説明

エポキシ組成物用潜在性硬化剤

アミン、エポキシ樹脂、およびエラストマー−エポキシ付加物の反応生成物からなるエポキシ樹脂のための硬化剤を提供する。また、アミン、エポキシ樹脂、およびエラストマー−エポキシ付加物の溶液を有機溶媒中で高温下で攪拌して分散液とする製造方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤に関し、特に、シェル材料にカプセル化又は含有されたコア材料からなる潜在性硬化剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エポキシ接着剤は、50年以上もの間広く知られており、第1高温接着剤の1つとして商品化されている。その材料は、一旦硬化されると、広い温度範囲にわたってその接着特性を維持し、高剪断強度を有し、耐候性、耐油性、耐溶剤性及び耐湿性を備える。この接着剤は、一液型接着剤又は二液型接着剤として市販されており、ペースト、溶媒溶液及び支持体付きフィルムのような様々な態様で入手可能である。これら三態様のなかでも、一液型接着剤フィルムは、一般的に均一な厚さを有し、良好な接着強度を備えているため、電子装置、特にフラットパネルディスプレイ用異方性伝導フィルムの開発において実用的である。
【0003】
一液型接着剤フィルムを構成するには、潜在性硬化剤、多官能エポキシ樹脂、フェノール樹脂、接着剤及び任意的なフィラーの全てを一旦混ぜ合わせる。次いで、この組成物を剥離層上にフィルム状に積層させる。結合工程において、接着剤を特定表面上に転写し、剥離層を取り除く。他の表面を接着剤と接触させ、熱及び/又は圧力の印加により接着剤を強力な熱硬化性接着剤に硬化される。この例においては、材料を熱硬化性接着剤に硬化する接着剤の二つの構成要素は、硬化剤及び多官能エポキシである。後者は架橋ネットワークを形成するものであり、前者はこれを生じさせるものである。硬化工程において、潜在性硬化剤は、まずエポキシ樹脂のオキシランとともに開環付加物を形成することにより多官能エポキシの重合を開始する。重合されると、付加物が接着剤を伝って開環種のカスケードを生じさせ、最終的に架橋熱硬化性材料が作製される。
【0004】
硬化剤の主成分は、通常イミダゾールのようなアミン化合物とエポキシ樹脂との反応生成物からなる。このような付加物は、エポキシ樹脂の硬化を開始及び促進することが知られている(例えば、非特許文献1〜3参照。)。これらは、一液型接着剤に直接用いられない硬化剤と同程度に有効であるが、一旦添加すると、比較的短時間で硬化し始めるという1つの欠点がある。したがって、硬化剤がエポキシ部分の開環重合を促進し続けるため、接着剤及びそのフィルムの作製工程において、組成の粘性がゆっくり上昇するように見えるであろう。この現象は、一般に、早すぎる硬化のため、使用可能な寿命の現象、言い換えると、接着剤の作製及びフィルムの製造し得る時間が劇的に減少することを意味する。したがって、この現象を止めるためには、通常、アミン−エポキシ付加物を硬化剤として用いなければよいが、これに替えて、典型的に、接着剤周囲からアミン−エポキシ付加物を隔離する保護シェル材料でアミン−エポキシ付加物をカプセル化又は包囲することもできる。アミン−エポキシ付加物は、一度接着剤に含有されても、熱及び/又は圧力の印加により保護シェルから放出される。ここに記載されたこのような潜在性硬化剤は、通常コア−シェル潜在性硬化剤と呼ばれ、この場合のコアはアミン−エポキシ付加物であり、シェルは保護シェルである。
【0005】
コア材料を接着剤周囲又はマトリクスに放出させるためには破壊し又は透過自在とする必要がある保護シェルの包含物のため、硬化速度を低減させ及び硬化温度を上昇させるといったコア−シェル潜在性硬化剤に対する重要な妥協点がある。シェルの厚さ、架橋密度、シェルのガラス転位温度の上昇、又は、シェルとコア材料又は接着剤マトリクスとの間の不相溶度の上昇のような方法によってシェル材料のバリアー特性が向上することから、これらの方法によって接着剤周囲にアミン−エポキシ付加物を放出するためのエネルギーが大きくなることは、特別な理論を用いることなくよく知られている。したがって、硬化剤が一液型接着剤に処方される場合、硬化温度の低下及び硬化速度の減少を犠牲にして、貯蔵寿命安定性の向上という所望の特性が得られる。したがって、コア−シェル潜在性硬化剤は、保護シェルが通常の貯蔵環境においてコア材料を保護し得る程十分であるが、接着剤の硬化速度を低下させる程多くはないといった一定のバランスを維持しつつ調製される。コア材料の放出は、合理的な低温で開始され、狭い温度範囲内で完了されてもよい。
【0006】
頻繁に用いられるコア−シェル潜在性硬化剤は、特許文献1〜10に記載されているコア−シェル材料を含む。ここに記載された硬化剤は、まず一塊のコア材料を合成し、次いで不定形のマイクロサイズの粒子に粉砕することにより得られる。コア材料は、アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物であり、接着剤及び塗膜中で見られるようなエポキシ組成物用硬化剤として機能する。溶媒、希釈剤低分子量エポキサイド及び添加剤のようなエポキシ組成物の構成成分に対して不浸透性である材料のシェルでコア材料をカプセル化することにより、コア材料の貯蔵安定性が改善され、早すぎる硬化が防止される。多官能イソシアネート、活性水素化合物、水及びエポキシ樹脂の混合物に粉砕物を添加することにより、これが達成される。カプセル化工程の化学的性質は、粒子周囲の架橋シェル塗膜を形成するポリイソシアネート化合物の架橋反応及び/又は加水分解に依存する。シェルの典型的な架橋構造は、ウレア、ウレタン、カルバメート、ビューレット、アロファネート等を含むが、これらに限定されるものではない。しかしながら、架橋反応は、連続相及び界面の区別なく無作為に生じる。コア粒子が十分にカプセル化されず、架橋ポリウレア粒子のような不要な副産物が連続相中に生成されるおそれが高い。さらに、この工程で調製されたコア粒子は、形状及び粒径の非常に広い分布を示す不規則な形状であり、その上に形成されるシェルの厚さ及び架橋密度の均一性が非常に劣っている。その結果、カプセル化硬化剤粒子は、典型的に放出特性の非常に広い分布を示し、このタイプの硬化剤カプセルで処方された一液型接着剤は、短い貯蔵寿命及び緩やかな硬化プロファイル又は高硬化温度を示す。
【0007】
球形である上記の発明とは異なる他のグループの発明、すなわち、特許文献11〜19に記載されたコア−シェル潜在性硬化剤がある。コア材料は、球状粒子として得られ、分散剤の存在下有機媒体中のアミンと活性水素原子(例えば、イミダゾール)及びエポキシ樹脂との反応から合成される。アミン、エポキシ樹脂及び分散剤は有機媒体に可溶であるが、反応生成物であるコア材料は不要であり、その結果、コア粒子は、比較的狭いサイズ分布で安定な分散性を示しながら溶液中に沈殿する。狭いサイズ分布で所望の粒子サイズの安定的な分布を得るための最も重要な要因は、分散剤の性質であり、発明者らは、ポリアクリレート類、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアセテート類、ポリエチレンオキサイド類、ポリスチレン類及びポリビニルクロライド類のグラフトのクラスから分散剤を使用する例示を示している。単離された球状コア材料は、球状コア−シェル潜在性硬化剤を調製するために、イソシアネートでカプセル化される。
【0008】
シェル材料は、穴、隙間、薄肉領域又は架橋密度の不十分な領域のような欠陥を有すべきではない。これらの欠陥によると、最終製品の製造又は貯蔵のいずれかの間に早まってコア材料が保護シェルから漏れ出るであろう。カプセル化潜在性硬化剤からのコアの早すぎる放出は、(一液型エポキシ接着剤の場合)貯蔵安定性及び貯蔵寿命の低下として現れる。しかしながら、この欠陥は、シェル材料の付加的及び連続的な層を予め設けれたシェル上に塗工し、欠陥を付加層のシェル材料で満たすことにより解消される。
【0009】
従来技術の他の限定は、保護シェルの不浸透性の向上を試みるものであり、そのバリア特性、取り囲むエポキシ組成物に対するシェルの相溶性の改善を軽視している。従来技術はイソシアネートと、必要に応じて水及び付加的なエポキシとの存在下におけるカプセル化を開示している。架橋ポリウレタン及び必要に応じてポリウレアを含むシェルも記載されている。エポキシを取り囲む現在のシェルは、エポキシ接着剤を形成すると、堅く高架橋なことから、性能が低い。この一例は、エポキシが十分に濡れず、シェル材料の表面上に拡げられる、ディウェッティング現象を示す、シェル表面とエポキシとの間の表面張力のミスマッチであろう。その結果、硬化後の接着剤には、接着強度の低下を引き起こすような隙間や不均一な硬化領域が含まれるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4833226号
【特許文献2】米国特許第5219956号
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0128835号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0010636号
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0055039号
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0244268号
【特許文献7】欧州特許出願公開第1557438号
【特許文献8】欧州特許出願公開第1731545号
【特許文献9】欧州特許出願公開第1852452号
【特許文献10】欧州特許出願公開第1980580号
【特許文献11】欧州特許出願公開第459745号
【特許文献12】欧州特許出願公開第552976号
【特許文献13】米国特許第5357008号
【特許文献14】米国特許第5480957号
【特許文献15】米国特許第5548058号
【特許文献16】米国特許第5554714号
【特許文献17】米国特許第5561204号
【特許文献18】米国特許第5567792号
【特許文献19】米国特許第5591814号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Heise, M.S.; Martin, G.C. Macromolecules, 1989, 22 99-104
【非特許文献2】Heise, M.S.; Martin, G.C. J. Poly. Sci.: Part C: Polym. Lett. 1988, 26, 153-157
【非特許文献3】Barton, J.M; Shepherd, P.M.; Die Makromolekular Chemie 1975 176, 919-930
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
