説明

インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療のためのピリジン誘導体

本発明は、一般式(I):


で表される新規化合物、それらの立体異性体、その医薬上許容される塩および医薬上許容される溶媒和物を提供し、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害を治療するのに有用である。本発明はまた、式(I)の化合物の製造方法およびそれらを含有する医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、本出願と同日に出願された、本出願人らの同時係属PCT出願の発明の名称:インスリン抵抗性改善薬として作用する化合物の同定方法に関する。
【0002】
本発明は、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害を治療するのに有用である化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
過度の体重、および極端な場合の肥満は、広く知られた医学上の問題である。これは、一つは座ることの多いライフスタイルおよび(脂肪および炭水化物の多い)貧しい食事が、ならびに多くの場合は遺伝性素因が原因でありうる。肥満は、高血圧、2型糖尿病および心疾患の既知の危険因子である。
【0004】
糖尿病は、多数の原因因子から生じ、血漿グルコース濃度の上昇または空腹時もしくは経口グルコース負荷試験中のグルコースの投与後の高血糖により特徴付けられる疾患経過をいう。持続的または制御されていない高血糖は、早期罹患率および死亡率の増加に付随する。大抵、異常グルコース恒常性は、脂質、リポタンパク質およびアポリポタンパク質代謝の変化ならびに他の代謝性および血行性疾患に直接的および間接的両方に付随する。したがって、2型糖尿病を伴う患者は、特に、冠状動脈性心疾患、卒中、末梢血管疾患、高血圧、ネフロパシー、ニューロパシー、および網膜症を含む、大血管および微小血管合併症の危険が増大する。したがって、グルコース恒常性、脂質代謝および高血圧の治療的コントロールは、糖尿病の臨床管理および治療において非常に重要である。糖尿病には一般に認められる2つの形態がある。1型糖尿病、またはインスリン依存性糖尿病(IDDM)では、患者は、グルコース利用を調節するホルモンである、インスリンをほとんどまたは全く産生しない。2型糖尿病、またはインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)では、患者は大抵、非糖尿病対象と比べて同一またはさらに上昇する血漿インスリン濃度を有する;しかしながら、これらの患者は、筋肉、肝臓および脂肪組織である、主要なインスリン感受性組織のグルコースおよび脂質代謝におけるインスリン刺激作用に対する抵抗性を発症し、血漿インスリン濃度は、上昇するが、顕著なインスリン抵抗性を解消するには不十分である。肥満および2型糖尿病両方とも、末梢組織インスリン抵抗性により特徴付けられる。
【0005】
グルコース不耐症対象におけるインスリン抵抗性の蔓延は、長い間認められている。Reavenら(American Journal of Medicine,60,80,1976)は、グルコースおよびインスリンの持続注入(インスリン/グルコースクランプ法)ならびにインスリン抵抗性が、非肥満、非ケトン性対象のさまざまなグループに存在することを立証する経口グルコース負荷試験を用いた。これらの対象は、グルコース耐性の寸前から明らかな空腹時高血糖まで範囲が及んだ。これらの試験における糖尿病群には、インスリン依存性(1型)対象とインスリン非依存性(2型)対象両方が含まれた。
【0006】
より容易に決定された高インスリン血症は、持続性インスリン抵抗性と一致し、対象の血漿における血漿インスリン濃度の循環の精密測定により測定されうる。高インスリン血症は、例えば、肥満および/または糖尿病(2型)対象および/またはグルコース耐性対象において、インスリン抵抗性の結果としてあるいは1型対象において、内分泌膵臓によるホルモンの正常な生理学的放出と比べて注入インスリンの過剰投与の結果として現れうる。
【0007】
アテローム性動脈硬化症の肥満および高血圧などの独立危険因子はまた、インスリン抵抗性に付随する。インスリン/グルコースクランプ、トレーサーグルコース注入および間接熱量測定法の組み合わせを用いて、本態性高血圧のインスリン抵抗性が、末梢組織(主に、筋肉)にあり、高血圧の重症度に直接的に相関することを立証している(Diabetes Care,14,173,1991)。肥満の高血圧において、インスリン抵抗性は高インスリン血症をもたらし、熱発生を介してさらなる体重増加を制限するメカニズムとして補充されるが、インスリンはまた、腎臓のナトリウム再吸収を増加し、腎臓、心臓および脈管構造における交感神経系を刺激し、高血圧を引き起こす。
【0008】
インスリン抵抗性が通常、インスリンの受容体に対する結合後の部位での、インスリン受容体シグナルシステムの異常の結果であることは現在、分かっている。インスリンに反応する主要組織(筋肉、肝臓、脂肪)におけるインスリン抵抗性を立証する蓄積された化学的根拠は、インスリンシグナル伝達の異常が、該カスケードの初期段階に、特に低下するように見えるインスリン受容体キナーゼ活性に存在することを強く示唆する(Diabetalogia,34(12),848−861,1991)。
【0009】
最近になって、末梢インスリン抵抗性の減少により作用する、新規クラスの薬剤が開発されている。これらの薬剤は、主に脂肪組織で発現される、核受容体のリガンドの、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γアイソフォーム(PPARγ)である。これらの薬剤は、血糖および高インスリン血症を減少するインスリン抵抗性改善薬として作用する。これらのPPARγ活性化剤の最も一般的な副作用は、体重増加、浮腫、卒中および心臓発作の危険性の増大である。
【0010】
肥満は、体内の脂肪の過剰な蓄積を特徴とする障害である。肥満の発生率の増加は、高血圧、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、変形性関節症および特定の形態の癌などの合併症をもたらす。
【0011】
肥満は、体重増加および肥満度指数(BMI)により一般に特定される。体重超過である人々は、末梢組織インスリン抵抗性により特徴付けられる。「インスリン抵抗性」なる語は、インスリンに対する生物学的反応の減少をいう。肥満個体において、インスリン抵抗性は大抵、膵臓からのインスリン分泌の増加により補填される。肥満対象は、末梢インスリン抵抗性の間接的根拠の高インスリン血症を示す。しかしながら、体は、一定水準までインスリン分泌のみ増加しうる。したがって、インスリン抵抗性が肥満者にて悪化し続ければ、最終的に、身体は、もはやこれ以上インスリン分泌を刺激することにより補填することはできないであろう。現時点では、血漿インスリン濃度は低下する傾向にあり、順に、グルコース濃度の上昇をもたらすので、2型糖尿病をもたらす。明らかに、過剰な脂肪蓄積により開始され、インスリン抵抗性により引き起こされるインスリン分泌のこの段階的低下は、個体にとって望ましくない。
【0012】
したがって、過剰な脂肪蓄積および肥満を阻止する薬剤が望ましい。したがって、インスリン抵抗性の進行を止める化合物を同定する方法および製法は、肥満者を治療するのに有用である。インスリン抵抗性に対して薬理学的コントロールを有することでこれらの個体は、血圧上昇、脂質プロフィール異常およびアテローム性動脈硬化症などの心疾患の発症率をより低下するかかる治療から利益を受けるであろう。
【0013】
US6583157は、PPARモジュレーターとしてキノリニルおよびベンゾチアゾリル化合物を開示する。
【0014】
US6403607は、消化性潰瘍の治療における効果を示すスルホンアミド誘導体および活性成分として誘導体を含む薬剤を開示する。
【0015】
US6262112およびUS6573278は、アリールスルホンアミドおよび類似体ならびに神経変性疾患の治療におけるその使用を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6583157号明細書
【特許文献2】米国特許第6403607号明細書
【特許文献3】米国特許第6262112号明細書
【特許文献4】米国特許第6573278号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】American Journal of Medicine,60,80,1976
【非特許文献2】Diabetes Care,14,173,1991
【非特許文献3】Diabetalogia,34(12),848−861,1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療のための改良および別の医薬が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、一般式(I):
【化1】

