エアゾール装置
【課題】簡単な構成でワンタッチタイプのエアゾール容器の噴射音を低減できるエアゾール装置を提供する。
【解決手段】エアゾール装置における、内側側面部18および外側側面部16間の空間であって内側噴射用開口部20と外側噴射用開口部22周辺の空間を他の空間から仕切るように適宜位置に設けたオーバーキャップ14において、内側噴射用開口部20、外側噴射用開口部22および隔壁24のうちの何れか、例えば隔壁24を凹凸形状に形成したものである。
【解決手段】エアゾール装置における、内側側面部18および外側側面部16間の空間であって内側噴射用開口部20と外側噴射用開口部22周辺の空間を他の空間から仕切るように適宜位置に設けたオーバーキャップ14において、内側噴射用開口部20、外側噴射用開口部22および隔壁24のうちの何れか、例えば隔壁24を凹凸形状に形成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ノズルからエアゾール容器内のガスや液体を噴射させるエアゾール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール装置の噴射部の形態には、大きく分けて2つのタイプが存在し、消費者が使用時点でオーバーキャップを取り外してノズル部材そのものを露出させて用い、保管時にはノズル部材を保護するようにオーバーキャップを被せる一般的なタイプと、消費者が使用時にオーバーキャップを取り外さなくて済むように、オーバーキャップの一部を切り欠いてノズル部材を露出して用いるタイプが存在する。
【0003】
後者のタイプは、使用時点においてはオーバーキャップを取り外さなくてもノズル部材が露出しているためワンタッチで使用でき消費者の利便性が高く、デザイン性に優れている。
【0004】
エアゾールのように内容物を噴射する際に発生する音(噴射音)は、ノズル部材の噴射口や噴射口までの形状等によって、高音域であったり低音域であったりと、様々に音質が変化し、また、内容物のガス残量程度によって音量が変化する。さらに、消費者にとっては他人に気づかれないように使用できるよう噴射音自体を小さくすることが要望され、場合によっては耳障りな噴射音と感じられる場合もあり、改善が望まれていた。
【0005】
この噴射音に関して、内容物を噴出時に通過する噴出量路の流路壁に消音材を形成して、噴射音を低減する技術が特開2006−167596号(特許文献1)に開示されている。
【0006】
また、ステムと連通する連通路を塞いで押しボタン本体に取付けられるノズル本体にエアゾール内容物が衝突するように噴射室を形成し、噴射室の前面に複数の噴射口を形成して、噴射に伴う圧迫感と冷え感を押え、噴射音も小さくできるようにした技術が特開2003−311192号(特許文献2)に開示されている。
【0007】
噴射音の低減のため、噴射口を囲んで内側演円周壁と内側波型壁とからなる二重構造を備えて、それらの間に隙間を形成して消音効果を高めたエアゾール容器が特開2000−185783号(特許文献3)に開示されている。
【特許文献1】特開2006−167596号
【特許文献2】特開2003−311192号
【特許文献3】特開2000−185783号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では消音材を設け、特許文献2の技術では噴射室形成のためにノズル本体を取付け、特許文献3の技術では、二重構造を形成するなど、従来のオーバーキャップでは、噴射のために別体物を取付けるなど部品点数が多く、組み立ての工数が多いという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、簡単な構成でワンタッチタイプのエアゾール容器の噴射音を低減できるエアゾール装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はエアゾール装置にかかるものである。
【0011】
本発明は、エアゾールなどのスプレー缶の噴射口を突没動作により開閉するステムにノズル部材を取付け、このノズル部材を上記ステムの突没動作方向に移動可能に保持するオーバーキャップを有したエアゾール装置において、
前記オーバーキャップは、前記スプレー缶の巻締め部に取付けられる筒状の外側側面部を有し、外側側面部の一部には外側噴射用開口部を設けると共に、前記外側側面部の内方には、ノズル部材を突没操作可能にしてノズル部材の外周面形状と略同一の内周面形状を有する内側側面部を備え、ノズル部材の噴射口中心と、内側噴射用開口部中心および外側噴射用開口部中心が同一方向に位置合わせされて、ノズル部材から噴射される内容物は内側噴射用開口部に向けて噴射されるものであり、
内側側面部および外側側面部間に内側噴射用開口部と外側噴射用開口部を連通させる隔壁を設け、
内側噴射用開口部、外側噴射用開口部および隔壁のうちの少なくとも一つを、凹凸形状に形成したことを特徴とするエアゾール装置である。
