説明

ウデナフィル酸付加塩、その製造方法、およびこれを含む薬学的組成物

本発明は、ウデナフィル酸付加塩、その製造方法、およびこれを含む薬学的組成物に関する。
ウデナフィルがシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、およびサイクラミン酸で構成された群から選択された有機酸と結合したウデナフィル酸付加塩は、水溶性媒質に対する溶解度が極めて優れており、結晶性を有しており、水分に対する安定性も優れているため、薬学的組成物の活性成分として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウデナフィル酸付加塩、その製造方法、およびこれを含む薬学的組成物に関し、より詳細には、水溶性媒質に対する溶解度が優れており、安定性が優れている結晶形であって、特に水分に対する安定性が優れているウデナフィル酸付加塩、その製造方法、およびこれを含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の化学式(1)で表示されているPDE−5抑制剤である5−[2−プロピルオキシ−5−(1−メチル−2−ピロリジニレンアミドスルホニル)フェニル]−1−メチル−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン化合物[‘ウデナフィル’(WO00/027848、大韓民国登録特許第0353014号など)]は、PDE−5に対する選択性が既存の化合物よりも画期的に改善され、副作用を大きく軽減することができると報告された。
【0003】
【化1】

【0004】
また、前記ウデナフィルは、最大血中濃度到達時間が1時間と薬効が迅速に発現されると同時に、体内半減期が12時間と薬効が持続的に発現し、1日1回の服用が可能であるという長所を有するものとして知られている。
【0005】
しかし、ウデナフィルは、それぞれ6.5および12.5程度のpKa1、pKa2値を有し、水和物や溶媒和物ではない白色または微白色の粉末形態を帯びた化合物であって、水などの水溶性媒質に溶解し難い特性を示している。
【0006】
薬品の溶解度は薬品の体内吸収に影響を与える多様な因子のうちの1つであって、水溶性媒質における薬品の溶解は、全身吸収の重要な前段階である。特に、水溶性が低い薬品は、胃腸管内で溶解する速度が俗に全身吸収速度を決定する因子となるため、溶解試験の結果に応じて薬品の生体利用率を予測するようになる。したがって、薬品が好ましい生体利用率および治療効果を示すためには、水溶性媒質における適切な溶解度を有する必要がある。溶解度が低い化合物あるいは難溶性化合物の場合は不規則的な吸収を示すため、効率的な治療効果を期待し難く、特に胃腸管における溶解度が低い薬品の場合、その薬品のために特別に考案された剤形の場合を除いては完全に吸収されないという問題点がある。これにより、効果的な薬効発現のために、難溶性化合物のウデナフィルの溶解度をより向上させる必要がある。
【0007】
一方、大韓民国特許公開公報第1987−0009990号には、薬剤学的に許容が可能な塩の条件として、高い溶解度の他に優れた安定性、非吸湿性、および錠剤剤形としての加工性のような物理化学的基準を充足させなければならないと記述されている。したがって、ある活性成分の塩が薬学的組成物に有用に適用されるためには、安定性が優れており、長期間の保管が可能な結晶性を帯びる必要があり、加水分解および化学的分解に対する因子として作用することができる水分に対して安定しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水などの水溶性媒質に対する溶解度が優れており、水分に対して安定でありながらも結晶形を帯びることにより、薬学的組成物に適用されることに適した新規のウデナフィル酸付加塩を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記ウデナフィル酸付加塩の製造方法を提供することを他の目的とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記ウデナフィル酸付加塩を含む薬学的組成物を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ウデナフィルがシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、およびサイクラミン酸で構成された群から選択された1つの有機酸と結合したウデナフィル酸付加塩を提供する。
【0012】
また、本発明は、ウデナフィルをシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、およびサイクラミン酸で構成された群から選択された1つの有機酸と反応させる段階を含むウデナフィル酸付加塩の製造方法を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、前記ウデナフィル酸付加塩を有効性分として含有し、勃起不能、門脈高血庄症、肺動脈高血圧、下部尿路の異常症状を伴った前立腺肥大症、心不全症、または慢性閉鎖性肺疾患の治療または予防のために用いられる薬学的組成物を提供する。
【0014】
以下、発明の具体的な実施形態に係るウデナフィル酸付加塩、その製造方法、およびこれを含む薬学的組成物について説明する。
【0015】
発明の一実施形態により、ウデナフィルがシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、およびサイクラミン酸で構成された群から選択された1つの有機酸と結合したウデナフィル酸付加塩が提供される。
【0016】
本発明者の実験結果、前記ウデナフィルのシュウ酸塩、ベンゼンスルホン酸(べシル酸)塩、カンファースルホン酸(カムシル酸)塩、ケイ皮酸塩、アジピン酸塩、またはサイクラミン酸塩は、ウデナフィルの他の酸付加塩に比べて結晶化が容易であり、吸湿性も少ないだけでなく、安定性(特に、水分安定性)も優れており、薬学的組成物への適用に極めて適しているため、産業的に有用であることが明らかになった。さらに、これらの酸付加塩は、ウデナフィルまたはその他の酸付加塩がほとんど溶解しないことに比べ、水溶性媒質に対する溶解度が極めて高いことが明らかになった。
【0017】
したがって、発明の一実施形態に係るウデナフィルの特定酸付加塩は、ウデナフィルの生体利用率をより向上させ、優れた治療効果を達成できるようにする。また、前記ウデナフィルの特定酸付加塩は、その結晶性によって安定性(特に、水分安定性)に優れており、長期間の保管が可能であり、剤形としての加工性が優れている薬学的組成物の提供を可能にする。
【0018】
一方、前記ウデナフィル酸付加塩のうちでも、ウデナフィルアジピン酸塩、カンファースルホン酸塩、またはシュウ酸塩が好ましく用いられてもよい。本発明者の実験結果、発明の一実施形態に係る6種類の酸付加塩のうちでも、これら3種類の塩が水などの水溶性媒質に対するより優れた溶解度を示し、活性成分であるウデナフィルのより優れた生体利用率を達成できるようになることが明らかになった。特に、ウデナフィルアジピン酸塩は、これら3種類の塩のうちでも最も優れた溶解度を示し、より好ましく用いられてもよい。
【0019】
前記発明の一実施形態に係るウデナフィル酸付加塩は、下記の化学式(2)で表示されてもよい。
【0020】
【化2】

