インクジェット記録装置のインク供給ユニット
【課題】記録装置の大型化をすることなく、インク循環に要する時間を短縮することができるインクジェット記録装置のインク供給ユニットを提供する。
【解決手段】インク供給ユニットは、記録ヘッドに供給するインクを貯留するサブタンク5と、サブタンク5に供給するインクを収容しサブタンク5の上方に配置されるメインタンク130とを有する。さらに、メインタンク130からサブタンク5へインクを圧送するポンプ部50を有する。メインタンク130の内部とサブタンク5の内部とはインク供給針321,322を介して互いに連通する。ポンプ部50には、ピストン部51がインク供給針321の保持口10bに対する接続と切離しとができるように設けられている。ピストン51が保持口10bに接続されたとき、ピストン51およびピストンベース55内に形成された延長連通路の端部は、インク供給針322の端部側の保持口10cよりも下方に位置する。
【解決手段】インク供給ユニットは、記録ヘッドに供給するインクを貯留するサブタンク5と、サブタンク5に供給するインクを収容しサブタンク5の上方に配置されるメインタンク130とを有する。さらに、メインタンク130からサブタンク5へインクを圧送するポンプ部50を有する。メインタンク130の内部とサブタンク5の内部とはインク供給針321,322を介して互いに連通する。ポンプ部50には、ピストン部51がインク供給針321の保持口10bに対する接続と切離しとができるように設けられている。ピストン51が保持口10bに接続されたとき、ピストン51およびピストンベース55内に形成された延長連通路の端部は、インク供給針322の端部側の保持口10cよりも下方に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙などの記録媒体にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置のインク供給ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は従来のインクジェット記録装置の外観斜視図であり、図8は図7に示したインクジェット記録装置のアッパーカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【0003】
図7および図8を参照すると、インクジェット記録装置の前面に、前面へ開閉可能なロールホルダーユニット122が設けられており、記録紙等の記録媒体はロールホルダーユニット122から記録部へ供給される。インクジェット装置は、2個の脚部180に支持された装置本体190、排紙された記録紙等の記録媒体を積載するスタッカ123、内部が透視可能な透明で開閉可能なアッパーカバー121を備えている。装置本体100の図示右側には、回復ユニット300、メインタンク130を保持する供給ユニット320が配設されている。
【0004】
図8に示すように、インクジェット記録装置は、記録紙等の記録媒体を矢印A方向(副走査方向)に搬送するための搬送ローラ対110を有している。さらにインクジェット記録装置は、記録媒体の幅方向(矢印B方向、主走査方向)に往復移動可能に案内支持されたキャリッジ200と、キャリッジ200を矢印B方向に往復移動させるためのキャリッジモータ(不図示)及びベルト伝動手段270とを有している。キャリッジ200には、キャリッジ200に装着された記録手段としての記録ヘッド201が装着される。インクジェット記録装置はさらに、記録ヘッド201の吐出口(不図示)のメニスカスを保持するために適正な負圧力を与えかつ、インクタンク130を保持する供給ユニット320を備えている。ここで負圧力とは、記録ヘッド201と供給ユニット320との液面の水頭差による負圧力を意味している。インクジェット記録装置はさらに、記録ヘッド201の吐出口の目詰まりなどによるインク吐出不良を解消させるための吸引式のヘッドクリーニングを行う回復ユニット300を備えている。
【0005】
図示したインクジェット記録装置の場合、キャリッジ200には、記録媒体にカラー記録を行うために複数の記録ヘッド201が装着されている。この複数の記録ヘッド201は、例えば、それぞれ異なった色のインクに対応した6つの記録ヘッド201で構成されている。例えば、Y(イエロー)用ヘッド、M(マゼンタ)用ヘッド、C(シアン)用ヘッド、Bk(ブラック)用ヘッド、淡C(淡色シアン)用ヘッド、淡M(淡色マゼンタ)用ヘッドの6つの記録ヘッド201である。これらの記録ヘッド201は、供給チューブ335(各色別々)により供給ユニット320と接続されており、インクが記録ヘッド201に送られると記録可能となる。また、それらの供給チューブ335は、キャリッジ200の往復移動の際にばらけて他の部材に当たることのないように、ガイド260によって全てが互いに束ねられている。
【0006】
以上の構成により、記録紙等の記録媒体に記録を行う場合、搬送ローラ対110によって記録媒体を所定の記録開始位置まで搬送した後、ここから記録ヘッド201による主走査及び搬送ローラ110による副走査が繰り返される。これにより、記録媒体全体に対する記録が行われる。すなわち、キャリッジベルト270およびキャリッジモータ(不図示)によってキャリッジ200が図8中の矢印B方向に移動することにより、記録媒体に記録が行われる。キャリッジ200が主走査される前の位置に戻されると、搬送ローラ対110によって記録媒体が副走査方向(図8中の矢印A方向)に搬送され、その後再び図8中の矢印B方向にキャリッジ200の主走査が行なわれる。これにより、記録媒体に対する画像や文字等の記録が行なわれる。上記の動作を繰り返し、記録媒体の1枚分の記録が終了すると、記録媒体はスタッカ123内に排紙され、1枚分の記録が完了する。なお、記録媒体は、記録紙、プラスチック薄板あるいは布等を含むものである。
【0007】
次に、このインクジェット記録装置のインク供給系の構成について、図9を参照して説明する。図9は図8に示すインクジェット記録装置のインク流路図を示し、説明を簡単にするため1色分の流路についてのみ示している。なお、図9に示すインク供給系の構成は、特許文献1に開示されている。
【0008】
符号201は記録ヘッドを示しており、供給チューブ335の先端に設けられたヘッド接続部が、記録ヘッド201の挿入口201aに接続される。その挿入口201aは、後述する液室201fに接続されている。液室201fは複数のノズル201gを有するノズル部につながっており、ノズル201gにインクに直接供給している。それゆえ、挿入口201aからのインクはノズル201gに供給される。また、挿入口201aからノズル201gまでの間は大気に対して気密な状態に保たれていることは言うまでもない。
【0009】
ノズル201gは、インクを吐出する先端(吐出口)を下向きにして配列されており、インクは吐出口にてメニスカスを形成した状態でノズル201g内を満たしている。そのため、記録ヘッド201の内部、特に液室201f内は大気圧に対して負圧の状態に保たれている。ただし、負圧が小さすぎると、ノズル201gの先端に異物やインクが付着した場合、インクの吐出口におけるメニスカスが破れてインクがノズル201gから漏れ出てしまうことがある。その逆に、負圧が大きすぎると、吐出時にインクに与えられるエネルギーよりもノズル201g内(液室201f内)にインクを引き戻す力が強くなってしまい、吐出不良となってしまう。よって、液室201f内における負圧は、大気圧よりも若干低い一定の範囲に保たれる。この負圧の範囲は、ノズル201gの数、断面積、発熱抵抗素子の性能等により異なるが、一般的に−20mmAq〜−200mmAqの範囲が好ましいとされる。
【0010】
図示した例では、記録ヘッド201内を上記した負圧にする手法として、記録ヘッド201を供給ユニット320よりも高い位置に配置するとともに両者を供給チューブ335で接続し、その水頭差により負圧を発生させる手法が採られている。
【0011】
