説明

エレベータのかごドアロック装置

【課題】かごドアロック装置によってかごドアが閉状態で施錠されていることを確認する。
【解決手段】かごドアロック装置は、かごドア10に固定されたロックプレート12と、かごドア10が閉のときにロックプレート12と係合してかごドア10を施錠するかごドアロック本体11と、を備える。かごドアロック本体11は、かごドア10が閉のときにロックプレート12と係合して施錠し、この係合を外してかごドア10を開錠するように回動するロックレバー22と、ロックレバー22を駆動するアクチュエータ23と、ロックレバー22が施錠位置にあるか否かを検出するロックレバー位置検出手段30と、ロックプレート12がかごドア閉位置にあるか否かを検出するロックプレート位置検出手段17と、有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータのかごドアを閉状態で施錠するかごドアロック装置に関し、特に、かごドアが閉状態で施錠されていることが確認できるかごドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、かごドアが開いた状態で乗りかごが移動するのを防ぎ、また乗りかごが移動しているときにかごドアが開くのを防ぐために、かごドアが閉状態で施錠するためのかごドアロック装置が設けられている(特許文献1参照)。
【0003】
従来の典型的なエレベータのかごドアロック装置において、かごドアロック本体が乗りかご上部の取り付けベースに取り付けられ、かごドアの上部にロックプレートが上方に突出して固定されている。かごドアロック本体はロックレバーを有し、ロックレバーは、かごドア施錠時にはロックプレートと係合してロックプレートの移動を阻止し、開錠時にはロックプレートとの係合が外れるように回動する。そして、この場合に、ロックレバーが施錠位置にあることを施錠検出スイッチによって検出し、それによって施錠状態の確認を行なっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−201666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の構成においては、ロックプレートの取り付けボルトが外れることなどによってロックプレートがかごドアから外れることは想定されていない。ロックプレートがかごドアから外れた場合、ロックプレートとロックレバーが係合しなくなるので、かごドアは施錠されない。しかし、ロックレバーの回動によってロックレバーが施錠位置になると、施錠検出スイッチの出力によって施錠されているものと判定されてしまい、かごドアが施錠されないまま乗りかごが移動する可能性があり、危険である。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、ロックプレートがかごドアから外れる可能性も考慮して、かごドアロック装置によってかごドアが閉状態で施錠されていることを確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記目的を達成するものであって、本発明に係るエレベータのかごドアロック装置は、エレベータの乗りかごに対して水平方向にスライドして開閉するエレベータのかごドアを閉状態に施錠可能なロック装置であって、前記かごドアに固定されてその上端がかごドアの上方に突出するように構成されたロックプレートと、前記かごドアが閉状態のときに前記ロックプレートと係合してこのかごドアを施錠し、この係合を外すことによってこのかごドアを開錠するように動作し、前記乗りかごに取り付けられたかごドアロック本体と、を備え、前記かごドアロック本体は、前記かごドアが閉状態のときに前記ロックプレートと係合し、この係合を外すことによってこのかごドアを開錠するように、乗りかごに固定された回動軸の周りに回動するロックレバーと、前記ロックレバーを施錠位置と開錠位置との間で駆動するアクチュエータと、前記ロックレバーがかごドア施錠状態の位置にあるか否かを検出するロックレバー位置検出手段と、前記ロックプレートがかごドア閉状態の位置にあるか否かを検出するロックプレート位置検出手段と、有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロックプレートがかごドアから外れる可能性を考慮したうえで、かごドアロック装置によってかごドアが閉状態で施錠されていることを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るエレベータのかごドアロック装置の一実施形態を示す立面図であって、かごドアが閉状態で施錠された状態を示す図。
