説明

ウロテンシン−IIアゴニスト及びアンタゴニスト

【課題】ウロテンシンーII(U−II)のアンタゴニスト及びアゴニスト活性を有する新規なクラスの環状ポリペプチドの提供。
【解決手段】ウロテンシンーIIのポリペプチドのC末端保存領域におけるアミノ酸配列を基本に各種ポリペプチドの合成およびその生理活性を解析し、有効と判定される環状ポリペプチドを選択する。更に、ウロテンシン−IIの過剰または過小発現に特徴付けられる生理学的または心理学的状態を治療する為の方法をも特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
【0002】
本発明は、ウロテンシン−IIポリペプチドアゴニスト及びアンタゴニスト、及びそれらの使用の方法に関する。
【発明の背景】
【0003】
ウロテンシン−II(U−II)は、強力な心血管作用を有する環状神経ペプチドである。当初は硬骨魚の尾部神経分泌系から単離され、U−IIの一次構造は、様々な魚の種、カエル類、及びヒトを包含するいくつかの種の脊椎動物について確立されている。異なる種からの様々なU−IIペプチドの配列分析が、そのN−末端領域が高度に変動性である一方でU−IIのC−末端環状領域は強く保存されていることを明らかにした。実際に、U−IIの生物学的活性の原因となるこの環状領域は、魚類からヒトまで完全に保存されている(Coulouran, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(phsiology), 95:15803-15808(1998))。進化上の圧力が、U−IIの生物学的活性配列を完全に保存するよう作用したという事実は、このポリペプチドがヒト生理学において重要な役割を果たすことを示唆する。
【0004】
U−IIの環状領域は、6アミノ酸残基(−Cys−Phe−Trp−Lys−Tyr−Cys−(配列番号:1))を包含し、そしてソマトスタチン−14の生物学的に重要な中心領域(−Phe−Trp−Lys−Thr−(配列番号:2))に構造上類似している。しかしながら、コイのプレプロウロテンシンII遺伝子の分子クローンニング及び配列分析は、U−IIとソマトスタチンが共通の祖先から派生していないことを示唆する(Ohsako, S., et al., J. Neurosci., 6:2730-2735(1986))。
【0005】
魚類においては、U−IIペプチドが一般的平滑筋収縮活性を包含する様々な活性を示すが、反応は、種や血管床(vascular bed)の間で変動することが示された(Davenport, AAnd Maquire, J., Trends in Pharmacological Sciences, 21:80-82(2000); Bern, H. A., et al., Recent Prog. Horm. Res., 45:533-552(1995))。魚類U−IIは、ラットにおける主要動脈を包含する哺乳類における収縮活性も有することが示されたが、これらペプチド作用を媒介する(複数の)受容体は、完全には特徴付けられていない。
【0006】
最近の研究で、ラットGPR14に相同性があり心血管組織において優位に発現されるオーファンヒトG−タンパク質共役受容体が、U−II受容体として機能することが報告されている(Ames, H., et al., Nature, 401:282-286(1999))。報告によれば、魚(ハゼ)及びヒトU−IIは、ヒトGPR14組換え体と高い親和性で結合し、その結合は、カルシウム可動化に機能的に共役する。ヒトU−IIは、血管及び心臓組織の両方(冠状動脈アテロームを包含する)の中で見出され、そして、非ヒト霊長類から分離された動脈を効果的に収縮させる(Ames, H., et al.,上掲)。U−IIの血管収縮の強さは実質的にエンドセリン−1のものより強く、ヒトU−IIが、現在知られる最も強力な哺乳類血管収縮剤の1つとなっている。In vivoでは、ヒトU−IIは、麻酔された非ヒト霊長類において、根深い心収縮機能不全に関連する反応である全末梢抵抗を著しく増加させる(Ames, H., et al.,上掲)。
【0007】
ヒトU−II様免疫反応性が、心臓及び血管組織(冠状動脈アテロームを包含する)内で見出されるので、U−IIは、心血管の恒常性及び病理(例えば、虚血性心疾患及び鬱血性心不全)に影響を与えると考えられている。さらに、脊髄及び内分泌組織内でのU−II免疫反応性の検出は、U−IIがヒトにおける中枢神経系及び内分泌機能のモジュレートを包含する追加的な活性を有しうることを示唆する(Ames, H., et al.,上掲)。実際、虚血性心疾患、低血圧、門脈圧亢進、狭心症、静脈瑠出血、心筋梗塞、潰瘍、及び一定の心理学的及び神経学的疾患を包含する多数の疾患が、U−II活性の過剰または過小発現に潜在的に関連付けられてきた。従って、U−II阻害剤またはアンタゴニストを包含する、U−II活性をモジュレートすることのできる強力な化合物の開発について、強い必要性がある。
【発明の要旨】
【0008】
本発明は、U−IIアンタゴニスト活性を有する新規なクラスの環状ポリペプチドを特徴とする。本発明のポリペプチドは、一般式:(R1a−AA1−シクロ[AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−Cys]−AA7−R2(式1)(式中、AA1は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;AA2は、CysのLまたはD異性体であり;AA3は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;AA4は、TrpのLまたはD異性体であり;AA5は、Lys、N−Me−Lys、またはOrnのLまたはD異性体であり;AA6は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;AA7は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;R1は、H、低級アルキル、低級アルカノイル、または低級アシルであって;aは、1または2であり;そして、R2は、OH、OR3、N(R32、またはNHR3であって、ここで、R3は、H、低級アルキル、またはアリールアルキルである。)を有するオクタペプチドである。但し、そのペプチドは、Cpa−c[D−Cys−Pal−D−Trp−Lys−Val−Cys]−Cpa−NH2ではない。
