説明

ウェザーストリップ及びその取付け方法

【課題】紐状の両端部同士を一度連結してリング状にしても、前記両端部同士を分離した後、再度連結でき、この連結に型成形や接着の方法を用いないウェザーストリップを提供する。
【解決手段】車体1のドア開口部3又はドア4に設けられるウェザーストリップ5であって、前記ウェザーストリップ5の長手方向に沿って設けられドア開口部3又はドア4に取付けられる取付け部15と、ウェザーストリップ5の延在方向の両端部に設けられ互いを連結可能な連結部11とを有し、連結部11は、取付け部15の一端が他端に着脱可能に係合する係合部12を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のドア開口部又はドアに設けられるウェザーストリップ及びその取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車体のドア開口部とドアとの間には、ドアの周縁に沿ってウェザーストリップが取付けられている。ドアの閉まっている状態では、ウェザーストリップは、ドア開口部とドアとの両方に弾接し、車室内を気密に保ち、雨風の浸入を防いでいる。
【0003】
ウェザーストリップは、押出し成形された紐状の部材の両端部同士を型成形することにより、リング状に成形されドアの周縁に沿って取付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−105888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウェザーストリップをリング状に成形するには、押出し成形された紐状の部材の両端部同士を型成形する方法だけでなく、両端部同士を接着剤にて接着する方法も有効であると考えられるが、車両の製造工程においては、ウェザーストリップが組付けられた後でないと実施できない工程がある一方で、ウェザーストリップが組付けられていると組付けられていない場合に比べて作業時間が長くなる工程がある。このウェザーストリップが組付けられていると作業時間が長くなる工程は、ウェザーストリップが組付けられる前に実施することが望ましいが、さまざまな制約でウェザーストリップが組付けられた後に実施されている場合があった。このような場合、組付けられたウェザーストリップを取り外そうとすると、リング状のウェザーストリップを紐状にすべく切断して取り外し再度リング状に成形しなければならず、製造工程全体の作業時間を考慮すると短縮できる時間は大きくなかった。これらのことから、押出し成形された紐状の部材の両端部同士を一度連結してリング状にしても、前記両端部同士を分離し紐状にし再度連結できれば、組付けられたウェザーストリップを容易に脱着しながら他の工程を実施することができ製造工程全体の作業時間を大幅に短縮できるので有用である。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、紐状の両端部同士を一度連結してリング状にしても、前記両端部同士を分離した後、再度連結でき、この連結に型成形や接着の方法を用いないウェザーストリップとこのようなウェザーストリップの取付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車体のドア開口部又はドアに設けられるウェザーストリップであって、前記ウェザーストリップの長手方向に沿って設けられ前記ドア開口部又はドアに取付けられる取付け部と、前記ウェザーストリップの延在方向の両端部に設けられ互いを連結可能な連結部とを有し、前記連結部は、前記取付け部の一端が他端に着脱可能に係合する係合部を備えていることを特徴としている。
【0007】
前記係合部によれば、前記取付け部の一端が他端に着脱可能に係合するので、ウェザーストリップの一端と他端を容易に連結することができる。また、前記係合部では、係合する前記取付け部の一端から他端を脱離させることができるので、前記連結部において、ウェザーストリップの両端部を、連結するだけでなく分離し再度連結することができ、組付けられたウェザーストリップを容易に脱着しながら他の工程を実施することができる。このため、前記他の工程の作業性を向上でき、車体の製造工程全体の作業時間を大幅に短縮できる。また、車体のドア開口部又はドアに取付けられる取付け部で係合を行うので、ウェザーストリップの前記両端部が車体に固定され、前記両端部の連結状態を安定させることができる。また、前記係合部は、着脱可能であるので、係合部による係合に型成形や接着の方法に用いる装置等が必要ない。
