エアバッグテザーの作成
【課題】エアバッグテザー、ならびに、織物生地上のエアバッグパネルに対して該テザーをパターン式に配置し、テザーに対する織物利用率を高め、最終エアバッグあたりの全体コストを節約する。
【解決手段】エアバッグテザー系は、2つの符合するテザーパネルからなり、それぞれのエアバッグパネルに結合される。好ましい態様においては、エアバッグの前面パネルに結合されるテザーパネル14は、織物生地の縦糸および横糸に整列するように切断され、一方、エアバッグの後面パネルに結合される後面テザーパネル16は、織物生地の縦糸および横糸に対してバイアス(斜め)で切断される。次いで、この2つのテザーパネルを互いに結合させて、機能的なテザー系を得る。この2ピースの作成(一方はバイアス切断されたピースである)は、エアバッグおよびテザーの製造に使用される織物の量を減少させ、その一方で、テザー系が機能的になるのに十分な伸びを与える。
【解決手段】エアバッグテザー系は、2つの符合するテザーパネルからなり、それぞれのエアバッグパネルに結合される。好ましい態様においては、エアバッグの前面パネルに結合されるテザーパネル14は、織物生地の縦糸および横糸に整列するように切断され、一方、エアバッグの後面パネルに結合される後面テザーパネル16は、織物生地の縦糸および横糸に対してバイアス(斜め)で切断される。次いで、この2つのテザーパネルを互いに結合させて、機能的なテザー系を得る。この2ピースの作成(一方はバイアス切断されたピースである)は、エアバッグおよびテザーの製造に使用される織物の量を減少させ、その一方で、テザー系が機能的になるのに十分な伸びを与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグテザー、ならびに、織物生地上のエアバッグパネルに対して該テザーをパターン式に配置し、これにより、織物利用率を高め、最終エアバッグあたりの全体コストを節約することに関する。本発明のエアバッグテザー系は、2つの符合するテザーパネルからなり、これらは互いにおよびそれぞれのエアバッグパネルに結合される。好ましい態様においては、エアバッグの前面パネルに結合されるテザーパネルは、織物生地の縦糸および横糸に整列するように切断され、一方、エアバッグの後面パネルに結合される後面テザーパネルは、織物生地の縦糸および横糸に対してバイアス(斜め)で切断される。この2ピースの作成(一方はバイアス切断されたピースである)は、エアバッグおよびテザーの製造に使用される織物の量を減少させ、その一方で、テザー系が機能的になるのに十分な伸びを与える。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、エアバッグが膨張するときにその偏位を制御するために、エアバッグテザーが使用されている。ガスが放出され、エアバッグを急速膨張させるときに、このような膨張が未制御の様式で起こらないように維持することが必要になる。エアバッグの前面および後面パネルに縫合されたテザーは、車占有者がエアバッグと接触するときに、車占有者の安全性に悪影響を及ぼすほど急速に膨張しないように膨張エアバッグを維持する。
【0003】
通常、テザーは、織物生地上にパターン式の配置で並べられたか、または、同じ生地から切断しうるエアバッグパネルに対して並べられたストリップ形状の織物ピースである。これらテザーのためのパターンは、テザーストリップの中心領域中に円形部分を含むことができる(この回りで該ストリップをエアバッグパネルに結合させる)。このようなテザーは、伸びる能力を有しているべきである(即ち、これらテザーは、エアバッグの急速偏位に順応するように伸縮しうるものであるべきである)。このため、通常のテザーは、織物の縦糸および横糸に対してバイアスで切断されている。しかし、この条件を満たすようにテザーパターンを並べると、多数のエアバッグのための適当な数のテザーを得るのに必要な織物の量が増加する。さらに、織物の利用率が最終エアバッグのコストの50%以上を占めるので、このようにテザーを並べると、製造コストが増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、織物の利用率およびテザーの伸びという課題に指向するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後面パネルに結合させたテザー部分が、前面パネルに結合させたテザー部分よりも大きな伸縮を受けることがわかったことにより、織物節約の解決法が得られた。