説明

エアタービン付スピンドル装置

【課題】 羽根車2の回転効率及び停止効率を向上させる事ができる構造を実現する。
【解決手段】 羽根車本体4の外周面とハウジング6bの内周面との間に存在する円環状空間20bの径方向の幅寸法を、全周に亙り大きくする。この為に、上記ハウジング6bの内周面からタービンエアノズル22及びブレーキエアノズル23を突出させると共に、これら各ノズル22、23の先端開口(エア噴出口)を、それぞれ上記羽根車本体4の外周面に近接対向させる。この様な構成を採用する事により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、静電塗装機や精密加工機等を構成する為に使用するエアタービン付スピンドル装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
図4〜5は、静電塗装機の静電スプレーガンを構成する為に使用される、エアタービン付スピンドル装置の従来構造の第1例を示している。このエアタービン付スピンドル装置は、中空の主軸1の基端部(図4の右端部)に羽根車2を、この主軸1と同心に固定している。この羽根車2は、円輪部3と、この円輪部3の片側面(図4の右側面)の径方向中間部に固設した短円筒状の羽根車本体4とを備えたもので、上記円輪部3を上記主軸1の基端面に、ねじ止め等により結合固定している。又、上記羽根車本体4の外周面には複数のタービン羽根5、5を、全周に亙り形成している。
【0003】
又、上記主軸1及び羽根車2は、ハウジング6の内側に、ラジアル静圧気体軸受7及びアキシアル静圧気体軸受8により、回転自在に支持している。図示の例では、このうちのラジアル静圧気体軸受7を構成する為、上記ハウジング6の中間部内側に、多孔質材により全体を円筒状に形成したラジアル軸受部材9を固定すると共に、このラジアル軸受部材9の内周面を上記主軸1の中間部外周面に微小隙間を介して対向させ、更に上記ハウジング6の内部に上記ラジアル軸受部材9に通じる給気通路10、10を設けている。又、上記アキシアル静圧気体軸受8を構成する為、上記ハウジング6の基端(図4の右端)寄り部内側に、多孔質材により断面矩形で全体を円環状に形成したアキシアル軸受部材11を固定すると共に、このアキシアル軸受部材11の側面(図4の右側面)を、上記羽根車2を構成する円輪部3の他側面(図4の左側面)の外径側部分に微小隙間を介して対向させ、更に上記アキシアル軸受部材11にも上記各給気通路10、10を通じさせている。
【0004】
上述の様なラジアル、アキシアル各静圧気体軸受7、8により、上記主軸1及び羽根車2を回転自在に支持する場合には、上記各給気通路10、10と、上記ラジアル、アキシアル各軸受部材9、11の内部に存在する多数の孔とを通じて、上記各微小隙間に、それぞれ圧縮空気を連続供給する。これにより、これら各微小隙間の全体に圧縮空気の膜を形成する事で、上記主軸1及び羽根車2を、上記ラジアル、アキシアル各軸受部材9、11に対し、非接触状態で回転自在に支持する。尚、上記各微小隙間に連続供給した圧縮空気は、上記ラジアル軸受部材9の内部に設けた排気孔12、12、上記ハウジング6の内部に設けた排気通路13、このハウジング6の内部に存在する隙間等を通じて、順次、外部空間に排出する。又、図示は省略するが、本例のエアタービン付スピンドル装置を使用して静電スプレーガンを完成させた状態では、上記羽根車2の片側面を別のアキシアル静圧気体軸受により支持する事で、上記主軸1及び羽根車2の軸方向の位置決めを図る。
【0005】
又、上記ハウジング6の基端部で、上記羽根車本体4の径方向外方に位置する部分の内周面は、この羽根車本体4の外周面に対し、全周に亙り近接対向させている。又、上記ハウジング6の基端部で、上記羽根車本体4の径方向外方に位置する部分の内部の円周方向複数個所(図示の例では、円周方向等間隔の6個所)には、タービンエアノズル孔14、14を形成している。これらタービンエアノズル孔14、14の中心軸は、それぞれ上記ハウジング6の中心軸と直交する仮想平面内に配置しており、且つ、このハウジング6の径方向に対し、同方向に所定角度傾斜させている。そして、この様な各タービンエアノズル孔14、14の上流端開口を、それぞれ上記ハウジング6の基端部外周寄り部分に全周に亙り形成したタービンエア供給通路15に連通させると共に、このタービンエア供給通路15の円周方向1個所を、上記ハウジング6の基端面に開口する状態で設けたタービンエア供給口16に連通させている。又、上記各タービンエアノズル孔14、14の下流端開口(タービンエア噴出口)を、それぞれ上記ハウジング6の基端部内周面に開口させている。これにより、上記各タービンエアノズル孔14、14の下流端開口を、それぞれ上記羽根車本体4の外周面に設けた複数のタービン羽根5、5に近接対向させている。
