説明

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置

【課題】従来の2液システムを用いて記録される画像よりも、色安定性を向上させ、かつ、電子写真法で出力した画像にも匹敵するレベルの優れた画像を記録できるインクジェット記録方法の提供。
【解決手段】水不溶性色材を含有するインクと、該インクと接触することによって該インク中の水不溶性色材の分散状態を不安定化させる反応性成分を含有してなる液体組成物とを、記録媒体に付与することで記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクで画像を記録する工程の前後に、前記液体組成物を記録媒体に付与する工程をそれぞれ有することを特徴とするインクジェット記録方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、安価な装置で、高解像度、高品位な画像を、高速で印刷することが可能な方法であることから、近年、さまざまな用途に広く用いられている。このような状況の中、さらなる高品位な画像を得ることを目的として、記録用のインクと、該インクとは別の液体組成物の2液を用いて画像を形成する方法(以下、2液システムと呼ぶ)が種々開発され、実施されている。例えば、多価金属イオンを含む液体組成物と、該液体組成物と反応し得る成分を含むインクとを用いて画像を記録するシステムの提案がある(特許文献1乃至3等参照)。このような2液システムによれば、記録媒体上で、前記液体組成物と前記インクとが接触することで不溶性物が形成され、その結果、輪郭部の不明瞭性が改善された、カラーブリーディングが生じることのない画像を得ることが可能となる。
【0003】
【特許文献1】特開平9−207424号公報
【特許文献2】特開平11−78212号公報
【特許文献3】特開2005−298809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、従来より提案されている2液システムを用いたインクジェット記録方法を用いて、電子写真法で作成した画像並みの高い品位を実現した画像(以後、単に「電子写真並みの画像」という)の記録の達成を試みた。その結果、インクジェット記録方法で記録した画像間での比較においては、確かに、2液システムを用いることで、文字品位や発色性、定着性などに優れた画像を得ることができた。しかし、電子写真法で出力した画像と、2液システムを用いたインクジェット記録方法で形成した画像とでモニターテストを行った結果、以下のことを認識するに至った。すなわち、特に、記録直後の画像濃度と、記録後一定時間が経過したときの画像濃度とが異なること(以後、色安定性と呼ぶ)に関しては、2液システムによっても、未だに電子写真並みの画像を得ることができていないことを認識した。
【0005】
したがって、本発明の目的は、従来から提案されている2液システムを用いて記録される画像よりも、色安定性を向上させ、かつ、電子写真で出力した画像にも匹敵するレベルの画像を記録できるインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の目的は、特に色安定性においても電子写真並みの画像形成が可能なインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、水不溶性色材を含有するインクと、該インクと接触することによって該インク中の水不溶性色材の分散状態を不安定化させる反応性成分を含有してなる液体組成物とを、記録媒体に付与することで記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクで画像を記録する工程の前後に、前記液体組成物を記録媒体に付与する工程をそれぞれ有することを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0007】
また、本発明の別の実施形態は、水不溶性色材を含有してなるインクと、該インクと接触することによって該インク中の水不溶性色材の分散状態を不安定化させる反応性成分を含有してなる液体組成物とを、記録媒体に付与させて記録を行うためのインクジェット記録装置であって、前記インクで画像記録を行う前後の段階に、前記液体組成物を記録媒体にそれぞれ付与させるための手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来から提案されている2液システムを用いて記録した画像よりも、色安定性が向上し、かつ、電子写真で出力した画像にも匹敵するレベルの高品位な画像形成が可能なインクジェット記録方法が提供される。また、本発明によれば、カラーブリーディングが抑制され、特に色安定性においても電子写真並みの画像の形成が可能なインクジェット記録装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
先ず、本発明に至った経緯について説明する。本発明者らは、インクジェット記録方法において、電子写真並みの画像を記録することを目的とし、以下の検討を行い、下記の問題点を再認識した。すなわち、塗布ローラーなどを用いて多価金属イオンを含有する液体組成物を記録媒体に付与した後に、該記録媒体にインクジェット方式でインクを付与し画像を記録させる方法(2液システム)についての詳細な検討を行った。その結果、この方法によっても、記録後の経時における画像の色安定性に関しては、未だに電子写真法で出力した画像(以下、電子写真画像と呼ぶ)と比較して改善の余地があることを再認識した。
【0010】
上記した従来の2液システムを用いて記録した画像において、電子写真画像と比較した場合に、特に、色安定性が十分ではない理由としては、以下のことが考えられる。先ず、反応性成分を含有してなる液体組成物を用いることなく、インクのみによって記録を行う通常のインクジェット記録方法(1液システム)で得られる画像では、以下のように色安定には記録後時間を要することが想像される。すなわち、1液システムで、水不溶性色材を含有する低浸透性のインクを使用した場合は、記録媒体にインクが付着した後、インク中の水分が蒸発し、その過程で水不溶性色材の凝集が起こり、その凝集が完了した時点で色が安定すると考えられる。このため、色安定には記録後時間を要することが想像される。これに対し、1液システムで、インクの静的表面張力を下げることによって高浸透性としたインクを用いた場合は、インクを記録媒体に付与した後、水性媒体と水不溶性色材とが容易に固液分離されるため、色安定を促進させることができる。しかし、このような浸透性の高いインクを用いると、特に文字などの記録に用いるブラックインクにおいては、紙の繊維に沿って2次元的にひげ状のにじみ(フェザリング)が発生し、結果として、電子写真画像と同等の高品位画像を得ることが困難となる。
【0011】
