説明

インクジェットヘッド管理装置

【課題】インクジェット塗工装置のヘッド吐出面の汚れを自動でメンテナンスして、吐出ミスのない安定したインキ吐出をサポートでき、且つ、使用する洗浄液の量を節約することができるインクジェットヘッド管理装置を提供する。
【解決手段】ヘッド通液やエアパージまたは定期的な液排出のためのドレン機能と、予備吐出の際のヘッドより排出されたミスト状インクを収集する機能とを有する液出し・予備吐出ユニットと、ヘッドユニットの吐出状態の検査を行うヘッド吐出状態検査ユニットと、ヘッドユニットのインク吐出面に洗浄液吐出スプレーにて洗浄液を吐出する洗浄液吐出ユニットと、ヘッドユニットのインク吐出面を洗浄部材で洗浄するヘッド洗浄ユニットと、インクジェット塗工装置からヘッドユニットを着脱するためのヘッドユニット着脱ユニットと、インクジェット塗工装置と連携して上記各ユニットの移動と動作制御とを行う制御装置とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタ(以下、CFと称す)の製造方法は、従来からフォトリソグラフィーによる方法(以下フォトリソ方式)が一般的であった。この方式では、感光性レジストを角型のガラス基板に塗工し、露光、現像、乾燥の工程を複数回繰り返すことで、一定の格子状カラーパターンを得ることができる。
【0003】
しかしながら、近年基板の大型化が進むと共に、パネル価格の下落に伴ってCFのコストダウン要求も更に厳しくなってきている。従って、次世代の2m角を超えるようなサイズのCF製造ラインをフォトリソ方式で構築する場合、装置自体のコストが現ライン以上に高くなるとともにサイズアップによる設置面積の拡大によって建屋にかかるコストも嵩んでしまい、イニシャルコストの大幅なアップが予想される。
【0004】
また、現像される余分なインクの増加や現像液等の材料使用量の増加によりランニングコストも更に上がることが予想でき、前述したコストダウン要求を満たすことは困難である。
【0005】
そこでフォトリソ方式に代わる新しいCF製造方法の一つとしてインクジェット方式が注目されている。この方法では、インクジェットヘッドを用いてBM(ブラックマトリクス)パターンに直接カラーパターンを複数色同時塗工していくため、フォトリソ方式で必要であった露光、現像等の工程を削減できるため、設置面積を大幅に削減することが可能となる。また、塗工材料も必要最小量であり、更にフォトリソ方式で必要であった現像液等が不要となるため、ランニングコストも削減することが可能である。
【0006】
上記インクジェット方式において、インクを吐出する為のインクジェットヘッドは基板の大型化、生産性向上の為のタクトアップ、カラーフィルタ−の高精細化が進むにしたがって装置に搭載するヘッドが密集し、かつ複数個配列されるようになった。
【0007】
インクジェットは、ヘッド吐出面の乾きや乾きによるインキ凝集による吐出口詰まりなどによって不吐出が製品の歩留を下げる要因の一つとなっている。これらを防止するためには、定期的にヘッドからの液出しや、ヘッドを駆動させてミスト状の予備吐出の実施、ヘッド吐出面に付着した汚れを定期的にクリーニングする機能、また塗工前にヘッドの吐出状態を検査することにより不良を未然に防ぐ機能が必要である。
【0008】
そこで、インクジェットヘッドを最良の状態に維持するために、(a)ヘッド通液やエアパージまたは定期的な液排出のためのドレン機能と、予備吐出の際のヘッドより排出されたミスト状インクを収集する機能とを有する液出し・予備吐出ユニット、(b)塗工前のインクジェットヘッドの吐出状態の検査を行うヘッド吐出状態検査ユニット、(c)洗浄部材にてインクジェットヘッド吐出面の洗浄を行うヘッド洗浄ユニット、(d)インクジェット塗工装置からインクジェットヘッドユニットを着脱するためのヘッドユニット着脱ユニット、(e)インクジェット塗工装置と連携して上記各種ユニットの移動と動作制御とを行う制御装置、で構成されているインクジェットヘッド管理装置としたものがある(特許文献1参照)。公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−229582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のインクジェットヘッド管理装置のヘッド洗浄ユニットでは、洗浄部材の繰出し先頭側の裏面側から洗浄液を吐出・しみ込ませて、この洗浄液をしみ込ませた洗浄部材をヘッド吐出面に押し当てることにより、ヘッド吐出面の汚れを除去するようになっている。そのために、洗浄液を洗浄部材に充分にしみこませる必要があり、多量の洗浄液を消費してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、インクジェット塗工装置のヘッド吐出面の汚れなどを自動でメンテナンスして、吐出ミスのない安定したインキ吐出をサポートでき、且つ、使用する洗浄液の量を節約することができるインクジェットヘッド管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、インクジェット塗工装置のインクジェットヘッドの管理を行うインクジェットヘッド管理装置であって、