【0009】
好ましい態様においては、AA2及びAA4は、それぞれD−Cys及びL−Trpである。
別の好ましいポリペプチドにおいては、AA1はCpaであり、AA2はD−Cysであり、AA3はPheであり、AA4はTrpであり、AA5はLysであり、AA6はThrであり、そして、AA7はValである。
【0010】
特に好ましい態様においては、そのポリペプチドは、式Cpa−c[D−Cys−Phe−Trp−Lys−Thr−Cys]−Val−NH2を有するオクタペプチドである。
【0011】
本発明は、式Asp−c[Cys−Phe−Trp−Lys−Tyr−Cys]−Val−OHを有するウロテンシン−IIアゴニストポリペプチド、及びその変異体も提供する。
【0012】
本発明のポリペプチドは、U−II活性を変えることができ、そしてU−IIの受容体への結合に影響を及ぼしうる。従って、これらポリペプチドは、ウロテンシン−II活性の過剰または不足または過小発現により特徴付けられる医学的または心理学的状態を予防または治療する手段として、対象に投与されうる。そのような状態には、虚血性心疾患、鬱血性心不全、門脈圧亢進、静脈瑠出血、低血圧、狭心症、心筋梗塞、潰瘍、不安症、精神分裂症、躁鬱病、譫妄状態、痴呆症、精神遅滞症、及びジスキネジーが含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
本発明は、治療学的に有効な量の式Iのポリペプチドを、薬学的に許容できる担体と一緒に包含する医薬組成物をも提供する。適する担体には、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。その組成物は、投与の様式に適合されることができ、そして、丸剤、錠剤、カプセル剤、スプレー剤、散剤、または液状剤の形態をとることができる。
【0014】
本発明の他の特徴及び効果は、次の詳しい説明、及び請求項から明らかとなる。
定義
‘ポリペプチド’によって、ペプチド結合または修飾ペプチド結合によって互いにつながれた2またはそれを超えるアミノ酸を含んでなる、あらゆるペプチド(環状ペプチドを包含する)またはタンパク質が意味される。“ポリペプチド”とは、一般的にペプチド、オリゴペプチド、またはオリゴマーと呼ばれる短い鎖、及び一般的にタンパク質と呼ばれるより長い鎖の両方をのことを言う。ポリペプチドは、遺伝子にコードされた20アミノ酸より他のアミノ酸を含有しうる。“ポリペプチド”は、天然の方法によってか、または当該分野において周知の化学的修飾技術によって修飾されるアミノ酸配列を包含する。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖、及びアミノまたはカルボキシ末端を包含する、ポリペプチドのあらゆる場所で起こり起こりうる。
【0015】
ポリペプチドアミノ酸残基について本明細書において使用される表記は、当該分野で一般的に使用される略語である。あまり一般的でない略語であるAbu、Cpa、Nle、Pal、Tle、Dip、4−Fpa、及びNalは、それぞれ2−アミノ酪酸、p−クロロフェニルアラニン、ノルロイシン、3−ピリジル−2−アラニン、tert−ロイシン、2,2−ジフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、及び3−(2−ナフチル)アラニンまたは3−(1−ナフチル)アラニンを表す。
【0016】
“アルキル”によって、脂肪族の分岐鎖または直鎖の炭化水素基が意味される。アルキルは、同じであっても異なっていてもよくそしてハロ、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルバモイル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、またはヘテロアラルキルオキシカルボニル基を包含するがそれらに限定されない、1またはそれを超える置換基で、場合により置換される。代表的なアルキル基には、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−ペンチル、メトキシエチル、及びカルボキシメチルが含まれるが、それらに限定されない。“低級アルキル”によって、11未満の炭素原子を有する分岐鎖または直鎖のアルキル基が、好ましくはC1〜C8アルキルが意味される。
【0017】
“アシル”によって、構造R−CO−(Rは、Hまたは本明細書で説明されたアルキル基である)を有する基が意味される。“低級アシル”によって、11未満炭素原子(分岐鎖でも直鎖でも良い)が、好ましくは1〜8の炭素原子(即ち、RがHまたは低級アルキル)を有するアシル基が意味される。
【0018】
“低級アルカノイル”によって、Rが低級アルキルである、上に説明されたアシル基が意味される。
“アリール”によって、その環部分に6〜12の炭素を、好ましくはフェニル、ナフチル、またはテトラヒドロナフチルのように、その環部分に6〜10炭素を含有する単環式または二環式芳香族基が意味される。“アリールアルキル”によって、ベンジル、フェニルエチル、または2−ナフチルメチルのような、アリール置換基を有する本明細書で説明されたアルキル基が意味される。
