説明

エフェクトピグメントを含む表面を検査する方法および装置

【課題】表面を検査する方法および装置を提供すること。
【解決手段】表面の特性を検査する方法であって、第1の所定の放出角(α)で、検査される表面(9)上に放射を放出するステップと、第1の受信角(β)で、第1の放出角(α)で放出されて、検査される表面(9)から反射された、放射の少なくとも一部分を受信し、受信された放射の特徴である複数の第1の測定値を出力するステップと、第2の所定の放出角(α)で、検査される表面(9)上に放射を放出するステップと、第2の受信角(β)で、第2の放出角(α)で放出されて、検査される表面(9)から反射された、放射の少なくとも一部分を受信し、受信された放射の特徴である複数の第2の測定値を出力するステップと、第1の測定値と第2の測定値との間の比較を実行するステップと、を包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面の特性を決定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、自動車の表面に関連して記載される。しかしながら、本発明はまた、その他の表面にも用いられること、例えば、家具のコーティング、床の被層のコーティング等にも用いられ得ることに留意されたい。
【0003】
対象の光学的外観または対象の表面(特に、自動車の表面)の光学的外観は、対象の表面の特性によって、大いに決定される。しかしながら、人間の目は、表面の特性の客観的決定に対しては、限られた範囲にしか適していないので、表面の特性の質的および量的な決定のための補助および装置が必要とされる。
【0004】
そのような表面の特性の例は、光沢、オレンジピール(orange peel)、色、マクロ構造またはマイクロ構造、画像の鮮明さ、ぼやけ、表面構造および/または表面のトポグラフィ等である。
【0005】
さらに、いわゆるエフェクトピグメント(effect pigment)を含むコーティングが、近年非常に人気を博している。これらのコーティングにおいて、多数のエフェクトピグメント(これらは小さなミラーのように機能する)は、塗装層に配置される。そのようなエフェクトピグメントが、平面状の表面を有し、コーティングそのものに実質的に平行に配置されることが、理想的である。
【0006】
しかしながら、実際は、そのようなエフェクトピグメントの表面は、平面状ではなく、むしろ、例えば凹状または凸状に、湾曲したものであり得る。この湾曲の結果として、これらのピグメントに衝突する光線は、広げられるか狭められ、このことは、全体としての表面の光学的外観の変化につながる。そのような湾曲したエフェクトピグメントが、それに衝突する放射を反射する場合、このエフェクトピグメントが知覚され得る視角は、とりわけ、エフェクトピグメントの湾曲に依存する。この角度の範囲は、以下では、角度のライフタイム(angular lifetime)と称される。その他の不均一性、例えば、クラック、エッジ、あるいは一般的には任意のトポグラフィックな表面の欠陥もまた、角度のライフタイムに影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、そのようなエフェクトピグメントのより正確な客観的検査を実現することである。この目的は、本発明にしたがって、請求項1および請求項8の主題によって実現される。有利な実施形態およびさらなる展開は、従属請求項の主題を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
表面の特性を検査する本発明にしたがう方法において、第1の方法ステップでは、第1の所定の放出角で、検査される表面上に放射が放出される。さらに、第1の放出角で放出されて、検査される表面から反射された放射の少なくとも一部分は、第1の受信角で受信され、受信された放射の特徴である複数の第1の測定値が出力される。
【0009】
さらなる方法ステップにおいて、第2の所定の放出角で、検査される表面上に放射が放出され、第2の放出角で放出されて、検査される表面から反射された、放射の少なくとも一部分は、第2の受信角で受信され、受信された放射の特徴である複数の第2の測定値が出力される。
【0010】
本発明にしたがうと、少なくとも放出角または受信角は異なっている。さらなる方法ステップにおいて、第1の測定値と第2の測定値との間で、比較が実行される。
【0011】
反射された放射は、任意の放射(特に、反射および/または散乱された放射)を意味すると考えられ得、これは、表面から放射検出デバイス上に渡る。特定の好みによれば、放射は光であり、特に好適には、可視波長範囲における光である。