全テザーをバイアスで切断する代りに、後面パネルに結合させるテザー部分だけをバイアスで切断する。後面テザーパネルだけがバイアスで切断された2ピースのテザー系を使用すると、これらバイアス切断テザー部分をエアバッグパネルの回りのスペース(このスペースは、他の方法では織物の廃棄部分とみなされる)に配置することにより、織物の利用率が高まる。前面パネルに結合されるテザー部分は、織物の縦糸および横糸に整列するように切断する。バイアス切断および整列切断したテザー部分の組合せは、織物利用率の改善を導き、その一方で、膨張するエアバッグによって生じる力に耐えうるテザー系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】図1Aは、エアバッグの製造に使用される後面エアバッグパネルの頭上図または平面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの後面エアバッグパネルに結合させるのが好ましい本発明のバイアス切断テザーパネルの平面図である。
【図1C】図1Cは、エアバッグを製造するために図1Aのエアバッグパネルと共に使用される前面エアバッグパネルの平面図である。
【図1D】図1Dは、図1Cのエアバッグパネルに結合させる、織物生地の縦糸および横糸に整列するように切断した本発明のテザーパネルの平面図である。
【図1E】図1Eは、図1Bまたは図1Dのテザーパネルと共に使用される円形強化材の平面図である。
【図2A】図2Aは、図1Bのテザーパネルおよび図1Eの円形強化材が結合された図1Aの後面エアバッグパネルの平面図である。
【図2B】図2Bは、図1Dのテザーパネルおよび図1Eの円形強化材が結合された図1Cの前面エアバッグパネルの平面図である。
【図3A】図3Aは、図1Aおよび図1Cのエアバッグパネルを用いた完成エアバッグ前面の平面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの完成エアバッグの側面図である。
【図3C】図3Cは、線3−3に沿う図3Aのエアバッグの断面図であり、図1Bおよび図1Dのテザーパネルの重なった関係をさらに示す図である。
【図4】本発明の教示に従う、織物生地上の図1A、図1B、図1C、図1Dおよび図1Eのエアバッグ成分の配置の平面図である。
【図5】従来技術の教示に従う、通常のエアバッグパネルおよびテザーの配置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を説明するために、ある種の用語を定義することが必要である。「バイアス」なる用語は、織物組織を対角線で横切って、通常は縦糸および横糸に対して45度の角度で切断された線を指すことが意図されている。「前面」なる用語は、車占有者に最も近いエアバッグ部分を指し、一方、「後面」なる用語は、車占有者から最も遠いエアバッグ部分(例えば、前部座席エアバッグの場合、フロントガラスに最も近い部分)を指す。「テザー」なる用語は、膨張するエアバッグの未制御の偏位が、車占有者(該エアバッグはこの車占有者と接触する)に悪影響を及ぼすことを防止するために使用されるストリップ形状の織物ピースを指す。「テザー系」なる用語は、本発明の場合におけるような、2またはそれ以上の結合されたテザーパネルからなる機能的なテザーを指す。
【0008】
エアバッグの膨張速度のゆえに、車占有者の保護のために、車キャビンにおいてエアバッグが占有する空間体積を制御することが必要である。テザーは、エアバッグの未制御の膨張を妨げることによって、この仕事を行う。テザーは、通常は縫合または他の結合法により、エアバッグの内部に堅く結合される。
【0009】
図1Aは、エアバッグ10の創製に使用しうる後面エアバッグパネル6を示す(図3Bをも参照)。パネル6は、説明のためには6側面多角形の形状を有するが、他の幾何を有するパネル(直線または曲線の側面を有するパネルを含む)を、デザイン仕様の指定の通りに使用することもできる。また、通気穴7の位置も、デザイン仕様に合致するように修飾することができる。
【0010】