【0006】
又、上記各タービンエアノズル孔14、14を形成した上記ハウジング6の基端部の内部で、円周方向に関してこれら各タービンエアノズル孔14、14から外れた部分には、ブレーキエアノズル孔17を形成している。このブレーキエアノズル孔17の中心軸は、上記各タービンエアノズル孔14、14の中心軸と同じ仮想平面内に配置しており、且つ、上記ハウジング6の径方向に対し、上記各タービンエアノズル孔14、14の中心軸と反対方向に所定角度傾斜させている。そして、この様なブレーキエアノズル孔17の上流端開口を、上記ハウジング6の基端面に開口する状態で設けたブレーキエア供給口18に連通させると共に、上記ブレーキエアノズル孔17の下流端開口(ブレーキエア噴出口)を、上記ハウジング6の基端部内周面に開口させている。これにより、上記ブレーキエアノズル孔17の下流端開口を、上記羽根車本体4の外周面に設けた複数のタービン羽根5、5に近接対向させている。
【0007】
又、上記ハウジング6の基端寄り部分で、前記アキシアル軸受部材11の径方向内方に位置する部分に、円環状の回転検出センサ19を支持固定している。そして、この回転検出センサ19の検出面(図4の右側面)を、前記羽根車2の他側面(図4の左側面)に設けたエンコーダ(図示せず)に近接対向させる事により、この羽根車2の回転速度等の回転情報を検出する為の回転検出装置を構成している。
【0008】
上述の様に構成するエアタービン付スピンドル装置を使用して、静電スプレーガンを完成させた状態で、被塗装面の塗装を行なう際には、前述の様にして、ハウジング6に対し主軸1及び羽根車2を、ラジアル、アキシアル各静圧気体軸受7、8により回転自在に支持する。そして、この状態で、タービンエア供給口16及びタービンエア供給通路15を通じて複数のタービンエアノズル孔14、14に、圧縮空気を送り込む。そして、この圧縮空気を、これら各タービンエアノズル孔14、14の下流端開口から噴出し、羽根車本体4の外周面に形成した複数のタービン羽根5、5に吹き付ける。これにより、上記羽根車2及び主軸1を、正転方向(図5の矢印イ方向)に、数万min-1 程度の回転速度で高速回転させる。そして、この状態で、上記主軸1の内側に挿通した塗料供給管(図示せず)を通じて、上記主軸1の先端部(図4の左端部)のうち上記ハウジング6の外側に突出した部分に結合固定すると共に負の電極を通じさせたカップ(図示せず)内に、塗料を送り込む。そして、上記主軸1と共に高速回転するこのカップ内で、上記塗料をイオン微粒子化する。そして、このイオン微粒子化した塗料を、正の電極を通じさせた上記被塗装面に向け静電吸引力を利用して飛ばし、この被塗装面に付着させる。尚、上記各タービン羽根5、5に吹き付けられた空気は、上記ハウジング6の基端部内周面と上記羽根車本体4の外周面との間に存在する円環状空間20の基端(図4の右端)開口から、この基端開口に連通する状態で設けられた排気通路(図示せず)を通じて、外部空間に排出する。
【0009】
又、上記被塗装面の塗装作業を停止する場合には、上記各タービンノズル孔14、14への圧縮空気の供給と、上記カップ内への塗料の供給とを、それぞれ停止すると共に、ブレーキエア供給口18を通じてブレーキエアノズル孔7に、圧縮空気を送り込む。そして、この圧縮空気を、このブレーキエアノズル孔17の下流端開口から噴出し、上記各タービン羽根5、5に吹き付ける。これにより、上記羽根車2に、正転(回転)を停止させる方向(図5の矢印ロ方向)の力を付与する事で、この羽根車2及び上記主軸1の回転を早期に停止させる。そして、これら主軸1及び羽根車2の回転が停止した事を、前記回転検出センサ19により確認した時点で、上記ブレーキエアノズル孔7への圧縮空気の供給を停止する。尚、上述の様に各タービン羽根5、5に吹き付けられた空気も、上記円環状空間20の基端開口から上記排気通路を通じて、外部空間に排出する。
【0010】
