説明

エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物

エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物は、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂希釈剤(A)と、前記エポキシ樹脂希釈剤(A)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む樹脂化合物(B)を含んでなる。従って、硬化性エポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物並びに硬化剤及び/又は硬化触媒を含む。硬化エポキシ樹脂は前記硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることによって製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物並びに前記エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を含む硬化性エポキシ樹脂並びに前記硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させるプロセスによって製造される硬化エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエポキシ樹脂反応性稀釈剤及びそれらの製造方法は、当業界で知られており、例えば非特許文献1に記載されている。
【0003】
しかし、先行技術には、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を教示する開示も示唆もない。先行技術にはまた、前記エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を含む硬化性エポキシ樹脂及び前記硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセスによって製造される硬化エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を教示する開示も示唆もない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Henry Lee and Kris Neville,Handbook of Epoxy Resins,McGraw Hill,Inc.(New York),(1967),13-9〜13-18ページ。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来のエポキシ樹脂(例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテル)と反応するエポキシ樹脂反応性希釈剤としてシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂を用いて、エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を製造する。得られるエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物は、硬化剤及び/又は触媒とブレンドして、硬化性エポキシ樹脂組成物を形成できる。前記硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることによって、硬化エポキシ樹脂を得ることができる。
【0006】
本発明の一面は、エポキシ樹脂希釈剤(A)及び樹脂化合物(B)を含んでなるエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を対象とし、前記エポキシ樹脂希釈剤(A)はシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含み、前記樹脂化合物(B)は前記エポキシ樹脂希釈剤(A)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む。
【0007】
本発明の別の面は前記エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を対象とする。
【0008】
本発明の更なる面は前記硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセスによって製造される硬化エポキシ樹脂を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明において、本発明の特別の態様は、その好ましい態様に関連して記載する。しかし、以下の説明は、本発明の技術の特定の態様又は特定の用途に限定される限りにおいては、例示に過ぎず、典型的な態様についての簡潔な説明を単に提供するものである。従って、本発明は、下記の特別の態様に限定するものではなく、添付した特許請求の範囲の真の範囲内に入る全ての選択肢、変更形態及び均等物を含む。
【0010】
特に断らない限り、物質、化合物又は成分への言及は、物質、化合物又は成分自体及びそれと他の物質、化合物又は成分との組合せ、例えば化合物の混合物又は組合せを含む。
【0011】
本明細書中で使用する単数形(a,an及びthe)は、前後関係からそうでないことが明白に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0012】
本発明は、エポキシ樹脂希釈剤(A)及び樹脂化合物(B)を含むエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物であって、前記エポキシ樹脂希釈剤(A)がシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含み、前記樹脂化合物(B)が前記エポキシ樹脂希釈剤(A)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含むものを提供する。
【0013】
本明細書中で使用する用語「反応性希釈剤」は、物質又は化合物の性質を変更する(例えば粘度を低下させる)ために物質又は化合物(例えばエポキシ樹脂)に添加できる希釈剤を意味する。
【0014】
本明細書中で使用する用語「シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分(moiety)」は、エポキシ樹脂内の、構造、即ち4種の幾何異性体、シス−1,3−シクロヘキサンジメチルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメチルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテルを含む化合構造のブレンドを意味する。4種の幾何異性体は下記の構造:
【0015】
【化1】