次に、上記供給ユニット320およびメインタンク130について説明する。メインタンク130は、供給ユニット320に対して着脱可能な構成であり、その底部に、ゴム栓130bで密封されたインク供給口と、ゴム栓130cで密封された空気導入口とを有する。一方、供給ユニット320は、メインタンク130からインクを取り出すためのインク供給針321と、メインタンク130内へ空気を導入させるための空気導入針322とを有する。インク供給針321および空気導入針322はともに中空の針であり、メインタンク130のインク供給口および空気導入口の位置に対応させて針先を上方に向けて配置されている。メインタンク130が供給ユニット320に装着されることで、インク供給針321および空気導入針322がそれぞれゴム栓130b,130cを貫通し、メインタンク130の内部に進入する。
【0012】
インク供給針321は、液路323、供給弁325および液路327を経て、供給チューブ335に接続されている。空気導入針322は、液路328、バッファ室330および大気連通口329を経て大気に連通している。
【0013】
供給弁325は、ゴム材からなるダイアフラム325aを有し、このダイアフラム325aを変位させることにより2つの液路327,323間の遮蔽と開放とを行う。ダイアフラム325aの上面には、押圧ばね325cを保持するばねホルダ325bが取り付けられており、この押圧ばね325cによりダイアフラム325aを押し潰すことにより、液路327,323間が遮蔽される。供給弁325の作動は、モータ325eの駆動力を不図示のギヤトレインを介して、カム325fに伝達(回転)することで行う。そのカム325fの回転によりレバー325dを動作させて、押圧ばね325cのばね力に抗してばねホルダ325bを持ち上げることで、液路327,323間が連通する。供給弁325は、記録ヘッド201がインクを吐出している状態では開放され、待機中および休止中は遮蔽される。
【0014】
なお、上述した供給ユニット320の構成は、インクの色ごとに設けられている。
【0015】
以上の構成により、記録ヘッド201内のインクが消費されると、その負圧により、インクが随時メインタンク130から供給ユニット320および供給チューブ335を介して記録ヘッド201へ供給される。その際、メインタンク130から供給されたインクと同量の空気が、大気連通口329からバッファ室330、空気導入針322を経て、メインタンク130内に導入される。
【0016】
上記のようなインク供給系構成においては、記録動作中にメインタンク130を自由に交換できないという不都合がある。なぜなら、メインタンク130を外してしまうと、記録ヘッド201に適正な負圧を与える上記したバッファタンク330との接続(インクの流体的な接続)が切れてしまい、記録ヘッド201に適正な負圧を与えられなくなるからである。
【0017】
したがって、メインタンク130を交換する場合は、記録動作が終了して記録装置が待機状態になるまで待つしかない。この待ち時間は、記録面積、記録密度、記録モードなどによって当然異なる。特に、大判用インクジェット記録装置(約A2サイズ〜)においては、その記録面積が小判用インクジェット記録装置(約〜A3サイズ)と比較して数倍〜数十倍になり、記録時間も記録面積に比例して数倍〜数十倍になってしまう。したがって、大判用インクジェット記録装置においては、その記録時間が数十分をゆうに越えてしてしまうことがまれではない。特に、長尺記録を行った場合、記録時間が最も長くなる。このように、記録動作中にメインタンク130を自由に交換できないということは、ユーザーはこの待ち時間分だけ待たなければならないということになり、煩わしさがつきまとう。
【0018】
これを解決するために特許文献2には、図10に示すように、図9の構成におけるバッファタンク330の代わりにサブタンク330’を設け、その上方にメインタンク130を配置した構成の装置が開示されている。この構成は、鳥の水呑器(チキンフィード)と呼ばれるタイプの構成である。このタイプの構成では、サブタンク330’の液面が下がるとメインタンク130のインク供給口より空気が逆流し、その空気量分のインクがサブタンク330’へ落下してサブタンク330’の液面を一定にする。この構成によると、記録動作中においてもメインタンク130を交換することができ、メインタンク130が取り外された場合にはサブタンク330’のインクで記録が行われることになる。
【0019】
また、インクタンク130及びサブタンク330’内のインクは、時間の経過と共に溶媒中の顔料粒子などが沈殿してインク濃度が均一でなくなることがある。そのため、記録媒体に記録を行うと濃度むらが生じて記録不良が発生するおそれがある。
【0020】
そこで、図11に示すように、インクタンク130とサブタンク330’との間にポンプ部Pを設け、インクタンク130とサブタンク330’との間でインクを循環させて攪拌することで顔料粒子の沈殿を防ぎインク濃度を均一にする構成が案出されている。図11に示した構成では、ポンプ部Pによって矢印A方向に強制的にインクを流すことでインクタンク130内が負圧になり、B方向にインクが循環する。
【0021】
図12に図11に示されたポンプ部の断面図を示す。図12を参照して、上記のチキンフィードおよびインク循環について説明する。
【0022】
まず、チキンフィードについて説明する。
【0023】
インクが入っていない状態のサブタンク330’にメインタンク130を装着すると、メインタンク130内の微量のインクがインク供給針321,322内に導かれ、インク供給針321,322内がそのインクで満たされる。これとともに、シリンダ500内もピストン510の穴510aを通してインクで満たされる。そうすると、シリンダ500の下端部と供給針322の下端部とに水頭差hが生じ、この水頭差hにより、メインタンク130内のインクがサブタンク330’内に自重落下していく(水頭の低いインク供給針321の方から自重落下する)。この自重落下を安定的にするには、水頭差hをなるべく大きくすることが望ましいことはいうまでもない。そして、インク供給針321からインクが自重落下した分、メインタンク130内は負圧になり、インク供給針322を介して空気が入るとともにサブタンク330’内のインク液面が上昇する。このようにして、サブタンク330’内のインク液面がシリンダ500下端部よりも上昇すると、今度は、インク液面と供給針322の下端部との水頭差により自重落下していく。そして、インク液面がインク供給針322の下端部まで達すると水頭差がなくなってインクの自重落下が止まり、サブタンク330’の液面が一定に保たれる。
【0024】
次に、インク沈殿防止攪拌のためのインク循環について説明する。
【0025】
ピストン510はシリンダ500内を摺動するようになっており、上下に往復移動する。ピストン510が最上位置から最下位置に移動する場合は、逆止弁520(弾性体)が液圧を受け、穴510aを閉じる。そうすると、シリンダ500内が負圧になり、その負圧の作用でメインタンク130のインクがインク供給針321を介してシリンダ500内部に入る。逆に、ピストン510が最下位置から最上位置に移動する場合は、穴510aから液圧を受けることで穴510aが開く。これにより、シリンダ500内は正圧にならないので、サブタンク330’内のインクがインク供給針321を介してメインタンク130に逆流することはない。
【0026】
このようなピストン510の上下動作が繰り返され、メインタンク130内のインクがサブタンク330’内に導かれる。そうすると、メインタンク130内は、インクが導かれた分だけ負圧になり、インク供給針322を介して空気が入る(気液交換)とともに、サブタンク330’内のインク液面が上昇する。そして、インク液面がインク供給針322の下端部まで達すると、インク供給針322を介してサブタンク330’内のインクがメインタンク130内に導かれ、サブタンク330’とメインタンク130との間をインクが循環する。
【0027】
このようにインク循環が行われることで、サブタンク330’及びメインタンク130内に顔料粒子などが沈殿したインクが攪拌され、インク濃度を均一にすることができる。
【特許文献1】特開2002−248779号公報
