説明

ウシおよびブタにおける感染を処置するための組成物

本発明は、フッ化クロラムフェニコールまたはチアンフェニコール誘導体抗生物質(例えば、フロルフェニコール)を含有する新規処方、およびウシおよびブタの感染症(ウシ呼吸器疾患を含めて)の治療および予防においてこのような処方を使用する方法に関する。ウシの呼吸器疾患および他の感染症に関連した感染を抑制し予防し得る便利に投与される安定な組成物が必要とされているが、本発明は、ウシおよび他の動物の呼吸器疾患、細菌感染および他の感染を処置するための改良組成物および方法を提供することにより、便利に投与される安定な組成物に対するこの必要性を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物における細菌感染を処置するための組成物および方法に関する。さらに特定すると、本発明は、動物(例えば、ウシ、ヒツジおよびブタ)における細菌感染を処置するための際に使用する抗生物質を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本明細書中で引用した全ての参考文献の内容は、参考として援用されている。
【0003】
飼養場において牛または他の動物の感染の広がると、異なる供給源からの子牛または他の家畜が混在すれば、これらの子牛および他の動物は、免疫が生じていない病原体に晒される。輸送のストレスおよび食餌の変化により、子牛および他の動物の免疫防御が低下する。さらに、秋期(この時期には、子牛または他の家畜は、通常、放牧地から飼養場に移動される)の悪天候は、さらに、疾病のリスクを高める。それと共に、これらの状況の結果、牛または他の動物は、飼養場に最初に到着したときおよびその直後における呼吸器疾患の発症率が高くなる。飼養場の牛および他の家畜における呼吸器疾患の発症率およびその重症度を低下させるために、飼養場に到着した時点で、子牛および他の飼養場動物に抗菌薬を投与することが一般的になっている。
【0004】
抗菌薬を使用しないと、多因子性の病因が原因のウシ呼吸器疾患(BRD)(これは、しばしば、「ウシ呼吸器疾患コンプレックス」とも呼ばれている)は、全世界にわたる酪農業界および牛肉業界の両方における経済的損失の第一の原因の1つである。過大な死亡率、体重増加の低下、および治療および予防コストは、業界の重い負担となっている。
【0005】
呼吸器疾患が原因の死亡による損失コストは、世界中で変わる。米国での死亡損失は、毎年、10億ドルに達する。ヨーロッパ諸国の損失は、7500万ドル〜1億2000万ドルの範囲である。臨床または亜臨床BRDに罹った牛は、体重が増えないかミルクを生産しないだけでなく、健康な動物を生まない。BRDに罹った肉牛は、体重増加が少なく、飼料効率が低下し、しばしば、屠殺時の屠殺体の等級が低くなる。Perino L.J.and Apley M.,Bovine Respiratory Disease,in CURRENT VETERINARY THERAPY 4(FOOD ANIMAL PRACTICE),4TH ED.,446−455(Howard J.L.,Smith R.A.,eds.,1999)。屠殺時の肺の外傷と体重増加の低下との直接的な相関関係は、亜臨床感染に罹った牛で立証された。Whittem T.E.etal.,J.Am.Vet.Med.Assoc.,209:814−818(1996)。
【0006】
死亡率および罹患率に関連した生産損失に加えて、種々の治療薬の費用およびこれらの治療薬を投与するのに必要な人件費と共に、これらの動物を切り離して観察するための余分な人件費が原因で、BRDの治療には、相当な費用がかかる。
【0007】
BRDの病因は、病原菌(例えば、Mannheimia(Pasteurella)haemolytica、Pasteurella multocidaおよびHaemophilus somnus(これらは、ウシの上気道の常在菌叢の一部であると考えられている))と相まって、環境ストレスと生理学的ストレスとの間の相互作用が原因であると考えられている。環境および生理学的ストレス因子が自然抵抗性を低下させ、そして肺の防御機構を阻止するとき、上記生物体が増殖し、下気道に移住する。それに加えて、種々のウシウイルス(例えば、感染性ウシ鼻気管炎ウイルス(IBRV)、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、ウシ呼吸器合胞体ウイルス(BRSV)およびパラインフルエンザ3ウイルス(PI−3)は、肺における免疫抑制効果を有することが知られている。
【0008】
同様に、ブタ呼吸器疾患(SRD)もまた、多因子性の病因を有する。P.multocida、H.parasuis、Bordetella bronchiseptica、Actinobacillus pleuropneumoniae、Streptococcus suis、Salmonella cholerasuisおよびMycoplasma sp.により引き起こされる細菌感染の結果、ブタにおける呼吸器疾患が起こり得、その結果、著しい経済的損失が生じる。豚の群がり、混在および移動のようなストレス、および一時的なウイルス感染は、この疾患の増大に寄与し得る。
【0009】
BRDまたはSRDに関係している可能性があるとして列挙した病原体のいずれかは、種々のサイトカイン(これらは、炎症プロセスを上方制御する)の放出を刺激する種々のトキシンを産生することにより、肺における過剰な炎症プロセスを刺激し得、その結果、死亡または罹患が生じる。M.haemolytica(これは、これらの種々の生物体のうち最も毒性であると考えられている)はまた、ロイコトキシンを産生し、これは、白血球による食作用を阻止し、それにより、それが下気道に移住する能力をさらに高める。このプロセスの結果、しばしば、細菌性気管支肺炎が起こる。
【0010】