2液システムは、上記した1液システムにおける課題を解決するために開発された技術であるが、先に述べたように、従来の2液システムでは、特に形成画像の色安定性に関し、電子写真並みの画像が得られていない。その理由は、以下に述べるようであると考えられる。反応性成分を含む液体組成物を記録媒体に付与した後に、該記録媒体にインクを付与して画像記録をする2液システムで、水不溶性色材を含有するインクを使用した場合、記録媒体に付与されたインクは、記録媒体上の比較的表面にとどまる。このため、インク滴の比較的下部では反応性成分を含有する液体組成物と反応するが、インク滴の比較的上部では液体組成物と反応しない部分が発生する。従来の2液システムではこのような状態となるため、先に述べた1液システムで低浸透性のインクを用いた場合と同様に、水分が蒸発して水不溶性色材の凝集が完了するまで、画像の色安定は完了しないこととなる。このことが、従来の2液システムを用いて形成した画像であっても、電子写真画像と比較して色安定性が劣ると認識される理由であると考えられる。
【0012】
本発明者らは、インクジェット記録における2液システムをさらに改善し、2液システムで形成した画像の色安定性をより向上させることを目的として検討を進めた結果、本発明に至ったものである。本発明者らは、水不溶性色材を含むインクを用いた2液システムで形成した画像の色安定性を向上させるには、該インクを記録媒体に付与する工程の前後の各段階で、それぞれに反応性成分を含む液体組成物を記録媒体に付与することが有効であることを見出した。すなわち、記録媒体上に付与されたインクを、上下から、反応性成分を含有する液体組成物で挟み、これらを反応させることで水不溶性色材の分散状態を破壊し、凝集させることで、下記の効果が得られたと考えられる。上記構成とすれば、従来の2液システムの場合のように、液体組成物と反応しない部分が発生し、水分が蒸発して水不溶性色材の凝集が完了するまで画像の色安定は完了しない、といった事態とはならず、水分の蒸発が完了せずとも記録物は色安定される。この結果、本発明のインクジェット記録方法によれば、色安定性に関しても、電子写真並みの画像を記録することが可能となる。本発明では、インクを記録媒体に付与する前後で、それぞれ液体組成物を記録媒体に付与するが、以下、インクを記録媒体に付与する前の段階での液体組成物の付与を前付与工程と呼び、インク付与した後の段階での液体組成物の付与を後付与工程と呼ぶ。
【0013】
上述のように、2液を用いたインクジェット記録方法において、特に色安定性に関して電子写真画像にも匹敵するレベルの画像を得るためには、インクを記録媒体に付与する前後のそれぞれの段階で、液体組成物を記録媒体に付与することが必要である。また、本発明者らは検討の過程で、2液を用いたインクジェット記録方法の構成を上記のようにした場合であっても、後段における液体組成物の付与工程において、液体組成物を多く付与し過ぎると、コックリングなどの弊害が起こる場合があるとの認識を得た。ここで、コックリングとは、水分などの影響により、得られた記録物が波打った状態になる現象のことである。本発明者らは、上記の認識をもってさらに検討した結果、この問題については、特に後付与工程で用いた液体組成物の水の含有量が影響しており、該液体組成物中の水の含有量が少ない場合に、このような弊害の発生を抑制できることを見出した。より具体的には、後付与工程で記録媒体に付与させる液体組成物中における水の含有量を、前付与工程で記録媒体に付与させる液体組成物中における水の含有量よりも少なくすることが有効であることを見出した。すなわち、このように構成すれば、液体組成物とインクとの反応性を向上させることができ、コックリングなどの弊害を起こすことなく、より色安定性を向上させることが可能になる。
【0014】
また、本発明者らは、2液システムの問題として、液体組成物に含まれる反応性成分が記録媒体上で不均一状態となることによって画像ムラを生じる場合があるが、この問題の改善は、以下のようにすることで解決できると推測し、検討を行った。先ず、記録媒体上に付与する液体組成物をできるだけ広範囲にムラなく拡散させ、液体組成物の反応性成分の分布状態を均一にすることが、画像ムラの抑制に有効であると考えられる。また、記録媒体上に点在する無数のパルプに含まれる他の部分よりも疎水性の高い導管部分(ベッセル)が、液体の付着を妨げることが判明し、このことが、画像ムラを生じさせる原因の1つであると推測された。したがって、このベッセル部分への液体の付着を促進するために、記録媒体内への液体の浸透が開始される際に、液体の表面張力が適度に低くなるようにすることも、画像ムラの抑制に有効であると考えられる。本発明者らがさらに検討を進めた結果、本発明では、その寿命時間5,000m秒における動的表面張力が38mN/m以下である液体組成物を用いることが好ましいことを見い出した。本発明者らのさらなる検討の結果、液体組成物の寿命時間5,000m秒における動的表面張力が、36mN/m以下であることがより好ましく、また、30mN/m以上であることが好ましいことがわかった。なお、寿命時間5,000m秒における動的表面張力が30mN/mよりも小さいと、画像品位が低下する場合や、インクの裏抜けが目立ち始める場合がある。
【0015】
本発明において規定した液体組成物の寿命時間5,000m秒における動的表面張力は、最大泡圧法を用いて測定することができる。最大泡圧法とは、以下の方法のことである。具体的には、測定する液体中に浸したプローブ(細管)の先端部分で形成された気泡を放出するために必要な最大圧力を測定して、該最大圧力から表面張力を求める方法のことである。また、寿命時間とは、最大泡圧法において、プローブの先端部分で気泡を形成する際に、気泡が先端部分から離れた後に新しい気泡の表面が形成された時点から、最大泡圧時(気泡の曲率半径とプローブ先端部分の半径が等しくなる時点)までの時間である。なお、本発明における動的表面張力の値は、25℃において測定した値である。
【0016】
特に、文字などの記録に用いるブラックインクを用いてインクジェット記録を行う場合に、電子写真並みの高速記録で、かつ、高画像濃度を達成した画像の形成を実現させるためには、比較的大きなインク滴を吐出させることが有効である。さらに、この場合に、電子写真画像並みにフェザリングの発生を抑えるには、低浸透性のブラックインクを使用することが有効であることを見出した。これは、低浸透性のインクは記録媒体に染み込みにくいため、記録媒体への付着直後において、インクは記録媒体上の比較的表面にとどまり、下記のような挙動を示すと考えられるからである。先ず、記録媒体上の比較的表面にとどまった状態でインクが液体組成物と接触すると、液体組成物中の反応性成分がインク中の水不溶性色材などの分散状態を破壊し、水不溶性色材などの成分を凝集させる。これにより、インクは、記録媒体上に強固に付着されることとなり、結果として、画像のフェザリングの発生が抑制される。以上のことから、本発明者らが検討を進めた結果、本発明において、ブラックインクを用いる場合には、ブラックインクの静的表面張力が、38mN/m以上であることが好ましいことがわかった。なお、本発明者らのさらなる検討の結果、ブラックインクの静的表面張力が、40mN/m以上であることがより好ましいことがわかった。なお、本発明において、ブラックインクの静的表面張力の測定は、例えば、プレート法を利用した一般的な表面張力計を用いて行うことができる。本発明における静的表面張力の値は、25℃において測定した値である。
