説明

エポキシ樹脂中でのDOPO−難燃剤

本発明は、ホスフィン酸塩とジヒドロホスホフェナントレン(DOPO)の混合物を含有する、難燃剤ポリマー組成物に関する。前記混合物は、特に、優れた表面特性及び低減された層間剥離の傾向を有するラミネートをもたらす、多官能価エポキシド及びエポキシ樹脂組成物を基礎とする難燃剤組成物の製造方法のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多官能価エポキシド化合物中で、リン酸の塩及び6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシドの混合物を含有する難燃剤組成物に関する。難燃剤は、ポリマーの難燃剤特性を高めるために、ポリマー材料(合成又は天然)に添加される。これらの組成物に依存して、難燃剤は、固体相、液相又はガス相中で、化学的に、例えば窒素の遊離による泡立ち、及び/又は物理的に、例えば泡被覆を製造することによって、作用してよい。難燃剤は、燃焼プロセスの特定の工程中、例えば加熱中に、分解、点火又は延焼を妨害する。
【0002】
種々のポリマー物質中で使用されうる改良された特性を有する難燃剤組成物がさらに必要である。特に要求は、エポキシプレプレグで強化したガラスファイバー、ラミネート、及びプリント回路板、並びにそれらから由来するプリント配線板の製造のために適した難燃剤組成物においてみられる。安全性及び環境条件に関する増加された基準は、より厳密な調整をもたらす。特に公知であるハロゲン含有難燃剤は、もはや、全ての必要な要求を満たさない。従って、特に、火に関連する煤煙濃度の点においてそれらのより良好な性能を考慮して、ハロゲンを有さない難燃剤が好ましい。改良された熱安定性及び低減された層剥離の傾向は、さらに、ハロゲンを有さない難燃剤組成物の利点である。
【0003】
WO 00/02869は、1,3,5−トリアジン化合物のポリリン酸塩及び難燃剤組成物のためのその使用を開示している。
【0004】
US特許明細書第5,084,546号は、難燃剤エポキシ樹脂組成物を開示しており、その際ヒドロキシアルキルホスフィンオキシドが有効成分として存在する。発表されたPCT/EP 2008/053474は、難燃剤エポキシ樹脂組成物を開示しており、その際6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシドが有効成分として存在する。
【0005】
驚くべきことに、優れた難燃性を有するポリマーが、ホスフィン酸の塩と6H−ジベンズ[c,e][1,2]−オキサホスホリン−6−オキシドとの組合せを多官能価エポキシド化合物に添加する場合に製造されることが見出されている。さらに、ラミネートの質、例えばラミネート表面の平滑度及びラミネートの結合性は、挙げられた難燃剤成分の1つのみを含有するラミネートと比較して、大きく増加し、かつそれらの層間剥離の傾向は減少する。
【0006】
本発明は、
a)構造式
【化1】

[式中、
1及びR2は、水素、直鎖又は分枝鎖のC1〜C8アルキル基、又はフェニル基を示し、かつ
3は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C10アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン又はアリールアルキレンを示す]によって示されるようなホスフィン酸の塩
b)構造式
【化2】

によって示されるような6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド、又はそれらの塩、
c)少なくとも1つの多官能価エポキシド化合物、及び場合により
d)硬化剤化合物
を含有する組成物に関する。
【0007】
本発明による組成物は、UL−94(Underwriter’s Laboratories Subject 94)による所望のV−0評価、及び特に組成物を強化させるグラスファイバーにおける試験法に関連する他の優れた評価を見たし、その際通常難燃剤は失敗する傾向がある。
【0008】
本発明による組成物は、それらの優れた熱及び機械的特性によって特徴付けられる。本発明の記載内容において、機械的安定性は、熱又は機械的応力に対する層間剥離に耐えるためのラミネートの能力として定義される。熱安定性は、加熱による発泡に対する耐性の程度として定義される。難燃剤組成物の熱安定性におけるより厳密な区別のために、物理化学的方法、例えば熱重量解析(TGA)及び示差走査熱測定(DSC)が使用されうる。
【0009】
本発明の難燃性エポキシ樹脂は、プレプレグ及びそれらのラミネートの製造のために有用であり、かつプリント回路板及びプリント配線板のために、又は運搬用車両(電車、飛行機、船、自動車等)における及び建設適用(ドライ壁、フローリング、梁等)における構造セグメントとして使用される。
【0010】
本発明の好ましい一実施態様は、
a)ホスフィン酸(I)又は(II)0.05〜30.0質量%、
b)6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド0.10〜40.0質量%、
c)多官能価エポキシド化合物60.0〜95.0質量%、及び
d)硬化剤化合物0.10〜40.0質量%
を含有する組成物に関する。
【0011】
前記で定義されたような組成物は、次の成分を含む。
【0012】
成分a)
ホスフィン酸の塩という用語は、本発明の範囲内で、有利には金属塩、例えばアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩もしくはカルシウム塩、又は鉄(II)塩、鉄(III)塩、亜鉛塩又はホウ素塩を含む。
【0013】
好ましい一実施態様によって、前記組成物は、ホスフィン酸のアルミニウム塩(次亜リン酸アルミニウム)を含む。他の実施態様によって、塩という用語は、非金属塩、例えばホスフィン酸とアンモニア又はアミンとの反応によって得られる酸添加塩、例えば(C1〜C4アルキル)4+、(C1〜C4アルキル)3NH+、(C2〜C4アルキルOH)4+、(C2〜C4アルキルOH)3NH+、(C2〜C4アルキルOH)2N(CH32+、(C2〜C4アルキルOH)2NHCH3+、(C654+、(C653NH+、(C65CH34+、(C65CH33NH+又はNH4+の塩を含む。酸添加塩の中で、アンモニウム、(C1〜C4アルキル)1-4アンモニウム又は(2−ヒドロキシエチル)1-4アンモニウム、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、又は2−ヒドロキシエチル−トリエチルアンモニウムの塩が特に好ましい。
【0014】
ホスフィン酸の用語は、本発明の範囲内で、ホスフィン酸、H2P(=O)OHであり、その際、直接リン原子に結合される1つ又は2つの水素原子が、有機置換基、特にC1〜C6アルキル、アリール、例えばフェニル、アリール−C1〜C4アルキル、例えばベンジル又は1−もしくは2−フェニルエチル、又は(C1〜C4アルキル)1-3アリールによって置換されている。
【0015】
適したホスフィン酸は、構造式
【化3】

