説明

ウレタン基含有ポリイソシアネート

本発明は、イソホロンジイソシアネートをベースとするウレタン基含有新規ポリイソシアネート及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、イソホロンジイソシアネートをベースとする新規ウレタン基含有ポリイソシアネート及びその使用に関する。
【0002】
DE 10241295 A1には、ジオール、例えば1000g/モルを下廻るモル質量を有するポリアルキレングリコールと、イソホロンジイソシアネートとの反応生成物ならびにその注型用樹脂材料及び高級木材化粧張りのための被覆における使用が記載されている。他の使用については開示されていない。
【0003】
DE 4429076 A1には、ジイソシアネートと、分子量1000〜3000を有するポリエーテルポリオール及び分子量700〜3000を有するポリエステルカーボネートジオールから成る混合物から成るウレタンプレポリマー及びその被覆剤としての使用が記載されている。
【0004】
EP 620237 A2には、ジイソシアネート及び特に500〜66000のモル質量及び2〜3の官能価を有するポリエーテルポリオールから成るプレポリマーが記載されている。ポリエーテルポリオールとして、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はテトラヒドロフランと水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール又はトリメチロールプロパンとの反応生成物が挙げられる。例5において、イソホロンジイソシアネートと、トリメチロールプロパン由来のエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを含有するモル質量3500g/モルのポリエーテルポリオールとのプレポリマーが例示的に開示されている。
【0005】
生じるプレポリマーは、2.8%に過ぎない僅かなNCO含量及び25℃で13000mPasの高い粘度を有する。これは高分子量のポリエーテルポリオールが、プレポリマー中に可とう性の構成部分を導くことによる欠点であり、その結果、生じる塗料は相対的に軟質である。
【0006】
DE 10259248 A1には、非対称イソシアネート及びポリオールから成るプレポリマー及びその接着剤としての使用が記載されている。
【0007】
DE-OS 2522189には、イソホロンジイソシアネート及び非アルコキシル化トリメチロールプロパンから成るプレポリマー並びにその塗料中における使用が記載されている。
【0008】
DE-OS 2305695には、イソシアネート、好ましくはイソホロンジイソシアネート及び2〜4個のヒドロキシル基を有する低分子量ポリオールから成るプレポリマーが記載されており、この場合、これはさらにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加生成物を含み、並びに当該プレポリマーを含有するラッカーが記載されている。
【0009】
本発明の課題は、ラッカー、例えばクリアラッカーのための新規ポリイソシアネートを提供することであり、この場合、このポリイソシアネートは、高い耐ひっかき性と同時に良好な弾性を示すものである。さらにこの生成物は低い粘性を示すものでなければならず、それによってラッカー中での簡単に導入可能となる。
【0010】
本発明の課題は、一般式(I)
【化1】

[式中、Rは、k−価の基、好ましくは有機基であり、
kは、3〜6の正の整数であり、
Yは、酸素原子又は窒素原子であり、
は、それぞれiに関して互いに独立して1〜nが選択され、かつ、

その際、Phはフェニルであり、かつVinはビニルであり、
nは、それぞれkに関して互いに独立して0又は正の整数を意味するが、
但し、式(I)の化合物中において、少なくとも2個であり、かつ20個を上廻らない基Xを含有していることを条件とし、かつ、
Rbは、それぞれkに関して互いに独立して基
【化2】

又は
【化3】

を意味する]のウレタン基含有ポリイソシアネートによって解決される。
【0011】
本発明によるウレタンのベースとなるアルコールは、基Xを有するk−価のアルコールであり、その際、kは、本発明によれば3〜6、好ましくは3〜4及び特に好ましくは3である。
【0012】
このk−価アルコールは、500を下廻る分子量、好ましくは400を下廻る分子量、特に好ましくは350を下廻る分子量、殊に300を下廻る分子量及びとりわけ250g/モルを下廻る分子量を示す。
【0013】
アルコールR−(−Y−H)[式中、Yは、酸素原子を示す]に関する例は、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリット、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、ソルビット、マンニット、ジグリセロール、トレイトール、エリトリット、アドニット(リビット)、アラビット(リキシット)、キシリット及びダルシット(ガラクチット)である。
【0014】
好ましくはトリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、グリセリン及びジグリセロールであり、さらに好ましくはトリメチロールプロパン及びジグリセロールであり、かつ、特に好ましくはトリメチロールプロパンである。
【0015】
式(I)の化合物中で基Xの数は、本発明によれば少なくとも2個であり、かつ20個を上廻ることなく、好ましくは3〜16個であり、特に好ましくは3〜10個であり、とりわけ好ましくは3〜8個であり、かつ特に3〜6個である。
【0016】
好ましくはエトキシ化及び/又はプロポキシ化アルコール、特に好ましくはエトキシ化アルコールである。
【0017】
この条件を充足するために、数nは、それぞれkに関して互いに独立して0又は正の整数を意味し、例えば0〜10であり、好ましくは1〜5であり、殊に好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜3であり、かつとりわけ好ましくは1又は2である。
【0018】
式R−(−Y−[−X−H)(式中、Yは窒素を示す)のアルコールの例は、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン及び1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)シアヌル酸であり、好ましくは1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)シアヌル酸である。この場合において、nはそれぞれ1であり、かつXはそれぞれ−CH−CH−O−、−CH−CH(CH)−O−又は−CH(CH)−CH−O−である。
【0019】
基Rは、モノマーイソホロンジイソシアネートから導かれ、その際、本発明によれば、ウレタン基が第1級又は第2級炭素原子に結合するか否かについての副次的役割を担う。反応条件にしたがって大部分のウレタン基は、第2級炭素原子と結合する。E. Spyrou, Farbe und Lack 106, 10/2006, 第126-130頁によれば、例えば、ウレタン反応の選択性は種々の触媒により影響を与える。
【0020】
式(I)のウレタン基含有ポリイソシアネートの数平均分子量Mは、一般には1600を下廻り、好ましくは1400を下廻り、特に好ましくは1300を下廻り、とりわけ好ましくは1200を下廻り、かつ特に1100g/モルを下廻る。
【0021】
NCO−含量(42g/モルのモル質量を有するNCOとして換算される)は、一般に5質量%を上廻り、かつ好ましくは6質量%を上廻り、かつ15質量%まで、好ましくは14質量%までである。
【0022】
ウレタン基の他に、本発明によるウレタン基含有ポリイソシアネートは、副次的量(in untergeordneten Mengen)で、さらに他の反応性基、例えば未反応のヒドロキシル基、アロファネート基並びにイソシアヌレート基を有していてもよい。
【0023】
ウレタン基含有ポリイソシアネートを製造するために、イソホロンジイソシアネート及び相当するアルコキシル化アルコールは、溶剤の存在下又は不含下で、ウレタン化条件下で互いに反応させる。
【0024】
温度は、この反応の際に、一般に150℃まで、好ましくは120℃まで、特に好ましくは100℃を下廻り、かつとりわけ好ましくは90℃を下廻り、かつ少なくとも、ウレタン化反応を触媒する少なくとも1個の触媒の存在下で実施する。しかしながら、反応は、触媒の不含下であっても実施することができる。
【0025】
一般に、反応温度は少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、特に好ましくは少なくとも40℃であり、かつ、とりわけ好ましくは少なくとも50℃である。
【0026】
これに関して触媒は、エダクト混合物中に当該触媒が存在することによって、同一の反応条件下で当該触媒が存在しない同様のエダクト混合物と比較して、ウレタン基含有反応生成物のより高い割合を導く化合物である。
【0027】
これは、例えば有機アミン、特に第3級の脂肪族、脂環式又は芳香族アミン、及び/又はルイス酸の有機金属化合物である。ルイス酸の有機金属化合物としては、たとえば錫化合物であり、例えば有機カルボン酸の錫(II)塩、例えば錫(II)ジアセテート、錫(II)ジオクトエート、錫(II)ビス(エチルヘキサノエート)及び錫(II)ジラウレートならびに有機カルボン酸のジアルキル錫(IV)塩、たとえばジメチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジブチレート、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジラウレート及びジオクチル錫ジアセテートである。さらに亜鉛(II)塩を使用することができ、たとえば亜鉛(II)ジオクテートである。金属錯体、例えば鉄、チタン、アルミニウム、ジルコン、マンガン、ニッケル及びコバルトのアセチルアセトネートも考えられる。更なる金属触媒は、ブランクら(Blank et al.)著の有機被覆の発展、1999年、第35巻、第19〜29頁(Progress in Organic Coatings, 1999, Vol.35, Seiten 19-29)に記載されている。
【0028】
好ましいルイス酸の有機金属化合物は、ジメチル錫−ジアセテート、ジブチル錫−ジブチレート、ジブチル錫−ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫−ジラウレート、ジオクチル錫−ジラウレート、亜鉛−(II)−ジオクトエート、ジルコン−アセチルアセトネート及びジルコン−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートである。
【0029】
ビスマス−及びコバルト触媒並びにセシウム塩も、触媒として使用することができる。これに関してカルシウム塩としては、以下のアニオンの形で使用する化合物が考えられる:

その際、nは1〜20の数である。
【0030】
好ましくは、これに関して、そのアニオンが、式(C2n−1並びに(Cn+12n−22−[式中、nは1〜20である]であるセシウムカルボキシレートが挙げられる。特に好ましいセシウム塩は、アニオンとして一般式(C2n−1[式中、nは1〜20である]を示すモノカルボキシレートが好ましい。これに関して特に、ホルミエート、アセテート、プロピオネート、ヘキサノエート及び2−エチルヘキサノエートが選択される。
【0031】
さらに、触媒として使用可能であるのは:
−US-A 3 817 939による式
【化4】

[式中、Aはヒドロキシル基又は水素原子であり、
nは1〜3の数であり、
Rは多官能性の直鎖又は分枝の、脂肪族又は芳香族炭化水素基であり、かつ、

はカチオンの形で、たとえばアルカリ金属カチオン又は四級化アンモニウムカチオン、例えばテトラアルキルアンモニウムを意味する]の有機金属塩、並びに、
−DE-A26 31 733 (US-A-4 040 992)による触媒としての

【化5】

の四級化ヒドロキシアルキルアンモニウム化合物(基に関しては前記文献に示された定義を有するもの)である。
【0032】
本発明の方法のための触媒として特に適しているのは、式
【化6】

に相当する四級化アンモニウム塩である。この場合、Y−=OHに関しては、US特許 4,324,879及びドイツ特許公報2,806,731及び2,901,479に記載されている。
【0033】


は、特にカルボキシレート、カーボネート又はヒドロキシド及び特に好ましくはカルボキシレート又はヒドロキシドである。
【0034】
式中、R13は水素、C〜C20アルキル、C〜C12−アリール又はC〜C20−アリールアルキルであり、この場合、これはそれぞれ場合によっては置換されていてもよい。
【0035】
好ましくは、R13は水素又はC〜C−アルキルである。
【0036】
好ましい四級化アンモニウム塩は、それぞれ、式中、R〜R12が、1〜20個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する同一又は異なるアルキル基を示し、この場合、これは場合によっては、ヒドロキシル基又はフェニル基によって置換されている。
【0037】
基R〜R12のうちの2個は、さらに窒素原子と一緒になって、かつ場合によっては他の窒素原子又は酸素原子と一緒になって、ヘテロ環式の5、6又は7員環を形成する。基R〜R11は、それぞれの場合においてさらにエチレン基を示してもよく、この場合、これは、四級化窒素原子及び他の第三級窒素原子と一緒になって、二環式のトリエチレンジアミン構造を形成するが、但し、基R12がその後に2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基を示すことを条件とし、その際、ヒドロキシル基は、好ましくは2位において、四級化窒素原子に対して配置する。1個又は複数個のヒドロキシ置換基は、さらに他の置換基、例えばC〜C−アルキルオキシ置換基を含有していてもよい。
【0038】
これに関して、アンモニウムイオンは、さらに1員又は複員の環系の一部であってもよく、たとえばピペラジン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、チヌクリジン(Chinuclidin)又はジアザビシクロ−[2.2.2]−オクタンから誘導する。
【0039】
1〜20個の炭素原子を示す基R〜R12に関する例は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボンエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、6−エトキシヘキシル、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニルイル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、iso−プロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、ノルボルニル又はノルボルネニルである。
【0040】
好ましくは、基R〜R12は互いに独立して、C〜C−アルキルである。R12はさらにベンジル又は式
【化7】