【0021】
このように、ウデナフィルの特定位置アミン基にシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、またはサイクラミン酸が結合したウデナフィルの酸付加塩は、結晶化が容易であり、優れた安定性(特に、優れた水分安定性)を示し、剤形化が容易であり、長期間の保管が可能でありながらも、水溶性媒質に対するより優れた溶解度を示すことができる。
【0022】
したがって、このようなウデナフィル酸付加塩を用いることにより、活性成分の生体利用率が優れており、優れた治療効果を発現できながらも、優れた安定性などを示す薬学的組成物が提供されることができる。
【0023】
一方、発明の他の実施形態により、上述したウデナフィル酸付加塩の製造方法が提供される。
【0024】
このようなウデナフィル酸付加塩の製造方法は、ウデナフィルをシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、およびサイクラミン酸で構成された群から選択された1つの有機酸と反応させる段階を含んでもよい。
【0025】
前記ウデナフィル酸付加塩の具体的な製造方法を詳察すれば、次のとおりとなる。
【0026】
まず、ウデナフィル酸付加塩の製造のための反応物となる下記の化学式(1)のウデナフィルは、WO00/027848などに公示されたとおり、次の3段階で要約される方法によって製造されてもよい。
【0027】
【化3】

【0028】
最初の段階として、4−[2−プロピルオキシ−5−(クロロスルホニル)ベンズアミド]−1−メチル−3−プロピル−5−カルバモイルピラゾールを製造する。この製造のために、一定量の4−[2−プロピルオキシベンズアミド]−1−メチル−3−プロピル−5−カルバモイルピラゾールをクロロスルホン酸と反応させてもよい。
次に、第2段階において、前記最初の段階で得られた化合物と2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンを反応させ、4−[2−プロピルオキシ−5−(1−メチル−2−ピロルジニルエチルアミノスルホニル)ベンズアミド]−1−メチル−3−プロピル−5−カルバモイルピラゾールを製造してもよい。このとき、このような反応は、ジクロロメタンなどの溶媒内で行われてもよい。
最後の第3段階として、前記第2段階で得られた化合物をt−ブタノールなどの溶媒に溶かし、この溶液に一定量のカリウムt−ブトキシドを加えて反応させることにより、前記化学式(1)のウデナフィルを製造してもよい。
一方、発明の他の実施形態に係るウデナフィル酸付加塩の製造方法においては、得られたウデナフィルを上述した6種類の有機酸のうちのいずれか1つと反応させてウデナフィル酸付加塩を得てもよく、反応工程は下記反応式(1)で表示されてもよい。
【0029】
【化4】

