説明

インダゾールアミド誘導体

式(I)(式中、R〜Rは請求項1で示された意味を有する)で表される新規なインダゾール誘導体は、HSP90阻害剤であり、HSP90の阻害、調節および/または調整が関与する疾患の処置のための医薬を製造するために用いることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、価値ある特性を有する新規化合物、特に医薬の製造に用いることができる化合物を見出す目的に基づく。
本発明は、HSP90の阻害、調節および/または調整が関与する化合物に関し、さらにこの化合物を含む医薬組成物に関し、およびHSP90が関与する疾患の処置のための前記化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞におけるタンパク質の正しい折りたたみ(folding)および立体配座(conformation)は、分子シャペロンにより確保されており、タンパク質の合成と分解の間の平衡を調節するのに重要である。シャペロンは、例えば細胞増殖およびアポトーシスなどの、細胞の多くの中心的機能の調節に重要である(Jolly and Morimoto, 2000;Smith et al., 1998; Smith, 2001)。
【0003】
熱ショックタンパク質
組織の細胞は、例えば熱、低酸素、酸化ストレスなどの外的ストレス、または例えば重金属もしくはアルコールなどの毒性物質に対して、「熱ショックタンパク質(HSP)」の名称で知られている多数のシャペロンを活性化させて反応する。HSPの活性化は、かかるストレス因子による損傷から細胞を保護し、生理学的状態の回復を促進し、細胞のストレス耐性状態をもたらす。HSPにより促進される、外的ストレスに対するこの最初に発見された防御機構に加えて、時とともに、個別のHSPに対し、さらなる重要なシャペロン機能がストレスのない通常状態において記載されている。したがって種々のHSPは、例えば、細胞の生物学的に重要な多数のタンパク質の、正しい折りたたみ、細胞内局在や機能、または調節された分解などを調節している。HSPは、異なる細胞においてその細胞発現や機能、局在化が異なる個別の遺伝子産物を有する、遺伝子ファミリーを形成する。ファミリー内での名称および分類は、その分子量に基づき、例えばHSP27、HSP70、およびHSP90などである。
【0004】
いくつかのヒト疾患は、タンパク質の誤った折りたたみ(例えばTytell et al., 2001;Smith et al., 1998の概説を参照)に基づく。シャペロンに依存したタンパク質の折りたたみの機構に関わる治療法の開発は、したがって、そのようなケースにおいて有用となり得る。例えば、誤った折りたたみのタンパク質は、アルツハイマー病、プリオン病またはハンチントン症候群の場合には、神経変性の進行を伴うタンパク質の凝集をもたらす。誤った折りたたみのタンパク質はまた、野生型機能の消失ももたらし、その結果、分子および生理学的機能の誤った調節が生じる。
HSPは、腫瘍疾患においても重要性を有する。例えば、ある種のHSPの発現が、腫瘍の進行ステージと相関することが指摘されている(Martin et al., 2000;Conroy et al., 1996;Kawanishi et al., 1999;Jameel et al., 1992;Hoang et al., 2000;Lebeau et al., 1991)。
【0005】
HSP90が細胞の多数の中心的発癌性シグナル伝達経路に関与し、癌阻害活性を有するある天然の産物がHSP90を標的とするとの事実は、HSP90の機能の阻害が、腫瘍疾患の処置に感受性があるであろうと考えさせる。HSP90阻害剤である、ゲルダナマイシンの誘導体17−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)は、現在臨床試験されている。
【0006】
HSP90
HSP90は、全細胞タンパク質質量の約1〜2%を占める。これは通常、細胞内で二量体の形態であり、タンパク質の多様性に関与し、いわゆるコシャペロンである(例えばPratt, 1997参照)。HSP90は細胞の活力に不可欠であり(Young et al., 2001)、細胞ストレスに対する応答において、その天然の折りたたみが熱ショックなどの外的ストレスにより変更させられた多くのタンパク質と相互作用することにより、重要な役割を果たして、元の折りたたみを回復させるか、またはタンパク質の凝集を妨げる(Smith et al., 1998)。
【0007】
HSP90は、おそらくは、突然変異による誤ったタンパク質の折りたたみを正すことによって、突然変異の効果に対する緩衝装置としても重要であるとの指摘がある(Rutherford and Lindquist, 1998)。さらに、HSP90は、調節的な重要性も有する。生理学的条件下において、HSP90は、その相同体と共に細胞小胞体GRP94において、立体配座の安定性を保証するため、および種々の重要なクライアントタンパク質を成熟させるための、細胞の平衡にも関与する。これらは3つのグループに分けられる:ステロイドホルモン、Ser/Thrまたはチロシンキナーゼの受容体(例えばERBB2、RAF−1、CDK4およびLCK);および例えば変異p53などの、種々のタンパク質のコレクション;またはテロメラーゼhTERTの触媒サブユニット。これらタンパク質の各々は、細胞の生理学的および生化学的プロセスの調節に重要な役割を果たす。ヒトにおける保存されたHSP90ファミリーは、4つの遺伝子からなる:細胞質HSP90α、誘導性HSP90βアイソフォーム(Hickey et al., 1989)、細胞小胞体のGRP94(Argon et al., 1999)、およびミトコンドリアマトリクスのHSP75/TRAP1(Felts et al., 2000)。ファミリーの全メンバーは、作用の類似モードを有するが、しかし、その細胞内での局在化に応じて、異なるクライアントタンパク質に結合する。例えば、ERBB2はGRP94の特異的なクライアントタンパク質であり(Argon et al., 1999)、一方腫瘍壊死因子の1型受容体(TNFR1)または網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)は、TRAP1のクライアントであることが見出された(Song et al., 1995;Chen et al., 1996)。
【0008】
HSP90は、多数のクライアントタンパク質および調節タンパク質との多くの複雑な相互作用に関与する(Smith, 2000)。正確な分子的詳細はまだ明らかにされていないが、近年の生化学的実験およびX線結晶学の支援による研究により、次第にHSP90のシャペロン機能の詳細が解読できるようになってきた(Prodromou et al., 1997;Stebbins et al., 1997)。それにより、HSP90は、ATP依存性分子シャペロンであり(Prodromou et al, 1997)、二量体化がATP加水分解に重要である。ATPの結合はドーナツ型の二量体構造の形成をもたらし、この中で2つのN末端ドメインが互いに密接に接触して、立体配座におけるスイッチとして作用する(Prodromou and Pearl, 2000)。
【0009】
既知のHSP90阻害剤
発見された第1のクラスのHSP90阻害剤は、化合物ハービマイシンAおよびゲルダナマイシンを伴うベンゾキノンアンサマイシンであった。最初に、v−Srcオンコジーンによる形質転換により誘発された、線維芽細胞における悪性表現型の復帰突然変異(reversion)が、それらと共に発見された(Uehara et al., 1985)。
次に強力な抗腫瘍活性が、in vitro(Schulte et al., 1998)で、およびin vivoの動物モデルにおいて(Supko et al., 1995)実証された。
【0010】
そして免疫沈降および親和性マトリクスの研究により、ゲルダナマイシンの作用の主要なメカニズムに、HSP90への結合が関与することが示された(Whitesell et al., 1994;Schulte and Neckers, 1998)。さらに、X線結晶学研究により、ゲルダナマイシンがATP結合部位に関して競合し、HSP90の内因性ATPアーゼ活性を阻害することが示された(Prodromou et al., 1997;Panaretou et al., 1998)。これは、クライアントタンパク質に対するシャペロンとして機能するその特性により、多量体HSP90複合体の形成を妨害する。その結果、クライアントタンパク質がユビキチン−プロテアソーム経路を介して分解される。
ゲルダナマイシン誘導体17−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)は、HSP90の阻害下においても不変の特性、すなわちクライアントタンパク質の分解ならびに、細胞培養物中および異種移植腫瘍モデルにおける抗腫瘍活性(Schulte et al, 1998;Kelland et al, 1999)を示したが、しかし、ゲルダナマイシンよりも顕著に低い肝臓毒性を有していた(Page et all 1997)。17AAGは現在、第I/II相の臨床試験中である。
大環状抗生物質であるラディシコールも同様に、線維芽細胞のv−Srcおよびv−Ha−Ras誘発性の悪性表現型の復帰突然変異を示す(Kwon et all 1992;Zhao et al, 1995)。ラディシコールは、HSP90の阻害の結果、多数のシグナルタンパク質を分解する(Schulte et al., 1009)。X線結晶解析により、ラディシコールも同様にHSP90のN末端ドメインに結合し、内因性ATPアーゼ活性を抑制することが示された(Roe et al., 1998)。
【0011】
クマリン型の抗生物質は、知られているように、バクテリア内のHSP90相同体DNAギラーゼのATP結合部位に結合する。クマリンであるノボビオシンは、HSP90のカルボキシ末端、すなわち、HSP90のN末端に結合するベンゾキノン−アンサマイシンおよびラディシコールとは別のHSP90の部位に結合する(Marcu et al., 2000b)。
ノボビオシンによるHSP90の阻害は、多数のHSP90依存性シグナルタンパク質の分解を引き起こす(Marcu et al., 2000a)。
例えばERBB2などのシグナルタンパク質の分解は、プリン由来のHSP90阻害剤であるPU3を用いて実証された。PU3は、乳癌細胞系において細胞周期の停止および分化を引き起こす(Chiosis et al., 2001)。
【0012】
治療標的としてのHSP90
腫瘍の表現型において非常に重要な多数のシグナル伝達経路の調節にHSP90が関わっていること、またある天然産物が、HSP90の活性の阻害を通してそれらの生物学的効果を発揮するとの発見により、現在HSP90は、腫瘍治療剤の開発の新規な標的として試験されている(Neckers et al., 1999)。
【0013】
ゲルダナマイシン17AAGおよびラディシコールの主要なメカニズムには、ATPの、タンパク質のN末端のATP結合部位への結合の阻害、およびその結果としての、HSP90の内因性ATPアーゼ活性の阻害が含まれる(例えばProdromou et al., 1997;Stebbins et al., 1997;Panaretou et al., 1998を参照のこと)。HSP90のATPアーゼ活性の阻害は、コシャペロンの動員を妨げ、HSP90ヘテロ複合体の形成を有利にし、これは、クライアントタンパク質を、ユビキチン−プロテアーゼ経路を介して分解させる(例えばNeckers et al., 1999;Kelland et al., 1999を参照のこと)。HSP90阻害剤を用いて腫瘍細胞を処置することにより、細胞増殖、細胞周期およびアポトーシスの調節などのプロセスに対して、基本的な重要性を有する重要なタンパク質の選択的分解がもたらされる。これらのプロセスは、腫瘍においてはしばしば調節が解除される(例えばHostein et al., 2001参照)。HSP90の阻害剤の開発についての魅力的な理論的根拠は、強力な腫瘍治療活性が、形質転換された表現型に関連する多数のタンパク質の同時分解により実現できることである。
【0014】
詳細には、本発明は、HSP90を阻害、調節および/または調整する化合物、この化合物を含む医薬組成物、およびHSP90が誘発する疾患の処置のためのこれらの使用に関し、前記疾患とは例えば以下である:腫瘍疾患、ウイルス疾患、例えばB型肝炎(Waxman, 2002);移植における免疫抑制(Bijlmakers, 2000およびYorgin, 2000);炎症誘発性疾患(Bucci, 2000)、例えば関節リューマチ、喘息、多発性硬化症、1型糖尿病、紅斑性狼瘡(エリテマトーデス)、乾癬および炎症性腸疾患;嚢胞性繊維症(Fuller, 2000);脈管形成が関与する疾患(Hur, 2002およびKurebayashi, 2001)、例えば糖尿病性網膜症、血管腫、子宮内膜症、および腫瘍脈管形成;感染症;自己免疫疾患;虚血;神経再生の促進(Rosen et al., WO 02/09696;Degranco et al., WO 99/51223;Gold, US 6,210,974 B1);線維形成疾患(fibrogenetic disease)、例えば、硬化性皮膚炎、多発性筋炎、全身性狼瘡、肝硬変、ケロイド形成、間質性腎炎、および肺線維症(Strehlow, WO 02/02123)。
【0015】
本発明はまた、本発明による化合物の、化学療法による毒性から正常細胞を保護するための使用に、および、タンパク質の誤った折りたたみまたは凝集が主要な原因因子である疾患、例えば、スクレイピー、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン病またはアルツハイマー病(Sittler, Hum. Mol. Genet., 10, 1307, 2001;Tratzelt et al., Proc. Nat. Acad. Sci., 92, 2944, 1995;Winklhofer et al., J. Biol. Chem., 276, 45160, 2001)における使用に関する。
【0016】
WO 01/72779には、プリン化合物およびその使用であって、GRP94(HSP90の相同体またはパラログ(paralogue))誘発性の疾患、例えば腫瘍疾患などの、癌組織が以下からから選択される肉腫または癌腫を含むものの処置のための、前記使用について記載されている:線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、骨髄癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、およびH鎖病。
【0017】
WO 01/72779にはさらに、その中で言及されている化合物の、ウイルス疾患の処置のための使用が開示されており、ここでウイルス病原体は、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV−I)、II型単純ヘルペス(HSV−II)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パピローマウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス、アルボウイルス、ハンタウイルス、コクサッキーウイルス、耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、ヒトI型免疫不全ウイルス(HIV−I)およびヒトII型免疫不全ウイルス(HIV−II)からなる群から選択される。
【0018】
WO 01/72779にはさらに、その中で言及されている化合物の、GRP94の調節のための使用が開示されており、ここで調節された生物学的GRP94活性は、個人における免疫反応、小胞体からのタンパク質輸送、低酸素/無酸素ストレスからの回復、栄養失調からの回復、熱ストレスからの回復、もしくはこれらの組合せを引き起こし、および/または、ここで疾患が、癌、感染症、小胞体からのタンパク質輸送の破壊に関連する疾患、虚血/再灌流に関連する疾患の種類、もしくはこれらの組合せである場合であり、ここで虚血/再灌流に関連する疾患が、心停止、アジストリーおよび心室性不整脈遅延、心臓手術、心肺バイパス手術、臓器移植、脊髄外傷、頭部外傷、卒中、血栓塞栓性卒中、出血性脳卒中、脳血管けいれん、低血圧、低血糖、てんかん重積症、てんかん発作、不安神経症、統合失調症、神経変性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)もしくは新生児ストレスの結果生じた場合である。
【0019】
最後に、WO 01/72779には、GRP94タンパク質調節剤の有効量の、個人の組織部位において虚血状態への続く細胞反応を変化させるための医薬の製造のための使用であって、該組織部位の細胞のGRP94タンパク質調節剤による処置により、細胞内でのGRP94活性を、続く虚血状態への細胞反応を変化させる程度に高めるための前記使用が記載されており、ここで続く虚血状態は好ましくは、心停止、アジストリーおよび心室性不整脈遅延、心臓手術、心肺バイパス手術、臓器移植、脊髄外傷、頭部外傷、卒中、血栓塞栓性卒中、出血性脳卒中、脳血管けいれん、低血圧、低血糖、てんかん重積症、てんかん発作、不安神経症、統合失調症、神経変性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または新生児ストレスによるものであり、またはここで、組織部位は移植についてのドナーの組織である。
【0020】
A. Kamal et al.によるTrends in Molecular Medicine, Vol. 10 No. 6 June 2004には、HSP90活性化の、特に中枢神経系の疾患および循環器疾患の処置のための、治療的および診断的用途が記載されている。
したがって、HSP90を特異的に阻害、調節および/または調整する小化合物の同定は望ましく、本発明の目的である。
【0021】
本発明による化合物およびその塩類は、良好に耐容されつつ、非常に価値ある薬理学的特性を有することが見出された。
特に、これらはHSP90阻害特性を示す。
したがって本発明は、前記疾患の処置および/または予防における医薬および/または医薬活性成分としての本発明の化合物に、および本発明の化合物の、前記疾患の処置および/または予防のための薬剤の製造のための使用に、ならびにまた、前記疾患の処置のための方法であって、本発明の1種または2種以上の化合物を、かかる投与が必要な患者に投与することを含む前記方法に関する。
【0022】
宿主または患者は、任意の哺乳類種に属してよく、例えば、霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯類;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどである。動物モデルは実験的研究において興味深く、ここで動物モデルはヒト疾患の処置のためのモデルを提供する。
【0023】
従来技術
WO 00/53169には、クマリンまたはクマリン誘導体を用いたHSP90の阻害について記載されている。
WO 03/041643 A2には、HSP90阻害性ゼアララノール誘導体について記載されている。
他のHSP90阻害性インダゾール誘導体は、WO 06/010595およびWO 02/083648から知られている。
【0024】
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【0025】
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【発明の概要】
【0038】
本発明は、式I:
【化1】