コア−シェル潜在性硬化剤に対して、永久的な硬化を防ぐためのバリア特性の向上がなお求められている。また、カプセル化潜在性硬化剤に対して、エポキシ相溶性の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂用の潜在性硬化剤又は触媒に関するものであり、特に、シェル材料でカプセル化又は塗工されたコア材料を含む潜在性硬化剤又は触媒に関するものである。エポキシ樹脂用硬化剤であるこのコア材料は、アミン(例えば、イミダゾール類、ピレラジン類、1級脂肪族アミン類及び2級脂肪族アミン類)とエポキシ樹脂との反応生成物をさらに含む。一実施形態においては、コア材料は、カルボキシル末端ポリ(ブタジエン−コ−アクリロニトリル)(CTBN)とエポキシ樹脂との反応生成物である分散剤の存在下有機媒体中で合成される。一実施形態においては、CTBNとエポキシ樹脂との反応生成物は、サイズ分布が狭い球形コア粒子の安定分散をもたらす。他の実施形態においては、僅かに過剰なエポキシを用いることにより100%近い変換が得られる。他の実施形態においては、球形コア粒子は、多官能イソシアネート又はチオイソシアネートとの反応によりカプセル化される。必要に応じて、カプセル化シェルの厚さを増大させるために、イソシアネートと同時にエポキシ樹脂を添加する。さらなる他の実施形態においては、コア材料は、一旦形成されると、多官能イソシアネート、イソシアネートと多官能エポキシ樹脂との混合物、イソシアネートとCTBN又はポリアクリレート変性エポキシのようなエポキシ相溶材料との混合物、又は、イソシアネートと多官能エポキシとエポキシ相溶材料との混合物を用いて段階的に塗布された2種類以上のシェル材料で十分にカプセル化される。粒子を用いて調製された硬化組成物は、優れた貯蔵安定性を有し、硬化特性が改善される。
【0014】
本発明の一態様は、潜在性硬化剤又は触媒のバリア特性及び溶剤耐性に対する改善に関するものである。
【0015】
本発明の他の態様は、潜在性硬化剤又は触媒のバリア特性及び溶剤耐性の改善に関するものである。
【0016】
本発明の他の態様は、エポキシ樹脂又は組成物と潜在性硬化剤又は触媒との相溶性の改善に関するものである。
【0017】
本発明の他の態様は、球形であり、十分カプセル化された潜在性硬化剤又は触媒に関するものである。
【0018】
本発明の他の態様は、所望の温度、圧力又はこれらの組み合わせでコア材料を放出する潜在性硬化剤又は触媒に関するものである。
【0019】
本発明の他の態様は、潜在性コア−シェル潜在性硬化剤又は触媒に関するものであり、上記硬化剤又は触媒は、球状粒子の安定的な分散体からなる。
【0020】
本発明の他の態様は、分散剤を用いた球状粒子の製造方法であり、上記分散剤がカルボキシル基末端ブタジエン−アクリロニトリルゴム(CTBN)とエポキシ樹脂との反応生成物(付加物)である製造方法に関するものである。
【0021】
本発明の他の態様は、アミン化合物、エポキシ樹脂及び分散剤からなる硬化剤であり、上記分散剤がCTBNとエポキシ樹脂との付加物である硬化剤に関するものである。
【0022】
本発明の他の態様は、上記硬化剤の製造方法に関するものである。
【0023】
本発明の他の態様は、上記硬化剤からなるマスターバッチに関するものである。
【0024】
本発明の他の態様は、ここで開示された硬化剤からなる組成物を含有する電子デバイス又はフラットパネルディスプレイに関するものである。例えば、電子デバイス又はフラットパネルディスプレイにドライバ集積回路(IC)を接続するために用いられる通常の方法は、チップオングラス(COG)又はチップオンフィルム(COF)のいずれにも用いられる。COG及びCOFの構成においては、異方性導電フィルム接着剤(ACF)及び非導電フィルム接着剤(NCF)は、典型的には、ドライバ集積回路にCOG又はCOFを取り付けるために用いられ、接着剤が硬化及び構成部材間の永久的な結合を作製するための硬化剤である。したがって、一実施形態においては、ここに記載された硬化剤を含有するエポキシ接着剤を用いて、集積回路チップ又は他の電子部材が取り付けられる。
【0025】
本発明の他の態様は、上記硬化剤を含有する組成物であり、接着剤、導電接着剤、複合体、成形コンパウンド、異方性導電フィルム(ACF)接着剤、非ランダムアレイACF、非導電接着フィルム(NCF)、塗膜、カプセル化物質、アンダーフィル材料、鉛はんだ又は無鉛はんだである組成物に関するものである。
【0026】
本発明の他の態様は、ここに開示された硬化剤からなるエポキシ接着剤組成物を含む回路基板に関するものである。抵抗器、コンデンサ及びICのような電子部材は、慣例上、はんだ付け工程を通して回路基板に組み付けられる。この工程では、高温が要求され、廃棄物が生じる。しかしながら、ACF、NCF又は上記硬化剤を含有する導電接着剤は、高温、廃棄物及び有害な重金属を使用することなく、回路基板上に電子部材を載置する代替の方法を提供する。この適用においては、ACF及びNCFは、電気的接触をもたらし、基板に部材を固定する。
【0027】
本発明の他の態様は、ここに開示された硬化剤を含有するエポキシ接着剤組成物を用いて組み立てられる電子デバイス又はディスプレイに関するものである。
【0028】
本発明の他の態様は、ここに開示された硬化剤を含有する接着剤組成物を含むフリップチップに関するものである。フリップチップは、慣例上、2ステップで基材に載置されるチップである。まず、はんだ又は共晶接合によりチップを基材に結合させる。次いで、典型的には液状のアンダーフィル材料を、チップと基材との間の隙間に充填し、硬化する。はんだ又は共晶接合工程を、上記硬化剤を含有するACF又はNCFに替えることは、第1ステップを達成するための代替えの方法である。接着剤の適用は回路基板に対する利点をもたらすだけでなく、ACF及びNCFがチップと基材との間の隙間を充填するアンダーフィル材料と同様に機能し、従来の2ステップではなく、単一ステップで工程を達成できる。
【0029】
本発明の他の態様は、組成物が、硬化、部分的硬化又は未硬化であり、硬化剤からなる電子デバイス又はディスプレイに関するものである。
【0030】
本発明の他の態様は、ここに開示された硬化剤を含有するエポキシ接着剤が上記のように用いられた、フラットパネルディスプレイ、電子デバイス、回路基板及びフリップチップからなる高精細LED、電子ペーパー(ePaper)、ミニプロジェクター、携帯電話のような半導体デバイスに関するものである。
【0031】
本発明の他の態様は、固定アレイACFであり、この固定アレイACFは、ここに開示された硬化剤を含有するエポキシ接着剤がアレイを構成するために用いられた、Trillionの米国特許出願第2006/0280912A1の記載のような、接着剤フィルム中に金粒子が所定のパターンで分散されたACFである。
【0032】
本発明の他の態様は、本明細書中に引用文献として含まれた2008年1月10日出願の米国特許出願第12/008375に記載されているような、アリルグリシジルカーボネート部分と、ここに開示された硬化剤とを含む保護フェノール化合物を含有する高ガラス転位温度一液型成形コンパウンドである。
【0033】
本発明のさらなる他の態様は、硬化剤がここに開示されたものであり、シート成形コンパウンド(SMC)、バルク成形コンパウンド(BMC)及び粉成形コンパウンド(DMC)のようなプリプレグ複合体及び成形コンパウンドを含む一液型複合体である。
【0034】
本発明のさらなる他の態様は、硬化剤がここに開示されたものであり、はんだマスク及び含浸塗膜を含む接着剤及び塗膜用途である。
【0035】
本発明の他の態様は、Colclaser, Roy A.; “Microelectronics Processing and Device Design”; John Wiley & Sons, Publishers: New York, 1980; Chapter 8, page pp. 163-181に記載されているような半導体用途用の組立及び包装において、ここに開示された硬化剤を含有するエポキシ樹脂を用いる。
【0036】
本発明の他の態様は、組成物が硬化、部分的硬化又は未硬化であり、ここに開示された硬化剤を含む回路基板に関するものである。
【0037】
本発明の他の態様は、ここに記載されたエポキシ接着剤組成物が硬化、部分的硬化又は未硬化であり、硬化剤を含むフリップチップに関するものである。
【0038】
本発明の他の態様は、硬化剤を含有する組成物を含む半導体デバイスに関するものである。本発明の他の態様は、組成物が硬化、部分的硬化又は未硬化であり、硬化剤を含む半導体デバイスに関するものである。
【0039】
本発明の他の態様は、貯蔵環境で実質的に長貯蔵寿命な一液型接着剤組成物であり、硬化温度又は成形温度のいずれかで反応性を有し、ここに開示された硬化剤を含む組成物に関するものである。
【0040】
本発明の他の態様は、硬化剤を含有し、硬化後、界面における接着性、硬化の際の低収縮及び低熱膨張係数(CTE)を示す組成物に関するものである。
【0041】
本発明の他の態様は、複合体材料又は成形コンパウンド用のマトリクスであり、ここに開示された硬化剤を含む組成物に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】2つの保護シェル材料でカプセル化されたコア材料を示す図である。潜在性硬化剤の適合性を改善する場合、保護シェル2の組成物はエポキシ適合材料を含むように選択され、シェル1の組成物はそのバリア特性のみに基づき選択される。
【図2】2−メチルイミダゾール、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)及びCVC熱硬化性材料HyPox(登録商標)RK84から単離されたCTBN−エポキシ付加物を含む球状コア粒子の電子顕微鏡写真である。
【図3】2−メチルイミダゾール、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)及びCVC熱硬化性材料HyPox(登録商標)RK84から単離されたCTBN−エポキシ付加物を含む球状コア粒子の電子顕微鏡写真であり、コア粒子は4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)でカプセル化されている。
【図4】ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)及びCVC熱硬化性材料HyPox(登録商標)RK84から単離されたCTBN−エポキシ付加物を含む単一の球状コア粒子の電子顕微鏡写真である。
【図5】CVC熱硬化性材料HyPox(登録商標)RK84のようなヒドロキシル官能エポキシ樹脂(b)がCTBN(a)とともに合成で用いられたCTBN−エポキシ付加物(e)の化学構造である。残った未反応のエポキシ樹脂(b)は分散剤として用いられる(c)前に取り除かれる。
