説明

インクジェット記録媒体

【課題】簡易な製造方法で製造することができ、光沢感、カール安定性に優れ、高速プリント時のプリント画像の重なりによる画像にじみ耐性が向上したインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】吸水性シートの一方の面側に樹脂分散物を含む塗布液を塗布、乾燥した後、実質的に空隙が存在しなくなる条件で圧力処理を施して形成された中間層を有し、吸水性シートの該中間層を有する面とは反対側の面にバックコート層を有する支持体を用い、該支持体の中間層上にインク吸収層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢感及び高速プリント時の画像にじみが改良されたインクジェット記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法により写真画質プリントを作成するには、専用のインクジェット記録媒体が必要である。特に、レジンコート紙といわれている非吸水性の樹脂被覆紙を支持体とし、その上にインク吸収層を形成したインクジェット記録媒体は、紙支持体などの吸水性支持体上にインク吸収層を形成したものに比べて高い光沢感が得られ好ましい。しかしながら、レジンコート紙は吸水性シートの両面にポリエチレン樹脂をラミネートし、更にインク吸収層塗布のための下引き層を形成するなど多くの工程を経て作製するため、製造効率が悪く、また製造コストも高いという課題を抱えている。
【0003】
更に、従来のレジンコート紙は、主には銀塩写真感光材料用に作製されたものであり、一般的にインク吸収特性に優れた空隙構造を有するインク吸収層を塗設したインクジェット記録媒体の場合、光沢感がいまだ低いのが現状である。
【0004】
これに対して、原紙の少なくとも画像形成層を設ける側の表面に、水分散性ラテックスを含有する塗布液を塗布し、乾燥させた後、該水分散性ラテックス含有中間層に対し、表面平滑化処理して得られることを特徴とする記録材料用支持体が開示されている(特許文献1参照)。この方法は、上記のレジンコート紙に比べると、簡易に支持体を作製することは可能であるが、特許文献1に記載の方法で作製した支持体では、確かに平滑性は向上しているものの、その上に水系の画像記録用塗布液を塗布すると、塗布液の水分が支持体に吸収されて、その結果、製造時にコックリングやカールが発生し、十分な光沢感を備えたインクジェット記録媒体を作製することができないことが判明した。
【0005】
また、インクジェット記録媒体の種類によっては、例えば、掲示面が結露するような場所にプリントを貼り付けたとき、プリント表面が濡れていなくても表面に形成した画像がにじんだりすることがあった。さらに、近年のインクジェットプリンターは高速に印字されるようになり、一度に何枚もプリントをした場合、印字されたインクが乾ききらないうちに、次々とプリントが重なるようにプリンターから排出される。これをそのまま長時間放置すると、重なった内側のプリント物のみならず、一番外側のプリント物の画像がにじんで画質が劣化するものもあった。
【特許文献1】特開2004−347722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡易な製造方法で製造することができ、光沢感、カール安定性に優れ、高速プリント時のプリント画像の重なりによる画像にじみ耐性が向上したインクジェット記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0008】
1.吸水性シートの一方の面側に樹脂分散物を含む塗布液を塗布し、実質的に空隙が存在しなくなる条件で乾燥及び圧力処理を施して形成された中間層を有し、吸水性シートの該中間層を有する面とは反対側の面にバックコート層を有する支持体を用い、該支持体の中間層上にインク吸収層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0009】
2.前記バックコート層と前記吸水性シートからなるユニットの透湿度が、5g/m2・day以上、5000g/m2・day以下であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録媒体。
【0010】
3.前記圧力処理における圧力が、5MPa以上、50MPa以下であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット記録媒体。
【0011】
4.前記圧力処理が、カレンダーマシーンにより、線圧が0.3kN/cm以上、2.0kN/cm以下の範囲で加圧することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0012】
5.前記圧力処理における加圧時の温度をTpとし、中間層を形成するのに用いた樹脂分散物のガラス転移点温度をTgとしたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0013】
式(1)
Tg<Tp<Tg+50
6.前記樹脂分散物を含む塗布液を用いて形成された中間層が顔料を含有し、該中間層に含まれる顔料の質量をPとし、樹脂固形分の質量をBとしたとき、下式(2)で規定する条件を満たすことを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0014】
式(2)
0.13<P/(P+B)<0.5
7.前記インク吸収層が無機微粒子と親水性樹脂とを含む空隙層であり、該インク吸収層の乾燥膜厚が10μm以上、60μm以下であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0015】
8.前記バックコート層が、少なくとも樹脂分散物を含む塗布液を塗布、乾燥して形成されることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0016】
9.前記バックコート層を形成するのに用いた樹脂分散物のガラス転移点温度Tmが、0℃以上、100℃未満であり、かつ該バックコート層の乾燥時の温度がTm以上であることを特徴とする前記8に記載のインクジェット記録媒体。
【0017】
10.前記バックコート層が、顔料を含有することを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、簡易な製造方法で製造することができ、光沢感、カール安定性に優れ、高速プリント時のプリント画像の重なりによる画像にじみ耐性が向上したインクジェット記録媒体を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明のインクジェット記録媒体は、吸水性シートの一方の面側に樹脂分散物を含む塗布液を塗布、乾燥した後、実質的に空隙が存在しなくなる条件で圧力処理を施して形成された中間層を有し、吸水性シートの該中間層を有する面とは反対側の面にバックコート層を有する支持体を用い、該支持体の中間層上にインク吸収層を有することを特徴とする。
【0021】