【0012】
反射された放射は、反射された部分と散乱された部分とから構成され得、特に、表面そのものからの散乱光と個々のエフェクトピグメントからの反射光とから構成され得る。検査される表面は、放射検出デバイス上で画像化されることが好適であるが、そうでなければ、結像光学系が用いられる。
【0013】
放出角または受信角のいずれかが保たれ、それぞれの他方の角度が変化することが、好適である。このようにして、少なくとも2つの異なる角度のもとでの表面の観察が、実行され得る。放出角および受信角は、以下において、中央の垂線に対する表面からの角度として定義される。複数の測定値は、検出デバイス上に衝突する放射を特徴付けるアレイであることが、好適である。
【0014】
例えば、放射が、同じ放出角で2回放出され、異なる受信角で受信される場合、異なる受信角における記録が、特定のエフェクトピグメントを指しているかどうかが、チェックされ得る。このようにして、このエフェクトピグメントの角度のライフタイムは、これらの2つの受信角の間の角度の差から推定され得る。複数の放出角で放射が放出され、反射された放射が、ある特定の受信角で受信されることが、好適である。逆に、唯1つの特定の放出角で、放射が放出され、複数の受信角で受信されることもまた、可能である。最後に、複数の放出角および複数の受信角が、使用され得る。
【0015】
この複数の角度のおかげで、所定のエフェクトピグメントが光を反射する角度の範囲を高い精度で特定することが、可能である。このようにして、これらのエフェクトピグメントの湾曲の非常に正確な画像が取得され得る。反射中に測定が行なわれないことが、好適である(すなわち、放出角および受信角は等しくないが、反対側にある)。
【0016】
加えて、エフェクトピグメントの散乱特性または反射特性もまた、検査され得、特に、特定のエフェクトピグメントが、ミラーまたは散乱体として機能する範囲が、検査され得る。
【0017】
さらなる好適な方法において、放出は、空間分解されて受信される。この場合には、例えば、CCDチップを有する放射検出器が提供され、これは、衝突する放射の空間分解された画像を出力する。異なる放出角または受信角の間の差は、好適には5°未満であり、好適には3°未満であり、特に好適には1°未満であり、特に好適には0.5°未満である。このようにして、問題のエフェクトピグメントの湾曲は、非常に正確に決定され得、そのような湾曲したエフェクトピグメントの効果は、非常に正確に特徴付けられ得る。
【0018】
少なくとも1つの移動可能な放射検出デバイスが使用され、表面から反射された放射(特に、散乱された放射)を受信することが、好適である。この方法で個々のエフェクトピグメントの角度のライフタイムを決定するために、この放射検出デバイスは、特定の角度の範囲にわたって、動かされ得る。さらなる好適な実施形態において、少なくとも1つの移動可能な放射デバイスが使用され、表面上に放射を放出する。ここではまた、エフェクトピグメントの湾曲を決定するために、放射デバイスが周方向に移動させられ得、これにより、エフェクトピグメントが異なる角度から照射され得ることが、特に好適である。加えて、個々のエフェクトピグメントの湾曲以外にも、コーティング平面に対するその方向を決定することもまた、可能である。
【0019】
しかしながら、表面に対して異なる角度で配置された複数の放射デバイスを用いることもまた、可能であり、一方で、複数の放射検出デバイス(これらは、それぞれが互いに小さな角距離を隔てて互いに分離されている)を用いることもまた、可能である。逆に、複数の放射デバイス(これらは、互いに小さな角距離を隔てて配置されている)を用いることもまた、可能であり、一方で、複数の放射検出デバイス(これらは、例えば10°のような大きな角距離を隔てて互いに配置されている)を用いることもまた、可能である。
【0020】
本発明はまた、表面の特性を検査する装置にも関する。この装置は、第1の放射デバイスを備え、これは、第1の所定の放出角で、検査される表面上に放射を放出する。第1の放射検出デバイスもまた提供され、これは、第1の受信角で、表面上に放出されて、上記表面から反射される放射の少なくとも一部分を受信し、第1の放出角で放出されて第1の受信角で受信された放射の特徴である、複数の第1の測定値を出力する。
【0021】
本発明にしたがうと、第2の放出角での放射の放出と、第2の受信角での反射された放射の受信とが可能である、測定手段が提供される。上記測定手段は、第2の放出角で放出されて、第2の受信角で受信された放射の特徴である複数の第2の測定値の出力が可能であり、少なくとも上記2つの放出角または上記2つの受信角は異なっている。この場合では、放射検出デバイスと測定手段との両方が、表面から反射された放射の空間分解された受信が可能であることが、好適である。