式中、
は、H、OH、OCH、OCF3、OCHF2、OBzl、OAc、p−メトキシベンジルオキシ、SH、S(O)CH、SONH、Hal、CFまたはCHを示し、
【0039】
は、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、飽和または不飽和の一環式または二環式複素環を示し、これは非置換であるか、またはRおよび/またはRにより一、二、もしくは三置換されており、
これは少なくとも1個のN原子を含み、該N原子は隣接するカルボニル基に直接結合しており、
は、H、Hal、A、OA、AlkOH、COOA、COA、COHet、CONH、CONHA、CONAA’、CONHAr、CONH(AlkAr)、CONAAr、CONA(AlkAr)、CONHHet、CONH(AlkHet)、CONAHet、CONA(AlkHet)、AlkCOOA、AlkCONHA、AlkCONAA’、AlkNHCONH、AlkNHCONHA、AlkNHCONAA’、AlkNHCOA、AlkNHCOAr、AlkNHSOA、AlkNHSOAr、AlkNASOAr、AlkNHSOCHAr、AlkNASOCHAr、AlkAr、AlkHet、NHAr、NHA、NAA’、NAAr、NAHetまたはNHHetを示し、
【0040】
は、H、A、Ar、(CHHet、Hal、CN、NO、NH、OH、OA、OAr、OAlkAr、OAlkHet、OAHet、SH、SA、SAr、SAlkAr、SHet、SAlkHet、COA、COAr、COHet、S(O)A、S(O)Ar、S(O)AAr、S(O)Het、S(O)AHet、NHA、NHAr、NHHet、NAA’、NAAr、NAHet、COOH、COOA、CONH、CONHA、CONAA’、CONH(CHAr、CONA(CHAr、CONH(CHHet、CONA(CHHet、SONH、SONHA、SONAA’、SONH(CHAr、SONA(CHAr、SONH(CHHet、SONA(CHHet、NHCOA、NACOA’、NHCO(CHAr、NACO(CHAr、NHCO(CHHet、NACO(CHHet、NHSOA、NASOA’、NHSO(CHAr、NASO(CHAr、NHSO(CHHet、NASO(CHHet、NHCOOA、NHCOOAr、NHCOOHet、NHCONHA、NHCONHAr、NHCONHHet、=O(カルボニル酸素)、OAlkNH、OAlkNHA、OAlkNAA’、OAlkOH、OAlkOA、OAlkCN、CONHAlkNH、CONHAlkNHA、CONHAlkNAA’、COAlkNH、COAlkNHAまたはCOAlkNAA’を示し、
は、H、A、Ar、Het、AlkAr、AlkHet、COA、CO(CHAr、CO(CHHet、SOA、SO(CHAr、SO(CHHet、COOA、COOAr、COOHet、CONHA、CONHArまたはCONHHetを示し、
【0041】
Arは、フェニル、ナフチル、またはビフェニルを示し、その各々は非置換であるか、またはA、OA、OH、SH、S(O)A、Hal、NO、CN、COA、COOH、COOA、CONR、SONR、NR、OCONR、NRCOR、NRSO、NRCONR、(CHNHSOA、O(CHCN、SOHet、O(CHNRおよび/または(CHHetにより一、二、三、四、もしくは五置換されており、
A、A’は、各々、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを示し、ここで1〜3個のCH基は、O、S、SO、SO、NH、NMeもしくはNEtにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
または、Alkもしくは3〜8個のC原子を有する環状アルキルを示し、
Alkは、2〜6個のC原子を有するアルケニルまたはアルキニルを示し、
【0042】
Alkは、1〜8個のC原子を有する非分枝または分枝アルキレンを示し、ここで1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、
および/または、ここで1個または2個のCH基は、Oによって置き換えられていてもよく、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、一環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これは非置換であるか、またはA、OA、OH、SH、S(O)A、Hal、NO、CN、COA、COOA、CONR、SONR、NR、OCONR、NRCOR、NRSO、NRCONR、=S、=NH、=NAおよび/または=O(カルボニル酸素)により一、二もしくは三置換されていてもよく、
Hetは、1〜3個のNおよび/またはO原子を有する、一環式飽和複素環を示し、これは非置換であるか、またはA、OA、OHおよび/または=O(カルボニル酸素)により一、二もしくは三置換されていてもよく、
【0043】
、Rは、各々、互いに独立して、Hまたは1〜6個のC原子を有するアルキルを示し、ここで1〜3個のCH基は、O、S、SO、SO、NH、NMeもしくはNEtにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子はFおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2、3または4を示し、
pは、1、2、3または4を示す、
で表される化合物、またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物に関する。
【0044】
本発明は、式Iで表される化合物およびその塩に関し、ならびに、式Iで表される化合物およびその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法であって、
式II:
【化2】

