説明

インテリジェント医療常時監視システム

インテリジェント医療常時監視システムを開示する。システムは観察および解析をし、診療上重要な不具合状態の場合だけ、例えば病院の既存のナースコールシステムを用いて、事態を看護関係者などに通知および報告をする。装置はベッドサイドユニットであって、患者の下に配置されたセンサアレイを有するパッドまたはベッドカバーに接続され、さらにインターフェイスを介して病院の既存のナースコールシステムに接続されている。ベッドサイドユニット内には信号プロセッサおよび警報プロセッサがあり、データ計測を行い、さらに医療上の重大事態が生じているか否かを評価する。ベッドサイドユニットは、警報発生が可能なときに起動するディスプレイを備える壁掛け式ユニットである。センサを有するパッドまたはベッドカバーは、軟質材料に被覆されたセンサアレイを有する薄い圧電薄膜または他の同様な検出技術であり、かつ患者の皮膚とは直接に接触はしていない。ナースコールの機構は、ハードウェアと、ソフトウェアと、病院または診療施設内に既設であるナースコールシステムと接続するための配線とからなる。監視システムはまた、車両内に設置し、操作者の生理機能状態を監視することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視システムに関する。より詳細には本発明は、患者、自動車運転者、または生理機能が体調不良、眠気の招来、または自分または他人に対して重大な結果になりかねない他の状態であることを意味する変化を起こしている人々を監視するために用いる、インテリジェント医療常時監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療監視装置は多年にわたって使用されてきた。通常、医療監視装置には非ICU施設における医師により指示された患者監視装置が含まれる。
通常の装置は同装置に対して想定していた具体的な目的には適するが、観察および解析をし、診療上重要な不具合状態の場合だけ、病院に既存のナースコールシステムを用いてその状況を看護関係者に通知および報告をするという、患者のための見えざる「セーフティネット」を提供することには適していない。
【0003】
従来型の医療監視装置に関する主な問題は、これらの装置は急速に変化する状況(例えば、ICUにおける状況)に対応するように設計されており、従って誤認警報の割合が高いことである。集中治療室外においては監視装置は通常遠隔警報器に接続されていない。従って現地の警報が鳴るので、患者、その家族や友人を困惑させるとともに、患者を看護する臨床医の業務の流れを乱す。警報をさらに有意義にするための多くの試みがなされてきた。
【0004】
別の問題は、標準的な装置は患者の皮膚または身体にケーブルまたは電線を介して直接接触する必要があることである。これはセンサが脱落しないようにするために患者の移動を制約し、さらにケーブルが絡んだり、頸部圧迫を生じたりする危険性がある。さらに、これらの装置は購入すると比較的高価であり、操作が幾分複雑であるため、適切に操作するための訓練された作業者を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、重要かつ不具合な状態における生命徴候を非侵襲的に監視し、さらにこの事態を報告するための簡単、安価、かつ正確な方法が必要である。本発明は上記および他の必要に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡潔かつ概括的に言えば、本発明は、ヒトの生命徴候を観察し解析する見えざる「セーフティネット」を提供するための、新規で改良されたインテリジェント医療常時監視システムである。該装置は、診療上重要な不具合状態の場合だけ、例えば病院の既存のナースコールシステムを用いて、その状況を医療施設の関係者や看護関係者に通知および報告をする。このようにする際に、本発明は病院医療関係者が常時監視できる能力と「範囲」とを拡大し、病院医療関係者のリソースを一層有効に適用することができる。
【0007】
本発明は、上記の医療監視装置に関する多くの利点および新規かつインテリジェントな医療常時監視システムに帰結する多くの新規な特徴を有している。この特徴はいかなる従来の個々の医療監視装置またはそれらを組み合わせた装置によっても、予期されたり、想起容易であったり、示唆されたり、さらに暗示されたりしたものではない。
【0008】
本発明を例示するものであって必ずしも限定するものではないが、本発明の好ましい実
施態様において、本発明は患者の下に配置されたセンサアレイと、インターフェイスを介して既存の病院のナースコールシステムとに接続されたベッドサイドユニットを備える。センサアレイは、非侵襲性の圧電センサ薄膜、または他の同様な検出技術であることが好ましく、アレイ状のセンサが患者の病床の底部シートの下に配置された軟質パッド内に設置されている。センサアレイは患者の皮膚とは直接接触してはいない。ベッドサイドユニット本体内には信号プロセッサと警報プロセッサとがあり、データを計測するとともに、臨床上重要な事態が発生しているか否かを評価する。
