説明

エストロゲン様薬剤としての(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム誘導体

本発明は、R、R、R、およびRが、本明細書に定義されているとおりである構造を有する式(I)、またはその医薬上許容される塩のエストロゲン受容体調節剤を提供する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、(ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム誘導体、エストロゲン様薬剤としてのそれらの使用、およびそれらの調製法に関する。
【0002】
(従来技術)
哺乳動物組織におけるエストロゲンの多面発現効果は十分に実証されており、エストロゲンは、多くの器官系に影響を及ぼすことが現在認識されている[非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9]。エストロゲンは、幾つかの方法で組織に作用を及ぼし得る。恐らく、最もよく特性化された作用機構は、遺伝子転写において変更をもたらすエストロゲン受容体との相互作用であろう。エストロゲン受容体は、リガンド活性化転写因子であり、核ホルモン受容体のスーパーファミリーに属する。このファミリーの他のメンバーとしては、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体、グルココルチコイド受容体および無機質コルチコイド受容体が挙げられる。リガンド結合の際に、これらの受容体は、二量化し、DNA上の特定配列(応答要素として知られている)に直接結合することにより、あるいは他の転写因子(AP1など)と相互作用することにより遺伝子転写を活性化でき、次いで特定のDNA配列に直接結合する(非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12)。「共調節性」蛋白質のクラスは、リガンド結合受容体とも相互作用でき、さらに、その転写活性を調節できる[非特許文献13]。また、エストロゲン受容体は、リガンド依存様式および独立様式の双方においてNFΚB−媒介転写を抑制できることも示されている[非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16]。
【0003】
エストロゲン受容体はまた、リン酸化によって活性化できる。このリン酸化は、EGFなどの成長因子によって媒介され、リガンド不在下で遺伝子転写を変化させる[非特許文献10、非特許文献11]。
【0004】
エストロゲンが、細胞に影響を及ぼすことができる特性化の不十分な手段は、いわゆる膜受容体を介するものである。このような受容体の存在については議論の余地があるが、エストロゲンが、細胞からの極めて迅速な非ゲノム応答を誘発し得ることが十分に文書化されている。これらの作用を伝達する原因となる分子実体は、明確に単離されてはいないが、エストロゲン受容体の核形態に少なくとも関連していることを示唆する証拠がある[非特許文献17、非特許文献18]。
【0005】
今日まで2種のエストロゲン受容体が発見されている。第1のエストロゲン受容体は、約15年前にクローン化され、現在、ERαと称される[非特許文献19]。第2のエストロゲン受容体では、比較的最近見つかり、ERβと呼ばれる[非特許文献20]。ERβに関する初期の研究は、種々のリガンドに対するその親和性を明らかにすることに焦点が当てられ、実際、ERαとの幾つかの相違点が見られた。ERβの組織分布は、げっ歯類において十分にマップ化されているが、それはERαと一致しない。マウスおよびラットの子宮などの組織は、主としてERαを発現するが、一方、マウスおよびラットの肺では、ERβを主として発現する[非特許文献21、非特許文献22]。同じ器官内であっても、ERαおよびERβの分布を区画化し得る。例えば、マウスの卵巣において、ERβは、顆粒膜細胞内での発現が高く、ERαは、包膜細胞および間質細胞に限定される[非特許文献23、非特許文献24]。しかしながら、該受容体は共発現される例があり、インビトロ研究において、ERαとERβとは、ヘテロ二量体を形成できるという証拠がある[非特許文献25]。
【0006】
最も効力のある内因性エストロゲンは、17β−エストラジオールである。17β−エストラジオールの活性を模擬するか、または遮断する多数の化合物が記載されている。17β−エストラジオールとほぼ同じ生物学的作用を持つ化合物は、「エストロゲン受容体アゴニスト」と称される。それと組み合わされて投与された場合、17β−エストラジオールの作用を遮断するものは、「エストロゲン受容体アンタゴニスト」と称される。現実には、エストロゲン受容体アゴニスト活性とエストロゲン受容体アンタゴニスト活性との間に連続領域があり、幾つかの化合物は、幾つかの組織においてはエストロゲン受容体アゴニストとして、しかし他の組織においてはエストロゲン受容体アンタゴニストとして作用する。混合活性を有するこれらの化合物は、選択的エストロゲン受容体調節剤(SERMS)と呼ばれ、治療的に有用な薬剤(例えば、EVISTA)である[非特許文献26、非特許文献27]。同じ化合物が、なぜ細胞特異的作用を有し得るかという正確な理由は明らかにされていないが、受容体高次構造および/または共調節性蛋白質の環境における相違が示唆されている。
【0007】
エストロゲン受容体は、リガンドと結合する際に種々の高次構造を採ることが、以前から知られている。しかしながら、これらの変化の影響および微細な点は、ごく最近明らかになった。ERαとERβの三次元構造は、種々のリガンドとの共結晶化により解明されており、受容体共調節性蛋白質の相互作用に必要とされる蛋白質配列を立体的に障害するエストロゲン受容体アンタゴニストの存在下、ヘリックス12の還納を明確に示している[非特許文献28、非特許文献29]。さらに、ファージディスプレー技法が、種々のリガンド存在下、エストロゲン受容体と相互作用するペプチド類を同定するために用いられてきた[非特許文献30]。例えば、完全エストロゲン受容体アゴニスト17β−エストラジオールに結合されているERαと、ジエチルスチルベステロールとの間で識別するペプチドを同定した。種々のペプチドが、ERαに結合しているクロミフェンとERβとの間を識別することが示された。これらのデータは、各リガンドが、互いに異なる生物活性を有する可能性が高いユニークかつ意外な高次構造で受容体を配置することを示している。
【0008】
上記のとおり、エストロゲンは、生物学的過程全般に影響を及ぼす。さらに、性別による相違が記載されているが(例えば、疾患頻度、誘発応答など)、その説明は、男性と女性との間でのエストロゲン濃度の相違に関係している可能性がある。
【特許文献1】米国特許第4,418,068号明細書
【特許文献2】米国特許第5,998,402号明細書
【非特許文献1】Mendelsohn and Karas、New England Journal of Medicine 340:1801−1811頁(1999)
【非特許文献2】Eppersonら、Psychosomatic Medicine61:676−697頁(1999)
【非特許文献3】Crandall、Journal of Womens Health & Gender Based Medicine8:1155−1166頁(1999)
【非特許文献4】Monk and Brodaty、Dementia & Geriatric Congnitive Disorders 11:1−10頁(2000)
【非特許文献5】Hurn and Macrae、Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism20:631−652頁(2000)
【非特許文献6】Cavin、Maturitas34:195−210頁(2000)
【非特許文献7】Finkingら、Zeitschrift fur Kardiologie89:442−453頁(2000)
【非特許文献8】Brincat、Maturitas35:107−117頁(2000)
【非特許文献9】Al−Azzawi、Postgraduate Medical Journal77:292−304頁(2001)
【非特許文献10】Moggs and Orphanides、EMBO Reports2:775−781頁(2001)
【非特許文献11】Hallら、Journal of Biological Chemistry276:36869−36872頁(2001)
【非特許文献12】McDonnell、Principles Of Molecular Regulation.351−361頁(2000)
【非特許文献13】McKennaら、Endocrine Reviews20:321−344頁(1999)
【非特許文献14】Quaedackersら、Endocrinology142:1156−1166頁(2001)
【非特許文献15】Bhatら、Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology67:233−240頁(1998)
【非特許文献16】Pelzerら、Biochemical & Biophysical Research Communications 286:1153−7頁(2001)
【非特許文献17】Levin、Journal of Applied Physiology91:1860−1867頁(2001)
【非特許文献18】Levin、Trends in Endocrinology & Metabolism10:374−377頁(1999)
【非特許文献19】Greenら、Nature320:134−9頁(1986)
【非特許文献20】Kuiperら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America93:5925−5930頁(1996)
【非特許文献21】Couseら、Endocrinology138:4613−4621頁(1997)
【非特許文献22】Kuiperら、Endocrinology138:863−870頁(1997)
【非特許文献23】Sar and Welsch、Endocrinology140:963−971頁(1999)
【非特許文献24】Fitzpatrickら、Endocrinology140:2581−2591頁(1999)
【非特許文献25】Cowleyら、Journal of Biological Chemistry272:19858−19862頁(1997)
【非特許文献26】McDonnell、Journal of the Society for Gynecologic Investigation7:S10−S15頁(2000)
【非特許文献27】Goldsteinら、Human Reproduction Update6:212−224頁(2000)
【非特許文献28】Pikeら、Embo18:4608−4618頁(1999)
【非特許文献29】Shiauら、Cell95:927−937頁(1998)
【非特許文献30】Paigeら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America96:3999−4004頁(1999)
【0009】
(発明の開示)
本発明は、(ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム誘導体に関する。ある態様において、本発明は、式I:
【化1】

(式中:
は、水素、置換されていてもよいアルキル、ハロゲン、CN、または置換されていてもよいアルコキシであり;
は、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいフェニルであるか;または
とRは一緒になって、5〜7員環を形成していてもよく、
とRは、それぞれ独立して、H、OH、ハロゲン、CN、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいアルコキシである)で表される化合物であるか;あるいはその医薬上許容される塩またはプロドラッグである。
【0010】
ある実施形態において、本発明は、化合物1および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物に関する。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、炎症性腸疾患などの疾患の治療または予防におけるこのような化合物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、炎症性腸疾患(クローン病および大腸炎など)などの疾患の治療および/または予防に有用である式I
【化2】

のエストロゲン様化合物を提供するものであって、
式中、Rは、水素、置換されていてもよいアルキル、ハロゲン、CN、または置換されていてもよいアルコキシでり;Rは、水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいフェニルであるか;またはRとRは一緒になって、5〜7員環を形成していてもよく、RとRは、それぞれ独立して、H、OH、ハロゲン、CN、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいアルコキシである化合物であるか;あるいはその医薬上許容される塩またはプロドラッグである。