【0008】
また、前記ウェザーストリップは、前記ドア開口部と前記ドアとの間をシールするシール部を有し、前記連結部は、前記シール部の一端が他端に前記延在方向に嵌合する嵌合部を有していることが好ましい。前記シール部に前記嵌合部を設けることによって、前記嵌合部はウェザーストリップの延在方向のガイドとなって、前記両端部の連結の作業性が更に向上させることができる。また、前記両端部および前記両端部間のシール性を向上させることができる。
【0009】
また、前記嵌合部の前記延在方向に垂直な平面で切断した断面形状は、略円形状に形成されていることが好ましい。これによれば、前記嵌合部で前記両端部の一部を嵌め込みながら、前記両端部を相対的に前記嵌合部周りに回転させることができるので、前記取付け部の一端と他端のそれぞれから前記嵌合部までの距離はそれぞれ一定に保たれ、前記嵌合部をガイドとして前記取付け部の係合を行うことができる。取付け部の取付けの作業性、さらには、連結部の連結の作業性を向上させることができる。
【0010】
また、前記嵌合部は、前記係合部より柔らかい材料で構成されていることが好ましい。これによれば、前記係合部より柔らかい材料により前記嵌合部での嵌め込み作業を容易にし、前記嵌合部より硬い材料により前記係合部における係合を確実にできるので、連結の作業性を向上させることができる。さらに、前記係合部より柔らかい材料により前記嵌合部による前記両端部間のシール性を向上させることができる。
【0011】
また、前記連結部は、前記取付け部の一端が他端に係合していない状態では露出して視認でき、前記取付け部の一端が他端に係合している状態ではカバーされ視認できない表示部を有していることが好ましい。作業者は、前記連結部が、確実に連結しているか否かの判定を容易にすることができる。
【0012】
また、本発明は、長手方向に沿って設けられ車体のドア開口部又はドアに取付けられる取付け部と、延在方向の両端部に設けられ互いを連結可能な連結部とを有し、前記連結部は、前記取付け部の一端が他端に着脱可能に係合する係合部を備えているウェザーストリップの取付け方法であって、前記取付け部の前記一端を前記ドア開口部又はドアに取付けた後に、前記他端を前記ドア開口部又はドアに取付け、前記取付け部の一端を他端に係合することを特徴としている。
【0013】
これによれば、取付けられて車体に固定されている前記取付け部の前記一端に対して、前記取付け部の前記他端を係合させるので、前記他端の取り扱いのみに作業者は注意すればよく、容易に係合させることができる。また、前記係合部は着脱可能であるので、前記係合部により係合に型成形や接着の方法に用いる装置等を用いる必要がない。
【0014】
また、前記ドア開口部と前記ドアとの間をシールするシール部を有し、前記連結部は、前記シール部の一端が他端に前記延在方向に嵌合する嵌合部を有し、前記取付け部の一端を他端に係合する前に、前記シール部の一端を他端に嵌合することが好ましい。この嵌合された前記嵌合部をガイドとして、前記取付け部の一端を他端に係合することが容易にできる。
【0015】
また、前記嵌合部の前記延在方向に垂直な平面で切断した断面形状は略円形状に形成され、前記取付け部の一端に対して他端を前記嵌合部まわりに回転させて、前記取付け部の一端を他端に係合させることが好ましい。これによれば、前記取付け部の一端と他端のそれぞれから前記嵌合部までの距離はそれぞれ一定に保たれるので、前記嵌合部をガイドとして前記取付け部の係合を行うことができ、取付け部の取付けの作業性、さらには、連結部の連結の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、紐状の両端部同士を一度連結してリング状にしても、前記両端部同士を分離した後、再度連結でき、この連結に型成形や接着の方法を用いないウェザーストリップとこのようなウェザーストリップの取付け方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1(a)に、本発明の実施形態に係るウェザーストリップ5を装着した車体1の斜視図を示す。車体1には、リアハッチ(後部ドア)4と、フロントドア4aと、リアドア4bのように、各所にそれぞれドアが設けられている。図1(a)には、リアハッチ4が開いている状態を示しているが、車体1のボディ2のドア開口部3の周縁には、全周にわたってウェザーストリップ5が設けられている。そして、リアハッチ4が閉められると、ウェザーストリップ5は、ドア開口部3とリアハッチ4の間において、ドア開口部3とリアハッチ4との両方に弾接し、車室内を気密に保ち、雨風の浸入を防ぐことができる。なお、ウェザーストリップ5は、ドア開口部3の周縁に替えて、リアハッチ4の周縁に全周にわたって設けてもよい。これによっても、リアハッチ4が閉められると、ウェザーストリップ5は、ドア開口部3とリアハッチ4との両方に弾接し、車室内を気密に保ち、雨風の浸入を防ぐことができる。