【0009】
ベッドサイドユニットはディスプレイを備える壁掛け式ユニットであり、ディスプレイは警報条件となったり、看護士が任意のボタンを押すことによる命令をしたりすると起動する(スイッチが入る)。ベッドサイドユニットは、情報の入力、特定事項の設定、およびシステムとの情報交換を行うための複数の専用ソフトキーボタンおよび制御部を備える。
【0010】
センサアレイは、薄い圧電センサ薄膜、または他の同様なセンサ技術であって、アレイ状のセンサは軟質パッドに被覆されており、清掃が容易である。センサアレイは患者のベッドの底部シート(必要に応じて他のパッド)の下に配置され、患者の皮膚と直接的に接触はしない。センサアレイはマットレスカバーと一体にすることができる。本発明の監視システムはまた椅子に使用し、心拍数、血圧および呼吸数を通して患者のくつろいだ状態を監視することができる。
【0011】
ナースコールシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、および病院または看護施設内に既設のナースコールシステムに接続するための配線からなる。信号プロセッサは、センサアレイの信号を受信し、バッファ動作をし、さらにその後の処理のためにアナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するハードウェアとソフトウェアとからなる。警報プロセッサはロジックを用い、パラメータの傾向を監視し、不具合状態の発生時期を判定する。その後、警報プロセッサは現地および/または遠隔警報用の警報回路を起動させる。緊急事態の発生前には、弱警報を用いて悪化する傾向を報告することができる。全ての警報は、病院内の既存のナースコールシステムと情報交換することができる。
【0012】
他の実施態様において、本発明のインテリジェント医療常時監視システムは、自動車、航空機、または他の装置の操作者のための監視システムとして使用することに適する。本発明は自動車のシート、背もたれ、ヘッドレスト、ハンドル、運転時の上着、または運転時の帽子の1つ以上の領域に設置される。1つ以上のセンサを各位置に配置し、フィードバックを向上させる。車両の運転者はまた、センサを組み込んだ手首用付属品またはネックレスを携行することができる。
【0013】
車両中のセンサは、有線技術または無線技術を介して、患者に関する情報を車両内に設置された中央プロセッサに送信する。プロセッサは着信する情報を解析し、必要に応じてデータを出力する。常時監視システムは、事故を減少させるために、睡眠状態、または他の危険な状態となり得る身体状況へ接近していることを運転者に警告するために用いることができる。センサは車両運転者の心拍数、呼吸数、および動作を計測する。
【0014】
暗雑音信号を能動的に消去し、患者の心拍数、呼吸数、および血圧の正確な値を求める。この消去法により、監視システムを高暗雑音環境において効果的に稼動することができる。
【0015】
傾向情報もまた記録され、調査に使用される。
本発明は、従来技術の装置が有する多くの不都合を克服するインテリジェント医療常時監視システムを提供する。
【0016】
好ましい実施態様において、本発明は、患者を監視および解析し、診療上重要な不具合状態の場合だけ、病院の既存のナースコールシステムを用いて看護関係者に事態を通知および報告する、患者のための見えざる「セーフティネット」と成り得るインテリジェント医療常時監視システムを提供する。
【0017】
別の好ましい実施態様において、本発明は直接皮膚への接触をすることなく、複数の生理機能信号を観察(監視)するインテリジェント医療常時監視システムを提供する。
さらに別の実施態様において、本発明は情報を解析し、パラメータが正常な上下限値内であるか、または診療上不具合な方向へ移動する傾向であるのかを判定するインテリジェント医療常時監視システムを提供する。
【0018】
さらなる態様において、本発明は生理機能上のパラメータを報告し、さらにそれらの経時的な傾向を報告するインテリジェント医療常時監視システムを提供する。
さらに別の態様において、一貫して不具合な状況が検知されると、施設内において使用される既存のナースコールシステムを介して、看護関係者に通知するインテリジェント医療常時監視システムを提供する。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、上下限値を継続して超過していること、または状況が悪化していることを持続的に看護関係者に想起させ、医療処置を成功させるインテリジェント医療常時監視システムを提供する。この態様は、多忙な診療関係者が常時監視能力と「範囲」とを拡張させ、それにより彼らが最善の診療効果を呈するように時間を活用することを可能とするインテリジェント医療常時監視システムを提供する。
【0020】
他の態様において、本発明は操作者が装置を安全に操作する能力を損ねる危険な生理機能状態に対して、操作者に警報を付与する車両内のセンサシステムを提供する。
