説明

ウインドシールドガラス接合構造

【課題】カウルルーバの構成を簡単にする。
【解決手段】ウインドシールドガラス接合構造10では、リップシール32がカウルルーバ本体18とフロントウインドシールドガラス28との間をシールして、フロントウインドシールドガラス28の下端部から車両前側への液体の流下が防止されている。さらに、クッション36が接合突起24の嵌合爪26に上側から当接して、異音の発生が抑制されている。ここで、リップシール32及びクッション36がフロントウインドシールドガラス28に一体に設けられているため、カウルルーバ14の構成を簡単にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウインドシールドガラスがカウルルーバに接合されたウインドシールドガラス接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ウインドシールドガラス接合構造としては、カウルルーバのリップ部とフック部との間にフロントガラスが接合されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、このようなウインドシールドガラス接合構造では、一般に、カウルルーバのフック部上方の本体の裏面にスポンジシールが手作業で貼り付けられることで、フロントガラスとカウルルーバとの間がシールされている。さらに、カウルルーバのフック部にフェルトが手作業で貼り付けられて、フロントガラスがフェルトに当接されることで、異音の発生が抑制されている。
【0004】
このように、カウルルーバがスポンジシール及びフェルトを貼り付けられた構成であるため、カウルルーバの構成が複雑である。
【特許文献1】特開2004−345447公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、カウルルーバの構成を簡単にできるウインドシールドガラス接合構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のウインドシールドガラス接合構造は、車両のカウルルーバと、前記カウルルーバに下部を接合されたウインドシールドガラスと、前記ウインドシールドガラスに設けられ、前記カウルルーバとの間をシールするシール部と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載のウインドシールドガラス接合構造は、車両のカウルルーバと、前記カウルルーバに設けられた接合部と、前記接合部に下部を接合されたウインドシールドガラスと、前記ウインドシールドガラスに設けられると共に、弾性を有し、前記接合部に上側から当接する弾性部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載のウインドシールドガラス接合構造では、車両のカウルルーバにウインドシールドガラスの下部が接合されており、カウルルーバとウインドシールドガラスとの間をシール部がシールしている。
【0009】
ここで、シール部がウインドシールドガラスに設けられている。このため、カウルルーバの構成を簡単にすることができる。
【0010】
請求項2に記載のウインドシールドガラス接合構造では、車両のカウルルーバに接合部が設けられており、接合部にウインドシールドガラスの下部が接合されている。さらに、ウインドシールドガラスに設けられた弾性部が接合部に上側から当接しており、これにより、異音の発生が抑制されている。
【0011】
ここで、上述の如く、弾性部がウインドシールドガラスに設けられている。このため、カウルルーバの構成を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には、本発明の実施の形態に係るウインドシールドガラス接合構造10が車両左方から見た断面図(図2の1−1線断面図)にて示されており、図2には、ウインドシールドガラス接合構造10が適用されて構成された車両12の主要部が車両左斜め前方から見た斜視図にて示されている。さらに、図3には、ウインドシールドガラス接合構造10が車両左斜め前方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両右方を矢印RHで示し、上方を矢印UPで示す。
【0013】
本実施の形態に係るウインドシールドガラス接合構造10は、樹脂製のカウルルーバ14を備えており、カウルルーバ14は、車両前側端を基準位置として車体12Aに組み付けられている。カウルルーバ14は、車両12のフード16の車両後側部分の下側において、車幅方向へ延伸されており、カウルルーバ14の下側には、車両12のワイパ用のモータやリンク(図示省略)等が配置されている。
【0014】