少なくとも、
(a)ヘッド通液やエアパージまたは定期的な液排出のためのドレン機能と、予備吐出の際のヘッドより排出されたミスト状インクを収集する機能とを有する液出し・予備吐出ユニットと、
(b)塗工前のヘッドユニットの吐出状態の検査を行うヘッド吐出状態検査ユニットと、(c)洗浄が必要なヘッドユニットのインク吐出面に洗浄液吐出スプレーにて洗浄液を吐出する洗浄液吐出ユニットと、
(d)洗浄液を吐出されたヘッドユニットの前記インク吐出面を洗浄部材で洗浄するヘッド洗浄ユニットと、
(e)インクジェット塗工装置からヘッドユニットを着脱するためのヘッドユニット着脱ユニットと、
(f)前記インクジェット塗工装置と連携して上記各ユニットの移動と動作制御とを行う制御装置と、
から構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド管理装置である。
【0013】
本発明の請求項2の発明は、インクジェット塗工装置のインクジェットヘッドの管理を行うインクジェットヘッド管理装置であって、
少なくとも、
(g)ヘッド通液やエアパージまたは定期的な液排出のためのドレン機能と、予備吐出の際のヘッドより排出されたミスト状インクを収集する機能とを有する液出し・予備吐出ユニットと、
(h)塗工前のヘッドユニットの吐出状態の検査を行うヘッド吐出状態検査ユニットと、(i)洗浄が必要なヘッドユニットのインク吐出面を洗浄するヘッド洗浄ユニットの洗浄部材の特定箇所に洗浄液を吐出する洗浄液吐出ユニットと、
(j)洗浄液のついた前記洗浄部材の前記特定箇所で、ヘッドユニットのインク吐出面を洗浄するヘッド洗浄ユニットと、
(k)インクジェット塗工装置からヘッドユニットを着脱するためのヘッドユニット着脱ユニットと、
(l)前記インクジェット塗工装置と連携して上記各ユニットの移動と動作制御とを行う制御装置と、
から構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド管理装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のインクジェットヘッド管理装置は、インクジェットのヘッド吐出面の汚れなどを自動でメンテナンスして、且つ、使用する洗浄液の量を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の模式構成図である。
【図2】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の模式平面図である。
【図3】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の模式側面図である。
【図4】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のインキジェット塗工装置の模式平面図である。
【図5】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の液出し・予備吐出ユニットの模式平面図である。(a)は、液出し・予備吐出ユニット10の廃液ポットの模式平面図、(b)は、(a)をA−A線で切断した模式構成断面図である。
【図6】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の液排出部及びミスト排出部で発生した廃液のフロー図である。
【図7】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のヘッド吐出状態検査ユニットの模式側面図である。
【図8】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の洗浄液吐出ユニットの模式側面図である。
【図9】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のヘッド洗浄ユニットの模式構成図である。
【図10】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のヘッドユニット着脱ユニットの模式構成図である。
【図11】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のヘッドユニット着脱ユニットの模式側面図である。