【0018】
また、リアハッチ4と同様に、フロントドア4aとリアドア4bにおいても、図示は省略するが、ウェザーストリップ5は、ドア開口部の周縁、又は、フロントドア4aとリアドア4bの周縁に全周にわたって設けられている。図1(a)に示すような閉められたフロントドア4aとリアドア4bにおいては、ウェザーストリップ5は、ドア開口部3とフロントドア4aとの両方に弾接し、ドア開口部3とリアドア4bとの両方に弾接し、車室内を気密に保ち、雨風の浸入を防ぐことができる。ウェザーストリップ5は、リアハッチ4と、フロントドア4aと、リアドア4bとで、同じ構造のウェザーストリップ5を使用することができるので、後記では、リアハッチ4を例に説明する。
【0019】
そして、ウェザーストリップ5は、連結部11を有している。連結部11によれば、図1(a)に示すようなリング状のウェザーストリップ5を、連結部11において分断して、紐状にすることができる。紐状にできれば、ウェザーストリップ5を容易にドア開口部3から取り外すことができる。また、連結部11において、紐状のウェザーストリップ5の両端部を連結することにより、ウェザーストリップ5を再度リング状にして、ドア開口部3に取付けることができる。
【0020】
図1(b)に、本発明の実施形態に係るウェザーストリップ5の車体に装着した状態での正面図を示す。ウェザーストリップ5は、前記ドア開口部3とリアハッチ4との間をシールするシール部14と、シール部14の裏側(紙面後方)にあってウェザーストリップ5の長手方向に沿って設けられ、前記ドア開口部3に取付けられ、ウェザーストリップ5を前記ドア開口部3に固定する取付け部15とを有している。そして、ウェザーストリップ5は、ウェザーストリップ5の延在方向の両端部に設けられ互いを連結可能な連結部11を有し、この連結部11は、前記取付け部15の一端が他端に着脱可能に係合する係合部12を備えている。
【0021】
この係合部12によれば、前記取付け部15の一端が他端に着脱可能に係合するので、ウェザーストリップ5の一端と他端を容易に連結することができる。また、前記係合部12では、係合する前記取付け部15の一端から他端を脱離させることができるので、前記連結部11において、ウェザーストリップ5の両端部を、一度連結するだけでなく分離し再度連結することができ、車体1の製造時であれば、組付けられたウェザーストリップ5を容易に脱着しながら他の工程を実施することができる。このため、前記他の工程の作業性を向上でき、車体1の製造工程全体の作業時間を大幅に短縮できる。また、ドア開口部3に取付けられる取付け部15で係合を行うので、ウェザーストリップ5の前記両端部がドア開口部3に固定され、前記両端部の連結状態を安定させることができる。
【0022】
また、前記連結部11は、前記シール部14の一端が他端にウェザーストリップ5の延在方向に嵌合する嵌合部13を有している。前記シール部14に前記嵌合部13を設けることによって、前記嵌合部13はウェザーストリップ5の延在方向のガイドとなって、前記両端部の連結の作業性が更に向上させることができる。
【0023】
図2(a)に、ウェザーストリップ5を連結部11(図1参照)において分断して紐状にした際の一端側(先組付け側)を表側から見た斜視図を示す。ウェザーストリップ5の先組付け側には、連結部(先組付け側)11aが設けられている。連結部(先組付け側)11aは、鉤形状の外周面を有する係合部(オス鉤部)12aと、筒形状の嵌合部13aとを有している。また、連結部(先組付け側)11aには、シール部14と取付け部15に隣接し延在するようにテーパ部16が設けられている。テーパ部16の外周面は傾斜し、その外周面上には周囲と目視で識別可能な表示部17が設けられている。また、テーパ部16には、取付け部15から延在する第1凸部18と、シール部14から延在する第2凸部19が設けられている。