カウルルーバ14には、長尺板状のカウルルーバ本体18が設けられており、カウルルーバ本体18は車幅方向へ延伸されている。カウルルーバ本体18には、長尺板状のリップ部20が一体に形成されており、リップ部20は、カウルルーバ本体18から車両後側へ突出されると共に、車幅方向へ延伸されている。また、リップ部20は、薄肉にされて、弾性を有している。
【0015】
カウルルーバ本体18の裏面18Aには、リップ部20の近傍において、長尺板状のリブ22が一体に形成されており、リブ22は、カウルルーバ本体18から下側へ突出されると共に、車幅方向へ延伸されている。
【0016】
カウルルーバ本体18の裏面18Aには、リブ22の車両前側近傍において、接合部としての接合突起24が複数固定されており、複数の接合突起24は、車幅方向に沿って間隔をあけて配置されると共に、それぞれカウルルーバ本体18から車両後側へ突出されている。接合突起24の車両後側端には、略矩形柱状の嵌合爪26が設けられており、嵌合爪26は接合突起24から上側へ突出している。嵌合爪26の上端には、矩形板状の爪部26Aが一体に形成されており、爪部26Aは、嵌合爪26から車両前側へ突出すると共に、薄肉にされて弾性を有している。
【0017】
カウルルーバ14には、カウルルーバ本体18と複数の接合突起24(嵌合爪26)との間において、ウインドシールドガラスとしてのフロントウインドシールドガラス28の下端部が接合されており、フロントウインドシールドガラス28は、車両後方へ向かうに下が上方へ向かう方向へ傾斜されている。フロントウインドシールドガラス28の車両前側面28Aは、カウルルーバ本体18のリップ部20に上側から押圧されており、リップ部20は弾性変形されている。フロントウインドシールドガラス28の車両後側面28Bは、複数の嵌合爪26に下側から接合されており、嵌合爪26の爪部26Aは弾性変形されている。また、フロントウインドシールドガラス28は、上端を基準位置として車体12Aに組み付けられており、フロントウインドシールドガラス28の上端部、車両右側端部及び車両左側端部は、車体12Aに固定されている。
【0018】
フロントウインドシールドガラス28の下端部には、車両前側面28A、車両後側面28B及び下端面28Cにおいて、弾性部材30が一体に設けられており、弾性部材30は、ゴム製にされて、弾性を有すると共に、シール性を有している。また、弾性部材30は、成形機(図示省略)により、所謂CSE(Curved Seal Extrusion)によって、フロントウインドシールドガラス28の下端部に押出成形されている。
【0019】
弾性部材30の車両前側部分には、シール部としての長尺板状のリップシール32が一体に形成されており、リップシール32は、弾性部材30から上側かつ車両後側へ突出している。リップシール32は、カウルルーバ本体18の裏面18Aにフロントウインドシールドガラス28の面直角方向(車両前側面28A及び車両後側面28Bの直角方向)において弾性接触されており、これにより、カウルルーバ本体18とフロントウインドシールドガラス28との間がシールされている。また、カウルルーバ本体18(リップ部20を含む)とフロントウインドシールドガラス28とリップシール32との間には、流液路34(空間)が形成されている。
【0020】
弾性部材30の車両後側部分は、弾性部としてのクッション36にされており、クッション36は、嵌合爪26の爪部26Aに弾性接触されている。
【0021】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0022】
以上の構成のウインドシールドガラス接合構造10では、弾性部材30のリップシール32がカウルルーバ14(カウルルーバ本体18)とフロントウインドシールドガラス28との間をシールしている。
【0023】
このため、図3に示す如く、フロントウインドシールドガラス28の車両前側面28Aを流下してカウルルーバ本体18のリップ部20を通過した液体38(例えば雨水)が、カウルルーバ本体18とフロントウインドシールドガラス28とリップシール32との間の流液路34を介して車幅方向外側へ移動されて、フロントウインドシールドガラス28の下端部の車幅方向外側端から車幅方向外側へ流下される。
【0024】
さらに、カウルルーバ本体18の裏面18Aのリブ22が、カウルルーバ本体18の裏面18Aを伝う液体38の流下を制限する(止める)。このため、カウルルーバ本体18の裏面18Aを伝う液体38がリップシール32を乗り越えることが防止される。
【0025】
これにより、フロントウインドシールドガラス28の下端部から車両前側への液体38の流下が防止されて、カウルルーバ14の下側に配置されるワイパ用のモータやリンク等へ液体38が流下することを防止できる。
【0026】
ここで、リップシール32がフロントウインドシールドガラス28の下端部に一体に設けられている。このため、カウルルーバ14の構成を簡単にすることができる。
【0027】