病原体の侵入により引き起こされるホスト組織に対する損傷は、好中球、肺胞マクロファージおよびナチュラルキラー細胞が感染細胞を破壊するときに、起こる。細胞膜が損傷されるとき、アラキドン酸が放出される。アラキドン酸は、種々のプロスタグランジンおよび他のエイコサノイドを形成するための物質である。これらの生体活性物質の放出は、肺の外傷を起こす炎症応答を駆り立てるのに重要である。Mosier D.A.,Vet.Clin.North Am.Food Animal Prac.,13:483−493(1997)。
【0011】
一般に、BRDの治療法は、以下の目標を達成することに向けるべきである:
1.感染の制御 − 感染プロセスが早期に停止された動物では、繰り返し処置する必要性が著しく低下する(Apley M.D.& Fajt V.R.,Vet.Clin.North Am.Food Anim.Prac.,14:291−313(1998)を参照)。適当な抗菌化合物の選択は、関与している生物体の抗菌薬感受性、気道における抗菌薬のレベル、投与し易さ、注射部位の組織が損傷する可能性、および治療に伴う痛みおよびストレスを最小にする投薬レジメンに基づくべきである。
【0012】
2.肺の損傷の最小化 − 炎症およびそれに続く肺の損傷が高まるにつれて、繰り返し処置する可能性が高くなり、体重増加の割合が低下する。Lekeux P.,Bovine Practitioner,29:71−75(1995);Scott P.R.,J.Dairy Sci.,76(2):414−420(1993)。
【0013】
3.発熱の低下 − 感染を制御し炎症を少なくすると、発熱が低下し、それにより、回復する可能性が高くなる。発熱の低下に伴う快適感もまた、疾患および発熱に伴う食欲不振を抑制することにより、食物の摂取を高め得る。
【0014】
多年にわたって、抗菌薬療法は、BRD治療の主力であった。BRDの治療には、多くの有効な抗菌薬が現在利用できる。NUFLOR(登録商標)は、広域抗生物質であるフロルフェニコールの注射可能処方であるが、世界的な規模で主要な抗菌薬の1つとして浮かび上がっている。NUFLOR(登録商標)は、筋肉内投与だけでなく皮下投与され得る。それは、M.haemolytica、P.multocidaおよびH.somnusに伴うBRDの治療および抑制だけでなく、これらの細菌に伴うBRDを発症するリスクが高い牛における呼吸器疾患の予防に必要とされている。NUFLOR(登録商標)はまた、Fusobacterium necrophorumおよびBacteroides melaninogenicusに伴うウシ趾間部蜂巣炎(フットロット、急性趾間部ネクロバシロシス、感染性足部皮膚炎)の治療に必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ウシの呼吸器疾患および他の感染症に関連した感染を抑制し予防し得る便利に投与される安定な組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明は、ウシおよび他の動物の呼吸器疾患、細菌感染および他の感染を処置するための改良組成物および方法を提供することにより、便利に投与される安定な組成物に対するこの必要性を満たす。
【0017】
本発明はまた、微生物感染を処置するための組成物に関し、該組成物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)式Iの群から選択される化合物:
【0018】
【化2】

ここで、Rは、メチルまたはエチル、またはメチルまたはエチルのいずれかのハロゲン化誘導体、ジハロゲノジュウテリオメチル、1−ハロゲノ−1−ジュウテリオエチル、1,2−ジハロゲノ−1−ジュウテリオエチル、アジドメチルおよびメチルスルホニルメチルからなる群から選択されるメンバーである;
XおよびX’の各々は、NO、SO、SOR、SR、SONH、SONH、SONHR、SONHR、COR、OR、R、CN、ハロゲン、水素、フェニル、および置換フェニルからなる群から別個に選択されるメンバーであり、該置換フェニルは、ハロゲン、NO、R、PO、CONHR、NHR、NR、CONR、OCORまたはORで一置換、二置換または三置換されており、ここで、RおよびRの各々は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルブチル、t−ブチル、イソブチルおよびフェニルからなる群から別個に選択される;そして
Zは、水素、または16個までの炭素原子を有する炭化水素カルボン酸のアシル基、または12個までの炭素原子を有するアミノ炭化水素カルボン酸のアシル基;および該アシル基の薬学的に受容可能な塩である;およびb)トリアセチン、ジメチルアセトアミド、2−ピロリジノンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のキャリア。
【0019】
動物におけるウシ呼吸器疾患を処置するための方法も開示されており、該方法は、そのような治療を必要とする動物に、上で定義した組成物の治療有効量を皮下投与する工程を包含し、ここで、40mg/体重1kgの用量でのフロルフェニコールの皮下投与後の時間の経過に伴う血漿濃度は、約5000〜約7000ng/mLであり、ここで、ピーク濃度までの平均時間は、約3〜約6時間である。
【0020】
動物におけるウシ呼吸器疾患を処置するための方法も開示されており、該方法は、そのような治療を必要とする動物に、上で定義した組成物の治療有効量を皮下投与する工程を包含し、ここで、40mg/体重1kgの用量でのフロルフェニコールの皮下投与後の時間の経過に伴う血漿濃度は、約3400〜約5000ng/mLであり、ここで、ピーク濃度までの平均時間は、約1〜約9時間である。
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明は、家畜における感染症(例えば、ウシ呼吸器疾患)を処置するための新規組成物を提供する。これらの組成物は、独特の新規キャリアおよびキャリア系と組み合わせた特定の抗菌薬(例えば、フロルフェニコール、チアンフェニコール、クロラムフェニコール)を含有する処方である。
