ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置および複合加工方法
【課題】 精度よくウォータジェット加工を行うことにより複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができるウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置および複合加工方法を提供する。
【解決手段】 ジェットノズル2の移動速度とワークWのカット幅との相関関係に基づいてジェットノズル2の移動速度の変化に対応するワークWのカット幅を演算するワークカット幅演算手段234と、ワークカット幅演算手段234により演算されたワークWのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズル2を移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段237と、ウォータジェット加工実行手段237によりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段238と、を有する。
【解決手段】 ジェットノズル2の移動速度とワークWのカット幅との相関関係に基づいてジェットノズル2の移動速度の変化に対応するワークWのカット幅を演算するワークカット幅演算手段234と、ワークカット幅演算手段234により演算されたワークWのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズル2を移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段237と、ウォータジェット加工実行手段237によりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段238と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置および複合加工方法に関し、特にウォータジェット加工をワークのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズルを移動させて行う複合加工装置および複合加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超硬合金のような導電性の難切削材を複雑な任意の形状に切断加工することができる加工方法の1つとして、ワイヤカット放電加工がある。ワイヤカット放電加工は、放電エネルギを利用し非接触でワークを加工するので、ワークの材料が導電性であるならば、難切削材であっても加工形状精度が数μm以下で面粗度が数μmRz以下の極めて高精度な加工が可能である。なお、以下、加工形状精度と面粗度を合わせて加工精度という。
【0003】
一方、研磨材粒や砥粒を混入させた高圧水をジェットノズルから噴射させてワークを切断するアブレーシブウォータジェット加工が知られている。ウォータジェット加工では、単位時間当たりのカット量に換算して、ワイヤカット放電加工の10倍近い加工速度でワークを切断することが可能になってきている。しかしながら、ウォータジェット加工のように流体を工具のようにして使用する加工方法は、流体の特性上、ワイヤカット放電加工に比べて加工精度をよくすることが困難である。
【0004】
そこで、ウォータジェット加工の高速加工性能とワイヤカット放電加工の高精度加工性能を生かすべく、特許文献1に示すようなウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合させて高速かつ高精度にワークの加工を行う複合加工装置が考えられている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−110697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の複合加工におけるウォータジェット加工は、ジェットノズルの移動経路をワークの切断経路に対して所定量オフセットした位置に設定して行っており、このオフセット量は予めテスト加工等により得られるジェットノズルによるワーク上面側(ワーク上面側とは高圧水が噴射される側のワーク表面をいう)のカット幅に基づいて設定され、ワーク上面側のカット幅は常時一定と見做して切断加工を行っていた。
【0007】
しかしながら、例えば切断形状にコーナー部を有し切断方向を変更しながらウォータジェット加工を行う場合には、コーナー付近でジェットノズルを一旦停止させた後、ジェットノズルの移動速度を徐々に上げながら所定時間後に目標移動速度に到達させ、次のコーナー付近で再び停止させるべく移動速度を徐々に下げる等、ジェットノズルの移動速度は変更して設定されることがあり、かかる場合にはジェットノズルの移動速度の変化に対応してワーク上面側のカット幅も僅かながら変化する。
【0008】
したがって、上述の如くワーク上面側のカット幅を一定と見做してオフセット量を設定しウォータジェット加工を行うと実際の切断形状が所期の切断形状に対してずれてしまいウォータジェット加工における加工精度が低下することがあり、このような加工精度の低下はワイヤカット放電加工との複合加工では深刻な問題を引き起こす。
【0009】
つまり、上述の如くワーク上面側のカット幅を一定と見做しつつも該カット幅が変化する場合には、取り過ぎとなる部分が生ずる可能性があるのでウォータジェット加工を所定に取り残しが生ずるように行わざるを得ず、その結果相対的に加工速度の遅いワイヤカット放電加工の加工代が多くなり、結局複合加工全体の加工時間が期待する程に短縮されないという状況に陥ってしまう。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、精度よくウォータジェット加工を行うことにより複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができるウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置および複合加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置に係る請求項1の発明は、ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度とジェットノズルによるワークのカット幅との相関関係に基づいてジェットノズルの移動速度の変化に対応するワークのカット幅を演算するワークカット幅演算手段と、ワークカット幅演算手段により演算されたワークのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段と、ウォータジェット加工実行手段によりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、上記各手段を有することとしたので、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅が演算され、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【0013】
ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置に係る請求項2の発明は、ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度をワークの切断経路に対応するように設定するノズル移動速度設定手段と、ジェットノズルの移動速度とジェットノズルによるワークのカット幅との相関関係に基づいて、ノズル移動速度設定手段により設定されたジェットノズルの移動速度が変化するときに該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算するワークカット幅演算手段と、ワークカット幅演算手段により演算されたワークのカット幅に基づいてワークの切断経路に対するジェットノズルのオフセット量を設定するオフセット量設定手段と、オフセット量設定手段により設定されたジェットノズルのオフセット量に基づく移動経路上をノズル移動速度設定手段により設定された移動速度でジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段と、ウォータジェット加工実行手段によりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、上記各手段を有することとしたので、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算しつつジェットノズルのオフセット量が設定され、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【0015】
ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工方法に係る請求項3の発明は、ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度とジェットノズルによるワークのカット幅との相関関係に基づいてジェットノズルの移動速度の変化に対応するワークのカット幅を演算するステップと、ワークのカット幅を演算するステップにより演算されたワークのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うステップと、ウォータジェット加工を行うステップによりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、上記各ステップを含むこととしたので、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅が演算され、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【0017】
ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工方法に係る請求項4の発明は、ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度をワークの切断経路に対応するように設定するステップと、ジェットノズルの移動速度とジェットノズルによるワークのカット幅との相関関係に基づいて、ジェットノズルの移動速度を設定するステップにより設定されたジェットノズルの移動速度が変化するときに該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算するステップと、ワークのカット幅を演算するステップにより演算されたワークのカット幅に基づいてワークの切断経路に対するジェットノズルのオフセット量を設定するステップと、オフセット量を設定するステップにより設定されたジェットノズルのオフセット量に基づく移動経路上をジェットノズルの移動速度を設定するステップにより設定された移動速度でジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うステップと、ウォータジェット加工を行うステップによりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、上記各ステップを含むこととしたので、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算しつつジェットノズルのオフセット量が設定され、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、精度よくウォータジェット加工を行うことにより複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る複合加工装置の全体構成を示す斜視図、図2は各種機構および系統の概略を示す図である。
【0021】
これらの図を参照して複合加工装置の概要を説明すると、複合加工装置1は、ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工による複合加工を行うべく、研磨材粒を含む高圧水をワークWに向けて噴射する略円筒形状のジェットノズル2と、ワークWを挟んで設けられワイヤ電極Eを張架する上下ガイドアッセンブリ3,4と、加工槽5に収容されワークWを載置するワークスタンド6と、ジェットノズル2の移動機構7(以下、ノズル移動機構7とする)と、上下ガイドアッセンブリ3,4の移動機構8(以下、ガイド移動機構8とする)と、加工槽5に加工液を供給する加工液供給系統9と、研磨材粒を含む高圧水をジェットノズル2を介してワークWに噴射する高圧水噴射系統10と、ワイヤ電極EとワークWとの間に形成される間隙に電圧を印加して放電を発生させる加工電源系統11と、を有しており、ジェットノズル2を所定の移動経路上を所定の移動速度で移動させてウォータジェット加工によるワークWの切断加工を行った後、切断されたワークWをワークスタンド6に取り付けたままの状態でワイヤカット放電加工による仕上げ加工を行うべく構成されている。
【0022】
すなわち、複合加工におけるウォータジェット加工は、例えば図3に示すように、平板状に形成されたワークWの外側部分を製品とすべく中央部分を矩形状に切断して切り落とし最終加工形状W´を得る場合、最終加工形状W´を得るワークWの切断経路W1乃至W4に対し所定量Xだけオフセットした位置をジェットノズル2の移動経路P1乃至P4としてジェットノズル2の円筒中心軸Oが移動経路P1乃至P4上を通過するように行う。
【0023】
そして、図4(a)に示すように、例えば切断経路W1の切断方向R1→R2におけるジェットノズル2の移動速度Vは、ジェットノズル2の移動開始位置P1startでは切断方向が切断経路W4におけるR4→R1から切断経路W1におけるR1→R2に変更されるのでジェットノズル2を一旦停止させるべく0となり、次いで加速区間W1Aにおいて所定の速度増加率をもって目標移動速度「H」まで増加し、続いて定速区間W1Bにおいて目標移動速度「H」で一定に推移した後、減速区間W1Cにおいて所定の速度減少率をもって減少し、切断方向が切断経路W1におけるR1→R2から切断経路W2におけるR2→R3に変更されるジェットノズル2の移動終了位置P1stopで再びジェットノズル2を停止させるべく0となる等、コーナー部を有し切断方向を変更しながらウォータジェット加工を行うような場合には適宜変化するように設定される(以下、このようにワークWの切断経路に対応するように設定されたジェットノズル2の移動速度Vをノズル設定移動速度Vsetとする)。
【0024】
ここで、ワークWの切断経路W1乃至W4に対するジェットノズル2のオフセット量Xは予めテスト加工により得られるウォータジェット加工におけるジェットノズル2によるワーク上面側(ワーク上面側とは高圧水が噴射される側のワーク表面をいう)のカット幅Yに基づいて設定されるが、このワーク上面側のカット幅Yは、図4(b)に示すように、高圧水の流動特性等から一般にジェットノズル2の移動速度Vに応じて僅かに変化する。
【0025】
そこで、本実施形態にあっては、ジェットノズル2の移動速度Vを種々変化させたときのワーク上面側のカット幅Yの変化データを得て該カット幅Yとジェットノズル2の移動速度Vとの相関関係を示すデータベースを予め生成しておき、該データベースに基づいて、図5に示すように、ノズル設定移動速度Vsetの変化に対応するワーク上面側のカット幅Yのデータを得る(以下、このようにして得られたノズル設定移動速度Vsetに対応するワーク上面側のカット幅YをYsetとする)。
【0026】
そして得られたワーク上面側のカット幅Ysetに基づいて、更にワイヤカット放電加工における加工部分ΔWも考慮してノズル設定移動速度Vsetの変化に対応するジェットノズル2のオフセット量Xを数1の如く設定することとしている。
[数1]
X=ΔW+Yset/2
【0027】
なお、図4(b)に示すように、ウォータジェット加工においては高圧水の流動特性等から単にウォータジェット加工を行うとワークWの切断面が傾斜するので、この切断面の傾斜が是正されるようにジェットノズル2の傾斜角度が所要に設定される。
【0028】
このようにウォータジェット加工が行われた後は、ワイヤカット放電加工が行なわれる。このワイヤカット放電加工は、所期の加工精度で加工部分ΔWが加工されるように図6に示す如く電気加工条件を所定に設定しつつ行われる。ウォータジェット加工終了時において切断面の加工精度が所望に得られる場合は、ワイヤカット放電加工の加工部分ΔWが少なくなり、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。なお、図6に示すように、電気加工条件はON時間、OFF時間、ピーク電流値、サーボ基準電圧値、ワイヤ電極Eの移動速度等を含む。
【0029】
複合加工装置1には、NC制御装置20が併設されている。図7に示すように、このNC制御装置20はウォータジェット加工においてノズル設定移動速度Vsetの変化に対応してワークWのカット幅Ysetを演算しつつワークWの切断加工が行われるように構成されており、入力部21、記憶部22、処理部23、および表示部24からなる。
【0030】
入力部21は、例えば、キーボード、マウス、或いはタッチパネル等で構成されており、複合加工の実行に必要な各種情報を入力する機能を有している。なお、各種情報の入力は、CRTディスプレーや液晶ディスプレー等で構成される表示部24において、数値情報や図形情報等の形態で表示させながら行うことができる。
【0031】
記憶部22は、例えば、ハードディスク、CD−ROM等で構成されており、複合加工の実行に必要な各種データを記憶する機能を有している。この記憶部22に記憶されているデータには、ジェットノズル2の移動速度Vとワーク上面側のカット幅Yとの相関関係を示す上述したワーク上面側カット幅データベースがある。
