説明

エストロゲン受容体調節剤

本発明は、化合物とその誘導体、その合成、およびエストロゲン受容体調節剤としてのその使用に関する。本発明化合物はエストロゲン受容体のリガンドであり、骨喪失、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、パジェット病、歯周病、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、顔面紅潮、LDLコレステロールレベル上昇、心臓血管系疾患、認識機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、炎症、炎症性腸疾患、性機能不全、高血圧、網膜変性および癌、特に、乳房、子宮および前立腺の癌などのエストロゲン機能に関係する様々な症状の治療または予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
天然および合成のエストロゲンは、閉経期症候の軽減、アクネの治療、月経困難症および機能不全子宮出血の治療、骨粗しょう症の治療、男性型多毛症の治療、前立腺癌の治療、顔面紅潮の治療および心臓血管系疾患の予防など、幅広い治療用途を有する。エストロゲンは治療上非常に価値が高いため、エストロゲン反応組織においてエストロゲン様の挙動を模倣する化合物を発見することに多大の興味がもたれている。
【0002】
エストロゲン受容体は、2つの形態、ERαおよびERβを有することが判明している。リガンドはこれら2つの形態に異なって結合し、各形態は、結合するリガンドに異なる組織特異性を有する。従って、ERαまたはERβに選択的な化合物を用いて、特定のリガンドに一定の組織特異性を付与することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
技術上必要とされるものは、好ましくない副作用を起こすことのない、エストロゲン置換療法と同様の実用的な応答を有する化合物である。さらに生体の異なる組織に対し選択的な作用を示すエストロゲン様化合物を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の化合物はエストロゲン受容体に対するリガンドであることから、骨喪失、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、パジェット病、歯周病、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、顔面紅潮、LDLコレステロールレベル上昇、心臓血管系疾患、認識機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、エストロゲン欠乏から生じるうつ症状、炎症、炎症性腸疾患、性機能不全、高血圧、網膜変性および癌、特に、乳房、子宮および前立腺の癌などのエストロゲン機能に関係する様々な症状の治療または予防に有用となり得る。
【0005】
(発明の要約)
本発明は、エストロゲンの機能に関わる様々な症状の治療または予防に有用な化合物および医薬組成物に関する。本発明の一実施形態は、以下の式で示される化合物、およびその製薬上許容される塩および立体異性体を用いることによるエストロゲン関連の障害の治療または予防により示される。
【0006】
【化1】

【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明はエストロゲンの機能に関わる様々な症状の治療または予防に有用な化合物および医薬組成物に関する。本発明の一実施形態は、以下の式で示される化合物、およびその製薬上許容される塩および立体異性体により示される。
【0008】
【化2】

【0009】
[式中、
は、BおよびDが二重結合である場合、水素、ハロ、CHOH、C(1−3)アルキル、C(2−5)アルケニルもしくはC(2−5)アルキニルであり、また、AおよびCが二重結合である場合、CHであり;
は、水素、C(1−5)アルキル、C(2−5)アルケニルまたはC(2−5)アルキニルであり;
は、水素、ハロ、ヒドロキシル、C(1−3)アルキル、C(2−5)アルケニルまたはC(2−5)アルキニルであり;
ただし、Rが水素またはメチルであり、かつRが水素またはヒドロキシルである場合、Rは、水素、メチル、クロロまたはブロモとなることはない]
【0010】
本発明の別の実施形態は、以下の式で示される化合物、およびその製薬上許容される塩および立体異性体により示される。
【0011】
【化3】

【0012】
一クラスの実施形態としては、Rは、水素、クロロ、フルオロ、CHOHまたはメチルであり;Rは、水素、メチル、ビニルまたはエチニルであり;Rは、水素、フルオロまたはメチルであり;ただし、Rが水素またはメチルであり、かつRが水素である場合、Rは水素、メチル、クロロまたはブロモとなることはない。
【0013】
一クラスの実施形態としては、Rは、水素、フルオロ、CHOHまたはメチルであり;Rは、水素またはエチニルであり;Rは、水素またはメチルであり;ただし、Rが水素であり、かつRが水素である場合、Rは水素、メチル、クロロまたはブロモとなることはない。
【0014】
本発明の別の実施形態としては、以下の式で示される化合物、およびその製薬上許容される塩および立体異性体により示される。
【0015】
【化4】