【図6】CVC熱硬化性材料HyPox(登録商標)RK84のようなビスフェノールAのジグリシジルエーテル(d)がCTBN(a)とともに合成で用いられたCTBN−エポキシ付加物(e)の化学構造である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
一実施形態によれば、硬化剤は、(i)アミン、(ii)エポキシ化合物及び(iii)エラストマー/エポキシ樹脂付加物の付加物である。このエラストマー/エポキシ付加物は、反応媒体中で球状の未カプセル化粒子を分散させる反応性分散体として機能する。
【0044】
本発明の他の態様は、連続相の存在下高温での攪拌によりエポキシ化合物から生じたエポキシ/エラストマー付加物と、アミン化合物とを反応させる行程と、反応混合溶液から形成された微細球状粒子を回収する行程とを備えた硬化剤の微細球状コア粒子の調製方法である。回収された粒子を、必要に応じて、凝集粒子を取り除くために濾過してもよく、小さな周辺粒子を取り除くために、重力分画、濾過、沈降、フィールドフロー分画及びフィールドフロー分級のような方法によって分級してもよい。連続相は、アミン化合物、エポキシ化合物及びエポキシ/エラストマー付加体を溶解し得るが3つの反応基質から形成される付加体を溶解し得ない溶媒、又は、アミン化合物、エポキシ化合物及びエポキシ/エラストマー付加体を溶解し得るが3つの反応基質又は混合物から形成される付加体粒子を溶解し得ない溶媒と、アミン化合物、エポキシ化合物、エポキシ/エラストマー付加体及び3つの反応基質から形成される付加体粒子用の非溶媒との混合物のいずれかを含む有機溶媒又は溶媒混合物である。連続相の選択は、分散安定性、粒子サイズ及び粒子サイズ分布に作用する。
【0045】
本発明の他の実施形態は、主成分として、エポキシ組成物及び硬化剤の球状粒子を含む熱硬化性組成物である。この場合、本発明の硬化剤の球状粒子は、エポキシ組成物中に溶解又は膨張しない。一実施形態においては、粒子は、溶融フロー温度が少なくとも約50℃、粒径が0.1μm〜30μmである。粒子は、エポキシ樹脂100重量部に対して約1〜60重量部接着剤中に含まれる。
【0046】
一実施形態において、本発明は、硬化剤の微細球状粒子が均一に分散された液状エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂用硬化剤マスターバッチも含む。特定の実施形態においては、粒子は、粒子100重量部に対して、多官能イソシアネート1〜100重量部及び必要に応じてエポキシ化合物1〜100重量部で反応される。次いで、粒子は、粒子100重量部に対して、多官能イソシアネート1〜100重量部、必要に応じて多官能エポキシ化合物1〜100重量部及び必要に応じてエポキシ相溶化合物1〜100重量部で連続ステップにより一回以上反応される。
【0047】
本発明は、球状粒子の溶融フロー温度未満の温度で、エポキシ樹脂中に硬化剤の球状粒子を分散させる行程を備えた、エポキシ樹脂用硬化剤マスターバッチの調製方法をさらに含む。
【0048】
硬化剤エポキシ+アミン化合物
本発明においては、硬化剤の調製に用いられるアミン化合物及びエポキシ化合物は、アニオン重合、融点、溶融又は可塑化された粘弾性状態に硬化されるエポキシ樹脂との相溶性、急速な硬化性及び反応性により硬化反応を促進する化学構造に基づいて選択される。溶融フロー温度は、ここでは、従来の方法により測定されるように、基材が溶融流体として流れ始める温度と定義される。本発明の実施形態に有用なアミン及びエポキシ化合物の例としては、引用文献としてここに含まれる特許文献11〜19に開示されている。
【0049】
アミン化合物
いずれのアミン化合物も使用できるが、アミンの選択はエポキシ化合物の性質に基づく。エポキシ化合物と反応し、十分な重合なしに反応が可能なアミンが選択される。単官能エポキシ化合物を反応する場合、実質的にいずれのアミン化合物も使用できるが、多官能エポキシ化合物を反応する場合、エポキシ基の反応に寄与する一つの活性水素、すなわち、第2アミノ基のみを有するアミノ化合物が用いられる。第3アミノ基を有する、すなわち、活性水素を持たない化合物も使用できる。二官能性のビスフェノールAジグリシジルエーテルと組み合わせ可能なアミン化合物の例示としては、2−メチルイミダゾール及び2,4−ジメチルイミダゾールに代表されるイミダゾール類、N−メチルピペラジン及びN−ハイドロキシエチルピペラジンに代表されるピペラジン類、アナバシに代表されるアナバシン類、3,5−ジメチピラゾールに代表されるピラゾール類、テトラメチルクアニジン又はプリンに代表されるプリン類、ピラゾールに代表されるピラゾール類、1,2,3−トリアゾールに代表されるトリアゾール類等が挙げられる。
【0050】
エポキシ化合物
エポキシ化合物の例示としては、n−ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテルのような単官能エポキシ化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ジグリシジルフタレートのような二官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート、トリグリシジルp−アミノフェノールのような三官能エポキシ化合物、テトラグリシジルm−キシレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのような四官能エポキシ化合物、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルのような多くの官能基を有する化合物等が挙げられる。エポキシの選択は、組み合わせるアミン化合物のタイプによっても決定される。エポキシ化合物は、形成される付加体の融点及び硬化されるエポキシ樹脂に対する溶融状態の相溶性に基づいても選択される。硬化されるエポキシ樹脂の大部分はビスフェノールAジグリシジルエーテルを含むため、この化合物は、典型的には、付加体の調製における開始材料として用いられる。一実施形態においては、エポキシ等量が多くとも約1000、好ましくは約500であるエポキシ化合物が典型的に用いられる。
【0051】
溶媒
開始材料であるアミン化合物及びエポキシ化合物を溶解し得るが粒子形状の付加体を溶解することなく沈殿させる溶媒系を選択することも重要である。本発明の実施形態に用いられる溶媒の例示としては、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチルアセテート、メチルアセテート、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、セロソルブ、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、トルエン、p−キシレン、ベンゼン、メチレンクロライド、クロロフォルム、トリクロロエチレン、クロロベンゼン及びピリジンを挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いることができ、又は、2以上の溶媒を用いることができる。
【0052】
非溶媒
また、非溶媒は、分散安定剤のエポキシ官能性及びエポキシ樹脂と反応させるアミン化合物を補助するために添加することができる。この場合の非溶媒は、アミン化合物、分散安定剤又はエポキシ樹脂のいずれも溶解しない溶媒である。非溶媒として用いられる化合物の種類としては、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、iso−オクタン、石油エーテル等のような直鎖又は分枝脂肪族化合物が挙げられる。溶媒と組み合わせる非溶媒の一例としては、ヘプタンとMIBKの混合物が挙げられる。処方及び製法の窓を拡げるために、上記溶媒及び非溶媒に加えて、希釈剤及び弱溶媒も任意的に用いることができる。
【0053】
分散安定剤又は分散剤
分散安定剤又は分散剤は、反応媒体中における付加体粒子の安定的な分散を可能とする。形成された付加体粒子は、このような分散安定剤なしに、反応の間に粘着物として凝集又は沈殿でき、このように、所望の微細球状粒子が得られない。最適な分散剤は、狭い粒子サイズ分布の安定な分散の調製に重要である。一旦粒子相と反応すると、粒子表面からの分散剤の放散又は移動がし難いため、反応性分散剤は、非反応性分散剤よりも効果的である。エラストマー/エポキシ付加体は、本発明における反応性分散剤として用いられる。反応性分散剤の適切な分子量範囲は、約1,000〜300,000、好ましくは約2,000〜100,000、より好ましくは約3,000〜10,000である。
【0054】
反応分散剤であるエポキシ/エラストマー付加体
一般に、エポキシ/エラストマー付加体は、エラストマーに対するエポキシ又は他のポリマーを約1:5〜5:1、好ましくは、エラストマーに対するエポキシを約1:3〜3:1含む。さらに一般的には、付加体は、より高い又はより低い比率とすることができるが、少なくとも約5%、より典型的には少なくとも約12%、さらに典型的には少なくとも約18%エラストマーを含み、典型的には約50%以下、より典型的には約40%以下、さらに典型的には約35%エラストマーを含む。付加体に好適なエラストマーは、主鎖又は側鎖のいずれにおいても官能性を持たせてもよい。好適な官能基は、−COOH、−NH、−NH−、−OH、−SH、−CONH、−CONH−、−NHCONH−、−NCO−、−NCS及びオキサリン又はグリシジル基等を含むが、これらに限定されるものではない。エラストマーは、必要に応じて加硫可能又は後架橋可能としてもよい。エラストマーの例示としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレン−ブタジエン共重合体、ネオプレン、ニトリルゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマー、アクリルエラストマー、アクリロニトリルエラストマー、シリコーンゴム、ポリシロキサン類、ポリエステルゴム、ジイソシアネート架橋凝縮エラストマー、EPDM(エチレン−プロピレンジエンゴム)、クロロ硫酸化ポリエチレン、フッ素化炭化水素類、スチレン及びブタジエン又はイソプレンの(AB)及び(ABA)タイプのブロック共重合体類並びにポリウレタン又はポリエステルの(AB)nタイプの多区分ブロック共重合体類のような熱可塑性エラストマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。カルボキシル末端ブタジエン−アクリロニトリル(CTBN)が官能性エラストマーとして用いられる場合、好適なニトリル含有量は12〜35重量%、より好ましくは20〜33重量%である。
【0055】
