説明

エチレン/アルキルアクリレート共重合体、コンパウンド及びそれらの加硫化物

酸硬化部分含有コモノマーありまたはなしで、エチレンおよび少なくとも2種の異なるアルキルアクリレート・コモノマーから誘導された共重合体が開示される。共重合体は、(a)10〜50重量%のエチレン、(b)アルキル基中に1〜4個の炭素を有する20〜30重量%の第1アルキルアクリレート、(c)アルキル基中に1〜4個の炭素を有する35〜45重量%の第2の異なるアルキルアクリレート、および(d)0〜5重量%の1,4−ブテン二酸部分、またはその無水物もしくはモノアルキルエステル、から誘導することができ、残りがエチレンであり、共重合体は40,000より上の数平均分子量(Mn)を有する。これらの共重合体を含む配合組成物および硬化組成物(すなわち、加硫物)ならびに等速ジョイントブーツおよびシャフトブーツ、ホース、ダンパー、シールおよびガスケットなどの、これらの配合組成物から形成されたゴム物品もまた開示される。これらの共重合体は、拡大された操作温度範囲および耐油性を維持しながら硬化コンパウンドの向上した耐動的疲労性を提供する。他のポリマーとこれらの共重合体とのブレンドもまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンおよび少なくとも2種の異なるアルキルアクリレート・コモノマー、および酸硬化部分を含有する任意の追加のコモノマーから誘導されたエチレン共重合体に関する。本発明はまた、これらの共重合体を使用する配合組成物および硬化加硫物に関する。それはまた、組成物から誘導された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車および運送業界は、CVJブーツ、ガスケット、シール、ホース、ダンパーなどのような弾性特性を必要とする多数のボンネット内部品またはパワートレイン部品向けにエラストマー(ゴム様)材料を使用している。これらの部品は良好な耐熱性および耐油性を必要とする。多数の合成ポリマー材料がこれらの用途向けに提供されてきた。例えば、米国特許第3,873,494号明細書は、ブタジエン/アクリロニトリル・ポリマーの存在によって加速される過酸化物硬化系および酸化防止剤系の存在下での(とりわけ)弾性エチレン/(C1〜C4アルキル)アクリレート/(C5またはそれより大きいアルキル)アクリレート・ターポリマーの加硫を記載している。米国特許第4,275,180号明細書は、弾性エチレン/(C1〜C4アルキル)アクリレート/(C5またはそれより大きいアルキル)アクリレート・ターポリマーと熱可塑性ポリマーとの架橋性のまたは架橋したブレンドを含むポリマー組成物を記載している。米国特許第3,883,472号明細書および同第3,904,588号明細書は、エチレン/アクリルエステル/ブテン二酸モノエステル・ターポリマー、そのコンパウンドおよび加硫物を開示している。米国特許第5,498,669号明細書は、連続常圧硬化法に有用な、エチレン/アルキルアクリレート・ダイポリマー、中和されたエチレン酸共重合体(アイオノマー)および有機過酸化物のブレンドを開示している。
【0003】
PCT出願公開国際公開第05/010059号パンフレットは、耐熱性および耐油性とより低いガラス転移温度範囲とのバランスを有する、2種の異なるアルキルアクリレート・コモノマーと共重合させられたエチレンを含むエチレン共重合体を開示している。
【0004】
自動車業界における動向は、より広範囲(高いおよび低いの両方)の使用温度可能性と良好な耐流体性とを有して新たな性能要求を満たすための自動車部品の製造に使用されるエラストマー材料を必要としている。これらのエラストマーは向上した耐動的疲労性を有することもまた望ましい。特性と適度なコストとのかかる組み合わせが非常に望まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、共重合体、これらの共重合体を含む配合組成物、および加硫物を提供する。共重合体は、類似の以前の共重合体より高い数平均分子量および狭い分子量分布(多分散性)によって特徴づけられる。加硫物は、拡大された操作温度範囲で耐油性を維持しながら以前の加硫物よりも向上した耐動的疲労−亀裂性および耐熱性を示す。
【0006】
本発明は、エチレン、第1および第2アルキルアクリレート、ならびに酸またはその誘導体の総重量を基準として、約10〜約40重量%、または約20〜約30重量%の、アルキル基中に1〜4個の炭素を有する第1アルキルアクリレート、約15〜約65重量%、または約35〜約45重量%の、アルキル基中に1〜4個の炭素を有する第2の異なるアルキルアクリレート、0〜約5重量%、または約1〜5重量%、または約2〜5重量%の1,4−ブテン二酸部分またはその誘導体、およびエチレンである残りの共重合から誘導されたエチレン共重合体を含む組成物であって、誘導体が酸の無水物、もしくはモノアルキルエステル中のアルキル基が1〜約6個の炭素原子を有する酸のモノアルキルエステル、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり、そして共重合体が約40,000より上、あるいはまた48,000より上、あるいはまた60,000より上の数平均分子量(Mn)を有し、そして好ましくは約40,000または約45.000〜約65,000のMn、約3〜約30g/10分のメルトインデックス(MI)および約2.5〜約6、または2.5〜5の多分散性を有する組成物を提供する。
【0007】
本発明はまた、上記の共重合体を含み、そして硬化剤、および酸化防止剤、内側離型剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加硫促進剤、またはフィラーを含む任意選択の1種以上の添加剤をさらに含むまたはそれらから製造されたコンパウンド組成物(すなわち、加硫物の前駆体、そして本明細書では配合組成物または単にコンパウンドと言われる)を提供する。
【0008】
本発明はまた、エチレン・アルキルアクリレート共重合体、ポリアクリレート共重合体、またはそれらの組み合わせを含む少なくとも1種の追加のポリマーをさらに含むまたはそれから製造された上記の配合組成物を提供する。
【0009】
本発明はまた、共重合体を架橋させるのに十分な時間硬化させられ(例えば高温および高圧で)、そして任意選択的(optionally)に、加硫物をさらに硬化させるために後硬化させられる(例えば高温および周囲圧力で)上記の配合組成物を含む加硫物を提供する。
【0010】
本発明はまた、上記のように特徴づけられるようなものであるまたは上記のように特徴づけられる加硫物である組成物を含むまたはそれから製造された物品であって、等速ジョイントブーツ、I−シャフトブーツ、ハーフシャフトブーツ、スパークプラグブーツ、ホース、シール、ガスケット、ダンパー、ベルト、または点火ワイヤー外被を含む物品を提供する。
【0011】
本発明はまた、エチレンを、エチレン共重合体を製造するのに有効な条件下に、アルキル基中に1〜4個の炭素を有する第1アルキルアクリレート、アルキル基中に1〜4個の炭素を有する第2の異なるアルキルアクリレート、および任意選択的に1,4−ブテン二酸またはその誘導体(ここで、誘導体は酸の無水物またはモノアルキルエステルのアルキル基が1〜約6個の炭素原子を有する酸のモノアルキルエステルである)、またはそれらの2つ以上の組み合わせと接触させる工程を含む方法であって、第1アルキルアクリレートが約10〜約40重量%を占め、第2の異なるアルキルアクリレートが約15〜約65重量%を占め、酸またはその誘導体が0〜約5重量%を占め、重量%がエチレン、第1および第2アルキルアクリレート、ならびに酸またはその誘導体の総重量を基準とし、そして条件が120℃〜185℃の温度、約1900〜2810kg/cm2(186MPa〜267MPa)の圧力、および30℃〜90℃のフィード温度を含む方法を提供する。
【0012】