【特許文献2】特開2004−174815号公報(第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら、上述したインクジェット記録装置のインク供給系構成(図11および図12)においては、ポンプシリンダ500の容積を大きくできないという問題がある。攪拌効果を上げるためには、インク循環効率を向上させるにはポンプ能力の向上が必須であり、ポンプシリンダ500の容積を大きくできないということはポンプ能力向上の妨げになる。ポンプシリンダ500の容積を大きくできない理由は、以下の通りである。すなわち、インクが入っていない状態のサブタンク330’にメインタンク130を装着した場合に流れる微量のインクでポンプシリンダ500内が満たされなければ、水頭差が発生しないためチキンフィードが行われない。したがって、ポンプシリンダ500の容積は上記の微量な容量にしか設定できないためである。この微量のインク量は、様々な設計条件やインク物性などにより変わる。例えば、インク供給針321の径がφ0.8mm、長さが30mmであり、インク物性として表面張力ηが9mP、粘度γが72dyn/cmであり、メインタンク130の容量が100mlである条件の下では、微量のインク量は0.5〜1ml程度である。よって、シリンダ500の容積は0.5ml程度にしか設定できないことから、ポンプ能力が著しく低くなり、これにより攪拌のためのインク循環にかなりの時間を要することになっていた。
【0029】
これに対して、ポンプ部Pを水頭差hの下限よりも下に、すなわちシリンダ500の下端部よりも下に配置することでチキンフィード性能を確保しつつ、ポンプ能力を向上させることも考えられる。しかしながら、ポンプ部Pがサブタンク330’の下部に配置されることになるためサブタンク330’の構成が大型化し、それにより記録装置の大型化に繋がるため好ましくない。
【0030】
そこで本発明は、記録装置の大型化をすることなく、インク循環に要する時間を短縮することができるインクジェット記録装置のインク供給ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明のインクジェット記録装置のインク供給ユニットは、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドに供給するインクを貯留するサブタンクと、該サブタンクに供給するインクを収容し、前記サブタンクの上方に配置されるメインタンクとを有する。インク供給ユニットは、該メインタンクから前記サブタンクへインクを圧送するポンプ部をさらに有する。前記メインタンクの内部と前記サブタンクの内部とは、共に前記サブタンク内で終端している端部を有する第1および第2の連通路を介して互いに連通可能に構成されている。前記ポンプ部には、前記第1の連通路を延長する延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に対する接続と切離しとができるように設けられている。該延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に接続されたとき、前記延長連通路の前記第1の連通路の前記端部に接続された端部とは反対側の端部は、前記第2の連通路の前記端部よりも下方に位置する。
【発明の効果】
【0032】
上記本発明によれば、記録装置の大型化をすることなく、インク循環に要する時間を短縮することができるインクジェット記録装置のインク供給ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のインク流路の構成を示す図である。図2は図1に示したサブタンクの断面図、図3は図1に示したポンプ部が最上位置にある状態での拡大図、図4は図1に示したポンプ部が最下位置にある状態での拡大図である。さらに、図5は図1に示したポンプ部の構成部品図、図6は図1に示したポンプ部の部分詳細図である。
【0035】
なお、図1〜6では従来技術と同様に1色分のインク流路だけを模式的に示している。また、記録ヘッド201とサブタンク5との間(供給弁325も含む)の流路構成は、従来技術と同様のため説明を割愛し、その他、従来技術と同じ構成には同じ参照番号を付し説明を割愛する。
【0036】
まず、図1〜6を参照して本実施形態におけるサブタンクについて説明する。
【0037】
本実施形態におけるサブタンク5は、内部にインクを溜められるように桶形状に形成されたサブタンクカバー15と、その蓋であるサブタンクベース10とを有している。サブタンクカバー15とサブタンクベース10は、不図示のパッキン(例えばゴム製)などを両者の間に挟み込んで接合することで、接合部からのインク漏れを防止している。
【0038】
サブタンクカバー15は、内部を大気と開放するための大気口15bと、供給弁325に接続するための接続口15aとを備えている。
【0039】
サブタンクベース10は、インク供給針321,322を保持する保持口10b,10cを備えている。インク供給針321の下部には、後述するポンプ部50の一要素である円筒形状(内部が空洞)のポンプシリンダ部10aが備られている。なお、インク供給針321はメインタンク130とサブタンク5とを連通させる第1の連通路をなし、インク供給針322はメインタンク130とサブタンク5とを連通させる第2の連通路をなしている。
【0040】
ピストン51は、延長連通路である貫通穴が内部に形成されている。その貫通穴は、後述するピストンベース55の貫通穴と連結されて、インク供給針321からなる第1の連通路を延長する延長連通路を形成する。つまり、ピストン51とピストンベース55とを含むピストン部の内部にこの延長連通路が形成される。ピストン51は、ポンプシリンダ部10a内を摺動可能であり、不図示の駆動部によって上下方向(図3のC方向)に駆動される。シールキャップ52は、ゴムなどの弾性体により形成されており、ピストン51に圧入によって取り付けられている。シールキャップ52は、インク供給針321の保持部である保持口10bの下部をシールするとともに、ピストン51の最上位置においてピストン51をシールする。保持口10bの下部とピストン51とが共にシールキャップ52によってシールされると、インク供給針321の保持口321からシールキャップ52、ピストン51の貫通穴、およびピストンベース55の貫通穴まで連通する。なお、シールキャップ52によるシールは、シールバネ54の付勢力にて行われる。逆止弁53は、ピストンベース55に上下方向に移動自在に取り付けられており、インクの液圧を利用してピストンベース55の貫通穴を開閉する。ピストンベース55は、上記のようにピストン51の貫通穴と連結される貫通穴を有しているとともに、ピストン51を保持するように構成されている。そして、ピストンベース55は不図示の駆動部に連結されており、その駆動部によってピストンベース55を上下方向(図3のC方向)に動かすことで、ピストン51が同方向に動かされる。
【0041】
次に、上記構成によるチキンフィード(メインタンク130からサブタンク5へのインクの自重補給)について説明する。
【0042】
チキンフィードを行う場合には、ピストン51は最上位置(図3位置)に配置されるよう制御されている。その制御は、不図示のフォトセンサーとセンサーフラグにてピストン51が最上位置にあることが検知されると、記録装置本体の制御部(不図示)が駆動部の駆動を停止することで行われる。この最上位置では、逆止弁53は、ポンプシリンダ部10aの下端部に突き当たり、ピストンベース55の貫通穴を必ず開く位置関係に設定されている。
【0043】
まず、サブタンク5にインクが入ってない状態(装置初期状態)について説明する。
【0044】
サブタンク5側のインク供給針321,322をメインタンク130内に挿入してメインタンク130をサブタンク5に装着すると、インク供給針321,322内に微量のメインタンク130インクが入り、インク供給針321,322内はインクで満たされる。このとき、ピストン51は、シールキャップ52を介してサブタンクベース10の保持口10bの下端部と接続される。これにより、第1の連通部であるインク供給針321に、ピストン51の貫通穴およびピストンベース55の貫通穴からなる延長連通部が接続され、その延長連通部もインクで満たされる。この接続がなされたとき、延長連通部の下端部(ピストンベース55の貫通穴の下端部)は、第2の連通路であるインク供給針322側の保持口10cの下端部よりも下方に位置する。
【0045】