【0022】
比較デバイスもまた提供され、上記比較デバイスは、第1の測定値と第2の測定値とを比較する。この装置の場合もまた、特定のエフェクトピグメントが異なる照射角および異なる視角で、依然として知覚できるかどうかがチェックされ得、これにより、このエフェクトピグメントの角度のライフタイムが、推定され得る。
【0023】
比較デバイスは、少なくとも2つの値の比較が可能な任意のデバイスを意味していると理解されたい。最も単純な場合、上記比較デバイスは、表示デバイスであり得、これは、第1のグループの測定値と第2のグループの測定値とをユーザに出力することにより、比較を実行し得る。しかしながら、比較デバイスは、少なくとも一部が自動的であるように、これらの比較を実行することが、好適である。これは、例えば、上述の測定値のアレイがメモリ内にロードされ、互いにアラインされることにより、個々の測定値または個々の測定値のグループが互いに比較される場合に、実現され得る。このようにして、特定の現象(例えば、測定値の異なるセットにおける特定のエフェクトピグメントの出現)が存在するかどうかがチェックされ得る。測定値のセットはまた、このそれぞれのビーム経路に関する情報(すなわち、特にそれぞれの放出角および受信角)と共に格納されることが、好適である。このようにして、個々のエフェクトピグメントの角度のライフタイムは、個々の測定値のセットを比較することにより、直接的に推定され得る。
【0024】
角度のライフタイムに関する完全な情報は、複数の記録が実行されるまでは、取得され得ないことが、指摘されるべきである。原理上、上記の測定角を設定するための様々な実施形態が存在する。これらの実施形態は、いくつかの実施例に基づいて、以下で説明される。
【0025】
測定手段が、第2の放射デバイスを備えていることが、好適であり、これは、第2の放出角αで、検査される表面上に放射を放出する。したがって、この場合、2つの放出角は異なり、受信角は好適には同じである。
【0026】
さらなる好適な実施形態において、複数の第2の放射デバイス、または一般的には複数の放射デバイスが提供され、これは、検査される表面上に放射を配向する。このようにして、表面は、好適には、互いに小さな距離だけ分離された複数の角度で照射され、反射された放射は、1つの特定の受信角で観察される。上記表面が、個々の放射デバイスによって交互に照射されることにより、それぞれ取得された測定値の一切の一時的な重複を回避することが、好適である。
【0027】
しかしながら、逆に、複数の放射検出デバイスを提供することもまた、可能であり、上記放射検出デバイスは、異なる所定の第2の視角で、表面から反射された放射を受信する。また、このようにして、個々のエフェクトピグメントの角度のライフタイムが、決定され得る。
【0028】
さらなる好適な実施形態において、測定手段は、放出角変化デバイスを備えており、これは、第1の放射デバイスを表面に対して移動させることにより、放出角を変化させる。このようにして、所定の角度の範囲がスキャンされ得、その結果、エフェクトピグメントの角度のライフタイムが、決定され得る。この場合、放射デバイスが、角度の範囲内を移動させられ、その結果、大きな湾曲の検出をも可能にすることが、好適である。ここで、所定の大きさのステップで放出角を変化させることが可能であり、これらのステップは、5°未満であり得、好適には3°未満であり得、好適には1°未満であり得、好適には0.5°未満であり得る。
【0029】
逆に、さらなる好適な実施形態において、受信角変化デバイスもまた提供され得、これは、第1の放射検出デバイスを表面に対して移動させることにより、受信角を変化させる。すなわち、角度のライフタイムを決定するために、一方では放射デバイスの移動が、他方では放射検出デバイスの移動が、同じ方法で使用され得る。
【0030】
好適には、第1の放出角と第2の放出角とは、5°未満だけ異なっており、好適には3°未満だけ異なっており、特に好適には2°未満だけ異なっている。しかしながら、ここで、放射デバイスと表面との間の距離もまた、決定的である。
【0031】
さらなる好適な実施形態において、第1の受信角と第2の受信角とは、互いに5°未満だけ異なっており、好適には互いに3°未満だけ異なっており、特に好適には2°未満だけ異なっている。
【0032】