【0017】
なお、当業者であれば、通常、上記のような物性を持つインクを記録媒体に付着させた後、反応性成分を含有する液体組成物を記録媒体に付与すれば、本発明者らが理想としている色安定性や電子写真並みの画像が実現可能であると推測すると考えられる。しかしながら、本発明者らの検討結果によれば、このような方法で記録された記録物では、特にブリーディングや画像ムラに関して、電子写真並みの画像が得られない場合があった。本発明のインクジェット記録方法によれば、上記のような従来の方法では達成することができなかったブリーディングや画像ムラの発生の抑制に関しても、電子写真並みの優れた画像を得ることができる。
【0018】
(液体組成物の記録媒体への付与手段)
本発明において、液体組成物を記録媒体に付与する方法には、ローラーコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法などによる塗布方法が挙げられる。また、インクと同様にインクジェット方式を用い、インクが付着する画像記録領域及び画像記録領域の近傍のみに液体組成物を選択的に付着せしめる付与方法も可能である。本発明者らが、液体組成物の記録媒体への付与方法を検討した結果、ローラーコーティング法が最も優れているという見解に至った。これは、記録媒体表層部近傍における反応性成分の分布状態が他の手段よりも均一とすることができるため、インク付与後のベタ均一性、さらには裏抜け性などの画質が優れているためである。
【0019】
本発明において、液体組成物の付与にローラーコーティング法を用いる場合の液体組成物の粘度は、1mPa・s以上100mPa・s以下、さらには、4mPa・s以上20mPa・s以下であることが、塗布の安定性の観点から好ましい。なお、液体組成物の記録媒体への塗布量などは、液体組成物の物性や塗布装置に使用されている塗布ローラーの回転速度及び塗布ローラーの記録媒体への接触圧などにより適宜調整可能である。
【0020】
(液体組成物の付与量)
本発明者らの検討によれば、インクの付与前後に2段階で付与する記録媒体への液体組成物の付与量は、前付与工程で付与される液体組成物の付与量が、後付与工程で付与される液体組成物の付与量と同じかそれ以上とすることが好ましい。さらには、前付与工程における液体組成物と、後付与工程における液体組成物との付与量比が、20:1乃至5:5の範囲であることがより好ましい。後付与工程における液体組成物の付与量が少なすぎると十分な色安定性は得られない場合があり、前付与工程における液体組成物の付与量が少なすぎるとフェザリング/ブリーディングといった画像品位が得られない場合もある。また、インクの付与前後に2段階に分けて付与される記録媒体への液体組成物の付与量の合計は、1.5g/m2よりも多く、かつ、3.0g/m2以下であることが好ましい。
【0021】
前記したように、本発明においては、後付与工程で記録媒体に付与させる液体組成物中における水の含有量を、前付与工程で記録媒体に付与させる液体組成物中における水の含有量よりも少なくすることが好ましい。また、記録媒体に付与される液体組成物中における水の含有量の調整は、ヒーターなどで加熱することで行ってもよいし、はじめから水の含有量が異なる2種類の液体組成物を使用することで行ってもよい。つまり、付与された液体組成物中における水の含有量の調整さえ可能であれば、その方法に特に制限はない。以下、本発明のインクジェット記録方法に用いるインク及び液体組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
【0022】
<液体組成物>
本発明で使用する液体組成物は、画像形成する際に併用するインク中の水不溶性色材の分散状態を不安定化させる反応性成分を含有してなる。本発明において、液体組成物は、色材を含有せず、透明であることが好ましいが、必ずしも可視域に吸収を示さないものである必要はない。すなわち、可視域に吸収を示すとしても、実質上、画像に影響を与えない範囲であれば可視域に吸収を示すものであってもかまわない。以下、本発明で使用する液体組成物を構成する各成分について説明する。
【0023】
(反応性成分)
先ず、インク中の水不溶性色材の分散状態を不安定化させる反応性成分について説明する。本発明でいう反応性成分とは、インク中の水不溶性色材の分散安定性を低下させる機能を有するものを意味する。より具体的には、水不溶性色材が分散されているインクと液体組成物とを混合させた場合に、水不溶性色材の凝集やゲル化といった状態を引き起こすものを指す。このような反応性成分を含む液体組成物を用いることで、水不溶性色材が親水性基の作用によって分散又は溶解されているインクと、液体組成物とが記録媒体上で接触した際に、水不溶性色材の分散安定性が低下し、水不溶性色材を凝集させることができる。
【0024】
本発明で使用し得る反応性成分の具体例としては、多価金属塩(多価金属イオン又はその塩)、カチオン性低分子化合物、及び、カチオン性高分子化合物が挙げられる。以下、これらの成分について詳述する。
【0025】
多価金属イオンは、具体的には、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+及びBa2+などの2価の金属イオンや、Al3+、Fe3+、Cr3+及びY3+などの3価の金属イオンが挙げられる。なお、本発明においては、上記で記載したように、インク中の色材と、液体組成物中の反応性成分との反応性が強すぎると、記録される画像のベタ均一性が低下する傾向にある。したがって、多価金属イオンとしては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+及びBa2+などの2価の金属イオンが好ましく、より好ましくはCa2+が好ましい。前記の多価金属イオンを液体組成物中に含有させる方法には、液体組成物中に多価金属塩を添加する方法が挙げられる。また、前記塩とは、上記に挙げた多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンで構成される金属塩のことであるが、水に可溶であることを要する。塩を形成するための好ましい陰イオンは、例えば、Cl-、NO3-、I-、Br-、ClO3-、SO42-、CO32-、CH3COO-及びHCOO-などが挙げられる。なお、液体組成物中において、塩はイオンに解離して存在することがあるが、この場合も、便宜上「塩を含有する」と記載する。
【0026】
本発明において、液体組成物中における多価金属イオンの含有量(質量%)は、本発明にかかる効果を考慮すると、液体組成物全質量を基準として、0.01質量%以上10.0質量%以下、さらには1.0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。特に、インクに含有される水不溶性色材の分散状態を不安定化させる機能を充分に発揮させ、高いレベルの画像濃度を得るためには、多価金属イオンの含有量(質量%)が、液体組成物全質量を基準として、2.0質量%以上4.0質量%以下であることが好ましい。なお、液体組成物中における多価金属イオンの含有量は、10.0質量%を超えてもかまわない。しかし、多価金属イオンの含有量が10.0質量%よりも多くなっても、水不溶性色材の分散状態を不安定化させる機能の著しい増大は望めないこと、などの理由から、通常は過剰に含有させる必要はない。