[式中:
Arは、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bは、−O−、−S−、または−NH−であり;
は、水素であり;
は、S(O)またはC(O)(CH−C(O)ORであり;
は、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRであり;
は、アリールであり;
は、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
は、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRは、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nは、1−3の整数である]
で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0020】
本発明はまた、一般式(I)の化合物、その医薬上許容される塩、その医薬上許容される溶媒和物の調製方法ならびにそれらを含有する医薬組成物に関する。
【0021】
本発明は、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害を治療するのに有用である一般式(I)の化合物、かかる化合物を用いる方法、およびかかる化合物の使用に関する。
【0022】
本発明の別の態様にしたがって、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療に有用である、一般式(I)の化合物を含む医薬の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】痩せたマウスにおける食物摂取量に対する化合物の効果。食物導入後2、4、6および24時間の、痩せたC57Bl6/Jマウスにおける食物摂取量に対する基準(シブトラミン)、化合物Iおよび化合物11の効果を示す。
【図2】食餌性肥満マウスの累積食物摂取量に対する化合物1の効果。食餌性肥満(DIO)マウスは、基準(シブトラミン)または化合物1のいずれかで10日間治療された。
【図3】食餌性肥満マウスにおける体重に対する化合物1の効果。基準(シブトラミン)または化合物1のいずれかで10日間治療した食餌性肥満(DIO)マウスの累積体重増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
定義を以下に記載し、個々にまたはより大集団の一部として、(具体例に限定しない限り)明細書および添付の特許請求の範囲を通して用いられる用語に適用する。
【0025】
「アルキル」なる語は、特に明記しない限り、1ないし8個の炭素原子を有する、完全飽和、一価または多価不飽和でありうる直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを意味する。飽和炭化水素ラジカルの例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチルなどの基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1個または複数の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例として、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、1,4−ペンタジエニル、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニルなどが挙げられる。
【0026】
特に明記しない限り、アルキル基は、置換されていないかあるいは1個または複数の同一または異なる置換基で置換されうる。置換されたアルキル残基に存在するあらゆる種類の置換基は、任意の所望の位置に存在しうる、ただし、置換は不安定な分子をもたらさない。置換されたアルキルは、1個または複数、例えば、1、2、3、4または5個の水素原子が、置換基、例えば、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アシル、カルボキシル、アルコキシル、エステル、アミノ、アミド、アセトアミド、フルオロアルキル、アラルキル、アシルオキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルなどで置換されるアルキル残基をいう。
【0027】
本明細書に用いられる、「アルコキシル」または「アルコキシ」なる語は、それに結合した酸素ラジカルを有するアルキル基をいい、アルキルは上記のとおりである。したがって、該用語には、1個または複数の同一または異なる基で置換されるアルコキシルまたはアルコキシが含まれる。代表的なアルコキシ基には、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシ基が含まれる。
【0028】
本明細書に用いられる、「アシル」なる語は、カルボニル基に結合した(アルキル、アルコキシ、シクロアルキルアミノ、ヒドロキシまたはハロでさらに置換されうる)アルキルなどの任意の基または有機ラジカルをいい、アルキルは上記のとおりである。
【0029】
「ヘテロ原子」なる語は、窒素、酸素および硫黄をいう。不飽和価数を有する任意のヘテロ原子が、価数を満たすために水素原子を有すると考えられていることに留意すべきである。
【0030】
本明細書に用いられる、「アリール」なる語は、10個までの環炭素原子を有する単環式または二環式芳香族環をいう。アリールの例として、フェニル、ナフチル、ビフェニルなどが挙げられる。特に明記しない限り、アリール残基、例えば、フェニルまたはナフチルは、置換されていないかあるいはハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、アミド、アシル、カルボキシル、スルホニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル基からなる群より選択される1個または複数の置換基、例えば、5個までの同一または異なる置換基で所望により置換されていてもよい。
【0031】
アリール残基は、任意の所望の位置を介して結合してもよく、置換されたアリール残基では、置換基は、任意の所望の位置に位置してもよい。例えば、一置換フェニル残基では、置換基は、2位、3位、4位または5位に位置しうる。フェニル基が2個の置換基を有するならば、それらは、2,3−位、2,4−位、2,5−位、2,6−位、3,4−位または3,5−位に位置しうる。
【0032】
「ヘテロアリール」なる語は、特に明記しない限り、N、OまたはSから選択される1ないし4個のヘテロ原子を含有するアリール基を意味する。環ヘテロ原子は、互いに関して任意の所望の数および任意の位置で存在しうる、ただし、得られたヘテロアリール系は安定である。
【0033】
ヘテロアリール基の非限定的な例として、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニルなどが挙げられる。
【0034】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロサイクリック」、「複素環」および「ヘテロシクロ」なる語は、1、2、3または4個が窒素、酸素または硫黄から選択される同一または異なるヘテロ原子である3、4、5、6、7、8、9、10または11、12、13または14個の環原子を含有する飽和、または部分不飽和単環式または二環式環系をいう。ヘテロシクリル基は、例えば、環中に1または2個の酸素原子および/または1または2個の硫黄原子および/または1ないし4個の窒素原子を有しうる。単環式ヘテロシクリル基には、3員、4員、5員、6員および7員環が含まれる。かかるヘテロシクリル基の適当な例は、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニルなどである。
【0035】
二環式ヘテロシクリル基には、2個の縮合環が含まれ、その一方は、5、6または7員ヘテロサイクリック環であり、その他方は、5または6員炭素環またはヘテロサイクリック環である。二環式ヘテロサイクリック基の例として、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロインドリルなどが挙げられる。
【0036】
特に明記しない限り、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル基は、置換されていないかあるいは1個または複数(例えば、5個まで)の、同一または異なる置換基で置換されうる。環炭素および環窒素原子に対する置換基の例は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、アリールオキシ、アミノ、シアノ、アミド、カルボキシル、アシル、アリール、ヘテロシクリルなどである。置換基は、1つまたは複数の位置に存在しうる、ただし、安定分子が得られる。
【0037】
「アリールアルキル」なる語は、アリールまたはヘテロアリール基がアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチルなど)に結合するそれらのラジカルを含むことを意味する。
【0038】
「ハロゲン」なる語は、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。
【0039】
「アミノ」なる語は、アルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロシクリルで所望により置換されていてもよい−NH基をいい、アルキル、アシル、アリール、またはヘテロシクリルなる語は、上記のとおりである。
【0040】
「置換」または「で置換された」には、かかる置換が、置換される原子および置換基の許容価数に従い、ならびに例えば、転位、環化、脱離などによる変化を容易に受けない、安定化合物をもたらすという黙示条件が含まれることは理解されるであろう。
【0041】
「医薬上許容される塩」なる語は、本明細書に記載の化合物上で見出された特定の置換基により、比較的非毒性酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本発明の化合物が比較的酸性官能性を含有する場合、塩基付加塩は、ニートまたは適当な不活性溶媒中のいずれかで、かかる中性型の化合物を十分量の所望の塩基と接触させることにより得られうる。医薬上許容される塩基付加塩の例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、またはマグネシウム塩、あるいは類似塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性官能性を含有する場合、酸付加塩は、ニートまたは適当な不活性溶媒中のいずれかで、かかる中性型の化合物を十分量の所望の酸と接触させることにより得られうる。医薬上許容される酸付加塩の例として、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸(monohydrogencarbonic)、リン酸、一水素リン酸(monohydrogenphosphoric)、二水素リン酸(dihydrogenphosphoric)、硫酸、一水素硫酸(monohydrogensulfuric)、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などの無機酸から生じるもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソブチル酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性有機酸から生じる塩が挙げられる。アルギン酸塩などのアミノ酸塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩もまた含まれる。本発明のある特定の化合物は、化合物を塩基または酸付加塩のいずれかに変換することを可能にする塩基性および酸性官能性両方を含有する。
【0042】
中性型の化合物は、塩基または酸との塩を含有し、従来技法で親化合物を単離することにより再生されうる。化合物の原形態は、極性溶媒における溶解度など、ある物理的性質にて種々の塩形態とは異なりうる。
【0043】
本発明のある化合物は、非溶媒和物型ならびに水和物型を含む、溶媒和物型で存在しうる。一般に、溶媒和物型および非溶媒和物型は、本発明の範囲内に包含される。本発明のある化合物は、多数の結晶または非晶質形態で存在しうる。一般に、全ての物理的形状は、本発明の範囲内である。
【0044】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態である化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、物理的条件下で化学変化を容易に受け、本発明の化合物を得る化合物である。加えて、プロドラッグは、エクスビボ環境中で化学的または生化学的方法により本発明の化合物に変換されうる。例えば、プロドラッグは、適当な酵素または化学試薬とともに経皮パッチ容器中に静置すると、本発明の化合物に徐々に変換されうる。
【0045】
立体中心が式(I)の化合物中に存在することを当業者は分かるであろう。したがって、本発明は、式(I)の全ての可能な立体異性体および幾何異性体を含み、ラセミ化合物だけではなくさらに光学的活性異性体も含む。式(I)の化合物が単一エナンチオマーとして望ましい場合、異性的に純粋な出発物質または任意の従来の中間体のいずれかから最終生成物の分割または立体特異的合成法のいずれかにより得られうる。最終生成物、中間体または出発物質の分割は、従来技法により達成されうる。さらに、式(I)の化合物の互変異性体が起こりうる状況において、本発明は、化合物の全ての互変異性型を含むことを意図とする。
【0046】
実施態様:
本発明の実施態様
本発明は、一般式(I):
【化2】