【0016】
一クラスの実施形態として、Rは、水素、C(1−5)アルキル、C(2−5)アルケニルまたはC(2−5)アルキニルである。サブクラスの実施形態として、Rは、水素、メチル、ビニルまたはエチニルである。さらなるサブクラスの実施形態として、Rは、水素またはエチニルである。
【0017】
一クラスの実施形態として、Rは、水素、ハロ、ヒドロキシル、C(1−3)アルキル、C(2−5)アルケニルまたはC(2−5)アルキニルである。サブクラスの実施形態として、Rは、水素、フルオロまたはメチルである。さらなるサブクラスの実施形態として、Rは、水素またはメチルである。
【0018】
本発明の例としては、
3−メチリデン−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン;
3−メチル−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−3,5−ジエン;
3−メチリデン−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−4−エン;
3−メチル−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−3,5−ジエン;
および製薬上許容されるその塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
上記の化合物および製薬上許容される担体からなる医薬組成物も本発明の範囲に包含される。本発明はまた、製薬上許容される担体と本出願に具体的に開示されているいずれかの化合物からなる医薬組成物を包含することも意図する。本発明はまた、本発明の医薬組成物を調製する方法にも関する。本発明はまた、本発明の化合物と医薬組成物を調製するために有用な方法と中間体にも関する。本発明のこれら諸々の形態は、本明細書に記載した内容から明らかとなろう。
【0020】
用途
本発明化合物はエストロゲン受容体の選択的調節剤であり、従って、哺乳動物、好ましくはヒトにおいてエストロゲン受容体機能に関連する様々な疾患および症状の治療または予防に有用である。
【0021】
エストロゲン受容体機能に関連する様々な疾患および症状としては、骨喪失、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、パジェット病、歯周病、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、顔面紅潮、LDLコレステロールレベル上昇、心臓血管系疾患、認識機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、エストロゲン欠乏から生じるうつ症状、閉経期時うつ状態、出産後うつ状態、月経前症候群、躁うつ病、不安、痴呆、強迫強制挙動、注意力欠損障害、睡眠障害、過敏性、衝動性、怒り管理、多発性硬化症とパーキンソン病、炎症、炎症性腸疾患、性機能不全、高血圧、網膜変性および癌、特に、乳房、子宮および前立腺の癌を含むが、これらに限定されるものではない。かかる症状を特許請求した化合物で治療する際に、必要な治療量は、特定の疾患に応じて変動するものであり、それは当業者が容易に確認することができる。治療および予防の両方が本発明の範囲内であるが、これら症状の治療が好適な使用である。
【0022】
本発明はまた、本発明の化合物および医薬組成物を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物においてエストロゲン受容体調節作用を誘発する方法に関する。
【0023】
本発明はまた、本発明の化合物および医薬組成物を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物においてエストロゲン受容体拮抗作用を誘発する方法に関する。エストロゲン受容体拮抗作用は、ERα拮抗作用、ERβ拮抗作用、またはERαとERβ拮抗作用の混合作用であり得る。
【0024】
本発明はまた、本発明の化合物および医薬組成物を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物においてエストロゲン受容体作動作用を誘発する方法に関する。エストロゲン受容体作動作用は、ERα作動作用、ERβ作動作用、またはERαとERβ作動作用の混合作用であり得る。本発明の好適な方法はERβ作動作用を誘発することである。
【0025】
本発明はまた、本発明の化合物および医薬組成物を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物においてエストロゲンの機能に関わる障害、例えば骨喪失、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、パジェット病、歯周病、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、顔面紅潮、LDLコレステロールレベル上昇、心臓血管系疾患、認識機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、エストロゲン欠乏から生じるうつ症状、炎症、炎症性腸疾患、性機能不全、高血圧、網膜変性および癌、特に、乳房、子宮および前立腺の癌などを治療または予防する方法に関する。本発明の例には、うつ状態を治療または予防する方法がある。本発明の例には、不安を治療または予防する方法がある。本発明の例には、顔面紅潮を治療または予防する方法がある。本発明の例には、癌を治療または予防する方法がある。本発明の例には、心臓血管系疾患を治療または予防する方法がある。
【0026】
本発明の一実施形態としては、本発明の化合物および医薬組成物を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において、癌、特に乳房、子宮または前立腺の癌を治療または予防する方法である。乳房、子宮または前立腺の癌を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[T.J.Powles,“Breast cancer prevention(乳癌予防)”,Oncologist,2002,7(1),60−4;Park,W.C.及びJordan,V.C,“Selective estrogen receptor modulators(SERMS) and their roles in breast cancer prevention(選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)およびその乳癌予防における役割)”,Trends Mol Med,2002,Feb,(2),82−8;Wolff,A.C.ら“Use of SERMs for the adjuvant therapy of early−stage breast cancer(初期乳癌の補佐薬療法におけるSERMの使用)”,Ann NY Acad Sci.2001 Dec,949,80−8;Steiner,M.S.ら、“Selective estrogen receptor modulators for the chemoprevention of prostate cancer(前立腺癌の化学予防のための選択的エストロゲン受容体調節剤)”,Urology,2001,Apr,57(4Suppl1),68−72参照]。
【0027】
本発明の別の実施形態としては、本発明の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において転移性骨疾患を治療または予防する方法である。転移性骨疾患を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[Campisi,C.ら、“Complete resolution of breast cancer bone metastasis through the use of beta−interferon and tamoxifen(ベータ−インターフェロンおよびタモキシフェンの使用による乳癌転移の完全な解決)”,Eur J Gynaecol Oncol,1993,14(6),479−83参照]。
【0028】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において女性化乳房を治療または予防する方法である。女性化乳房を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[Ribeiro,G.及びSwindell R,“Adjuvant tamoxifen for male breast cancer(男性乳癌用補助剤タモキシフェン)”,Br J Cancer,1992,65,252−254;Donegan,W,“Cancer of the Male Breast(男性乳房の癌)”,JGSM,Vol.3,Issue4,2000参照]。
【0029】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において閉経後の骨粗しょう症、グルココルチコイド骨粗しょう症、悪性腫瘍高カルシウム血症、骨喪失および骨折を治療または予防する方法である。骨粗しょう症、悪性腫瘍高カルシウム血症、骨喪失および骨折を治療または予防するためにSERMを利用することは文献上既知である[Jordan,V.C.ら、“Selective estrogen receptor modulation and reduction in risk of breast cancer,osteoporosis and coronary heart disease(選択的エストロゲン受容体調節および乳癌、骨粗しょう症と冠心臓疾患のリスク低下)”,Natl Cancer Inst,2001 Oct,93(19),1449−57;Bjarnason,NHら、“Six and twelve month changes in bone turnover are realted to reduction in vertebral fracture risk during 3 years of raloxifene treatment in postemenopausal osteoporosis(骨代謝回転における6ヶ月および12ヶ月の変化は、閉経後骨粗しょう症におけるラロキシフェン治療の3年間、脊椎骨折のリスク低下に関係する)”,Osteoporosis Ins,2001,12(11),922−3;Fentiman I.S,“Tamoxifen protects against steroid−induced bone loss(タモキシフェンはステロイド誘発骨喪失に対して保護する)”,Eur J Cancer,28,684−685(1992);Rodan,G.A.ら、“Therapeutic Approaches to Bone Diseases(骨疾患の治療法)”,Science,Vol.289,1,Sept,2000参照]。
【0030】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において歯周病または歯喪失を治療または予防する方法である。歯周病または歯喪失を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[Rodan,G.A.ら、“Therapeutic Approaches to Bone Diseases(骨疾患の治療法)”,Science,Vol.289,1 Sept,2000,1508−14参照]。
【0031】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物においてパジェット病を治療または予防する方法である。哺乳動物のパジェット病を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[Rodan,G.A.ら、“Therapeutic Approaches to Bone Diseases(骨疾患の治療法)”,Science,Vol.289,1 Sept,2000,1508−14参照]。
【0032】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において子宮筋腫を治療または予防する方法である。子宮筋腫または子宮平滑筋腫を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[Palomba,S.ら、“Effects of raloxifene treatment on uterine leiomyomas in postmenopausal women(閉経後女性における子宮平滑筋腫に対するラロキシフェン治療の効果)”,Fertil Steril,2001 Jul,76(1),38−43参照]。
【0033】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において肥満を治療または予防する方法である。肥満を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[Picard,F.ら、“Effects of the estrogen antagonist EM−652・HCl on energy balance and lipid metabolism in ovariectomized rats(卵巣摘出ラットにおけるエネルギーバランスと脂質代謝に対するエストロゲン拮抗剤EM−652・HClの作用)”,Int J Obes Relat Metab Disord,2000 Jul,24(7),830−40参照]。
【0034】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において軟骨変性、リウマチ様関節炎または骨関節症を治療または予防する方法である。軟骨変性、リウマチ様関節炎または骨関節症を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[Badger,A.M.ら、“Idoxifene,a novel selective estrogen receptor modulator,is effective in a rat model of adjuvant−induced arthritis(新規選択的エストロゲン受容体調節剤であるイドキシフェンはアジュバント誘発関節炎のラットモデルにおいて効果的である)”,J Pharmacol Exp Ther,1999 Dec,291(3),1380−6参照]。
【0035】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において子宮内膜症を治療または予防する方法である。子宮内膜症を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[Steven R.Goldstein,“The Effect of SERMs on the Endometrium(子宮内膜に対するSERMの影響)”,Annals of the New York Academy of Sciences,949,237−242(2001)参照]。
【0036】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において尿失禁を治療または予防する方法である。尿失禁を治療するためにSERMを利用することは文献上既知である[Goldstein,S.R,“Raloxifene effect on frequency of surgery for pelvic floor relaxation(骨盤底部弛緩のための外科治療に対するラロキシフェンの効果)”,Obstet Gynecol,2001 Jul,98(1),91−6参照]。
【0037】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において心臓血管系疾患、再狭窄を治療または予防する、LDLコレステロールレベルを低下する、および血管平滑筋細胞の増殖を抑制する方法である。エストロゲンは、コレステロールの生合成および心臓血管系の健康に対し効果を有することが認められる。統計的に、心臓血管系疾患の発生率は閉経後女性と男性では大まかには等しい。しかし、閉経前女性は男性よりも心臓血管系疾患の発症率がかなり低い。閉経後女性はエストロゲンが不足しているので、エストロゲンは心臓血管系疾患の予防に有益な役割を演じていると信じられている。メカニズムはよく分かっていないが、エストロゲンは、肝臓において低密度脂質(LDL)コレステロール受容体を増加し、過剰のコレステロールを除去し得ることが実証されている。心臓血管系疾患、再狭窄を治療または予防する、LDLコレステロールレベルを低下する、および血管平滑筋細胞増殖を抑制するためにSERMを利用することは文献上既知である[Nuttall,MEら、“Indoxifene:a novel selective estrogen receptor modulator prevents bone loss and lowers cholesterol levels in ovariectomized rats and decreases uterine weight in intact rats(インドキシフェン:新規選択的エストロゲン受容体調節剤は卵巣切除ラットの骨喪失を防止し、コレステロールレベルを低下させ、また未処理ラットの子宮重量を低下させる)”,Endocrinology,1998 Dec,139(12),5224−34;Jordan,V,C.ら、“Selective estrogen receptor modulation and reduction in risk of breast cancer,osteoporosis and coronary heart disease(選択的エストロゲン受容体調節および乳癌、骨粗しょう症および冠状心疾患のリスクの低下)”,Natl Cancer Inst,2001 Oct,93(19),1449−57;Guzzo JA,“Selective estrogen receptor modulators−a new age of estrogens in cardiovascular disease?(選択的エストロゲン受容体調節剤−心臓血管系疾患におけるエストロゲンの新時代か?)”,Clin Cardiol,2000 Jan,23(1),15−7;Simoncini T,Genazzani AR,“Direct vascular effects of estrogens and selective estrogen receptor modulators(エストロゲンの直接血管作用および選択的エストロゲン受容体調節剤)”,Curr Opin Obstet Gynecol,2000 Jun,12(3),181−7参照]。
【0038】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において認知機能の障害または脳変性障害を治療または予防する方法である。モデルにおいて、エストロゲンは、不安とうつ状態の軽減、アルツハイマー病の治療または予防等の認知機能に対し有益な作用を有することが示されている。エストロゲンは、コリン作動性機能、ニューロトロフィンおよびニューロトロフィン受容体発現を増加させることにより中枢神経系に影響を与える。エストロゲンはまた、グルタミン作動性シナプス伝達を増大させ、アミロイド前駆体タンパク質プロセシングを変化させ、神経保護を行う。従って、本発明のエストロゲン受容体調節剤は、認知機能の改善に、または緩和な認識障害、注意不足障害、睡眠障害、過敏症、衝動性、怒り管理、多発性硬化症およびパーキンソン病などの治療に有益となり得る。[Sawada,H及びShimohama,S,“Estrogens and Parkinson disease:novel approach for neuroprotection(エストロゲンとパーキンソン病:神経保護の新方法)”,Endocrine,2003 Jun,21(1),77−9;McCullough LD及びHurn,PD,“Estrogen and ischemic neuroprotection−an integrated view(エストロゲンと虚血性神経保護−概観)”,Trends Endocrinol Metab,2003 Jul,14(5),228−35参照]。これらを参照することによりその全体を本明細書の一部とする。認知機能障害を抑制するためにSERMを利用することは技術的に既知である[Yaffe.K,K.Krueger,S.Sarkarら、2001,Cognitive function in postmenopausal women treated with raloxifene(ラロキシフェンで治療した閉経後女性の認知機能),N.Eng.J.Med,344,1207−1213参照]。
【0039】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物においてうつ病を治療または予防する方法である。うつ病を予防するためにエストロゲンを利用することは技術的に既知である[Carranza−Liram S,Valentino−Figueroa ML,“Estrogen therapy for depression in postmenopausal women(閉経後女性におけるうつ病のエストロゲン療法)”,Int J Gynnaecol Obstet,1999 Apr,65(1),35−8参照]。特に、エストロゲン受容体ベータ(ERβ)選択的アゴニストは、うつ病、閉経期うつ病、出産後うつ病、月経前症候群、躁うつ病、不安症、痴呆、および強迫強制行動などの不安または抑うつ的病気の治療に、単剤、または他の薬剤との組合せで有用であろう。臨床的研究において、種々の形態の抑うつ的病気の治療のために天然エストロゲン、17β−エストラジオールが有効であることが示されている[Schmidt PJ,Nieman L,Danaceau MA,Tobin MB,Roca CA,Murphy JH,Rubinow DR,Estrogen replacement in perimenopause−related depression−a preliminary report(閉経期関連うつ病におけるエストロゲン置換−予備報告).Am J Obstet Gynecol,183,414−20,2000;Soares CN,Almeida OP,Joffe H,Cohen LS.Efficacy of estradiol for the treatment of depressive disorders in perimenopausal women:a double−blind,randomized,placebo−controlled trial(閉経期女性における抑うつ的障害治療のためのエストラジオールの有効性;二重盲検ランダム化プラシーボ対照治験),Arch Gen Psychiatry,58,537−8,2001参照]。これらを参照することにより本明細書の一部とする。ベテアら[(Betheaら)(Lu NZ,Shlaes TA,Gundlah C,Dziennis SE,Lyle RE,Bethea CL.Ovarian steroid action on tryptophan hydroxylase protein and serotonin compared to localization of ovarian steroid receptors in midbrain of guinea pigs(モルモット中脳における卵巣ステロイド受容体の局在化と比較した、トリプトファン・ヒドロキシラーゼタンパク質とセロトニンに対する卵巣ステロイドの作用),Endocrine,11,257−67,1999;これを参照することにより本明細書の一部とする)]は、エストロゲンの抗うつ剤活性が背側縫線核に濃縮されたセロトニン含有細胞においてセロトニン合成の制御を介して仲介され得ることを示唆している。
【0040】
本発明の別の実施形態としては、上記の化合物または医薬組成物の治療上有効量を投与することからなる、処置を必要とする哺乳動物において不安を治療または予防する方法である。不安などの情緒過程の調節におけるエストロゲン受容体の寄与については技術的に既知である[Krezel,W.ら、“Increased anxiety and synaptic plasticity in estrogen receptor beta−deficient mice(エストロゲン受容体ベータ欠損マウスにおいて増大した不安とシナプス可塑性)”,Proc Natl Acad Sci USA,2001 Oct 9,98(21),12278−82参照]。
【0041】
本発明の別の実施形態としては、炎症または炎症性腸疾患を治療または予防する方法である。クローン病と潰瘍性大腸炎を包含する炎症性腸疾患は、腸管(腸)が炎症状態となる慢性障害であり、しばしば再発性下腹部痙攣と下痢を惹き起こす。炎症および炎症性腸疾患を治療するためにエストロゲン受容体調節剤を使用することは技術的に既知である[Harris,H.A.ら、“Evaluation of an Estrogen Receptor−β Agonist in Animal Models of Human Disease(ヒト疾患の動物モデルにおけるエストロゲン受容体βアゴニストの評価)”,Endocrinology,Vol.144,No.10,4241−4249参照]。
【0042】
本発明の別の実施形態としては、高血圧を治療または予防する方法である。エストロゲン受容体βは血管機能と血圧の調節の役割を有すると報告されている[Zhuら、“Abnormal Vascular Function and Hypertension in Mice Deficient in Estrgoen Receptor β(エストロゲン受容体β欠損マウスにおける異常血管機能と高血圧)”,Science,Vol.295,Issue5554,505−508,18 January,2002参照]。
【0043】
本発明の別の実施形態としては、男性または女性の性機能不全を治療または予防する方法である。性機能不全を治療するためにエストロゲン受容体調節剤を使用することは技術的に既知である[Baulieu,E.ら、“Dehydroepiandrosterone(DHEA),DHEA sulfate,and aging;Contribution of the DHEAge Study to a scociobiomedical issue(デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、DHEA硫酸塩、および加齢;社会生物医学問題に対するDHE年齢研究の寄与)”,PNAS,April 11,2000,Vol.97,No.8,4279−4282;Spark,Richard F,“Dehydroepiandrosterone:a springboard hormone for female sexuality(デヒドロエピアンドロステロン:女性の性欲にとって跳躍台となるホルモン)”,Fertility and Sterility,Vol.77,No.4,Suppl4,April,2002,S19−25参照]。
【0044】
本発明の別の実施形態としては、網膜変性を治療または予防する方法である。エストロゲンは年齢関連黄斑障害の進行型のリスクを低下させる有益な作用を有することが示されている[Snow,K.K.ら、“Association between reproductive and hormonal factors and age−related maculopathy in postmenopausal women(閉経後女性における生殖とホルモン因子および年齢関連黄斑障害間の関連性)”,Americal Journal of Ophthalmology,Vol.134,Issue6,December,2002,842−48参照]。
【0045】
本発明を例示すると、処置を必要とする哺乳動物に対する、骨喪失、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、パジェット病、歯周病、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、顔面紅潮、心臓血管系疾患、認識機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、うつ病、閉経期時うつ状態、出産後うつ状態、月経前症候群、躁うつ病、不安、痴呆、強迫強制挙動、注意力欠損障害、睡眠障害、過敏性、衝動性、怒り管理、多発性硬化症とパーキンソン病、炎症、炎症性腸疾患、性機能不全、高血圧、網膜変性またはエストロゲン依存性癌の治療用または予防用の医薬の調製のための上記いずれかの化合物の使用、が挙げられる。
【0046】
本発明の化合物は、標準的な薬学の慣習に従い、哺乳動物、好ましくはヒトに対して、単独で、または好ましくは製薬上許容される担体または賦形剤と組み合わせて、必要に応じてミョウバンなどの既知の補助剤と共に医薬組成物として投与することができる。該化合物は、経口的に、または静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸および局所の投与経路のような非経口的に投与することができる。
【0047】
経口用錠剤の場合、乳糖、コーンスターチを含む一般的に使用される担体、及びステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤が一般的に添加される。カプセル剤の形での経口投与に有用な賦形剤としては、乳糖と乾燥コーンスターチが挙げられる。本発明による治療化合物の経口使用においては、選択された化合物は、例えば錠剤もしくはカプセル剤の形で、または水溶液もしくは懸濁液として投与することができる。錠剤またはカプセル剤の形での経口投与の場合、活性薬物成分は、経口用無毒性の、製薬上許容される不活性担体、例えば乳糖、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどと組み合わせることができる。液体の形での経口投与の場合、経口薬物成分を経口用の無毒性の、製薬上許容される不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。さらに、所望によりまたは必要に応じて、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤を混合物中に組み込むことができる。適切な結合剤は、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはベータ−乳糖などの天然糖、とうもろこし甘味剤、アラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋などである。これらの投与形態に使用される滑沢剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどである。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されるものではない。経口使用のために水性懸濁液が要求される場合、有効成分は、乳化剤および懸濁化剤と組み合わせる。所望により、ある種の甘味剤または着香剤を加えてもよい。筋肉内、腹腔内、皮下および静脈内での使用の場合、通常、有効成分の無菌溶液を調製し、その溶液のpHは、至適に調整し、緩衝化すべきである。静脈内使用の場合、溶液の全濃度はその製剤が等張性となるように調節すべきである。
【0048】
本発明の化合物はまた、小単層小胞、大単層小胞および多層小胞などのリポソーム送達系の形で投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成することができる。
【0049】
本発明の化合物は、化合物分子を結合させた個々の担体としてモノクローナル抗体を使用することにより投与することもできる。本発明の化合物は、ターゲティング能を有する薬物担体として可溶性ポリマーを結合させることができる。かかるポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルタミド−フェノールまたはパルミトイル残基が置換したポリエチレンオキシド−ポリリジンなどがある。さらに本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な一クラスの生物分解性ポリマー、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリル酸エステルおよびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック共重合体などに結合させることもできる。
【0050】
本化合物は、骨喪失、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、パジェット病、歯周病、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、顔面紅潮、LDLコレステロールレベル上昇、心臓血管系疾患、認識機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、エストロゲン欠乏から生じるうつ症状、炎症、炎症性腸疾患、性機能不全、高血圧、網膜変性および癌、特に乳房、子宮および前立腺の癌を治療または予防するために有用な既知の薬剤と併用しても有用である。ここに開示した化合物と本明細書に開示した障害の治療または予防に有用な他の薬剤との併用は、本発明の範囲内である。当業者は、薬物と疾患の特定の性質に基づいて、どの薬物の組合せが有用であるかを理解することができると考えられる。かかる薬剤としては、有機ビスホスホネート;カテプシンK阻害剤;エストロゲンまたはエストロゲン受容体調節剤;アンドロゲン受容体調節剤;破骨細胞プロトンATPase阻害剤;HMG−CoA還元酵素阻害剤;インテグリン受容体拮抗剤;PTHなどの造骨細胞同化剤;カルシトニン;ビタミンDまたは合成ビタミンD類似体;選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI);アロマターゼ阻害剤;およびその製薬上許容される塩もしくは混合物を含む。好適な組み合わせは、本発明化合物と有機ビスホスホネートである。別の好適な組み合わせは、本発明化合物とカテプシンK阻害剤である。別の好適な組み合わせは、本発明化合物とエストロゲンである。別の好適な組み合わせは、本発明化合物とアンドロゲン受容体調節剤である。別の好適な組み合わせは、本発明化合物と造骨細胞同化剤である。
【0051】
「有機ビスホスホネート」は、以下の化学式を有する化合物であるが、これらに限定されるものではない:
【0052】
【化5】