【図2】図1のかごドアロック装置の実施形態を示す立面図であって、かごドアが閉状態で開錠された状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るエレベータのかごドアロック装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1および図2はこの実施形態のドアロック装置を示す立面図であって、図1はかごドアが閉状態で施錠された状態を示す図であり、図2はかごドアが閉状態で開錠された状態を示す図である。
【0011】
かごドア10は乗りかご11に対して水平方向にスライドして開閉できるように取り付けられている。図1および図2はかごドア10が閉状態を示しており、かごドア10が図の右の方にスライドすることによりかごドア10が開く。
【0012】
かごドア10の上部に、ロックプレート12がボルト13によって取り付けられている。ロックプレート12は、かごドア10に固定されて上部がかごドア10の上方に突出した固定板部14と、ボルト15によって固定板部14の上面に取り付けられてL字状に上方にさらに突出したL字状部16とを有する。L字状部16の上方に突出した部分には、かごドア10が閉じるときにロックプレート位置検出スイッチ17(後述)を押すように水平方向に突出したスイッチ操作棒18が取り付けられている。スイッチ操作棒18は2個がかごドアの移動方向に垂直に水平に(図の紙面に垂直な方向に)並んで配列されている。
【0013】
かごドアロック本体20は乗りかご11の上部のドアマシンベース21の上に固定され、ドアロックレバー22およびアクチュエータ23などを備えている。ドアロックレバー22は、アクチュエータ23によって、水平方向の回動軸24の周りを回動(揺動)できる。アクチュエータ23は、制御装置50からのロックレバー開錠指令がONになることにより、ソレノイドを吸引してロックレバー22を図2の開錠位置に駆動し、ロックレバー開錠指令がOFFになることにより、ソレノイドを押し出してロックレバー22を図1の施錠位置に駆動する。
【0014】
かごドア10を閉状態で施錠する場合は、図1に示すように、アクチュエータ23がロックレバー22を押し下げ、ロックレバー22の当接部25がロックプレート12のL字状部16に当接する位置に来る。これにより、かごドア10が開くことが阻止される。
【0015】
かごドア10を開錠する場合は、図2に示すように、アクチュエータ23がロックレバー22を引き上げるので、ロックレバー22がロックプレート12と干渉しなくなる。
【0016】
かごドアロック本体20には、前述のロックプレート位置検出スイッチ17が固定されている。かごドア10が閉じて、ロックプレート12に固定されたスイッチ操作棒18がロックプレート位置検出スイッチ17を押すと、このスイッチ17がONになる。
【0017】
かごドアロック本体20にはさらにロックレバー位置検出スイッチ30が固定されている。ロックレバー22の先端には、ロックレバー位置検出スイッチ30を開閉するスイッチ操作棒31が固定されている。スイッチ操作棒31は2個がかごドアの移動方向に垂直に水平に(図の紙面に垂直な方向に)並んで配列されている。ロックレバー22が図1の施錠位置にあるとき、スイッチ操作棒31がロックレバー位置検出スイッチ30を押してこのスイッチ30がONになる。
【0018】
ロックプレート位置検出スイッチ17とロックレバー位置検出スイッチ30とは電気的に直列に接続されて回路が構成され、ロックプレート位置検出スイッチ17とロックレバー位置検出スイッチ30の両方がONのときに限って電気的に導通する。このとき制御装置50は、かごドア10が閉じて施錠されていると判定するようになっている。
【0019】
かごドアロック本体20にはさらに開錠検出スイッチ40が固定されている。開錠検出スイッチ40は、ロックレバー22が図1の施錠位置にあるときはスイッチOFFであり、ロックレバー22が図2の開錠位置にあるときはスイッチONとなる。
【0020】
かごドアロック本体20は、筐体32内に収容し、スイッチ17、30、40などに埃や水滴がかからないようにすることが好ましい。なお、図1と図2は、筐体32の手前側鉛直面のカバーを外した状態を示している。
【0021】
上記構成で、かごドア10が開くときの動作は次の順になる。
【0022】
(1−1)制御装置50からのロックレバー開錠指令がONになり、アクチュエータ23のソレノイドが吸引され、ロックレバー22が開錠位置(図2)に移動する。
【0023】
(1−2)ロックレバー位置検出スイッチ30がOFFになる。
【0024】
(1−3)開錠検出スイッチ40がONになり、ロックレバー22の開錠位置が確認される。
【0025】
(1−4)制御装置50から、かごドア開指令が出され、かごドア10の開動作が開始される。
【0026】
(1−5)かごドア閉検出スイッチ(図示せず)がOFFになる。
【0027】
(1−6)ロックプレート位置検出スイッチ17がOFFになる。
【0028】
(1−7)かごドア閉位置検出センサ(図示せず)の信号がOFFになる。
【0029】
(1−8)かごドア10の開動作が完了する。
【0030】
かごドア10が閉じるときの動作は次の順になる。
