説明

エアリフトポンプ装置及び汚水処理設備

【課題】被処理水の移送先の処理槽で気泡が液面に拡散して厚く堆積するような不都合を解消することができるエアリフトポンプ装置を提供する。
【解決手段】エアリフトポンプ装置40は、好気槽30に立設配置された揚水管41と、揚水管41に気泡を放出して好気槽30内の被処理水を揚水する散気装置42と、揚水管41と連通され、揚水管41に揚水された被処理水を水平方向に移送するべく横設配置された送水管43と、送水管43により送水される被処理水の流れに対向するように配置され、被処理水を偏流させて被処理水から気泡を分離する分離壁48と、分離壁48の上流側に設置され、被処理水に含まれる気泡を大気開放する脱気部44とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽に立設配置された揚水管と、揚水管に気泡を放出して処理槽内の被処理水を揚水する散気装置と、揚水管と連通され、揚水管に揚水された被処理水を水平方向に移送するべく横設配置された送水管とを備えているエアリフトポンプ装置及び汚水処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
し尿や生活排水等を含む汚水を浄化する汚水処理設備は、嫌気槽または無酸素槽と好気槽とがそれぞれの槽を区画する区画壁を介して連接するように構築され、嫌気槽または無酸素槽で嫌気処理された被処理水の一部が区画壁に形成された流路から好気槽に流出するように構成されている。好気槽で好気処理された被処理水は、膜分離装置を介して槽外に取り出され、或は最終沈殿池に流出し、沈殿濾過された被処理水が外部に取り出される。
【0003】
そして、好気槽で好気処理された被処理水の一部を汚泥とともに上流側の嫌気槽または無酸素槽に返送するためにエアリフトポンプ装置が設置されている。
【0004】
特許文献1には、このようなエアリフトポンプ装置が設けられた排水処理装置が開示されている。当該排水処理装置には、垂直方向に延在する吸入管と、吸入管から水平方向に延在する吐出管と、吸入管内にエアを供給するエア供給手段とを備え、エア供給手段が作動することで被移送物を吸入管内及び吐出管内を通じて移送するエアリフトポンプ装置が設置され、エア供給量を低減するために、吐出管が延在する領域における下限水位以下に吐出管が配置されている。
【0005】
また、特許文献2には、嫌気濾床槽の被処理水を担体流動生物濾過槽へ移送するエアリフトポンプ装置が設置された汚水処理槽が示されている。当該エアリフトポンプ装置で被処理水を移送する移送配管の吐出部には、被処理水を分散させるキャップ部材が消泡装置として設けられ、当該キャップ部材で被処理水が分散されて担体流動生物濾過槽の液面上部から落水供給される際に、液界面での発泡が物理的に抑制されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004‐330003号公報
【特許文献2】特開2002‐1009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、エアリフトポンプ装置で移送される被処理水の性状によっては、散気装置から供給される気泡によって被処理水が発泡し、移送先の処理槽でその発泡状態が維持されて液面に拡散して厚く堆積し、さらには堆積した気泡の層が処理槽の周囲に溢れるという問題や、発泡した被処理水から異臭が発生するという問題があった。
【0008】
例えば、特許文献1に開示されたエアリフトポンプ装置では、垂直方向に延在する吸入管の上部に、水平方向に延在し、且つ、下限水位以下に配置される吐出管が接続され、吸入管の上端が大気開放され、気泡を大気に放出する脱気部として機能するように構成されているが、被処理水が発泡し易い性状の場合、脱気部で十分に脱気できずに被処理水とともに気泡が移送され、被処理水とともに移送される気泡で、液面に堆積する発泡層が下方から押し上げられて槽外に溢れるようになる。
【0009】
また、特許文献2に記載された消泡装置は、被処理水が移送先の処理槽の液面に落水する際の発泡を抑制するための構造であって、発泡状態の被処理水を消泡することを目的とするものではなく、移送配管に気泡が溜まると散気装置から供給される気泡によるエアリフト効果が発生せず、被処理水をポンプアップできなくなるという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、被処理水の移送先の処理槽で気泡が液面に拡散して厚く堆積するような不都合を解消することができるエアリフトポンプ装置及び汚水処理設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明によるエアリフトポンプ装置の特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、処理槽に立設配置された揚水管と、前記揚水管に気泡を放出して前記処理槽内の被処理水を揚水する散気装置と、前記揚水管と連通され、前記揚水管に揚水された被処理水を水平方向に移送するべく横設配置された送水管とを備えているエアリフトポンプ装置であって、前記送水管により送水される被処理水の流れに対向するように配置され、被処理水を偏流させて被処理水から気泡を分離する分離壁と、前記分離壁の上流側に設置され、被処理水に含まれる気泡を大気開放する脱気部とを備えている点にある。