【0053】
式中、nは0ないし7の整数であり;AおよびXは独立して、H、OH、ハロゲン、NH、SH、フェニル、C1−30アルキル、C3−30分枝もしくは環状アルキル、2個もしくは3個のNを含有するビシクロ環構造、C1−30置換アルキル、C1−10アルキル置換NH、C3−10分枝もしくは環状アルキル置換NH、C1−10ジアルキル置換NH、C1−10アルコキシ、C1−10アルキル置換チオ、チオフェニル、ハロフェニルチオ、C1−10アルキル置換フェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニルおよびベンジルからなる群より選択され;nが0である場合、AおよびXの両方がHまたはOHから選択されることはなく;あるいはAおよびXはそれらが結合する1個または複数の炭素原子と一緒になってC3−10環を形成する。
【0054】
前記の化学式においてアルキル基は、直鎖、分枝または環状となることができるが、ただし、十分な原子を該化学式に選択する。C1−30置換アルキルは広範囲の種類の置換基を有することができ、例えばフェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾニル、NH、C1−10アルキルまたはジアルキル置換NH、OH、SHおよびC1−10アルコキシからなる群より選択されるものを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0055】
前記の化学式はまた、置換基AまたはXとして、複合炭素環状、芳香族およびヘテロ原子構造を包含するものであり、例えばナフチル、キノリル、イソキノリル、アダマンチル、およびクロロフェニルチオを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0056】
ビスホスホネートの誘導体及び製薬上許容される塩もまた本発明において有用である。塩の例としては、アルカリ金属、アルカリ性金属、アンモニウム、およびモノ−、ジ−、トリ−、もしくはテトラ−C1−30アルキル置換アンモニウムからなる群より選択されるものを含むが、これらに限定されるものではない。好適な塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアンモニウム塩からなる群より選択されるものである。より好適なのはナトリウム塩である。誘導体の例は、エステル、水和物およびアミドからなる群より選択されるものを含むが、これらに限定されるものではない。
【0057】
本発明の治療剤に言及する際の本明細書にて使用する用語「ビスホスホネート」および「ビスホスホネート類」は、ジホスホネート、ビホスホン酸およびジホスホン酸ならびにこれらの塩および誘導体をも包含するものである。ビスホスホネートまたはビスホスホネート類に言及する際の特別の命名法の使用は、特に断りのない限り、本発明の範囲を限定することを意味するものではない。
【0058】
ビスホスホネートの例としては、アレンドロネート、シマドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネートおよびゾレンドロネート、およびその製薬上許容される塩およびエステルを含むが、これらに限定されるものではない。特に好ましいビスホスホネートは、アレンドロネート、特にアレンドロン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムまたはアンモニウム塩である。好適なビスホスホネートの例としては、アレンドロン酸のナトリウム塩であり、特にアレンドロン酸の水和ナトリウム塩である。該塩は全数モルの水または非全数モルの水で水和することができる。さらに、好適なビスホスホネートの例としては、アレンドロン酸の水和ナトリウム塩であり、特に、水和塩がアレンドロン酸モノナトリウム・トリ水和物の場合である。
【0059】
有機ビスホスホネートの正確な投与量は、投与スケジュール、選択する特定のビスホスホネート、哺乳動物またはヒトの年齢、サイズ、性別および状態、治療すべき障害の性質と重篤度、およびその他の関連する医学的および物理的因子などによって変動する。ヒトの場合、ビスホスホネートの有効な経口用量は、一般に約1.5ないし約6000μg/kg体重、好ましくは約10ないし約2000μg/kg体重である。別の投与法では、ビスホスホネートを1日1回以上の間隔、例えば週1回の投与、週2回の投与、2週ごとの投与、および月2回の投与で投与することができる。毎週1回の投与法では、アレンドロン酸モノナトリウム・トリ水和物を35mg/週または70mg/週の投与量で投与する。ビスホスホネートは月単位で、さらに6ヶ月ごとに、年単位で、またはさらに少ない頻度でも投与することができる[WO01/97788(2001年12月27日公開)およびWO01/89494(2001年11月29日公開)参照]。
【0060】
「エストロゲン」は、天然産エストロゲン[7−エストラジオール(E)、エストロン(E)、およびエストリオール(E)]、合成複合エストロゲン、経口避妊薬および硫酸化エストロゲンを含むが、これらに限定されるものではない。[GruberCJ,Tschugguel W,Schneeberger C,Huber JC,“Production and actions of estrogens(エストロゲンの産生と作用)”,N Engl J Med,2002 Jan31,346(5),340−52参照]。
【0061】
「エストロゲン受容体調節剤」は、メカニズムに関係なくエストロゲンがその受容体に結合することを妨害または阻害する化合物をいう。エストロゲン受容体調節剤の例としては、エストロゲン、プロゲストゲン、エストラジオール、ドロロキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424、タモキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾンおよびSH646を含むが、これらに限定されるものではない。
【0062】
「カテプシンK阻害剤」とはシステイン・プロテアーゼ・カテプシンKの活性を妨害する化合物をいう。カテプシンK阻害剤の例としてはPCT公開WO00/55126(アクシスファーマスーティカルス)およびWO01/49288(メルク・フロストカナダおよびアクシス・ファーマスーティカルス)に見出し得るが、これらに限定されるものではない。
【0063】
「アンドロゲン受容体調節剤」とは、メカニズムに関係なくアンドロゲンがその受容体に結合することを妨害または阻害する化合物をいう。アンドロゲン受容体調節剤の例としては、フィナステリドおよびその他の5α−還元酵素阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよび酢酸アビラテロンを含む。
【0064】
「破骨細胞プロトンATPase阻害剤」とは、破骨細胞の頂端膜に見出されるプロトンATPase阻害剤をいい、骨の再吸収過程で重要な役割を果たすことが報告されている。このプロトンポンプは骨再吸収の阻害剤を設計する場合の魅力的な標的の代表であり、該阻害剤は、潜在的に骨粗しょう症および関連する代謝性疾患の治療と予防にとって有用である[C.Farinaら、“Selective inhibitors of the osteoclast vacuolar proton ATPase as novel bone antiresorptive agents(新規骨抗再吸収剤としての破骨細胞液胞型プロトンATPaseの選択的阻害剤)”,DDT,4,163−172(1999)参照]。その全文を参照することにより本明細書の一部とする。
【0065】
「HMG−CoA還元酵素阻害剤」とは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素の阻害剤をいう。HMG−CoA還元酵素に対し阻害活性を有する化合物は、技術上周知のアッセイ法を用いることにより容易に同定することができる。例えば、米国特許第4,231,938号の第6欄、およびWO84/02131の30〜33ページに記載または引用されているアッセイ法を参照のこと。用語「HMG−CoA還元酵素阻害剤」および「HMG−CoA還元酵素の阻害剤」とは、本明細書にて使用する場合、同じ意味を有する。
【0066】
使用可能なHMG−CoA還元酵素阻害剤の例としては、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR;登録商標);米国特許第4,231,938、4,294,926および4,319,039号)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR;登録商標);米国特許第4,444,784、4,820,850および4,916,239号)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL;登録商標);米国特許第4,346,227、4,537,859、4,410,629、5,030,447および5,180,589号)、フルバスタチン(レスコルール(LESCOL;登録商標);米国特許第5,354,772、4,911,165、4,929,437、5,189,164、5,118,853、5,290,946および5,356,896号)、アトルバスタチン(リピトール(LIPITOR;登録商標);米国特許第5,273,995、4,681,893、5,489,691および5,342,952号)およびセリバスタチン(リバスタチンおよびベイコール(BAYCHOL;登録商標)としても知られる;米国特許第5,177,080号)を含むが、これらに限定されるものではない。本方法にて使用可能なこれらの阻害剤および別のHMG−CoA還元酵素阻害剤の構造式は、文献[M. Yalpani,“Cholesterol Lowering Drugs (コレステロール低下剤)”,Chemistry&Industry,85−89(5 February 1999)の87ページ;米国特許第4,782,084および4,885,314号]に記載されている。本明細書にて使用する用語、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、HMG−CoA還元酵素阻害剤活性を有する化合物のすべての製薬上許容されるラクトンおよび開環酸型(すなわち、ラクトン環が開いて遊離の酸となる場合)ならびに塩およびエステルを包含し、かかる塩、エステル、開環酸およびラクトン型の使用は、本発明の範囲に包含される。該ラクトン部分とその対応する開環酸型を、以下の構造IおよびIIに示す。
【0067】
【化6】

