説明

エアバッグ装置

【課題】エアバッグの膨張展開中に、アウターバッグとリッドとが離れてしまわないようにすることを目的とする。
【解決手段】エアバッグ装置20は、割開き可能なリッド12を有し、リッド12又はリッド12の外周に、リッド12の内面に沿った姿勢に配設可能な延出部14が突設されたリッドパネル部材11と、インフレータ22と、エアバッグ30と、折畳まれたエアバッグ30の外周を覆う周壁部40bと、折畳まれたエアバッグ30のうちリッド12側部分を覆う天井部40cとを有する袋状に形成され、インフレータ22に固定された状態で折畳まれたエアバッグ30を覆うアウターバッグ40とを備える。天井部40cに破断ライン45が形成される。天井部40cには、延出部14を天井部40cに沿った姿勢で収容可能な収容部60が設けられている。延出部14がリッド12の内面に沿って配設された状態で、収容部60に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の衝突時等に膨張展開して乗員を保護するエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
助手席用のエアバッグ装置は、通常状態では、インストルメントパネル内に配設されている。そして、車両衝突時等には、エアバッグが、インストルメントパネルに設けられたリッドを割開いて膨張展開することで乗員を保護する。
【0003】
上記のようなエアバッグ装置では、エアバッグがインストルメントパネル内でリッドを割開く方向に膨張展開するように、エアバッグは樹脂或は金属等によって形成されたプレートによって取囲まれている。このため、エアバッグ装置は、重量化する傾向にある。
【0004】
そこで、特許文献1〜3では、折畳んだエアバッグの一部分又は全体を、布等で覆うことによって、折畳まれたエアバッグを取り囲むプレートを省略し或は軽量化を図る構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−93446号公報
【特許文献2】特表2008−544920号公報
【特許文献3】国際公開第2009/008221号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、エアバッグを円滑に膨張展開させるためには、膨張展開中のエアバッグの周囲を覆う布等の部材とリッドとが離れないようにすることが好ましい。
【0007】
そこで、この発明は、エアバッグの膨張展開中に、膨張展開中のエアバッグの周囲を覆うアウターバッグとリッドとが離れてしまわないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るエアバッグ装置は、割開き可能なリッドを有し、前記リッド又は前記リッドの外周に、前記リッドの内面に沿った姿勢に配設可能な延出部が突設されたリッドパネル部材と、前記リッドの内側でガスを発生可能なインフレータと、前記リッドの内側に配設可能な状態に折畳まれ、前記インフレータから導入されるガスによって、前記リッドを内側から割開くように袋状に膨張展開可能なエアバッグと、シート状部材によって、折畳まれた前記エアバッグの外周を覆う周壁部と、折畳まれた前記エアバッグの前記リッド側部分を覆う天井部とを有する袋状に形成され、前記インフレータに固定された状態で、折畳まれたエアバッグを覆うアウターバッグとを備え、前記アウターバッグの前記天井部に破断容易な破断ラインが形成されると共に、前記天井部に、前記延出部を、前記破断ラインを避けた位置で前記天井部に沿った姿勢で収容可能な収容部が設けられ、前記延出部が前記リッドの内面に沿って配設された状態で、前記収容部に収容されている。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係るエアバッグ装置であって、前記収容部は、少なくとも1つの開口を形成するように収容部形成用シート状部材を前記天井部に接合することにより形成されている。
【0010】
第3の態様は、第1の態様に係るエアバッグ装置であって、前記収容部は、前記天井部にスリットを形成することにより形成されている。
【0011】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係るエアバッグ装置であって、前記アウターバッグにベルトが取付けられ、前記ベルトの先端部が前記延出部の外周で前記リッドパネル部材に連結されている。
【0012】
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係るエアバッグ装置であって、前記インフレータに固定され、車体側部材に固定可能なインフレータ固定部材をさらに備え、前記インフレータ固定部材が前記車体側部材に固定されることで前記インフレータが前記リッドの内側の一定位置に固定される。
【0013】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係るエアバッグ装置であって、前記リッドパネル部材は、インストルメントパネル本体に取付けられる枠部と、前記枠部内に割開き可能に設けられた前記リッドとを有し、前記延出部が前記リッドの外周に突設されている。
【0014】
第7の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係るエアバッグ装置であって、前記リッドパネル部材の面方向全体が割開き可能な前記リッドに形成され、前記リッドに前記延出部が形成されている。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様に係るエアバッグ装置によると、膨張展開しようとするエアバッグは、アウターバッグの天井部及びリッドを押して、天井部を破断させると共にリッドを割開く。この際、延出部は天井部に形成された収容部に配設されているため、アウターバッグが、延出部が突設されたリッドパネル部材側に引寄せられた状態が維持される。このため、エアバッグの膨張展開中に、膨張展開中のエアバッグの周囲を覆うアウターバッグと、リッドとが離れてしまわないようにすることができる。また、エアバッグ装置をインストルメントパネルに組付ける前の搬送段階等においても、延出部を収容部に収容することで、エアバッグを覆うアウターバッグとリッドパネル部材とを一体化した形態で取扱うことができ、持運び等の取扱いに便利である。
【0016】
第2の態様によると、収容部を、延出部に合わせた形状に形成することができ、延出部を収容部に収容し易くかつ収容部から外れ難くすることができる。
【0017】
第3の態様によると、前記収容部は、前記天井部にスリットを形成することにより形成されているため、当該収容部を容易に形成することができる。