【0012】
本発明においては、隔壁が波板形状に形成されたことが好適である。
【0013】
本発明においては、内側噴射用開口部または外側噴射用開口部に少なくとも一方の内周縁部が凹凸に形成されていることが好適である。
【0014】
本発明においては、内側噴射用開口部および外側噴射用開口部の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁がそれら内側噴射用開口部および外側噴射用開口部を連通させる筒状のものであって、隔壁の内周面形状が凹凸に形成されていることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1〜4記載のエアゾール装置によれば、外側側面部および内側側面部間に内側噴射用開口部と外側噴射用開口部を連通させる隔壁を設け、内側噴射用開口部、外側噴射用開口部および隔壁のうちの少なくとも一つを、凹凸形状に形成したので、ノズル部材から内側噴射用開口部に向けて内容物を噴射する際の噴射音を凹凸形状によって緩和して、気にならないようにすることができる。噴射音の低減を、特許文献1のように、消音材を設けたり、特許文献2のように複数の噴射口のある部材によってノズル本体を形成したり、特許文献3のように噴出口を囲む環状壁を設けたりする必要がなく、隔壁を凹凸に形成するという簡単な構成で噴射音を低減できる。また、単に隔壁を設けるのに比較して凹凸形状によってより効果的に噴射音を低減できる。
【0016】
本発明において、隔壁が波板形状に形成したり、内側噴射用開口部または外側噴射用開口部に少なくとも一方の内周縁部を凹凸に形成したりすることができる。
【0017】
また、本発明において、内側噴射用開口部および外側噴射用開口部の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁がそれら内側噴射用開口部および外側噴射用開口部を連通させる筒状のものとして、隔壁の内周面形状を凹凸に形成することによって、噴射流路全体に面して凹凸形状を位置させるので、効率良く噴射音を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1〜図5は本発明の各実施形態の説明図である。
図1(a)、(b)は実施形態1に係るオーバーキャップの斜視図、縦断面図である。図2(a)、(b)は図1のオーバーキャップにおけるノズル部材の配設前・後のオーバーキャップの底面図である。図3(a)、(b)、(c)は実施形態2に係るオーバーキャップの斜視図、b−b線に沿う横断面図、正面視図である。図4(a)、(b)は実施形態3に係るオーバーキャップの斜視図、底面図である。図5(a)、(b)、(c)は実施形態4に係るオーバーキャップの斜視図、b−b線に沿う横断面図、正面視図である。図6(a)、(b)は従来例1に係るオーバーキャップの斜視図、底面図、(c)、(d)は比較例1に係るオーバーキャップの斜視図、底面図、(e)、(f)は比較例2に係るオーバーキャップの縦断面図、底面視図である。
【0020】
本実施形態1は、図1に示すように、エアゾール(液体と気体の混合物)などの内容物を収容したスプレー缶10の噴射口を突没動作により開閉するステム10aにノズル部材12を取付け(スプレー缶10、ステム10a、ノズル部材12はいずれも想像線で示す)、このノズル部材12を上記ステム10aの突没動作方向に移動可能に保持するオーバーキャップ14を有したエアゾール装置に関するものである。
【0021】
スプレー缶10は、例えばスチールやアルミニウム等からなる金属製の耐圧容器ある。内容物として、制汗剤、殺菌剤、消臭剤、芳香剤等の有効成分に溶剤や補助剤を含む液体に液体ガスや圧縮ガス等の噴射剤が充填されている。
【0022】
前記オーバーキャップ14は、前記スプレー缶10の巻締め部10bに取付けられる筒状の外側側面部16を有し、外側側面部16の一部には外側噴射用開口部22を設けると共に、前記外側側面部16の内方には、ノズル部材12を突没操作可能にしてノズル部材12の外周面形状と略同一の内周面形状を有する内側側面部18を備えて内側側面部18および外側側面部16とがプラスチック樹脂によって一体成形されており、ノズル部材12の噴射口中心12aと、内側噴射用開口部20中心20aおよび外側噴射用開口部22中心22aが同一方向に位置合わせされて、ノズル部材12から噴射される内容物は内側噴射用開口部20に向けて噴射され、外側噴射用開口部22から外部に噴出するものである。
【0023】
内側側面部18および外側側面部16間には、内側噴射用開口部20と外側噴射用開口部22を連通させるための空間を仕切る隔壁24を設けている。図2に示すように、内側側面部18および外側側面部16間の空間であって内側噴射用開口部20と外側噴射用開口部22周辺の空間を他の空間から仕切るように適宜位置に設ける。
【0024】