【0068】
開環酸型が存在し得るHMG−CoA還元酵素阻害剤においては、塩およびエステル体は、好ましくは該開環酸から形成することができ、このような型はすべて本明細書にて使用する場合の用語「HMG−CoA還元酵素阻害剤」の意味に含まれる。好ましくは、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ロバスタチンおよびシンバスタチンから選択され、最も好ましくはシンバスタチンである。本明細書において、HMG−CoA還元酵素阻害剤に関連する用語「製薬上許容される塩」とは、本発明に用いられる化合物の無毒性の塩を意味するものとし、該塩は、一般に遊離の酸と至適な有機または無機の塩基との反応により調製されるものであり、特にナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛およびテトラメチルアンモニウムなどのカチオンから形成される塩、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1'−イル−メチルベンズ−イミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアミンから形成される塩である。HMG−CoA還元酵素阻害剤の塩のさらなる例としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、ニ硫酸塩、二酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウムエデト酸塩、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エディシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフト酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、スバセト酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクリン酸塩、トシル酸塩、トリエチオジドおよびバレリアン酸塩を含むが、これらに限定されるものではない。
【0069】
上記HMG−CoA還元酵素阻害化合物のエステル誘導体は、温血動物の血流中に吸収された場合に、その薬剤形を放出し、該薬剤が改善された治療効果を与えるような形で開裂し得るプロドラッグとして作用する。
【0070】
上記で使用する「インテグリン受容体拮抗剤」とは、生理的リガンドのαvβ3インテグリンへの結合に対し選択的に拮抗するか、それを阻害または妨害する化合物;生理的リガンドのαvβ5インテグリンへの結合に対し選択的に拮抗するか、それを阻害または妨害する化合物;生理的リガンドのαvβ3インテグリンおよびαvβ5インテグリンの両方への結合に対し選択的に拮抗、阻害または妨害する化合物;および毛細内皮細胞上に発現される特定のインテグリンの活性に拮抗するか、それを阻害または妨害する化合物を指す。該用語はまたαvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1およびα6β4インテグリンの拮抗剤を指す。該用語はまたαvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1およびα6β4インテグリンのいずれかの組み合わせの拮抗剤をも指す。ローデとその協力者[H.N.Lode and coworkers in PNAS USA,96,1591−1596(1999)]は、自然発生腫瘍転移の根絶において、抗血管形成αvインテグリン拮抗剤と腫瘍特異的抗体−サイトカイン(インターロイキン−2)融合タンパク質との間に相乗作用を認めている。彼らの結果は、この組合せが癌と転移性腫瘍増殖の治療のために効力を有することを示唆した。αvβ3インテグリン受容体拮抗剤は、現在利用可能な薬物のメカニズムとはまったく異なる新しいメカニズムを介して骨再吸収を阻害する。インテグリンは、細胞−細胞および細胞−マトリックス相互作用を仲介するヘテロ二量体膜透過性付着受容体である。該αおよびβインテグリンサブユニットは、非共有結合的に相互作用し、二価カチオン依存性様式で細胞外マトリックスリガンドに結合する。破骨細胞上最も豊富なインテグリンはαvβ3(>10/破骨細胞)であり、細胞の移動と分極に重要な細胞骨格組織化において律速の役割を演じていると思われる。αvβ3拮抗作用は、骨再吸収の阻害、再狭窄の阻害、黄斑変性の阻害、関節炎の阻害、および癌と転移増殖の阻害から選択される。
【0071】
「造骨細胞同化剤」とは、PTHなどの骨を構築する薬剤をいう。副甲状腺ホルモン(PTH)またはそのアミノ末端フラグメントおよび類似体の間欠的投与により、動物およびヒトにおける骨喪失を予防し、阻止し、部分的に逆転させること、また骨形成を促進することが明らかにされている。詳細については、文献を参照する[D.W.Dempsterら、“Anabolic actions of parathyroid hormone on bone(骨に対する副甲状腺ホルモンの同化活性)”,Endocr Rev,14,690−709(1993)]。研究から、副甲状腺ホルモンが骨の形成を促進し、それによって骨の質量と強度を増大させるという臨床的有益性が証明されている。結果は、ネールらにより報告された[RM Neerら、New Eng J Med,344,1434−1441(2001)]。
【0072】
さらに、副甲状腺ホルモン関連タンパク質フラグメントまたは類似体、例えばPTHrP(1−36)などは、強力な抗カルシウム尿作用を示している[M.A.Syedら、“Parathyroid hormone−related protein−(1−36) stimulates renal tubular calcium reabsorption in normal human volunteers: implications for the pathogenesis of humoral hypercalcemia of malignancy(副甲状腺ホルモン関連タンパク質(1−36)は健常人ボランティアの尿細管カルシウム再吸収を促進する;癌性高カルシウム血症の病因に対する示唆)”,JCEM,86,1525−1531(2001)参照]。また、骨粗しょう症を治療するための同化剤としての能力をも有し得る。
【0073】
カルシトニンは甲状腺により産生される32個のアミノ酸のペプチドであり、主としてカルシウムとリンの代謝に関わることが知られている。カルシトニンは破骨細胞の活性を抑制することにより骨の再吸収を抑制する。従って、カルシトニンにより造骨細胞がより効率的に働き、骨を構築することができるようになる。
【0074】
「ビタミンD」には、ビタミンDのヒドロキシル化生理活性代謝物の天然生理不活性の前駆体であるビタミンD(コレカルシフェロール)およびビタミンD(エルゴカルシフェロール);1α−ヒドロキシビタミンD;25−ヒドロキシビタミンD、および1α,25−ジヒドロキシビタミンDを包含するが、これらに限定されるものではない。ビタミンDとビタミンDは、ヒトにおいて同じ生理的効果を有する。ビタミンDまたはDが循環系に入ると、シトクロムP450−ビタミンD−25−ヒドロキシラーゼによりヒドロキシル化されて、25−ヒドロキシビタミンDを生じる。25−ヒドロキシビタミンD代謝物は生理的に不活性であり、さらに腎臓において、シトクロムP450−モノオキシゲナーゼ、25(OH)D−1α−ヒドロキシラーゼによりヒドロキシル化されて1,25−ジヒドロキシビタミンDを生じる。血清カルシウムが低下すると、副甲状腺ホルモン(PTH)の産生が上昇し、それがカルシウム・ホメオスタシスを調整し、25−ヒドロキシビタミンDから1,25−ジヒドロキシビタミンDへの変換を増大させることにより、血漿カルシウムレベルを上昇させる。
【0075】
1,25−ジヒドロキシビタミンDは、カルシウムと骨代謝に対するビタミンDの作用を司ると考えられる。1,25−ジヒドロキシ代謝物はカルシウム吸収および骨格統合を維持するために必要とされる活性ホルモンである。カルシウムホメオスタシスは、1,25−ジヒドロキシビタミンDによって単球幹細胞が分化して破骨細胞となることを誘発し、またカルシウムが正常範囲に維持されるようにすることで維持され、その結果、カルシウムヒドロキシアパタイトが骨表面に沈着することにより骨のミネラル化が起こる[Holick,MF, Vitamin D photobiology,metabolism,and clinical applications(ビタミンD光生物学、代謝、および臨床応用),DeGroot L,Besser H,Burger HGら、eds.Endocrinology,3rded,990−1013(1995)参照]。しかし、1α,25−ジヒドロキシビタミンDのレベル上昇は、血中カルシウム濃度の上昇と、骨代謝によるカルシウム濃度の異常調節を起こし、その結果、高カルシウム血症を生じる場合がある。1α,25−ジヒドロキシビタミンDはまた、骨代謝において破骨細胞活性を間接的に調節し、上昇したレベルが骨粗しょう症における過剰な骨の再吸収を増大させると予想することができる。
【0076】
「合成ビタミンD類似体」にはビタミンDに似た活性を示す非天然産化合物を含む。
【0077】
選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)は、脳内のセロトニン量を増加させることにより作用する。SSRIは、うつ病の治療に米国でこの10年間成功裏に使用されている。SSRIの例としては、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、シタロプラムおよびフルボキサミンがあるが、これらに限定されるものではない。SSRIは、月経前症候群および月経前異形症障害などのエストロゲン機能化に関連する障害を治療するためにも用いられている。[Sundstrom−Poromaa I,Bixo M,Bjorn I,Nordh O.,“Compliance to antidepressant drug therapy for treatment of premenstrual syndrome(月経前症候群の治療のための抗うつ剤療法のコンプライアンス)”,JPsychosom Obstet Gynaecol,2000 Dec.21(4),205−11参照]。
【0078】
本明細書にて使用する場合、用語「アロマターゼ阻害剤」とは、アロマターゼを阻害することができる化合物であり、例えば、市販品として入手可能な阻害剤、例えば、アミノグルテミド(シタンドレン(CYTANDREN;登録商標))、アナストラゾール(アリメデックス(ARIMEDEX;登録商標)))、レトロゾール(フェマラ(FEMARA;登録商標))、フォルメスタン(レナトロン(LENATRON;登録商標))、エクセメスタン(アロマシン(AROMASIN;登録商標))、アタメスタン(1−メチルアンドロスタン−1,4−ジエン−3,17−ジオン)、ファドロゾール(4−(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−5−イル)−ベンゾニトリル・一塩酸塩)、フィンロゾール(4−(3−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−プロピル)−ベンゾニトリル)、ボロゾール(6−[(4−クロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル]−1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール)、YM−511(4−[N−(4−ブロモベンジル)−N−(4−シアノフェニル)アミノ]−4H−1,2,4−トリアゾール)などがある。
【0079】
固定用量として製剤化する場合、かかる組み合わせ薬は、下記の投与量範囲内の本発明化合物と承認された投与量範囲内の他の製薬上活性な薬剤とを用いる。組み合わせ製剤が不適切な場合、別法として、本発明化合物を既知の製薬上許容される薬剤と順次に使用してもよい。
【0080】
本発明化合物に関連する用語「投与」およびその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、治療の必要な動物の器官に、該化合物または化合物のプロドラッグを投与することを意味する。本発明化合物またはそのプロドラッグが1種以上の他の活性薬剤(例えば、ビホスホネートなど)と組み合わせて提供される場合、「投与」およびその変形はそれぞれ該化合物またはそのプロドラッグと他の薬剤を同時にまたは連続して投与することを含むと理解される。本発明は本発明の化合物のプロドラッグをその範囲内に包含する。かかるプロドラッグは、一般に、生体内で必要な化合物に容易に変換可能な本発明化合物の機能的誘導体である。従って、本発明の治療方法において、用語「投与すること」には、記載した種々の症状を具体的に開示した化合物で、または具体的に開示していないが、患者に投与した後に生体内で特定の化合物に変換される化合物で、種々の症状を治療することを包含するものとする。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来の方法は、例えば「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」(ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985)(その全文を参照することにより本明細書の一部とする)に記載されている。これら化合物の代謝産物は、本発明化合物を生体環境に導入することにより生成される活性種を包含する。
【0081】
本発明はまた、治療上有効量の本発明化合物を、製薬上許容される担体または賦形剤と共に、またはそれと併用せず投与することからなる、本明細書に記載した疾患の治療に有用な医薬組成物をも包含する。本発明の適切な組成物には、本発明化合物、および例えばpHレベル7.4の食塩水などの薬理学上許容される担体を含有してなる水溶液がある。該溶液は局所ボーラス注射により患者の血流に投与することができる。
【0082】
本発明化合物をヒトを対象に投与する場合、1日用量は、通常、個々の患者の年齢、体重、および応答、ならびに患者症候の重篤度に応じてその投与量を変動させて、処方医により決定される。
【0083】
一応用例においては、適量の化合物を治療を受ける哺乳動物に投与する。本発明の経口投与量は、適応の効果に使用する場合、約0.01mg/kg体重/日(mg/kg/日)ないし約100mg/kg/日であり、好ましくは0.01〜10mg/kg/日、最も好ましくは0.1〜5.0mg/kg/日である。経口投与の場合、該組成物は、好ましくは、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100および500ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形で、症状に応じて調整して、治療すべき患者に提供する。医薬品は一般的に約0.01mg〜約500mgの有効成分を含有し、好ましくは約1mg〜約100mgの有効成分を含有する。静脈内の場合、最も好ましい用量は、一定速度の注入に際して約0.1ないし約10mg/kg/分の範囲である。有利には、本発明化合物は、一日1回の用量で投与するか、または合計日用量を分割用量として一日2回、3回または4回投与することができる。さらに、本発明の好適な化合物は、適切な鼻内媒体を局所的に用いて鼻内用の形として、または当業者周知の経皮用皮膚貼付剤の形として経皮ルートで投与することができる。経皮送達系の形で投与するためには、投与は、勿論、投与方法全体を通して間欠的ではなく連続的となる。
【0084】
本発明化合物は、エストロゲン介在症状の治療に有用な他の薬剤と組み合わせて使用することができる。かかる組み合わせの個々の成分は、治療の間の異なる時点で別個に投与することができ、また分割または単一の組み合わせ形態で同時に投与することができる。従って、本発明は同時または交互の治療などの投与方法すべてを包含すると理解すべきであり、また用語「投与すること」はそのように解釈すべきである。本発明化合物と、カテプシン介在症状の治療に有用な他の薬剤との組み合わせの範囲は、原則としてエストロゲン機能に関係する障害を治療するために有用な医薬組成物とのあらゆる組合せをも包含するものである。
【0085】
従って本発明の範囲は、有機ビスホスホネート;カテプシンK阻害剤;エストロゲン;エストロゲン受容体調節剤;アンドロゲン受容体調節剤;破骨細胞プロトンATPase阻害剤;HMG−CoA還元酵素阻害剤;インテグリン受容体拮抗剤;造骨細胞同化剤;カルシトニン;ビタミンD;合成ビタミンD類似体;選択的セロトニン再吸収阻害剤;アロマターゼ阻害剤;およびそれらの製薬上許容される塩および混合物から選択される第二薬剤との併用での特許請求した化合物の使用を包含するものである。
【0086】
本発明の上記及び他の態様は、本明細書の記載から明らかになろう。
【0087】
定義
本明細書にて使用される用語「組成物」とは、特定の成分を特定の量含有する製品、ならびに直接または間接的に特定の成分を特定量組み合わせた製品を包含するものとする。
【0088】
本明細書にて、用語「治療上有効量」とは、組織、系、動物またはヒトにおいて、研究者、獣医師、医師または臨床医が求める生物学的もしくは医学的応答を誘発する活性化合物または医薬の量を意味する。
【0089】
本明細書にて、用語「治療すること」または疾患の「治療」とは、疾患を予防すること、すなわち、疾患に接触し得るか、または罹患し易い可能性があるが、未だその疾患の兆候を経験していないか現れていない哺乳動物において、疾患の臨床症状が現れないようにすること;疾患を阻害すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の進展を阻止または軽減すること;または疾患を改善すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の退行を生じさせること;である。
【0090】
本明細書にて使用する場合、用語「骨再吸収」とは、破骨細胞が骨を破壊する過程をいう。
【0091】
用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の非環状飽和炭化水素から1個の水素原子を概念上除去することにより誘導される置換性一価の基を意味する(例えば、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH)、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)、−C(CH)、など)。
【0092】
用語「アルケニル」は、直鎖または分枝鎖の非環状不飽和炭化水素から1個の水素原子を概念上除去することにより誘導される置換性一価の基を意味する(例えば、−CH=CH、−CH=CHCH、−C=C(CH)、−CHCH=CH、など)。
【0093】
用語「アルキニル」は、直鎖または分枝鎖の炭素−炭素三重結合を含む非環状不飽和炭化水素から1個の水素原子を概念上除去することにより誘導される置換性一価の基を意味する(例えば、
【0094】
【化7】