【0022】
以下の用語は、当業者に公知であるように、定義される。
【0023】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−基またはシクロアルキニル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は、後記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニル基を介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0024】
「アルキル」とは、脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分枝であり得、その鎖の中に、1個〜約20個の炭素原子を含有する。好ましいアルキル基は、その鎖の中に、1個〜約12個の炭素原子を含有する。さらに好ましいアルキル基は、その鎖の中に、1個〜約6個の炭素原子を含有する。分枝とは、直鎖状のアルキル鎖に、1個またはそれ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結合されることを意味する。「低級アルキル」とは、その鎖内に、1個〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、直鎖または分枝であり得る。「置換アルキル」との用語は、このアルキル基が、1個またはそれ以上の置換基で置換され得ることを意味し、この置換基は、同一または異なり得る。
【0025】
「アリール」とは、芳香族の一環式または多環式の環系を意味し、これは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含有する。このアリール基は、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換され得、これらの置換基は、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである。
【0026】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、ここで、そのアルキル基は、先に記述したとおりである。適当なアルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。このアルキル基は、そのエーテル酸素を介して、隣接部分に結合している。
【0027】
「アジド」とは、−N基を意味する。
【0028】
「ハロ」および「ハロゲノ」とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基またはヨード基を意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがさらに好ましい。
【0029】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素または臭素が好ましく、フッ素および塩素がさらに好ましい。
【0030】
「ハロアルキル」および「ハロゲノアルキル」とは、アルキル基上の1個またはそれ以上のハロゲン原子をハロ基(これは、上で定義した)で置き換えたアルキル(これは、上で定義した)を意味する。
【0031】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族環系に結合した置換基を意味し、これは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同一または異なり得る。
【0032】
「必要に応じて置換した」との用語は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。
【0033】
「組成物」との用語は、特定量で特定の成分を含有する生成物だけでなく、特定量の特定成分の組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含すると解釈される。
【0034】
「有効量」とは、感染、侵襲または疾患の特定の症状を緩和するか、または感染、侵襲および疾患に対して動物を保護するのに必要な用量であり、「ウシ」との用語は、Bos属の動物(例えば、牛)を意味する。「ウシ科」とは、ウシ科の動物を意味し、これらは、有蹄で中空角の反芻動物(例えば、牛、羊、山羊、水牛、雄牛など)が挙げられる。本明細書中で使用する「ブタ」との用語は、ブタ科の動物(例えば、豚、イノシシ、イボイノシシなど)を意味する。
【0035】
抗生物質クロラムフェニコールおよびチアンフェニコールのフッ素含有類似物は、クロラムフェニコールおよびチアンフェニコールに感受性である生物および耐性である生物の両方に対して、抗生物質活性を有することが明らかとなっている。Schafer、T.W.et al.,「Novel Fluorine−Containing Analogs of Chloramphenicol and Thiamphenicol:Antibacterial and Biological Properties」、in CURRENT CHEMOTHERAPY AND INFECTIOUS DISEASE PROCEEDINGS OF THE11TH ICC AND THE19TH ICAAC AMERICAN SOCIETY OF MICROBIOLOGY 1980、444−446を参照。このような化合物およびそれらの製造方法の例は、米国特許第4,235,892号で記述されている。医学界では、ヒトを処置する際に有用な抗生物質を家畜に投与したとき、ヒトに対する細菌耐性の転移について、関心が高まっている。クロラムフェニコール群の抗生物質は、現在では、ヒトを処置するのに稀にしか使用されていないので、その誘導体は、獣医学用途に特に適当である。その3−フルオロ,3−デオキシ誘導体は、特に重要である。
【0036】
