説明

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

【課題】所定の画像を記録するために吐出された光硬化型インクに対して適切に光を照射し、好適な画像品質を確保可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】搬送部によって搬送される記録媒体が、記録開始位置に到達したことを第1検知センサで検知し、ここから、所定の画像の記録が終了するまでの、記録媒体の搬送量の積算値をカウントし、第2検知センサで記録媒体を検知し、第1待機時間t1待機した後(S128)、光の照射を開始し(S130)、また、記録媒体の搬送量の積算値に基づき算出された第2待機時間t2待機した後(S132)、光の照射を停止することとした(S134)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化型インクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光硬化型インクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録に関する技術(構成)が提案されている。例えば、光照射装置による光照射面積を調整することのできるインクジェット記録装置が提案されている。このインクジェット記録装置は、インク吐出口が配設されている記録ヘッドと、記録媒体と記録ヘッドとを相対移動させる相対移動手段と、記録ヘッドによって吐出されたインクに対して光を照射する光源をインク吐出口に対応するように備える光照射装置と、を備え、光照射装置には、それぞれの光源から照射された光の記録媒体上での照射面積を記録ヘッドによるインク吐出に対応するように調整する照射面積調整手段が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−224337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光硬化型インクを用いて所定の画像を記録した場合、記録媒体に吐出された光硬化型インクに対して、光を照射する必要があるところ、光の照射については、種々の手法が存在すると考えられる。ただし、いずれの手法を採用する場合においても、光硬化型インクに対して適切に光が照射され、好適な画像品質が確保されなければならない。なお、常に光を照射し続けるといった手法も考えられるが、常に発生する光の漏れなどを考慮すると、これに対する対策が別途必要となる。
【0005】
本発明は、所定の画像を記録するために吐出された光硬化型インクに対して適切に光を照射し、好適な画像品質を確保可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みなされた本発明は、所定の画像を記録するために吐出された光硬化型インクを硬化させるための光の照射のタイミングを、記録ヘッドより記録媒体の搬送方向下流側での記録媒体の検知と、所定の画像の記録に際し、記録媒体が搬送された搬送量を積算した積算値とにしたがって制御することとしたものである。
【0007】
本発明を反映した第1の課題解決手段は、外部装置から入力される柄データと搬送量データとにしたがって、ノズルが形成された記録ヘッドを、記録ヘッド移動部を介して主走査方向に移動させながら、前記ノズルから光硬化型インクを吐出し、前記光硬化型インクが吐出された記録媒体を、搬送部を介して主走査方向に直交する搬送方向に搬送して、前記記録媒体に所定の画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記所定の画像の記録に際し、前記搬送部による前記記録媒体の搬送方向への搬送量を積算し、前記搬送量の積算値を管理する管理部と、前記記録ヘッドより搬送方向下流側の所定の位置で、前記搬送部によって搬送された前記記録媒体を検知する検知センサと、前記検知センサより搬送方向下流側に設置され、前記搬送部によって搬送された前記記録媒体上に吐出された前記光硬化型インクに光を照射する光照射部と、前記検知センサによる前記記録媒体の検知と、前記積算値とにしたがって、前記光照射部による光の照射のタイミングを制御する光照射制御部とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0008】
これによれば、所定の画像が記録された記録媒体の検知と、所定の画像の記録に際し、記録媒体が搬送された搬送量を積算した積算値とにしたがって、光照射部による光の照射のタイミングを制御することができる。
【0009】