など)。
【0095】
用語「ハロ」は、ヨード、ブロモ、クロロおよびフルオロを含むものとする。
【0096】
用語「置換基を有する」とは、例示された置換基による多数の置換を含むものとする。多数の置換部位が開示または請求されている場合、置換基を有する化合物は、独立して1個またはそれ以上の開示または請求された置換基部分により一個または複数個で置換されていてもよい。独立して置換基を有するとは、(2個またはそれ以上の)置換基が同じであるか、または異なることを意味する。
【0097】
本発明はまた、本明細書に開示した化合物の保護誘導体をも包含する。例えば、本発明化合物がヒドロキシルまたはカルボニルなどの基を含む場合、これらの基は適切な保護基により保護されていてもよい。適切な保護基の包括リストは、[T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)、John Wiley&Sons,Inc.1981]に見出される。この全文を参照することにより本明細書の一部とする。本発明化合物の保護誘導体は、周知技術の方法により調製し得る。
【0098】
本発明化合物は、不斉中心、キラル軸、およびキラル面を有することができ[E.L.ElielおよびS.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,John Wiley&Sons,New York,1994,1119−1190に記載されている]、また、ラセミ体、ラセミ混合物として、また個々のジアステレオマーとして存在可能であり、光学異性体を含めて、すべての可能な異性体およびその混合物が本発明に包含される。加えて、本明細書に開示した化合物は、互変異性体として存在可能であり、たとえその互変異性体構造の一方のみが開示されていたとしても、両方の互変異性体形が本発明の範囲に包含されるものとする。例えば、下記化合物Aに対するいずれのクレームも互変異性体構造Bを含み、また、その逆も同様にその混合物も含むものと理解される。
【0099】
【化8】

