説明

エネルギー蓄積部を有するモータ駆動装置

【課題】電源からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器と、直流電力を交流電力に変換する直流交流変換器と、直流電力を蓄積もしくは出力するエネルギー蓄積部と、を備え、エネルギー蓄積部のエネルギー利用効率が高く、電源のピーク値を効率的に抑制できるモータ駆動装置を実現する。
【解決手段】モータ駆動装置1は、電源からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器11と、直流電力と交流電力とを相互に変換する直流交流変換器12と、交流直流変換器11および直流交流変換器12の各直流側を接続し、直流電力の授受を行うDCリンク部13と、DCリンク部13に接続され、直流電力を蓄積もしくは供給する少なくとも1つのキャパシタ蓄積部14Aおよび少なくとも1つのフライホイール蓄積部14Bを有するエネルギー蓄積部14と、エネルギー蓄積部14が直流電力を蓄積もしくは供給するよう制御するエネルギー制御部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源からの交流電力を直流電力に変換したのちさらに交流電力に変換してこれを駆動電力とするモータを制御するモータ駆動装置に関し、特に、交流電源から供給される電力およびモータから回生された電力を蓄積し、蓄積した電力をモータに供給することができるエネルギー蓄積部を有するモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械システムにおいては、工作機械の駆動軸ごとにモータを有し、これらモータをモータ駆動装置により駆動制御する。モータ駆動装置は、工作機械の駆動軸を駆動する駆動軸数分のモータに対し、モータの速度、トルク、もしくは回転子の位置を指令し制御する。
【0003】
モータ駆動装置は、三相の商用交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器と、直流電力をモータの駆動電力として供給される所望の周波数の交流電力に変換しまたはモータから回生される交流電力を直流電力に変換する直流交流変換器と、交流直流変換器の直流側と直流交流変換器の直流側とを接続し、直流電力の受け渡しを行うDCリンク部と、を備え、当該直流交流変換器の交流側に接続されたモータの速度、トルク、もしくは回転子の位置を制御する。
【0004】
直流交流変換器は、工作機械における複数の駆動軸に対応してそれぞれ設けられる各モータに個別に駆動電力を供給してモータを駆動制御するためにモータの個数と同数個設けられることが多いが、場合によっては1つのモータに対して複数設けられることもある。一方、交流直流変換器は、モータ駆動装置のコストや占有スペースを低減する目的で、複数の直流交流変換器に対して1個が設けられることが多い。
【0005】
モータ駆動装置でモータを加速もしくは減速制御する際には、交流電源に対して大きな交流電力の出力もしくは回生が要求されるので電力ピークが発生する。このような電力ピークを抑制するために、モータの減速時にモータから発生する回生電力を蓄積し、蓄積した電力をモータの加速時に再利用することができるエネルギー蓄積装置がDCリンク上に設けられることがある。なお、この場合、モータから回生された交流電力を、エネルギー蓄積部で蓄積できる直流電力へ変換する必要があるので、直流交流変換器は、直流電力を交流電力に変換するのみではなく、交流電力を直流電力に変換することもできる、すなわち交直両方向に変換可能である半導体電力変換器として構成される。
【0006】
エネルギー蓄積装置として、フライホイールを用いたものがある(例えば、特許文献1参照。)。図6は、従来技術によるフライホイールを用いたモータ駆動装置の一例を示す図である。以降、異なる図面において同じ参照符号が付されたものは同じ機能を有する構成要素であることを意味するものとする。従来技術によるフライホイールを用いたモータ駆動装置100は、交流電源3からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器11と、直流電力をモータ2の駆動のための交流電力に変換する直流交流変換器12と、交流直流変換器11の直流側と直流交流変換器12の直流側とを接続し、直流電力の受け渡しを行うDCリンク部13と、DCリンク部13に接続され、直流電力を蓄積もしくは出力するフライホイール蓄積部51と、モータ2の動作を指令するモータ動作指令に基づいてモータ2の速度、トルク、もしくは回転子の位置を制御するとともに、フライホイール蓄積部51が蓄積もしくは出力すべき直流電力量を制御する制御部52と、を備える。直流交流変換器12ごとにモータ2が接続される。例えば工作機械における各駆動軸はモータ2に連結される。直流交流変換器12は、制御部52からのモータ動作指令によりスイッチング動作が制御されることで所望のモータ動作をさせるための周波数および波形を有する交流電流を出力する。モータ2には直流交流変換器12が出力した交流電流が入力され、これによりモータ2は回転動作を行う。フライホイール蓄積部51は、イナーシャ回転用モータ51−1と、イナーシャ51−2と、直流交流変換器51−3とを有する。制御部52は、フライホイール蓄積部51が蓄積もしくは出力すべき直流電力量を制御する指令を直流交流変換器51−3へ出力する。直流交流変換器51−3は、受信した指令がフライホイール蓄積部51による直流電力の出力を示すものである場合には交流電力を直流電力へ変換する順変換動作を行うことでイナーシャ51−2に蓄えられたエネルギーがDCリンク部13側へ流れるようにし、受信した指令がフライホイール蓄積部51による直流電力の蓄積を示すものである場合には直流電力を交流電力へ変換する逆変換動作を行うことでDCリンク部13からのエネルギーがイナーシャ回転用モータ51−1側へ流れるようにしてイナーシャ52が付いたイナーシャ回転用モータ51−1が回転するようにする。これにより、流入した電力エネルギーがイナーシャ51−2の回転エネルギーの形として蓄積されるようになる。このような構成を備えることにより、モータ2の加速時には、交流電源3からのエネルギーに加えてイナーシャ蓄積部51に蓄積されたエネルギーがモータ2に供給されてモータ2の加速のための動力として利用され、モータ2の減速時には、モータ2から回生されたエネルギーがフライホイール蓄積部51へ流れて蓄積される。フライホイール蓄積部51に蓄積されたエネルギーは、モータ2の加速時に再利用される。
【0007】
エネルギー蓄積装置のさらに別の例として、キャパシタを用いたものがある(例えば、特許文献2参照。)。図7は、従来技術によるキャパシタを用いたモータ駆動装置の一例を示す図である。従来技術によるキャパシタを用いたモータ駆動装置100は、交流電源3からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器11と、直流電力をモータ2の駆動のための交流電力に変換する直流交流変換器12と、交流直流変換器11の直流側と直流交流変換器12の直流側とを接続し、直流電力の受け渡しを行うDCリンク部13と、DCリンク部13に接続され、直流電力を蓄積もしくは出力するキャパシタ蓄積部61と、キャパシタ蓄積部61が蓄積もしくは出力すべき直流電力量を制御するエネルギー制御部62と、モータ2の動作を指令するモータ動作指令に基づいてモータ2の速度、トルク、もしくは回転子の位置を制御するモータ制御部63と、を備える。直流交流変換器12ごとにモータ2が接続される。例えば工作機械における各駆動軸はモータ2に連結される。直流交流変換器12は、モータ制御部63からのモータ動作指令によりスイッチング動作が制御されることで所望のモータ動作をさせるための周波数および波形を有する交流電流を出力する。モータ2には直流交流変換器12が出力した交流電流が入力され、これによりモータ2は回転動作を行う。キャパシタ蓄積部61は、大容量のキャパシタ61−1と、直流直流変換器(DC−DCコンバータ)61−2とを有する。