説明

エレベータのドア装置

【課題】装置の縮小化を図ることができるとともに、長寿命化を図ることができ、またコストの低減を図ることができるエレベータのドア装置を得る。
【解決手段】エレベータのドア装置では、一対のかごの戸(引き戸)18がかご出入口の間口方向へ変位可能になっている。かご出入口は、各かごの戸18の変位によって開閉される。各かごの戸18の上部には、引き戸レール23,24が設けられている。引き戸レール23,24は、かごの戸18の戸閉側端部からかご出入口の間口方向へ突出している。かご出入口の上部には、ガイド支持装置26,27が設けられている。ガイド支持装置26,27は、引き戸レール23,24を支持しながら、引き戸レール23,24をかご出入口の間口方向に沿って案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、かご出入口や乗場出入口等のエレベータ出入口を開閉するエレベータのドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、かご出入口を開閉するために、かごの戸をかご出入口の間口方向へ往復移動させるようにしたエレベータのドア装置が知られている。かごの戸は、かご出入口の上部に設けられたハンガケースのレールに掛けられ、レールに沿って移動される。ハンガケースの長さは、かごの戸の移動範囲に応じた長さとなっている。従って、ハンガケースの長さは、かご出入口の間口方向の寸法に比べて極端に大きくなっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記のような従来のエレベータのドア装置では、ハンガケースの長さがかご出入口の間口方向の寸法よりも極端に大きくなっているので、例えば建築用の梁やエレベータ機器等の障害物が昇降路内にある場合、かごの移動によってハンガケースが障害物に接触するおそれがある。従って、従来のエレベータでは、昇降路内の梁や機器の位置によっては、かごを昇降路内に配置することができない場合が生じてしまう。
【0004】
従来、ハンガケースの長さを短くするために、ハンガケースのレールに沿って変位可能な変位体を介して乗場の戸をレールに支持したエレベータのドア装置が提案されている。乗場の戸は、変位体に対して変位されながら、レールに沿った方向へ移動される。変位体は、ハンガケースから突出する位置まで変位可能になっている。乗場出入口を全開しているときの乗場の戸は、変位体のハンガケースから突出された部分に支持される。これにより、ハンガケースよりも間口方向外側にまで乗場の戸を変位させることができ、ハンガケースの長さを短くすることができる(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−201494号公報
【特許文献2】特開2006−199413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に示されたエレベータのドア装置では、ハンガケースのレールと乗場の戸との間に変位体が介在し、変位体がレール及び乗場の戸のいずれに対しても変位されるようになっているので、構造が複雑になってしまう。これにより、装置の故障が生じやすくなったり、コストが増大したりしてしまう。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、装置の縮小化を図ることができるとともに、長寿命化を図ることができ、またコストの低減を図ることができるエレベータのドア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るエレベータのドア装置は、エレベータ出入口の間口方向へ変位可能でエレベータ出入口を開閉する引き戸、引き戸の上部に設けられ、引き戸の戸閉側端部からエレベータ出入口の間口方向へ突出する引き戸レール、及びエレベータ出入口の上部に設けられ、引き戸レールを支持しながら、引き戸レールをエレベータ出入口の間口方向に沿って案内するガイド支持装置を備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るエレベータのドア装置では、引き戸レールが引き戸の戸閉側端部から突出し、ガイド支持装置が引き戸レールを支持しながらエレベータ出入口の間口方向に沿って案内するので、引き戸レールの引き戸から突出する部分をガイド支持装置が支持することにより、ガイド支持装置の支持範囲よりも間口方向外側の位置まで、引き戸を変位させることができる。これにより、ガイド支持装置の寸法をエレベータ出入口の間口方向について小さくすることができる。即ち、ドア装置の縮小化を図ることができる。また、引き戸レールがガイド支持装置によって直接支持されているので、構造を簡素化することができる。これにより、装置の長寿命化を図ることができるとともに、コストの低減化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータを示す正面図である。