本発明の組成物は、式Iの少なくとも1種の抗生物質を含有する:
【0037】
【化3】

ここで、Rは、メチル、エチル、またはメチルまたはエチルのハロゲン化誘導体、ジハロゲノジュウテリオメチル、1−ハロゲノ−1−ジュウテリオエチル、1,2−ジハロゲノ−1−ジュウテリオエチル、アジドメチルおよびメチルスルホニルメチルからなる群から選択されるメンバーである;
XおよびX’の各々は、NO、SO、SOR、SR、SONH、SONH、SONHR、SONHR、COR、OR、R、CN、ハロゲン、水素、フェニル、および置換フェニルからなる群から別個に選択されるメンバーであり、該置換フェニルは、ハロゲン、NO、R、OR、PO、CONHR、NHR、NR、CONRまたはOCORで一置換、二置換または三置換されており、ここで、RおよびRの各々は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルブチル、t−ブチル、イソブチルおよびフェニルからなる群から別個に選択されるメンバーである;そして
Zは、水素、または16個までの炭素原子を有する炭化水素カルボン酸(好ましくは、炭化水素ジカルボン酸)のアシル基、または12個までの炭素原子を有するアミノ炭化水素カルボン酸のアシル基;および該アシル基の薬学的に受容可能な塩である。
【0038】
式IのR部分に考慮されるハロゲン化基には、モノ−、ジ−およびトリ−フルオロ基、モノ−、ジ−およびトリ−クロロ−基、モノ−およびジ−ブロモ−基、およびヨード−メチル基だけでなく、モノ−およびジ−フルオロ−基、モノ−およびジ−クロロ−基、モノ−およびジ−ブロモ−基、およびヨード−エチル基が挙げられ、ここで、これらのハロゲン置換基は、好ましくは、そのカルボニル官能性に対してアルファの炭素上にある。また、混合ジハロゲノアルキル基も挙げられ、ここで、両方のハロゲンは、好ましくは、これらのカルボニル基に対してアルファの炭素に結合されており、例えば、以下のような基がある:フルオロクロロ−基、フルオロブロモ−基、およびクロロブロモ−メチルおよび−エチル基だけでなく、トリハロゲン−メチル基(例えば、ジクロロフルオロ−およびジフルオロクロロメチル)。
【0039】
また、式Iの化合物には、式Iの化合物のエステル誘導体(例えば、1−炭化水素カルボキシレート)が挙げられ、ここで、Zは、16個までの炭素原子を有する炭化水素カルボン酸のアシル基であり、これは、飽和、不飽和、直鎖または分枝鎖、脂肪族、環状、環状脂肪族、芳香族、アリール脂肪族またはアルキル芳香族であり得、そしてヒドロキシ、1個〜5個の炭素原子を含有するアルコキシ、カルボキシル、NO、NHR、NR、SR、SORまたはハロゲンで置換され得、ここで、RおよびRは、上で定義したとおりである。
【0040】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で考慮される。「プロドラッグ」との用語は、本明細書中で使用するとき、薬剤前駆体である化合物を意味し、これは、被験体に投与すると、代謝または化学プロセスにより化学変換を受けて、式Iの化合物またはその塩および/または溶媒和物を生じる。プロドラッグの論述は、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987) Volume 14 of the A.C.S.Symposium Seriesおよびin Bioreversible.Carriers in Drug Design,(1987) Edward B.Roche著、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressで提供されており、両文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0041】
「溶媒和物」とは、1種またはそれ以上の溶媒分子による本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合には、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含めて)が関与している。ある場合には、この溶媒和物は、例えば、1種またはそれ以上の溶媒分子を結晶性固形物の結晶格子に取り込むとき、単離できる。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能溶媒の両方を包含する。適当な溶媒和物の非限定的な例には、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」とは、その溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0042】
式Iの他の抗菌活性エステル誘導体には、Zが12個までの炭素原子を含有するアミノ酸のアシル基であるものがあり、これは、飽和、不飽和、直鎖、分枝鎖または環状であり得、これは、芳香族基を含有し得、そして水酸基で置換され得る。
【0043】
好ましいエステル誘導体には、二塩基性炭化水素カルボキシレートから誘導されたもの(例えば、1−コハク酸エステルおよび1−パルミチン酸エステル)が挙げられ、これらは、水溶性で薬学的に受容可能なカチオン塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩だけでなく、アミン(例えば、トリエチルアミン)を備えた塩)を提供する。また、アミノ酸のエステル誘導体も好ましく、これらは、鉱酸または有機酸との水溶性で薬学的に受容可能な酸付加塩(例えば、塩酸または硫酸またはコハク酸付加塩)を提供する。
【0044】