実施形態1では、内側噴射用開口部20、外側噴射用開口部22および隔壁24のうちの隔壁24に、凹凸形状に形成したものである。具体的には、図2に示すように、隔壁24はほぼ同厚の板材をオーバーキャップ14軸方向視で波うち形状にしたつまり波板形状に形成されている。このように実施形態1では、隔壁24を軸方向に沿って同形の波板形状とするので、オーバーキャップ14成型時に型抜きを軸方向にスムーズに行うことができ成形を簡易に行うことができる。
【0025】
実施形態2に係るオーバーキャップ14は、図3に示すように、内側噴射用開口部20を円形状とし、外側噴射用開口部22の内周縁部を凹凸に形成し、隔壁24はこれら内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22を連通するように円筒形状に形成されているものである。凹凸が外側噴射用開口部22に形成するので、凹凸の形成が容易である。
なお、その他部分の構成は実施形態1のオーバーキャップ14と同様である。
【0026】
実施形態3に係るオーバーキャップ14は、図4に示すように、内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁24がそれら内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22を連通させる軸方向に沿う板状のものである。凹凸が内側噴射用開口部20と外側噴射用開口部22に形成して充分に消音効果を得ることができ、また、隔壁24は軸方向に沿うので、オーバーキャップ14成型時に型抜きを軸方向にスムーズに行うことができ成形を簡易に行うことができる。
なお、その他部分の構成は実施形態1のオーバーキャップ14と同様である。
【0027】
実施形態4に係るオーバーキャップ14では、図5に示すように、内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁24がそれら内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22を連通させる筒状のものであって、隔壁24の内周面形状が凹凸に形成されている。内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22の各内周縁部の凹凸と隔壁24の凹凸を連続成形しているものである。別体の周壁凹凸筒をオーバーキャップ14に挿通させて形成できるので、成形が容易である。また、筒状隔壁24に凹凸を設けるので、消音効果が大きい。
その他部分の構成は実施形態1のオーバーキャップ14と同様である。
【0028】
次に、上記した実施形態の作用を説明する。
【0029】
実施形態に係るオーバーキャップ14の消音効果を官能試験によって評価した。
【0030】
図6に従来例1と比較例1〜2のオーバーキャップA,B,Cを示す。いずれも外側側面部110および内側側面部112が一体成形され実施形態と同様構成である。
【0031】
図6(a)、(b)は、内側噴射用開口部100および外側噴射用開口部102間の隔壁の無い従来例のオーバーキャップAの斜視図、底面図である。
【0032】
図6(c)、(d)は、内側噴射用開口部100および外側噴射用開口部102間にオーバーキャップに軸方向に面方向が沿う凹凸の無い隔壁104が形成された比較例1のオーバーキャップBの斜視図、底面図である。
【0033】
図6(e)、(f)は、内側噴射用開口部100および外側噴射用開口部102間を連通する凹凸の無いラッパ状に拡径する筒状の隔壁106が形成された比較例2のオーバーキャップCの斜視図、底面図である。
【0034】
試験では上記の実施形態1、実施形態2、実施形態4と、従来例1、比較例1、比較例2の各オーバーキャップをスプレー缶10に取付けて、内容物を噴射したときの噴射音について評価した。評価方法は、n=10人による官能試験を行ったものである。
【0035】
試験結果を表1に示す。
【表1】
この評価結果から、従来例1では、噴射音には耳障りな音が含まれたままであった。また、比較例1と比較例2では、耳障りな音が少し減少しているが充分ではなかった。
【0036】
これに対して、実施形態1、実施形態4では、噴射音には耳障りな音がなく、音の小さくなった。また、実施形態2では、噴射音には耳障りな音がなかった。
【0037】
尚、本発明のエアゾール装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)、(b)は実施形態1に係るオーバーキャップの斜視図、縦断面図である。
【図2】(a)、(b)は図1のオーバーキャップにおけるノズル部材の配設前・後のオーバーキャップの底面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は実施形態2に係るオーバーキャップの斜視図、b−b線に沿う横断面図、正面視図である。