[式中:
Arは、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bは、−O−、−S−、または−NH−であり;
は、水素であり;
は、S(O)またはC(O)(CH−C(O)ORであり;
は、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRであり;
は、アリールであり;
は、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
は、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRは、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nは、1−3の整数である]
で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0047】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、ヘテロシクリルで置換されたフェニル基であり;
Bは、−O−、−S−、またはNH−であり;
は、水素であり;
は、S(O)またはC(O)(CH−C(O)ORであり;
は、ハロゲン、シアノ、CO)OR、またはC(O)NRであり;
は、アリールであり;
は、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
は、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRは、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nは、1−3の整数である]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0048】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、ヘテロシクリルで置換されたフェニル基であり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、S(O)であり;
は、ハロゲンであり;
は、アリールである]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0049】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、ヘテロシクリルで置換されたフェニル基;例えば、Bと結合しているフェニル部分を有するピペラジニル置換フェニルであり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、S(O)であり;
は、ハロゲン、好ましくは、塩素であり;
は、置換または非置換フェニル;例えば、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、置換アルキル、または非置換アルキルで置換されたフェニル;例えば、メチルまたは置換メチル置換フェニル(例えば、4−メチルフェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、または3−クロロ−4−メチルフェニル);モノまたはジ−メトロキシ置換フェニル(例えば、3,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、4−メトキシフェニル、または4−トリフルオロメトキシフェニル);ハロゲン置換フェニル、例えば、フルオロ置換フェニル(例えば、4−フルオロフェニル、または2,4−ジフルオロフェニル)、クロロ置換フェニル(例えば、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3−クロロ−4−メチルフェニル)、またはクロロおよびフルオロ置換フェニル(例えば、2−フルオロ−4−クロロフェニル);または4−シアノフェニルである]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0050】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、Bと結合しているフェニル部分を有する4−(ピペラジン−1−イル)フェニルであり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、S(O)であり;
は、塩素であり;
は、2,4−ジクロロフェニルである]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0051】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、Bと結合しているフェニル部分を有する4−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)フェニルであり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、S(O)であり;
は、塩素であり;
は、置換または非置換フェニル;例えば、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、置換アルキル、または非置換アルキルで置換されたフェニル;例えば、メチル置換フェニル(例えば、4−メチルフェニル);モノまたはジ−メトキシ置換フェニル(例えば、3,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、4−メトキシフェニル、または4−トリフルオロメトキシフェニル);ハロゲン置換フェニル、例えば、フルオロ置換フェニル(例えば、4−フルオロフェニルまたは2,4−ジフルオロフェニル)、クロロ置換フェニル(例えば、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、または2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)である]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0052】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、Bと結合しているフェニル部分を有する3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)フェニルであり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、S(O)であり;
は、ハロゲンであり;
は、4−メトキシフェニルまたは2,4−ジフルオロフェニルである]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0053】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、ヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bは、−O−、−S−、またはNH−であり;
は、水素であり;
は、S(O)、またはC(O)(CH−C(O)ORであり;
は、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRであり;
は、アリールであり;
は、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
は。水素または(C−C)アルキルであり;
およびRは、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nは、1−3の整数である]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0054】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、ヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、S(O)であり;
は、ハロゲン、好ましくは、塩素であり;
は、アリールである]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0055】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、Bと結合しているフェニル部分を有する6−(2−ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニルであり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、S(O)であり;
は、ハロゲン、好ましくは、塩素であり;
は、置換または非置換フェニル;例えば、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、置換アルキル、または非置換アルキルで置換されたフェニル;例えば、メチルまたは置換メチル置換フェニル(例えば、4−メチルフェニル);モノまたはジ−メトキシ置換フェニル(例えば、3,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、4−メトキシフェニル、または4−トリフルオロメトキシフェニル);ハロゲン置換フェニル、例えば、フルオロ置換フェニル(例えば、4−フルオロフェニルまたは2,4−ジフルオロフェニル)またはクロロ置換フェニル(例えば、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、または2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)である]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0056】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、Bと結合しているフェニル部分を有する6−(2−ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニルであり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、S(O)であり;
は、塩素であり;
は、置換または非置換フェニル;例えば、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、置換アルキル、または非置換アルキルで置換されたフェニル;例えば、モノメトキシ置換フェニル(例えば、4−メトキシフェニル);またはクロロ置換フェニル(例えば、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、または2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)である]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0057】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、ヘテロシクリルで置換されたフェニル基であり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、C(O)(CH−C(O)ORであり;
は、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRを表し;
は、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
は、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRは、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nは、1−3の整数である]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0058】
1の実施態様において、本発明は、式(I):
[式中:
Arは、Bと結合しているフェニル部分を有する4−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)フェニルであり;
Bは、酸素であり;
は、水素であり;
は、C(O)(CH−C(O)ORであり;
は、塩素であり;
は、水素である]で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0059】
本発明の化合物は、これらに限定されるものではないが、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,5−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メチルベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−フルオロベンゼン−スルホンアミド、
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド、
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド、
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド、
4−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イルアミノ)−4−オキソブタン酸、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド;および
その医薬上許容される塩および溶媒和物から選択される。
【0060】
本発明の適当な化合物は、これらに限定されるものではないが、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド、
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド、
4−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イルアミノ)−4−オキソブタン酸;および
その医薬上許容される塩および溶媒和物を提供する。
【0061】
本明細書に用いられる、「治療する」および「療法」なる語などは、既存の疾患(例えば、2型糖尿病、肥満または脂質異常症)の緩和、進行の遅延、予防、軽減または治癒をいう。
【0062】
本明細書に用いられる「治療上有効な量」なる語は、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害に罹患している特定の患者における所望の治療反応をもたらすのに有効な本発明の化合物の量を記載することを意味する。
【0063】
本発明の別の態様にしたがって、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療に有用である、一般式(I)の化合物を含む医薬の製造のための方法が提供される。
【0064】
本発明の別の態様にしたがって、哺乳動物におけるインスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療に有用である、一般式(I)の化合物を含む医薬の製造のための方法が提供され、その医薬は、少なくとも1種の他の医薬上活性な化合物と一緒に、連続してまたは同時に投与されるように製造される。
【0065】
本発明の化合物を化学原料として治療上投与しうることが可能である場合、活性成分は医薬処方として存在することが好ましい。したがって、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物もしくはプロドラッグ、例えば、1種または複数のその医薬上許容される担体、および所望により他の治療および/または予防成分と一緒に含む医薬処方をさらに提供する。
【0066】
医薬組成物は、経口、口腔、非経口、経皮、吸入、鼻腔内、経粘膜、インプラント、または直腸投与、好ましくは経口投与のために特別に処方された、通常用いられる形態、例えば、錠剤、ロゼンジ、カプセル剤、粉末、シロップ、溶液、懸濁液などであってもよい。口腔投与について、処方は、従来手法で処方された錠剤またはロゼンジの形となっていてもよい。経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、通常の賦形剤、例えば、結合剤(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプン粘液またはポリビニルピロリドン)、充填剤(例えば、ラクトース、砂糖、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウムまたはソルビトール)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコース酸ナトリウム)または湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含有していてもよい。錠剤は、当該分野にて既知の方法にしたがってコーティングされていてもよい。
【0067】
あるいは、本発明の化合物は、経口液体製剤、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、乳液、シロップまたはエリキシル剤中の一部となりうる。そのため、これらの化合物を含有する処方は、使用前に水または他の適当なビヒクルと組成するために乾燥粉末として存在しうる。かかる液体製剤は、通常の添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/砂糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用脂;乳化剤、例えば、レクチン、モノオレイン酸ソルビタンまたはアカシア;(食用脂を含みうる)非水性ビヒクル、例えば、アーモンド油、ヤシ油、油性エステル、プロピレングリコールまたはエチルアルコール;および保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルまたはソルビン酸を含有していてもよい。かかる製剤はまた、例えば、通常の坐剤基剤、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドを含有する坐剤として処方されてもよい。さらに、本発明の処方は、注射または持続注入による非経口投与用に処方されてもよい。注射用処方は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、または乳液としてかかる形態をとってもよく、処方剤、例えば、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤を含有していてもよい。あるいは、活性成分は、使用前に適当なビヒクル(例えば、滅菌、発熱物質不含水)と組成するために粉末形態であってもよい。
【0068】
本発明に記載の処方はまた、デポー製剤として処方されてもよい。かかる長時間作用型処方は、注入(例えば、皮下または筋肉内)によりまたは筋肉内注射により投与されてもよい。したがって、本発明の化合物は、適当なポリマーまたは疎水性物質(例えば、許容される油中乳液として)、イオン交換樹脂でまたは例えば、難溶性塩としての難溶性誘導体として処方されうる。
【0069】
本明細書の治療への言及が、既存の疾患または症状の予防ならびに治療にまで及ぶことは当業者であれば分かるであろう。そのため、治療の使用に必要な本発明の化合物の量は、治療を受ける病態の性質ならびに患者の年齢および状態で変化し、最終的にはかかりつけの医師または獣医の判断によることは分かるであろう。しかしながら、一般に、成人治療に用いられる投与量は、典型的には、1日あたり0.02−5000mgまたは1日当たり1−1500mgの範囲であろう。所望の投与量は便宜上、単回投与量であるいは
適当な間隔で投与される分割投与量、例えば、1日2回、3回、4回またはそれ以上の分割量として存在していてもよい。
【0070】
本発明に記載の処方は、活性成分の0.1−99%、都合のよいことには錠剤およびカプセル剤について30−95%ならびに液体製剤について3−50%含有していてもよい。
【0071】
さらに、活性成分として、少なくとも1種の一般式(I)の化合物に加えて、医薬組成物はまた、1種または複数の他の治療上活性な成分を含有していてもよい。
【0072】
本発明の実施態様にしたがって、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療方法であって、治療上有効な量の式(I)の化合物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法が提供される。
【0073】
本発明の実施態様にしたがって、2型糖尿病、肥満、耐糖能異常、脂質異常症、高インスリン血症、アテローム性動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、冠動脈疾患、高血圧、加齢、非アルコール性脂肪肝疾患、感染症、癌および卒中を含む、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療方法であって、治療上有効な量の式(I)の化合物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法が提供される。
【0074】
本発明の実施態様にしたがって、2型糖尿病およびそれに関連する障害の治療方法であって、治療上有効な量の式(I)の化合物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法が提供される。
【0075】
本発明の実施態様にしたがって、肥満およびそれに関連する障害の治療方法であって、治療上有効な量の式(I)の化合物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法が提供される。
【0076】
本発明の実施態様にしたがって、脂質異常症およびそれに関連する障害の治療方法であって、治療上有効な量の式(I)の化合物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法が提供される。
【0077】
実施態様によれば、本発明の化合物は、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療に有用である。
【0078】
実施態様によれば、本発明の化合物は、2型糖尿病、耐糖能異常、脂質異常症、高インスリン血症、アテローム性動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、冠動脈疾患、高血圧、加齢、非アルコール性脂肪肝疾患、感染症、癌および卒中を含む、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療に有用である。
【0079】
実施態様によれば、本発明の化合物は、2型糖尿病の治療に有用である。
【0080】
実施態様によれば、本発明の化合物は、肥満および関連障害の治療に有用である。
【0081】
実施態様によれば、本発明の化合物は、脂質異常症の治療に有用である。
【0082】
本発明にしたがって、インスリン抵抗性および高血糖に関連する代謝性障害の治療に有用な代表的化合物は、これらに限定されるものではないが、以下:
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,5−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メチルベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−フルオロベンゼン−スルホンアミド、
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド、
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド、
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド、
4−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イルアミノ)−4−オキソブタン酸、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド;および
その医薬上許容される塩および溶媒和物から選択される。
【0083】
本発明にしたがって、インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療に有用な適当な化合物は、これらに限定されるものではないが、以下:
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド、
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド、
4−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イルアミノ)−4−オキソブタン酸;およびその医薬上許容される塩および溶媒和物から選択される。
【0084】
化合物の調製
本発明のさらなる態様にしたがって、一般式(I):
【化3】