【図12】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のヘッドユニット着脱ユニットの模式部分拡大図である。
【図13】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2の模式構成図である。
【図14】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2の模式平面図である。
【図15】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2の模式側面図である。
【図16】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2のインキジェット塗工装置の模式平面図である。
【図17】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2の洗浄液吐出ユニット70の模式側面図である。
【図18】本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2のヘッド洗浄ユニット80の模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
【0017】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
図1は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の模式構成図、図2は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の模式平面図、図3は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の模式側面図である。
【0018】
本例のインクジェットヘッド管理装置100は、図1から図3に示すようにヘッド通液やエアパージまたは定期的な液排出のためのドレン機能と、予備吐出の際のヘッドより排出されたミスト状インクを収集する機能とを有する液出し・予備吐出ユニット10と、塗工前のヘッドユニットの吐出状態の検査を行うヘッド吐出状態検査ユニット20と、洗浄が必要なヘッドユニットのインク吐出面を洗浄するヘッド洗浄ユニット40の洗浄部材の
特定箇所に洗浄液を吐出する洗浄液吐出ユニット30と、洗浄液のついた前記洗浄部材の前記特定箇所で、ヘッドユニットのインク吐出面の洗浄を行うヘッド洗浄ユニット40と、インクジェット塗工装置110からインクジェットヘッドユニットを着脱するためのヘッドユニット着脱ユニット50と、前記インクジェット塗工装置110と連携して上記各種ユニットの移動と動作制御とを行う制御装置60と、で構成されている。
【0019】
液出し・予備吐出ユニット10では、配管内のインクの初期通液、インクジェットヘッド内エア抜き、ヘッド吐出口乾燥防止の為のインターバル液出し等を行う為に排出ポットを設ける。排出ポットは色毎に備えられており、排出口下にタンクが設けられている。
【0020】
また、インクジェットヘッドより排出されたミスト状インクを収集することを目的としており、ミスト状インクがヘッド吐出面への再付着または周辺への飛散を防止する為ブロアまたは真空発生器等によって排気(収集)を行う。
【0021】
ヘッド吐出状態検査ユニット20では、インク浸透性のある受像フィルムを用い、全ヘッド吐出検出用パターンを前記受像フィルムに吐出した後、カメラにより吐出検出用パターンを撮像して、そのデータを元に制御装置60で吐出欠陥の判定を行う。
【0022】
ヘッド吐出状態検査ユニット20では、インク浸透性のある受像フィルムを用い、全ヘッド吐出検出用パターンを前記受像フィルムに吐出した後カメラにより吐出検出用パターンを撮像して、そのデータを元に制御装置90で吐出欠陥の判定を行う。
【0023】
洗浄液吐出ユニット30で、ヘッド吐出状態検査ユニット20で検査して、制御装置60で洗浄が必要と判定されたヘッドユニット140のインク吐出面に洗浄液を吐出する。
【0024】
ヘッド洗浄ユニット40では、洗浄液吐出ユニット30で洗浄液がつけられたヘッドユニット140のインク吐出面を洗浄部材で洗浄する。
【0025】
ヘッドユニット着脱ユニット50では、インクジェットのヘッドユニット140をヘッドユニット着脱ユニット50が備えている移動と昇降手段により、インクジェット塗工装置110のインクジェットのヘッドユニット140着脱を行う。
【0026】
また、ヘッドユニット着脱ユニット50は、ヘッドユニット140の交換や、緊急時などにしか用いられず、使用頻度が低いので、独立した走行軸を持たせており、ヘッドユニット140方向への横移動と昇降により、インクジェット塗工装置110のヘッドユニット140の着脱を行う。