さらなる好適な実施形態において、測定手段は、動かすことが可能なダイアフラムデバイスを備えている。この場合、例えば、ダイアフラムデバイスは、表面上への放出角を変化させるために使用され得るが、上記ダイアフラムデバイスは、視角をシフトさせるためにも使用され得る。
【0033】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0034】
(項目1)
表面の特性を検査する方法であって、
第1の所定の放出角(α)で、検査される表面(9)上に放射を放出するステップと、
第1の受信角(β)で、該第1の放出角(α)で放出されて、検査される該表面(9)から反射された、該放射の少なくとも一部分を受信し、受信された該放射の特徴である複数の第1の測定値を出力するステップと、
第2の所定の放出角(α)で、検査される該表面(9)上に放射を放出するステップと、
第2の受信角(β)で、該第2の放出角(α)で放出されて、検査される該表面(9)から反射された、該放射の少なくとも一部分を受信し、受信された該放射の特徴である複数の第2の測定値を出力するステップであって、少なくとも該放出角(α,α)または該受信角(β,β)は異なっている、ステップと、
該第1の測定値と該第2の測定値との間の比較を実行するステップと
を包含する、方法。
【0035】
(項目2)
上記放射は、複数の放出角(α,α,...,α)で放出されること
を特徴とする、項目1に記載の方法。
【0036】
(項目3)
上記表面(9)から反射された上記光は、複数の受信角(β,β,...,β)で受信されること
を特徴とする、項目1〜2の少なくとも一項に記載の方法。
【0037】
(項目4)
上記放射は、空間分解されて受信されること
を特徴とする、項目1〜3の少なくとも一項に記載の方法。
【0038】
(項目5)
異なる上記放出角または異なる上記受信角の間の差は、5°未満であり、好適には3°未満であり、好適には1°未満であり、特に好適には0.5°未満であること
を特徴とする、項目1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
【0039】
(項目6)
少なくとも1つの移動可能な放射検出デバイス(8)は、上記基板(9)から反射された上記放射を受信するために用いられること
を特徴とする、項目1〜5の少なくとも一項に記載の方法。
【0040】
(項目7)
少なくとも1つの移動可能な放射デバイス(4)は、上記表面(9)上に上記放射を放出するために用いられること
を特徴とする、項目1〜6の少なくとも一項に記載の方法。
【0041】
(項目8)
表面の特性を検査する装置であって、
第1の所定の放出角(α)で、検査される表面(9)上に放射を放出する第1の放射デバイス(4)と、
第1の放射検出デバイス(8)であって、該第1の放射検出デバイス(8)は、第1の受信角(β)で、該表面(9)上に放出されて該表面(9)から反射された該放射の少なくとも一部分を受信し、該第1の放出角(α)で放出されて該第1の受信角(β)で受信された該放射の特徴である複数の第1の測定値を出力する、第1の放射検出デバイス(8)と
を備えており、
測定手段(11,14)が提供されており、該測定手段(11,14)は、第2の放出角(α)での該放射の放出と、反射された該放射の第2の受信角(β)での受信とが可能であり、該測定手段(11,14)は、該第2の放出角(α)で放出されて該第2の受信角(β)で受信された該放射の特徴である複数の第2の測定値の出力が可能であり、少なくとも該2つの放出角(α,α)または該2つの受信角(β,β)は異なっており、比較デバイス(20)が提供されており、該比較デバイス(20)は、該第1の測定値と該第2の測定値との比較が可能であること
を特徴とする、装置。
【0042】
(項目9)
上記測定手段は、第2の放射デバイス(14)を備えており、該第2の放射デバイス(14)は、上記所定の第2の放出角(α)で、検査される上記表面(9)上に上記放射を放出すること
を特徴とする、項目8に記載の装置。
【0043】
(項目10)
上記測定手段は、第2の放射検出デバイス(11)を備えており、該第2の放射検出デバイス(11)は、上記所定の第2の受信角(β)で、上記基板(9)から反射された上記放射を受信すること
を特徴とする、項目8〜9の少なくとも一項に記載の装置。
【0044】
(項目11)
上記測定手段は、放出角変化デバイスを備えており、該放出角変化デバイスは、上記表面に対して上記第1の放射デバイス(4)を移動させ、これにより、上記放出角(α,α)を変化させること
を特徴とする、項目8〜10の少なくとも一項に記載の装置。
【0045】
(項目12)