【0013】
化合物1のある実施形態において、Rは、アルキル、好ましくは低級アルキル、例えばメチルである。他の実施形態において、Rは、水素、またはアルキル、好ましくは低級アルキル、例えばメチルである。さらなる実施形態は、RとRが一緒になって、6員環を形成する組成物を包含する。幾つかの実施形態において、Rは、H、ハロゲンまたはCNである。幾つかの実施形態において、Rは、フルオロである。幾つかの実施形態において、Rは、オルトフルオロである。
【0014】
医薬上許容される塩類は、本発明の化合物が塩基性部分を含有する場合、有機酸類および無機酸類、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、および同様に公知の許容できる酸から形成できる。塩類はまた、本発明の化合物が酸性部分を含有する場合、アルカリ金属塩類(例えば、ナトリウム、リチウム、またはカリウム)、アルカリ土類金属塩類、アンモニウム塩類、各アルキル基において1〜6個の炭素原子を含有するアルキルアンモニウム塩類または1〜6個の炭素原子を含有するジアルキルアンモニウム塩類、および各アルキル基において1〜6個の炭素原子を含有するトリアルキルアンモニウム塩類などの有機塩類および無機塩基類から形成できる。
【0015】
本明細書に用いられる用語の「アルキル」とは、単独で用いられようとまたは他の基の一部として用いられようとも、置換または非置換脂肪族炭化水素鎖を称し、限定はしないが、他に明白に特定しない限り、1個から12個の炭素原子、好ましくは1個から6個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖が含まれる。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルが、用語の「アルキル」に包含される。特に、「アルキル」の定義内に含まれるものは、置換されていてもよい脂肪族炭化水素鎖である。用語の「低級アルキル」とは、1個から6個の炭素原子、幾つかの実施形態においては1個から3個の炭素原子を有するアルキル基を称す。本明細書に用いられる用語の「アルコキシ」とは、Rが、好ましくは1個から6個の炭素原子のアルキル基であるR−O−基を称す。
【0016】
本明細書の定義に用いられる炭素数は、炭素主鎖および炭素分枝鎖を言うが、アルコキシ置換基などの置換基の炭素原子を含まない。
【0017】
本明細書に用いられる用語の「フェニル」とは、単独で用いられようとまたは他の基の一部として用いられようとも、置換または非置換フェニル基を称す。
【0018】
置換されていてもよいアルキル、アルケニル、およびフェニルは、1つ以上の置換基により置換されていてもよい。好適な任意の置換基は、ニトロ、シアノ、−N(R11)(R12)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオ、−S(O)−N(R11)(R12)、−C(=O)−N(R11)(R12)、(R11)(R12)N−アルキル、(R11)(R12)N−アルコキシアルキル、(R11)(R12)N−アルキルアリールオキシアルキル、−S(O)−アリール(s=0〜2)、または−S(O)−ヘテロアリール(s=0〜2)から独立して選択できる。本発明のある実施形態において、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはフェニルにとって好ましい置換基としては、ニトロ、シアノ、−N(R11)(R12)、ハロ、ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アルコキシアルキル、およびアルコキシカルボニルが挙げられる。本発明のある実施形態において、アリールおよびヘテロアリールにとって好ましい置換基としては、−N(R11)(R12)、アルキル、ハロ、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アリールアルキル、およびアルキルアリールが挙げられる。R11およびR12は、各々水素およびアルキルから独立して選択される。
【0019】
本明細書に用いられる用語の「アルケニル」とは、単独で用いられようとまたは他の基の一部として用いられようとも、置換または非置換脂肪族炭化水素鎖を称し、限定はしないが、2個から8個の炭素原子を有し、少なくとも1つの二重結合を含有する直鎖および分枝鎖が含まれる。アルケニル部分は、1つまたは2つの二重結合を有することが好ましい。このようなアルケニル部分は、EまたはZ構造で存在でき、本発明の化合物は、双方の構造を含む。特に、「アルケニル」の定義の範囲内に含まれるものは、置換されていてもよい脂肪族炭化水素鎖である。アルケニルに結合されるO、SまたはN−Rなどのヘテロ原子は、二重結合に結合している炭素原子に結合していてはならない。
【0020】
本明細書に用いられる場合の用語のアルキニルは、1つから3つの三重結合を含有し得る2個から7個の炭素原子を有する脂肪族の線状または分枝状炭化水素鎖を称す。本明細書に用いられる場合の用語のシクロアルキルは、3個から8個の炭素原子を有するモノ炭素環式環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを称す。本明細書に単独または基の一部として用いられる場合の用語のアリールとは、フェニルまたはナフチルなどの芳香族5員環から13員環のモノまたはジ炭素環式環を称す。アリール部分を含有する基は、環内に5個から7個の炭素原子を有する単環式であることが好ましい。本明細書に単独または基の一部として用いられる場合の用語のヘテロアリールとは、独立して窒素、酸素または硫黄であり得る1個から5個のヘテロ原子を有する単環式または二環式環を含有する芳香族5員から13員炭素を称す。ヘテロアリール部分を含有する基は、環員の1つまたは2つが、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される環において5員から7員を有する単環式であることが好ましい。好適なアリール基としては、フラニル、チエニル、ピリジニル、インドリルおよびキノリルが挙げられる。
【0021】
ハロゲン置換アルキル類およびアルケニル類に関する例としては、1−ブロモビニル、1−フルオロビニル、1,2−ジフルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル、1,2,2−トリフルオロビニル、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジフルオロエタン、1−フルオロ−2−ブロモエタン、CFCF、CFCFCFなどが挙げられる。
【0022】
用語のハロゲンとしては、臭素、塩素、フッ素、およびヨウ素、好ましくは臭素、塩素またはフッ素が挙げられる。
【0023】
本発明により包含される化合物または物質を提供することに関して、本発明により用いられる用語の「提供すること」とは、このような化合物または物質を直接投与すること、あるいは体内で化合物または物質の有効量を形成するプロドラッグ、誘導体、または類縁体を投与することを意味する。
【0024】
本発明の化合物の調製に用いられる試薬は、商業的に入手可能か、または文献に記載された標準的方法により調製できる。
【0025】
本発明の幾つかの代表例の調製は、以下のスキーム1〜3に記載されている。
【化3】

【化4】

【化5】

【0026】
本発明の化合物は、エストロゲン欠乏または過剰により少なくとも部分的に媒介される病態、障害、または病態の治療または阻害に有用な、またはエストロゲン様薬剤の使用により治療または阻害し得るエストロゲン受容体調節剤である。本発明の化合物は、産生される内因性エストロゲン濃度が大きく減少している閉経期前後、閉経期、または閉経期後の患者に特に有用である。閉経は、一般に最終自然月経期として定義され、卵巣機能の停止を特徴とし、血流中のエストロゲン循環の相当な減少をもたらす。本明細書に用いられる閉経にはまた、外科的、化学的、または卵巣機能の早期減少または停止をもたらす病態により引き起こされ得るエストロゲン産生の減少状態が含まれる。
【0027】
したがって、本発明の化合物は、骨粗しょう症の治療または阻害、および個体の新たな骨組織の形成とより古い組織の再吸収における不均衡から生じ得、骨の正味損失をもたらす骨鉱物質消失の阻害に有用である。このような骨欠乏は、個体の範囲で、特に閉経後の女性、両側卵巣切除術を受けた女性、拡張コルチコステロイド療法を受けているか、または受けたことのある女性、生殖器発育不全を経験している女性、クッシング症候群を患っている女性に生じる。歯および口骨などの骨に関する特別の必要性で、骨折、欠陥骨構造を有する個体、骨関連手術および/または補てつ材料の移植を受けた個体において、これらの化合物を用いた交換もまた扱うことができる。上記のこれらの問題に加えて、これらの化合物は、骨関節炎、低カルシウム血症、高カルシウム血症、ページェット病、骨軟化症、骨石灰脱失症、多発性骨髄腫または骨組織に対して有害作用を有する他の形態癌の治療または阻害に用いることができる。
【0028】
また、本発明の化合物は、前立腺肥大症、子宮平滑筋腫、乳癌、子宮内膜症、子宮体癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、良性乳房疾患、腺筋症、卵巣癌、黒色腫、前立腺癌、大腸癌、CNS癌、膠腫またはアスチオブラストミア(astioblastomia)など、良性または悪性異常組織増殖の治療または阻害に有用である。
【0029】
本発明の化合物は、心保護性があり、コレステロール濃度、トリグリセリド濃度、Lp(a)濃度、またはLDL濃度を低下させ;高コレステロール血症;高脂血症;循環器病;アテローム硬化症;末梢血管疾患;再狭窄、および血管攣縮を阻害または治療し;免疫媒介血管損傷を引き起こす細胞事象からの血管壁損傷を阻害するのに有用である。これらの心血管保護特性は、骨粗しょう症を阻害するために閉経後の患者をエストロゲンにより治療する際、およびエストロゲン療法が適用される際の男性において極めて重要である。
【0030】
また、本発明の化合物は、抗酸化剤であり、したがってフリーラジカル起因性病態の治療または阻害に有用である。抗酸化療法が保証されることが示される特定の状態は、癌、中枢神経系障害、アルツハイマー病、骨疾患、老化、炎症性障害、末梢血管疾患、リウマチ様関節炎、自己免疫疾患、呼吸困難、肺気腫、再灌流傷害の防止、ウィルス肝炎、慢性活動性肝炎、結核、乾癬、全身性紅斑性狼瘡、成人呼吸困難症候群、中枢神経系外傷および心臓発作である。
【0031】
また、本発明の化合物は、認知力改善の提供、および老人性認知症、アルツハイマー病、認知力低下、神経変性障害の治療または阻害に有用であり、神経保護または認知力改善を提供する。
【0032】
また、本発明の化合物は、炎症性腸疾患、潰瘍性直腸炎、クローン病、および大腸炎;のぼせを含む血管運動症状などの閉経期関連病態、膣または外陰部萎縮、萎縮性膣炎、膣乾燥、かゆみ、性交困難、排尿困難、頻尿、尿失禁、尿路感染、のぼせを含む血管運動症状、筋肉痛、関節痛、不眠症、過敏性など;男性型禿頭症;皮膚萎縮症;座瘡;II型糖尿病;機能不全子宮出血;および不妊症の治療または阻害に有用である。
【0033】
本発明の化合物は、白血病、子宮内膜剥離、慢性腎疾患または肝疾患または凝血疾患または凝血障害など、無月経が有利である病態に有用である。
【0034】
本発明の化合物は、特にプロゲスチンと組み合わせた場合、避妊薬として使用できる。
【0035】
特定の病態、または障害の治療または阻害のために投与される場合、有効投与量は、利用される具体的な化合物、投与様式、病態、および治療を受ける病態の重症度、ならびに治療を受ける個体に関連する種々の身体的要因に依って変わり得ることが解される。本発明の化合物の有効な投与は、約0.1mg/日から約1,000mg/日の経口投与で与えることができる。投与は、単回用量または2回以上の分割用量で、好ましくは、約10mg/日から約600mg/日、より好ましくは、約50mg/日から約600mg/日である。毎日の投与計画は、投与経路により変わることが予想される。
【0036】
このような用量は、経口、インプラント経由、非経口(静脈内、腹腔内および皮下注射)、直腸、鼻腔内、膣内、および経皮など、本明細書の活性化合物を受容個体の血流に向けるのに有用ないずれの様式で投与してもよい。
【0037】