【0012】
上述の構成によれば、送水管により送水される被処理水の流れが分離壁で偏流され、偏流時に被処理水から気泡が効果的に分離されるようになる。そして、分離壁で分離された気泡はその上流側に備えた脱気部で速やかに消泡され、脱気されるので、分離壁を越えて発泡状態が拡散するような事態を効果的に解消することができる。なお、分離壁は被処理水の流れに抵抗を与えて気泡を分離するため、略垂直姿勢または上端が下流側に傾斜する傾斜姿勢で配置されることが好ましく、気泡が分離された被処理水は分離壁の下方に偏流され、分離された気泡は分離壁に沿って上方に上昇して大気と接触して消泡される。
【0013】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記分離壁が、前記送水管の排出口より下流側に設置されるとともに、前記排出口と前記分離壁との間に、被処理水の下方への流出を許容し、側方への流出を阻止する案内壁が配置されている点にある。
【0014】
上述の構成によれば、送水管を介して発泡状態で移送された被処理水が分離壁で偏流され、偏流時に被処理水から気泡が効果的に分離され、その上流側に備えた脱気部で速やかに消泡される。このとき、分離壁と案内壁でその流れが阻止されるので、移送先の処理槽の液面での発泡層の拡散が効果的に防止される。そして、気泡が分離された被処理水は側部が分離壁と案内壁で仕切られる領域の下部開口から槽内に流入し、分離された気泡は側部が分離壁と案内壁で仕切られる領域の上部空間に堆積され、大気と接触して消泡される。
【0015】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記分離壁及び前記案内壁の上端が前記処理槽の水面より上方に突出するように形成され、当該突出部に発泡した被処理水の一部が流出可能な開口部が形成されている点にある。
【0016】
上述の構成によれば、分離壁と案内壁で仕切られる領域の大気開放された上部空間に堆積した発泡層が速やかに消泡しない場合であっても、処理槽の水面より上方に突出するように配置された分離壁及び案内壁の上端で区画される領域に発泡層を閉じ込めて、時間を掛けて消泡することができ、処理槽の水面に発泡層が拡散して溢れるような事態が効果的に回避できる。また、発泡層の層厚が大きくなると、突出部に形成された開口部から一部が流出するように構成されているので、一度に大量の発泡層が処理槽の水面に拡散するような不都合も解消できる。
【0017】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記脱気部が前記送水管に設けられている点にある。
【0018】
上述の構成によれば、送水管を介して発泡状態で移送された被処理水が分離壁で偏流され、偏流時に被処理水から気泡が効果的に分離され、その上流側送水管に備えた脱気部で速やかに消泡される。なお、送水管の出口部に分離壁を対向配置するとともに、送水管の出口部上面及び下面を切り欠けば、送水管の出口部下面切欠き部から被処理水が処理槽に流入し、送水管の出口部上下面切欠き部から脱気することができるようになる。
【0019】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記送水管が水平姿勢から下方への傾斜姿勢に姿勢が変更するように設置され、前記送水管の傾斜部管壁により前記分離壁が構成されている点にある。
【0020】
被処理水を偏流させて気液分離する分離壁は、必ずしも送水管の出口部下流側に配置しなくとも、送水管自体に備えていてもよい。つまり、水平姿勢から下方への傾斜姿勢に姿勢が変更する送水管の傾斜部管壁が、被処理水を偏流させて気液分離する分離壁として機能するように構成してもよい。
【0021】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第五特徴構成に加えて、前記傾斜部管壁の上流側直近に前記脱気部が設けられている点にある。
【0022】
上述の構成によれば、傾斜部管壁で分離された気泡がその上流側直近に備えた脱気部で消泡して被処理水から脱気される。
【0023】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第五または第六特徴構成に加えて、前記揚水管が配置された処理槽と前記送水管の排出口が配置された処理槽とを区画する区画壁が断面Y字状に形成され、前記傾斜部管壁が当該区画壁の傾斜部に沿って配置されている点にある。
【0024】
区画壁が断面Y字状に形成された処理槽では、区画壁の上部側の拡幅部に配管類が配置される空間が形成され、当該区画壁より上方に送水管を横設配置すると、処理槽の水面まで揚水するために必要な揚程以上の揚程が必要となり、散気装置に接続されたブロワーファンの動力が大きくなるという不都合が生じる。また、配管スペースである区画壁の上部側の拡幅部に送水管を設置するのも困難である。そこで、区画壁のうち拡幅部より下方に送水管を設置する場合に、揚水管で処理槽の水面近傍まで揚水された被処理水を送水する送水管を水面近傍から当該区画壁の傾斜部に沿って斜め下方に傾斜するように配設すれば、この傾斜部によって上述の傾斜部管壁により構成される分離壁が容易に実現でき、ブロワーファンの動力が必要以上に要求されることも無く、送水管の設置も容易に行なえるようになる。