エチレン共重合体を硬化剤、任意選択的に1種以上の添加剤、および任意選択的に1種以上の追加のポリマーと組み合わせて配合組成物を製造する工程、任意選択的に配合組成物を所望の形状へ成形する工程、および配合組成物を同時にまたは逐次的に硬化させ、そして任意選択的に後硬化させて加硫物または物品を製造する工程をさらに含む上に特徴づけられた方法であって、添加剤が酸化防止剤、内部用離型剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加硫促進剤、もしくはフィラー、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含み、追加のポリマーがエチレン・アルキルアクリレート共重合体、ポリアクリレート共重合体、またはそれらの組み合わせを含み、そして物品が等速ジョイントブーツ、I−シャフトブーツ、ハーフシャフトブーツ、スパークプラグブーツ、ホース、シール、ガスケット、ダンパー、ベルト、および点火ワイヤー外被を含む方法もまた提供される。
【0013】
本発明はまた、上記の共重合体を含み、そしてさらなる硬化にかけられるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂もしくはビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂を含む第2ポリマーをさらに含むまたはそれから製造され、任意選択的に、さらにフィラー、強化繊維(連続もしくは不連続の、織られたもしくは不織の)またはパルプなどの繊維構造体を含む組成物を提供する。本発明はまた、本組成物を含むまたはそれから製造された物品であって、コーティング、積層、モールディング、押出、フィラメント・ワインディング、カレンダー掛けまたはそれらの組み合わせおよびその後の硬化などのプロセスから製造することができる物品を提供する。
【0014】
本発明はまた、エチレン共重合体を硬化剤、さらなる硬化にかけられるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、もしくはビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂またはポリアミドなどの熱可塑性樹脂を含む1種以上の追加のポリマー、および任意選択的にフィラー、強化繊維、パルプの繊維構造体、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む1種以上の添加剤と組み合わせて配合組成物を製造する工程、および配合組成物を物品へ二次加工する工程をさらに含む上に特徴づけられた方法であって、物品がプリント回路基板、ブレーキパッド、またはクラッチ面材を含み、二次加工する工程がコーティング、積層、モールディング、押出、フィラメントワインディング、カレンダー掛け、またはそれらの2つ以上の組み合わせ、およびその後の硬化を含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、同じコモノマー割合の他のポリマーより高い数平均分子量(Mn)、低いメルトインデックス(MI)および好ましくは低い多分散性を有する、エチレン、2種の異なるアルキルアクリレートおよび任意選択の酸硬化部位を含む共重合体を提供する。共重合体は、米国特許第3,883,472号明細書および同第3,904,588号明細書に記載されているものより低い反応器温度、高い反応器圧力、および高いフィード温度の組み合わせで共重合を実施することによって製造することができる。好ましくは、共重合体はランダム共重合体である。
【0016】
多分散性は、数平均分子量で除された重量平均分子量(Mw/MnまたはPD)と定義される。これらの分子量特性は、サイズ排除クロマトグラフィーを用いることによって測定することができる。
【0017】
「共重合体」は2種以上の異なるモノマーを含有するポリマーを意味する。用語「ターポリマー」および「テトラポリマー」はそれぞれ、3つおよび4つの異なるモノマーを含有するポリマーを意味する。
【0018】
上記の共重合体は、より高い数平均分子量(Mn)をもたらす、より低い反応器温度、より高い反応器圧力、およびより高いフィード温度の組み合わせで共重合を実施することによって製造することができる。運転は、120℃〜185℃、または140℃〜165℃の高温、1900〜2810kg/cm2(186MPa〜267MPa)、または2065〜2810kg/cm2(196MPa〜267MPa)の反応器圧力、および30℃〜90℃、または50℃〜90℃のフィード温度で、加圧反応器で実施される。
【0019】
共重合体は、ASTM(米国材料試験協会)方法E1356−98(変曲点を用いる)に従って乾燥/気化除去共重合体に関して示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される−25℃より下、好ましくは−30℃より下、より好ましくは−35℃より下のガラス転移温度(Tg)を示す。ヒートアップ速度は10℃/分である。本明細書で以下Tgデータの提示において、測定値はDSCに基づいたものであり、それはポリマーそれ自体に起因する低温特性に寄与する第2ポリマーのモルホロジー変化の代表的な再現性のある直接的な測定であることが指摘される。
【0020】
共重合体から製造された加硫物は、室温(23℃)でのデマチア(DeMattia)試験によって示されるように、加硫物またはそれらから製造された物品の向上した耐動的屈曲疲労性を提供する。デマチア試験は、試験サンプルを繰り返し曲げて全破損につながる亀裂をもたらすことができる回数を突き止める。より低い重量%の硬化部分を持ったより高い分子量の共重合体は、加硫物の耐熱性を向上させ、そしてさらに耐高温動的疲労性を高めることができる。
【0021】
本発明の加硫物はまた、可塑剤フリーのコンパウンド調合物で、150℃で168時間のASTM IRM 903油中への浸漬によってASTM D471−98に従って測定されて、110%未満、好ましくは90%未満の油浸漬体積増加(本明細書では以下「VI」と表される)を示す。
【0022】
本共重合体は、酸硬化部分ありまたはなしで、エチレン、アルキル基中に1〜4個の炭素を有する少なくとも2種の異なるアルキルアクリレートを含む。アルキル基は分岐または非分岐であることができる。例えば、アルキル基は、メチル、エチル、n−ブチルおよびイソ−ブチルから選択されてもよい。このように、より高次の共重合体(例えば、ペンタポリマーなど)だけでなくターポリマーおよびテトラポリマーの製造に使用されるアルキルアクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびイソ−ブチルアクリレートから選択されてもよい。好ましくは、メチルアクリレートまたはエチルアクリレートが第1アルキルアクリレートとして使用され、第2の異なるアルキルアクリレートはアルキル基中に2〜4個の炭素原子を有する(エチルアクリレートが第1アルキルアクリレートとして使用されるとき、第2アルキルアクリレートはアルキル基中に3または4個の炭素原子を有する)。アルキルアクリレートの組み合わせには、メチルアクリレートとエチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、およびイソ−ブチルアクリレートからなる群から選択された第2アルキルアクリレートとの組み合わせが含まれる。n−ブチルアクリレートとのメチルアクリレートもまた、組み合わせである。全アクリレート含量は、共重合体の約40〜約75重量%または約47〜約70重量%存在してもよい。
【0023】
例えば、第1アルキルアクリレートはメチルアクリレート、エチルアクリレート、またはそれらの組み合わせであり、第2アルキルアクリレートはアルキル基中に3または4個の炭素原子を有し、そして共重合体は約40,000または約45,000〜約65,000のMnおよび約2.5〜5の多分散性を有する。
【0024】