本発明でいう中間層の空隙とは、中間層の表面から吸水性シートまでの間に形成された液体が浸透することができる空間であり、中間層の表面に液体が付着した場合、この空隙を通して液体が吸水性シートに達し、その結果、吸水性シートに到達した液体により吸水性シートが膨潤したり変形するなどによって、カールやコックリングの問題を引き起こす。
【0022】
この様な中間層の空隙は、樹脂分散物中の樹脂粒子の充填及び乾燥プロセスで樹脂分散物中の溶媒が乾燥工程で揮発する過程で形成される。本発明では、この樹脂分散物を含む塗布液を用いて形成された中間層に対し、形成後に圧力を施した処理を実質的に中間層中に空隙が存在しなくなるレベルまで行うことで、中間層上にインク吸収層を塗布した時の吸水性シートのカールやコックリングなどの問題を押さえることができ、低製造コストで、十分に高い光沢を備えたインクジェット記録媒体を提供できることを見出した。
【0023】
本発明でいう中間層の空隙が存在しないとは、例えば、電子顕微鏡で直接観察し、その存在を確認できないこと、あるいはJIS P 8140で規定される吸水度試験方法(コッブ)法に準じた試験法でも判定ができ、具体的には、吸水度試験方法(コッブ)法に準じた測定方法においては、吸水度が5g/m2未満であれば、本発明では空隙が存在しないと判定する。より、好ましくは2g/m2未満である。
【0024】
本発明においては、樹脂分散物を含む中間層に実質的に空隙が残ることなく、加圧処理を行う場合、本発明の目的効果をより発揮させるための好ましい加圧条件がある。その圧力条件で加圧処理を施すことにより、支持体上にインク吸収層などの水系塗布液を塗布した場合、コックリングやカールの発生がより抑制され、より高い光沢感を得ることができる。
【0025】
加圧方法としては、面状で加圧する方法、もしくは線状もしくは非常に狭いニップ形成で加圧する、いわゆるカレンダー処理の方法が好ましい。
【0026】
面状加圧の場合、その圧力としては、5MPa以上、50MPa以下の範囲とすることが好ましい。5MPa未満の圧力でも、中間層中に空隙が実質的に残らなければ本発明の効果は得られるが、5MPa以上とすることが効果発現上好ましい。一方、50MPaを超える高い圧力をかけると、光沢感の向上が小さいものとなってしまう。これらの理由は明確ではないが、樹脂粒子間の空隙を樹脂を変形させて埋め込むためにはある程度高い圧力が必要であるが、必要以上に圧力が高いと、吸水性シートに存在する空隙部に樹脂などが埋め込まれ、中間層自体の樹脂量が実質的に減るためと推測している。
【0027】
カレンダー処理の場合には、線圧が0.3kN/cm以上、2.0kN/cm以下の範囲であること好ましい。この場合、面状加熱の場合と同じく最適範囲内ではコックリングやカールの発生や、光沢感の向上効果が小さくなるなどの課題がないためである。
【0028】
また、加圧時の温度としては加温することが好ましく、加圧時の温度Tpが樹脂分散物のTgに対して、Tg<Tp<Tg+50の範囲とすることにより、本発明の効果がより発現させることが判った。
【0029】
従って、上記の好ましい圧力範囲で、かつ好ましい加温温度範囲で加圧を行うことは、本発明の効果発現上より好ましい方法である。
【0030】
加えて、加圧条件として、複数回の加圧処理を連続的に行うことが、本発明の目的効果を得る観点から、より効果的であることが判明した。具体的には、2回〜10回の範囲で行うと本発明の効果がより発揮される。この場合、複数回の処理条件は同じ条件でも良いし、異なる条件でも構わない。カレンダー処理の場合は、ニップ数を複数に設定して行うのが特に好ましい。
【0031】
また、吸水性シートの少なくとも一方の面側に、樹脂分散物を含む中間層を形成した後、加圧処理を行う前に乾燥工程を設けることも好ましい。乾燥工程は、加圧時に残存する水分による膨れなどの欠陥を発生させないために重要である。乾燥温度は、用いた樹脂分散物の樹脂のTg以上で行うことが特に好ましい。Tg以上の温度で乾燥することで樹脂の成膜が進行し、このため加圧工程で空隙を埋める工程が容易、かつ完成度が上がるためと考えられる。
【0032】
次に、本発明に用いる吸水性シートに関して説明する。
【0033】
本発明のインクジェット記録媒体用の支持体に適用可能な吸水性シートとしては、天然及び合成材料から構成されたものが使えるが、好ましくはセルロースパルプを主成分とする紙基材を用いるものである。
【0034】
本発明で用いることのできるセルロースパルプを主成分とする紙基材の原料としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
【0035】
紙基材中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。サイズ剤としては高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等が、顔料としては炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等が、紙力増強剤としてはスターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が、定着剤としては硫酸バンド、カチオン性高分子電解質等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0036】
紙基材は、木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階または抄紙後にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理をしたり、各種コート処理をしたり、カレンダー処理したりすることができる。
【0037】
本発明に好ましく用いることができる吸水性シートとしては、セルロースパルプを主成分とする基紙材で、いわゆる坪量が50g/m2以上、250g/m2以下のものが好ましい。50g/m2以上では腰が強く、また紙のもつ風合いよいため好ましい。また、250g/m2以下では、加圧処理での光沢発現向上などの効果が出やすく、かつインクジェット記録媒体とした際に、インクジェットプリンタでの搬送時に故障が起きにくいため好ましい。
【0038】
次に、本発明に係る中間層に使用される樹脂分散物について説明する。
【0039】
本発明に係る中間層に使用される樹脂分散物としては、塗工紙用のラテックスバインダーとして利用できる水分散性ラテックスを広く用いることができ、例えば、SB系(スチレンブタジエン)、アクリル系、スチレン系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−ブタジエン系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−エチレン系、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル系オレフィン系、ウレタン系などから選択することができる。
【0040】
平均粒子径が0.05μm以上であれば、樹脂粒子が塗布時に吸水性シートの空隙に埋もれてしまうことが抑えられ、効果発現に寄与しやすい。また、10μm以下であれば局所的に空隙があるような欠陥が生じるのを抑えたり、短時間の圧力処理で空隙をなくすことができる点で好ましい。
【0041】