【0025】
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第一から第七の何れかの特徴構成に加えて、前記脱気部に堆積した気泡を消泡する消泡手段が、前記脱気部に配置されている点にある。
【0026】
脱気部に堆積した気泡が自然消泡する速度が遅い場合、脱気部から気泡がオーバーフローする虞があるが、そのような場合であっても消泡手段により、脱気部で効率的に脱気させることができる。なお、消泡手段としては、発泡層に被処理水や処理済みの水を散水する散水機構や、発泡層の上部に消泡用の多孔板やメッシュ、或は消泡用の突起が複数形成された板状体を備え、被処理水の表面張力で発泡している気泡の一部に物理的力を加えて消泡する構成や、消泡剤を用いて化学的に消泡する構成が採用できる。
【0027】
本発明による汚水処理設備の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一から第八の何れかの特徴構成を備えたエアリフトポンプ装置を備えた点にある。
【発明の効果】
【0028】
以上説明した通り、本発明によれば、被処理水の移送先の処理槽で気泡が液面に拡散して厚く堆積するような不都合を解消することができるエアリフトポンプ装置及び汚水処理設備を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるエアリフトポンプ装置を採用した汚水処理設備の平面図
【図2】本発明によるエアリフトポンプ装置を採用した汚水処理設備の断面図
【図3】エアリフトポンプ装置の斜視図
【図4】エアリフトポンプ装置の側面断面図
【図5】別実施形態によるエアリフトポンプ装置の斜視図
【図6】別実施形態によるエアリフトポンプ装置の斜視図
【図7】別実施形態によるエアリフトポンプ装置を採用した汚水処理設備の説明図
【図8】別実施形態によるエアリフトポンプ装置を採用した汚水処理設備の説明図
【図9】別実施形態によるエアリフトポンプ装置を採用した汚水処理設備の概略平面図
【図10】別実施形態によるエアリフトポンプ装置を採用した汚水処理設備の概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明によるエアリフトポンプ装置を、汚水処理設備の好気槽内の被処理水を無酸素槽に返送するポンプ装置として適用した場合について説明する。
【0031】
図1及び図2に示すように、生活排水等を脱リン・脱窒して浄化する高度処理が可能な汚水処理設備1は、未処理の被処理水である原水を流入させる嫌気槽10と、嫌気槽10の下流側に区画壁11を介して連接され、嫌気性微生物により被処理水を脱窒する無酸素槽20と、無酸素槽20の下流側に区画壁21を介して配置され、無酸素槽20から流出した被処理水に含まれるアンモニアを好気性微生物で硝化する好気槽30と、好気槽30で硝化された被処理水の一部を無酸素槽20に返送するエアリフトポンプ装置40を備えている。
【0032】
各処理槽は、例えば、地中に掘削形成した凹部にコンクリートを打設することにより構成され、図1及び図2中の破線で示された矢印は、被処理水の流れを表している。
【0033】
嫌気槽10では、嫌気条件下で微生物により嫌気処理され、原水に含まれるBOD成分が微生物に取り込まれるとともに、リン化合物が加水分解されて正リン酸としてリンが液中に放出される。嫌気槽10で嫌気処理された被処理水は、区画壁11の下部に形成された連通口12を介して無酸素槽20へ移送される。
【0034】
無酸素槽20では、嫌気条件下で微生物により嫌気処理され、脱窒処理つまり硝酸イオン及び亜硝酸イオンの窒素ガスへの還元処理が行われる。無酸素槽20で嫌気処理された被処理水は、区画壁21の下部に形成された連通口22を介して好気槽30へ移送される。
【0035】
好気槽30に、無酸素槽20から流出した被処理水を受け入れる第一領域31と、第一領域31から流入した被処理水を区画壁21に導く第二領域32とに、被処理水の流出方向に沿って好気槽30を分離する分離壁34を設けて、第一領域31に被処理水に散気する複数の散気装置35を設置するとともに、第二領域32に被処理水を固液分離する複数の膜分離装置36を設置し、第二領域32の下流側にエアリフトポンプ装置40が設置されている。なお、分離壁34は、その上縁が水面より上方に突出する略垂直壁で構成され、基端側が区画壁21と接合され、他端側が好気槽30内で開放されている。
【0036】
第一領域31では、散気装置35からの散気による好気条件下で、被処理水に含まれるし尿等由来のアンモニウムイオンが微生物により酸化され、亜硝酸や硝酸に変換される硝化処理が行われ、さらに、被処理水中の正リン酸が汚泥に取り込まれ、ポリリン酸として蓄積される好気性処理が行われる。
【0037】