エネルギー制御部62は、キャパシタ蓄積部61が蓄積もしくは出力すべき直流電力量を制御する指令を直流直流変換器61−2へ出力する。直流直流変換器61−2は、受信した指令がキャパシタ蓄積部61による直流電力の出力を示すものである場合にはキャパシタ61−1が接続された側の直流電圧がDCリンク部13が接続された側の直流電圧よりも大きくなるような動作を行うことでキャパシタ61−1に蓄えられたエネルギーがDCリンク部13側へ流れるようにし、受信した指令がキャパシタ蓄積部61による直流電力の蓄積を示すものである場合にはキャパシタ61−1が接続された側の直流電圧がDCリンク部13が接続された側の直流電圧よりも小さくなるような動作を行うことでDCリンク部13からのエネルギーがキャパシタ61−1側へ流れるようにして該エネルギーがキャパシタ61−1に蓄えられるようにする。このような構成を備えることにより、モータ2の加速時には、交流電源3からのエネルギーに加えてキャパシタ蓄積部61に蓄積されたエネルギーがモータ2に供給されてモータ2の加速のための動力として利用され、モータ2の減速時には、モータ2から回生されたエネルギーがキャパシタ蓄積部61へ流れて蓄積される。キャパシタ蓄積部61に蓄積されたエネルギーは、モータ2の加速時に再利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−023599号公報
【特許文献2】特許第4339916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の従来技術によるフライホイール蓄積部は、イナーシャの単位体積あたりの蓄積可能なエネルギー量は大きいという利点がある。しかしながら、イナーシャにエネルギーを蓄積もしくは供給させる際のイナーシャ回転用モータの損失により、蓄積されたエネルギーの一部を失うので、エネルギー利用効率は悪い。蓄積もしくは供給の際に生じるモータ損失は、例えば総エネルギーの10〜20%にも及ぶ。
【0010】
また、上述の従来技術によるキャパシタ蓄積部は、エネルギーを蓄積もしくは供給する際の大容量キャパシタの損失は数%以下(電解コンデンサの場合)と小さく、エネルギー利用効率が高いという利点がある。さらに大容量キャパシタは急速充放電が可能なので、モータに対して急峻な駆動電力の供給が要求される場合にも対応可能であるという利点もある。しなしながら、キャパシタ蓄積部は、単位体積あたりの蓄積可能なエネルギー量がフライホイール蓄積装置より小さいので、大容量キャパシタの設置スペースの関係で十分な蓄積エネルギー量を確保できず、交流電源の電力ピークを思うように抑制できない場合がある。
【0011】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、交流電源からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器と、直流電力をモータの駆動のための交流電力に変換しまたはモータから回生される交流電力を直流電力に変換する直流交流変換器と、直流電力を蓄積もしくは出力するエネルギー蓄積部と、を備えるモータ駆動装置において、エネルギー蓄積部におけるエネルギー利用効率が高く、交流電源のピーク値を効率的に抑制することができるモータ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を実現するために、本発明の第1の態様においては、モータ駆動装置は、交流電源からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器と、直流電力をモータの駆動のための交流電力に変換しまたはモータから回生される交流電力を直流電力に変換する直流交流変換器と、交流直流変換器の直流側と直流交流変換器の直流側とを接続し、直流電力の受け渡しを行うDCリンク部と、DCリンク部に接続され、直流電力をDCリンク部から蓄積しまたはDCリンク部へ供給する、少なくとも1つのキャパシタ蓄積部および少なくとも1つのフライホイール蓄積部を有するエネルギー蓄積部と、エネルギー蓄積部が直流電力をDCリンク部から蓄積しもしくはDCリンク部へ供給するよう制御するエネルギー制御部と、モータの動作を指令するモータ動作指令に基づき、直流交流変換器が所望の交流電力を出力するよう制御するモータ制御部と、を備える。
【0013】
上記エネルギー制御部は、キャパシタ蓄積部のみ、フライホイール蓄積部のみ、またはキャパシタ蓄積部およびフライホイール蓄積部の両方が、直流電力をDCリンク部へ供給しまたはDCリンク部から蓄積するよう制御する。
【0014】
エネルギー制御部においては、モータ制御部によるモータの加速制御時にエネルギー蓄積部がDCリンク部へ供給する直流電力のキャパシタ蓄積部とフライホイール蓄積部との間における供給分担率、およびモータ制御部によるモータの減速制御時にエネルギー蓄積部がDCリンク部から蓄積する直流電力のキャパシタ蓄積部とフライホイール蓄積部との間における蓄積分担率が設定されてもよい。
【0015】
また、エネルギー制御部は、エネルギー蓄積部がDCリンク部へ供給する直流電力を、エネルギー蓄積部による直流電力供給開始時はキャパシタ蓄積部のみにより供給し、キャパシタ蓄積部が蓄積している直流電力が所定の電力量以下になったときは、フライホイール蓄積部のみにより供給するよう制御してもよい。
【0016】
また、エネルギー制御部は、エネルギー蓄積部がDCリンク部から蓄積する直流電力を、エネルギー蓄積部による直流電力蓄積開始時はキャパシタ蓄積部のみに蓄積し、キャパシタ蓄積部が蓄積している直流電力が所定の電力量以上になったときは、フライホイール蓄積部のみに蓄積するよう制御してもよい。
【0017】
また、エネルギー制御部は、エネルギー蓄積部がDCリンク部へ供給する直流電力の増加率が所定の値以下のときは、この直流電力をフライホイール蓄積部のみにより供給するよう制御してもよい。この場合、エネルギー制御部は、エネルギー蓄積部がDCリンク部へ供給する直流電力の増加率が上記所定の値より大きいときは、この直流電力をキャパシタ蓄積部のみによりまたはキャパシタ蓄積部およびフライホイール蓄積部の両方により供給するよう制御してもよい。
【0018】
また、エネルギー制御部は、エネルギー蓄積部がDCリンク部から蓄積する直流電力の増加率が所定の値以下のときは、この直流電力をフライホイール蓄積部のみに蓄積するよう制御してもよい。この場合、エネルギー制御部は、エネルギー蓄積部がDCリンク部から蓄積する直流電力の増加率が所定の値より大きいときは、この直流電力をキャパシタ蓄積部のみにまたはキャパシタ蓄積部およびフライホイール蓄積部の両方に蓄積するよう制御してもよい。
【0019】
また、エネルギー制御部は、エネルギー蓄積部がDCリンク部へ供給する直流電力を、この直流電力が所定の電力量以下のときはキャパシタ蓄積部のみにより供給し、この直流電力が上記所定の電力量より大きいときはフライホイール蓄積部のみによりまたはキャパシタ蓄積部およびフライホイール蓄積部の両方により供給するよう制御してもよい。
【0020】
また、エネルギー制御部は、エネルギー蓄積部がDCリンク部から蓄積する直流電力を、この直流電力が所定の電力量以下のときはキャパシタ蓄積部のみに蓄積し、この直流電力が上記所定の電力量より大きいときはフライホイール蓄積部のみにまたはキャパシタ蓄積部およびフライホイール蓄積部の両方に蓄積するよう制御してもよい。
【0021】
また、エネルギー制御部は、交流電源から交流直流変換器、DCリンク部および直流交流変換器を経てモータに供給される交流電力が、所定の抑制値を超えるとき、モータを駆動するために必要な交流電力から上記所定の抑制値を減算した分の交流電力を得るのに必要な直流電力を、エネルギー蓄積部が出力するように制御してもよい。
【0022】
また、エネルギー制御部は、モータから回生されて直流交流変換器、DCリンク部および交流直流変換器を経て交流電源へ戻される交流電力が、所定の抑制値を超えるとき、モータから回生された交流電力から所定の抑制値を減算した分の交流電力を変換して得られる直流電力を、エネルギー蓄積部が蓄積するように制御してもよい。