【0018】
第4の態様によると、アウターバッグとリッドとがより確実に離れないようにすることができる。
【0019】
第5の態様によると、エアバッグの膨張展開時において、リッドから離れる方向へのインフレータ等の移動を抑制できる。
【0020】
第6の態様によると、リッドパネル部材の枠部とアウターバッグとが離れないようにすることで、膨張展開中のエアバッグの周囲を覆うアウターバッグと、リッドとが離れてしまわないようにすることができる。
【0021】
第7の態様によると、リッドパネル全体をリッドとして割開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係るエアバッグ装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】折畳まれたエアバッグをアウターバッグで覆った状態を示す斜視図である。
【図3】アウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【図4】アウターバッグの製造手順を示す説明図である。
【図5】アウターバッグの製造手順を示す説明図である。
【図6】アウターバッグの製造手順を示す説明図である。
【図7】アウターバッグの製造手順を示す説明図である。
【図8】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【図9】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【図10】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【図11】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【図12】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【図13】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【図14】アウターバッグとリッドパネル部材に取付ける工程を示す説明図である。
【図15】アウターバッグとリッドパネル部材に取付ける工程を示す説明図である。
【図16】アウターバッグとリッドパネル部材に取付ける工程を示す説明図である。
【図17】アウターバッグとリッドパネル部材に取付ける工程を示す説明図である。
【図18】エアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【図19】エアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【図20】破断ライン、収容部の位置に係る変形例を示す説明図である。
【図21】破断ライン、収容部の位置に係る変形例を示す説明図である。
【図22】リッドパネル部材に関する変形例を示す説明図である。
【図23】リッドパネル部材に関する変形例を示す説明図である。
【図24】リッドパネル部材に関する変形例を示す説明図である。
【図25】収容部形成用シート状部材の取付態様に関する変形例を示す説明図である。
【図26】延出部に関する変形例を示す説明図である。
【図27】収容部に関する変形例を示す説明図である。
【図28】収容部に関する変形例を示す説明図である。
【図29】ベルトを付加した変形例を示す説明図である。
【図30】ベルトを付加した変形例を示す説明図である。
【図31】ベルトを付加した変形例を示す説明図である。
【図32】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【図33】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。図1は本実施形態に係るエアバッグ装置20の全体構成を示す断面図である。なお、図1では、エアバッグ装置20をインストルメントパネル10に組込んだ状態を示している。図1は、車両の前後方向に沿った面における断面を示している。
【0024】
このエアバッグ装置20は、車両の助手席前方にあるインストルメントパネル10に組込まれ、車両衝突時等に助手席乗員前方に膨張展開して、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する装置として構成されている。
【0025】
すなわち、車両の助手席の車両前方には、インストルメントパネル10が配設されている。インストルメントパネル10は、車体に固定されるインストルメントパネル本体10aと、そのインストルメントパネル本体10aに取付けられるリッドパネル部材11とを備えている。インストルメントパネル本体10aには、開口10h(ここでは略方形開口)が形成されており、当該開口10hにリッドパネル部材11が嵌め込み固定されている。リッドパネル部材11の固定は、例えば、リッドパネル部材11に形成された係合部11aをインストルメントパネル本体10aに形成された被係合部(図示省略)に係合させること等により行われる。
【0026】
また、インストルメントパネル10の内側には、車両のボディに固定された部材である車体側部材18が配設されている。ここでは、車体側部材18として、ボディに固定され、インストルメントパネル10内で車幅方向に沿って配設された部材(いわゆるリーンホースと呼ばれる部材)を想定している。上記インストルメントパネル10は、周知構造を含む取付構造によって車両のボディに固定され、また、本体側部材も車両のボディに固定されているので、インストルメントパネル10と車体側部材18とは一定の位置関係に保たれている。従って、車体側部材18にエアバッグ装置20を取付けることで、エアバッグ装置20がより確実にインストルメントパネル10に対して一定の位置に配設される。
【0027】
本エアバッグ装置20は、上記リッドパネル部材11と、インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ40とを備えている。
【0028】
リッドパネル部材11は、樹脂等で形成された部材であり、枠部11fと、リッド12と、延出部14とを備えている。
【0029】
枠部11fは、開口10hの内周4方を閉塞する枠状領域部分である。この枠部11fの内面には、上記係合部11aが突設されており、当該係合部11aを介してインストルメントパネル本体10aに取付けられる。
【0030】
リッド12は、当該枠部11fの中央部に設けられた方形状領域部分であり、当該枠部11fに対して割開き可能に設けられている。ここでは、リッドパネル部材11の内面に、H字状のティアライン11Lが形成されている(図14参照)。そして、エアバッグ30の膨張展開によってリッドパネル部材11が前記ティアライン11Lに沿って割れることで、リッド12が複数(ここでは2つ)のリッド分割部12aに分割され、それぞれ両開き状に割開かれるようになっている。