[式中、R14及びR15は互いに独立して、水素又はC〜Cアルキルであってもよい]の基であってもよい。
【0041】
特に好ましい基R〜R12は互いに独立して、メチル、エチル及びn−ブチルであり、かつR12に関してはさらにベンジル、2−ヒドロキシエチル及び2−ヒドロキシプロピルである。
【0042】
好ましくは、本発明による方法のために以下の触媒を使用することができる:
四級化アンモニウムヒドロキシド、好ましくはN,N,N−トリメチル−N−ベンジルアンモニウムヒドロキシド及びN,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−アンモニウムヒドロキシドであり、この場合、これはDE-A-38 06 276によるものである。
【0043】
EP-A10 589 (US-A4 324 879)によるヒドロキシアルキル置換された四級化アンモニウムヒドロキシド。
【0044】
US-A-3 817 939による式
【化8】

[式中、Aはヒドロキシ基又は水素原子であり、nは1〜3の数であり、Rは多官能性の直鎖又は分枝の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基であり、かつ、Mは強塩基のカチオン、例えばアルカリ金属カチオン又は四級化アンモニウムカチオン、たとえばテトラアルキルアンモニウムである]の有機金属塩。
【0045】
好ましい触媒は亜鉛(II)塩であり、とりわけ亜鉛アセチルアセトネートである。
【0046】
さらに好ましくは、ジブチル錫ジラウレートである。
【0047】
触媒は、活性にしたがって、通常は、使用されたイソシアネート基に対して0.001〜10モル%の量で使用し、好ましくは0.5〜8、特に好ましくは1〜7及び殊に好ましくは2〜5モル%である。
【0048】
イソホロンジイソシアネートは、大抵において、アルコキシ化アルコール中でヒドロキシ基に対して少なくとも当量の化学量論量で使用し、好ましくはアルコキシ化アルコール中でヒドロキシ基に対してイソホロンジイソシアネートの1.1〜10倍過剰量で、さらに好ましくは1.2〜8及び最も好ましくは1.5〜5倍過剰量で使用する。
【0049】
イソホロンジイソシアネートの未反応部分は、反応混合物中に残留するか、あるいは、好ましくは蒸留、たとえばフラッシュ蒸留又は薄層蒸留を介して除去される。
【0050】
反応混合物中の反応していないイソホロンジイソシアネートの含量は、一般に1質量%を下廻り、好ましくは0.5質量%を下廻り、かつ特に好ましくは0.3質量%を下廻る。
【0051】
反応は、好ましくは溶剤なしで実施するが、しかしながらさらに少なくとも1個の溶剤の存在下で実施することができる。同様に、反応終了後に得られた反応混合物を、溶剤中に配合することができる。
【0052】
溶剤として使用可能であるのは、イソシアネート基に対して反応性の基を有しないものであり、かつ、その中で、ポリイソシアネートを、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも25質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも75質量%、とりわけ好ましくは少なくとも90質量%及び特には少なくとも95質量%まで溶解する化合物である。
【0053】
このような溶剤に関する例は芳香族(アルキル化ベンゼン及びナフタレンを含む)及び/又は(シクロ)脂肪族炭化水素及びその混合物、塩素化炭化水素、ケトン、エステル、アルコキシ化アルカン酸アルキルエステル、エーテル又は前記溶剤の混合物である。
【0054】
芳香族炭化水素混合物として、主に芳香族C〜C14−炭化水素を含み、かつ110〜300℃の沸点範囲を有することができるようなもの、特に有利にトルエン、o−、m−又はp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クモール、テトラヒドロナフタレン及びこれらを有する混合物が有利である。
【0055】
これに関する例は、ExxonMobil Chemical社のSolvesso(登録商標)、特にSolvesso(登録商標) 100(CAS-No. 64742-95-6,主にC〜C10芳香族化合物、沸点範囲約154〜178℃)、150(沸点範囲約182〜207℃)及び200(CAS-No. 64742-94-5)、並びにShell社のShellsol(登録商標)、Petrochem Carless社のCaromax(登録商標)(例えばCaromax(登録商標)18)及びDHC社のヒドロゾル(例えばHydrosol(登録商標) A170)である。パラフィン、シクロパラフィン及び芳香族からの炭化水素混合物は、さらに商標Kristalloel(例えばKristalloel 30、沸点範囲約158〜198℃又はKristalloel 60:CAS-Nr. 64742-82-1)、ホワイトスピリッツ(Tesbenzin)(例えば同様にCAS-Nr. 64742-82-1)又はソルベントナフサ(低沸点:沸点範囲約155〜180℃、高沸点:沸点範囲約225〜300℃)として商業的に入手可能である。この種の炭化水素混合物の芳香族化合物含有量は、一般に、90質量%を上廻り、有利に95質量%を上廻り、特に有利に98質量%を上廻り、さらに特に有利に99質量%を上廻る。ナフタレンの特に低い含有量を有する炭化水素混合物を使用するのが有利であってもよい。
【0056】
(シクロ)脂肪族炭化水素は、たとえばデカリン、アルキル化デカリンおよび直鎖状もしくは分枝鎖状のアルカンおよび/またはシクロアルカンの異性体混合物である。脂肪族炭化水素の含量は、一般には5質量%未満、好ましくは2.5質量%未満及び特に好ましくは1質量%未満である。
【0057】
エステルは、例えばn−ブチルアセテート、エチルアセテート、1−メトキシプロピルアセテート−2及び2−メトキシエチルアセテートである。
【0058】
エーテルは、たとえばテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ならびにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールのジメチル−、−エチル−又は−n−ブチルエーテルである。
【0059】
ケトンは、例えばアセトン、ジエチルケトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチルアミルケトン及びtert−ブチルメチルケトンである。
【0060】
本発明によるウレタン基含有ポリイソシアネートは、例えば、イソシアネートに対して反応性の基を含有する少なくとも1種の成分(バインダ)を有する二成分系ポリウレタンラッカー中での使用が見出される。さらにこれは単独でかまたは他のポリイソシアネートとの混合物の形で、架橋剤成分として使用することができる。
【0061】
このような他のポリイソシアネートは、モノマーイソシアネートのオリゴマー化によって得られる。
【0062】
使用されたモノマーイソシアネートは、芳香族、脂肪族又は脂環式であってもよく、好ましくは脂肪族又は脂環式であり、本願明細書中においては(シクロ)脂肪族と略し、特に好ましいのは脂肪族イソシアネートである。
【0063】
芳香族イソシアネートは、少なくとも1種の芳香族環系を含有するもの、これは純粋な芳香族、これと同様に芳香脂肪族化合物である。
【0064】
脂環式イソシアネートは、少なくとも1つの脂環式の環系を含有するものである。
【0065】
脂肪族イソシアネートは、直鎖又は分子鎖だけを有するイソシアネートであり、つまり非環式化合物である。
【0066】
モノマーイソシアネートは、好ましくは正確に2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートである。しかしながらさらにこれは原則として、1個のイソシアネート基を有するモノイソシアネートであってもよい。
【0067】
これはさらに原則として、平均して2個以上のイソシアネート基を有する高イソシアネートが考えられる。これに関して、たとえばトリイソシアネート、例えばトリイソシアナトノナン、2,4,6−トリイソシアナトトルオール、トリフェニルメタントリイソシアネート又は2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテル又はジ−、トリ−及び高ポリイソシアネートから成る混合物、この場合、これは例えば、相当するアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得られ、かつメチレン架橋を示すポリフェニルポリイソシアネートを示す。
【0068】
このモノマーイソシアネートは、本質的にイソシアネート基同士の反応生成物を有しない。
【0069】