式中、
およびRは、請求項1に示された意味を有し、
Lは、F、Cl、Br、I、または遊離であるかもしくは反応性に修飾されたOH基を示す、
で表される化合物を、請求項1に示された意味を有するRと反応させること、
および/または
式Iの塩基または酸を、その塩の1つに変換することを特徴とする、前記方法に関する。
【0045】
本発明はまた、これらの化合物の立体異性体(E、Z異性体)および水和物および溶媒和物にも関する。本化合物の溶媒和物とは、その相互の引力により形成される、化合物上への不活性溶媒分子の付加物を意味する。溶媒和物とは、例えば一もしくは二水和物またはアルコラートである。
【0046】
薬学的に使用し得る誘導体とは、例えば、本発明の化合物の塩およびいわゆるプロドラッグ化合物を意味する。プロドラッグ誘導体とは、式Iの化合物であって、例えばアルキル基またはアシル基、糖類またはオリゴペプチドで修飾され、有機物中で迅速に切断されて本発明の有効な化合物を与える、前記式Iの化合物を意味する。これらはまた、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体も含み、これらは例えば、Int. J. Pharm. 115, 61-67 (1995)に記載されている。
【0047】
表現「有効量」は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば、研究者または医者により求められまたは望まれる、生物学的または医学的応答をもたらす医薬または医薬活性成分の量を意味する。加えて、表現「治療有効量」は、この量を受けていない対応する対象に比べて、以下の結果を生じる量を意味する:疾患、疾患ピクチャー、状態、愁訴、障害または副作用の改善された治療処置、治癒、予防または除去、あるいはまた、疾患、愁訴または障害の進行の低減。
用語「治療有効量」はまた、正常な生理機能を増加させるのに効果的な量も包含する。
【0048】
本発明はまた、本発明の式Iの化合物の混合物、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率の2種のジアステレオマーの混合物に関する。
これらは、特に好ましくは立体異性体化合物の混合物である。
一度より多く現れる全ての基については、これらの意味は互いに独立である。本明細書において、R、RおよびRの基およびパラメータは、他に明示的に記載されていない限り、式Iについて示された意味を有する。
【0049】
AまたはA’は好ましくはアルキルを表し、非分枝(直線)または分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。AまたはA’は特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、またはtert−ブチルを表し、さらにまたペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−もしくは4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−もしくは3,3−ジメチルブチル、1−もしくは2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−もしくは1,2,2−トリメチルプロピルを表す。AまたはA’は非常に特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを表し、好ましくはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルである。A、A’はまた、それぞれ、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで1〜3個のCH基は、O、S、SO、SO、NH、NMeまたはNEtにより置き換えられていてもよく、例えば、2−メトキシエチルまたは3−メチルアミノプロピルである。
AまたはA’はまた、環式アルキル(シクロアルキル)も表す。シクロアルキルは好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルを表す。環式アルキルはさらに好ましくは、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロヘキシルメチルを表す。
【0050】
AまたはA’はまた、Alkを表す。Alkは、2〜6個のC原子を有するアルケニルを表し、例えば、ビニルまたはプロペニルである。Alkはまたアルキニルを表し、例えばエチニルである。
Alkは好ましくは、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキレンを表し、ここで1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、および/またはここで1個または2個のCH基は、Oにより置き換えられていてもよく、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンまたは−(CHO(CH−である。
【0051】
は、好ましくはOH、OCHまたはSHを表し、特に好ましくはOHまたはOCHを表し、さらにまたOCF、OCHFを表す。
は好ましくは、ジヒドロピロリル、ピロリジニル、テトラヒドロイミダゾリル、ジヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピペリジニル、モルホリニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、3,4−ジヒドロベンゾ−1,4−オキサジニル、2,3−ジヒドロイソインドリル、2,3−ジヒドロインドリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサジアゾリジニルまたはチアゾリジニルを表し、これらの各々は、非置換であるか、またはOH、OA、Hal、CONH、CONHA、CONAA’、(CHHet、OAlkHet、OHet、COOA、=O(カルボニル酸素)、OAlkNH、OAlkNHA、OAlkNAA’、OAlkOH、OAlkOA、OAlkCN、CONHAlkNH、CONHAlkNHA、CONHAlkNAA’、COAlkNH、COAlkNHAおよび/またはCOAlkNAA’により一、二、もしくは三置換されており、
ここで複素環のN原子は、隣接するカルボニル基に直接結合している。
【0052】
は好ましくは、A、(CHAr、(CHHet、NHA、COAまたはCOHetを表し、ここでArは、非置換であるかまたはA、Halおよび/またはOAにより一、二、もしくは三置換されているフェニルを表す。
は好ましくは、OH、OA、Hal、CONH、CONHA、CONAA’、COOAまたは=O(カルボニル酸素)を表す。
は好ましくは、Hを表す。
【0053】
またはRは、好ましくはHまたは、非分枝(直線)もしくは分枝状の、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個のC原子を有するアルキルを表す。RまたはRは、特に好ましくは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、またはtert−ブチルを表し、さらにまたペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−もしくは4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−もしくは3,3−ジメチルブチル、1−もしくは2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−もしくは1,2,2−トリメチルプロピルを表す。
またはRは、特に好ましくは、Hまたは1、2、3、4、5もしくは6個のC原子を有するアルキルを表し、好ましくはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを表す。
nは、好ましくは0または1を表す。
【0054】
Arは、例えば、フェニル、o−、m−もしくはp−トリル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−もしくはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−もしくはp−ニトロフェニル、o−、m−もしくはp−アミノフェニル、o−、m−もしくはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−もしくはp−アセトアミドフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−もしくはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−フルオロフェニル、o−、m−もしくはp−ブロモフェニル、o−、m−もしくはp−クロロフェニル、o−、m−もしくはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−もしくはp−(メチルスルホニル)フェニル、o−、m−もしくはp−シアノフェニル、o−、m−もしくはp−ウレイドフェニル、o−、m−もしくはp−ホルミルフェニル、o−、m−もしくはp−アセチルフェニル、o−、m−もしくはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−もしくはp−カルボキシフェニル、o−、m−もしくはp−カルボキシメチルフェニル、o−、m−もしくはp−カルボキシメトキシフェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,4−もしくは2,5−ジニトロフェニル、2,5−もしくは3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、
【0055】
3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−もしくは2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−もしくは3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを表す。
Arは好ましくは、非置換であるかまたはA、Halおよび/またはOAにより一、二、もしくは三置換されているフェニルを表す。
【0056】
さらなる置換とは関わりなく、Hetは、例えば、2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、1−、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソオキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−インドリル、4−もしくは5−イソインドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−インダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズオキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニル、5−もしくは6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−2H−ベンゾ−1、4−オキサジニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−もしくは−5−イル、または2,1,3−ベンズオキサジアゾール−5−イルを表す。
【0057】
複素環式基はまた、部分的または完全に水素化されていてもよい。したがってHetはまた、例えば以下を表す:2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、テトラヒドロ−2もしくは−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、−1−、−2−もしくは−3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−もしくは−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−もしくは−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−もしくは−6−ピリジル、1−、−2−、−3−もしくは−4−ピペリジニル、2−、3−もしくは4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−もしくは−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−もしくは−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−もしくは−5−ピリミジニル、1−、2−もしくは3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−もしくは−6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたはまた3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−もしくは−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニルまたは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニル。
【0058】
Hetは好ましくは、1〜3個のN、Oおよび/またはS原子を有する、一または二環式の、飽和、不飽和または芳香族複素環を表し、これは、非置換であるか、またはA、Hal、COA、OH、OA、=NH,=NA、および/またはO(カルボニル酸素)により一、二、もしくは三置換されていてもよい。Hetは特に好ましくは、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ジヒドロオキサゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、インドリル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロインドリル、またはテトラヒドロピラニルであり、これらの各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OH、OA、COAおよび/またはO(カルボニル酸素)により一、二、もしくは三置換されている。
【0059】
Hetは、1〜3個のNおよび/またはO原子を有する一環式飽和複素環を表し、これは非置換であるか、またはA、OA、OHおよび/またはO(カルボニル酸素)により一、二、もしくは三置換されていてもよく、好ましくは、モルホリニル、ピペラジニル、または1,3−オキサジナニルであって、この各々はAおよび/またはO(カルボニル酸素)により一もしくは二置換されていてもよい。
式Iで表される化合物は、1または2個以上のキラル中心を有することができ、したがって、種々の立体異性形で存在する。式Iは、これらの形態全てを包含する。
【0060】
したがって、本発明は、特に、式Iで表される化合物であって、前記基の少なくとも1つが上記の好ましい意味を有する前記化合物に関する。化合物のいくつかの好ましい基は次の従属式Ia〜Iiにより表すことができ、これらは式Iに適合し、ここで詳細に指定されていない基は式Iについて示された意味を有するが、ただし、
Iaにおいて、Rは、OHまたはOCHを表し;
【0061】
Ibにおいて、Rは、ジヒドロピロリル、ピロリジニル、テトラヒドロイミダゾリル、ジヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピペリジニル、モルホリニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、3,4−ジヒドロベンゾ−1,4−オキサジニル、2,3−ジヒドロイソインドリル、2,3−ジヒドロインドリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサジアゾリジニルまたはチアゾリジニルを表し、これらの各々は、非置換であるか、またはOH、OA、Hal、CONH、CONHA、CONAA’、(CHHet、OAlkHet、OHet、COOA、=O(カルボニル酸素)、OAlkNH、OAlkNHA、OAlkNAA’、OAlkOH、OAlkOA、OAlkCN、CONHAlkNH、CONHAlkNHA、CONHAlkNAA’、COAlkNH、COAlkNHAおよび/またはCOAlkNAA’により一、二、もしくは三置換されており、
ここでN原子は、隣接するカルボニル基に直接結合しており;
【0062】
Icにおいて、Rは、A、(CHAr、(CHHet、NHA、COAまたはCOHetを表し、ここでArは、非置換であるかまたはA、Halおよび/またはOAにより一、二、もしくは三置換されているフェニルを表し;
Idにおいて、Arは、非置換であるかまたはA、Halおよび/またはOAにより一、二、もしくは三置換されているフェニルを表し;
Ieにおいて、A、A’は、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで1または2個のCH基は、O、NH、NMeまたはNEtにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
または、3〜8個のC原子を有する環式アルキルを表し;
【0063】
Ifにおいて、A、A’は、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで1〜2個のCH基は、Oおよび/またはNHにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく;
Igにおいて、Hetは、1〜3個のN、Oおよび/またはS原子を有する、一または二環式の、飽和、不飽和または芳香族複素環を表し、これは非置換であるか、またはA、Hal、OH、OA、COA、=NH、=NA、および/またはO(カルボニル酸素)により一、二、もしくは三置換されていてもよく;
【0064】
Ihにおいて、Hetは、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、ジヒドロオキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、インドリル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロインドリル、またはテトラヒドロピラニルであり、これらの各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OH、OA、COAおよび/またはO(カルボニル酸素)により一、二、もしくは三置換されており;
【0065】
Iiにおいて、Rは、OHまたはOCHを表し、
は、ジヒドロピロリル、ピロリジニル、テトラヒドロイミダゾリル、ジヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピペリジニル、モルホリニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、3,4−ジヒドロベンゾ−1,4−オキサジニル、2,3−ジヒドロイソインドリル、2,3−ジヒドロインドリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサジアゾリジニルまたはチアゾリジニルを表し、これらの各々は、非置換であるか、またはOH、OA、Hal、CONH、CONHA、CONAA’、(CHHet、OAlkHet、OHet、COOA、=O(カルボニル酸素)、OAlkNH、OAlkNHA、OAlkNAA’、OAlkOH、OAlkOA、OAlkCN、CONHAlkNH、CONHAlkNHA、CONHAlkNAA’、COAlkNH、COAlkNHAおよび/またはCOAlkNAA’により一、二、もしくは三置換されており、
ここでN原子は、隣接するカルボニル基に直接結合しており、
【0066】
は、A、(CHAr、(CHHet、NHA、COAまたはCOHetを表し、ここでArは、非置換であるかまたはA、Halおよび/またはOAにより一、二、もしくは三置換されているフェニルを表し;
Hetは、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、ジヒドロオキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、インドリル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロインドリル、またはテトラヒドロピラニルであり、これらの各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OH、OA、COAおよび/またはO(カルボニル酸素)により一、二、もしくは三置換されており、
【0067】
A、A’は、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで1〜2個のCH基は、Oおよび/またはNHにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
nは、0、1、2、3または4を表し;
およびその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、ならびにそれらの全ての比率での混合物である。
【0068】
本発明の化合物およびこれらの製造のための出発物質は、さらに、文献(例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie(有機化学の方法)、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的文献)に記載されているそれ自体知られている方法により、正確には該反応に対して知られている好適な反応条件のもとで、製造される。本明細書では詳細に触れていないが、それ自体が知られている変法も用いることができる。
所望であれば、出発物質の生成をin situで行うことができるところ、この場合には反応混合物から単離する代わりに、本発明の化合物への変換を直ちに行う。
出発化合物は一般に知られている。しかし、それらが新規の場合は、それ自体知られている方法により製造することができる。
【0069】
式Iの化合物は好ましくは、式IIの化合物を複素環Rと反応させることにより得ることができる。式IIの化合物において、Lは好ましくは、F、Cl、Br、Iまたは遊離のもしくは反応的に修飾されたOH基を表し、例えば活性化エステル、1〜6個のC原子を有するイミダゾリドもしくはアルキルスルホニルオキシ(好ましくはメチルスルホニルオキシまたはトリフルオロメチルスルホニルオキシ)、または6〜10個のC原子を有するアリールスルホニルオキシ(好ましくはフェニル−もしくはp−トリルスルホニルオキシ)である。式IIの化合物において、Lは好ましくはClを表す。
反応は、当業者に知られている方法により実施する。
【0070】
反応は、初めに好適な溶媒中で行う。
好適な溶媒の例は、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素類;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムまたはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)などのグリコールエーテル類;アセトンまたはブタノンなどのケトン類;アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類;アセトニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類;二硫化炭素;ギ酸または酢酸などのカルボン酸類;ニトロメタンまたはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステル類、または前記溶媒の混合物である。
特に好ましい溶媒は、THFである。
用いる条件に依存して、反応時間は数分間〜14日間であり、反応温度は約0°〜150°、通常は15°〜120°、特に好ましくは50°〜100°である。
【0071】
薬学的塩および他の形態
本発明の前述の化合物を、その最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において知られている手順により、種々の有機および無機酸類および塩基類から由来し得るその薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩形態は、大部分、慣用の方法により調製される。本発明の化合物がカルボキシル基を有する場合、その好適な塩の1つは、当該化合物を好適な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることにより、生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0072】
式Iの化合物のアルミニウム塩は、同様にして包含される。式Iの一定の化合物の場合には、これらの化合物を、薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびこれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、ならびにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、ならびに他の有機酸およびこれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することにより、酸付加塩を生成することができる。
【0073】
したがって、式Iの化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩には、以下が含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモエイト(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、ただしこれは、限定を表すものではない。
【0074】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩が含まれるが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される、本発明の化合物の塩には、第一、第二および第三アミン類、置換アミン類、天然発生置換アミン類もまた含む、環状アミン類、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩が含まれるが、これは、限定を表すことを意図しない。
【0075】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物を、剤、例えば(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物を共に、このような塩を用いて調製することができる。
【0076】
好ましい前述の薬学的塩には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが含まれるが、これは、限定を表すことを意図しない。
【0077】
本発明の塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用の方法で塩を生成させることにより、調製する。遊離塩基を、塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することにより、再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、一定の物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、これらの対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のために、当該塩は、他の点では、これらのそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
上述のように、本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0078】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用の方法で塩の生成を生じることにより、調製する。遊離酸を、塩形態を酸と接触させ、慣用の方法で遊離酸を単離することにより、再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、一定の物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、これらの対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のために、当該塩は、他の点では、これらのそれぞれの遊離酸形態に相当する。