樹脂分散物のイオン性に特に制約がない。塗布液に顔料など添加剤を用いたり、活性剤を添加する場合など、液の安定性を考慮して選択することができる。また、作製した吸水性支持体上に塗布する塗布液の安定性を低下させないことを考慮して選択することができる。これらの場合、ノニオン性のものは良好であり特に好ましい。
【0042】
ノニオン性の中でも水溶性高分子化合物を保護コロイドとして重合した、酢酸ビニル系ラテックスや、アクリル系ラテックスを特に好ましく用いることができる。
【0043】
樹脂分散物として用いることのできる具体的商品としては、日本ゼオン製のスチレンブタジエン系塗工紙用ラテックス Nipol LX407シリーズ各種、Nipol V1004、Nipol MH5055、Nipol LX438C、アクリロニトリル・ブタジエン系ラテックス(NBR LATEX)NipolLX874などの自己架橋方型など、住友化学製の繊維紙加工用ラテックス、酢酸ビニル−エチレン系、スミカフレックスS−500、同706、同753など、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル系、S−880など、旭化成製のスチレンブタジエン系SBR Lシリーズ(L−1970など)、昭和高分子製のポリゾール EVAシリーズ(AD−6など)、を挙げることができる。
【0044】
本発明に係る樹脂分散物を含む中間層には、他に、顔料、水溶性バインダー(例えば、スターチ、カゼイン、大豆タンパク、CMC、PVA、アルカリ可溶ラテックスなど)、分散剤、潤滑剤、消泡剤、耐水化剤(ワックス、不溶性脂肪酸、石鹸、ユリヤ、メラミン/ホルマリン樹脂、グリオキザール、重金属塩など)、活性剤、pH調整剤、防カビ剤、染料などを含有することができる。
【0045】
顔料を用いる場合には、支持体としての光沢感や白地調整、不透明性を調整するうえで適量用いることが好ましい。特に、白色顔料を好ましく用いることができ、白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料やスチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料を用いることができる。
【0046】
特に、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、アルミナから選択された白色顔料を用いることが好ましく、さらに必要に応じて酸化チタンを併用することも好ましい。
【0047】
カオリンとしては、イメリス社の焼成カオリン、エンジニアードカオリン、高白色カオリン、標準白色カオリンなどが使用できる。炭酸カルシウムとしては、白石工業株式会社製の合成炭酸カルシウム各種(Brilliant−15など)を使用することができる。
【0048】
顔料を添加する場合、その添加量により本発明の効果をいっそう向上させることができる。本発明においては、樹脂分散物を含む中間層における顔料固形分をPとし、樹脂固形分をBとしたとき、下式(2)で規定する条件を満たすことが好ましい。
【0049】
式(2)
0.13<P/(P+B)<0.5
式(2)におけるP/(P+B)が0.13より大きければ、本発明の課題であるコックリング、カール抑制効果が顕著であり、かつ白地調整や、不透明性向上も十分であって好ましい。また、P/(P+B)が0.5より小さければ、空隙が埋まりきらない欠陥が生じることも抑えられ、光沢感向上効果が顕著である。また、支持体上にインク吸収層を塗布した記録媒体を折り曲げたときに、該支持体に亀裂発生などの欠陥が生じることも抑えることができ、その場所のプリント濃度低下などの画像欠陥を引き起こす恐れも少なく好ましい。
【0050】
式(2)で規定するP/(P+B)は、複数種類の樹脂や顔料を用いる場合は、樹脂総量及び顔料総量を求めて、その値から算出することができる。
【0051】
本発明に係る樹脂分散物を含む中間層用塗布液の粘度としては、100mPa・s以上、1000mPa・s以下に調整することが好ましい。塗布直後及び乾燥工程で塗布液成分が吸水性シート中の空隙に沈降しないように、中間層用塗布液に必要な粘度を保つことが重要であるためである。
【0052】
中間層用塗布液の粘度が1000mPa・s以下であれば、塗膜を薄く塗布する際にも制約が生じず好ましい。
【0053】
また、本発明の支持体においては、表面のL***を、以下で規定する条件範囲になるように白地特性を調整することで、インクジェット記録媒体を作製した場合、画像コントラストが高まり、かつ純色の鮮明な鮮やかな高彩度の画像が得られて好ましい。すなわち、CIE色空間における明度指数L*としてはL*>90、知覚色度指数a*、b*としては、−7<a*<+7、−7<b*<−7とすることが好ましい。
【0054】
本発明において規定されるL***値は、JIS−Z−8722、同8717に従って測定され、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法に従って表示されるものであり、例えば、X−rite社濃度計(X−Rite938)、グレタグSPM−100及び色測定用標準ブラックバッキング、色彩色差計(コニカミノルタセンシング社製:CR−100)、カラーアナライザー(村上色彩社製CMS−1200)等を用い測定することができる。
【0055】
インクジェット記録媒体として白地を調整する方法としては、インク吸収層に蛍光増白剤や酸化チタンなどの白色顔料を添加する方法もあるが、インク吸収層の塗布液安定性や塗膜性能に影響を与える場合が多く、そのため、支持体で調整することが好ましい。
【0056】
支持体で調整する場合、吸水性シートを選択する際に、白地を考慮して選択しても良いし、樹脂分散物を含む中間層中に、蛍光増白剤や白色顔料を添加して調整しても良い。特に、本発明に係る樹脂分散物を含む中間層中に白色顔料を含有させる場合には、用いる白色顔料の選択、添加量などを調整し、本発明に係る支持体表面のL*、a*、b*を調整することが、特に好ましい。
【0057】
次に、本発明に係るバックコート層について説明する。
【0058】
吸水性シートを用いた支持体を含むインクジェット記録媒体においては、バックコート層を設けない場合には、印字したプリント物を、掲示面が結露するような場所に貼り付けたとき、プリント物の表面が濡れていなくても表の画像がにじんだりすることがある。また、一度に何枚もプリントをした場合、印字されたインクが乾ききらないうちに次々とプリントが重なるようにプリンターから排出されるが、これをそのまま長時間放置すると、プリントの重なった内側の部分のみならず一番外側のプリント物まで画像がにじんだりすることがある。
【0059】
この現象を詳細に調べてみると、プリント物の裏面から水分や特に有機溶剤が吸水性シートに浸透したとき、にじみ耐性が劣化することが分かった。すなわち、高速印字で連続してプリントし、プリント物を重ねたとき、下層部のプリント物のインク中に含まれる水分や有機溶剤が吸水性シート中に浸透し、さらに上に形成された中間層には液体が浸透するような空隙は存在していないが、水や有機溶剤の蒸気はわずかながら浸透していく性質があり、これにより最表面のインク吸収層中に水や有機溶剤の蒸気がインク吸収層中にまで浸透していき、インク吸収層中で定着された色材分子を再溶解させ、インク吸収層中を色材、例えば、染料が移動し、にじみが発生することが分かった。