【0024】
図2(b)に、ウェザーストリップ5を連結部11(図1参照)において分断して紐状にした際の一端側(先組付け側)を裏側から見た斜視図を示す。テーパ部16には、シール部14から延在する第3凸部20が設けられている。係合部(オス鉤部)12aには、取付け部15から延在する貫通溝が設けられている。
【0025】
図3(a)に、ウェザーストリップ5の先組付け側の側面図と対応する断面図の合成図を示し、図3(b)にウェザーストリップ5の先組付け側の底面図と対応する断面図の合成図を示し、図3(c)に、図3(b)のA−A方向の矢視断面図を示し、図3(d)に、図3(b)のB−B方向の矢視断面図を示している。取付け部15の貫通溝の内側側壁の両側には、先端が貫通溝の底の方向に傾いた第1リップ部15aが多段に設けられている。係合部(オス鉤部)12aの貫通溝と、取付け部15の貫通溝とには、ドア開口部3(図1(a)参照)に設けられている車体側取付け部が嵌め込まれる。車体側取付け部が取付け部15の貫通溝に嵌め込まれると、第1リップ部15aが、車体側取付け部に押しのけられて曲がり車体側取付け部の両側面に圧接することで、取付け部15をドア開口部3の車体側取付け部に取り付けることができる。
【0026】
筒状の前記嵌合部13aは、テーパ部16を貫通し、内部が空洞のシール部14に、全長の約半分程度が嵌合されている。また、筒状の前記嵌合部13aは、シール部14から抜けるのを防止するために、シール部14にピン21で固定されている。
【0027】
図4(a)に、ウェザーストリップ5を連結部11(図1参照)において分断して紐状にした際の他端側(後組付け側)を表側から見た斜視図を示し、図4(b)に、裏側から見た斜視図を示す。ウェザーストリップ5の後組付け側には、連結部(後組付け側)11bが設けられている。連結部(後組付け側)11bは、鉤形状の内周面を有する係合部(メス鉤部)12bと、環形状の嵌合部13bとを有している。また、連結部(後組付け側)11bには、シール部14と取付け部15の外縁部から延在するように第2リップ部22が設けられている。第2リップ部22は、シール部14と取付け部15から離れるほど薄くなっている。この薄層化の程度は、前記テーパ部17(図2(a)参照)の傾斜の程度にほぼ一致し、後記するがテーパ部17に第2リップ部22が重なることにより生じるウェザーストリップ5の外形を滑らかにできる。また、連結部(後組付け側)11bには、取付け部15から延在する第1凸部18と、シール部14から延在する第2凸部19と第3凸部20が設けられている。係合部(メス鉤部)12bには、取付け部15から延在する貫通溝が設けられている。
【0028】
図5(a)に、ウェザーストリップ5の後組付け側の側面図と対応する断面図の合成図を示し、図5(b)に、ウェザーストリップ5の後組付け側の底面図と対応する断面図の合成図を示している。係合部(メス鉤部)12bの貫通溝と、取付け部15の貫通溝とには、ドア開口部3(図1(a)参照)に設けられている車体側取付け部が嵌め込まれる。
【0029】
図5(b)に示すように、係合部(メス鉤部)12bの貫通溝の幅は、取付け部15の貫通溝の幅より狭くなっている。この幅の差による段差によって、係合部(メス鉤部)12bの鉤形状を構成している。
【0030】
図5(c)に、図5(b)のC−C方向の矢視断面図を示している。図5(c)に示すように、第2リップ部22は、係合部(メス鉤部)12bの貫通溝の開口していない側に設けられている。逆に、係合部(メス鉤部)12bの貫通溝の開口している側は、ドア開口部3(図1(a)参照)に取り付けられた際に、ドア開口部3で隠れて目視することができない。第2リップ部22は、係合部(メス鉤部)12bがドア開口部3に取り付けられた際に、ドア開口部3で隠れずに露出して目視することができる範囲に設けられている。
【0031】
図6に、ウェザーストリップ5の先組付け側と後組付け側とを連結した状態の連結部11周辺の正面図を示す。連結された状態では、先組付け側の表示部17が、後組付け側の第2リップ部22によってカバーされ、視認できなくなっている。作業者は、表示部17が視認できなくなっていることをもって、前記連結部11が、確実に連結していると判定することができる。逆に、作業者は、表示部17が第2リップ部22に隠れずに露出して視認できることをもって、前記連結部11が、確実には連結していないと判定することができる。このように、作業者は、表示部17を視認するだけで、前記連結部11が、確実に連結しているか否かの判定を容易にすることができる。このように、表示部17と第2リップ部22との位置関係によって、組付け不備を見分けることができ、シール性能と品質の管理ができる。なお、表示部17は、第2リップ部22やテーパ部16と識別可能なように異なる色に着色しておく。