[式中、
1及びR2は、水素、又は直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C8アルキル基、又はフェニル基を示し、及び
3は、直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10アルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基、又はアリールアルキレン基である]によって示される。
【0016】
ホスフィン酸という用語は、本発明の範囲内で、互変異性型のHP(OH)2を含み、その際直接リン原子に結合する水素原子は、有機置換基、特にC1〜C6アルキル、アリール、例えばフェニル、アリール−C1〜C4アルキル、例えばベンジル又は1−もしくは2−フェニルエチル、又は(C1〜C4アルキル)1-3アリールによって置換されている。
【0017】
特に好ましい一実施態様によって、ホスフィン酸の塩(I)は、式
【化4】

[式中、
1及びR2は、水素、又は直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C8アルキル基、又はフェニル基を示し、
Mは、(C1〜C4アルキル)4N、(C1〜C4アルキル)3NH、(C2〜C4アルキルOH)4N、(C2〜C4アルキルOH)3NH、(C2〜C4アルキルOH)2N(CH32、(C2〜C4アルキルOH)2NHCH3、(C654N、(C653NH、(C65CH34N、(C65CH33NH、NH4、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属イオン、又はアルミニウム、亜鉛、鉄もしくはホウ素イオンを示し、
mは1〜3の数字であり、かつMに対する正の電荷の数を示し、
nは1〜3の数字であり、かつMm+に対応するホスフィン酸アニオンの数を示す]によって示される。
【0018】
極めて好ましい実施態様は、ホスフィン酸の塩(I)が式
【化5】

によって示される組成物に関する。
【0019】
成分b)
前記オキサホスホリンオキシド(II)は、6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド、3,4:5,6−ジベンゾ−2H−1,2−オキサホスホリン−2−オキシド又は9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホリルフェナントレン−10−オキシドと言われ、DOPO(C.A. RN 35948−25−5)と略記される、次の構造式
【化6】

によって示される。かかかる化合物は、Sanko Co, Ltd.から、Sanko−HCAの商標名で市販されている。
【0020】
2つの異なる構造式は、DOPO及びその加水分解生成物が挙げられてよい:
【化7】

【0021】
オキサホスホリンオキシドの好適な誘導体は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホリルフェナントレン−10−オキシド(DOPO)、DOPOの塩、例えば亜鉛塩である。
【化8】

【0022】
特に好ましい本発明の一実施態様は、
a)式
【化9】

によって表されるようなホスフィン酸のアルミニウム塩、
b)6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド(III)
【化10】

又はそれらの塩、
c)少なくとも1つの多官能価エポキシド化合物、及び
d)硬化剤化合物
を含有する組成物に関する。
【0023】
好ましい一実施態様によって、成分a):b)の質量比は、10.0:1.0〜1.0:10.0、有利には5.0:1.0〜1.0:5.0の範囲内である。
【0024】
成分c)
多官能価エポキシド化合物において、部分式
【化11】