[式中:
Arは、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bは、−O−、−S−、または−NH−であり;
は、水素であり;
は、S(O)またはC(O)(CH−C(O)ORであり;
は、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRであり;
は、アリールであり、
は、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
は、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRは、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nは、1−3の整数である]
で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩および溶媒和物の調製方法が提供される。
【0085】
本発明に記載の、一般式(I)の化合物は、標準的合成法によりまたはそれと同様に、特に、スキーム1にしたがってまたはそれと同様に調製されうる。
【化4】

【0086】
スキーム1に示されるように、本発明の化合物は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、またはアセトニトリルなどの溶媒の存在下、所望により、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはフッ化カリウムなどの塩基の存在下において、式(II)の化合物(式中:Rは上記のとおりであり、Halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素から選択される)を式(III)の化合物(式中:ArおよびBは上記のとおりである)と反応させ、式(IV)の化合物(式中:Ar、BおよびRは上記のとおりである)を得ることにより調製されうる。式(IV)の化合物のニトロ基は、対応アミノ基に還元され、式(V)の化合物(式中:A、BおよびRは上記のとおりである)を得る。ニトロ基の還元は、酢酸エチルなどの溶媒中でSnClを用いることによりまたはFe/HClを用いることにより;またはガス状水素およびPd−C、Rh−C、Pt−Cなどの触媒の存在下において;または当該分野に既知の任意の適当な方法により実施されうる。
【0087】
式(V)の化合物は、塩基としてピリジンまたはトリエチルアミンおよびアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、またはジオキサンから選択される溶媒の存在下において、Hal−SO(式中:Halはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表し、Rは上記のとおりである)と反応させることにより、式(I)の所望の化合物(式中:Rは−SOであり、Ar、B、R、RおよびRは上記のとおりである)にさらに変換される。
【0088】
式(V)の化合物はまた、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、またはジオキサンから選択される溶媒の存在下において、無水[(CH(CO)O]と還流することにより、式(I)の所望の化合物(式中:Rは−C(O)(CH−C(O)OHであり、Ar、B、n、R、およびRは上記のとおりである)に変換されうる。式(I)の酸は、文献公知の標準的エステル化反応により、そのエステル[式中:Rは−C(O)(CH−C(O)OR(式中:Ar、B、n、R、およびRは上記のとおりであり、Rは(C−C)アルキルまたはアリールである)である]に変換されうる。
【0089】
一般式Iの化合物(式中:Ar、B、R、RおよびRは上記のとおりである)は、文献既知の標準的製法により医薬上許容される塩に変換されうる。
【0090】
本発明の化合物は、以下の実施例に示すように調製されうる。以下の実施例は、本発明のいくつかの特定化合物の合成を示し、一般法を例示するために説明する。したがって、以下の実施例の項目は、本明細書にて考慮される本発明の範囲を限定することを決して意図とするものではない。
【実施例】
【0091】
略語リスト
HCl :塩酸;
POCl:オキシ塩化リン;
CsCO:炭酸セシウム
DCM :ジクロロメタン
DMF :ジメチルホルムアミド
DMSO :ジメチルスルホキシド
CPM :カウント毎分
mpk :mg/Kg
od :1日1回
bid :1日2回
HEPES:N−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸
MP(DSC):融点(示差走査熱量測定)
CMC :カルボキシメチルセルロース
【0092】
調製例1:2,3−ジクロロ−5−ニトロピリジン
工程i.2−ヒドロキシ−3−クロロ−5−ニトロピリジン
2−ヒドロキシ−5−ニトロピリジン(1g、7.14mmol)を、攪拌しながら4.5mL濃HClに滴下し、次いで、50℃に加熱した。これに塩素酸ナトリウム(266mg、2.5mmol)の水(4mL)中溶液を徐々に加えた。反応液を同温度でさらに1時間維持し、次いで、0℃に冷却した。得られた沈殿物を濾過し、水で完全に洗浄し、乾燥し、2−ヒドロキシ−3−クロロ−5−ニトロピリジンを得た。
収率:850mg、(68.2%);H NMR(DMSO−d) δ :8.36(d,1H);8.65(d,1H)。
【0093】
工程ii.2,3−ジクロロ−5−ニトロピリジン
キノリン(0.3mL、2.34mmol)を、窒素下0℃でPOCl(0.5mL、4.68mmol)に加えた。該攪拌混合物に、上記の工程iで得られた2−ヒドロキシ−3−クロロ−5−ニトロピリジン(816mg、4.68mmol)を加えた。反応混合物を、120℃で2時間攪拌し、0℃に冷却し、次いで、氷冷水を添加した。得られた沈殿物を濾過し、水で完全に洗浄し、乾燥し、2,3−ジクロロ−5−ニトロピリジンを得た。
収率:630mg、(70.3%);H NMR(DMSO−d) δ :8.94(d,1H);9.16(d,1H)。
【0094】
調製例2:1−{4−[4−((5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−ピペラジン−1−イル−エタノン
工程i.1−{4−[4−((3−クロロ−5−ニトロ−ピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−ピペラジン−1−イル−エタノンの調製
乾ジメチルホルムアミド(10mL)を、攪拌しながら1−[4−(−ヒドロキシ−フェニル−−ピペラジン−1−イル]−エタノン(696mg、3.16mmol)に加え、炭酸セシウムを室温(25℃)で加えた(1.03g、3.16mmol)。30分後、2,3−ジクロロ−5−ニトロ−ピリジン(610mg、3.16mmol)(調製例1にて得られた)を加え、さらに18時間攪拌し続けた。溶媒を真空下で除去し、得られたものに水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮し、粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル〜200メッシュ、石油エーテル中30%酢酸エチル)に付してさらに生成し、標記化合物を得た。
収率:1.09g(92.9%);
H NMR(CDCl) δ :2.01(s,3H),2.99(t,2H),3.05(t,2H),3.54(s,4H),5.30(s,2H),6.85(d,1H),6.93(d,1H),7.17(s,1H),7.43(s,1H)。
【0095】
工程ii.1−{4−[4−((5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)−フェニル]−ピペラジン−1−イル−エタノン
工程iの化合物(3.15g、8.34mmol)を酢酸エチル(50mL)で溶解した。塩化第一スズ二水和物(7.52g、33.36mmol)を室温(25℃)で加え、18時間攪拌し続けた。溶媒を真空下で除去し、クロロホルム(50mL)を加えた。1N水酸化ナトリウム溶液を、透明溶液を得るまで加えた。有機層を分離し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を、ブラインおよび水で続けて洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮し、粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル〜200メッシュ、クロロホルム中1%メタノール)に付してさらに生成し、標記化合物を得た。
収率:1.77g(61.52%);H NMR(CDCl) δ :2.04(s,3H),3.10(m,2H),3.18(m,2H),3.59(brs,4H),5.32(s,2H),7.05(d,J=9Hz,2H),7.14(d,J=9Hz,2H),8.86(d,J=2.4Hz,1H),8.95(d,J=2.4Hz,1H);MS: 347 (M+1)。
【0096】
調製例3:5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−アミン
3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノールを、2,3−ジクロロ−5−ニトロピリジン(調製例1にて得られた)と反応させ、1−(3−(3−クロロ−5−ニトロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−4−メチルピペラジンを得、調製例2に記載の製法によりさらに標記化合物に変換した。
H NMR(CDCl) δ :3.09(t,J=4.5Hz,4H),3.22(t,J=4.5Hz,4H),3.70(s,3H),5.17(s,2H),6.36(dd,J=2.5,8.0Hz,1H),6.46(s,1H),6.55(dd,J=1.5,8.0Hz,1H),7.06(d,J=2.5Hz,1H),7.11(t,J=8.0Hz,1H),7.63(d,J=2.5Hz,1H);MS(ES): 319.01 (M+1)。
【0097】
調製例4:6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−アミン
2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノールを、2,3−ジクロロ−5−ニトロピリジンと反応させ、2−(2−(3−クロロ−5−ニトロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ベンゾ[d]チアゾールを得、調製例2に記載の製法によりさらに6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−アミンに変換した。
H NMR(DMSO−d) δ :5.48(s,2H),6.99(d,J=8.0Hz,1H),7.27(d,J=2.5Hz,1H),7.35(t,J=7.5Hz,1H),7.44(t,J=7.5Hz,1H),7.47(d,J=2.5Hz,1H),7.54(m,2H),8.07(d,J=8.0Hz,1H),8.11(d,J=8.0Hz,1H),8.46(d,J=7.0Hz,1H);MS: 354.11 (M+1)。
【0098】
式(I)の化合物の調製の一般的製法
アミン[調製例1−4により得られた](1mmol)のDCM中攪拌溶液に、ピリジン(1−3mmol)を加え、次いで、置換ベンゼンスルホニルクロライド(1mmol)を加えた。反応混合物を室温(25℃)で攪拌した。反応混合物を、DCMを用いて希釈し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)を用いて精製し、所望の化合物を得た。
実施例1−10、12、13、および15−18の化合物は、該製法により調製された。
【0099】
塩形成の一般的製法
製法A:式(I)の化合物を、1:1酢酸エチルおよびDCM溶媒混合液で溶解した。透明溶液に、1当量の対応する酸(トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸、またはベンゼンスルホン酸など)を加え、室温(25℃)で30−45分間攪拌した。沈殿物を濾去し、H NMRおよびMP(DSC)で特徴付けた。
製法B:式(I)の前記化合物を、エタノールで溶解した(大過剰を必要とし、加熱して透明溶液を得た)。透明溶液に、1当量の対応する酸(トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)を加えた。3時間攪拌した後、溶媒を除去し、得られた固体をH NMRおよびMP(DSC)で特徴付けた。
【0100】
実施例1
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド(化合物1)
標記化合物を、1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化2,4−ジクロロベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
mp:215℃−216℃;H NMR(DMSO−d) δ :2.02(s,3H),3.02(d,4H),3.55(s,4H),6.94(s,4H),7.57(dd,1H),7.64(d,1H),7.70(d,1H),7.87(d,1H),7.96(d,1H) 10.98(s,1H);MS(ES): 555.03 (M+1)。
【0101】
ナトリウム塩:
実施例1の化合物(250mg)を、過剰量(40−50mL)のメタノールで溶解し、反応混合物を60℃で加温し、透明溶液を得た。攪拌溶液に、1.0当量の水酸化ナトリウムをメタノール中溶液として加えた。溶液を2−3時間還流した。反応終了後、溶媒を除去し、乾燥した。
mp:130℃−133℃;H NMR(DMSO−d): δ 7.88(d,1H),7.60(d,1H),7.46(d,1H),7.43(d,1H),7.40(dd,1H),6.89−6.80(m,4H),3.50(brs,4H),3.04(t,2H),2.97(t,2H),1.97(s,3H);MS(ES): 577 [(M−1)+Na]。
【0102】
実施例2
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド(化合物2)
標記化合物を、1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化4−メトキシベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :1.97(s,3H),3.02(d,4H),3.55(s,4H),3.79(s,3H),6.94(s,4H),7.05−7.08(m,2H),7.63−7.66(m,4H),10.30(s,1H);MS(ES): 517.12 (M+1)。
【0103】
実施例3
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド(化合物3)
標記化合物を、1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化3,4−ジメトキシベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :2.06(s,3H),3.02(d,4H),3.55(s,4H),3.74(d,6H),6.94(s,4H),7.05(d,1H),7.19(s,1H),7.25(d,1H),7.64(s,2H) 10.26(s,1H);MS(ES): 545.16 (M−1)。
【0104】
実施例4
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,5−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド(化合物4)