第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段のインクジェット記録装置であって、前記外部装置から入力された前記柄データと前記搬送量データのうち、前記柄データに前記光硬化型インクの吐出信号が含まれていない場合、前記記録ヘッド移動部による前記記録ヘッドの移動を実行せずに、前記搬送部による前記記録媒体の搬送方向への搬送が、前記搬送量データにしたがって実行されるように、前記記録ヘッド移動部と前記搬送部とを制御する不吐出搬送制御部を備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、記録媒体への所定の画像の記録を効率よく行うことができる。換言すれば、インクジェット記録装置で実行されるインクジェット記録についての生産性を向上することができる。
【0011】
第3の課題解決手段は、光硬化型インクによって記録媒体に所定の画像を記録するインクジェット記録方法であって、外部装置から入力される柄データと搬送量データとにしたがって、ノズルが形成された記録ヘッドを、記録ヘッド移動部を介して主走査方向に移動させながら、前記ノズルから光硬化型インクを吐出し、前記光硬化型インクが吐出された記録媒体を、搬送部を介して主走査方向に直交する搬送方向に搬送する吐出搬送工程と、前記所定の画像の記録に際し、前記搬送部による前記記録媒体の搬送方向への搬送量を積算し、前記搬送量の積算値を管理する管理工程と、前記記録ヘッドより搬送方向下流側の所定の位置に設置された検知センサで、前記搬送部によって搬送された前記記録媒体を検知する検知工程と、前記検知センサより搬送方向下流側に設置された光照射部で、前記搬送部によって搬送された前記記録媒体上に吐出された前記光硬化型インクに光を照射する光照射工程とを含むとともに、前記光照射工程では、前記光照射部による光の照射のタイミングが、前記検知センサによる前記記録媒体の検知と、前記積算値とにしたがって制御されることを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0012】
これによれば、所定の画像が記録された記録媒体の検知と、所定の画像の記録に際し、記録媒体が搬送された搬送量を積算した積算値とにしたがって、光照射部による光の照射のタイミングを制御することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定の画像を記録するために吐出された光硬化型インクに対して適切に光を照射し、好適な画像品質を確保可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)はインクジェット記録装置の平面図であり、(b)は側面図である。
【図2】インクジェット記録処理のフローチャートを示す図である。
【図3】インクジェット記録処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を反映した上記課題解決手段を実施するための実施形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。上記課題解決手段は以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。
【0016】
(インクジェット記録装置の構成)
インクジェット記録装置100について、図1を参照して説明する。なお、図1は、インクジェット記録装置100の概略構成を示した図である。インクジェット記録装置100は、走査型のインクジェット記録装置である。インクジェット記録装置100では、光の照射によって硬化する光硬化型インク、例えば、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インクが用いられ、これによって、所定の画像が、布帛、金属板、樹脂板、外壁材(窯業系サイディング材など)その他の記録媒体200に記録される。インクジェット記録装置100は、記録ヘッド110と記録ヘッド移動部120と搬送部130と光照射部140と第1検知センサ150と第2検知センサ160と制御部170とを備える。
【0017】
記録ヘッド110には、光硬化型インクを吐出するノズルが、搬送部130で記録媒体200がセットされる設置面132に対向して複数形成されている。記録ヘッド110は、キャリッジ112に、複数個搭載されている。例えば、図1では、例えば、図1では、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、ブラック(blacK)の色毎に、記録ヘッド110が搭載されている。なお、1色につき、複数の記録ヘッド110を搭載してもよい。例えば、1色につき2個の記録ヘッド110とする場合、合計8個(4色)の記録ヘッド110が搭載される。
【0018】
記録ヘッド移動部120は、複数の記録ヘッド110が取り付けられたキャリッジ112を、主走査方向に往復移動(走査)する。これによって、記録ヘッド110の主走査方向への移動が実現される。搬送部130は、ベルトコンベアやフリーローラーのような回転体により構成され、搬送部130の設置面132にセットされた記録媒体200を、主走査方向に直交する方向(搬送方向)に搬送する。