モノマーイソシアネートは、好ましくは4〜20個の炭素原子を有するイソシアネートである。通常のジイソシアネートに関する例は、脂肪族ジイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート誘導体、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、例えば1,4−、1,3−又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4−又は2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン並びに3(又は4)、8(又は9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−異性体混合物、並びに芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−又は2,6−トルイレンジイソシアネート及びその異性体混合物、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン及びその異性体混合物、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンジル又はジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートである。
【0070】
特に好ましくは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート及び4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、特に好ましくはイソホロンジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、殊に好ましくは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0071】
挙げられたジイソシアネートの混合物であってもよい。
【0072】
イソホロンジイソシアネートは、例えば、混合物として、特にcis−及びtrans−異性体、通常は、約60:40〜80:20(w/w)の比、有利には約70:30〜75:25の比、特に有利には約75:25の比の混合物であってもよい。
【0073】
ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネートは同様に、種々のcis−及びtrans−異性体の混合物として存在することができる。
【0074】
本発明に関しては、相当するアミンのホスゲン化により得られたジイソシアネートと同様に、ホスゲンを使用することなく、すなわちホスゲン不含の方法で製造することができるジイソシアネートを使用することができる。EP-A-0 126 299 (US 4 596 678)、EP-A-126 300 (US 4 596 679)及びEP-A-355 443 (US 5 087 739)の記載によれば、例えば(シクロ)脂肪族ジイソシアネート、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、アルキレン基中に6個の炭素原子を有する異性体脂肪族ジイソシアネート、4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン及び1−イソシアナト−3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート又はIPDI)を、(シクロ)脂肪族ジアミンと、例えば尿素及びアルコールとを反応させて(シクロ)脂肪族ビスカルバミン酸エステルを得て、かつこれを熱分解して相当するジイソシアネート及びアルコールにすることにより製造する。この合成は、大抵において連続的に循環方法において、及び場合によってはN−非置換カルバミン酸エステル、ジアルキルカルボネート及び反応プロセスから返送された他の副生成物の存在下で実施する。このようにして得られたジイソシアネートは、一般には、極めて少ないかまたはそれどころか測定不可能な量の塩素化化合物を有し、これは、たとえば、電子工業中での使用が有利なものである。
【0075】
本発明の一つの実施態様において、使用されたイソシアネートは、加水分解可能な塩素の含量が200ppm未満、好ましくは120ppm未満、特に好ましくは80ppm未満、殊に好ましくは50ppm未満、とりわけ好ましくは15ppm未満及び特に10ppm未満を有する。これは、例えばASTM規格D4663-98によって測定することができる。しかしながら、高い塩素含量、例えば500ppmまでを有するモノマーイソシアネートも使用できることも自明であってもよい。
【0076】
(シクロ)脂肪族ジアミンと、例えば尿素及びアルコールとを反応させ、かつ得られた(シクロ)脂肪族ビスカルバミン酸エステルを分解することにより得られたモノマーイソシアネートと、相当するアミンのホスゲン化によって得られたジイソシアネートとの混合物を使用できることは自明である。
【0077】
モノマーイソシアネートをオリゴマー化することによるポリイソシアネートは、一般に以下の特徴を有している:
このような化合物の平均NCO官能価は、一般に少なくとも1.8であり、かつ8まで、好ましくは2〜5、及び特に好ましくは2.4〜4であってもよい。
【0078】
オリゴマー化後のイソシアネート基の含有率は、NCO=42g/モルとして換算され、別記しない限りにおいて、一般には5〜25質量%である。
【0079】
好ましいポリイソシアネートは以下の化合物である:
1)芳香族、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート由来のイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート。これに関して特に好ましくは、この場合、相応する脂肪族及び/又は脂環式イソシアナト−イソシアヌレートであり、特にヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートをベースとするものである。これに関して、存在するイソシアヌレートは、特に、ジイソシアネートの環式三量体である、トリス−イソシアナトアルキル−若しくはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレートであるか、あるいは、1個より多いイソシアヌレート環を有するそれらの高級同族体との混合物である。このイソシアナト−イソシアヌレートは、一般的に、NCO含有率が10〜30質量%、特に15〜25質量%であり、平均NCO官能価は2.6〜8である。
【0080】
2)芳香族的、脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基、好ましくは脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有する、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートであり、かつ特に、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されたものである。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環式二量化生成物である。
【0081】
ウレトジオン基を有するポリイソシアネートは、本発明の範囲内において、他のポリイソシアネート、特に1)で挙げられたものとの混合物の形で得られる。これに関して、ジイソシアネートは、反応条件下で反応することができ、これによりウレトジオン基と同様に他のポリイソシアネートを形成することができるか、あるいは、最初にウレトジオン基が形成され、かつ引き続いて他のポリイソシアネートに変換させるか、あるいは、ジイソシアネートを最初に他のポリイソシアネートに変換し、かつ引き続いてウレトジオン基含有生成物に変換させることができる。
【0082】
3)ビウレット基を有する、芳香族的、脂環式的又は脂肪族的に結合した、好ましくは脂環式的又は脂肪族的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、特にトリス(6−イソシアナトヘキシル)ビウレット又はそれらの高級同族体との混合物。このビウレット基を有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が18〜22質量%であり、かつ平均NCO官能価が2.8〜6である。
【0083】
4)芳香族的、脂肪族的又は脂環式的に結合した、好ましくは脂肪族的又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するウレタン基及び/又はアロファネート基を有するポリイソシアネート、この場合、これは例えば、過剰量のジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートを、一価又は多価のアルコールと反応させることによる。このウレタン基及び/又はアロファネート基を有するポリイソシアネートは、一般に12〜24質量%のNCO含量及び2.5〜4.5の平均NCO官能価を有する。このようなウレタン基及び/又はアロファネート基を有するポリイソシアネートは、触媒されないかまたは好ましくは触媒、例えばアンモニウムカルボキシレート又はアンモニウムヒドロキシドの存在下であるか、あるいは、アロファネート化触媒、例えば亜鉛(II)化合物の存在下で、それぞれ一価、二価又は多価のアルコール、好ましくは一価のアルコールの存在下で製造することができる。
【0084】
5)オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されたものである。オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネートは、ジイソシアネート及び二酸化炭素から得ることができる。