【0023】
また、エネルギー制御部は、モータが停止しているとき、またはモータの駆動のための交流電力が所定の値以下のとき、エネルギー蓄積部がDCリンク部から直流電力を蓄積するよう制御してもよい。
【0024】
本発明の第2の態様においては、モータ駆動装置は、交流電源からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器と、直流電力をモータの駆動のための交流電力に変換しまたはモータから回生される交流電力を直流電力に変換する直流交流変換器と、交流直流変換器の直流側と直流交流変換器の直流側とを接続し、直流電力の受け渡しを行うDCリンク部と、DCリンク部に接続され、直流電力をDCリンク部から蓄積しまたはDCリンク部へ供給する、異なる種類のキャパシタを複数有するエネルギー蓄積部と、エネルギー蓄積部が直流電力をDCリンク部から蓄積しもしくはDCリンク部へ供給するよう制御するエネルギー制御部と、モータの動作を指令するモータ動作指令に基づき、直流交流変換器が所望の交流電力を出力するよう制御するモータ制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、交流電源からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器と、直流電力をモータの駆動のための交流電力に変換しまたはモータから回生される交流電力を直流電力に変換する直流交流変換器と、直流電力を蓄積もしくは出力するエネルギー蓄積部と、を備えるモータ駆動装置において、エネルギー蓄積部を構成するキャパシタ蓄積部とフライホイール蓄積部とを適宜選択して利用するので、エネルギー蓄積部におけるエネルギー利用効率が高く、交流電源のピーク値を効率的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置の動作の第1の具体例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置の動作の第2の具体例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置の動作の第3の具体例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例によるモータ駆動装置を示すブロック図である。
【図6】従来技術によるフライホイールを用いたモータ駆動装置の一例を示す図である。
【図7】従来技術によるキャパシタを用いたモータ駆動装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下で説明する本発明の第1および第2の実施例によるモータ駆動装置には、工作機械の送り軸および主軸を駆動する駆動軸数分のモータが接続される。各実施例では、工作機械の駆動軸数を2個としたので2個のモータが設けられるが、これらの個数はあくまでも一例であり、本発明を限定するものではない。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置を示すブロック図である。図示の例では、工作機械の駆動軸数を2個としたので2個のモータ2が設けられる。本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置1は、交流電源3からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器11と、直流電力をモータ2の駆動のための交流電力に変換しまたはモータ2から回生される交流電力を直流電力に変換する直流交流変換器12と、交流直流変換器11の直流側と直流交流変換器12の直流側とを接続し、直流電力の受け渡しを行うDCリンク部13と、DCリンク部13に接続され、直流電力をDCリンク部13から蓄積しまたはDCリンク部13へ供給する、少なくとも1つのキャパシタ蓄積部14Aおよび少なくとも1つのフライホイール蓄積部14Bを有するエネルギー蓄積部14と、エネルギー蓄積部14が直流電力をDCリンク部13から蓄積しもしくはDCリンク部13へ供給するよう制御するエネルギー制御部15と、モータ2の動作を指令するモータ動作指令に基づいて、直流交流変換器12が変換する交流電力を制御するモータ制御部16と、を備える。
【0029】
交流直流変換器11は、例えばパワー半導体素子およびこれに逆並列に接続されたダイオードのブリッジ回路からなるダイオード整流コンバータまたはPWMコンバータから構成される。交流直流変換器11は、モータ2へ電力を供給するときすなわちモータ2の力行時には6つのダイオードによって三相の商用交流電源からの交流電圧を全波整流して直流電圧に変換し、電力回生時には6つのパワー半導体素子をPWM制御によりスイッチング制御して、交流電力を交流電源3側へ回生させる。
【0030】
直流交流変換器12は、例えばパワー半導体素子およびこれに逆並列に接続されたダイオードからなるブリッジ回路から構成される。そして、これらのパワー半導体素子をモータ制御装置16からの指令によりオンオフ制御(例えばPWM制御)することにより、直流電圧を所望の波形および周波数の交流電圧に変換する。直流交流変換器12は、出力した交流電流をモータ2に供給する。直流交流変換器12はモータ制御部16によりそのスイッチング動作が制御される。すなわち、モータ制御部16は、モータ2が所望の速度(加速、減速、定速、停止など)、トルク、もしくは回転子の位置で動作するための指令を作成し、この指令に基づいた動作をモータ2がするために必要な波形や周波数を有する交流電流を直流交流変換器12が出力するよう、直流交流変換器12内のパワー半導体素子に向けてオンオフ指令を出力する。モータ2には直流交流変換器12が出力した交流電流が入力され、これによりモータ2は回転動作を行う。
【0031】
DCリンク部13は、交流直流変換器11の直流側と直流交流変換器12の直流側とを接続し、直流電力の受け渡しを行うものであり、交流直流変換器11もしくは直流交流変換器12によって変換された直流電圧を平滑化する平滑コンデンサ(図示せず)を備える。
【0032】
エネルギー蓄積部14は、少なくとも1つのキャパシタ蓄積部14Aおよび少なくとも1つのフライホイール蓄積部14Bを有する。図1では、一例としてキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bを1つずつ備えたものを示した。
【0033】
キャパシタ蓄積部14Aは、大容量のキャパシタ14A−1と、直流直流変換器(DC−DCコンバータ)14A−2とを有する。キャパシタ蓄積部14Aが蓄積もしくは出力すべき直流電力量は、エネルギー制御部15により制御される。すなわち、エネルギー制御部15は、キャパシタ蓄積部14Aが蓄積(充電)もしくは出力(放電)すべき直流電力量を制御する指令を直流直流変換器14A−2へ出力する。直流直流変換器14A−2は、エネルギー制御部15から受信した指令がキャパシタ蓄積部14Aによる直流電力の出力(放電)を示すものである場合にはキャパシタ14A−1が接続された側の直流電圧がDCリンク部13が接続された側の直流電圧よりも大きくなるような動作を行うことでキャパシタ14A−1に蓄えられたエネルギーがDCリンク部13側へ流れるようにし、エネルギー制御部15から受信した指令がキャパシタ蓄積部14Aによる直流電力の蓄積(充電)を示すものである場合にはキャパシタ14A−1が接続された側の直流電圧がDCリンク部13が接続された側の直流電圧よりも小さくなるような動作を行うことでDCリンク部13からのエネルギーがキャパシタ14A−1側へ流れるようにして該エネルギーがキャパシタ14A−1に蓄えられるようにする。このような構成を備えることにより、モータ2の加速時には、交流電源3からのエネルギーに加えてキャパシタ蓄積部14Aに蓄積されたエネルギーがモータ2に供給されてモータ2の加速のための動力として利用され、モータ2の減速時には、モータ2から回生されたエネルギーがキャパシタ蓄積部14Aへ流れて蓄積される。キャパシタ蓄積部14Aに蓄積されたエネルギーは、モータ2の加速時に再利用される。