第二領域32では、膜分離装置36により被処理水から活性汚泥等の固形物が分離され、分離された被処理水が、送水管37によって後段の処理水槽(図示せず)に排出される。なお、嫌気槽10に流入する未処理の被処理水である原水の量は一定ではなく変動するが、膜分離装置36は、図示しない制御部により各処理槽の水位が所定の最低水位LWL以上であって最高水位HWL以下となるように排出量を調整するように構成されている。
【0038】
膜分離装置36に用いられる分離膜として、限外濾過膜、精密濾過膜等が好ましく採用される。膜の形態は、中空糸膜、平膜、チューブラー膜などが好ましく採用される。
【0039】
複数の膜分離装置36の下部には、夫々の膜分離装置36の膜表面に付着する汚泥を除去洗浄する散気装置38が配設されている。第二領域32では、散気装置38から供給される空気により、好気条件下で活性汚泥により硝化処理が行われる。第二領域32の活性汚泥は、引抜管39により余剰汚泥として排出される。
【0040】
図3及び図4に示すように、エアリフトポンプ装置40は、処理槽としての好気槽30に立設配置された断面矩形の揚水管41と、揚水管41の下端部に形成された下部開口41aの下方に対向して配置され、下部開口41aに向けて気泡を放出することで、好気槽30内の被処理水を揚水する散気装置42と、揚水管41と連通され、揚水管41に揚水された被処理水を水平方向に移送し、好気槽30に隣接する無酸素槽20へと返送するべく横設配置された断面矩形の送水管43とを備えている。図4中、破線矢印は、被処理水や気泡の流れを表している。
【0041】
揚水管41は、処理槽の底部に配置された架台45に支持されている。処理槽に天井がある場合には、天井から吊るされた支持部に揚水管41や送水管43を支持してもよい。
【0042】
散気装置42は、下部開口41a面積と略等しい面積となる範囲に、微細気泡を略均等に放出するために、同一平面上に分散配置された複数の散気部42aを備え、複数の散気部42aが揚水管41の下部開口41a面と平行に配置されている。
【0043】
揚水管41の上端高さが好気槽30の最低水位LWL以下の高さに設定され、揚水管41と送水管43が曲管46を介して連通されている。そのため円滑な流れが確保でき、送水管43を揚水管41の上端部に直角に連通する場合に発生する圧力損失を補うように散気装置42の駆動動力を高く設定する必要がない。
【0044】
送水管43の排出口43bより下流側には、送水管43により送水される被処理水の流れに対向するように配置され、被処理水を偏流させて被処理水から気泡を分離する分離壁48が設置されている。
【0045】
送水管43の排出口43bと分離壁48との間に、被処理水の下方への流出を許容し、側方への流出を阻止する案内壁48aが配置されている。分離壁48及び案内壁48aの上端は無酸素槽20の水面より上方に突出するように形成され、下端は送水管43の管底より下方に突出するように形成されている。突出部には発泡した被処理水の一部が流出可能な開口部48bが形成されている。分離壁48の上流側には、被処理水に含まれる気泡を大気開放する脱気部44が設置されている。案内壁48aの水平方向長さは、分離壁48及び案内壁48aに区画される領域内の気泡の量に応じて適宜設定すればよい。
【0046】
送水管43の上側管壁43aは、無酸素槽20の水面より上方に突出するように形成された案内壁48aの上端に連なるように脱気部44にかけて高さが次第に高くなるように下流側に向けて上方に傾斜する傾斜面で構成されている。
【0047】
以上のように構成することで、送水管43により送水される被処理水の流れが分離壁48で偏流され、偏流時に被処理水から気泡が効果的に分離されるようになる。そして、分離壁48で分離された気泡はその上流側に備えた脱気部44で速やかに消泡され、脱気される。
【0048】
このとき、分離壁48と案内壁48aで気泡の流れが阻止されるので、分離壁48と案内壁48aを越えて無酸素槽20の液面全体に発泡層が拡散するような事態を効果的に防止することができる。そして、気泡が分離された被処理水は側部が分離壁48と案内壁48aで仕切られる領域の下部開口48cから槽内に流入し、分離された気泡は側部が分離壁48と案内壁48aで仕切られる領域の上部空間に堆積され、大気と接触して消泡される。
【0049】
なお、分離壁48は被処理水の流れに抵抗を与えて気泡を分離するため、略垂直姿勢または上端が下流側に傾斜する傾斜姿勢で配置されることが好ましく、気泡が分離された被処理水は分離壁の下方に偏流され、分離された気泡は分離壁に沿って上方に上昇して大気と接触して消泡される。分離壁48の傾斜の程度は、気泡の発生の程度に応じて適宜設定される。また、分離壁48は、平板状である場合に限らず、被処理水の流れの方向に対して上下にまたは左右に湾曲した形状であってもよい。
【0050】
さらに、分離壁48及び案内壁48aの上端は無酸素槽20の水面より上方に突出するように形成されているので、分離壁48と案内壁48aで仕切られる領域の大気開放された上部空間に堆積した発泡層が速やかに消泡しない場合であっても、処理槽の水面より上方に突出するように配置された分離壁48及び案内壁48aの上端で区画される領域に発泡層を閉じ込めて、時間を掛けて消泡することができ、無酸素槽20の水面に発泡層が拡散して溢れるような事態が効果的に回避できる。