本発明の上記および他の利点は、本発明の特徴を例示的に図示する付随する図面とともに、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1はインテリジェント医療常時監視システム1を図示する。システム1はセンサアレイ5(患者の下に配置される)と、インターフェイス9を介して既存である病院のコールシステム7とに接続されたベッドサイドユニット3を備える。ベッドサイドユニット3内には信号プロセッサと警報プロセッサとがあり、データを計測するとともに、臨床上重要な事態が発生しているか否かを評価する。本発明はまた、車両内の監視システムとしても使用され得る。
【0022】
ベッドサイドユニット3はディスプレイ9を備える壁掛け式ユニットであり、ディスプレイは警報条件となったり、看護士が任意のボタンを押すことによる命令をしたりすると起動する(スイッチが入る)。ベッドサイドユニットは、情報の入力、特定事項の設定、およびシステムとの情報交換を行うための複数の専用ソフトキーボタンおよび制御部を備える。
【0023】
多様な種類のサンサを使用することが可能であるが、センサアレイ5は軟質パッドに被覆された薄い圧電薄膜センサアレイの形状であることが好ましく、これは清掃が容易である。該センサは患者のベッド11の底部シート(必要に応じて他のパッド)の下に配置され、患者の皮膚との直接的な接触はない。センサアレイ5は、患者のベッドの底部シートの下において軟質のパッドと一体にすることができる。
【0024】
ナースコールシステム7は、ハードウェア、ソフトウェア、および病院または看護施設
内に既設のナースコールシステムに接続するための配線からなる。
信号プロセッサは、センサアレイの信号を受信し、バッファ動作をし、さらにその後の処理のためにアナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するハードウェアとソフトウェアとからなる。傾向情報もまた記録され、調査に使用される。
【0025】
警報プロセッサはロジックを用い、パラメータの傾向を監視し、不具合状態の発生時期を判定する。その後、警報プロセッサは現地および/または遠隔警報用の警報回路を起動させる。緊急事態の発生前には、弱警報を用いて悪化する傾向を報告することができる。
【0026】
図2には、本発明の監視工程の概略図を示す。図3には、正常な患者の状態から不具合発生および看護対応までの進展を図示する概略図を示す。
警報を有する全ての患者監視装置において、使用者は「強」警報の限界値、すなわち各パラメータの上限値および下限値を設定することができる。これらの限界値を超過すると、任意の数の手段により看護関係者に警報表示、警報信号、および警報音を送信する。看護関係者は状況を改善するように対応する。このような警報による1つの問題は誤認警報である。これらの誤認警報は閾値を瞬時超過したために鳴るが、診療上の重大事態とは関係していない。患者を綿密に監視するためには、警報限界値を患者の現在のパラメータ値に近接して設定する。これらパラメータ値が現在値に近接するほど、問題の少ないパラメータ変動、患者の動作、または他の信号の「雑音」により、パラメータ実測値が設定された警報限界値を超過することが多くなる可能性が高くなる。
【0027】
警報には、パラメータ平均値の算出に使用するフィルターに加えて任意の遅延処理または付加処理を行うとともに、パラメータの表示を行うことがある。集中治療室においては、このような単純な警報の不適切さを測定するための試みが多くなされてきた。所定の範囲を超える偏差と交絡した範囲外に超過してからの一定時間を超えるまで、警報の発報を遅延させるための方法論もまた存在する。
【0028】
本発明において使用されるようなインテリジェント常時監視装置において、「強」警報限界値は、通常の集中治療室における監視装置よりも広げておく。これは、監視されている患者が典型的なICUにおける患者と比較すると健康で、かつ移動が可能だからである。患者の活力水準が高いので、患者は心拍数、呼吸数、血圧、体温、心臓活動などの計測対象である生命パラメータを大きく変動させる。従って、臨床医は患者の状態を観察することを希望するのみならず、患者看護の業務の流れ、および患者の感情や展望を害する誤認警報を回避することを希望する。しかし、それでもなお臨床医は患者の不具合な傾向を検知することに関心を持っているので、臨床医は処置をしたり、根深く深刻な問題を回避したりするべく迅速に対応する。
【0029】
図4,5には警報限界の組およびアルゴリズムを示す。図4は経時プロットした複数のパラメータであり、様々なパラメータの限界値超過および警報の論理を図示する。図5は各種パラメータ警報表であり、警報論理を示している。
【0030】
均衡のとれた応答を行うため、本発明の監視装置は複数の組の個別の警報限界とアルゴリズムとを備える。この新規な警報体系の目的は、旧来の各パラメータの「強」警報以内に新規な閾値を設定することであり、これにより旧来の単一な「強」警報限界を越える前に患者の悪化状況を把握する。これは限界値を単に内方に移動させることではない。新規な弱警報限界値は、(本実施例においては)心拍数(HR)および呼吸数(RR)の双方が弱警報限界値外になることを要し、それにより警報を始動する。HR、RRの一方が強警報限界外になれば、警報が起動する。HRおよびRRの双方が弱警報限界外にあり、かつ強警報限界値内であれば、「弱」警報が起動する。これを図4に図示している。