【0031】
延出部14は、上記リッド12の外周に突設されており、上記リッド12の内面に沿った姿勢に配設可能に構成されている。より具体的には、延出部14は、リッド12を構成する複数のリッド分割部12aの基端部(割開かれる際に曲る部分)に沿って突設された板状部材に形成されている。ここでは、延出部14は、リッド分割部12aの基端部の長手方向全体に亘って形成されているが、必ずしもその必要はない。この延出部14は、板状に形成されており、リッド12の内面に対して直交する姿勢と当該内面に沿った姿勢との間で姿勢変更可能とされている。リッドパネル部材11を金型成型する時点で、延出部14がリッド12の内面に対して直交する姿勢とされていても、当該内面に沿った姿勢とされていてもどちらでもよい。延出部14が上記の姿勢間で姿勢変更し易いように、延出部14の全体が薄手に形成されていてもよいし、延出部14の基端部に溝等が形成されていてもよい。
【0032】
インフレータ22は、点火装置及びガス発生剤等を有しており、上記リッド12の内側に配設されている。このインフレータ22は、車両自体に設置された衝撃検知部等からの点火命令信号を受けて前記点火装置によりガス発生剤を燃焼させ、これによりガスを発生可能に構成されている。ここでは、インフレータ22は、短円柱状に形成されており、その外周に金属板等でつば部24が形成されている。ここでは、つば部24は、方形状に形成されている。また、つば部24の一主面にネジ部25が突設されており、このネジ部25を利用して、インフレータ22とエアバッグ30、アウターバッグ40等との取付がなされる。
【0033】
エアバッグ30は、布等でガス導入口を有する袋状に形成されている。上記インフレータ22は、ガス導入口を介してエアバッグ30内にガスを導入可能な位置及び姿勢で、エアバッグ30に取付けられている。このエアバッグ30は、通常状態では、折畳まれてリッド12の内側、ここでは、リッド12とインフレータ22との間に配設されている。エアバッグ30の折畳み構成は、予め決定された折り線に沿って折られる構成であっても、くしゃくしゃに丸めるように折畳まれる構成であってもよい。もっとも、エアバッグ30は、直方体状をなすように折畳まれていることが好ましい。そして、車両衝突時等の膨張展開時には、エアバッグ30は、インフレータ22よりガス導入口を介して導入されるガスによって、リッド12を割開いてインストルメントパネル10の外方に突出するように膨張して、車室内側である助手席乗員側に向けて袋状に膨張展開する。
【0034】
図2は折畳まれたエアバッグ30をアウターバッグ40で覆った状態を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、アウターバッグ40は、折畳み可能でかつ接合可能な柔軟なシート状部材42(布或は樹脂シート等)を縫製することにより構成されている。接合は、縫製によって行われることが好ましく、ここでも縫製した例で説明するが、これは必須ではない。
【0035】
アウターバッグ40は、折畳まれたエアバッグ30の外周を覆う周壁部40bと、折畳まれたエアバッグ30のリッド12側部分を覆う天井部40cとを有する袋状に形成されている。そして、アウターバッグ40がインフレータ22に固定された状態で、折畳まれたエアバッグ30を覆うようになっている。ここでは、エアバッグ30は、底部40aと周壁部40bと天井部40cとを有する筺状に形成されており、底部40aにインフレータ22及びエアバッグ30が取付けられた状態で、折畳まれたエアバッグ30がアウターバッグ40によって覆われている。
【0036】
また、このアウターバッグ40の天井部に、破断容易な破断ライン45が形成されており、エアバッグ30は当該破断ライン45を破断して膨張展開できるようになっている。
【0037】
また、天井部40cには、延出部14を、破断ライン45を避けた位置で、かつ、天井部40cに沿った姿勢で収容可能な収容部60が形成されている。ここでは、天井部40cのうち破断ライン45を挟む2箇所に、収容部形成用シート状部材62が接合される。この接合は、縫製によって行われることが好ましく、ここでも縫製した例で説明するが、これは必須ではない。ここでは、各収容部形成用シート状部材62は、天井部40cのうち破断ライン45で分割された半分の領域より小さい(ここでは僅かに小さい)長方形状に形成されている。そして、天井部40cの外縁部側にある辺を除いて、残りの3辺部分を天井部40cに縫製することにより、各収容部形成用シート状部材62が天井部40cに縫製されている。これにより、天井部40cに対して破断ライン45を挟む2箇所に、天井部40cの外縁部側で開口する収容部60が形成される。そして、延出部14が前記リッド12の内面に沿った姿勢に配設された状態で、当該延出部14が収容部60に収容されるようになっている。
【0038】
上記アウターバッグ40の一製造例について説明する。
【0039】
上記アウターバッグ40を組立てるにあたって、まず、図3に示すシート状部材42及び収容部形成用シート状部材62を準備する。シート状部材42は、長方形状に形成されている。シート状部材42の長手方向一端部にインフレータ取付孔43が形成されると共に、インフレータ取付孔43の周縁部に固定孔43aが(ここでは4つ)形成されている。また、シート状部材42の長手方向他端部には、インフレータ取付孔43の一部分形状(ここでは半円よりやや小さい凹形状)を呈するインフレータ嵌込凹部44が形成されると共に、当該インフレータ嵌込凹部44の周縁部に固定孔44aが形成されている。また、シート状部材42の長手方向中間部には、その幅方向に沿って破断ライン45が形成されている。破断ライン45は、エアバッグ30の膨張展開力によって破断可能なラインであり、ここでは、直線状のカット部分が直線状に断続的に形成された構成とされている。なお、破断ライン45が上記構成であることは必須ではなく、破断によりエアバッグ30が膨張展開可能な開口を形成できる構成であればよい。
【0040】
上記シート状部材42のうち上記天井部40c相当部分、即ち、破断ライン45を挟む2つの部分にそれぞれ収容部形成用シート状部材62を縫付ける。
【0041】
図4は上記シート状部材42に一対の収容部形成用シート状部材62を縫付けた状態を示している。本図4では、縫合ライン42a(図4において点線で示す)及び折りライン42b(図4において2点鎖線で示す)が示されている。シート状部材42を折りライン42bで折りつつ、縫合ライン42aで縫製することで、上記アウターバッグ40が形成される。
