説明

エレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造

【課題】スライドテーブルに設置したコアに傾きが生じることを確実に防止できるエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造を提供する。
【解決手段】前後方向T1に所定の間隔をあけてスライドテーブル4に設けられて各フランジ部11、12を支持する第1支持部材20と第2支持部材21を備えるとともに、スライドテーブル4に設けられてコア10の他端部10b側のコア保持部19を支持する第3支持部材24と、コア10を金型内のセット位置に搬送した状態でコア10の一端部側のコア保持部18を支持する第4支持部材23とを備えて、コア10を少なくとも4点で支持するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後方向に進退自在に設けられたスライドテーブルに設置して、このスライドテーブルを前進させることにより金型内のセット位置に搬送されるエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下水道管、ガス管等には、耐久性、耐食性、可撓性(柔軟性、耐震性)に優れる上、軽量で作業性(施工性)に優れることからポリエチレン管(合成樹脂管)が多用されている。また、この種の管の接合手段(ソケット、エルボ、チーズ、サドルなどの継手)として、高価な工具を用いることなく簡便に接合作業を行うことができ、接合品質にばらつきがなく信頼性が高いなどの多くの利点を有することから、エレクロトフュージョン継手(EF継手)が多用されている。
【0003】
このEF継手は、ポリエチレン等の合成樹脂を用いて形成されるとともに、継手部の内周面側にニクロム線等の電熱線をらせん状に埋設して形成されている。また、EF継手は、継手部の外周面から径方向外側に突出する一対のターミナルピン(端子ピン)が一体に設けられ、これらターミナルピンに電熱線の両端部をそれぞれ接続して形成されている。
【0004】
このようなEF継手を製造する際には、はじめに、ポリエチレンやポリブテン等で絶縁被覆した電熱線をコアにらせん状に巻き付け、電熱線の端部にターミナルピンを接続する。そして、電熱線、ターミナルピンを取り付けたコアをコア搬送装置に設置し、金型内のセット位置にコアを搬送するとともに金型を型締めし、溶融した合成樹脂を金型内に射出することによって、EF継手を製造している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここで、例えば図7に示すように、コア搬送装置1は、所定の間隔をあけて並設した一対のガイドレール2と、ガイドレール2の延設方向に回転軸線が直交するようにして一対のガイドレール2の間に配設され、且つガイドレール2の延設方向に並設された複数のローラ3と、一対のガイドレール2の間のローラ3上に載置され、ガイドレール2に案内されて前後方向T1(ガイドレール2の延設方向)に進退自在に設けられたスライドテーブル4とを備えて構成されている。
【0006】
また、スライドテーブル4は、矩形平板状のベース5と、ベース5の幅方向中央に、且つ長さ方向に所定の間隔をあけて、ベース5上に立設された円柱棒状の一対の支柱(第1支持部材6、第2支持部材7)と、ベース5の長さ方向後端側に立設されたハンドル8とを備えて構成されている。そして、コア10は、各フランジ部11、12に穿設された支柱挿入孔に支柱6、7の上端部(先端部)を挿入することにより、その軸線O1方向を前後方向T1に向けた状態でスライドテーブル4に設置(支持)され、ハンドル8を前方に押すことによりスライドテーブル4を前進させて、金型13内のセット位置に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−58333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のようにコア10の各フランジ部11、12を支柱6、7で支持して、コア10を2点で支持するように構成した場合には、金型13内のセット位置に搬送する際にコア10が傾いてしまうことがあった。そして、例えばチーズなどのEF継手を製造する場合には、スピゴット入れ子14と連結する主管側のコア10をスライドテーブル4に設置して金型13内のセット位置に搬送した段階で、コア10とスピゴット入れ子14を連結することになるが、コア10が傾いてスピゴット入れ子14との相対位置がずれると、スピゴット入れ子14がコア10に対して斜めに挿入されてしまい、スピゴット入れ子14に破損が生じるという問題があった。
【0009】
さらに、上記従来のようにコア10を2点で支持することで、金型13の型開閉時にコア10が動いてしまい、SP(射出プレス)インローを潰すおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