【0032】
ワーク上面側カット幅データベースは、ワークWの材質、ジェットノズル2の高さ位置、高圧水の噴射圧力、研磨材粒の種類等のカット幅に影響を与える因子を所要に変化させてジェットノズル2とワーク上面側のカット幅Yとの相関関係を示すデータを得て生成され記憶部22に記憶される。
【0033】
更に記憶部22に記憶されているデータには、加速区間の距離(加速区間におけるワークWの切断長さ)をパラメータとした該加速区間における速度増加設定カーブおよび減速区間の距離(減速区間におけるワークWの切断長さ)をパラメータとした該減速区間における速度減少設定カーブがあり、図8に示すように、オペレータが速度増加率および速度減少率を所望に選択可能なように各設定カーブは複数記憶されている。
【0034】
これら各設定カーブにより、加速区間W1Aの距離およびジェットノズル2の移動速度が0からHに増加するまでの該移動速度の変化カーブ、減速区間W1Cの距離およびジェットノズル2の移動速度がHから0に減少するまでの該移動速度の変化カーブが設定される。
【0035】
処理部23は入力部21から入力された各種情報および記憶部22に記憶されている各種データに基づいて複合加工の実行に必要な処理を行う機能を有している。
【0036】
すなわち、処理部23は、切断開始位置や切断終了位置等のワークWの切断データに基づいて各切断方向ごとにワークWの切断経路を設定する切断経路設定手段231、加速区間における速度増加設定カーブおよび減速区間における速度減少設定カーブ等に基づきワークWの切断経路に対応するようにノズル設定移動速度Vsetの変化カーブを設定するノズル移動速度設定手段232、ノズル設定移動速度Vsetの変化カーブをワークWの微小切断経路長さをもって複数の区間nに分割し該分割した区間ごとに分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnを演算するノズル設定移動速度分割演算手段233、ワーク上面側カット幅データベースに基づいて分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnに対応するワーク上面側のカット幅Yset1,・・・,Ysetnを演算しつつワーク上面側のカット幅Ysetの変化カーブを設定するワーク上面側カット幅演算手段234、ワーク上面側のカット幅Ysetおよびワイヤカット放電加工の加工代ΔWに基づいて数1により移動経路Pのオフセット量Xを設定するオフセット量設定手段235、オフセット量XおよびワークWの切断経路に基づいてジェットノズル2の移動経路Pを設定するノズル移動経路設定手段236、ノズル移動機構7および高圧水噴射系統10に対し所定の制御信号を出力して移動経路P上をノズル設定移動速度Vsetでジェットノズル2を高圧水を噴射させつつ移動させワークWのウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段237、ウォータジェット加工が行われた後に、ガイド移動機構8、加工液供給系統9、および加工電源系統11に対し所定の制御信号を出力して所定の電気加工条件のもとでワークWの放電加工を実行するワイヤカット放電加工実行手段238の各手段を含んでいる。
【0037】
次に、図3の加工を例にNC制御装置20による複合加工方法の詳細を図9のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下においては切断経路W1を切断方向R1→R2で切断する場合の複合加工方法について説明するものとし、その他の切断経路W2、W3、W4の複合加工方法についてはW1と同様の複合加工が行われるものとしてその説明を省略する。
【0038】
まず、ステップS1において、オペレータ等が切断開始位置の座標情報R1(R1X,R1Y)、切断終了位置の座標情報R2(R2X,R2Y)、および切断経路の形状情報「直線」等のワークWの切断データ、ジェットノズル2の加速区間W1Aにおける速度増加設定カーブの選択情報、定速区間W1Bにおける目標移動速度「H」、減速区間W1Cにおける速度減少設定カーブの選択情報、ノズル移動開始位置P1startにおける速度「V1start(=0)」、ノズル移動終了位置P1stopにおける速度「V1stop(=0)」、オフセット方向情報「切断経路W1に対し内側に向かって直交する方向」、分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnを演算する際の分割区間数「n」、ワイヤカット放電加工における加工代「ΔW」、電気加工条件、およびウォータジェット加工におけるカット幅に影響を与える因子等を入力部21から入力する。
【0039】
続いて、ステップS2において、切断経路設定手段231がステップS1で入力された切断開始位置の座標情報R1(R1X,R1Y)、切断終了位置の座標情報R2(R2X,R2Y)、および切断経路形状「直線」に基づいてワークWの切断経路W1を設定する。
【0040】
次いで、ステップS3において、ノズル移動速度設定手段232がノズル設定移動速度Vsetの変化カーブを設定する。
より詳しくは、ノズル移動速度設定手段232がまずステップS1で入力されたノズル移動開始位置P1startにおける速度「V1start(=0)」、ノズル移動終了位置P1stopにおける速度「V1stop(=0)」、およびワーク上面側カット幅データベースに基づいて各位置におけるワーク上面側のカット幅Yを演算する。
【0041】
そして、該カット幅Yと同じくステップS1で入力されたワイヤカット放電加工の加工代ΔWから数1に基づいてジェットノズル2のオフセット量すなわちワークWの切断経路から各位置までの距離(図4のW1A´,W1A´´,W1C´,W1C´´)を演算する。これにより切断開始位置R1や切断終了位置R2を基点としたノズル移動開始位置P1startおよびノズル移動終了位置P1stopが定まる。
【0042】
続いて、ノズル移動速度設定手段232がステップS1で入力された設定カーブの選択情報に基づいて加速区間W1Aにおける速度増加設定カーブを記憶部22から読み出し該設定カーブにより加速区間W1Aの距離およびノズル移動速度が0からHまで増加するときの該移動速度の変化カーブを得るとともに、同様に減速区間W1Cにおける速度減少設定カーブを記憶部22から読み出し該設定カーブにより減速区間W1Cの距離およびノズル移動速度がHから0まで減少するときの該移動速度の変化カーブを得る。
【0043】
これらノズル移動開始位置P1start、ノズル移動終了位置P1stop、区間W1Aの距離、および区間W1Cの距離により定速区間W1Bの開始位置と終了位置も定まるので、図4に示すようにノズル移動開始位置P1startからノズル移動終了位置P1stopにおけるワークWの切断経路に対応するノズル設定移動速度Vsetの変化カーブが設定される。
【0044】
続いて、ステップS4において、図10に示すように、ノズル設定移動速度分割演算手段233が、ステップS1で入力された分割区間数「n」に基づいてステップS3で設定されたノズル設定移動速度Vsetの変化カーブを分割し該分割した区間ごとに分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnを演算する。
【0045】
次いで、ステップS5において、ワーク上面側カット幅演算手段234がステップS1で入力されたカット幅に影響を与える因子と、ワーク上面側カット幅データベースと、ステップS3で演算した分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnと、に基づいて分割した区間「1,・・・,n」ごとにワーク上面側のカット幅Yset1,・・・,Ysetnを演算する。そして、各演算データ間を適宜補間してノズル設定移動速度Vsetに対応するワーク上面側のカット幅Ysetの変化カーブを図11の如く設定する。
【0046】
続いて、ステップS6において、オフセット量設定手段235がステップS1で入力されたワイヤカット放電加工の加工代「ΔW」およびステップS5で演算されたワーク上面側のカット幅Ysetに基づいて数1によりオフセット量Xを設定する。
【0047】
そして、ステップS7において、ノズル移動経路設定手段236がステップS1で入力されたオフセット方向情報「切断経路W1に対し内側に向かって直交する方向」、ステップS2で設定されたワークWの切断経路W1、およびステップS6で設定されたオフセット量X等に基づいて図3(図4(a))の如くジェットノズル2の移動経路P1を設定する。
【0048】
次いで、ステップS8において、ウォータジェット加工実行手段237が高圧水噴射系統10およびノズル移動機構7に対し所定の制御信号を出力して図3(図4(a))の如く設定された移動経路P1上を図4(a)に示すノズル設定移動速度Vsetで所定の傾斜角度のもと高圧水を噴射させつつジェットノズル2を移動させてウォータジェット加工を行う。