この延長連通路の容積は、0.17ml(径がφ3mm、高さが24mm)に設定されており、微量インク量(約0.5ml)でも充分に満たすことができる。また、この延長連通路の流路抵抗は、第1の連通部であるインク供給針321の流路抵抗よりも小さく設定されている。
【0046】
延長連通路がインクで満たされると、延長連通路の下端部と供給針322の下端部とに水頭差h(図2参照)が生じ、この水頭差hによりメインタンク130内のインクがサブタンク5内に自重落下していく(水頭の低いインク供給針321から自重落下する)。この自重落下を安定的にするには、水頭差hの寸法をなるべく大きくすることが望ましいことはいうまでもない。
【0047】
そして、インク供給針321からインクが自重落下した分、メインタンク130内は負圧になり、インク供給針322を介してメインタンク130内に空気が入る。このようにしてメインタンク130とサブタンク5との間で気液交換が行われ、サブタンク5内のインク液面が上昇していく。なお、サブタンク5内のインク液面がピストンベース55の貫通穴の下端部よりも低い場合には、インク供給針321からも空気が入る。
【0048】
このようにして、サブタンク5内のインク液面がピストンベース55の貫通穴の下端部より上昇すると、今度は、インク液面とインク供給針322の下端部との水頭差によりインクが自重落下していく。例えば、図2のF位置にインク液面がある場合は、水頭差h’によりインクが自重落下していく。そして、インク液面が図2のE位置まで達すると、インク液面とインク供給針322の下端部との水頭差がなくなりインクの自重落下も止まる。
【0049】
続いて、ポンプ部50の動作(攪拌用インク循環)について説明する。
【0050】
図3の状態(最上位置)から、ピストンベース55を不図示の駆動部によって下方向に動かすと、逆止弁53が上方向にインクの液圧を受け、ピストンベース55の貫通穴を閉じる位置に移動する(図6(a)参照)。すると、ピストン51の上部におけるポンプシリンダ部10aの内部空間D(図3参照)が負圧になり、その負圧により、メインタンク130内のインクがインク供給針321を介してポンプシリンダ部10aの内部に流入する。
【0051】
これに対し、図4の状態(最下位置)からは、ピストンベース55は不図示の駆動部によって上方向に動かされる。このとき、逆止弁53は下方向にインクの液圧を受け、ピストンベース55の貫通穴を開く位置に移動する(図6(b)参照)。したがって、ピストンベース55が上方向に動かされるときにはポンプシリンダ部10aの内部空間D(図3参照)には正圧がかからない。そのため、この動作により、サブタンク5内のインクがインク供給針321を介してメインタンク130に逆流することはない。
【0052】
メインタンク130内のインクは、このようなピストン51の上下動作が繰り返されて、サブタンク5内に導かれていく。すると、メインタンク130内は、サブタンク5内に供給されたインク量の分だけ負圧になり、インク供給針322を介して空気が入る。このようにしてメインタンク130とサブタンク5との間で気液交換が行われ、サブタンク5内のインク液面が上昇していく。そして、サブタンク5内のインク液面が図2のE(インク供給針322の下端部)まで上昇すると、今度は、サブタンク5内のインクがインク供給針322を介してメインタンク130内に導かれる。このようにして、インクは、メインタンク130からサブタンク5を経て再びメインタンク130に循環する。
【0053】
このようにインク循環を行うことで、サブタンク5及びメインタンク130内に沈殿したインクが攪拌され、インク濃度を均一にすることができる。本実施形態では、ポンプシリンダ部10aの容積が約8ml(内径がφ20mm、高さが25mm)であり、ポンプ実効容積を約4.5mlにすることが可能となり、従来技術に比べて実に10倍近くポンプ能力の向上が図られている。
【0054】
このように、本実施形態の構成によれば、ポンプ部51,55に形成された延長連通路を第1の連通路であるインク供給針321に接続することでメインタンク130からサブタンク5へのチキンフィードによるインク供給が可能になる。さらに、この構成ではポンプシリンダ部10aの容積を大きくすることが可能となる。そのため、ポンプ部50を水頭差hの下限よりも下、すなわちポンプシリンダ部10aの下端部よりも下に配置する構成とする必要はない。したがって、記録装置の大型化をすることなくポンプ能力を向上させることが可能であり、インク循環に要する時間を短縮することができる。
【0055】
なお、本実施形態では逆止弁53がインクの液圧によって開閉を行なう構成としたが、逆止弁53はこれに限らず、例えばシリンダ部10aとの摩擦を利用して逆止弁53が開閉するような、ポンプ部50自体の動作に連動して開閉動作する構成としてもよい。また、本実施形態ではポンプ部50としてピストン式の構成を例に挙げて説明したが、ポンプ部50はこれに限られるものではなく、ダイアフラム式の構成等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置におけるインク流路の構成を示す図である。
【図2】図1に示したサブタンクの断面図である。
【図3】図1に示したポンプ部が最上位置にある状態での拡大図である。
【図4】図1に示したポンプ部が最下位置にある状態での拡大図である。
【図5】図1に示したポンプ部の構成部品図である。
【図6】図1に示したポンプ部の部分詳細図である。
【図7】従来のインクジェット記録装置の外観斜視図である。
【図8】図7に示したインクジェット記録装置のアッパーカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示すインクジェット記録装置の1色分のインク流路図を示す図である。
【図10】チキンフィード方式によってメインタンクからサブタンクへインク供給を行う従来技術の構成を示す図である。
【図11】従来技術のインクジェット記録装置におけるインク流路の構成を示す図である。
【図12】図11に示されたポンプ部の断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
5 サブタンク
10a ポンプシリンダ部
50 ポンプ部
51 ピストン
52 シールキャップ
53 逆止弁
55 ピストンベース
130 メインタンク
321,322 インク供給針
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙などの記録媒体にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置のインク供給ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は従来のインクジェット記録装置の外観斜視図であり、図8は図7に示したインクジェット記録装置のアッパーカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【0003】
図7および図8を参照すると、インクジェット記録装置の前面に、前面へ開閉可能なロールホルダーユニット122が設けられており、記録紙等の記録媒体はロールホルダーユニット122から記録部へ供給される。インクジェット装置は、2個の脚部180に支持された装置本体190、排紙された記録紙等の記録媒体を積載するスタッカ123、内部が透視可能な透明で開閉可能なアッパーカバー121を備えている。装置本体100の図示右側には、回復ユニット300、メインタンク130を保持する供給ユニット320が配設されている。
【0004】
図8に示すように、インクジェット記録装置は、記録紙等の記録媒体を矢印A方向(副走査方向)に搬送するための搬送ローラ対110を有している。さらにインクジェット記録装置は、記録媒体の幅方向(矢印B方向、主走査方向)に往復移動可能に案内支持されたキャリッジ200と、キャリッジ200を矢印B方向に往復移動させるためのキャリッジモータ(不図示)及びベルト伝動手段270とを有している。キャリッジ200には、キャリッジ200に装着された記録手段としての記録ヘッド201が装着される。インクジェット記録装置はさらに、記録ヘッド201の吐出口(不図示)のメニスカスを保持するために適正な負圧力を与えかつ、インクタンク130を保持する供給ユニット320を備えている。ここで負圧力とは、記録ヘッド201と供給ユニット320との液面の水頭差による負圧力を意味している。インクジェット記録装置はさらに、記録ヘッド201の吐出口の目詰まりなどによるインク吐出不良を解消させるための吸引式のヘッドクリーニングを行う回復ユニット300を備えている。