【0016】
で示される。
【0017】
一般に、本発明のエポキシ樹脂希釈剤(A)は、(a)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物(シス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールとも称する)を(b)エピハロヒドリン及び(c)塩基性作用物質(basic acting substance)と反応させることを含んでなる方法(例えばエポキシ化反応プロセス)によって製造する。この方法は、任意的に、(d)溶媒及び/又は(e)触媒を含むことができる。この方法は、例えばスラリーエポキシ化方法、無水エポキシ化方法又はルイス酸触媒によるカップリング及びエポキシ化方法であることができる。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂希釈剤(A)の製造に使用するシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物は、制御された量のシス,トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールを、例えば混合物の総重量に基づき、約1〜約99重量%、好ましくは約15〜約85重量%、より好ましくは約40〜約60重量%のシス,トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールを含むことができる。
【0019】
シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂及びその製造方法についての詳細な説明は、同時係属出願である米国特許出願第 号(代理人整理番号第64833)に示されている。この特許出願を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0020】
同時係属の米国特許出願第 号(代理人整理番号第64833)に開示されるように、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂は、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分のみを含むエポキシ樹脂に比較して、室温で結晶化しない、粘度がより低いというような改善された性質を有することが判明した。これらの改善された性質は、より高い固形分を受容するようにエポキシ樹脂の能力を増大させる。更に、前記同時係属特許出願に開示されたシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む一部のエポキシ樹脂は、塩化物(chloride)(イオン性塩化物、加水分解性塩化物及び総塩化物を含む)の含量が非常に低く且つジグリシジルエーテル含量が高い。そのため、これらのエポキシ樹脂は、従来のエポキシ樹脂硬化剤に対する反応性が増大し、電位腐蝕性(potential corrosivity)が低下し且つ電気的性質が改善される。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂希釈剤(A)はシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含んでなる。好ましくはエポキシ樹脂希釈剤(A)は以下のエポキシ樹脂:
(1)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル(シス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテルとも称する)を含むエポキシ樹脂;
(2)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル及びそれらの1種若しくはそれ以上のオリゴマーを含むエポキシ樹脂;
(3)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテルを含むエポキシ樹脂;又は
(4)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びそれらの1種若しくはそれ以上のオリゴマーを含むエポキシ樹脂
の1つを含む。
【0022】
前記エポキシ樹脂(3)及び(4)は、制御された量のシス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル(シス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテルとも称する)を含むことができる。例えばモノグリシジルエーテルの量は、エポキシ樹脂希釈剤(A)の総重量に基づき、約0.1〜約90重量%、好ましくは約0.1〜約20重量%、より好ましくは約0.1〜約10重量%の範囲であることができる。
【0023】
本発明の樹脂化合物(B)はエポキシ樹脂希釈剤(A)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む。樹脂化合物(B)として使用できるエポキシ樹脂は、分子当たりの平均エポキシ基数が1個より多い任意のエポキシ含有化合物であることができる。エポキシ基は、任意の酸素、硫黄若しくは窒素原子又は−CO−O−基上の炭素原子に結合した単結合酸素原子に結合することができる。酸素、硫黄、窒素原子又は−CO−O−基の炭素原子は脂肪族、脂環式、多脂環式又は芳香族炭化水素基に結合することができる。脂肪族、脂環式、多脂環式又は芳香族炭化水素基はハロゲン原子、好ましくはフッ素、臭素若しくは塩素;ニトロ基を含む(これらに限定するものではないが)任意の不活性置換基で置換されることもできるし;或いはこれらの基は、平均で1個より多い−(O−CHRa−CHRat−基[式中、各Raは独立して水素原子又は1〜2個の炭素原子を含むアルキル若しくはハロアルキル基であり(但し、Ra基は1つだけがハロアルキル基であることができる)、tは1〜約100、好ましくは1〜約20、より好ましくは1〜約10、最も好ましくは1〜約5の値を有する]を含む化合物の末端炭素原子に結合することもできる。
【0024】
樹脂化合物(B)に適当なエポキシ樹脂のより具体的な例としては、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール);1,3−ジヒドロキシベンゼン(レソルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA、4,4’−チオジフェノール;4,4’−スルホニルジフェノール;2,2’−スルホニルジフェノール;4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン;3,3’−5,5’−テトラクロロビスフェノールA;3,3’−ジメトキシビスフェノールA;4,4’−ジヒドロキシビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベン;4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド;4,4’−ジヒドロキシスチルベン;4,4’−ジヒドロキシ−α−シアノスチルベン;N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミド;4,4’−ジヒドロキシアゾベンゼン;4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルアゾキシベンゼン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン;4,4’−ジヒドロキシカルコン;4−ヒドロキシフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート;ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリ(プロピレングリコール)、チオグリコールのジグリシジルエーテル;トリス(ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテル;フェノール又はアルキル若しくはハロゲン置換フェノール−アルデヒド酸触媒縮合生成物(ノボラック樹脂)のポリグリシジルエーテル;4,4’−ジアミノジフェニルメタン;4,4’−ジアミノスチルベン;N,N’−ジメチル−4,4’−ジアミノスチルベン;4,4’−ジアミノベンズアニリド;4,4’−ジアミノビフェニルのテトラグリシジルアミン;ジシクロペンタジエン若しくはそのオリゴマーとフェノール又はアルキル若しくはハロゲン置換フェノールとの縮合生成物のポリグリシジルエーテル;並びにそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0025】
樹脂化合物(B)として使用できるエポキシ樹脂は高度(advanced)エポキシ樹脂生成物を含むこともできる。高度エポキシ樹脂は芳香族ジ及びポリヒドロキシル又はカルボン酸含有化合物によるエポキシ樹脂の高度化反応(advanced reaction)の生成物であることができる。高度化反応に使用するエポキシ樹脂はジ又はポリグリシジルエーテルを含む樹脂化合物(B)に適当な前記エポキシ樹脂の任意の1種又はそれ以上を含むことができる。
【0026】
芳香族ジ及びポリヒドロキシル又はカルボン酸含有化合物の例としては、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、2,4−ジメチルレソルシノール;4−クロロレソルシノール;テトラメチルヒドロキノン;ビスフェノールA;4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン;4,4’−チオジフェノール;4,4’−スルホニルジフェノール;2,2’−スルホニルジフェノール;4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン;4,4’−ビス(4(4−ヒドロキシフェノキシ)−フェニルスルホン)ジフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシジフェニルジスルフィド;3,3’,3,5’−テトラクロロ−4,4’−イソプロピリデンジフェノール;3,3’,3,5’−テトラブロモ−4,4’−イソプロピリデンジフェノール;3,3’−ジメトキシ−4,4’−イソプロピリデンジフェノール;4,4’−ジヒドロキシビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベン;4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタレート;N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミド;ビス(4’−ヒドロキシビフェニル)テレフタレート;4,4’−ジヒドロキシフェニルベンゾエート;ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジイミン;1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;フロログルシノール;ピロガロール;2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルホン;トリス(ヒドロキシフェニル)メタン;ジシクロペンタジエンジフェノール;トリシクロペンタジエンジフェノール;テレフタル酸;イソフタル酸;4,4’−ベンズアニリドジカルボン酸;4,4’−フェニルベンゾエートジカルボン酸;4,4’−スチルベンジカルボン酸;アジピン酸;及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0027】
前記高度エポキシ樹脂生成物の製造は、既知の方法を用いて、例えば分子当たり平均1個超の反応性水素原子(反応性水素原子はエポキシ樹脂中のエポキシ基と反応性である)を有する1種又はそれ以上の適当な化合物によるエポキシ樹脂の高度化反応によって実施できる。
【0028】
エポキシ樹脂分子当たりの、平均1個超の反応性水素原子を有する化合物比は一般に約0.01:1〜約0.95:1、好ましくは約0.05:1〜約0.8:1、より好ましくは約0.10:1〜約0.5:1のエポキシ樹脂中のエポキシ基の当量当たりの反応性水素原子の当量である。
【0029】
分子当たり平均1個超の反応性水素原子を有する化合物の例としては、1個の第一アミン若しくはアミド基、2個の第二アミン基、1個の第二アミン基と1個のフェノール性ヒドロキシ基、1個の第二アミン基と1個のカルボン酸基又は1個のフェノール性ヒドロキシ基と1個のカルボン酸基を含む、ジヒドロキシ芳香族、ジチオール、ジスルホンアミド又はジカルボン酸化合物及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0030】
高度化反応は、加熱及び混合をしながら、溶媒の存在下又は不存在下に、実施できる。高度化反応は大気圧、過大気圧又は減圧下で約20〜約260℃、好ましくは約80〜約240℃、より好ましくは約100〜約200℃の温度において実施できる。
【0031】
高度化反応を完了させるのに必要な時間は、使用温度、分子当たり1個超の反応性水素原子を有する使用化合物の化学構造及び使用エポキシ樹脂の化学構造のような要因によって異なる。温度が高いほど必要な反応時間を短縮でき、温度が低いほど必要な反応時間が長くなる可能性がある。
【0032】
一般に、高度化反応完了のための時間は、約5分〜約24時間、好ましくは約30分〜約8時間、より好ましくは約30分〜約4時間の範囲であることができる。
【0033】
高度化反応には触媒も添加できる。触媒の例としては、ホスフィン類、第四アンモニウム化合物類、ホスホニウム化合物類及び第三アミン類が挙げられる。触媒は、エポキシ樹脂の総重量に基づき、約0.01〜約3重量%、好ましくは約0.03〜約1.5重量%、より好ましくは約0.05〜約1.5重量%の量で使用できる。
【0034】
本発明において使用できる樹脂化合物(B)のための高度エポキシ樹脂生成物の製造において有用な高度化反応に関する他の詳細は、米国特許第5,736,620号及びHandbook of Epoxy Resins,Henry Lee and Kris Nevilleに示されており、これらを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0035】
本発明のエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物はエポキシ樹脂希釈剤(A)と樹脂化合物(B)を混合することよって製造する。樹脂化合物(B)はエポキシ樹脂希釈剤(A)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む。
【0036】
エポキシ樹脂希釈剤(A)は機能的に等価な量でエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物に添加することができる。例えばエポキシ樹脂希釈剤はエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物の具体的用途に従って望ましい粘度範囲をエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物に与えるであろう量で添加することができる。
【0037】
望ましい粘度は、一般に、エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物の硬化に用いる温度、エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物の硬化に最終的に使用する個々の硬化触媒及び/又は硬化剤、並びに硬化エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物に望ましい極限機械的性質によって制御する。
【0038】
例えばエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を相当量の充填剤とブレンドしようとする場合には、より低い粘度を有するエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物が一般に必要であり、より多くのエポキシ反応性希釈剤(A)をエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物に加えなければならない。しかし、硬化エポキシ樹脂希釈剤組成物の極限機械的性質(ultimate mechanical property)が硬化された樹脂化合物(B)の極限機械的性質に近いことが望ましい場合には、一般に最少量のエポキシ反応性希釈剤(A)を用いて、エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物の粘度を低下させる。
【0039】
一般に、エポキシ樹脂希釈剤(A)は、エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物の総重量に基づき、約0.5〜約99%、好ましくは約5〜約55%、より好ましくは約10〜約40%の量で使用できる。
【0040】
本発明によれば、硬化性エポキシ樹脂組成物は(a)本発明のエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物、(b)少なくとも1種の硬化剤及び/又は(c)少なくとも1種の硬化触媒を含む。
【0041】
用語「硬化性」(「熱硬化性」とも称する)は、組成物が組成物を硬化又は熱硬化状態にするであろう条件に供されることができることを意味する。
【0042】
用語「硬化(された)(cured)」又は「熱硬化(された)(thermoset)」は、L.R,Whittington(Whittington’s Dictionary of Plastics(1968),239ページ)によって以下のように定義されている:「完成品としての最終状態で実質的に不融性であり且つ不溶性である樹脂又はプラスチック化合物。熱硬化性樹脂は多くの場合、その製造又は加工中のある段階で液体であり、熱、触媒作用又は他の何らかの化学的手段によって硬化される。完全に硬化された後、熱硬化性樹脂は熱によって再軟化されることができない。通常は熱可塑性である一部のプラスチックは、他の材料との架橋によって熱硬化性にすることができる。」
【0043】
硬化性エポキシ樹脂組成物に使用する硬化剤及び/又は触媒はエポキシ樹脂を硬化することで知られている任意の硬化剤及び/又は触媒であることができる。
【0044】
本発明において使用する硬化剤の例としては、脂肪族、脂環式、多脂環式又は芳香族第一モノアミン;脂肪族、脂環式、多脂環式又は芳香族第一及び第二ポリアミン類;カルボン酸類及びその無水物類;芳香族ヒドロキシル含有化合物類;イミダゾール類;グアニジン類;尿素−アルデヒド樹脂類;メラミン−アルデヒド樹脂類;アルコキシル化尿素−アルデヒド樹脂類;アルコキシル化メラミン−アルデヒド樹脂類;アミドアミン類;エポキシ樹脂付加物類;並びにそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0045】
特に適当な硬化剤としては、例えばメチレンジアニリン;4,4’−ジアミノスチルベン;4,4’−ジアミノ−α−メチルスチルベン;4,4’−ジアミノベンズアニリド;ジシアンジアミド;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;尿素−ホルムアルデヒド樹脂類;メラミン−ホルムアルデヒド樹脂類;メチロール化尿素−ホルムアルデヒド樹脂類;メチロール化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂類;フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂類、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂類、スルファニルアミド、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン;t−ブチルトルエンジアミン;ビス−4−アミノシクロヘキシルアミン;イソホロンジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ヘキサメチレンジアミン;ピペラジン;アミノエチルピペラジン;2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン;1,12−ドデカンジアミン;トリス−3−アミノプロピルアミン;及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0046】
適当な硬化触媒の例としては、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテレート、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、四塩化珪素、塩化第二錫、四塩化チタン、三塩化アンチモン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体、ピリジン−ボラン錯体、ジエタノールアミンボレート、フルオロホウ酸亜鉛、金属アシレート、例えばオクタン酸第一錫若しくはオクタン酸亜鉛及びそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0047】