【0027】
カチオン性低分子化合物は、具体的には、例えば、以下のようなものが挙げられる。1級、2級、或いは3級アミン塩型のラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミンなどの塩酸塩、酢酸塩。第4級アンモニウム塩型のラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム。ピリジニウム塩型のセチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド。イミダゾリン型の2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリンや高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物であるジヒドロキシエチルステアリルアミンなどが挙げられる。
【0028】
カチオン性高分子化合物は、具体的には、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミンスルホン酸塩、ポリビニルアミン塩酸塩、キトサン酢酸塩などを挙げることができる。また、この他に、ノニオン性高分子物質の一部をカチオン化したビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレート4級塩との共重合体、アクリルアマイドとアミノメチルアクリルアマイド4級塩との共重合体などが挙げられる。勿論、本発明は、これらの化合物に限定されない。また、本発明において、液体組成物中におけるカチオン性低分子化合物やカチオン性高分子化合物の含有量(質量%)は、本発明の効果を考慮すると、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下とすることが好ましい。
【0029】
(界面活性剤)
本発明で使用する液体組成物は、上記した反応性成分以外の成分として、必要に応じて界面活性剤が含有されていてもよい。本発明において、液体組成物中に含有させることのできる界面活性剤は、本発明の目的及び効果を損なうものでなければよく、特に限定されない。例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0030】
本発明において、液体組成物中における界面活性剤の含有量(質量%)は、本発明が液体組成物に所望する特性を満足していれば、特に制限されるものではない。例えば、液体組成物全質量を基準として、0.05質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0031】
(水性媒体)
本発明に使用する液体組成物は、水及び水溶性有機溶剤で構成される水性媒体を含有するものであることが好ましい。液体組成物中における水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、3.0質量%以上70.0質量%以下、さらには20.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
【0032】
水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第2ブタノール、第3ブタノールなどの炭素数1乃至4のアルカノール。N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン、又は、ケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル。グリセリン。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール。1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジチオグリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体などのグリコール類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類。ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物、尿素、及び、尿素誘導体などが挙げられる。
【0033】
また、水は、イオン交換水や純水を用いることが好ましい。液体組成物中における水の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、25.0質量%以上70.0質量%以下の範囲とすることが好ましい。
【0034】
(その他の成分)
本発明に使用する液体組成物は、さらに、上記の成分のほかに、必要に応じて、所望の物性値を持つ液体組成物とするために、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤などを添加することができる。
【0035】
<インク>
本発明に使用するインクは、少なくとも、水不溶性色材を含有してなるものである。また、本発明においては、2種以上のインクを組み合わせて用いてもよいが、この場合は、前付与工程及び後付与工程の間に、使用する全てのインクを付与する工程を行うように構成することが好ましい。以下、本発明に使用するインクを構成する各成分について説明する。
【0036】
(水不溶性色材)
本発明に使用するインクを構成する水不溶性色材としては、いずれのものも用いることができるが、中でも、顔料を用いることが好ましい。また、水不溶性色材の分散方法は、特に限定されず、下記に挙げるような形態のものをいずれも使用することができる。例えば、分散剤を用いる樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)。マイクロカプセル化して分散性を高めることで、分散剤などを用いることなく分散可能としたマイクロカプセル型顔料。顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)。顔料粒子の表面に高分子を有する有機基が化学的に結合されている、改質された顔料(樹脂結合型自己分散顔料)などである。もちろん、本発明では、分散方法の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。本発明において、インク中における水不溶性色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
【0037】
〔顔料〕
本発明において、インクに使用することのできる顔料は、特に限定されず、下記に挙げるようなものをいずれも使用することができる。