の少なくとも2つのエポキシ基が存在し、その際、該基は直接、炭素、酸素、窒素又は硫黄原子に結びつき、その際qはゼロを示し、R1及びR3の双方は水素を示し、かつR2は水素もしくはメチルを示し、又はqはゼロ又は1を示し、R1及びR3共に−CH2−CH2−もしくは−CH2−CH2−CH2−基を形成し、かつR2は水素を示す。
【0025】
多官能価エポキシド化合物の例は以下である:
I)分子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物と、エピクロロヒドリン及び/又はグリセロールジクロロヒドリン及び/又はβ−メチルエピクロロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエステル及びポリ(β−メチルグリシジル)エステル。前記反応は塩基の存在で実施される。分子中で少なくとも2つのカルボキシル基を有する好適な化合物は、脂肪族ポリカルボキシル酸、例えばグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸又は二量化もしくは三量化リノール酸である。脂環式ポリカルボキシル酸は、例えばテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸又は4−メチル−ヘキサヒドロフタル酸が適している。芳香族ポリカルボキシル酸は、例えばフタル酸、イソフタル酸、トリメリト酸及びピロメリト酸が適している。同様に、例えばトリメリト酸及びポリオール、例えばグリセロール又は2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのカルボキシル基を末端にもつ付加物が適している。
II)少なくとも2つの遊離アルコールヒドロキシル基及び/又はフェノールヒドロキシル基を有するアダクトと、アルカリ条件下で又は酸触媒の存在で適切に置換したエピクロロヒドリンとの反応、続くアルカリ条件下での処理によって得られるポリグリシジルエステル又はポリ(β−メチルグリシジル)エステル。このタイプのエーテルは、例えば直鎖アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール及び高次ポリ(オキシエチレン)グリコール、Purパン−1,2−ジール、又はポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,2−ジール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタ−1,5−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ビストリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトールに、並びにポリエピクロロヒドリンに由来する。代わりに、それらは、例えば、脂環式アルコール、例えば1,3−又は1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン又はN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン又はp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンに由来する。エポキシ化合物は、単核フェノール、例えばレゾルシノールもしくはヒドロキノンに由来してもよく、又は多核フェノール、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンもしくは4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、又は酸条件かで得られるフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物、例えばフェノールNovolac(登録商標)又はNovolak(登録商標)に基づく。
III)エピクロロヒドリンと少なくとも2つのアミノ水素原子を含有するアミンとの反応生成物を脱塩酸することによって得られるポリ(N−グリシジル)化合物。前記アミンは、例えば、アニリン、トルイジン、n−ブチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、m−キシレンジアミン又はビス(4−メチルアミノフェニル)メタンであり、及びN,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール又はN,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノールでもある。前記ポリ(N−グリシジル)化合物は、シクロアルキレン−尿素、例えばエチレン尿素又は1,3−プロピレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、及びヒダントイン、例えば5,5−ジメチルヒダントインのN,N’−ジグリシジル誘導体も含む。
IV)ポリ(S−グリシジル)化合物、例えばジチオール、例えばエタン−1,2−ジチオール又はビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルに由来するジ−S−グリシジル誘導体。
【0026】
式AにおいてR1及びR3が共に−CH2−CH2−であり、かつnが0である、式Aの遊離基を有するエポキシ化合物は、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,3−エポキシシクロペンチルグリシジルエーテル又は1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタンである。式AにおいてR1及びR3が共に−CH2−CH2−であり、かつnが1である、式Aの遊離基を有するエポキシ樹脂の例は、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル3’、4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレートである。
【0027】
多官能価エポキシド化合物は公知である。それらの多くは、Huntsman Advanced Materials社から市販されている(販売名Araldite(登録商標))。好適な多官能価エポキシドの例は以下である。
a)液体ビスフェノールAジグリシジルエーテル、例えばARALDITE GY 240、ARALDITE GY 250、ARALDITE GY 260、ARALDITE GY 266、ARALDITE GY 2600、ARALDITE MY 790;
b)固体ビスフェノールAグリシジルエーテル、例えばARALDITE GT 6071、ARALDITE GT 7071、ARALDITE GT 7072、ARALDITE GT 6063、ARALDITE GT 7203、ARALDITE GT 6064、ARALDITE GT 7304、ARALDITE GT 7004、ARALDITE GT 6084、ARALDITE GT 1999、ARALDITE GT 7077、ARALDITE GT 6097、ARALDITE GT 7097、ARALDITE GT 7008、ARALDITE GT 6099、ARALDITE GT 6608、ARALDITE GT 6609、ARALDITE GT 6610、;
c)液体ビスフェノールFジグリシジルエーテル、例えばARALDITE GY 281、ARALDITE GY 282、ARALDITE PY 302、ARALDITE PY 306;
d)テトラフェニルエタンの固体ポリグリシジルエーテル、例えばCG Epoxy Resin(登録商標)0163;
e)フェノール−ホルムアルデヒドNovolak(登録商標)の固体及び液体ポリグリシジルエーテル、例えばEPN 1138、EPN 1139、GY 1180、PY 307;
f)o−クレゾール−ホルムアルデヒドNOVOLAKの固体及び液体ポリグリシジルエーテル、例えばECN 1235、ECN 1273、ECN 1280、ECN 1299;
g)アルコールの液体グリシジルエーテル、例えばShell(登録商標)グリシジルエーテル162、ARALDITE DY 0390、ARALDITE DY 0391;
h)カルボン酸の液体グリシジルエーテル、例えばShell(登録商標)Cardura Eテレフタル酸エステル、トリメリト酸エステル、ARALDITE PY 284;
i)固体の複素環式エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアネート)、例えばARALDITE PT 810;
k)液体の脂環式エポキシ樹脂、例えばARALDITE CY 179;
l)p−アミノフェノールの液体N,N,O−トリグリシジルエーテル、例えばARALDITE MY 0510;
m)テトラグリシジル−4,4−メチレンベンズアミン又はN,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノフェニルメタン、例えばARALDITE MY 720、ARALDITE MY 721。
【0028】
所望の場合に、種々の構造のエポキシ化合物の混合物を使用してもよい。
【0029】
好適な多官能価エポキシド化合物は、有利には、式
【化12】

の少なくとも2つの基を有する。
【0030】
成分c)として、次の化合物
【化13】

[式中、X1、X2及びX3は、非置換もしくは置換であってよいシクロヘキシレン、フェニレン又はナフチレンであり、かつX1は、さらに部分式
【化14】

の非置換もしくは置換の基であり、かつX2は、さらに部分式
【化15】

の非置換もしくは置換の基である]のタイプ及び/又はそれらの混合物が、特に好ましい。
【0031】
前記遊離基に好適な置換基は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−S(=O)=、−S(O2)−、−C(CF32−、アルキル、アルキレン、アリール、アリーレン、アルコキシ、アリールオキシ又はハロゲンである。同一又は異なる置換基は、2倍以上で存在してよいが、置換基自体が、同様にさらに置換されていてよい。
【0032】
好適なアルキル基の例は、C1〜C18アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル又はn−オクタデシル、及びそれらの分枝鎖状異性体である。
【0033】
可能なアルキレン及びアルコキシ基は、形式的に、さらに水素原子を除去することによって、又はそれぞれ酸素原子を付加することによって、前記アルキル基に由来しうる。
【0034】
好適なアリール基の例は、6〜20個の炭素原子を有するもの、例えばフェニレン、ビスフェニレン又はナフチレンである。
【0035】
可能なアリーレン及びアルコキシ基は、形式的に、さらに水素原子を除去することによって、又はそれぞれ酸素原子を付加することによって、前記アリーレン基に由来しうる。
【0036】
次の式の遊離基が好ましい:
1に関して、
【化16】