【0032】
また、筒状の前記嵌合部13aは、環形状の嵌合部13bを貫通し、内部が空洞のシール部14に、全長の約半分程度が嵌合されている。
【0033】
図7に、ウェザーストリップ5の先組付け側と後組付け側とを連結した状態の連結部11周辺の底面図を示す。前記係合部(オス鉤部)12aに形成された凹段差12cに、前記係合部(メス鉤部)12bに形成された凸段差12dが嵌って係合し、先組付け側と後組付け側のシール部14が離れたり、必要以上に重なったりしないようになっている。このような、係合部(オス鉤部)12aと係合部(メス鉤部)12bからなる係合部12による係合であれば、型成形による融着や、接着剤による接着を用いることなく係合させることができる。
【0034】
図8に、図7のD−D方向の矢視断面図を示す。ウェザーストリップ5の先組付け側の連結部11aと後組付け側の連結部11b(図7参照)の間には、シール部14(図7参照)に対応する位置の外周側には第2リップ部22が配置され、内周側には筒状の嵌合部13aが配置されているので、連結部11においても良好なシール性を奏することができる。
【0035】
図9(a)に、ウェザーストリップ5がドア開口部3に組付けられリアハッチ4が開いている状態での連結部以外のウェザーストリップ5における断面図を示し、図9(b)に、リアハッチ4を閉じた状態での断面図を示す。前記取付け部15の貫通溝には、ドア開口部3に設けられている車体側取付け部3aが嵌め込まれている。車体側取付け部3aが取付け部15の貫通溝に嵌め込まれると、第1リップ部15aが、車体側取付け部3aに押し曲げられて車体側取付け部3aの両側面に圧接する。この圧接により取付け部15をドア開口部3の車体側取付け部3aに取り付けることができる。そして、第1凸部18と第3凸部20とが、ドア開口部3に弾接し、ウェザーストリップ5とドア開口部3との間からの雨風の浸入を防ぎ、リアハッチ4が閉められると車室内を気密に保っている。
【0036】
また、図9(b)に示すように、リアハッチ4が閉められると、シール部14がリアハッチ4に沿ってつぶれてリアハッチ4に弾接し、車室内を気密に保ち、雨風の浸入を防いでいる。なお、第2凸部19によれば、車室内外の気圧差によるシール部14の引き込まれを防止でき、高い気密性を確保できる。
【0037】
図10(a)に、ウェザーストリップ5の連結部11がドア開口部3に組付けられリアハッチ4が開いている状態での連結部11におけるにおける断面図を示し、図10(b)に、リアハッチ4を閉じた状態での断面図を示す。前記係合部12(12a)の貫通溝には、車体側取付け部3aが嵌め込まれている。車体側取付け部3aが前記係合部12(12a)の貫通溝に嵌め込まれると、同時に前後の取付け部15が車体側取付け部3aに取り付けられるので、第1凸部18と第3凸部20とが、ドア開口部3に弾接し、ウェザーストリップ5とドア開口部3との間からの雨風の浸入を防ぎ、リアハッチ4が閉められると車室内を気密に保つことができる。
【0038】
また、図10(b)に示すように、リアハッチ4が閉められると、嵌合部13(13a、13b)と第2リップ部22がリアハッチ4に沿ってつぶれてリアハッチ4に弾接し、車室内を気密に保ち、雨風の浸入を防ぐことができる。
【0039】
次に、本発明の実施形態に係るウェザーストリップ5の取付け方法について説明する。まず、図11(a)に示すように、ウェザーストリップ5の先組付け側をドア開口部3に組付ける。
【0040】
次に、図11(b)に示すように、ウェザーストリップ5の先組付け側に対して後組付け側をねじり回転させた状態のまま、互いの嵌合部13a、13bを嵌め合わせる。
【0041】
そして、表示部17が第2リップ部22で隠れるまで嵌合部13a、13bを嵌め合わせ、最後に、この嵌合された前記嵌合部13a、13bをガイドとして、ねじりを戻すように回転させて、図11(c)に示すように、ウェザーストリップ5の先組付け側と後組付け側を連結させる。この回転により、係合部12aと係合部12b(図7参照)とが係合される。
【0042】
