型レジスト層をパターニングして、インク流路壁となる構造を形成する工程と、
(3)該インク流路壁となる構造を有する該第一のネガ型レジスト層を被覆するように第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成する工程と、
(4)該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を、該第一のネガ型レジスト層の表面が露出するまで研磨する工程と、
(5)研磨面の上に第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成し、露光および現像により該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層をパターニングして、インク流路となる構造を形成する工程と、
(6)該インク流路となる構造を有する該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を被覆するように第二のネガ型レジスト層を形成し、露光および現像により該第二のネガ型レジスト層をパターニングして、インク吐出口を形成する工程と、
(7)露光および現像により該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を除去して、発泡室およびインク流路を形成する工程と
を有することを特徴としている。
【0014】
また、該工程(4)における研磨を、化学機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polish)技術により行うことを特徴としている。
【0015】
また、 該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を、ポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK)を用いて形成することを特徴としている。
【0016】
また、該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて形成することを特徴としている。
【0017】
また、該工程(5)において、該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層が該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を完全に覆うように、該インク流路となる構造を形成することを特徴としている。さらに、該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を、同一の光崩壊性ポジ型レジストを用いて形成することを特徴としている。
【0018】
本発明により提案するインクジェットヘッドは、上記の製造方法で製造されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来の高精細なインクジェットヘッドの製造方法に比較して、発泡室およびインク流路を形成するインク流路壁を高い寸法精度で形成可能となり、吐出するインク液滴の吐出量・吐出速度の精度を向上し且つ安定させることを可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
通常、注型法を用いたインクジェットヘッドのインク流路の形成方法では、まず初めに光崩壊性のポジ型レジストをインク流路構造に形成する。次いで、該インク流路構造上にネガ型レジストを被覆後、ネガ型レジストを露光および現像することで吐出口を形成し、光崩壊性のポジ型レジストを除去することで、インク流路を形成する。
【0021】
このようなインク流路の形成方法では、インク流路構造となる光崩壊性のポジ型レジストは、インク流路構造を形成後に各種工程において様々な溶剤・ガス・熱などの履歴を経る必要がある。例えば、被覆されるネガ型レジストの溶剤や乾燥・硬化させるための熱工程、エッチング工程に使用されるイオン性ガスやラジカルガスなどがある。このような各種工程からの影響を受けると、該光崩壊性のポジ型レジストは少なからず溶解・変形する。通常、この溶解・変形は微小なものであり、形成されるインク流路においては問題レベルであることが多いが、微小なインク滴を吐出する際には無視できなくなる可能性がある。
【0022】
この問題に対応する一つの方法として、光崩壊性のポジ型レジストに耐溶剤性や耐ガス性や耐熱性を付与することも考えられる。しかし、該ポジ型レジストは最終的には露光と現像またはエッチングにより除去する必要性があるため、耐性を持たせることは除去時のタクト増加に繋がることになる。また、付加する耐性を選択するためには材料の自由度が狭められることにもなる。
【0023】
本発明者らは鋭意検討の結果、インク滴条件に最も影響のある発泡室のインク流路壁を、初めにネガ型レジストのパターニングにより形成することで、インク流路壁となる構造を形成することを考えた。そして、その後にインク流路を注型法を用いて完成することにより、インク流路壁が目的の寸法精度で可能であることを見出した。
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明を工程毎に詳細に説明する。図1〜13は、本発明のインクジェットヘッドの製造方法における各工程時の状態を模式的に示したものである。
【0025】
工程(1):第一のネガ型レジスト層の形成
まず、本発明では、エネルギー発生素子を有する基板1の上に、第一のネガ型レジスト層2を形成する(図1)。基板1としては、インクを吐出させるためのエネルギー発生素子(不図示)が形成された、ガラス、セラミック、金属等からなる基板が用いられる。エネルギー発生素子としては、電気熱発生素子や圧電素子等が使用されるが、これに限られるものではない。また、エネルギー発生素子に電気熱発生素子を用いる場合には、発泡時の衝撃の緩和やインクからのダメージの軽減等の目的で、その表面に保護膜(不図示)が形成されていても良い。
【0026】
第一のネガ型レジスト層2は、基板1の表面上にネガ型レジストを塗布することで形成することができる。ネガ型レジストを塗布する方法としては、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法などの方法があるが、これに限られるものではない。
【0027】
第一のネガ型レジスト層2の形成に用いるネガ型レジストとしては、カチオン重合・ラジカル重合などの反応を利用したものを使用できるが、これに限られるものではない。カチオン重合反応を利用したネガ型レジストを例にとると、ネガ型レジスト中に含まれる光カチオン開始剤から発生するカチオンにより、ネガ型レジスト中に含まれるカチオン重合可能なモノマーやポリマーの分子間での重合や架橋が進むことで硬化する。
【0028】
光カチオン開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩など、具体的には旭電化工業から上市されているSP−170、SP−150(以上、商品名)等が挙げられる。