本発明の活性化合物を含有する経口製剤は、錠剤、カプセル剤、舌下錠形態、トローチ剤、口内錠および経口液剤、懸濁剤または液剤など、従来から使用される経口形態を含んでなり得る。カプセル剤は、活性化合物(1種または複数種)と、医薬上許容される澱粉(例えば、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉またはタピオカ澱粉)、糖類、人工甘味剤、結晶および微結晶セルロースなどの粉末セルロース、小麦粉、ゼラチン、ゴムなどの不活性充填剤および/または希釈剤との混合物を含有し得る。有用な錠剤製剤は、従来の圧縮法、湿式顆粒化法または乾式顆粒化法により作製でき、また限定はしないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アラビアゴム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、ケイ酸複合体、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、ショ糖、ソルビトール、リン酸ジカルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥澱粉および粉末糖など、医薬上許容される希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面修飾剤(界面活性剤を含む)、懸濁化剤または安定化剤を利用できる。好ましい表面修飾剤としては、非イオン性およびアニオン性表面修飾剤が挙げられる。表面修飾剤の代表例としては、限定はしないが、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル類、二酸化コロイドールシリコン、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、およびトリエタノールアミンが挙げられる。本明細書の経口用製剤は、標準的遅延製剤または時間放出製剤を利用して活性化合物(1種または複数種)の吸収を変化させることができる。また、該経口用製剤は、必要な場合には適切な溶解剤または乳化剤を含有して、水中またはフルーツジュース中の有効成分を投与することから構成できる。
【0038】
幾つかの場合において、エアロゾルの形態で気道に直接化合物を投与することが望ましい場合もある。
【0039】
また、本発明の化合物は、非経口的にまたは腹腔内に投与できる。遊離塩基または医薬上許容される塩としてのこれら活性化合物の液剤または懸濁剤は、ヒドロキシ−プロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合された水中で調製できる。また、分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール類およびそれらの油中混液中で調製できる。通常の保存および使用条件下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防ぐために保存剤を含有する。
【0040】
注射使用に好適な製薬形態としては、滅菌水溶液または分散液および滅菌注射液または分散液の即時調製用の滅菌粉剤が挙げられる。全ての場合、該形態は、無菌でなければならず、簡便な注入性が存在する範囲で液体でなければならない。それは、製造および保存条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混液、および植物油を含有する溶媒または分散液媒体であり得る。
【0041】
本開示の目的のため、経皮投与は、体表面ならびに上皮および粘液組織などの身体通過の内層を越える全ての投与を含むことと解される。このような投与は、ローション、クリーム、泡状状物、パッチ、懸濁液、溶液、および座剤(直腸および膣)中、本化合物または医薬上許容されるそれらの塩類を用いて実施できる。
【0042】
経皮投与は、活性化合物、および活性化合物に対して不活性であり、皮膚に対して非毒性であり、全身吸収のため皮膚を介して血流中に薬剤の送達を可能にする担体を含有する経皮パッチの使用により達成できる。該担体は、クリームおよび軟膏、ペースト、ゲル、および閉鎖型装置などの任意の数の形態をとり得る。クリームおよび軟膏は、水中油タイプまたは油中水タイプの粘稠液または半固体乳剤であり得る。有効成分を含有する鉱油または親水性鉱油中に分散させた吸収性粉末からなるペーストもまた好適であり得る。担体を有して、または担体無しで有効成分を含有する貯蔵器を覆う半透膜、または有効成分を含有するマトリクスなどの血流中に有効成分を放出するための種々の閉鎖型装置が使用できる。他の閉鎖型装置は、文献に公知である。
【0043】
座薬製剤は、座薬の融点を変えるためのワックス類添加の有無でのカカオ脂、、およびグリセリンなど、従来の材料から作製できる。種々の分子量のポリエチレングリコール類などの水溶性座薬用基剤もまた使用できる。
【0044】
実施例1a
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール
2−メチルインドール(3.28g、25ミリモル)、4−ベンジルオキシヨードベンゼン(7.76g、25ミリモル)、炭酸カリウム(2.65g、25ミリモル)、およびN−メチルピロリジノン(250mL)の混合物に、臭化銅(I)(0.5g、3.5ミリモル)を加えた。この撹拌溶液を180℃に加熱し、18時間維持した。反応混合物を冷却し、氷に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水とブラインで洗浄後、MgSOで乾燥し、溶媒を留去すると暗色液体を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(2%酢酸エチル−ヘキサン類)により精製して、標題化合物を白色固体(30%)として得た:mp95〜96℃;H NMR(DMSO−d):δ2.24(3H,s)、5.19(2H,s)、6.38(1H,s)、6.93〜7.04(3H,m)、7.20(2H,d,J=1.9Hz)、7.23(2H,d,J=3.1Hz)、7.32〜7.53(8H,m);MS m/z(M+H) 314:
2219NO 0.1HOの元素分析:
理論値:C,83.83;H,6.14;N,4.44。
実測値:C,83.84;H,6.18;N,4.29。
【0045】
実施例1b
5−フルオロ−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール
5−フルオロ−2−メチルインドール(5.0g、33.5ミリモル)および4−ベンジルオキシヨードベンゼン(10.40g、33.5ミリモル)を、上記実施例1aに用いられた手法に従って反応させると白色固体(23%)が得られた:mp94〜95℃;H NMR(DMSO−d):δ2.23(3H,s)、5.19(2H,s)、6.39(1H,s)H,、6.84〜6.94(2H,m)、7.19〜7.29(3H,m)、7.34〜7.44(5H,m)、7.51(2H,d,J=7.1Hz);MS m/z(M+H) 332。
2218NOFの元素分析:
理論値:C,79.74;H,5.47;N,4.23。
実測値:C,79.54;H,5.54;N,4.21。
【0046】
実施例1c
5−クロロ−1−(4−メトキシメチルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール
5−クロロ−2−メチルインドール(4.14g、25ミリモル)および4−メトキシメチルオキシヨードベンゼン(6.20g、25ミリモル)を、上記実施例1aに用いられた手法に従って反応させると無色液体(19%)が得られた:H NMR(DMSO−d):δ2.25(3H,s)、3.44(2H,s)、5.28(2H,s)、6.40(1H,s)、6.96(1H,d,J=8.8Hz)、7.02(1H,dd,J=2.0Hz,J=8.8Hz)、7.22(2H,d,J=8.8Hz)、7.36(2H,d,J=8.8Hz)、7.55(1H,d,J=2.0Hz);MS m/z(M+H) 302/304(1Cl)。
1716ClNOの元素分析:
理論値:C,67.66;H,5.34;N,4.64。
実測値:C,67.49;H,5.17;N,4.51。
【0047】
実施例1d
5−ブロモ−1−(4−メトキシメチルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール
5−ブロモ−2−メチルインドール(5.59g、23.8ミリモル)および4−メトキシメチルオキシヨードベンゼン(7.47g、23.8ミリモル)を、上記実施例1aに用いられた手法に従って反応させると無色液体(8.4%)が得られた:H NMR(DMSO−d):δ2.23(3H,s)、3.43(2H,s)、5.26(2H,s)、6.39(1H,s)、6.94(1H,d,J=8.7Hz)、7.01(1H,dd,J=2.2Hz,J=8.6Hz)、7.20(2H,d,J=8.6Hz)、7.34(2H,d,J=8.6Hz)、7.53(1H,d,J=2.2Hz);MS m/z(M+H) 346/348(1Br)。
1716BrNOの元素分析:
理論値:C,58.98;H,4.66;N,4.05。
実測値:C,58.72;H,4.53;N,4.17。
【0048】
実施例1e
(4E)−9−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,2,3,9−テトラヒドロ−4H−カルバゾール
カルバゾール(8.70g、39.7ミリモル)および4−ベンジルオキシヨードベンゼン(12.33g、39.7ミリモル)を、上記実施例1aに用いられた手法に従って反応させると黄褐色固体(20%)が得られた:mp128〜129℃;H NMR(DMSO−d):δ1.86(4H,br s)、2.55(2H,brs)、2.72(2H,br s)、5.16(2H,s)、7.00〜7.03(2H,s)、7.05〜7.08(1H,m)、7.13〜7.16(2H,m)、7.27〜7.30(1H,m)、7.33〜7.36(1H,m)、7.40〜7.43(2H,m)、7.49(2H,d,J=7.2Hz);MS m/z(M+H) 354。
2523NOの元素分析:
理論値:C,84.95;H,6.56;N,3.96。
実測値:C,84.74;H,6.76;N,3.91。
【0049】
実施例1f
1−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロフェニル)−2−メチル−1H−インドール
2−メチルインドール(6.23g、47.5ミリモル)、4−ベンジルオキシ−3−フルオロブロモベンゼン(14.066g、50ミリモル)、炭酸カリウム(5.83g、55ミリモル)、およびN−メチルピロリジノン(500mL)の混合物に、臭化銅(I)(1.0g、7ミリモル)を加えた。この撹拌溶液を180℃に加熱し、18時間維持した。反応混合物を冷却し、氷に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水とブラインで洗浄後、MgSOで乾燥し、溶媒を留去すると、暗色液体が得られ、これをシリカゲルクロマトグラフィ(2%酢酸エチル−ヘキサン類)により精製すると、標題化合物アレーが白色固体(3.45g、22%収率)として得られた:mp70〜71℃;H NMR(DMSO−d):δ2.26(3H,s)、5.28(2H,s)、6.39(1H,s)、6.99〜7.05(3H,m)、7.21〜7.24(2H,m)、7.36〜7.54(7H,m);MS m/z(M+H) 332:
2218NOF 0.1HOの元素分析:
理論値:C,79.31;H,5.51;N,4.20。
実測値:C,79.29;H,5.39;N,4.16。
【0050】
実施例2a
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド
オキシ塩化リン(3mL)を無水ジメチルホルムアミド(6mL)に加え、この混合物を室温で15分間撹拌した。ジメチルホルムアミド(10mL)中、1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール(0.94g、3ミリモル)の混合物を加え、この混合物を80℃に18時間加熱した。反応混合物を氷に注ぎ、2N NaOHの添加によりpHを7に調整した。混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を水とブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。蒸発により生成物を暗色固体として得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%酢酸エチル−ヘキサン類)により精製すると、白色固体(63%)が得られた:mp150〜152℃;H NMR(DMSO−d):δ2.54(3H,s)、5.22(2H,s)、6.99(1H,d,J=7.9Hz)、7.17〜7.42(4H,m)、7.45〜7.54(7H,m)、8.17(1H,d,J=7.5Hz)、10.19(1H,s);MS m/z(M+H) 342。
2319NOの元素分析:
理論値:C,80.92;H,5.61;N,4.10。
実測値:C,80.76;H,5.70;N,3.93。
【0051】
実施例2b
5−フルオロ−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド
オキシ塩化リン(5mL)を無水ジメチルホルムアミド(10mL)に加え、この混合物を室温で15分間撹拌してから、5−フルオロ−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール(1.63g、4.9ミリモル)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液を加え、実施例2aに用いられた手法に従って反応させると黄褐色固体(85%)が得られた:mp219〜220℃;H NMR(DMSO−d):δ2.53(3H,s)、5.22(2H,s)、6.99〜7.06(2H,m)、7.27(2H,d,J=8.9Hz)、7.37〜7.53(7H,m)、7.86(1H,dd,J=2.5Hz,J=9.5Hz);MS m/z(M+H) 360。
