説明

エア懸架装置のスプリングチューブ融着機

本発明は、エア懸架装置のスプリングチューブ融着機を提供する。エア懸架装置のスプリングチューブ融着機は、半製品状態で用意されたスプリングチューブを高温圧搾して一体のスプリングチューブを成形するに当たって、空気の残留及びスプリングチューブ素材の重畳による成形不良が防止され、反復的な使用によるメンテナンスを容易にするために、内側成形部、外側成形部などの主要構成からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア懸架装置のスプリングチューブ融着機に係り、さらに詳細には、多層に積層されたチューブ素材を高温融着してエアスプリングチューブを形成するエア懸架装置のスプリングチューブ融着機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エア懸架装置は、空圧によって車軸と車体を連結させて、走行中に車軸が路面から受ける振動や衝撃などを適切に減衰させることによって車体の損傷や搭乗者の乗り心地を向上させる機能を行い、空圧を調節して運行条件に合わせて緩衝力を調整するとともに、従来のコイルスプリングに比べてスムーズな乗り心地を提供する。
【0003】
また、エア懸架装置は、車軸に固定される下部ハウジングと車体に固定される上部ハウジングとの間にスプリングチューブが設けられ、スプリングチューブの内部に圧縮空気を注入して緩衝作用を行う。ここで、スプリングチューブは、多層に積層されたチューブ素材を融着機に投入して一体に融着して形成される。
【0004】
従来、開示されたスプリングチューブ融着機を説明すれば、特許文献1で未硬化のスリーブが内部拡張可能なマンドレルによって静的外部モールドに対して外部から押されたエアスプリングを形成する方法を記述する。
【0005】
特許文献2及び特許文献3で、外側から内側に、すなわち、カートリッジの外周面にマンドレルの圧力が作用してエアスプリングを養生させる。
【0006】
前記開示されたスプリングチューブ融着機は、構造が簡単であり、かつスプリングチューブの製造を容易にするところにその目的があるが、使用上に於いて多くの問題点を有する。
【0007】
第一に、マンドレルが拡張または縮小しつつエアスプリングを加圧する際に、マンドレルとエアスプリングとの間に残留する空気が迅速に排出されず、エアスプリングの表面が不均一に成形される。
【0008】
第二に、消耗品として使用される拡張または縮小マンドレルを交替する際に、スプリングチューブ融着機を完全に分解せねばならない。
【0009】
第三に、一例として、エアスプリング上にハヤ状の浮き彫り凹凸部を形成するためには、カートリッジの表面に切削加工し難い陰刻凹凸部を加工せねばならないため、カートリッジの製作に高コストが所要される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,057,768号明細書
【特許文献2】米国特許第3,964,846号明細書
【特許文献3】米国特許第5,468,140号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、高温圧縮成形中に空気の残留及びスプリングチューブ素材の重畳による成形不良を防止し、反復的な使用によるメンテナンスの容易なエア懸架装置のスプリングチューブ融着機を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明の特徴は、空気注入ノズル112を備え、外周面に複数の結束キー114が形成される上板110と、上板110の底面に一端が固定されて空気注入ノズル112と連通され、他端に基準突起122が形成される仕上げプレート124が着脱可能に設けられて、両端が密閉固定され、半製品状態のスプリングチューブTに挿入される拡張チューブ130を備える内側成形部100と、前記内側成形部100の拡張チューブ130が収容され、熱源210bによって加熱され、基準突起122に対応する位置に基準溝212が噛み合うように形成されるヒーティングコア210、及び結束キー114と対応するヒーティングコア210の入口に“L”字状に形成される結束キー溝220を備える外側成形部200と、を備えることを特徴にする。
【0013】
このとき、前記拡張チューブ130の外周面に陰刻凹凸部130aが形成されて、成形の際にスプリングチューブTの内周面に浮き彫り凹凸部T1を形成し、成形完了後、スプリングチューブTを裏返して外周面に凹凸部T1を形成することを特徴とする。
【0014】
さらに、前記拡張チューブ130は、両端部から中央部に行くほど断面の厚さが薄く形成されて、縦断面の内周面にアーチ状の曲面130bが形成されることを特徴にする。
【0015】
さらに、前記ヒーティングコア210の内周面にスプリングチューブTの長手方向に排気孔210aが形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前述の構成及び作用によれば、本発明は、拡張チューブが中心部から両端部に順次に膨脹しつつスプリングチューブを加圧するため、スプリングチューブとヒーティングコアとの間に残留する空気が排気孔を介して迅速に排出され、さらに、拡張チューブの膨張力によって加圧力が内側から外側に加えられるため、スプリングチューブの重畳による成形不良が防止され、特に、仕上げプレートによって拡張チューブが着脱可能に設けられて、使用中に簡単に交替されることができる。
【0017】