ターポリマーは硬化部分成分を全く含有しないが、テトラポリマーおよび高次共重合体は1,4−ブテン二酸部分、または酸の無水物もしくはモノアルキルエステルを含有してもよい。共重合体が1,4−ブテン二酸部分、またはその無水物もしくはモノアルキルエステルを含有するとき、それらは全共重合体の約1〜5重量%、または2〜5重量%、または2〜4重量%で存在することができる。エステルのアルキル基が1〜6個の炭素原子を有する、1,4−ブテン二酸のモノアルキルエステルを含む酸硬化部分は注目すべきである。1,4−ブテン二酸およびそのエステルはシス型かトランス型かのどちらか、すなわちマレイン酸およびフマル酸で存在する。どちらのモノアルキルエステルも満足できるものである。メチル水素マレエート、エチル水素マレエート、プロピル水素マレエート、ブチル水素マレエート、またはそれらの2つ以上の組み合わせが酸硬化部分として特に満足できるものである。
【0025】
エチレンはターポリマーでは第3成分であり、テトラポリマーでは第4成分である。そのようなものとして、エチレンは、必要とされる2種以上の異なるアルキルアクリレートおよび任意の酸性硬化部分・コモノマーに対して共重合体の残りを本質的に表す、すなわち、重合したエチレンは共重合体中に補完的な量で存在する。
【0026】
共重合体の例には、エチレン(E)、メチルアクリレート(MA)およびn−ブチルアクリレートの共重合体、エチレン、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびメチル水素マレエートの共重合体、エチレン、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびエチル水素マレエートの共重合体、エチレン、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびプロピル水素マレエートの共重合体、ならびにエチレン、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびブチル水素マレエートの共重合体が挙げられる。
【0027】
当該技術で知られるような少量の他のコモノマーは、共重合体Tgの有意な上昇が全く生じないという条件で共重合体へ組み入れることができる。こうして例えば、少量(数パーセント)のアルキルメタクリレート・コモノマーを2種の異なるアルキルアクリレートに加えて使用することができると考えられる。
【0028】
総アルキルアクリレートおよび任意の酸硬化部分・モノマーの量は、最終共重合体中に必要量の(−CO2−)単位を提供するように調節される。ポリマー中の総(−CO2−)単位は、2種以上のアクリレート・コモノマー中および1,4−ブテン二酸部分(存在する場合)中の酸およびエステル基の合計である。総(−CO2−)量(百分率単位での)がポリマーの極性を決定し、こうして耐油性(すなわち油の存在下での膨潤に対する抵抗)に影響を及ぼすことが分かった。硬化部分の重量パーセントを下げると、耐動的疲労性を向上させる。
【0029】
油膨潤に影響を及ぼすことに加えて、(−CO2−)含有成分のそれぞれは、異なる重み係数でTgに影響を及ぼすかもしれない。例えば、メチルアクリレートはn−ブチルアクリレートより以上に重量単位でのTg増加割合を増やすかもしれないが、1,4−ブテン二酸のモノアルキルエステルはメチルアクリレートができるより以上にTgを高くするかもしれない。共重合体中のエチレンの量は極性成分の量に依存するかもしれない。エチレンのより高い百分率はより低いTgに寄与するかもしれないが、所望の弾性特性を犠牲にしてそうするかもしれない。いったん共重合体中の硬化部分・モノマー量が必要とされる硬化化学に基づいて固定されると、低温性能および耐油性の最終ターゲットに基づいてアクリレートの総量および2つのアクリレートの相対的分布を最適化する必要がある。ポリマー中に不飽和含有成分が全くなく、そして硬化化学が未変化のままである限り、耐熱性は同じもののままである。
【0030】
第1アルキルアクリレートがメチルアクリレートかエチルアクリレートかのどちらかであり、そして第2アルキルアクリレートがアルキル基中に3または4個の炭素原子を有し、好ましくは総アクリレート含量が共重合体の約40〜75重量パーセント、または約47〜70重量パーセントを占め、好ましくは第1アルキルアクリレートがメチルアクリレートであり、そして第2アルキルアクリレートがn−ブチルアクリレートであり、より好ましくは20〜30重量%のメチルアクリレート・コモノマー、35〜45重量%のn−ブチルアクリレート・コモノマー、および2〜5重量%の1,4−ブテン二酸のモノエチルエステル・コモノマーを含む共重合体を含む組成物が注目される。
【0031】
第1アルキルアクリレート・コモノマーが共重合体中に10〜40重量%で存在するメチルアクリレートであり、そして第2アルキルアクリレートが共重合体中に、メチルアクリレートが23〜40重量%の範囲内で存在するときの15重量%の下限から、およびメチルアクリレートが10重量%で存在するときの47重量%の下限から、および10重量%メチルアクリレートでの下限と23重量%メチルアクリレートでの下限との間で直線的に変わる下限から、メチルアクリレートが40重量%で存在するときの35重量%の上限まで、およびメチルアクリレートが10重量%で存在するときの65重量%の上限まで、およびメチルアクリレート40〜10重量%の間で直線的に変わる上限まで存在するn−ブチルアクリレートである共重合体が注目すべきである。
【0032】
第1アルキルアクリレート・コモノマーが共重合体中に15〜30重量%で存在するメチルアクリレートであり、そして第2アルキルアクリレートが共重合体中に、メチルアクリレートが27〜30重量%の範囲内で存在するときの20重量%の下限から、およびメチルアクリレートが15重量%で存在するときの45重量%の下限から、および15重量%メチルアクリレートでの下限と27重量%メチルアクリレートでの下限との間で直線的に変わる下限から、メチルアクリレートが30重量%で存在するときの45重量%の上限まで、およびメチルアクリレートが15重量%で存在するときの60重量%の上限まで、およびメチルアクリレート30〜15重量%の間で直線的に変わる上限まで存在するn−ブチルアクリレートである共重合体が注目すべきである。
【0033】
酸硬化部分なしの共重合体(ターポリマー)は、例えば過酸素化合物またはアゾ化合物を含むフリーラジカル重合開始剤の存在下に、エチレンおよびアルキル基中に1〜4個の炭素を有する2種の異なるアルキルアクリレートを共重合させることによって容易に製造することができる。酸硬化部分ありの共重合体(テトラポリマー)は、エチレン、アルキル基中に1〜4個の炭素を有する2種の異なるアルキルアクリレート、および1,4−ブテン二酸部分、その無水物、またはモノアルキルエステルを共重合させることによって同様に製造することができる。
【0034】
共重合は、エチレン、第1および第2アルキルアクリレート、必要ならば酸硬化部分・コモノマー(例えば酸のモノアルキルエステル)、フリーラジカル開始剤、および任意選択的にメタノールなどのような溶媒を、米国特許第2,897,183号明細書に開示されているタイプの撹拌オートクレーブに連続的にフィードすることによって行われてもよい(例えば、米国特許第5,028,674号明細書を参照されたい)。あるいはまた、中間冷却または加熱ありまたはなしの、多重区画およびフィードゾーンありの単独でか直列でかのどちらかで運転される、オートクレーブのような当該技術で一般に公知の、十分な混合、滞留時間、温度および圧力コントロール付きの他の高圧反応器デザインが用いられてもよい。容量、長さおよび直径などの反応器寸法もまた運転条件に影響を及ぼすかもしれない。転化の速度は、重合温度および圧力、モノマーフィード温度、用いられる異なるモノマー、反応混合物中のモノマーの濃度、ならびに所望の収率および共重合体組成物のための滞留時間などの変数に依存するかもしれない。滞留時間を調節することおよび、幾つかのケースでは、分子量を調整するために、プロパンなどのテロゲン(連鎖移動剤/連鎖停止剤)を使用することが望ましいかもしれない。反応混合物はオートクレーブから連続的に取り出される。反応混合物が反応容器を出た後に、共重合体は、例えば、重合していない物質および溶媒を減圧下におよび高温で気化させることによって未反応モノマーおよび溶媒(溶媒が使用された場合)から分離される。用語「フィード温度」および「モノマーフィード温度」は、コモノマーが反応器へのそれらの導入前にコントロールされる温度を意味する。