【0005】
図示したインクジェット記録装置の場合、キャリッジ200には、記録媒体にカラー記録を行うために複数の記録ヘッド201が装着されている。この複数の記録ヘッド201は、例えば、それぞれ異なった色のインクに対応した6つの記録ヘッド201で構成されている。例えば、Y(イエロー)用ヘッド、M(マゼンタ)用ヘッド、C(シアン)用ヘッド、Bk(ブラック)用ヘッド、淡C(淡色シアン)用ヘッド、淡M(淡色マゼンタ)用ヘッドの6つの記録ヘッド201である。これらの記録ヘッド201は、供給チューブ335(各色別々)により供給ユニット320と接続されており、インクが記録ヘッド201に送られると記録可能となる。また、それらの供給チューブ335は、キャリッジ200の往復移動の際にばらけて他の部材に当たることのないように、ガイド260によって全てが互いに束ねられている。
【0006】
以上の構成により、記録紙等の記録媒体に記録を行う場合、搬送ローラ対110によって記録媒体を所定の記録開始位置まで搬送した後、ここから記録ヘッド201による主走査及び搬送ローラ110による副走査が繰り返される。これにより、記録媒体全体に対する記録が行われる。すなわち、キャリッジベルト270およびキャリッジモータ(不図示)によってキャリッジ200が図8中の矢印B方向に移動することにより、記録媒体に記録が行われる。キャリッジ200が主走査される前の位置に戻されると、搬送ローラ対110によって記録媒体が副走査方向(図8中の矢印A方向)に搬送され、その後再び図8中の矢印B方向にキャリッジ200の主走査が行なわれる。これにより、記録媒体に対する画像や文字等の記録が行なわれる。上記の動作を繰り返し、記録媒体の1枚分の記録が終了すると、記録媒体はスタッカ123内に排紙され、1枚分の記録が完了する。なお、記録媒体は、記録紙、プラスチック薄板あるいは布等を含むものである。
【0007】
次に、このインクジェット記録装置のインク供給系の構成について、図9を参照して説明する。図9は図8に示すインクジェット記録装置のインク流路図を示し、説明を簡単にするため1色分の流路についてのみ示している。なお、図9に示すインク供給系の構成は、特許文献1に開示されている。
【0008】
符号201は記録ヘッドを示しており、供給チューブ335の先端に設けられたヘッド接続部が、記録ヘッド201の挿入口201aに接続される。その挿入口201aは、後述する液室201fに接続されている。液室201fは複数のノズル201gを有するノズル部につながっており、ノズル201gにインクに直接供給している。それゆえ、挿入口201aからのインクはノズル201gに供給される。また、挿入口201aからノズル201gまでの間は大気に対して気密な状態に保たれていることは言うまでもない。
【0009】
ノズル201gは、インクを吐出する先端(吐出口)を下向きにして配列されており、インクは吐出口にてメニスカスを形成した状態でノズル201g内を満たしている。そのため、記録ヘッド201の内部、特に液室201f内は大気圧に対して負圧の状態に保たれている。ただし、負圧が小さすぎると、ノズル201gの先端に異物やインクが付着した場合、インクの吐出口におけるメニスカスが破れてインクがノズル201gから漏れ出てしまうことがある。その逆に、負圧が大きすぎると、吐出時にインクに与えられるエネルギーよりもノズル201g内(液室201f内)にインクを引き戻す力が強くなってしまい、吐出不良となってしまう。よって、液室201f内における負圧は、大気圧よりも若干低い一定の範囲に保たれる。この負圧の範囲は、ノズル201gの数、断面積、発熱抵抗素子の性能等により異なるが、一般的に−20mmAq〜−200mmAqの範囲が好ましいとされる。
【0010】
図示した例では、記録ヘッド201内を上記した負圧にする手法として、記録ヘッド201を供給ユニット320よりも高い位置に配置するとともに両者を供給チューブ335で接続し、その水頭差により負圧を発生させる手法が採られている。
【0011】
次に、上記供給ユニット320およびメインタンク130について説明する。メインタンク130は、供給ユニット320に対して着脱可能な構成であり、その底部に、ゴム栓130bで密封されたインク供給口と、ゴム栓130cで密封された空気導入口とを有する。一方、供給ユニット320は、メインタンク130からインクを取り出すためのインク供給針321と、メインタンク130内へ空気を導入させるための空気導入針322とを有する。インク供給針321および空気導入針322はともに中空の針であり、メインタンク130のインク供給口および空気導入口の位置に対応させて針先を上方に向けて配置されている。メインタンク130が供給ユニット320に装着されることで、インク供給針321および空気導入針322がそれぞれゴム栓130b,130cを貫通し、メインタンク130の内部に進入する。
【0012】
インク供給針321は、液路323、供給弁325および液路327を経て、供給チューブ335に接続されている。空気導入針322は、液路328、バッファ室330および大気連通口329を経て大気に連通している。
【0013】
供給弁325は、ゴム材からなるダイアフラム325aを有し、このダイアフラム325aを変位させることにより2つの液路327,323間の遮蔽と開放とを行う。ダイアフラム325aの上面には、押圧ばね325cを保持するばねホルダ325bが取り付けられており、この押圧ばね325cによりダイアフラム325aを押し潰すことにより、液路327,323間が遮蔽される。供給弁325の作動は、モータ325eの駆動力を不図示のギヤトレインを介して、カム325fに伝達(回転)することで行う。そのカム325fの回転によりレバー325dを動作させて、押圧ばね325cのばね力に抗してばねホルダ325bを持ち上げることで、液路327,323間が連通する。供給弁325は、記録ヘッド201がインクを吐出している状態では開放され、待機中および休止中は遮蔽される。
【0014】
なお、上述した供給ユニット320の構成は、インクの色ごとに設けられている。
【0015】
以上の構成により、記録ヘッド201内のインクが消費されると、その負圧により、インクが随時メインタンク130から供給ユニット320および供給チューブ335を介して記録ヘッド201へ供給される。その際、メインタンク130から供給されたインクと同量の空気が、大気連通口329からバッファ室330、空気導入針322を経て、メインタンク130内に導入される。
【0016】
上記のようなインク供給系構成においては、記録動作中にメインタンク130を自由に交換できないという不都合がある。なぜなら、メインタンク130を外してしまうと、記録ヘッド201に適正な負圧を与える上記したバッファタンク330との接続(インクの流体的な接続)が切れてしまい、記録ヘッド201に適正な負圧を与えられなくなるからである。
【0017】
したがって、メインタンク130を交換する場合は、記録動作が終了して記録装置が待機状態になるまで待つしかない。この待ち時間は、記録面積、記録密度、記録モードなどによって当然異なる。特に、大判用インクジェット記録装置(約A2サイズ〜)においては、その記録面積が小判用インクジェット記録装置(約〜A3サイズ)と比較して数倍〜数十倍になり、記録時間も記録面積に比例して数倍〜数十倍になってしまう。したがって、大判用インクジェット記録装置においては、その記録時間が数十分をゆうに越えてしてしまうことがまれではない。特に、長尺記録を行った場合、記録時間が最も長くなる。このように、記録動作中にメインタンク130を自由に交換できないということは、ユーザーはこの待ち時間分だけ待たなければならないということになり、煩わしさがつきまとう。
【0018】