それゆえ、「薬学的に受容可能な塩」との用語は、本発明の二塩基性炭化水素カルボキシレートエステル中の酸性水素をカチオンで置き換えた塩(例えば、D−(スレオ)−1−p−ニトロフェニル−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロピルヘミコハク酸ナトリウム)だけでなく、その酸性水素がアミンを備えた酸付加塩を形成する塩(例えば、D−(スレオ)−1−p−ニトロフェニル−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロピルヘミコハク酸N−トリメチルアミン塩)を包含する。また、式Iの化合物のアミノ酸エステル中の鉱酸または有機酸とアミンとの間で形成された酸付加塩(例えば、グリシン酸D−(スレオ)−1−p−ニトロフェニル−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロピル塩酸塩)も含まれる。
【0045】
式Iに含まれる二塩基性炭化水素カルボキシレートエステルの薬学的に受容可能なカチオン塩には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム)の塩、およびアミン(例えば、トリアルキルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−(低級)アルキルピペリジン(例えば、N−エチルピペリジン)およびN−メチルグルカミンがある。
【0046】
好ましくは、Rは、メチルまたはエチルのハロゲン化誘導体であり、Zは、水素であり、Xは、フェニル、CORまたはSOであり、Rは、メチルであり、そしてX’は、水素である。最も好ましくは、Rは、CHClまたはCHFである。
【0047】
好ましい抗生物質化合物には、フロルフェニコール(D−(スレオ)−1−p−メチルスルホニルフェニル−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノール)がある。他の好ましい抗生物質化合物には、D−(スレオ)−1−p−メチルスルホニルフェニル−2−ジフルオロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノールがある。これらの好ましい抗生物質化合物を製造する方法、およびこのような方法で有用な中間体は、米国特許第4,311,857号;第4,582,918号;第4,973,750号;第4,876,352号;第5,227,494号;第4,743,700号;第5,567,844号;第5,105,009号;第5,382,673号;第5,352,832号;および第5,663,361号で記述されている。フロルフェニコールまたは他の抗生物質の濃度は、約10%〜約50%w/vであり、好ましいレベルは、約30%と約40%w/vの間であり、さらに好ましくは、少なくとも約30%w/vまたは40%w/vである。
【0048】
本発明で使用する好ましいビヒクルには、トリアセチンがある。トリアセチンはまた、1,2,3−プロパントリオール三酢酸、グリセリル三酢酸および酢酸1,2,3−プロパントリイルエステルとして、知られている。トリアセチンは、例えば、Eastman Chemicalから入手できる。トリアセチンは、ビヒクルであるとき、約25%〜約90%、好ましくは、少なくとも約30%の濃度で存在し得る。あるいは、クエン酸トリエチルを使用できる。このフロルフェニコールの約0%〜約5%がトリアセチンに溶解すると考えられている。好ましくは、トリアセチンは、共ビヒクルまたは溶媒としての2−ピロリドンと併用される。2−ピロリドンは、共ビヒクルまたは溶媒として存在するとき、約0%〜約70%、好ましくは、約30%w/vの濃度で存在し得る。
【0049】
本発明で使用する他の好ましいキャリアには、ジメチルアセトアミドがあり、これは、N,N’−ジメチルアセトアミド、酢酸ジメチルアミドおよびDMACとしても知られている。ジメチルアセトアミドは、BASF Corporationから入手できる。ジメチルアセトアミドは、ビヒクルであるとき、約0%〜約70%、好ましくは、少なくとも約30%w/vの濃度で存在し得る。
【0050】
本発明の処方の残りの部分は、薬学的に受容可能なキャリアであり得、これは、少なくとも1種の溶媒、キャリアまたはビヒクルを含有する。この薬学的に受容可能なキャリアは、この処方の約0%〜約80%、好ましくは、約10%〜約30%、さらに好ましくは、約30%を占める。
【0051】
従って、このようなビヒクル(または、このようなビヒクルの組み合わせ)は、フロルフェニコールまたは類似の抗生物質を含有する本発明の処方で使用するのに好ましい。好ましくは、このような溶媒は、この処方の約0重量%〜約75重量%で存在している。さらに好ましくは、このような溶媒は、この処方の約10%〜約35%で存在している。
【0052】
本発明の処方では、他の薬学的に受容可能な溶媒が存在し得る。適当な代替溶媒には、例えば、グリセリルホルマール、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ジエチルイソソルビド、水、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセリン、ベンジルアルコール、ジメチルイソソルビド、グリコールエーテルなどが挙げられる。
【0053】
実行可能な注射性能を備えた生成物を提供するために、この処方の粘度を低下させるのに、1種またはそれ以上のこのような追加溶媒またはキャリアを加えることが望まれ得る。本発明の処方の粘度を調節するのに有用な溶媒の例には、水、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、乳酸エチルおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