請求項1記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造は、前後方向に進退自在に設けられたスライドテーブルに設置して、該スライドテーブルを前進させることにより金型内のセット位置に搬送されるエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造であって、支持対象の前記コアが、軸線方向一端部側と他端部側にそれぞれ、フランジ部と、該フランジ部に一端を繋げて軸線方向外側に延設された首部と、首部の他端に繋げて設けられたコア保持部とを備えて形成されており、前記前後方向に所定の間隔をあけて前記スライドテーブルに設けられて各フランジ部を支持する第1支持部材と第2支持部材を備えるとともに、前記スライドテーブルに設けられて前記他端部側の首部又はコア保持部を支持する第3支持部材と、前記コアを前記金型内のセット位置に搬送した状態で前記一端部側のコア保持部を支持する第4支持部材とを備えて、前記コアを少なくとも4点で支持するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造は、請求項1記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造において、前記第3支持部材が、上端部から下端部に向けて凹む係合部を備えて形成され、前記スライドテーブルに前記コアを設置するとともに前記他端部側の首部を前記係合部に係合させて支持するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造は、請求項1記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造において、前記第3支持部材が、前記前後方向に進退自在に前記スライドテーブルに設けられ、前進させて前記他端部側のコア保持部に当接することにより、前記他端部側のコア保持部を支持するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造において、前記第4支持部材が、嵌合保持孔を備えて形成され、前記金型内のセット位置に前記コアを搬送するとともに前記一端部側のコア保持部を前記嵌合保持孔に嵌合させて支持するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造においては、第1支持部材と第2支持部材で各フランジ部を支持するとともに、第3支持部材でコアの他端部側の首部又はコア保持部を支持することで、スライドテーブルを前進させてコアを金型内のセット位置に搬送する際にコアに傾きが生じることを防止することが可能になる。さらに、金型内のセット位置に搬送した状態で一端部側のコア保持部を第4支持部材によって支持することで、コアを安定した状態で支持することができ、金型の型開閉時にコアが動くことを防止することが可能になる。これにより、スライドテーブルによるコアの搬送時、金型の型開閉時にコアに傾きが生じることを防止でき、スピゴット入れ子に破損が生じたり、SPインローが潰れるなどの不都合を確実に回避することが可能になる。
【0016】
請求項2記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造においては、スライドテーブルにコアを設置するとともに他端部側の首部を第3支持部材の係合部に係合させて、第1支持部材と第2支持部材とともに第3支持部材でコアを支持することが可能になる。これにより、容易に且つ確実に安定した状態でコアを支持することができ、スライドテーブルによるコアの搬送時にコアに傾きが生じることを防止することが可能になる。また、第1から第4支持部材によって金型の型開閉時にコアに傾きが生じること(コアが動いてしまうこと)を確実に防止することが可能になる。
【0017】
請求項3記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造においては、第1支持部材と第2支持部材で各フランジ部を支持してスライドテーブルにコアを設置した後に、第3支持部材を前進させて他端部側のコア保持部に当接させ、この第3支持部材でコアを軸線方向外側から他端部側のコア保持部を押圧して支持することが可能になる。これにより、容易に且つ確実に安定した状態でコアを支持することができ、スライドテーブルによるコアの搬送時にコアに傾きが生じることを防止することが可能になる。また、第1から第4支持部材によって金型の型開閉時にコアに傾きが生じること(コアが動いてしまうこと)を確実に防止することが可能になる。
【0018】
さらに、前後方向に進退自在にスライドテーブルに設けられた第3支持部材でコアを支持するように構成することで、スライドテーブルを進退させるためのハンドルとして第3支持部材を兼用することも可能になる。
【0019】
請求項4記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造においては、金型内のセット位置にコアを搬送するとともに一端部側のコア保持部が嵌合保持孔に嵌合して、このコア保持部を第4支持部材で支持することが可能になる。これにより、第1から第4支持部材によって、容易に且つ確実に安定した状態でコアを支持することができ、スライドテーブルによるコアの搬送時にコアに傾きが生じることを防止することが可能になるとともに、第1から第4支持部材によって金型の型開閉時にコアに傾きが生じることをより確実に防止することが可能になる。
【0020】