【0042】
すなわち、まず、シート状部材42の他端側をその幅方向に沿った任意の直線ラインL1(図4参照)に沿って折る。ここでは、上記収容部形成用シート状部材62を内側に配設して、シート状部材42を破断ライン45に沿った直線ラインL1で折る。直線ラインL1は、インフレータ取付孔43の中心を、シート状部材42の幅方向に横切る直線ラインL2(図5参照)と平行なラインでもある。すると、図5に示すように、インフレータ嵌込凹部44がインフレータ取付孔43に重ね合される。
【0043】
次に、シート状部材42を上記直線ラインL1と平行な直線ラインL2(図5参照)で折返す。ここでは、シート状部材42の一端部を、インフレータ取付孔43の中心を、シート状部材42の幅方向に横切る直線ラインL2で折返す。これにより、図6に示すように、シート状部材42が、その両端部を重ね合せるように筒状に折られた状態となる。つまり、後述するアウターバッグ40の底部40aを構成するシート状部材42の一端部に対して、シート状部材42の他端部を重ね合せる。
【0044】
なお、シート状部材42を折返す直線ラインL1、L2の位置は上記例に限られない。後述する縫製を容易に行うためには、アウターバッグ40を直方体状に形成した状態で、対向する面に直線ラインL1、L2が形成されていることが好ましい。なお、シート状部材42の一端側が、その他端部よりも先に折られてもよい。
【0045】
次に、図7に示すように、シート状部材42のうち前記筒状の両端側開口部となる両側部分で、上記直線ラインL1、L2と直交する縫合ライン42aに沿って縫製する。すると、シート状部材42は、折畳まれたエアバッグ30を全体的に覆うことができる袋状に形成されることになる。なお、アウターバッグ40は、強度上の必要性等に応じて、全体的或は部分的に複数の布等が重ね合されていてもよい。また、袋を形成するのとは無関係な箇所等で、補充的な縫合箇所等があってもよい。なお、シート状部材42の形状、折るライン等を適宜調整することで、アウターバッグ40(周壁部40b)の高さ調整も容易に行うことができる。
【0046】
ここでは、次のようにして、エアバッグ30がアウターバッグ40内に収容されている。
【0047】
すなわち、図8に示すように、シート状部材42の一端部が裏側を向くように、上記のように縫製したシート状部材42が裏返される。そして、図9に示すように、インフレータ取付孔43の全体が表面に露出するように、シート状部材42の一端部が外方に引出される。インフレータ22のつば部24に突設されたネジ部25をアウターバッグ40のインフレータ取付孔43の周縁部の固定孔43aに挿通させた状態で、インフレータ22の一部がインフレータ取付孔43内に配設される。なお、インフレータ22のつば部24に突設されたネジ部25は、エアバッグ30のガス導入口の周縁部に形成された固定孔に挿通されており、当該エアバッグ30に対して取付(仮固定)されている。
【0048】
すると、図10に示すように、シート状部材42のうちインフレータ取付孔43を有する部分の一主面側(図10に示す状態で外面側)に、インフレータ22及び折畳まれたエアバッグ30が配設される。なお、図10〜図12において、(a)は折畳まれたエアバッグ30の膨張展開方向からの図、(b)は折畳まれたエアバッグ30の側方からの図、(c)は折畳まれたエアバッグ30の底部(インフレータ22)側からの図を示している。
【0049】
次に、図11に示すように、シート状部材42の他端部(インフレータ嵌込凹部44側の端部)を、折畳まれたエアバッグ30上に被せるように、シート状部材42を反転させる。
【0050】
さらに、図12に示すように、シート状部材42の他端部(インフレータ嵌込凹部44側の端部)を、シート状部材42の一端部(インフレータ取付孔43側の端部)まで引張り、インフレータ嵌込凹部44をインフレータ取付孔43に重ね合せるように、シート状部材42を完全に反転させると、アウターバッグ40が折畳まれたエアバッグ30を全体的に覆うようになる。
【0051】
この状態では、インフレータ22のネジ部25は、インフレータ嵌込凹部44の固定孔44aにも挿通される。このため、インフレータ取付孔43の周縁部とインフレータ22との固定部分に、シート状部材42の他端部が固定されることとなる。
【0052】
この状態では、アウターバッグ40は、略直方体容器状に形成されている。より具体的には、アウターバッグ40は、インフレータ22が固定される略方形状部分(インフレータ取付孔43が形成された部分)である底部40aと、底部40aの一主面側を略方形環状に囲む周壁部40bと、前記底部40aと対向する位置で前記周壁部40bの開口を塞ぐ天井部40cとを有している。天井部40cの外面には、一対の収容部形成用シート状部材62が縫付けられており、この一対の収容部形成用シート状部材62によって一対の収容部60が形成されている。
【0053】
なお、上記シート状部材42を略方形状に折ると、底部40aの両側部及び天井部40cの両側部には、錐体状の袋状部分が余る。この袋状部分は、三角形状に折られて耳部分40dに形成されている。この耳部分40dは、上記周壁部40bの外側に折畳まれていてもよいし、周壁部40bと折畳まれたエアバッグ30との間に折込まれていてもよい。これにより、アウターバッグ40は、直方体箱状をなすように折られている。
【0054】
また、シート状部材42の両側部の接合部分である縫合ライン42aの延在方向は、エアバッグ30の主膨張展開方向(つまり、リッド12に向う方向)に沿った方向である。また、破断ライン45は、上記インフレータ取付孔43(つまり、インフレータ22)と対向する位置に形成されている。より具体的には、破断ライン45は、天井部40cにおいて、縫合ライン42aのうち前記リッド12側に至る終端間に破断ライン45が形成されている。従って、アウターバッグ40が破断ライン45において破断されると、アウターバッグ40は、破断ライン45が破断した部分を開口とし、かつ、シート状部材42のうち一対の縫合ライン42aで囲まれた部分を周面とする筒状に形成されるようになっている。
【0055】
なお、最終的には、上記インフレータ22のつば部24に対しては、アウターバッグ40の外側から固定ブラケット28が重ね合される。固定ブラケット28には、ネジ部25に対応する孔が形成されており、当該孔から突出するネジ部25にナット29が螺合締結される。これにより、つば部24と固定ブラケット28との間に、エアバッグ30のうちガス導入口の周縁部及びアウターバッグ40のうちインフレータ取付孔43及びインフレータ嵌込凹部44の周縁部が挟込み固定される。
【0056】