【0029】
カチオン重合可能なモノマーやポリマーとしては、エポキシ基やビニルエーテル基やオキセタン基を有するものが適しているが、これに限られるものではない。一例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アロンオキセタンOXT−211(商品名、東亜合成株式会社製)等のオキセタン樹脂、セロキサイド2021(商品名、ダイセル化学工業製)等の脂環式エポキシ樹脂、AOE(商品名、ダイセル化学工業製)等の直鎖アルキル基を有するモノエポキシド等を挙げることができる。さらに、特許第3143308号公報に記載の多官能性エポキシ樹脂は、非常に高いカチオン重合性を示し、かつ、硬化させると高い架橋密度を示し、これにより優れた強度を有する硬化物が得られるので特に好ましい。この多官能性エポキシ樹脂としては、例えば、EHPE−3150(商品名、ダイセル化学工業製)等が挙げられる。
【0030】
また、塗布成膜時の膜均一性などの塗布性を向上させるために、ネガ型レジスト中にグリコール系の化合物を含ませることも好ましい。例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテルやトリエチレングリコールメチルエーテルなどの化合物が挙げられるが、これらにとらわれる必要はない。
【0031】
工程(2):インク流路壁となる構造の形成
次に、工程(1)で形成した第一のネガ型レジスト層2の所定領域に対して露光を行い、さらに現像することでパターニングして、インク流路壁となる構造を形成する(図2)。この工程では、インク流路となる部分を遮光して、インク流路となる部分以外の領域に光を照射することで、ネガ型レジストを硬化させて、インク流路壁とする。現像液としては、メチルイソブチルケトンやメチルイソブチルケトン/キシレンの混合溶媒等が使用可能である。
【0032】
工程(3):第一の光崩壊性ポジ型レジスト層の形成
次に、工程(2)で形成した、インク流路壁となる構造を有する第一のネガ型レジスト層2を被覆するように、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を形成する(図3)。第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3の形成に用いる光崩壊型ポジ型レジストとしては、一般には以下のレジストが用いられるが、これに限られるものではない。
・ポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK)やポリビニルケトン等の290nm付近に感光波長域を有するレジスト。
・ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のメタクリル酸エステル単位から構成される高分子化合物のように250nm付近に感光波長域を持つレジスト。
【0033】
第一のネガ型レジスト層2を光崩壊型ポジ型レジストで被覆する方法としては、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法などの方法があるが、これに限られるものではない。
【0034】
工程(4):第一の光崩壊性ポジ型レジストの研磨
次に、工程(3)で形成した第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を、第一のネガ型レジスト層2の表面が露出するまで研磨する(図4)。研磨する方法としては、スラリーを用いて化学機械的研磨方法であるCMP(Chemical Mechanical Polish)技術を用いることが可能である。この場合、第一のネガ型レジスト層2の形成に用いたネガ型レジストは工程(2)の露光により十分に架橋しているため、第一のネガ型レジスト層2は、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3との硬度の差を利用して、研磨ストップ層としての役割を十分に果たす。これにより、安定的に、第一のネガ型レジスト層2の上部まで第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を研磨除去することが可能であり、再現良く第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3の膜厚を得ることが可能である。この研磨により除去されなかった第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3は、後に発泡室となる構造を形成している。
【0035】
工程(5):インク流路パターンの形成
次に、工程(4)での研磨面の上に第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を形成し、その第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の所定領域に対して露光を行い、さらに現像することでパターニングして、インク流路となる構造を形成する(図6または図10)。第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の形成に用いる光崩壊型ポジ型レジストとしては、前述の第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を形成する光崩壊型ポジ型レジストと同様のレジストを用いることができる。
【0036】
第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4は、研磨面の上に光崩壊性ポジ型レジストを塗布することで形成することができる。光崩壊性ポジ型レジストを塗布する方法としては、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法などの方法があるが、これに限られるものではない。
【0037】
次いで、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4に、インク流路パターンの描かれた石英マスクを通して、電離放射線を照射する。この際、電離放射線としては、使用される光崩壊性ポジ型レジストの感光波長域である290nmや250nm付近の波長域を含むものを使用する。これにより、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の、電離照射線を照射した領域にて主鎖分解反応が生じ、その領域の現像液に対する溶解性が選択的に向上する。したがって、この第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を現像することで、インク流路となる構造を形成することができる。
【0038】