2に関して、
【化17】

3に関して、
【化18】

その際、Y1は、直接結合又は基−O−、−S−又は−C(=O)O−であり、
2は、直接結合又は基−SO2−、−CO−、−S−、−SO−CH2−、−C(CH32−又は−C(CF32であり、かつ
nは1〜10である。
【0037】
芳香族環は、前記でより詳細に記載されているように、1倍以上のアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ又はハロゲンによって非置換又は置換されている。
【0038】
特に、次の化合物が好ましい:
【化19−1】

【化19−2】

【0039】
成分d)
好ましい一実施態様によって、硬化剤成分が組成物中に存在する。好適な硬化剤化合物は、エポキシ樹脂に関するあらゆる公知の硬化剤である。アミン及び無水硬化剤、例えば、ポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタンジアミン、N−アミノエチルピペらジ、ジアミノジフェニルメタン[DDM]、イソホロンジアミン[IPD]、ジアミノジフェニルスルホン[DDS]、4,4’−メチレンジアニリン[MDA]、もしくはm−フェニレンジアミン[MPDA]、ポリアミド、アルキル/アルケニルイミダゾール、ジシアンジアミド[DICY]、1,6−ヘキサメチレン−ビス−シアノグアニジン、又は酸無水物、例えばドデセニルスクシン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリト酸無水物、及びそれらの誘導体が特に好ましい。
【0040】
本発明の好ましい一実施態様は、成分d1)として、少なくとも2つのアミノ基を含む硬化剤化合物、例えばジシアノジアミドを含有する組成物に関する。
【0041】
本発明は、さらに、成分c)の定義による少なくとも1つの多官能価エポキシド化合物、ホスフィン酸(I)もしくは(II)及び6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド又はそれらの誘導体の少なくとも1つの塩の有効量、場合により好適な硬化促進剤、例えばメチルイミダゾールの存在で、並びに場合により追加の難燃剤、例えば無機難燃剤又はメラミンポリホスフェートとの混合を含む、難燃性を有するエポキシ樹脂組成物の製造方法に関する。
【0042】
前記方法は、公知の方法で、類似の方法によって、例えばUS特許明細書第5,084,546号において記載されている方法で実施される。
【0043】
追加の成分
代わりの一実施態様によって、成分a)、b)、c)及び場合により成分d)が、ポリマー基材中に存在する。ポリマー基材という用語は、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性樹脂の範囲内を含む。好適な合成ポリマーのリストを以下に示す。
【0044】
1. モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブト−1−エン、ポリ−4−メチルペント−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィンのポリマー、例えばシクロペンテン又はノルボルネン、ポリエチレン(随意に架橋していてよい)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
ポリオレフィン、即ち、前記の段落に例示されたモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは種々の方法、及び特に以下の方法によって製造され得る:
a)ラジカル重合(通常、高圧かつ高温下で)。
b)通常、周期律表のIVb、Vb、VIb又はVIII族の1つ又はそれより多くの金属を含有する触媒を使用した触媒重合。それらの金属は通常、1つ又はそれより多くの配位子、典型的にはオキシド、ハライド、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル、及び/又はアリールを有し、それらはπ又はσ配位のいずれであってもよい。それらの金属錯体は遊離した形態か、あるいは基質、典型的には活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナ又はケイ素酸化物に固定されていてよい。それらの触媒は重合媒体中で可溶性又は不溶性であってよい。重合において、該触媒をそれのみで使用するか、あるいはさらなる活性剤、典型的には金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシド又は金属アルキルオキサンを使用してもよく、前記の金属は周期律表のIa、IIa及び/又はIIIa族の元素である。前記の活性剤を適宜、さらなるエステル、エーテル及びアミン又はシリルエーテル基で改質してもよい。
それらの触媒系は通常、Phillips、Standard Oil Indiana、Ziegler(−Natta)、TNZ(DuPont)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と称される。
【0045】
2. 1)で述べられたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)、及び異なる型のポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0046】
3. モノオレフィン及びジオレフィンのお互いの、又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれらと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブト−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブト−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えばエチレン/ノルボルネン、例えばCOC)、エチレン/1−オレフィンコポリマー、ここで1−オレフィンはインサイチューで生成される;プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(イオノマー)、並びにエチレンとプロピレン及びジエン、例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンとのターポリマー、;及び、かかるコポリマー同士の、及び上記1)で述べられたポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA、及び交互又はランダムなポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー及びそれらと他のポリマーとの混合物、例えばポリアミド。
【0047】
4. 炭化水素樹脂(例えばC5〜C9)。それらの水素化改質物(例えば粘着性付与剤)及びポリアルキレンとデンプンとの混合物を含む。ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック、又はアタクチックを含む任意の立体構造を有してよく、ここで、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0048】
5. ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0049】
6. スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、特にp−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン及びビニルアントラセンの全ての異性体、及びそれらの混合物を含む、ビニル芳香族モノマーから誘導される芳香族ホモポリマー及びコポリマー。ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック、又はアタクチックを含む立体構造を有してよく、ここで、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーは、以下も含む;
a)エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニル又はアクリル誘導体及びそれらの混合物、例えばスチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;耐衝撃性スチレンコポリマーと他のポリマーとの混合物、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー;及びスチレンのブロックコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンから選択される、先述のビニル芳香族モノマー及びコモノマーを含むコポリマー。
b)特にアタクチックポリスチレンを水素化することによって製造されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含み、それはしばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)として示される、6)で挙げられたポリマーの水素化から誘導される水素化芳香族ポリマー。
c)6a)で挙げられたポリマーの水素化から誘導される水素化芳香族ポリマー。ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック、又はアタクチックを含む立体構造を有してよく、ここで、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0050】
7. ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン又はα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー上のスチレン;ポリブタジエン上のスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエン上のスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン及びマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレート上のスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらと6)で示されたコポリマーとの混合物、例えばABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして公知のコポリマー混合物。
【0051】
8. ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化(sulphochlorinated)ポリエチレン、エチレンと塩素化エチレンとのコポリマー、エピクロロヒドリンホモポリマー及びコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、並びにそれらのコポリマー、例えば塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマー。
【0052】
9. α,β−不飽和酸から誘導されるポリマー及びその誘導体、例えばポリアクリレート及びポリメタクリレート;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル、ブチルアクリレートを用いた耐衝撃性改質物。
【0053】
10. 9)で述べられたモノマー同士の、又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0054】
11. 不飽和アルコール及びアミン又はアシル誘導体又はそれらのアセタールから誘導されるポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート又はポリアリルメラミン;並びにそれらと前記の項目1)で述べられたオレフィンとのコポリマー。
【0055】
12. 環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、例えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又はそれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
【0056】
13. ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン、及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含有するそれらのポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで改質されたポリアセタール。
【0057】
14. ポリフェニレンオキシド及び硫化物、及びポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0058】
15. 一方で末端にヒドロキシル基を有するポリエーテル、ポリエステル又はポリブタジエン、かつ他方で脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートから誘導されるポリウレタン、並びにそれらの前駆体。
【0059】
16. ジアミン及びジカルボン酸から、及び/又はアミノカルボン酸又は相応するラクタムから誘導されるポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミン及びアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミン及びイソフタル酸又は/及びテレフタル酸から製造され、かつ改質剤としてのエラストマーを有する又は有さないポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド;及び上述のポリアミドと、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー、あるいは化学結合又はグラフトエラストマーとのブロックコポリマー;又はポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー;並びにEPDM又はABSで改質されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工の間に縮合したポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0060】
17. ポリウレア、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンゾイミダゾール。
【0061】
18. ジカルボン酸及びジオールから誘導される、及び/又はヒドロキシカルボン酸又は相応するラクトンから誘導されるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、並びにヒドロキシル基を末端にもつポリエーテルから誘導されるブロックコポリエーテルエステル;及びポリカーボネート又はMBSで改質されたポリエステル。
【0062】
19. ポリケトン。
【0063】
20. ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、及びポリエーテルケトン。
【0064】
21. 上述のポリマー(ポリブレンド)の混合物、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA 6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0065】
22. 一般式
【化20】

