説明

エアゾール缶のキャップ

【課題】
エアゾール缶のキャップを、その缶内残存ガス排出時にも使用できるよう設けた。
【解決手段】
フランジ状頂板12の内外両周縁から内外両筒13、14を垂下させて、その内筒上端の開口17を、外筒ないし頂板にヒンジ連結した蓋板16で開閉自在に閉塞して、内筒下端部をエアゾール缶上端部の環状突条3外面へ嵌合可能とし、又内筒内面へ横壁25を設けて、上記蓋板を開蓋しかつ倒立させて環状突条3外面へ内筒上部を嵌合させると、横壁25がエアゾール缶の噴射ボタン4を、該エアゾール缶内の残存ガス噴出位置まで押下げ可能に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアゾール缶のキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール缶に装着されている肩カバーにより、噴射ヘッドを、噴射位置に拘束可能に構成したエアゾール缶が提案されている。(例えば特許文献1参照)
【0003】
上記特許文献1に記載されているエアゾール缶は、円筒状のエアゾール缶の頭部から突出するばね付勢状態のバルブステムに基端部で嵌着する噴射ボタンが、エアゾール缶上部に装着されている肩カバーにより、噴射位置に拘束可能に構成している。
【0004】
その構造を詳述すれば、肩カバーは、エアゾール缶の肩部をカバーする外周面部と、その上端に形成され、かつバルブステムを中心とする環状の上面周辺部とを備えている。また、バルブステムに対して噴射ボタンの周面部の少なくとも両側2箇所に、爪が外側方へ向けて突設されている。更に、前記上面周辺部には、噴射ボタンの押下げ操作に応動する爪の上下動をガイドするように、上下方向へ形成されたガイド溝の側面部の下端から回転方向に沿って円弧状に形成されたガイド面部と、バルブステムのばね付勢により上動した爪を噴射位置に拘束するように、ガイド面部の回転方向の終端に連続して上方へ向けて形成され、かつ上端に爪を当接させる当接面部を有する爪拘束溝とが形成されている。
【特許文献1】特開2004−188373号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のエアゾール缶は、噴射ボタンを回転させる操作だけで、ガス抜き、手離し噴射或いは全量噴射を行わせるための連続噴射が可能になる。従って、収納液を使い切った後の残ガスを容易に排出できるという利点がある。しかしながら、このエアゾール缶は、この様な作用、効果を達成するために、上記した如き複雑なガイド溝や爪拘束溝を肩カバーに設けなくてはならず、煩雑な構造となる。また、噴射ボタンにも爪を形成しなければならないため、既存の噴射ボタンを使用することができないという不便もある。
【0006】
本発明は、エアゾール缶に嵌合させるキャップを利用して、上記残存ガス排出の際はそのキャップを倒立嵌合させることで、容易にその排出が可能としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段としてフランジ状頂板12の内外両周縁から内外両筒13、14を垂下させると共に内筒上端が形成する口部17を、外筒ないし頂板にヒンジ連結させて突設した蓋板16で開閉自在に閉塞し、又内筒13内面には横壁25を横設し、上記内筒下端部内面をエアゾール缶が上端部に有する環状突条3外面へ嵌合させて、エアゾール缶1に嵌合させたキャップであって、
上記蓋板16を開蓋し、かつキャップを倒立させて内筒上端部内面を上記環状突条3外面へ嵌合させたとき、上記横壁25がエアゾール缶の噴射ボタン4をエアゾール缶内ガス噴出位置まで押下げ可能に形成した。
【0008】
第2の手段として上記第1の手段を有すると共に上記蓋板16を、外筒14の上端からヒンジ15を介して突出させ、又内筒13の下部にはほぼ等間隔に複数の縦割溝24を内筒下端面へ開口させて穿設した。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のようにすることで、通常正立状態で使用するキャップを、エアゾール缶内残存ガス排出時は、蓋体16を開き、かつ倒立させて内筒13上部を環状突条3外面へ嵌合させるだけで行うことが出来るから便利であり、そのようにすることによりガス抜きが出来る事を認識させることができ、キャップの構造も簡易とすることが出来る。
【0010】