本発明の組成物には、望ましいとき、他の任意の不活性成分が加えられ得る。このような成分には、防腐剤、キレート化剤、酸化防止剤および安定剤が挙げられる。代表的な防腐剤には、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)およびp−ヒドロキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)が挙げられる。代表的なキレート化剤には、エデト酸ナトリウムが挙げられる。代表的な酸化防止剤には、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびナトリウムモノチオグリセロールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい安定剤には、例えば、約5%以下の濃度のクエン酸および約0.1%〜2%w/vの濃度のモノチオグリセロールが挙げられる。他の適当な安定剤には、例えば、クエン酸トリエチル、USP、NF、酢酸、氷酢酸、フマル酸、塩酸、希塩酸、リンゴ酸、硝酸、リン酸、希リン酸、硫酸および酒石酸が挙げられる。これらの処方は、好ましくは、酸性pHを有することが分かる。本発明の処方は、それ自体防腐性であることも分かる。
【0055】
本発明の処方には、他の活性成分が混ぜ合わされ得ることが分かる。このような成分には、例えば、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、NSAIDS(例えば、フルニキシン)、COX−阻害剤および他の鎮痛薬、駆虫性化合物(例えば、アベルメクチン化合物(例えば、イベルメクチン、ドラメクチン、ミルベマイシン、セラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチンおよびモキシデクチン)および/または必要に応じて、殺吸虫剤)が挙げられ得る。また、この処方では、第二抗生物質を使用することも、好まれ得る。好ましい抗生物質には、テトラサイクリン類が挙げられ得る。クロロテトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリンは、特に好ましい。他の好ましい追加抗生物質には、ラクタム類(例えば、ペニシリン)、セファロスポリン類(例えば、ペニシリン、アモキシシリン、またはアモキシシリンとクラブラン酸または他のベータラクタマーゼ阻害剤との組み合わせ、セフチオフル、セフキノムなどが挙げられ得る。また、好ましい抗生物質には、フルオロキノロン類(例えば、エンロフロキサシン、ダノフロキサシン、ジフロキサシン、オルビフロキサシンおよびマルボフロキサシン)、マクロライド抗生物質(例えば、チルミコシン、ツラスロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン)およびそれらの薬学的に受容可能な塩などが挙げられる。あるいは、昆虫成長調節因子を本発明の処方と併用できる。
【0056】
本発明の組成物を調製するために、このビヒクルまたはビヒクルの一部は、配合容器に加えられ、続いて、残りの賦形剤および活性物質が加えられる。その混合物は、全ての固形物が溶解または懸濁するまで、混合される。その組成物を最終容量にする追加溶媒は、もし必要なら、加えられ得る。添加剤(例えば、上で列挙したもの)もまた、この容器に入れられ、この処方に混合され得る(添加順序は、重要ではない)。
【0057】
本発明による組成物は、一般に、体重1キログラムあたり、約1mg〜約100mgの抗菌薬で、牛に投与される。好ましくは、本発明の組成物は、体重1キログラムあたり、約20mg〜約50mgの抗菌薬で、ウシに投与される。さらに好ましくは、この用量は、一旦、皮下投与される約40mg/kgの抗菌薬である。また、初期投与後0時間および48時間で投与される2用量の20mg/kgの投与も好ましい。本発明による組成物は、一般に、体重1キログラムあたり、15mg〜約100mgの抗菌薬で、ブタに投与される。好ましくは、本発明の組成物は、体重1キログラムあたり、約20mg〜約50mgの抗菌薬で、ブタに投与される。
【0058】
これらの組成物は、毎日1回投与され得るか、または複数用量に分割され得る。しばしば、感染を処置するには、1用量だけで十分である。ある状況では、動物を処置するために、1用量に続いて48時間後に第二用量が必要である。正確な用量は、当業者が理解するように、感染の段階および重症度、この組成物に対する感染している生物の感受性、および処置する動物種の個々の特性に依存している。
【0059】
本発明による組成物は、牛および他のウシ科、ブタ、および他の大型動物に特に有用である。ウシ呼吸器疾患の治療に加えて、本発明の組成物はまた、感染症(例えば、ブタ呼吸器疾患、フットロット、急性乳腺炎、伝染性結膜炎(感染性結膜炎)、急性肺炎、子宮炎および腸炎)の治療に適当である。このような疾患を処置する用量レジメンは、上記のとおりである。
【0060】
乳腺炎は、授乳中のメスに起こる複雑な疾患であり、乳牛およびヤギにおいて、特に経済的に重要である。いくつかの病原体が関与し得、これには、黄色ブドウ球菌、大腸菌および連鎖球菌が挙げられる。急性形態の乳腺炎は、急に発生し、乳房が拡大し、触れると熱くなり脆くなる;通常、罹患した動物には、熱がある。もし、即座に治療しないなら、乳房は、永久的に損傷され、ミルクの生産は、減少するか失われる。
【0061】
伝染性結膜炎は、牛、羊および他の動物の急性感染性疾患であり、これは、目の組織の炎症に特徴があり、鼻汁、流涙および大量の眼部排泄物を伴う。罹患した動物は、非常な不快感を示し得、その結果、乳牛の間ではミルクの生産が低下する;極端な場合には、失明が起こる。この疾患は、特に、牛のうちモラクセラ属のウシで起こり、特に、レンジおよび飼養場の牛に広がり、牧畜業には非常に経済的に重要である。
【0062】
フットロット(趾間部蜂巣炎)は、趾間部の空間における急性の感染であり、これは、肉牛および乳牛の両方で、全世界にわたって起こる。Fusobacterium necrophorumは、フットロットの主な原因であるが、他の生物(Bacteroides melaninogenicusを含めて)が関与し得る。主な症状には、疼痛、激しい跛行、発熱、食欲不振およびミルクの生産の低下が挙げられる。
【0063】