2318FNO・0.5HO元素分析:
理論値:C,74.99;H,5.20;N,3.80。
実測値:C,74.91;H,4.96;N,3.59。
【0052】
実施例2c
5−クロロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド
オキシ塩化リン(5mL)を無水ジメチルホルムアミド(10mL)に加え、室温で15分間撹拌したら、5−クロロ−1−(4−メトキシメチルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール(1.22g、3.5ミリモル)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液を加えた。この溶液を実施例2aに用いられた手法に従って反応させると、黄褐色固体(85%)が得られた:mp>240℃;H NMR(DMSO−d):δ2.52(3H,s)、6.97〜7.02(3H,m)、7.22(1H,dd,J=2.3Hz,J=8.7Hz)、7.30(2H,d,J=8.6Hz)、8.40(1H,d,J=2.1Hz)、10.02(1H,s)、10.16(1H,s);MS m/z(M+H) 286/288(1Cl)。
1612ClNO・0.3HO元素分析:
理論値:C,66.01;H,4.36;N,4.81。
実測値:C,65.85;H,4.10;N,4.74。
【0053】
実施例2d
5−ブロモ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド
オキシ塩化リン(2.5mL)を無水ジメチルホルムアミド(5mL)に加え、室温で15分間撹拌したら、5−ブロモ−1−(4−メトキシメチルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール(0.65g、1.9ミリモル)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液を加えた。この溶液を実施例2aに用いられた手法に従って反応させると、黄褐色固体(51%)が得られた:mp>250℃;H NMR(DMSO−d):δ2.50(3H,s)、6.95〜7.02(3H,m)、7.21(1H,dd,J=2.4Hz,J=8.8Hz)、7.28(2H,d,J=8.7Hz)、8.38(1H,d,J=2.2Hz)、9.98(1H,s)、10.14(1H,s);MS m/z(M+H) 318/320(1Br)。
1612BrNO・0.2HO元素分析:
理論値:C,55.99;H,3.88;N,4.35。
実測値:C,55.69;H,3.95;N,4.15。
【0054】
実施例2e
(4E)−9−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,2,3,9−テトラヒドロ−4H−カルバゾール−4−オン
(4E)−9−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,2,3,9−テトラヒドロ−4H−カルバゾール(1.55g、4.4ミリモル)のテトラヒドロフラン(30mL)および水(20mL)の撹拌溶液に、DDQ(1g、4.4ミリモル)を加えた。撹拌を30分間続けてから、粗製物をろ過し、水で洗浄した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(25%EtOAc−ヘキサン類)により精製すると、白色固体(57%)が得られた:mp219〜220℃;H NMR(CDCl):δ2.18〜2.25(2H,m)、2.62(2H,t,J=5.9Hz)、2.79(2H,t,J=6.1Hz)、5.16(2H,s)、7.11〜7.51(12H,m)、8.30(1H,d,J=7.9Hz);MS m/z(M+H) 368。
2521NO・0.5HOの元素分析:
理論値:C,79.76;H,5.86;N,3.72。
実測値:C,79.86;H,5.75;N,3.53。
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−H−インドール−3−カルバルデヒド
【0055】
実施例2f
1H−インドール−3−カルバルデヒド(3.63g、25ミリモル)および4−ベンジルオキシヨードベンゼン(7.76g、25ミリモル)を、上記実施例1aに用いられた手法に従って反応させると黄色固体(12%)が得られた:mp62〜64℃;H NMR(DMSO−d):δ5.22(2H,s)、7.26(2H,d,J=8.8Hz)、7.32〜7.52(7H,m)H,、7.61(2H,d,J=8.8Hz)、8.19〜8.22(1H,m)、8.54(1H,s)、10.02(1H,s);MS m/z(M+H) 328。
2217NO・0.1HOの元素分析:
理論値:C,80.27;H,5.27;N,4.25。
実測値:C,80.15;H,5.05;N,3.97。
【0056】
実施例2g
1−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド
オキシ塩化リン(3mL)を無水ジメチルホルムアミド(6mL)に加え、この混合物を室温で15分間撹拌した。ジメチルホルムアミド(10mL)中、1−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロフェニル)−2−メチル−1H−インドール(1.03g、3.1ミリモル)の混合物を加え、この混合物を80℃に加熱し、18時間維持した。反応混合物を氷に注ぎ、2N NaOHの添加によりpHを7に調整した。混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を水とブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発により生成物を暗色固体として得た。シリカゲルクロマトグラフィ(25%酢酸エチル−ヘキサン類)により精製すると、白色固体(0.84g、76%)が得られた:mp166〜168〜152℃;H NMR(DMSO−d):δ2.55(3H,s)、5.30(2H,s)、7.04(1H,d,J=6.9Hz)、7.19〜7.28(2H,m)、7.23〜7.52(7H,m)、7.44(2H,dd,J=6.0Hz,J=1.4Hz)、7.59(1H,dd,J=11.7Hz,J=2.5)、8.17(1H,dd,J=7.0Hz,J=1.0Hz)、10.20(1H,s)Hz;MS m/z(M+H) 360。
2318FNOの元素分析(0.1HO):
理論値:C,76.48;H,5.08;N,3.88。
実測値:C,76.39;H,4.81;N,3.69。
【0057】
実施例3a
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド(0.64g、1.9ミリモル)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.25g、3.6ミリモル)、メタノール(25mL)およびピリジン(1mL)の溶液を、30分間加熱還流した。混合物を冷却し、メタノールを蒸発により留去した。生成物を酢酸エチル(2×50mL)に抽出し、有機層を水とブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させ、生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(25%酢酸エチル−ヘキサン類)により精製すると、白色固体(53%)が得られた:mp171〜173℃;H NMR(DMSO−d):δ2.31(3H,s)、5.20(2H,s)、6.94〜7.01(1H,m)、7.10〜7.14(2H,m)、7.23(2H,d,J=8.9Hz)、7.37〜7.47(5H,m)、7.52(2H,d,J=7.4Hz)、8.01〜8.03(1H,m)、8.41(1H,s)、10.66(1H,s);MS m/z(M+H) 357。
2320・0.5HOの元素分析:
理論値:C,75.60;H,5.79;N,7.67。
実測値:C,75.12;H,5.53;N,7.34。
【0058】
実施例3b
5−フルオロ−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
5−フルオロ−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド(0.97g、2.7ミリモル)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.25g、3.6ミリモル)、メタノール(25mL)およびピリジン(1mL)の混合物を、実施例3aの手法に従って反応させると、白色固体(88%)が得られた:mp183〜185℃;H NMR(DMSO−d):δ2.30(3H,s)、5.20(2H,s)d,6.94〜6.97(2H,m)、7.23(2H,d,J=8.9Hz)、7.37〜7.46(5H,m)、7.52(2H,d,J=6.8Hz)、7.71(1H,d,J=10.1Hz)、8.41(1H,s)、10.72(1H,s);MS m/z(M+H) 375。
2319FNの元素分析:
理論値:C,73.78;H,5.11;N,7.48。
実測値:C,73.55;H,5.03;N,7.35。
【0059】
実施例3e
(4E)−9−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,2,3,9−テトラヒドロ−4H−カルバゾール−4−オンオキシム
(4E)−9−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,2,3,9−テトラヒドロ−4H−カルバゾール−4−オン(1.00g、2.7ミリモル)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.56g、8.1ミリモル)、メタノール(25mL)およびピリジン(1mL)の混合物を、実施例3aの手法に従って反応させると、白色固体(51%)が得られた:mp241〜243℃;H NMR(DMSO−d):δ1.83〜1.92(2H,m)、2.65(2H,t,J=5.9Hz)、2.72(2H,t,J=6.0Hz)、5.20(2H,s)、7.09〜7.14(3H,m)、7.22(2H,d,J=8.8Hz)、7.36〜7.46(5H,m)、7.51(2H,d,J=6.9Hz)、8.00〜8.02(1H,m)、10.46(1H,s);MS m/z(M−H) 379。
2524の元素分析:
理論値:C,78.51;H,5.80;N,7.32。
実測値:C,78.24;H,5.52;N,7.26。
【0060】
実施例3f
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−H−インドール−3−カルバルデヒド(0.50g、1.5ミリモル)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.25g、3.6ミリモル)、メタノール(25mL)およびピリジン(1mL)の混合物を、実施例3aの手法に従って反応させると、黄色固体(61%)が得られた:mp152〜154℃;H NMR(DMSO−d):δ5.20(2H,s)、7.19〜7.53(12H,m)、7.86(1H,s)、8.10(1H,d,J=7.5Hz)、10.75(1H,s);MS m/z(M+H) 383。
2218の元素分析:
理論値:C,77.17;H,5.30;N,8.18。
実測値:C,77.49;H,5.44;N,7.85。
【0061】
実施例3g
1−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
1−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド(0.81g、2.3ミリモル)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.25g、3.6ミリモル)およびメタノール(25mL)の撹拌溶液に、ピリジン(1mL)を加えた。反応液を加熱還流し、30分間保持した。混合物を冷却し、メタノールを蒸発により留去し、残渣を酢酸エチル/水に溶かした。生成物を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、酢酸エチル層を水とブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させ、粗製物をシリカゲルクロマトグラフィ(25%酢酸エチル−ヘキサン類)により精製すると、白色固体(0.7g、83%)が得られた:mp167〜168℃;H NMR(DMSO−d):δ2.32(3H,s)、5.29(2H,s)、6.99〜7.01(1H,m)、7.10〜7.17(2H,m)、7.25〜7.28(1H,m)、7.37〜7.42(1H,m)、7.43〜7.49(1H,m)、7.49〜7.54(2H,m)、8.01〜8.04(1H,m)、8.41(1H,s)、10.67(1H,s);MS m/z(M+H) 375。
2319FNの元素分析:
理論値:C,73.78;H,5.11;N,7.48。
実測値:C,73.53;H,5.06;N,7.32。