【0049】
続いて、ステップS9において、ウォータジェット加工の終了後に、ワークWをワークスタンド6に取り付けたままの状態でワイヤカット放電加工を行う。
すなわち、まずジェットノズル2を所定の退避位置(例えば、複合加工装置の正面左側)に退避させた後、ワイヤカット放電加工実行手段238が所定の制御信号を出力して加工液供給系統9により加工槽5に加工液を供給しつつガイド移動機構8により上下ガイドアッセンブリ3,4を所定の加工開始位置に位置決めし更にワイヤ電極Eを上下ガイドアッセンブリ3,4に結線した状態とする。
【0050】
そして、ワイヤカット放電加工実行手段238がステップS1で入力した電気加工条件により放電加工が行なわれるようにガイド移動機構8および加工電源系統11に対し所定の制御信号を出力しワイヤ電極EとワークWとの間に形成される極間に所定の電圧を印加して放電を発生させつつワイヤ電極EをワークWの切断経路に沿って移動させ、加工部分ΔWのワイヤカット放電加工を行う。
【0051】
以上説明したように本発明によれば、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算しつつジェットノズルのオフセット量が設定されるので、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の応用実施または変形実施が可能であることは勿論である。例えば、上述の実施形態ではノズル設定移動速度Vsetに対応するワーク上面側のカット幅Ysetをデータベースに基づいて演算することとしているが、ワーク上面側のカット幅Yとジェットノズル2の移動速度Vとの相関関係を示す演算式を予め得ておき、該演算式により演算することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置におけるウォータジェット加工を、ワークのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズルを移動させて行う場合に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る複合加工装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】複合加工装置の各種系統等の概略を示す系統図である。
【図3】ワークの複合加工方法を説明するための平面図である。
【図4】ジェットノズルの移動速度の変化(図4(a))および該変化に基づくワーク上面側のカット幅の変化(図4(b))を説明するための図である。
【図5】ノズル設定移動速度に対応して設定されたワーク上面側のカット幅の変化カーブを説明するための図である。
【図6】ワイヤカット放電加工の電気加工条件を説明するための図である。
【図7】複合加工装置に併設されたNC制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】速度増加設定カーブ(図8(a))および速度減少設定カーブ(図8(b))を説明するための図である。
【図9】NC制御装置による複合加工方法を説明するためのフローチャートである。
【図10】分割ノズル設定移動速度を説明するための図である。
【図11】ノズル設定移動速度に対応するワーク上面側のカット幅データの設定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
E:ワイヤ電極
H:目標移動速
M:ジェットノズルの移動距離
n:演算分割数
O:ジェットノズルの円筒中心軸
P:ジェットノズルの移動経路
R:切断方向変更位置
V:ジェットノズルの移動速度
Vset:ノズル設定移動速度
W:ワーク
W´:最終加工形状
ΔW:ワイヤカット放電加工における加工代(加工部分)
X:オフセット量
Y:ワーク上面側のカット幅
Yset:ノズル設定移動速度に対応するワーク上面側のカット幅
1:複合加工装置
2:ジェットノズル
3:上ガイドアッセンブリ
4:下ガイドアッセンブリ
5:加工槽
6:ワークスタンド
7:ノズル移動機構
8:ガイド移動機構
9:加工液供給系統
10:高圧水噴射系統
11:加工電源系統
20:NC制御装置
21:入力部
22:記憶部
23:処理部
24:表示部
231:切断経路設定手段
232:ノズル移動速度設定手段
233:ノズル設定移動速度分割演算手段
234:ワーク上面側カット幅演算手段
235:オフセット量設定手段
236:ノズル移動経路演算手段
237:ウォータジェット加工実行手段
238:ワイヤカット放電加工実行手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置および複合加工方法に関し、特にウォータジェット加工をワークのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズルを移動させて行う複合加工装置および複合加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超硬合金のような導電性の難切削材を複雑な任意の形状に切断加工することができる加工方法の1つとして、ワイヤカット放電加工がある。ワイヤカット放電加工は、放電エネルギを利用し非接触でワークを加工するので、ワークの材料が導電性であるならば、難切削材であっても加工形状精度が数μm以下で面粗度が数μmRz以下の極めて高精度な加工が可能である。なお、以下、加工形状精度と面粗度を合わせて加工精度という。
【0003】
一方、研磨材粒や砥粒を混入させた高圧水をジェットノズルから噴射させてワークを切断するアブレーシブウォータジェット加工が知られている。ウォータジェット加工では、単位時間当たりのカット量に換算して、ワイヤカット放電加工の10倍近い加工速度でワークを切断することが可能になってきている。しかしながら、ウォータジェット加工のように流体を工具のようにして使用する加工方法は、流体の特性上、ワイヤカット放電加工に比べて加工精度をよくすることが困難である。
【0004】
そこで、ウォータジェット加工の高速加工性能とワイヤカット放電加工の高精度加工性能を生かすべく、特許文献1に示すようなウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合させて高速かつ高精度にワークの加工を行う複合加工装置が考えられている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−110697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の複合加工におけるウォータジェット加工は、ジェットノズルの移動経路をワークの切断経路に対して所定量オフセットした位置に設定して行っており、このオフセット量は予めテスト加工等により得られるジェットノズルによるワーク上面側(ワーク上面側とは高圧水が噴射される側のワーク表面をいう)のカット幅に基づいて設定され、ワーク上面側のカット幅は常時一定と見做して切断加工を行っていた。
【0007】
しかしながら、例えば切断形状にコーナー部を有し切断方向を変更しながらウォータジェット加工を行う場合には、コーナー付近でジェットノズルを一旦停止させた後、ジェットノズルの移動速度を徐々に上げながら所定時間後に目標移動速度に到達させ、次のコーナー付近で再び停止させるべく移動速度を徐々に下げる等、ジェットノズルの移動速度は変更して設定されることがあり、かかる場合にはジェットノズルの移動速度の変化に対応してワーク上面側のカット幅も僅かながら変化する。
【0008】
したがって、上述の如くワーク上面側のカット幅を一定と見做してオフセット量を設定しウォータジェット加工を行うと実際の切断形状が所期の切断形状に対してずれてしまいウォータジェット加工における加工精度が低下することがあり、このような加工精度の低下はワイヤカット放電加工との複合加工では深刻な問題を引き起こす。
【0009】