【0085】
6)イミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されたものである。このようなイミノオキサジアジン−ジオン基を含有するポリイソシアネートは、ジイソシアネートから特別な触媒を用いて製造可能である。
【0086】
7)ウレトンイミン変性ポリイソシアネート。
【0087】
8)カルボジイミド変性ポリイソシアネート。
【0088】
9)超分枝ポリイソシアネート、例えばDE-A1 10013186又はDE-A1 10013187から公知のものである。
【0089】
10)ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートとアルコールとから成るポリウレタン−ポリイソシアネート−プレポリマー。
【0090】
11)ポリ尿素−ポリイソシアネート−プレポリマー。
【0091】
12)ポリイソシアネート1)〜11)、好ましくは1)、3)、4)及び6)は、その製造後に、芳香族、脂環式又は脂肪族的に結合した、好ましくは(シクロ)脂肪族的に結合したイソシアネート基を有する、ビュレット基−又はウレタン−/アロファネート基を有するポリイソシアネートに変換することができる。ビュレット基の形成は、たとえば水を添加することによってか、あるいは、アミンと反応させることによって実施する。ウレタン基及び/又はアロファネート基の形成は、一価、二価又は多価、好ましくは一価のアルコールと、場合によっては適した触媒の存在下で反応させることにより実施する。このビウレット基又はウレタン基/アロファネート基を含有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が18〜22質量%であり、かつ平均NCO官能価が2.8〜6である。
【0092】
13)親水基改質化ポリイソシアネート、すなわち、1〜12に記載された基の他に、形式的にNCO反応性基及び親水性基を有する分子を、前記分子のイソシアネート基に付加することにより生じるもの、を含有するポリイソシアネートである。親水性基は、非イオン性基、たとえばアルキルポリエチレンオキシド及び/又はイオン性基、この場合、これはリン酸、ホスホン酸、硫酸又はスルホン酸又はその塩から導かれるものであってもよい。
【0093】
14)デュアルキュア(Dual Cure)適用のための変性ポリイソシアネート、すなわち、1〜12に記載された基の他に、形式的にNCO反応性基及びUV−又は化学線によって架橋可能な基を有する分子を、前記分子のイソシアネート基に付加することによって生じるもの、を含有するポリイソシアネートである。
【0094】
前記ジイソシアネート又はポリイソシアネートは、さらに少なくとも部分的にブロック化された形で存在する。
【0095】
ブロック化のために使用される化合物群は、D. A. Wicks, Z. W. Wicks, Progress in Organic Coatings, 36, 148-172 (1999), 41, 1-83 (2001)並びに43, 131-140 (2001)中に記載されている。
【0096】
ブロック化のために使用される化合物群に関する例は、フェノール、イミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、オキシム、N−ヒドロキシイミド、ヒドロキシ安息香酸エステル、第2級アミン、ラクタム、CH−酸環式ケトン、マロン酸エステル又はアセト酢酸アルキルエステルである。
【0097】
本発明の好ましい実施態様において、ポリイソシアネートは、イソシアヌレート、ビュレット、ウレタン及びアロファネートから成る基から選択され、好ましくはイソシアヌレート、ウレタン及びアロファネートから成る群から、特に好ましくはイソシアヌレート及びアロファネートから成る群から選択され、とりわけ、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。
【0098】
特に好ましい実施態様において、ポリイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート由来のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。
【0099】
他の特に好ましい実施態様において、ポリイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート由来のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。
【0100】
一つの特に好ましい実施態様において、ポリイソシアネートは、低粘度のポリイソシアネートの混合物であり、好ましくは600〜1500mPas、特に1200mPasを下廻る粘度を有するイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、200〜1600mPas、特に600〜1500mPasの粘度を有する低粘度のウレタン及び/又はアロファネート、及び/又はイミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネートである。
【0101】
本願明細書中において、粘度は、別記しない限りは、23℃でDIN EN ISO 3219/A.3にしたがって、1000s−1の速度差を有するコーンプレート粘度計(Kegel-Platte-System)を用いて示される。
【0102】
本発明によるウレタン基含有ポリイソシアネートは、場合によっては他のポリイソシアネートとの混合物の形で、架橋剤成分として、少なくとも1種のバインダと一緒にポリレタンラッカー中で使用することができる。
【0103】
一般にポリイソシアネート組成物、すなわち、イソシアネート基含有化合物の合計に対して、50〜100質量%、好ましくは50〜90質量%及び特に好ましくは60〜80質量%の本発明によるウレタン基含有ポリイソシアネートを使用し、かつ、0〜50質量%、好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%の他のポリイソシアネートを使用するが、但し、合計は常に100質量%である。
【0104】
バインダは、例えばポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール;ポリウレアポリオール;ポリエステルポリアクリレートポリオール;ポリエステルポリウレタンポリオール;ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタン変性アルキド樹脂;脂肪酸変性ポリエステルポリウレタンポリオール、アリルエーテルとのコポリマー、例えば種々のガラス温度を有する前記材料群からのグラフトポリマー並びに前記バインダの混合物である。有利なのは、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールである。
【0105】
DIN 53240-2により測定された好ましいOH数は、ポリエステルに関しては40〜350mgKOH/g固体樹脂、好ましくは80〜180mg/KOH/g固体樹脂、かつポリアクリレートオールに関しては15〜250mg/KOH/g固体樹脂、好ましくは80〜160mgKOH/g固体樹脂である。
【0106】
さらに、バインダはDIN EN ISO 3682による酸価200mgKOH/gまで、好ましくは150KOH/gまで、かつ特に好ましくは100mgKOH/gまでを有する。
【0107】
ポリアクリレートポリオールは、好ましくは分子量Mを少なくとも1000g/モル、特に好ましくは少なくとも2000g/モル及びとりわけ好ましくは少なくとも5000g/モルを示す。分子量Mは、原則上記にしたがって制限され、好ましくは200000、特に好ましくは100000、殊に好ましくは80000及びとりわけ好ましくは50000g/モルを示す。
【0108】
最終的に、たとえばα,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸(本願明細書中においては(メタ)アクリル酸と略す)と、ジオール又はポリオールとのモノエステル、この場合、これは好ましくは2〜20個の炭素原子及び少なくとも2個のヒドロキシ基を有し、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−オクタン−1,3−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリット、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、ソルビット、マンニット、ジグリセロール、トレイトール、エリトリット、アドニット(リビット)、アラビット(リキシット)、キシリット及びダルシット(ガラクチット)、マルチット、イソマルト、162〜4500、好ましくは250〜2000の分子量を有するポリ−THF、134〜2000の分子量を有するポリ−1,3−プロパンジオール又はポリプロピレングリコールであるか、あるいは、238〜2000の分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0109】