【図4】(a)、(b)は実施形態3に係るオーバーキャップの斜視図、底面図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は実施形態4に係るオーバーキャップの斜視図、b−b線に沿う横断面図、正面視図である。
【図6】(a)、(b)は従来例1に係るオーバーキャップの斜視図、底面図、(c)、(d)は比較例1に係るオーバーキャップの斜視図、底面図、(e)、(f)は比較例2に係るオーバーキャップの縦断面図、底面視図である。
【符号の説明】
【0039】
10 スプレー缶
10a ステム
10b 巻締め部
12 ノズル部材
12a 噴射口中心
14 オーバーキャップ
16 外側側面部
18 内側側面部
20 内側噴射用開口部
20a 内側噴射用開口部の中心
22 外側噴射用開口部
22a 外側噴射用開口部の中心
24 隔壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ノズルからエアゾール容器内のガスや液体を噴射させるエアゾール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール装置の噴射部の形態には、大きく分けて2つのタイプが存在し、消費者が使用時点でオーバーキャップを取り外してノズル部材そのものを露出させて用い、保管時にはノズル部材を保護するようにオーバーキャップを被せる一般的なタイプと、消費者が使用時にオーバーキャップを取り外さなくて済むように、オーバーキャップの一部を切り欠いてノズル部材を露出して用いるタイプが存在する。
【0003】
後者のタイプは、使用時点においてはオーバーキャップを取り外さなくてもノズル部材が露出しているためワンタッチで使用でき消費者の利便性が高く、デザイン性に優れている。
【0004】
エアゾールのように内容物を噴射する際に発生する音(噴射音)は、ノズル部材の噴射口や噴射口までの形状等によって、高音域であったり低音域であったりと、様々に音質が変化し、また、内容物のガス残量程度によって音量が変化する。さらに、消費者にとっては他人に気づかれないように使用できるよう噴射音自体を小さくすることが要望され、場合によっては耳障りな噴射音と感じられる場合もあり、改善が望まれていた。
【0005】
この噴射音に関して、内容物を噴出時に通過する噴出量路の流路壁に消音材を形成して、噴射音を低減する技術が特開2006−167596号(特許文献1)に開示されている。
【0006】
また、ステムと連通する連通路を塞いで押しボタン本体に取付けられるノズル本体にエアゾール内容物が衝突するように噴射室を形成し、噴射室の前面に複数の噴射口を形成して、噴射に伴う圧迫感と冷え感を押え、噴射音も小さくできるようにした技術が特開2003−311192号(特許文献2)に開示されている。
【0007】
噴射音の低減のため、噴射口を囲んで内側演円周壁と内側波型壁とからなる二重構造を備えて、それらの間に隙間を形成して消音効果を高めたエアゾール容器が特開2000−185783号(特許文献3)に開示されている。
【特許文献1】特開2006−167596号
【特許文献2】特開2003−311192号
【特許文献3】特開2000−185783号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では消音材を設け、特許文献2の技術では噴射室形成のためにノズル本体を取付け、特許文献3の技術では、二重構造を形成するなど、従来のオーバーキャップでは、噴射のために別体物を取付けるなど部品点数が多く、組み立ての工数が多いという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、簡単な構成でワンタッチタイプのエアゾール容器の噴射音を低減できるエアゾール装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はエアゾール装置にかかるものである。
【0011】
本発明は、エアゾールなどのスプレー缶の噴射口を突没動作により開閉するステムにノズル部材を取付け、このノズル部材を上記ステムの突没動作方向に移動可能に保持するオーバーキャップを有したエアゾール装置において、
前記オーバーキャップは、前記スプレー缶の巻締め部に取付けられる筒状の外側側面部を有し、外側側面部の一部には外側噴射用開口部を設けると共に、前記外側側面部の内方には、ノズル部材を突没操作可能にしてノズル部材の外周面形状と略同一の内周面形状を有する内側側面部を備え、ノズル部材の噴射口中心と、内側噴射用開口部中心および外側噴射用開口部中心が同一方向に位置合わせされて、ノズル部材から噴射される内容物は内側噴射用開口部に向けて噴射されるものであり、
内側側面部および外側側面部間に内側噴射用開口部と外側噴射用開口部を連通させる隔壁を設け、
内側噴射用開口部、外側噴射用開口部および隔壁のうちの少なくとも一つを、凹凸形状に形成したことを特徴とするエアゾール装置である。