【0034】
フライホイール蓄積部14Bは、イナーシャ回転用モータ14B−1と、イナーシャ14B−2と、直流交流変換器14B−3とを有する。フライホイール蓄積部14Bが蓄積もしくは出力すべき直流電力量は、エネルギー制御部15により制御される。すなわち、エネルギー制御部15は、フライホイール蓄積部14Bが蓄積もしくは出力すべき直流電力量を制御する指令を直流交流変換器14B−3へ出力する。直流交流変換器14B−3は、エネルギー制御部15から受信した指令がフライホイール蓄積部14Bによる直流電力の蓄積を示すものである場合には直流電力を交流電力へ変換する逆変換動作を行うことでDCリンク部13からのエネルギーがイナーシャ回転用モータ14B−1側へ流れるようにしてイナーシャ14Bが付いたイナーシャ回転用モータ14B−1が回転するようにする。これにより、流入した電力エネルギーがイナーシャ51−2の回転エネルギーの形でとして蓄積されるようになる。また、直流交流変換器14B−3は、エネルギー制御部15から受信した指令がフライホイール蓄積部14Bによる直流電力の出力を示すものである場合には交流電力を直流電力へ変換する順変換動作を行うことでイナーシャ14B−2に蓄えられた回転エネルギーが回転用モータ14B−1および直流交流変換器14B−3を介して電気エネルギーへ変換される。このような構成を備えることにより、モータ2の加速時には、交流電源3からのエネルギーに加えてイナーシャ蓄積部14Bに蓄積されたエネルギーがモータ2に供給されてモータ2の加速のための動力として利用され、モータ2の減速時には、モータ2から回生されたエネルギーがフライホイール蓄積部14Bへ流れて蓄積される。フライホイール蓄積部14Bに蓄積されたエネルギーは、モータ2の加速時に再利用される。
【0035】
このように、本発明の第1の実施例では、モータ駆動装置1は、エネルギー蓄積部14として、キャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bを有する。これらキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bは、エネルギー制御部15により制御される。
【0036】
なお、エネルギー制御部15およびモータ制御部16は、例えば演算処理判断可能なプロセッサからなる。また、モータ制御部16は、モータ2の動作を制御するにあたり、モータ2に流出入する交流電流、モータ2の回転速度、直流交流変換器12の入力出力の電圧および交流出力の電圧などを検出し、これらを処理に用いる必要があるが、図1ではこれらの検出器およびセンサについては図示を省略する。一方、エネルギー蓄積部15は、キャパシタ蓄積部14Aからはキャパシタ14−1の直流電圧を、フライホイール蓄積部14Bからはイナーシャ回転用モータ14B−1の回転速度などを検出し、これらを処理に用いる。
【0037】
次に、エネルギー制御部15の動作について説明する。
【0038】
本発明の第1の実施例によれば、直流電力を蓄積および供給するエネルギー蓄積部14として、キャパシタ蓄積部14Aとフライホイール蓄積部14Bとを併用する。例えば、エネルギー利用効率および直流電力の蓄積もしくは供給の速度の面では、キャパシタ蓄積部14Aが優れ、蓄積エネルギー量の面では、フライホイール蓄積14Bが優れている。そこで、本発明の第1の実施例においては、これらキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bの特性や、モータの動作条件や動作状況などに応じて、キャパシタ蓄積部14Aとフライホイール蓄積部14Bのうちいずれかでもしくはその両方で直流電力を蓄積もしくは供給を切り替える。すなわち、エネルギー制御部15は、モータ制御部16から受信したモータ動作指令、またはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bの蓄積可能量もしくは充放電速度などの特性などに応じて、キャパシタ蓄積部14Aのみ、フライホイール蓄積部114Bのみ、またはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部15Bの両方が、直流電力をDCリンク部13へ供給(放電)しまたはDCリンク部13から蓄積(充電)するよう制御する。
【0039】
エネルギー制御部15においては、モータ制御部16によるモータ2の加速制御時にエネルギー蓄積部15がDCリンク部13へ供給する直流電力のキャパシタ蓄積部14Aとフライホイール蓄積部14Bとの間における供給分担率、およびモータ制御部16によるモータ2の減速制御時にエネルギー蓄積部15がDCリンク部13から蓄積する直流電力のキャパシタ蓄積部14Aとフライホイール蓄積部14Bとの間における蓄積分担率が設定される。例えば、キャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bのうちのどちらか一方を動作させない(停止させる)場合には、その動作させない(停止させる)ほうの供給分担率もしくは蓄積分担率を「ゼロ(0)」とすればよい。これら供給分担率および蓄積分担率は、可変であり、時間の関数として制御内容に応じて変更し、これをキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14B内の直流直流変換器14A−2および直流交流変換器14B−3に対するスイッチング指令をするためのPWM制御信号の生成に用いる。
【0040】
モータ駆動装置1を設計者が設計するにあたっては、まず、エネルギー蓄積部14におけるエネルギーの蓄積可能量および最大出力を、負荷であるモータ2の駆動条件、モータ駆動装置1が接続される交流電源3に許容される電力ピーク、あるいは、モータ駆動装置1の仕様として定めたい電力ピークなどに基づいて決定する。エネルギー蓄積部14におけるエネルギーの蓄積可能量および最大出力が決定されると、エネルギー蓄積部14の設置スペースおよびコストを適宜考慮して、キャパシタ蓄積部14Aとフライホイール蓄積部14Bとの間における蓄積分担率を決定する。キャパシタ蓄積部14Aとフライホイール蓄積部14Bとの間における蓄積分担率が決定されると、次式によりキャパシタ蓄積部14Aのキャパシタ容量、及び、フライホイール蓄積部14Vのモータ・イナーシャを決する。
【0041】
キャパシタ蓄積部14Aで蓄積もしくは供給するエネルギーをJA〔J〕、キャパシタ14A−1の容量をC〔F〕、キャパシタ14A−1の充電電圧の上限をV1〔V〕、キャパシタ14A−1の充電電圧の下限をV2〔V〕としたとき、式1の関係があるので、キャパシタ14A−1の容量C〔F〕を求めることができる。
【0042】
【数1】

【0043】
また、キャパシタ14A−1の電圧をV〔V〕、キャパシタ14A−1に流出入する電流をI〔A〕としたとき、キャパシタ蓄積部14Aの出力WA〔W〕は式2から求めることができる。
【0044】
【数2】

【0045】
一方、フライホイール蓄積部14Bで蓄積もしくは供給するエネルギーをJB〔J〕、イナーシャ14B−2の値をI〔kgm2〕、モータ2の角速度の上限をω1〔rad/s〕、モータ2の角速度の下限をω2〔rad/s〕としたとき、式3の関係があるので、イナーシャ14B−2の値I〔kgm2〕を求めることができる。
【0046】
【数3】

【0047】
なお、このイナーシャ14B−2の値にはイナーシャ回転用モータ14B−1が有するイナーシャも含まれる。図1に示す例では、イナーシャ14B−2をイナーシャ回転用モータ14B−1の回転軸に結合したものとしたが、このイナーシャ14B−2を、イナーシャ回転用モータ14B−1とは別体のものではなく、イナーシャ回転用モータ14B−1自身の回転軸が有するイナーシャとしてもよい。
【0048】
また、モータ2のトルクをT〔Nm〕、モータ2の角速度をω〔rad/s〕としたとき、フライホイール蓄積部14Bの出力WB〔W〕は式4から求めることができる。