本発明の化合物が、この種類の薬学的に許容し得る塩を形成することができる1つより多くの基を有する場合、本発明は多重塩(multiple salt)も包含する。典型的な多重塩形態は、例えば、酒石酸水素塩、ジアセタート、ジフマレート、ジメグルミン、ジホスフェート、ジソジウムおよびトリハイドロクロライドを含むが、これは限定を表すことを意図しない。
【0079】
上で述べたことに関して、本関連における表現「薬学的に許容し得る塩」は、特にこの塩形態が、活性成分に対して、前に用いられていた活性成分の遊離形態または活性成分のすべての他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合には、本発明の化合物をこの塩の1種の形態で含む活性成分を意味するものと解釈されることが、明らかである。活性成分の薬学的に許容し得る塩形態はまた、この活性成分に、初めて、前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を付与することができ、さらに、身体におけるその治療的有効性に関して、この活性成分の薬力学に対する正の影響を有することができる。
【0080】
本発明の化合物は、それらの分子構造によりキラルであってよく、したがって種々の鏡像異性体形態で生じることができる。これらはしたがって、ラセミ体または光学的活性形態で存在することができる。
本発明の化合物のラセミ体または立体異性体の薬学活性が異なる可能性があるため、鏡像異性体を用いるのが望ましい。これらの場合、最終産物または中間体さえもが、当業者に知られた化学的または物理的方法により鏡像異性化合物へと分離されるか、または合成においてそのように用いられることができる。
【0081】
ラセミ体アミンの場合、ジアステレオマーが、光学活性な分解剤との反応によって混合物から形成される。好適な分解剤の例は、光学活性な酸、例えば酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、好適にN保護されたアミノ酸(例えばN−ベンゾイルプロリンまたはN−ベンゼンスルホニルプロリン)の、RおよびS形態、または種々の光学活性なカンファースルホン酸である。さらに有利であるのは、光学活性分解剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロース、または炭水化物の他の誘導体またはシリカゲル上に固定されたキラル的に誘導体化されたメタクリレートポリマー)の支援による、クロマトグラフィ鏡像異性体分解である。この目的に好適な溶離剤は、水性またはアルコール性溶媒混合物、例えばヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルの、例えば82:15:3の比率での混合物である。
【0082】
本発明はさらに、本化合物および/またはその生理学的に許容し得る塩の、医薬(医薬組成物)の製造、特に非化学的方法による製造のための使用に関する。これらは、ここで少なくとも1種の固体、液体および/または半液体の賦形剤またはアジュバントと一緒に、必要に応じて、1または2以上のさらなる活性成分と組み合わせて、好適な投与形態に変換可能である。
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種の化合物、および/またはその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物、および立体異性体、ならびにそれらの全ての比率での混合物、任意に賦形剤および/またはアジュバントを含む、医薬に関する。
【0083】
医薬製剤を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で、投与することができる。このような単位は、処置される状態、投与の方法ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.1mg〜3g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含むことができるか、または医薬製剤を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投薬単位の形態で投与することができる。好ましい投与単位製剤は、前に示したように、毎日の用量もしくは部分的用量を含むもの、または活性成分のこの対応する部分である。さらに、このタイプの医薬製剤を、薬学分野において周知の方法を用いて製造することができる。
医薬製剤を、すべての所望の好適な方法による、例えば経口(口腔内もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的(口腔内、舌下もしくは経皮を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)方法による投与のために適合させることができる。このような製剤を、薬学分野において知られているすべての方法を用いて、例えば活性成分を賦形剤(1種もしくは2種以上)またはアジュバント(1種もしくは2種以上)と混ぜ合わせることにより、製造することができる。
【0084】
経口投与に適合する医薬製剤を、別個の単位、例えばカプセルもしくは錠剤;粉末もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして、投与することができる。
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口的な、無毒性の、かつ薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと混ぜ合わせることができる。粉末を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することにより、製造する。風味剤、保存剤、分散剤および染料が、同様に存在してもよい。
カプセルを、上記のように粉末混合物を調製し、成形したゼラチン殻にこれを充填することにより、製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば固体形態において高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールを、充填操作の前に粉末混合物に加えることができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の有用性を改善することができる。
【0085】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどが含まれる。これらの投与形態において用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、限定されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。錠剤を、例えば粉末混合物を調製し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を加え、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることにより、製剤化する。粉末混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または塩基と、および随意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することにより、調製する。
【0086】
粉末混合物を、これを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アカシア粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、これをふるいを通して押圧することにより、顆粒化することができる。顆粒化の代替として、粉末混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、これを崩壊させて、顆粒を形成することができる。顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより潤滑化して、錠剤流延型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と混ぜ合わせ、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。染料をこれらのコーティングに加えて、異なる投与単位間を区別することができるようにすることができる。
【0087】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤を、投与単位の形態で調製し、したがって所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、化合物を水性溶液に好適な風味剤と共に溶解することにより調製することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを用いて調製する。懸濁液を、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることにより、処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に加えることができる。
経口投与用の投与単位製剤は、所望により、マイクロカプセル内に封入することができる。製剤はまた、例えば粒子状材料をコーティングするか、ポリマー、ワックスなどに包埋させるなどして、その開放が延長されるかまたは遅延されるように調製することもできる。
【0088】
本発明の化合物およびその塩、溶媒和物、および生理学的な官能性誘導体を、リポソーム送達系、例えば小さい単層ベシクル(unilamellar vesicles)、大きい単層ベシクルおよび多層ベシクル(multilamellar vesicles)の形態で投与することもできる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成することができる。
【0089】
本発明の化合物およびその塩、溶媒和物およびこれらの生理学的な官能性誘導体をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することができる。化合物をまた、標的とする医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、パルミトイル基により置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリシンを包含することができる。化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−イプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性のブロックコポリマーに結合することができる。
【0090】
経皮的投与用に適合する医薬製剤を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。したがって、例えば、活性成分を、総括的にPharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
局所的投与用に適合する医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として製剤化することができる。
【0091】
眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、製剤を、好ましくは、局所的軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための製剤の場合において、活性成分を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性成分を製剤化して、水中油型クリームベースまたは油中水型ベースを有するクリームを得ることができる。
眼への局所的適用に適合する医薬製剤には点眼剤が含まれ、ここで、活性成分を、好適な担体、特に水性溶媒中に溶解するかまたは懸濁させる。
【0092】
口における局所的適用に適合する医薬製剤は、ロゼンジ、パステル剤および洗口剤を包含する。
直腸内投与に適合する医薬製剤を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
担体物質が固体である鼻腔内投与に適合する医薬製剤は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子の大きさを有する粗粉末を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した粉末を含む容器からの鼻孔を介しての迅速な吸入により、投与する。担体物質としての液体を有する、鼻腔内スプレーまたは鼻腔内ドロップとしての投与に適する製剤は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0093】
吸入による投与に適合する医薬製剤は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、これは、エアゾール、噴霧器または吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーにより作成し得る。
膣内投与に適合する医薬製剤を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー製剤として投与することができる。
【0094】
非経口投与に適合する医薬製剤には、製剤が処置されるべきレシピエントの血液と等張になるような、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液;ならびに懸濁媒体および増粘剤を含むことができる水性および非水性の無菌懸濁液が含まれる。製剤を、単一用量または多重用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルにおいて投与し、凍結乾燥した(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態において貯蔵し、したがって使用の直前の、無菌の担体液体、例えば注射目的での水の添加のみが必要であるようにすることができる。
【0095】
処方箋に従い製造する注射溶液および懸濁液を、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
上で特定的に述べた構成成分に加えて、製剤はまた、製剤の特定のタイプに関して当該分野において通例の他の剤を含むことができることは、言うまでもない;したがって、例えば、経口投与に適する製剤は、風味剤を含んでいてもよい。
【0096】
本発明の化合物の治療有効量は、例えば、ヒトまたは動物の年齢および体重、処置が必要である正確な状態、およびその重篤度、製剤の性質および投与の方法を含む多くの要因に依存し、最終的には、処置する医師または獣医師により決定される。しかし、本発明の化合物の処置用の有効量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳類)の体重1kgの範囲内、特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。したがって、体重が70kgである成体の哺乳類についての1日あたりの実際の量は、通常70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたり個別の用量として、または通常には1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分または6回分)において投与し、したがって合計の毎日の用量が同一であるようにすることができる。この塩または溶媒和物または生理学的な官能性誘導体の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が、前述の他の状態の処置に適すると、推測することができる。
【0097】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種の化合物および/または、その薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、およびそれらのすべての比率での混合物、ならびに少なくとも1種の他の医薬活性成分を含む医薬に関する。
さらなる医薬活性成分は、好ましくは化学療法剤であり、特に、血管形成を阻害するもの、したがって腫瘍細胞の増殖および広がりを阻害するものである;本明細書において好ましいのは、VEGF受容体を対象とするロボザイムおよびアンチセンスを含むVEGF受容体阻害剤、およびアンギオスタチンおよびエンドスタチンである。
【0098】
本発明の化合物と組み合わせて用いることのできる抗悪性腫瘍薬の例は、一般に、アルキル化剤、代謝拮抗物質;エピドフィロトキシン;抗悪性腫瘍酵素;トポイソメラーゼ阻害剤;プロカルバジン;ミトキサントロンまたはプラチナ配位錯体を含む。
抗悪性腫瘍薬は好ましくは以下のクラスから選択する:アントラサイクリン、ビンカ薬物、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞毒性ヌクレオシド、エポチロン、ジスコデルモリド、プテリジン、ジイネン、およびポドフィロトキシン。
【0099】
前記のクラスにおいて特に好ましいのは、例えば、カルミノマイシン、ダウノルビシン、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体、例えばエトポシド、リン酸エトポシドまたはテニポシド、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイロシジン、ビンデシン、ロイロシン、およびパクリタキセルである。他の好ましい抗悪性腫瘍薬は、エストラムスチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ブレオマイシン、ゲムシタビン、イフォスアミド(ifosamide)、メルファラン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、シタラビン、イダトレキセート、トリメトレキセート、ダカルバジン、L−アルパラギナーゼ、カンプトテシン、CPT−11、トポテカン、アラビノシルシトシン、ビカルタミド、フルタミド、ロイプロリド、ピリドベンゾインドール誘導体、インターフェロンおよびインターロイキンの群から選択される。
【0100】
本発明はまた、
(a)本発明の化合物および/または、この薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびにそれらの全ての比率での混合物の有効量、
および
(b)さらなる医薬活性成分の有効量、
の個別のパックからなるセット(キット)に関する。
このセットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。このセットは、例えば、個別のアンプルを含むことができ、その各々は、本発明の化合物および/または、その薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびにそれらの全ての比率での混合物の有効量、ならびに、溶解したかまたは凍結乾燥された形態での、さらなる医薬活性成分の有効量を含む。
【0101】
使用
本発明の化合物は、HSP90が関与する疾患の処置における、哺乳類のための、特にヒトのための医薬活性成分として好適である。
したがって、本発明は、本発明の化合物、およびその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびにそれらの全ての比率での混合物の、HSP90の阻害、調節および/または調整が関与する疾患の処置のための医薬の製造のための使用に関する。
【0102】
本発明は、本発明の化合物および/またはその生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の使用であって、以下の疾患の処置のための、医薬の製造のための前記使用を包含する:腫瘍疾患、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、骨髄癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、およびH鎖病;
【0103】
ウイルス疾患、ここでウイルス病原体は、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV−I)、II型単純ヘルペス(HSV−II)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パピローマウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス、コクサッキーウイルス、耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、ヒトI型免疫不全ウイルス(HIV−I)およびヒトII型免疫不全ウイルス(HIV−II)からなる群から選択されるものであり;
移植における免疫抑制のため;炎症誘発性疾患、例えば関節リューマチ、喘息、多発性硬化症、1型糖尿病、紅斑性狼瘡(エリテマトーデス)、乾癬、炎症性腸疾患;嚢胞性繊維症;脈管形成が関与する疾患、例えば糖尿病性網膜症、血管腫、子宮内膜症、腫瘍脈管形成;感染症;自己免疫疾患;虚血;神経再生の促進;線維形成疾患、例えば硬化性皮膚炎、多発性筋炎、全身性狼瘡、肝硬変、ケロイド形成、間質性腎炎、および肺線維症。
【0104】
本発明の化合物は、特に、癌の増殖、腫瘍細胞および腫瘍転移を阻害することができ、したがって腫瘍治療に好適である。
本発明はさらに、本発明の化合物、および/またはその生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、化学療法による毒性に対する正常細胞の保護のための、タンパク質の誤った折りたたみまたは凝固が主要な原因因子である疾患、例えばクロイツフェルト・ヤコブ病、ハンチントン病またはアルツハイマー病の処置のための、医薬の製造のための使用を包含する。
【0105】
本発明はまた、本発明の化合物、および/またはその生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、中枢神経系の疾患、循環器疾患および悪液質の処置のための、医薬の製造のための使用に関する。
さらなる態様において、本発明はまた、本発明の化合物、および/またはその生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、HSP90調節のための医薬の製造のための使用に関し、ここで、調節された生物学的HSP90活性は、個人における免疫反応、小胞体からのタンパク質輸送、低酸素/無酸素ストレスからの回復、栄養失調からの回復、熱ストレスからの回復、またはこれらの組合せを引き起こし、および/またはここで、疾病は、癌の種類、感染症、小胞体からのタンパク質輸送の破壊に関連する疾患、虚血/再かん流に関連する疾患、またはこれらの組合せであり、ここで、虚血/再かん流に関連する疾患は、以下の結果によるものである:心停止、アジストリー、および遅延性心室性不整脈、心臓手術、心肺バイパス手術、臓器移植、脊髄損傷、頭部損傷、卒中、血栓塞栓発作、出血発作、脳血管けいれん、低血圧、低血糖、てんかん重積、てんかん発作、不安神経症、統合失調症、神経変性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または新生児ストレス。
【0106】
さらなる態様において、本発明はまた、本発明の化合物、および/またはその生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、心停止、アジストリー、および遅延性心室性不整脈、心臓手術、心肺バイパス手術、臓器移植、脊髄損傷、頭部損傷、卒中、血栓塞栓発作、出血発作、脳血管けいれん、低血圧、低血糖、てんかん重積、てんかん発作、不安神経症、統合失調症、神経変性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または新生児ストレスの結果としての虚血の処置のための医薬の製造のための使用に関する。
【0107】
HSP90阻害剤の測定のための試験方法
ゲルダナマイシンまたは17−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)のHSP90への結合、およびその競合的阻害は、本発明の化合物の阻害活性を決定するために利用可能である(Carreras et al. 2003, Chiosis et al. 2002)。特定の場合においては、放射性リガンドフィルタ結合試験を用いる。ここで用いる放射性リガンドは、トリチウム標識17−アリルアミノゲルダナマイシン、[3H]17AAGである。このフィルタ結合試験により、ATP結合部位を妨害する阻害剤を標的とした探索が可能となる。
【0108】
材料
組換えヒトHSP90α(大腸菌発現、95%純度);
[3H]17AAG(17−アリルアミノゲルダナマイシン、[アリルアミノ−2,3−H.特異的活性:1.11×1012Bq/mmol(Moravek, MT-1717);
HEPESフィルタ緩衝液(50mMのHEPES、pH7.0、5mMのMgCl、BSA0.01%)
マルチスクリーンFB(1μm)フィルタプレート(Milipore, MAFBNOB 50)。
【0109】
方法
96ウェルマイクロタイターフィルタプレートを最初に洗浄し、0.1%のポリエチレンイミンで被覆する。試験は次の条件下で行う:
反応温度22℃
反応時間:30分、800rpmにて振とう
試験容積:50μl
最終濃度:
50mMのHEPES HCl、pH7.0、5mMのMgCl、0.01%(w/v)BSA
HSP90:1.5μg/アッセイ
[3H]17AAG:0.08μM。
【0110】
反応の最後に、フィルタプレートの上清を真空マニホールド(Multiscreen Separation System, Millipore)の支援により吸引して除去し、フィルタを2回洗浄する。フィルタプレートを次にシンチレーター(Microscint 20, Packard)付きベータカウンター(Microbeta, Wallac)で測定する。
「対照の%」は、「1分あたりの計測数」の値から決定し、化合物のIC−50値はこれから計算する。
【0111】
表I
本発明の式Iのいくつかの代表的な化合物によるHSP90阻害
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
本明細書中、すべての温度は℃で示す。以下の例において、「慣用のワークアップ」は以下のことを意味する:必要に応じて水を加え、pHを必要に応じて、最終生成物の構成に依存して2〜10の値に調整し、混合物を、酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、および/または結晶化により精製する。シリカゲル上でのRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール9:1。
【0114】
LC−MSおよびHPLC条件
以下の例に示すM+Hデータは、LC−MS測定による測定結果である。
Hewlett Packard SystemのHP1100シリーズは以下の特徴を有する:イオン源:エレクトロスプレー(陽モード);スキャン:100〜1000m/e;断片化電圧:60V;気体温度:300℃、DAD:220nm。
流速:2.4ml/分。用いたスプリッターは、MS用の流速をDAD後に0.75ml/分に低下させた。
カラム:Chromolith SpeedROD RP-18e 50-4.6
溶媒:Merck KGaAのLiChrosolvグレード
溶媒A:H2O(TFAの0.01%)
溶媒B:ACN(TFAの0.008%)
【0115】
次の例に示す保持時間Rt(分)は、HPLC測定による測定結果である。
P勾配:
5.5分;流速:2.75ml/分で、水/アセトニトリル99:1〜0:100まで
水+TFA(0.01容積%);アセトニトリル+TFA(0.01容積%)
カラム:Chromolith SpeedROD RP-18e 50-4.6
波長:220nm
N勾配:
5.5分;流速:2.75ml/分で、水/アセトニトリル90:10〜0:100まで
水+TFA(0.01容積%);アセトニトリル+TFA(0.01容積%)
カラム:Chromolith SpeedROD RP-18e 50-4.6
波長:220nm
【0116】
例1
5−(1,3−ジヒドロイソインドール−2−イルカルボニル)−3−(3−メチルベンジル)−6−ヒドロキシ−1H−インダゾール(”A1”)の製造
1.1
12mlのジクロロメタンを、3.25gの塩化アルミニウムにアルゴン下で加え、混合物を撹拌しつつ−55℃に冷却する。8mlのジクロロメタン中の2.5gの2−ブロモ−5−フルオロアニソールおよび2.47gのm−トリルアセチルクロリドの溶液を、この温度で一滴ずつ加える。混合物をさらに10分間撹拌し、ゆっくりと0℃に温めて、次に1NのHClを用いて加水分解する。混合物をさらに15分間撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、慣用のワークアップを行う。得られた残留物を石油エーテル/ジエチルエーテル(8:2)で消化し、吸引ろ過し、石油エーテルですすぐ。乾燥により、1.85gの”1a”を得る。
【化3】