【0035】
共重合は、加圧反応器中、120℃〜185℃、または140℃〜165℃の高温、1900〜2810kg/cm2(186MPa〜267MPa)または2065〜2810kg/cm2(196〜267MPa)の圧力、および30℃〜90℃、または50℃〜90℃のフィード温度で実施することができる。
【0036】
共重合法のための適切な過酸化物開始剤は、温度および圧力、使用されるコモノマー、コモノマー濃度、および商業的に入手可能なコモノマー中に典型的に存在する阻害剤などの、反応器運転条件に依存するかもしれない。開始剤は液体としてニートで、無臭ミネラルスピリッツなどの好適な溶媒に溶解されてまたは希釈されて、または別の異なる開始剤と混合されて用いることができる。フリーラジカル開始剤として有用な一般クラスの有機過酸化物には、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシケタール、およびジアシルペルオキシドが含まれる。好適な過酸化物の例には、ジ(3,3,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、第三ブチルペルオキシピバレート、第三ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ(第二ブチル)ペルオキシジカーボネート、および第三アミルペルオキシネオドデカノエートが挙げられる。これらのおよび他の好適な過酸化物は、ArkemaからLuperox(登録商標)商品名またはAkzo NobelからTrigonox(登録商標)商品名で入手可能である。同様に、好適なアゾ開始剤を使用することもできる。
【0037】
連続運転が定常状態に達した後に、ポリマーへのモノマーのパス当たり総転化率は5〜25重量%で変わるかもしれない。共重合体のメルトインデックス(MI)はその分子量におおよそ関係するかもしれず、MIが低ければ低いほど分子量はより高い。MI値は、ASTM(米国材料試験協会)試験方法D1238−01(手順A、条件190/2.16)に記載されているように190℃で測定される。共重合体は、重合条件またはテロゲン添加物の使用に依存して、典型的にはしかし限定的ではなく約3〜約30g/10分、または約3〜約25g/10分で変わるMIを有する。組成物中の酸硬化部位モノマー、例えばアルキル水素マレエートの重量パーセントは、標準化メタノール苛性力価でのフェノールフタレン指示薬(または類似のもの)を用いる終点滴定と、加熱/還流されるキシレン/ブタノール混合物に溶解されたポリマーの既知量とによって測定することができる。各アルキルアクリレートの重量パーセントは、プロトン核磁気共鳴(NMR)またはNMRによる較正後のフーリエ変換赤外(FTIR)分析によって測定することができる。
【0038】
組成物はしばしば、アルキルアクリレートの、幾らかのモノマー残存物を含有する。モノマー残存物の除去は、当該技術で気化除去(devolatilization)または仕上げ工程として一般に公知である。小さな実験室規模の調製については、気化除去は、真空オーブン中である時間加熱すること(例えば、635mmHg減圧で140℃に4時間加熱すること)によって成し遂げることができる。より大きい規模の調製については、残存物は、高温で真空ポート付き単軸または二軸スクリュー押出機を通して処理することによって除去することができる。任意選択的に、共重合体を仕上げる際に、剥離剤(表AにリストされるR2などの)がハンドリングを向上させるために約0.1〜1重量%で添加されてもよい。
【0039】
あるいはまた、仕上げは、ポリマー溶融物上流へ注入される、少量の過酸化物、もしくは架橋助剤または両方の組み合わせを使用することによって成し遂げることができる。使用される過酸化物は好ましくは、150〜250℃の範囲内で容易に分解するものである。好適な過酸化物の例には、ジクミルペルオキシド、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、およびα,α−ビス(tブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼンが挙げられる。過酸化物はミネラルスピリットに溶解されてもよい。注入される過酸化物の量は、アクリレート・タイプ、残存物のレベル、および二軸スクリュー押出機加工条件で変わるかもしれない。典型的な範囲は、200ppm〜8000ppm、あるいはまた500ppm〜5000ppmであるかもしれない。仕上げ共重合体中の残存物レベルは好ましくは2500ppmより下、より好ましくは1500ppmより下、さらにより好ましくは1000ppmより下である。架橋助剤、例えば、サルトマー(Sartomer)351として入手可能な、約500〜約4500ppmのトリメチロールプロパントリアクリレートを使用することができる。任意選択的に、剥離剤(表AにリストされるR2などの)がハンドリングを向上させるために約0.1〜1重量パーセント添加されてもよい。
【0040】
仕上げ操作で、スクリューサイズおよびデザインは、処理することができる共重合体の量に影響を及ぼすかもしれないし、順繰りに、例えばスクリュー速度、滞留時間、任意選択の過酸化物量および任意選択の架橋助剤の量を含む適切な処理変数の選択に影響を及ぼすかもしれない。当業者は、好適な仕上げ組成物の調製に必要である、これらの変数間でバランスを達成するように適切な処理変数をデザインすることができる。仕上げ変数の調節は、仕上げ組成物中に存在する残存モノマー(すなわち、ガスクロマトグラフィーヘッドスペース分析によって測定される、フリーコモノマー)のレベルに影響を及ぼし得る。
【0041】
上記の仕上げエチレン共重合体は、追加の材料と混合されて(配合として当該技術で公知のプロセス)配合組成物を提供し、それは硬化させられて(加硫として当該技術で公知のプロセス)加硫物を提供することができる。組成物は次の手順に従って配合し、硬化させることができる。
【0042】
配合は、仕上げ共重合体を、硬化剤、酸化防止剤、内部用離型剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加硫促進剤、フィラーなどのような添加原料と組み合わせることを含む。好ましいおよび注目すべき配合組成物は、上記の好ましいおよび注目すべき共重合体を含む。
【0043】
任意選択的に、共重合体は、当該技術で一般に知られているようなポリアクリレート共重合体(いわゆるACMタイプ材料)、例えば、エチルアクリレート/ブチルアクリレート/メトキシエチルアクリレート/硬化部位などと組み合わせるだけでなく、当該技術で一般に知られているようなエチレンダイポリマーおよびターポリマー(いわゆるAEMタイプ材料)、例えば、40,000未満の数平均分子量のエチレン/メチルアクリレートダイポリマーまたはエチレン/メチルアクリレート/酸硬化部位ターポリマーなどを含む、エチレン・アルキルアクリレート共重合体と組み合わせるまたはブレンドすることができる。AEM材料(例えばより低い分子量のエチレン/メチルアクリレート/酸硬化部位)とのブレンドは、向上した耐動的疲労性だけでなく、向上した低温度柔軟性を提供するかもしれない。ポリアクリレートACM材料(例えばエチルアクリレート/ブチルアクリレート/メトキシエチルアクリレート、エチルアクリレート/ブチルアクリレート/硬化部位など)とのブレンドは、向上した加工性および低温度柔軟性を提供するかもしれない。
【0044】
コンパウンドの原料(共重合体、硬化剤、添加剤、および/または追加のポリマーを含む)は、内部ミキサー(例えば、Banburyミキサー、2ロールミルおよび十分に分散された混合物を達成するための当該技術で公知の、他の類似混合装置などの公知装置で混合することができる。
【0045】