【0049】
【数4】

【0050】
次に、本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置1の動作について、具体例をいくつか挙げて説明する。
【0051】
図2は、本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置の動作の第1の具体例を示す図である。第1の具体例は、キャパシタ蓄積部14Aとフライホイール蓄積部14Bとの間における供給分担率および蓄積分担率を1対4とし、これら供給分担率および蓄積分担率に基づいてエネルギー制御部15がエネルギー蓄積部16を制御するものである。これら供給分担率および蓄積分担率は、上述のように式1〜4に基づき決定されたものである。
【0052】
図2(a)に示すように、モータ制御部16の制御により、モータ2をまず加速し、一定期間一定速度で回転させた後、減速させる場合を考える。図2(a)に示すように、モータ2の加速時には正のトルクが発生し、モータ2の減速時には負のトルクが発生する。
【0053】
エネルギー制御部15は、交流電源3から交流直流変換器11、DCリンク部13および直流交流変換器12を経てモータ2に供給される交流電力が、所定の抑制値を超えるとき、モータ2を駆動するために必要な交流電力からこの所定の抑制値を減算した分の交流電力を得るのに必要な直流電力を、エネルギー蓄積部16が出力するように、特にキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bが供給分担率1対4で出力するように、制御する。図2(b)に示すように、モータ2の加速制御期間中はモータ出力は増加し続けるが、エネルギー制御部15は、モータ出力が所定の抑制値に達するまではエネルギー蓄積部14は動作させず、したがって、この間は交流電源3からのみ電力が供給させることになる。
【0054】
モータ2の加速制御期間中にモータ出力が所定の抑制値に達したとき、エネルギー制御部15は、交流電源3からの電力に加え、キャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bから1対4の割合で電力が供給されることになるよう、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14A−3を制御する。
【0055】
モータ2の一定速度制御期間中は、モータ2の加速もしくは減速制御期間中の場合に比べて駆動電力は少なく済むので、エネルギー制御部15は、エネルギー蓄積部14の動作を停止させる。
【0056】
その後、モータ2の減速制御期間に移行すると、モータ2からは回生電力が発生する。エネルギー制御部15は、モータ2から回生されて直流交流変換器12、DCリンク部13および交流直流変換器11を経て交流電源3へ戻される交流電力が、所定の抑制値を超えるとき、モータ2から回生された交流電力からこの所定の抑制値を減算した分の交流電力を変換して得られる直流電力を、エネルギー蓄積部16が蓄積するように、特にキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bが蓄積分担率1対4で蓄積するように、制御する。すなわち所定の抑制値までの電力については交流電源3側に回生されるが、残りの電力について、エネルギー制御部15は、回生された電力をキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bが蓄積負担率1対4の割合で蓄積するよう、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14A−3を制御する。その後、所定の抑制値まで電力の回生が進んだら、エネルギー制御部15は、エネルギー蓄積部14の動作を停止させる。すると、交流電源3側への電力の回生のみになる。
【0057】
図3は、本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置の動作の第2の具体例を示す図である。第2の具体例は、直流電力供給開始時および直流電流蓄積開始時はキャパシタ蓄積部14Aのみを動作させるものである。これは大容量のキャパシタは急速充放電が可能であるという特性、キャパシタ蓄積部におけるエネルギーの蓄積もしくは供給する際の損失は、フライホイール蓄積部のものよりも小さいのでエネルギー利用効率が良いという、キャパシタ蓄積部の特性、および、フライホイール蓄積部は単位体積あたりの蓄積可能なエネルギー量がキャパシタ蓄積部よりも大きいという特性を利用したものである。
【0058】
図3(a)に示すように、モータ制御部16の制御により、モータ2をまず加速し、一定期間一定速度で回転させた後、減速させる場合を考える。図3(a)に示すように、モータ2の加速時には正のトルクが発生し、モータ2の減速時には負のトルクが発生する。
【0059】
エネルギー制御部15は、交流電源3から交流直流変換器11、DCリンク部13および直流交流変換器12を経てモータ2に供給される交流電力が、所定の抑制値を超えるとき、モータ2を駆動するために必要な交流電力からこの所定の抑制値を減算した分の交流電力を得るのに必要な直流電力を、エネルギー蓄積部16が出力するように制御する。図3(b)に示すように、モータ2の加速制御期間中はモータ出力は増加し続けるが、エネルギー制御部15は、モータ出力が所定の抑制値に達するまではエネルギー蓄積部14は動作させず、したがって、この間は交流電源3からのみ電力が供給させることになる。
【0060】
モータ2の加速制御期間中にモータ出力が所定の抑制値に達したとき、エネルギー制御部15は、交流電源3からの電力に加え、キャパシタ蓄積部144から電力が供給されることになるよう、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14A−3を制御する。
【0061】
モータ2の一定速度制御期間中は、モータ2の加速もしくは減速制御期間中の場合に比べて駆動電力は少なく済むので、エネルギー制御部15は、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14B−3を制御してエネルギー蓄積部14の動作を停止させる。モータ2の加速制御期間中にモータ出力が所定の抑制値に達したとき、エネルギー制御部15は、交流電源3からの電力に加え、キャパシタ蓄積部14Aから電力が供給されることになるよう、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2を制御する。ある程度、キャパシタ蓄積部14Aによる電力の供給が進むと、キャパシタ蓄積部14Aに蓄積されていた電力が枯渇に近づくので、エネルギー制御部15は、キャパシタ14A−1の充電電圧が下限値V2となったことを検出したら、フライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14B−3を制御してフライホイール蓄積部14Bからの電力の供給を開始する。本実施例では、図3(b)に示すように、フライホイール蓄積部14Bからの電力の供給の開始時に、供給分担率を変更してキャパシタ蓄積部14Aから供給する直流電力の量を徐々に減少させ始めることで、DCリンク部13への直流電力の供給元をキャパシタ蓄積部14Aからフライホイール蓄積部14Bへと徐々に切り替えていく。あるいはこの代替例として、フライホイール蓄積部14Bからの電力の供給の開始時に、キャパシタ蓄積部14Aによる直流電力の供給を停止してもよい。
【0062】
モータ2の一定速度制御期間中は、モータ2の加速もしくは減速制御期間中の場合に比べて駆動電力は少なく済むので、エネルギー制御部15は、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14B−3を制御してエネルギー蓄積部14の動作を停止させる。
【0063】