【0117】
1.2
0.74mlの水酸化ヒドラジニウムを、10mlのジオキサン中の1.85gの”1a”の懸濁液に加え、混合物を還流下で2.5時間加熱する。混合物を冷却し、酢酸エチルおよび1NのHClを加え、混合物を慣用のワークアップに付する。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけ、1.24gの5−ブロモ−6−メトキシ−3−(3−メチルベンジル)−1H−インダゾール(”1b”)を得る。
【化4】

【0118】
1.3
1.24gの”1b”をアルゴン下で12mlのジクロロメタンに溶解し、0℃に冷却する。3.45mlの三臭化ホウ素を1滴ずつ加え、混合物を室温でさらに16時間撹拌する。混合物を慣用のワークアップに付し、残留物を120gのRP18シリカゲルカラム上のクロマトグラフィーでさらに精製して、578mgの5−ブロモ−6−ヒドロキシ−3−(3−メチルベンジル)−1H−インダゾール(”1c”)を得る。
1.4 オートクレーブにおける100℃/4〜6bar/22時間での反応:
578mgの”1c”、25mlのメタノール、300mgのトリエチルアミン、25mlのトルエンを最初に導入して脱気する。15mgの(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)を次に加える。オートクレーブを減圧し、COを4barで注入し、オートクレーブを100℃に加熱する。溶媒を除去することにより、5−メトキシカルボニル−6−ヒドロキシ−3−(3−メチルベンジル)−1H−インダゾール(”1d”)を得る。
【0119】
1.5
4.23mlの2NのNaOHを、10mlのジオキサン中の523mgの”4d”の溶液に加え、混合物を還流下で1.5時間加熱する。混合物を慣用のワークアップに付して、386mgの5−カルボキシ−6−ヒドロキシ−3−(3−メチルベンジル)−1H−インダゾール(”1e”)を得る。
1.6
25μlの塩化チオニルを、2mlのTHF中の50mgの”1e”の懸濁液に加え、混合物をさらに1時間撹拌する。2mlのトルエンを加え、溶媒を30℃で除去して、5−クロロカルボニル−6−ヒドロキシ−3−(3−メチルベンジル)−1H−インダゾール(”1f”)を得る。
【化5】