配合後に、組成物は加硫することができる。好ましいおよび注目すべき加硫組成物は、好ましいおよび注目すべき上記の共重合体および配合組成物を含む。任意選択的に様々なフィラー、他の添加剤および/またはポリマーと一緒に未架橋(未加硫)共重合体および硬化剤のブレンドは、共有化学結合(すなわち、架橋)を達成するのに十分な時間、温度および圧力で硬化工程にかけられる。加硫は、配合組成物を高温で、および高圧で共重合体を架橋するのに十分な時間硬化させること(しばしば実験室調製ではプレス硬化と言われる)、引き続きエラストマーをさらに硬化させるための周囲圧力での後硬化加熱を含む。例えば、加硫物は、公知の手順を約160℃〜約200℃で約2〜60分間用いて形成され、硬化されてもよい。後硬化加熱は約160℃〜約200℃で1〜数時間行われてもよい。
【0046】
酸硬化部位なしの共重合体を含むものなどの配合組成物は、例えば、過酸化物および任意選択的に架橋助剤を含む過酸化物硬化系の存在下に加硫することができる。好適な過酸化物および架橋助剤には本質的に、加硫中に用いられつつある温度で有効な、本明細書に記載されるものを含む、当該技術で一般に知られているような任意の硬化剤系が含まれる。好ましい過酸化物は、α,α−ビス(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン(商品名Vul−cup(登録商標)でGEO Specialty Chemicalsから入手可能な)である。100部のポリマー当たり(phr)約0.5〜5重量部の過酸化物が組成物を加硫するために用いられてもよい。より安全なハンドリングおよび混合のために、過酸化物は不活性キャリア上で提供されてもよい。過酸化物硬化系は、ダイポリマーかターポリマーかのどちらでも用いることができる。
【0047】
過酸化物硬化に使用される架橋助剤または加硫促進剤は、例えば、N,N’−(m−フェニレン)ジマレアミド、トリメチロールプロパントリメチルアクリレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、テトラメチレンジアクリレート、またはポリエチレンオキシドグリコールジメタクリレートであることができる。好ましい架橋助剤/加硫促進剤は、HVA−2としてDuPont Performance Elastomersから入手可能な、N,N’−(m−フェニレン)ジマレアミドである。架橋助剤の量は、100部のポリマー当たり約0〜5重量部、好ましくは100部のポリマー当たり約1〜5重量部であってもよい。
【0048】
酸硬化部位を含有する共重合体で使用することができる加硫剤または硬化剤には、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(HMDAC)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、トリエチレンテトラミン、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン−シンナムアルデヒド付加体、およびヘキサメチレンジアミン・ジベンゾアート塩などの、ジ−およびマルチ−官能性アミン硬化系が含まれる。芳香族アミンもまた硬化剤として使用することができる。2つ以上の硬化剤の組み合わせもまた使用されてもよい。硬化剤はニートでまたは不活性キャリア中で添加されてもよい。水性HMDAを使用する硬化方法は米国特許第7,001,957号明細書に記載されている。
【0049】
酸硬化部位含有ポリマーの加硫はまた、当該技術で一般に公知の様々な加硫促進剤を含むことができる。代表的な加硫促進剤には、グアニジン、アリールグアニジン、アルキルグアニジンまたはそれらの混合物が含まれる。実例加硫促進剤はテトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、およびジ−オルト−トリルグアニジンである。グアニジン型加硫促進剤の適用のレベルは、百の共重合体当たり(phr)1〜6部、好ましくは3〜5phrである。好ましい加硫促進剤はジフェニルグアニジン(DPG)およびジ−オルト−トリルグアニジン(DOTG)、またはそれらの組み合わせである。
【0050】
硬化プロセスは、例えば、Banbury型内部ミキサー中でまたはロールミルで混合されつつある他の原料と一緒に、モノエステル酸硬化部分・モノマーを含有する100重量部の共重合体当たり1.25部のHMDACおよび4部のDOTG(あるいはまた2部のDPGおよび2部のDOTG)を使用してもよく、これに約84kg/cm2(8.24MPa)の圧力で、180℃で5〜30分間の硬化工程(米国特許第3,904,588号明細書を参照されたい)および任意選択的に160〜180℃で1〜数時間の後硬化が続く。
【0051】
加硫物は、リンエステル酸化防止剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、アミン酸化防止剤、またはこれらの化合物の2つ以上の混合物に典型的に基づく、しかしそれらに限定されない酸化防止剤系を含有してもよい。加硫する組成物中の酸化防止剤化合物の割合は、百部のポリマー当たり0.1〜5重量部、好ましくは百部のポリマー当たり約0.5〜2.5重量部である。酸化防止剤は、加硫物の空気熱老化を改善する。この範囲の下限より下では、酸化防止剤効果は低いかもしれない。混合物中のフェノール系またはアミン酸化防止剤対リン化合物の重量比は約0.5対3、好ましくは約1であることができる。
【0052】
リンエステルは例えば、トリ(混合モノ−およびジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスフェート、高分子量ポリ(フェノールホスフェート)、および6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンジル−6H−ジベンズ−[c,c][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド、またはそれらの2つ以上の組み合わせであることができる。
【0053】
好適なヒンダードフェノール酸化防止剤は、例えば、4,4’ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾールおよび4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、またはそれらの2つ以上の組み合わせであることができる。
【0054】
アミン酸化防止剤には、例えば、重合した2,2,4−トリメチル−1,2−デヒドロキノリン、N−フェニル−N’−(p−トルエンスルホニル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ(β−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、および4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0055】
酸化防止剤組成物は、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)か4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンかのどちらかと混合されたトリ(混合モノ−およびジノニルフェニル)ホスファイトを含有することができる。特に好ましい酸化防止剤組成物は、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−ジフェニルアミン(ChemturaからNaugard(登録商標)445として商業的に入手可能な)を含有する。
【0056】
フィラーは、コストを削減するために、そして機械的特性を向上させるために使用することができる。加硫組成物は、25〜60または70容量パーセントのフィラー、あるいはまた百部のポリマー当たり30〜120または150部のフィラーを含有してもよい。好適なフィラーには、例えばしかし限定のつもりはなく、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムまたはシリカ、特にカーボンブラックが含まれる。好ましい割合は、フィラーの粒度などの因子によって影響を及ぼされ得る、使用されるフィラーの強化効果に依存し得る。