その後、モータ2の減速制御期間に移行すると、モータ2からは回生電力が発生する。エネルギー制御部15は、モータ2から回生されて直流交流変換器12、DCリンク部13および交流直流変換器11を経て交流電源3へ戻される交流電力が、所定の抑制値を超えるとき、モータ2から回生された交流電力からこの所定の抑制値を減算した分の交流電力を変換して得られる直流電力を、キャパシタ蓄積部14Aが蓄積する。すなわち所定の抑制値までの電力については交流電源3側に回生されるが、残りの電力について、エネルギー制御部15は、回生された電力をキャパシタ蓄積部14Aが蓄積するよう、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2を制御する。ある程度、キャパシタ蓄積部14Aへの直流電力の蓄積が進むと、キャパシタ蓄積部14Aに蓄積される直流電力量が蓄積可能量に近づくので、エネルギー制御部15は、キャパシタ14A−1の充電電圧が上限値V1となったことを検出したら、フライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14B−3を制御してフライホイール蓄積部14Bへの直流電力の蓄積を開始する。本実施例では、図3(b)に示すように、フライホイール蓄積部14Bへの電力の蓄積の開始時に、蓄積分担率を変更してキャパシタ蓄積部14Aへ蓄積する直流電力の量を徐々に減少させ始め、DCリンク部13からの直流電力の蓄積先をキャパシタ蓄積部14Aからフライホイール蓄積部14Bへと徐々に切り替えていく。あるいはこの代替例として、フライホイール蓄積部14Bへの直流電力の蓄積の開始時に、キャパシタ蓄積部14Aへの直流電力の蓄積を停止してもよい。その後、所定の抑制値まで電力の回生が進んだら、エネルギー制御部15は、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14B−3を制御してエネルギー蓄積部14の動作を停止させる。すると、交流電源3側への電力の回生のみになる。
【0064】
このように第2の具体例では、キャパシタ蓄積部14Aからの供給エネルギーが足りなくなった場合や、キャパシタ蓄積部14Aが、モータ2からの回生電力をこれ以上蓄積出来なくなった場合に、フライホイール蓄積部14Bを使用する。すなわち、エネルギー制御部15は、エネルギー蓄積部14がDCリンク部13へ供給する直流電力を、該直流電力が所定の電力量以下のときはキャパシタ蓄積部14Aのみにより供給し、該直流電力が上記所定の電力量より大きいときはフライホイール蓄積部24Bのみによりまたはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bの両方により供給するよう制御する。エネルギー制御部15は、エネルギー蓄積部14がDCリンク部13から蓄積する直流電力を、該直流電力が所定の電力量以下のときはキャパシタ蓄積部14Aのみに蓄積し、該直流電力が上記所定の電力量より大きいときは14Bフライホイール蓄積部のみにまたはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bの両方に蓄積するよう制御する。
【0065】
図4は、本発明の第1の実施例によるモータ駆動装置の動作の第3の具体例を示す図である。第3の具体例は、負荷であるモータ2の負荷変動が速く、交流電源の電力ピークを抑制するためには急峻な電力の蓄積もしくは供給が必要である場合には、特にキャパシタ蓄積部を優先的に使用するものである。モータ2を加速若しくは減速制御をする際にモータ2を駆動するための交流電力はピーク値となるが、エネルギー蓄積部14からの電力の供給およびエネルギー蓄積部14への電力の蓄積が遅れると、交流電源3からの電力の供給もしくは交流電源3への電力の蓄積が本来想定されていたよりも余分に要求されることになる。上述のように駆動電力の蓄積もしくは供給の速度は、キャパシタ蓄積部14Aの方がフライホイール蓄積部14Bよりも優れるので、駆動電力の蓄積もしくは供給の速度が要求される場合は、エネルギー蓄積部14のうちキャパシタ蓄積部14Aを使用する。
【0066】
ここでは、図4(a)に示すように、モータ制御部16の制御により、モータ2の加速および一定速度で回転させた後、さらに加速させる場合を考える。図4(a)に示すように、モータ2の加速時には正のトルクが発生する。
【0067】
エネルギー制御部15は、交流電源3から交流直流変換器11、DCリンク部13および直流交流変換器12を経てモータ2に供給される交流電力が、所定の抑制値を超えるとき、モータ2を駆動するために必要な交流電力からこの所定の抑制値を減算した分の交流電力を得るのに必要な直流電力を、エネルギー蓄積部16が出力するように制御する。図4(b)に示すように、モータ2の加速制御期間中はモータ出力は増加し続けるが、エネルギー制御部15は、モータ出力が所定の抑制値に達するまではエネルギー蓄積部14は動作させず、したがって、この間は交流電源3からのみ電力が供給させることになる。
【0068】
モータ2の加速制御期間中にモータ出力が所定の抑制値に達したとき、エネルギー制御部15は、交流電源3からの電力に加え、キャパシタ蓄積部14Aのみにより、フライホイール蓄積部14Bのみにより、またはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bの両方により供給するよう、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14B−3を制御する。具体的には、エネルギー制御部15は、エネルギー蓄積部14がDCリンク部13へ供給する直流電力の増加率が所定の値以下のときは、該直流電力をフライホイール蓄積部14Bのみにより供給し、エネルギー蓄積部14がDCリンク部13へ供給する直流電力の増加率が所定の値より大きいときは、該直流電力をキャパシタ蓄積部14Aのみによりまたはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bの両方により供給するよう、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14A−3を制御する。なお、図示の例では、モータ2の加速制御および一定速度制御時におけるエネルギー蓄積部14による電力の供給についてのみ示したが、モータ2から回生される電力の蓄積についても同様である。すなわち、エネルギー制御部15は、エネルギー蓄積部14がDCリンク部13から蓄積する直流電力の増加率が所定の値以下のときは、該直流電力をフライホイール蓄積部14Bのみに蓄積するよう、フライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14A−3を制御し、エネルギー蓄積部14がDCリンク部13から蓄積する直流電力の増加率が所定の値より大きいときは、該直流電力をキャパシタ蓄積部14Aのみにまたはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bの両方に蓄積するよう、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14A−3を制御する。その後、所定の抑制値まで電力の回生が進んだら、エネルギー制御部15は、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14A−3を制御してエネルギー蓄積部14の動作を停止させる。すると、交流電源3側への電力の回生のみになる。
【0069】