【0120】
1.7
”1f”を1.5mlのTHfに溶解し、0.5mlのTHF中の25.3mgのイソインドリンおよび90.3μlのN−エチルジイソプロピルアミンの溶液に一滴ずつ加える。混合物をさらに1時間撹拌する。混合物を慣用のワークアップに付して、31.5mgの”A1”、M+H384を得る。
【化6】

【0121】
以下の化合物を同様にして得る。
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
【表5】

【0124】
【表6】

【0125】
【表7】

【0126】
例2
[5−(2−ジメチルアミノエトキシ)−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル]−(6−ヒドロキシ−3−プロピル−1H−インダゾール−5−イル)メタノン(”A26”)の製造
2.1
300mlの乾燥THF中の20.4gの5−ヒドロキシイソインドール−1,3−ジオンの溶液を、窒素雰囲気下で−5℃に冷却する。750.3mlのボラン/THF錯体(1M溶液)を続いて一滴ずつ加える。混合物を室温に温め、続いて還流下で16時間加熱する。
混合物を0℃に冷却し、100mlのメタノールをゆっくり加え、次に100mlの2MのHClを加える。混合物を続いて還流下で3時間加熱する。
混合物を冷却し、容積を200mlに濃縮し、100mlの水を加える。混合物をジクロロメタンで3回抽出し、水相(産物を含有)を、炭酸ナトリウムを用いて注意してアルカリ性にする。27.3gの二炭酸ジ−tert−ブチルを水相に加え、混合物をさらに30分間撹拌する。混合物をジクロロメタンで抽出し、慣用のワークアップに付して、12.2gの5−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルを得る。
【0127】
2.2
3.4gのポリマー結合トリフェニルホスフィンを、50mlのTHF中の1gの5−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルおよび0.6mlの2−(ジメチルアミノ)エタノールの懸濁液に加える。1.61gのアザジカルボン酸ジ−tert−ブチルをこの溶液に加え、これを次に室温でさらに18撹拌する。混合物を多孔質珪藻土でろ過し、THFですすぎ、溶液を濃縮する。
残留物をRPフラッシュクロマトグラフィ(Isco Companion(登録商標))にかける。混合物を慣用のワークアップに付して、650mgの5−(2−ジメチルアミノエトキシ)−1,3−ジヒドロイソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルを得る。
【化6−2】