硬化剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物を効果的に硬化させるであろう量で使用できるが、硬化剤の量は、硬化性エポキシ樹脂組成物中に存在する個々の成分、例えばエポキシ樹脂希釈剤(A)、樹脂化合物(B)並びに使用する硬化剤及び/又は触媒の型によっても異なるであろう。
【0048】
一般に、硬化剤の適当な量は、硬化剤中の反応性水素原子の当量/硬化性エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基当量が約0.80:1〜約1.50:1、好ましくは約0.95:1〜約1.05:1となるような範囲であり得る。反応性水素原子はエポキシ樹脂中のエポキシ基と反応性である水素原子である。
【0049】
同様に、硬化触媒も硬化性エポキシ樹脂組成物を効果的に硬化させるであろう量で使用するが、硬化触媒の量は、硬化性エポキシ樹脂組成物中に存在する個々の成分、例えばエポキシ樹脂希釈剤(A)、樹脂化合物(B)並びに使用する硬化剤及び/又は触媒の型によっても異なるであろう。
【0050】
一般に、本発明において使用できる硬化触媒の適当な量は、硬化性エポキシ樹脂組成物の総重量に基づき、約0.0001〜約2重量%、好ましくは約0.01〜約0.5重量%であることができる。
【0051】
硬化プロセスを促進するか又は他の方法で変更するために、1種又はそれ以上の硬化触媒を硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセスに使用することができる。
【0052】
硬化性エポキシ樹脂組成物も、少なくとも1種の添加剤、例えば硬化促進剤、溶剤、エポキシ樹脂希釈剤(A)以外の希釈剤(例えば非反応性希釈剤類、モノエポキシド希釈剤類、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂希釈剤以外のエポキシ樹脂希釈剤類及び反応性非エポキシド希釈剤類を含む)、改質剤(例えば流れ調整剤若しくは増粘剤)、強化剤、充填剤、顔料、染料、離型剤、湿潤剤、安定剤、難燃剤、界面活性剤又はそれらの任意の組合せとブレンドすることができる。
【0053】
これらの添加剤は、機能的に等価な量で添加でき、例えば顔料及び/又は染料は、組成物に所望の色を与えるであろう量で添加することができる。一般に、添加剤の量は、硬化性エポキシ樹脂組成物の総重量に基づき、約0〜約20重量%、好ましくは約0.5〜約5重量%、より好ましくは約0.5〜約3重量%であることができる。
【0054】
本発明において使用できる硬化促進剤としては、例えばモノ、ジ、トリ及びテトラフェノール類;塩素化フェノール類;脂肪族又は脂環式モノ又はジカルボン酸類;芳香族カルボン酸類;ヒドロキシ安息香酸類;ハロゲン化サリチル酸類;ホウ酸;芳香族スルホン酸類;イミダゾール類;第三アミン類;アミノアルコール類;アミノピリジン類;アミノフェノール類;メルカプトフェノール類;及びそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0055】
特に適当な硬化促進剤としては、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、4−メチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、4−ニトロフェノール、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、吉草酸、シュウ酸、安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、5−クロロサリチル酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシ安息香酸、4−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール、4−ジメチルアミノピリジン、4−アミノフェノール、2−アミノフェノール、4−ジメルカプトフェノール又はそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0056】
本発明において使用できる溶媒の例としては、例えば脂肪族及び芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、脂肪族エーテル類、脂肪族ニトリル類、環状エーテル類、グリコールエーテル類、エステル類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0057】
特に適当な溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、テトラヒドフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、二塩化エチレン、メチルクロロホルム、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、スルホラン及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0058】
本発明において使用できるエポキシ樹脂希釈剤(A)以外の稀釈剤の例としては、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、スチレン、低分子量ポリスチレン、スチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、チオジグリコールジグリシジルエーテル、無水マレイン酸、ε−カプロラクタム、ブチロラクトン、アクリロニトリル及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0059】
エポキシ樹脂希釈剤(A)以外の特に適当な希釈剤としては、例えばシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂希釈剤以外の名目上二官能価のエポキシ樹脂希釈剤、例えば前記のネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、チオジグリコールジグリシジルエーテル及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0060】
増粘剤及び流れ調整剤のような改質剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物の総重量に基づき、0〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約6重量%、より好ましくは約0.5〜約4重量%の量で使用できる。
【0061】
本発明において使用できる強化材としては、織物、マット、モノフィラメント、マルチフィラメント、一方向繊維、ロービング、ランダム繊維若しくはフィラメント、無機充填材若しくはホイスカー又は中空球の形態の天然及び合成繊維が挙げられる。他の適当な強化材としては、ガラス、炭素、セラミック、ナイロン、レイヨン、コットン、アラミド、グラファイト、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0062】
本発明において使用できる充填剤としては、例えば無機酸化物、セラミック微小球、プラスチック微小球、ガラス微小球、無機ホイスカー、炭酸カルシウム及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0063】
充填剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物の総重量に基づき、約0〜約95重量%、好ましくは約10〜約80重量%、より好ましくは約40〜約60重量%の量で使用できる。
【0064】
本発明によれば、硬化エポキシ樹脂は硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセスによって製造する。
【0065】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセスは、大気圧、過大気圧又は減圧下において約0〜約300℃、好ましくは約25〜約250℃、より好ましくは約50〜約200℃の温度において実施できる。
【0066】
硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化プロセスを完了させるのに必要な時間は使用温度によって異なる。温度が高いほど必要な硬化時間が短く、温度が低いほど必要な硬化時間が長い。一般に、このプロセスは約1分〜約48時間、好ましくは約15分〜約24時間、より好ましくは約30分〜約12時間で完了させることができる。
【0067】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を部分硬化させてB段階生成物を形成し、その後にしばらく経ってからB段階生成物を完全に硬化させることも操作可能である。
【0068】
本発明のエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物は、溶媒を用いなくても非常に低い粘度を有し、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのみを含むエポキシ樹脂反応性希釈剤に比較して、室温で長期の貯蔵時間後に結晶化を示さないことが判明した。更に、低塩化物(イオン性塩化物、加水分解性塩化物及び総塩化物)の形態のエポキシ樹脂反応性希釈剤を含む本発明の一部のエポキシ反応性希釈剤組成物は、従来のエポキシ樹脂硬化剤に対する反応性が増大され、電位腐蝕性が低減され且つ電気的性質が改善されたエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を提供する。
【0069】
本発明の硬化エポキシ樹脂は、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分のみをベースとする硬化エポキシ樹脂に比較して、物理的性質及び機械的性質に明確な改善が認められることも判明した。例えば本発明の硬化エポキシ樹脂は、高いガラス転移温度、改善された防湿性及び耐蝕性並びに改善されたコーティング性を有し、従来のエポキシ樹脂硬化剤と相容性である。
【0070】
以下の実施例及び比較実験に示すように、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分のみを含む硬化エポキシ樹脂(オリゴマーを含まないか又はオリゴマー(類)を含む)は、不所望な2つのガラス転移温度を有する場合がある。しかし、シス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を用いて本発明の硬化エポキシ樹脂を製造すると、2つのガラス転移温度は観察されない。更に、本発明の硬化エポキシ樹脂は、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分のみを含む硬化エポキシ樹脂に比較して、約21.5%〜約48.7%の範囲で増加したガラス転移温度を有することができる。
【0071】
また、以下の実施例及び比較実験に示すように、本発明のエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物を用いて作成されたコーティングは、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分のみを含むエポキシ樹脂を用いて作成された対応するコーティングに比較して、コーティング品質がより優れ、メチルエチルケトンのような溶剤に対する耐性が改善され、硬度が増大し、耐衝撃性及び剛軟度がより高く、付着力の低下がないことを示す可能性がある。
【0072】
硬化エポキシ樹脂の用途としては、電気用又は構造用の積層品又は複合材料、フィラメント巻き線(filament winding)、成形品、注型品、カプセル封入品、コーティングなどへの使用が挙げられる。
【実施例】
【0073】
省略形
実施例及び比較実験において、以下の標準的な省略形を用いる:
GC=ガスクロマトグラフィー(ガスクロマトグラフ)
GPC=ゲル透過クロマトグラフィー(ガスクロマトグラフ)
DSC=示差走査熱量測定法(測定)
EEW=エポキシ当量
RSD=相対標準偏差
DI=脱イオン(された)
eq=当量
wt=重量
min=分
hr=時間
mg=ミリグラム
g=グラム
mL=ミリリットル
mm=ミリメーター
cp=センチポアズ
CHDM=シス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール
CHDM MGE=シス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル
CHDM DGE=シス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル
DGE BPA=ビスフェノールAのジグリシジルエーテル
【0074】
以下の実施例及び比較実験において使用したCHDMは、商用グレード製品、UNOXOL(登録商標)Diol(The Dow Chemical Companyによって製造販売)である。CHDMのGC分析により、99.5%の面積%(4つの異性体について、それぞれ22.3、32.3、19.6及び25.3面積%)の存在が示され、残りの0.5面積%は単一の微量不純物を含んでいた。
【0075】
以下の実施例及び比較実験において使用したDGE BPAは、商用グレード製品、D.E.R.(登録商標)331(The Dow Chemical Companyによって製造販売)である。
【0076】
D.E.R.及びUNOXOLは、The Dow Chemical Companyの登録商標である。
【0077】
分析装置及び方法
実施例及び比較実験中においては、以下の標準的な分析装置及び方法を用いる:
【0078】
ガスクロマトグラフ(GC)分析
Hewlett Packad 5890 Series II Plusガスクロマトグラフを使用し、DB−1キャピラリーカラム(61.4M×0.25mm,Agilent)を用いた。カラムをクロマトグラフ用オーブン中で50℃の初期温度に保持した。インジェクター入口及び炎イオン化検出器(flame ionization detector)はいずれも300℃に保持した。カラムを通るヘリウムキャリヤーガス流は1.1mL/分に保持した。使用した温度プログラムは、50℃で2分のホールド時間、300℃の最終温度まで10℃/分の加熱速度及び300℃で15分のホールド時間である。カラムから溶離しなかったオリゴマーを含むサンプルを分析する場合には、残留オリゴマーが「焼き尽くされる(burned off)」までクロマトグラフ用オーブンを300℃に保持してから、次のサンプルの分析を行った。以下の実施例及び比較実験においては、CHDM DGEの4つの異性体の保持時間より長い保持期間を有する全ての成分をオリゴマーとした。ここで使用する用語「オリゴマー成分を含まない」又は「オリゴマー成分を実質的に含まない」は、オリゴマーが、エポキシ樹脂生成物の総重量に基づき、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0重量%で存在することを意味する。以下の実施例及び比較実験におけるGC分析は全て、面積%で測定し、いずれの所定の成分の定量的尺度でもない。
【0079】
GC分析用のサンプルは、エポキシ化プロセスからエポキシ樹脂生成物の0.5mLのアリコートを収集し、アセトニトリル1mLを含むバイアルに加えることによって調製した。アセトニトリル中の生成物の一部を混合してから、1mLシリンジ(Norm−Ject,全てポリプロピレン/ポリエチレン,Henke Sass Wolf GmbH)に装填し、シリンジフィルター(0.2μmPTFE膜を有するAcrodisc CR13,Pall Corporation,Gelman Laboratories)に通して全ての無機塩又はデブリ(debris)を除去した。
【0080】
I.C.I.コーンプレート粘度
粘度を、I.C.I.コーンプレート粘度計(モデルVR−4540)で25℃において測定した。0〜5ポアズのスピンドル(モデルVR−4105)を装着して、25℃に平衡化した粘度計をゼロに較正した。サンプルを粘度計に適用して2分間保持し、次いで粘度を確認して、15秒後に数値を読み取った。試験する個々の生成物の新鮮なアリコートを用いて、1回又はそれ以上の二重反復粘度試験を行った。個々の測定値を平均した。
【0081】
ゲル透過クロマトグラフ(GPC)分析
40℃に保持した1対のPL−ゲルMixed Eカラムを、示差屈折率検出器(Waters 410)と直列で用いた。溶離剤としてテトラヒドロフランを1mL/分の流速で用いた。注入量は100μLとした。サンプルをテトラヒドロフラン中で0.45〜0.50%の濃度まで稀釈した。Polymer Laboratories Polyethylene Glycol Calibrants,PEG 100,Lot 16を用いて、較正を行った。Mn、Mw、Mw/Mn、Mp及びMzのRSDは3%未満であり、Mz+1のRSDは6%未満であった。クロマトグラムは目視検査し、各ピークの個別の積分について異なるピークウィンドウを選択した。サンプルを二重反復試験で分析することよって、精度を測定した。Mp(ピークの頂点における分子量)及び面積%のRSDは、総面積の10%超のピークウィンドウの場合には1%未満であり、総面積の10%未満のピークウィンドウの場合には10%未満であった。こうして得られた面積パーセント及びピーク分子量を平均して、以下の実施例及び比較実験に示した結果を得た。
【0082】
加水分解性、イオン性及び総塩化物の分析
加水分解性塩化物は、一般に、水酸化ナトリウムによる脱塩化水素化によって環化されずにエポキシ化プロセスにおいてエポキシド環を生成する、カップリング生成物(例えばクロロヒドリン中間体)から生じる。
【0083】
イオン性塩化物は、エポキシ樹脂生成物に同伴された、エポキシ化プロセスからの塩化ナトリウム副産物を含む。塩化ナトリウムは水酸化ナトリウムによるクロロヒドリンの脱塩化水素化において共生成される。
【0084】
総塩化物はクロロメチル基の形態でエポキシ樹脂構造中に結合された塩素を考慮に入れる。クロロメチル基はクロロヒドリン中間体中の第二のヒドロキシル基とepiとのカップリング反応の結果として形成する。
【0085】
イオン性及び加水分解性塩化物は滴定法を用いて測定し、総塩化物はX線螢光分析によって測定した。
【0086】
エポキシド%/エポキシ当量(EEW)の分析
標準的な滴定法を用いて、種々のエポキシ樹脂中のエポキシド%を測定した。サンプルを秤量し(約0.1〜0.2gの範囲)、ジクロロメタン(15mL)中に溶解させた。酢酸中の臭化テトラエチルアンモニウム溶液(15mL)をサンプルに加えた。得られた溶液を3滴のクリスタルバイオレット溶液(酢酸中0.1%w/v)で処理し、Metrohm 665 Dosimat滴定装置(Brinkmann)上で酢酸中0.1N過塩素酸で滴定した。ジクロロメタン(15mL)及び酢酸中臭化テトラエチルアンモニウム(15mL)を含むブランクサンプルの滴定により、溶媒バックグラウンドに関する補正を行った。この滴定のための一般的な方法は、科学文献、例えばJay,R.R.,”Direct Titration of Epoxy Compound and Aziridines”,Analytical Chemistry,36,3,667-668(March,1964)に記載されている。
【0087】
示差走査熱量測定法(DSC)
DSC 2910 Modulated DSC(TA Instruments)を使用し、45cm3/分で流れる窒素流下において25℃から250℃まで7℃/分の加熱速度を用いた。具体的なサンプル重量は、以下の実施例及び比較実験に示す。
【0088】
以下の実施例及び比較実験は、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲を限定すると解してはならない。
【0089】
実施例1−オリゴマーを含まないCHDM MGE及びCHDM DGE混合物とDGE BPAとの10/90重量%ブレンド及び50/50重量%ブレンド並びにそれらの脂環式ジアミン硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマーを含まないCHDM MGE及びCHDM DGE混合物のGC分析により、CHDM MGEが13.85面積%(4つの異性体について、それぞれ、4.11、2.51、5.08及び2.15面積%)、CHDM DGEが83.29面積%(異性体について、それぞれ、25.57、29.95、9.45及び18.32面積%)であり、残りの2.86面積%が11種の微量不純物であることが示された。滴定により、エポキシドが31.66%(EEW135.93)であることが示された。粘度(25℃)は平均で36cpであった。商用グレードのDGE BPAは滴定によってエポキシドを23.01%(EEW187.04)含有していた。DGE BPAの公称粘度は12,500cp(25℃)であった。これらの成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0090】
【表1】