ところで、仮に、従来の如くカウルルーバ14の裏面18Aにスポンジシールを手作業で貼り付けると、手作業であるため手間が掛かり、かつ、スポンジシールの貼付作業がカウルルーバ14の接合突起24に阻害されて煩雑であるため、コストが高くなる。
【0028】
さらに、フロントウインドシールドガラス28の面方向(車両前側面28A及び車両後側面28Bに沿った方向)においてフロントウインドシールドガラス28の下端面28Cによってスポンジシールが圧縮されてシールされるため、フロントウインドシールドガラス28の下端面28Cによってカウルルーバ14の裏面18Aからスポンジシールが剥がれる可能性がある。しかも、カウルルーバ14は車両前側端を基準位置として車体12Aに組み付けられると共に、フロントウインドシールドガラス28は上端を基準位置として車体12Aに組み付けられるため、フロントウインドシールドガラス28の下端面28Cによるスポンジシールの圧縮量が安定しない。このため、スポンジシールを大きくする必要があると共に、シール性能が安定せず、かつ、必要に応じてスポンジシールの下側に液体38を受ける液体樋を設ける必要がある。
【0029】
一方、本実施の形態では、フロントウインドシールドガラス28の下端部に成形機によりリップシール32を一体に設けるため、コストを低減できる。
【0030】
さらに、リップシール32はカウルルーバ本体18の裏面18Aにフロントウインドシールドガラス28の面直角方向において接触するため、リップシール32を大きくする必要がないと共に、シール性能が安定し、かつ、液体樋を設ける必要をなくすことができる。
【0031】
また、弾性部材30のクッション36が接合突起24の嵌合爪26(特に爪部26A)に上側から当接している。このため、フロントウインドシールドガラス28と嵌合爪26との間における異音(こすれ音及び打音)の発生を抑制することができる。
【0032】
ここで、クッション36がフロントウインドシールドガラス28の下端部に一体に設けられている。このため、カウルルーバ14の構成を一層簡単にすることができる。
【0033】
ところで、仮に、従来の如く嵌合爪26(爪部26A)にフェルトを手作業で貼り付けると、手作業であるため手間が掛かり、かつ、フェルトの貼付作業がカウルルーバ本体18のリップ部20に阻害されて煩雑であるため、コストが高くなる。
【0034】
一方、本実施の形態では、フロントウインドシールドガラス28の下端部に成形機によりリップシール32を一体に設けるため、コストを低減できる。
【0035】
また、仮に、カウルルーバ14(特にカウルルーバ本体18の裏面18A及び嵌合爪26)に弾性部材30(リップシール32及びクッション36)を二色成形により設けると、カウルルーバ14の金型が複雑になって、コストが高くなる。
【0036】
一方、本実施の形態では、フロントウインドシールドガラス28の下端部に成形機により弾性部材30を押出成形するため、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係るウインドシールドガラス接合構造を示す車両左方から見た断面図(図2の1−1線断面図)である。
【図2】本発明の実施の形態における車両の主要部を示す車両左斜め前方から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るウインドシールドガラス接合構造を示す車両左斜め前方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10 ウインドシールドガラス接合構造
12 車両
14 カウルルーバ
24 接合突起(接合部)
28 フロントウインドシールドガラス(ウインドシールドガラス)
32 リップシール(シール部)
36 クッション(弾性部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のカウルルーバと、
前記カウルルーバに下部を接合されたウインドシールドガラスと、
前記ウインドシールドガラスに設けられ、前記カウルルーバとの間をシールするシール部と、
を備えたウインドシールドガラス接合構造。
【請求項2】
車両のカウルルーバと、
前記カウルルーバに設けられた接合部と、
前記接合部に下部を接合されたウインドシールドガラスと、
前記ウインドシールドガラスに設けられると共に、弾性を有し、前記接合部に上側から当接する弾性部と、
を備えたウインドシールドガラス接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−18848(P2008−18848A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192604(P2006−192604)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】