【0019】
光照射部140は、第2検知センサ160より搬送方向下流側に設置される。光照射部140は、搬送部130の設置面132に向けて設置された光源を備え、設置面132方向に光を照射する。光照射部140は、例えば、光源から発せられた光が外部に照射されることを防止可能なシャッタ機構を備え、このシャッタ機構を開閉させることで、光の照射を開始し停止することができる。電源のオン、オフに連動して、素早く光を照射し、停止可能な光源(例えば、LED光源)を採用する場合、シャッタ機構を省略し、電源のオン、オフによって、光の照射を開始し停止させることもできる。なお、光照射部140は、記録ヘッド110とは独立した移動機構に取り付けられ、この移動機構を駆動させることで、主走査方向に往復移動することができる。
【0020】
第1検知センサ150は、搬送部130によって搬送される記録媒体200が記録開始位置に到達したことを検知するセンサである。第2検知センサ160は、記録ヘッド110より搬送方向下流側で、かつ光照射部140の搬送方向上流側の所定の位置に設置され、記録ヘッド110で所定の画像が記録された記録媒体200が、この所定の位置に到達したことを検知するセンサである。第1検知センサ150と第2検知センサ160とは、例えば、発光素子と受光素子とを含む透過型センサによって構成される。
【0021】
制御部170は、各種処理を実行し、上記各構成を制御する。制御部170は、各種の演算処理を実行するCPUと、各種処理のためのプログラムを記憶するROMと、CPUが実行する各種処理の作業領域(記憶領域)として利用されるRAMとを含む。CPUが、所定のプログラムをROMから読み出し、これをRAM上で実行することで、各種処理が実行され、上記各構成が制御される。したがって、制御部170が各種処理を実行し、上記構成を制御することで、各種機能部が構成される。なお、後述するインクジェット記録装置で説明する積算値カウンタの積算値(X)は、RAMに記憶される。
【0022】
なお、インクジェット記録装置100は、この他、例えば、画像の記録に使用する各色毎のインクタンク(図1で図示を省略)と、送液機構とを備える。送液機構によって、各色のインクタンクに貯留されている光硬化型インクが、対応する色の記録ヘッド110に供給される。また、インクジェット記録装置100は、パーソナルコンピュータなどの外部装置と通信可能に接続するための接続インターフェースを備える。インクジェット記録装置100は、この接続インターフェースを介して接続された外部装置から、後述する柄データおよび搬送量データなどの所定のデータを受信する(図3のS108参照)。
【0023】
(インクジェット記録処理)
インクジェット記録装置100で実行されるインクジェット記録処理について、図2および図3を参照して説明する。このインクジェット記録処理は、インクジェット記録装置100の制御部170が、この処理のためのプログラムを実行して行われる。この処理を開始した制御部170は、搬送部130を制御し、これの駆動を開始する(S100)。搬送部の駆動にともない、搬送部130の設置面132の所定の位置(図1に示す搬送部130の左端部側)にセットされた記録媒体200は、記録ヘッド110による画像の記録の開始位置へ搬送される。記録媒体200の記録開始位置への搬送を開始した制御部170は、記録媒体200が記録開始位置に到達したことを示す検知信号を、第1検知センサ150から取得したかを判断する(S102)。判断の結果、第1検知センサ150からの検知信号を取得していない場合(S102:No)、制御部170は、これを取得するまで待機する。一方、第1検知センサ150から、記録媒体200の到達を示す検知信号を取得した場合(S102:Yes)、制御部170は、搬送部130を制御し、これを停止する(S104)。そして、制御部170は、処理をS106に移行する。
【0024】
S106で制御部170は、RAMに記憶されている搬送量の積算値を管理する積算値カウンタの積算値(X)を初期化(X=0)する。そして、制御部170は、接続インターフェースを介して通信可能に接続された外部装置から送信される、柄データおよび搬送部130の搬送量を示す搬送量データを受信する(S108)。S108で柄データを受信した制御部170は、この柄データ内に、光硬化型インクの吐出信号が含まれているか否かを判断する(S110)。判断の結果、柄データ内に吐出信号が含まれている場合(S110:Yes)、制御部170は、処理をS112に移行し、柄データ内に吐出信号が含まれていない場合(S110:No)、S112〜S116を実行することなく、処理をS118に移行する。
【0025】