好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2又は3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート又は3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート及び特に好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート及び/又は2−ヒドロキシエチルメタクリートである。
【0110】
ヒドロキシ基を有するモノマーは、共重合中で、他の重合可能な、好ましくはラジカル重合可能なモノマーとの混合物の形で使用され、これは好ましくは、C〜C20−、好ましくはC〜C−アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルステル、ビニルハロゲン化物、4〜8個の炭素原子及び1個又は2個の二重結合を有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリル及びその混合物50質量%以上から構成される。とりわけ有利なのは、60質量%以上のC〜C10−アルキル(メタ)アクリレート、スチレンまたはその誘導体、ビニルイミダゾール又はこれらの混合物からなるポリマーである。
【0111】
さらにまた、ポリマーは、前記ヒドロキシ基含有量に相当するヒドロキシ官能性モノマーおよび場合により他のモノマー、例えば(メタ)アクリル酸グリシジルエポキシエステル、エチレン性不飽和酸、特にカルボン酸、酸無水物又は酸アミドを含んでいてもよい。
【0112】
他のポリマーは、例えばポリエステルオールであり、この場合、これは、ポリカルボン酸、殊にジカルボン酸とポリオール、殊にジオールとの縮合によって得られるものである。重合のために適合されたポリエステルポリオールの官能価を保証するために、部分的にトリオール、テトロール等、例えばトリ酸(Trisaeure)等を使用する。
【0113】
ポリエステルポリオールは、例えばUllmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 4. Auflage, Band 19, 第62頁〜第65頁から公知である。二価アルコールと二価カルボン酸との反応によって得られたポリエステルポリオールを使用することが好ましい。遊離ポリカルボン酸の代わりに、相応するポリカルボン酸無水物又は低級アルコールの相応するポリカルボン酸エステル又はそれらの混合物を、ポリエステルポリオールの製造に使用されることもできる。このポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式化合物であってよく、かつ場合により、例えばハロゲン原子で置換されており、かつ/又は不飽和であってよい。これに関する例として、以下のものが挙げられる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はテトラヒドロフタル酸、コルク酸、アゼライン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、これらの異性体及び水素化生成物、並びに前記酸のエステル化可能な誘導体、例えば無水物又はジアルキルエステル、例えばC〜C−アルキルエステル、好ましくはメチル−、エチル−、又はnーブチルエステルを使用する。一般式HOOC−(CH−COOH[式中、yは、1〜20の数であり、好ましくは2〜20の偶数である]のジカルボン酸が好ましく、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸が特に好ましい。
【0114】
このポリエステルオールの製造のための多価アルコールとしては、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、モル質量が162〜4500、好ましくは250〜2000であるポリ−THF、モル質量が134〜1178であるポリ−1,3−プロパンジオール、モル質量が134〜898であるポリ−1,2−プロパンジオール、モル質量が106〜458であるポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリット、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、ソルビット、マンニット、ジグリセロール、トレイトール、エリトリット、アドニット(リビット)、アラビット(リキシット)、キシリット、ダルシット(ガラクチット)、マルチット又はイソマルトが挙げられ、これらは場合により前記のようにアルコキシル化されていてもよい。
【0115】
一般式HO−(CH−OH[式中、xは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である]で示されるアルコールが好ましい。エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール及びドデカン−1,12−ジオールが好ましい。さらにネオペンチルグリコールが好ましい。
【0116】
更に、例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールの構成成分として挙げられた低分子アルコールの過剰量との反応によって得ることができるポリカーボネートジオールも挙げられる。
【0117】
ラクトンベースのポリエステルジオールも好適であり、この場合、ラクトンのホモ−又はコポリマー、好ましくは、好適な二官能性開始剤分子での末端ヒドロキシル基を有するラクトンの付加生成物である。ラクトンとしては、特に一般式HO−(CH−COOHで示され、その式中、zは、1〜20の数であり、かつメチレン単位のH原子は、C〜C−アルキル基で置換されていてもよい化合物から誘導されたラクトンが挙げられる。例は、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸又はピバロラクトン並びにこれらの混合物である。好適な開始剤成分は、例えば、ポリエステルポリオールの構成成分として挙げられた低分子二価アルコールである。ε−カプロラクトンの相応するポリマーが特に好ましい。低級のポリエステルジオール又はポリエーテルジオールも、ラクトンポリマーの製造のための開始剤として使用されていてよい。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに相応するヒドロキシカルボン酸の相応する化学的に等価な重縮合物も使用されうる。
【0118】
さらにポリマーとして、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドのH−活性成分への付加によって製造されるポリエーテルオールも適している。同様にブタンジオールからの重縮合物が適している。
【0119】
さらに、ヒドロキシ官能性カルボン酸、例えばジメチロールプロピオン酸又はジメチロールブタン酸を使用することができる。
【0120】
当然のことながら、ポリマーは、第一級アミノ基または第二級アミノ基を有する化合物であってもよい。
【0121】
さらに、ポリイソシアネート組成物及びバインダを、イソシアネート基とイソシアネート基に対して反応性の基とのモル比0.1:1〜10:1、好ましくは0.2:1〜5:1、特に好ましくは0.3:1〜3:1、とりわけ好ましくは0.5:1〜2:1、殊に好ましくは0.8:1〜1.2:1及び特に0.9:1〜1.1:1で互いに混合し、その際、場合によってはさらに他のラッカー構成成分を混合することができ、かつ支持体上に塗布することができる。
【0122】
引き続いて、ラッカー混合物は適した条件下で硬化する。使用に応じて、これは例えば100〜140℃の温度で実施し、たとえば、OEM−使用におけるラッカーの場合であり、あるいは、たとえば20〜80℃の低い温度で実施することもできる。
【0123】
これは温度に応じて、一般には12時間を上廻ることなく、好ましくは8時間まで、特に好ましくは6時間まで、殊に好ましくは4時間までおよびとりわけ好ましくは3時間までである。
【0124】
さらに被覆材料は、少なくとも1種のUV安定化剤を0〜10質量%含有していてもよい。
【0125】
好適な安定剤には、一般的なUV吸収剤、例えばオキサニリド、トリアジン及びベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールは、Ciba-Spezialitaetenchemie社の商標Tinuvin(登録商標)として入手できる)並びにベンゾフェノンが含まれる。
【0126】
これはさらに、0〜5質量%の好適なラジカルスカベンジャー、例えば立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジン又はその誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)セバシナートを含有していてもよい。
【0127】
さらに、被覆材料は、0〜10質量%の他のラッカーに常用の添加剤を含有していてもよい。
【0128】
他のラッカーに常用の添加剤としては、例えば酸化防止剤、活性剤(促進剤)、充填剤、顔料、染料、静電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤又はキレート化剤を使用してよい。
【0129】