ブラックインクに使用される顔料としては、カーボンブラックが好適である。例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックをいずれも使用することができる。具体的には、例えば、レイヴァン:7000、5750、5250、5000ULTRA、3500、2000、1500、1250、1200、1190ULTRA−II、1170、125:5(以上、コロンビア製)。ブラックパールズ L、リーガル:400R、330R、660R、モウグル L、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000、ヴァルカン XC−72R(以上、キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上、デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)などの市販品を使用することができる。また、本発明のために別途新たに調製されたカーボンブラックを使用することもできる。しかし、本発明においては、これらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックをいずれも使用することができる。また、カーボンブラックに限定されず、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子や、チタンブラックなどをブラックインクの顔料として用いてもよい。
【0038】
有機顔料としては、具体的には、以下のようなものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。
【0039】
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、例えば、以下のようなモノを用いることができる。C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168、180など。C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61など。C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240など。C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50など。C.I.ピグメントブルー:9、15、15:3、15:1、15:4、15:6、22、60、64など。C.I.ピグメントグリーン:7、36など。C.I.ピグメントブラウン:23、25、26など。勿論、上記以外でも従来公知の有機顔料を用いることができる。
【0040】
(樹脂分散剤)
また、本発明において、顔料をインク中に分散させるための樹脂分散剤としては、水溶性を有する樹脂であればどのようなものでも使用することができる。好ましくは、重量平均分子量が1,000以上30,000以下の範囲のものが好ましく、さらには、3,000以上15,000以下の範囲のものである。このような樹脂分散剤として、具体的には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステルなど。(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド。及びその誘導体などから選ばれた少なくとも2つの単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。又は、ロジン、シェラック、デンプンなどの天然樹脂も好ましく使用することができる。これらの樹脂分散剤は、塩基を溶解させた水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型樹脂である。なお、これらの樹脂分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
【0041】
(水性媒体)
本発明で使用するインクは、水不溶性顔料が、水、或いは、水及び水溶性有機溶剤で構成される混合媒体中に分散されてなるものであることが好ましい。インク中における水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
【0042】
水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール。1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を有するアルキレングリコール類。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキルエーテルアセテート。グリセリン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0043】
また、水は、イオン交換水や純水を用いることが好ましい。インク中における水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
【0044】
(その他の成分)
本発明において、インクは、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性固形分を含有してもよい。これらの保湿性固形分のインク中における含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、インクは、上記成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤などの、種々の添加剤を含有させてよい。
【0045】
<インクジェット記録装置>
次に、インクジェット記録装置について説明する。本発明のインクジェット記録装置は、上記で説明した水不溶性色材を含むインクと、該水不溶性色材の分散状態を不安定化させる反応性成分を含有してなる液体組成物とを、記録媒体に付与させて記録を行う2液システムでの画像形成を行うものである。そして、インクで画像記録を行う前後の段階に、前記液体組成物を記録媒体にそれぞれ付与させるための手段を有することを特徴とする。
【0046】
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示すものである。この記録装置は、シリアル型のインクジェット記録方式を採用するものであり、以下の構成を有する。すなわち、記録ヘッド1と、記録媒体19を給紙するための給紙トレイ17と、液体組成物を塗布するための手段とが一体形成された給紙カセット16とを有する。さらに、インクジェット記録後に排紙された記録媒体に、液体組成物を塗布するための手段(不図示)が設けられており、インクの塗布前後で、それぞれ液体組成物が付与できる構造となっている。また、記録媒体の搬送方向と直交する方向へ記録ヘッドを往復移動させるための駆動手段と、これらの構成要素の駆動を制御する制御手段とを有する。
【0047】
記録ヘッド1は、インク吐出口が形成された面をプラテン11側に配向するようにしてキャリッジ2に搭載されている。図示しないが、記録ヘッド1は、上記インク吐出口と、インク液を加熱するための複数の電気熱変換体(例えば発熱抵抗素子)と、これを支持する基板を有する。なお、記録ヘッド1はその上部のキャリッジ2内にインクカートリッジを搭載している。
【0048】