また、このように金型内のセット位置にコアを搬送するとともに第4支持部材の嵌合保持孔に嵌合させて一端部側のコア保持部を支持するように構成することで、コアを精度よく金型内のセット位置に配置することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造の第1支持部材及び第2支持部材を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造の第3支持部材を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造の第4支持部材を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造でコアを支持した状態を示す図である。
【図7】コア搬送装置(スライドテーブル)、従来のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1から図4、図7を参照し、本発明の第1実施形態に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造について説明する。本実施形態は、スライドテーブルによるコアの搬送時、金型の型開閉時に、スライドテーブルに設置したコアに傾きが生じることを確実に防止できるエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造に関するものである。なお、図7に示したコア搬送装置1と同様の構成に対しては、同一符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0023】
はじめに、支持対象のコア10(エレクトロフュージョン継手製造用コア)は、図1及び図7に示すように略円柱棒状に形成され、軸線O1方向中央で分割可能に形成されている。また、このコア10は、軸線O1方向中央側に、ニクロム線等を絶縁被覆して形成した電熱線を巻き付けてEF継手(エレクトロフュージョン継手)を射出成形で形成するための継手形成部15を備えて形成されている。さらに、軸線O1方向一端部10a側と他端部10b側にそれぞれ、継手形成部15に繋がる円盤状のフランジ部11、12と、このフランジ部11、12に一端を繋げてコア10の軸線O1方向外側に延設された円柱棒状の首部16、17と、首部16、17の他端に繋げて設けられた円盤状のコア保持部18、19とを備えて形成されている。そして、継手形成部15、フランジ部11、12、首部16、17、コア保持部18、19はそれぞれ、中心軸線がコア10の軸線O1と同軸上に配されるように設けられている。
【0024】
一方、本実施形態のEF継手製造用コアの支持構造Aは、図1に示すように、前後方向T1に所定の間隔をあけてスライドテーブル4に設けられて各フランジ部11、12を支持する第1支持部材20と第2支持部材21を備えて構成されている。また、本実施形態のEF継手製造用コアの支持構造Aは、第1支持部材20と第2支持部材21に加え、スライドテーブル4に設けられて他端部10b側の首部17を支持する第3支持部材22と、コア10を金型13内のセット位置に搬送した状態で一端部10a側のコア保持部18を支持する第4支持部材23とを備えて構成されている。
【0025】
本実施形態の第1支持部材20と第2支持部材21は、図1及び図2に示すように、矩形棒状の支柱であり、それぞれ下端部をスライドテーブル4のベース5上に固定して立設されている。また、第1支持部材20と第2支持部材21は、上端部(先端部)に円柱棒状の挿入ピン20a、21aを設けて形成され、ベース5の幅方向中央に、且つ長さ方向に所定の間隔をあけて配設されている。さらに、第1支持部材20と第2支持部材21は、例えば厚さH1が20mm程度、幅L1が30mm程度で形成され、外径L2が12mm程度の円柱棒状の従来の支柱6、7よりも大きく形成されている。
【0026】
そして、フランジ部11、12に穿設された支柱挿入孔(不図示)に挿入ピン20a、21aを挿入することにより、コア10は、第1支持部材20と第2支持部材21で各フランジ部11、12が支持され、一端部10aを前方に、他端部10bを後方に配し、且つ軸線O1方向を前後方向T1に向けた状態でスライドテーブル4に設置される。
【0027】
第3支持部材22は、矩形棒状の支柱であり、図1に示すように、下端部をスライドテーブル4のベース5上に固定して立設されている。また、この第3支持部材22は、ベース5の幅方向中央に配設されるとともに、第2支持部材21よりもベース5の長さ方向後方側、且つハンドル8よりも前方側に配設されている。さらに、本実施形態の第3支持部材22は、図3に示すように、上端部から下端部側に向けて凹み、第3支持部材22の厚さ方向の一面22bから他面22cに貫通する係合部22aを備えて形成されている。この係合部22aは、第3支持部材22の正面視で半円状に形成されており、コア10の他端部10b側の首部17の外径と略同等の例えば25mm程度の径寸法で形成されている。
【0028】
そして、第1支持部材20と第2支持部材21で各フランジ部11、12を支持させてコア10をスライドテーブル4に設置するとともに、コア10の他端部10b側の首部17が係合部22aに係合して、この首部17が第3支持部材22で支持される。