図1Bは、本発明の教示に従う、後面エアバッグパネル6に結合させるのに適するバイアス切断テザーパネル16を示す。テザーパネル16は、その形状が実質的に長方形であり、かどを構成する直角が位置していたであろう各領域に沿ってわずかな先端切除を有する。上記したように、エアバッグの後面に結合されるテザー部分は、最大の応力を受け、その結果として、このような応力に順応するように伸縮する能力を必要とすることがわかった。テザーパネル16は、織物のバイアスで切断されているので、このような応力に順応するように伸縮することができる。
【0011】
図1Cは、エアバッグ10の創製に使用しうる前面エアバッグパネル4を示す(図3Bをも参照)。パネル4は、説明のためには6側面多角形の形状を有するが、他の幾何を有するパネル(直線または曲線の側面を有するパネルを含む)を、デザイン仕様の指定の通りに使用することもできる。同じサイズおよび形状を有する符号パネルが、エアバッグ10の創製に最も有用であることがわかった(図3Aおよび図3Bに示す)。
【0012】
図1Dは、本発明の教示に従う、前面エアバッグパネル4に結合させるのに適するテザーパネル14を示す。テザーパネル16とは異なり、テザーパネル14は、織物の縦糸および横糸に整列するように切断されている。この結果、テザーパネル14は、テザーパネル16よりも伸びる可能性が低い。しかし、この伸びの相違は、問題にはならないことがわかった。テザーパネル16は、全テザー系に必要な伸びの大部分に寄与し、このような多ピースのテザー系を利用することによって節約される織物は、製造コストを大きく低下させる。好ましい態様においては、テザーパネル14はエアバッグパネル4に結合され、バイアス切断テザーパネル16は、エアバッグパネル6に結合される。しかし、バイアス切断テザーパネル16を、エアバッグパネル4に結合させるのが好ましい状況も生じると考えられる。
【0013】
円形または他の形状を有する強化材をエアバッグ10の製造において使用するのが普通である。図1Eに示す円形強化材12を、テザーパネル14、16の中心位置に重ね合わせる。このような強化材12は、膨張媒体の配置時に、エアバッグ10の口のまわりの引裂を防止するのに特に重要である。エアバッグパネル6上のテザーパネル16および強化材12の位置は、図2Aに示されている。継目11によって供される円形領域は、膨張装置に対してエアバッグ10を配置することができる識別可能な領域を創製する。次いで、膨張装置のための開口部を、テザーパネル16中の継目11によって規定される周囲の内側に切り開く。1を越える強化材12を、エアバッグパネル6上の後面テザーパネル16と共に使用することが多い。強化材12の数は、0から5まで変化することができるが、好ましい数は少なくとも2であり、より好ましい数は3である。
【0014】
前面エアバッグパネル4は、前面テザーパネル14上に配置された1つの円形強化材12を有しているのが普通であるが、所望により他の数の強化材12を使用することもできる。強化材12の周辺に継目11を縫合することによって、テザーパネル14および強化材12の両方をエアバッグパネル4に結合させる。テザーパネル14および強化材12の相対位置は、図2Bに示されている。強化材12の周囲に継目によって創製される円形領域は、膨張時にエアバッグ10の中心領域にわずかにへこんだ領域を生成し、これにより、車占有者が接触する適当な表面が供される。
【0015】
図3Aは、車占有者から見たときの膨張したエアバッグ10を示す。円形継目11が、エアバッグ10の中心部分にある。継目11は、上で説明したように強化材12のまわりに縫合されており、エアバッグ10の前面エアバッグパネル4上にわずかにへこんだ領域を生じている。図3Bは、エアバッグ10の側面図であり、前面エアバッグパネル4と後面エアバッグパネル6の相対位置を示している。図3Cは、図3Aの線3−3に沿うエアバッグ10の断面図である。機能的なテザー系を生じるために、テザーパネル14、16は、互いに結合されていなければならない。テザーパネル14、16は、エアバッグ10の内側において重なった様式で示されている。テザーパネル14、16の結合は、長方形継目18によって達成されるように示されているが、このような結合は、他のいずれかの手段、例えば溶接または他の継目法によって達成することができる。エアバッグ10は、符号する周囲部分に沿ってパネル4、6を縫合するか、または他の方法によって確保することによって仕上げる。
【0016】