また、インフレータ22には、インフレータ固定部材46が固定されている。インフレータ固定部材46は、金属板等によって形成された部材であり、ここでは、略L字状に曲る形状に形成されている。そして、ここでは、上記ネジ部25がインフレータ固定部材46の一端部に挿通された状態でネジ部25にナット29が螺合締結されることで、インフレータ固定部材46の一端部が上記固定ブラケット28の外面とナット29との間で締付け固定され、もって、インフレータ固定部材46がインフレータ22に固定されている。また、インフレータ固定部材46の他端部は、車体側部材18に固定可能な形状に形成されている。ここでは、車体側部材18に突設された固定ボルト18Bを、前記インフレータ固定部材46の他端部に挿通して、当該固定ボルト18Bにナット18Nを螺合締結することにより、インフレータ固定部材46が車体側部材18に対して固定される。そして、本インフレータ固定部材46が車体側部材18に固定されることで、インフレータ22がリッド12の内側の一定位置に固定されている。
【0057】
なお、インフレータ22或は車体側部材18に対するインフレータ固定部材46の固定は、上記例に限られず、カシメ或は溶接、嵌め込み構造、或はこれらの複合構成であってもよい。
【0058】
上記のようにエアバッグ30を覆った状態でエアバッグ30及びインフレータ22に取付けられたアウターバッグ40を、リッドパネル部材11に取付ける手順について説明する。
【0059】
まず、図14及び図15に示すように、リッドパネル部材11の内面側にアウターバッグ40を配設し、リッド12の内面とアウターバッグ40の天井部40cとを対向して配設する。なお、以下の各図では、リッドパネル部材11、アウターバッグ40等は簡略化して描かれている。
【0060】
そして、図16に示すように、天井部40cをリッド12の内面に近づけ、一対の延出部14を内側に曲げて、当該一対の延出部14を天井部40cの収容部60内に差込むように配設する。
【0061】
そして、図17に示すように、アウターバッグ40の天井部40cがリッド12の内面に近接して配設されると、延出部14がリッド12の内面に沿った姿勢で配設された状態で、収容部60内に収容された状態となる。
【0062】
この状態で、リッドパネル部材11がインストルメントパネル10に取付けられると共に、インフレータ22が車体側部材18に固定されることで、リッドパネル部材11とアウターバッグ40とが一定の位置関係に維持される。もっとも、インフレータ22が車体側部材18に固定されることは必須ではない。
【0063】
図18及び図19は、上記エアバッグ装置20の展開動作を示す説明図である。
【0064】
まず、展開動作前の状態では、上記したように、折畳まれたエアバッグ30は、リッド12の内側に配設されている(図17参照)。また、アウターバッグ40の周壁部40bは折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から覆っており、天井部40cは折畳まれたエアバッグ30の上部を覆っている。リッド12に突設された延出部14は、天井部40cの収容部60に収容され、折畳まれたエアバッグ30とリッド12との間に配設されている。
【0065】
この状態で、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、図18に示すように、エアバッグ30は、リッド12の内側で膨張を開始する。
【0066】
エアバッグの膨張展開力によって、アウターバッグ40が破断ライン45に沿って破断される。また、エアバッグ30の主膨張展開方向(インフレータ22からリッド12に向う方向)では、インフレータ固定部材46によりインフレータ22はリッド12に対して一定距離離れた位置で固定されている。このため、膨張を始めたエアバッグ30は、天井部40c及び延出部14を介してリッド12の内面に当接し、エアバッグ30の突出方向の膨張展開力は、リッド12のティアライン11Lを分断する力として作用する。これにより、リッド12が割開かれる。この際、延出部14は、エアバッグ30の膨張展開力によってリッド12に向けて押付けられた状態となっている。
【0067】
図19に示すように、リッドパネル部材11に開口が形成されると、エアバッグ30は当該開口を通ってインストルメントパネル10の外方に膨張展開しようとする。すると、破断ライン45で破断されたアウターバッグ40のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dは、リッドパネル部材11の前記開口を通って外方に押出される。これにより、アウターバッグ40のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dは、周壁部40bよりも、エアバッグ30の膨張展開方向側でエアバッグ30を囲うようになる。また、同時に、エアバッグ30は、延出部14を、リッドパネル部材11に形成された開口を通って外方に押出す。
【0068】
上記のようにエアバッグ30が膨張展開する途中において、延出部14は、天井部40cに形成された収容部60に収容されている。このため、リッド12を割開く前後において、アウターバッグ40が、リッドパネル部材11(特に、枠部11f)側に引寄せられた状態が維持される。
【0069】
そして、エアバッグ30がリッドパネル部材11の開口を通って大きく外方に突出すると、アウターバッグ40のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dは、リッドパネル部材11の開口と膨張展開中のエアバッグ30との間に挟込まれる。これにより、エアバッグ30の膨張展開中において、インストルメントパネル10の内側でアウターバッグ40がエアバッグ30の周囲を囲う状態がより確実に維持される。そして、アウターバッグ40のうちインストルメントパネル10の内側に存在する部分が、膨張展開するエアバッグ30のうちインストルメントパネル10の内側に位置する部分を周囲全体に亘って受止めて、エアバッグ30がインストルメントパネル10の内側でラジアル方向に広がることを抑制する。
【0070】
以上のように構成されたエアバッグ装置20によると、膨張展開しようとするエアバッグ30は、アウターバッグ40の天井部40c及びリッド12を押して、天井部40cを破断させると共にリッド12を割開く。この際、延出部14は、天井部40cに形成された収容部60に収容されているため、アウターバッグ40が延出部14によってリッドパネル部材11側に引寄せられた状態が維持される。このため、エアバッグ30の膨張展開中において、膨張展開中のエアバッグ30を覆うアウターバッグ40とリッド12とが離れてしまわないようにすることができる。