【0060】
また、本発明に係る空隙を持たない中間層が水や有機溶剤の液体は透過しないのに、その蒸気は浸透する理由は、樹脂分散物が融着した膜を分子レベルでみると、樹脂分散物の粒子界面が完全に混じりあってはいないため、樹脂微粒子状態の時の組成が残っていて完全に均一な膜にはなっておらず、このため、水や有機溶剤の蒸気がわずかながら浸透していく性質があるものと思われる。
【0061】
このような裏面から蒸気が浸透する現象は、従来使用されてきた高分子フィルムを吸水性シートにラミネートする方法では、その皮膜が均一な高分子のフィルムであり、液体のみならず水や有機溶剤の蒸気さえも浸透するのを妨げていたため起こらなかった現象である。
【0062】
これに対し、吸水性シートの一面に樹脂分散物を含有する空隙ない中間層を有する支持体上に、インク吸収層を設けたインクジェット記録媒体において、支持体のインク吸収層とは反対の面にバックコート層を有することにより、裏面から吸水性シートへの水や有機溶剤の蒸気の浸透を防ぎ、ひいては中間層を介してインク吸収層に蒸気が浸透することを防ぐことができ、にじみによる画像の劣化を抑えることができる。
【0063】
また、裏面から吸水性シートへの水や有機溶剤の蒸気の浸透をバックコート層により防ぐことにより、インクジェット記録媒体の保存時の湿度変化によるカールを抑制することもできる。
【0064】
蒸気の浸透を抑制するために、バックコート層を備えた吸水性シートの透湿度を、5g/m2・day以上、5000g/m2・day以下とすることが好ましい。透湿度が5g/m2・day未満にするためには金属の蒸着のような必要以上に高度なバリヤー性を維持しなければならず、製造コストが高くなってしまう。5g/m2・day以上であれば低コストで製造することができ好ましい。また、5000g/m2・day以下であれば裏面から蒸気が浸透し、インク吸収層で画像がにじむのを問題ないレベルに抑えることができる。
【0065】
バックコート層はいかなる組成のものであってもかまわないが、製造コストを抑えるために、樹脂分散物や水溶性樹脂を塗布、乾燥させたり、またはポリエチレンのような高分子樹脂フィルムをラミネートする方法が挙げられ、特に樹脂分散物を塗布、乾燥してバックコート層を形成したものが好ましく、製造コストを低くするために中間層と同じ組成の樹脂分散液を用いて塗布、乾燥してバックコート層を形成することがより好ましい。
【0066】
バックコート層を吸水性シートに塗布、乾燥する時期は、中間層を塗布する前でも後でもよく、あるいは中間層と同時でもかまわない。また、中間層と一緒に圧力処理をしてもよく、中間層の圧力処理をした後に、バックコート層を塗布、乾燥しても良い。
【0067】
バックコート層に使用される樹脂分散物としては、中間層と同様に塗工紙用のラテックスバインダーとして利用できる水分散性ラテックスを広く用いることができる。バックコート層に使用される樹脂分散物の粒径も中間層と同様であり、平均粒子径が0.05μm以上であれば樹脂粒子が塗布時に吸水性シートの空隙に埋もれてしまうことが抑えられ、また、10μm以下であれば局所的に空隙があるような欠陥が生じるのを抑えられるため、透湿度を低く維持できるようになる点で好ましい。
【0068】
また、バックコート層の乾燥は、バックコート層に使用される樹脂分散物のガラス転移点温度Tm以上の温度で乾燥することが、バックコート層の樹脂の成膜が進行し、バックコート層の透湿度を低くする上で好ましい。よって、バックコート層の樹脂分散物のガラス転移点温度Tmは0℃以上、100℃未満であることが乾燥時の負荷が少なく好ましい。
【0069】
バックコート層には、強度を高める目的などで顔料を用いることもできる。その場合、中間層と同様の顔料が同様に使用でき、特に、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、アルミナから選択された白色顔料を用いることが好ましい。
【0070】
バックコート層用塗布液の粘度としては、100mPa・s以上、1000mPa・s以下に調整することが好ましい。塗布直後及び乾燥工程で塗布液成分が吸水性シート中の空隙に沈降しないように、バックコート層用塗布液に、ある一定の粘度を付与させることが重要であるためである。
【0071】
バックコート層用塗布液の粘度が1000mPa・s以下であれば、塗膜を薄く塗布する際にも制約が生じず好ましい。
【0072】
次に、本発明に係るインク吸収層について説明する。
【0073】
本発明に係るインク吸収層としては、フィラーとバインダーを主成分とする空隙型、あるいは水溶性バインダーを主成分とする膨潤型のいずれのタイプも用いることができ、また、両方を組み合わせたハイブリッド構成でもよい。本発明においては、インク吸収性、ブリード耐性、乾燥性などに優れた空隙型を用いることが好ましい。
【0074】
以下、空隙型のインクジェット記録媒体について説明する。
【0075】
空隙型インク吸収層は、少量のバインダーと微粒子から主に形成されるが、本発明で用いられる微粒子としては、より高い発色濃度を与え、かつより小粒径の微粒子が得られやすい点から無機微粒子が好ましい。
【0076】
無機微粒子としては、従来インクジェット記録媒体で公知の各種の固体微粒子を用いることができ、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0077】
上記微粒子は、一次粒子のままでバインダー中に均一に分散された状態で用いられることも、また、二次凝集粒子を形成してバインダー中に分散された状態で添加されてもよいが、後者がより好ましい。
【0078】
上記無機微粒子の形状は、本発明では特に制約を受けず、球状、棒状、針状、平板状、数珠状の物であってもよい。無機微粒子は、その平均粒径は3〜200nmのものが好ましい。平均粒径が200nmを越える微粒子を使用した場合には記録媒体の光沢性が低下したり、あるいは表面での光散乱による最高濃度の低下が生じたりして鮮明な画像が得にくくなる。平均粒径の下限は特に限定されないが粒子の製造上の観点から概ね3nm以上、6nm以上が好ましい。特に好ましい無機微粒子は、その平均粒径が10〜100nmである。
【0079】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、多数個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0080】
本発明に係る無機微粒子としては、無機微粒子と少量の有機物(低分子化合物でも、高分子化合物でもよい)とからなる複合粒子でも、実質的には無機微粒子と見なす。この場合、乾燥皮膜中に観察される最高次粒子の粒径をもってその無機微粒子の粒径とする。
【0081】
上記無機微粒子と少量の有機物との複合粒子における有機物/無機微粒子の質量比は、概ね1/100〜1/4である。
【0082】