現像液としては、溶解性の向上した露光部を溶解し、且つ未露光部を溶解しない溶剤であれば特に制限はなく、一般的にはメチルイソブチルケトンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートなどを用いることが可能である。また、現像時のクラックを防止するための現像液としては、水と任意な割合で混合可能な炭素数6以上のグリコールエーテル、含窒素塩基性有機溶剤、水を含有する現像液が好適に用いられる。例えば、X線リソグラフィーのレジストとして用いられるPMMA用の現像液として、特公平3−10089号公報に開示されている組成の現像液を、本発明においても好適に用いることが可能である。
【0039】
第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の形成に用いる光崩壊型ポジ型レジストは、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を形成する光崩壊型ポジ型レジストと異なる又は同一のレジストを用いることが可能である。ただし、先の研磨後に除去されずに残った第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を完全に覆うように、インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を形成する場合である(図10)。すなわち、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を完全に覆う場合には、露光照射光からの影響を考慮する必要がないため、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を同一のレジストを用いて形成することが可能である。
【0040】
第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を完全に被覆しない(第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3が表面に露出する)場合(図6)には、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4は、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3と異なるレジストで形成する必要がある。これは、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4をパターニングする際に、露光照射光が第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3まで到達するため、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3もパターニングされてしまうからである。
【0041】
工程(6):インク吐出口(ノズル)の形成
次に、工程(5)で形成した、インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を被覆するように第二のネガ型レジスト層2’を形成する(図7または図11)。そして、露光および現像により第二のネガ型レジスト層2’をパターニングして、インク吐出口(ノズル)を形成する(図8または図12)。第二のネガ型レジスト層2’は、ネガ型レジストを塗布することで形成することができる。第二のネガ型レジスト層2’の形成に用いるネガ型レジストとしては、第一のネガ型レジスト層2と同様のレジストを用いることができる。ネガ型レジストを塗布する方法としては、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法などの方法があるが、これに限られるものではない。
【0042】
更に、必要に応じて撥インク層(不図示)を第二のネガ型レジスト層2’の上に形成する。この場合、撥インク層は、第二のネガ型レジスト層2’の形成に用いたネガ型レジストと同様に、架橋可能な感光性を有することが望ましい。また、ネガ型レジストと相溶しないことも重要である。なお、撥インク層は、スピンコート法、ダイレクトコート法、ラミネート転写法等の方法で形成することができる。
【0043】
次いで、インク吐出口となる部分を遮光して、インク吐出口となる部分以外の領域に光を照射することで、ネガ型レジストを硬化させる。この際、撥インク層を有する場合は、撥インク層の樹脂も同時に硬化させる。その後、現像することで、インク吐出口5を形成する。ネガ型レジスト層と、撥インク層の現像液としては、露光部が溶解せず、未露光部を完全に取り除くことができ、且つその下に配置されている第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を溶解しない現像液が最適である。例えば、メチルイソブチルケトンやメチルイソブチルケトン/キシレンの混合溶媒等が使用可能である。なお、光崩壊性ポジ型レジスト層4を溶解しないことが重要である理由としては、一般的には、一枚の基板に複数のヘッドが配置され、切断工程を経てインクジェットヘッドとして使用されるためである。すなわち、切断時のごみ対策として、インク流路パターンの形成に用いるポジ型レジストを、切断工程後に溶解除去するのが望ましいためである。
【0044】
工程(7):インク流路の形成
その後、インク流路となる構造を有する第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を除去して、互いに連通する発泡室およびインク流路を形成する(図9または図13)。この工程では、インク流路となる構造を有する第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4の上から電離放射線を照射し、ポジ型レジストの分解反応を起こすことで、除去液に対する溶解性を向上させる。電離放射線としては、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4のパターニングの際に使用したものと同様のものが使用できる。ただし、本工程ではインク流路となる構造を除去してインク流路を形成することが目的であるため、電離照射線はマスクを介さずに全面に照射することができる。その後、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4のパターニングの際に使用した現像液と同様のものを用いて、インク流路パターンの形成に用いるポジ型レジストを完全に取り除くことが可能である。なお、この工程では、パターニング性を考慮する必要がないことから、ポジ型レジストを溶解可能で、ネガ型レジスト層および撥インク層に影響しない溶剤を用いることができる。
【0045】