上記測定手段は、受信角変化デバイスを備えており、該受信角変化デバイスは、上記表面に対して上記第1の放射検出デバイス(8)を移動させ、これにより、上記受信角(β,β)を変化させること
を特徴とする、項目8〜11の少なくとも一項に記載の装置。
【0046】
(項目13)
上記第1の放出角(α)と上記第2の放出角(α)とは、互いに対して5°未満だけ異なっており、好適には3°未満だけ異なっており、特に好適には2°未満だけ異なっていること
を特徴とする、項目8〜12の少なくとも一項に記載の装置。
【0047】
(項目14)
上記第1の受信角(β)と上記第2の受信角(β)とは、互いに対して5°未満だけ異なっており、好適には3°未満だけ異なっており、特に好適には1°未満だけ異なっていること
を特徴とする、項目8〜13の少なくとも一項に記載の装置。
【0048】
(項目15)
上記測定手段は、動かすことが可能なダイアフラムデバイスであること
を特徴とする、項目8〜13の少なくとも一項に記載の装置。
【0049】
(摘要)
本発明は、装置が表面の特性を検査するための方法を記載している。エフェクトピグメントの特性が、特に検査される。検査される表面(9)は、異なる放出角および受信角で検査され、エフェクトピグメントの任意の湾曲は、これらの異なる角度に基づいて推定される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明が基づく問題を描く概略図を示している。
【図2】図2は、第1の実施形態における、本発明にしたがう装置の高度概略図を示している。
【図3】図3は、第2の実施形態における、本発明にしたがう装置の高度概略図を示している。
【図4】図4は、第3の実施形態における、本発明にしたがう装置の高度概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
さらなる利点および実施形態は、添付の図面から明らかになる。
【0052】
図1は、本発明が基づく問題を描く概略図を示している。上記図面において、光線Lは、表面9またはエフェクトピグメント9aの上に放出される。図面の左側部分において、このエフェクトピグメントは、平面状である。このことは、光線がエフェクトピグメントによって集束するように(すなわち、広がることなしに)反射されることを意味する。観察者がコーティングの方を見ている場合、観察者は、所定の角度セグメントγで、エフェクトピグメント9aからの反射を知覚することが可能であり得る。この角度セグメントγは、上述の角度のライフタイムである。
【0053】
しかしながら、ピグメントが、図1の右側部分に示されているような湾曲した表面を有している場合、エフェクトピグメント上に衝突する光線は、反射された光線L’によって示されているように、広げられ得る。この場合では、このようにして、角度γまたは角度のライフタイムは、増大される。逆に、角度γ、そして角度のライフタイムは、少なくとも、わずかにくぼんだ湾曲の場合、低減され得る。本発明は、この湾曲と、結果として生じる角度のライフタイムにおける変化とを、制限することを可能にする。例えば、多数のエフェクトピグメントに対する角度のライフタイムを記録し、これらの結果から、角度のライフタイムに対する平均値または分散、および散布等を決定することが、可能である。したがって、全体的に、表面の占有に関する目的の画像が、出力され得る。
【0054】
図2は、第1の実施形態における、本発明にしたがう装置1の高度概略図を示している。ここでは、第1の放射デバイス4が提供されており、上記放射デバイスは、中央の垂線Mに対する第1の放出角αで、検査される表面9上に放射を放出する。この表面9から反射される(特に上記表面によって散乱される)放射は、第1の放射検出デバイス8によって、少なくとも部分的に受信される。放射デバイスと放射検出デバイスとの両方は、外部からのさらなる光が表面9に衝突することを防ぐために、ハウジング(図示されず)内に収容される。表面9から反射される放射(P1)は、第1の受信角βで検出される。
【0055】
加えて、装置は、さらなる放射デバイス14を備え、上記放射デバイスは、異なる放出角α〜αで、表面9上に放射を放出する。この実施形態において、受信角βおよび受信角βは同一であり、複数の異なる放出角α〜αが提供されている。実際には、かなり多数の放射デバイス14が提供され、これらが例えばかなり大きな角度の範囲にわたって(例えば20°の範囲にわたって)分配されることもまた、可能である。
【0056】