【0031】
このような警報体系下に属させるパラメータは、本実施例に用いた心拍数および呼吸数に限定されない。実際に、パラメータではない信号(雑音、動作など)もまたこの論理体系に含ませ、一層臨床的に有意義なものにすることができる。さらに、「強」警報の感度および特異性を、多くのシステムに用いられている単に「限界値を越えたか」ではなく、さらに複雑なアルゴリズムを用いることにより改善することができる。この改善には、ニューラルネットおよび/またはファジー論理などの幾つかの手法を採用することができるが、手法はこれに限定されない。
【0032】
ファジー論理は限界値に対して以下のように適用する。1つ以上の生理機能パラメータ(例えば、心拍数、呼吸数、血圧、体温など)の測定値があり、測定値が一定の領域(すなわち帯域)外にあるときに警報を起動させる。ファジー論理型の関数は、
【数1】

と定義される。ここでAは、N個の異なるパラメータまたは信号に基づく警報真理関数である。各パラメータまたは信号の信号真理関数F(p)は、
【数2】

【0033】
である。更なる制約としてF(p)は、tHl<=p<=tHhのときは単調に増大し、tLl<=p<=tLhのときには単調に減少する。
N個の異なる生理機能上のファジー論理関数の合計値は、以下の警報関数(上記警報真理関数)を求めることに用いる。すなわち、A>=Taなら警報が作動し、それ以外では警報は作動しない。弱警報条件(または複数弱警報条件の組み合わせ)において警報を作動させるのであれば、Taは通常0.5に設定する。Taを1.0に設定すると、少なくとも1つの生理機能パラメータにおける強警報条件により、警報が作動する。生理機能パラメータがtHh(n)以上(またはtLl(n)以下)のときにのみ警報が作動するようにする必要があれば、TaはNに設定する。この方法はまた、同一の生理機能パラメータが複数の方法により計測されるときにも使用できる。
【0034】
同一の生理機能パラメータの2つの測定値の場合、関数F(p)は、各測定値が同一になる可能性が高く、そのためTaは1.0に設定され、両測定装置ともt限界値を越えれば警報が作動する。具体的な診療上の必要(ICUか、一般診療室かなど)により、警報の限界値超過の形態(強、弱など)は相互に区分してもよいし、しなくともよい。警報はパラメータ毎に個別に弱の高、弱の低などと設定してもよいし、各パラメータに対して強警報限界範囲の10%などのように、固定的な百分率を用いた設定をしてもよい。論理は必要に応じて2つを超える警報に拡張することもできる。
【0035】
「強」警報限界および「弱」警報限界の双方の感度はまた、信号が例えば10秒などの一定の時間の間超過したことを監視装置が判定するまで、警報を遅延させるように改善することができる。このように、診療上は重要ではない瞬間的な信号の変化については、無
視することができる。
【0036】
図6は車両に設置された本発明の概略図である。本発明のインテリジェント医療常時監視システムは、自動車、航空機、または他の装置の操作者のための監視システムとして使用ことが容易である。本発明のセンサアレイは、シート13、背もたれ15、ヘッドレスト17、ハンドル19、運転時の上着21、または運転時の帽子23の自動車の1つ以上の領域に設置される。1つ以上のセンサアレイは各箇所に配置され、よりよいフィードバックを提供する。車両の操作者はまた、センサアレイを組み込んだ手首用付属品25またはネックレス27を携行することができる。
【0037】
車両中のセンサは、有線31技術または無線33技術を介して、患者に関する情報を車両内に設置された中央プロセッサ29に送信する。プロセッサは着信する情報を解析し、必要に応じてデータを出力する。常時監視システムは、事故を減少させるために、睡眠状態、または他の危険な状態となり得る身体状況へ接近していることを運転者に警告するために用いることができる。センサは車両操作者の心拍数、呼吸数、血圧、体温、心拍出量、および動作などの多様なパラメータを計測する。車両内のインテリジェント監視システムは、病院施設と同様の警報体系を用いる。
【0038】
暗雑音信号を能動的に消去し、操作者の正確な生理機能パラメータを提供する。この消去法により、監視システムは高暗雑音環境において効果的に稼動することが可能である。
本発明の詳細な形態を図示し、説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく多様な変形を行い得ることは、当業者にとっては自明のことである。従って、本発明は、特許請求の範囲に明記されていることを除き、限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の常時監視システムの概略図。
【図2】システム機能のブロック図。