【0012】
本発明においては、隔壁が波板形状に形成されたことが好適である。
【0013】
本発明においては、内側噴射用開口部または外側噴射用開口部に少なくとも一方の内周縁部が凹凸に形成されていることが好適である。
【0014】
本発明においては、内側噴射用開口部および外側噴射用開口部の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁がそれら内側噴射用開口部および外側噴射用開口部を連通させる筒状のものであって、隔壁の内周面形状が凹凸に形成されていることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1〜4記載のエアゾール装置によれば、外側側面部および内側側面部間に内側噴射用開口部と外側噴射用開口部を連通させる隔壁を設け、内側噴射用開口部、外側噴射用開口部および隔壁のうちの少なくとも一つを、凹凸形状に形成したので、ノズル部材から内側噴射用開口部に向けて内容物を噴射する際の噴射音を凹凸形状によって緩和して、気にならないようにすることができる。噴射音の低減を、特許文献1のように、消音材を設けたり、特許文献2のように複数の噴射口のある部材によってノズル本体を形成したり、特許文献3のように噴出口を囲む環状壁を設けたりする必要がなく、隔壁を凹凸に形成するという簡単な構成で噴射音を低減できる。また、単に隔壁を設けるのに比較して凹凸形状によってより効果的に噴射音を低減できる。
【0016】
本発明において、隔壁が波板形状に形成したり、内側噴射用開口部または外側噴射用開口部に少なくとも一方の内周縁部を凹凸に形成したりすることができる。
【0017】
また、本発明において、内側噴射用開口部および外側噴射用開口部の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁がそれら内側噴射用開口部および外側噴射用開口部を連通させる筒状のものとして、隔壁の内周面形状を凹凸に形成することによって、噴射流路全体に面して凹凸形状を位置させるので、効率良く噴射音を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1〜図5は本発明の各実施形態の説明図である。
図1(a)、(b)は実施形態1に係るオーバーキャップの斜視図、縦断面図である。図2(a)、(b)は図1のオーバーキャップにおけるノズル部材の配設前・後のオーバーキャップの底面図である。図3(a)、(b)、(c)は実施形態2に係るオーバーキャップの斜視図、b−b線に沿う横断面図、正面視図である。図4(a)、(b)は実施形態3に係るオーバーキャップの斜視図、底面図である。図5(a)、(b)、(c)は実施形態4に係るオーバーキャップの斜視図、b−b線に沿う横断面図、正面視図である。図6(a)、(b)は従来例1に係るオーバーキャップの斜視図、底面図、(c)、(d)は比較例1に係るオーバーキャップの斜視図、底面図、(e)、(f)は比較例2に係るオーバーキャップの縦断面図、底面視図である。
【0020】
本実施形態1は、図1に示すように、エアゾール(液体と気体の混合物)などの内容物を収容したスプレー缶10の噴射口を突没動作により開閉するステム10aにノズル部材12を取付け(スプレー缶10、ステム10a、ノズル部材12はいずれも想像線で示す)、このノズル部材12を上記ステム10aの突没動作方向に移動可能に保持するオーバーキャップ14を有したエアゾール装置に関するものである。
【0021】
スプレー缶10は、例えばスチールやアルミニウム等からなる金属製の耐圧容器ある。内容物として、制汗剤、殺菌剤、消臭剤、芳香剤等の有効成分に溶剤や補助剤を含む液体に液体ガスや圧縮ガス等の噴射剤が充填されている。
【0022】
前記オーバーキャップ14は、前記スプレー缶10の巻締め部10bに取付けられる筒状の外側側面部16を有し、外側側面部16の一部には外側噴射用開口部22を設けると共に、前記外側側面部16の内方には、ノズル部材12を突没操作可能にしてノズル部材12の外周面形状と略同一の内周面形状を有する内側側面部18を備えて内側側面部18および外側側面部16とがプラスチック樹脂によって一体成形されており、ノズル部材12の噴射口中心12aと、内側噴射用開口部20中心20aおよび外側噴射用開口部22中心22aが同一方向に位置合わせされて、ノズル部材12から噴射される内容物は内側噴射用開口部20に向けて噴射され、外側噴射用開口部22から外部に噴出するものである。
【0023】
内側側面部18および外側側面部16間には、内側噴射用開口部20と外側噴射用開口部22を連通させるための空間を仕切る隔壁24を設けている。図2に示すように、内側側面部18および外側側面部16間の空間であって内側噴射用開口部20と外側噴射用開口部22周辺の空間を他の空間から仕切るように適宜位置に設ける。
【0024】