【0019】
“薬学的に許容できる塩”によって、製薬業界において一般的に使用される、無毒性酸付加塩または金属錯体が意味される。酸付加塩の例には、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、スクシン酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸等のような有機酸;タンニン酸、カルボキシメチルセルロース等のようなポリマー酸;及び塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等のような無機酸が含まれる。金属錯体には、亜鉛、鉄等が含まれる。
【0020】
“変異体”によって、基準ポリペプチドと相違するが、本質的な特性を保持しているポリペプチドが意味される。一般的に相違は限定されるので、基準ポリペプチドとその変異体の配列は、全体に渡って密接に類似し、そして多くの領域で同一である。変異体と基準ポリペプチドは、あらゆる組み合わせでの1またはそれを超える置換、付加、及び/または欠失によって、アミノ酸配列が相違しうる。置換されまたは挿入されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによってコードされるものであってもなくてもよい。ポリペプチドの変異体は、対立形質の変異体のように天然に存在してもよいし、天然に存在することが知られていない変異体であってもよい。ポリペプチドの非天然存在変異体は、突然変異誘発技術によって、または直接合成によって作製されうる。
【0021】
一般的に、変異体は、保存的なアミノ酸置換により基準ペプチドと相違し、それによって、ある残基が、似た特性(例えば、酸性、塩基性、芳香族性等)を有する別の残基によって置換されている。典型的な置換は、Ala、Val、Leu、そしてIleの間;SerとThrの間;酸性残基であるAspとGluの間;AsnとGlnの間;及び塩基性残基であるLysとArgの間;または芳香族残基であるPheとTyrの間での置換である。
【0022】
“対象”によって、U−IIに関連した生理学的または心理学的状態を患っている動物またはヒトが意味される。その対象は、ヒト、及び、霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラット、マウス等のような非ヒト哺乳類が含まれるがそれらに限定されない哺乳類でありうる。
【0023】
“薬学的に許容できる担体”によって、投与される動物にとって生理学的に許容できる一方で、それと共に投与される化合物の治療学的特性を保持する担体が意味される。1つの例示的な薬学的に許容できる担体は、生理食塩水である。他の生理学的に許容できる担体及びそれらの製剤は、当業者にとっては公知であり、そして、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, (18th edition), ed.A.Gennaro, 1990, Mack Publishing Company, Easton, PAに記載されている。
【0024】
“芳香族アミノ酸”によって、芳香族基を含有するアミノ酸が意味される。好ましい態様においては、その芳香族アミノ酸は、次の式:
【0025】
【化1】

【0026】
(式中、Xは、結合またはHを表し、そして、Arは、場合によって置換された芳香族環を含有する部分である。)を有する。Arの例には、次の構造:
【0027】
【化2】

【0028】
(式中、Ynは、n個の場合による置換基を表し、そしてnは0、1、2または3である。)が含まれるがそれらに限定されない。
好ましい態様においては、各々の置換基Yは、NO2、CN、Cl、Br、I、F、Me、COR4、COOR4、またはOR4基を独立して表し、R4は、HまたはC1〜C8アルキルである。芳香族アミノ酸の例には、Phe、Cpa、Trp、Pal、His、β−Nal、3−ピリジル−Ala、4−ピリジル−Ala、2,4−ジクロロ−Phe、ペンタフルオロ−Phe、p−Z−Phe、及びo−Z−Phe(式中、Zは、Me、Cl、Br、F、OH、OMe、及びNO2からなる群から選択される。)が含まれるが、これらに限定されない。
【詳しい説明】
【0029】
本発明者は、完全な生物学的活性を保持するU−II配列の最小部分が、hUII(4−7)に対応するオクタペプチドAsp−c[Cys−Phe−Trp−Lys−Tyr−Cys]−Val−OH(配列番号:3)であることを見出した。このオクタペプチドは、ラット大動脈を収縮するに際し及びこの組織への結合するに際し、完全ヒトまたは魚類U−II配列よりも大きな強さを実際に有する。
【0030】
この親配列に基づき、U−IIアンタゴニスト活性を有する一連の環状オクタペプチドが合成された。これらペプチドは、U−II受容体について中程度の親和性を有することが発見され、そして環状ラット胸部大動脈細片におけるU−II誘発一過性収縮を遮断できた。本発明のポリペプチドは、一般式:(R1a−AA1−シクロ[AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−Cys]−AA7−R2(式1)(式中、AA1は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;AA2は、CysのLまたはD異性体であり;AA3は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;AA4は、TrpのLまたはD異性体であり;AA5は、Lys、N−Me−Lys、またはOrnのLまたはD異性体であり;AA6は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;AA7は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;R1は、H、低級アルキル、低級アルカノイル、または低級アシルであり;aは1または2であり;そして、R2は、OH、OR3、N(R32、またはNHR3であって、R3はH、低級アルキル、またはアリールアルキルである。)を有する。