【0057】
可塑剤フリーの共重合体(ターポリマー、テトラポリマー、および高次物)の加硫物は、110%未満、好ましくは90%未満の油膨潤、−25℃より下、好ましくは−30℃より下、より好ましくは−35℃より下のTg、ならびに以前の共重合体と比較して類似の耐熱老化性および向上した耐動的疲労性を示す。
【0058】
より高い分子量の低Tg共重合体はまた、ブーツ、ホース、ダンパー、シールおよびガスケットなどの用途向けに温度能力を低くするために、ポリアクリレート(例えばエチルアクリレート/ブチルアクリレート/メトキシエチルアクリレート、エチルアクリレート/ブチルアクリレート/ブテン二酸モノアルキルエステル/硬化部分など)とのだけでなく単一アルキルアクリレートから誘導された既存の共重合体(例えばエチレン/メチルアクリレート/酸硬化部分)とのブレンドにも使用することができる。
【0059】
いったん架橋されると、本明細書に開示される組成物は本質的に熱可塑性ではなく、だから製造される物品は、モールディングまたは押出手順によって所望の形状へ成形され、同時にまたは逐次的に硬化させられてもよい。
【0060】
加硫物は、CVJブーツ、スパークプラグブーツ、I−シャフトブーツ、ハーフシャフトブーツおよび他の種々雑多な成形ブーツ、点火ワイヤー外被、ホース、ベルト、ダンパー、チューブ材料、シールならびにガスケットを含む、多種多様な自動車および非自動車物品に使用することができる。ホースには、ターボチャージャーホース、ターボディーゼルエアクーラーホース、変速機オイルクーラーホース、パワーステアリングホース(低圧)、エアコンホース、エアダクト、燃料ラインカバー、およびベントホースが含まれるが、それらに限定されない。加硫物はまた、クランクシャフトねじれダンパーにとっておよびグロメットなどの騒音管理部品にとって有用である。
【0061】
物品は、硬化剤、酸化防止剤、内部用離型剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加硫促進剤、フィラーなどのような添加される原料と共重合体を配合する工程と、例えば、射出成形、圧縮成形またはトランスファー成形によって組成物を所望の形状へ成形する工程とによって製造することができる。組成物はモールド中に高温および高圧で架橋(硬化)を開始するための時間保持され、造形組成物は次にモールドから取り出され、任意選択的に硬化を続行するために周囲圧力で加熱される(後硬化)。
【0062】
ホースなどの幾つかのケースでは、上記のような配合組成物は、適切にデザインされたダイを通しての押出によって造形品へ成形することができる。最初に造形された物品は、硬化前のまだ成形しやすい間にマンドレルで成形することによってさらに造形することができる。ホースおよびチューブは、必要な熱および圧力を提供するための過熱スチーム、熱風または窒素などの熱い不活性ガスでの処理によって硬化させることができる。
【0063】
幾つかの物品は、本明細書に記載されるような組成物に加えてエレメントを含んでもよい。例えば、本発明の組成物が金属またはプラスチックエレメントの周りに成形されている物品(例えばシール)が製造されてもよい。他の物品(例えばホース)は、強化繊維、繊維構造体またはコーディングがそれらの中に組み入れられて押し出すことができる。
【0064】
本共重合体は、弾性加硫物を形成することができる組成物でのそれらの使用の観点から主として本明細書では議論されているが、それらはまた他の用途に使用されてもよい。従って、本発明はまた、上記の共重合体を含み、そしてさらなる硬化にかけられるエポキシ樹脂、フェノール樹脂もしくはビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂を含む第2ポリマーをさらに含みまたはそれらから製造され、任意選択的にフィラー、強化繊維またはパルプなどの繊維構造体をさらに含む組成物を提供する。強化繊維は、連続もしくは不連続の、織られたもしくは不織であることができる。繊維は、ガラス、炭素(グラファイト)、パラ−アラミド、メタ−アラミド、金属または鉱物でできていてもよい。硬化プロセスには、例えばしかし限定されずに、加熱および任意選択的に加圧ありの、過酸化物ベースの系、あるいはジ−およびマルチ−官能性アミン系の使用が含まれる。
【0065】
本共重合体は、例えばしかし限定されずに、ポリアミド組成物のために強化(例えば、ポリアミド組成物中に30重量%未満の共重合体で)を提供する。ポリアミドには、当該技術で公知のものが含まれる。ポリアミドは一般に、ラクタムもしくはアミノ酸から製造するか(例えばナイロン−6もしくはナイロン−11)、またはヘキサメチレンジアミンなどのジアミンとコハク酸、アジピン酸、もしくはセバシン酸などの二塩基酸との縮合で製造することができる。これらのポリアミドの共重合体およびターポリマーもまた含まれる。ポリアミドには、ポリイプシロンカプロラクタム(ナイロン−6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−66)、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−12,12ならびにナイロン−6/66、ナイロン−6/10、ナイロン−6/12、ナイロン−66/12、ナイロン−6/66/610およびナイロン−6/6Tなどの共重合体およびターポリマー、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。注目すべきポリアミドは、ポリイプシロンカプロラクタム(ナイロン−6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−66)、特にナイロン−6、またはそれらの2種以上の組み合わせである。上記のポリアミドに加えて、非晶質ポリアミドなどの他のポリアミドもまた使用されてもよい。
【0066】
本共重合体を含むおよび少なくとも1種の追加のポリマーをさらに含む組成物を含むまたはそれから製造された物品は、コーティング、積層、モールディング、押出、フィラメント・ワインディング、カレンダー掛けまたはそれらの組み合わせなどのプロセスで製造することができる。かかる物品の例には、プリント回路基板、ブレーキパッド、クラッチ面材および強靱化熱硬化性樹脂から二次加工された他の物品が挙げられる。
【0067】
本発明はそのある種の実施形態に関して特に示され、記載されてきたが、形態および詳細での様々な変更が本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われてもよいことは当業者によって理解されるかもしれない。次の実施例は例示的なものであるにすぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0068】
例えば、共重合体は、6.8kg/hのエチレン・フィード速度、0.8kg/hのメチルアクリレート・フィード速度、1.3kg/hのn−ブチルアクリレート・フィード速度、72g/hのエチル水素マレエート・フィード速度、0.45kg/hのメタノール溶媒フィード速度、および1.14kg/hのプロパンテロゲン・フィード速度で、145℃の反応器温度および2180kg/cm2(214MPa)の圧力、50℃のフィード温度での高圧パイロット規模オートクレーブ反応器で製造した。無臭ミネラルスピリットに5容量%に希釈した、ジ(第二ブチル)ペルオキシジカーボネート(アーケマ製のルペロックス(登録商標)225)開始剤を使用した。
【0069】
この方法は、24.8g/10分の平均MIを有する共重合体を1.6kg/hの平均速度で提供した。共重合体は、50,700の数平均分子量Mnおよび3.69の多分散性で、23重量%のMA、40重量%のnBAおよび3.2重量%のエチル水素マレエートを含んだ。
【0070】