本発明に係る無機微粒子としては、低コストであることや高い反射濃度が得られる観点から低屈折率の微粒子であることが好ましく、シリカ、中でも気相法で合成されたシリカまたはコロイダルシリカがより好ましい。また、カチオン表面処理された気相法シリカ、カチオン表面処理されたコロイダルシリカ及びアルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等も用いることができる。
【0083】
親水性バインダーとしては、従来公知の各種親水性バインダーを用いることができ、例えば、ゼラチン(酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリビニルピロリドン(平均分子量約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールやその誘導体、ポリエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、水溶性ポリビニルブチラールを挙げることができる、これらの親水性バインダーは単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。特に好ましい親水性バインダーは、ポリビニルアルコールまたはその誘導体である。
【0084】
好ましく用いられるポリビニルアルコールまたはその誘導体は、平均重合度が300〜5000の範囲であり、特に平均分子量が2000〜5000のものが得られる皮膜の脆弱性が良好であることから好ましい。また、ポリビニルアルコールまたはその誘導体のケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
【0085】
親水性バインダーの使用量は、インク吸収層が空隙層になるようにするため、無機微粒子に対して比較的少量使用され、皮膜が安定に形成され支持体との接着性が充分保てる範囲でできるだけ少なく使用するのが好ましい。
【0086】
空隙型のインク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、親水性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には記録媒体1m2当たり、通常3〜30g、好ましくは5〜25gである。空隙型インク吸収層に用いられる無機微粒子とポリビニルアルコールの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、3:1〜10:1であることが好ましい。
【0087】
記録媒体中には色材の定着剤として、カチオンポリマーや多価金属塩を用いることができる。このとき、カチオンポリマー添加量が多いと、インク吸収速度が低下して好ましくない。
【0088】
本発明において、インク吸収層への多価金属塩化合物の添加量としては、多価金属の酸化物換算で0.3g/m2以上、2g/m2以下含有することが好ましい。本発明により製造される支持体を用いて作製したインクジェット記録媒体へ、染料インクを用いてプリントした画像について詳細に検討したところ、多価金属塩化合物を多価金属の酸化物換算で0.3g/m2以上、2g/m2以下含有させることで、特に、黒色の高い最大濃度が得られる点で好ましい。更に、0.6g/m2以上、1.5g/m2以下含有させることで、全色の最大濃度が高く、かつ高彩度の画像が得られる点でより好ましい。この原因は定かではないが、本発明により製造される支持体は、その表面に空隙はないものの、従来のポリエチレンを押し出し、コーティングにより設けたレジンコート紙と比較して、ガス透過性、支持体の平面性、光学特性が微妙に異なることが推測され、それらの影響がインクジェット記録メディア特性に影響を与えているものと考えている、また、前記の支持体の差が、インク吸収層を塗布乾燥する過程でのインク吸収層の空隙形成過程などに微妙な影響を与えているものではないかと考えている。
【0089】
また、多価金属やカチオン定着剤をインクジェット記録媒体中に付与させるために、インク吸収層を塗布後、オーバーコートなどの手段により、多価金属やカチオン定着剤を付与することは有効な手段である。特に、染料インクで記録する際に、オーバーコート手段により定着剤を付与すると、定着剤がより上層部に多く存在するため、染料をより上層領域で定着することができ、発色性が向上し好ましい。
【0090】
高い空隙率で皮膜の脆弱性を劣化させずに高光沢性を維持するために、前記バインダーが硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。
【0091】
硬膜剤は、一般的にはバインダーと反応し得る基を有する化合物あるいはバインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0092】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(例えば、ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(例えば、2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(例えば、1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸及びその塩、アルミ明礬等が挙げられる。
【0093】
特に好ましいバインダーとしてポリビニルアルコール及びその誘導体を使用する場合には、ほう酸及びその塩、及びエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0094】
上記硬膜剤を使用する場合、好ましい使用量はバインダーの種類、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類や親水性バインダーに対する比率等により変化するが、概ねバインダー1g当たり5〜500mg、より好ましくは10〜400mgである。
【0095】
上記硬膜剤は、空隙層を構成する塗布液を塗布する際に空隙層形成の塗布液中及びまたは空隙層に隣接するその他の層を形成する塗布液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に前記空隙層を形成する塗布液を塗布したり、更には空隙層を形成する硬膜剤非含有の塗布液を塗布し、乾燥の途中、あるいは乾燥後に硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして空隙層に硬膜剤を供給することができる。
【0096】
インク吸収層を形成する水溶性塗布液中には、各種の添加剤を添加することもできる。そのような添加剤としては、例えば、界面活性剤、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機溶媒、高沸点有機溶媒、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、マット剤、シリコンオイル等が挙げられる。
【0097】
インク吸収層の塗布液物性としては、粘度5mPa・s以上、10000mPa・s未満の範囲で、塗膜の厚さや塗布方法、塗布速度から決めることができる。また、多層塗布の場合は、カーテン塗布方式では、上層をより高粘度にする方が塗布性が良好であり、また押し出しコーター塗布などの比較的高粘度塗布液の多層同時塗布の場合は上層ほど低粘度の方が塗布性が良好で好ましい。