【0091】
各混合物のアリコートを、イソホロンジアミン36%未満、ベンジルアルコール30%未満及び4−tert−ブチルフェノールを含む他の成分24%未満を含む硬化剤配合物と合した。用いた硬化剤は、活性水素当量(eq wt)120の商用グレードアミン製品(Ancamine(登録商標)2423,Air Products and Chemicals,Inc.)である。10/90重量%ブレンドを13.4mgの分量及び50/50重量%ブレンド10.7mg及びを10.4mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。10/90重量%ブレンドからの硬化生成物を31.8mg及び32.5mgの分量並びに50/50重量%ブレンドからの硬化生成物を30.7mg及び29.4mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0092】
【表2】

【0093】
10/90重量%ブレンド及び50/50重量%ブレンドからの硬化生成物は硬質で、淡黄色の透明な固体であった。
【0094】
比較実験A−オリゴマーを含まないシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルの混合物とDGE BPAとの10/90重量%ブレンド及び50/50重量%ブレンド並びにそれらの脂環式ジアミン硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマーを含まないシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルの混合物のGC分析から、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテルが13.90面積%(2つの異性体について、それぞれ、8.37及び5.53面積%)、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテルが85.55面積%(2つの異性体について、それぞれ、28.46及び57.09面積%)であり、残りの0.55面積%が7種の微量不純物であることが示された。滴定により、エポキシドが31.45%(EEW136.83)であることが示された。粘度(25℃)は平均で36cpであった。商用グレードのDGE BPAは実施例1に記載したものである。これらの成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0095】
【表3】

【0096】
各混合物のアリコートを、実施例1に記載した硬化剤と合した。10/90重量%ブレンドを14.3mg及び11.5mgの分量並びに50/50重量%ブレンドを12.3mg及び14.4mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。10/90重量%ブレンドからの硬化生成物を28.6mg及び31.6mgの分量並びに50/50重量%ブレンドからの硬化生成物を27.4mg及び26.4mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0097】
【表4】

【0098】
10/90重量%ブレンド及び50/50重量%ブレンドからの硬化生成物は硬質で、淡黄色の透明な固体であった。
【0099】
実施例2−オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEの混合物とDGE BPAとの10/90、25/75及び50/50重量%ブレンド並びにそれらの脂環式ジアミン硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEの混合物のGC分析により、CHDM MGEが2.8面積%(4つの異性体について、それぞれ、0.6、0.4、1.0及び0.8面積%)、CHDM DGEが94.7面積%(4つの異性体について、それぞれ、21.9、34.7、11.2及び26.9面積%)、オリゴマー(4種の微量成分)が1.7面積%であり、残りは3種の微量不純物であることが示された。滴定により、エポキシドが28.71%(EEW149.89)であることが示された。粘度(25℃)は平均で137cpであった。商用グレードのDGE BPAは、実施例1に記載したものである。前記成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0100】
【表5】

【0101】
各混合物のアリコートを、実施例1に記載した硬化剤と合した。10/90重量%ブレンドを11.4mg及び11.3mgの分量、25/75重量%ブレンドを12.2mg及び10.9mgの分量並びに50/50重量%ブレンドを13.3mg及び12.2mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。10/90重量%ブレンドからの硬化生成物を31.4mg及び28.9mgの分量、25/75重量%ブレンドからの硬化生成物を27.9mg及び30.9mgの分量、並びに50/50重量%ブレンドからの硬化生成物を32.7mg及び29.1mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0102】
【表6】

【0103】
比較実験B−オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルの混合物とDGE BPAとの10/90、25/75及び50/50重量%ブレンド並びにそれらの脂環式ジアミン硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルの混合物のGC分析により、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールが1.6面積%(2つの異性体について、それぞれ、0.3及び1.3面積%)、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテルが7.8面積%(2つの異性体について、それぞれ、4.7及び3.1面積%)、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテルが61.2面積%(2つの異性体について、それぞれ、19.1及び42.1面積%)、オリゴマーが29.2面積%(9種の成分について、それぞれ、0.63、1.35、1.44,0.68、7.20、17.30、0.22、0.21及び0.20面積%)であり、残りの0.2面積%は単一不純物であることが示された。滴定により、エポキシドが27.05%(EEW159.05)であることが示された。粘度(25℃)は平均で69cpであった。イオン性塩化物及び加水分解性塩化物並びに総塩化物を分析すると、加水分解性塩化物が536ppm、イオン性塩化物が21.60ppm、総塩化物が2.356%であった。GPC分析により、以下の結果が得られた:Mn=245、Mw=265、Mw/Mn=1.08、Mp=205、Mz=292、Mz+1=331。各ピークのピークウィンドウの積分により、以下の結果が得られた:
【0104】
【表7】

【0105】
商用グレードのDGE BPAは実施例1に記載したものである。前記成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0106】
【表8】

【0107】
各混合物のアリコートを、実施例1に記載した硬化剤と合した。10/90重量%ブレンドを10.2mg及び12.5mgの分量、25/75重量%ブレンドを10.5mg及び10.5mgの分量並びに50/50重量%ブレンドを12.0mg及び12.6mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。10/90重量%ブレンドからの硬化生成物を29.9mg及び32.7mgの分量、25/75重量%ブレンドからの硬化生成物を29.4mg及び32.2mgの分量、並びに50/50重量%ブレンドからの硬化生成物を32.2mg及び32.8mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0108】
【表9】

【0109】
10/90重量%ブレンド、25/75重量%ブレンド及び50/50重量%ブレンドからの硬化生成物は硬質で、淡黄色の透明な固体であった。
【0110】
実施例3−オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEの混合物とDGE BPAとの10/90、25/75及び50/50重量%ブレンド並びにそれらのポリアルキレンポリアミン硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEの混合物のGC分析により、CHDM MGEが3.5面積%(4つの異性体について、それぞれ、0.9、0.5、1.5及び0.6面積%)、CHDM DGEが90.2面積%(4つの異性体について、それぞれ、22.2、33.1、10.4及び24.5面積%)、オリゴマー(22種超の微量成分)が5.4面積%であり、残りは数種の微量不純物であることが示された。滴定により、エポキシドが30.41%(EEW141.52)であることが示された。粘度(25℃)は平均で76cpであった。イオン性塩化物及び加水分解性塩化物並びに総塩化物を分析すると、加水分解性塩化物が83ppm、イオン性塩化物が8.156ppm、総塩化物が0.2304%であった。GPC分析により、以下の結果が得られた:Mn=239、Mw=335、Mw/Mn=1.41、Mp=195、Mz=708、Mz+1=2010。各ピークのピークウィンドウの積分により、以下の結果が得られた:
【0111】
【表10】