好適なエポキサイド官能化エポキシ/エラストマー付加体の例示としては、商品名:HyPox(登録商標)RK84(図5)のようなCTBNエラストマーで修飾されたビスフェノールAエポキシ樹脂、及び、商品名:HyPo(登録商標)RA1340(図6)のようなCTBNエラストマーで修飾されたエポキシフェノールノボラック樹脂がエポキシ樹脂に対する添加剤としてニュージャージー州のムーアーズタウンのCVC Thermoset Specialities社から販売されている。n−ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド及びフェニルグリシジルエーテルのようなエポキシ/エラストマー付加体;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル及びジグリシジルフタレートのような二官能エポキシ化合物;トリグリシジルイソシアネート、トリグリシジルp−アミノフェノールのような3官能エポキシ化合物;テトラグリシジルm−キシレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのような4官能エポキシ化合物;クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルのような多官能基を有する化合物;等を調製するために、他のエポキシ樹脂を、ビスフェノールAエポキシ樹脂に加えて用いることもできる。本発明に好適に用いられる付加的又は選択的エポキシ/エラストマー及び他の付加体の例示としては、ここに引用文献として含まれるCzaplicki及びMichaelの米国特許第6,846,559号及び米国特許出願公開第2004/0204551号に記載されたものが挙げられる。
【0056】
アミノ化合物+分散剤
非限定工程において硬化剤を調製するためには、選択されたアミン化合物及びエポキサイド官能化反応性分散剤は、分散剤が十分に含まれることを確実にするよう反応される。反応性分散剤は、選択された溶媒系に溶解され、約2分〜約3時間、好ましくは約4分〜約2時間、より好ましくは約5分〜約1時間の加熱及び攪拌の組み合わせを用いて、反応される。このように、本発明において用いられる反応温度は、典型的に40℃〜90℃、好ましくは50℃〜80℃であり、開始材料、すなわち、アミン化合物及びエポキサイド官能化反応性分散剤の濃度は、典型的に約2〜40重量%、好ましくは約5〜30重量%である。反応性分散剤の量は、反応性分散剤とアミン化合物との総量に対して約1〜70重量%、好ましくは反応性分散剤とアミン化合物との総量に対して約5〜50重量%、より好ましくは反応性分散剤とアミン化合物との総量に対して約9〜35重量%である。エポキサイド官能化反応性分散剤に、図5及び6に示されたもののようなエラストマーに結合しない未反応エポキシ化合物が含まれる特定の場合には、付加的な精製ステップにおいて、反応性分散剤から未反応エポキシ化合物が取り除かれる。この精製ステップは、エポキシ化合物の添加後に固体材料の凝集及び固まりの形成を避けるために特に重要である(下記参照)。
【0057】
エポキシ相溶材料
エポキシ相溶材料は、エポキシ樹脂に対して相溶性を示す官能基を含むエポキシ官能性材料である。エポキサイド官能化エポキシ/エラストマー付加体の例示としては、商品名:HyPox(登録商標)RK84(図5)及び商品名:HyPo(登録商標)RA1340(図6)がエポキシ樹脂に対する添加剤としてニュージャージー州のムーアーズタウンのCVC Thermoset Specialities社から販売されている。このHyPoエラストマーには、エポキシ相溶モノマーアクリロニトリルが含まれる。他の例示には、アクリロニトリル及びメチルメタクリレートのようなエポキシ相溶コ−モノマーを含むエポキシ官能性ポリアクリレートが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0058】
アミン化合物+エポキサイド官能化反応性分散剤+エポキシ化合物、未カプセル化材料の形成
アミン化合物をエポキサイド官能化分散剤と反応させた後、未カプセル化潜在性硬化剤粒子の形成は、エポキシ化合物の添加により開始される。エポキシ化合物の溶液は、シリンジポンプ又はペリスタル型ポンプ等のようなエポキシ樹脂溶液の一定の連続添加を可能とする装置を用いて、アミン化合物−分散安定化剤溶液の攪拌加熱された溶液に約5分〜6時間、好ましくは約10分〜4時間、より好ましくは約15分〜2時間かけてゆっくり添加される。エポキシ化合物の量は、アミン化合物、反応性分散剤及びエポキシ化合物の総量に対して約10〜90重量%、好ましくはアミン化合物、反応性分散剤及びエポキシ化合物の総量に対して約30〜85重量%、より好ましくはアミン化合物、反応性分散剤及びエポキシ化合物の総量に対して約50〜80重量%である。一実施形態においては、不活性ガス雰囲気下、反応性分散剤及びアミンの溶液を加熱しつつ攪拌し、所定時間後、エポキシ化合物の溶液を所定時間かけて添加する。元の透明な溶液は、エポキシ化合物が反応し始めるにつれ不透明になるであろう。反応系の不透明性は次第に増加し、最終的には特徴的な乳白色の濃密な分散を生じる。
【0059】
反応温度及び開始材料の濃度が高すぎる場合、適量の反応性分散剤存在かであっても凝集が容易に生じる。このように、本発明において用いられる反応温度は、典型的に40℃〜90℃、好ましくは50℃〜80℃であり、開始材料、すなわち、アミン化合物、反応性分散剤及びエポキシ化合物の濃度は、典型的に2〜40重量%、好ましくは5〜30重量%である。一般的に、付加体の粒子サイズは、開始材料の濃度の増加に伴って増大し、反応性分散剤の濃度の増加に伴って減少する。
【0060】
カプセル化
続いて粒子は、一又は複数の連続的な工程によって、当該粒子上に適用されるカプセル化層または保護シェルのそれぞれによって、カプセル化される。本発明では、球状の硬化剤をカプセル化するための数多くの公知の方法が用いられる。一実施形態においては、付加粒子は、カプセル化剤と段階的に反応して2またはそれ以上の保護シェルを形成し、このとき、該カプセル化剤は、多官能性イソシアネート化合物、または、多官能性イソシアネート化合物と多官能性エポキシ化合物の混合物、または、多官能性イソシアネート化合物とエポキシ親和性化合物(例:アクリロニトリル)の混合物、または、多官能性イソシアネート化合物とエポキシ化合物とエポキシ親和性化合物の混合物からなる。好ましい多官能性イソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、水素化メチレンジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水素化キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルエタントリイソシアネート、そのような化合物と他の活性水素含有化合物の付加によって形成された多官能イソシアネート化合物、およびこれらの混合物、の単環および多環種が含まれる。
【0061】
多官能エポキシの代表的な例は、メチレンビスグリシジルアニリン、HELOXY(登録商標)改質剤(Hexion Specialty Chemicals社製)、東亜合成GP−301グラフトポリメチルメタクリレート−g−エポキシ改質アクリレートポリマー、および多官能エポキシ含有アクリロニトリル(エポキシ親和性コモノマー)が挙げられるが、他の多官能エポキシも機能するであろう。
【0062】
未カプセル化粒子をカプセル化させるのに用いられるカプセル化剤の量は、硬化剤マスターバッチ(親練り)の保存安定性および硬化性に影響を及ぼす。付加生成物の同じ粒子同士であれば、より多量のカプセル化剤を使うことで保存安定性は向上するが、硬化性は低下する。このように、約0.1ミクロン〜30ミクロンの直径を有する付加粒子にとっては、カプセル化剤は、コア粒子対カプセル化剤比で約50:50〜95:5(w/w)、好ましくは約60:40〜90:10(w/w)、最も好ましくは70:30〜90:10(w/w)で用いられる。さらに、カプセル化剤がイソシアネート化合物とエポキシ化合物、あるいはイソシアネート化合物とエポキシ親和性化合物の混合物である場合、エポキシ化合物の使用量は、イソシアネート化合物対エポキシ化合物比で約1:99〜99:1(w/w)、好ましくは約60:40〜99:1(w/w)、最も好ましくは80:20〜99:1(w/w)である。また、カプセル化剤がイソシアネート化合物、エポキシ化合物、およびエポキシ親和性化合物の混合物である場合、エポキシ化合物の使用量は、イソシアネート化合物対エポキシ化合物比で約1:99〜99:1(w/w)、好ましくはイソシアネート化合物対(エポキシ化合物+エポキシ親和性化合物)比で約60:40〜99:1(w/w)、最も好ましくはイソシアネート化合物対エポキシ化合物比で80:20〜99:1(w/w)である。このように、保存安定性と硬化性との間の妥協点は、付加粒子の寸法に依存し、同じ放出またはバリア性能を達成するためには、より小さい粒子寸法であるほど、多官能イソシアネート等のシェル形成材料の増量を要求する。
【0063】
一実施形態では、粒子形成反応が完了したら、未カプセル化粒子は、濾過および速やかな溶媒洗浄により、反応媒体から単離される。
【0064】
マスターバッチ(親練り)
一般的にマスターバッチを形成するには、カプセル化された粒子をエポキシ樹脂中に均一に分散させるが、その粒子比は、粒子とエポキシ樹脂の合計量に対し約5〜90%(w/w)、好ましくは粒子と液体エポキシ樹脂の合計量に対し約15〜80%(w/w)、最も好ましくは粒子と液体エポキシ樹脂の合計量に対し約20〜70%(w/w)とする。
【0065】
一実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ノボラックエポキシ等のうち1または複数とすることができる。
【0066】
一実施形態では、二次粒子の形成を抑制するため、カプセル化された粒子は、例えば3ロールミルによって混合することで、エポキシ樹脂中に一次粒子として機械的に分散させられる。
【0067】
他の実施形態では、カプセル化工程が完了した後、加熱および攪拌が停止され、エポキシ樹脂が分散液として添加される。エポキシ樹脂が分散液中に十分に均一に分布するように、混合物は再び攪拌される。その後、全固形分量が約60〜100%(w/w)、好ましくは約70〜100%(w/w)、最も好ましくは80〜100%(w/w)となるように、真空蒸留等の手段により溶媒が除去される。その後、粒子は、例えば3ロールミル等の当業者にとって公知の手段により、エポキシ中にさらに分散させられる。
【0068】
さらに他の実施形態では、反応が完了したら、全固形分量が100%(w/w)となるように真空蒸留で溶媒が除去される。その後、固体の粒子は、エポキシ樹脂中に加えられ、例えば3ロールミル等の当業者にとって公知の手段により、粒子はエポキシ樹脂中にさらに分散させられる。
【0069】
さらに他の実施形態では、反応が完了したら、粒子の分散液を濾過することによって粒子が単離される。粒子の表面に付着した未反応の開始原料は、新鮮な溶媒によって洗浄される。その後、エポキシ樹脂が固体粒子に添加され、混合物は、例えば3ロールミル等の当業者にとって公知の手段により、さらに分散させられる。
【0070】