現在、フットロットは、抗生物質療法で治療されている;推奨される療法は、5日間までの治療を含み得る。フットロットの治療に本発明の処方を使用すると、フロルフェニコールの有効性が証明されているので、これまでより少ない投与で、現在公知の治療よりも改善される。本発明の組成物はまた、これらの疾患を発症するリスクが高い動物において、それらの疾患の予防に有用である。例えば、現在請求された組成物は、ウシ呼吸器疾患の治療で推奨される用量と同じ用量で、ウシ呼吸器疾患を発症するリスクが高い牛に投与され得る。
【0064】
本発明の処方は、多くの著しい利点を有する。トリアセチンおよびジメチルアセトアミドを含有する処方は、被験体において、薬物動態学プロフィールの改善だけでなくフロルフェニコールの血中濃度の持続を示す。それに加えて、被験体間の薬物動態プロフィールでの変動の著しい低下および注射部位での刺激および注射後炎症の低下を伴う部位応答の改善が認められた。さらに、これらの処方は、化学的安定性が改善され、それ自体防腐性である。また、特に、ジメチルアセトアミドを使うと、これらの処方は、低い粘度で注射用量を少なくでき、それゆえ、注射性能が改善される。好ましくは、本発明の処方は、約125cps未満の粘度を有する。
【実施例】
【0065】
本発明は、さらに、以下の非限定的な実施例で説明される。
【0066】
(実施例1)
【0067】
【表1】

これらの成分は、1段階または複数段階で、混合され得る。このフロルフェニコールを2−ピロリドンと混合し、次いで、その混合物に、トリアセチンを加えた。
【0068】
(実施例2)
【0069】
【表2】

これらの成分は、1段階または複数段階で、混合され得る。このフロルフェニコールをジメチルアセトアミドと混合し、次いで、その混合物に、トリアセチンを加えた。
【0070】
(実施例3)
この研究には、下記のように、24頭の牛を使用し、本発明の処方を投与した。投薬前の0時間に次いで、注射後の0.5、1、3、6、9、12、24、36、48、60および72時間で、連続血液試料を取り出した。これらの動物には、以下の治療レジメンの1つを与えた。
【0071】
【表3】

注射部位を、外傷の長さ、幅および深さについて、毎日評価し、所見を、the Lesion Evaluation Formに記録した。
【0072】
この研究は、約6ヶ月齢以上または体重約125kg以上のウシで、実行した。選択は、健康状態の外観、従順さおよび体重に基づいて行った。この研究の開始前に異常な臨床徴候を示す動物は、研究には含めなかった。研究前14日間に投薬を受けた動物または他の研究に参加した動物は、この研究から除外した。
【0073】
この研究を開始する前に、ベースラインデータを集めた。環境順化の第一日目に臨床徴候の毎日の観察を開始し、この研究が終わるまで続けた。これらの動物を全部計量し、身体検査し、そして7日目(もし、環境順化が必要なら)および1日目(もし、牛が既に環境順化されたなら)に、獣医師による健康評価を行った。
【0074】
フロルフェニコールの血漿レベルは、以下のようにして取り出した:各子牛から頸静脈穿刺により、Vacutaner(登録商標)チューブ(これは、EDTAナトリウムを含む)へと約10mLの血液を集め、血漿について処理した。
【0075】
薬物動態分析は、以下のようにして実行した:フロルフェニコールの血漿濃度は、適当な単位(すなわち、μg/mlまたはng/mL)で報告した。各個の動物について、血漿フロルフェニコール濃度対時間のデータをグラフで示し、全体の試料集団に対する平均濃度として提示した。
【0076】
図1では、体重1kgあたり40mgの用量でフロルフェニコール溶液を皮下投与した後の6頭の牛におけるフロルフェニコールの血漿濃度対時間が開示されている。平均ピーク濃度(Cmax)は、6366ng/mLであり、好ましくは、5076−6995ng/mLの範囲である。ピーク濃度までの平均時間(Tmax)は、5.5時間であり、好ましくは、3〜6時間の範囲である。
【0077】
図2では、体重1kgあたり40mgの用量でフロルフェニコール溶液を皮下投与した後の6頭の牛におけるフロルフェニコールの血漿濃度対時間が開示されている。平均ピーク濃度(Cmax)は、4248ng/mLであり、好ましくは、3457〜4996ng/mLの範囲である。ピーク濃度までの平均時間(Tmax)は、3.67時間であり、好ましくは、1〜9時間の範囲である。
【0078】
このデータは、本発明が多数の相当な有益性を有することを示している。注射部位での組織の腫れが減っている。また、投与する注射の容量が減少している。また、達成された血液レベルにおいて、被験体間の変動が少なかった。
【0079】
本明細書中では、本発明の現在好ましい特定の実施態様が記述されているものの、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記述した実施態様の変更および改良が行われ得ることは、本発明が属する当業者に明らかである。従って、本発明は、添付の請求の範囲および適用される法の原則により要求される範囲まで限定されるにすぎないと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、体重1kgあたり40mgの用量でフロルフェニコール溶液を皮下投与した後の6頭の牛におけるフロルフェニコールの血漿濃度対時間である。
【図2】図2は、体重1kgあたり40mgの用量でフロルフェニコール溶液を皮下投与した後の6頭の牛におけるフロルフェニコールの血漿濃度対時間である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物における微生物感染の処置のための組成物であって、該組成物は、以下:
a)式Iの群:
【化1】

から選択される化合物であって、
ここで、Rは、メチル、エチル、またはメチルもしくはエチルのハロゲン化誘導体、ジハロゲノジュウテリオメチル、1−ハロゲノ−1−ジュウテリオエチル、1,2−ジハロゲノ−1−ジュウテリオエチル、アジドメチルおよびメチルスルホニルメチルからなる群から選択されるメンバーであり;