【図2】図1のII-II線に沿った断面図である。
【図3】図1のかごを示す正面図である。
【図4】図3のかご出入口が開いている状態を示す正面図である。
【図5】図3のかごに設けられたドア装置を示す分解斜視図である。
【図6】図3のかごに設けられたドア装置の上部を示す側面図である。
【図7】図5のかごの戸を示す正面図である。
【図8】この発明の実施の形態1によるエレベータのドア装置の他の例を示す分解斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態1によるエレベータの他の例を示す正面図である。
【図10】図9のX-X線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータを示す正面図である。また、図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図において、建物には、昇降路1が建物の高さ方向に沿って設けられている。昇降路1内には、図2に示すように、一対のかごガイドレール2及び一対の釣合おもりガイドレール3が設置されている。各かごガイドレール2間にはかご4が配置され、各釣合おもりガイドレール3間には釣合おもり5が配置されている。かご4及び釣合おもり5は、主索(図示せず)により吊り下げられている。また、かご4及び釣合おもり5は、駆動装置(図示せず)の駆動力により昇降路1内を移動される。かご4及び釣合おもり5が昇降路1内を移動されるときには、かご4が各かごガイドレール2に案内され、釣合おもり5が各釣合おもりガイドレール3に案内される。
【0012】
また、昇降路1内には、建物の高さ方向について互いに間隔を置いて配置された複数の鉄製の建築梁(障害物)6が固定されている。各建築梁6は、建物の各階間に配置されている。また、各建築梁6は、昇降路1の内壁面7から突出した状態で昇降路1内に固定されている。
【0013】
各階には、昇降路1内と乗場とを連通する乗場出入口(エレベータ出入口)8が設けられている。乗場出入口8の上部及び各側部には、図2に示すように、乗場出入口枠(三方枠)9が設けられている。乗場出入口8の下部には、乗場敷居10が乗場出入口8の間口方向(幅方向)に沿って設けられている。乗場敷居10の長さ(寸法)は、乗場出入口8の間口方向についての寸法よりも大きくなっている。乗場敷居10には、乗場出入口8の間口方向に沿った乗場敷居溝11が設けられている。
【0014】
また、各階には、乗場出入口8を開閉する一対の乗場の戸(引き戸)12が設けられている。各乗場の戸12は、乗場出入口8の間口方向に沿って互いに逆方向へ変位可能になっている。また、各乗場の戸12は、乗場出入口8を閉じる戸閉位置と、戸閉位置よりも乗場出入口8の間口方向外側に位置し、乗場出入口8を開く戸開位置との間で変位可能になっている。各乗場の戸12が戸開位置にあるときには、図2に示すように、昇降路1の垂直投影面(即ち、かご4の移動方向に沿って投影したときの水平面)において、各乗場の戸12の戸開側端部が建築梁6に重なる。
【0015】
かご4は、かご床13と、かご床13上に設けられたかご室14とを有している。かご室14の正面には、かご出入口(エレベータ出入口)15が設けられている。かご出入口15の下部には、かご敷居16がかご出入口15の間口方向(幅方向)に沿って設けられている。かご敷居16の長さ(寸法)は、かご出入口15の間口方向について、かご出入口15の寸法よりも大きく、かつかご4の寸法以下となっている。この例では、かご敷居16及び乗場敷居10のそれぞれの長さが同一の長さとされている。かご敷居16には、かご出入口15の間口方向に沿ったかご敷居溝17が設けられている。
【0016】