【0051】
また、分離壁48及び案内壁48bは送水管43の管底より下方に延出形成されているので、分離壁48によって偏流されて気液分離された気泡が、被処理水とともに無酸素槽20内へと流入する虞を低減することができる。
【0052】
また、発泡層の層厚が大きくなると、突出部に形成された開口部48dから一部が流出するように構成されているので、一度に大量の発泡層が無酸素槽20の水面に拡散するような不都合も解消できる。
【0053】
なお、開口部48aは矩形状の開口を4つ備える構成に限らず、円形状や多角形状を適当な個数形成すればよい。さらに、案内壁48aの上端の一部を切り欠いて発泡層が無酸素槽20の水面へとオーバーフローする構成であってもよく、分離壁48及び案内壁48aの上端で区画される領域に閉じ込められた発泡層の一部が徐々に流出するように形成されていればよい。
【0054】
さらに、図4に示すように、脱気部44の上方空間には、脱気部44の水面に発生した気泡を消泡する消泡手段としての消泡機構49が備えられている。消泡機構49は、無酸素槽20の槽内または槽外に設置したポンプ機構により、無酸素槽20内の被処理水を揚水して、または、上水を供給して、脱気部44の水面に発生した気泡に向けて散水する散水機構で構成されている。
【0055】
脱気部44に堆積した気泡が自然消泡する速度が遅い場合、脱気部44から無酸素槽20内へと気泡がオーバーフローする虞があるが、そのような場合であっても消泡機構49を備えることにより、脱気部44で効率的に脱気させることができる。なお、消泡機構49として、被処理水の表面張力で発泡している気泡の一部に物理的力を加えて消泡させる物理的な機構を採用することが好ましい。例えば、発泡層に被処理水や処理済みの水を散水する散水機構や、発泡層の上部に消泡用の多孔板やメッシュ、或は消泡用の突起が複数形成された板状体を備えることにより実現できる。また、消泡機構49は、脱気部44の全面を消泡する構成に限らず、脱気部44の一部のみを消泡する構成であってもよい。
【0056】
なお、図5に示すように、分離壁48及び案内壁48aの下端は送水管43の管底より下方に突出させずにエアリフトポンプ装置を構成してもよい。また、分離壁48及び案内壁48bの上端の高さに対して発泡層の層厚が大きくなりすぎず、分離壁48及び案内壁48aの上端で区画される領域内で発泡層を十分に消泡することができるときは、案内壁48aに開口部48dを形成しなくてもよい。送水管43の排出口43bから排出される被処理水の流速が遅い場合は、分離壁48によって偏流されて気液分離された気泡が、被処理水とともに無酸素槽20内へと流入しにくいからである。
【0057】
さらに、図6に示すように、送水管43の下流側に案内壁48aを備えず分離壁48を備えてエアリフトポンプ装置を構成してもよい。
【0058】
このような構成であっても送水管43により送水される被処理水の流れが分離壁48で偏流され、偏流時に被処理水から気泡が効果的に分離されるようになる。そして、分離壁48で分離された気泡はその上流側に備えた脱気部44で速やかに消泡され、脱気されるので、分離壁48を越えて発泡状態が拡散するような事態を効果的に解消することができる。
【0059】
図3から図6に示す散気装置42の散気部42aは、チューブ形状のメンブレン型散気管であり、揚水管の下部開口の下方に最も外側に位置する散気管が揚水管の下部開口41aの一辺の鉛直下方の近傍となるように、等間隔で4本の散気管が分散して配置され、送気管を介してブロワ(図示せず)と接続されている。ブロワから供給される空気が、散気部42aから微細気泡となって放出される。例えば、微細気泡はφ2mm以下の大きさが好ましい。
【0060】
φ2mm以下の微細気泡を多く含んだ気泡を低コストで放出できる散気装置として、可撓性または弾性を有するチューブやシートに貫通形成した孔またはスリットから気泡を放出するメンブレン型散気装置や、セラミック等の多孔板から気泡を放出するデイフューザー型散気装置を採用できる。
【0061】
また、散気装置42の散気部は、粗大気泡散気管を用いてもよい。例えば、粗大気泡散気管はφ5〜20mm程度の孔径のものを用いることができる。
【0062】
このように、複数個の散気部42aを間隔を空けて分散配置すれば、散気部42aの下方から散気部42a間を通って揚水管内を上昇する被処理水の流れを誘導することができるため、揚水管内の被処理水及び気泡の流れの偏りが低減される点で好ましい。
【0063】
エアリフトポンプ装置40には、被処理水の揚水量を調整するために、散気装置42から放出される気泡の供給量をブロワの回転数によって調整する調整用のボリュームを備えた散気量調整機構が設けられている。散気量調整機構は、ブロワから散気部21aに到る経路の途中に設けられるバルブで構成してもよい。
【0064】
そして、例えば、原水の流入量の増減に比例して、第二領域32(好気槽30)から無酸素槽20に返送される被処理水の量を増減させるように、ブロワの回転数を増減させることで汚水処理を安定して行なうことができる。
【0065】