【0128】
2.3
ジオキサン中の5mlの4MのHClを、631mgの5−(2−ジメチルアミノエトキシ)−1,3−ジヒドロイソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルに加え、混合物を室温で1時間撹拌する。溶媒を続いて除去する。乾燥により、631mgの[2−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ)エチル]ジメチルアミンヒドロクロリド(油)を得る。
【0129】
2.4
48.3μlの塩化チオニルを、2mlのTHF中の75mgの6−ヒドロキシ−3−プロピル−1H−インダゾール−5−カルボン酸の懸濁液に加え、混合物を10分間撹拌する。2mlのトルエンを加え、溶媒を45℃にて回転蒸発器で除去する。
残留物を2mlのTHF中に懸濁させる。懸濁液を、1mlのTHF中の0.121gの[2−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ)エチル]ジメチルアミンヒドロクロリドおよび0.34mlのN−エチルジイソプロピルアミンの溶液に加える。混合物を室温で45分間撹拌する。1mlのDMFも加え、混合物をさらに2時間撹拌する。反応混合物を分液漏斗に移し、水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、溶媒を続いて除去する。粗生成物を分取HPLCを介してクロマトグラフィーにかける。
HPLC法:
勾配:5.5分/流速:2.75ml/分で、水+0.01%のTFA:アセトニトリル+0.01%のTFAで90:10〜0:100
カラム:Chromolith SpeedROD RP-18e 50-4.6
波長:220nm
【0130】
画分(fraction)1〜11を合わせ、アセトニトリルを除去し、飽和重炭酸溶液を水性残留物に加え、産物を酢酸エチルで逆抽出する。溶媒を除去し、メタノールと水の1:1混合物に溶解し、続いて凍結乾燥して、27.7mgの”A26”を得る。
【化7】

【0131】
例2.4と同様にして、[2−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ)エチル]ジメチルアミンヒドロクロリドと、6−ヒドロキシ−3−(3−メチルブチル)−1H−インダゾール−5−カルボン酸の反応により、化合物[5−(2−ジメチルアミノエトキシ)−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル]−[6−ヒドロキシ−3−(3−メチルブチル)−1H−インダゾール−5−イル]メタノン(”A27”)を得る。
【化8】

【0132】
[2−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ)エチル]ジメチルアミンヒドロクロリドと、6−ヒドロキシ−3−シクロペンチルメチル−1H−インダゾール−5−カルボン酸の同様の反応により、化合物(3−シクロペンチルメチル−6−ヒドロキシ−1H−インダゾール−5−イル)−[5−(2−ジメチルアミノエトキシ)−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル]メタノン(”A28”)を得る。
【化9】

【0133】
同様の反応により、化合物(3−シクロヘキシルメチル−6−ヒドロキシ−1H−インダゾール−5−イル)−[5−(2−ジメチルアミノエトキシ)−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル]メタノン(”A29”)を得る。
【化10】

【0134】
例2.4と同様にして、5−(1−メチルピペリジン−4−イルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールヒドロクロリドと、6−ヒドロキシ−3−(3−メチルブチル)−1H−インダゾール−5−カルボン酸の反応により、化合物[6−ヒドロキシ−3−(3−メチルブチル)−1H−インダゾール−5−イル]−[5−(1−メチルピペリジン−4−イルオキシ)−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル]メタノン(”A30”)を得る。
【化11】

【0135】
同様の反応により、化合物(3−シクロペンチルメチル−6−ヒドロキシ−1H−インダゾール−5−イル)−[5−(1−メチルピペリジン−4−イルオキシ)−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル]メタノン(”A31”)を得る。
【化12】

【0136】
以下の化合物を同様にして得る。
【表8】

【0137】
【表9】

【0138】
【表10】

【0139】
【表11】

【0140】
【表12】

【0141】
【表13】

【0142】
【表14】

【0143】
【表15】

【0144】
【表16】

【0145】
【表17】

【0146】
【表18】

【0147】
【表19】

【0148】
【表20】

【0149】
【表21】

【0150】
【表22】

【0151】
【表23】

【0152】
【表24】

【0153】
【表25】

【0154】
【表26】

【0155】
【表27】

【0156】
【表28】

【0157】
【表29】

【0158】
【表30】

【0159】
【表31】

【0160】
【表32】

【0161】
【表33】

【0162】
【表34】

【0163】
【表35】

【0164】
【表36】

【0165】
【表37】

【0166】
【表38】

【0167】
【表39】

【0168】
【表40】

【0169】
【表41】

【0170】
【表42】

【0171】
【表43】

【0172】
【表44】

【0173】
【表45】

【0174】
【表46】

【0175】
【表47】

【0176】
【表48】

【0177】
【表49】

【0178】
【表50】

【0179】
【表51】

【0180】
【表52】

【0181】
【表53】

【0182】
【表54】

【0183】
【表55】

【0184】
【表56】

【0185】
【表57】

【0186】
【表58】

【0187】
【表59】

【0188】
【表60】

【0189】
【表61】

【0190】
【表62】

【0191】
【表63】

【0192】
【表64】

【0193】
【表65】

【0194】
【表66】

【0195】
【表67】

【0196】
【表68】

【0197】
【表69】

【0198】
【表70】

【0199】
【表71】

【0200】
【表72】

【0201】
【表73】

【0202】
【表74】

【0203】
【表75】

【0204】
【表76】

【0205】
【表77】

【0206】
【表78】

【0207】
【表79】

【0208】
【表80】

【0209】
【表81】

【0210】
【表82】

【0211】
【表83】

【0212】
【表84】

【0213】
【表85】

【0214】
【表86】

【0215】
【表87】

【0216】
【表88】

【0217】
【表89】

【0218】
【表90】

【0219】
【表91】

【0220】
【表92】

【0221】
【表93】

【0222】
【表94】

【0223】
【表95】

【0224】
【表96】

【0225】
【表97】

【0226】
【表98】

【0227】
【表99】

【0228】
【表100】

【0229】
【表101】

【0230】
【表102】

【0231】
【表103】

【0232】
【表104】

【0233】
【表105】

【0234】
【表106】

【0235】
【表107】

【0236】
【表108】

【0237】
【表109】

【0238】
【表110】

【0239】
【表111】

【0240】
【表112】

【0241】
【表113】

【0242】
【表114】

【0243】
【表115】

【0244】
【表116】

【0245】
【表117】

【0246】
【表118】

【0247】
【表119】

【0248】
【表120】

【0249】
【表121】

【0250】
【表122】

【0251】
【表123】

【0252】
【表124】

【0253】
【表125】

【0254】
【表126】

【0255】
【表127】

【0256】
【表128】

【0257】
【表129】

【0258】
【表130】

【0259】
【表131】

【0260】
【表132】

【0261】
【表133】

【0262】
【表134】

【0263】
【表135】

【0264】
【表136】

【0265】
【表137】

【0266】
【表138】

【0267】
【表139】

【0268】
【表140】

【0269】
【表141】

【0270】
【表142】

【0271】
【表143】

【0272】
【表144】

【0273】
【表145】

【0274】
【表146】

【0275】
【表147】

【0276】
【表148】

【0277】
【表149】

【0278】
【表150】

【0279】
【表151】

【0280】
【表152】

【0281】
【表153】

【0282】
【表154】

【0283】
【表155】

【0284】
【表156】

【0285】
【表157】

【0286】
【表158】

【0287】
【表159】

【0288】
【表160】

【0289】
【表161】

【0290】
【表162】

【0291】
【表163】

【0292】
【表164】

【0293】
【表165】

【0294】
【表166】

【0295】
【表167】

【0296】
【表168】

【0297】
【表169】

【0298】
【表170】

【0299】
【表171】

【0300】
【表172】

【0301】
【表173】

【0302】
【表174】

【0303】
【表175】

【0304】
【表176】

【0305】
【表177】

【0306】
【表178】

【0307】
【表179】

【0308】
【表180】

【0309】
【表181】

【0310】
【表182】

【0311】
【表183】

【0312】
【表184】

【0313】
【表185】

【0314】
【表186】

【0315】
【表187】

【0316】
【表188】

【0317】
【表189】

【0318】
【表190】

【0319】
【表191】

【0320】
【表192】

【0321】
【表193】

【0322】
【表194】

【0323】
【表195】

【0324】
【表196】

【0325】
【表197】

【0326】
【表198】

【0327】
【表199】

【0328】
【表200】

【0329】
【表201】

【0330】
【表202】

【0331】
以下の例は、医薬組成物に関する。
例A:注射バイアル
100gの本発明の活性成分および5gのリン酸水素二ナトリウムを3Lの2回蒸留水に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
例B:座剤
20gの本発明の活性成分と100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターとの混合物を、溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は、20mgの活性成分を含む。
【0332】
例C:溶液
1gの本発明の活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、940mlの2回蒸留水中に溶液を調製する。pHを6.8に調整し、溶液を1Lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いることができる。
例D:軟膏
500mgの本発明の活性成分を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0333】
例E:錠剤
1kgの活性成分、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性成分を含むようにする。
例F:糖衣錠
例Eと同様にして、錠剤を圧縮し、次に、慣用の方法で、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被膜で被覆する。
【0334】
例G:カプセル
2kgの活性成分を、硬質ゼラチンカプセル中に、慣用の方法で導入して、各々のカプセルが20mgの活性成分を含むようにする。
例H:アンプル
1kgの本発明の活性成分を60Lの2回蒸留水に溶解した溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは、10mgの活性成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