また、かご4には、かご出入口15を開閉する一対のかごの戸(引き戸)18が設けられている。各かごの戸18は、かご出入口15の間口方向に沿って互いに逆方向へ変位可能になっている。また、各かごの戸18は、かご出入口15を閉じる戸閉位置と、戸閉位置よりもかご出入口15の間口方向外側に位置し、かご出入口15を開く戸開位置との間で変位可能になっている。各かごの戸18が戸開位置にあるときには、図2に示すように、昇降路1の垂直投影面において、各かごの戸18の戸開側端部が建築梁6に重なる。
【0017】
かご4が各階に停止しているときには、各かごの戸18が各乗場の戸12に対向する。各かごの戸18が各乗場の戸12に対向している状態では、図示しない係合装置により、かご出入口15の間口方向についてかごの戸18が乗場の戸12に対して係合可能になっている。従って、かご4が各階に停止しているときには、乗場の戸12とかごの戸18とが係合装置により互いに係合されながら、各乗場の戸12が各かごの戸18とともに変位される。乗場出入口8及びかご出入口15は、各乗場の戸12が各かごの戸18とともに変位されることにより、同時に開閉される。なお、かご4には、図1に示すように、かご敷居16から下方へ延びる保護板であるエプロン19が設けられている。
【0018】
図3は図1のかご4を示す正面図、図4は図3のかご出入口15が開いている状態を示す正面図である。また、図5は、図3のかご4に設けられたドア装置を示す分解斜視図である。図において、各かごの戸18は、かご出入口15を開閉するドアパネル(引き戸本体)20と、ドアパネル20の上部に固定されたドアハンガ21と、ドアパネル20の下端部に取り付けられ、かご敷居溝17に挿入される戸の脚22とを有している。
【0019】
各ドアパネル20は、その幅方向をかご出入口15の間口方向と一致させて配置されている。戸の脚22は、ドアパネル20の幅方向に沿って配置されている。戸の脚22及びドアパネル20のそれぞれの戸閉側端部の位置は、かご出入口15の間口方向について同位置とされている。戸の脚22の寸法(長さ)は、ドアパネル20の幅方向について、ドアパネル20の寸法よりも小さくされている。従って、戸の脚22の戸開側端部は、ドアパネル20の戸開側端部よりも戸閉側に位置している。
【0020】
一方のドアハンガ21(即ち、一方のかごの戸18の上部)には一方の引き戸レール23が固定され、他方のドアハンガ21(即ち、他方のかごの戸18の上部)には他方の引き戸レール24が固定されている。各引き戸レール23,24は、かご出入口15の間口方向に沿って配置されている。
【0021】
一方の引き戸レール23は、一方のドアハンガ21の戸閉側端部及び戸開側端部のうちの戸閉側端部からのみ突出している。他方の引き戸レール24は、他方のドアハンガ21の戸閉側端部及び戸開側端部のうちの戸閉側端部からのみ突出している。即ち、各引き戸レール23,24のそれぞれは、対応するかごの戸18の戸閉側端部からのみかご出入口15の間口方向へ突出している。
【0022】
また、各引き戸レール23,24は、かごの戸18の高さ方向について互いにずらして配置されている。これにより、各かごの戸18がかご出入口15の間口方向へ変位されたときに各引き戸レール23,24間の接触が回避される。この例では、一方の引き戸レール23が他方の引き戸レール24よりも高い位置に配置されている。
【0023】
かご出入口15の上部には、かご室14に固定されたハンガケース(支持部材)25が配置されている。ハンガケース25は、かご出入口15の間口方向に沿って配置されている。ハンガケース25の寸法(長さ)は、図3及び図4に示すように、かご出入口15の間口方向について、かご出入口15の寸法よりも大きく、かつかご4の寸法以下となっている。各引き戸レール23の長さは、ハンガケース25の長さよりも短くされている。
【0024】
ハンガケース25には、各引き戸レール23,24を個別に支持する一対のガイド支持装置26,27が設けられている。一方のガイド支持装置26は、一方の引き戸レール23を支持しながら、一方の引き戸レール23をかご出入口15の間口方向に沿って案内する。他方のガイド支持装置27は、他方の引き戸レール24を支持しながら、他方の引き戸レール24をかご出入口15の間口方向に沿って案内する。従って、一方のガイド支持装置26は、他方のガイド支持装置27よりも高い位置に配置されている。各かごの戸18は、各引き戸レール23,24が各ガイド支持装置26,27によって案内されることにより、かご出入口15の間口方向へ変位される。
【0025】