好気槽30で硝化処理された被処理水は、上述のように構成されたエアリフトポンプ装置40で無酸素槽20の上流側に返送される。これにより、好気槽30の硝化処理により被処理水に含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンが、無酸素槽20へ循環されて、脱窒処理が行われる。
【0066】
エアリフトポンプ装置40を、区画壁21の近傍に配置して送水路43を短く、つまり全揚程を短くすることで、被処理水の送水に必要な散気量、つまりブロワの動力を低減することができ、また、散気量を減らすことで脱気部44に発生する気泡の量を少なくすることができる。
【0067】
エアリフトポンプ装置40を介して無酸素槽20に返送された被処理水の一部は送水路23を介して嫌気槽10に返送される。リンを取り込んだ膜分離槽30内の微生物が送水路23を介して嫌気槽10へ循環されて、正リン酸としてリンが液中に放出される。
【0068】
好気槽30から活性汚泥を含む被処理水が無酸素槽20に返送され、無酸素槽20から被処理水が嫌気槽10に返送されるように構成されているため、無酸素槽20で脱窒処理され硝酸性窒素、亜硝酸性窒素を含まず、酸素が消費された被処理水が嫌気槽10に返送され、嫌気槽10でのリンの放出条件である無NOx及び無酸素状態を維持することができる。
【0069】
よって、嫌気槽10ではリン化合物が正リン酸として効率的に放出され、放出された正リン酸が後段の好気槽30において嫌気槽10で放出した量以上に活性汚泥に取り込まれることにより、被処理水からリンを高度に除去することが可能となる。
【0070】
なお、上述した実施形態では、詳述していないが、嫌気槽10及び無酸素槽20には、それぞれの処理が均一に行われるように、被処理水を撹拌する撹拌機構を備えている。
【0071】
なお、上述した実施形態では、第二領域32内の被処理水を無酸素槽20へ返送するエアリフトポンプ装置40と、無酸素槽20内の被処理水を嫌気槽10へ返送する送水路23を備えた構成について説明したが、送水路23に替えてエアリフトポンプ装置40によって、無酸素槽20の被処理水を嫌気槽10に返送するように構成してもよい。また、一台のエアリフトポンプ装置40で送水した第二領域32の被処理水を、無酸素槽20と嫌気槽10の夫々に所定量返送するように構成してもよい。流入量Qに対し、好機槽30から無酸素槽20への返送水量は3Q、無酸素槽20から嫌気槽10への返送水量はQとなるように設定することが処理効率の観点から好ましい。
【0072】
以上の構成により、被処理水の移送先の処理槽で気泡が液面に拡散して厚く堆積するような不都合を解消することができるエアリフトポンプ装置を提供することができるのである。
【0073】
次に、本発明による別実施形態を説明する。
図7及び図8に示すように、処理槽としての無酸素槽20と好気槽30を区画する区画壁60は断面Y字状に形成されている場合、区画壁60の上部側の拡幅部に配管61等が配置される空間が形成され、区画壁60より上方にエアリフトポンプ装置の送水管を横設配置すると、処理槽の水面まで揚水するために必要な揚程以上の揚程が必要となり、散気装置52に接続されたブロワーファンの動力が大きくなるという不都合が生じる。また、配管スペースである区画壁60の上部側の拡幅部62に送水管を設置するのも困難である。
【0074】
そこで、上述のような断面Y字状の区画壁60を介して隣接する好気槽30から無酸素槽20へと被処理水を返送するエアリフトポンプ装置50について説明する。
【0075】
エアリフトポンプ装置50は、処理槽としての好気槽30に立設配置された断面矩形の揚水管51と、揚水管51の下端部に形成された下部開口51aの下方に対向して配置され、下部開口51aに向けて気泡を放出することで、好気槽30内の被処理水を揚水する散気装置52と、揚水管51と連通され、揚水管51に揚水された被処理水を水平方向に移送し、好気槽30に隣接する無酸素槽20へと返送するべく横設配置された断面矩形の送水管53とを備えている。図8中、破線矢印は、被処理水や気泡の流れを表している
【0076】
揚水管51は、処理槽の底部に配置された架台55に支持されている。処理槽に天井がある場合には、天井から吊るされた支持部に揚水管51や送水管53を支持してもよい。
【0077】
散気装置52は、下部開口51a面積と略等しい面積となる範囲に、微細気泡を略均等に放出するために、同一平面上に分散配置された複数の散気部52aを備え、複数の散気部52aが揚水管51の下部開口51a面と平行に配置されている。
【0078】
揚水管51の上端高さが好気槽30の最低水位LWL以下の高さに設定され、揚水管51と送水管53が曲管56を介して連通されている。そのため円滑な流れが確保でき、送水管53を揚水管51の上端部に直角に連通する場合に発生する圧力損失を補うように散気装置52の駆動動力を高く設定する必要がない。
【0079】
送水管53は、水平姿勢の送水管53aと、送水管53aの下流側に接続され下流側に向けて下方に傾斜する送水管53bと、送水管53bの下流側に接続された水平姿勢の送水管53cで構成されている。揚水された好気槽30の被処理水は送水管53cの排出口53dから無酸素槽20に排出される。
【0080】