上述した様な従来構造の第1例の場合には、上記タービンエアノズル孔14、14及び上記ブレーキエアノズル孔17の各下流端開口を、それぞれ上記羽根車本体4の外周面に近接対向させるべく、この羽根車本体4の外周面に上記ハウジング6の基端部内周面を、全周に亙り近接対向させている。この為、これら両周面同士の間に存在する円環状空間20の径方向の幅寸法が、全周に亙り小さくなっている。ところが、この様に円環状空間20の径方向の幅寸法が全周に亙り小さくなっていると、上記各下流端開口から上記円環状空間20に噴出した圧縮空気が、この円環状空間20から上記排気通路に排出されにくくなる為、この円環状空間20の圧力が高くなり易い。この様に円環状空間20の圧力が高くなると、上記各下流端開口からこの円環状空間20に圧縮空気が噴出される際に、この圧縮空気が十分に膨張できなくなる(背圧が高くなり、上記各エアノズル孔14、17部分での運動エネルギが低くなる)。この結果、上記羽根車2の駆動効率及び停止効率を十分に確保できなくなる為、好ましくない。
【0011】
これに対し、特許文献1には、図6に示す様に、ハウジング6aの基端部内周面のうち、円周方向に関して上記各下流端開口から外れた複数個所に、それぞれ凹部21、21を形成する発明が記載されている。この様な従来構造の第2例の場合には、上記各凹部21、21を形成した部分で円環状空間20aの径方向の幅寸法を大きく為、その分だけ各エアノズル孔14、17の下流端開口から上記円環状空間20aに噴出した圧縮空気を、この円環状空間20aから上記排気通路に排出し易くできる。従って、この円環状空間20aの圧力を下げる事ができ、上記下流端開口からこの円環状空間20aに圧縮空気を噴出する際に、この圧縮空気をより多く膨張させる事ができる。この結果、上記各エアノズル孔14、17の背圧を低く抑えて、羽根車2の駆動効率及び停止効率を向上させる事ができる。
【0012】
ところが、上述した従来構造の第2例の場合には、上記円環状空間20aのうち、上記各下流端開口の周辺部分(円周方向に関して上記各凹部21、21から外れた部分)の幅寸法が、依然として小さくなっている。これに対し、上記羽根車2の駆動効率及び停止効率の更なる向上を図る為には、上記円環状空間20aの径方向の幅寸法を、上記各下流端開口の周辺部分を含めた全周に亙り、大きくできる様にする事が望まれる。
【0013】
【特許文献1】特開平6−313428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明のエアタービン付スピンドル装置は、上述の様な事情に鑑み、ハウジングの内周面と羽根車の外周面との間に存在する円環状空間の径方向の幅寸法を、タービンエア噴出孔(及びブレーキエア噴出孔)の周辺部分を含めた全周に亙り大きくできる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のエアタービン付スピンドル装置は、ハウジングと、このハウジングの内側に挿通した主軸と、この主軸の一部でこのハウジングの内側に配置される部分にこの主軸と同心に固定(結合固定又は一体形成)した、外周面に複数のタービン羽根を形成した羽根車と、上記ハウジングの内側に上記主軸及びこの羽根車を回転自在に支持する為の静圧気体軸受と、それぞれが上記羽根車の外周面の一部に近接対向する部分に設けられ、上記各タービン羽根に向け、上記羽根車を正転させる方向の圧縮空気を噴出する1乃至複数のタービンエア噴出口とを備える。
特に、本発明のエアタービン付スピンドル装置に於いては、上記ハウジングの内周面から1乃至複数本のタービンエアノズルを突出させ、これら各タービンエアノズルの先端開口を上記各タービンエア噴出口としている。
【発明の効果】
【0016】
上述の様に、本発明のタービン付スピンドル装置の場合には、ハウジングの内周面から突出させたタービンエアノズルの先端開口をタービンエア噴出口とし、このタービンエア噴出口を羽根車の外周面に近接対向させている構成を採用している。この為、この羽根車の外周面と上記ハウジングの内周面との間に存在する円環状空間の径方向の幅寸法を、全周に亙り大きくする事ができる。従って、上記タービンエア噴出口から上記円環状空間に噴出した圧縮空気を、この円環状空間から外部空間に通じる排気通路に排出し易くできる為、この円環状空間内の圧力を上昇しにくくできる。従って、上記タービンエア噴出口から上記円環状空間に圧縮空気を噴出する際に、この圧縮空気を十分に膨張させる事ができる。この結果、上記タービンエア噴出口の背圧を低く抑え、このタービンエア噴出口から噴出する空気の運動エネルギを大きくして、上記羽根車の駆動効率を十分に向上させる事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のエアタービン付スピンドル装置を実施する場合であって、それぞれが羽根車の外周面の円周方向一部(上記タービンエア噴出口を対向させた部分と同一の部分でも異なる部分でも良い。)に近接対向する部分に、この羽根車の外周面に形成した複数のタービン羽根に向け、この羽根車の正転を停止させる方向の圧縮空気を噴出する1乃至複数のブレーキエア噴出口を設ける場合に、好ましくは、請求項2に記載した様に、ハウジングの内周面のうちタービンエアノズルを突出させた部分以外の部分から1乃至複数のブレーキエアノズルを突出させ、これら各ブレーキエアノズルの先端開口を上記各ブレーキエア噴出口とする。