【0112】
商用グレードのDGE BPAは、実施例1に記載したものである。前記成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0113】
【表11】

【0114】
各混合物のアリコートを、硬化剤としてのトリエチレンテトラミンと合した。用いた硬化剤は、活性水素当量(eq wt)24.4の商用グレード製品(D.E.H.(登録商標)24,The Dow Chemical Company)である。10/90重量%ブレンドを11.8mg及び11.8mgの分量、25/75重量%ブレンドを11.3mg及び12.0mgの分量、並びに50/50重量%ブレンドを10.7mg及び11.2mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。10/90重量%ブレンドからの硬化生成物を31.4mg、31.7mg及び34.6mgの分量、25/75重量%ブレンドからの硬化生成物を28.9mg及び28.0mgの分量、並びに50/50重量%ブレンドからの硬化生成物を33.0mg及び31.0mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0115】
【表12】

【0116】
10/90重量%ブレンド、25/75重量%ブレンド及び50/50重量%ブレンドからの硬化生成物は硬質で、淡黄色の透明な固体であった。
【0117】
比較実験C−オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルの混合物とDGE BPAとの10/90、25/75及び50/50重量%ブレンド並びにそれらのポリアルキレンポリアミン硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルの混合物は、比較実験Bに記載したものである。商用グレードのDGE BPAは、実施例1に記載したものである。前記成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0118】
【表13】

【0119】
各混合物のアリコートを、実施例3に記載した硬化剤と合した。10/90重量%ブレンドを12.5mg及び10.1mgの分量、25/75重量%ブレンドを10.2mg及び12.1mgの分量並びに50/50重量%ブレンドを11.2mg及び12.4mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。10/90重量%ブレンドからの硬化生成物を30.4mg及び33.2mgの分量、25/75重量%ブレンドからの硬化生成物を28.9mg及び29.9mgの分量、並びに50/50重量%ブレンドからの硬化生成物を33.7mg及び31.5mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0120】
【表14】

【0121】
10/90重量%ブレンド、25/75重量%ブレンド及び50/50重量%ブレンドからの硬化生成物は硬質で、淡黄色の透明な固体であった。
【0122】
実施例4−オリゴマー成分を含まないCHDM MGE及びCHDM DGEの混合物とDGE BPAとの10/90、25/75及び50/50重量%ブレンド並びにそれらのポリアルキレンポリアミン硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマー成分を含まないCHDM MGE及びCHDM DGEの混合物は、実施例1に記載したものである。前記成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0123】
【表15】

【0124】
各混合物のアリコートを、実施例3に記載した硬化剤と合した。10/90重量%ブレンドを10.9mg及び10.4mgの分量、25/75重量%ブレンドを10.0mg及び9.9mgの分量、並びに50/50重量%ブレンドを10.0mg及び11.8mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。10/90重量%ブレンドからの硬化生成物を31.6mg及び28.0mgの分量、25/75重量%ブレンドからの硬化生成物を33.4mg及び31.9mgの分量、並びに50/50重量%ブレンドからの硬化生成物を31.8mg及び31.9mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0125】
【表16】

【0126】
10/90重量%ブレンド、25/75重量%ブレンド及び50/50重量%ブレンドからの硬化生成物は硬質で、淡黄色の透明な固体であった。
【0127】
比較実験D−オリゴマー成分を含まないシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルの混合物とDGE BPAとの10/90、25/75及び50/50重量%ブレンド並びにそれらのポリアルキレンポリアミン硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルの混合物は比較実験Aに記載したものである。商用グレードのDGE BPAは、実施例1に記載したものである。前記成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0128】
【表17】

【0129】
各混合物のアリコートを、実施例3に記載した硬化剤と合した。10/90重量%ブレンドを10.7mg及び12.8mgの分量、25/75重量%ブレンドを10.5mg及び12.8mgの分量、並びに50/50重量%ブレンドを11.7mg及び12.9mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。10/90重量%ブレンドからの硬化生成物を33.6mg及び30.4mgの分量、25/75重量%ブレンドからの硬化生成物を29.6mg及び32.9mgの分量、並びに50/50重量%ブレンドからの硬化生成物を30.7mg及び26.5mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0130】
【表18】

【0131】
10/90重量%ブレンド、25/75重量%ブレンド及び50/50重量%ブレンドからの硬化生成物は硬質で、淡黄色の透明な固体であった。
【0132】
実施例5−オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにそのカルボン酸無水物硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEの混合物は、実施例3に記載したものである。商用グレードのDGE BPAは、実施例1に記載したものである。前記成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0133】
【表19】

【0134】
混合物のアリコートを、硬化剤及び触媒と合した。使用した硬化剤は、商用グレードのヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物製品(分子量168.19)である。同様に、使用した硬化触媒は、商用グレードのジエチルアミノエタノール製品(分子量117.19)である。前記ブレンドを11.0mg及び12.2mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。硬化生成物を30.4mg、30.7mg及び30.4mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0135】
【表20】

【0136】
硬化生成物は硬質で、淡黄色の透明な固体であった。
【0137】
比較実験E−オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにそのカルボン酸無水物硬化生成物の製造及び特性決定
オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルの混合物は比較実験Aに記載したものである。商用グレードのDGE BPAは実施例1に記載したものである。前記成分を用いて、ブレンドを製造し、特性決定すると以下の通りであった:
【0138】
【表21】

【0139】
混合物のアリコートを、実施例5に記載した硬化剤及び触媒と合した。前記ブレンドを9.5mg及び9.5mgの分量で用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。各ブレンドの残りの部分を室温で硬化させ、次いで、150℃に予熱されたオーブン中で1時間、後硬化させた。硬化生成物を28.7mg及び26.6mgの分量で用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた:
【0140】
【表22】

【0141】
硬化生成物は硬質で、淡黄色の透明な固体であった。
【0142】
実施例6−オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにトリエチレンテトラミン硬化剤を用いた溶剤型(solvent-borne)コーティングの作成及び特性決定
コーティング配合物
実施例2に記載したオリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGE 3.4126g(25重量%)を実施例1に記載したDGE BPA 10.2377gと混合することによって、固形分60重量%のコーティング配合物を調製した。このブレンド13.6503gを、エチレングリコールモノブチルエーテル及びシクロヘキサノン(80/20体積%)10.3930g並びにポリエステル改質ポリジメチルシロキサン表面改質剤(BYK 310 ”Surface Modifier”,BYK Chemie USA)の溶剤溶液2滴と合した。コーティングを調製する直前に、実施例3に記載したトリエチレンテトラミン硬化剤(1.9392g)を前記溶液に加え、充分に混ぜ合わせた。
【0143】
実施例2からのオリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGE 4.9534g(25重量%)を実施例1に記載したDGE BPA 14.8601gと混合することによって、固形分75重量%のコーティング配合物を調製した。このブレンド19.8135gを、エチレングリコールモノブチルエーテル及びシクロヘキサノン(80/20体積%)7.5428g並びに前述のポリエステル改質ポリジメチルシロキサン表面改質剤の溶剤溶液2滴と合した。コーティングを調製する直前に、実施例3に記載したトリエチレンテトラミン硬化剤(2.8148g)を前記溶液に加え、充分に混ぜ合わせた。
【0144】
コーティングの作成
前述の固形分60重量%の配合物と#28ドローダウンバーを用いて、11インチ×5インチ×0.0089ゲージの無錫鋼パネル3枚をコーティングした。同様に、前述の固形分75重量%の配合物と#28ドローダウンバーを用いて、11インチ×5インチ×0.0089ゲージの無錫鋼パネル3枚をコーティングした。コーティング配合物の適用前に、各パネルをアセトンで2回洗浄し、次いで100℃に保持したオーブン中に5分間入れた後、室温に冷却してから使用した。コーティングパネルを、室温に16時間保持後、50℃に保持された強制空気対流型オーブン中に入れ、その中で2時間保持して、透明な不粘着性塗膜を形成した。パネルを100℃に2時間保持し、続いて150℃に1時間保持することによって、更なる後硬化を行った。
【0145】
前述の固形分75重量%の配合物と#48ドローダウンバーを用いて、12インチ×4インチ×0.032インチの冷間圧延鋼パネル3枚をコーティングした。コーティング配合物の適用前に、各パネルをアセトンで2回洗浄し、次いで100℃に保持したオーブン中に5分間入れた後、室温に冷却してから使用した。コーティングパネルを、室温に16時間保持後、50℃に保持された強制空気対流型オーブン中に入れ、その中で2時間保持して、透明な不粘着性コーティングを形成した。パネルを100℃に2時間保持し、続いて150℃に1時間保持することによって、更なる後硬化を行った。こうして得られたコーティングパネルは、ポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いた場合に典型的に観察されるわずかなブラッシングを生じた。
【0146】
コーティングの特性決定
Fisherscope Multi 650C T3.3/GA1.3膜厚測定器(film thickness tester)を用いて、各パネルの厚さを試験した。使用前に、測定器を、較正のために厚さ標準を用いて検査し、規格内であることがわかった。各パネルの面を横切って、10個1組の数値を読み取った。固形分60重量%の配合物を用いて作成した3枚の各パネルの平均厚さは、1.018mil+/−0.030mil、1.042mil+/−0.031mil及び1.098mil+/−0.050milであった。固形分75重量%の配合物を用いて作成した3枚の各パネルの平均厚さは、1.344mil+/−0.131mil、1.380mil+/−0.035mil及び1.274mil+/−0.030milであった。各パネルを4辺全てにおいて1/2インチ切り落とし、次いで2インチ×4インチのクーポンを1枚切り取り、残りを1.5×4インチのクーポンにカットした。各パネルからの2インチ×4インチのクーポンを、メチルエチルケトン往復摩擦試験(Methylethylketone Double Rubs Test)(ASTM D 4752−87(5402))を用いて100回の往復摩擦について試験した。各試験パネルからの2インチ×4インチのクーポンを、鉛筆試験(ASTM D 3363−74)によってフィルム硬度について試験した。鉛筆を適切な角度に保つためのガイドを用いた。
【0147】
冷間圧延鋼パネル上に固形分75重量%の配合物を用いて作成した3枚の各パネルの平均厚さは、2.162mil+/−0.061mil、2.135mil+/−0.089mil及び2.025mil+/−0.081milであった。各パネルを半分にカットして、2枚のクーポンを形成した。各パネルからの1枚のクーポンを、160in−lbsの適用能力がある4 lb.の重り(wt)を有するGardner衝撃試験機を用いて、急速変形作用(衝撃)試験(Effect of Rapid Deformation(Impact) Test)(ASTM 2794−90)によって試験した。試験は、順方向(衝撃をコーティング面に適用)及び逆方向(衝撃を非コーティング面に適用)の両方向で行った。各パネルからの第2のクーポンを、改良1/8”コニカルマンドレル曲げ試験(Modified 1/8" Conical Mandrel Bend Test)(ASTM D 522−93a,方法 A(改変))を用いて試験した。マンドレル曲げ試験からの各クーポンの未使用のコーナーセクションを、粘着テープ試験(ASTM D 3359−90−試験方法 B−クロスカットテープ試験)を用いて試験した。11ブレードナイフを用いてパネルをカットし、3つのクロスハッチセクションを作成した。光学顕微鏡を用いて、試験パネルを検査した。以下の結果が得られた:
【0148】
【表23】