【図3】患者の正常状態から不具合状態への進展、および看護対応を示す概略図。
【図4】複数パラメータの管理範囲逸脱および警報ロジックを示す、複数パラメータの経時変化図。
【図5】警報ロジックを示す複数パラメータ警報表。
【図6】車両内におけるセンサの多様な構成を示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの生理機能を監視し、不具合な状態を警告する警報を付与するための方法であって、
ヒトに隣接して、ヒトの生理機能パラメータを検知するように構成された複数のセンサを配置する工程と、
センサによりヒトの1つ以上の生理機能パラメータを検知する工程と、
検知されたパラメータを信号に変換する工程と、
各生理機能パラメータに対して上部強領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対して下部強領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対する上部強領域より下方に、上部弱領域の信号値を指定する工程と、上部弱領域は上部強領域に対して予め設定された下方に離間するように選択されることと、
各生理機能パラメータに対する下部強領域より上方に、下部弱領域の信号値を指定する工程と、下部弱領域は下部強領域に対して予め設定された上方に離間するように選択されることと、
一定時間の間少なくとも2つの信号を解析し、各信号がいずれの領域に存在するのかを判定する工程と、
少なくとも1つの信号が強領域にあるときに警報を起動させる工程と、
少なくとも2つの信号が弱領域にあるときに警報を起動させる工程とを備える方法。
【請求項2】
警報を起動させる工程は、少なくとも1つの信号が強領域にあるときに強警報を起動させる工程と、少なくとも2つの信号が弱領域にあるときに弱警報を作動させる工程とを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
警報を起動させる工程は、強領域および弱領域と関連付けて複数信号の重要度を評価するためのファジー論理を用いて警報を起動させる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数のセンサがヒトの同一な生理機能パラメータを検知するように構成されている請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数のセンサがヒトの複数の異なる生理機能パラメータを検知するように構成されている請求項1に記載の方法。
【請求項6】
センサは、心拍数、呼吸数、血圧、体温、動作、および雑音発生のうちの少なくとも2つの生理機能パラメータを検知するように構成されている請求項1に記載の方法。
【請求項7】
信号値の領域は医療関係者により指定されるとともに、選択的に変更可能である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上部弱領域は上部強領域の下限値の所定の百分率である下限値を有するように自動的に選択され、かつ下部弱領域は下部強領域の上限値の所定の百分率である上限値を有するように自動的に選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
各パラメータは夫々異なる弱領域を有する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上部弱領域の大きさは下部弱領域の大きさと異なる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
患者の生理機能を監視し、不具合な状態を警告する警報を付与するための方法であって、
患者に隣接して、患者の生理機能パラメータを検知するように構成された複数のセンサを配置する工程と、
センサにより患者の1つ以上の生理機能パラメータを検知する工程と、
検知されたパラメータを信号に変換する工程と、
各生理機能パラメータに対して上部強領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対して下部強領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対する上部強領域より下方に、上部弱領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対する下部強領域より上方に、下部弱領域の信号値を指定する工程と、
一定時間の間少なくとも2つの信号を解析し、各信号がいずれの領域に存在するのかを判定する工程と、
少なくとも1つの信号が強領域にあるときに警報を起動させる工程と、
少なくとも2つの信号が弱領域にあるときに警報を起動させる工程と、
医療施設内に既存のナースコールシステムを介して、医療関係者に対して起動された警報を伝達する工程とを備える方法。
【請求項12】