【0062】
実施例4
1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
ジクロロメタン(20mL)、Pd(OAc)(50mg、0.2ミリモル)およびトリエチルシラン(2mL)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(1mL)を加え、この混合物を室温で15分間撹拌した。該混合物に、ジクロロメタン(10mL)中の1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(0.36g、1ミリモル)を加えて90分間撹拌した。酢酸エチル(25mL)と塩化アンモニウム(25mLの10%溶液)とを加え、生成物を酢酸エチル(2×25mL)に抽出した。有機層を合せて、水(3×25mL)とブライン(25mL)で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を留去後、液体が得られた。これを無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。この混合物に、フッ化テトラブチルアンモニウム(3mL)を加えた。30分間撹拌後、混合物を酢酸エチルと水とで抽出した。有機層を水とブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒の蒸発後、得られた粗製固体をシリカゲルクロマトグラフィ(25%酢酸エチル−ヘキサン類)により精製すると、淡黄色固体(83%)が得られた:mp171〜173℃;H NMR(DMSO−d):δ2.29(3H,s)、6.95(4H,d,J=7.7Hz)、7.09〜7.13(2H,m)、7.22(2H,d,J=8.7Hz)、7.98〜8.01(1H,m)、8.40(1H,s)、9.89(1H,s)、10.63(1H,s);MS m/z(M+H) 267。
1614の元素分析:
理論値:C,72.17;H,5.30;N,10.52。
実測値:C,71.78;H,5.23;N,10.37。
【0063】
実施例5
5−フルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
5−フルオロ−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(0.49g、1.3ミリモル)を、実施例4に用いられた手法に従って反応させると、白色固体(67%)が得られた:mp162〜163℃;H NMR(DMSO−d):δ2.29(3H,s)、6.94〜6.97(4H,m)d,7.23(2H,d,J=8.6Hz)、7.70(2H,d,J=10.1Hz)、8.39(1H,s)、9.92(1H,s)、10.70(1H,s);MS m/z(M+H) 285。
1613FNの元素分析:
理論値:C,67.60;H,4.61;N,9.85。
実測値:C,67.44;H,4.67;N,9.79。
【0064】
実施例6
5−クロロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
5−クロロ−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(0.63g、2.2ミリモル)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.30g、4.3ミリモル)、メタノール(25mL)およびピリジン(1mL)の混合物を、実施例4に用いられた手法に従って反応させると、白色固体(68%)が得られた:mp212〜213℃;H NMR(DMSO−d):δ2.29(3H,s)、6.96(3H,d,J=8.7Hz)、7.12(1H,dd,J=2.2Hz,J=8.7Hz)、7.24(2H,d,J=8.7Hz)、8.03(1H,d,J=2.2Hz)、8.40(1H,s)、9.93(1H,s)、10.75(1H,s);MS m/z(M+H) 301/303(1Cl)。
1613ClNの元素分析:
理論値:C,63.90;H,4.36;N,9.31。
実測値:C,63.63;H,4.12;N,9.17。
【0065】
実施例7
5−ブロモ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
5−ブロモ−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(0.16g、0.5ミリモル)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.10g、1.4ミリモル)、メタノール(10mL)およびピリジン(0.2mL)の混合物を、実施例4に用いられた手法に従って反応させると、白色固体(66%)が得られた:mp209〜211℃;H NMR(DMSO−d):δ2.29(3H,s)、6.92〜6.97(3H,m)、7.20〜7.25(3H,m)、8.19(1H,d,J=1.9Hz)、8.39(1H,s)、9.94(1H,brs)、10.76(1H,s);MS m/z(M+H) 345/347(1Br)。
1613BrN・0.5HOの元素分析:
理論値:C,54.26;H,3.98;N,7.91。
実測値:C,54.26;H,3.68;N,7.65。
【0066】
実施例8
(4E)−9−(4−ヒドロキシフェニル)−1,2,3,9−テトラヒドロ−4H−カルバゾール−4−オンオキシム
(4E)−9−(4−ベンジルオキシフェニル)−1,2,3,9−テトラヒドロ−4H−カルバゾール−4−オンオキシム(0.23g、0.6ミリモル)を、実施例4に用いられた手法に従って反応させると、黄褐色固体(40%)が得られた:mp227〜229℃;H NMR(DMSO−d):δ1.87〜1.91(2H,m)、2.63(2H,t,J=5.9Hz)、2.71(2H,t,J=6.1Hz)、6.95(2H,d,J=8.6Hz)、7.09〜7.13(3H,m)、7.26(2H,d,J=8.5Hz)、7.98〜8.00(1H,m)、9.85(1H,s)、10.43(1H,s);MS m/z(M+H) 293。
1816の元素分析:
理論値:C,73.95;H,5.52;N,9.58。
実測値:C,73.61;H,5.39;N,9.42。
【0067】
実施例9
1−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(0.31g、0.9ミリモル)を、実施例4に用いられた手法に従って反応させると、黄色固体(18%)が得られた:mp95〜97℃;H NMR(DMSO−d):δ6.94〜6.98(2H,m)、7.19〜7.29(2H,m)、7.36〜7.45(4H,m)、8.31(1H,s)、9.80〜9.83(1H,m)、10.72(1H,s)、11.44(1s、s);MS m/z(M+H) 253。
1512の元素分析:
理論値:C,71.42;H,4.79;N,11.10。
実測値:C,71.85;H,5.36;N,9.70。
【0068】
実施例10
1−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
ジクロロメタン(10mL)、Pd(OAc)(50mg、0.2ミリモル)およびトリエチルシラン(3mL)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(1.5mL)を加え、この混合物を周囲温度で15分間撹拌した。該混合物に、ジクロロメタン(15mL)中の1−(4−ベンジルオキシ−3−フルオロフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム(0.52g、1.4ミリモル)を加え、撹拌を4時間続けた。酢酸エチル(25mL)と塩化アンモニウム(25mLの10%溶液)とを加え、生成物を酢酸エチル(2×25mL)に抽出した。有機層を合せて、水(3×25mL)とブライン(25mL)で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を留去後、液体が得られ、これを無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。この撹拌混合物に、フッ化テトラブチルアンモニウム(3mL)を加えた。30分間撹拌後、混合物を酢酸エチル/水に溶かして振り、層を分離した。有機部分を水とブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒の蒸発後、粗製固体をシリカゲルクロマトグラフィ(25%酢酸エチル−ヘキサン類)により精製すると、淡黄色固体(0.22g、56%)が得られた:mp182〜184℃;H NMR(DMSO−d):δ2.31(3H,s)、6.98〜7.01(1H,m)、7.07〜7.17(4H,m)、7.35(1H,dd,J=11.7Hz,J=2.4Hz)、7.99〜8.03(1H,m)、8.40(1H,s)、10.35(1H,br s)、10.64(1H,s);MS m/z(M+H) 285。
1613FN(0.3HO)の元素分析:
理論値:C,66.34;H,4.57;N,9.30。
実測値:C,66.38;H,4.61;N,9.85。
【0069】
実施例11
ERα受容体またはERβ受容体に対する選択性
本発明の代表例を、ERαまたはERβの双方に関して、17β−エストラジオールと競合するそれらの能力について評価した。この試験法によって、特定の化合物が、エストロゲン受容体に結合するかどうか(したがって「エストロゲン様」である)、またERαまたはERβに対して選択性があるかどうかを決定する方法論が提供される。これらの値は、下表に示され、IC50として報告されている。17β−エストラジオールは、比較のための標準対照として含まれる。用いられる手法を手短に下記に示す。ヒトERαまたはERβのエストロゲン受容体リガンド結合ドメイン(D、E、およびF)を発現する大腸菌の粗製ライセートを調製した。受容体および化合物の双方を、1mM EDTAで補足された1×ダルベッコーのPBS(DPBS)中で希釈した。高結合マスクマイクロタイタプレートを用いて、100μLの受容体(1μG/ウェル)を、2nM[H]−17β−エストラジオールおよび種々の濃度の化合物と組み合わせた。室温で5時間から15時間後、該プレートをDPBS/1mM EDTAで洗浄し、結合放射活性を、液体シンチレーションカウントにより測定した。IC50は、全17β−エストラジオール結合を50%減少させる化合物濃度として定義される。得られた結果は、下表に示している。
【0070】
【表1】

【0071】
標準的な薬理試験法で得られた結果は、本発明の化合物がエストロゲン様化合物であり、その幾つかがERβ受容体に強力な選択的親和力を有していることを証明している。本発明の化合物は、ERαよりもERβに高選択的親和力を有するものから両受容体にほぼ等しい親和力を有するものまでの範囲にある。したがって、本発明の化合物は、少なくとも部分的に、それらの受容体親和力の選択性プロフィルに基づく活性範囲に亘っている。さらに、各新規な受容体リガンド複合体がユニークであり、したがって種々の共調節蛋白質とのその相互作用がユニークであることから、本発明の化合物は、それらが存在している細胞の場所に依って異なる調節作用を示す。例えば、幾つかの細胞型において、ある化合物が、エストロゲンアゴニストとして、一方、他の組織においてアンタゴニストとして作用することが可能である。このような活性を有する化合物は、時にはSERM類(選択的エストロゲン受容体調節剤類)と称されている。しかしながら、多くのエストロゲンとは異なって、SERM類の多くは、子宮の湿重量増加を起こさない。これらの化合物は、子宮内で抗エストロゲン様であり、子宮組織においてエストロゲンアゴニストの栄養効果に完全に拮抗できる。しかしながら、これらの化合物は、骨系、心血管系、および中枢神経系においてはエストロゲンアゴニストとして働く。これらの化合物の組織選択性により、エストロゲン欠乏(骨または心血管などの一定の組織において)またはエストロゲン過剰(子宮または乳腺において)により生じるか、またはそれに関連する哺乳動物の病態または症候群の治療または予防に、これらの化合物は有用である。
【0072】
さらにこのような細胞特異的調節以外に、本発明の化合物はまた、1つの受容体タイプにはアゴニストとして作用し、他の受容体にはアンタゴニストとして作用する可能性を有する。例えば、該化合物が、ERβに対してはアンタゴニストであり、ERαに対してはアゴニストであり得ることが証明されている(Meyers,Marvin J.;Sun,Jun;Carlson,Kathryn E.;Katzenellenbogen,Benita S.;Katzenellenbogen,John A.;J.Med.Chem.(1999)、42(13)、2456−2468頁)。このようなERSAA(エストロゲン受容体選択的アゴニストアンタゴニスト)活性により、本シリーズの化合物内で薬理学的に異なるエストロゲン様活性が提供される。
【0073】
所与の試験化合物の活性プロフィルを決定するために、標準的薬理試験法を容易に利用できる。以下に、幾つかの代表的試験法を手短に要約する。SERM類に関する標準的試験法は、米国特許第4,418,068号明細書、および米国特許第5,998,402号明細書にも提供されている。