に対応するポリカーボネート。
【0066】
かかるポリカーボネートは、界面プロセスによって、又は溶融プロセス(触媒エステル交換反応)によって得られる。前記ポリカーボネートは、構造において分枝鎖又は直鎖であってよく、かつあらゆる官能置換基を含んでよい。ポリカーボネートコポリマー及びポリカーボネートブレンドは、本発明の範囲内でもある。ポリカーボネートという用語は、コポリマーを含めて解釈すべきであり、かつ他の熱可塑性樹脂とのブレンドである。ポリカーボネートの製造方法は、例えばUS特許明細書第3,030,331号、第3,169,121号、第4,130,458号、第4,263,201号、第4,286,083号、第4,552,704号、第5,210,268号及び第5,606,007号から公知である。2つ以上の異なる分子量のポリカーボネートの組合せを使用してよい。
【0067】
ジフェノール、例えばビスフェノールAと、カーボネート源との反応によって得られるポリカーボネートが好ましい。好適なジフェノールの例は以下である。
【化21】

【0068】
前記カーボネート源は、ハロゲン化カルボニル、カーボネートエステル又はハロホルメートであってよい。好適なハロゲン化カーボネートは、ホスゲン又はカルボニルブロミドである。好適なカーボネートエステルは、ジアルキルカーボネート、例えばジメチル−又はジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、フェニル−アルキルフェニルカーボネート、例えばフェニル−トリルカーボネート、ジ−(ハロフェニル)カーボネート、例えばジ−(クロロフェニル)カーボネート、ジ−(ブロモフェニル)カーボネート又はジ−(トリクロロフェニル)カーボネート、ジ−(アルキルフェニル)カーボネート、例えばジ−トリルカーボネート、ナフチルカーボネート、ジクロロナフチレンカーボネート等である。
【0069】
ポリカーボネート又はポリカーボネートブレンドを含む前記ポリマー基材は、ポリカーボネート−コポリマーであり、その際イソフタレート/テレフタレート−レゾルシノールセグメントが存在する。かかるポリカーボネートは市販されており、例えばLexan(登録商標)SLX(General Electrics Co. USA)である。成分b)の他のポリマー基材は、さらに、混合物として又はコポリマーとして、好適な相溶化剤を含有する幅広い種々のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアセタール及びPVCを含む合成ポリマーの形で含んでよい。例えば、該ポリマー基材は、さらにポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、スチレンポリマー及びそれらのコポリマーからなる樹脂の群から選択される熱可塑性ポリマーを含んでよい。特定の実施態様は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール改質したポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート(PCTG)、ポリスルホン(PSU)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル(ASA)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン(AES)、スチレン−無水マレイン酸(SMA)又は耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)を含む。
【0070】
本発明は、さらに、前記で定義した成分a)、b)、c)及び場合により成分d)に加えて、さらに、いわゆるドリッピング防止剤(anti−dripping agent)、ポリマー安定化剤及び追加の難燃剤、例えばリン含有難燃剤、窒素含有難燃剤、ハロゲン化難燃剤及び無機難燃剤からなる群から選択される添加剤を含む組成物に関する。
【0071】
好ましい一実施態様によって、本発明は、さらに、ポリマー安定剤及び追加の難燃剤からなる群から選択される添加剤をさらに含有する組成物に関する。
【0072】
他の一実施態様において、本発明は、さらに追加の成分としていわゆるドリッピング防止剤を含有する組成物に関する。
【0073】
前記ドリッピング防止剤は、熱可塑性ポリマーの溶融流れを低減し、かつ高温でのドロップの形成を阻害する。種々の引用文献、例えばUS特許明細書第4,263,201号は、難燃剤組成物に対するドリッピング防止剤の添加を記載している。
【0074】
高温でドロップの形成を阻害する好適な添加剤は、グラスファイバー、ポリテラフルオロエチレン(PTFE)、高温エラストマー、カーボンファイバー、ガラス玉等を含む。
【0075】
種々の構造のポリシロキサンの添加は、種々の引用文献、例えばUS特許明細書第6,660号、第787,6,727,302号又は第6,730,720号において提案されている。
【0076】
安定化剤は、有利には、ハロゲンを有さず、かつニトロキシル安定化剤、ニトロン安定化剤、酸化アミン安定化剤、ベンゾフラノン安定化剤、ホスフィット及びホスホニトリル安定化剤、キノンメチド安定化剤、及び2,2’−アルキリデンビスフェノール安定化剤のモノアクリレートエステルから選択される。
【0077】
本発明の好ましい一実施態様によって、前記組成物は、追加の難燃剤成分、例えばリン又は窒素含有難燃剤、又は無機難燃剤を含有する。かかる追加の難燃剤は、公知の成分、市販のものであり、又は公知の方法によって得られうる。
【0078】
成分a)及びb)に関して前記で定義されたものに加えて、代わりのリン含有難燃剤は、例えば以下である:
テトラフェニルレゾルシノールジホスフィット(Fyrolflex(登録商標)RDP、Akzo Nobel)、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルフィド、トリフェニルホスフェートジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチルホスホネート、リン酸のヒドロキシアルキルエステル、アンモニウムポリホスフェート(APP)又は(Hostaflam(登録商標)AP750)、レゾルシノールジホスフェートオリゴマー(RDP)、ホスファゼン難燃剤及びエチレンジアミン時報フェート(EDAP)。
【0079】
窒素含有難燃剤は、例えばイソシアヌレート難燃剤、例えばポリイソシアヌレート、イソシアヌル酸のエステル、又はイソシアヌレートである。典型的な例は、ヒドロキシアルキルイソシアヌレート、例えばトリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドロキシ−n−プロピル)イソシアヌレート又はトリグリシジルイソシアヌレートである。
【0080】
窒素含有難燃剤は、メラミンを基礎とする難燃剤を含む。典型的な例は、メラミンシアヌレート、メラミンボレート、メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンアンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムピロホスフェート、ジメラミンホスフェート、ジメラミンピロホスホフェートである。
【0081】
さらなる例は、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、尿素シアヌレート、アンモニウムポリホスフェート、メレム系列空のメラミンの濃縮生成物、メラム、メロン、及び/又は高濃縮化合物、又はメラミンとリン酸との反応混合物、又はそれらの混合物である。
【0082】
典型的な無機難燃剤は、例えばアルミニウムトリヒドロキシド(ATH)、ベーマイト(AlOOH)、マグネシウムジヒドロキシド(MDH)、亜鉛ボレート、CaCO3、有機的に改質された層状シリケート、有機的に改質された層状二重ヒドロキシド、及びそれらの混合物を含む。
【0083】
典型的なオルガノハロゲン難燃剤は、例えば以下である:
ポリ臭素化ジフェニルオキシド(DE−60F、Great Lakes Corp.製、デカブロモジフェニルオキシド(DBDPO;Saytex(登録商標)102E)、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]ホスフェート(PB 370(登録商標)、FMC Corp.製)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、クロレンド酸、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、ポリ−β−クロロエチルトリホスホネート混合物、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピル)(PE68)、臭素化エポキシ樹脂、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)(Saytex(登録商標)BT−93)、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン(Declorane Plus(登録商標))、塩素化パラフィン、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサクロロシクロペンタジエン誘導体、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン(FF680)、テトラブロモビスフェノールA(Saytex(登録商標)RB100)、エチレンビス−(ジブロモ−ノルボルナンジカルボキシイミド)(Saytex(登録商標)BN−451)、ビス−(ヘキサクロロシクロエンタデノ)シクロオクタン、PTFE、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、及びエチレン−ビス−テトラブロモフタルイミド。
【0084】
前記ハロゲン化難燃剤は、日常的に、無機オキシド相乗剤と組み合わされる。この使用のために最も一般なのは、亜鉛又はアンチモンオキシド、例えばSb23又はSb25である。ホウ素化合物も適している。
【0085】
前記の追加の難燃剤は、有利には、組成物の全質量に対して、本発明の組成物中で、有機ポリマー基材約0.5質量%〜約45.0質量%、例えば約1.0質量%〜約40.0質量%、例えばポリマー約5.0質量%〜35.0質量%の量で含まれる。
【0086】
さらなる実施態様によって、本発明による組成物は、さらに、顔料、染料、可塑剤、抗酸化剤、チキソトロープ剤、レベリング助剤、塩基共安定化剤、金属阻害剤、金属酸化物、オルガノリン酸化合物、さらに光安定剤及びそれらの混合物、特に顔料、フェノール抗酸化剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及び/又は2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンのグループのUV吸収剤から選択される、1つ以上の通常の添加剤を含んでよい。
【0087】
ポリマー成分中への前記で定義された成分の組み込みは、公知の方法、例えば粉末の形態での乾式混合によって、又は溶液、分散液又は懸濁液の形態で例えば不活性溶剤、水又は油中での湿式混合によって実施される。成分a)、b)及びc)並びに場合により他の添加剤が、例えば成形の前もしくは後に、又は溶解もしくは分散された添加剤もしくは添加剤混合物を適用し、次に溶剤又は懸濁液/分散液の薬剤を蒸発させて、又は蒸発させないで、ポリマー材料に取り込まれてよい。それらを加工装置(例えば押出機、密閉式混合機、等)内に、例えば乾燥した混合物又は粉末として、又は溶液又は分散液又は懸濁液又は溶融物として直接的に添加してよい。
【0088】
添加剤成分のポリマー基材への添加を、全ての通常の混合機内で実施することができ、そこでポリマーが溶融し、そして添加剤と混合させる。好適な機械は、当業者に公知である。それらは、主にミキサー、ニーダー及び押出機である。
【0089】
前記プロセスを、有利には、処理の間に添加剤を導入することによって、押出機内で実施できる。
【0090】
加工機械は、シングルスクリュー押出機、反転及び順方向回転ツインスクリュー押出機、遊星歯車型押出機、リング押出機、またはコニーダが特に好ましい。真空を適用できる少なくとも1つのガス除去室を有して提供される処理機を使用することも可能である。
【0091】
好適な押出機およびニーダは、例えばHandbuch der Kunststoffex−trusion、Vol.1 Grundlagen、Editors F.Hensen、W.Knappe、H.Potente、1989、pp.3−7、ISBN:3−446−14339−4(Vol.2 Extrusionsanlagen 1986、ISBN 3−446−14329−7)内に記載されている。
【0092】
例えば、前記のスクリュー長さは、1〜60スクリュー直径、有利には35〜48スクリュー直径である。スクリューの回転速度は、有利には1分あたり10〜600回転(rpm)、有利には25〜300rpmである。
【0093】
最大のスループットはスクリュー直径、回転速度及び駆動力に依存する。本発明の工程を、前述のパラメータを変化させることによって、又は供与量を搬送する天秤を用いることによって、最大のスループットよりも低いレベルでも実施できる。
【0094】
多数の成分を添加する場合に、それらを予め混合、又は個々に添加してよい。
【0095】
添加剤成分a)、b)及びc)並びに場合により他の添加剤を、ポリマー基材上に噴霧することもできる。前記添加剤混合物は、他の添加剤、例えば前記で挙げられた通常の添加剤、又はそれらの溶融物を希釈し、その結果それらはポリマー基材上にそれらの添加剤と共に噴霧されてもよい。重合触媒の失活中の噴霧による添加が特に有利である。この場合、放出される蒸気は、触媒の失活のために使用される。球状に重合されたポリオレフィンの場合、例えば、本発明の添加剤を、場合により他の添加剤と共に、噴霧によって適用することが有利であってよい。
【0096】
添加剤成分a)、b)及びc)並びに場合により他の添加剤を、例えば約1.0質量%〜約40.0質量%、及び有利には約2.0質量%〜約20.0質量%の濃度でポリマー中に組み込まれる前記成分を含む、マスターバッチ("濃縮物")の形でポリマーに添加することもできる。前記ポリマーは、添加剤が最終的に添加されるポリマーと同一の構造である必要はない。かかる作業において、該ポリマーを粉末、顆粒、溶液、及び懸濁液、又はラテックスの形で使用できる。取り込みを造形作業に先だって、あるいはその間に行うことができる。
【0097】
前記成分a)及びb)は、多官能価エポキシド化合物c)に、成分a)に関しては0.05〜30.0質量%、有利には0.1〜20.0質量%の濃度で、成分b)に関しては0.5〜40.0質量%、有利には1.0〜25質量%の濃度で混合される。
【0098】
成分a):b)の好ましい比は、10:1〜1:10、有利には5:1〜1:5の範囲である。
【0099】
本発明の他の一実施態様は、硬化させた多官能価エポキシド化合物に難燃性を付与するための方法に関し、該方法は、a)前記で定義されたようなホスフィン酸(I)又は(II)の塩、及びb)6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド(III)、及び硬化剤化合物を、多官能価エポキシド化合物に添加することを含む。
【0100】
次の実施例は、本発明を例証するものであるが、本発明の範囲をあらゆる方法で制限することを意味しない。
【0101】
使用した成分及び試薬:
o−クレゾール NOVOLACエポキシ樹脂:Araldite(登録商標)ECN1280,Huntsman Advanced Materials,Basel,Switzerland;
硬化剤:Dicyandiamide(DICY)、促進剤:メチルイミダゾール、それぞれAldrich(Germany)社製;
溶剤:メトキシ−2−プロパノール及びジメチルホルムアミド, Merck Eurolab, Germany;
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO):Ukanol(登録商標)GKF, Schill & Seilacher AG,Germany;
Al−次亜リン酸塩(Al−ホスフィン酸塩):Anana Drug&Chemicals India;
メラミンホスフィン酸塩:Melapur(登録商標)200, Ciba AG Basel Switzerland;
ガラスクロス: Type 7628, P−D lntergals Technologies AG, Germany。
【0102】
難燃剤を評価するための試験法
"Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances"、第5版、1996年10月29日に関するUL94試験。UL94V試験による評価を、次の表でまとめる(時間間隔を、1つの試験体に関して示す)。
【表1】