つまり、上述の如くワーク上面側のカット幅を一定と見做しつつも該カット幅が変化する場合には、取り過ぎとなる部分が生ずる可能性があるのでウォータジェット加工を所定に取り残しが生ずるように行わざるを得ず、その結果相対的に加工速度の遅いワイヤカット放電加工の加工代が多くなり、結局複合加工全体の加工時間が期待する程に短縮されないという状況に陥ってしまう。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、精度よくウォータジェット加工を行うことにより複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができるウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置および複合加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置に係る請求項1の発明は、ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度とジェットノズルによるワークのカット幅との相関関係に基づいてジェットノズルの移動速度の変化に対応するワークのカット幅を演算するワークカット幅演算手段と、ワークカット幅演算手段により演算されたワークのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段と、ウォータジェット加工実行手段によりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、上記各手段を有することとしたので、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅が演算され、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【0013】
ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置に係る請求項2の発明は、ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度をワークの切断経路に対応するように設定するノズル移動速度設定手段と、ジェットノズルの移動速度とジェットノズルによるワークのカット幅との相関関係に基づいて、ノズル移動速度設定手段により設定されたジェットノズルの移動速度が変化するときに該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算するワークカット幅演算手段と、ワークカット幅演算手段により演算されたワークのカット幅に基づいてワークの切断経路に対するジェットノズルのオフセット量を設定するオフセット量設定手段と、オフセット量設定手段により設定されたジェットノズルのオフセット量に基づく移動経路上をノズル移動速度設定手段により設定された移動速度でジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段と、ウォータジェット加工実行手段によりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、上記各手段を有することとしたので、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算しつつジェットノズルのオフセット量が設定され、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【0015】
ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工方法に係る請求項3の発明は、ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度とジェットノズルによるワークのカット幅との相関関係に基づいてジェットノズルの移動速度の変化に対応するワークのカット幅を演算するステップと、ワークのカット幅を演算するステップにより演算されたワークのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うステップと、ウォータジェット加工を行うステップによりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、上記各ステップを含むこととしたので、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅が演算され、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【0017】
ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工方法に係る請求項4の発明は、ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度をワークの切断経路に対応するように設定するステップと、ジェットノズルの移動速度とジェットノズルによるワークのカット幅との相関関係に基づいて、ジェットノズルの移動速度を設定するステップにより設定されたジェットノズルの移動速度が変化するときに該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算するステップと、ワークのカット幅を演算するステップにより演算されたワークのカット幅に基づいてワークの切断経路に対するジェットノズルのオフセット量を設定するステップと、オフセット量を設定するステップにより設定されたジェットノズルのオフセット量に基づく移動経路上をジェットノズルの移動速度を設定するステップにより設定された移動速度でジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うステップと、ウォータジェット加工を行うステップによりウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、上記各ステップを含むこととしたので、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算しつつジェットノズルのオフセット量が設定され、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、精度よくウォータジェット加工を行うことにより複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る複合加工装置の全体構成を示す斜視図、図2は各種機構および系統の概略を示す図である。
【0021】
これらの図を参照して複合加工装置の概要を説明すると、複合加工装置1は、ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工による複合加工を行うべく、研磨材粒を含む高圧水をワークWに向けて噴射する略円筒形状のジェットノズル2と、ワークWを挟んで設けられワイヤ電極Eを張架する上下ガイドアッセンブリ3,4と、加工槽5に収容されワークWを載置するワークスタンド6と、ジェットノズル2の移動機構7(以下、ノズル移動機構7とする)と、上下ガイドアッセンブリ3,4の移動機構8(以下、ガイド移動機構8とする)と、加工槽5に加工液を供給する加工液供給系統9と、研磨材粒を含む高圧水をジェットノズル2を介してワークWに噴射する高圧水噴射系統10と、ワイヤ電極EとワークWとの間に形成される間隙に電圧を印加して放電を発生させる加工電源系統11と、を有しており、ジェットノズル2を所定の移動経路上を所定の移動速度で移動させてウォータジェット加工によるワークWの切断加工を行った後、切断されたワークWをワークスタンド6に取り付けたままの状態でワイヤカット放電加工による仕上げ加工を行うべく構成されている。
【0022】
すなわち、複合加工におけるウォータジェット加工は、例えば図3に示すように、平板状に形成されたワークWの外側部分を製品とすべく中央部分を矩形状に切断して切り落とし最終加工形状W´を得る場合、最終加工形状W´を得るワークWの切断経路W1乃至W4に対し所定量Xだけオフセットした位置をジェットノズル2の移動経路P1乃至P4としてジェットノズル2の円筒中心軸Oが移動経路P1乃至P4上を通過するように行う。
【0023】
そして、図4(a)に示すように、例えば切断経路W1の切断方向R1→R2におけるジェットノズル2の移動速度Vは、ジェットノズル2の移動開始位置P1startでは切断方向が切断経路W4におけるR4→R1から切断経路W1におけるR1→R2に変更されるのでジェットノズル2を一旦停止させるべく0となり、次いで加速区間W1Aにおいて所定の速度増加率をもって目標移動速度「H」まで増加し、続いて定速区間W1Bにおいて目標移動速度「H」で一定に推移した後、減速区間W1Cにおいて所定の速度減少率をもって減少し、切断方向が切断経路W1におけるR1→R2から切断経路W2におけるR2→R3に変更されるジェットノズル2の移動終了位置P1stopで再びジェットノズル2を停止させるべく0となる等、コーナー部を有し切断方向を変更しながらウォータジェット加工を行うような場合には適宜変化するように設定される(以下、このようにワークWの切断経路に対応するように設定されたジェットノズル2の移動速度Vをノズル設定移動速度Vsetとする)。
【0024】
ここで、ワークWの切断経路W1乃至W4に対するジェットノズル2のオフセット量Xは予めテスト加工により得られるウォータジェット加工におけるジェットノズル2によるワーク上面側(ワーク上面側とは高圧水が噴射される側のワーク表面をいう)のカット幅Yに基づいて設定されるが、このワーク上面側のカット幅Yは、図4(b)に示すように、高圧水の流動特性等から一般にジェットノズル2の移動速度Vに応じて僅かに変化する。