【0027】
制御装置60は、コンピュータ、ディスプレイ等から構成されており、インクジェット塗工装置110と連携して上記各ユニットの移動及び動作制御を行う。また、ヘッドの管理が必要な場合はヘッドの位置に各処理ユニットが定位置に来るように移動制御を行う。
【0028】
制御装置60は、液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、洗浄液吐出ユニット30、ヘッド洗浄ユニット40、ヘッドユニット着脱ユニット50の各ユニット、および、インクジェット塗工装置110と無線または有線の回線で接続されていている。
【0029】
液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、洗浄液吐出ユニット30、ヘッド洗浄ユニット40は、共通の台車120aに搭載され、走行軸を持っている。また、ヘッドユニット着脱ユニット50は、単独の台車120bで走行軸を有し、レール130上を移動し、制御装置60にて任意の位置に停止することができる。
【0030】
ここでは、液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、洗浄液吐出ユニット30、ヘッド洗浄ユニット40を共通の台車120aに、ヘッドユニット着脱ユニット50を単独の台車120bに設置した事例を示したが、これは、あくまでも実施形態例であって、これに限定されるものではない。
【0031】
図4は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のインクジェット塗工装置の模式平面図である。
【0032】
本発明のインクジェットヘッド管理装置100は、インクジェット塗工装置110の両側に設置されている。インクジェット塗工装置110は、インクジェットヘッドを搭載したヘッドユニット140と基板吸着ステージ150とで構成されており、ヘッドユニット140下を定位置で基板吸着ステージ150がスキャンすることにより塗工を行う。
【0033】
インクジェットヘッド管理装置100は、スキャン方向と平行に設置されている。インクジェットヘッド管理装置100に装備された各ユニットは必要に応じて走行機構によりヘッドユニット140下まで移動し、様々な処理を行う。
【0034】
ヘッドユニット着脱ユニット50を使用する際は、液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、洗浄液吐出ユニット30、ヘッド洗浄ユニット40が図4の左側に退避してから着脱動作を行う。
【0035】
図5(a)は、液出し・予備吐出ユニット10の廃液ポットの模式平面図を、図5(b)は、図5(a)をA−A線で切断した模式構成断面図を、図6は、液排出部11及びミスト排出部12で発生した廃液のフロー図をそれぞれ示したもので、液排出部11でヘッドユニット140へのインク通液、エアパージ、乾燥防止の為の定期的な液出しを行う。廃液は図6に示すように、ドレンタンク14に自然落下させるしくみとなっている。
【0036】
ミスト排出部12では、塗工前の予備吐出や乾燥防止を目的とした定期的な吐出を行う。ヘッドユニット140とミスト排出部12との間隔は極力接近させミスト飛散を防ぐ(上昇機構は図示せず)。ミスト状インクを吐出した際吐出面に再付着または周辺への飛散を防止するため、真空発生器13により排気(収集)を行う。
【0037】
予備吐出の場合は、施設側の排気ラインと接続を行う。液状インクがそのまま施設側排気ラインに流れ込まないように、施設側とユニット側の間にトラップタンク15を設け、流速を落して液状インクをトラップする。施設側排気ライン17との接続のON/OFFは開閉ダンパ16により行う。
【0038】
図7は、インクジェット塗工前にヘッドの吐出確認を行うためのヘッド吐出状態検査ユニット20の実施形態1を示す模式構成図である。
【0039】
ヘッド吐出状態検査ユニット20は、インク浸透性のある受像フィルム21を巻出すための巻出部22aと巻き取るための巻取部22bとを有し、インク浸透性のある受像フィルム21をニップローラ23により繰出を行うとともに、ニップローラ23の巻取側と巻出側の径によらず一定に保つべくテンションコントローラを設置している。
【0040】
受像フィルム21の裏面側には白色照明24をもうけ検出面の明度を確保する。検出手順は、まず、制御装置60よりの検査指令により、必要量の受像フィルム21を繰出す。
【0041】
次に、受像フィルム21の繰出しが完了すると液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド
洗浄ユニット40及びヘッド吐出状態検査ユニット20を搭載した台車120aがヘッドユニット140に向かって定速移動する。