キャリッジ2は、記録ヘッド1を搭載し、かつ記録媒体19の幅方向に沿って平行に延びる2本のガイド軸9に沿って往復移動することができる。また、記録ヘッド1は、このキャリッジ2の往復移動と同期して駆動し、インク液滴を記録媒体19に吐出して画像を記録する。給紙カセット16は、記録装置本体から着脱することができる。記録媒体19は、この給紙カセット16内の給紙トレイ17上に積載収納される。給紙時において、給紙トレイ17を上方向に押圧するスプリング18により最上位のシートが給紙ローラー10に圧接される。この給紙ローラー10は断面形状が概略半月形のローラーであり、図示しないモーターによって駆動回転し、不図示の分離爪により最上位の記録媒体19のみを給紙する。
【0049】
分離給紙された記録媒体19は、大径の中間ローラー12と、それに圧接している小径の塗布ローラー6とによって、給紙カセット16の搬送面とペーパーガイド27の搬送面とに沿って搬送される。これらの搬送面は、中間ローラー12と同心的な円弧を描くようにして湾曲した面からなる。したがって、記録媒体19は、これらの搬送面を通過することによって、その搬送方向を逆転する。すなわち、記録媒体19の記録がなされる面は、給紙トレイ17から搬送されて中間ローラー12に達するまでは、下方向を向いているが、記録ヘッド1に対向する時点では、上方向(記録ヘッド1側)を向く。したがって、記録媒体19の記録面は、常に記録装置外側方向に向いている。
【0050】
液体組成物の塗布手段は、給紙カセット16内に設けられており、以下の構成を有する。液体組成物を供給するための補充タンク22と、タンク22に周面の一部を浸した状態で回転自在に支持された中間ローラー12と、中間ローラー12と平行となるようにして配置され、かつ中間ローラー12と接触し、同一方向へ回転する塗布ローラー6を有する。また、塗布ローラー6は、記録媒体19を搬送するための中間ローラー12と周面が接触、かつ平行となるようにして配置している。したがって、記録媒体19が搬送される際、中間ローラー12の回転にともなって中間ローラー12及び塗布ローラー6が回転する。その結果、供給ローラー13によって塗布ローラー6の周面に前記液体組成物15が供給され、さらに塗布ローラー6と中間ローラー12とによって挟持された記録媒体19の記録面に満遍なく前記液体組成物が供給ローラー6によって塗布される。
【0051】
補充タンク22内には、フロート14が設けられている。このフロート14は、液体組成物15より比重の軽い物質であり、液体組成物の液面に浮かぶことにより透明部材である残量表示窓21をとおして外から反応成分を含有した液体組成物の残量を目視で確認できる。
【0052】
図2は残量表示部を正面から見た図である。残量表示部は、残量表示窓21の長手方向に沿って、残量の程度を表す表示が設けられている。図中、「Full」と表示された位置に液体組成物の液面又はフロート14が達している場合が満杯の状態である。一方、「Add」と表示された位置に液体組成物の液面又はフロート14がある場合、液体組成物が残り少ないことを示している。したがって、液体組成物15が徐々に減り、フロート14がAddラインまで下がった時に液体組成物を補充すればよいことが一目瞭然でわかる。
【0053】
液体組成物の補充方法は、図3に示すように、給紙カセット16を記録装置本体から引き出した状態で、注入機具23の先端を切れ目の入ったゴム部材で構成される注入口20に差し込むことにより補充タンク22内に液体組成物を注入するものである。
【0054】
このように、液体組成物が塗布された記録媒体は、図1に示すように、その後、主搬送ローラー7とそれに圧接しているピンチローラー8により所定量送られて記録部へと搬送され、記録ヘッド1からインクを付与される。以上の構成において給紙、記録された記録シート19は、排紙ローラー3とこれに圧接する拍車4とによって排出搬送され、排紙トレイ5上にスタックされる。その後、さらに、液体組成物を、ローラーコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、インクジェット法などの付与方法(不図示)を用いて、記録媒体上のインクが付与された領域に付与する。例えば、後付与工程の液体組成物をローラーコーティング法により記録媒体に付与する場合は、図1に示すような塗布ローラーなどの構成を装置にさらに追加してもよい。又は、図1に示すような装置を用いて、インクが付与された記録媒体を再度塗布機構の部分を通過させることなどにより後付与工程を行ってもよい。
【0055】
また、液体組成物をローラーなどにより付与する場合には、特に液体組成物の粘度をインクの粘度よりも高くする方が、少ない付与量でインクを効果的に不安定化でき、かつ記録物の定着性などにも良いために好ましい。
【0056】
図4に、インクジェット記録装置の別の一例を示す。以下説明するように、本発明においては、液体組成物とインクの両方をインクジェット方式により、記録媒体に付与させてもよい。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、また、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0057】
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。さらに、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面の水分、塵埃などの除去が行われる。また、キャップを介して不図示のポンプによって記録へッドの各インク、さらには、液体組成物の吐出口の位置しているインクなどを吸引して、記録ヘッド本来のインク、又はインク及び液体組成物の本来の吐出性能を回復させる回復系ユニットを構成している。
【0058】
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。51は記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。
【0059】
これらの構成により記録ヘッドの65吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。なお、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。
【0060】
上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0061】
図5は、記録ヘッドにインク又は液体組成物を供給する部材、例えば、チューブを介して供給されるインク又は液体組成物を収容したカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用のインク又は液体組成物を収納した収容部、例えば、袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、袋40中のインク又は液体組成物をヘッドに供給可能にする。44は廃インク又は廃液体組成物を受容する吸収体である。収容部40はインク又は液体組成物との接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。このようなカートリッジ45は、例えば、図6に示したように、インク又は液体組成物を吐出せしめる記録ヘッド901に着脱可能に構成されてなる。さらに、カートリッジ45は、カートリッジ45を記録ヘッドに装着した状態ではインク又は液体組成物が記録ヘッド901に供給されるように構成されている。