標記化合物を、1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化2,5−ジメトキシベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :2.02(s,3H),3.02(s,2H),3.09(s,2H) 3.54(d,4H),3.70(s,3H),3.78(s,3H) 6.93(s,4H),7.14−7.20(m,3H) 7.64(d,1H) 7.68(d,1H),10.20(s,1H);MS(ES): 545.16 (M−1)。
【0105】
実施例5
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(化合物5)
標記化合物を、1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :2.01(s,3H),3.02(d,4H),3.54(s,4H),6.93(s,4H),7.69(s,2H),7.8(d,1H),8.13−8.2(m,2H),11.08(s,1H);MS(ES): 589.06 (M+1)。
【0106】
実施例6
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド(化合物6)
標記化合物を、1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化3,4−ジクロロベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :2.02(s,3H),3.03(s,2H),3.1(s,2H),3.55(s,4H),6.92(s,4H),7.62−7.69(m,3H),7.83(d,1H) 7.91(d,1H),10.61(s,1H);MS(ES): 554.8 (M−1)。
【0107】
実施例7
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−(トリルフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド(化合物7)
標記化合物を、1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :2.02(s,3H),3.02(s,2H),3.09(s,2H),3.55(s,4H),6.95(s,4H),7.55(d,2H) 7.63−7.67(m,2H),7.83(d,2H),10.58(s,1H);MS(ES): 571.03 (M+1)。
【0108】
実施例8
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メチルベンゼン−スルホンアミド(化合物8)
標記化合物を、1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化4−メチルベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :2.02(s,3H),2.33(s,3H),3.02(s,2H),3.09(s,2H),3.55(s,4H),6.94(s,4H),7.34(d,2H),7.58−7.63(m,4H),10.4(s,1H);MS(ES): 501.01 (M+1)。
【0109】
実施例9
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼン−スルホンアミド(化合物9)
標記化合物を、アミン 1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化2,4−ジフルオロベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :2.02(s,3H),3.01(t,2H),3.08(t,2H),3.55(s,4H),6.95(s,4H),7.22(t,1H),7.51−7.59(dt,1H),7.67(d,1H),7.70(d,1H),7.82−7.9(m,1H),10.86(s,1H);MS(ES): 523.09 (M+1)。
【0110】
実施例10
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−フルオロベンゼン−スルホンアミド(化合物10)
標記化合物を、1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)および塩化4−フルオロベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :2.02(s,3H),3.01(t,2H),3.08(t,2H),3.55(s,4H),6.95(s,4H),7.37(t,2H),7.64(s,2H),7.75−7.80(m,2H),10.48(s,1H);MS(ES): 505.1 (M+1)。
【0111】
実施例11
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド(化合物11)
標記化合物を、メタノール−水中濃HClを用いて、N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド(実施例1に記載の製法により得られた)の脱アセチル化により調製した。
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド(500mg)をメタノール(100mL)で溶解した。混合物を、攪拌しながら50℃で加温した。攪拌溶液に、2mLの濃HClおよび1mLの水を加えた。得られた溶液を、45−50℃で6−7時間攪拌した。溶媒を除去し、水を残渣に加えた。反応混合物を、1N水酸化ナトリウム溶液を用いてアルカリ性にした。標記化合物を沈殿し、濾去し、真空下60℃で乾燥した。
収率:320mg(69.3%);H NMR(DMSO−d6) δ :3.17(brs,4H),3.19(brs,4H),3.38(m,1H),6.84−6.94(m,4H),7.37(d,1H),7.40−7.45(m,2H),7.58(d,1H),7.91(d,1H),9.95(s,1H);MS: 513.1 (M−1)。
【0112】
実施例12
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド(化合物12)
標記化合物を、5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−アミン(調製例3に記載の製法により得られた)および塩化2,4−ジフルオロベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :3.21−3.33(m,8H),3.69(s,3H),6.34(dd,1H),6.46(d,1H),6.50(d,1H),7.06(t,1H),7.25(dt,1H),7.50(d,1H),7.64(dt,1H),7.86(d,1H),7.94(d,1H),10.76(s,1H);MS(ES): 493.1 (M−1)。
【0113】
実施例13
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド(化合物13)
標記化合物を、5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−アミン(調製例3に記載の製法により得られた)および塩化4−メトキシベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより得た。
H NMR(DMSO−d) δ :3.22(t,4H),3.33(s,4H),3.69(s,3H),3.78(s,3H),6.34(dd,1H),6.46(s,1H),6.51(d,1H),7.05−7.12(m,3H),7.45(d,1H),7.64(d,2H),7.88(d,1H),10.26(s,1H);MS(ES): 489.1 (M+1)。
【0114】
実施例14
4−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イルアミノ)−4−オキソブタン酸(化合物14)
標記化合物を、還流温度でトルエン中にて1−(4−(4−(5−アミノ−3−クロロピリジン−2−イルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(調製例2に記載の製法により得られた)およびジヒドロフラン−2,5−ジオンを反応させることにより得た。反応混合物を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)に付して精製した。
H NMR(DMSO−d) δ :2.02(s,3H),2.48(t,4H),3.04(d,4H),3.56(s,4H),6.97(s,4H),8.10(s,1H),8.28(s,1H),10.26(s,1H),12.17(s,1H);MS(ES): 447.1 (M+1)。
【0115】
実施例15
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼン−スルホンアミド(化合物15)
標記化合物を、6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−アミン(調製例4に記載の製法により得られた)および塩化2,4−ジクロロベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより調製した。
H NMR(DMSO−d) δ :7.26(d,1H),7.39−7.46(m,2H),7.49−7.54(m,3H),7.68(d,2H),7.76(d,1H),7.80(d,1H),7.95−7.98(m,2H),8.06(d,1H),8.39(dd,1H);MS(ES): 561.85 (M+1)。
【0116】
実施例16
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド(化合物16)
標記化合物を、6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−アミン(調製例4に記載の製法により得られた)および塩化4−メトキシベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより調製した。
H NMR(DMSO−d) δ :3.73(s,3H),6.95(d,2H),7.23(d,1H),7.39−7.45(m,2H),7.49−7.62(m,5H),7.73(d,1H),8.00(d,1H),8.08(d,1H),8.40(d,1H);MS(ES): 522.05 (M−1)。
【0117】
実施例17
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド(化合物17)
標記化合物を、6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−アミン(調製例4に記載の製法により得られた)および塩化3,4−ジクロロベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより調製した。
H NMR(DMSO−d) δ :7.28(d,1H),7.40−7.60(m,6H),7.67(d,1H),7.82(m,2H),7.96(m,1H),8.05(m,1H),8.36(dd,1H),10.65(s,1H);MS(ES): 561.90 (M+1)。
【0118】
実施例18
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(化合物18)
標記化合物を、6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−アミン(調製例4に記載の製法により得られた)および塩化2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン−1−スルホニルを反応させることにより調製した。
H NMR(DMSO−d) δ :5.74(s,1H),7.28(d,1H),7.38−7.57(m,4H),7.70(s,1H),7.83(d,2H),7.98(d,1H),8.06(d,1H),8.18(d,1H),8.38(d,1H),11.15(s,1H);MS(ES): 593.93 (M−1)。
【0119】
薬理学
実施例19
インスリン抵抗性を示すインビトロモデル
アッセイは、参考資料、British Journal of Pharmacology,130,351−58,2000にて執筆され、その開示を出典明示によりアッセイの記載の一部とする。
【0120】
試験化合物の溶液(10μM/mL)をDMSOで調製した。
【0121】
ロシグリタゾン(DMSO中0.1μM)を基準として用いた。
【0122】
脂肪細胞への分化を、下記の既知の方法により誘導した。(J.Biol.Chem.,260,2646−2652,1985)、その開示を出典明示により脂肪細胞分化の記載の一部とする。
【0123】
ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中0.5nM 1−メチル−3−イソブチルキサンチン(IBMX)、0.25μMデキサメタゾン、5μg/mlインスリン(ウシ/ヒト)、10mM HEPES緩衝液および10容量%ウシ胎仔血清(FBS)を含有する培地を分化のために用いた。
【0124】
3T3 L1線維芽細胞を、0.5−2x10細胞/ウェルの密度で24ウェルまたは6ウェルプレート中に播種し、最大密集度に達することを可能にした。
【0125】
密集繊維芽細胞を、2日間培地に曝した。その後、インスリンのみを含有する新しい培地(DMEM)を用い、10%FBSを加え、2日ごとに培地を変えて4日間培養した。7日後、培地は、インスリンに曝されていない10%FBSを含有するDMEMを得た。8−10日の終わりまで、95%以上の細胞は、脂肪細胞中に分化していた。
【0126】
成熟脂肪細胞を、エタノール中で加えられた100nMデキサメタゾンに曝し、培地中で2日間インキュベートした。3日目に、試験化合物の溶液を、2日後ごとに培地を変えて4日間培地を含有する100nMデキサメタゾンと一緒に加えた。ビヒクル対照は、1%v/vのDMSOを含有した。ロシグリタゾンを基準として用い、2日後ごとに培地を変えて4日間培地を含有する100nMデキサメタゾンと一緒に、DMSO中0.1μMの濃度で加えた。全6日間の後、細胞を以下のようにグルコース取り込みのために処理した。
【0127】
インスリン抵抗性脂肪細胞を、CO雰囲気中37℃で3−4時間、0.1%ウシ血清アルブミンを含有する無血清DMEMに曝した。試験化合物はまた、この期間中存在していた。3−4時間後、培地を吸引し、pH7.4のクレブスリンガーリン酸(KRP)バッファーでおよび200nMヒト/ブタインスリンで置き換えた。細胞を37℃で30分間インキュベートした。30分後、0.05または0.1μCiの14C−2−デオキシグルコースを、24ウェルまたは6ウェルプレートのいずれかの各ウェルに加え、ちょうど5分間インキュベートし、プレートを製氷皿に移し、培地を急速に吸引した。細胞層を、pH7.4の氷冷リン酸バッファーセイライン(PBS)で2回洗浄した。最終的に、細胞層を150μlの0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)で溶解し、細胞溶解物の放射能を液体シンチレーションカウンターで測定した。非特異的グルコース取り込みを、グルコーストランスポーターの阻害薬、サイトカラシンBに曝されたウェル中でアッセイした。インスリンビヒクルに曝された細胞中濃度を上記のCPM/ウェルとして表されたグルコーストランスポーター/取り込みの実質上有意な増加を示した化合物は、該アッセイで活性化すると考えられる。該IRアッセイの活性化を制限するカットオフは、ビヒクルに対する1.0のアッセイ値のビヒクルの1.50倍の増加として定義された。活性化はまた、比較の基準として用いられる、ロシグリタゾンの%として表された。統計解析は、対応のない(unpaired)t−検定を用いて行われた。
【0128】
結果を表1に要約する。
【表1】