【0030】
前記式において、HXはシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、またはサイクラミン酸を示し、Xはこれらの有機酸から由来した。
【化5】

【0031】
このとき、前記ウデナフィルと有機酸の反応は、これらの反応物を溶解させて酸−塩基反応を進めることができる任意の有機溶媒内で行われてもよい。ただし、前記酸−塩基反応が適切に進められ、前記ウデナフィルと有機酸が当量比で結合された酸付加塩が製造されるようにするために、上述したウデナフィルと有機酸の反応は、アセトン、エチルアセテート、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、およびアセトニトリルで構成された群から選択された1つ以上の溶媒内で行われることが好ましい。
【0032】
また、このようなウデナフィルと有機酸の反応のために、前記有機酸はウデナフィルに対して1〜2当量で用いられてもよく、好ましくは0.95〜1.1当量で用いられてもよい。これらの使用量により、前記ウデナフィルと有機酸が当量比で結合された好ましいウデナフィル酸付加塩が製造される。
【0033】
さらに、前記ウデナフィルと有機酸の反応は、上述した溶媒内で−5〜100℃、好ましくは0〜80℃の反応温度で1〜24時間、好ましくは1〜3時間進められてもよい。
【0034】
一方、発明のさらに他の実施形態により、上述したウデナフィル酸付加塩を有効性分として含有し、勃起不能、門脈高血庄症、肺動脈高血圧、下部尿路異常症状を伴った前立腺肥大症、心不全症、または慢性閉鎖性肺疾患の治療または予防のために用いられる薬学的組成物が提供される。
【0035】
ウデナフィルは、男性の性機能障害の1つである勃起不能治療または予防に効果的に用いることができると報告された[WO00/027848および大韓民国登録特許第0353014号など]。また、前記ウデナフィルは、前立腺肥大症(Benign Prostatic Hyperplasia:BPH)やこれと関連する下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptoms:LUTS)の治療または予防にも用いることができ、尿道平滑筋または前立腺平滑筋の弛緩剤としても作用が可能であるものとして知られている(大韓民国特許出願第2006−0030724号)。さらに、前記ウデナフィルは、環状グアノシン一リン酸(cGMP)を分解するホスホジエステラーゼV(PDE−5)酵素を阻害することにより、慢性心不全症によって誘導された左心室の拡張を抑制し、心室壁の厚さの減少を抑制しながら、心臓組織および血中の心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の増加や心室組織の繊維化を抑制することができるため、究極的に慢性心不全症治療剤として用いることもできるものと知られている(大韓民国特許公開第2008−0108185号)。
その他にも、ウデナフィルは、PDE−5酵素に対する阻害活性を示すことにより、門脈高血庄症(WO06/132460、大韓民国特許公開第2006−0030724号)や肺動脈高血圧などの高血圧、または慢性閉鎖性肺疾患などの肺疾患の治療または予防のためにも使用が可能であることが知られている。
【0036】
したがって、発明のさらに他の実施形態に係る薬学的組成物は、勃起不能、門脈高血庄症、肺動脈高血圧などの高血圧、下部尿路異常症状やこれに関する前立腺肥大症、慢性心不全症などの心不全症、または慢性閉鎖性肺疾患などの肺疾患のような病気の治療または予防に適するように用いられる。
【0037】
特に、このような薬学的組成物は、より優れた溶解度およびこれに伴う優れた生体利用率を示し、優れた安定性および剤形加工性などを示すウデナフィルの特定酸付加塩を有効成分として含むことにより、これらの病気の治療または予防により効果的に用いられる。
【0038】
一方、前記発明のさらに他の実施形態に係る薬学的組成物は、経口または非経口によって投与される任意の形態に剤形化されてもよく、それぞれの剤形化形態に応じて通常の崩壊剤、界面活性剤、充填剤、増量剤、結合剤や湿潤剤などの希釈剤、または賦形剤を追加で含んでもよい。
【0039】
例えば、前記薬学的組成物が経口投与のための固形製剤形態である場合、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、または丸剤などが含まれてもよく、例えば、炭酸カルシウム、デンプン、スクロース、ラクトース、非結晶セルロース、またはゼラチンなどの賦形剤が1つ以上含まれてもよい。また、これらの賦形剤の他にも、タルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤が含まれてもよい。