【0042】
次に、ヘッドユニット140下にヘッド吐出状態検査ユニット20がさしかかったところで、ヘッドユニット140に対して全色吐出検出用パターンの印字指令を行う。吐出タイミングを変えながら全色の検出用パターンを受像フィルム21に印字する。
【0043】
次に、受像フィルム21に印字された検出用パターンがカメラ25の視野に入るように台車120aを移動させ、停止させる。
【0044】
次に、カメラ25は受像フィルム21幅方向にスキャンし吐出検出パターンの吐出本数をカウントし、ヘッドユニット140の吐出状態の判定を行う。吐出状態の判定は輝度で代用して判定する。吐出部は吐出していない部分と比較して輝度が低く、閾値の設定により、吐出欠陥のあるヘッド番地とそのヘッドのノズル番号が検出可能である。上記一連の動作制御、判定は、制御装置60にて行う。
【0045】
図8は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1の洗浄液吐出ユニット30の模式側面図である。
【0046】
洗浄液吐出ユニット30は、洗浄液を吐出する洗浄液吐出スプレー31と、洗浄液吐出スプレー31から吐出した洗浄液が周りに飛び散らないように覆うカバー32と、洗浄液吐出スプレー31に洗浄液を供給する、洗浄液配管33と、カバー32に付着した洗浄液を廃棄するドレーン配管34を有する。
【0047】
制御装置60からヘッドユニット140の洗浄の指令が発せられると、台車120aで図の横方向に、また、洗浄液吐出ユニット30の移動手段(図示せず)で図の奥行き方向に移動して、洗浄が必要なヘッドユニットの下に、洗浄液吐出スプレー31が来るようにする。昇降装置35で洗浄が必要なヘッドユニットのインク吐出面をカバー32の上端が、囲むように近づける。そして、洗浄液吐出スプレー31より、ヘッドユニット140のインク吐出面に洗浄液を吐出する。
【0048】
図9は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のヘッド洗浄ユニット40の模式構成図である。
【0049】
ヘッド洗浄ユニット40では、洗浄液吐出ユニット30で洗浄液吐出スプレー31より洗浄液を吐出され、洗浄液で濡れているヘッドユニット140のインク吐出面に、洗浄部材41を押し当てることにより、ヘッドユニット140のインク吐出面の汚れを除去するもので、洗浄部材41の巻き出しを行う巻出部45aと、洗浄処理の終わった洗浄部材41を巻き取ると巻取部45bとを備えており、洗浄部材41の繰出し、巻取りを行う。
【0050】
巻出部45aは、例えば機械式のクラッチブレーキを使用し、巻取部45bはサーボモータ等を使用し、送り速度の調整を可能とする。送り量は送り量検知ローラによって行い、ローラ先に接続されたパルスカウンタ等により検知する。
【0051】
洗浄部材41の下面にはインキ浸透防止部材42があり、巻出部46aと巻取部46bを有し、繰出可能な機構となっている。インキ浸透防止部材42は洗浄部材41に浸透した液が裏回りし、弾性体に付着・汚染しないようになっている。インキ浸透防止部材42の下には複数列配置されたヘッドユニット140のヘッドに対し洗浄部材41とインキ浸透防止部材42を押当可能な押当ローラ43を有している。
【0052】
洗浄液吐出ユニット30で、ヘッドユニット140のインク吐出面への洗浄液の吐出が終了すると、制御装置60からの指令により、洗浄を行うヘッドユニット140直下に洗浄ユニット40が移動する。移動と同時に洗浄部材41の巻取部46aを駆動させ、送り量検知ローラによって指定送り量の洗浄部材41を繰出す。
【0053】
洗浄部材41の指定送りが完了すると、昇降シリンダ44により洗浄部材41を介して、ヘッドユニット140のインク吐出面へ押当ローラ43を押し当て、転位シリンダにより押当ローラ43を指定位置まで水平に横方向に転位させ、洗浄部材41でヘッドユニット140のインク吐出面を洗浄拭き取る。終了後、昇降シリンダ44を下降、転位シリンダを戻す。
【0054】
図10は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のヘッドユニット着脱ユニット50の模式構成図を、図11は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のヘッドユニット着脱ユニット50の模式側面図を、図12は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態1のヘッドユニット着脱ユニット50の模式部分拡大図を示す部分拡大図をそれぞれ示す。
【0055】