【0149】
比較実験F−オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにトリエチレンテトラミン硬化剤を用いた溶剤型コーティングの作成及び特性決定
コーティング配合物
比較実験Bに記載したオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテル3.3895g(25重量%)を実施例1に記載したDGE BPA 10.1686gと混合することによって、固形分60重量%のコーティング配合物を調製した。このブレンドのアリコートの滴定により、エポキシドが24.41%(EEW176.26)であることが示された。このブレンドの13.1291gの部分を、エチレングリコールモノブチルエーテル及びシクロヘキサノン(80/20体積%)9.9644g並びにポリエステル改質ポリジメチルシロキサン表面改質剤(BYK 310 ”Surface Modifier”,BYK Chemie USA)の溶剤溶液2滴と合した。コーティングを調製する直前に、実施例3に記載したトリエチレンテトラミン硬化剤(1.8175g)を前記溶液に加え、充分に混ぜ合わせた。
【0150】
比較実験Bに記載したオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテル4.9559g(25重量%)を実施例1に記載したDGE BPA 14.8677gと混合することによって、固形分75重量%のコーティング配合物を調製した。このブレンド19.8236gを、エチレングリコールモノブチルエーテル及びシクロヘキサノン(80/20体積%)7.5226g並びに前述のポリエステル改質ポリジメチルシロキサン表面改質剤の溶剤溶液2滴と合した。コーティングを調製する直前に、実施例3に記載したトリエチレンテトラミン硬化剤(2.7442g)を前記溶液に加え、充分に混ぜ合わせた。
【0151】
コーティングの作成
前述の固形分60重量%及び75重量%の配合物を用いて、実施例6に記載したようにして無錫鋼パネルをコーティングした。こうして得られたコーティングパネルは、ポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いた場合に典型的に観察されるわずかなブラッシングを生じた。更に、各パネルの0.5インチの近似境界は、パネル内に得られる透明なコーティングとは異なり、変色して琥珀色を呈していた。
【0152】
コーティングの特性決定
コーティングパネルを、実施例6に記載したようにして試験した。固形分60重量%の配合物を用いて作成した3枚の各パネルの平均厚さは、1.018mil+/−0.030mil、1.042mil+/−0.031mil及び1.098mil+/−0.050milであった。固形分75重量%の配合物を用いて作成した3枚の各パネルの平均厚さは、1.344mil+/−0.131mil、1.380mil+/−0.035mil及び1.274mil+/−0.030milであった。冷間圧延鋼パネル上に固形分75重量%の配合物を用いて作成した3枚の各パネルの平均厚さは、2.162mil+/−0.061mil、2.135mil+/−0.089mil及び2.025mil+/−0.081milであった。以下の結果が得られた:
【0153】
【表24】

【0154】
実施例7
A.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアミド硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の作成及び特性決定
実施例2からのオリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGE 50.00g(25重量%)とDGE BPA 150.00gとを混合することによって、マスターバッチを調製した。使用したビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、滴定によって23.383%のエポキシド(EEW184.02)を含む商用グレード製品である。このブレンドのアリコートの滴定により、エポキシドが25.17%(EEW170.97)であることが示された。
【0155】
注型品の作成の直前に、前記マスターバッチブレンドの一部(22.00g,エポキシ当量0.1287)をポリアミド硬化剤(14.67g,アミン水素当量0.1287)と合し、充分に混ぜ合わせた。使用した硬化剤は、公称アミン水素当量114の商用グレード製品(Ancamide(登録商標)2353,Air Products and Chemicals,Inc.)である。注型品の作成前に、均質混合物をガラス鐘下に置き、真空を適用して気泡を全て除去した。脱ガス混合物を金型中に注入し、次いで次の16時間室温に保持して、周囲温度硬化させた。使用した金型は、6インチ×6インチの2枚のアルミニウム板からなる。各板の面に、シロキサザンポリマーをコーティングした6インチ×6インチのアルミニウムシートをかぶせた。U形1/8インチスペーサーフレーム及びU形内部ガスケット(interior gasket)を、2枚のアルミニウム離型シートの間に配置した。ガスケットは、シラスチックゴム管材料中に銅線を入れたものから形成した。金型を、1組の圧縮クランプによって合わさった状態に保持した。周囲温度硬化された注型品を、金型中で以下のスケジュールを用いて後硬化させた:(a)50℃に保たれたオーブン中に金型を入れ、その中に30分間保持し、(b)オーブン温度設定値を100℃まで上昇させ(100℃に達するには16〜20分要する)、(c)100℃に60分間保持し、(d)100℃のオーブンから取り出して、150℃に保たれたオーブン中に金型を入れ、(e)150℃に60分間保持し、(f)金型を取り出して、室温まで冷却させ、(g)室温まで冷却されたら注型品を金型から取り出す。
【0156】
後硬化された透明な淡黄色の注型品を、ウェットソー(wet saw)(Micro-matic Precision Slicing and Dicing Machine,型番WMSA.1015;Digital Measuring Display Dynamics Research Coporitiaon,Model 700 12DOを装着)を用いてカットして、2.5インチ×0.5インチの曲げ試験片を5枚作成した。試験前に、試験片を恒温恒湿室で73.4+/−°F及び相対湿度50+/−5%に40時間保持した。Instron 4505を用いてASTM D 790に従って試験を行って、曲げ強度及び曲げ弾性率を得た。硬化注型品の32.1mg、28.6mg及び27.2mgの部分を用いて行ったDSC分析から、ガラス転移温度が得られた(実施例7の最後に表中に示した)。
【0157】
B.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びに改質脂環式アミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の作成及び特性決定
改質脂環式アミン硬化剤(14.54g,アミン水素当量0.1287)と合した、実施例7のパートAに記載したマスターバッチブレンドの一部(22.00g,エポキシ当量0.1287)を用いて、注型品を作成した。使用した硬化剤は、公称アミン水素当量113の商用グレード製品(Ancamide(登録商標)1618,Air Products and Chemicals,Inc.)である。注型品を作成し、硬化させ、後硬化させて、試験片を作成し、前記パートAの方法を用いて曲げ特性について試験した。硬化注型品の32.1mg及び32.8mgの部分を用いて行ったDSC分析から、ガラス転移温度が得られた(実施例7の最後に表中に示した)。
【0158】
C.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにフェナルカミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の作成及び特性決定
フェナルカミン硬化剤(14.62g,アミン水素当量0.1170)と合した、実施例7のパートAからのマスターバッチブレンドの一部(20.00g,エポキシ当量0.1170)を用いて、注型品を作成した。使用した硬化剤は、公称アミン水素当量125の商用グレード製品(Cardolite(登録商標)NC 541 LV,Cardolite Corporation)である。注型品を作成し、硬化させ、後硬化させて、試験片を作成し、前記パートAの方法を用いて曲げ特性について試験した。硬化注型品の32.2mg及び27.4mgの部分を用いて行ったDSC分析から、ガラス転移温度が得られた(実施例7の最後に表中に示した)。
【0159】
D.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の作成及び特性決定
トリエチレンテトラミン硬化剤(5.00g,アミン水素当量0.2047)と合した、実施例7のパートAからのマスターバッチブレンドの一部(35.00g,エポキシ当量0.2047)を用いて、注型品を作成した。使用した硬化剤は、公称アミン水素当量24.4の商用グレード製品(D.E.H.(登録商標)24)である。注型品を作成し、硬化させ、後硬化させて、試験片を作成し、前記パートAの方法を用いて曲げ特性について試験した。硬化注型品の33.7mg及び34.0mgの部分を用いて行ったDSC分析から、下記表中に示すガラス転移温度が得られた。
【0160】
【表25】