また、拡張チューブの陰刻凹凸部を介してスプリングチューブの内周面に浮き彫り凹凸部を成形した後、それを裏返してスプリングチューブの外周面に浮き彫り凹凸部を備えるため、スプリングチューブの表面に浮き彫り凹凸部を容易に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるエア懸架装置のスプリングチューブ融着機を全体的に示す構成図である。
【図2】本発明によるエア懸架装置のスプリングチューブ融着機を内側成形部と外側成形部とに分離して示す構成図である。
【図3】本発明によるエア懸架装置のスプリングチューブ融着機の結束キー及び結束キー溝を示す構成図である。
【図4】本発明によるエア懸架装置のスプリングチューブ融着機によって成形されたスプリングチューブの裏返しを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明によるエア懸架装置のスプリングチューブ融着機を全体的に示す構成図であり、図2は本発明によるエア懸架装置のスプリングチューブ融着機を内側成形部と外側成形部とに分離して示す構成図であり、図3は本発明によるエア懸架装置のスプリングチューブ融着機の結束キー及び結束キー溝を示す構成図であり、図4は本発明によるエア懸架装置のスプリングチューブ融着機によって成形されたスプリングチューブの裏返しを示す構成図である。
【0021】
本発明は、エア懸架装置のスプリングチューブ融着機に係り、エア懸架装置のスプリングチューブ融着機は、半製品状態で用意されたスプリングチューブを高温圧搾して一体のスプリングチューブを成形するに当たって、残留空気及びスプリングチューブ素材の重畳による成形不良が防止され、反復的な使用によるメンテナンスを容易にするために、内側成形部100、外側成形部200などの主要構成からなる。
【0022】
本発明による内側成形部100は、空気注入ノズル112を備え、外周面に複数の結束キー114が形成される上板110と、上板110の底面に一端が固定されて、空気注入ノズル112と連通され、他端に基準突起122が形成される仕上げプレート124が着脱可能に設けられて、両端が密閉固定され、半製品状態のスプリングチューブTに挿入される拡張チューブ130とを備える。内側成形部100は、後述する外側成形部200と結合され、拡張チューブ130の膨張力によってスプリングチューブTを内側から外側に加圧する役割を行う。
【0023】
ここで、内側成形部100の上板110は、後述するヒーティングコア210の入口を開閉するためのカバーであって、円板状に形成され、エッジ部に少なくとも二つの結束キー114が所定の等角位置に突設されて、後述する結束キー溝220上にロックされるか、またはロック解除される。さらに、上板110の上面に空気注入ノズル112が拡張チューブの内部に連通されるように備えられ、コンプレッサーと連結されて、圧搾成形工程中に拡張チューブ130の内部に圧縮空気を供給する。
【0024】
さらに、拡張チューブ130は、両端部に円形の突起126が形成され、突起126と対応する上板110及び仕上げプレート124上に溝127が形成されて互いに噛み合い構造に連結される。このとき、溝127は螺合によって間隔が調節される作動板128上に形成され、作動板128の溝127に対応する上板110及び仕上げプレート124上に互いに対向するように形成されて、円形の突起126が形成された拡張チューブ130の端部を着脱可能に締結する。
【0025】
また、仕上げプレート124は、後述するヒーティングコア210の基準溝212に対応する位置に基準突起122が突設され、上板110の組み立ての際に、基準突起122と基準溝212とが互いに噛み合って拡張チューブ130とヒーティングコア210を同軸上に位置させる。
【0026】
また、拡張チューブ130は、両端が上板110と仕上げプレート124によって密閉され、圧縮空気の注入の際に、縦・横方向に安定的に膨脹しつつ半製品状態のスプリングチューブTを内側から外側に加圧する。このとき、前記拡張チューブ130は、両端部から中央部に行くほど断面の厚さが薄く形成されて、内周面がアーチ状の曲面130bとして形成される。
【0027】
したがって、ノズル112を介して拡張チューブ130の内部に圧縮空気が注入される際に、厚さの薄い中央部が先に膨脹し、その後に両端部が膨脹することによって、スプリングチューブTの内外周面と面接触する拡張チューブ130と後述するヒーティングコア210との間に残留する空気が中央部から端部に順次に移動してすっかり除去されるため、残留空気によるスプリングチューブTの成形不良が防止される。
【0028】
また、拡張チューブ130の外周面に陰刻凹凸部130aが形成されて、成形の際にスプリングチューブTの内周面に浮き彫り凹凸部T1が形成され、成形完了後、図4に示すように、スプリングチューブTを裏返して外周面に凹凸部T1が形成される。一例として、スプリングチューブTの表面にピラミッド状の凹凸部を形成するに当って、先ず拡張チューブ130を製作するための金型上にピラミッド状の浮き彫り凹凸部を加工し、浮き彫り凹凸部を介して拡張チューブ130の表面にピラミッド状の陰刻凹凸部130aを成形する。次いで、拡張チューブ130を使用してスプリングチューブTを加圧成形する際に、スプリングチューブTの内周面にピラミッド状の凹凸部が浮き彫りとして成形され、成形が完了した後、スプリングチューブTを裏返せば、外周面に浮き彫り凹凸部T1が形成される。
【0029】
このように、拡張チューブ130上に陰刻凹凸部130aが形成されるため、拡張チューブ130を成形するための金型の製作が容易であり、反復的な使用中に陰刻凹凸部130aが詰まっても、拡張チューブ130を交替することによってメンテナンスが簡単に行われるという利点がある。