上述のように、表面から反射される光(これは、矢印L’の方向に走っている)は、表面からの散乱光である。放射検出デバイスは、画像の空間分解記録、またはそれに衝突する放射の空間分解能を可能にする。導入部で述べられたように、多数のエフェクトピグメントは、表面に配置されており、これらのエフェクトピグメントは、本明細書に提示されている角度条件のもとで、ミラーのように機能し得、放射検出デバイス8上に放射を反射し得る。放射検出デバイス8によって記録された画像において、これらの反射されたコンポーネントは、特に明るい点として現れ得る。
【0057】
本発明にしたがう方法において、個々の放射デバイス14および4は、例えば交互に活性化され得る。その後、各場合において、画像は、放射検出デバイス8によって記録され得、画像内で特定のエフェクトピグメントが依然として見えるかどうかについて画像を確かめるために、チェックが実行され得る。この情報から、そして個々の記録された画像の比較から、特定の色のピグメントの角度のライフタイムを決定することが可能である。複数の記録された画像を互いに比較し、特定のエフェクトピグメントが依然として現れるかどうかをチェックすることにより、角度のライフタイムを自動的に決定することもまた、可能である。この測定はまた、複数のエフェクトピグメントに対して記録され得る。この場合、全ての放射デバイス4、14が表面の同じ領域を照射することを保証することが、好適である。さらに、複数の画像は、適切なソフトウェアを用いることにより、例えば、特定のエフェクトピグメントに基づく方向によって、アラインされ得る。
【0058】
複数の放射デバイス4および14の代わりに、大きな放射デバイスおよび移動可能なダイヤフラムデバイス(図示されず)もまた使用され得、これらはそれぞれ、放出角α〜αを調整する。
【0059】
図3は、本発明のさらなる実施形態を示している。この実施形態では、唯1つの放射デバイス4のみが提供されており、上記放射デバイスは、第1の放出角α(これは、この場合では、第2の放出角αと同じである)で、表面上に放射を放出する。この実施形態では、複数の放射検出デバイス8、11が提供されており、これらは、異なる角度β〜βで、表面から散乱された放射を受信する。このようにして、特定のエフェクトピグメントの角度のライフタイムはまた、個々の角度β〜βを比較して、それぞれの記録された画像を見ることによっても、決定され得る。この実施形態において、異なる放射検出デバイスによる個々の画像の記録もまた、同時に取られ得る。さらに、複数の放射デバイスと複数の放射検出デバイス8、11との両方を提供することもまた、可能であり得る。
【0060】
図4は、本発明のさらなる実施形態を示している。この場合では、唯1つの放射デバイス4と唯1つの放射検出デバイス8とが、提供されている。しかしながら、上記の実施形態に反して、放射デバイスまたは放射検出デバイス8のいずれかが、輪状線Kに沿って移動させられ得(矢印P1、P2)、このようにして、放出角αまたは受信角βを変化させ得る。測定方法において、例えば、まず光は、放出角αで表面9上に放出され得、受信角βで受信され得る。その後、放出方向または放射検出デバイスのいずれかは、例えばさらなる方法ステップにおいて、第2の角度αで光を放出し、受信角βで光を受信するために、動かされ得る。逆に、放射検出デバイス8を動かすことにより、同じ放出角αおよび異なる受信角βで記録を実行することもまた、可能である。しかしながらここで、放射デバイスおよび放射検出デバイスは、必ずしも輪状線Kに沿って動かされる必要はなく、結果としてそれぞれの放出角または受信角が変化することを条件として、むしろ他のなんらかの方法によっても動かされ得ることが、指摘されるべきである。放射検出デバイス8または放射デバイス4はまた、所定の角度の範囲をスキャンするために、連続的に移動させられ得る。
【0061】
本発明にしたがう方法において、装置全体(すなわち、全ての放射デバイスと放射検出デバイスとを含む)は、表面9に対して移動させられ得るか、動かされ得る。好適には、上記装置は、表面に対して矢印P3の方向に動かされる。したがって、複数の放射デバイスを図3における図面の平面に対して垂直に配置することにより、図面の平面に垂直な方向で個々のエフェクトピグメントの湾曲を測定することが、可能であり得る。より詳細には、複数の放射デバイスを半円形または半球体のセグメント(これは、図3における図面の平面に対して本質的に垂直に延びている)に沿って配置することもまた、可能であり得る。表面に対して装置を移動させることにより、より大きな表面が、それらのエフェクトピグメントに関して、検査され得る。
【0062】