【0040】
また、前記薬学的組成物が経口投与のための液状製剤形態である場合には、通常の油剤、懸濁剤、またはシロップ剤などが含まれてもよく、俗に用いられる単純希釈剤である水または液体パラフィンの他にも多様な賦形剤、例えば甘味剤、湿潤剤、芳香剤、または保存剤などが含まれてもよい。
【0041】
さらに、前記薬学的組成物が非経口投与のための製剤である場合、滅菌された水溶液、懸濁剤、油剤、非水性溶剤、または坐薬などが含まれてもよい。より具体的に、前記非水性溶剤または懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングルリコール、またはオリーブオイルのような植物性油や、エチルオレエートのような注射が可能なエステルなどが用いられてもよく、坐薬の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツウィーン(Tween)61、カカオ油、ラウリン油、またはグリセロゼラチンなどが用いられてもよい。
【0042】
その他にも、前記薬学的組成物が剤形化される経口的または非経口的形態により、通常の賦形剤または希釈剤が特に制限なく含まれてもよい。
【0043】
一方、上述した薬学的組成物は、患者の体重、健康状態、食餌、年齢、性別、投与方法、投与時間、排泄率、または疾患の重症度に応じて適切な含量で人体に投与されてもよい。例えば、前記薬学組成物は、1回に投与される単位投与形態が10〜100mg、好ましくは10〜50mgの活性成分(すなわち、ウデナフィル酸付加塩)を含んでもよく、このような単位投与形態が成人に1回または数回に渡って投与されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明について、下記の実施例を参照しながら詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0045】
<実施例1>ウデナフィルシュウ酸塩の製造
ウデナフィル1gをエタノール10mlに懸濁させて反応液を室温で攪拌した。ここにシュウ酸0.25g(1当量)を徐々に滴下した。常温で1時間攪拌した後、生成された固体をろ過してノルマルヘキサン5mlで洗浄して真空乾燥し、白色結晶の標題化合物1.05gを収率89.5%で得た。
【0046】
1H−NMR(DMSO−d6):0.94(m、6H)、1.59(m、2H)、1.62(m、4H)、1.85(m、2H)、1.96(m、1H)、2.13(m、1H)、2.69(s、3H)、2.85(m、2H)、2.95(m、1H)、3.15(m、1H)、4.08(t、2H)、4.15(s、3H)、7.33(d、1H)、7.76(bs、1H)、7.87(d、1H)、7.93(s、1H)、12.16(s、1H)
【0047】
<実施例2>ウデナフィルベンゼンスルホネートの製造
ウデナフィル1gをアセトニトリル10mlとメタノール1mlに懸濁させて反応液を室温で攪拌した。ここにベンゼンスルホン酸0.31g(1当量)を徐々に滴下した。80℃で1時間攪拌して0〜5℃で1時間攪拌した後、生成された固体をろ過してアセトン5mlで洗浄して真空乾燥し、白色結晶の標題化合物0.98gを収率74.8%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6):0.93(m、6H)、1.60(m、2H)、1.70(m、4H)、1.84(m、1H)、1.97(m、2H)、2.18(m、1H)、2.81(m、7H)、3.05(m、1H)、3.25(m、1H)、3.53(m、1H)、4.09(t、2H)、4.15(s、3H)、7.32(m、2H)、7.57(d、1H)、7.76(t、1H)、7.87(d、1H)、7.94(s、1H)、9.30(bs、1H)、12.15(s、1H)
【0048】
<実施例3>ウデナフィルカンファースルホン酸塩の製造
ウデナフィル1gをエチルアセテート20mlに懸濁させて反応液を室温で攪拌した。ここにカンファースルホン酸0.45g(1当量)を徐々に滴下した。常温で3時間攪拌した後、生成された固体をろ過してエチルアセテート10mlで洗浄して真空乾燥し、白色結晶の標題化合物1.23gを収率89.4%で得た。
【0049】