【0098】
表面張力としては、支持体への濡れ性やはじきを考慮しながら、25mN/m以上、65mN/m未満の範囲から決めることができる。
【0099】
インク吸収層塗布液中の固形分濃度としては塗布方式に合わせて、10%以上、50%未満の範囲で希釈、あるいは濃縮して調整することができる。
【0100】
支持体上にインク吸収層塗布液を塗設する際に用いる塗布方法としては、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
インク吸収層の湿潤時の膜厚としては、塗布液の固形分量や、形成するインク吸収層の固形分量から、50μm以上、250μm未満で設定することが好ましい。
また、インク吸収層を塗布後、吸収層の平滑性を高める処理を行うこともできる。塗布後、湿潤状態で平滑部を接触させてスムージング処理を施したり、乾燥後ソフトカレンダ処理を行うこともできる。
【0101】
本発明に係るインク吸収層は、単層であっても2層以上で構成されていても良く、2層以上で構成されている場合、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。また2層以上で構成する場合には、全ての構成層を同時に塗布する方法であることが、生産性向上の観点から好ましい。
【0102】
本発明のインクジェット記録媒体の製造において、乾燥方法はオーブンやヒーターで加熱、またはドライヤーのように温風を吹き付けて乾燥など、公知の方法で乾燥して良いが、あまり温度が高すぎると水分が沸騰して膜面が荒れたり、あるいは支持体が熱で変形してしまう恐れがある。また、膜面温度が低すぎると乾燥に時間がかかってしまい、製造効率が低下してしまう。したがって、膜面温度10〜80℃の範囲が好ましい。
【0103】
本発明においてインク吸収層と吸水性シートの間に液体が浸透しない中間層が存在するため、印字されるインクはすべてインク吸収層で吸収しなければならない。したがって、インク吸収層の乾燥時の膜厚としてはインク吸収層の組成などにも依存するが、10μm以上、60μm以下であることが好ましい。インク吸収層が10μm未満だと印字時のインクをインク吸収層で吸収しきることができずインクがあふれて画像が乱れてしまい、インク吸収層が60μmを超えると必要以上にインク吸収層をつけることとなりコストが高くなるため好ましくない。
【0104】
インクジェット記録媒体として高光沢を求める場合、前記インク吸収層中の無機微粒子径や、バインダー種、バインダー量、添加剤の選択や、塗布方法、塗布乾燥後の光沢向上処理などを工夫し、60°鏡面光沢を40以上、80未満に設定することが好ましい。また、光沢感に影響を与える像鮮明性についても、60以上、100未満に設定することが好ましい。
【実施例】
【0105】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0106】
《記録媒体の作製》
〔記録媒体1の作製〕
(支持体1の作製)
幅230mmのロール状基紙A1(木材パルプ100部、填料(炭酸カルシウム3:タルク1の比率)15部、サイズ剤0.08部、硫酸バンド1.0部、澱粉1.00部、よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量150g/m2の紙基材を得た後、0.8kN/cmの線圧でスーパーカレンダー処理を施した。)に、中間層としてバーコーターを用いて下記組成の水系の塗布液S1を50ml/m2の塗布量になるように塗布し、さらに基紙の裏面にもバックコート層として同様の水系の塗布液S1を40ml/m2の塗布量になるように塗布し、塗布後に50℃の温風で乾燥した。
【0107】
〈塗布液S1〉
スチレンブタジエン系樹脂E1(樹脂分散物、平均粒子径0.2μm、Tg30℃)
固形分として40%
カオリン(イメリス社製 高白色カオリン) 固形分として17%
上記固形分となるように混合した後、純水で100%に仕上げた。
【0108】
〈加圧処理〉
次いで、上記試料を、シリコーン系材料で離型性付与処理を施したステンレス板ではさみ加熱プレス機にて、4MPaの圧力をかけて加圧処理し、支持体1を作製した。このとき、加熱プレス機は50℃に加熱保温して用いた。
【0109】
〈空隙の確認〉
上記作製した支持体1の空隙の有無について、下記の2つの方法を用いて確認した。
【0110】
1)走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各支持体の中間層を塗設した面側の表面を観察して空隙の有無を確認したところ、空隙は見られなかった。
【0111】
観察条件:拡大倍率50000倍
10cm×10cmの支持体試料から10μm×10μmの範囲(サンプル)5点を選択し、5サンプル中での空隙の有無を観察。
【0112】
2)JIS P8140で規定される吸水度試験方法(コッブ)法に準じた試験法にて評価した。吸水量としては、5g/m2以下であれば空隙がないと判定した。
【0113】
〈透湿度の測定〉
上記支持体1の作製において、塗布液1を裏面にのみ塗布し、同様の条件で乾燥、圧力処理をした試料を作製し、この試料についてDR.GEORGES H.LYSSY製の全自動水蒸気透湿度テスターL−80−4000型で透湿度を測定したところ、600g/m2・dayであった。
【0114】
(インク吸収層の形成)
上記支持体1の中間層を有する面側に、下記組成からなる水系のインク吸収層用塗布液1を、シリカ固形分として20g/m2となる条件でバーコーターを用いて塗布し、塗布後4℃で30秒間冷蔵セットした後、40℃の温風で乾燥して、記録媒体1を作製した。この記録媒体1のインク吸収層の乾燥膜厚は、38μmであった。
【0115】
〈インク吸収層用塗布液1〉
気相法シリカ(A−300、一次平均粒径7nm、日本アエロジル工業(株)製)
固形分として10%
ポリビニルアルコール(PVA235、クラレ社製) 固形分として2.5%
カチオン性ポリマー(P−1) 固形分として0.25%
水溶性ポリ塩化アルミニウム 酸化アルミニウム換算した固形分として0.1%
ホウ酸 固形分として0.18%
上記固形分量となるように各添加剤を混合した後、純水で100%に仕上げた。
【0116】
【化1】

【0117】
〔記録媒体2の作製〕
上記記録媒体1の作製において、バックコート層用の塗布液S1から顔料であるカオリンを除いた以外は同様にして、記録媒体2を作製した。
【0118】
〔記録媒体3の作製〕
上記記録媒体1の作製において、バックコート層用の塗布液S1を、以下の組成の塗布液S2に変更し、100ml/m2の塗布量になるように塗布した以外は同様にして、記録媒体3を作製した。
【0119】
〈塗布液S2〉
ポリビニルアルコール(水溶性樹脂、重合度1700、ケン化度88%)
固形分として10%
カオリン(イメリス社製 高白色カオリン) 固形分として4.3%
上記固形分量となるように混合した後、純水で100%に仕上げた。
【0120】
〔記録媒体4の作製〕
上記記録媒体3の作製において、バックコート層用の塗布液S2から顔料であるカオリンを除いた塗布液S3を用いた以外は同様にして、記録媒体4を作製した。
【0121】
〔記録媒体5の作製〕