なお、筒形状の前記嵌合部13aのウェザーストリップ5の延在方向に垂直な平面で切断した断面形状の外周形状は、図3に示すように略円形状に形成されているので、前記回転が可能になっている。
【0043】
係合した際の回転の方向とは反対の方向にねじって回転させることにより、係合を解くことができる。係合が解ければ、嵌合部13aをウェザーストリップ5の後組付け側から引き抜きながら、ウェザーストリップ5の先組付け側と後組付け側との連結を解くことができる。前記のような簡単な工程で、ウェザーストリップ5の両端部を連結したり、その連結を解いたりすることができる。そして、この連結には、型成形や接着の方法を用いていない。
【0044】
また、筒形状の前記嵌合部13aは、前記係合部12(12a、12b)より柔らかい材料で構成されている。前記嵌合部13aを前記係合部12(12a、12b)より柔らかい材料にすることにより、前記嵌合部13aでの嵌め込み作業での嵌め込みの方向に幅を持たせることができるので容易に嵌め込み作業を行うことができる。前記係合部12(12a、12b)を前記嵌合部13aより硬い材料にすることにより、前記係合部12(12a、12b)における係合を堅牢かつ確実にできるので、連結の作業性を向上させることができる。さらに、前記嵌合部13aを前記係合部12(12a、12b)より柔らかい材料にすることにより前記嵌合部13aによるウェザーストリップ5の両端部間のシール性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップを装着した車体の斜視図であり、(b)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの車体に装着した状態での正面図である。
【図2】(a)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの先組付け側を表側から見た斜視図であり、(b)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの先組付け側を裏側から見た斜視図である。
【図3】(a)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの先組付け側の側面図と対応する断面図の合成図であり、(b)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの先組付け側の底面図と対応する断面図の合成図であり、(c)は(b)のA−A方向の矢視断面図であり、(d)は(b)のB−B方向の矢視断面図である。
【図4】(a)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの後組付け側を表側から見た斜視図であり、(b)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの後組付け側を裏側から見た斜視図である。
【図5】(a)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの後組付け側の側面図と対応する断面図の合成図であり、(b)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの後組付け側の底面図と対応する断面図の合成図であり、(c)は(b)のC−C方向の矢視断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るウェザーストリップの先組付け側と後組付け側とを連結した状態の連結部周辺の正面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るウェザーストリップの先組付け側と後組付け側とを連結した状態の連結部周辺の底面図である。
【図8】図7のD−D方向の矢視断面図である。
【図9】(a)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップをドア開口部に組付けた状態における断面図であり、(b)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの後部ドアを閉じた状態における断面図である。