1H−NMR(DMSO−d6):0.72(s、3H)、0.92(m、6H)、1.02(s、3H)、1.24(m、2H)、1.57(m、2H)、1.70(m、2H)、1.82(m、3H)、1.96(m、3H)、2.20(m、2H)、2.35(d、1H)、3.05(m、1H)、3.26(m、1H)、3.55(m、1H)、4.07(t、2H)、4.14(s、3H)、7.34(d、1H)、7.75(t、1H)、7.87(d、1H)、9.35(bs、1H)、12.14(s、1H)
【0050】
<実施例4>ウデナフィルケイ皮酸塩の製造
ウデナフィル1gをテトラヒドロフラン10mlに懸濁させて反応液を室温で攪拌した。ここにケイ皮酸0.29g(1当量)を徐々に滴下した。常温で3時間攪拌した後、生成された固体をろ過してアセトン5mlで洗浄して真空乾燥し、白色結晶の標題化合物1.02gを収率79.1%で得た。
【0051】
1H−NMR(DMSO−d6):0.92(m、6H)、1.27(m、2H)、1.54(m、2H)、1.67(m、5H)、1.99(m、2H)、2.12(s、3H)、2.75(m、3H)、2.86(m、1H)、3.59(t、2H)、4.08(t、2H)、4.15(s、3H)、6.52(d、1H)、7.33(d、1H)、7.40(m、3H)、7.55(d、1H)、7.66(m、2H)、7.85(d、1H)、7.94(s、1H)、12.16(bs、1H)
【0052】
<実施例5>ウデナフィルアジピン酸塩の製造
ウデナフィル1gをアセトン10mlに溶解して室温で攪拌した。ここにアジピン酸0.28g(1当量)を徐々に添加して常温で3時間攪拌した後、生成された固体をろ過してアセトン5mlで洗浄して真空乾燥し、白色結晶の標題化合物1.16gを収率90.6%で得た。
【0053】
1H−NMR(DMSO−d6):0.97(m、6H)、1.27(m、2H)、1.52(m、6H)、1.78(m、6H)、1.99(m、3H)、2.11(s、3H)、2.18(m、3H)、2.75(m、4H)、2.80(m、1H)、4.06(t、2H)、4.15(s、3H)、7.32(d、1H)、7.86(d、1H)、7.93(s、1H)、12.09(bs、1H)
【0054】
<実施例6>ウデナフィルサイクラミン酸塩の製造
ウデナフィル1gをエチルアセテート10mlに懸濁させて反応液を室温で攪拌した。ここにサイクラミン酸0.35g(1当量)を徐々に滴下した。常温で3時間攪拌した後、生成された固体をろ過してエチルアセテート5mlで洗浄して真空乾燥し、白色結晶の標題化合物1.13gを収率83.7%で得た。
【0055】
1H−NMR(DMSO−d6):0.93(m、6H)、1.03(m、3H)、1.16(m、2H)、1.36(m、5H)、1.77(m、4H)、1.89(m、5H)、2.13(m、1H)、2.70(m、3H)、2.78(t、3H)、2.84(m、3H)、3.13(m、1H)、3.46(m、1H)、4.07(t、2H)、4.14(s、3H)、7.34(d、1H)、7.73(s、1H)、7.87(d、1H)、7.94(s、1H)、12.13(s、1H)
【0056】
<比較例>フマル酸、マレイン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、クエン酸、琥珀酸、馬尿酸、タルタル酸、乳酸、マル酸、マロン酸、グルタル酸、またはホルム酸が結合したウデナフィル酸付加塩の製造
実施例1〜6で用いた有機酸の代わりに、フマル酸、マレイン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、クエン酸、琥珀酸、馬尿酸、タルタル酸、乳酸、マル酸、マロン酸、グルタル酸、またはホルム酸を用いたことを除いては、実施例1〜6と同じ方法によってウデナフィル酸付加塩を製造した。この場合、ウデナフィル酸付加塩の結晶を得ることができず、一部有機酸の場合は水または有機溶媒に溶解せず、酸付加塩自体が生成されなかった。
【0057】
<試験例1>ウデナフィル酸付加塩の結晶性/吸湿性試験
実施例1〜6および比較例のウデナフィル酸付加塩の結晶性および吸湿性を確認するために、次のような実験を行った。
【0058】
1.結晶性:
1)反応液において結晶が析出されるか否かを確認
2)結晶化:適切な溶媒にウデナフィル酸付加塩を溶解した後、結晶化を試みる
2.吸湿性:生成されたウデナフィル酸付加塩を室温相対湿度43%で2時間露出し、その重量の変化を測定した。
【0059】
前記試験の結果を下記表1に示した。
【0060】
【表1】