【0031】
試験された最も強力なU−II阻害剤の1つは、約100nMのIC50及び240のKd値を有するSRIFアンタゴニストCpa−c[D−Cys−Pal−D−Trp−Lys−Val−Cys]−Cpa−アミド(配列番号:4)であった。別の強力なU−IIアンタゴニストは、約2nMのIC50を有するCpa−c[D−Cys−Phe−Trp−Lys−Thr−Cys]−Val−NH2(配列番号:5)であった。他の試験されたSRIFアンタゴニストが、下の実施例2にまとめられている(表1参照のこと)。
【0032】
本発明のポリペプチドは、U−II活性をモジュレートすることができ、それ故に、対象内のU−II活性の過剰または過小発現のいずれかに関連する生理学的及び心理学的状態を治療する為に有用である。そのような状態には、例えば、急性心不全、低血圧、高血圧、狭心症、静脈瑠出血、心筋梗塞、潰瘍、及び、不安症、精神分裂症、躁鬱病、譫妄状態、痴呆症、精神遅滞症、及びジスキネジーを包含する一定の心理学的及び神経学的疾患が含まれる。
【0033】
その状態が過剰のU−II活性に由来する時には、治療への1つのアプローチは、それらを必要とする対象に、阻害剤化合物(アンタゴニスト)を、場合によって薬学的に許容できる担体との組み合わせで、U−IIの機能を阻害する為に有効な量で、投与することである。また、U−II活性の過小発現に関連する状態を治療する為には、U−IIを活性化する化合物(アゴニスト)が投与される。
【0034】
治療学的に有効な量の式Iのポリペプチドもしくは変異体または薬学的に許容できるそれらの塩は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、もしくは皮下注射、またはインプラント)、経鼻、経膣、経直腸、舌下、または局所で、投与の経路に適合された薬学的に許容できる担体と混和して投与されうる。
【0035】
製剤を作成する為の当該分野において周知な方法は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (18thedition), ed. A. Gennaro, 1990, Mack Publishing Company, Easton, PAにおいて見出される。経口使用を意図される組成物は、医薬組成物の製造についての当該分野にとって公知なあらゆる方法に従って、固形または液状形態で調製されうる。それら組成物は、より味のよい製剤を提供する為に、甘味料、着香料、着色剤、香料、及び/または保存剤を場合によって含有することができる。経口投与の為の固形投与形態には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤が含まれる。そのような固形形態においては、活性化合物が、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容できる担体または賦形剤と混和される。これらには、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、ショ糖、デンプン、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはカオリンのような不活性希釈剤が含まれる。結合剤、緩衝化剤、及び/または滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)も使用されうる。更に、錠剤及び丸剤は、腸溶性コーティングで調製されうる。
【0036】
経口投与の為の液状投与形態には、薬学的に許容できる乳液剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤、及びソフトゼラチンカプセル剤が含まれる。これら形態は、水または油性媒質のような、当該分野において一般的に使用される不活性希釈剤を含有する。そのような不活性希釈剤の他にも、組成物は、加湿剤、乳化剤、及び懸濁剤のような補助剤も包含しうる。
【0037】
非経口投与の為の製剤には、滅菌した水性または非水性溶液剤、懸濁液剤、または乳液剤が含まれる。適するビヒクル剤の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、ゼラチン、水素化ナファレン(naphalene)類、及び、オレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。そのような製剤は、保存剤、加湿剤、乳化剤、及び分散剤のような補助剤も包含することができる。生物学的適合性で生分解性の乳酸ポリマー、乳酸/グリコール酸コポリマー、またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーが、化合物の放出を制御する為に使用されうる。本発明のポリペプチドの為の潜在的に有用な他の非経口送達系には、エチレン−酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、インプラントできる浸出系、及びリポソームが含まれる。
【0038】
液状製剤は、例えば、細菌確保性フィルターを通すろ過によって、滅菌剤をその組成物に加えることによって、またはその組成物を照射または加熱することによって滅菌されうる。また、それらは、使用直前滅菌水または何か他の滅菌した注射可能な媒質中に溶解されうる、滅菌した固形製剤の形態でも製造されうる。