これを解決するために特許文献2には、図10に示すように、図9の構成におけるバッファタンク330の代わりにサブタンク330’を設け、その上方にメインタンク130を配置した構成の装置が開示されている。この構成は、鳥の水呑器(チキンフィード)と呼ばれるタイプの構成である。このタイプの構成では、サブタンク330’の液面が下がるとメインタンク130のインク供給口より空気が逆流し、その空気量分のインクがサブタンク330’へ落下してサブタンク330’の液面を一定にする。この構成によると、記録動作中においてもメインタンク130を交換することができ、メインタンク130が取り外された場合にはサブタンク330’のインクで記録が行われることになる。
【0019】
また、インクタンク130及びサブタンク330’内のインクは、時間の経過と共に溶媒中の顔料粒子などが沈殿してインク濃度が均一でなくなることがある。そのため、記録媒体に記録を行うと濃度むらが生じて記録不良が発生するおそれがある。
【0020】
そこで、図11に示すように、インクタンク130とサブタンク330’との間にポンプ部Pを設け、インクタンク130とサブタンク330’との間でインクを循環させて攪拌することで顔料粒子の沈殿を防ぎインク濃度を均一にする構成が案出されている。図11に示した構成では、ポンプ部Pによって矢印A方向に強制的にインクを流すことでインクタンク130内が負圧になり、B方向にインクが循環する。
【0021】
図12に図11に示されたポンプ部の断面図を示す。図12を参照して、上記のチキンフィードおよびインク循環について説明する。
【0022】
まず、チキンフィードについて説明する。
【0023】
インクが入っていない状態のサブタンク330’にメインタンク130を装着すると、メインタンク130内の微量のインクがインク供給針321,322内に導かれ、インク供給針321,322内がそのインクで満たされる。これとともに、シリンダ500内もピストン510の穴510aを通してインクで満たされる。そうすると、シリンダ500の下端部と供給針322の下端部とに水頭差hが生じ、この水頭差hにより、メインタンク130内のインクがサブタンク330’内に自重落下していく(水頭の低いインク供給針321の方から自重落下する)。この自重落下を安定的にするには、水頭差hをなるべく大きくすることが望ましいことはいうまでもない。そして、インク供給針321からインクが自重落下した分、メインタンク130内は負圧になり、インク供給針322を介して空気が入るとともにサブタンク330’内のインク液面が上昇する。このようにして、サブタンク330’内のインク液面がシリンダ500下端部よりも上昇すると、今度は、インク液面と供給針322の下端部との水頭差により自重落下していく。そして、インク液面がインク供給針322の下端部まで達すると水頭差がなくなってインクの自重落下が止まり、サブタンク330’の液面が一定に保たれる。
【0024】
次に、インク沈殿防止攪拌のためのインク循環について説明する。
【0025】
ピストン510はシリンダ500内を摺動するようになっており、上下に往復移動する。ピストン510が最上位置から最下位置に移動する場合は、逆止弁520(弾性体)が液圧を受け、穴510aを閉じる。そうすると、シリンダ500内が負圧になり、その負圧の作用でメインタンク130のインクがインク供給針321を介してシリンダ500内部に入る。逆に、ピストン510が最下位置から最上位置に移動する場合は、穴510aから液圧を受けることで穴510aが開く。これにより、シリンダ500内は正圧にならないので、サブタンク330’内のインクがインク供給針321を介してメインタンク130に逆流することはない。
【0026】
このようなピストン510の上下動作が繰り返され、メインタンク130内のインクがサブタンク330’内に導かれる。そうすると、メインタンク130内は、インクが導かれた分だけ負圧になり、インク供給針322を介して空気が入る(気液交換)とともに、サブタンク330’内のインク液面が上昇する。そして、インク液面がインク供給針322の下端部まで達すると、インク供給針322を介してサブタンク330’内のインクがメインタンク130内に導かれ、サブタンク330’とメインタンク130との間をインクが循環する。
【0027】
このようにインク循環が行われることで、サブタンク330’及びメインタンク130内に顔料粒子などが沈殿したインクが攪拌され、インク濃度を均一にすることができる。
【特許文献1】特開2002−248779号公報
【特許文献2】特開2004−174815号公報(第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら、上述したインクジェット記録装置のインク供給系構成(図11および図12)においては、ポンプシリンダ500の容積を大きくできないという問題がある。攪拌効果を上げるためには、インク循環効率を向上させるにはポンプ能力の向上が必須であり、ポンプシリンダ500の容積を大きくできないということはポンプ能力向上の妨げになる。ポンプシリンダ500の容積を大きくできない理由は、以下の通りである。すなわち、インクが入っていない状態のサブタンク330’にメインタンク130を装着した場合に流れる微量のインクでポンプシリンダ500内が満たされなければ、水頭差が発生しないためチキンフィードが行われない。したがって、ポンプシリンダ500の容積は上記の微量な容量にしか設定できないためである。この微量のインク量は、様々な設計条件やインク物性などにより変わる。例えば、インク供給針321の径がφ0.8mm、長さが30mmであり、インク物性として表面張力ηが9mP、粘度γが72dyn/cmであり、メインタンク130の容量が100mlである条件の下では、微量のインク量は0.5〜1ml程度である。よって、シリンダ500の容積は0.5ml程度にしか設定できないことから、ポンプ能力が著しく低くなり、これにより攪拌のためのインク循環にかなりの時間を要することになっていた。
【0029】
これに対して、ポンプ部Pを水頭差hの下限よりも下に、すなわちシリンダ500の下端部よりも下に配置することでチキンフィード性能を確保しつつ、ポンプ能力を向上させることも考えられる。しかしながら、ポンプ部Pがサブタンク330’の下部に配置されることになるためサブタンク330’の構成が大型化し、それにより記録装置の大型化に繋がるため好ましくない。
【0030】
そこで本発明は、記録装置の大型化をすることなく、インク循環に要する時間を短縮することができるインクジェット記録装置のインク供給ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明のインクジェット記録装置のインク供給ユニットは、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドに供給するインクを貯留するサブタンクと、該サブタンクに供給するインクを収容し、前記サブタンクの上方に配置されるメインタンクとを有する。インク供給ユニットは、該メインタンクから前記サブタンクへインクを圧送するポンプ部をさらに有する。前記メインタンクの内部と前記サブタンクの内部とは、共に前記サブタンク内で終端している端部を有する第1および第2の連通路を介して互いに連通可能に構成されている。前記ポンプ部には、前記第1の連通路を延長する延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に対する接続と切離しとができるように設けられている。該延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に接続されたとき、前記延長連通路の前記第1の連通路の前記端部に接続された端部とは反対側の端部は、前記第2の連通路の前記端部よりも下方に位置する。
【発明の効果】
【0032】
上記本発明によれば、記録装置の大型化をすることなく、インク循環に要する時間を短縮することができるインクジェット記録装置のインク供給ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のインク流路の構成を示す図である。図2は図1に示したサブタンクの断面図、図3は図1に示したポンプ部が最上位置にある状態での拡大図、図4は図1に示したポンプ部が最下位置にある状態での拡大図である。さらに、図5は図1に示したポンプ部の構成部品図、図6は図1に示したポンプ部の部分詳細図である。
【0035】