織物生地30上のエアバッグパネル4、6、テザーパネル14、16、ならびに、強化材16のレイアウト(割付)を図4に示す。通気強化材9(後面エアバッグパネル6上の通気穴7の周囲の織物を支持する)も、エアバッグ成分のパターン式配置中に導入する。直線端部を有するパネル4、6を使用すると、成分配置の柔軟性をより大きくしうること、ならびに、機能成分に利用されない織物の量が全体として減少することがわかった。限定のためではなく例示のためだけに、6つの側面を有するパネル4、6が示されている。通常のテザーを2つのテザーパネル14、16に分けると、エアバッグパネル4、6の間の、他の方法では織物廃棄部分とみなされていた領域中に、テザーパネル14、16を密集して配置することにより、より多くの数のエアバッグ成分をより短い長さの織物から製造することが可能になる。
【0017】
図5は、織物生地32上に通常の円形パネル24、26と共に配置された通常の1ピーステザー20の平面図を示す。織物生地32上の強化材22、28、29も示されている。テザー20の全てがバイアスで切断されなければならないとの考えに従ってテザー20を生成させるので、テザー20の創製に使用しなければならない織物生地32の量は、本発明の2ピーステザー系のものよりも相当に多い。
【0018】
通常のエアバッグパネル24、26は、非直線側面または不規則幾何の特徴を有することが多く、テザー20を、このようなパネル24、26の間にバイアスで配置することを困難にしている。従って、織物生地32上に多数のこのようなテザー20を配置するために、生地32の1つの領域にテザー20を群化し、各テザー20をバイアスで切断することを必要とする。各テザー20をバイアスで切断する(所望の伸びを達成するため)という必要性は、最終エアバッグ10あたりに利用される織物量の増加ならびに織物廃棄部分の量の増加を与える結果になる。
【0019】
多ピーステザー系は、織物生地30の縦糸および横糸に整列するように切断されるテザーパネル14、ならびに、織物生地30の縦糸および横糸に対してバイアスで切断されるテザーパネル15を含む。この多ピーステザー系を導入することによって、本発明は、織物利用率およびテザー伸びという課題に指向するものであり、こうして従来技術を越える有用な進歩を示すものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグテザー、ならびに、織物生地上のエアバッグパネルに対して該テザーをパターン式に配置し、これにより、織物利用率を高め、最終エアバッグあたりの全体コストを節約することに関する。本発明のエアバッグテザー系は、2つの符合するテザーパネルからなり、これらは互いにおよびそれぞれのエアバッグパネルに結合される。好ましい態様においては、エアバッグの前面パネルに結合されるテザーパネルは、織物生地の縦糸および横糸に整列するように切断され、一方、エアバッグの後面パネルに結合される後面テザーパネルは、織物生地の縦糸および横糸に対してバイアス(斜め)で切断される。この2ピースの作成(一方はバイアス切断されたピースである)は、エアバッグおよびテザーの製造に使用される織物の量を減少させ、その一方で、テザー系が機能的になるのに十分な伸びを与える。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、エアバッグが膨張するときにその偏位を制御するために、エアバッグテザーが使用されている。ガスが放出され、エアバッグを急速膨張させるときに、このような膨張が未制御の様式で起こらないように維持することが必要になる。エアバッグの前面および後面パネルに縫合されたテザーは、車占有者がエアバッグと接触するときに、車占有者の安全性に悪影響を及ぼすほど急速に膨張しないように膨張エアバッグを維持する。
【0003】
通常、テザーは、織物生地上にパターン式の配置で並べられたか、または、同じ生地から切断しうるエアバッグパネルに対して並べられたストリップ形状の織物ピースである。これらテザーのためのパターンは、テザーストリップの中心領域中に円形部分を含むことができる(この回りで該ストリップをエアバッグパネルに結合させる)。このようなテザーは、伸びる能力を有しているべきである(即ち、これらテザーは、エアバッグの急速偏位に順応するように伸縮しうるものであるべきである)。このため、通常のテザーは、織物の縦糸および横糸に対してバイアスで切断されている。しかし、この条件を満たすようにテザーパターンを並べると、多数のエアバッグのための適当な数のテザーを得るのに必要な織物の量が増加する。