他の共重合体を同様に製造し、表1にまとめる。表中「−−」はデータなしを表す。最終共重合体中のコモノマーの量は、特に明記しない限り、重量パーセントで示す。
【0071】
Tgは、気化除去サンプル(実験室規模サンプルについて、140℃、635mmHg減圧で4時間真空オーブン乾燥することによる)に関して以前に記載した方法によって測定した。
【0072】
共重合体の分子量は、当該分野に共通のサイズ排除クロマトグラフィー(GPC、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)としても知られる)技法を用いることによって測定した。Waters Corporation(Milford,MA)製のGPCV2000TMなどの、集積マルチ検出器サイズ排除クロマトグラフィーシステムを用いた。それは、注入器から検出器までのポリマー溶液の全体パスにわたって一定温度を保つことかできる。2つの差動オンライン検出器:屈折率検出器および毛細管粘度計検出器を直列で用いた。分離のために、システムには4つの8mm×300mmスチレン−ジビニルベンゼン・カラム:すべてShodex(日本国)製の、2つの線状GPC KF806M、1つのGPC KF802および1つのGPC KF−801があった。移動相は、0.05%ブチル化ヒドロキシトルエンで安定化されたテトラヒドロフラン(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)であった。カラムを、580〜7,500,000のピーク分子量の、10の狭い多分散性(<1.1)ポリスチレン(PS)標準セット(Polymer Laboratories)で較正した。試験サンプルは、濾過なしの連続の適度なかき混ぜ(Polymer Laboratories(Church Stretton,UK)製の自動サンプル調製システムPL260TM)を使ってポリマーを40℃で移動相溶剤に溶解させることによって調製した。サンプルをカラムへ注入し、データを集めた。運転条件は、温度、40℃;流量、1.0ml/分;注入量、0.219ml;ラン時間、90分であった。データをWaters製のEmpowerTM 1.0 Chromatography Data Managerで解析した。
【0073】
共重合体を、次の一般手順に従って、硬化剤、スコーチ防止剤、加硫促進剤、フィラー、剥離助剤、酸化防止剤および可塑剤を含む追加の成分(下の表Aを参照されたい)と配合した。
【0074】
それぞれの出発原料をアップサイド−ダウン混合手順および100℃のダンプ温度を用いてBまたはOOCサイズのBanbury・ミキサーで混合し、引き続き2ロールミルで、約25℃でさらに混合して均一な混合物を達成した。本明細書で以下の表での成分の量はポリマーの百当たりの部(phr)で提供する。
【0075】

【0076】
1.9mm公称厚さの加硫スラブは、配合組成物を約4140kPaの圧力で、177℃(または180℃)で5〜10分間プレス硬化させることによって製造した。加硫物を次に周囲圧力で、175℃で1〜4時間、後硬化させた。3mm公称厚さのスラブを同様に製造した。スラブを材料特性試験のための試験クーポンへカットした。
【0077】
デマチア試験用のサンプルは、配合組成物を約4140kPaの圧力で、177℃〜180℃で10〜20分間試験クーポンへ成形し、次に周囲圧力で、175℃で4時間、後硬化させることによって製造した。
【0078】
圧縮永久歪み試験はASTM D395−02に従って行った。熱老化試験はASTM D573−99に従って行った。ムーニー(Mooney)粘度およびムーニー・スコーチ試験はASTM D1646−03に従って行った。MDR試験はASTM D5289−95(2001年に再承認された)に従って行った。デマチア試験はASTM D813−95(2000年に再承認された)に従って行った。流体老化試験はASTM D471−98に従って行った。
【0079】
次の実施例は、エチレン、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよび追加の酸硬化部分・コモノマーから誘導されたエチレン共重合体を含む材料を例示する。表1で、実施例2および3は、より低い反応器温度およびより高いフィード温度が比較例C1、パイロット規模テトラポリマーと比較して分子量を上げるおよび多分散性を下げる一因であったことを例示する。各共重合体を2つの調合物で配合した。
【0080】

【0081】
表1中のコンパウンドを、177℃で5分間プレス硬化させ、175℃で4時間、後硬化させることによって加硫した。これらを熱老化および流体老化について試験し、結果を表2にまとめる。
【0082】

【0083】
表3は、表2からの加硫物を例示し、比較例C111との実施例113の比較によって示唆されるように、亀裂成長に対する向上した動的抵抗性を示す。
【0084】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン、第1および第2アルキルアクリレート、ならびに酸またはその誘導体の総重量を基準として、約10〜約40重量%の第1アルキルアクリレート、約15〜約65重量%の第2アルキルアクリレート、および0〜約5重量%の1,4−ブテン二酸またはその誘導体の共重合から誘導されたエチレン共重合体を含む組成物であって、
前記第1アルキルアクリレートがアルキル基中に1〜4個の炭素、好ましくはメチルアクリレート、エチルアクリレート、またはそれらの組み合わせを有し、
前記第2アルキルアクリレートが前記第1アルキルアクリレートとは異なり、そしてアルキル基中に1〜4個、好ましくは3または4個の炭素原子を有し、
前記誘導体が前記酸の無水物、もしくはモノアルキルエステル中のアルキル基が1〜約6個の炭素原子を有する前記酸のモノアルキルエステル、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり、かつ、
前記共重合体が40,000より上、好ましくは約45,000〜約65,000の数平均分子量(Mn)、約3〜約30g/10分のメルトインデックス(MI)、および約2.5〜約6、好ましくは約2.5〜5の多分散性を有する組成物。
【請求項2】
前記第1アルキルアクリレートがメチルアクリレートであり、そして前記第2アルキルアクリレートがn−ブチルアクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1アルキルアクリレートが10〜40重量%存在し、そして前記第2アルキルアクリレートが前記共重合体中に、前記第1アルキルアクリレートが23〜40重量%の範囲内で存在するときの15重量%の下限から、および前記第1アルキルアクリレートが10重量%で存在するときの47重量%の下限から、および10重量%の前記第1アルキルアクリレートでの下限と23重量%の前記第1アルキルアクリレートでの下限との間で直線的に変わる下限から、前記第1アルキルアクリレートが40重量%で存在するときの35重量%の上限まで、および前記第1アルキルアクリレートが10重量%で存在するときの65重量%の上限まで、および前記第1アルキルアクリレート40〜10重量%の間で直線的に変わる上限まで存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記メチルアクリレートが前記共重合体中に15〜30重量%で存在し、そしてn−ブチルアクリレートが前記共重合体中に、メチルアクリレートが27〜30重量%の範囲内で存在するときの20重量%の下限から、およびメチルアクリレートが15重量%で存在するときの45重量%の下限から、および15重量%メチルアクリレートでの下限と27重量%メチルアクリレートでの下限との間で直線的に変わる下限から、メチルアクリレートが30重量%で存在するときの45重量%の上限まで、およびメチルアクリレートが15重量%で存在するときの60重量%の上限まで、およびメチルアクリレート30〜15重量%の間で直線的に変わる上限まで存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記エチレン共重合体が20〜30重量%のメチルアクリレート、35〜45重量%のn−ブチルアクリレート、およびメチル水素マレエート、エチル水素マレエート、プロピル水素マレエート、ブチル水素マレエート、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択された2〜5重量%の1,4−ブテン二酸のモノエチルエステル・コモノマーから誘導され、そして前記共重合体が約45,000〜約65,000のMnおよび約2.5〜約5の多分散性を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