各ガイド支持装置26,27は、かご出入口15の間口方向について互いに間隔を置いて配置された複数(この例では、3つ)のガイドローラ28と、かご出入口15の間口方向について各ガイドローラ28と同位置に配置され、各ガイドローラ28に対して隙間を介してそれぞれ配置された複数(この例では、3つ)の押さえローラ(アップスラストローラ)29とを有している。各押さえローラ29は、各ガイドローラ28の上方に配置されている。
【0026】
各ガイドローラ28及び各押さえローラ29のそれぞれの回転軸は、共通のハンガケース25に取り付けられている。各ガイドローラ28及び各押さえローラ29のそれぞれの回転軸は、かご出入口15の奥行き方向(かご出入口15の間口方向及び高さ方向のいずれにも垂直な方向)に沿って配置されている。
【0027】
一方の引き戸レール23は、一方のガイド支持装置26における各ガイドローラ28及び各押さえローラ29間で支持された状態でかご出入口15の間口方向へ案内される。他方の引き戸レール24は、他方のガイド支持装置27における各ガイドローラ28及び各押さえローラ29間で支持された状態でかご出入口15の間口方向へ案内される。各引き戸レール23,24の浮き上がりは、各引き戸レール23,24が各押さえローラ29によって押さえられることにより防止される。
【0028】
一方のガイド支持装置26における各ガイドローラ28間の間隔は一方の引き戸レール23の長さよりも小さくされ、他方のガイド支持装置27における各ガイドローラ28間の間隔は他方の引き戸レール24の長さよりも小さくされている。従って、各引き戸レール23,24は、少なくとも2つのガイドローラ28と、これらに対向する2つの押さえローラ29との間でそれぞれ支持される。
【0029】
各かごの戸18が戸閉位置にあるときには、図3に示すように、一方のドアハンガ21からの引き戸レール23の突出部分が他方のかごの戸18の幅寸法の範囲内に配置され、他方のドアハンガ21からの引き戸レール24の突出部分が一方のかごの戸18(ドアパネル20)の幅寸法の範囲内に配置される。各かごの戸18が戸開位置にあるときには、図4に示すように、引き戸レール23のうち、一方のドアハンガ21からの突出部分のみが一方のガイド支持装置26により支持され、引き戸レール24のうち、他方のドアハンガ21からの突出部分のみが他方のガイド支持装置27により支持される。
【0030】
ここで、図6は、図3のかご4に設けられたドア装置の上部を示す側面図である。一方の引き戸レール23はスペーサ30を介して一方のドアハンガ21に取り付けられ、他方の引き戸レール24はスペーサ31を介して他方のドアハンガ21に取り付けられている。
【0031】
各引き戸レール23,24は、スペーサ30,31が当てられるレール縦壁23a,24aと、レール縦壁23a,24aの上端部からハンガケース25側へ突出するレール上壁23b,24bと、レール縦壁23a,24aの下端部からハンガケース25側へ突出するレール下壁23c,24cとを有している。一方の引き戸レール23には、レール縦壁23a、レール上壁23b及びレール下壁23cによって形成されたレール溝33が設けられている。他方の引き戸レール24には、レール縦壁24a、レール上壁24b及びレール下壁24cによって形成されたレール溝34が設けられている。各レール溝33,34は、ハンガケース25側へ開放されている。
【0032】
一方の引き戸レール23は、レール上壁23bがガイドローラ28と押さえローラ29との間に挟まれることにより支持されている。一方の引き戸レール23を支持する各ガイドローラ28は、レール縦壁23a及びレール下壁23cのそれぞれから離れた状態でレール溝33内に配置されている。
【0033】
他方の引き戸レール24は、レール上壁24bがガイドローラ28と押さえローラ29との間に挟まれることにより支持されている。他方の引き戸レール24を支持する各ガイドローラ28は、レール縦壁24a及びレール下壁24cのそれぞれから離れた状態でレール溝34内に配置されている。
【0034】
なお、乗場の戸12の構成は、かごの戸18と同様とされている。また、乗場の戸12は、かごの戸18と同様の構成により支持されている。即ち、各乗場の戸12の上部には各引き戸レール23,24と同様の一対の引き戸レールが個別に設けられ、乗場出入口8の上部には各ガイド支持装置26,27と同様の一対のガイド支持装置が設けられている。一方の乗場の戸12に設けられた一方の引き戸レールは、一方のガイド支持装置によって支持されながら、乗場出入口8の間口方向に沿って案内される。他方の乗場の戸12に設けられた他方の引き戸レールは、他方のガイド支持装置によって支持されながら、乗場出入口8の間口方向に沿って案内される。