さらに、織物の利用率が最終エアバッグのコストの50%以上を占めるので、このようにテザーを並べると、製造コストが増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、織物の利用率およびテザーの伸びという課題に指向するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後面パネルに結合させたテザー部分が、前面パネルに結合させたテザー部分よりも大きな伸縮を受けることがわかったことにより、織物節約の解決法が得られた。全テザーをバイアスで切断する代りに、後面パネルに結合させるテザー部分だけをバイアスで切断する。後面テザーパネルだけがバイアスで切断された2ピースのテザー系を使用すると、これらバイアス切断テザー部分をエアバッグパネルの回りのスペース(このスペースは、他の方法では織物の廃棄部分とみなされる)に配置することにより、織物の利用率が高まる。前面パネルに結合されるテザー部分は、織物の縦糸および横糸に整列するように切断する。バイアス切断および整列切断したテザー部分の組合せは、織物利用率の改善を導き、その一方で、膨張するエアバッグによって生じる力に耐えうるテザー系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】図1Aは、エアバッグの製造に使用される後面エアバッグパネルの頭上図または平面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの後面エアバッグパネルに結合させるのが好ましい本発明のバイアス切断テザーパネルの平面図である。
【図1C】図1Cは、エアバッグを製造するために図1Aのエアバッグパネルと共に使用される前面エアバッグパネルの平面図である。
【図1D】図1Dは、図1Cのエアバッグパネルに結合させる、織物生地の縦糸および横糸に整列するように切断した本発明のテザーパネルの平面図である。
【図1E】図1Eは、図1Bまたは図1Dのテザーパネルと共に使用される円形強化材の平面図である。
【図2A】図2Aは、図1Bのテザーパネルおよび図1Eの円形強化材が結合された図1Aの後面エアバッグパネルの平面図である。
【図2B】図2Bは、図1Dのテザーパネルおよび図1Eの円形強化材が結合された図1Cの前面エアバッグパネルの平面図である。
【図3A】図3Aは、図1Aおよび図1Cのエアバッグパネルを用いた完成エアバッグ前面の平面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの完成エアバッグの側面図である。
【図3C】図3Cは、線3−3に沿う図3Aのエアバッグの断面図であり、図1Bおよび図1Dのテザーパネルの重なった関係をさらに示す図である。
【図4】本発明の教示に従う、織物生地上の図1A、図1B、図1C、図1Dおよび図1Eのエアバッグ成分の配置の平面図である。
【図5】従来技術の教示に従う、通常のエアバッグパネルおよびテザーの配置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を説明するために、ある種の用語を定義することが必要である。「バイアス」なる用語は、織物組織を対角線で横切って、通常は縦糸および横糸に対して45度の角度で切断された線を指すことが意図されている。「前面」なる用語は、車占有者に最も近いエアバッグ部分を指し、一方、「後面」なる用語は、車占有者から最も遠いエアバッグ部分(例えば、前部座席エアバッグの場合、フロントガラスに最も近い部分)を指す。「テザー」なる用語は、膨張するエアバッグの未制御の偏位が、車占有者(該エアバッグはこの車占有者と接触する)に悪影響を及ぼすことを防止するために使用されるストリップ形状の織物ピースを指す。「テザー系」なる用語は、本発明の場合におけるような、2またはそれ以上の結合されたテザーパネルからなる機能的なテザーを指す。
【0008】
エアバッグの膨張速度のゆえに、車占有者の保護のために、車キャビンにおいてエアバッグが占有する空間体積を制御することが必要である。テザーは、エアバッグの未制御の膨張を妨げることによって、この仕事を行う。テザーは、通常は縫合または他の結合法により、エアバッグの内部に堅く結合される。
【0009】