【0074】
実施例12
ラットの子宮栄養性/抗子宮栄養性試験法
該化合物のエストロゲン様および抗エストロゲン様性質を、L.J.Black and R.L.Goode、Life Sciences、26、1453頁(1980)により以前に記載されているように、未成熟ラットの子宮栄養性アッセイ(4日)において決定できる。未成熟SDラット(メス、18日齢)を、6匹群で試験した。抗エステロゲン性をチェックするために、注射媒体として50%DMSO/50%生理食塩水を用いて、10uG化合物、100uG化合物、(100uG化合物+1uG 17β−エストラジオール)、および1uG 17β−エストラジオールの毎日、ip注射により動物を処置する。4日目に動物をCO窒息により殺処理し、子宮を摘出し、過剰の脂質を取り除き、流体を除き、湿重量を測定する。補体成分の3種の遺伝子発現を評価するために1つのホーン小切片を組織学に供し、残りは全RNAを単離するために用いる。
【0075】
実施例13
6週の卵巣摘出ラット試験法−骨および心保護
メスSD CDラット、ovxまたはシャム(sham)ovxを、Taconic Farmから手術1日後に得る(240〜275gの体重範囲)。3匹または4匹のラット/ケージを、12/12(明/暗)スケジュールの室内で飼い、飼料(Purina 5K96Cラット用固形飼料)と水を自由に供給する。全試験に関する処置は、動物到着1日後から開始し、1週当たり7日6週間指定されたとおり投与した。いずれの処置を受けない齢合致のシャム術ラット群を、各試験に関する無処置エストロゲン充満対照群として供給する。
【0076】
全ての処置は、処置容量が、0.1mL/100g体重であるように規定された濃度で標準的生理食塩水中1%ツウィーン80において調製される。17β−エストラジオールは、トウモロコシ油(20μg/mL)に溶解し、0.1mL/ラットを皮下送達する。全ての投与量は、群の平均体重測定値に従って3週間隔で調整する。
【0077】
処置開始から5週後、試験終了1週前に、各ラットを、骨塩量(BMD)について評価する。XCT−960M(pQCT;Stratec Medizintechnik、Pforzheim、ドイツ国)を用いて麻酔ラットで脛骨近位の全密度および小柱密度を評価する。測定は以下のとおり実施される:走査15分前に、45mg/kgケタミン、8.5mg/kgキシラジン、および1.5mg/kgアセプロマジンの腹腔内注射により各ラットに麻酔をかける。
【0078】
右後足を、直径25mmのポリカーボネートチューブに通し、足首関節を90°角で、また膝関節を180°でアクリルフレームにテープで貼る。該ポリカーボネートチューブを、pQCTの開口部に対して垂直に維持するスライディングプラットフォームに固定する。大腿骨の遠位端と脛骨の近位端とが、走査領域内にあるように、該プラットフォームを調整する。二次元スカウト図を、長さ10mm、線解像度0.2mmで操作する。スカウト図が、モニター上でディスプレーされたら、脛骨の近位端を位置決めする。この点から3.4mmの遠位でpQCT走査を開始する。pQCT走査は、厚さが1mmであり、0.140mmのボクセル(三次元ピクセル)サイズを有し、スライスを通した145の投影からなる。
【0079】
pQCT走査が完了したら、画像をモニター上にディスプレーする。脛骨は含むが、腓骨を除外する対象領域の輪郭を描く。軟組織は、反復アルゴリズムを用いて自動的に除去される。残りの骨密度(全密度)はmg/cmで報告される。骨の外部55%は、同心螺旋で剥がされる。残りの骨密度(柵状織密度)はmg/cmで報告される。BMD評価1週後に、ラットを二酸化炭素窒息により安楽死させ、コレステロール測定のために採血する。子宮を摘出し、重量を量る。全コレステロールは、Cholesterol/HPキットを用い、Boehringer−Mannheim Hitachi 911臨床用アナライザーを用いて決定される。統計は、ダネット検定によるワンウェイ分散分析を用いて比較した。
【0080】
実施例14
MCF−7/ERE抗増殖試験法
試験化合物の保存液(通常0.1M)をDMSO中で調製してから、DMSOで10倍から100倍に希釈して1mMまたは10mMの作業溶液を作製する。DMSO保存液は、4℃(0.1M)または−20℃(<0.1M)で保存する。MCF−7細胞を、週2回、増殖培地[10%(v/v)熱不活化ウシ胎仔血清、1%(v/v)ペニシリン−ストレプトマイシン、および2mMグルタマックス−1を含有するD−MEM/F−12培地]で継代培養する。この細胞を、5%CO/95%加湿空気インキュベーター内で37℃で通気フラスコ中に維持する。処置1日前、細胞を、96ウェルプレートに25,000/ウェルで増殖培地と共に塗布し、37℃で一晩温置する。
【0081】
細胞を、実験培地[10%(v/v)熱不活化チャコールストリップトウシ胎仔血清、1%(v/v)ペニシリン−ストレプトマイシン、2mMグルタマックス−1、1mMピルビン酸ナトリウムを含有するフェノールレッド無しのDMEM/F−12培地]中、50μl/ウェルの1:10希釈アデノウィルス5−ERE−tk−ルシフェラーゼと共に37℃で2時間感染させる。次いでこのウェルを、150μλの実験媒体で1回洗浄する。最後に細胞を、150μλ/ウェルの媒体(≦0.1%v/vDMSO)または実験媒体に≧1000倍の希釈されている化合物により、8ウェル/処理を反復して37℃で24時間処理する。
【0082】
試験化合物の最初のスクリーニングは、単独試験(アゴニスト様式)である1μMの単回投与か、または0.1nM 17β−エストラジオール(EC80;アンタゴニスト様式)と併用して行われる。また、各96ウェルプレートには、媒体対照群(0.1% v/v DMSO)およびアゴニスト対照群(0.1nMまたは1nM 17β−エストラジオール)を含む。用量応答実験は、10−14Mから10−5Mまでの対数増加における活性化合物に対するアゴニスト様式および/またはアンタゴニスト様式で実施する。これらの用量応答曲線から、それぞれEC50値およびIC50値が出る。各処理群における最終ウェルには、ERアンタゴニスト対照として5μlの3×10−5M ICI−182,780(10−6Mの最終濃度)を含有する。
【0083】
処理後、該細胞を、25μl/ウェルの1×細胞培養溶解試薬(Promega社)によりシェーカ上で15分間溶解する。細胞溶解液(20μl)を、96ウェルのルミノメータプレートに移し、ルシフェラーゼ活性を、100μl/ウェルのルシフェラーゼ基質(Promega社)を用いてMicroLumat LB96Pルミノメータ(EG & G Berthold)で測定する。基質の注入前に、各ウェルに対して1秒のバックグランド測定を行う。基質の注入後、ルシフェラーゼ活性を、1秒遅延後、10秒間測定する。このデータをルミノメータからMacintoshのパーソナルコンピュータに移し、JMPソフトウェア(SAS Institute)を用いて解析する;このプログラムは、各ウェルに関するルシフェラーゼ測定値からバックグラウンドの読み取りを差し引いてから、各処理の平均値と標準偏差を決定する。
【0084】
ルシフェラーゼデータを、対数により変換し、Huber M−estimatorを用いて、外れ変換値の加重を低下させる。JMPソフトウェアを用いて、ワンウェイANOVA(ダネット検定)に関して変換しかつ加重したデータを解析する。化合物処理を、アゴニスト様式における媒体対照結果、またはアンタゴニスト様式における陽性アゴニスト対照結果(0.1nM 17β−エストラジオール)と比較する。最初の単回投与実験に関して、化合物の処理結果が適切な対照と有意に異なる場合(p<0.05)、その結果を、17β−エストラジオールに対する相対パーセント[すなわち、((化合物−媒体対照)/(17β−エストラジオール)−媒体対照)]×100]として報告する。また、JMPソフトウェアを用いて、非線形用量応答曲線からEC50値および/またはIC50値を決定する。
【0085】
実施例15
LDL酸化阻害−抗酸化活性
ブタの大動脈を、と殺場から入手し、洗浄し、冷PBS中に移し、大動脈内皮細胞を採取する。該細胞を採取するために、大動脈の肋間血管の両端を結び、大動脈の一端をクランプする。新鮮な滅菌ろ過された0.2%コラゲナーゼ(SigmaタイプI)を血管中に入れてから、血管の他端をクランプして閉鎖系を形成する。大動脈を37℃で15〜20分間温置し、その後、コラゲナーゼ溶液を採取し、2000×gで5分間遠心分離する。各ペレットを、チャコールストリップトFBS(5%)、NuSerum(5%)、L−グルタミン(4mM)、ペニシリン−ストレプトマイシン(1000U/ml、100μg/ml)およびゲンチミシン(75μg/ml)で補足したフェノールレッド無しのDMEM/Ham’s F12培地から成る7mLの内皮細胞培養培地に懸濁させ、100mmのペトリ皿に接種し、5%CO中、37℃で温置する。20分後、細胞をPBSでリンスし、新鮮な培地を加え、これを24時間目に再度繰り返した。細胞は、凡そ1週間後に集密化した。内皮細胞を週に2回ルーチンに与え、集密化したら、トリプシン化し、1:7比で接種する。12.5μg/LDLの細胞媒介酸化を、37℃で4時間、評価すべき化合物(5μM)の存在下で進行させる。結果は、遊離アルデヒド分析のためのTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)法(Yagi K.、Biochem Med 15:212−216頁(1976))によって測定される酸化プロセスの阻害パーセントとして表される。
【0086】
実施例16
D12視床下部細胞試験法
D12ラット視床下部細胞を、RCF17親細胞系からサブクローン化し、凍結保存する。それらを、DMEM:F−12(1:1)、グルタマックス−1(2mM)、ペニシリン(100U/ml)−ストレプトマイシン(100mg/ml)、プラス10%ウシ胎仔血清(FBS)中でルーチンに増殖させる。該細胞を、サブ集密密度(1〜4×10 6細胞/150mm皿)で2〜10%チャコールストリップトFBSを含有するフェノールレッド無しの培地(DMEM:F−12、グルタマックス、ペニシリン−ストレプトマイシン)中で平板培養する。該細胞を、2%ストリップト血清を含有する培地と共に24時間後に再度加える。アゴニスト活性を試験するために、細胞を、10nM 17b―エストラジオールまたは種々の用量の試験化合物(1mMまたは1pMから1mMの範囲)で処理する。アンタゴニスト活性を試験するために、細胞を、変動用量(100pMから1mM)の試験化合物の不在下または存在下、0.1nM 17β―エストラジオールで処理する。また、陰性対照として対照皿も、DMSOで処理する。ホルモン添加48時間後、細胞を溶解し、結合試験法を実施する。
【0087】
各結合試験法について、100〜150mg蛋白質を、150ml用量で10nM H−R5020+100倍過剰のR5020と共に温置する。三通りの反応液(R5020有りで三通り、R5020無しで三通り)を96ウェルプレート中で調製する。先ず蛋白質抽出液を加え、次いでH−R5020またはH−R5020+100×非標識R5020を加える。この反応は、室温で1〜2時間実施する。pH7.4のTE中、100ml冷5%チャコール(Norit SX−4)、0.5%デキストラン69K(Pharmacia)の添加により該反応を中止させる。室温で5分後、結合および未結合リガンドを遠心分離(5分、1000RCF、4℃)により分離する。上澄液(約150ml)を除去し、シンチレーションバイアルに移す。シンチレーション液(Beckman Ready Protein+)の添加後、サンプルを、シンチレーションカウンタで1分間カウントする。
【0088】
実施例17
CNS視索前野におけるプロゲステロン受容体
60日齢メスSDラットを卵巣切除する。該ラットは、12時間の明期、12時間の暗期で動物管理施設で飼い、水道水とげっ歯類用固形飼料を自由に取らせた。
【0089】
卵巣切除ラットは、媒体(50%DMSO、40%PBS、10%エタノール媒体)、17β―エストラジオール(200ng/kg)または被試験化合物で注射された群に無作為に分けた。この化合物のアンタゴニスト性を評価するために、追加のラットに対し、17β―エストラジオールの注射1時間前に試験化合物を注射する。s.c.注射6時間後、ラットを致死量のCOにより安楽死させ、それらの脳を採取し、凍結した。
【0090】
動物から採取した組織をクリオスタット上−16℃で切断し、シラン被覆顕微鏡スライド上に採取する。次に切片を載せたスライドを、42℃に維持されたスライドウォーマー上で乾燥し、−80℃で乾燥スライドボックス中に保存する。スライド上での凝縮形成を避け、したがって組織およびRNA分解を最少にするため、処理前に乾燥スライドボックスを室温まで徐々に温める(−20℃で12〜16時間;4℃で2時間;室温で1時間)。乾燥スライドを金属ラックに装填し、4%パラホルムアルデヒド(pH9.0)中に5分間固定後、前述のとおり処理する。
【0091】