【0035】
ハンガケース25の上面には、図3〜図5に示すように、かご出入口15の間口方向について互いに離して配置されたドア駆動装置35及び従動プーリ36が取り付けられている。ドア駆動装置35はハンガケース25の一端部に設けられ、従動プーリ36はハンガケース25の他端部に設けられている。
【0036】
ドア駆動装置35は、ドア駆動モータ37と、ドア駆動モータ37により回転される駆動プーリ38とを有している。駆動プーリ38及び従動プーリ36間には、無端状の伝達ロープ(ワイヤ)39が巻き掛けられている。伝達ロープ39は、駆動プーリ38の回転に応じて周回移動される。従動プーリ36は、伝達ロープ39の周回移動に応じて回転される。
【0037】
一方のドアハンガ21には第1のワイヤヒッチ(第1のドア接続部材)40が設けられ、他方のドアハンガ21には第2のワイヤヒッチ(第2のドア接続部材)41が設けられている。第1及び第2のワイヤヒッチ40,41は、伝達ロープ39にそれぞれ接続されている。第1及び第2のワイヤヒッチ40,41は、伝達ロープ39の周回移動により互いに逆方向へ移動される。これにより、各かごの戸18は、互いに逆方向へ変位される。
【0038】
図7は、図5のかごの戸18を示す正面図である。第1のワイヤヒッチ40は、一方のドアハンガ21に固定された固定部40aと、伝達ロープ39に接続された接続部40bとを有している。また、第1のワイヤヒッチ40は、固定部40aよりも接続部40bが戸閉側に位置するようにクランク状に形成されている。第2のワイヤヒッチ41は、他方のドアハンガ21に固定された固定部41aと、伝達ロープ39に接続された接続部41bとを有している。第2のワイヤヒッチ41は、固定部41aよりも接続部41bが戸閉側に位置するようにクランク状に形成されている。従って、各かごの戸18が戸閉位置にあるとき(図3)に第1及び第2のワイヤヒッチ40,41が互いに接触することが防止され、各かごの戸18が戸開位置にあるとき(図4)に第1及び第2のワイヤヒッチ40がドア駆動装置35や従動プーリ36に接触することが防止される。この例では、接続部40bが一方のかごの戸18の戸閉側端部よりも戸閉側に位置し、接続部41bが他方のかごの戸18の戸閉側端部よりも戸閉側に位置している。
【0039】
なお、かご4に設けられたドア装置は、かご敷居16、かごの戸18、引き戸レール23,24、ハンガケース25、ガイド支持装置26,27、ドア駆動装置35、従動プーリ36、伝達ロープ39、第1及び第2のワイヤヒッチ40,41を有している。
【0040】
次に、動作について説明する。かご4が各階に停止した状態で駆動プーリ38がドア駆動モータ37の駆動力により回転されると、伝達ロープ39が周回移動される。これにより、各かごの戸18が互いに逆方向へ変位される。このとき、各引き戸レール23,24は、各ガイドローラ28と各押さえローラ29との間を通されながら、かご出入口15の間口方向へそれぞれ案内される。また、各乗場の戸12は、各かごの戸18と係合しながら変位される。これにより、かご出入口15及び乗場出入口8が同時に開閉される。
【0041】
各かごの戸18が戸閉位置にあるときには、各ドアハンガ21がハンガケース25に対向している。このときには、図3に示すように、一方の引き戸レール23が一方のガイド支持装置26によりほぼ均等に支持され、他方の引き戸レール24が他方のガイド支持装置27によりほぼ均等に支持されている。
【0042】
各かごの戸18が戸閉位置から戸開位置へ変位されると、ハンガケース25と対向する位置から各ドアハンガ21が戸開側へ大きくずれる。このとき、各ガイド支持装置26,27によって支持される各引き戸レール23,24の部分の長さは減少するが、各ドアハンガ21からの各引き戸レール23,24の突出部分は各ガイド支持装置26,27の支持の範囲内に残る。これにより、戸開位置へ変位されたときの各かごの戸18の支持が維持される。
【0043】