増粘剤としては、ラジカル(コ)ポリマー化した(コ)ポリマーの他に、慣用の有機及び無機増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロール又はベントナイトが挙げられる。
【0130】
キレート化剤としては、例えばエチレンジアミン酢酸及びその塩並びにβ−ジケトンを使用することができる。
【0131】
好適な充填剤には、ケイ酸塩、例えば四塩化ケイ素の加水分解によって得られたケイ酸塩、例えばDegussa社のAerosil(登録商標)、珪質土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が含まれる。
【0132】
支持体の被覆は、通常の、当業者に公知の方法により行われ、その際、少なくとも1種の被覆材料を被覆されるべき支持体上に所望の厚さで塗布し、かつ場合によっては含まれる被覆材料の揮発性構成成分は、場合によっては加熱下で除去される。この工程は、所望であれば、1回又は複数回にわたって繰り返して行ってよい。支持体上への施与は、公知のように、例えば噴霧、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗、圧延、注型、成層、背面射出成形又は同時押出によって実施することができる。
【0133】
このような硬化すべき層の厚さは0.1μm〜数mmであり、好ましくは1〜2000μmであり、殊に好ましくは5〜200μmであり、とりわけ好ましくは5〜60μm(ラッカーに対して、ラッカーから溶剤を除去した状態で)である。
【0134】
さらに、本発明によるウレタン基含有ポリイソシアネートを含有するラッカーで被覆した支持体もまた本発明の対象である。
【0135】
特に適切であるのは、特に高い適用安全性、耐候性、外観、耐溶剤性および/または耐薬品性が要求される適用のためのポリウレタンラッカーである。
【0136】
得られた二成分系被覆材料及びラッカー配合物は、原則として支持体、たとえば木材、ベニヤ板、紙、厚紙、ボール紙、織物、フィルム、レザー、フリース、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物材料、たとえばセメント−成形ブロック及び繊維セメント系ボード又は金属を被覆するために適しており、この場合、これはその都度、予め被覆されているか、あるいは、予め処理されていてもよい。しかしながら特に好ましくは、プラスチック表面及び金属支持体の被覆に適している。
【0137】
好ましくは、これらの被覆材料は、クリアラッカー、ベースコート及びトップコート、プライマー、フィラーとして使用され、特に好ましくは、その高い耐ひっかき性によりトップコートとして、特にクリアラッカーとして、とりわけ、(大型)車両及び航空機、及びOEMの際の自動車用ラッカーにおいて、並びに塗換え用途のために適している。
【0138】
本発明によるウレタン基含有ポリイソシアネートの利点は、クリアラッカーに高い耐ひっかき性と同時に良好な弾性を生じさせることである。さらに本発明による生成物は、大抵においてわずかな粘性を生じる。
【0139】
さらに、使用されたアルコール及びイソホロンジイソシアネートは、他のアルコール、たとえばグリセリンよりも互いに良好に混合可能である。
【実施例】
【0140】
比較例1
1000gのイソホロンジイソシアネートを、40.2gのトリメチロールプロパンと混合し、かつ攪拌しながら80℃に加熱した。この透明な溶液に、0.5gのジブチル錫ラウレート(DBTL)を添加し、かつ1時間に亘って撹拌した。混合物を185℃の外部温度で、かつ4.9ミリバールで、薄層蒸発装置を介して蒸留した。
【0141】
固体生成物は、12.3%のNCO含量を有していた。酢酸ブチル中70%濃度の溶液は、8.7%のNCO含量及び15000mPasの粘度を有していた。
【0142】
比較例2
500gのイソホロンジイソシアネートに、27.6gのグリセリンを添加し、かつ80℃に加熱した。この混合物は、細片を有し(flockig)、かつ不均一であった。2.5時間後に0.5gのDBTLを添加し、かつ4時間に亘って撹拌した。
【0143】
混合物は不均一のままであり、かつ不適当なものであった。
【0144】
実施例1
900g(4.05モル)のイソホロンジイソシアネートを、39.2g(0.15モル)の1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)シアヌル酸と混合し、かつ60℃に加熱した。この溶液に、0.2gのDBTLを添加し、かつ5時間に亘って撹拌した。この混合物を、160℃の外部温度で、かつ1.9ミリバールで薄層蒸発装置を介して蒸留した。
【0145】
この生成物は、170〜175℃の融点及び13.9%のNCO−含量を有していた。酢酸ブチル中の70%濃度溶液は、2230mPasの粘度を有していた。
【0146】
実施例2
1000gのイソホロンジイソシアネート(4.5モル)を、308g/モルの平均分子量を有する92.4g(0.3モル)のプロポキシ化トリメチロールプロパンと一緒に混合した(ヒドロキシ基あたり約1個のプロピレンオキシド単位に相当する)。この混合物は80℃に加熱し、かつ0.2gのDBTLを添加し、かつさらに10分に亘って撹拌した。この混合物を205℃の外部温度で、かつ5.3ミリバールで、薄層蒸発装置を介して蒸留した。
【0147】
生成物の70%濃度の溶液は、7.5%のNCO含量及び7000mPasの粘度を有していた。
【0148】
実施例3
900g(4.05モル)のイソホロンジイソシアネートに、450g/モル(ヒドロキシ基あたり統計上約2.5エチレンオキシド単位に相当する)の平均分子量を有する135g(0.3モル)のエトキシ化トリメチロールピロパンを添加し、かつ81℃に加熱した。1時間後に27.6%のNCO含量に達し、かつこの透明な溶液を、薄層蒸発装置を介して205℃の外部温度で、かつ5.3ミリバールで蒸留した。
【0149】
生成物は、酢酸ブチル中の70%濃度の溶液として、540mPasの粘度及び6.6%のNCO含量を有していた。
【0150】
実施例4
900g(4.05モル)のイソホロンジイソシアネートに、730g/モル(ヒドロキシ基あたり統計上約4.6エチレンオキシド単位に相当する)の平均分子量を有する219g(0.3モル)のエトキシ化トリメチロールプロパンを添加し、かつ82℃に加熱した。1時間後に26.9%のNCO含量に達し、かつこの透明な溶液を、薄層蒸発装置を介して205℃の外部温度で、かつ5.3ミリバールで蒸留した。
【0151】
酢酸ブチル中の生成物の70%濃度の溶液は、220mPasの粘度及び5.6%のNCO含量を有していた。
【0152】
実施例5
500g(2.25モル)のイソホロンジイソシアネートに、ヒドロキシ基あたり約1個のプロピレンオキシド単位を有する79.8g(0.3モル)のプロポキシ化グリセリンを添加し、かつ80℃に加熱した。最初の不均一な混合物は透明になり、かつ0.3gのDTBLを添加した。10分後に25.8%のNCO含量に達し、かつ生成物を185℃の外部温度及び3.6ミリバールで、薄層蒸発装置を介して蒸発させた。
【0153】
酢酸ブチル中の生成物の70%濃度溶液は、970mPasの粘度及び8.3%のNCO含量を有していた。
【0154】
実施例6
500g(2.25モル)のイソホロンジイソシアネートに、188.7g(0.3モル)のプロポキシ化ペンタエリトリット(平均して8個のヒドロキシ基に対して17個のプロピレンオキシド単位、すなわち、合計でペンタエリトリット当たり8.5単位)を添加し、かつ80℃に加熱した。最初の不均一な混合物は透明になり、かつ0.3gのDTBLを添加した。15分後に18.2%のNCOを達成し、かつ混合物を185℃及び3.8ミリバールで、薄層蒸発装置を介して蒸発した。
【0155】
酢酸ブチル中の生成物の70%濃度溶液は、790mPasの粘度及び6.6%のNCO含量を有していた。
【0156】
適用例:
本発明によるポリイソシアネート及び比較例のポリイソシアネートを、ヒドロキシ官能性ポリアクリレートポリオール(Macrynal(登録商標) SM 600, Cytec社;固体含量=60%;OH価=100mgKOH/g)と、化学量論的NCO/OH比1:1により混合し、かつ酢酸ブチルを用いて20sの塗布粘度(DIN 53 211ビーカー4 mm流出ノズル)に調整した。延伸フレーム(Ziehrahmen)を用いて、塗膜は200μmの湿性フィルム厚で金属片上に塗布された。このようにして得られた透明塗膜は、10分の排気時間後に、130℃で30分硬化させ、かつ振り子硬度(Pendelhaerte)(DIN 53157、高い値は高い硬度を意味する)、エクリセン強度(DIN 53156、高い値は高い可とう性を意味する)及び配合物の非揮発性の割合(NfA)を測定した。塗膜の性質の試験は、塗布された試験片の24時間の貯蔵後に、23℃及び50%相対空気湿分の雰囲気で実施した。
【0157】
この結果は、従本発明による生成物が、従来技術に相当するイソホロンジイソシアネートとトリメチローププロパンとの付加生成物に比べて低い粘度を有することを示した。
【0158】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、Rは、K価の基、好ましくは有機基であり、
kは、3〜6の正の整数であり、
Yは、酸素原子素又は窒素原子であり、
は、それぞれiに関しては互いに独立して1〜nから選択され、かつ、