【0161】
比較実験G
A.オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアミド硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の作成及び特性決定
比較実験Bからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテル50.00g(25重量%)とDGE BPA 150.00gとを混合することによって、マスターバッチを調製した。DGE BPAは実施例7のパートAに記載したものである。このブレンドのアリコートの滴定により、エポキシドが24.323%(EEW176.91)であることが示された。
【0162】
前記マスターバッチブレンドの一部(25.00g,エポキシ当量0.1413)を、実施例7のパートAに記載したポリアミド硬化剤(14.62g,アミン水素当量0.1170)と合して注型品を作成した。注型品を作成し、硬化させ、後硬化させて、試験片を作成し、実施例7のパートAの方法を用いて曲げ特性について試験した。この配合物は、分散気泡を形成せずには注型できなかった。これは、配合物の初期粘度が比較的高く、注型品の注入前に充分な脱ガスを行うことができなかったためである。硬化注型品の31.3mg及び32.5mgの部分を用いて行ったDSC分析から、ガラス転移温度が得られた(比較実験Gの最後の表に示す)。
【0163】
気泡を含まない注型品の作成を更に試みて、マスターバッチブレンドの一部と硬化剤を別々に50℃に加熱してから、両者を合した。これによって粘度は大幅に低下したが、配合物は真空脱ガス中に気泡を発生するようであった。この配合物は連続的な脱ガス中に粘度を増し、気泡を依然として発生し続けながら、最終的には、注型品には高すぎる粘度を生じた。
【0164】
B.オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びに改質脂環式アミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の作成及び特性決定
前記パートAからのマスターバッチブレンドの一部(25.00g,エポキシ当量0.1413)を実施例7のパートBに記載した改質脂環式アミン硬化剤(15.97g,アミン水素当量0.1413)と合した。注型品を作成し、硬化させ、後硬化させて、試験片を作成し、実施例7のパートAの方法を用いて曲げ特性について試験した。硬化注型品の32.8mg及び31.5mgの部分を用いて行ったDSC分析から、ガラス転移温度が得られた(比較実験Gの最後に表中に示した)。
【0165】
C.オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにフェナルカミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の作成及び特性決定
比較実験GのパートAからのマスターバッチブレンドの一部(25.00g,エポキシ当量0.1413)を実施例7のパートCに記載したフェナルカミン硬化剤(17.66g,アミン水素当量0.1413)と合した。注型品を作成し、硬化させ、後硬化させて、試験片を作成し、実施例7のパートAの方法を用いて曲げ特性について試験した。硬化注型品の33.8mg及び28.9mgの部分を用いて行ったDSC分析から、ガラス転移温度が得られた(比較実験Gの最後に表中に示した)。
【0166】
D.オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の作成及び特性決定
比較実験GのパートAからのマスターバッチブレンドの一部(35.00g,エポキシ当量0.1978)を実施例7のパートDに記載したトリエチレンテトラミン硬化剤(4.83g,アミン水素当量0.19795)と合した。注型品を作成し、硬化させ、後硬化させて、試験片を作成し、実施例7のパートAの方法を用いて曲げ特性について試験した。硬化注型品の32.7mg及び31.5mgの部分を用いて行ったDSC分析から、ガラス転移温度が得られた(比較実験Gの最後に表中に示した)。
【0167】
E.DGE BPA及びポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の作成及び特性決定
実施例7のパートAに記載したDGE BPAの一部(35.00g,エポキシ当量0.1902)を、実施例7のパートDに記載したトリエチレンテトラミン硬化剤(4.64g,アミン水素当量0.1902)と合した。注型品を作成し、硬化させ、後硬化させて、試験片を作成し、実施例7のパートAの方法を用いて曲げ特性について試験した。硬化注型品の32.3mg及び33.7mgの部分を用いて行ったDSC分析から、下記表に示すガラス転移温度が得られた。
【0168】
【表26】

【0169】
実施例8
A.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアミド硬化剤を用いたストロークキュア時間(stroke cure time)の測定
実施例7のパートAからのマスターバッチの一部(1.0121g,エポキシ当量0.00592)を、実施例7のパートAに記載したポリアミド硬化剤(0.6749g,アミン水素当量0.00592)と合した。充分に混合したらすぐに、この配合物の0.15〜0.20gのアリコートを、100℃に予熱してあるストロークキュアホットプレート(Tetrahedron,San Diego,CA)に適用した。ストップウォッチを用いて、ASTM D4640−86(改変)に従って各試験の実施時間を測定して、流体配合物を熱硬化された硬質の動かない固体に変化させるのに必要な時間が得られた。最低3回の個別試験を実施し、各組の試験に関して計算した算術平均及び標本標準偏差から平均ストロークキュア時間が得られた。
【0170】
B.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びに改質脂環式アミン硬化剤を用いたストロークキュア時間の測定
実施例7のパートAからのマスターバッチの一部(0.8936g,エポキシ当量0.00523)を、実施例7のパートBに記載した改質脂環式アミン硬化剤(0.5906g,アミン水素当量0.00523)と合した。ストロークキュア時間を、前記の実施例8のパートAの方法を用いて測定した。
【0171】
C.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにフェナルカミン硬化剤を用いたストロークキュア時間の測定
実施例7のパートAからのマスターバッチの一部(1.3347g,エポキシ当量0.00781)を、実施例7のパートCに記載したフェナルカミン硬化剤(0.9758g,アミン水素当量0.00781)と合した。ストロークキュア時間を、前記の実施例8のパートAの方法を用いて測定した。
【0172】
D.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いたストロークキュア時間及びDSCの測定
実施例7のパートAからのマスターバッチの一部(1.3939g,エポキシ当量0.00815)を、実施例7のパートDに記載したトリエチレンテトラミン硬化剤(0.1989g,アミン水素当量0.00815)と合した。ストロークキュア時間を、前記の実施例8のパートAの方法を用いて測定した。前記配合物の11.1mg及び10.3mgの部分を用いて行ったDSC分析により、508.0ジュール/g及び555.9ジュール/gのエンタルピー(平均532.0ジュール/g)をそれぞれ伴う94.63℃及び93.63℃(平均94.13℃)に極大を有する、硬化による発熱転移が示された。この発熱転移の開始温度はそれぞれ59.24℃及び57.61℃(平均58.43℃)であった。
【0173】
【表27】

【0174】
実施例9
A.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアミド硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の耐溶剤性試験、耐湿性試験及び耐蝕性試験
実施例7のパートAにおいて作成した明澄な無充填注型品から、前記実施例に示した方法を用いて、6個1組の1インチ×0.5インチの試験片を切り取った。全ての試験片を、きれいに拭き、次いで秤量してから、以下のようにして4オンスのガラスボトル又はプラスチック(高密度ポリエチレン)ボトル中に入れた。試験サンプルを含む個々のガラスボトルにジクロロメタン、トルエン、アセトン又はDI水中5重量%酢酸をそれぞれ50mL充填し、シールした。試験サンプルを含む個々のプラスチックボトルに、DI水又はDI水中5重量%水酸化ナトリウム(97%)をそれぞれ50mL充填し、次いでシールした。DI水を含むボトルはオーブン中で50℃に保持したが、それ以外のボトルは全て23.5℃に保持した。24時間後、48時間後、144時間後及び504時間後、更に52日後に5%酢酸、5%NaOH及び50℃のDI水のみについて、各試験サンプルを取り出し、ブロット乾燥させ、任意の変化について観察し、秤量し、次いで試験を再開するためにボトルに戻した。以下の結果が得られた:
【0175】
【表28】

【0176】
B.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びに改質脂環式アミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の耐溶剤性試験、耐湿性試験及び耐蝕性試験
実施例7のパートBにおいて作成した明澄な無充填注型品から、前記実施例中に示した方法を用いて、6個1組の1インチ×0.5インチの試験片を切り取った。全ての試験片を、前記の実施例9のパートAに示した方法を用いて試験した。以下の結果が得られた:
【0177】
【表29】

【0178】
C.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにフェナルカミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の耐溶剤性試験、耐湿性試験及び耐蝕性試験
実施例7のパートCにおいて作成した明澄な無充填注型品から、前記実施例中に示した方法を用いて、6個1組の1インチ×0.5インチの試験片を切り取った。全ての試験片を、前記の実施例9のパートAに示した方法を用いて試験した。以下の結果が得られた:
【0179】
【表30】

【0180】
D.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の耐溶剤性試験、耐湿性試験及び耐蝕性試験
実施例7のパートDにおいて作成した明澄な無充填注型品から、前記実施例中に示した方法を用いて、6個1組の1インチ×0.5インチの試験片を切り取った。全ての試験片を、前記の実施例9のパートAに示した方法を用いて試験した。以下の結果が得られた:
【0181】
【表31】

【0182】
比較実験H
A.オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量/重量%ブレンド並びにポリアミド硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の耐溶剤性試験、耐湿性試験及び耐蝕性試験
比較実験GのパートAにおいて作成した明澄な無充填注型品から、前記比較実験中に示した方法を用いて、6個1組の1インチ×0.5インチの試験片を切り取った。全ての試験片を、前記の実施例9のパートAに示した方法を用いて試験した。以下の結果が得られた:
【0183】
【表32】

【0184】
B.オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量/重量%ブレンド並びに改質脂環式アミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の耐溶剤性試験、耐湿性試験及び耐蝕性試験
比較実験GのパートBにおいて作成した明澄な無充填注型品から、前記比較実験中に示した方法を用いて、6個1組の1インチ×0.5インチの試験片を切り取った。全ての試験片を、前記の実施例9のパートAに示した方法を用いて試験した。以下の結果が得られた:
【0185】
【表33】

【0186】
C.オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量/重量%ブレンド並びにフェナルカミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の耐溶剤性試験、耐湿性試験及び耐蝕性試験
比較実験GのパートCにおいて作成した明澄な無充填注型品から、前記比較実験中に示した方法を用いて、6個1組の1インチ×0.5インチの試験片を切り取った。全ての試験片を、前記の実施例9のパートAに示した方法を用いて試験した。以下の結果が得られた:
【0187】
【表34】

【0188】
D.オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとDGE BPAとの25/75重量/重量%ブレンド並びにポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の耐溶剤性試験、耐湿性試験及び耐蝕性試験
比較実験GのパートDにおいて作成した明澄な無充填注型品から、前記比較実験中に示した方法を用いて、6個1組の1インチ×0.5インチの試験片を切り取った。全ての試験片を、前記の実施例9のパートAに示した方法を用いて試験した。以下の結果が得られた:
【0189】
【表35】