なお、工程(7)に先だって、基板1を貫通するインク供給口(不図示)を形成することができる。インク供給口を形成する方法としては、異方性エッチングやドライエッチングなどが一般的に用いられるが、これに限られるものではない。一例として、特定の結晶方位を持ったシリコン基板を用いた異方性エッチングの方法について説明する。まず、シリコン基板1の裏面にインク供給口の大きさのスリット部だけを残してエッチングマスクを形成する。次いで、アルカリ系のエッチング溶液である水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の水溶液からなるエッチング液に、加温しながら浸漬させる。こうすることで、スリット部から露出した部分の基板のみを異方性をもって溶解させることが可能であり、これによりインク供給口を形成することができる。次いで、必要に応じてエッチングマスクを取り除く。なお、この際、シリコン基板1表面のネガ型レジスト層および撥インク層をエッチング液から保護する目的で、保護層として、エッチング液耐性を有する樹脂等を、シリコン基板1表面に形成しても良い。
【0046】
以上の工程により、インクジェットヘッドを作製することができる。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
本実施例においては、図1〜9で示す状態を経るインクジェットヘッドの製造方法によって、インクジェットヘッドを製造した。
【0048】
まず、インクを吐出させるためのエネルギー発生素子とドライバーやロジック回路が形レジスト成されたシリコン基板1を準備した。
【0049】
次いで、シリコン基板1の上に、第一のネガ型レジスト層2を形成した。第一のネガ型レジスト層2の形成に用いるネガ型レジストとしては、以下の組成の溶液を使用した。
・EHPE−3150(商品名、ダイセル化学工業社製) 100質量部
・HFAB(商品名、セントラル硝子社製) 20質量部
・A−187(商品名、日本ユニカー社製) 5質量部
・SP170(商品名、旭電化工業社製) 2質量部
・キシレン 80質量部
シリコン基板1の上にこのレジスト溶液をスピンコート法によって塗布し、ホットプレート上にて90℃の温度で3分間のプリベークを行うことで、14μm膜厚(平板状)の第一のネガ型レジスト層2を形成した(図1)。
【0050】
次いで、マスクアライナーMPA600FA(商品名、キヤノン製)を用い、インク流路壁のパターンが描かれたマスクを介して、2000mJ/cm2の露光量にて第一のネガ型レジスト層2をパターン露光した。次いで、90℃で180秒のPEBを行い、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/3溶液を用いて現像し、キシレンを用いてリンス処理を行うことで、第一のネガ型レジスト層2にインク流路壁となる構造を形成した(図2)。
【0051】
次いで、このインク流路壁となる構造を有する第一のネガ型レジスト層2に、第一の光崩壊型ポジ型レジスト層3を被覆した。なお、第一の光崩壊型ポジ型レジスト層3の形成に用いる光崩壊性ポジ型レジストとしては、ポリメチルイソプロペニルケトン(東京応化工業(株)社製、商品名:ODUR−1010)を用いた。具体的には、樹脂濃度を20質量%になるように調節し、第一のネガ型レジスト層2の上にスピンコート法によって塗布した。その後、ホットプレート上にて120℃の温度で3分間、引き続き窒素置換されたオーブンにて150℃の温度で30分間のプリベークを行い、18μm膜厚の第一の光崩壊型ポジ型レジスト層3を形成した(図3)。
【0052】
次いで、第一の光崩壊型ポジ型レジスト層3を、MAT ARW−681MS(商品名、MAT社製)を用いて、第一のネガ型レジスト層2の表面が露出するまで研磨を行った(図4)。
【0053】
次いで、この研磨した表面の上に、第二の光崩壊型ポジ型レジスト層4を形成した。第二の光崩壊型ポジ型レジスト層4の形成に用いる光崩壊性ポジ型レジストとしては、メタクリル酸メチル(MMA)/メタクリル酸(MAA)共重合体(MMA/MAA=90/10(質量比)、重量平均分子量=100000(ポリスチレン換算))を用いた。具体的には、この共重合体をジエチレングリコールジメチルエーテルに、20質量%の固形分濃度にて溶解したレジスト溶液を、研磨面の上にスピンコート法によって塗布した。その後、ホットプレート上にて100℃の温度で3分間、引き続き窒素置換されたオーブンにて150℃の温度で1時間のプリベークを行い、5μm膜厚の第二の光崩壊型ポジ型レジスト層4を形成した(図5)。
【0054】
次いで、第二の光崩壊型ポジ型レジスト層4の上に、ウシオ電機製Deep−UV露光装置UX−3000(商品名)を用いて、小ドット用の流路パターンの描かれたマスクを介して、50000mJ/cm2の露光量でDeep−UV光を照射した。その後、以下の組成の混合溶液を使用して現像した。
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 60vol%
・モノエタノールアミン 5vol%
・モルホリン 20vol%
・イオン交換水 15vol%
引き続きイソプロピルアルコールを用いてリンス処理を行うことで、第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4にインク流路となる構造を形成した(図6)。
【0055】
次いで、第一のネガ型レジスト層2の形成に用いるネガ型レジストと同様のレジストを用いて、インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を被覆するように、約10μm膜厚の第二のネガ型レジスト層2’を形成した(図7)。
【0056】
次いで、第二のネガ型レジスト層2’の上で、ネガ型レジスト層4の上に、感光性を有する以下の組成の樹脂からなる撥インク層(不図示)をラミネート法により形成した。
・EHPE−3150(商品名、ダイセル化学工業社製) 35質量部
・2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ヘキサフロロプロパン
25質量部
・1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフロロイソプロピル)ベンゼン
25質量部
・3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1、2−エポキシプロパン
16質量部
・A−187(商品名、日本ユニカー社製) 4質量部
・SP170(商品名、旭電化工業社製) 1.5質量部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 200質量部
次いで、マスクアライナーMPA600FA(商品名、キヤノン製)を用い、インク吐出口のパターンが描かれたマスクを介して、3000mJ/cm2の露光量にて、第二のネガ型レジスト層2’をパターン露光した。次いで、90℃で180秒のPEBを行い、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/3溶液を用いて現像し、キシレンを用いてリンス処理を行うことで、第二のネガ型レジスト層2’にインク吐出口5を形成した(図8)。
【0057】