【図10】(a)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの連結部をドア開口部に組付けた状態における断面図であり、(b)は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの連結部の後部ドアを閉じた状態における断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係るウェザーストリップの取付け方法を説明するための連結部付近の正面図であり、(a)はウェザーストリップの先組付け側をドア開口部に組付けた状態を示し、(b)はウェザーストリップの先組付け側に対して後組付け側を回転させた状態のまま互いの嵌合部を嵌め合わせた状態を示し、(c)はウェザーストリップの先組付け側と後組付け側とが連結されてドア開口部に組付けた状態を示している。
【符号の説明】
【0046】
1 車体
2 ボディ
3 ドア開口部
3a 車体側取付け部
4 リアハッチ(後部ドア)
5 ウェザーストリップ
11 連結部
11a 連結部(先組付け(一端)側)
11b 連結部(後組付け(他端)側)
12 係合部
12a 係合部(オス鉤部)
12b 係合部(メス鉤部)
13 嵌合部
14 シール部
15 取付け部
15a 第1リップ部
16 テーパ部
17 表示部
18 第1凸部
19 第2凸部
20 第3凸部
21 ピン
22 第2リップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のドア開口部又はドアに設けられるウェザーストリップであって、
前記ウェザーストリップの長手方向に沿って設けられ、前記ドア開口部又はドアに取付けられる取付け部と、
前記ウェザーストリップの延在方向の両端部に設けられ互いを連結可能な連結部とを有し、
前記連結部は、前記取付け部の一端が他端に着脱可能に係合する係合部を備えていることを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項2】
前記ドア開口部と前記ドアとの間をシールするシール部を有し、
前記連結部は、前記シール部の一端が他端に前記延在方向に嵌合する嵌合部を有していることを特徴とする請求項1記載のウェザーストリップ。
【請求項3】
前記嵌合部の前記延在方向に垂直な平面で切断した断面形状は、略円形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のウェザーストリップ。
【請求項4】
前記嵌合部は、前記係合部より柔らかい材料で構成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のウェザーストリップ。
【請求項5】
前記連結部は、前記取付け部の一端が他端に係合していない状態では露出して視認でき、前記取付け部の一端が他端に係合している状態ではカバーされ視認できない表示部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のウェザーストリップ。
【請求項6】
長手方向に沿って設けられ車体のドア開口部又はドアに取付けられる取付け部と、延在方向の両端部に設けられ互いを連結可能な連結部とを有し、前記連結部は、前記取付け部の一端が他端に着脱可能に係合する係合部を備え、
前記取付け部の前記一端を前記ドア開口部又はドアに取付けた後に、前記他端を前記ドア開口部又はドアに取付け、前記取付け部の一端を他端に係合することを特徴とするウェザーストリップの取付け方法。
【請求項7】
前記ドア開口部と前記ドアとの間をシールするシール部を有し、
前記連結部は、前記シール部の一端が他端に前記延在方向に嵌合する嵌合部を有し、
前記シール部の一端を他端に嵌合した後に、前記取付け部の一端を他端に係合することを特徴とする請求項6に記載のウェザーストリップの取付け方法。
【請求項8】
前記嵌合部の前記延在方向に垂直な平面で切断した断面形状は略円形状に形成され、
前記取付け部の一端に対して他端を前記嵌合部まわりに回転させて、前記取付け部の一端を他端に係合させることを特徴とする請求項7に記載のウェザーストリップの取付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−190598(P2009−190598A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34181(P2008−34181)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】