実施形態1では、内側噴射用開口部20、外側噴射用開口部22および隔壁24のうちの隔壁24に、凹凸形状に形成したものである。具体的には、図2に示すように、隔壁24はほぼ同厚の板材をオーバーキャップ14軸方向視で波うち形状にしたつまり波板形状に形成されている。このように実施形態1では、隔壁24を軸方向に沿って同形の波板形状とするので、オーバーキャップ14成型時に型抜きを軸方向にスムーズに行うことができ成形を簡易に行うことができる。
【0025】
実施形態2に係るオーバーキャップ14は、図3に示すように、内側噴射用開口部20を円形状とし、外側噴射用開口部22の内周縁部を凹凸に形成し、隔壁24はこれら内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22を連通するように円筒形状に形成されているものである。凹凸が外側噴射用開口部22に形成するので、凹凸の形成が容易である。
なお、その他部分の構成は実施形態1のオーバーキャップ14と同様である。
【0026】
実施形態3に係るオーバーキャップ14は、図4に示すように、内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁24がそれら内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22を連通させる軸方向に沿う板状のものである。凹凸が内側噴射用開口部20と外側噴射用開口部22に形成して充分に消音効果を得ることができ、また、隔壁24は軸方向に沿うので、オーバーキャップ14成型時に型抜きを軸方向にスムーズに行うことができ成形を簡易に行うことができる。
なお、その他部分の構成は実施形態1のオーバーキャップ14と同様である。
【0027】
実施形態4に係るオーバーキャップ14では、図5に示すように、内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁24がそれら内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22を連通させる筒状のものであって、隔壁24の内周面形状が凹凸に形成されている。内側噴射用開口部20および外側噴射用開口部22の各内周縁部の凹凸と隔壁24の凹凸を連続成形しているものである。別体の周壁凹凸筒をオーバーキャップ14に挿通させて形成できるので、成形が容易である。また、筒状隔壁24に凹凸を設けるので、消音効果が大きい。
その他部分の構成は実施形態1のオーバーキャップ14と同様である。
【0028】
次に、上記した実施形態の作用を説明する。
【0029】
実施形態に係るオーバーキャップ14の消音効果を官能試験によって評価した。
【0030】
図6に従来例1と比較例1〜2のオーバーキャップA,B,Cを示す。いずれも外側側面部110および内側側面部112が一体成形され実施形態と同様構成である。
【0031】
図6(a)、(b)は、内側噴射用開口部100および外側噴射用開口部102間の隔壁の無い従来例のオーバーキャップAの斜視図、底面図である。
【0032】
図6(c)、(d)は、内側噴射用開口部100および外側噴射用開口部102間にオーバーキャップに軸方向に面方向が沿う凹凸の無い隔壁104が形成された比較例1のオーバーキャップBの斜視図、底面図である。
【0033】
図6(e)、(f)は、内側噴射用開口部100および外側噴射用開口部102間を連通する凹凸の無いラッパ状に拡径する筒状の隔壁106が形成された比較例2のオーバーキャップCの斜視図、底面図である。
【0034】
試験では上記の実施形態1、実施形態2、実施形態4と、従来例1、比較例1、比較例2の各オーバーキャップをスプレー缶10に取付けて、内容物を噴射したときの噴射音について評価した。評価方法は、n=10人による官能試験を行ったものである。
【0035】
試験結果を表1に示す。
【表1】
この評価結果から、従来例1では、噴射音には耳障りな音が含まれたままであった。また、比較例1と比較例2では、耳障りな音が少し減少しているが充分ではなかった。
【0036】
これに対して、実施形態1、実施形態4では、噴射音には耳障りな音がなく、音の小さくなった。また、実施形態2では、噴射音には耳障りな音がなかった。
【0037】
尚、本発明のエアゾール装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)、(b)は実施形態1に係るオーバーキャップの斜視図、縦断面図である。
【図2】(a)、(b)は図1のオーバーキャップにおけるノズル部材の配設前・後のオーバーキャップの底面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は実施形態2に係るオーバーキャップの斜視図、b−b線に沿う横断面図、正面視図である。
