説明

エレベータの敷居装置

【課題】安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができるエレベータの敷居装置を得る。
【解決手段】敷居延長部材9は、かご敷居本体6の乗場側端部に隣接して設けられている。また、敷居延長部材9は、かごドア2,3の開閉方向に平行に往復動可能である。敷居延長部材9は、リンク機構11を介して第1のかごドア2に連結されている。これにより、敷居延長部材9は、全戸開時にかご出入口の幅の範囲内に位置し、全戸閉時には全戸開時の位置から退避されるように、第1のかごドア2の開閉動作に連動して第1のかごドア2とは逆方向に変位される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、かごと乗場との間の出入口の下部に設けられているエレベータの敷居装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータのかご敷居と乗場敷居との間には、かごの走行時にドア係合装置が通過する隙間を確保する必要があるため、30mm程度の敷居隙間が確保されている。しかし、敷居隙間は、かごが階床に停止しているときには不要であり、全戸開時の敷居隙間の縮小が要求されることがある。このような要求に対して、従来の敷居隙間閉塞装置では、かご床下に格納された閉塞板が全戸開時に乗場側へ向けて突出され、敷居隙間が閉塞される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−143255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来の敷居隙間閉塞装置では、モータにより閉塞板を駆動しているため、専用のモータ及び駆動回路が必要となり、コストが高く、実現が困難であった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができるエレベータの敷居装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータの敷居装置は、出入口の下部に固定された敷居本体、敷居本体の前端部に隣接して設けられ、エレベータドアの開閉方向に平行に往復動可能な敷居延長部材、及び全戸開時に敷居延長部材が出入口の幅の範囲内に位置し、全戸閉時には敷居延長部材が全戸開時の位置から退避されるように、エレベータドアの開閉動作に機械的に連動させて敷居延長部材を変位させる変位機構を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明のエレベータの敷居装置は、敷居延長部材を変位機構によりエレベータドアの開閉動作に機械的に連動させるので、安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータのかご敷居装置を乗場側から見た正面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図1のIII−III線に沿う断面図、図4は図1の要部を矢印IV方向から見た側面図である。
【0009】
図において、かご出入口1は、エレベータドアである第1のかごドア(高速の戸)2及び第2のかごドア(低速の戸)3により開閉される。かご出入口1の幅方向一端部(反戸袋側端部)には、第1の出入口柱4が立設されている。また、かご出入口1の幅方向他端部(戸袋側端部)には、第2の出入口柱5が立設されている。
【0010】
かご出入口1の下部(床部)には、かご敷居本体6が固定されている。かご敷居本体6の上部には、第1のかごドア2の下端部が係合する第1の敷居溝6aと、第2のかごドア3の下端部が係合する第2の敷居溝6bとが設けられている。敷居溝6a,6bは、かごドア2,3の開閉時に、かごドア2,3の下端部の移動を案内する。
【0011】
第1のかごドア2の前面には、一対のベーン7a,7bが互いに平行に固定されている。ベーン7a,7bには、かごが階床に着床した際、乗場ドア装置のドア係合装置である乗場インターロックローラ8(図2)が係合する。これにより、乗場ドアは、かごドア2,3に連動して開閉される。
【0012】
平板状の敷居延長部材9は、かご敷居本体6の乗場側端部(前端部)に隣接して設けられている。また、敷居延長部材9は、かごドア2,3の開閉方向に平行に往復動可能である。さらに、敷居延長部材9の上面及び下面は、かご敷居本体6の上面及び下面とそれぞれ面一である。
【0013】
かご敷居本体6には、敷居延長部材9の往復動を案内する延長部材案内溝6cが設けられている。敷居延長部材9には、延長部材案内溝6cに係合する複数の案内部材10が敷居延長部材9の長さ方向に互いに間隔をおいて取り付けられている。案内部材10としては、延長部材案内溝6c内を転動するローラ、又は延長部材案内溝6c内を摺動する摺動部材を用いることができる。
【0014】
延長部材案内溝6cの敷居延長部材9側の開口幅は、案内部材10の高さ寸法よりも小さくなっており、これにより案内部材10及び敷居延長部材9の乗場側への変位は規制されている。従って、敷居延長部材9は、かご敷居本体6の乗場側端面に接合したまま往復動される。
【0015】