ここに開示された接着剤組成物は、導電性接着剤、混合物、成型材料、異方性導電性フィルム(ACF)接着剤、非ランダム配列ACF、非導電性接着フィルム(NCF)、塗料、カプセル材料、アンダーフィル材料、無鉛ハンダ等を含む数多くの応用において有用であると考えられる。
【0071】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、本発明は、下記に示す例によって具体的に示されるが、これらのみには限定されない。
【実施例】
【0072】
未カプセル化コア粒子の形成の例
[実施例1](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(1))
市販材料のHyPox RK84(CVC Thermoset Specialties社製の、ビスフェノールAエポキシ樹脂とそのCTBN付加物(図5参照)との混合物)を分散安定化剤として使用した。PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、CTBNエポキシ付加物0.93g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)48gを投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。1時間後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)3.39g(0.019当量)およびMIBK3.4gの溶液を20分間掛けて滴下して添加した後、300rpmで攪拌しながらアルゴン雰囲気下で6時間反応を行った。白色乳液状分散液が形成された。分散液を反応器から取り出し、遠心分離機にかけ、MIBKで洗浄した後揮発させて、乾燥重量3.6g(収率60.4%)の生成物を得た。分散液の小さい液滴を希釈し、ガラススライドに塗布し、真空下、室温で乾燥した。乾燥されたサンプルに金の薄層をスパッタリングし、日立S−2460N走査電子顕微鏡を使用して走査電子顕微鏡写真を得た。
【0073】
[実施例2](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(2))
CVC Thermoset Specialties社製のHyPox(登録商標)RK84から単離されたCTBNエポキシ付加物を分散安定化剤として使用した。付加物は、材料をメチルエチルケトンに溶解させ、メタノールで沈殿させ、この工程を2回以上繰り返すことで得られた。未カプセル化コア粒子2は、CTBNエポキシ付加物0.51g、2−メチルイミダゾール1.63g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.51g(0.02当量)およびMIBK51gを使用して実施例1の方法で合成し、4.4g(収率78%)の粒子を得た。
【0074】
[実施例3](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RA1340からの未カプセル化コア粒子の合成(3))
市販材料のHyPox RA1340(CVC Thermoset Specialties社製の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとそのCTBN付加物(図6参照)との混合物)を分散安定化剤として使用した。マイクロカプセルコア3は、上述のCTBNエポキシ付加物1.15g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を2.87g(0.0164当量)およびMIBK51gを使用して実施例1の方法で合成し、1.2g(収率21.2%)の粒子を得た。
【0075】
[実施例4](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK1340からの未カプセル化コア粒子の合成(4))
CVC Thermoset Specialties社製のHyPox(登録商標)RK1340から単離されたCTBNエポキシ付加物を分散安定化剤として使用した。付加物は、まず材料をメチルエチルケトンに溶解させ、メタノールで沈殿させ、この工程を2回以上繰り返すことで得られた。未カプセル化コア粒子4は、CTBNエポキシ付加物0.53g、2−メチルイミダゾール1.65g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)およびMIBK51gを使用して実施例1の方法で合成し、2.6g(収率45.9%)の粒子を得た。
【0076】
[実施例5](2−エチル−4−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(5))
未カプセル化コア粒子5は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.57g、2−エチル−4−メチルイミダゾール2.20g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)およびMIBK63gを使用して実施例1の方法で合成し、0.7g(収率11.2%)の粒子を得た。
【0077】
[実施例6](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK1340からの未カプセル化コア粒子の合成(6))
未カプセル化コア粒子6は、実施例4のCTBNエポキシ付加物0.26g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)およびMIBK50gを使用して実施例1の方法で合成し、1.6g(収率26.9%)の粒子を得た。
【0078】
[実施例7](2−エチル−4−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(7))
未カプセル化コア粒子7は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.57g、2−エチル−4−メチルイミダゾール2.20g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)およびMIBK56gを使用して、実施例1の方法において300rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で16.5時間行って合成し、2.5g(収率40%)の粒子を得た。
【0079】
[実施例8](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(8))
マイクロカプセルコア8は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)およびMIBK51gを使用して実施例1の方法で合成した。反応は、300rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で16時間行って合成し、4.0g(収率71%)の粒子を得た。
【0080】
[実施例9](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(9))
未カプセル化コア粒子9は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)およびMIBK52gを使用して実施例1の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成し、4.18g(収率74%)の粒子を得た。
【0081】
[実施例10](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(10))
未カプセル化コア粒子10は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)37.3gを使用して合成した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。1時間後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)3.5g(0.02当量)の溶液およびMIBK3.5gを15分間掛けて滴下して添加した後、1000rpmで攪拌しながらアルゴン雰囲気下で1時間反応を行った。この後、ヘプタン10gを1時間掛けて滴下して添加した。反応は1000rpmでさらに4時間行った。白色乳液状分散液が形成された。分散液を反応器から取り出し、遠心分離機にかけ、MIBKで洗浄した後揮発させて、乾燥重量2.1g(収率37%)の生成物を得た。
【0082】
[実施例11](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(11))
未カプセル化コア粒子11は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)37.3gを使用して合成した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。1時間後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)3.5g(0.02当量)およびMIBK3.5gの溶液を15分間掛けて滴下して添加した後、1000rpmで攪拌しながらアルゴン雰囲気下で1時間反応を行った。この後、ヘプタン3gを1時間掛けて滴下して添加した。反応は1000rpmでさらに4時間行った。白色乳液状分散液が形成された。分散液を反応器から取り出し、遠心分離機にかけ、MIBKで洗浄した後揮発させて、乾燥重量3.0g(収率53%)の生成物を得た。
【0083】
[実施例12](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(12))
未カプセル化コア粒子12は、実施例2のCTBNエポキシ付加物1.05g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)3.5g(0.02当量)、およびMIBK51gを使用して実施例1の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成し、4.4g(収率71%)の粒子を得た。
【0084】
[実施例13](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(13))
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、ヘプタン5.1g、および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)42.3gを投入した。反応フラスコを80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。1時間後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)3.5g(0.02当量)およびMIBK3.6gの溶液を15分間掛けて滴下して添加した後、1000rpmで攪拌しながらアルゴン雰囲気下で6時間反応を行った。白色乳液状分散液が形成された。分散液を反応器から取り出し、遠心分離機にかけ、MIBKで洗浄した後揮発させて、乾燥重量3.4g(収率60%)の生成物を得た。