【0039】
経直腸または経膣投与の為の組成物は、好ましくは、活性物質に加えて、カカオ脂または坐剤ワックスのような賦形剤を含有することができる坐剤である。経鼻または舌下投与の為の製剤も、当該分野において公知の標準的賦形剤で調製される。吸入剤の為の組成物は、賦形剤、例えばラクト−スを含有してもよく、または、例えばポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココレート及びデオキシコレートを含有する水溶液でもよく、または、経鼻の滴剤もしくはスプレー剤またはゲル剤の形態での投与の為の油性溶液でもよい。
【0040】
本発明の組成物中における活性成分の量は変動しうる。当業者は、正確な個々の投与量は、投与されるポリペプチド、投与の時間、投与の経路、製剤の性質、排泄の速度、対象の状態の性質、及び患者の年齢、体重、健康状態及び性別を包含する多様な因子に依存して、幾分調節されうることが分かるであろう。加えて、治療されるU−II関連状態の重さも、投与量レベルに影響を与える。一般的に、0.1μg/kg体重〜100mg/kg体重のレベルの投与量が、一回投与としてまたは複数回投与に分割されて、毎日投与される。好ましくは、一般的な投与量範囲は、1日あたり、体重250μg/kg体重〜5.0mg/kg体重である。様々な投与の経路における異なる有効度から見て、必要とされる投与量についての広範なバリエーションが考えられる。例えば、経口投与は、一般的に静脈内注射による投与よりも高い投与量レベルが必要と考えられる。これら投与量レベルにおけるバリエーションは、当該分野において周知の、最適化の為の標準的な日常的経験を使用して調節されうる。一般的に、治療学的に有効な正確な投与量は、上で述べた因子を考慮して担当医によって決定される。
【0041】
本発明のポリペプチドは、例えば、米国特許第5,672,659号及び第5,595,760号に記載されたもののような持続放出組成物で投与されうる。即時または持続放出組成物の使用は、治療される状態のタイプに依存する。その状態が急性または過急性障害からなるなら、即時放出形態での治療が、長期放出組成物よりも好ましい。また、予防的または長期治療の為には、持続放出組成物が一般的に好ましい。
【0042】
本発明のポリペプチドは、あらゆる適するやり方で調製されうる。本ポリペプチドは、天然に存在する供給源から単離されても、組み換え的に生成されても、もしくは合成的に生成されても、またはこれらの方法の組み合わせによって生成されてもよい。短いペプチドの合成は、当該分野において周知である。例えば、Stewart et al., Solid Phase Peptide Synthesis (Pierce Chemical Co., 2d ed., 1984)を参照のこと。本発明のペプチドは、当該分野において公知でありそして以下の実施例1に例示されている標準的なペプチド合成方法に従って合成されることができる。
【0043】
本発明は、次の実施例によって例示されるが、それらは決して本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0044】
実施例1:Cpa−c[D−Cys−Pal−D−Trp−Lys−Val−Cys]−Cpa−アミドの調製
段階1:Boc−4−クロロフェニルアラニン−S−メチルベンジル−D−システイン−3−ピリジル−2−アニラン−D−トリプトファン−Nε−ベンジルオキシカルボニルリジン−バリン−S−メチルベンジルシステイン−4−クロロフェニルアラニン−ベンズヒドリルアミンレジンの調製。
【0045】
塩素化イオン形態のベンズヒドリルアミン−ポリスチレンレジン(Advanced ChemTech, Inc,. Louisville, KY)(1.2g, 0.5mmole)が、次の反応サイクルを行うようプログラムされたAdvanced ChemTechペプチド合成機(モデル 200)の反応容器に配置された:(a)塩化メチレン;(b)塩化メチレン中の33%トリフルオロ酢酸(1分と25分についてそれぞれ2回);(c)塩化メチレン;(d)エタノール;(e)塩化メチレン;(f)クロロホルム中の10%トリエチルアミン。
【0046】
中和されたレジンは、Boc−4−クロロフェニルアラニン及びジイソプロピルカルボジイミド(各々1.5mmole)と塩化メチレン中で1時間攪拌され、そして次いで、生じたアミノ酸レジンが、上の洗浄プログラムにおける(a)から(f)までの段階のサイクルに付される。次いで、次のアミノ酸(各々1.5mmole)が同じ手順によって逐次カップリングされる:Boc−S−メチルベンジル−Cys、Boc−Val、Boc−Nε−ベンジルオキシカルボニルリジン、Boc−D−Trp、Boc−Pal、及びBoc−S−メチルベンジル−D−Cys及びBoc−4−クロロフェニルアラニン。洗浄及び乾燥の後、完成したレジンは、約2.0gであった。
段階2:脱保護及びレジンからの切り離し
段階1に記載されたレジン(1.0g,0.25mmol)が、アニソール(5mL)、ジチオスレイトール(100mg)、及び無水フッ化水素酸(35mL)と約0℃で混合され、そして45分間攪拌された。過剰のフッ化水素酸が乾燥窒素気流下で迅速に留去され、その後、遊離ペプチドが沈殿させられ、そしてエーテルで洗浄された。次いで、粗精製のペプチドが、500mLの90%酢酸中に溶解された。I2/メタノールの濃縮溶液が持続性の茶色が観測されるまで加えられた。過剰のI2が、アスコルビン酸の添加によって除去され、そしてその溶液は小容量に濃縮され、それが、VYDACTMオクタデシルシランシリカ(10〜15μm)のカラム(2.5×90cm)に付された。これが、アセトニトリルの0.1%トリフルオロ酢酸水中でのリニアグラジェントで溶出された。画分は、薄層クロマトグラフィー及び分析的高速液体クロマトグラフィーによって検査され、そして最大純度を与えるまでプールされた。水からなる溶液の繰り返し凍結乾燥が、125mgの望まれる生成物を、白色のふわふわした粉末として与えた。