【0031】
(2−1)制御装置50からのかごドア開指令がOFFになり、かごドア10が閉位置に移動する。
【0032】
(2−2)ロックプレート位置検出スイッチ17がONになる。
【0033】
(2−3)かごドア閉検出スイッチ(図示せず)がONになる。
【0034】
(2−4)かごドア閉位置検出センサ(図示せず)の信号がONになる。
【0035】
(2−5)制御装置50からのロックレバー開錠指令がOFFになり、アクチュエータ23のソレノイドが解放され、ロックレバー22が施錠位置(図1)に移動する。
【0036】
(2−6)開錠検出スイッチ40がOFFになる。
【0037】
(2−7)ロックレバー位置検出スイッチ30がONになる。
【0038】
(2−8)かごドア10の閉動作が完了する。
【0039】
この実施形態において、かりにボルト13の緩みなどによってロックプレート12がかごドア10から外れたとすると、かごドア10がどこにあってもロックプレート位置検出スイッチ17はOFFのままとなる。したがって、かごドア10が閉じているという判定にならず、誤って施錠状態と判定されることはない。しかも、ロックプレート12全体がかごドア10から外れた場合のみならず、ボルト17の緩みによってロックプレート12のL字状部16が固定板部14から外れた場合も同様である。
【0040】
また、この実施形態によれば、各検出スイッチをかごドア10に取り付けることなく、乗りかごに固定するので、かごドア10の動きに合わせて電線が動かず、配線を引き回すうえで有利である。
【0041】
上記説明では、ロックプレート位置検出スイッチ17とロックレバー位置検出スイッチ30とが直列に接続されて回路が構成され、二つのスイッチ17、30が両方ともONのときに限って電気的に導通し、かごドア10が閉じて施錠されていると判定されるものとした。しかし、変形例として、ロックプレート位置検出スイッチ17の回路とロックレバー位置検出スイッチ30の回路を並列にして別個に制御装置50に入力し、制御装置50で、これら二つのスイッチ17、30のON状態のAND条件を判断することによって施錠状態と判定してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…かごドア
11…乗りかご
12…ロックプレート
13…ボルト
14…固定板部
15…ボルト
16…L字状部
17…ロックプレート位置検出スイッチ
18…スイッチ操作棒
20…かごドアロック本体
21…ドアマシンベース
22…ドアロックレバー
23…アクチュエータ
24…回動軸
25…当接部
30…ロックレバー位置検出スイッチ
31…スイッチ操作棒
32…筐体
40…開錠検出スイッチ
50…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかごに対して水平方向にスライドして開閉するエレベータのかごドアを閉状態に施錠可能なロック装置であって、
前記かごドアに固定されてその上端がかごドアの上方に突出するように構成されたロックプレートと、
前記かごドアが閉状態のときに前記ロックプレートと係合してこのかごドアを施錠し、この係合を外すことによってこのかごドアを開錠するように動作し、前記乗りかごに取り付けられたかごドアロック本体と、
を備え、
前記かごドアロック本体は、
前記かごドアが閉状態のときに前記ロックプレートと係合し、この係合を外すことによってこのかごドアを開錠するように、乗りかごに固定された回動軸の周りに回動するロックレバーと、
前記ロックレバーを施錠位置と開錠位置との間で駆動するアクチュエータと、
前記ロックレバーがかごドア施錠状態の位置にあるか否かを検出するロックレバー位置検出手段と、
前記ロックプレートがかごドア閉状態の位置にあるか否かを検出するロックプレート位置検出手段と、
有すること、を特徴とするエレベータのかごドアロック装置。
【請求項2】
前記ロックレバー位置検出手段が、前記ロックレバーがかごドア施錠状態の位置にあることを検出し、かつ、ロックプレート位置検出手段が、前記ロックプレートがかごドアの閉状態の位置にあることを検出したときにのみ前記かごドア施錠状態にあると判定する判定手段をさらに有すること、を特徴とする請求項1に記載のエレベータのかごドアロック装置。
【請求項3】
前記ロックレバーが開錠位置にあることを検出するロックレバー開錠検出手段をさらに有すること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータのかごドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−163241(P2010−163241A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6192(P2009−6192)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】