次いで、シリコン基板1の裏面に、インク供給口をエッチング処理により形成した。まず、撥インク層の上に、保護層としてOBC(商品名、東京応化製)を全面に塗布した。そして、シリコン基板1の裏面にポリエーテルアミド樹脂(日立化成製、商品名:HIMAL)を用いてスリット状のエッチングマスクを形成した。その後、80℃のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液中に浸漬することでシリコン基板1の異方性エッチングを行い、インク供給口(不図示)を形成した。なお、エッチングマスクは、シリコン基板1を用意する際に、あらかじめ形成されていてもよい。
【0058】
次いで、保護層であるOBC(商品名)をキシレンにて除去した。その後、ウシオ電機製Deep−UV露光装置UX−3000(商品名)を用いて撥インク層の上から7000mJ/cm2の露光量で全面に露光し、インク流路となるポジ型レジストを可溶化した。そして、乳酸メチル中に超音波を付与しつつ浸漬することで、インク流路となるポジ型レジストを除去し、図9に示すようなインクジェットヘッドを得た。
【0059】
上記の方法で作製したインクジェットヘッドは、インク流路壁が垂直方向に形成されている形状となった。このインクジェットヘッドをプリンターに搭載し、吐出及び記録評価を行ったところ、安定な印字が可能であり、得られた印字物は高品位なものであった。
【0060】
(実施例2)
実施例1に対して以下のような変更を行う以外は実施例1と同様の方法でインクジェットヘッドを作製した。
・第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3の形成に用いたポジ型レジストを用いて形成した。
・第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4のパターニングを、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3と同様の露光期および現像方法により行った。
・第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4をパターニングして形成したインク流路となる構造を、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を完全に覆う形状にした(図10)。
【0061】
上記方法で作製したインクジェットヘッドは、インク流路壁が垂直方向に形成されている形状となった。このインクジェットヘッドをプリンターに搭載し、吐出及び記録評価を行ったところ、安定な印字が可能であり、得られた印字物は高品位なものであった。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】基板1の上に、第一のネガ型レジスト層2を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図2】第一のネガ型レジスト層2をパターニングして、インク流路壁となる構造を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図3】インク流路壁となる構造を有する第一のネガ型レジスト層2を被覆するように、第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図4】第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3を、第一のネガ型レジスト層2の表面が露出するまで研磨した状態を示す模式的断面図である。
【図5】研磨面の上に第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図6】第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4をパターニングして、インク流路となる構造を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図7】インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を被覆するように第二のネガ型レジスト層2’を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図8】第二のネガ型レジスト層2’をパターニングして、インク吐出口5を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図9】第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を除去して、発泡室およびインク流路を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図10】第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4をパターニングして、インク流路となる構造を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図11】インク流路となる構造を有する第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を被覆するように第二のネガ型レジスト層2’を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図12】第二のネガ型レジスト層2’をパターニングして、インク吐出口5を形成した状態を示す模式的断面図である。
【図13】第一の光崩壊性ポジ型レジスト層3および第二の光崩壊性ポジ型レジスト層4を除去して、発泡室およびインク流路を形成した状態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 基板
2 第一のネガ型レジスト層
2’ 第二のネガ型レジスト層
3 第一の光崩壊性ポジ型レジスト層
4 第二の光崩壊性ポジ型レジスト層
5 インク吐出口
6 発泡室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を吐出するインク吐出口が形成されたノズルを有するインク流路と、該インク流路と連通し、該インク吐出口からインク滴を吐出するためのエネルギー発生素子を含む発泡室と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
(1)エネルギー発生素子を有する基板の上に、第一のネガ型レジスト層を形成する工程と、
(2)露光および現像により該第一のネガ型レジスト層をパターニングして、インク流路壁となる構造を形成する工程と、
(3)該インク流路壁となる構造を有する該第一のネガ型レジスト層を被覆するように第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成する工程と、
(4)該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を、該第一のネガ型レジスト層の表面が露出するまで研磨する工程と、