以上説明したように、エネルギー制御部15は、モータ制御部16から受信したモータ動作指令、またはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部14Bの蓄積可能量もしくは充放電速度などの特性に応じて、キャパシタ蓄積部14Aのみ、フライホイール蓄積部114Bのみ、またはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部15Bの両方が、直流電力をDCリンク部13へ供給(放電)しまたはDCリンク部13から蓄積(充電)するよう制御する。上述の図2〜4を参照して説明した第1〜第3の具体例は一例であり、モータ駆動装置1についてここで示した運転状況以外の状況であっても、その状況に応じて、エネルギー制御部15は、キャパシタ蓄積部14Aのみ、フライホイール蓄積部114Bのみ、またはキャパシタ蓄積部14Aおよびフライホイール蓄積部15Bの両方が、直流電力をDCリンク部13へ供給(放電)しまたはDCリンク部13から蓄積(充電)するよう制御すればよい。例えば、上述の第1〜第3の具体例を適宜組み合わせて実行してもよい。
【0070】
モータ駆動装置1の電源を投入したときは、エネルギー蓄積部14は充電されておらず、また、モータ2から回生される電力が少ない駆動条件下においては、エネルギー蓄積部14に蓄積される電力も少量となることがある。このような場合、エネルギー蓄積部14に蓄積された少量の電力では、次にモータ2を加速制御する際に必要な駆動電力をまかないきれず、その結果、交流電源3側から供給される電力が大きくなり、電力ピークが大きくなってしまう。このようなエネルギー蓄積部14が供給するエネルギーが得られない駆動条件であっても、交流電源3に要求される電力ピークを抑制するために、エネルギー蓄積部14が電力を供給できる体制を整えておく必要がある。そこで、モータ2が停止、あるいは、モータ2の駆動電力がある値以下の場合に、エネルギー蓄積部14には、電流を制限しながら電力を蓄積しておくのが好ましい。すなわち、エネルギー制御部15は、モータ2が停止しているとき、またはモータ2の駆動のための交流電力が所定の値以下のときには、エネルギー蓄積部14がDCリンク部13から直流電力を蓄積するよう、キャパシタ蓄積部14A内の直流直流変換器14A−2およびフライホイール蓄積部14B内の直流交流変換器14A−3を制御する。
【0071】
続いて、本発明の第2の実施例によるモータ駆動装置について説明する。本発明の第2の実施例は、図1〜4を参照して説明した第1の実施例において、エネルギー蓄積部の構成として、キャパシタ蓄積部およびフライホイール蓄積部の構成から、異なる種類のキャパシタを有するキャパシタ蓄積部を複数備える構成に変更したものである。
【0072】
図5は、本発明の第2の実施例によるモータ駆動装置を示すブロック図である。図示の例では、工作機械の駆動軸数を2個としたので2個のモータ2が設けられる。
【0073】
本発明の第2の実施例によるモータ駆動装置1は、交流電源3からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器11と、直流電力をモータ2の駆動のための交流電力に変換しまたはモータ2から回生される交流電力を直流電力に変換する直流交流変換器12と、交流直流変換器11の直流側と直流交流変換器12の直流側とを接続し、直流電力の受け渡しを行うDCリンク部13と、DCリンク部13に接続され、直流電力をDCリンク部13から蓄積しまたはDCリンク部13へ供給する、異なる種類のキャパシタをそれぞれ有するキャパシタ蓄積部14Cおよび14Dを有するエネルギー蓄積部14と、エネルギー蓄積部14が直流電力をDCリンク部13から蓄積しもしくはDCリンク部13へ供給するよう制御するエネルギー制御部15と、モータ2の動作を指令するモータ動作指令に基づいて、直流交流変換器12が変換する交流電力を制御するモータ制御部16と、を備える。
【0074】
すなわち、図1で示した第1の実施例においては、エネルギー蓄積部14を、少なくとも1つのキャパシタ蓄積部14Aおよび少なくとも1つのフライホイール蓄積部14Bを有するものとして構成したが、図5に示す第2の実施例では、エネルギー蓄積部14を、キャパシタ蓄積部14Cとキャパシタ蓄積部14Dとで、内部に有するキャパシタの種類が異なるものとして構成する。このようにキャパシタの種類によって定格電圧が異なるので、キャパシタ別に直流直流変換器を設けた別々のキャパシタ蓄積部を設けることは、エネルギー制御部15がキャパシタの種類毎に異なる許容電圧範囲で制御することから、有効な手段である。なお、図示の例では、キャパシタ蓄積部の数を2個としたが、これらの個数はあくまでも一例であり、2個以上であればいくつであってもよい。また、これら以外の回路構成要素については図1に示す回路構成要素と同様であるので、同一の回路構成要素には同一符号を付して当該回路構成要素についての詳細な説明は省略し、以下、キャパシタ蓄積部14Cおよび14Dについて説明する。
【0075】
キャパシタ蓄積部14Cおよび14Dが有するキャパシタ(蓄電器)としては、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、次世代の大容量キャパシタ等がある。なお、図5に示す第2の実施例では、キャパシタ蓄積部14Cが有するキャパシタを電界コンデンサ14C−1とし、キャパシタ蓄積部14Dが有するキャパシタを電気二重層キャパシタ14D−1とした。
【0076】
キャパシタ蓄積部14Cが有する電界コンデンサ14CとDCリンク部13とのには直流直流変換器(DC−DCコンバータ)14C−2が接続され、キャパシタ蓄積部14Dが有する電気二重層キャパシタ14DとDCリンク部13とのには直流直流変換器(DC−DCコンバータ)14D−2が接続される。キャパシタ蓄積部14Cおよび14Dが蓄積もしくは出力すべき直流電力量は、エネルギー制御部15により制御される。すなわち、エネルギー制御部15は、キャパシタ蓄積部14Cが蓄積(充電)もしくは出力(放電)すべき直流電力量を制御する指令を直流直流変換器14C−2へ出力する。直流直流変換器14C−2は、受信した指令が電界コンデンサ14C−1による直流電力の出力(放電)を示すものである場合に電界コンデンサ14C−1が接続された側の直流電圧がDCリンク部13が接続された側の直流電圧よりも大きくなるような動作を行うことで電界コンデンサ14C−1に蓄えられたエネルギーがDCリンク部13側へ流れるようにし、受信した指令がキャパシタ蓄積部14Cによる直流電力の蓄積(充電)を示すものである場合には電界コンデンサ14C−1が接続された側の直流電圧がDCリンク部13が接続された側の直流電圧よりも小さくなるような動作を行うことでDCリンク部13からのエネルギーが電界コンデンサ14C−1側へ流れるようにして該エネルギーが電界コンデンサ14C−1に蓄えられるようにする。電気二重層キャパシタ14D−1および直流直流変換器14D−2を有するキャパシタ蓄積部14Dについてもその動作は電界コンデンサ14C−1および直流直流変換器14C−2を有するキャパシタ蓄積部14Cと同じであるので説明は省略する。
【0077】
電解コンデンサ14C−1は、頻繁かつ急速な充放電が可能だが、容量密度は小さいという特性を有する。一方、電気2重層キャパシタは、容量密度は大きいが、発熱が大きくなることから頻繁な充放電はできない。そこで、本発明の第2の実施例では、蓄積・供給が緩やかで時間を要するような場合は、エネルギー制御部15は、キャパシタ蓄積部14D内の直流直流変換部14D−2を制御して電気ニ重層キャパシタ14D−1にて電力の供給もしくは蓄積を行い、蓄積・供給が頻繁だが小容量で済むような場合には、エネルギー制御部15は、キャパシタ蓄積部14C内の直流直流変換部14C−2を制御して電解コンデンサ14Cにて電力の供給もしくは蓄積を行う。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、工作機械の駆動軸ごとにモータを有する工作機械システムにおいて、これらモータ(サーボモータ)を、入力された交流を直流に変換する交流直流変換器と、交流直流変換器から出力された直流を各モータの駆動電力としてそれぞれ供給される交流に変換する直流交流変換器と、を有するモータ駆動装置で駆動する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 モータ駆動装置
2 モータ
3 交流電源
11 交流直流変換器
12 直流交流変換器
13 DCリンク部
14 エネルギー蓄積部