酸硬化部分が前記共重合体の約1〜5重量%を占め、そしてメチル水素マレエート、エチル水素マレエート、プロピル水素マレエート、ブチル水素マレエート、またはそれらの2つ以上の組み合わせである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
硬化剤、添加剤、および任意選択的に追加のポリマーをさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物であって、前記添加剤が酸化防止剤、内側離型剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加硫促進剤、フィラー、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含み、前記追加のポリマーがエチレン・アルキルアクリレート共重合体、ポリアクリレート共重合体、またはそれらの組み合わせを含み、そして前記組成物が、任意選択的に、硬化させられたまたは後硬化させられた組成物である組成物。
【請求項8】
硬化剤、第2ポリマー、および任意選択的に添加剤を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物であって、前記第2ポリマーが熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの組み合わせを含み、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、またはそれらの組み合わせを含み、前記添加剤がフィラー、強化繊維、繊維構造体、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含み、前記組成物が、任意選択的に、硬化させられた組成物である組成物。
【請求項9】
物品であって、
エチレン共重合体、硬化剤、添加剤、および任意選択的に追加のポリマーを含むかまたはそれらから製造される組成物を含み、前記エチレン共重合体が請求項1〜6のいずれか一項に記載されたようなものであり、前記添加剤が酸化防止剤、内側離型剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加硫促進剤、フィラー、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含み、前記追加のポリマーがエチレン・アルキルアクリレート共重合体、ポリアクリレート共重合体、またはそれらの組み合わせを含み、そして物品が、等速ジョイントブーツ、I−シャフトブーツ、ハーフシャフトブーツ、スパークプラグブーツ、ホース、シール、ガスケット、ダンパー、ベルト、または点火ワイヤー外被を含むか、または
エチレン共重合体、硬化剤、第2ポリマー、および任意選択的に添加剤を含むかまたはそれらから製造される組成物を含み、前記エチレン共重合体が請求項1〜6のいずれか一項に記載されたようなものであり、前記第2ポリマーが熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの組み合わせを含み、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、またはそれらの組み合わせを含み、前記添加剤がフィラー、強化繊維、繊維構造体、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含み、そして物品が、プリント回路基板、ブレーキパッド、またはクラッチ面材を含む、物品。
【請求項10】
エチレンを、エチレン共重合体を製造するのに有効な条件下に第1アルキルアクリレート、第2の異なるアルキルアクリレート、および任意選択的に1,4−ブテン二酸またはその誘導体と接触させる工程を含む方法であって、
前記エチレン共重合体が請求項1〜6のいずれか一項に記載されたようなものであり、
前記第1アルキルアクリレートがアルキル基中に1〜4個の炭素を有し、
前記第2アルキルアクリレートが前記第1アルキルアクリレートとは異なり、そしてアルキル基中に1〜4個の炭素を有し、
前記誘導体が前記酸の無水物、もしくはモノアルキルエステル中のアルキル基が1〜約6個の炭素原子を有する前記酸のモノアルキルエステル、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり、かつ、
前記条件が120℃〜185℃または140℃〜165℃の温度、1900〜2810kg/cm2または2065〜2810kg/cm2の圧力、および30℃〜90℃または50℃〜90℃のフィード温度を含む方法。
【請求項11】
前記エチレン共重合体を硬化剤、添加剤、追加のポリマー、またはそれらの2つ以上の組み合わせと組み合わせて配合組成物を製造する工程、任意選択的に前記配合組成物を所望の形状へ成形する工程、および前記配合組成物を同時にまたは逐次的に硬化させ、そして任意選択的に後硬化させる工程をさらに含む請求項10に記載の方法であって、
前記添加剤が酸化防止剤、内側離型剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加硫促進剤、フィラー、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含み、
前記追加のポリマーがエチレン・アルキルアクリレート共重合体、ポリアクリレート共重合体、またはそれらの組み合わせを含み、かつ、
前記物品が等速ジョイントブーツ、I−シャフトブーツ、ハーフシャフトブーツ、スパークプラグブーツ、ホース、シール、ガスケット、ダンパー、ベルト、または点火ワイヤー外被を含む方法。
【請求項12】
前記エチレン共重合体を硬化剤、第2ポリマー、もしくは添加剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせと組み合わせて配合組成物を製造する工程、前記配合組成物を物品へ二次加工する工程、および前記物品を硬化させる工程とをさらに含む請求項10に記載の方法であって、
前記添加剤がフィラー、強化繊維、繊維構造体、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含み、
前記第2ポリマーが熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの組み合わせを含み、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、またはそれらの組み合わせを含み、
前記物品がプリント回路基板、ブレーキパッド、またはクラッチ面材を含み、かつ、
前記二次加工する工程がコーティング、積層、モールディング、押出、フィラメント・ワインディング、カレンダー掛け、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む方法。

【公表番号】特表2009−500476(P2009−500476A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519710(P2008−519710)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/026085
【国際公開番号】WO2007/005899
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】