【0100】
いずれかの可変記号(例えば、R、R、Rなど)は、それが構成要素中に1回以上出てくる場合、各場合の定義は他のいずれの場合とも独立している。また、置換基と可変記号との組み合わせは、かかる組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ可能である。置換基から環系へ引かれた線は、そこに示した結合が置換し得る環炭素原子のいずれにも結合することができることを示している。もし環系が多環系である場合、結合は近い方の環上のみの適当な炭素原子のいずれかに結合するものとする。
【0101】
当業者が本発明化合物上の置換基および置換パターンを選択することで、化学的に安定な化合物を提供することができ、これらは、技術上既知の方法によりあるいは下記に述べる方法により、容易に入手可能な出発原料から容易に合成できる。もし置換基それ自体が複数の基で置換されている場合は、これら複数の基は、安定な構造が生じる限り、同じ炭素上、または異なる炭素上に存在し得ることは明らかである。「1個以上の置換基が任意に置換する」という表現は、「少なくとも1個の置換基が任意に置換する」という表現と等価であると解釈すべきであり、そのような場合、好適な態様は0個ないし3個の置換基を有する。
【0102】
本発明化合物を選択するに際し当業者は、周知の化学構造結合の原則に一致するように種々の置換基、例えばR、RおよびRが選択されることを認識するであろう。
【0103】
本発明の代表的な化合物は、一般にアルファおよび/ベータエストロゲン受容体に対しサブミクロモルの親和性を示し、好ましくはベータエストロゲン受容体を作動する。従って、本発明化合物はエストロゲン機能性に関係する障害に罹患する哺乳動物の治療に有用である。
【0104】
本発明化合物は、ラセミ型でまたは個々のエナンチオマーとして利用することができる。便宜上、一部の構造は図式上単一のエナンチオマーとして表すが、特に断りのない限り、ラセミ体とエナンチオマーとして純粋なものの両方を含むことを意味する。本発明の化合物についてシスおよびトランスの立体化学が示されている場合、その立体化学は、特に断りのない限り相対的なものと解釈すべきであることに留意すべきである。例えば、(+)または(−)の指定は、表示された化合物が、その示された絶対的立体化学をもつものとして表されると解釈すべきである。
【0105】
ラセミ混合物は、多くの常套的方法により個々のエナンチオマーに分離することができる。これらにはキラルクロマトグラフィー、キラル補助基での誘導化と引き続くクロマトグラフィーまたは結晶化による分離およびジアステレオマー塩の分別結晶を含むが、これらに限定されるものではない。またプロ−キラル中間体アニオンのエナンチオマープロトン化などの脱ラセミ化手法も使用可能である。
【0106】
本発明化合物は、エストロゲン介在の症状を治療するために有用な他の薬剤と組み合わせて使用することができる。かかる組み合わせの個々の成分は治療期間の異なる時点で別個に投与することができるし、または分割もしくは単一の組み合わせ形態で同時に投与することもできる。従って、本発明は同時または交互治療方法のすべてを包含すると理解すべきであり、用語「投与すること」はそのように解釈すべきである。本発明化合物とエストロゲン介在症状の治療に有用な他の薬剤との組み合わせの範囲は、原則としてエストロゲン機能に関係する障害を治療するために有用ないずれの医薬組成物の組合せをも包含することは明らかであろう。
【0107】
本発明化合物を利用した投与方法は、患者のタイプ、種属、年齢、体重、性別および医学的症状など;治療すべき症状の重症度;投与ルート;患者の腎臓および肝臓機能;および採用する特定化合物またはその塩などの様々なファクターに従って選択される。通常の能力を有する医師、獣医師または臨床医は、その症状の進行を予防し、反撃し、阻止するために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0108】
本発明方法においては、本明細書に詳細に記載した化合物が有効成分を形成することが可能であり、一般に、経口用錠剤、カプセル剤、エリキシル、シロップなどの意図した投与形態の点から選択される適切な医薬賦形剤、添加剤または担体(本明細書ではまとめて「担体」という)の混合物として投与され、これは通常の医薬の慣習と矛盾がない。
【0109】
本発明化合物の製薬上許容される塩としては、無機酸または有機酸から形成される本発明化合物の慣用的な無毒性塩を含む。例えば、慣用的な無毒性塩とは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマール酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から調製される塩が挙げられる。上記の製薬上許容される塩および他の代表的な製薬上許容される塩の調製については、バーグら[Bergら、“Pharmaceutical Salts(医薬用塩)”,J.Pharm.Sci.,1977,66,1−19;参照することにより本明細書の一部とする]により詳しく記載されている。本発明化合物の製薬上許容される塩は、塩基性部分または酸性部分を含む本発明化合物から、慣用的な化学的方法により合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、または遊離の塩基を化学的当量のもしくは過剰の所望の塩形成無機酸もしくは有機酸と、適切な溶媒もしくはその種々の組み合わせ溶媒中で反応させることにより調製される。同様に、酸性化合物の塩は適切な無機塩基または有機塩基との反応により形成される。
【0110】
本発明化合物は、以下の一般的工程図に従い適切な原料を用いて調製可能であり、以下の具体例により示される。しかし、実施例中に示された化合物は、本発明と考えられる唯一のものを形成すると解釈すべきではない。当業者は、以下の調製手順の条件とプロセスについての既知の変更を用いてこれらの化合物を調製できることが容易に理解できるであろう。温度は特に断りのない限りすべて摂氏である。
【0111】
本発明化合物は全合成によっても調製することができるが、一般には、市販品として入手可能なステロイドを修飾することがより実用的である。デヒドロエピアンドロステロンおよびアンドロステンジオールが特に便利な出発原料であるが、他の市販のステロイドも採用することができる。
【0112】
C−19位の官能化は当業者に既知の多くの方法により実施することができる。以下の工程図1に示す簡便な方法では、C−19での酸化を可能とする糸口として、アンドロステンジオールの5,6−オレフィンを採用する。アンドロステンジオールのC−3およびC−17ヒドロキシル基は、先ずアセテート、シリルエーテル、THPエーテルまたは他の適切な保護基を用いて当業者に周知の標準的手法により保護される。一部事例において、これらのヒドロキシル基は、一方または他方をさらなる誘導化のために選択的に脱保護できるよう、別々に保護することが必要である。これはビス保護中間体を選択的に脱保護するか、または非保護ジオールを選択的にモノ保護化することにより実施することができる。5,6−オレフィンの官能化は、過塩素酸などの水性酸の存在下に、保護ジオール中間体をN−ブロモアセトアミド、N−ブロモコハク酸イミドなどの臭素源で処理することにより実施される。本反応生成物はステロイド核のC−6位にアキシャルヒドロキシル基を有し、C−19メチル基の酸化の糸口となる。これを実施する方法としては、アルコール、ジアセテートヨードベンゼンおよびヨウ素の混合物をシクロヘキサンなどの炭化水素溶媒中で光分解することにより達成できる。得られる環状エーテルの活性化亜鉛粉末による還元により、5,6−二重結合を再生し、19−ヒドロキシステロイドを生じる。該19−ヒドロキシステロイドは、当業者に周知の多くの酸化方法により、キーとなるアルデヒド中間体Aに酸化することができる。この変換を実施するための一つの有用な方法には、ジクロロメタンまたはクロロホルムなどの溶媒中、モレキュラーシーブの存在下、該アルコールとテトラプロピルアンモニウムペルルテネート(TPAP)およびN−メチルモルホリン・N−オキシド(NMO)とを反応することを含む。このアルデヒドは、当業者に周知のグリニャール試薬またはアルキルリチウム試薬などの炭素求核試薬と中間体Aとの反応によるC−19にアルキル置換基を導入するための基質として作用し、これによってキーとなる中間体Bを得る。Bの脱酸素反応により中間体Cを得、これは以下の工程図に示すように、最終生成物に変換することができる。別法として、アルキル置換基は、アルデヒドAのC−19位のオレフィン化と、引き続いて得られるオレフィンの選択的水素化により導入することができる。
【0113】
【化9】