本発明の装置はまた、メモリデバイス(この中に多数の記録された画像が格納される)を備えることが好適である。比較デバイスは、個々の記録された画像を互いに比較し、例えば、個々の画像における異なるエフェクトピグメントの存在をチェックすることにより、それぞれのエフェクトピグメントの角度のライフタイムを測定し得る。
【0063】
エフェクトピグメントがまたそれらの色に関して異なり得るようにするために、放射検出デバイスが、画像を色付きで記録することも可能であることが、好適である。多数の画像を記録および比較することにより、個々の湾曲に対し、エフェクトピグメントに対する統計的なパラメータ(例えば、散布、分散、または平均値)もまた、出力され得る。
【0064】
図面に示されている放射デバイスおよび放射検出デバイスのそばに、さらなる放射デバイスもまた、異なる角度(特に、非常に大きな角度でさえも)で、配置され得る。放射検出デバイスを角度β=0で(すなわち、垂線M上に)提供することもまた、可能である。放射検出デバイス8はまた、中央の垂線Mに関して、放射デバイス4と同じ側に配置され得る。このようにして、特に、表面8に対して非常に傾いて位置しているエフェクトピグメントを検出することが可能である。しかしながら、受信角βは、反射角α−に対して比較的近くに(例えば、この角度の+/−10°以内に)配置されることが、好適である。なぜならば、エフェクトピグメントのほとんどは、表面9に対してわずかにしか傾斜していないからである。
【0065】
放射検出デバイス上に衝突する放射の記録された測定値と記録された画像とを格納し、これらを所定の値と比較すること(すなわち、これらをカタログに載せること)もまた、可能である。このようにして、特定の表面を、カタログまたはライブラリに含まれている表面に割り当てること、そして特に、エフェクトピグメントの質に関する分類を実行することもまた、可能である。本発明にしたがう装置、ならびに本発明にしたがう方法はまた、そのようなライブラリを設定することにも用いられ得る。さらに、上記装置はまた、例えば、色、オレンジピール、または光沢等に関する従来の表面の測定を実行することにも用いられ得る。したがって、上記装置は、従来技術から公知なデバイスと組み合わされ得る。
【0066】
特別に適合されたピグメントレシピシステムと共に本発明を用いることにより、特定の所望されているピグメントの組成を生成することもまた、考えられる。本発明にしたがう装置によって出力された測定値は、特に(限定するわけではないが)スクリーン上でのシミュレーションの目的にも使用され得る。
【0067】
出願書類に開示された全ての特徴は、従来技術に対してそれらが単独または組み合わせで新規である限りにおいて、本発明に対して本質的であるとして請求されている。
【符号の説明】
【0068】
1 表面を検査する装置
4 第1の放射デバイス
8 第1の放射検出デバイス
9 表面
9a エフェクトピグメント
11 さらなる放射検出デバイス
14 さらなる放射デバイス
γ 角度セグメント
L 光線
L’ 反射された光線
α、α、α、α 放出角
β、β、β、β 受信角
M 中央の垂線
P1 放射デバイス4の移動
P2 放射検出デバイス8の移動
P3 装置1の移動方向
K 輪状線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の特性を検査する方法であって、該方法は、
第1の所定の放出角(α)で、検査される表面上に放射を放出するステップと、
該第1の放出角(α)で放出されて、検査される該表面から反射された、該放射の少なくとも一部分を第1の受信角(β)で受信し、該受信された放射の特徴である複数の第1の測定値を出力するステップと、
第2の所定の放出角(α)で、検査される表面(9)上に放射を放出するステップと、
該第2の放出角(α)で放出されて、検査される該表面から反射された、該放射の少なくとも一部分を第2の受信角(β)で受信し、該受信された放射の特徴である複数の第2の測定値を出力するステップであって、少なくとも該放出角(α,α)または該受信角(β,β)は異なっている、ステップと、
該複数の第1の測定値と該複数の第2の測定値との比較を実行するステップと
を含み、
該放射は、空間的に分解された態様で受信され、該異なる放出角または該異なる受信角の差は、5°未満である、方法。
【請求項2】
前記放射は、複数の放出角(α,α,...,α)で放出されること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面(9)から反射された前記光は、複数の受信角(β,β,...,β)で受信されること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記異なる放出角または前記異なる受信角の差は、3°未満であること