【0129】
結論:本発明の代表的化合物は、インスリン抵抗性モデルにおけるグルコース取り込みの増加のインスリン感作活性を示した。
【0130】
実施例20
(a)ヒトPPARγトランス活性化アッセイ
アッセイは、参考資料、Biochem.Biophys.Res.Comm.175:865−871,1991にて執筆され、その開示を出典明示により該アッセイの記載の一部とする。
【0131】
ヒトPPARγ活性を、ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子を用いてトランス活性化により評価した。
【0132】
pBL−TK−ルシフェラーゼ・レポータープラスミドAOX−3X PPRE−TK−LUCは、3コピーのラットアシルCoAオキシダーゼPPREクローン上流の最小単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)プロモーターを含有する。ヒト全長PPARγcDNAを、pSG5発現ベクター(Stratagene,Lo Jolla,CA)にクローン化した。
【0133】
HEK293細胞を、24ウェルプレートに播種し、10%(v/v)FCSを追加したDMEM中で増殖した。24時間後、それらを、Fugen6トランスフェクション試薬(Roche,Indianapolis,IN)を用いてウェル当たり100ngのhPPARγ受容体および300ngのAOX3X PPRE−LUCレポーターコンストラクトでトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、ロシグリタゾンの試験化合物(DMSOで溶解した)を加えた。対照は0.1%DMSOであった。48時間後、トランス活性化活性を、Steady Glow試薬(Promega,Madison,WI)を用いてルシフェラーゼアッセイにより測定した。結果を表2に要約する。
【表2】