S112で制御部170は、記録ヘッド移動部120を制御し、記録ヘッド110の主走査方向への移動(走査)を制御するとともに、S108で受信した柄データについて、記録ヘッド110のノズルからの光硬化型インクの吐出が終了したか否かを判断する(S114)。判断の結果、光硬化型インクの吐出が終了していない場合(S114:No)、制御部170は、継続して、記録ヘッド110のノズルからの光硬化型インクの吐出と、記録ヘッド移動部120とを制御する。一方、光硬化型インクの吐出が終了した場合(S114:Yes)、制御部170は、記録ヘッド移動部120を制御し、これを停止する(S116)。そして、制御部170は、処理をS118に移行する。なお、S116で制御部170は、記録ヘッド110が所定の位置で停止するよう、記録ヘッド移動部120の停止を制御する。
【0026】
S118で制御部170は、S108で外部装置から受信した搬送量データにしたがって搬送部130を制御し、この搬送量データによって示される量、搬送部130を駆動する。これにより、記録媒体200が所定量だけ搬送方向下流側に移動する。そして、制御部170は、積算値カウンタで管理されている搬送量の積算値(X)に、S118の搬送量を積算(加算)する(S120)。
【0027】
次に、制御部170は、現在、搬送部130で搬送中の記録媒体200への画像の記録が終了したか、換言すれば、所定の画像を示す柄データの全てを受信し、これについて、記録ヘッド110のノズルから光硬化型インクを吐出したかを判断する(S122)。判断の結果、記録が終了している場合(S122:Yes)、制御部170は、処理を図3に示すS124に移行する。一方、記録が終了していない場合(S122:No)、制御部170は、処理をS108に戻し、上述したS108以降の処理を、S122の判断が肯定(S122:Yes)されるまで、繰り返して実行する。
【0028】
インクジェット記録処理について、引き続き、図3を参照して説明する。S124で制御部170は、搬送部130を制御し、搬送部130を駆動する。搬送部130の駆動にともない、設置面132の所定の位置まで移動した記録媒体200(図1(b)に示す搬送部130の中央部付近に、2点鎖線で描画した記録媒体200参照)は、光照射部140側に搬送される。記録媒体200の光照射部140側への搬送を開始した制御部170は、記録媒体200が、記録ヘッド110より搬送方向下流側で、かつ光照射部140の搬送方向上流側の所定の位置に到達したことを示す検知信号を、第2検知センサ160から取得したかを判断する(S126)。
【0029】
判断の結果、第2検知センサ160からの検知信号を取得していない場合(S126:No)、制御部170は、これを取得するまで待機する。一方、第2検知センサ160から、記録媒体200の到達を示す検知信号を取得した場合(S126:Yes)、制御部170は、処理をS128に移行する。
【0030】
S128で制御部170は、第2検知センサ160の検知位置(光照射部140の搬送方向上流側の所定の位置)に搬送されている記録媒体200(記録媒体200の搬送方向先頭側の位置)が、光照射部140に到達するのに要する第1待機時間(t1)、現在の状態のまま、詳細には、搬送部130が駆動されている状態のまま待機する。ここで、第1待機時間(t1)は、第2検知センサ160と光照射部140との間の距離(d)(図1(b)参照)と、搬送部130の搬送速度(V)とによって算出される。
【0031】
制御部170は、S128で第1待機時間(t1)待機した後、光照射部140を制御し、光照射部140による光の照射を開始する(S130)。これによって、搬送部130で搬送方向下流側に搬送されている記録媒体200に対し、光の照射を開始することができる。なお、光の照射の開始は、例えば、光照射部140の光源を覆っているシャッタを開くことで行われる。また、シャッタ機構を備えていない場合、光源を点灯して行われる。
【0032】
そして、制御部170は、再度、記録媒体200が光照射部140を通過するのに要する第2待機時間(t2)、現在の状態のまま、詳細には、光照射部140による光の照射がなされている状態のまま待機する(S132)。ここで、第2待機時間(t2)は、搬送量の積算値(X)と、光照射部140の搬送方向長さ(U)(図1(b)参照)と、搬送部130による搬送速度(V)とによって算出される。
【0033】
制御部170が第2待機時間(t2)待機している間に、記録媒体200は、光を照射している光照射部140を通過する(図1(b)に示す搬送部130の右端部側に、2点鎖線で描画した記録媒体200参照)。これによって、記録媒体200で所定の画像を記録可能な記録面全域、換言すれば、光硬化型インクを吐出可能な面(光硬化型インクを着弾させることが可能な面)の全域(全面)に、光照射部140からの光を照射することができる。なお、記録面全域は、記録媒体200の記録ヘッド110に対向する面の全面と同一または略等しい領域である。
【0034】