その際、Phはフェニルであり、かつ、Vinはビニルであり、
nは、それぞれkに関しては互いに独立して0又は正の整数を意味するが、但し、式(I)の化合物中で、少なくとも2個であり、かつ20個を上廻ることのない基Xが含有されていることを条件とし、かつ、
Rbは、それぞれkに関しては互いに独立して
【化2】

又は
【化3】

を意味する]のウレタン基含有ポリイソシアネート。
【請求項2】
kが3〜4の値である、請求項1に記載のウレタン基含有ポリイソシアネート。
【請求項3】
ベースとなるアルコール
−(−Y−H)
[式中、Yは酸素原子を示す]が、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリット、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、スルビット、マンニット、ジグリセロール、トレイトール、エリトリット、アドニット(リビット)、アラビット(リキシット)、キシリット及びダルシット(ガラクチット)から成る群から選択される、請求項1に記載のウレタン基含有ポリイソシアネート。
【請求項4】
が、−CH−CH−O−、−CH−CH(CH)−O−及び−CH(CH)−CH−O−から成る群から選択される、請求項3に記載のウレタン基含有ポリイソシアネート。
【請求項5】
ベースとなるアルコール
−(−Y−[−X−H)
[式中、Yは窒素原子を示す]が、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン及び1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)シアヌル酸から成る群から選択される、請求項1に記載のウレタン基含有ポリイソシアネート。
【請求項6】
NCO含量(42g/モルのモル質量を有するNCOとして換算する)が、5質量%を上廻り、かつ、15質量%までである、請求項1から5までのいずれか1項に記載のウレタン基含有ポリイソシアネート。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のウレタン基含有ポリイソシアネート、場合により他のポリイソシアネート及びイソシアネートに対して反応性の基を含有する少なくとも1種の成分を含む、二成分系ポリウレタンラッカー。
【請求項8】
クリアラッカー中での、請求項1から6までのいずれか1項に記載のウレタン基含有ポリイソシアネートの使用。
【請求項9】
大型車両、航空機のための被覆材料中での、OEMの際の自動車用ラッカー中での並びに塗換え用途のための、請求項1から6までのいずれか1項に記載のウレタン基含有ポリイソシアネートの使用。

【公表番号】特表2011−500930(P2011−500930A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530407(P2010−530407)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064013
【国際公開番号】WO2009/053307
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】