上記記録媒体1の作製において、支持体1の基紙A1を、基紙A1の片面に厚さ15μmの高密度のポリエチレンをラミネートした基紙A2に変更し、ラミネートされていない面に中間層及びインク吸収層を塗布した以外は同様にして、記録媒体5を作製した。
【0122】
〔記録媒体6の作製〕
上記記録媒体1の作製において、バックコート層用の塗布液S1の塗布量を40ml/m2から10ml/m2に変更した以外は同様にして、記録媒体6を作製した。
【0123】
〔記録媒体7の作製〕
上記記録媒体1の作製において、バックコート層用の塗布液S1のスチレンブタジエン系樹脂E1を、スチレンブタジエン系樹脂E2(樹脂分散物、平均粒子径0.15μm、Tg60℃)に変更した以外は同様にして、記録媒体7を作製した。
【0124】
〔記録媒体8の作製〕
上記記録媒体1の作製において、バックコート層の形成を行わなかった以外は同様にして、記録媒体8を作製した。
【0125】
〔記録媒体9の作製〕
上記記録媒体1の作製において、中間層及びバックコート層用の塗布液S1から顔料であるカオリンを除いた以外は同様にして、記録媒体9を作製した。
【0126】
〔記録媒体10の作製〕
上記記録媒体9の作製において、バックコート層用の塗布液を、記録用紙5の作製で用いたバックコート層用の塗布液S3に変更し、100ml/m2の塗布量になるように塗布した以外は同様にして、記録媒体10を作製した。
【0127】
〔記録媒体11の作製〕
上記記録媒体1の作製において、中間層の塗布量を50ml/m2から20ml/m2に変更した以外は同様にして、記録媒体11を作製した。
【0128】
〔記録媒体12の作製〕
上記記録媒体1の作製において、中間層及びバックコート層用の塗布液に含まれる顔料をカオリンから炭酸カルシウム(白石工業株式会社 Brilliant−15)に変更した以外は同様にして、記録媒体12を作製した。
【0129】
〔記録媒体13の作製〕
上記記録媒体1の作製において、中間層及びバックコート層用の塗布液に含まれる樹脂分散物をスチレンブタジエン系樹脂E1からアクリルエステルコポリマー系樹脂E3(樹脂分散物、平均粒子径0.25μm、Tg45℃)に変更した以外は同様にして記録媒体13を作製した。
【0130】
〔記録媒体14の作製〕
上記記録媒体1の作製において、加圧処理を加圧プレス機からスチールロール(研磨仕上げした硬質クローム 硬度87°)/弾性ロール(コットンロール)からなるスーパーカレンダーにて、線圧0.2kN/cm、ロール表面温度65℃、プレス速度6m/min.の条件で加圧処理に変更した以外は同様にして、記録媒体14を作製した。
【0131】
〔記録媒体15の作製〕
上記記録媒体14の作製において、バックコート層用の塗布液S1のスチレンブタジエン系樹脂E1を、スチレンブタジエン系樹脂E2(樹脂分散物、平均粒子径0.15μm、Tg60℃)に変更した以外は同様にして、記録媒体15を作製した。
【0132】
〔記録媒体16の作製〕
上記記録媒体14の作製において、バックコート層用の塗布液S1を塗布液S2に変更し、100ml/m2の塗布量になるように塗布した以外は同様にして、記録媒体16を作製した。
【0133】
〔記録媒体17の作製〕
上記記録媒体14の作製において、バックコート層の形成を行わなかった以外は同様にして、記録媒体17を作製した。
【0134】
〔記録媒体18の作製〕
上記記録媒体14の作製において、中間層及びバックコート層用の塗布液S1に含まれるスチレンブタジエン系樹脂E1の量を固形分として40%から20%に変更し、顔料であるカオリンの量を固形分として17%から25%に変更し、更に、中間層の塗布量を100ml/m2、バックコート層の塗布量を80ml/m2に変更した以外は同様にして、記録媒体18を作製した。
【0135】
〔記録媒体19の作製〕
上記記録媒体18の作製において、バックコート層用の塗布液を塗布液S2に変更し、100ml/m2の塗布量になるように塗布した以外は同様にして、記録媒体19を作製した。
【0136】
〔記録媒体20の作製〕
上記記録媒体14の作製において、中間層及びバックコート層用の塗布液S1から顔料であるカオリンを除いた以外は同様にして、記録媒体20を作製した。
【0137】
〔記録媒体21の作製〕
上記記録媒体14の作製において、中間層用の塗布液S1から顔料であるカオリンを除き、バックコート層用の塗布液S1のスチレンブタジエン系樹脂E1を、スチレンブタジエン系樹脂E2(樹脂分散物、平均粒子径0.15μm、Tg60℃)に変更した以外は同様にして、記録媒体21を作製した。
【0138】
〔記録媒体22の作製〕
上記記録媒体14の作製において、スーパーカレンダーのロール表面温度を25℃に変更した以外は同様にして、記録媒体22を作製した。
【0139】
〔記録媒体23の作製〕
上記記録媒体22の作製において、バックコート層用の塗布液を記録用紙4の作製に用いたバックコート層用の塗布液S3に変更し、100ml/m2の塗布量になるように塗布した以外は同様にして記録媒体23を作製した。
【0140】
〔記録媒体24の作製〕
上記記録媒体14の作製において、中間層及びバックコート層用の塗布液に含まれる顔料をカオリンから炭酸カルシウム(白石工業株式会社 Brilliant−15)に変更した以外は同様にして、記録媒体24を作製した。
【0141】
〔記録媒体25の作製〕
上記記録媒体1の作製において、中間層用の塗布液を塗布、乾燥後、バックコート層を塗布する前に、加圧プレス機で同様に加圧処理し、その後バックコート層を塗布、乾燥した以外は同様にして、記録媒体25を作製した。
【0142】
〔記録媒体26の作製〕
上記記録媒体25の作製において、バックコート層用の塗布液S1から顔料であるカオリンを除いた以外は同様にして、記録媒体26を作製した。
【0143】
〔記録媒体27の作製〕
上記記録媒体14の作製において、中間層用の塗布液を塗布、乾燥後、バックコート層を塗布する前に、スーパーカレンダーで同様に加圧処理し、その後バックコート層を塗布、乾燥した以外は同様にして、記録媒体27を作製した。
【0144】
〔記録媒体28の作製〕
上記記録媒体14の作製において、インク吸収層の乾燥膜厚を15μmに変更した以外は同様にして、記録用紙28を作製した。
【0145】
〔記録媒体29の作製〕
上記記録媒体14の作製において、インク吸収層の乾燥膜厚を8μmに変更した以外は同様にして、記録用紙29を作製した。
【0146】
〔記録媒体30の作製〕
上記記録媒体14の作製において、中間層の塗布量を50ml/m2から20ml/m2に変更した以外は同様にして、記録媒体30を作製した。
【0147】
〔記録媒体31の作製〕
上記記録媒体14の作製において、中間層の塗布量を50ml/m2から20ml/m2に変更し、バックコート層の形成を行わなかった以外は同様にして、記録媒体31を作製した。
【0148】
〔記録媒体32の作製〕
上記記録媒体1の作製において、基紙A1に中間層及びバックコート層を塗布せずに、直接インク吸収層を塗布した以外は同様にして、記録媒体32を作製した。
【0149】
以上のようにして作製した各記録媒体のP/(P+B)の値(中間層に含まれる顔料固形分をPとし、樹脂固形分をBとする)、中間層の樹脂付量、バックコート層の樹脂付量を表1、2に示す。