このようなエレベータのドア装置では、引き戸レール23,24がかごの戸18の戸閉側端部から突出し、ガイド支持装置26,27が引き戸レール23,24を支持しながらかご出入口15の間口方向に沿って案内するので、引き戸レール23,24のかごの戸18から突出する部分をガイド支持装置26,27が支持することにより、ガイド支持装置26,27の支持範囲よりも間口方向外側の位置まで、かごの戸18を変位させることができる。これにより、ガイド支持装置26,27の支持範囲をかごの戸18の変位の範囲よりも小さくすることができ、ガイド支持装置26,27やハンガケース25の寸法をかご出入口15の間口方向について小さくすることができる。即ち、ドア装置の縮小化を図ることができる。従って、建築梁6等の障害物が昇降路1内に存在する場合であっても、ガイド支持装置26,27やハンガケース25が邪魔になりにくくなり、昇降路1内にかご4を配置しやすくすることができる。また、引き戸レール23,24がガイド支持装置26,27によって直接支持されているので、構造を簡素化することができる。これにより、装置の長寿命化を図ることができるとともに、コストの低減化も図ることができる。
【0044】
また、引き戸レール23,24は、複数のガイドローラ28と複数の押さえローラ29との間で支持された状態でかご出入口15の間口方向へ案内されるので、かごの戸18を容易にかつより確実に支持して案内することができる。
【0045】
また、ハンガケース25の寸法は、かご出入口15の間口方向について、かご出入口15の寸法よりも大きく、かつかご4の寸法以下となっているので、ハンガケース25がかご4から突出することを防止することができる。また、ガイド支持装置26,27の設置範囲が極端に小さくなることを防止することができ、ガイド支持装置26,27による引き戸レール23,24の案内が不安定になることを抑制することができる。さらに、ハンガケース25の長さを確保することもでき、ドア駆動装置35や従動プーリ36を設置するスペースを確保することもできる。
【0046】
また、ドアパネル20及び戸の脚22のそれぞれの戸閉側端部は、かご出入口15の間口方向について同位置に配置されているので、かご敷居16の端部よりも間口方向外側の位置までかごの戸18を変位させても、戸の脚22がかご敷居溝17から外れることを防止することができ、戸の脚22がかご敷居溝17に挿入された状態を維持することができる。従って、かごの戸18の変位の範囲よりもかご敷居16の長さを短くすることができ、ドア装置の縮小化をさらに図ることができる。これにより、建築梁6等の障害物が昇降路1内に存在する場合であっても、かご敷居16が邪魔になりにくくなり、昇降路1内にかご4を配置しやすくすることができる。また、かご敷居16の長さを短くすることができるので、製造コスト(例えば材料コスト等)の低減化も図ることができる。
【0047】
また、乗場出入口8を開閉する乗場ドア装置についても、この発明が適用されているので、乗場ドア装置の縮小化も図ることができる。従って、乗場ドア装置の長寿命化も図ることができる。また、製造コストの低減化やエレベータの設置作業の容易化もさらに図ることができる。
【0048】
なお、上記の例では、戸の脚22の寸法が、かごの戸18の幅方向について、ドアパネル20の寸法よりも小さくなっているが、戸の脚22及びドアパネル20のそれぞれの寸法を、かごの戸18の幅方向について同一としてもよい。即ち、ドアパネル20の幅方向の全範囲に渡って戸の脚22を配置してもよい。このようにすれば、戸の脚22がかご敷居溝17に挿入されている領域が大きくなるので、かごの戸18をさらに安定して変位させることができる。
【0049】
また、上記の例では、引き戸レール23,24がガイドローラ28及び押さえローラ29間に挟まれて支持されているが、ガイドローラ28のみによって引き戸レール23,24を支持するようにしてもよい。この場合、レール溝33内にガイドローラ28が配置され、レール溝34内にガイドローラ28が配置される。このようにすれば、各引き戸レール23,24の上下方向の変位がガイドローラ28によって規制されるので、押さえローラ29を用いることなく各引き戸レール23,24を支持することができる。従って、部品点数の削減を図ることができ、コストの低減化をさらに図ることができる。
【0050】
また、上記の例では、かご出入口15を開閉するかごドア装置、及び乗場出入口8を開閉する乗場ドア装置のいずれについても、この発明が適用されているが、乗場ドア装置については、この発明を適用しなくてもよい。
【0051】
また、上記の例では、かごの戸18がドアハンガ21を有し、引き戸レール23,24がドアハンガ21に取り付けられているが、ドアハンガ21を有さないかごの戸18に引き戸レール23,24を取り付けてもよい。
【0052】