この様な構成を採用すれば、上記羽根車の停止効率を十分に向上させる事ができる。
【0018】
又、請求項2に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項3に記載した様に、ブレーキエアノズルの先端開口縁部の形状を、羽根車の中心軸をその中心軸とする仮想円筒面又はこの仮想円筒面に対する接平面に沿った形状とする。
この様な構成を採用すれば、上記ブレーキエアノズルの先端開口周縁部を、全周に亙り、上記羽根車の外周面に対し実質的に均一な距離で近接対向させる事ができる。この為、上記ブレーキエアノズルの先端開口から噴出した圧縮空気を、上記羽根車の外周面に形成した複数のタービン羽根に効率良く吹き付ける事ができる。従って、上記羽根車の停止効率を十分に向上させる事ができる。
【0019】
又、請求項1〜3の何れか1項に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した様に、タービンエアノズルの先端開口縁部の形状を、羽根車の中心軸をその中心軸とする仮想円筒面又はこの仮想円筒面に対する接平面に沿った形状とする。
この様な構成を採用すれば、上記タービンエアノズルの先端開口周縁部を、全周に亙り、上記羽根車の外周面に対し実質的に均一な距離で近接対向させる事ができる。この為、上記タービンエアノズルの先端開口から噴出した圧縮空気を、上記羽根車の外周面に形成した複数のタービン羽根に効率良く吹き付ける事ができる。従って、上記羽根車の駆動効率を十分に向上させる事ができる。
【実施例1】
【0020】
図1〜2は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施例1を示している。尚、本実施例の特徴は、羽根車本体4の外周面と対向する、ハウジング6bの基端部内周面部分の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図4〜5に示した従来構造の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分を中心に説明する。
【0021】
本実施例の場合、上記羽根車本体4の外周面と対向する、上記ハウジング6bの基端部内周面の直径を、この羽根車本体4の外周面の直径よりも十分に大きくしている。これにより、これら両周面同士の間に存在する円環状空間20bの径方向の幅寸法を、全周に亙り十分に大きくしている。
【0022】
又、本実施例の場合には、各タービンエアノズル孔14、14の下流端部にそれぞれ円管状のタービンエアノズル22、22の基端部を、ブレーキエアノズル孔17に円管状のブレーキエアノズル23の基端部を、それぞれ圧入固定(締り嵌めで内嵌固定)している。これにより、それぞれが上記ハウジング6bの基端部内周面から突出した、上記各タービンエアノズル22、22の先端開口をタービンエアノズル噴出孔とし、上記ブレーキエアノズル23の先端開口をブレーキエアノズル噴出孔としている。そして、これら各タービンエアノズル22、22の先端開口及びブレーキエアノズル23の先端開口を、それぞれ上記羽根車本体4の外周面に近接対向させている。尚、本実施例の場合、上記各タービンエアノズル22、22の先端開口周縁部の形状、及び、上記ブレーキエアノズル23の先端開口周縁部の形状は、それぞれ当該ノズル22、23の中心軸に直交する仮想平面に沿う形状としている。又、本発明を実施する場合、上記各ノズル22、23の基端部は、上記各ノズル孔14、17に、接着固定や螺合固定する事もできる。
【0023】
上述の様に、本実施例のタービン付スピンドル装置の場合には、羽根車本体4の外周面とハウジング6bの基端部内周面との間に存在する円環状空間20bの径方向の幅寸法を、全周に亙り大きくできる。この為、上記各タービンエアノズル22、22の先端開口及び上記ブレーキエアノズル23の先端開口から上記円環状空間20bに噴出した圧縮空気を、この円環状空間20bの基端(図1の右端)開口から、この基端開口に連通する状態で設けられた排気通路(図示せず)に排出し易くできる。従って、上記円環状空間20b内の圧力を上昇しにくくできる。この為、上記各タービンエアノズル22、22の先端開口及び上記ブレーキエアノズル23の先端開口から上記円環状空間20bに圧縮空気を噴出する際に、この圧縮空気を十分に膨張させる事ができる。この結果、上記各ノズル22、23に関する背圧を小さく抑え、これら各ノズル22、23の先端開口から噴出される圧縮空気の運動エネルギを確保して、羽根車2の駆動効率及び停止効率を十分に向上させる事ができる。