【0025】
そこで、本実施形態にあっては、ジェットノズル2の移動速度Vを種々変化させたときのワーク上面側のカット幅Yの変化データを得て該カット幅Yとジェットノズル2の移動速度Vとの相関関係を示すデータベースを予め生成しておき、該データベースに基づいて、図5に示すように、ノズル設定移動速度Vsetの変化に対応するワーク上面側のカット幅Yのデータを得る(以下、このようにして得られたノズル設定移動速度Vsetに対応するワーク上面側のカット幅YをYsetとする)。
【0026】
そして得られたワーク上面側のカット幅Ysetに基づいて、更にワイヤカット放電加工における加工部分ΔWも考慮してノズル設定移動速度Vsetの変化に対応するジェットノズル2のオフセット量Xを数1の如く設定することとしている。
[数1]
X=ΔW+Yset/2
【0027】
なお、図4(b)に示すように、ウォータジェット加工においては高圧水の流動特性等から単にウォータジェット加工を行うとワークWの切断面が傾斜するので、この切断面の傾斜が是正されるようにジェットノズル2の傾斜角度が所要に設定される。
【0028】
このようにウォータジェット加工が行われた後は、ワイヤカット放電加工が行なわれる。このワイヤカット放電加工は、所期の加工精度で加工部分ΔWが加工されるように図6に示す如く電気加工条件を所定に設定しつつ行われる。ウォータジェット加工終了時において切断面の加工精度が所望に得られる場合は、ワイヤカット放電加工の加工部分ΔWが少なくなり、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。なお、図6に示すように、電気加工条件はON時間、OFF時間、ピーク電流値、サーボ基準電圧値、ワイヤ電極Eの移動速度等を含む。
【0029】
複合加工装置1には、NC制御装置20が併設されている。図7に示すように、このNC制御装置20はウォータジェット加工においてノズル設定移動速度Vsetの変化に対応してワークWのカット幅Ysetを演算しつつワークWの切断加工が行われるように構成されており、入力部21、記憶部22、処理部23、および表示部24からなる。
【0030】
入力部21は、例えば、キーボード、マウス、或いはタッチパネル等で構成されており、複合加工の実行に必要な各種情報を入力する機能を有している。なお、各種情報の入力は、CRTディスプレーや液晶ディスプレー等で構成される表示部24において、数値情報や図形情報等の形態で表示させながら行うことができる。
【0031】
記憶部22は、例えば、ハードディスク、CD−ROM等で構成されており、複合加工の実行に必要な各種データを記憶する機能を有している。この記憶部22に記憶されているデータには、ジェットノズル2の移動速度Vとワーク上面側のカット幅Yとの相関関係を示す上述したワーク上面側カット幅データベースがある。
【0032】
ワーク上面側カット幅データベースは、ワークWの材質、ジェットノズル2の高さ位置、高圧水の噴射圧力、研磨材粒の種類等のカット幅に影響を与える因子を所要に変化させてジェットノズル2とワーク上面側のカット幅Yとの相関関係を示すデータを得て生成され記憶部22に記憶される。
【0033】
更に記憶部22に記憶されているデータには、加速区間の距離(加速区間におけるワークWの切断長さ)をパラメータとした該加速区間における速度増加設定カーブおよび減速区間の距離(減速区間におけるワークWの切断長さ)をパラメータとした該減速区間における速度減少設定カーブがあり、図8に示すように、オペレータが速度増加率および速度減少率を所望に選択可能なように各設定カーブは複数記憶されている。
【0034】
これら各設定カーブにより、加速区間W1Aの距離およびジェットノズル2の移動速度が0からHに増加するまでの該移動速度の変化カーブ、減速区間W1Cの距離およびジェットノズル2の移動速度がHから0に減少するまでの該移動速度の変化カーブが設定される。
【0035】
処理部23は入力部21から入力された各種情報および記憶部22に記憶されている各種データに基づいて複合加工の実行に必要な処理を行う機能を有している。
【0036】
すなわち、処理部23は、切断開始位置や切断終了位置等のワークWの切断データに基づいて各切断方向ごとにワークWの切断経路を設定する切断経路設定手段231、加速区間における速度増加設定カーブおよび減速区間における速度減少設定カーブ等に基づきワークWの切断経路に対応するようにノズル設定移動速度Vsetの変化カーブを設定するノズル移動速度設定手段232、ノズル設定移動速度Vsetの変化カーブをワークWの微小切断経路長さをもって複数の区間nに分割し該分割した区間ごとに分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnを演算するノズル設定移動速度分割演算手段233、ワーク上面側カット幅データベースに基づいて分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnに対応するワーク上面側のカット幅Yset1,・・・,Ysetnを演算しつつワーク上面側のカット幅Ysetの変化カーブを設定するワーク上面側カット幅演算手段234、ワーク上面側のカット幅Ysetおよびワイヤカット放電加工の加工代ΔWに基づいて数1により移動経路Pのオフセット量Xを設定するオフセット量設定手段235、オフセット量XおよびワークWの切断経路に基づいてジェットノズル2の移動経路Pを設定するノズル移動経路設定手段236、ノズル移動機構7および高圧水噴射系統10に対し所定の制御信号を出力して移動経路P上をノズル設定移動速度Vsetでジェットノズル2を高圧水を噴射させつつ移動させワークWのウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段237、ウォータジェット加工が行われた後に、ガイド移動機構8、加工液供給系統9、および加工電源系統11に対し所定の制御信号を出力して所定の電気加工条件のもとでワークWの放電加工を実行するワイヤカット放電加工実行手段238の各手段を含んでいる。
【0037】
次に、図3の加工を例にNC制御装置20による複合加工方法の詳細を図9のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下においては切断経路W1を切断方向R1→R2で切断する場合の複合加工方法について説明するものとし、その他の切断経路W2、W3、W4の複合加工方法についてはW1と同様の複合加工が行われるものとしてその説明を省略する。
【0038】
まず、ステップS1において、オペレータ等が切断開始位置の座標情報R1(R1X,R1Y)、切断終了位置の座標情報R2(R2X,R2Y)、および切断経路の形状情報「直線」等のワークWの切断データ、ジェットノズル2の加速区間W1Aにおける速度増加設定カーブの選択情報、定速区間W1Bにおける目標移動速度「H」、減速区間W1Cにおける速度減少設定カーブの選択情報、ノズル移動開始位置P1startにおける速度「V1start(=0)」、ノズル移動終了位置P1stopにおける速度「V1stop(=0)」、オフセット方向情報「切断経路W1に対し内側に向かって直交する方向」、分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnを演算する際の分割区間数「n」、ワイヤカット放電加工における加工代「ΔW」、電気加工条件、およびウォータジェット加工におけるカット幅に影響を与える因子等を入力部21から入力する。
【0039】
続いて、ステップS2において、切断経路設定手段231がステップS1で入力された切断開始位置の座標情報R1(R1X,R1Y)、切断終了位置の座標情報R2(R2X,R2Y)、および切断経路形状「直線」に基づいてワークWの切断経路W1を設定する。
【0040】
次いで、ステップS3において、ノズル移動速度設定手段232がノズル設定移動速度Vsetの変化カーブを設定する。
より詳しくは、ノズル移動速度設定手段232がまずステップS1で入力されたノズル移動開始位置P1startにおける速度「V1start(=0)」、ノズル移動終了位置P1stopにおける速度「V1stop(=0)」、およびワーク上面側カット幅データベースに基づいて各位置におけるワーク上面側のカット幅Yを演算する。
【0041】
そして、該カット幅Yと同じくステップS1で入力されたワイヤカット放電加工の加工代ΔWから数1に基づいてジェットノズル2のオフセット量すなわちワークWの切断経路から各位置までの距離(図4のW1A´,W1A´´,W1C´,W1C´´)を演算する。これにより切断開始位置R1や切断終了位置R2を基点としたノズル移動開始位置P1startおよびノズル移動終了位置P1stopが定まる。
【0042】