式中、
は、H、OH、OCH、OCF3、OCHF2、OBzl、OAc、p−メトキシベンジルオキシ、SH、S(O)CH、SONH、Hal、CFまたはCHを示し、
は、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、飽和または不飽和の一環式または二環式複素環を示し、これは非置換であるか、またはRおよび/またはRにより一、二、もしくは三置換されており、
これは少なくとも1個のN原子を含み、該N原子は隣接するカルボニル基に直接結合しており、
は、H、Hal、A、OA、AlkOH、COOA、COA、COHet、CONH、CONHA、CONAA’、CONHAr、CONH(AlkAr)、CONAAr、CONA(AlkAr)、CONHHet、CONH(AlkHet)、CONAHet、CONA(AlkHet)、AlkCOOA、AlkCONHA、AlkCONAA’、AlkNHCONH、AlkNHCONHA、AlkNHCONAA’、AlkNHCOA、AlkNHCOAr、AlkNHSOA、AlkNHSOAr、AlkNASOAr、AlkNHSOCHAr、AlkNASOCHAr、AlkAr、AlkHet、NHAr、NHA、NAA’、NAAr、NAHetまたはNHHetを示し、
は、H、A、Ar、(CHHet、Hal、CN、NO、NH、OH、OA、OAr、OAlkAr、OAlkHet、OAHet、SH、SA、SAr、SAlkAr、SHet、SAlkHet、COA、COAr、COHet、S(O)A、S(O)Ar、S(O)AAr、S(O)Het、S(O)AHet、NHA、NHAr、NHHet、NAA’、NAAr、NAHet、COOH、COOA、CONH、CONHA、CONAA’、CONH(CHAr、CONA(CHAr、CONH(CHHet、CONA(CHHet、SONH、SONHA、SONAA’、SONH(CHAr、SONA(CHAr、SONH(CHHet、SONA(CHHet、NHCOA、NACOA’、NHCO(CHAr、NACO(CHAr、NHCO(CHHet、NACO(CHHet、NHSOA、NASOA’、NHSO(CHAr、NASO(CHAr、NHSO(CHHet、NASO(CHHet、NHCOOA、NHCOOAr、NHCOOHet、NHCONHA、NHCONHAr、NHCONHHet、=O(カルボニル酸素)、OAlkNH、OAlkNHA、OAlkNAA’、OAlkOH、OAlkOA、OAlkCN、CONHAlkNH、CONHAlkNHA、CONHAlkNAA’、COAlkNH、COAlkNHAまたはCOAlkNAA’を示し、
は、H、A、Ar、Het、AlkAr、AlkHet、COA、CO(CHAr、CO(CHHet、SOA、SO(CHAr、SO(CHHet、COOA、COOAr、COOHet、CONHA、CONHArまたはCONHHetを示し、
Arは、フェニル、ナフチル、またはビフェニルを示し、その各々は非置換であるか、またはA、OA、OH、SH、S(O)A、Hal、NO、CN、COA、COOH、COOA、CONR、SONR、NR、OCONR、NRCOR、NRSO、NRCONR、(CHNHSOA、O(CHCN、SOHet、O(CHNRおよび/または(CHHetにより一、二、三、四、もしくは五置換されており、
A、A’は、各々、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを示し、ここで1〜3個のCH基は、O、S、SO、SO、NH、NMeもしくはNEtにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
または、Alkもしくは3〜8個のC原子を有する環状アルキルを示し、
Alkは、2〜6個のC原子を有するアルケニルまたはアルキニルを示し、
Alkは、1〜8個のC原子を有する非分枝または分枝アルキレンを示し、ここで1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、
および/または、ここで1個または2個のCH基は、Oによって置き換えられていてもよく、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、一環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これは非置換であるか、またはA、OA、OH、SH、S(O)A、Hal、NO、CN、COA、COOA、CONR、SONR、NR、OCONR、NRCOR、NRSO、NRCONR、=S、=NH、=NAおよび/または=O(カルボニル酸素)により一、二もしくは三置換されていてもよく、
Hetは、1〜3個のNおよび/またはO原子を有する、一環式飽和複素環を示し、これは非置換であるか、またはA、OA、OHおよび/または=O(カルボニル酸素)により一、二もしくは三置換されていてもよく、
、Rは、各々、互いに独立して、Hまたは1〜6個のC原子を有するアルキルを示し、ここで1〜3個のCH基は、O、S、SO、SO、NH、NMeもしくはNEtにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子はFおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2、3または4を示し、
pは、1、2、3または4を示す、
で表される化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項2】
式中、Rが、OHまたはOCHを示す、
請求項1に記載の式Iで表される化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項3】
式中、Rが、ジヒドロピロリル、ピロリジニル、テトラヒドロイミダゾリル、ジヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピペリジニル、モルホリニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、3,4−ジヒドロベンゾ−1,4−オキサジニル、2,3−ジヒドロイソインドリル、2,3−ジヒドロインドリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサジアゾリジニル、またはチアゾリジニルを示し、これらの各々は、非置換であるか、またはOH、OA、Hal、CONH、CONHA、CONAA’、(CHHet、OAlkHet、OHet、COOA、=O(カルボニル酸素)、OAlkNH、OAlkNHA、OAlkNAA’、OAlkOH、OAlkOA、OAlkCN、CONHAlkNH、CONHAlkNHA、CONHAlkNAA’、COAlkNH、COAlkNHAおよび/またはCOAlkNAA’により一、二もしくは三置換されており、ここでN原子は、隣接するカルボニル基に直接結合している、
を示す、請求項1または2に記載の化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項4】
式中、Rが、A、(CHAr、(CHHet、NHA、COAまたはCOHetを示し、ここでArは、非置換であるかまたはA、Halおよび/またはOAにより一、二もしくは三置換されているフェニルを示す、
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項5】
式中、Arが、非置換であるかまたはA、Halおよび/またはOAにより一、二もしくは三置換されているフェニルを示す、
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項6】
式中、A、A’が、各々、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを示し、ここで1または2個のCH基は、O、NH、NMeまたはNEtにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
または3〜8個のC原子を有する環状アルキルを示す、
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項7】
式中、A、A’が、各々、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを示し、ここで1〜2個のCH基は、Oおよび/またはNHにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
または3〜8個のC原子を有する環状アルキルを示す、
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項8】
式中、Hetが、1〜3個のN、Oおよび/またはS原子を有する、一環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これは非置換であるか、またはA、Hal、OH、OA、COA、=NH、=NAおよび/または=O(カルボニル酸素)により一、二もしくは三置換されていてもよい、
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項9】
式中、Hetが、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ジヒドロオキサゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、インドリル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロインドリル、またはテトラヒドロピラニルを示し、これらの各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OH、OA、COAおよび/または=O(カルボニル酸素)により一、二もしくは三置換されている、
請求項1〜8のいずれかに記載の化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項10】
式中、
は、OHまたはOCHを示し、
は、ジヒドロピロリル、ピロリジニル、テトラヒドロイミダゾリル、ジヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピペリジニル、モルホリニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、3,4−ジヒドロベンゾ−1,4−オキサジニル、2,3−ジヒドロイソインドリル、2,3−ジヒドロインドリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサジアゾリジニル、またはチアゾリジニルを示し、これらの各々は、非置換であるか、またはOH、OA、Hal、CONH、CONHA、CONAA’、(CHHet、OAlkHet、OHet、COOA、=O(カルボニル酸素)、OAlkNH、OAlkNHA、OAlkNAA’、OAlkOH、OAlkOA、OAlkCN、CONHAlkNH、CONHAlkNHA、CONHAlkNAA’、COAlkNH、COAlkNHAおよび/またはCOAlkNAA’により一、二もしくは三置換されており、ここでN原子は、隣接するカルボニル基に直接結合しており、
は、A、(CHAr、(CHHet、NHA、COAまたはCOHetを示し、ここでArは、非置換であるかまたはA、Halおよび/またはOAにより一、二もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetは、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、ジヒドロオキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、インドリル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロインドリル、またはテトラヒドロピラニルを示し、これらの各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OH、OA、COAおよび/または=O(カルボニル酸素)により一、二もしくは三置換されており、
A、A’は、各々、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを示し、ここで1〜2個のCH基は、Oおよび/またはNHにより置き換えられていてもよく、および/または、さらに、1〜5個のH原子はFおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
または3〜8個のC原子を有する環状アルキルを示し、
nは、0、1、2、3または4を示す、
請求項1〜9のいずれかに記載の化合物、
またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項11】
次の群から選択される、請求項1に記載の化合物:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

またはその薬学的に使用し得る誘導体、塩、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項12】
請求項1〜11に記載の式Iで表される化合物、およびその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法であって、
式II:
【化2】

式中、
およびRは、請求項1に示された意味を有し、
Lは、F、Cl、Br、I、または遊離であるかもしくは反応性に修飾されたOH基を示す、
で表される化合物を、請求項1に示された意味を有するRと反応させること、
および/または式Iの塩基または酸を、その塩の1つに変換することを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
少なくとも1種の請求項1〜11に記載の化合物、および/またはその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物、および任意に賦形剤および/またはアジュバントを含む、医薬。
【請求項14】
請求項1〜11に記載の化合物、またはその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物の、HSP90の阻害、調節および/または調整が関与する疾患の、処置および/または予防のための医薬の製造のための使用。
【請求項15】
請求項1〜11に記載の化合物、またはその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいはそれらの全ての比率での混合物の、腫瘍疾患、ウイルス疾患、移植における免疫抑制、炎症誘発性疾患、嚢胞性線維症、脈管形成が関与する疾患、感染症、自己免疫疾患、虚血、線維形成疾患の処置または予防のための、
神経再生の促進のための、
癌の増殖、腫瘍細胞および腫瘍転移の抑制のための、
化学療法による毒性から正常細胞を保護するための、
不正確なタンパク質の折りたたみまたは凝集が主要な原因因子である疾患の処置のための、
医薬の製造のための、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
腫瘍疾患が、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、骨髄癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、およびH鎖病である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
ウイルス疾患のウイルス病原体が、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV−I)、II型単純ヘルペス(HSV−II)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パピローマウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス、アルボウイルス、ハンタウイルス、コクサッキーウイルス、耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、ヒトI型免疫不全ウイルス(HIV−I)およびヒトII型免疫不全ウイルス(HIV−II)からなる群から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
炎症誘発性疾患が、関節リューマチ、喘息、多発性硬化症、1型糖尿病、紅斑性狼瘡(エリテマトーデス)、乾癬、および炎症性腸疾患である、請求項15に記載の使用。
【請求項19】
脈管形成が関与する疾患が、糖尿病性網膜症、血管腫、子宮内膜症、および腫瘍脈管形成である、請求項15に記載の使用。
【請求項20】
線維形成疾患が、硬化性皮膚炎、多発性筋炎、全身性狼瘡、肝硬変、ケロイド形成、間質性腎炎、および肺線維症である、請求項15に記載の使用。
【請求項21】
不正確なタンパク質の折りたたみまたは凝集が主要な原因因子である疾患が、スクレイピー、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン病またはアルツハイマー病である、請求項15に記載の使用。
【請求項22】
少なくとも1種の請求項1〜11に記載の化合物、および/またはその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物、および少なくとも1種のさらなる医薬活性成分を含む、医薬。
【請求項23】
(a)有効量の、請求項1〜11に記載の化合物、および/またはその薬学的に使用し得る誘導体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物、
および
(b)有効量のさらなる医薬活性成分、
の個別のパックからなるセット(キット)。

【公表番号】特表2010−530377(P2010−530377A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512545(P2010−512545)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004154
【国際公開番号】WO2008/155001
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】