【0047】
生成物は、HPLC及びTLCによって均質であると認められた。酸加水分解産物のアミノ酸分析及びマトリックス補助レーザー脱着MSにより、オクタペプチドの組成が確認された。本発明の他のペプチドは、類似した手順を使用して、適切な反応物で作製されうる。
実施例2:U−IIアンタゴニストをアッセイする為のラット大動脈環状細片の使用
実験の前に5〜7日間隔離された雄Sprague−Dawleyラット(250〜350g)が、断頭で犠牲にされた(実験は、Tulane医科大学の動物供給源についての諮問委員会によって承認された)。胸部大動脈は、切り裂かれ、結合性組織から遊離され、そして幅およそ1.5mmで輪切りにされた。その輪は、高カリウムKreb’s溶液(9.15g/L塩化カリウム、2.1g/L炭酸水素ナトリウム、1.0g/Lグルコース、0.16g/Lリン酸2水素カリウム、0.14g/L硫酸マグネシウム(無水)、及び0.22g/L塩化カルシウム(2水和物))を含有する15mLオーガンバス中へ吊るされた。
【0048】
最適の張度(0.2g)が組織に適用され、そしてバス媒質が37℃に維持され、95%O2/5%CO2の混合物でバブリングされた。オーガンバスに据え付ける前に、選択された標本が、内皮細胞層を除去する為に湿った木綿羊毛綿棒でこすられ、そして、この手順の効果が、アセチルコリン−弛緩試験を使用して試験された(Gibson, A., Br. J. Pharmacol. 91:205 (1987))。その大動脈輪は、90分間最適な張度で平衡になるようにされた。その平衡時間の間、バス溶液は15分ごとに取り替えられた。ペプチドの様々な濃度での、大動脈輪の収縮反応は、ボルトで表現された。大動脈平滑筋張度の変化は、力転置変換器(force-displacement transducer)(Radnoti)及びAcqKnowledge ACK100 Version 3.2(BIOPAC Systems, Inc., Santa Barbara, CA)を使用して等尺で記録された。
【0049】
シリコン処理したガラスチューブ中で、ペプチドが、イオン除去された水に1μg/1μLの濃度で溶解され(ストック溶液)、そして次いで、滅菌BSA−生理食塩水溶液(0.1%BSA, fraction V, Sigma, St. Louis in 0.9% NaCl)で1:10に希釈された。全てのペプチド溶液は、実験のすぐ前に新しく調製された。10-6〜10-12M/Lの濃度範囲であって16〜80μLの最終容量のペプチドが、95%O2及び5%CO2で絶え間なく通気されたKrebs緩衝液、及び最適の休止張度(1〜0.2g)の大動脈輪を含有する試験オーガンバスへ、直ちに導入された。ペプチドに誘発される大動脈輪の張度の変化は、力転置変換器によって記録され、そして上で記載コンピューターシステムBIOPAC Inc.によって加工処理された。各々の輪は、1つのペプチド濃度だけに曝された。
【0050】
当該分野の公知のアッセイ技術を使用して、U−IIの最小で十分に強力な配列が、ラット大動脈収縮を誘発するに際し完全なヒト及び魚類配列よりも実際に強力であるオクタペプチドAsp−c[Cys−Phe−Trp−Lys−Tyr−Cys]−Val−OH(配列番号:3)であることを見出した。様々なソマトスタチン(SRIF)アンタゴニストが、環状ラット胸部大動脈細片において、U−II誘発一過性収縮を遮断する能力があることが発見された。最も強力な阻害剤の1つは、約100nMのIC50及び240nMのKdを有するSRIFアンタゴニストCpa−c[D−Cys−Pal−D−Trp−Lys−Val−Cys]−Cpa−アミド(配列番号:4)であった。ポリペプチドCpa−c[D−Cys−Phe−Trp−Lys−Thr−Cys]−Val−NH2も、2nMのIC50を有する強いU−IIアンタゴニストであった。他の試験された化合物は、下の表1にまとめられている。
【0051】
【表1】

【0052】
均等物
本発明は好ましい態様を参照して説明されてきたが、当業者は、その本質的特徴を容易に理解することができ、そして、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明を様々な使用及び条件に適合させる為の様々な変更及び修飾をすることができる。当業者は、日常の実験だけを使用して、本明細書に記載された発明の具体的態様の多くの均等なものを認識または確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0053】
本明細書において言及された全ての公開及び特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドまたはその変異体であって、前記ポリペプチドが、式:
(R1a−AA1−シクロ[AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−Cys]−AA7−R2
(式中、
AA1は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;
AA2は、CysのLまたはD異性体であり;
AA3は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;
AA4は、TrpのLまたはD異性体であり;
AA5は、Lys、N−Me−Lys、またはOrnのLまたはD異性体であり;