【0085】
[実施例14](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよび「精製した」HyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(14))
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、ヘプタン5.1g、および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)46.8gを投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行い、300rpmで1時間攪拌を行った。DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)3.5g(0.02当量)およびMIBK3.5gの溶液を15分間掛けて滴下して添加した後、300rpmで1時間攪拌し、その後1000rpmさらに5時間で攪拌しながら反応を行った。白色乳液状分散液が形成された。分散液を反応器から取り出し、遠心分離機にかけ、MIBKで洗浄した後揮発させて、乾燥重量3.2g(収率57%)の生成物を得た。
【0086】
[実施例15](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(15))
未カプセル化コア粒子15は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.51g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)、ヘプタン15.3g、およびMIBK34gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成し、4.5g(収率80%)の粒子を得た。
【0087】
[実施例16](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(16))
未カプセル化コア粒子16は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)、ヘプタン2.6g、およびMIBK49gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成し、2.4g(収率42.4%)の粒子を得た。
【0088】
[実施例17](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(17))
未カプセル化コア粒子17は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)、ヘプタン10.2g、およびMIBK41gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成し、3.9g(収率69%)の粒子を得た。
【0089】
[実施例18](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよび「精製した」HyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(18))
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)47.3gを投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。300rpmで1時間攪拌を行った後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)3.5g(0.02当量)およびMIBK3.5gの溶液を15分間掛けて滴下して添加した後、300rpmで1時間攪拌し、その後1000rpmさらに5時間で攪拌しながら反応を行った。白色乳液状分散液が形成された。分散液を反応器から取り出し、遠心分離機にかけ、MIBKで洗浄した後揮発させて、乾燥重量4.53g(収率80%)の生成物を得た。
【0090】
[実施例19](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(19))
未カプセル化コア粒子19は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.51g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)、およびMIBK51gを使用して実施例13の方法で合成し、反応は、1500rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成し、4.05g(収率71.5%)の粒子を得た。
【0091】
[実施例20](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(20))
未カプセル化コア粒子20は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)、ヘプタン7.6g、およびMIBK43gを使用して実施例13の方法で合成し、反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成し、4.05g(収率71.5%)の粒子を得た。
【0092】
[実施例21](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(21))
未カプセル化コア粒子21は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.51g、2−メチルイミダゾール1.65g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.5g(0.02当量)、ヘプタン7.6g、およびMIBK43gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で16時間行って合成し、3.6g(収率64%)の粒子を得た。
【0093】
[実施例22](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(22))
未カプセル化コア粒子22は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.51g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.85g(0.022当量)、ヘプタン7.6g、およびMIBK43gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成し、4.95g(収率82.3%)の粒子を得た。分散液の小さい液滴をMIBKで希釈し、ガラススライドに塗布し、真空下、室温で乾燥した。乾燥されたサンプルに金の薄層をスパッタリングし、日立S−2460N走査電子顕微鏡を使用して走査電子顕微鏡写真を得た(図1および2参照)。
【0094】
[実施例23](2−メチルイミダゾール、DGEBAおよびHyPox(登録商標)RK84からの未カプセル化コア粒子の合成(23))
未カプセル化コア粒子23は、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.51g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.85g(0.022当量)、ヘプタン7.6g、およびMIBK42gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で16時間行って合成し、4.49g(収率74.7%)の粒子を得た。
【0095】
未カプセル化コア粒子のカプセル化の例
[実施例24](2−メチルイミダゾール、DGEBA、HyPox(登録商標)RK84およびMDIからのカプセル化粒子(24))
マイクロカプセルコアは、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.85g(0.022当量)、ヘプタン7.6g、およびMIBK42gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成した。分散液の小さい液滴を取り出し、MIBKで希釈し、ガラススライドに塗布し、真空下、室温で乾燥した。乾燥されたサンプルに金の薄層をスパッタリングし、日立S−2460N走査電子顕微鏡を使用して走査電子顕微鏡写真を得た。一般にMDIと呼ばれる4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)1.56g(0.0125当量)とMIBK14.1gの溶液を加えることでカプセル化を開始した。添加は110分間掛けて滴下して行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で15時間行って反応を行った。分散液の小さい液滴を乾燥したそのFT−IRスペクトルは、イソシアネート部分の完全な変換を示した。全てのイソシアネートが消費されたことを確認した後、分散液の小さい液滴を取り出し、MIBKで希釈し、ガラススライドに塗布し、真空下、室温で乾燥した。乾燥されたサンプルに金の薄層をスパッタリングし、日立S−2460N走査電子顕微鏡を使用して走査電子顕微鏡写真を得た(図3および4参照)。
【0096】
[実施例25](2−メチルイミダゾール、DGEBA、HyPox(登録商標)RK84、MDIおよび4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)からのマイクロカプセルの合成(25))
マイクロカプセルコアは、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.51g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.85g(0.022当量)、ヘプタン7.6g、およびMIBK42gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成した。MDI1.4g(0.0112当量)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)0.16g(0.00038当量)とMIBK14.1gの溶液を加えることでカプセル化を開始した。添加は110分間掛けて滴下して行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で15時間行って反応を行った。分散液の小さい液滴を乾燥したそのFT−IRスペクトルは、イソシアネート部分の完全な変換を示した。