続いて、ノズル移動速度設定手段232がステップS1で入力された設定カーブの選択情報に基づいて加速区間W1Aにおける速度増加設定カーブを記憶部22から読み出し該設定カーブにより加速区間W1Aの距離およびノズル移動速度が0からHまで増加するときの該移動速度の変化カーブを得るとともに、同様に減速区間W1Cにおける速度減少設定カーブを記憶部22から読み出し該設定カーブにより減速区間W1Cの距離およびノズル移動速度がHから0まで減少するときの該移動速度の変化カーブを得る。
【0043】
これらノズル移動開始位置P1start、ノズル移動終了位置P1stop、区間W1Aの距離、および区間W1Cの距離により定速区間W1Bの開始位置と終了位置も定まるので、図4に示すようにノズル移動開始位置P1startからノズル移動終了位置P1stopにおけるワークWの切断経路に対応するノズル設定移動速度Vsetの変化カーブが設定される。
【0044】
続いて、ステップS4において、図10に示すように、ノズル設定移動速度分割演算手段233が、ステップS1で入力された分割区間数「n」に基づいてステップS3で設定されたノズル設定移動速度Vsetの変化カーブを分割し該分割した区間ごとに分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnを演算する。
【0045】
次いで、ステップS5において、ワーク上面側カット幅演算手段234がステップS1で入力されたカット幅に影響を与える因子と、ワーク上面側カット幅データベースと、ステップS3で演算した分割ノズル設定移動速度Vset1,・・・,Vsetnと、に基づいて分割した区間「1,・・・,n」ごとにワーク上面側のカット幅Yset1,・・・,Ysetnを演算する。そして、各演算データ間を適宜補間してノズル設定移動速度Vsetに対応するワーク上面側のカット幅Ysetの変化カーブを図11の如く設定する。
【0046】
続いて、ステップS6において、オフセット量設定手段235がステップS1で入力されたワイヤカット放電加工の加工代「ΔW」およびステップS5で演算されたワーク上面側のカット幅Ysetに基づいて数1によりオフセット量Xを設定する。
【0047】
そして、ステップS7において、ノズル移動経路設定手段236がステップS1で入力されたオフセット方向情報「切断経路W1に対し内側に向かって直交する方向」、ステップS2で設定されたワークWの切断経路W1、およびステップS6で設定されたオフセット量X等に基づいて図3(図4(a))の如くジェットノズル2の移動経路P1を設定する。
【0048】
次いで、ステップS8において、ウォータジェット加工実行手段237が高圧水噴射系統10およびノズル移動機構7に対し所定の制御信号を出力して図3(図4(a))の如く設定された移動経路P1上を図4(a)に示すノズル設定移動速度Vsetで所定の傾斜角度のもと高圧水を噴射させつつジェットノズル2を移動させてウォータジェット加工を行う。
【0049】
続いて、ステップS9において、ウォータジェット加工の終了後に、ワークWをワークスタンド6に取り付けたままの状態でワイヤカット放電加工を行う。
すなわち、まずジェットノズル2を所定の退避位置(例えば、複合加工装置の正面左側)に退避させた後、ワイヤカット放電加工実行手段238が所定の制御信号を出力して加工液供給系統9により加工槽5に加工液を供給しつつガイド移動機構8により上下ガイドアッセンブリ3,4を所定の加工開始位置に位置決めし更にワイヤ電極Eを上下ガイドアッセンブリ3,4に結線した状態とする。
【0050】
そして、ワイヤカット放電加工実行手段238がステップS1で入力した電気加工条件により放電加工が行なわれるようにガイド移動機構8および加工電源系統11に対し所定の制御信号を出力しワイヤ電極EとワークWとの間に形成される極間に所定の電圧を印加して放電を発生させつつワイヤ電極EをワークWの切断経路に沿って移動させ、加工部分ΔWのワイヤカット放電加工を行う。
【0051】
以上説明したように本発明によれば、ジェットノズルの移動速度が変化するときにも該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するようにワークのカット幅を演算しつつジェットノズルのオフセット量が設定されるので、精度よくウォータジェット加工を行うことができる。これにより、ウォータジェット加工の取り残し代すなわちワイヤカット放電加工の加工代を少なくすることができ、複合加工全体の加工時間の短縮を図ることができる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の応用実施または変形実施が可能であることは勿論である。例えば、上述の実施形態ではノズル設定移動速度Vsetに対応するワーク上面側のカット幅Ysetをデータベースに基づいて演算することとしているが、ワーク上面側のカット幅Yとジェットノズル2の移動速度Vとの相関関係を示す演算式を予め得ておき、該演算式により演算することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、ウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置におけるウォータジェット加工を、ワークのカット幅に基づく移動経路上をジェットノズルを移動させて行う場合に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る複合加工装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】複合加工装置の各種系統等の概略を示す系統図である。
【図3】ワークの複合加工方法を説明するための平面図である。
【図4】ジェットノズルの移動速度の変化(図4(a))および該変化に基づくワーク上面側のカット幅の変化(図4(b))を説明するための図である。
【図5】ノズル設定移動速度に対応して設定されたワーク上面側のカット幅の変化カーブを説明するための図である。
【図6】ワイヤカット放電加工の電気加工条件を説明するための図である。
【図7】複合加工装置に併設されたNC制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】速度増加設定カーブ(図8(a))および速度減少設定カーブ(図8(b))を説明するための図である。
【図9】NC制御装置による複合加工方法を説明するためのフローチャートである。
【図10】分割ノズル設定移動速度を説明するための図である。
【図11】ノズル設定移動速度に対応するワーク上面側のカット幅データの設定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
E:ワイヤ電極
H:目標移動速
M:ジェットノズルの移動距離
n:演算分割数
O:ジェットノズルの円筒中心軸
P:ジェットノズルの移動経路
R:切断方向変更位置
V:ジェットノズルの移動速度
Vset:ノズル設定移動速度
W:ワーク
W´:最終加工形状
ΔW:ワイヤカット放電加工における加工代(加工部分)
X:オフセット量
Y:ワーク上面側のカット幅
Yset:ノズル設定移動速度に対応するワーク上面側のカット幅
1:複合加工装置
2:ジェットノズル
3:上ガイドアッセンブリ
4:下ガイドアッセンブリ
5:加工槽
6:ワークスタンド
7:ノズル移動機構
8:ガイド移動機構
9:加工液供給系統
10:高圧水噴射系統
11:加工電源系統
20:NC制御装置
21:入力部
22:記憶部
23:処理部
24:表示部
231:切断経路設定手段
232:ノズル移動速度設定手段
233:ノズル設定移動速度分割演算手段
234:ワーク上面側カット幅演算手段
235:オフセット量設定手段
236:ノズル移動経路演算手段
237:ウォータジェット加工実行手段
238:ワイヤカット放電加工実行手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度と前記ジェットノズルによる前記ワークのカット幅との相関関係に基づいて前記ジェットノズルの移動速度の変化に対応する前記ワークのカット幅を演算するワークカット幅演算手段と、
前記ワークカット幅演算手段により演算された前記ワークのカット幅に基づく移動経路上を前記ジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段と、
前記ウォータジェット加工実行手段により前記ウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段と、
を有することを特徴とするウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置。
【請求項2】
ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度を前記ワークの切断経路に対応するように設定するノズル移動速度設定手段と、