なお、図1〜6では従来技術と同様に1色分のインク流路だけを模式的に示している。また、記録ヘッド201とサブタンク5との間(供給弁325も含む)の流路構成は、従来技術と同様のため説明を割愛し、その他、従来技術と同じ構成には同じ参照番号を付し説明を割愛する。
【0036】
まず、図1〜6を参照して本実施形態におけるサブタンクについて説明する。
【0037】
本実施形態におけるサブタンク5は、内部にインクを溜められるように桶形状に形成されたサブタンクカバー15と、その蓋であるサブタンクベース10とを有している。サブタンクカバー15とサブタンクベース10は、不図示のパッキン(例えばゴム製)などを両者の間に挟み込んで接合することで、接合部からのインク漏れを防止している。
【0038】
サブタンクカバー15は、内部を大気と開放するための大気口15bと、供給弁325に接続するための接続口15aとを備えている。
【0039】
サブタンクベース10は、インク供給針321,322を保持する保持口10b,10cを備えている。インク供給針321の下部には、後述するポンプ部50の一要素である円筒形状(内部が空洞)のポンプシリンダ部10aが備られている。なお、インク供給針321はメインタンク130とサブタンク5とを連通させる第1の連通路をなし、インク供給針322はメインタンク130とサブタンク5とを連通させる第2の連通路をなしている。
【0040】
ピストン51は、延長連通路である貫通穴が内部に形成されている。その貫通穴は、後述するピストンベース55の貫通穴と連結されて、インク供給針321からなる第1の連通路を延長する延長連通路を形成する。つまり、ピストン51とピストンベース55とを含むピストン部の内部にこの延長連通路が形成される。ピストン51は、ポンプシリンダ部10a内を摺動可能であり、不図示の駆動部によって上下方向(図3のC方向)に駆動される。シールキャップ52は、ゴムなどの弾性体により形成されており、ピストン51に圧入によって取り付けられている。シールキャップ52は、インク供給針321の保持部である保持口10bの下部をシールするとともに、ピストン51の最上位置においてピストン51をシールする。保持口10bの下部とピストン51とが共にシールキャップ52によってシールされると、インク供給針321の保持口321からシールキャップ52、ピストン51の貫通穴、およびピストンベース55の貫通穴まで連通する。なお、シールキャップ52によるシールは、シールバネ54の付勢力にて行われる。逆止弁53は、ピストンベース55に上下方向に移動自在に取り付けられており、インクの液圧を利用してピストンベース55の貫通穴を開閉する。ピストンベース55は、上記のようにピストン51の貫通穴と連結される貫通穴を有しているとともに、ピストン51を保持するように構成されている。そして、ピストンベース55は不図示の駆動部に連結されており、その駆動部によってピストンベース55を上下方向(図3のC方向)に動かすことで、ピストン51が同方向に動かされる。
【0041】
次に、上記構成によるチキンフィード(メインタンク130からサブタンク5へのインクの自重補給)について説明する。
【0042】
チキンフィードを行う場合には、ピストン51は最上位置(図3位置)に配置されるよう制御されている。その制御は、不図示のフォトセンサーとセンサーフラグにてピストン51が最上位置にあることが検知されると、記録装置本体の制御部(不図示)が駆動部の駆動を停止することで行われる。この最上位置では、逆止弁53は、ポンプシリンダ部10aの下端部に突き当たり、ピストンベース55の貫通穴を必ず開く位置関係に設定されている。
【0043】
まず、サブタンク5にインクが入ってない状態(装置初期状態)について説明する。
【0044】
サブタンク5側のインク供給針321,322をメインタンク130内に挿入してメインタンク130をサブタンク5に装着すると、インク供給針321,322内に微量のメインタンク130インクが入り、インク供給針321,322内はインクで満たされる。このとき、ピストン51は、シールキャップ52を介してサブタンクベース10の保持口10bの下端部と接続される。これにより、第1の連通部であるインク供給針321に、ピストン51の貫通穴およびピストンベース55の貫通穴からなる延長連通部が接続され、その延長連通部もインクで満たされる。この接続がなされたとき、延長連通部の下端部(ピストンベース55の貫通穴の下端部)は、第2の連通路であるインク供給針322側の保持口10cの下端部よりも下方に位置する。
【0045】
この延長連通路の容積は、0.17ml(径がφ3mm、高さが24mm)に設定されており、微量インク量(約0.5ml)でも充分に満たすことができる。また、この延長連通路の流路抵抗は、第1の連通部であるインク供給針321の流路抵抗よりも小さく設定されている。
【0046】
延長連通路がインクで満たされると、延長連通路の下端部と供給針322の下端部とに水頭差h(図2参照)が生じ、この水頭差hによりメインタンク130内のインクがサブタンク5内に自重落下していく(水頭の低いインク供給針321から自重落下する)。この自重落下を安定的にするには、水頭差hの寸法をなるべく大きくすることが望ましいことはいうまでもない。
【0047】
そして、インク供給針321からインクが自重落下した分、メインタンク130内は負圧になり、インク供給針322を介してメインタンク130内に空気が入る。このようにしてメインタンク130とサブタンク5との間で気液交換が行われ、サブタンク5内のインク液面が上昇していく。なお、サブタンク5内のインク液面がピストンベース55の貫通穴の下端部よりも低い場合には、インク供給針321からも空気が入る。
【0048】
このようにして、サブタンク5内のインク液面がピストンベース55の貫通穴の下端部より上昇すると、今度は、インク液面とインク供給針322の下端部との水頭差によりインクが自重落下していく。例えば、図2のF位置にインク液面がある場合は、水頭差h’によりインクが自重落下していく。そして、インク液面が図2のE位置まで達すると、インク液面とインク供給針322の下端部との水頭差がなくなりインクの自重落下も止まる。
【0049】
続いて、ポンプ部50の動作(攪拌用インク循環)について説明する。
【0050】
図3の状態(最上位置)から、ピストンベース55を不図示の駆動部によって下方向に動かすと、逆止弁53が上方向にインクの液圧を受け、ピストンベース55の貫通穴を閉じる位置に移動する(図6(a)参照)。すると、ピストン51の上部におけるポンプシリンダ部10aの内部空間D(図3参照)が負圧になり、その負圧により、メインタンク130内のインクがインク供給針321を介してポンプシリンダ部10aの内部に流入する。
【0051】
これに対し、図4の状態(最下位置)からは、ピストンベース55は不図示の駆動部によって上方向に動かされる。このとき、逆止弁53は下方向にインクの液圧を受け、ピストンベース55の貫通穴を開く位置に移動する(図6(b)参照)。したがって、ピストンベース55が上方向に動かされるときにはポンプシリンダ部10aの内部空間D(図3参照)には正圧がかからない。そのため、この動作により、サブタンク5内のインクがインク供給針321を介してメインタンク130に逆流することはない。
【0052】
メインタンク130内のインクは、このようなピストン51の上下動作が繰り返されて、サブタンク5内に導かれていく。すると、メインタンク130内は、サブタンク5内に供給されたインク量の分だけ負圧になり、インク供給針322を介して空気が入る。このようにしてメインタンク130とサブタンク5との間で気液交換が行われ、サブタンク5内のインク液面が上昇していく。そして、サブタンク5内のインク液面が図2のE(インク供給針322の下端部)まで上昇すると、今度は、サブタンク5内のインクがインク供給針322を介してメインタンク130内に導かれる。このようにして、インクは、メインタンク130からサブタンク5を経て再びメインタンク130に循環する。
【0053】
このようにインク循環を行うことで、サブタンク5及びメインタンク130内に沈殿したインクが攪拌され、インク濃度を均一にすることができる。本実施形態では、ポンプシリンダ部10aの容積が約8ml(内径がφ20mm、高さが25mm)であり、ポンプ実効容積を約4.5mlにすることが可能となり、従来技術に比べて実に10倍近くポンプ能力の向上が図られている。