ヘッドユニット着脱ユニット50は、複数個を配列したヘッドユニット140を着脱する為の機構であり、ヘッドユニット140は先端が球状をした4本の支持ピン51で支持されている。ヘッドユニット140側は、支持ピン51に対応する球状の溝を有している。
【0056】
ヘッドユニット支持ピン51を含む支持ブロック52は、図12に示すエアベアリング53によってフローティングしており、図11のように、4本の支持ピン51の位置決めを行うために位置決めシリンダ54により内側から4方向に支持ブロック52を突っ張っている。
【0057】
ヘッドユニット140とヘッドユニット着脱ユニット50の位置がある程度ラフであっても支持ピン51がフローティング状態で位置決めされ、ヘッドユニット140側球状の溝に支持ブロック52の支持ピン51が誘い込まれる。
【0058】
ヘッドユニット着脱ユニット50によるヘッドユニット140の着脱動作は、液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、洗浄液吐出ユニット30、ヘッド洗浄ユニット40を搭載した台車120aをヘッドユニット140の位置より図4に示す左側に退避して行う。
【0059】
ヘッドユニット着脱ユニット50はヘッドユニット140方向へ移動し、リフタ上昇と横移動、リフタ下降の組合せにより着脱動作を行う。
【0060】
以上のように、本例のインクジェットヘッド管理装置100を用いることにより、インクジェット塗工装置110のヘッドユニット140の液出し・予備吐出、ヘッド吐出状態検査、洗浄液吐出、ヘッド洗浄、及びヘッドユニットの着脱を、容易に、自動で行うことができ、ヘッドユニット140のヘッド吐出面の汚れなどを自動でメンテナンスして、吐出ミスのない安定したインキ吐出をサポートでき、且つ、使用する洗浄液の量を節約することができる。
【0061】
図13は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2の模式構成図を、図14は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2の模式平面図を、図15は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2の模式側面図である。
【0062】
本例のインクジェットヘッド管理装置200は、図13から図15に示すように、ヘッド通液やエアパージまたは定期的な液排出のためのドレン機能と、予備吐出の際のヘッドより排出されたミスト状インクを収集する機能とを有する液出し・予備吐出ユニット10と、塗工前のインクジェットヘッドの吐出状態の検査を行うヘッド吐出状態検査ユニット20と、洗浄が必要なヘッドユニットのインク吐出面を洗浄する洗浄部材の特定箇所に洗浄液を吐出する洗浄液吐出ユニット70と、洗浄液のついた前記洗浄部材の前記特定箇所で、前記ヘッド吐出状態検査ユニット20で洗浄が必要と判定されたヘッドユニットのインク吐出面の洗浄を行うヘッド洗浄ユニット80と、インクジェット塗工装置110からインクジェットヘッドユニットを着脱するためのヘッドユニット着脱ユニット50と、前記インクジェット塗工装置110と連携して上記各種ユニットの移動と動作制御とを行う制御装置90と、で構成されている。
【0063】
液出し・予備吐出ユニット10では、配管内のインクの初期通液、インクジェットヘッド内エア抜き、ヘッド吐出口乾燥防止の為のインターバル液出し等を行う為に排出ポットを設ける。排出ポットは色毎に備えられており、排出口下にタンクが設けられている。
【0064】
また、インクジェットヘッドより排出されたミスト状インクを収集することを目的としており、ミスト状インクがヘッド吐出面への再付着または周辺への飛散を防止する為ブロアまたは真空発生器等によって排気(収集)を行う。
【0065】
ヘッド吐出状態検査ユニット20では、インク浸透性のある受像フィルムを用い、全ヘッド吐出検出用パターンを前記受像フィルムに吐出した後カメラ25により吐出検出用パターンを撮像して、そのデータを元に制御装置90で吐出欠陥の判定を行う。
【0066】
洗浄液吐出ユニット70で、ヘッド吐出状態検査ユニット20で検査して、制御装置90で洗浄が必要と判定されたヘッドユニットのインク吐出面を洗浄する洗浄部材の特定箇所に洗浄液吐出スプレーにて洗浄液を吐出する。
【0067】
ヘッド洗浄ユニット80では、洗浄液吐出ユニット70から洗浄液が吐出されて、洗浄液のついた洗浄部材の特定箇所で、ヘッド吐出状態検査ユニット20の検査から、洗浄が必要と判定されたヘッドユニットのインク吐出面の洗浄を行う。
【0068】
ヘッドユニット着脱ユニット50では、インクジェットのヘッドユニット140を着脱ユニットが備えている移動と昇降手段により、インクジェット塗工装置110へのヘッドユニット140の着脱を行う。
【0069】