【0103】
標準方法
樹脂形成を、Araldite(登録商標)ECN 1280樹脂の種々の量を使用して製造する。DICY(DMFとメトキシ−2−プロパノールとの溶剤混合物での溶液)9.2部、メチルイミダゾール促進剤0.3部、及びメトキシ−2−プロパノール60部を、樹脂組成物に添加し、続いて前記難燃剤に添加する。
【0104】
前記混合物の混合をガラス壺中で90℃で完了し、そして続けて30分間撹拌した後に、難燃剤成分、Al−次亜リン酸塩又はAl−次亜リン酸塩及びDOPO又はAl−次亜リン酸塩、DOPO及びMELAPUR200を添加し、そして完全に前記混合物と、均一な組成物が得られるまで混合する。
【0105】
前記組成物を、ガラス布の一部状に被覆し、そして1〜3分間、強制換気炉中で170℃に加熱する。強制換気炉における時間を、最終ラミネートの樹脂流量を調整するために試料間でわずかに変動させる。べとついていないプレプレグの形状での繊維材料を、互いに距離を維持してスタックした7片(〜180×180mm)に切断して、均一な厚さ1.5mmを有するラミネートの製造物を評価する。該片を厚さ1mmの2つのTeflon(登録商標)プレートで、プレプレグスタックの上部及び底部上に覆う。該スタックを、ホットプレス状におき、そしてスタックされたプレプレグを上昇させた温度にさらし、そして次の一般的なスケジュール:
・圧力を適用しないで170℃で1分間
・約3barの圧力を適用しながら170℃で120分間
によって加圧する。
【0106】
そして得られたラミネートを、前記プレスから取り除き、周囲温度まで冷却し、そして距離維持剤及びTeflon(登録商標)プレートから分ける。該ラミネートを、〜150×150mmの小片に、樹脂の変化する量を有する縁の切断によって切断し、重さを量り、その厚さを測定し、そしてその樹脂含有率のパーセントを測定する。該ラミネートを、24時間23℃及び相対湿度50%で条件づけた5片(125×13.0mm)に切断し、そして続いて前記UL−94引火性試験で試験する。該試験において得られたデータを表に示す。
【0107】
表において示されるデータは、特許請求された樹脂組成物が、ただ1つの難燃剤成分を含有する樹脂組成物と比較して、改良された難燃剤特性を呈することを証明する。9,10−ジヒドロキシド−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及びメラミンポリホスフェート(Melapur(登録商標)200)を含有する樹脂組成物は、同一の合計装填量でDOPOのみを含有する樹脂組成物と比較して、それらの難燃性の性能(UL04 V−0評価)を維持している。DOPOの50%までが、例えば、所望されたUL94 V−0分類を維持しているMelapur(登録商標)200によって置き換えられうる。最も短い合計燃焼時間の点での最もよい性能は、相乗的な組合せで全ての3つの難燃剤成分を含有する特許請求された樹脂組成物を呈する。さらに、特許請求された難燃剤エポキシ樹脂組成物は、優れた表面特性及び低減された層間剥離の傾向を有するラミネートをもたらす。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下、
a)構造式
【化1】