ラットPR cDNA9の815bp断片を含有するプラスミド(リガンド結合ドメイン)を線形化し、ラットPR mRNAの一部に相補的であるS 35−UTP標識プローブを生成するために用いる。処理切片を載せたスライドを、リボプローブ(4〜6×10 6DPM/スライド)と50%ホルムアミドとを含有する20mlのハイブリダイゼーション混合物によりハイブリダイズし、55℃の加湿チャンバ内に一晩温置する。翌朝、該スライドを2×SSC(0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム;pH7.0)/10mM DTT中に浸漬されている金属ラックに入れる。このラックの全てを大型容器に移し、2×SSC/10mM DTT中、室温で15分間静かに撹拌しながら洗浄する。次にスライドを、RNアーゼ緩衝液中、37℃で30分間洗浄し、RNアーゼA(2mg/ml)により37℃で30分間処理し、室温で15分間1×SSCで洗浄する。引き続き、スライドを0.1×SSC中、65℃で洗浄して(2×30分)非特異的標識を除き、室温で15分間0.1×SSCでリンスし、一連の段階的アルコール:酢酸アンモニウム(70%、95%および100%)で脱水する。風乾したスライドを、X線フィルムに3日間対向させてから原版処理する。条件によるアッセイ間の変動差異を排除するために全てのラットのスライドを一緒にハイブリダイズし、洗浄し、暴露し、原版処理する。
【0092】
実施例18
ラットの顔面潮紅−CNS作用
卵巣切除メスの60日齢SDラットを以下の手術により得る。手術は、第1の処理の最低8日前に行う。該ラットを個々に12時間の明/暗サイクル下で飼い、標準的なラット用固形飼料と水を自由に与える。
【0093】
2つの対照群を各試験に含む。用量は、ゴマ油中の10%DMSO(sc試験)または生理食塩水中の1.0%ツウィーン80(po試験)におけるmg/kgの群平均体重に基づいて調製される。ラットに、0.01mg/kgから10mg/kgの群平均体重の範囲の用量で試験化合物を投与する。媒体およびエチニルエストラジオール(EE)対照(0.1mg/kg、scまたは0.3mg/kg、po)の対照群を、各試験に含む。化合物を、それらのアンタゴニスト活性について試験する場合、scまたはpo試験に、それぞれ0.1mg/kgまたは0.3mg/kgでEEを共投与する。試験化合物は、尾の皮膚温度を測定する日まで投与する。
【0094】
4日間の順化後、ラットを1日1回、対象化合物(1種または複数種)により処置する。1処置群当たり10匹のラットである。化合物の投与は、頸の項部に0.1mlのsc注射か、または0.5ml容量のpo注射による。処置3日目に、モルフィンペレット(75mgの硫酸モルフィン)を皮下に埋め込む。処置5日目に、1個または2個の追加のモルフィンペレットを埋め込む。8日目に、凡そ半数のラットにケタミンを注射し(80mg/kg,筋肉内)、MacLab Data Acquisition System(API Instruments、ミルフォード、マサチューセッツ州)に接続した熱電対を、尾の付け根から凡そ1インチの尾上にテープで留める。このシステムにより、尾皮膚温度の連続測定が可能になった。ベースライン温度を15分間測定してから、ナロキソン(1.0mg/kg)をsc投与(0.2ml)してモルフィン作用を遮断し、それから1時間後に尾皮膚温度を測定する。9日目に、残りのラットを準備し、同様に分析する。
【0095】
実施例19
単離ラット大動脈環における血管運動機能
SDラット(240〜260グラム)を4群に分ける:
1.正常な非卵巣摘出(無処置)
2.媒体で処置した卵巣摘出(卵巣切除術)
3.17β−エストラジオールで処置(1mg/kg/日)した卵巣摘出
4.試験化合物で処置(すなわち、1mg/kg/日)した卵巣摘出
【0096】
ラットは、処置凡そ3週前に卵巣摘出する。各ラットに、蒸留脱イオン水中、1%ツウィーン80と共に懸濁した1mg/kg/日の硫酸17β−エストラジオールまたは試験化合物を胃管により投与する。媒体処置動物には、薬物処置群に用いられた媒体の適量を投与する。
【0097】
ラットを、CO吸入により安楽死させ放血させる。それらの胸部大動脈を素早く取り出し、以下の組成物(mM):最終pHが7.4にCO−O、95%/5%で気体処理したNaCl(54.7)、KCl(5.0)、NaHCO(25.0)、MgCl2HO(2.5)、D−グルコース(11.8)およびCaCl(0.2)と共に37℃の生理溶液に入れる。アドバンチチア(advantitia)を外表面から除き、血管を2〜3mm幅の環に切断する。10mLの組織浴に環の一端を浴槽の底に取り付け、他端をフォーストランスデューサに取り付ける。1グラムの静止張力を環上に与える。環を1時間平衡化し、シグナルを得て分析する。
【0098】
平衡後、該環を濃度増加のフェニレフリン(10−8Mから10−4M)に暴露し、張力を記録する。次に浴槽を新鮮な緩衝液で3回リンスする。洗い流した後、200mM L−NAMEを組織浴に加え、30分間平衡化させる。次いでフェニレフリン濃度応答曲線を反復する。
【0099】
実施例20
8−アームラジアルアーム迷路−認知力改善
到着時に200〜250g重量のオスSD、CDラット(Charles River、キングストン、ニューヨーク州)を用いる。1週間、1ケージ当たり6匹のラットを入れ標準的実験室用固形飼料と水を自由に利用させる。22℃で維持されたコロニー室に入れ、午前6時に点灯する12時間の明/暗サイクルを実施した。施設に対する馴化後、ラットを個々にケースに入れ、自由給餌重量の85%を維持する。安定な重量に達したら、ラットを8−アーム放射状迷路に馴化させる。
【0100】
迷路構造は、PeeleおよびBaron(Pharmacology,Biochemistry, and Behavior、29:143−150頁、1980年)の迷路構造を改造したものである。該迷路は、75.5cmの高さに上げ、互いに等距離の中心から放射状に出ている8−アームにより囲まれる円形領域から構成される。各アームは、長さ58cm×高さ13cmである。各セッションの開始前、迷路の中心部分にラットを封入するために、透明な叢状ガラスの円筒を下げる。迷路の各アームには、データ捕捉ユニットに接続され、次いでコンピュータに接続している3セットのフォトセルが具備されている。該フォトセルは、迷路中のラットの動きを追跡するために用いられる。ペレット給餌器が、各アームの末端の飼料カップ上に配置されており、アームの外側フォトセルが、所与のセッションの初回に作動させる際に、45mgのチョコレート2個が分配される。視覚による手がかりとして役立つように、迷路は、各壁に黒白の幾何学ポスターが貼られた試験室内に配置される。全てのトレーニングおよび試験手順中、白色ノイズが聞き取れる(約70db)。
【0101】
トレーニング法は、各々、毎日のセッションが5分から10分続く5つのフェーズからなる。ラットが迷路の中心に位置する時間と、セッションを開始するために円筒を上げる時間との間で10秒の遅れが課される。フェーズIの時は、迷路の8つのアームを通してばらまかれた45mgのチョコレート飼料ペレットと共に迷路に飼料制限のラットのペアを10分間置く。フェーズIIの時は、フォトセルの中央から各アームの飼料カップまでペレットをばらまいて、各ラットを10分間個々に迷路上に置く。フェーズIIIの時は、各アーム内の飼料カップの内および周囲のみに飼料ペレットを配置して、各ラットを10分間迷路上に置く。フェーズIVでは、各ラットに10分間各アームから2個のペレットを採取させる。アームへのリエントリーは、エラーと考える。ラットが、3日連続のトレーニングにおいて全部で2回以内のエラーで基準行動を達成するまで、この様式で毎日トレーニングする。馴化およびトレーニング時間は全部で凡そ3週間である。
【0102】
試験化合物を、リン酸緩衝生理食塩水中で調製し、1mg/kg量で投与する。スコポラミンHBr(0.3mg/kg s.c.)は、エラー率(記憶損失)の増加を生じさせる障害剤として働いた。試験化合物は、所与の任意の試験日に最初の迷路暴露30分前に、スコポラミンと同時に腹腔内投与する。
【0103】
試験化合物を評価するため、最少量の動物による高実験効率を達成するため、反復測定用に8×8バランスドラテン方格がデザインされる。8つの実験セッションを1週当たり2つで各セッション内で無作為化した8つの処置(媒体、スコポラミン、スコポラミンと併用する3種の用量の試験化合物)により実施する。各々の処置は1つおきに、同じ回数続けた。したがって、個々の処置の残留効果が推定でき、直接的処置効果から除くことができた。ANOVA後、調整手段に対するダネットの両側検定を用いて複数比較を実施する。
【0104】
最初の暴露時、5分以内に正しい選択を4回しなかった動物、または第2の暴露の終りまでに全部で8つの選択をしなかった動物は、そのセッションに関して「時間切れ」と考える。試験化合物の1回超投与後に「時間切れ」したラットは、いずれも解析から除外する。
【0105】
実施例21
神経保護
一次皮質神経細胞培養における時間依存細胞死の阻害
一次皮質神経細胞は、Monyerら、1989年、Brain Research 483:347−354頁
により記載された方法の変法を用いて0〜1日齢であるラット脳から生成した。分散した脳組織を、DMEM/10%PDHS(妊娠ドナーのウマ血清)中、3日間増殖させてから、シトシンアラビノシド(ARC)により2日間処理して汚染膠腫細胞を除いた。5日目に、ARC培地を除き、DMEM/10%PDHSと交換した。使用前に神経細胞をさらに4〜7日間培養した。
【0106】
対照の一次神経細胞培養物は、培養12日目と18日目との間に細胞死の進行を示す。12の培養物を、9日目にDMEMと10%PDHS中に維持された6つの培養物に試験化合物を加え、対照として残りの培養物を維持した後、酵素乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)の濃度に関して12日目と16日目に評価した。LDは、Wroblewskiら、1955年、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.90:210−213頁
により記載された方法の変法を用いてアッセイした。LDは、組織生存度を決定するために臨床および基礎研究の双方で共通に用いられるサイトゾル酵素である。培地中LDの増加は、直接細胞死に関連する。
【0107】
低血糖により誘導された細胞毒性に対する神経保護
ATCCから入手したC6膠腫細胞を、FALCON25cm組織培養フラスコ内で1×10<6>細胞/mlの濃度でFBSと共にRPMI培地中で平板培養した。低血糖発症4時間前に、維持培地を廃棄し、単層を適切な媒体中、2回洗浄してから、血清なしまたは血清なしプラス試験化合物中37℃で4時間温置した。適切なグルコース添加処理前に、該単層を2回洗浄するためにクレブス・リンゲル燐酸緩衝液を使用した。RPMI培地は2mgグルコース/mlを含有し;フラスコは、各々、100%グルコース(2mg/ml),80%グルコース(1.6mg/ml),60%グルコース(1.2mg/ml)または0%グルコース(緩衝液)を受け、または試験化合物で補足される6つの投与群に分けた。全てのフラスコを、20時間温置してから、全細胞数、生細胞数および死細胞数を、トリパンブルーを利用して評価した。
【0108】
興奮毒性アミノ酸に対する神経保護
SK−N−SH神経芽細胞腫細胞を含有する5つの培養皿を試験化合物で処理し、5つの培養皿をPPMI媒体で処理した。4時間後、全ての細胞をNMDA(500muM)で5分間処理した。次いで、全ての生存細胞と死滅細胞を測定した。
【0109】
酸素−グルコース欠乏に対する神経保護
アポトーシス測定のための核濃縮症核の分析: E18ラット胎仔から皮質神経細胞を調製し、ポリ−D−リジン(10ng/ml)と血清で予めコーティングした8ウェルチャンバースライドに、100,000細胞/ウェルの密度で塗布する。細胞を、10%FCSを含有する高グルコースDMEM中で平板培養し、10%CO/90%空気の37℃において、インキュベーターに維持する。翌日、B27サプリメントを含有する高グルコースDMEMにより培地を交換することによって血清を除去し、実験日まで、さらなる培地交換をせずに、細胞をインキュベーターに維持する。6日目、スライドを2つの群;対照群とOGD群に分ける。対照群の細胞は、グルコースを有するDMEMおよび通例のB27(抗酸化剤なし)を与えられる。OGD群の細胞は、真空下で15分脱気した非グルコースDMEMを通例のB27と共に与えられる。細胞に、90%N/10%COを10分間、気密チャンバー内でフラッシュし、37℃で6時間温置する。6時間後、対照細胞とOGD細胞の双方を、通例のB27を有するグルコース含有DMEM中、媒体(DMSO)または試験化合物のいずれかを含有する培地の交換に供する。細胞を、37℃の酸素正常インキュベーターに戻す。24時間後、細胞を、4℃で10分間、4%PFA中に固定し、Topro(蛍光核結合色素)により染色する。Laser Scanning Cytometerを用いて、核濃縮症核を測定することにより、アポトーシスを評価する。
【0110】