【0071】
これにより、アウターバッグ40が膨張展開中のエアバッグ30の外周囲を取囲む状態がより確実に維持され、エアバッグ30がリッドパネル部材11の開口を通って外方により確実に膨張展開する。
【0072】
この点、従来技術では、リッド周りに、エアバッグのラジアル方向への展開を抑制しリッド側に膨張展開するように導くために、十分な厚み及び強度を有する立ち壁を設ける等の構成が採用されていた。しかしながら、本実施形態によると、エアバッグ30の膨張展開中において、アウターバッグ40とリッド12とが離れないようにすることで、アウターバッグ40によって、エアバッグ30のラジアル方向への展開を抑制しリッド12側に導くようにすることができる。このため、上記立ち壁を省略し或は薄型化することができ、エアバッグ装置20全体として軽量化、コンパクト化が可能となる。また、立ち壁を省略し或は薄型化することができる結果、リッドパネル部材11の表面に樹脂ヒケが発生し難くなる。これにより、リッドパネル部材11の外観を向上させることができる。
【0073】
また、エアバッグ装置20をインストルメントパネル10に組付ける前の搬送段階等においても、延出部14を収容部60に収容することで、エアバッグ30を覆うアウターバッグ40とリッドパネル部材11とを一体化した形態で取扱うことができ、持運び等の取扱いに便利である。
【0074】
また、延出部14を変形させつつ収容部60に差込むことで、上記アウターバッグ40等をリッドパネル部材11に取付ける作業を容易に行え、取付作業性に優れる。
【0075】
また、延出部14がリッドパネル部材11の開口を通って外方に押出された後は、延出部14は前記開口の外側で一種の壁となって、前記開口周縁部の割れ等を抑制して、開口が広がりすぎることを抑制する。
【0076】
また、延出部14は、エアバッグ30の膨張展開方向前方に位置して、エアバッグ30が膨張展開する際の抵抗を付与することができる。このため、展開を遅らせたい方向では延出部14の厚みを大きくする等、延出部14の形状を調整することで、エアバッグ30の展開方向をコントロールすることができる。
【0077】
また、延出部14がアウターバッグ40の天井部40cの収容部60に収容されているため、アウターバッグ40の天井部40cと延出部14とが一体となってより確実に開かれる。
【0078】
また、リッドパネル部材11とアウターバッグ40との取付構造は、主としてリッド12と延出部14とアウターバッグ40の収容部60とで実現されている。この取付構造からすると、インフレータ22の取付位置に関する制約は少なく、従って、インフレータ22を、天井部40cを除いて比較的自由な位置に配設し易い構成であるといえる。
【0079】
また、天井部40cの収容部形成用シート状部材62を縫合することで収容部60を形成しているため、収容部60の内部空間を、延出部14の形状に合わせた形状に容易に形成することができる。これにより、延出部14を収容部60に収容し易くでき、また、延出部14を収容部60内になるべくぴったりと収めることで、延出部14が収容部60から外れ難くすることができる。
【0080】
また、インフレータ22がインフレータ固定部材46を介して車体側部材18に固定されているため、リッド12から離れる方向へのインフレータ22等の移動を抑制できる。これにより、エアバッグ30の膨張展開力をより確実にリッド12を割開く力として作用させることができる。
【0081】
もっとも、インフレータ22が車体側部材18に固定されていることは必須ではない。上記延出部14がアウターバッグ40の収容部60に収容されることで、アウターバッグ40がエアバッグ30、インフレータ22等と共にリッドパネル部材11に取付固定される構成のみ採用されてもよい。
【0082】
上記実施形態を前提として、各種変形例について説明する。
【0083】
まず、破断ライン、収容部の位置に係る変形例について説明する。
【0084】
図20に示す変形例では、上記アウターバッグ40に対応するアウターバッグ40Bの天井部40Bcに、その短辺方向に沿って破断ライン45Bが形成されている。また、天井部40Bcに対して前記破断ライン45Bを挟んで両側に収容部60Bが形成されている。
【0085】
また、リッドパネル部材11に対応するリッドパネル部材11Bのリッド12Bには、前記破断ライン45Bと同方向に延びる中央のティアライン部分の両端側に一対のティアラインライン部分が伸びるH字状のティアライン11BLを形成するとよい。また、リッド12Bの外周囲のうちその短辺部分に一対の延出部14Bを形成するとよい。この場合でも、上記実施形態と同様に、延出部14Bを収容部60Bに収容することで、アウターバッグ40Bがリッドパネル部材11Bに取付けられ、上記と同様に動作する。
【0086】
図21に示す変形例では、アウターバッグ40に対応するアウターバッグ40Cの天井部40Ccに、H字状の破断ライン部分とそのH字状の破断ライン部分の各端部から天井部40Ccの周縁部に沿って外方に延びる破断ライン部分とを有する破断ライン45Cが形成されている。そして、天井部40Ccは、当該破断ライン45Cに沿って分断されることにより、4つの片に分れて外開きするようになっている。また、分断される4つの片のそれぞれに外方に開口する収容部60Cが形成されている。
【0087】
また、リッドパネル部材11に対応するリッドパネル部材11Cには、中央のティアライン部分の両端部に外方に向けてV字状に開くティアライン部分が形成されたティアライン11CLが形成されている。そして、また、リッド12Cの外周囲のうち、ティアライン11CLで分断される4つの各部分の基端部に、延出部14Cが形成されている。
【0088】
この場合でも、上記実施形態と同様に、各延出部14Cを各収容部60Cに収容することで、アウターバッグ40Cがリッドパネル部材11Cに取付けられ、上記と同様に動作する。
【0089】
次に、リッドパネル部材に関する変形例について説明する。
【0090】
図22に示す変形例では、上記リッドパネル部材11に対応するリッドパネル部材11Dは、その面方向全体が割開き可能なリッド12Dに形成されている。すなわち、リッドパネル部材11Dは、インストルメントパネル本体10aの開口10hを閉塞可能な板状部分を有し、その板状部分をその長辺方向に横切るようにしてティアライン11DLが形成されている。このため、エアバッグ30が膨張展開すると、ティアライン11DLがその長手方向全体に沿って割れるようになっている。また、このリッド12Dの内面の中間部に上記延出部14と同様の延出部14Dが形成されている。もっとも、延出部14Dは、リッドパネル部材11Dの外周囲に形成されていてもよい。