【0114】
C−3の炭素置換基(R)は、以下の工程図で示すように導入される。Cの選択的脱保護により中間体Dを生じる。当業者に周知の多くの入手可能な酸化剤を用いた中間体Dの3−ヒドロキシ基の酸化により、ケトン中間体Eを生じる。オペナウアー酸化反応はこの変換に特に有用である。引き続く中間体Eと、グリニャール試薬、アルキルリチウムまたは他の有機金属試薬などの炭素求核剤(RM)との反応は、テトラヒドロフラン(THF)、エーテルなどの適切な溶媒中、−78℃ないし室温の範囲の温度で実施され、C−3位に炭素置換基が導入される。初期に形成された付加体Fは、一部の例では同時に脱水され、3,5−ジエン誘導体Gを形成し得る。他の例においては、付加体Fを完全に中間体Gに変換するために、エタノール、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中、室温ないし還流の温度で、塩酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸で処理することが必要である。一部の例においては、脱水反応がステロイド環に及んで進行し、3−アルキリデン−4−エンを生じることが観察されている。これらの例においては、酸で処理すると外部二重結合が異性化して、より安定な3,5−ジエン系を生じる。必要に応じて、3−アルキリデン−4−エン類似体は、ウイッティッヒ、ペターソンまたはテッベ反応等の当業者に周知の多くのオレフィン化反応の一つを用いるケトン中間体Eのオレフィン化により調製してもよい。かかる3−アルキリデン−4−エン類似体は、注意深く脱保護反応することにより最終生成物に変換することができる。より激しい条件下では、3−アルキリデン−4−エン類似体は異性化してより安定な3−アルキル−3,5−ジエンとなる。下記工程図2に概略を示すように、保護基Pに対する適切な条件を用いた中間体Gの脱保護により最終生成物を得ることができる。
【0115】
【化10】

【0116】
C−17位の炭素置換基(R17)は、以下の工程図3に示すように、前記工程図2の生成物(H)をさらに反応することにより導入することができる。当業者に周知の多くの利用可能な酸化剤の1つを用いてC−17ヒドロキシを酸化することにより、ケトン中間体Iが得られる。C−17ケトンとグリニャール試薬またはアルキルリチウムなどの適切な炭素求核剤(R17M)との反応により、C−17置換類似体Jが得られる。
【0117】
【化11】

【実施例】
【0118】
実施例1
3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール・ジアセテート
【0119】
【化12】

【0120】
工程1:3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール
水素化ホウ素ナトリウム(3.28g、0.0867mol)を4等分にして、デヒドロエピアンドロステロン(25.0g、0.0867mol)のメタノール(870mL)冷却(0℃)溶液に加えた(約2分間隔)。冷却浴を除き、白濁混合物を室温で90分間攪拌した。反応混合物を氷浴にて冷却し、2N−HCl(173mL、0.346mol)を滴下した。得られた混合物を減圧下に濃縮し、湿潤白色固体を得た。水(500mL)を加え、混合物を超音波処理し、濾過した。取得した固体を水(100mL)で洗い、真空デシケーター中で一夜乾燥し、標題化合物を白色固体として得た。
【0121】
工程2:3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール・ジアセテート
無水酢酸(19.5mL、0.2mol)を3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール(15.0g、0.05165mol)のピリジン(200mL)溶液に加え(注;緩和な発熱があった)、次いで、4−ジメチルアミノピリジン(0.63g、0.00516mol)を加えた。得られた黄色溶液を室温で5.5時間攪拌し、次いで、溶媒の大部分を減圧下で除去した。残留する黄白色のスラッジを酢酸エチル(450mL)と1N−HCl(450mL)に分配した。有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液(200mL)で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮して灰白色固体を得た。この粗生成物をヘキサン(500mL)から再結晶して、標題化合物を白色結晶性固体として得た。再結晶からの母液を濃縮し、灰白色固体を得、これを再結晶して二番目の生成物を得た。
【0122】
実施例2
19−オキソ−3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール・ジアセテート
【0123】
【化13】

【0124】
工程1:5α−ブロモ−6β−ヒドロキシ−3β,17β−アンドロスタンジオール・ジアセテート
3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール・ジアセテート(4.17g、0.011mol)のジオキサン(56mL)と水(3.4ml)の溶液中に70%過塩素酸(0.79mL)の水(6.8mL)溶液を5℃で加えた。N−ブロモアセトアミド(2.25g、0.016mol)を少量ずつ20分間かけて添加した。得られた混合物を5℃で30分間攪拌し、次いで、室温で30分間攪拌し、次いで、0.5mLの1%チオ硫酸ナトリウム溶液を含有する水中に注いだ。この懸濁液に飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加えることによりpH8に調整し、次いで、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮して白色泡状物を得た。この残渣を以前のバッチからの粗生成物0.296gと併合し、アセトン/ヘキサンからの再結晶により精製して、副産物である約20%の異性体5β,6αを含む白色固体として標題化合物を得た。
【0125】
工程2:5α−ブロモ−6β,19−エポキシ−3β,17β−アンドロスタンジオール・ジアセテート
工程1の生成物(1.8g、0.0038mol)のシクロヘキサン(250mL)懸濁液に、ヨードベンゼン・ジアセテート(1.23g、0.0057mol)を加え、次いでヨウ素(0.97g、0.0038mol)を加えた。得られた混合物を200Wの太陽灯にて45分間照射した(注:混合物の温度はこの間に約80℃まで上昇した)。反応混合物を室温まで冷却し、氷/水に注いだ。得られた混合物をエーテルで抽出した。有機層を2%チオ硫酸ナトリウム水で洗い、次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣をヘキサンから再結晶して灰白色の固体を得た。
【0126】
工程3:3β,17β,19−アンドロスト−5−エントリオール・3,17−ジアセテート
活性化亜鉛粉末(11.1g、0.17mol;使用前にHCl水で簡単に処理し、次いで連続的に水とアセトンで洗い、減圧下に乾燥することにより活性化した)、工程2の生成物(1.50g、0.0032mol)のテトラヒドロフラン(75mL)溶液および水(7.5mL)からなる混合物を65℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濾過した。取得した固体をエーテルで洗い、次いで併合した濾液を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮して淡黄色泡状物を得た。この残渣をアセトン/ヘキサンから再結晶し、標題化合物を淡黄色固体として得た。母液を濃縮し、再結晶して純度の劣る二番目の生成物を淡黄色固体として得た。
【0127】
工程4:19−オキソ−3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール・ジアセテート
工程3の生成物(0.500g、0.00128mol)及びN−メチルモルホリンN−オキシド(NMO、2.43g、0.0207mol)のジクロロメタン(10mL)からなる冷却(0℃)溶液に、活性化4Aモレキュラーシーブ(4.2g)を加えた。得られた混合物を0℃で15分間攪拌し、次いで、テトラプロピルアンモニウム・ペルルテネート(0.030g、0.0000854mol)を加えた。得られた混合物を0℃で90分間攪拌し、次いでエーテルで希釈し、濾過した。取得した固体をエーテルで洗浄した。併合した濾液を亜硫酸ナトリウム水および硫酸銅水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮して白色固体を得た。残渣をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーにより95:5のジクロロメタン:酢酸エチルを溶出液として精製し、標題化合物を淡黄色固体として得た。
【0128】
実施例3
3,17−ビス−O−t−ブチルジメチルシリル−19−オキソ−3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール
【0129】
【化14】

【0130】
工程1:19−オキソ−3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール
19−オキソ−3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール・ジアセテート(5.0g、0.0129mol)の200mLの10%(w/v)水酸化カリウム/メタノール溶液を室温で3時間攪拌した。溶媒の大部分を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと飽和塩化ナトリウム水とに分配した。水層を酢酸エチルで抽出(3回)し、併合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮して、標題化合物を白色固体として得た。
【0131】
工程2:3,17−ビス−O−t−ブチルジメチルシリル−19−オキソ−3β,17β−アンドロスト−5−エンジオール
工程1の生成物(4.19g、0.0138mol)、イミダゾール(5.58g、0.082mol)及び塩化t−ブチルジメチルシリル(10.23g、0.068mol)の無水DMF(135mL)溶液を室温で一夜攪拌し、次いで、氷水と酢酸エチルに分配した。有機抽出物を水(3回)、重炭酸ナトリウム水および飽和塩化ナトリウム水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮して白色固体を得た。これをヘキサンから再結晶して、標題化合物を白色固体として得た。
【0132】
実施例4
3−オキソ−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−4−エン
【0133】
【化15】