AA6は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;
AA7は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;
1は、H、低級アルキル、低級アルカノイル、または低級アシルであって;aは、1または2であり;そして、R2は、OH、OR3、N(R32、またはNHR3であって、ここでR3は、H、低級アルキル、またはアリールアルキルである。)
を有するポリペプチド、または前記ポリペプチドもしくは変異体の薬学的に許容できる塩。但し、前記ペプチドはCpa−c[D−Cys−Pal−D−Trp−Lys−Val−Cys]−Cpa−NH2ではない。
【請求項2】
請求項1記載のポリペプチドであって、前記芳香族アミノ酸が、式;
【化1】

〔(式中、Xは、Hまたは結合であって、そしてArは
【化2】

(式中、nは、0、1、2または3であり、そして各々の置換基Yは、NO2、CN、Cl、Br、I、F、Me、COR4、COOR4、またはOR4基を独立して表し、R4はHまたはC1〜C8アルキルである。)からなる群から選択される部分を表す。〕
を有するポリペプチド。
【請求項3】
請求項1記載のポリペプチドであって、AA3が、Phe、Trp、Pal、His、β−Nal、3−ピリジル−Ala、4−ピリジル−Ala、2,4−ジクロロ−Phe、ペンタフルオロ−Phe、p−Z−Phe、及びo−Z−Phe(Zは、Me、Cl、Br、F、OH、OMe、及びNO2からなる群から選択される)からなる群から選択されるポリペプチド。
【請求項4】
請求項1記載のポリペプチドであって、AA4がL−Trpであるポリペプチド。
【請求項5】
請求項1記載のポリペプチドであって、AA2がD−Cysであるポリペプチド。
【請求項6】
請求項5記載のポリペプチドであって、AA3がPheであり、AA4がTrpであり、AA5がLysであり、AA6がThrであり、AA7がValであり、そしてAA1がCpaであるポリペプチド。
【請求項7】
請求項6記載のポリペプチドであり、前記ポリペプチドが、式Cpa−c[D−Cys−Phe−Trp−Lys−Thr−Cys]−Val−NH2(配列番号:5)を有するポリペプチド。
【請求項8】
ポリペプチドもしくはその変異体、または前記ポリペプチドもしくは変異体の薬学的に許容できる塩、及び薬学的に許容できる担体を含んでなる医薬組成物であって、前記ポリペプチドが、式:
(R1a−AA1−シクロ[AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−Cys]−AA7−R2
(式中、
AA1は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;
AA2は、CysのLまたはD異性体であり;
AA3は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;
AA4は、TrpのLまたはD異性体であり;
AA5は、Lys、N−Me−Lys、またはOrnのLまたはD異性体であり;
AA6は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nleまたは芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;
AA7は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nleまたは芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;
1は、H、低級アルキル、低級アルカノイル、または低級アシルであって;aは、1または2であり;そして、R2は、OH、OR3、N(R32、またはNHR3であり、ここでR3は、H、低級アルキル、またはアリールアルキルである。)
を有する医薬組成物。但し、前記ペプチドはCpa−c[D−Cys−Pal−D−Trp−Lys−Val−Cys]−Cpa−NH2ではない。
【請求項9】
請求項8記載の医薬組成物であって、前記芳香族アミノ酸が、式:
【化3】

〔式中、Xは、Hまたは結合であり、そしてArは、
【化4】

(式中、nは、0、1、2または3であり、そして各々の置換基Yは、NO2、CN、Cl、Br、I、F、Me、COR4、COOR4またはOR4基を独立して表し、R4はHまたはC1〜C8アルキルである。)からなる群から選択される部分を表す。〕
を有する医薬組成物。
【請求項10】
請求項8記載の医薬組成物であって、AA3が、Phe、Trp、Pal、His、β−Nal、3−ピリジル−Ala、4−ピリジル−Ala、2,4−ジクロロ−Phe、ペンタフルオロ−Phe、p−Z−Phe、及びo−Z−Phe(Zは、Me、Cl、Br、F、OH、OMe、及びNO2からなる群から選択される)からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項11】
請求項8記載の医薬組成物であって、AA4がL−Trpである医薬組成物。
【請求項12】
請求項8記載の医薬組成物であって、AA2がD−Cysである医薬組成物。
【請求項13】
請求項12記載の医薬組成物であって、AA3がPheであり、AA4がTrpであり、AA5がLysであり、AA6がThrであり、AA7がValであり、そしてAA1がCpaである医薬組成物。
【請求項14】
請求項13記載の医薬組成物であって、前記ポリペプチドが、式Cpa−c[D−Cys−Phe−Trp−Lys−Thr−Cys]−Val−NH2(配列番号:5)を有する医薬組成物。
【請求項15】
請求項8記載の医薬組成物であって、前記担体が、生理食塩水、緩衝化された生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される医薬組成物。