警報を起動させる工程は、少なくとも1つの信号が強領域にあるときに強警報を起動させる工程と、少なくとも2つの信号が弱領域にあるときに弱警報を起動させる工程とを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の各センサは、ヒトの複数の生理機能パラメータを検知するように構成されている請求項11に記載の方法。
【請求項14】
信号値の領域は医療関係者により指定されるとともに、選択的に変更可能である請求項11に記載の方法。
【請求項15】
上部弱領域は上部強領域の下限値の所定の百分率である下限値を有するように自動的に選択され、かつ下部弱領域は下部強領域の上限値の所定の百分率である上限値を有するように自動的に選択される請求項11に記載の方法。
【請求項16】
ヒトの生理機能を監視し、不具合な状態を警告する警報を付与するための方法であって、
ヒトに隣接して、ヒトの生理機能パラメータを検知するように構成された複数のセンサを配置する工程と、
センサによりヒトの1つ以上の生理機能パラメータを検知する工程と、
検知されたパラメータを信号に変換する工程と、
各生理機能パラメータに対して上部強領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対して下部強領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対する上部強領域より下方に、上部弱領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対する下部強領域より上方に、下部弱領域の信号値を指定する工程と、
一定時間の間少なくとも2つの信号を解析し、各信号がいずれの領域に存在するのかを判定する工程と、
値が増大している上部領域における信号、および値が低減している下部領域における信号を選択する工程と、
少なくとも1つの該選択された信号が強領域にあるときに警報を起動させる工程と、
少なくとも2つの該選択された信号が弱領域にあるときに警報を起動させる工程とを備える方法。
【請求項17】
警報を起動させる工程は、少なくとも1つの信号が強領域にあるときに強警報を起動させる工程と、少なくとも2つの信号が弱領域にあるときに弱警報を起動させる工程とを備える請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の各センサは、ヒトの複数の生理機能パラメータを検知するように構成されている請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ヒトの生理機能を監視し、不具合な状態を警告する警報を付与するための方法であって、
ヒトに隣接して、ヒトの生理機能パラメータを検知するように構成された複数のセンサを配置する工程と、
センサによりヒトの1つ以上の生理機能パラメータを検知する工程と、
検知されたパラメータを信号に変換する工程と、
各生理機能パラメータに対して上部強領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対して下部強領域の信号値を指定する工程と、
各生理機能パラメータに対する上部強領域より下方に、上部弱領域の信号値を指定する工程と、上部弱領域は上部強領域から所定の下方への離間をするように選択されることと、
各生理機能パラメータに対する下部強領域より上方に、下部弱領域の信号値を指定する工程と、下部弱領域は下部強領域から所定の上方への離間をするように選択されることと、
一定時間の間少なくとも2つの信号を解析し、各信号がいずれの領域に存在するのかを判定する工程と、
領域内の各信号に対してファジー論理関数を適用する工程と、
同ファジー論理関数の合計値が所定値を超えたときに警報を起動させる工程とを備える方法。
【請求項20】
第1の所定値は弱警報を起動させる請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第2の所定値は強警報を起動させる請求項19に記載の方法。
【請求項22】
信号値の領域は医療関係者により指定されるとともに、選択的に変更可能である請求項19に記載の方法。
【請求項23】
上部弱領域は上部強領域の下限値の所定の百分率である下限値を有するように自動的に選択され、かつ下部弱領域は下部強領域の上限値の所定の百分率である上限値を有するように自動的に選択される請求項19に記載の方法。
【請求項24】
ヒトの生理機能を監視し、不具合な状態を警告する警報を付与するための方法であって、
ヒトに隣接して、ヒトの生理機能パラメータを検知するように構成された複数のセンサを配置する工程と、
センサによりヒトの1つ以上の生理機能パラメータを検知する工程と、
検知されたパラメータを信号に変換する工程と、
各生理機能パラメータに対して一組の上部領域信号値を指定する工程と、一組のうちの一方は他方よりも低く、それにより一領域は外側領域であり他領域は内側領域であることと、
各生理機能パラメータに対して一組の下部領域信号値を指定する工程と、一組のうちの一方は他方よりも高く、それにより一領域は外側領域であり他領域は内側領域であること
と、
一定時間の間少なくとも2つの信号を解析し、各信号がいずれの領域に存在するのかを判定する工程と、