【0097】
[実施例26](2−メチルイミダゾール、DGEBA、HyPox(登録商標)RK84およびMDIからのマイクロカプセルの合成(26))
マイクロカプセルコアは、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.86g(0.022当量)、ヘプタン7.6g、およびMIBK42gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成した。MDI1.57g(0.0125当量)とMIBK14.1gの溶液を加えることでカプセル化を実施した。添加は90分間掛けて滴下して行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で15時間行って反応を行った。分散液の小さい液滴を乾燥したそのFT−IRスペクトルは、イソシアネート部分の完全な変換を示した。
【0098】
[実施例27](2−メチルイミダゾール、DGEBA、HyPox(登録商標)RK84、MDIおよび4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)からのマイクロカプセルの合成(27))
マイクロカプセルコアは、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.52g、2−メチルイミダゾール1.64g(0.02モル)、DER(登録商標)332を3.85g(0.022当量)、ヘプタン7.6g、およびMIBK43gを使用して実施例13の方法で合成した。反応は、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で6時間行って合成した。MDI(Sigma Aldrich社製)2.8g(0.0223当量)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)0.35g(0.0033当量)とMIBK14.1gの溶液を加えることでカプセル化を開始した。添加は240分間掛けて滴下して行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で15時間行って反応を行った。
【0099】
[実施例28](2−メチルイミダゾール、DGEBA、HyPox(登録商標)RK84、MDIおよび4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)からのマイクロカプセルの合成(28))
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物1.03g、2−メチルイミダゾール3.28g(0.04モル)、ヘプタン15.2gおよび4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)76gを投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。1時間後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)7.7g(0.044当量)およびMIBK7.7gの溶液を40分間掛けて滴下して添加した後、1000rpmでアルゴン雰囲気下で6時間攪拌しながら反応を行った。白色乳液状分散液が形成された。分散液の小さい液滴を希釈し、ガラススライドに塗布し、真空オーブンで室温で乾燥した。乾燥されたサンプルに金の薄層をスパッタリングし、走査電子顕微鏡写真を得た。MDI2.8g(0.0223当量)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)0.32g(0.003当量)とMIBK28.2gの溶液を加えることでカプセル化を開始した。添加は240分間掛けて滴下して行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で12.5時間行って反応を行った。
【0100】
[実施例29](2−メチルイミダゾール、DGEBA、HyPox(登録商標)RK84、Desmodur(登録商標)および4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)からのマイクロカプセルの合成(29))
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物2.09g、2−メチルイミダゾール6.56g(0.08モル)、および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)183gを投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。1時間後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA))15.4g(0.088当量)およびMIBK18.7gの溶液を1時間掛けて滴下して添加した後、1000rpmでアルゴン雰囲気下で6時間攪拌しながら反応を行った。白色乳液状分散液が形成された。粒子を重力で沈降させ、デカンテーションで上澄み液を除去した。粒子は再びMIBKに分散させた。この未処理の分散液は、小寸法の空孔を有する膜フィルターで濾過した。粒子は再びMIBKに分散させ、続いて30μmの空孔を有するフィルターで濾過して大粒径の粒子および凝集体を除去した。得られた分散液の数滴を乾燥させ、金をスパッタリングし、SEMに供した。その顕微鏡写真によれば、粒子はカプセル化ステップに用いるに十分な品質であることが示されていた。分散液の固形分量を測定すると、9.84%(w/w)であった。分散液の総収量は84.4gであった。
【0101】
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.83g、MIBK10.3gおよび精製した上記分散液を投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。これに、ヘプタン17gを1時間掛けて滴下した。Desmodur(登録商標)W(Bayer MaterialScience社製、液体脂環式ジイソシアネート)1.9g(0.0145当量)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)0.19g(0.002当量)とMIBK18.9gの溶液を加えることでカプセル化を開始した。添加は4時間掛けて滴下して行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で12.5時間行って反応を行った。
【0102】
[実施例30](予測的)(2種のシェル材料からなるマイクロカプセルの合成)
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物2.09g、2−メチルイミダゾール6.56g(0.08モル)、および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)183gを投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。1時間後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)15.4g(0.088当量)およびMIBK18.7gの溶液を1時間掛けて滴下して添加した後、1000rpmでアルゴン雰囲気下で6時間攪拌しながら反応を行った。白色乳液状分散液が形成された。粒子を重力で沈降させ、デカンテーションで上澄み液を除去した。粒子は再びMIBKに分散させた。この未処理の分散液は、小寸法の空孔を有する膜フィルターで濾過した。粒子は再びMIBKに分散させ、続いて30μmの空孔を有するフィルターで濾過して大粒径の粒子および凝集体を除去した。
【0103】
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.83g、MIBK10.3gおよび精製した上記分散液を投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。これに、ヘプタン17gを1時間掛けて滴下した。Desmodur(登録商標)W(Bayer MaterialScience社製)1.9g(0.0145当量)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)0.19g(0.002当量)とMIBK18.9gの溶液を加えることで第1シェル層でのカプセル化を開始した。添加は4時間掛けて滴下して行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で12.5時間行って反応を行った。
【0104】
Desmodur(登録商標)W(Bayer MaterialScience社製)1.9g(0.0145当量)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)0.19g(0.002当量)とMIBK18.9gの溶液を4時間掛けて滴下して加えることで第2シェル層の形成を行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で12.5時間行って反応を行った。
【0105】
[実施例31](予測的)(2種のシェル材料からなり、最外シェル材料がエポキシ親和性材料からなるマイクロカプセルの合成)
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物2.09g、2−メチルイミダゾール6.56g(0.08モル)、および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)183gを投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。1時間後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)15.4g(0.088当量)およびMIBK18.7gの溶液を1時間掛けて滴下して添加した後、1000rpmでアルゴン雰囲気下で6時間攪拌しながら反応を行った。白色乳液状分散液が形成された。粒子を重力で沈降させ、デカンテーションで上澄み液を除去した。粒子は再びMIBKに分散させた。この未処理の分散液は、小寸法の空孔を有する膜フィルターで濾過した。粒子は再びMIBKに分散させ、続いて30μmの空孔を有するフィルターで濾過して大粒径の粒子および凝集体を除去した。
【0106】