図1Aは、エアバッグ10の創製に使用しうる後面エアバッグパネル6を示す(図3Bをも参照)。パネル6は、説明のためには6側面多角形の形状を有するが、他の幾何を有するパネル(直線または曲線の側面を有するパネルを含む)を、デザイン仕様の指定の通りに使用することもできる。また、通気穴7の位置も、デザイン仕様に合致するように修飾することができる。
【0010】
図1Bは、本発明の教示に従う、後面エアバッグパネル6に結合させるのに適するバイアス切断テザーパネル16を示す。テザーパネル16は、その形状が実質的に長方形であり、かどを構成する直角が位置していたであろう各領域に沿ってわずかな先端切除を有する。上記したように、エアバッグの後面に結合されるテザー部分は、最大の応力を受け、その結果として、このような応力に順応するように伸縮する能力を必要とすることがわかった。テザーパネル16は、織物のバイアスで切断されているので、このような応力に順応するように伸縮することができる。
【0011】
図1Cは、エアバッグ10の創製に使用しうる前面エアバッグパネル4を示す(図3Bをも参照)。パネル4は、説明のためには6側面多角形の形状を有するが、他の幾何を有するパネル(直線または曲線の側面を有するパネルを含む)を、デザイン仕様の指定の通りに使用することもできる。同じサイズおよび形状を有する符号パネルが、エアバッグ10の創製に最も有用であることがわかった(図3Aおよび図3Bに示す)。
【0012】
図1Dは、本発明の教示に従う、前面エアバッグパネル4に結合させるのに適するテザーパネル14を示す。テザーパネル16とは異なり、テザーパネル14は、織物の縦糸および横糸に整列するように切断されている。この結果、テザーパネル14は、テザーパネル16よりも伸びる可能性が低い。しかし、この伸びの相違は、問題にはならないことがわかった。テザーパネル16は、全テザー系に必要な伸びの大部分に寄与し、このような多ピースのテザー系を利用することによって節約される織物は、製造コストを大きく低下させる。好ましい態様においては、テザーパネル14はエアバッグパネル4に結合され、バイアス切断テザーパネル16は、エアバッグパネル6に結合される。しかし、バイアス切断テザーパネル16を、エアバッグパネル4に結合させるのが好ましい状況も生じると考えられる。
【0013】
円形または他の形状を有する強化材をエアバッグ10の製造において使用するのが普通である。図1Eに示す円形強化材12を、テザーパネル14、16の中心位置に重ね合わせる。このような強化材12は、膨張媒体の配置時に、エアバッグ10の口のまわりの引裂を防止するのに特に重要である。エアバッグパネル6上のテザーパネル16および強化材12の位置は、図2Aに示されている。継目11によって供される円形領域は、膨張装置に対してエアバッグ10を配置することができる識別可能な領域を創製する。次いで、膨張装置のための開口部を、テザーパネル16中の継目11によって規定される周囲の内側に切り開く。1を越える強化材12を、エアバッグパネル6上の後面テザーパネル16と共に使用することが多い。強化材12の数は、0から5まで変化することができるが、好ましい数は少なくとも2であり、より好ましい数は3である。
【0014】
前面エアバッグパネル4は、前面テザーパネル14上に配置された1つの円形強化材12を有しているのが普通であるが、所望により他の数の強化材12を使用することもできる。強化材12の周辺に継目11を縫合することによって、テザーパネル14および強化材12の両方をエアバッグパネル4に結合させる。テザーパネル14および強化材12の相対位置は、図2Bに示されている。強化材12の周囲に継目によって創製される円形領域は、膨張時にエアバッグ10の中心領域にわずかにへこんだ領域を生成し、これにより、車占有者が接触する適当な表面が供される。
【0015】
図3Aは、車占有者から見たときの膨張したエアバッグ10を示す。円形継目11が、エアバッグ10の中心部分にある。継目11は、上で説明したように強化材12のまわりに縫合されており、エアバッグ10の前面エアバッグパネル4上にわずかにへこんだ領域を生じている。図3Bは、エアバッグ10の側面図であり、前面エアバッグパネル4と後面エアバッグパネル6の相対位置を示している。図3Cは、図3Aの線3−3に沿うエアバッグ10の断面図である。機能的なテザー系を生じるために、テザーパネル14、16は、互いに結合されていなければならない。テザーパネル14、16は、エアバッグ10の内側において重なった様式で示されている。テザーパネル14、16の結合は、長方形継目18によって達成されるように示されているが、このような結合は、他のいずれかの手段、例えば溶接または他の継目法によって達成することができる。エアバッグ10は、符号する周囲部分に沿ってパネル4、6を縫合するか、または他の方法によって確保することによって仕上げる。