【0062】
上記では、液体組成物をローラーコーティング法、インクをインクジェット法でそれぞれ記録媒体に付与して記録画像を形成させる形態(図1)や、液体組成物及びインクを共にインクジェット法で付与して記録画像を形成させる形態(図4)について説明した。しかし、本発明に適用できる形態はこれらに限られるものではない。すなわち、先にローラーコーティング法で液体組成物を記録媒体に塗布した後に、インクジェット法でインクによる記録を行い、その後にインクジェット法で液体組成物を付与する構成としてもよい。又は、先にインクジェット法で液体組成物に続いてインクを記録媒体に付与した後、ローラーコーティング法で液体組成物を記録媒体に塗布する構成としてもよい。さらには、インク及び液体組成物を共にインクジェット法で吐出させる際に、記録ヘッドの配列や付与順序を工夫することなどにより、所望の順序でこれらを記録媒体に付与する構成とすることもできる。
【実施例】
【0063】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。なお、文中「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0064】
また、本実施例において、ブラックインクの静的表面張力は、プレート法により測定を行う、CBVP−Z(協和界面化学製)を用いて、25℃環境下で測定した。また、液体組成物の寿命時間5,000m秒における動的表面張力は、最大泡圧法により測定を行う、BP−D4(協和界面化学製)を用いて、25℃環境下で測定した。
【0065】
<顔料分散体の調製>
(顔料分散体1)
カーボンブラック10部、ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤)40部、及び純水50部で構成される混合液を、サンドミル(金田理化工業製)を用いて分散した。この際の分散条件は、0.6mm径のジルコニアビーズを充填率70%とし、回転数1,500rpmで5時間とした。その後、回転数5,000rpmの条件で10分間遠心分離を行い、凝集成分を除去することで、顔料分散体1を調製した。なお、カーボンブラックは、比表面積220m2/g、DBP吸油量130ml/100gのものを用いた。ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体は、重量平均分子量7,000、酸価130mgKOH/gのものを、予め、水及び上記の酸価と当量の水酸化カリウムを加えて80℃にて撹拌し、20%水溶液としたものを使用した。このようにして得られた顔料分散体1中の固形分の含有量は約18%、顔料の平均粒径は98nmであり、顔料は安定に分散されていた。
【0066】
(顔料分散体2)
C.I.ピグメントイエロー180(クラリアント製)10部、スチレン−アクリル酸共重合体(樹脂分散剤)40部、及び純水50部で構成される混合液を、サンドミル(金田理化工業製)を用いて分散した。この際の分散条件は、0.6mm径のジルコニアビーズを充填率70%とし、回転数1,500rpmで5時間とした。その後、回転数5,000rpmの条件で10分間遠心分離を行い、凝集成分を除去することで、顔料分散体2を調製した。なお、スチレン−アクリル酸共重合体は、重量平均分子量7,000、酸価130mgKOH/gのものを、予め、水及び上記の酸価と当量の水酸化カリウムを加えて80℃にて撹拌し、20%水溶液としたものを使用した。このようにして得られた顔料分散体2中の固形分の含有量は約18%、顔料の平均粒径は100nmであり、顔料は安定に分散されていた。
【0067】
<インクの調製>
下記表1に示す組成により各成分を混合して、十分に撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのポリプロピレンフィルター(ポール製)にて加圧ろ過し、各インクをそれぞれ調製した。
【0068】

【0069】
<液体組成物の調製>
下記表2に示す組成により各成分を混合して、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのポリプロピレンフィルター(ポール製)にて加圧ろ過し、各液体組成物をそれぞれ調製した。
【0070】

【0071】
上記で得られた液体組成物1の水分を15%減少させて、液体組成物3を得た。得られた液体組成物3の寿命時間5,000m秒における動的表面張力は30.0mN/mであった。
【0072】
<評価>
下記表3に示す組み合わせのインク及び液体組成物からなるセットを用い、図1に示す構成のインクジェット記録装置を用い、以下の手順で各種の画像を記録し、下記の各評価を行った。先ず、塗布ローラー6を用いて、ローラーコーティング法により、液体組成物を記録媒体に塗布した(この際に塗布した液体組成物を「前付与の液体組成物」と呼ぶ)。液体組成物が記録媒体に定着した直後に、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する構成の記録ヘッド1を用いて、インクジェット法により、インクを記録媒体に付与した。その後、さらに、塗布ローラーを用いて、ローラーコーティング法により、液体組成物を記録媒体に塗布した(この際に塗布した液体組成物を「後付与の液体組成物」と呼ぶ)。なお、上記で用いたインクジェット記録装置は、キヤノン製のインクジェット記録装置(MX7600)を改良したものである。
【0073】
上記の画像記録では、前付与の液体組成物と後付与の液体組成物との記録媒体への付与量比が下記表3に示す通りとなるように、また、前付与の液体組成物と後付与の液体組成物の付与量の合計が2.2g/m2になるようにそれぞれ調整した。また、これらの調整は、塗布ローラーの速度及び塗布ローラーの記録媒体への接触圧を調整することで行った。また、記録媒体としては、ベタ画像を記録する場合にはA4サイズのXerox4024(Xerox製)を、それ以外の場合にはA4サイズのSW−101(キヤノン製)を使用した。
【0074】
(色安定性)
各セットを構成するインクのうち、ブラックインク(インク1〜3)を用いて、上記した手順により、2cm×2cm/1ラインのベタ画像を記録した。得られた画像について、反射濃度計マクベスRD−918(マクベス製)を用いて、記録が終了してから30秒後及び1日後の画像濃度をそれぞれ測定して、色安定性の評価を行った。評価基準は下記の通りである。評価結果を下記表4に示す。
A:30秒後及び1日後の画像濃度に差がない
B:30秒後及び1日後の画像濃度に差があるが、許容できる
C:30秒後及び1日後の画像濃度に明らかな差があり、許容できない
【0075】
(コックリング)