細胞死の指標としてのLDH放出の測定: E18ラットの皮質神経細胞を調製し、ポリ−D−リジン(10ng/ml)と血清で予めコーティングした48ウェル培養プレートに、150,000細胞/ウェルの密度で塗布する。細胞を、10%FCSを含有する高グルコースDMEM中で平板培養し、10%CO/90%空気の37℃において、インキュベーターに温置する。翌日、B27サプリメントを含有する高グルコースDMEMにより培地を交換することによって血清を除去する。6日目、細胞を2つの群、対照群とOGD群に分ける。対照群の細胞は、グルコースを有するDMEMおよび通例のB27(抗酸化剤なし)を与えられる。OGD群の細胞は、真空下で15分脱気した非グルコースDMEMを通例のB27と共に与えられる。細胞に、90%N/10%COを10分間、気密チャンバー内でフラッシュし、37℃で6時間温置する。6時間後、対照細胞とOGD細胞の双方を、通例のB27を有するグルコース含有DMEM中、媒体(DMSO)または試験化合物のいずれかを含有する培地の交換に供する。細胞を、37℃の酸素正常インキュベーターに戻す。24時間後、培地への細胞放出LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)を測定することにより、細胞死を評価する。LDHアッセイのために、50μlアリコートの培地を96ウェルプレートに移す。140μlの0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)および100μlの0.2mg/mlNADHの添加後、該プレートを、20分間、室温で暗所に置く。10μlのピルビン酸ナトリウムの添加により、反応が開始する。該プレートを直ちに、Thermomaxプレートリーダー(Molecular Devices)において、340nMで読み取る。NADH濃度の指標である吸光度を、6秒ごとに5分間記録し、NADH消失の割合を示す勾配を用いて、LDH活性を算出する。
【数1】

【0111】
実施例22
HLAラット試験法−クローン病および炎症性腸疾患
オスHLA−B27ラットをTaconicから入手し、食餌(PMI Lab食5001)と水を無制限に与える。試験開始時、ラットは22〜26週齢である。
【0112】
ラットに、下記の製剤のうちの1つを、1日1回7日間、皮下投与する。各群5匹のラットで、最終投与は、安楽死2時間前に行う。
・ 媒体(50%DMSO/50%ダルベッコPBS)
・ 17α−エチニル−17β−エストラジオール(10μg/kg)
・ 試験化合物
【0113】
糞便の質を毎日観察し、以下の尺度により、等級分けする:下痢=3;軟便=2;正常便=1。試験操作の最後に、血清を採取し、−70℃で保存する。組織学的分析のために、大腸切片を調製し、脊髄過酸化酵素活性に関して追加のセグメントを分析する。
【0114】
脊髄過酸化酵素活性を測定するために、以下の方法を用いる。大腸組織を採取し、液体窒素中、瞬間凍結させる。サンプル間の一貫性を保証するため、大腸全体の代表的サンプルを用いる。該組織を使用するまで−80℃で保存する。次に、該組織の重さを計り(およそ500mg)、1:15w/vの5mM HKPO(pH6)洗浄緩衝液中で均一化する。該組織を、Sorvall RC 5B遠心分離機において、2〜8℃で45分間、20,000×gで回転させる。次いで、上澄み液を捨てる。細胞内MPOの溶解を助けるために、2.5ml(1:5w/v)の50mM HKpo中、10mM EDTAおよび0.5%Hex臭化アンモニウムと共に、組織を再懸濁し、均一化する。組織を液体窒素中で凍結し、37℃の水浴中で解凍し、15秒間音波処理して、膜溶解を確実にする。この操作を3回繰り返す。次いで、サンプルを氷上に20分間保持し、2℃〜8℃において15分間、12,000×gで遠心分離する。上澄み液を、以下のステップにより分析する。
【0115】
2.9mlの50mM HKPOを、0.0005%のHを有する0.167O−ジアニシジンと共に反応菅に加えることにより、試験混合物を調製する。過酸化水素が分解すると、O−ジアニシジンは酸化され、濃度依存様式において、460nmで吸収する。該混合物を25℃に加熱する。100μLの組織上澄み液を該反応菅に加え、25℃で1分間温置してから、1mlを使い捨てプラスチックキュベットに移す。460nmでのODを、2分間の反応時間ごとに、2.9mlの反応混合物および100μlの0.5%臭化アンモニウム溶液を含有するブランクに対して測定する。
【0116】
精製ヒトMPO31.1単位/バイアルによって作成した標準曲線に対し、460における吸光度を比較することにより、酵素活性単位を定量化する。MPOを再構成し、10mM EDTAおよび0.5%Hex臭化アンモニウムと共に、50mM HKPOを用いて、4種の既知濃度へ連続希釈する。サンプルの吸光度をこの曲線と比較して、活性を決定する。
【0117】
組織学的分析を、以下の通り実施する。大腸組織を、10%中性緩衝化ホルマリン中に浸漬する。大腸の各検体を、評価のため、4つのサンプルに分離する。ホルマリン固定組織をパラフィン包埋のため、真空浸透プロセサー内で処理する。サンプルを5μmに切断してから、Boughton−Smithにより修正された尺度を用いる盲検化組織学的評価のために、ヘマトキシリンとエオシン(H&E)で染色する。スコアを記入した後、サンプルの盲検化を解き、データの作表を行い、複数の平均比較によるANOVA線形モデル化によって解析する。
【0118】
本明細書に引用した全ての特許、刊行物、および他の文書は、参照として、それらの全体が本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中:
は水素、置換されていてもよいアルキル、ハロゲン、CN、または置換されていてもよいアルコキシであり;
は水素、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいフェニルであるか;または
とRが一緒になって、5〜7員環を形成していてもよく、
およびRは、それぞれ独立して、H、OH、ハロゲン、CN、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいアルコキシである]
で表される化合物;あるいはその医薬上許容される塩またはプロドラッグ。
【請求項2】
が置換されていてもよいアルキルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が水素または置換されていてもよいアルキルである請求項1または請求項2記載の化合物。
【請求項4】
およびRが一緒になって6員環を形成する請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が水素、ハロゲンまたはCNである請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が水素である請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
がFである請求項6記載の化合物。
【請求項8】
(a)1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム;
(b)5−フルオロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム;
(c)5−クロロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム;
(d)5−ブロモ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム;
(e)(4E)−9−(4−ヒドロキシフェニル)−1,2,3,9−テトラヒドロ−4H−カルバゾール−4−オンオキシム;または
(f)1−(4−ヒドロキシフェニル)−H−インドール−3−カルバルデヒドオキシムあるいは
(g)1−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒドオキシム
である請求項1記載の化合物。
【請求項9】
a)請求項1〜8のいずれか一項に記載されている化合物および
b)医薬用担体、を含んでなる医薬組成物。
【請求項10】
哺乳動物における骨粗しょう症を阻害する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載されている化合物の有効量を、それを必要とする前記哺乳動物に提供することを含んでなる方法。
【請求項11】
哺乳動物における骨関節炎、低カルシウム血症、高カルシウム血症、ページェット病、骨軟化症、骨石灰脱失症、多発性骨髄腫または骨組織に対して有害作用を有する他の形態癌を阻害する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に請求されている化合物の有効量を、それを必要とする前記哺乳動物に提供することを含んでなる方法。
【請求項12】
哺乳動物における良性または悪性異常組織の増殖を阻害する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載されている化合物の有効量を、それを必要とする前記哺乳動物に提供することを含んでなる方法。
【請求項13】
異常組織増殖が、前立腺肥大症、子宮平滑筋腫、乳癌、子宮内膜症、子宮体癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、良性乳房疾患、腺筋症、卵巣癌、黒色腫、前立腺癌、大腸癌、またはCNS癌である請求項12記載の方法。
【請求項14】
哺乳動物におけるコレステロール濃度、トリグリセリド濃度、Lp(a)濃度、またはLDL濃度を低下させるか;あるいは高コレステロール血症;高脂血症;循環器病;アテローム硬化症;末梢血管疾患;再狭窄;または血管攣縮を阻害するか;あるいは免疫媒介損傷に至る細胞事象由来の血管壁損傷を阻害する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする前記哺乳動物に提供することを含んでなる方法。
【請求項15】
哺乳動物におけるフリーラジカル起因性病態を阻害する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする前記哺乳動物に提供することを含んでなる方法。
【請求項16】
哺乳動物における認知力改善または神経保護を提供するか;あるいは老人性認知症、アルツハイマー病、認知力低下、または神経変性疾患を治療するかまたは阻害する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする前記哺乳動物に提供することを含んでなる方法。
【請求項17】
哺乳動物における炎症性腸疾患、潰瘍性直腸炎、クローン病、大腸炎、のぼせ、膣または外陰部萎縮、萎縮性膣炎、膣乾燥、かゆみ、性交困難、排尿困難、頻尿、尿失禁、尿路感染、血管運動症状;男性型禿頭症;皮膚萎縮症;座瘡;II型糖尿病;機能不全子宮出血;または不妊症を阻害する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする前記哺乳動物に提供することを含んでなる方法。
【請求項18】
哺乳動物における白血病、子宮内膜剥離、慢性腎疾患または肝疾患または凝血疾患または凝血障害を阻害する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする前記哺乳動物に提供することを含んでなる方法。
【請求項19】
薬物として使用するための請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
薬物調製時における請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の使用であって、
それを必要とする哺乳動物における骨粗しょう症を阻害するか、
それを必要とする哺乳動物における骨関節炎、低カルシウム血症、高カルシウム血症、ページェット病、骨軟化症、骨石灰脱失症、多発性骨髄腫または骨組織に対して有害作用を有する他の形態癌を阻害するか、
それを必要とする哺乳動物における良性または悪性異常組織の増殖を阻害するか、
それを必要とする哺乳動物におけるコレステロール濃度、トリグリセリド濃度、L(p)濃度、またはLDL濃度を低下させるか;あるいは高コレステロール血症;高脂血症;循環器病;アテローム硬化症;末梢血管疾患;再狭窄;または血管攣縮を阻害するか;あるいは細胞事象から免疫媒介血管損傷を引き起こす血管壁損傷を阻害するか、
それを必要とする哺乳動物におけるフリーラジカル起因性病態を阻害するか、
それを必要とする哺乳動物における認知力改善または神経保護を提供するか;あるいは老人性認知症、アルツハイマー病、認知力低下、または神経変性疾患を治療または阻害するか、
それを必要とする哺乳動物における炎症性腸疾患、潰瘍性直腸炎、クローン病、大腸炎、のぼせ、膣または外陰部萎縮、萎縮性膣炎、膣乾燥、かゆみ、性交困難、排尿困難、頻尿、尿失禁、尿路感染、血管運動症状;男性型禿頭症;皮膚萎縮症;座瘡;II型糖尿病;機能不全子宮出血;または不妊症を阻害するか、あるいは
それを必要とする哺乳動物における白血病、子宮内膜剥離、慢性腎疾患または肝疾患または凝血疾患または凝血障害を阻害するための使用。

【公表番号】特表2007−502277(P2007−502277A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523281(P2006−523281)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/025764
【国際公開番号】WO2005/018636
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Macintosh
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】