【0030】
一方、従来、スプリングチューブの外周面に浮き彫り凹凸部を形成するためにヒーティングコアの内周面に陰刻凹凸部を加工せねばならないため、製造コストの上昇を招き(例えば、金型の製作に当たって凹凸部を浮き彫りとして形成するより陰刻として形成することが加工時間及びコストが大きく上昇する)、反復的な使用中にヒーティングコア上に凹凸部が詰まりやすく、損傷時にヒーティングコアを全体的に交替せねばならない問題が解決される。
【0031】
また、本発明による外側成形部200は、内側成形部100の拡張チューブ130が収容されると同時に熱源210bによって加熱され、基準突起122に対応する位置に基準溝212が噛み合うように形成されるヒーティングコア210と、結束キー114に対応するヒーティングコア210の入口に“L”字状に形成される結束キー溝220とを備える。
【0032】
ヒーティングコア210は、熱線、スチームを含む熱源210bによって加熱されるが、高温圧縮成形作業を迅速に行うためには、スチームを熱源210bとして使用することが好ましい。
【0033】
ここで、ヒーティングコア210は、内側底面の中心に基準溝212が形成され、基準溝212は、前記基準突起122と同一の断面状に形成されて、上板110の組み立ての際に基準突起122と噛み合って拡張チューブ130とヒーティングコア210が同軸上に位置する。
【0034】
また、ヒーティングコア210は、結束キー溝220を介して上板110にロックされるか、またはロック解除されるが、結束キー溝220は、結束キー114の横断面状に形成される垂直溝220aと、垂直溝220aと直交する何れか一方向に結束キー114の縦断面と同じ厚さを有する水平溝220bとから備える。すなわち、図3に示すように、垂直溝220aと水平溝220bが“L”字状に連通されて結束キー溝220を形成することによって、上板110の結束キー114を垂直方向に挿入した後に旋回させれば、結束キー114が水平溝220a上に収容されてロックされる簡単な締結構造を有する。
【0035】
また、前記ヒーティングコア210の内周面にスプリングチューブTの長手方向に排気孔210aが形成される。図1の部分拡大図に示すように、排気孔210aは、ヒーティングコア210の内周面に少なくとも2箇所に備えられ、拡張チューブ130の膨脹によってスプリングチューブTが加圧成形されるとき、スプリングチューブTの外周面及びヒーティングコアの内周面に残留する空気が排気孔210aを介して迅速に排出されて、残留空気によるスプリングチューブTの成形不良が防止される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気注入ノズル(112)を備え、外周面に複数の結束キー(114)が形成される上板(110)と、上板(110)の底面に一端が固定されて空気注入ノズル(112)と連通され、他端に基準突起(122)が形成される仕上げプレート(124)が着脱可能に設けられて、両端が密閉固定され、半製品状態のスプリングチューブ(T)に挿入される拡張チューブ(130)を備える内側成形部(100)と、
前記内側成形部(100)の拡張チューブ(130)が収容され、熱源(210b)によって加熱され、基準突起(122)に対応する位置に基準溝(212)が噛み合うように形成されるヒーティングコア(210)、及び結束キー(114)と対応するヒーティングコア(210)の入口に“L”字状に形成される結束キー溝(220)を備える外側成形部(200)と、を備えることを特徴とするエア懸架装置のスプリングチューブ融着機。
【請求項2】
前記拡張チューブ(130)の外周面に陰刻凹凸部(130a)が形成されて、成形の際にスプリングチューブ(T)の内周面に浮き彫り凹凸部(T1)を形成し、成形完了後、スプリングチューブ(T)を裏返して外周面に凹凸部(T1)を形成することを特徴とする請求項1に記載のエア懸架装置のスプリングチューブ融着機。
【請求項3】
前記拡張チューブ(130)は、両端部から中央部に行くほど断面の厚さが薄く形成されて、縦断面の内周面にアーチ状の曲面(130b)が形成されることを特徴とする請求項1に記載のエア懸架装置のスプリングチューブ融着機。
【請求項4】
前記ヒーティングコア(210)の内周面にスプリングチューブ(T)の長手方向に排気孔(210a)が形成されることを特徴とするエア懸架装置のスプリングチューブ融着機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−519042(P2013−519042A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547028(P2012−547028)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009526
【国際公開番号】WO2011/081462
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512172132)サンジン プレシジョン カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SUNJIN PRECISION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1−7,Galsan−dong,Dalseo−gu,DAEGU,704−170 Republic of Korea
【Fターム(参考)】