【0016】
織物生地30上のエアバッグパネル4、6、テザーパネル14、16、ならびに、強化材16のレイアウト(割付)を図4に示す。通気強化材9(後面エアバッグパネル6上の通気穴7の周囲の織物を支持する)も、エアバッグ成分のパターン式配置中に導入する。直線端部を有するパネル4、6を使用すると、成分配置の柔軟性をより大きくしうること、ならびに、機能成分に利用されない織物の量が全体として減少することがわかった。限定のためではなく例示のためだけに、6つの側面を有するパネル4、6が示されている。通常のテザーを2つのテザーパネル14、16に分けると、エアバッグパネル4、6の間の、他の方法では織物廃棄部分とみなされていた領域中に、テザーパネル14、16を密集して配置することにより、より多くの数のエアバッグ成分をより短い長さの織物から製造することが可能になる。
【0017】
図5は、織物生地32上に通常の円形パネル24、26と共に配置された通常の1ピーステザー20の平面図を示す。織物生地32上の強化材22、28、29も示されている。テザー20の全てがバイアスで切断されなければならないとの考えに従ってテザー20を生成させるので、テザー20の創製に使用しなければならない織物生地32の量は、本発明の2ピーステザー系のものよりも相当に多い。
【0018】
通常のエアバッグパネル24、26は、非直線側面または不規則幾何の特徴を有することが多く、テザー20を、このようなパネル24、26の間にバイアスで配置することを困難にしている。従って、織物生地32上に多数のこのようなテザー20を配置するために、生地32の1つの領域にテザー20を群化し、各テザー20をバイアスで切断することを必要とする。各テザー20をバイアスで切断する(所望の伸びを達成するため)という必要性は、最終エアバッグ10あたりに利用される織物量の増加ならびに織物廃棄部分の量の増加を与える結果になる。
【0019】
多ピーステザー系は、織物生地30の縦糸および横糸に整列するように切断されるテザーパネル14、ならびに、織物生地30の縦糸および横糸に対してバイアスで切断されるテザーパネル15を含む。この多ピーステザー系を導入することによって、本発明は、織物利用率およびテザー伸びという課題に指向するものであり、こうして従来技術を越える有用な進歩を示すものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2のテザーパネルに結合した第1のテザーパネルを含んでなるエアバッグ用のテザー系であって、該第1のテザーパネルが織物の縦糸および横糸に整列するように切断されたものであり、該第2のテザーパネルが該織物の縦糸および横糸に対してバイアスで切断されたものであるテザー系。
【請求項2】
エアバッグが、前面エアバッグパネルおよび後面エアバッグパネルからなり、第1のテザーパネルが該前面エアバッグパネルに結合しており、第2のテザーパネルが該後面エアバッグパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項3】
エアバッグが、前面エアバッグパネルおよび後面エアバッグパネルからなり、第1のテザーパネルが該後面エアバッグパネルに結合しており、第2のテザーパネルが該前面エアバッグパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項4】
第1のテザーパネルが、縫合継目によって第2のテザーパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項5】
第1のテザーパネルと第2のテザーパネルが、実質的に長方形の形状であり、符合性である請求項1に記載のテザー系。
【請求項6】
5つまでの強化材が第2のテザーパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項7】
3つの強化材が第2のテザーパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項8】