14A、14C、14D キャパシタ蓄積部
14A−1 キャパシタ
14A−2 直流直流変換器
14B フライホイール蓄積部
14B−1 イナーシャ回転用モータ
14B−2 イナーシャ
14B−3 直流交流変換器。
15 エネルギー制御部
16 モータ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器と、
直流電力をモータの駆動のための交流電力に変換しまたはモータから回生される交流電力を直流電力に変換する直流交流変換器と、
前記交流直流変換器の直流側と前記直流交流変換器の直流側とを接続し、直流電力の受け渡しを行うDCリンク部と、
前記DCリンク部に接続され、直流電力を前記DCリンク部から蓄積しまたは前記DCリンク部へ供給する、少なくとも1つのキャパシタ蓄積部および少なくとも1つのフライホイール蓄積部を有するエネルギー蓄積部と、
モータの動作を指令するモータ動作指令に基づき、前記直流交流変換器が所望の交流電力を出力するよう制御するモータ制御部と、
前記エネルギー蓄積部が直流電力を前記DCリンク部から蓄積しもしくは前記DCリンク部へ供給するよう制御するエネルギー制御部と、
を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項2】
前記エネルギー制御部は、前記キャパシタ蓄積部のみ、前記フライホイール蓄積部のみ、または前記キャパシタ蓄積部および前記フライホイール蓄積部の両方が、直流電力を前記DCリンク部へ供給しまたは前記DCリンク部から蓄積するよう制御する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記エネルギー制御部において、前記モータ制御部によるモータの加速制御時に前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部へ供給する直流電力の前記キャパシタ蓄積部と前記フライホイール蓄積部との間における供給分担率、および前記モータ制御部によるモータの減速制御時に前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部から蓄積する直流電力の前記キャパシタ蓄積部と前記フライホイール蓄積部との間における蓄積分担率が設定される請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記エネルギー制御部は、前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部へ供給する直流電力を、前記エネルギー蓄積部による直流電力供給開始時は前記キャパシタ蓄積部のみにより供給し、前記キャパシタ蓄積部が蓄積している直流電力が所定の電力量以下になったときは、前記フライホイール蓄積部のみにより供給するよう制御する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記エネルギー制御部は、前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部から蓄積する直流電力を、前記エネルギー蓄積部による直流電力蓄積開始時は前記キャパシタ蓄積部のみに蓄積し、前記キャパシタ蓄積部が蓄積している直流電力が所定の電力量以上になったときは、前記フライホイール蓄積部のみに蓄積するよう制御する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記エネルギー制御部は、前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部へ供給する直流電力の増加率が所定の値以下のときは、該直流電力を前記フライホイール蓄積部のみにより供給するよう制御する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記エネルギー制御部は、前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部へ供給する直流電力の増加率が前記所定の値より大きいときは、該直流電力を前記キャパシタ蓄積部のみによりまたは前記キャパシタ蓄積部および前記フライホイール蓄積部の両方により供給するよう制御する請求項6に記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
前記エネルギー制御部は、前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部から蓄積する直流電力の増加率が所定の値以下のときは、該直流電力を前記フライホイール蓄積部のみに蓄積するよう制御する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項9】
前記エネルギー制御部は、前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部から蓄積する直流電力の増加率が前記所定の値より大きいときは、該直流電力を前記キャパシタ蓄積部のみにまたは前記キャパシタ蓄積部および前記フライホイール蓄積部の両方に蓄積するよう制御する請求項8に記載のモータ駆動装置。
【請求項10】
前記エネルギー制御部は、前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部へ供給する直流電力を、該直流電力が所定の電力量以下のときは前記キャパシタ蓄積部のみにより供給し、該直流電力が前記所定の電力量より大きいときは前記フライホイール蓄積部のみによりまたは前記キャパシタ蓄積部および前記フライホイール蓄積部の両方により供給するよう制御する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項11】
前記エネルギー制御部は、前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部から蓄積する直流電力を、該直流電力が所定の電力量以下のときは前記キャパシタ蓄積部のみに蓄積し、該直流電力が前記所定の電力量より大きいときは前記フライホイール蓄積部のみにまたは前記キャパシタ蓄積部および前記フライホイール蓄積部の両方に蓄積するよう制御する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項12】
前記エネルギー制御部は、交流電源から前記交流直流変換器、前記DCリンク部および前記直流交流変換器を経てモータに供給される交流電力が、所定の抑制値を超えるとき、モータを駆動するために必要な交流電力から前記所定の抑制値を減算した分の交流電力を得るのに必要な直流電力を、前記エネルギー蓄積部が出力するように制御する請求項1〜11のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【請求項13】
前記エネルギー制御部は、モータから回生されて前記直流交流変換器、前記DCリンク部および前記交流直流変換器を経て交流電源へ戻される交流電力が、所定の抑制値を超えるとき、モータから回生された交流電力から前記所定の抑制値を減算した分の交流電力を変換して得られる直流電力を、前記エネルギー蓄積部が蓄積するように制御する請求項1〜11のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【請求項14】
前記エネルギー制御部は、モータが停止しているとき、またはモータの駆動のための交流電力が所定の値以下のとき、前記エネルギー蓄積部が前記DCリンク部から直流電力を蓄積するよう制御する請求項1〜11のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−9524(P2013−9524A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140776(P2011−140776)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】