XおよびX’は、NO、SO、SOR、SR、SONH、SONH、SONHR、SONHR、COR、OR、R、CN、ハロゲン、水素、フェニル、および置換フェニルからなる群から別個に選択されるメンバーであり、該置換フェニルは、ハロゲン、NO、R、PO、CONHR、NHR、NR、CONR、OCORまたはORで一置換、二置換または三置換されており、ここで、RおよびRは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルブチル、t−ブチル、イソブチルおよびフェニルからなる群から別個に選択されるメンバーであり;そして
Zは、水素、または16個までの炭素原子を有する炭化水素カルボン酸のアシル基、または12個までの炭素原子を有するアミノ炭化水素カルボン酸のアシル基;および該アシル基の薬学的に受容可能な塩である
化合物;ならびに
b)トリアセチン、ジメチルアセトアミドおよび/またはそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のキャリア
を含有する、組成物。
【請求項2】
Rが、メチルまたはエチルのハロゲン化誘導体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Rが、CHClまたはCHFである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
Zが、水素であり、Xが、SOまたはフェニルであり、そしてX’が、水素である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
が、メチルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物が、フロルフェニコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記フロルフェニコールが、約10%w/v〜約50%w/vの量で存在している、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記フロルフェニコールが、約30%w/v〜約40%w/vの量で存在している、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記キャリアが、約15%w/v〜約60%w/vの量で存在している、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記キャリアが、トリアセチンである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記トリアセチンが、約30%w/vの量で存在している、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
さらに、2−ピロリドンを含有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記2−ピロリドンが、約30%w/vの量で存在している、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記キャリアが、ジメチルアセトアミドである、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記ジメチルアセトアミドが、約30%w/vの量で存在している、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
さらに、第二キャリアを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記第二キャリアが、グリセリルホルマール、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチルイソソルビド、水、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセリン、クエン酸トリエチル、ベンジルアルコール、ジメチルイソソルビドおよびグリコールからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
さらに、安定剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記安定剤が、クエン酸である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、約125cps未満の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
さらに、フルニキシンを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
さらに、COX−2阻害剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
さらに、アベルメクチンを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
動物における微生物感染を処置するための医薬を製造するための、請求項1〜23に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−528705(P2006−528705A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533475(P2006−533475)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/016841
【国際公開番号】WO2004/110494
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505361750)シェーリング−プラウ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】