【請求項16】
過剰のウロテンシン−II活性によって特徴付けられる異常な状態を予防または治療する方法であって、前記方法が、治療学的に有効な量のポリペプチドまたはその変異体または薬学的に許容できるそれらの塩を対象に投与することを含んでなり、前記ポリペプチドが、式:
(R1a−AA1−シクロ[AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−Cys]−AA7−R2
(式中、
AA1は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;
AA2は、CysのLまたはD異性体であり;
AA3は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;
AA4は、TrpのLまたはD異性体であり;
AA5は、Lys、N−Me−Lys、またはOrnのLまたはD異性体であり;
AA6は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;
AA7は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;
1は、H、低級アルキル、低級アルカノイル、または低級アシルであって;aは、1または2であり;そして、R2は、OH、OR3、N(R32、またはNHR3であり、ここで、R3は、H、低級アルキル、またはアリールアルキルである)
を有する方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法であって、前記状態が、虚血性心疾患、鬱血性心不全、門脈圧亢進症、静脈瘤出血、低血圧、狭心症、心筋梗塞、潰瘍、不安症、精神分裂症、躁鬱病、譫妄状態、痴呆症、精神遅滞症、及びジスキネジーからなる群から選択される方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、前記状態が虚血性心疾患である方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法であって、前記状態が鬱血性心不全である方法。
【請求項20】
請求項17記載の方法であって、前記状態が門脈圧亢進症である方法。
【請求項21】
請求項17記載の方法であって、前記状態が静脈瑠出血である方法。
【請求項22】
ウロテンシン−II(U−II)ペプチドの作用をモジュレートする方法であって、前記方法が、ポリペプチドまたはその変異体または薬学的に許容できるそれらの塩を対象に投与することを含んでなり、前記ポリペプチドが、式:
(R1a−AA1−シクロ[AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−Cys]−AA7−R2
(式中、
AA1は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;
AA2は、CysのLまたはD異性体であり;
AA3は、芳香族アミノ酸のL異性体であり;
AA4は、TrpのLまたはD異性体であり;
AA5は、Lys、N−Me−Lys、またはOrnのLまたはD異性体であり;
AA6は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;
AA7は、Val、Thr、Leu、Ile、tert−Leu、Abu、Nle、または芳香族アミノ酸のLまたはD異性体であり;
1は、H、低級アルキル、低級アルカノイル、または低級アシルであって;aは、1または2であり;そして、R2は、OH、OR3、N(R32、またはNHR3であって、ここで、R3は、H、低級アルキル、またはアリ−ルアルキルである。)
を有する方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法であって、前記モジュレートが、前記U−IIペプチドの効果を低下させることを含んでなる方法。
【請求項24】
ウロテンシンIIアゴニストポリペプチドまたはその変異体であって、前記ポリペプチドが式:Asp−c[Cys−Phe−Trp−Lys−Tyr−Cys]−Val−OH(配列番号:3)を有するポリペプチドまたはそのその変異体。
【請求項25】
ウロテンシン−II(U−II)ペプチドの作用をモジュレートする方法であって、前記方法が請求項24のポリペプチドを対象に投与することを含んでなる方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法であって、前記モジュレートが、前記U−IIペプチドの作用を高めることを含んでなる方法。
【請求項27】
ウロテンシン−II活性の過小発現により特徴付けられる異常な状態を予防または治療する方法であって、前記方法が、治療学的に有効な量の請求項24のポリペプチドを対象に投与することを含んでなる方法。

【公開番号】特開2006−342170(P2006−342170A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185286(P2006−185286)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【分割の表示】特願2002−536313(P2002−536313)の分割
【原出願日】平成13年10月19日(2001.10.19)
【出願人】(501228417)ジ・アドミニストレーターズ・オブ・ザ・ツーレイン・エデュケイショナル・ファンド (6)
【出願人】(503256070)ソシエテ・ドゥ・コンセーイュ・ドゥ・ルシェルシュ・エ・ダプリカスィヨン・スイヤンティフィック・エス・アー・エス (1)
【Fターム(参考)】