制御部170は、S132で第2待機時間(t2)待機した後、光照射部140を制御し、光照射部140からの光の照射を停止する(S134)。なお、光の照射の停止は、例えば、光照射部140の光源を覆うシャッタを閉じることで行われる。また、光源を消灯して行われる。続けて、制御部170は、搬送部130を制御し、これを停止する(S136)。そして、制御部170は、このインクジェット記録処理を終了する。
【0035】
(本実施形態の構成による有利な効果)
インクジェット記録装置100では、搬送部130によって搬送される記録媒体200が、記録開始位置に到達したことを第1検知センサ150で検知し(図2のS102:Yes参照)、ここから、所定の画像の記録が終了(図2のS122:Yes参照)するまでの、記録媒体200の搬送量の積算値(X)をカウントし(図2のS120参照)、第2検知センサ160で記録媒体を検知し(図3のS126:Yes)、第1待機時間(t1)待機した後(図3のS128)、光の照射を開始し(図3のS130参照)、また、記録媒体200の搬送量の積算値(X)に基づき算出された第2待機時間(t2)待機した後(図3のS132参照)、光の照射を停止する(図3のS134参照)こととした。これによれば、記録媒体200が、光照射部140を通過したことを検知する検知センサを用いることなく、光の照射を停止することが可能で、インクジェット記録装置100の構成をシンプルにすることができる。
【0036】
ここで、記録媒体200に記録される所定の画像には、光硬化型インクが吐出されない部分が記録媒体200の記録面の一部に存在するような画像も含まれる(図2のS110:No参照)。具体的には、図1(a)の右側に描画された記録媒体200のように、光硬化型インクが吐出された領域(ハッチングされた領域参照)の間に、光硬化型インクの未吐出領域(ハッチングされた領域間の空白の領域参照)が存在する画像も含まれる。このような場合、例えば、光硬化型インクの吐出量で光の照射の調整する構成によれば、前述の空白の領域のような未吐出領域には、光が照射されないこととなる。
【0037】
この点に関し、インクジェット記録装置100では、第2検知センサ160での記録媒体の検知後、第1待機時間(t1)待機した後、光の照射を開始し(図3のS128,S130参照)、また、記録媒体200の搬送量の積算値(X)に基づき算出された第2待機時間(t2)待機した後、光の照射を停止するため(図3のS132,S134参照)、記録される画像の態様に関わらず、記録面全域に、光を照射することができる。なお、例えば、記録媒体200が、光の照射の影響を受けるようなものである場合、色むらの発生を防止することができる。
【0038】
また、上記構成を有するインクジェット記録装置100によれば、次のような有利な効果を得ることができる。すなわち、インクジェット記録装置100で画像が記録される記録媒体の中には、記録媒体単体では、記録に適した形状を保てない材質、性質(クセがある、または、丸まってしまうなど)のものがある。このような記録媒体に画像を記録する場合、例えば、記録媒体の寸法より大きな寸法の所定のパネルの上に記録媒体を貼り付けし、記録媒体が貼り付けられたパネルを、図1に示す記録媒体200のように、搬送部130の設置面132にセットして搬送する。
【0039】
ところで、光照射部140からの光の照射を停止するに際し、上記したような記録媒体が光照射部140を通過したことを検知する検知センサを用いた構成によれば、このような状態で搬送される記録媒体の搬送方向下流側端部を検知することが困難となる場合がある。しかしながら、インクジェット記録装置100によれば、光照射部140からの光の照射の開始を、第2検知センサ160による検知に基づき開始し(図3のS126:Yes〜S130参照)、搬送量(X)に基づきその停止を制御するため(図3のS132,S134)、特に、パネル上の記録媒体の搬送方向下流側端部を検知する必要がなく、この点において、インクジェット記録装置100の構成をシンプルな構成とすることができる。なお、この場合、インクジェット記録装置100では、パネル先端部が第1検知センサ150によって検知された場合、図2のS102の判断を肯定し(S102:Yes)、搬送量(X)を積算するための処理を開始する(図2のS104〜S122)。
【0040】
(変形例)
本実施形態の構成は、次のような構成とすることもできる。
【0041】
(1)上記では、記録ヘッド110の主走査方向への移動(走査)などに合わせて(図2のS112〜S116参照)、搬送部130を駆動させ(図2のS118参照)、そして、その都度、S118の搬送量を積算(加算)する(図2のS120参照)構成について説明した。ここで、搬送量の積算は、主走査方向の移動が複数回行われる毎に行う構成とすることもできる。例えば、記録ヘッド110が1往復移動したとき、S118の2回分の搬送量をまとめて積算値(X)に積算する構成とすることもできる。また、1.5往復したとき、S118による3回分の搬送量をまとめて積算する構成とすることもできる。