【0134】
(b)マウスPPARγアッセイ
アッセイは、参考資料、Blood,104(5),1361−8,2004にて執筆され、その開示を出典明示により該アッセイの記載の一部とする。
【0135】
3T3−L1繊維芽細胞を、4x10細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種し、10%子牛血清を含有するDMEMで培養した。4−5日後、細胞が密集すると、化合物1を(20mMのDMSO中ストックから)10%FCSを追加したDMEM中にて50μMの最終濃度まで加えた。ロシグリタゾンを、(10mMストックから)10μMの最終濃度まで加えた。プレートを、最初の48時間後に加えられた試験基質を含有する新しい培地でCOインキュベータ中37℃にて72時間インキュベートした。72時間後、培地を除去し、細胞層を洗浄し、製造業者(Active Motif,North America,California,USA)の指示によりPPARγアッセイのために処理した。PPARγ活性化を、指示マニュアル(TransAM PPARγ.Active Motif,Cat.40196)により96ウェルELISAアッセイを用いて測定した。アッセイ読取値は、マウスPPARγアッセイの分光光度計から出力された吸光度であった。発光データ出力を、ヒトPPARγアッセイについて記録した。
【0136】
化合物の活性は、陽性対照として用いられる目的化合物である、ロシグリタゾンと比較した相対活性として表された。結果を表3に要約する。
【表3】

【0137】
結論:ヒトおよびマウスPPARγの選択性アッセイにおいて、本発明の化合物は、任意のPPARγ活性化を示さなかった。
【0138】
インビボ生物学的実験
注釈:全ての動物実験手順は、動物実験委員会により承認された。
インビトロアッセイ[実施例19]にて活性を見出された化合物は、インスリン抵抗性の動物モデルのインビボ評価を受けた。
【0139】
実施例21
db/db BL/6Jマウスにおけるスクリーニング
プロトコールは、参考資料:
1.Metabolism,53(12),1532−1537,2004.
2.American Journal of Hypertension,17(5),Supplement 1,S32,2004
にて執筆された。
【0140】
これらの2つの参考資料の開示は、出典明示により該プロトコールの記載の一部とされる。
【0141】
化合物のスクリーニングは、遺伝的糖尿病db/db BL/6Jマウスにおける血漿グルコース濃度を低下させる能力に基づくものであった。
【0142】
雄db/dbマウス(the Animal House of Nicholas Piramal Research Centre,Goregaon,Mumbai,Indiaから得られた)を、該試験に用い(30−40gの範囲の体重および6−8週齢)、制御温度(22±1℃)および湿度(45±5%)の個別に換気されたケージ中で8匹/ケージを維持した。食物および水を、血液サンプル採取前の4時間の絶食を除き、実験室滞在中適宜与えた。全試験期間中、12時間の明および暗サイクルを続けた。
【0143】
4時間の絶食後、血液サンプルを、マウスから採取した。300〜500mg/dlの血漿グルコース濃度を示すマウスを、各グループについて、平均血漿グルコース濃度およびグループ内の変化がほぼ同一であるように、グループ(8−10匹/グループ)に分けた。分類後、各グループのマウスは、0.5%CMCビヒクル、基準化合物または試験化合物での治療を10日間受けた。ロシグリタゾンを基準として用いた。
【0144】
4時間の絶食後、マウスを、イソフルラン(吸入麻酔薬)を用いて麻酔し、血液サンプルを、眼窩神経叢(retro orbital plexus)を介して採取した。採取血液サンプルを、4℃で10分間7000rpmにて遠心分離した;分離血漿を、診断キット(Diasys,Germany)を用いて血漿グルコースの予測のために用いた。治療グループの血漿グルコース濃度を、対照グループの変化を説明する、以下の式を用いて対照グループで標準化した。
【0145】
標準化に用いられる式は、
*:{1−(0日目対10日目の対照グループの平均血漿グルコース濃度の比率)/(0日目対10日目の治療グループの血漿グルコース濃度の比率)}x100であった。
【0146】
結果を表4に要約する。
【表4】

【0147】
結論:本発明の代表的化合物は、糖尿病の動物モデルにおいて有意なグルコース低下活性を示した。
【0148】
実施例22
抗肥満薬の評価
アッセイは、参考資料、PCT公開公報WO2003086306にて執筆され、その開示を出典明示により該アッセイの記載の一部とする。
【0149】
(a)急性試験
体重20−25gの、雄C57Bl6/Jマウスを、動物施設に個別に収容した。水および食物(Amrut Laboratory Animal feed, Sangli,Maharashtra,India)は適宜得ることができた。試験1日前、動物の体重を量り、同様の平均体重を有する治療グループに分類した。実験について、動物は、一晩16時間食物を奪われた。試験化合物(100mg/kg)またはセイラインビヒクル(10mL/kg)中比較基準(シブトラミン、3mg/kg)で腹腔内投与した。薬物投与の1時間半後、動物に、食物カップで予め量った量の食物を与えた。カップに残った食物を、様々な時点で測定した。食物導入の2、4、6および24時間後の、絶食して痩せたC57Bl6/Jマウスにおける食物摂取量に対する基準、および試験化合物の効果を評価した。結果を図1に示す。
結論:化合物1および化合物11は、食物導入後2時間、C57Bl6/Jマウスの食物摂取量を抑制するのに有効である(***p<0.001対ビヒクル処理対照)。
【0150】
(b)慢性試験
アッセイは、参考資料、British Journal of Pharmacology,132,1898−1904,2001にて執筆され、その開示を出典明示により該アッセイの記載の一部とする。
【0151】
雄C57Bl6/Jマウス(3−4週齢)を、動物施設で10匹/ケージのグループにて収容した。高脂肪食(D12451 Research Diets Inc.,New Brunswick,NJ 08901,USA)、脂肪から45%kcal)および水を、14週間適宜与えた。その後、動物をケージに個別に収容した。動物の体重を量り、同様の体重でグループに分類した。それらを、2日間実験手順に慣れさせた。10:00時−12:00時に、動物に、試験化合物(200mg/kg)または10ml/kgの0.5%CMCビヒクル中基準(シブトラミン、3mg/kg)を腹腔内投与した。薬物投与後、動物に、食物カップで予め量った量の食物を与えた。カップに残った食物の量および体重を投与後すぐに毎日記録した。体重の変化および累積食物摂取量を算出した。結果を図2および図3に示す。
結論:1.化合物1は、治療の10日間、食餌性肥満(DIO)マウスの累積食物摂取量を低下させるのに有効であった(***p<0.001、**p<0.01、p<0.05対ビヒクル処理対照)。
2.化合物1は、治療の10日間、食餌性肥満(DIO)マウスの累積体重増加を低下させるのに有効であった(***p<0.001、**p<0.01、p<0.05対ビヒクル処理対照)。
【0152】
本明細書および添付の特許請求の範囲に用いられる、単数形「a」、「an」、および「the」には、特に明記しない限り、複数形の指示対象が含まれることに留意すべきである。したがって、例えば、「化合物(単数)」を含有する組成物への言及には、2種または複数の化合物の混合物が含まれる。「または」なる語が、一般に、特に明記しない限り、「および/または」を含む意味として用いられることにも留意すべきである。
【0153】
本明細書の全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する当業者の水準を示している。
【0154】
本発明は、種々の特定および好ましい実施態様および技法に関して記載している。しかしながら、本発明の精神および範囲を超えない限り、多数の変更および修正を行ってもよいことを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中:
Arは、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bは、−O−、−S−、または−NH−であり;
は、水素であり;
は、S(O)またはC(O)(CH−C(O)ORであり;
は、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRであり;
は、アリールであり;
は、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
は、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRは、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nは、1−3の整数である]
で示される化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項2】
Arが、ヘテロシクリルで置換されたフェニル基であり;
Bが、−O−、−S−、または−NH−であり;
が、水素であり;
が、S(O)またはC(O)(CH−C(O)ORであり;
が、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRであり;
が、アリールであり;
が、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
が、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRが、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nが、1−3の整数である、請求項1記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項3】
Arが、ヘテロシクリルで置換されたフェニル基であり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、S(O)であり;
が、ハロゲンであり;
が、アリールである、請求項1または2記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項4】
Arが、ヘテロシクリル基で置換されたフェニル基;例えば、Bと結合しているフェニル部分を有するピペラジニル置換フェニルであり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、S(O)であり;
が、塩素であり;
が、4−メチルフェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3−クロロ−4−メチルフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3−クロロ−4−メチルフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、またはシアノフェニルである、前記請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項5】
Arが、Bと結合しているフェニル部分を有する4−(ピペラジン−1−イル)フェニルであり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、S(O)であり;
が、塩素であり;
が、2,4−ジクロロフェニルである、前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項6】
Arが、Bと結合しているフェニル部分を有する4−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)フェニルであり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、S(O)であり;
が、塩素であり;
が、4−メチルフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、または2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニルである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項7】
Arが、Bと結合しているフェニル部分を有する3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)フェニルであり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、S(O)であり;
が、塩素であり;
が、4−メトキシフェニルまたは2,4−ジフルオロフェニルである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項8】
Arが、ヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bが、−O−、−S−、またはNH−であり;
が、水素であり;
が、S(O)またはC(O)(CH−C(O)ORであり;
が、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRであり;
が、アリールであり;
が、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
が、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRが、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nが、1−3の整数である、請求項1記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項9】
Arが、ヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、S(O)であり;
が、塩素であり;
が、アリールである、請求項1または請求項8記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項10】
Arが、Bと結合しているフェニル部分を有する6−(2−ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニルであり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、S(O)であり;
が、塩素であり;
が、4−メチルフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、または2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニルである、請求項8または請求項9記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項11】
Arが、Bと結合しているフェニル部分を有する6−(2−ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニルであり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、S(O)であり;
が、塩素であり;
が、4−メトキシフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、または2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニルである、請求項8ないし10記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項12】
Arが、Bと結合しているフェニル部分を有するヘテロシクリルで置換されたフェニル基であり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、C(O)(CH−C(O)ORであり;
が、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRを表し;
が、水素、(C−C)アルキル、またはアリールであり;
が、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRが、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
nが、1−3の整数である、請求項1または請求項2記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項13】
Arが、Bと結合しているフェニル部分を有する4−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)フェニルであり;
Bが、酸素であり;
が、水素であり;
が、C(O)(CH−C(O)ORであり;
が、塩素であり;
が、水素である、請求項1、2、または12記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項14】
化合物が、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,5−ジメトキシベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−フルオロベンゼンスルホンアミド、
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド、
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド、
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、
4−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イルアミノ)−4−オキソブタン酸、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドである、前記請求項1ないし13のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項15】
化合物が、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド、
4−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イルアミノ)−4−オキソブタン酸である、前記請求項1ないし13のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、医薬上許容される塩または溶媒和物。
【請求項16】
一般式(I):
【化2】