【0054】
このように、本実施形態の構成によれば、ポンプ部51,55に形成された延長連通路を第1の連通路であるインク供給針321に接続することでメインタンク130からサブタンク5へのチキンフィードによるインク供給が可能になる。さらに、この構成ではポンプシリンダ部10aの容積を大きくすることが可能となる。そのため、ポンプ部50を水頭差hの下限よりも下、すなわちポンプシリンダ部10aの下端部よりも下に配置する構成とする必要はない。したがって、記録装置の大型化をすることなくポンプ能力を向上させることが可能であり、インク循環に要する時間を短縮することができる。
【0055】
なお、本実施形態では逆止弁53がインクの液圧によって開閉を行なう構成としたが、逆止弁53はこれに限らず、例えばシリンダ部10aとの摩擦を利用して逆止弁53が開閉するような、ポンプ部50自体の動作に連動して開閉動作する構成としてもよい。また、本実施形態ではポンプ部50としてピストン式の構成を例に挙げて説明したが、ポンプ部50はこれに限られるものではなく、ダイアフラム式の構成等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置におけるインク流路の構成を示す図である。
【図2】図1に示したサブタンクの断面図である。
【図3】図1に示したポンプ部が最上位置にある状態での拡大図である。
【図4】図1に示したポンプ部が最下位置にある状態での拡大図である。
【図5】図1に示したポンプ部の構成部品図である。
【図6】図1に示したポンプ部の部分詳細図である。
【図7】従来のインクジェット記録装置の外観斜視図である。
【図8】図7に示したインクジェット記録装置のアッパーカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示すインクジェット記録装置の1色分のインク流路図を示す図である。
【図10】チキンフィード方式によってメインタンクからサブタンクへインク供給を行う従来技術の構成を示す図である。
【図11】従来技術のインクジェット記録装置におけるインク流路の構成を示す図である。
【図12】図11に示されたポンプ部の断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
5 サブタンク
10a ポンプシリンダ部
50 ポンプ部
51 ピストン
52 シールキャップ
53 逆止弁
55 ピストンベース
130 メインタンク
321,322 インク供給針
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドに供給するインクを貯留するサブタンクと、該サブタンクに供給するインクを収容し、前記サブタンクの上方に配置されるメインタンクと、該メインタンクから前記サブタンクへインクを圧送するポンプ部とを有するインクジェット記録装置のインク供給ユニットにおいて、
前記メインタンクの内部と前記サブタンクの内部とは、共に前記サブタンク内で終端している端部を有する第1および第2の連通路を介して互いに連通可能に構成されており、
前記ポンプ部には、前記第1の連通路を延長する延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に対する接続と切離しとができるように設けられており、
該延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に接続されたとき、前記延長連通路の前記第1の連通路の前記端部に接続された端部とは反対側の端部は、前記第2の連通路の前記端部よりも下方に位置することを特徴とするインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【請求項2】
前記延長連通路の流路抵抗は前記第1の連通路の流路抵抗よりも小さい、請求項1に記載のインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【請求項3】
前記ポンプ部は、前記延長連通路が形成されたピストン部と、該ピストン部が摺動可能なシリンダ部とを有し、
前記ピストン部は、前記延長連通路の前記反対側の端部の開閉を行う弁部材が設けられている、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【請求項4】
前記弁部材は、前記ピストン部が前記第1の連通路の前記端部に近づく方向に移動するときに前記反対側の端部を開き、前記ピストン部が前記第1の連通路の前記端部から遠ざかる方向に移動するときに前記反対側の端部を閉じる、請求項3に記載のインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【請求項5】
前記弁部材は、前記延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に接続されているときには前記延長連通路の前記反対側の端部を開いた状態が維持されるように構成されている、請求項3または4に記載のインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【請求項1】
インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドに供給するインクを貯留するサブタンクと、該サブタンクに供給するインクを収容し、前記サブタンクの上方に配置されるメインタンクと、該メインタンクから前記サブタンクへインクを圧送するポンプ部とを有するインクジェット記録装置のインク供給ユニットにおいて、
前記メインタンクの内部と前記サブタンクの内部とは、共に前記サブタンク内で終端している端部を有する第1および第2の連通路を介して互いに連通可能に構成されており、
前記ポンプ部には、前記第1の連通路を延長する延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に対する接続と切離しとができるように設けられており、
該延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に接続されたとき、前記延長連通路の前記第1の連通路の前記端部に接続された端部とは反対側の端部は、前記第2の連通路の前記端部よりも下方に位置することを特徴とするインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【請求項2】
前記延長連通路の流路抵抗は前記第1の連通路の流路抵抗よりも小さい、請求項1に記載のインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【請求項3】
前記ポンプ部は、前記延長連通路が形成されたピストン部と、該ピストン部が摺動可能なシリンダ部とを有し、
前記ピストン部は、前記延長連通路の前記反対側の端部の開閉を行う弁部材が設けられている、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【請求項4】
前記弁部材は、前記ピストン部が前記第1の連通路の前記端部に近づく方向に移動するときに前記反対側の端部を開き、前記ピストン部が前記第1の連通路の前記端部から遠ざかる方向に移動するときに前記反対側の端部を閉じる、請求項3に記載のインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【請求項5】
前記弁部材は、前記延長連通路が前記第1の連通路の前記端部に接続されているときには前記延長連通路の前記反対側の端部を開いた状態が維持されるように構成されている、請求項3または4に記載のインクジェット記録装置のインク供給ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−261161(P2007−261161A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91014(P2006−91014)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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