【0091】
この場合でも、上記実施形態と同様に、各延出部14Dを各収容部60に収容することで、アウターバッグ40がリッドパネル部材11Dに取付けられ、上記と同様に動作する。
【0092】
この変形例によると、リッドパネル部材11Dの平面状の広がり全体をリッド12Dとして大きく割開くことができる。
【0093】
また、ティアライン11DLの全長を短くすることができ、ティアライン11DLに起因する樹脂ヒケを少なくして、リッドパネル部材11Dの外観向上を図ることができる。
【0094】
また、図23に示す変形例では、図20に示す変形例と同様のアウターバッグ40Bが用いられている。
【0095】
また、上記リッドパネル部材11に対応するリッドパネル部材11Eは、その板状部分を短辺方向に横切るようにしてティアライン11ELが形成されていること、図20に示す延出部14Bと同様の延出部14Eが形成されている点を除いて上記リッドパネル部材11と同様構成である。
【0096】
この場合でも、上記実施形態と同様に、各延出部14Eを各収容部60Bに収容することで、アウターバッグ40がリッドパネル部材11Dに取付けられ、上記と同様に動作する。
【0097】
図24に示す変形例では、図21に示す変形例と同様のアウターバッグ40Cが用いられている。
【0098】
また、上記リッドパネル部材11に対応するリッドパネル部材11Fは、中央のティアライン部分の両端部からリッドパネル部材11Fの外方端縁部に至るV字状のティアライン部分が形成されたティアライン11FLが形成されていること、図21に示す延出部14Cと同様の延出部14Fが形成されている点を除いて上記リッドパネル部材11と同様構成である。
【0099】
この場合でも、上記実施形態と同様に、各延出部14Fを各収容部60Cに収容することで、アウターバッグ40がリッドパネル部材11Fに取付けられ、上記と同様に動作する。
【0100】
収容部形成用シート状部材に関する変形例について説明する。
【0101】
上記実施形態では、外側のみ開口するように、収容部形成用シート状部材62を縫合しているが、必ずしもその必要はない。
【0102】
図25に示す変形例のように、アウターバッグ40に対応するアウターバッグ40Gにおいて、収容部形成用シート状部材62の両端部が天井部40cに縫合され、天井部40cの外側(外周側)及び内側(破断ライン45側)の双方が開口する収容部60Gが形成されていてもよい。図25の他の構成は、図22と同様である。
【0103】
延出部14に関する変形例について説明する。
【0104】
図26に示す変形例では、リッドパネル部材11に対応するリッドパネル部材11Hの延出部14Hが、上記図22に示す延出部14Dを、間隔をあけて分割(ここでは2分割)した構成とされている。
【0105】
また、アウターバッグ40に対応するアウターバッグ40Hの天井部40cには、上記収容部形成用シート状部材62を分割した収容部形成用シート状部材62Hが、各延出部14Hと対応する位置に縫合されている。それぞれの収容部形成用シート状部材62Hは、外方を除く他の3辺部分を天井部40cに縫合するようにして天井部40cに縫合されている。これにより、外方が開口する収容部60Hが上記延出部14Hに対応して4つ形成されている。
【0106】
この場合でも、上記実施形態と同様に、各延出部14Hを各収容部60Hに収容することで、アウターバッグ40Hがリッドパネル部材11Hに取付けられ、上記と同様に動作する。
【0107】
収容部に関する変形例について説明する。
【0108】
上記実施形態では、天井部40cに収容部形成用シート状部材62を縫合することで収容部60を形成したが、必ずしもその必要はない。
【0109】
上記アウターバッグ40にスリットを形成することで、収容部を形成してもよい。
【0110】
図27に示す変形例では、アウターバッグ40に対応するアウターバッグ40Iの天井部40cの長辺側部分に、スリット41Iを形成することで、収容部60Iを形成している。この収容部60Iは、前記スリット41Iを開口とし、天井部40cの内面側部分と折畳まれたエアバッグ30との間の空間を、延出部14Bを収容するための空間としている。
【0111】
この場合でも、上記実施形態と同様に、各延出部14Bを、各スリット41Iを通じて各収容部60Iに収容することで、アウターバッグ40Iがリッドパネル部材11Bに取付けられ、上記と同様に動作する。
【0112】
加えて、収容部60Iは、天井部40cにスリット41Iを形成することにより形成されるため、当該収容部60Iを容易に形成することができるというメリットがある。
【0113】
また、図28に示す変形例では、アウターバッグ40に対応するアウターバッグ40Jは、図27に示すアウターバッグ40Iにおいて、スリット41Iと破断ライン45との間に、スリット41Iと同じ長さのスリット41Jが形成された構成とされている。従って、収容部60Jは、天井部40cの外周側及び破断ライン45の両側に開口するように形成されている。
【0114】
この場合、延出部14Bは、スリット41Iを通って収容部60I内に収容され、反対側のスリット41Jを通って外側に露出している。
【0115】
この場合でも、上記実施形態と同様に、各延出部14Bを、各スリット41Iを通じて各収容部60Iに収容することで、アウターバッグ40Jがリッドパネル部材11Bに取付けられ、上記と同様に動作する。また、延出部14Bが、スリット41Iを通って収容部60I内に収容され、反対側のスリット41Jを通って外側に露出しているため、天井部40cのうちスリット41I、41Jの間の部分が延出部14Bに引っ掛かった状態が維持され、アウターバッグ40がリッドパネル部材11Bに引寄せられた状態がより確実に維持される。
【0116】
次に、アウターバッグをベルトによってリッドパネル部材に連結するようにした変形例について説明する。
【0117】
図29は本変形例に係るエアバッグ装置20Kを示す概略分解斜視図であり、図30はエアバッグ装置20Kを示す概略分解断面図であり、図31はエアバッグ装置20Kを示す概略断面図である。
【0118】
アウターバッグ40に対応するアウターバッグ40Kは、図26に示すアウターバッグ40Hの天井部40cにベルト41Kを取付けた構成とされている。ここでは、天井部40cのうち破断ライン45によって分割された領域であって一対の収容部形成用シート状部材62H間の部分にベルト41Kが取付けられている。ベルト41Kの一端部は天井部40cに縫合等によって取付けられ、ベルト41Kの他端部は天井部40cの外側に向けて延出している。ベルト41Kの他端部には、スリット41Kaが形成されている。
【0119】