【0150】
なお、表1、2に略称で記載の各項目の詳細は、以下の通りである。
【0151】
PVA:重合度1700、ケン化度88%のポリビニルアルコール
C:カオリン
Ca:炭酸カルシウム
P:プレス機
SC:スーパーカレンダー
【0152】
【表1】

【0153】
【表2】

【0154】
また、中間層の表面のSEM観察による空隙の有無とコッブ法による吸水量及びバックコート層の透湿度の値を表3に示す。
【0155】
【表3】

【0156】
《記録媒体の各特性の評価》
上記作製した各記録媒体について、以下に記載の方法により評価を行った。なお、プリント時のプリント画像の重なりによるにじみ耐性に対して、画像保存性のにじみ耐性の評価結果も参考評価として示す。
【0157】
(光沢感の評価:鏡面光沢(60°)、像鮮明性(反射角60°)の測定)
下記の基準に従って鏡面光沢(60°)及び像鮮明性(反射角60°)を測定し、下記の基準に従って光沢感の評価を行った。
【0158】
鏡面光沢(60°):日本電色工業株式会社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用い、入射及び反射角は60°で測定した。
【0159】
像鮮明性(反射角60°):JIS K7105に規定される像鮮明度を、写像性測定装置ICM−1DP(スガ試験機社製)により反射60°、光学くし2mmでの写像性(C値%)を測定した。
【0160】
A:鏡面光沢が35以上で、像鮮明性が80以上である
B:鏡面光沢が35以上で、像鮮明性が65以上、80未満である
C:鏡面光沢が25以上、35未満で、像鮮明性が65以上である
D:鏡面光沢が25以上、35未満で、像鮮明性が40以上、65未満である
E:鏡面光沢が25未満か、あるいは像鮮明性が40未満である
(重ねにじみ耐性の評価)
黒ベタ画像とマゼンタのベタを背景とした線幅250μmの黒線の画像を準備し、この2つの画像をセイコーエプソン社製インクジェットプリンター:PM−G800を用いて、各記録媒体上に連続プリントし、黒ベタのプリントの上に黒線のプリントを重ねてそのまま24時間放置した。その後、黒線のにじみを目視観察し、プリント時のプリント画像の重なりによるにじみ(重ねにじみ)耐性を、下記の基準に従って評価した。
【0161】
A:にじみが見られない
B:わずかなにじみは見られるが美観を損なうことは無い
C:にじみが発生し、実用上やや問題がある
D:にじみがひどく、実用に耐えない
(画像保存性:にじみ耐性の評価)
マゼンタのベタを背景とした線幅250μmの黒線の画像を準備し、この画像をセイコーエプソン社製インクジェットプリンター:PM−G800を用いて、各記録媒体上にプリントし、乾燥するまで1枚ずつ水平な台の上に室温で6時間放置した。その後、40℃、相対湿度70%の環境下で24時間保存し、黒線のにじみ状態を目視観察し、下記の基準に従って画像保存性を評価した。
【0162】
A:にじみが見られない
B:わずかなにじみは見られるが美観を損なうことは無い
C:にじみが発生し、実用上やや問題がある
D:にじみがひどく、実用に耐えない
(カール耐性の評価)
各記録媒体のカールの発生状態については、A4サイズに断裁したものを23℃で相対湿度が20%、55%、80%の各環境条件下で水平な台の上に6時間放置した後、カールの状態を目視観察し、下記の基準に従ってカール耐性を評価した。
【0163】
A:いずれの環境においてもほとんどカールの発生が見られない
B:いずれかの環境下で弱いカールの発生は認められるが、積層した状態で放置するとカールがとれる
C:いずれかの環境下で強いカールが発生し、積層状態でもカールが解消せず、プリンタ搬送に支障をきたす恐れがある
以上により得られた各評価結果を、表4に示す。
【0164】
【表4】

【0165】
表4に記載の結果より明らかなように、本発明のインクジェット記録媒体は、比較例に対し、高い光沢感があり、プリント時のプリントの重なりによるにじみ耐性、カール耐性に優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性シートの一方の面側に樹脂分散物を含む塗布液を塗布し、実質的に空隙が存在しなくなる条件で乾燥及び圧力処理を施して形成された中間層を有し、吸水性シートの該中間層を有する面とは反対側の面にバックコート層を有する支持体を用い、該支持体の中間層上にインク吸収層を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
【請求項2】
前記バックコート層と前記吸水性シートからなるユニットの透湿度が、5g/m2・day以上、5000g/m2・day以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項3】
前記圧力処理における圧力が、5MPa以上、50MPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項4】
前記圧力処理が、カレンダーマシーンにより、線圧が0.3kN/cm以上、2.0kN/cm以下の範囲で加圧することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項5】
前記圧力処理における加圧時の温度をTpとし、中間層を形成するのに用いた樹脂分散物のガラス転移点温度をTgとしたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
式(1)
Tg<Tp<Tg+50
【請求項6】
前記樹脂分散物を含む塗布液を用いて形成された中間層が顔料を含有し、該中間層に含まれる顔料の質量をPとし、樹脂固形分の質量をBとしたとき、下式(2)で規定する条件を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
式(2)
0.13<P/(P+B)<0.5
【請求項7】
前記インク吸収層が無機微粒子と親水性樹脂とを含む空隙層であり、該インク吸収層の乾燥膜厚が10μm以上、60μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項8】
前記バックコート層が、少なくとも樹脂分散物を含む塗布液を塗布、乾燥して形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項9】
前記バックコート層を形成するのに用いた樹脂分散物のガラス転移点温度Tmが、0℃以上、100℃未満であり、かつ該バックコート層の乾燥時の温度がTm以上であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項10】
前記バックコート層が、顔料を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。

【公開番号】特開2007−136767(P2007−136767A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331295(P2005−331295)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】