O:結晶生成、X:結晶未生成、−:結晶未生成によって吸湿性実験は別途実施せず
【0061】
前記表1を参照すれば、ウデナフィルがシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、またはサイクラミン酸と結合した実施例1〜6のウデナフィル酸付加塩は、結晶性を示しながらも、多湿条件下に露出したときでも吸湿性が低く、優れた安定性(特に水分安定性)を示しながら、結晶性による剤形化が容易であることが確認された。
【0062】
これに比べ、比較例のウデナフィル酸付加塩は、結晶化自体がなされず、剤形化が困難であることが確認された。
【0063】
<試験例2>溶解度試験
ウデナフィル酸付加塩の蒸溜水における溶解度を確認するために、次のような実験を行った。蒸溜水で実施例1〜6のウデナフィル酸付加塩の溶解度を測定するためにhigh performance liquid chromatography(HPLC)を施行し、その結果を下記表2に示した。
【0064】
【表2】

【0065】
このとき、HPLC分析条件は次のとおりであった。
検出器:紫外線吸光度(測定波長292nm)
カラム:オクタデシルシリカゲルC18(4.6×150mm、5μm)
移動床:二水素化燐酸カリウム水溶液(0.02M):アセトニトリル=70:30
流速:1.0ml/分
試料注入量:10μl
【0066】
前記表2に示されているように、蒸溜水でウデナフィルは検出されなかったが、ウデナフィル酸付加塩はすべて検出されるという結果を示した。このような結果は、ウデナフィルが蒸溜水でほとんど溶解されないことに比べ、実施例1〜6のウデナフィル酸付加塩は高い溶解度を示すことを示している。そのなかでも、ウデナフィルアジピン酸塩、カムシル酸塩、およびシュウ酸塩は、極めて優れた溶解度を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウデナフィルがシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、およびサイクラミン酸で構成された群から選択された1つの有機酸と結合した、ウデナフィル酸付加塩。
【請求項2】
下記化学式(2)に表示される、請求項1に記載のウデナフィル酸付加塩。
【化1】

【請求項3】
ウデナフィルをシュウ酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、アジピン酸、およびサイクラミン酸で構成された群から選択された1つの有機酸と反応させる段階を含む、ウデナフィル酸付加塩の製造方法。
【請求項4】
アセトン、エチルアセテート、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、およびアセトニトリル構成された群から選択された1つ以上の溶媒において、ウデナフィルを前記有機酸と反応させる、請求項3に記載のウデナフィル酸付加塩の製造方法。
【請求項5】
前記有機酸はウデナフィルに対して0.95〜1.1当量で用いる、請求項3に記載のウデナフィル酸付加塩の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載のウデナフィル酸付加塩を有効性分として含有し、勃起不能、門脈高血庄症、肺動脈高血圧、下部尿路異常症状を伴った前立腺肥大症、心不全症、または慢性閉鎖性肺疾患の治療または予防のために用いられる、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記ウデナフィル酸付加塩を10〜100mgで含む、請求項6に記載の薬学的組成物。

【公表番号】特表2012−517999(P2012−517999A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550069(P2011−550069)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/KR2010/000976
【国際公開番号】WO2010/095849
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(501438290)ドン ア ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】