即ち、図8は、この発明の実施の形態1によるエレベータのドア装置の他の例を示す分解斜視図である。各かごの戸18は、かご出入口15を開閉するドアパネル(引き戸本体)42と、ドアパネル20の下端部に設けられた戸の脚22とを有している。各かごの戸18が戸閉位置にあるときには、各ドアパネル42の上部がハンガケース25に対向する。一方の引き戸レール23は一方のドアパネル42の上部に設けられ、他方の引き戸レール24は他方のドアパネル42の上部に設けられている。他の構成は上記の例と同様である。このようにしても、上記の例と同様の効果を得ることができるとともに、かごの戸18の部品点数の削減を図ることができる。
【0053】
また、上記の例では、鉄製の建築梁6が障害物として昇降路1内に固定されているエレベータにこの発明が適用されているが、昇降路1内に突出している障害物がコンクリート製の建築梁であっても、この発明をエレベータに適用することができる。
【0054】
即ち、図9はこの発明の実施の形態1によるエレベータの他の例を示す正面図、図10は図9のX-X線に沿った断面図である。昇降路1内には、複数のコンクリート製の建築梁43が突出している。各建築梁43は、建物の高さ方向について互いに間隔を置いて配置されている。各乗場の戸12は、乗場出入口8の上部に設けられたレール(図示せず)に掛けられている。従って、レールの長さは、各乗場の戸12の変位の範囲とほぼ同一の長さとされている。乗場出入口8の下部に設けられた乗場敷居10の長さは、レールの長さとほぼ同一の長さとされている。レール及び乗場敷居のそれぞれの端部は、昇降路1の垂直投影面において、建築梁43と重なっている。他の構成は上記の例と同様である。このように、昇降路1内にコンクリート製の建築梁43が突出するエレベータにこの発明を適用しても、ガイド支持装置26,27やハンガケース25、かご敷居16が邪魔になりにくくなるのは上記の例と同様なので、上記の例と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0055】
4 かご、15 かご出入口(エレベータ出入口)、18 かごの戸、20 ドアパネル(引き戸本体)、22 戸の脚、23,24 引き戸レール、25 ハンガケース(支持部材)、26,27 ガイド支持装置、28 ガイドローラ、29 押さえローラ(アップスラストローラ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ出入口の間口方向へ変位可能で上記エレベータ出入口を開閉する引き戸、
上記引き戸の上部に設けられ、上記引き戸の戸閉側端部から上記エレベータ出入口の間口方向へ突出する引き戸レール、及び
上記エレベータ出入口の上部に設けられ、上記引き戸レールを支持しながら、上記引き戸レールを上記エレベータ出入口の間口方向に沿って案内するガイド支持装置
を備えていることを特徴とするエレベータのドア装置。
【請求項2】
上記ガイド支持装置は、上記エレベータ出入口の間口方向について互いに間隔を置いて配置された複数のガイドローラと、各上記ガイドローラの上方に設けられ、各上記ガイドローラに対して隙間を介してそれぞれ配置された複数の押さえローラとを有し、
上記引き戸レールは、各上記ガイドローラと各上記押さえローラとの間で支持された状態で上記エレベータ出入口の間口方向へ案内されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのドア装置。
【請求項3】
上記エレベータ出入口の下部には、上記エレベータ出入口の間口方向に沿って配置された敷居が設けられており、
上記引き戸は、上記エレベータ出入口を開閉する引き戸本体と、上記引き戸本体の下端部に設けられ、上記敷居の溝に挿入される戸の脚とを有し、
上記戸の脚は、上記引き戸本体の幅方向の全範囲に亘って配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータのドア装置。
【請求項4】
上記エレベータ出入口は、かごに設けられたかご出入口であり、
上記ガイド支持装置は、上記かごに取り付けられた支持部材に設けられており、
上記支持部材の寸法は、上記かご出入口の間口方向について、上記かご出入口の寸法よりも大きく、かつ上記かごの寸法以下となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータのドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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