また、ヘッドユニット着脱ユニット50はヘッドユニット交換や緊急時など使用頻度が低い為、独立した走行軸を持たせており、ヘッドユニット140方向への横移動と昇降によりインクジェット塗工装置110からヘッドユニット140の着脱を行う。
【0070】
制御装置90は、コンピュータ、ディスプレイ等から構成されており、インクジェット塗工装置110と連携して上記各ユニットの移動及び動作制御を行う。また、ヘッドの管理が必要な場合はヘッドの位置に各処理ユニットが定位置に来るように移動制御を行う。
【0071】
制御装置90は、液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、洗浄液吐出ユニット70、ヘッド洗浄ユニット80、ヘッドユニット着脱ユニット50の各ユニット、および、インクジェット塗工装置110と無線または有線の回線で接続されていている。
【0072】
液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、ヘッド洗浄ユニッ
ト80は、共通の台車120aに搭載され、走行軸を持っている。また、ヘッドユニット着脱ユニット50は、単独の台車120bで走行軸を有し、レール130上を移動して、制御装置60にて任意の位置に停止することができる。洗浄液吐出ユニット30は、図15のように、ヘッド洗浄ユニット80より上方に位置して設置されている。
【0073】
ここでは、液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、ヘッド洗浄ユニット80を共通の台車120aに、ヘッドユニット着脱ユニット50を単独の台車120bに設置した事例を示したが、これは、あくまでも実施形態例であって、これに限定されるものではない。
【0074】
図16は、本発明のインクジェットヘッド管理装置200の実施形態2のインクジェット塗工装置の模式平面図である。
【0075】
本発明のインクジェットヘッド管理装置200は、インクジェット塗工装置110の両側に設置されている。インクジェット塗工装置110は、インクジェットヘッドを搭載したヘッドユニット140と基板吸着ステージ150とで構成されており、ヘッドユニット140の下を定位置で基板吸着ステージ150がスキャンすることにより塗工を行う。
【0076】
インクジェットヘッド管理装置200は、スキャン方向と平行に設置されている。インクジェットヘッド管理装置200に装備された各ユニットは必要に応じて走行機構によりヘッドユニット140の下まで移動し、様々な処理を行う。
【0077】
ヘッドユニット着脱ユニット50を使用する際は、液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、ヘッド洗浄ユニット80が図16の左側に退避してから着脱動作を行う。
【0078】
実施形態2の液出し・予備吐出ユニット10、ヘッド吐出状態検査ユニット20、ヘッドユニット着脱ユニット50は、実施形態1と同様の構造・動作である。洗浄液吐出ユニット70とヘッド洗浄ユニット80が実施形態1と異なる。
【0079】
図17は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2の洗浄液吐出ユニット70の模式側面図である。
【0080】
洗浄液吐出ユニット70は、洗浄液を吐出する洗浄液吐出スプレー71と、洗浄液吐出スプレー71に洗浄液を供給する洗浄液配管73とを有する。
【0081】
制御装置90からヘッドユニット140の洗浄の指令が発せられると、ヘッド洗浄ユニット80が台車120aで図16の横方向に、洗浄液吐出ユニット70の洗浄液吐出スプレー71の移動手段75で図16の上下方向に移動して、洗浄が必要なヘッドユニットのインク吐出面を洗浄するヘッド洗浄ユニット80の洗浄部材の特定箇所の上に洗浄液吐出スプレー71が来るように移動し、洗浄液を洗浄部材の特定箇所に吐出する。
【0082】
図18は、本発明のインクジェットヘッド管理装置の実施形態2のヘッド洗浄ユニット80の模式側面図である。
【0083】
ヘッド洗浄ユニット80では、洗浄液吐出ユニット70の洗浄液吐出スプレー71より洗浄液を吐出され、洗浄液で濡れている洗浄部材41の特定箇所をヘッドユニット140のインク吐出面に、押し当てることにより、ヘッドユニット140のインク吐出面の汚れを除去する。
【0084】
ヘッド洗浄ユニット80の構造は、実施形態1と同様である。洗浄部材41の巻き出しを行う巻出部45aと、洗浄処理の終わった洗浄部材41を巻き取ると巻取部45bとを備えており、洗浄部材41の繰出し、巻取りを行う。
【0085】
巻出部45aは、例えば機械式のクラッチブレーキを使用し、巻取部45bはサーボモータ等を使用し、送り速度の調整を可能とする。送り量は送り量検知ローラによって行い、ローラ先に接続されたパルスカウンタ等により検知する。