【0029】
一方、第4支持部材23は、図1、図4(及び図7)に示すように、ブロック状に形成され、一面23aから他面23bに向けて凹む円形状の嵌合保持孔23cを備えて形成されている。また、嵌合保持孔23cは、コア10の一端部10a側のコア保持部18と略同形同大で形成されている。さらに、この第4支持部材23は、例えばコア搬送装置1の一対のガイドレール2の前方に設けられた壁面に他面23bを固着し、嵌合保持孔23cの開口部を後方に向けて設置されている。また、このとき、第4支持部材23は、スライドテーブル4にコア10を設置した状態で、コア10の軸線O1と嵌合保持孔23cの中心線が同軸上に配されるように設置されている。
【0030】
そして、第1支持部材20と第2支持部材21と第3支持部材22で支持してスライドテーブル4に設置したコア10を、ハンドル8を前方に押してスライドテーブル4を前進させ、金型13内のセット位置に搬送するとともに、一端部10a側のコア保持部18が嵌合保持孔23cに嵌合して、このコア保持部18が第4支持部材23で支持される。
【0031】
したがって、上記構成からなる本実施形態のEF継手製造用コアの支持構造Aにおいては、従来と同様に第1支持部材20と第2支持部材21で各フランジ部11、12を支持することに加え、第3支持部材22でコア10の他端部10b側の首部17を支持することで、スライドテーブル4を前進させてコア10を金型13内のセット位置に搬送する際にコア10に傾きが生じることを防止することが可能になる。
【0032】
さらに、金型13内のセット位置に搬送した状態で一端部10a側のコア保持部18を第4支持部材23によって支持することで、コア10を安定した状態で支持することができ、金型13の型開閉時にコア10が動くことを防止することが可能になる。
【0033】
これにより、スライドテーブル4によるコア10の搬送時、金型13の型開閉時にコア10に傾きが生じることを防止でき、スピゴット入れ子14に破損が生じたり、SPインローが潰れるなどの不都合を確実に回避することが可能になる。
【0034】
また、本実施形態のEF継手製造用コアの支持構造Aにおいては、スライドテーブル4にコア10を設置するとともに他端部10b側の首部17を第3支持部材22の係合部22aに係合させて、第1支持部材20と第2支持部材21とともに第3支持部材22でコア10を支持することが可能になる。また、このとき、フランジ部11、12に穿設された支柱挿入孔に挿入ピン20a、21aを挿入し、第1支持部材20と第2支持部材21でコア10を支持するようにスライドテーブル4にコア10を設置するとともに、容易に他端部10b側の首部17を第3支持部材22の係合部22aに係合させることができ、容易に第3支持部材22でコア10を支持することが可能になる。
【0035】
これにより、容易に且つ確実に、安定した状態でコア10を支持することができ、スライドテーブル4によるコア10の搬送時、金型13の型開閉時にコア10に傾きが生じること(コア10が動いてしまうこと)を防止することが可能になる。
【0036】
さらに、金型13内のセット位置にコア10を搬送するとともに一端部10a側のコア保持部18を嵌合保持孔23cに嵌合させて、このコア保持部23cを第4支持部材23で支持することが可能になる。これにより、第1から第4支持部材20〜23によって、より容易に且つ確実に、安定した状態でコア10を支持することができ、スライドテーブル4によるコア10の搬送時、金型13の型開閉時にコア10に傾きが生じることを防止することが可能になる。
【0037】
また、このように金型10内のセット位置にコア10を搬送するとともに第4支持部材23の嵌合保持孔23cに嵌合させてコア保持部18を支持するように構成することで、コア10を精度よく金型13内のセット位置に配置することも可能になる。
【0038】
以上、本発明に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造の第1実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、第1支持部材20と第2支持部材21と第3支持部材22と第4支持部材23の4つの部材でコア10を支持するものとして説明を行ったが、本発明のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造は、少なくとも4点でコア10を支持するように構成されていればよく、例えば一端部10a側の首部16を支持する支持部材、他端部10b側のコア保持部19を支持する支持部材などを設けて支持構造Aを構成するようにしてもよい。そして、このように4点以上でコア10を支持することにより、本実施形態と同様、あるいはそれ以上の効果を得ることが可能になる。
【0039】