少なくとも1つの信号が外側領域にあるときに警報を起動させる工程と、
少なくとも2つの信号が内側領域にあるときに警報を起動させる工程とを備える方法。
【請求項25】
警報を起動させる工程は、少なくとも1つの信号が強領域にあるときに強警報を起動させる工程と、少なくとも2つの信号が弱領域にあるときに弱警報を起動させる工程とを備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】
複数のセンサがヒトの複数の異なる生理機能パラメータを検知するように構成されている請求項24に記載の方法。
【請求項27】
信号値の領域は医療関係者により指定されるとともに、選択的に変更可能である請求項24に記載の方法。
【請求項28】
上部弱領域は上部強領域の下限値の所定の百分率である下限値を有するように自動的に選択され、かつ下部弱領域は下部強領域の上限値の所定の百分率である上限値を有するように自動的に選択される請求項24に記載の方法。
【請求項29】
ヒトの生理機能を監視し、不具合な状態を警告する警報を付与するための装置であって、
ヒトの1つ以上の生理機能パラメータを検知するための複数のセンサと、
各検知されたパラメータを情報信号に変換するように構成されたプロセッサと、
プロセッサと通信する警報システムと、同警報システムは1つ以上の警報を付与するように構成されていることとを備え、
該プロセッサは
各生理機能パラメータに対して指定された上部強領域の信号値を受信する工程と、
各生理機能パラメータに対して指定された下部強領域の信号値を受信する工程と、
各生理機能パラメータに対して上部強領域の下方に指定された上部弱領域の信号値を受信する工程と、
各生理機能パラメータに対して下部強領域の上方に指定された下部弱領域の信号値を受信する工程と、
一定時間の間少なくとも2つの信号を解析し、各信号がいずれの領域に存在するのかを判定する工程と、
少なくとも1つの信号が強領域にあるときに警報を起動させる工程と、
少なくとも2つの信号が弱領域にあるときに警報を起動させる工程とを有するプロセッサである装置。
【請求項30】
医療施設内における既設のナースコールシステムに警報システムを接続するためのインターフェイスをさらに備える請求項29に記載の装置。
【請求項31】
該プロセッサはヒトのベッドの近傍に配置されたベッドサイドユニットに収納されている請求項29に記載の装置。
【請求項32】
ベッドサイドユニットは、該プロセッサに接続された、生理機能データを表示するためのディスプレイをさらに備え、ディスプレイは警報条件が生起したときに自動的に作動する請求項31に記載の装置。
【請求項33】
ベッドサイドユニットは、該プロセッサに接続された、生理機能データを表示するため
のディスプレイをさらに備え、ディスプレイは在籍する医療関係者により選択的に起動される請求項31に記載の装置。
【請求項34】
センサはベッドカバー内に封入されたアレイ中にアセンブルされている請求項29に記載の装置。
【請求項35】
センサはヒトの寝具内に配置されている請求項29に記載の装置。
【請求項36】
センサは圧電材料からなる非侵襲性センサである請求項29に記載の装置。
【請求項37】
センサは車両のシート、車両の背もたれ、車両のヘッドレスト、車両のハンドル、運転時の上着、運転時の帽子、手首用付属品、およびネックレスの少なくとも1つの箇所に設置される請求項29に記載の装置。
【請求項38】
プロセッサは車両内に配置される請求項29に記載の装置。
【請求項39】
センサは検知されたパラメータを無線技術を介して該プロセッサに送信する請求項29に記載の装置。
【請求項40】
警報は睡眠状態に接近している車両の運転者に対して警告するように構成されている請求項28に記載の装置。
【請求項41】
センサは、心拍数、呼吸数、血圧、体温、心拍出量、およびヒトの動作のうちの少なくとも2つの生理機能パラメータを検知するように構成されている請求項29に記載の装置。
【請求項42】
該プロセッサは、警報を起動させる工程が、少なくとも1つの信号が強領域にあるときには強警報を起動させる工程と、少なくとも2つの信号が弱領域にあるときには弱警報を起動させる工程とを備えるように構成されている請求項29に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−518470(P2007−518470A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542747(P2006−542747)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/040379
【国際公開番号】WO2005/055824
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(504361632)ホアナ メディカル、インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】