【実施例2】
【0024】
次に、図3は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合には、各タービンエアノズル22a、22aの先端開口周縁部の形状、及び、ブレーキエアノズル23aの先端開口周縁部の形状を、それぞれ羽根車本体4の中心軸をその中心軸とする仮想円筒面αに沿った形状としている。この様に構成する本実施例の場合には、上記各タービンエアノズル22a、22aの先端開口周縁部、及び、上記ブレーキエアノズル23aの先端開口周縁部を、それぞれ全周に亙り、上記羽根車本体4の外周面に対し均一な距離で近接対向させる事ができる。この為、本実施例の場合には、上記各先端開口から噴出した圧縮空気を、上記羽根車本体4の外周面に設けた複数のタービン羽根5、5に効率良く吹き付ける事ができる。従って、本実施例の場合には、羽根車2の駆動効率及び停止効率を、より十分に向上させる事ができる。その他の構成及び作用は、上述した実施例1の場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明の実施例2を示す、図2と同様の図。
【図4】従来構造の第1例を示す断面図。
【図5】図4のB−B断面図。
【図6】従来構造の第2例を示す、図5と同様の図。
【符号の説明】
【0026】
1 主軸
2 羽根車
3 円輪部
4 羽根車本体
5 タービン羽根
6、6a、6b ハウジング
7 ラジアル静圧気体軸受
8 アキシアル静圧気体軸受
9 ラジアル軸受部材
10 給気通路
11 アキシアル軸受部材
12 排気孔
13 排気通路
14 タービンエアノズル孔
15 タービンエア供給通路
16 タービンエア供給口
17 ブレーキエアノズル孔
18 ブレーキエア供給口
19 回転検出センサ
20、20a、20b 円環状空間
21 凹部
22、22a タービンエアノズル
23、23a ブレーキエアノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、このハウジングの内側に挿通した主軸と、この主軸の一部でこのハウジングの内側に配置される部分にこの主軸と同心に固定した、外周面に複数のタービン羽根を形成した羽根車と、上記ハウジングの内側に上記主軸及びこの羽根車を回転自在に支持する為の静圧気体軸受と、それぞれが上記羽根車の外周面の一部に近接対向する部分に設けられ、上記各タービン羽根に向け、上記羽根車を正転させる方向の圧縮空気を噴出する1乃至複数のタービンエア噴出口とを備えたエアタービン付スピンドル装置に於いて、上記ハウジングの内周面から1乃至複数本のタービンエアノズルを突出させ、これら各タービンエアノズルの先端開口を上記各タービンエア噴出口としている、エアタービン付スピンドル装置。
【請求項2】
それぞれが羽根車の外周面の円周方向一部に近接対向する部分に、この羽根車の外周面に形成した複数のタービン羽根に向け、この羽根車の正転を停止させる方向の圧縮空気を噴出する1乃至複数のブレーキエア噴出口を設けており、ハウジングの内周面のうちタービンエアノズルを突出させた部分以外の部分から1乃至複数のブレーキエアノズルを突出させ、これら各ブレーキエアノズルの先端開口を上記各ブレーキエア噴出口としている、請求項1に記載したエアタービン付スピンドル装置。
【請求項3】
ブレーキエアノズルの先端開口縁部の形状を、羽根車の中心軸をその中心軸とする仮想円筒面又はこの仮想円筒面に対する接平面に沿った形状としている、請求項2に記載したエアタービン付スピンドル装置。
【請求項4】
タービンエアノズルの先端開口縁部の形状を、羽根車の中心軸をその中心軸とする仮想円筒面又はこの仮想円筒面に対する接平面に沿った形状としている、請求項1〜3の何れか1項に記載したエアタービン付スピンドル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−23783(P2007−23783A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202683(P2005−202683)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】