前記ジェットノズルの移動速度と前記ジェットノズルによる前記ワークのカット幅との相関関係に基づいて、前記ノズル移動速度設定手段により設定された前記ジェットノズルの移動速度が変化するときに該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するように前記ワークのカット幅を演算するワークカット幅演算手段と、
前記ワークカット幅演算手段により演算された前記ワークのカット幅に基づいて前記ワークの切断経路に対する前記ジェットノズルのオフセット量を設定するオフセット量設定手段と、
前記オフセット量設定手段により設定された前記ジェットノズルのオフセット量に基づく移動経路上を前記ノズル移動速度設定手段により設定された移動速度で前記ジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段と、
前記ウォータジェット加工実行手段により前記ウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段と、
を有することを特徴とするウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置。
【請求項3】
ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度と前記ジェットノズルによる前記ワークのカット幅との相関関係に基づいて前記ジェットノズルの移動速度の変化に対応する前記ワークのカット幅を演算するステップと、
前記ワークのカット幅を演算するステップにより演算された前記ワークのカット幅に基づく移動経路上を前記ジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うステップと、
前記ウォータジェット加工を行うステップにより前記ウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うステップと、
を含むことを特徴とするウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工方法。
【請求項4】
ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度を前記ワークの切断経路に対応するように設定するステップと、
前記ジェットノズルの移動速度と前記ジェットノズルによる前記ワークのカット幅との相関関係に基づいて、前記ジェットノズルの移動速度を設定するステップにより設定された前記ジェットノズルの移動速度が変化するときに該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するように前記ワークのカット幅を演算するステップと、
前記ワークのカット幅を演算するステップにより演算された前記ワークのカット幅に基づいて前記ワークの切断経路に対する前記ジェットノズルのオフセット量を設定するステップと、
前記オフセット量を設定するステップにより設定された前記ジェットノズルのオフセット量に基づく移動経路上を前記ジェットノズルの移動速度を設定するステップにより設定された移動速度で前記ジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うステップと、
前記ウォータジェット加工を行うステップにより前記ウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うステップと、
を含むことを特徴とするウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工方法。
【請求項1】
ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度と前記ジェットノズルによる前記ワークのカット幅との相関関係に基づいて前記ジェットノズルの移動速度の変化に対応する前記ワークのカット幅を演算するワークカット幅演算手段と、
前記ワークカット幅演算手段により演算された前記ワークのカット幅に基づく移動経路上を前記ジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段と、
前記ウォータジェット加工実行手段により前記ウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段と、
を有することを特徴とするウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置。
【請求項2】
ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度を前記ワークの切断経路に対応するように設定するノズル移動速度設定手段と、
前記ジェットノズルの移動速度と前記ジェットノズルによる前記ワークのカット幅との相関関係に基づいて、前記ノズル移動速度設定手段により設定された前記ジェットノズルの移動速度が変化するときに該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するように前記ワークのカット幅を演算するワークカット幅演算手段と、
前記ワークカット幅演算手段により演算された前記ワークのカット幅に基づいて前記ワークの切断経路に対する前記ジェットノズルのオフセット量を設定するオフセット量設定手段と、
前記オフセット量設定手段により設定された前記ジェットノズルのオフセット量に基づく移動経路上を前記ノズル移動速度設定手段により設定された移動速度で前記ジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うウォータジェット加工実行手段と、
前記ウォータジェット加工実行手段により前記ウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うワイヤカット放電加工実行手段と、
を有することを特徴とするウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工装置。
【請求項3】
ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度と前記ジェットノズルによる前記ワークのカット幅との相関関係に基づいて前記ジェットノズルの移動速度の変化に対応する前記ワークのカット幅を演算するステップと、
前記ワークのカット幅を演算するステップにより演算された前記ワークのカット幅に基づく移動経路上を前記ジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うステップと、
前記ウォータジェット加工を行うステップにより前記ウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うステップと、
を含むことを特徴とするウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工方法。
【請求項4】
ワークに向けて高圧水を噴射するジェットノズルの移動速度を前記ワークの切断経路に対応するように設定するステップと、
前記ジェットノズルの移動速度と前記ジェットノズルによる前記ワークのカット幅との相関関係に基づいて、前記ジェットノズルの移動速度を設定するステップにより設定された前記ジェットノズルの移動速度が変化するときに該ジェットノズルの移動速度に対応して変化するように前記ワークのカット幅を演算するステップと、
前記ワークのカット幅を演算するステップにより演算された前記ワークのカット幅に基づいて前記ワークの切断経路に対する前記ジェットノズルのオフセット量を設定するステップと、
前記オフセット量を設定するステップにより設定された前記ジェットノズルのオフセット量に基づく移動経路上を前記ジェットノズルの移動速度を設定するステップにより設定された移動速度で前記ジェットノズルを移動させてウォータジェット加工を行うステップと、
前記ウォータジェット加工を行うステップにより前記ウォータジェット加工が行われた後に、ワイヤカット放電加工を行うステップと、
を含むことを特徴とするウォータジェット加工およびワイヤカット放電加工を複合して行う複合加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−5774(P2010−5774A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171098(P2008−171098)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000132725)株式会社ソディック (197)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000132725)株式会社ソディック (197)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]