次に、図5、図6及び図7を参照し、本発明の第2実施形態に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造について説明する。本実施形態は、第1実施形態と同様、スライドテーブルによるコアの搬送時、金型の型開閉時に、スライドテーブルに設置したコアに傾きが生じることを確実に防止することを可能にするエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造に関するものである。また、本実施形態のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造は、第1実施形態に対し、第3支持部材の構成のみが異なる。よって、第1実施形態と同様の構成に対しては、同一符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0040】
本実施形態のEF継手製造用コアの支持構造(エレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造)Bは、図5及び図6に示すように、各フランジ部11、12を支持する第1支持部材20及び第2支持部材21と、コア10の他端部10b側のコア保持部19を支持する第3支持部材24と、スライドテーブル4を前進させてコア10を金型13内のセット位置に搬送した状態で一端部10a側のコア保持部18を支持する第4支持部材23とを備えて構成されている。
【0041】
一方、本実施形態においては、スライドテーブル4のベース5の後端側にスライド機構25が設けられている。このスライド機構25は、ベース5の一部であるスライド板5aとスライド板5aを前後方向T1(ベース5の長さ方向)に進退させるためのローラ25aとを備えて構成されている。
【0042】
本実施形態の第3支持部材24は、このようなスライド機構25のスライド板5aの上面に下端部を固定して立設され、前後方向T1に進退自在にスライドテーブル4に設けられている。また、第3支持部材24の上端部側には、前方側を向く面(他面)24aから前方に向けて突出する当接支持部24bが設けられている。この当接支持部24bは、スライドテーブル4にコア10を設置した状態で、コア10の他端部10b側のコア保持部19の後方を向く一面19aに前後方向T1で対峙するように配設されている。なお、前進した第3支持部材24は、例えばスライド板5aなどに設けた適宜固定手段で所定の前進位置で固定できるように構成されていることが望ましい。
【0043】
また、本実施形態においては、ハンドル8が第3支持部材24に一体に設けられている。このハンドル8は、スライドテーブル4を前後方向T1に進退させる際に使用され、且つ第3支持部材24をスライド機構25によって前後方向T1に進退させる際に使用され、両動作の兼用ハンドルとされている。
【0044】
そして、第1支持部材20と第2支持部材21で各フランジ部11、12を支持してスライドテーブル4にコア10を設置した段階で、ハンドル8を前方に押すと、第3支持部材24がベース5上を前進し、この第3支持部材24の当接支持部24bが他端部10b側のコア保持部19の後方を向く一面19aに当接する。また、このように当接支持部24bがコア保持部19に当接することにより、コア保持部19が支持される。
【0045】
さらにハンドル8を前方に押してスライドテーブル4を前進させ、図7に示す金型13内のセット位置にコア10を搬送する際には、第1支持部材20と第2支持部材21に加えて、当接支持部24bが当接してコア保持部19が第3支持部材24で支持されているため、コア10に傾きが生じることがない。また、第1実施形態と同様に、金型13内のセット位置にコア10を搬送した状態で第4支持部材23によって他端部10b側のコア保持部18が支持される。
【0046】
したがって、上記構成からなる本実施形態のEF継手製造用コアの支持構造Bにおいても、従来と同様に第1支持部材20と第2支持部材21で各フランジ部11、12を支持することに加え、第3支持部材24でコア10の他端部10b側のコア保持部19を支持することで、スライドテーブル4を前進させてコア10を金型13内のセット位置に搬送する際にコア10に傾きが生じることを防止することが可能になる。
【0047】
さらに、金型13内のセット位置に搬送した状態で一端部10a側のコア保持部18を第4支持部材23によって支持することで、コア10を安定した状態で支持することができ、金型13の型開閉時にコア10が動くことを防止することが可能になる。
【0048】
これにより、スライドテーブル4によるコア10の搬送時、金型13の型開閉時にコア10に傾きが生じることを防止でき、スピゴット入れ子14に破損が生じたり、SPインローが潰れるなどの不都合を確実に回避することが可能になる。
【0049】
また、本実施形態のEF継手製造用コアの支持構造Bにおいては、第1支持部材20と第2支持部材21で各フランジ部11、12を支持してスライドテーブル4にコア10を設置した後に、第3支持部材24を前進させて他端部10b側のコア保持部19に当接させ、この第3支持部材24でコア10を軸線O1方向外側から他端部10b側のコア保持部19を押圧して支持することが可能になる。これにより、容易に且つ確実に、安定した状態でコア10を支持することができ、スライドテーブル4によるコア10の搬送時、金型13の型開閉時にコア10に傾きが生じること(コア10が動いてしまうこと)を防止することが可能になる。
【0050】