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.83g、MIBK10.3gおよび精製した上記分散液を投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。これに、ヘプタン17gを1時間掛けて滴下した。Desmodur(登録商標)W(Bayer MaterialScience社製)1.9g(0.0145当量)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)0.19g(0.002当量)とMIBK18.9gの溶液を加えることで第1シェル層カプセル化を開始した。添加は4時間掛けて滴下して行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で12.5時間行って反応を行った。
【0107】
Desmodur(登録商標)W(Bayer MaterialScience社製)1.9g(0.0145当量)、CVC熱硬化材料Hypox(登録商標)RA1340を1.9gとMIBK18.9gの溶液を4時間掛けて滴下して加えることで第2シェル層の形成を行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で12.5時間行って反応を行った。
【0108】
[実施例32](予測的)(2種のシェル材料からなり、最外シェル材料がエポキシ親和性材料からなるマイクロカプセルの合成)
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物2.09g、2−メチルイミダゾール6.56g(0.08モル)、および4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)183gを投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。1時間後、DER(登録商標)332(ダウケミカル社製)15.4g(0.088当量)およびMIBK18.7gの溶液を1時間掛けて滴下して添加した後、1000rpmでアルゴン雰囲気下で6時間攪拌しながら反応を行った。白色乳液状分散液が形成された。粒子を重力で沈降させ、デカンテーションで上澄み液を除去した。粒子は再びMIBKに分散させた。この未処理の分散液は、小寸法の空孔を有する膜フィルターで濾過した。粒子は再びMIBKに分散させ、続いて30μmの空孔を有するフィルターで濾過して大粒径の粒子および凝集体を除去した。
【0109】
PTFEフッ素ポリマーの半月型オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、添加用漏斗およびアルゴンガス注入口を装備した三口丸底フラスコに、実施例2のCTBNエポキシ付加物0.83g、MIBK10.3gおよび精製した上記分散液を投入した。反応器を80℃の浴に載置し、アルゴン脱気を行った。これに、ヘプタン17gを1時間掛けて滴下した。Desmodur(登録商標)W(Bayer MaterialScience社製)1.9g(0.0145当量)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)0.19g(0.002当量)とMIBK18.9gの溶液を加えることでカプセル化を開始した。添加は4時間掛けて滴下して行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で12.5時間行って反応を行った。
【0110】
Desmodur(登録商標)W(Bayer MaterialScience社製)1.9g(0.0145当量)、東亜合成GP−301グラフトポリアクリレート1.9g(0.002当量)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)0.19g(0.002当量)とMIBK18.9gの溶液を4時間掛けて滴下して加えることで第2シェル層の形成を行った。その後、1000rpmの攪拌をアルゴン雰囲気下で12.5時間行って反応を行った。
【0111】
マスターバッチ調製の例
[実施例33](実施例24の粒子からのマスターバッチ調製)
実施例24の粒子の分散液を真空下50℃で蒸発させて黄色固体を得、乳鉢および乳棒で擂り潰し、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに、粒子対エポキシ樹脂比35:65(w/w)で添加した。混合物は3ロールミルを使用して20分間分散させられ、クリーム状黄色分散液を得た。
【0112】
[実施例34](実施例28の粒子からのマスターバッチ調製)
室温にて、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル10gを、粒子の分散液を含む実施例28の反応混合物に加え、3時間攪拌した。真空下31℃にて溶媒を除去し、固形分量86%(w/w)とした。これより12.86gを取り出し、追加のビスフェノールAのジグリシジルエーテル7.90gと共に混合した。その後混合物は、3ロールミルを使用してさらに3分間処理され、クリーム状黄色分散液を得た。
【0113】
性能試験結果
耐溶剤性試験のため、粒子、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびMIBKを4:50:46(w/w)の比で調製した。混合物は40℃の油浴に載置され、粘性の変化を視覚的に観察した。結果を下記表1に示す。上記の混合物のアリコート(試験単位)は、ガラススライドに薄層として塗布され、真空下室温で乾燥した。TA Instruments社製、Q10示差走査熱量計を使用し、30℃〜250℃の温度窓、加熱速度5℃/分、窒素雰囲気下で、DSC量を測定した。結果を下記表1に示す。
【0114】
【表1】

【0115】
以上、具体的な実施形態を参照することにより本発明を詳細に説明したが、当該分野における当業者であれば、以下に挙げる本願クレームの意味するところおよび範囲から逸脱することなく、数多くの変更例や改善例を実施することが可能であることは、自明である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アミン、および
(b)エポキシ樹脂、および
(c)エラストマー−エポキシ付加物
の反応生成物からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤。
【請求項2】
(a)アミン、および
(b)エポキシ樹脂、および
(c)カルボキシル基終端されたブタジエン−アクリロニトリル(CTBN)−エポキシ付加物
の反応生成物からなることを特徴とする請求項1に記載の硬化剤。
【請求項3】
前記CTBNの二トリル含有量が約12〜35重量%であることを特徴とする請求項2に記載の硬化剤。
【請求項4】
前記硬化剤が分散剤のコア相として形成され、前記粒子がポリマーシェル中にカプセル化されていることを特徴とする請求項2に記載の硬化剤。
【請求項5】
前記粒子と、
多官能性イソシアネートと、
を反応させることによって、段階的な方法で2以上のポリマーシェルを形成させることを特徴とする請求項4に記載の硬化剤。
【請求項6】
前記粒子と、
多官能性イソシアネートおよび多官能性エポキシ化合物と、
を反応させることによって、段階的な方法で付加的に2以上のポリマーシェルを形成させることを特徴とする請求項4に記載の硬化剤。
【請求項7】
前記粒子と、
多官能性イソシアネートおよび多官能性エポキシ親和性化合物と、
を反応させることによって、段階的な方法で付加的に2以上のポリマーシェルを形成させることを特徴とする請求項4に記載の硬化剤。
【請求項8】
前記粒子と、
多官能性イソシアネート、多官能性エポキシ化合物およびエポキシ親和性化合物と、
を反応させることによって、段階的な方法で付加的に2以上のポリマーシェルを形成させることを特徴とする請求項4に記載の硬化剤。
【請求項9】
エポキシ樹脂および硬化剤からなる組成物であって、
前記硬化剤は、
(a)アミン、および
(b)エポキシ樹脂、および
(c)エラストマー−エポキシ付加物
の反応生成物であることを特徴とする組成物。
【請求項10】
前記硬化剤は、
(a)アミン、および
(b)エポキシ樹脂、および
(c)カルボキシル基終端されたブタジエン−アクリロニトリル(CTBN)−エポキシ付加物
の反応生成物であることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記CTBNの二トリル含有量が約12〜35重量%であることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
エポキシ接着剤によって基板に固定された電子部品であって、
前記エポキシ接着剤は、
(a)アミン、および
(b)エポキシ樹脂、および
(c)エラストマー−エポキシ付加物
の反応生成物からなる硬化剤を含むことを特徴とする電子部品。
【請求項13】
前記電子部品は、回路基板上の部品を形成することを特徴とする請求項12に記載の電子部品。
【請求項14】
前記電子部品は、前記エポキシ接着剤で基板上に搭載されたICチップであることを特徴とする請求項12に記載の電子部品。
【請求項15】
前記電子部品は、前記エポキシ接着剤で基板上に固定された半導体素子であることを特徴とする請求項12に記載の電子部品。
【請求項16】
接着剤フィルムに所定のパターンで分散した金粒子と、エポキシ接着剤からなる前記接着剤フィルムと、硬化剤からなる固定配列ACFであって、
前記硬化剤は、アミン、エポキシ樹脂およびエラストマー−エポキシ付加物の反応生成物であることを特徴とする固定配列ACF。
【請求項17】
前記組成物は、アリルグリシジルカーボネート部分からなる保護フェノール化合物からなる高ガラス転移点1液型成型コンパウンドとして利用可能なように構成されたことを特徴とする請求項16に記載のACF。
【請求項18】
前記組成物は、シート成型材料(SMC)、バルク成型材料(BMC)、または生地成型材料(DMC)として利用可能なように構成されたことを特徴とする請求項17に記載のACF。
【請求項19】
前記電子部品は、電子ディスプレイを形成することを特徴とする請求項12に記載の電子部品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−529555(P2012−529555A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514978(P2012−514978)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/035905
【国際公開番号】WO2010/144236
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511301991)トリリオン サイエンス インク (1)
【Fターム(参考)】