敷居延長部材9は、変位機構であるリンク機構11を介して第1のかごドア2に連結されている。これにより、敷居延長部材9は、第1のかごドア2の開閉動作に連動して第1のかごドア2とは逆方向に変位される。
【0016】
具体的には、敷居延長部材9は、全戸開時に、図5及び図6に示すように、かご出入口1の幅の範囲内に位置する。これに対して、全戸閉時には、敷居延長部材9は、図1及び図2に示すように全戸開時よりも戸袋側に位置する。即ち、敷居延長部材9は、全戸開時には、かご出入口1の幅の範囲内でかご敷居本体6と乗場敷居との間に位置し、実質的な敷居隙間寸法を縮小させる。また、全戸閉時には、敷居延長部材9は、かごが昇降しても乗場インターロックローラ8と干渉しない位置まで戸袋側へ退避される。
【0017】
リンク機構11は、軸12を中心に回動可能にかごに取り付けられた第1のリンク13、第1のリンク13と第1のかごドア2とを連結する第2のリンク14、及び第1のリンク13と敷居延長部材9とを連結する第3のリンク15を有している。
【0018】
第1のリンク13の一端部は、第2のリンク14の一端部にピン16を介して回動自在に連結されている。第2のリンク14の他端部は、第1のかごドア2にピン17を介して回動自在に連結されている。第1のリンク13の他端部は、第3のリンク15の一端部にピン18を介して回動自在に連結されている。第3のリンク15の他端部は、敷居延長部材9にピン19を介して回動自在に連結されている。
【0019】
このようなエレベータの敷居装置によれば、敷居延長部材9がリンク機構11によりかごドア2の開閉動作に機械的に連動して変位されるので、安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができる。また、ドア係合装置の種類によらず、かごの走行中にドア係合装置と敷居延長部材9とが接触することはない。従って、既設のエレベータに適用する場合にも、ドア係合装置の取り替えは不要である。また、乗場敷居の改造は不要であるため、階床数の増加によってコストが高くなることもない。
【0020】
実施の形態2.
次に、図7はこの発明の実施の形態2によるエレベータの敷居装置の要部を示す側面図であり、図1の矢印IV方向から見た図に相当する。この例では、敷居延長部材9の上部に固定された取付金21を介して第3のリンク15が敷居延長部材9に連結されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このように、取付金21を介してリンク機構11を敷居延長部材9に連結してもよく、安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができる。
【0021】
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3によるエレベータの敷居装置の要部断面図であり、図1のIII−III断面に相当する。図において、かご敷居本体6には、敷居延長部材9の往復動を案内する延長部材案内溝6dが設けられている。延長部材案内溝6dの断面形状は、単なる矩形である。敷居延長部材9には、延長部材案内溝6dに挿入される凸部9aが設けられている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このように、単なる凹凸の組み合わせにより敷居延長部材9を案内するようにしてもよく、構成を簡単にすることができる。
【0022】
実施の形態4.
図9はこの発明の実施の形態4によるエレベータの敷居装置の要部断面図であり、図1のIII−III断面に相当する。図において、かご敷居本体6には、敷居延長部材9の往復動を案内する延長部材案内凸部(レール)6eが設けられている。延長部材案内凸部6eは、かごドア2,3の開閉方向に平行に連続して設けられている。敷居延長部材9には、延長部材案内凸部6eが挿入される係合溝9bが設けられている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このように、かご敷居本体6側を凸形状、敷居延長部材9側を凹形状としてもよい。
【0023】
実施の形態5.
図10はこの発明の実施の形態5によるエレベータの敷居装置の要部断面図であり、図1のIII−III断面に相当する。図において、延長部材案内溝6dの底面には、上方へ突出する下部係合レール6fが設けられている。下部係合レール6fは、かごドア2,3の開閉方向に平行に連続して設けられている。また、凸部9aには、下部係合レール6fに係合する下部係合溝9bが設けられている。他の構成は、実施の形態3と同様である。
このような構成により、敷居延長部材9をより安定して往復動させることができる。
【0024】
実施の形態6.
図11はこの発明の実施の形態6によるエレベータの敷居装置の要部断面図であり、図1のIII−III断面に相当する。図において、延長部材案内溝6dの上面には、下方へ突出する上部係合レール6gが設けられている。上部係合レール6gは、かごドア2,3の開閉方向に平行に連続して設けられている。また、凸部9aには、上部係合レール6gに係合する上部係合溝9cが設けられている。他の構成は、実施の形態3と同様である。
このような構成により、敷居延長部材9をより安定して往復動させることができる。
【0025】
実施の形態7.