さらに、前後方向T1に進退自在にスライドテーブル4に設けられた第3支持部材24でコア10を支持するように構成することで、スライドテーブル4を進退させるためのハンドル8として第3支持部材24を兼用することも可能になる。
【0051】
以上、本発明に係るエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造の第2実施形態について説明したが、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、第1実施形態の変更例を含め、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、スライド機構25がベース5の一部であるスライド板5aとスライド板5aを前後方向T1に進退させるためのローラ25aとを備えて構成されているものとしたが、第3支持部材24を前後方向T1に進退させ、コア10の他端部10b側のコア保持部19に当接してこのコア保持部19ひいてはコア10を支持することが可能であれば、必ずしもローラ25aを用いてスライドさせる構成に限定しなくてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 コア搬送装置
2 ガイドレール
3 ローラ
4 スライドテーブル
5 ベース
5a スライド板
6 支柱
7 支柱
8 ハンドル
10 コア
10a 一端部
10b 他端部
11 フランジ部
12 フランジ部
13 金型
14 スピゴット入れ子
15 継手形成部
16 首部
17 首部
18 コア保持部
19 コア保持部
19a 一面
20 第1支持部材
20a 挿入ピン
21 第2支持部材
21a 挿入ピン
22 第3支持部材
22a 係合部
22b 一面
22c 他面
23 第4支持部材
23a 一面
23b 他面
23c 嵌合保持孔
24 第3支持部材
24a 一面
25 スライド機構
25a ローラ
A エレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造
B エレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造
H1 第1及び第2支持部材の厚さ
L1 第1及び第2支持部材の幅
L2 支柱の外径
O1 コアの軸線
T1 前後方向
T2 上下方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に進退自在に設けられたスライドテーブルに設置して、該スライドテーブルを前進させることにより金型内のセット位置に搬送されるエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造であって、
支持対象の前記コアが、軸線方向一端部側と他端部側にそれぞれ、フランジ部と、該フランジ部に一端を繋げて軸線方向外側に延設された首部と、首部の他端に繋げて設けられたコア保持部とを備えて形成されており、
前記前後方向に所定の間隔をあけて前記スライドテーブルに設けられて各フランジ部を支持する第1支持部材と第2支持部材を備えるとともに、
前記スライドテーブルに設けられて前記他端部側の首部又はコア保持部を支持する第3支持部材と、前記コアを前記金型内のセット位置に搬送した状態で前記一端部側のコア保持部を支持する第4支持部材とを備えて、
前記コアを少なくとも4点で支持するように構成されていることを特徴とするエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造。
【請求項2】
請求項1記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造において、
前記第3支持部材が、上端部から下端部に向けて凹む係合部を備えて形成され、前記スライドテーブルに前記コアを設置するとともに前記他端部側の首部を前記係合部に係合させて支持するように構成されていることを特徴とするエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造。
【請求項3】
請求項1記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造において、
前記第3支持部材が、前記前後方向に進退自在に前記スライドテーブルに設けられ、前進させて前記他端部側のコア保持部に当接することにより、前記他端部側のコア保持部を支持するように構成されていることを特徴とするエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造において、
前記第4支持部材が、嵌合保持孔を備えて形成され、前記金型内のセット位置に前記コアを搬送するとともに前記一端部側のコア保持部を前記嵌合保持孔に嵌合させて支持するように構成されていることを特徴とするエレクトロフュージョン継手製造用コアの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−167868(P2011−167868A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31756(P2010−31756)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】