を特徴とする、請求項1〜3の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの移動可能な放射検出デバイス(8)は、前記表面(9)から反射された前記放射を受信するために用いられること
を特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの移動可能な放射デバイス(4)は、前記表面(9)上に前記放射を放出するために用いられること
を特徴とする、請求項1〜5の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項7】
表面の特性を検査する装置であって、該装置は、
第1の所定の放出角(α)で、検査される表面上に放射を放出する第1の放射デバイスと、
該表面上に放出され、空間的に分解された態様で該表面から反射された該放射の少なくとも一部分を第1の受信角(β)で受信し、該第1の放出角(α)で放出されて該第1の受信角(β)で受信された該放射の特徴である複数の第1の測定値を出力する第1の放射検出デバイスと
を備え、
第2の放出角(α)で該放射を放出することと、反射された該放射の第2の受信角(β)で受信することが可能な測定手段が設けられており、該測定手段は、該第2の放出角(α)で放出されて該第2の受信角(β)で受信された該放射の特徴である複数の第2の測定値を出力することが可能であり、少なくとも2つの放出角(α,α)または2つの受信角(β,β)は異なっており、該複数の第1の測定値と該複数の第2の測定値とを比較することが可能な比較デバイスが設けられており、該異なる放出角または該異なる受信角の差は、5°未満である、装置。
【請求項8】
前記測定手段は、第2の放射デバイス(14)を備え、該第2の放射デバイス(14)は、前記所定の第2の放出角(α)で、検査される前記表面(9)上に前記放射を放出すること
を特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記測定手段は、第2の放射検出デバイス(11)を備え、該第2の放射検出デバイス(11)は、前記所定の第2の受信角(β)で、前表面(9)から反射された前記放射を受信すること
を特徴とする、請求項7〜8の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項10】
前記測定手段は、放出角変化デバイスを備え、該放出角変化デバイスは、前記表面に対して前記第1の放射デバイス(4)を移動させ、これにより、前記放出角(α,α)を変化させること
を特徴とする、請求項7〜9の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項11】
前記測定手段は、受信角変化デバイスを備え、該受信角変化デバイスは、前記表面に対して前記第1の放射検出デバイス(8)を移動させ、これにより、前記受信角(β,β)を変化させること
を特徴とする、請求項7〜10の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の放出角(α)と前記第2の放出角(α)とは、互いに対して5°未満だけ異なっていること
を特徴とする、請求項7〜11の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の受信角(β)と前記第2の受信角(β)とは、互いに対して5°未満だけ異なっていること
を特徴とする、請求項7〜12の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項14】
前記測定手段は、動かすことが可能なダイアフラムデバイスを含むこと
を特徴とする、請求項7〜12の少なくとも一項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−252023(P2012−252023A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212151(P2012−212151)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2007−267226(P2007−267226)の分割
【原出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(507231987)ベーユプスィロンカー−ガードネル ゲーエムベーハー (15)
【Fターム(参考)】