【0086】
洗浄部材41の下面にはインキ浸透防止部材42があり、巻出部46aと巻取部46bを有し、繰出可能な機構となっている。インキ浸透防止部材42は洗浄部材41に浸透した液が裏回りし、汚染しないようになっている。インキ浸透防止部材42の下には複数列配置されたヘッドユニット140のヘッドに対し洗浄部材41とインキ浸透防止部材42を押当可能な押当ローラ43を有している。
【0087】
本例のインクジェットヘッド管理装置200は、以上のような構成からなり、これを用いることにより、インクジェット塗工装置110のヘッドユニット140の液出し・予備吐出、ヘッド吐出状態検査、洗浄液吐出、ヘッド洗浄、及びヘッドユニットの着脱を、容易に、自動で行うことができ、ヘッドユニット140のヘッド吐出面の汚れなどを自動でメンテナンスして、吐出ミスのない安定したインキ吐出をサポートでき、且つ、使用する洗浄液の量を節約することができる。
【符号の説明】
【0088】
100、200・・・インクジェットヘッド管理装置
110・・・インクジェット塗工装置
120a、120b・・・台車
130・・・レール
140・・・ヘッドユニット
150・・・基板吸着ステージ
10・・・液出し・予備吐出ユニット
11・・・液排出部
12・・・ミスト排出部
13・・・真空発生器
14・・・ドレンタンク
15・・・トラップタンク
16・・・開閉ダンパ
17・・・施設側排気ライン
20・・・ヘッド吐出状態検査ユニット
21・・・受像フィルム
22a・・・巻出部
22b・・・巻取部
23・・・ニップローラ
24・・・白色照明
25・・・カメラ
30、70・・・洗浄液吐出ユニット
31、71・・・洗浄液吐出スプレー
32・・・カバー
33、73・・・洗浄液配管
34・・・ドレーン配管
35・・・昇降装置
40、80・・・ヘッド洗浄ユニット
41・・・洗浄部材
42・・・インキ浸透防止部材
43・・・押当ローラ
44・・・昇降シリンダ
45a・・・巻出部
45b・・・巻取部
46a・・・巻出部
46b・・・巻取部
50・・・ヘッドユニット着脱ユニット
51・・・支持ピン
52・・・支持ブロック
53・・・エアベアリング
54・・・位置決めシリンダ
60、90・・・制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット塗工装置のインクジェットヘッドの管理を行うインクジェットヘッド管理装置であって、
少なくとも、
(a)ヘッド通液やエアパージまたは定期的な液排出のためのドレン機能と、予備吐出の際のヘッドより排出されたミスト状インクを収集する機能とを有する液出し・予備吐出ユニットと、
(b)塗工前のヘッドユニットの吐出状態の検査を行うヘッド吐出状態検査ユニットと、(c)洗浄が必要なヘッドユニットのインク吐出面に洗浄液吐出スプレーにて洗浄液を吐出する洗浄液吐出ユニットと、
(d)洗浄液を吐出されたヘッドユニットの前記インク吐出面を洗浄部材で洗浄するヘッド洗浄ユニットと、
(e)インクジェット塗工装置からヘッドユニットを着脱するためのヘッドユニット着脱ユニットと、
(f)前記インクジェット塗工装置と連携して上記各ユニットの移動と動作制御とを行う制御装置と、
から構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド管理装置。
【請求項2】
インクジェット塗工装置のインクジェットヘッドの管理を行うインクジェットヘッド管理装置であって、
少なくとも、
(g)ヘッド通液やエアパージまたは定期的な液排出のためのドレン機能と、予備吐出の際のヘッドより排出されたミスト状インクを収集する機能とを有する液出し・予備吐出ユニットと、
(h)塗工前のヘッドユニットの吐出状態の検査を行うヘッド吐出状態検査ユニットと、(i)洗浄が必要なヘッドユニットのインク吐出面を洗浄するヘッド洗浄ユニットの洗浄部材の特定箇所に洗浄液を吐出する洗浄液吐出ユニットと、
(j)洗浄液のついた前記洗浄部材の前記特定箇所で、ヘッドユニットのインク吐出面を洗浄するヘッド洗浄ユニットと、
(k)インクジェット塗工装置からヘッドユニットを着脱するためのヘッドユニット着脱ユニットと、
(l)前記インクジェット塗工装置と連携して上記各ユニットの移動と動作制御とを行う制御装置と、
から構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−45479(P2012−45479A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189406(P2010−189406)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】