[式中、
1及びR2は、水素、直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C8アルキル基、又はフェニル基を示し、かつ
3は、直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10アルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基又はアリールアルキレン基を示す]によって示されるようなホスフィン酸の塩
b)構造式
【化2】

によって示されるような6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド、又はそれらの塩、
c)少なくとも1つの多官能価エポキシド化合物、及び場合により
d)硬化剤化合物
を含有する組成物。
【請求項2】
前記ホスフィン酸(I)の塩が、式
【化3】

[式中、
1及びR2は、水素、又は直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C8アルキル基、又はフェニル基を示し、
Mは、(C1〜C4アルキル)4N、(C1〜C4アルキル)3NH、(C2〜C4アルキルOH)4N、(C2〜C4アルキルOH)3NH、(C2〜C4アルキルOH)2N(CH32、(C2〜C4アルキルOH)2NHCH3、(C654N、(C653NH、(C65CH34N、(C65CH33NH、NH4、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属イオン、又はアルミニウム、亜鉛、鉄もしくはホウ素イオンを示し、
mは1〜3の数字であり、かつMに対して正の電荷の数を示し、
nは1〜3の数字であり、かつMm+に対応するホスフィン酸アニオンの数を示す]によって示される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ホスフィン酸(I)の塩が、式
【化4】

によって示される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
以下、
a)式
【化5】

によって表されるようなホスフィン酸(I)のアルミニウム塩、
b)6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド(III)
【化6】

又はそれらの塩、
c)少なくとも1つの多官能価エポキシド化合物、及び
d)硬化剤化合物
を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
成分c)として、少なくとも1つの多官能価エポキシド化合物を含有し、その際、炭素、酸素、窒素又は硫黄原子に直接結合する、部分式
【化7】

[式中、qはゼロを示し、R1及びR3の双方は水素を示し、かつR2は水素もしくはメチルを示し、又はqはゼロもしくは1を示し、R1及びR3は共に−CH2−CH2−もしくは−CH2−CH2−CH2−基を形成し、かつR2は水素を示す]の少なくとも2つのエポキシ基が存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
場合により成分d)として、少なくとも2つのアミノ基を有する硬化剤化合物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
さらに、ポリマー安定剤及び追加の難燃剤からなる群から選択される添加剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記追加の難燃剤として、メラミンポリスルフェート、アンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムホスフェート、メラミンアンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムピロホスフェート、メラミンとリン酸との濃縮生成物、及びメラミンとリン酸との他の反応生成物、並びにそれらの混合物からなる群から選択される窒素含有化合物を含有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
さらにポリマー基材を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
硬化させた多官能価エポキシド組成物に難燃性を付与するための方法であって、該方法が、a)請求項1に記載のホスフィン酸(I)又は(II)の塩、及びb)6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド(III)、及び硬化剤化合物を、多官能価エポキシド化合物に添加することを含む、方法。

【公表番号】特表2012−514085(P2012−514085A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544028(P2011−544028)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067835
【国際公開番号】WO2010/076276
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】