(5)研磨面の上に第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成し、露光および現像により該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層をパターニングして、インク流路となる構造を形成する工程と、
(6)該インク流路となる構造を有する該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を被覆するように第二のネガ型レジスト層を形成し、露光および現像により該第二のネガ型レジスト層をパターニングして、インク吐出口を形成する工程と、
(7)露光および現像により該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を除去して、発泡室およびインク流路を形成する工程と
を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項2】
該工程(4)における研磨を、化学機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polish)技術により行うことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項3】
該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を、ポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK)を用いて形成することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項4】
該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項5】
該工程(5)において、該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層が該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を完全に覆うように、該インク流路となる構造を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項6】
該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を、同一の光崩壊性ポジ型レジストを用いて形成することを特徴とする請求項5記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法で製造されることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項1】
インク滴を吐出するインク吐出口が形成されたノズルを有するインク流路と、該インク流路と連通し、該インク吐出口からインク滴を吐出するためのエネルギー発生素子を含む発泡室と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
(1)エネルギー発生素子を有する基板の上に、第一のネガ型レジスト層を形成する工程と、
(2)露光および現像により該第一のネガ型レジスト層をパターニングして、インク流路壁となる構造を形成する工程と、
(3)該インク流路壁となる構造を有する該第一のネガ型レジスト層を被覆するように第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成する工程と、
(4)該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を、該第一のネガ型レジスト層の表面が露出するまで研磨する工程と、
(5)研磨面の上に第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を形成し、露光および現像により該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層をパターニングして、インク流路となる構造を形成する工程と、
(6)該インク流路となる構造を有する該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を被覆するように第二のネガ型レジスト層を形成し、露光および現像により該第二のネガ型レジスト層をパターニングして、インク吐出口を形成する工程と、
(7)露光および現像により該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を除去して、発泡室およびインク流路を形成する工程と
を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項2】
該工程(4)における研磨を、化学機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polish)技術により行うことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項3】
該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を、ポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK)を用いて形成することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項4】
該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項5】
該工程(5)において、該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層が該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層を完全に覆うように、該インク流路となる構造を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項6】
該第一の光崩壊性ポジ型レジスト層および該第二の光崩壊性ポジ型レジスト層を、同一の光崩壊性ポジ型レジストを用いて形成することを特徴とする請求項5記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法で製造されることを特徴とするインクジェットヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−119650(P2009−119650A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294267(P2007−294267)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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