各セットを構成するインクのうち、ブラックインク(インク1〜3)を用いて、先で述べたと同様の手順により、A4サイズの全面に、記録デューティが100%である画像を記録した。得られた記録物を目視で観察して、コックリングの評価を行った。評価基準は下記の通りである。評価結果を下記表4に示す。なお、コックリングの状態は評価基準でB以上が許容できるレベルである。
A:記録直後から、記録物に殆ど波打ちがない
B:記録直後には記録物に多少の波打ちが発生したが、12時間経過した後には波打ちが消えた
C:記録直後から、記録物が大きく波打った状態であり、12時間経過した後にも波打ちが消えていない
【0076】
(フェザリング/ブリーディング)
・フェザリング
各セットを構成するインクのうち、ブラックインク(インク1〜3)を用いて、先で述べたと同様の手順により、0.25ポイントの罫線を記録した。得られた画像について、パーソナル画像品質評価システムPersonal IAS(Quality Engineering Associates製)を用いて、罫線のエッジのラジェットネス値を測定した。得られたラジェットネス値により、フェザリングの評価を行った。評価基準は下記の通りである。
○:ラジェットネス値が14未満
×:ラジェットネス値が14以上
【0077】
・ブリーディング
各セットを構成するインクのうち、ブラックインク(インク1〜3)とイエローインク(インク4)とを用いて、先で述べたと同様の手順により、2cm×2cmのブラックのベタ画像と2cm×2cmのイエローのベタ画像が隣接した画像を記録した。得られた画像について、パーソナル画像品質評価システムPersonal IAS(Quality Engineering Associates製)を用いて、ブラックのベタ画像とイエローのベタ画像との境界部のラジェットネス値を測定した。得られたラジェットネス値により、ブリーディングの評価を行った。評価基準は下記の通りである。
○:ラジェットネス値が17未満
×:ラジェットネス値が17以上
【0078】
ブリーディング/フェザリングの評価結果は、上記2つの評価でどちらも○のものをA、どちらか1つでも×があるものはB、どちらも×のものをCとした。評価結果を下記表4に示す。
【0079】
(画像ムラ)
各セットを構成するインクのうち、ブラックインク(インク1〜3)を用いて、先で述べたと同様の手順により、2cm×15cm/1ラインの横縞模様の画像を記録した。得られた画像を目視で確認して、画像ムラの評価を行った。評価基準は下記の通りである。評価結果を下記表4に示す。
A:画像ムラが問題ないレベルである
B:多少画像ムラはあるが、許容できるレベルである
C:画像ムラが、許容できないレベルである
【0080】

【0081】

【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】インクジェット記録装置の一例を示す概略側断面図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置に設けられた液体組成物残量表示部の正断面図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置への液体組成物の補充状態を示す概略側断面図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す概略斜視図である。
【図5】インクカートリッジの一例を示す縦断面図である。
【図6】インクカートリッジが記録ヘッドに装着された状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0083】
1:記録ヘッド
2:キャリッジ
3:排紙ローラー
4:拍車
5:排紙トレイ
6:塗布ローラー
7:主搬送ローラー
8:ピンチローラー
9:ガイド軸
10:給紙ローラー
11:プラテン
12:中間ローラー
13:供給ローラー
14:フロート
15:液体組成物
16:給紙カセット
17:給紙トレイ
18:スプリング
19:記録媒体
20:注入口
21:残量表示窓
22:補充タンク
23:注入機具
27:ペーパーガイド
40:袋
42:栓
44:吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
901:記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水不溶性色材を含有するインクと、該インクと接触することによって該インク中の水不溶性色材の分散状態を不安定化させる反応性成分を含有してなる液体組成物とを、記録媒体に付与することで記録を行うインクジェット記録方法であって、
前記インクで画像を記録する工程の前後に、前記液体組成物を記録媒体に付与する工程をそれぞれ有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項2】
前記インクで画像を記録する工程の前の段階で記録媒体に付与される前記液体組成物の付与量が、前記インクで画像を記録する工程の後の段階で記録媒体に付与される前記液体組成物の付与量と、同じかそれ以上である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】
前記インクで画像を記録する工程の後の段階で記録媒体に付与される前記液体組成物中における水の含有量が、前記インクで画像を記録する工程の前の段階で記録媒体に付与される前記液体組成物中における水の含有量よりも少ない請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
【請求項4】
前記液体組成物の記録媒体への付与を、塗布ローラーによって行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】
前記液体組成物が、反応性成分として、多価金属イオンを含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項6】
前記液体組成物の寿命時間5,000m秒における動的表面張力が、38mN/m以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項7】
前記インクとして、静的表面張力が38mN/m以上のブラックインクを含む2種以上のインクを用いる請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項8】
水不溶性色材を含有してなるインクと、該インクと接触することによって該インク中の水不溶性色材の分散状態を不安定化させる反応性成分を含有してなる液体組成物とを、記録媒体に付与させて記録を行うためのインクジェット記録装置であって、
前記インクで画像記録を行う前後の段階に、前記液体組成物を記録媒体にそれぞれ付与させるための手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−120330(P2010−120330A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297786(P2008−297786)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】