エアバッグパネル、第1のテザーパネルおよび第2のテザーパネルのパターン式配置が、密集した関係で配置されている織物生地であって、該第1のテザーパネルが該織物の縦糸および横糸に整列するように切断されたものであり、該第2のテザーパネルが該織物の縦糸および横糸に対してバイアスで切断されたものである織物生地。
【請求項9】
第1のテザーパネルと第2のテザーパネルが、実質的に長方形の形状であり、符合性である請求項8に記載の織物生地。
【請求項10】
第1および第2のテザーパネルの幅に近似する直径を有する多数の円形強化材をさらに含む請求項8に記載の織物生地。
【請求項11】
円形強化材の直径よりも小さい直径を有する多数の円形通気強化材をさらに含む請求項8に記載の織物生地。
【請求項1】
第2のテザーパネルに結合した第1のテザーパネルを含んでなるエアバッグ用のテザー系であって、該第1のテザーパネルが織物の縦糸および横糸に整列するように切断されたものであり、該第2のテザーパネルが該織物の縦糸および横糸に対してバイアスで切断されたものであるテザー系。
【請求項2】
エアバッグが、前面エアバッグパネルおよび後面エアバッグパネルからなり、第1のテザーパネルが該前面エアバッグパネルに結合しており、第2のテザーパネルが該後面エアバッグパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項3】
エアバッグが、前面エアバッグパネルおよび後面エアバッグパネルからなり、第1のテザーパネルが該後面エアバッグパネルに結合しており、第2のテザーパネルが該前面エアバッグパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項4】
第1のテザーパネルが、縫合継目によって第2のテザーパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項5】
第1のテザーパネルと第2のテザーパネルが、実質的に長方形の形状であり、符合性である請求項1に記載のテザー系。
【請求項6】
5つまでの強化材が第2のテザーパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項7】
3つの強化材が第2のテザーパネルに結合している請求項1に記載のテザー系。
【請求項8】
エアバッグパネル、第1のテザーパネルおよび第2のテザーパネルのパターン式配置が、密集した関係で配置されている織物生地であって、該第1のテザーパネルが該織物の縦糸および横糸に整列するように切断されたものであり、該第2のテザーパネルが該織物の縦糸および横糸に対してバイアスで切断されたものである織物生地。
【請求項9】
第1のテザーパネルと第2のテザーパネルが、実質的に長方形の形状であり、符合性である請求項8に記載の織物生地。
【請求項10】
第1および第2のテザーパネルの幅に近似する直径を有する多数の円形強化材をさらに含む請求項8に記載の織物生地。
【請求項11】
円形強化材の直径よりも小さい直径を有する多数の円形通気強化材をさらに含む請求項8に記載の織物生地。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−111487(P2012−111487A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−1266(P2012−1266)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【分割の表示】特願2001−576309(P2001−576309)の分割
【原出願日】平成13年3月9日(2001.3.9)
【出願人】(597065363)オートリブ エーエスピー,インコーポレイティド (87)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1266(P2012−1266)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【分割の表示】特願2001−576309(P2001−576309)の分割
【原出願日】平成13年3月9日(2001.3.9)
【出願人】(597065363)オートリブ エーエスピー,インコーポレイティド (87)
【Fターム(参考)】
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