【0190】
E.DGE BPA及びポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いた明澄な無充填注型品の耐溶剤性試験、耐湿性試験及び耐蝕性試験
比較実験GのパートEにおいて作成した明澄な無充填注型品から、前記比較実験中に示した方法を用いて、6個1組の1インチ×0.5インチの試験片を切り取った。全ての試験片を、前記の実施例9のパートAに示した方法を用いて試験した。以下の結果が得られた:
【0191】
【表36】

【0192】
実施例10
A.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアルキレンポリアミン硬化剤及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール促進剤を用いたストロークキュア時間及びDSCの測定
実施例7のパートAからのマスターバッチの一部(1.9869g,エポキシ当量0.01162)を、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(0.1135g,5phr)と合し、充分に混合して、均質溶液を生成した。トリエチレンテトラミン硬化剤(0.2836g,アミン水素当量0.01162)を加え、配合物中に充分に混合した。トリエチレンテトラミン硬化剤は実施例3のパートBに記載したものである。ストロークキュア時間は、実施例8のパートAの方法を用いて測定した。前記配合物の10.3mg及び11.0mgの部分を用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。結果を、実施例10の最後の表中に示す。
【0193】
B.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアルキレンポリアミン硬化剤及び2,4−ジメチルフェノール促進剤を用いたストロークキュア時間及びDSCの測定
実施例7のパートAからのマスターバッチの一部(2.2345g,エポキシ当量0.0131)を、2,4−ジメチルフェノール(0.1277g,5phr)と合し、充分に混合して、均質溶液を生成した。トリエチレンテトラミン硬化剤(0.3189g,アミン水素当量0.0131)を加え、配合物中に充分に混合した。トリエチレンテトラミン硬化剤は実施例3のパートBに記載したものである。ストロークキュア時間は、実施例8のパートAの方法を用いて測定した。前記配合物の10.3mg及び10.7mgの部分を用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。結果を、実施例10の最後の表中に示す。
【0194】
C.オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEとDGE BPAとの25/75重量%ブレンド並びにポリアルキレンポリアミン硬化剤及びp−トルエンスルホン酸一水和物促進剤を用いたストロークキュア時間及びDSCの測定
実施例7のパートAからのマスターバッチの一部(2.0315g,エポキシ当量0.0119)を、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.1161g,5phr)と合し、充分に混合して、懸濁液を生成した。トリエチレンテトラミン硬化剤(0.2899g,アミン水素当量0.0119)を加え、配合物中に充分に混合した。トリエチレンテトラミン硬化剤は実施例3のパートBに記載したものである。ストロークキュア時間は、実施例8のパートAの方法を用いて測定した。前記配合物の9.9mg及び14.6mgの部分を用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。結果を、実施例10の最後の表中に示す。
【0195】
D.オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル及びジグリシジルエーテルとビスフェノールAのジグリシジルエーテルとの25/75重量/重量%ブレンド並びにポリアルキレンポリアミン硬化剤及び吉草酸促進剤を用いたストロークキュア時間及びDSCの測定
実施例7のパートAからのマスターバッチの一部(2.3130g,エポキシ当量0.0135)を、吉草酸(0.1322g,5phr)と合し、充分に混合して、均質容液を生成した。トリエチレンテトラミン硬化剤(0.3301g,アミン水素当量0.0135)を加え、配合物中に充分に混合した。硬化剤は実施例3のパートBに記載したものである。ストロークキュア時間は、実施例8のパートAの方法を用いて測定した。前記配合物の9.6mg及び12.4mgの部分を用いて行ったDSC分析により、発熱硬化を特性決定した。結果を、下記表中に示す。
【0196】
【表37】

【0197】
比較実験I−ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びポリアルキレンポリアミン硬化剤を用いたストロークキュア時間の測定
実施例7のパートAに記載したDGE BPAの一部(1.9579g,エポキシ当量0.01064)を、トリエチレンテトラミン硬化剤(0.2596g,アミン水素当量0.01064)と合した。使用した硬化剤は実施例3に記載したものである。ストロークキュア時間を、実施例8のパートAの方法を用いて測定した。2.592分+/−0.0216分のストロークキュア時間が得られた。
【0198】
実施例11−オリゴマー成分を含むCHDM DGEとDGE BPAのブレンドの作成及び粘度の特性決定
オリゴマー成分を含むCHDM DGEと実施例1のパートBに記載したDGE BPAとを混合することによって、一連のブレンドを調製した。オリゴマー成分を含むCHDM DGEのGC分析により、CHDM DGEが95.8面積%(4つの異性体について、それぞれ、24.39、32.61、12.42及び26.38面積%)、オリゴマー(46種以上の微量成分)が3.7面積%であり、残りは数種の微量不純物であることが示された。滴定により、エポキシドが27.74%(EEW155.13)であることが示された。粘度(25℃)は平均86cpであった。ブレンドは、オリゴマー成分を含むCHDM DGE 0.200g(10重量%)、0.500g(25重量%)又は1.000g(50重量%)をそれぞれ、DGE BPA 1.800g、1.500g又は1.000gと混合することによって調製した。以下の粘度(25℃)が前記ブレンドについて測定された:
【0199】
【表38】

【0200】
実施例12−オリゴマー成分を含むCHDM MGE及びCHDM DGEの混合物(ルイス酸触媒カップリング反応及びエポキシ化反応によって製造)とDGE BPAとのブレンドの製造及び特性決定
カップリング反応に塩化錫(IV)を用いたepiとCHDMとのルイス酸触媒カップリングと、それに続くエポキシ化反応によって、エポキシ樹脂を製造した。GC分析から、未反応CHDM 0.06面積%、CHDM MGE 4.19面積%、CHDM DGE 58.73面積%、オリゴマー36.79面積%並びに残りの数種の微量成分の存在が明らかになった。イオン性塩化物及び加水分解性塩化物並びに総塩化物を分析した。加水分解性塩化物及びイオン性塩化物は検出できず、総塩化物は3.52%であった。生成物のアリコートの滴定により、エポキシドが27.42%(EEW156.93)であることが示された。生成物の2つの別個のアリコートの粘度(25℃)をI.C.I.コーンプレート粘度計で測定して、それぞれ、65cp及び66cpの平均値を得た。商用グレードDGE BPAを滴定によって分析すると、エポキシドは23.097%(EEW186.30)であった。DGE BPAの動粘度は9659cSt(25℃)であった。ASTM D445−06[透明及び不透明液体の動粘度(kinematic viscotiry)に関する標準試験法(及び絶対粘度(dynamic viscosity)の算出)]を用いた。これらの成分を用いて、以下のようにブレンドを調製し、動粘度について測定した:
【0201】
【表39】

【0202】
本発明の範囲から逸脱しなければ、前記組成物及び方法において若干な変更が可能であることは、当業者に明らかであろう。従って、本明細書中に開示したことは全て、単なる実例であって、請求する保護範囲を制限するものではない。更に、本発明の組成物及び方法は、前記具体例(具体例が参照する表を含む)によって制限すべきではない。むしろ、これらの例及びこれらの例が参照する表は、本発明の組成物及び方法の説明に役立つ実例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂希釈剤(A)と、前記エポキシ樹脂希釈剤(A)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む樹脂化合物(B)を含んでなるエポキシ樹脂反応性希釈剤組成物。
【請求項2】
前記組成物が、組成物の総重量に基づき、約0.5〜約99重量%のエポキシ樹脂希釈剤(A)を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂希釈剤(A)が、
(i)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;シス−1,2−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタロールのジグリシジルエーテル;
(ii)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;及びそれらの任意のオリゴマー;
(iii)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;又は
(iv)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;及びそれらの任意のオリゴマー
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂希釈剤(A)が、制御された量の、シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテルを含み;且つ前記エポキシ樹脂希釈剤(A)が、エポキシ樹脂希釈剤(A)の総重量に基づき、約0.1〜約90重量%のシス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル;及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテルを含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
(a)エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物並びに(b)少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒を含んでなり、前記エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物がシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂希釈剤(A)と前記エポキシ樹脂希釈剤(A)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む樹脂化合物(B)を含む硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記硬化剤が分子当たり少なくとも1個の反応性水素原子を有する物質を含み;前記エポキシ樹脂反応性稀釈組成物が少なくとも1個のエポキシ基を含み;前記硬化剤中の反応性水素原子が前記エポキシ樹脂反応性希釈剤組成物中のエポキシ基と反応性であり;且つ前記硬化剤が、前記硬化性エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基の当量当り、約0.80:1〜約1.50:1の前記硬化剤中の反応性水素原子の当量である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の添加剤を更に含み;前記添加剤が硬化促進剤、溶剤、エポキシ樹脂反応希釈剤(A)以外の希釈剤、充填剤、顔料、染料、流れ調整剤、増粘剤、強化剤、離型剤、湿潤剤、安定剤、難燃剤、界面活性剤又はそれらの任意の組合せのうち少なくとも1種を含む請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記エポキシ樹脂希釈剤(A)以外の希釈剤が非反応性希釈剤、モノエポキシド希釈剤、エポキシ樹脂希釈剤(A)以外の希釈剤、反応性非エポキシド希釈剤及びそれらの任意の組合せを含む請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項5に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることを含んでなる方法。
【請求項10】
前記方法が、硬化性エポキシ樹脂組成物を部分硬化させてB段階生成物を形成し、それに続いて、前記B段階生成物を、後段階で、完全に硬化させることを含んでなる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法によって製造される硬化エポキシ樹脂。
【請求項12】
請求項11に記載の硬化エポキシ樹脂を含み、そしてコーティング、電気用若しくは構造用の積層品、電気用若しくは構造用の複合材料、フィラメント巻き線、成形品、注型品及びカプセル封入品のうちの少なくとも1つである物品。

【公表番号】特表2011−521075(P2011−521075A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510552(P2011−510552)
【出願日】平成21年5月4日(2009.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/042645
【国際公開番号】WO2009/142900
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】