[式中:
Arは、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bは、−O−、−S−、または−NH−であり;
は、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRであり;
は、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRは、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
はHであり、RはSOであり、Rはアリールである]
で示される化合物の調製方法であって、
a)炭酸セシウムなどの塩基の存在下において、一般式(II):
【化3】

[式中:Halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である]
で示される化合物を式(III)の化合物:Ar−BHと反応させ、一般式(IV):
【化4】

で示される化合物を得ること;
b)上記式(IV)のニトロ化合物を還元し、一般式(V):
【化5】

で示される対応アミノ化合物を得ること;
c)塩基の存在下において、一般式(V)のアミノ化合物をHal−SO(式中:Halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である)と反応させ、式(I)の化合物を得ること;および
d)得られた化合物を医薬上許容される塩に変換してもよいことを含む、方法。
【請求項17】
一般式(I):
【化6】

[式中:
Arは、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールで置換されたフェニル基であり;
Bは、−O−、−S−、または−NH−であり;
は、ハロゲン、シアノ、(CO)OR、またはC(O)NRであり;
は、水素または(C−C)アルキルであり;
およびRは、独立して、水素または(C−C)アルキルであり;
はHであり、RはC(O)(CH−C(O)ORであり、nは1−3の整数であり、Rは水素、(C−C)アルキル、またはアリールである]
で示される化合物の調製方法であって、
a)炭酸セシウムなどの塩基の存在下において、一般式(II):
【化7】

[Halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である]
で示される化合物を式(III)の化合物:Ar−BHと反応させ、一般式(IV):
【化8】

で示される化合物を得ること;
b)式(IV)のニトロ化合物を還元し、一般式(V):
【化9】

で示される対応アミノ化合物を得ること;
c)上記一般式(V)のアミノ化合物を無水[(CH(CO)O]と還流し、式(I)の酸(式中:Rは−C(O)(CH−C(O)OHであり、nは1−3の整数である)を得ること;
d)式(I)の酸を式(I)のエステル(式中:Rは−C(O)(CH−C(O)ORであり、nは1−3の整数であり、Rは(C−C)アルキルまたはアリールである)に変換してもよいこと;および
e)得られた酸またはエステルを医薬上許容される塩に変換してもよいことを含む、方法。
【請求項18】
治療上有効な量の前記請求項1ないし15のいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物、またはその立体異性体、医薬上許容される塩もしくは医薬上許容される溶媒和物、および医薬上許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
治療上有効な量の前記請求項1ないし15のいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物、またはその立体異性体、医薬上許容される塩もしくは医薬上許容される溶媒和物、および医薬上許容される担体または希釈剤と一緒に、さらに少なくとも1種の医薬上活性な化合物を含む、医薬組成物。
【請求項20】
医薬組成物の製造方法であって、医薬上適当なおよび生理学上許容される賦形剤ならびに必要に応じて、さらに適当な活性化合物、添加剤または補助剤と一緒に、前記請求項1ないし15のいずれか1項に記載の少なくとも1種の式(I)の化合物および/またはその立体異性体、医薬上許容される塩もしくは医薬上許容される溶媒和物を適当な投与形態にすることを含む、方法。
【請求項21】
インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療方法であって、それを必要とする哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物またはその立体異性体、医薬上許容される塩もしくは医薬上許容される溶媒和物を投与することを含む、方法。
【請求項22】
インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害が、2型糖尿病、肥満、耐糖能異常、脂質異常症、高インスリン血症、アテローム性動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、冠動脈疾患、高血圧、加齢、非アルコール性脂肪肝疾患、感染症、癌または卒中を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害が2型糖尿病である、請求項21または請求項22記載の方法。
【請求項24】
インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害が肥満である、請求項21または請求項22記載の方法。
【請求項25】
哺乳動物におけるインスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療のための医薬の製造のための、前記請求項1ないし15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその立体異性体、医薬上許容される塩もしくは医薬上許容される溶媒和物の使用。
【請求項26】
インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害が、2型糖尿病、肥満、耐糖能異常、脂質異常症、高インスリン血症、アテローム性動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、冠動脈疾患、高血圧、加齢、非アルコール性脂肪肝疾患、感染症、癌または卒中を含む、請求項25記載の使用。
【請求項27】
インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害が2型糖尿病である、請求項25または請求項26記載の使用。
【請求項28】
インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害が肥満である、請求項25または請求項26記載の使用。
【請求項29】
式(I)の化合物が、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,5−ジメトキシベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−フルオロベンゼンスルホンアミド、
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド、
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド、
N−(5−クロロ−6−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、
4−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イルアミノ)−4−オキソブタン酸、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド,
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、または
N−(6−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド;および
その立体異性体、医薬上許容される塩、または医薬上許容される溶媒和物である、請求項25または請求項26記載の使用。
【請求項30】
式(I)の化合物が、
N−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェノキシ)ピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド、
4−(6−(4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェノキシ)−5−クロロピリジン−3−イルアミノ)−4−オキソブタン酸;およびその立体異性体、医薬上許容される塩、または医薬上許容される溶媒和物である、請求項25または請求項26記載の使用。
【請求項31】
哺乳動物におけるインスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害の治療のための医薬の製造のための、前記請求項1ないし15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその立体異性体、医薬上許容される塩もしくは医薬上許容される溶媒和物の使用であって、該医薬が、少なくとも1種の他の医薬上活性な化合物と一緒に、連続してまたは同時に投与されるように製造されるところの、使用。
【請求項32】
それを必要とする哺乳動物におけるインスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害を治療するための請求項1ないし15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項33】
インスリン抵抗性または高血糖に関連する代謝性障害が、2型糖尿病、肥満、耐糖能異常、脂質異常症、高インスリン血症、アテローム性動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、冠動脈疾患、高血圧、加齢、非アルコール性脂肪肝疾患、感染症、癌または卒中を含む、請求項32の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−504321(P2010−504321A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528850(P2009−528850)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053811
【国際公開番号】WO2008/035305
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(508097663)ピラマル・ライフ・サイエンシーズ・リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】Piramal Life Sciences Limited
【Fターム(参考)】