水平姿勢の送水管53aの下側管壁70は、好気槽30の最低水位LWLより低い高さに配置され、上側管壁53eは下流側にかけて高さが次第に高くなるように上方に傾斜する傾斜面71で構成されている。上端部は好気槽30の最高水位HWLより高い高さに配置され、大気開放されている。
【0081】
送水管53bの上側管壁72及び下側管壁73は、送水管53aとの境界部から下流側に向けて下方に傾斜する傾斜面で構成されている。送水管53cの上側管壁74は、送水管53aの下側管壁70より低い位置に配置され、送水管53cは、区画壁60の上部側の拡幅部62より下方の幅の狭い箇所を貫通するように配置される。
【0082】
送水管53bの傾斜部管壁である上側管壁72は区画壁60の傾斜部63に沿って配置され、被処理水を偏流させて気液分離する分離壁58として機能する。分離壁58で分離された気泡は、その上流側直近に備えられた脱気部54で消泡して被処理水から脱気される。つまり、被処理水を偏流させて気液分離する分離壁58及び脱気部54は送水管53自体に設けられることとなる。
【0083】
さらに、脱気部54の上方空間には脱気部54の水面に発生した気泡を消泡する消泡機構49が備えられている。消泡機構49は、無酸素槽20の槽内または槽外に設置したポンプ機構により、無酸素槽20内の被処理水を揚水して、または、処理水を供給して、脱気部54の水面に発生した気泡に向けて散水する散水機構で構成されている。脱気部54に堆積した気泡が自然消泡する速度が遅い場合、脱気部54から好気槽30内へと気泡がオーバーフローする虞があるが、そのような場合であっても消泡機構49を備えることにより、脱気部54で効率的に脱気させることができる。なお、消泡機構49として、被処理水の表面張力で発泡している気泡の一部に物理的力を加えて消泡させる物理的な機構を採用することが好ましい。例えば、発泡層に被処理水や処理済みの水を散水する散水機構や、発泡層の上部に消泡用の多孔板やメッシュ、或は消泡用の突起が複数形成された板状体を備えることにより実現できる。また、消泡機構49は、脱気部54の全面を消泡する構成に限らず、脱気部54の一部のみを消泡する構成であってもよい。
【0084】
このように、区画壁60のうち拡幅部62より下方に送水管53を設置する場合に、揚水管51で好気槽30の水面近傍まで揚水された被処理水を送水する送水管53を水面近傍から区画壁61の傾斜部63に沿って斜め下方に傾斜するように配設することで、この傾斜部63によって上述の傾斜部管壁としての上側管壁72によって分離壁が容易に実現でき、ブロワーファンの動力が必要以上に要求されることも無く、送水管53の設置も容易に行なえるようになるのである。
【0085】
次に、本発明によるさらに別実施形態を説明する。
上述の実施形態では、エアリフトポンプ装置の送水管が、好気槽30と隣接する無酸素槽20を区画する区画壁21を貫いて横設配置される構成について説明したが、エアリフトポンプ装置の送水管は、必ずしも区画壁21を貫いて横設配置される構成でなくてもよい。
【0086】
例えば、図9に示すように、エアリフトポンプ装置60の揚水管61及び散気装置52は好気槽30内に配置し、送水管63を好気槽30及び無酸素槽20の槽外に横設配置して、送水管63の排出口63aを無酸素槽20の槽内に配置する構成であってもよい。このようなエアリフトポンプ装置60であっても、排出口63aの下流側に、送水管により送水される被処理水の流れに対向するように配置され、被処理水を偏流させて被処理水から気泡を分離する分離壁68を備えれば、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。図9中、破線矢印は、被処理水や気泡の流れを表している。なお、図9は概略図であり、嫌気槽10や散気装置35、膜分離装置36等の記載を省略している。
【0087】
また、分離壁68に加えて、または、替えて、脱気部64の水面に発生した気泡を消泡する消泡機構69を備えてもよい。消泡機構69は、無酸素槽20の槽内または槽外に設置したポンプ機構により、無酸素槽20内の被処理水を揚水して、脱気部64の水面に発生した気泡に向けて散水する散水機構で構成されている。消泡機構69としての散水装置は、脱気部54に堆積する気泡が、無酸素槽20の水面全体に広がるのを防ぐ方向に散水することが好ましい。
【0088】
上述の実施形態では、送水管63の下流側に分離壁を備える構成について説明したが、図10に示すように、分離壁68を備えずに、消泡機構69のみを備える構成であってもよく、消泡機構69を多重に配置してもよい。図10中、破線矢印は、被処理水や気泡の流れを表している。なお、図10は概略図であり、嫌気槽10や散気装置35、膜分離装置36等の記載を省略している。
【0089】
上述した実施形態では、消泡手段が、散水機構で構成された消泡機構のように物理的手段によって消泡する構成について説明したが、消泡手段は、消泡剤を用いて化学的手段によって液面に発生した泡を消泡する構成であってもよい。このような消泡剤としてシリコーン系消泡剤を挙げることができる。
【0090】
上述の何れの実施形態でも、送水管は、送水管の下側管壁が処理槽の水位より下になるように設置されていればよい。
【0091】