請求項2のようにすることで、キャップ倒立使用時に蓋体16がその倒立使用の際、エアゾール缶上部外面等に当って邪魔されることなく嵌合でき、又内筒下端に複数縦割溝24を下端面へ開口させて縦設することで、その内筒下部をエアゾール缶の環状突条3外面へ適度の挟持力を保った状態に嵌合でき、そのキャップ着脱が容易かつ確実となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面について説明すると、1は従来公知のエアゾール缶で、その胴部上端からは斜上内方へテーパ状に肩部2を起立しており、その肩部上端からはその肩部上端とエアゾール缶頂壁外周とを共に巻締して形成された環状突条3を起立している。4はノズル孔5付きの噴射ボタンで、頂壁中央部を貫通して起立するステム上端へ嵌着されており、その噴射ボタンは付勢に抗して押下げしたとき缶内液体がノズル孔から噴出し、又その押下げ解放で噴射ボタンは上昇して液体噴出を停止するものである。
【0012】
11はキャップで、フランジ状頂板12の内外周縁から内外両筒13、14を垂下し、又外筒後部上端から、薄肉ヒンジ15を介して突出させた蓋板16で上記内筒の上端が形成する口部17を開閉自在に閉塞している。
【0013】
該蓋板は、図2が示すように上記口部を閉塞する閉塞板部17の外周部下面から口部内壁面へ嵌合させるシール短筒18を垂下し、又その閉塞板部の前後からは帯状板を突出してその後方帯板19後端を薄肉ヒンジ15を介して外筒後部上端に連続し、又前方帯板20は図1が示すようにその前端を指掛け部21としており、閉蓋時に上記後方帯板19および前方帯板20を嵌合させる後方および前方の両凹部22、23を頂板12上面に穿設し、閉蓋時後方帯板が後方凹部内へ、又前方帯板20が前方凹部内へそれぞれ嵌合して蓋板と頂板との各上面は面一となるよう設けている。
【0014】
内筒13の下部にはほぼ等間隔に複数の縦割溝24を内筒下端面へ開口させて穿設している。それ等縦割溝の高さは、環状突条3外面へ内筒下部を、その下端面を肩部の上部外面に当接させたとき、その環状突条上面よりも上方に縦割溝上端が位置するよう設けている。
【0015】
内筒13の内面には内筒内を上下に区分する横壁25を横設している。該横壁は、図3が示すようにキャップ11を倒立させ、内筒上端部内へ環状突条3を嵌合させたとき、横壁25が噴射ボタン4上面を押下げて、該位置ではエアゾール缶内の残存ガスがノズル孔5から噴射するよう設けたものである。横壁25一部には残存ガス排出孔26を穿設するとよい。
【0016】
上記キャップは、開蓋状態で合成樹脂材により一体成形すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】エアゾール缶への嵌合状態で示す、本発明キャップの断面図である。
【図2】図1キャップを蓋板開蓋状態で示す平面図である。
【図3】エアゾール缶内残存ガス排出のためにエアゾール缶へ、キャップを倒立状態で嵌合させて示す断面図である。
【符号の説明】
【0018】
11 キャップ 12 フランジ状頂板
13 内筒 14 外筒
16 蓋板 17 口部
24 縦割溝 25 横壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ状頂板12の内外両周縁から内外両筒13、14を垂下させると共に内筒上端が形成する口部17を、外筒ないし頂板にヒンジ連結させて突設した蓋板16で開閉自在に閉塞し、又内筒13内面には横壁25を横設し、上記内筒下端部内面をエアゾール缶が上端部に有する環状突条3外面へ嵌合させて、エアゾール缶1に嵌合させたキャップであって、
上記蓋板16を開蓋し、かつキャップを倒立させて内筒上端部内面を上記環状突条3外面へ嵌合させたとき、上記横壁25がエアゾール缶の噴射ボタン4をエアゾール缶内ガス噴出位置まで押下げ可能に形成した
ことを特徴とするエアゾール缶のキャップ。
【請求項2】
上記蓋板16を、外筒14の上端からヒンジ15を介して突出させ、又内筒13の下部にはほぼ等間隔に複数の縦割溝24を内筒下端面へ開口させて穿設した
ことを特徴とする請求項1記載のエアゾール缶のキャップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−204103(P2007−204103A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23867(P2006−23867)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】