リッドパネル部材11に対応するリッドパネル部材11Kは、図26に示すリッドパネル部材11Hにおいて、延出部14Hで囲まれる領域内にH字状のティアライン11KLを形成した構成とされている。また、間隔をあけて配設された延出部14H間の外側部分に、爪部11Kaが突設された構成とされている。ここでは、爪部11Kaは、細い(或は薄い)基部の先端部に、太い(或は厚い)頭部が設けられた構成とされている。頭部は、先端側に向けて尖っていることが好ましい。
【0120】
そして、上記実施形態と同様に、各延出部14Hが各収容部60Hに収容されると共に、ベルト41Kの他端部がリッドパネル部材11の爪部11Kaに配設され、当該爪部11Kaがベルト41Kの他端部のスリット41Kaに嵌め込まれることで、ベルト41Kの先端部がリッドパネル部材11Kに連結されている。
【0121】
この変形例によると、アウターバッグ40、折畳まれたエアバッグ30及びインフレータ22は、ベルト41Kによっても、リッドパネル部材11Kに連結固定されている。このため、本エアバッグ装置20Kをインストルメントパネル10に組付ける前の搬送段階等において、リッドパネル部材11Kからのアウターバッグ40Kの脱落等が抑制され、取扱いに便利である。
【0122】
また、図32及び図33に示すように、エアバッグ30が膨張展開する際にも、ベルト41Kがリッドパネル部材11Kに連結されている。このため、エアバッグ30がリッド12に当接する際に、アウターバッグ40Kに対してリッド12がより確実に離れる方向に移動し難い。従って、リッド12がより確実に割開かれる。また、リッド12が割開かれた後においても、リッドパネル部材11Kはアウターバッグ40Kに対して連結されたままとなっている。このため、アウターバッグ40からのリッド12の分離も抑制される。
【0123】
なお、勿論、本変形例において、リッドパネル部材11Kの面方向の全体がリッドとして割開かれてもよい。
【0124】
なお、上記実施形態及び各変形例において、リッドパネル部材は、インストルメントパネルの全体であってもよい。
【0125】
また、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0126】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0127】
10 インストルメントパネル
11、11B、11C、11D、11E、11F、11H,11K リッドパネル部材
11f 枠部
11L、11BL、11CL、11DL、11EL、11FL、11KL ティアライン
11Ka 爪部
12、12B、12C、12D リッド
14、14B、14C、14D、14E、14F、14H 延出部
18 車体側部材
20、20K エアバッグ装置
22 インフレータ
28 固定ブラケット
30 エアバッグ
40、40B、40C、40G、40H、40I、40J、40K アウターバッグ
40b 周壁部
40c、40Bc、40Cc 天井部
41I、41J スリット
41K ベルト
41Ka スリット
42 シート状部材
45、45B、45C 破断ライン
46 インフレータ固定部材
60、60B、60C、60G、60H、60I、60J 収容部
62、62H 収容部形成用シート状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
割開き可能なリッドを有し、前記リッド又は前記リッドの外周に、前記リッドの内面に沿った姿勢に配設可能な延出部が突設されたリッドパネル部材と、
前記リッドの内側でガスを発生可能なインフレータと、
前記リッドの内側に配設可能な状態に折畳まれ、前記インフレータから導入されるガスによって、前記リッドを内側から割開くように袋状に膨張展開可能なエアバッグと、
シート状部材によって、折畳まれた前記エアバッグの外周を覆う周壁部と、折畳まれた前記エアバッグの前記リッド側部分を覆う天井部とを有する袋状に形成され、前記インフレータに固定された状態で、折畳まれたエアバッグを覆うアウターバッグと、
を備え、
前記アウターバッグの前記天井部に破断容易な破断ラインが形成されると共に、前記天井部に、前記延出部を、前記破断ラインを避けた位置で前記天井部に沿った姿勢で収容可能な収容部が設けられ、
前記延出部が前記リッドの内面に沿って配設された状態で、前記収容部に収容されている、エアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1記載のエアバッグ装置であって、
前記収容部は、少なくとも1つの開口を形成するように収容部形成用シート状部材を前記天井部に接合することにより形成されている、エアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1記載のエアバッグ装置であって、
前記収容部は、前記天井部にスリットを形成することにより形成されている、エアバッグ装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のエアバッグ装置であって、
前記アウターバッグにベルトが取付けられ、前記ベルトの先端部が前記延出部の外周で前記リッドパネル部材に連結されている、エアバッグ装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のエアバッグ装置であって、
前記インフレータに固定され、車体側部材に固定可能なインフレータ固定部材をさらに備え、
前記インフレータ固定部材が前記車体側部材に固定されることで前記インフレータが前記リッドの内側の一定位置に固定される、エアバッグ装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のエアバッグ装置であって、
前記リッドパネル部材は、インストルメントパネル本体に取付けられる枠部と、前記枠部内に割開き可能に設けられた前記リッドとを有し、前記延出部が前記リッドの外周に突設されている、エアバッグ装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のエアバッグ装置であって、
前記リッドパネル部材の面方向全体が割開き可能な前記リッドに形成され、前記リッドに前記延出部が形成されている、エアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−35325(P2013−35325A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170672(P2011−170672)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】