【0134】
工程1:19−ノル−10β−ビニル−3β,17β−ビス−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−アンドロスト−5−エン
3,17−ビス−O−t−ブチルジメチルシリルオキシ−19−オキソ−3β,17β−アンドロスト−5−エン(0.405g、0.00076mol)のテトラヒドロフラン(5mL)冷却(0℃)溶液に、テッベ試薬(7.0mLの0.5Mトルエン溶液、0.0035mol)を加えた。得られた混合物を室温で一夜攪拌し、次いで、1N−水酸化ナトリウム水を加えて反応を停止させ、エーテルで希釈した。得られた混合物をセライトで濾過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチルの勾配(99:1のヘキサン/酢酸エチルないし95:1のヘキサン/酢酸エチル)により溶出精製し、標題化合物を白色固体として得た。
【0135】
工程2:3β−ヒドロキシ−17β−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−19−メチル−アンドロスト−5−エン
酢酸エチル(28mL)中、工程1の生成物(0.180g、0.00034mol)と5%ロジウム/炭素(0.0027g)の混合物を、パール・シェーカー中、水素気流下(45psi)に室温で2時間反応させた。一部を取り出し分析したが反応が起こっていないので、ロジウム触媒(0.0038g)をエタノール(71mL)と共に追加して、得られた混合物をパール・シェーカー中、水素気流下(40psi)に室温で一夜反応させた。一部を採り再びNMR分析したが反応は起こらなかった。5%Rh/C(0.1g)を追加し、反応混合物を水素下(45psi)でパール・シェーカーに戻した。一部を採り再びNMR分析したが反応はなかった。別のビンから5%Rh/C(0.109g)を追加し、反応混合物を水素下(45psi)でパール・シェーカーに戻した。2時間後に一部を採りNMR分析すると、反応が進行していた。5%Rh/C(0.103g)を追加し、反応混合物を水素下(45psi)でパール・シェーカーに一夜戻した。一部を採りNMR分析すると、反応が完了していた。反応混合物をセライトで濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチルの勾配(99:1のヘキサン/酢酸エチルないし95:1のヘキサン/酢酸エチル)により溶出精製し、標題化合物を白色固体として得た。NMR分析により、3−O−TBDMSエーテルがうまく喪失していることを確認した。
【0136】
工程3:3−オキソ−17β−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−19−メチル−アンドロスト−4−エン
工程2の生成物(0.095g、0.00023mol)、アルミニウムイソプロポキシド(0.096g、0.00047mol)及び1−メチル−4−ピペリドン(0.45mL、0.0037mol)の混合物のトルエン(35mL)溶液を、ディーン−スターク・トラップ下に7時間還流し、次いで、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。得られた溶液を0.4N−HCl(100mL)で洗浄した。水層を酢酸エチルで逆抽出し、併合した有機層を飽和重炭酸ナトリウム水および飽和塩化ナトリウムで洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)により溶出精製し、標題化合物を白色泡状物として得た。
【0137】
工程4:3−オキソ−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−4−エン
工程3の生成物(0.070g、0.00017mol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液に、1M−フッ化テトラブチルアンモニウム/テトラヒドロフラン(2mL)溶液を加え、得られた溶液を室温で一夜攪拌した。室温にて19時間経過後、1mLの1M−フッ化テトラブチルアンモニウム/テトラヒドロフラン溶液を追加し、反応混合物を室温にてさらに3時間攪拌し、次いで減圧濃縮した。残渣をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)により溶出精製し、標題化合物を白色泡状物として得た。
【0138】
実施例5
3−メチリデン−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン
【0139】
【化16】

【0140】
3−メチリデン−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン
t−ブチルリチウム溶液(3.0mLの1.7Mペンタン溶液、0.0051mol)を臭化メチルトリフェニルホスホニウム(1.87g、0.0052mol)の無水エーテル(25mL)懸濁液に加えた。テストステロン(0.30g、0.001mol)を固体のまま加え、得られた混合物を室温で一夜攪拌した。次いで、反応混合物を減圧濃縮し、残渣をTHF(75mL)に懸濁し、5時間還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をエーテルと水に分配した。有機層を水および飽和塩化ナトリウム水で順次洗い、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮してオレンジ色の油を得た。粗生成物をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(4:1)により溶出精製し、標題化合物を白色固体として得た。
【0141】
実施例6
3−メチル−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−3,5−ジエン
【0142】
【化17】

【0143】
3−メチル−17β−t−ブチルジメチルシリルオキシ−アンドロスト−3,5−ジエン
実施例1の生成物(0.042g、0.00015mol)/エタノール(13mL)および濃塩酸(0.37mL)の溶液を2.5時間加熱還流し、次いで、室温まで冷却し、減圧濃縮した。残渣を水で希釈し、エーテルで2回抽出した。併合した抽出物を飽和塩化ナトリウム水で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮して標題化合物を固体として得た。
【0144】
実施例7
3−メチリデン−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−4−エン
【0145】
【化18】

【0146】
3−メチリデン−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−4−エン
t−ブチルリチウム溶液(3.0mLの1.7Mペンタン溶液、0.0051mol)を臭化メチルトリフェニルホスホニウム(1.87g、0.0052mol)の無水エーテル(25mL)懸濁液に加えた。次いで3−オキソ−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−4−エン(0.30g、0.001mol)を固体で加え、得られた混合物を室温で一夜攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をTHF(75mL)に懸濁して、5時間還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をエーテルと水に分配した。有機層を水および飽和塩化ナトリウム水で順次洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(4:1)により溶出精製し、標題化合物を得た。
【0147】
実施例8
3−メチル−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−3,5−ジエン
【0148】
【化19】

【0149】
3−メチル−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−3,5−ジエン
3−メチリデン−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−4−エン(0.04g)/エタノール(13mL)および濃塩酸(0.37mL)からなる溶液を2.5時間加熱還流し、次いで、室温まで冷却し、減圧濃縮した。残渣を水で希釈し、エーテルで2回抽出した。併合した抽出物を飽和塩化ナトリウム水で洗い、次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮して標題化合物を得た。
【0150】
エストロゲン受容体結合アッセイ
エストロゲン受容体リガンド結合アッセイは、トリチウム化エストラジオールと、組換え発現エストロゲン受容体の使用を採用するシンチレーション近接アッセイとして計画する。完全長組換えヒトER−αおよびER−βタンパク質は、バキュロウイルス発現系にて産生させる。ER−αおよびER−β抽出物は、6mMのα−モノチオグリセロールを含有するリン酸緩衝食塩水で1:400に希釈する。希釈した受容体調製物200μLアリコットを96穴フラッシュプレートの各ウエルに加える。プレートをサランラップでカバーし、4℃で一夜インキュベートする。
【0151】
翌朝、10%ウシ血清アルブミン含有リン酸緩衝食塩水20μlアリコットを96穴プレートの各ウエルに加え、4℃で2時間インキュベートさせる。次いで、プレートを20mMトリス(pH7.2)、1mM−EDTA、10%グリセロール、50mM−KClおよび6mM α−モノチオグリセロール含有バッファー200μlで洗浄する。これら受容体被覆プレートにてアッセイを設定するために、96穴プレートの各ウエルに同じバッファー178μlを加える。次いで、10nMのH−エストラジオール溶液をプレートの各ウエルに加える。
【0152】
0.01nMないし1000nMの濃度範囲で試験化合物を評価する。試験化合物の原溶液は100%DMSO中、本アッセイにて試験しようとする最終濃度の100倍とすべきである。96穴プレートの試験ウエルのDMSO量は1%を超えないようにすべきである。アッセイプレートへの最終添加は100%DMSO中で作製した試験化合物2μlずつとする。プレートを封印し、室温で3時間平衡化させる。96穴プレートをカウントするために備えたシンチレーションカウンターにてプレートを計測する。
【0153】
実施例1〜8の化合物は、エストロゲン受容体α−サブタイプに対しIC50=75〜>10000nmの範囲で結合親和性を示し、またエストロゲン受容体β−サブタイプに対しては、IC50=5〜250nmの範囲で結合親和性を示す。
【0154】
医薬組成物
本発明の具体的な態様として、実施例5の化合物25mgを十分に微細粉末化した乳糖で製剤化し、総量580〜590mgとしてサイズ0のハードゼラチンカプセルに充填する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
は、BおよびDが二重結合である場合、水素、ハロ、CHOH、C(1−3)アルキル、C(2−5)アルケニルもしくはC(2−5)アルキニルであり、また、AおよびCが二重結合である場合、CHであり;
は、水素、C(1−5)アルキル、C(2−5)アルケニルまたはC(2−5)アルキニルであり;
は、水素、ハロ、ヒドロキシル、C(1−3)アルキル、C(2−5)アルケニルまたはC(2−5)アルキニルであり;
ただし、Rが水素またはメチルであり、かつRが水素またはヒドロキシルである場合、Rは、水素、メチル、クロロまたはブロモとなることはない]
で示される化合物またはその製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項2】
式:
【化2】

[式中、
は、水素、クロロ、フルオロ、CHOHまたはメチルであり;
は、水素、メチル、ビニルまたはエチニルであり;
は、水素、フルオロまたはメチルであり;
ただし、Rが水素またはメチルであり、かつRが水素である場合、Rは、水素、メチル、クロロまたはブロモとなることはない]
で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、水素、フルオロ、CHOHまたはメチルであり;
は、水素またはエチニルであり;
は、水素またはメチルであり;
ただし、Rが水素であり、かつRが水素である場合、Rは、水素、メチル、クロロまたはブロモとなることはない、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式:
【化3】

[式中、
は、水素、C(1−5)アルキル、C(2−5)アルケニルまたはC(2−5)アルキニルであり;
は、水素、ハロ、ヒドロキシル、C(1−3)アルキル、C(2−5)アルケニルまたはC(2−5)アルキニルである]
で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が水素、メチル、ビニルまたはエチニルであり;Rが水素、フルオロまたはメチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が水素またはエチニルであり;Rが水素またはメチルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
3−メチリデン−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン;3−メチリデン−17β−ヒドロキシ−19−メチル−アンドロスト−4−エン;またはその製薬上許容される塩もしくは立体異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物、および有機ビスホスホネート;カテプシンK阻害剤;エストロゲン;エストロゲン受容体調節剤;アンドロゲン受容体調節剤;破骨細胞プロトンATPase阻害剤;HMG−CoA還元酵素阻害剤;インテグリン受容体拮抗剤;造骨細胞同化剤;カルシトニン;ビタミンD;合成ビタミンD類似体;選択的セロトニン再吸収阻害剤;アロマターゼ阻害剤;またはその製薬上許容される塩もしくは混合物からなる群より選択される他の薬剤を含有してなる医薬組成物。
【請求項9】
骨喪失、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、パジェット病、歯周病、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、顔面紅潮、心臓血管系疾患、認識機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、うつ病、閉経期時うつ状態、出産後うつ状態、月経前症候群、躁うつ病、不安、痴呆、強迫強制挙動、注意力欠損障害、睡眠障害、過敏性、衝動性、怒り管理、多発性硬化症とパーキンソン病、炎症、炎症性腸疾患、性機能不全、高血圧、網膜変性またはエストロゲン依存性癌の治療に有用な医薬の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項10】
骨喪失、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、パジェット病、歯周病、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、顔面紅潮、心臓血管系疾患、認識機能障害、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安、うつ病、閉経期時うつ状態、出産後うつ状態、月経前症候群、躁うつ病、不安、痴呆、強迫強制挙動、注意力欠損障害、睡眠障害、過敏性、衝動性、怒り管理、多発性硬化症とパーキンソン病、炎症、炎症性腸疾患、性機能不全、高血圧、網膜変性またはエストロゲン依存性癌の治療に有用な医薬の製造のための請求項8に記載の組成物の使用。


【公表番号】特表2008−505079(P2008−505079A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519309(P2007−519309)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/022564
【国際公開番号】WO2006/012333
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】