【図4】(a)、(b)は実施形態3に係るオーバーキャップの斜視図、底面図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は実施形態4に係るオーバーキャップの斜視図、b−b線に沿う横断面図、正面視図である。
【図6】(a)、(b)は従来例1に係るオーバーキャップの斜視図、底面図、(c)、(d)は比較例1に係るオーバーキャップの斜視図、底面図、(e)、(f)は比較例2に係るオーバーキャップの縦断面図、底面視図である。
【符号の説明】
【0039】
10 スプレー缶
10a ステム
10b 巻締め部
12 ノズル部材
12a 噴射口中心
14 オーバーキャップ
16 外側側面部
18 内側側面部
20 内側噴射用開口部
20a 内側噴射用開口部の中心
22 外側噴射用開口部
22a 外側噴射用開口部の中心
24 隔壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾールなどのスプレー缶の噴射口を突没動作により開閉するステムにノズル部材を取付け、このノズル部材を上記ステムの突没動作方向に移動可能に保持するオーバーキャップを有したエアゾール装置において、
前記オーバーキャップは、前記スプレー缶の巻締め部に取付けられる筒状の外側側面部を有し、外側側面部の一部には外側噴射用開口部を設けると共に、前記外側側面部の内方には、ノズル部材を突没操作可能にしてノズル部材の外周面形状と略同一の内周面形状を有する内側側面部を備え、ノズル部材の噴射口中心と、内側噴射用開口部中心および外側噴射用開口部中心が同一方向に位置合わせされて、ノズル部材から噴射される内容物は内側噴射用開口部に向けて噴射されるものであり、
内側側面部および外側側面部間に内側噴射用開口部と外側噴射用開口部を連通させる隔壁を設け、
内側噴射用開口部、外側噴射用開口部および隔壁のうちの少なくとも一つを、凹凸形状に形成したことを特徴とするエアゾール装置。
【請求項2】
隔壁が波板形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のエアゾール装置。
【請求項3】
内側噴射用開口部または外側噴射用開口部に少なくとも一方の内周縁部が凹凸に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール装置。
【請求項4】
内側噴射用開口部および外側噴射用開口部の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁がそれら内側噴射用開口部および外側噴射用開口部を連通させる筒状のものであって、隔壁の内周面形状が凹凸に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール装置。
【請求項1】
エアゾールなどのスプレー缶の噴射口を突没動作により開閉するステムにノズル部材を取付け、このノズル部材を上記ステムの突没動作方向に移動可能に保持するオーバーキャップを有したエアゾール装置において、
前記オーバーキャップは、前記スプレー缶の巻締め部に取付けられる筒状の外側側面部を有し、外側側面部の一部には外側噴射用開口部を設けると共に、前記外側側面部の内方には、ノズル部材を突没操作可能にしてノズル部材の外周面形状と略同一の内周面形状を有する内側側面部を備え、ノズル部材の噴射口中心と、内側噴射用開口部中心および外側噴射用開口部中心が同一方向に位置合わせされて、ノズル部材から噴射される内容物は内側噴射用開口部に向けて噴射されるものであり、
内側側面部および外側側面部間に内側噴射用開口部と外側噴射用開口部を連通させる隔壁を設け、
内側噴射用開口部、外側噴射用開口部および隔壁のうちの少なくとも一つを、凹凸形状に形成したことを特徴とするエアゾール装置。
【請求項2】
隔壁が波板形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のエアゾール装置。
【請求項3】
内側噴射用開口部または外側噴射用開口部に少なくとも一方の内周縁部が凹凸に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール装置。
【請求項4】
内側噴射用開口部および外側噴射用開口部の各内周縁部が凹凸に形成され、隔壁がそれら内側噴射用開口部および外側噴射用開口部を連通させる筒状のものであって、隔壁の内周面形状が凹凸に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2009−269638(P2009−269638A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120093(P2008−120093)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】
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