上述した実施形態では、エアリフトポンプ装置を矩形状の揚水管及び送水管で構成する場合について説明したが、揚水管及び送水管は、矩形状に限らず、丸管であってもよい。また、下部開口や、被処理水の排出口の形状はベルマウス形状であってもよい。
【0092】
上述した実施形態では、エアリフトポンプ装置を構成する揚水管及び送水管の材質について明示しなかったが、本発明によるエアリフトポンプ装置が設置される処理槽の被処理水の性状によって、耐薬品、耐蝕性等を考慮して適当な材質のものを用いればよい。
【0093】
上述の実施形態では、本発明によるエアリフトポンプ装置が、膜分離装置を備えた膜分離式活性汚泥法を採用した汚泥処理設備の好機槽内の被処理水の一部を無酸素槽へ返送するように設置する構成について説明したが、無酸素槽内の被処理水の一部を嫌気槽へ返送するように設置してもよい。
【0094】
本発明によるエアリフトポンプ装置によると、大規模な汚水処理設備、特に、膜分離活性汚泥法を採用する大型の汚水処理設備としての下水処理場では、被処理水の返送量が多い、つまり、エアリフトポンプ装置が備える散気装置の散気量が、担体流動生物濾過を採用した小型の浄化槽のエアリフトポンプ装置が備える散気装置による散気量より多く、また、前記浄化槽では、被処理水のMLSS濃度が2000mg/L程度であるのに対し、大型の下水処理設備に採用される膜分離活性汚泥法ではMLSS濃度が、例えば8000〜15000mg/L(平均約10000mg/L程度)と高く、返送水の返送先である嫌気槽や無酸素槽の水面に気泡が発生しやすいため、特に効果的に気泡による処理槽の汚れの虞を低減可能になるのである。
【0095】
上述した実施形態は、何れも本発明の一例であり、当該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0096】
1:汚水処理設備
10:嫌気槽
11:区画壁
12:連通口
20:無酸素槽
21:区画壁
22:連通口
23:送水管
30:好気槽
31:第一領域
32:第二領域
34:分離壁
35:散気装置
36:膜分離装置
37:送水管
38:散気装置
39:引抜管
40:エアリフトポンプ装置
41:揚水管
41a:下部開口
42:散気装置
42a:散気部
43:送水管
43a:拡大部
43b:樋状の送水管
43c上端部
44:脱気部
45:架台
46:曲管
47:給気管
48:分離壁
48a:開口部
49:消泡機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽に立設配置された揚水管と、前記揚水管に気泡を放出して前記処理槽内の被処理水を揚水する散気装置と、前記揚水管と連通され、前記揚水管に揚水された被処理水を水平方向に移送するべく横設配置された送水管とを備えているエアリフトポンプ装置であって、
前記送水管により送水される被処理水の流れに対向するように配置され、被処理水を偏流させて被処理水から気泡を分離する分離壁と、
前記分離壁の上流側に設置され、被処理水に含まれる気泡を大気開放する脱気部とを備えているエアリフトポンプ装置。
【請求項2】
前記分離壁が、前記送水管の排出口より下流側に設置されるとともに、前記排出口と前記分離壁との間に、被処理水の下方への流出を許容し、側方への流出を阻止する案内壁が配置されている請求項1記載のエアリフトポンプ装置。
【請求項3】
前記分離壁及び前記案内壁の上端が前記処理槽の水面より上方に突出するように形成され、当該突出部に発泡した被処理水の一部が流出可能な開口部が形成されている請求項2記載のエアリフトポンプ装置。
【請求項4】
前記脱気部が前記送水管に設けられている請求項1記載のエアリフトポンプ装置。
【請求項5】
前記送水管が水平姿勢から下方への傾斜姿勢に姿勢が変更するように設置され、前記送水管の傾斜部管壁により前記分離壁が構成されている請求項1記載のエアリフトポンプ装置。
【請求項6】
前記傾斜部管壁の上流側直近に前記脱気部が設けられている請求項5記載のエアリフトポンプ装置。
【請求項7】
前記揚水管が配置された処理槽と前記送水管の排出口が配置された処理槽とを区画する区画壁が断面Y字状に形成され、前記傾斜部管壁が当該区画壁の傾斜部に沿って配置されている請求項5または6記載のエアリフトポンプ装置。
【請求項8】
前記脱気部に堆積した気泡を消泡する消泡手段が、前記脱気部に配置されている請求項1から7の何れかに記載のエアリフトポンプ装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載のエアリフトポンプ装置を備えた汚水処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−584(P2012−584A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139167(P2010−139167)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(595011238)クボタ環境サ−ビス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】