【0042】
(2)上記では、第2検知センサ160によって、記録媒体200が検知された後、第1待機時間(t1)待機した後(図3のS128参照)、光照射部140による光の照射を開始する(図3のS130参照)構成について説明した。しかし、これ以外の構成とすることもできる。例えば、第2検知センサ160によって記録媒体200が検知されたことを条件として、制御部170が、光照射部140を制御し、光の照射を開始する構成とすることもできる。この場合、第2検知センサ160の設置位置を、距離(d)より短くする、例えば、光照射部140に第2検知センサ160を設置した構成としてもよい。
【0043】
(3)上記では、搬送部130を単一の搬送部によって構成したが、例えば、記録ヘッド110が搭載されたキャリッジ112を含む画像の記録を行う部分と光照射部140とで、搬送部を区分した構成(複数の搬送部を用いた構成)とすることもできる。このような構成によれば、光照射部140の搬送部の搬送速度を、記録を行う部分の搬送速度と異なる速度にすることが可能である。例えば、光照射部140の搬送部において、十分な光照射が必要な領域では搬送速度を低速とし、未照射とすることができる領域では高速とすることができる。すなわち、搬送速度を柔軟に制御可能で、画像品質向上と生産性向上とを両立することができる。
【符号の説明】
【0044】
100 インクジェット記録装置
110 記録ヘッド
120 記録ヘッド移動部
130 搬送部
140 光照射部
150 第1センサ
160 第2センサ
170 制御部
200 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から入力される柄データと搬送量データとにしたがって、ノズルが形成された記録ヘッドを、記録ヘッド移動部を介して主走査方向に移動させながら、前記ノズルから光硬化型インクを吐出し、前記光硬化型インクが吐出された記録媒体を、搬送部を介して主走査方向に直交する搬送方向に搬送して、前記記録媒体に所定の画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記所定の画像の記録に際し、前記搬送部による前記記録媒体の搬送方向への搬送量を積算し、前記搬送量の積算値を管理する管理部と、
前記記録ヘッドより搬送方向下流側の所定の位置で、前記搬送部によって搬送された前記記録媒体を検知する検知センサと、
前記検知センサより搬送方向下流側に設置され、前記搬送部によって搬送された前記記録媒体上に吐出された前記光硬化型インクに光を照射する光照射部と、
前記検知センサによる前記記録媒体の検知と、前記積算値とにしたがって、前記光照射部による光の照射のタイミングを制御する光照射制御部とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記外部装置から入力された前記柄データと前記搬送量データのうち、前記柄データに前記光硬化型インクの吐出信号が含まれていない場合、前記記録ヘッド移動部による前記記録ヘッドの移動を実行せずに、前記搬送部による前記記録媒体の搬送方向への搬送が、前記搬送量データにしたがって実行されるように、前記記録ヘッド移動部と前記搬送部とを制御する不吐出搬送制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
光硬化型インクによって記録媒体に所定の画像を記録するインクジェット記録方法であって、
外部装置から入力される柄データと搬送量データとにしたがって、ノズルが形成された記録ヘッドを、記録ヘッド移動部を介して主走査方向に移動させながら、前記ノズルから光硬化型インクを吐出し、前記光硬化型インクが吐出された記録媒体を、搬送部を介して主走査方向に直交する搬送方向に搬送する吐出搬送工程と、
前記所定の画像の記録に際し、前記搬送部による前記記録媒体の搬送方向への搬送量を積算し、前記搬送量の積算値を管理する管理工程と、
前記記録ヘッドより搬送方向下流側の所定の位置に設置された検知センサで、前記搬送部によって搬送された前記記録媒体を検知する検知工程と、
前記検知センサより搬送方向下流側に設置された光照射部で、前記搬送部によって搬送された前記記録媒体上に吐出された前記光硬化型インクに光を照射する光照射工程とを含むとともに、
前記光照射工程では、前記光照射部による光の照射のタイミングが、前記検知センサによる前記記録媒体の検知と、前記積算値とにしたがって制御されることを特徴とするインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−67718(P2011−67718A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218522(P2009−218522)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】