図12はこの発明の実施の形態7によるエレベータの敷居装置の要部断面図であり、図1のIII−III断面に相当する。この例では、延長部材案内溝6dに下部係合レール6f及び上部係合レール6gの両方が設けられている。これに対応して、凸部9aには、下部係合溝9b及び上部係合溝9cの両方が設けられている。他の構成は、実施の形態3と同様である。
このような構成により、敷居延長部材9をより安定して往復動させることができる。
【0026】
実施の形態8.
次に、図13はこの発明の実施の形態8によるエレベータの敷居装置の要部断面図であり、図1のIII−III断面に相当する。図において、かご敷居本体6には、敷居延長部材9の往復動を案内する延長部材案内溝6hが設けられている。延長部材案内溝6hは、かご敷居本体6の下面に開口している。
【0027】
敷居延長部材9には、延長部材案内溝6hに係合する複数の案内部材22が敷居延長部材9の長さ方向に互いに間隔をおいて取り付けられている。各案内部材22は、延長部材案内溝6hに挿入された断面T字形の係合部22aを有している。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0028】
このように、かご敷居本体6及び敷居延長部材9の下面側に配置される案内部材22を用いてもよく、安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができる。
【0029】
実施の形態9.
図14はこの発明の実施の形態9によるエレベータの敷居装置の要部を示す側面図であり、図1の矢印IV方向から見た図に相当する。この例では、実施の形態8の案内部材22に断面コ字形の延長部材保持部22bが形成されており、延長部材保持部22bの内側に敷居延長部材9が保持されている。また、延長部材保持部22bの上部には、実施の形態2と同様の取付金21を介して第3のリンク15が連結されている。他の構成は、実施の形態8と同様である。
このような構成によっても、安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができる。
【0030】
実施の形態10.
次に、図15はこの発明の実施の形態10によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図、図16は図15の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図である。図において、ベーン7bは、ベーン7aとの間の間隔が変化する方向へ可変である。ベーン7bには、第1及び第2のベーン駆動リンク23,24が連結されている。リンク機構11は、第1のベーン駆動リンク23と敷居延長部材9との間に連結されている。即ち、第2のリンク14の他端部は、第1のベーン駆動リンク23の中間部にピン17を介して回動自在に連結されている。
【0031】
このように、実施の形態10では、リンク機構11は、第1のかごドア2の開閉動作を敷居延長部材9に直接伝達するのではなく、第1のかごドア2の開閉動作に伴うベーン駆動リンク23,24の変位を敷居延長部材9に伝達する。このような構成によっても、安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができる。
【0032】
なお、敷居延長部材をエレベータドアの開閉動作に連動させるためには、例えばエレベータドアの駆動リンク又は駆動プーリ等の部材と敷居延長部材との間にリンク機構を連結してもよい。
【0033】
実施の形態11.
次に、図17はこの発明の実施の形態11によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図、図18は図17のXVIII−XVIII線に沿う断面図、図19は図17の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図、図20は図19のXX−XX線に沿う断面図である。
【0034】
図において、かご敷居本体6の乗場側端面には、全戸開時に敷居延長部材9の反戸袋側端部に隣接するように、かつ全戸閉時に乗場インターロックローラ8との干渉を避けるように、固定延長部材25が固定されている。固定延長部材25は、かごドア2,3の開閉状態によらずかご敷居本体6に固定したままであり、かご敷居本体6に一体に形成することも可能である。また、固定延長部材25の上面は、かご敷居本体6の上面と面一である。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0035】
このような固定延長部材25を用いることにより、可動の敷居延長部材9の長さを短縮することができ、敷居延長部材9の移動量を小さくすることができる。
【0036】
なお、実施の形態1〜11では、かご敷居装置について説明したが、乗場ドア又は乗場ドアの駆動に関連する部材と敷居延長部材との間をリンク機構で連結することにより、この発明は乗場敷居装置にも適用できる。
【0037】
実施の形態12.
次に、図21はこの発明の実施の形態12によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図、図22は図21のXXII−XXII線に沿う断面図、図23は図21の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図、図24は図23のXXIV−XXIV線に沿う断面図である。
【0038】
図において、かご出入口1の上部には、支持部材31が固定されている。支持部材31には、かごドア2,3の開閉を案内するドアレール(図示せず)が設けられている。かごドア2,3は、ドアハンガ32,33を介してドアレールに吊り下げられている。ドアハンガ32,33には、ドアレールに沿って転動される複数のハンガローラ(図示せず)が設けられている。
【0039】
かごの上部には、かごドア2,3を駆動するドアモータ34が設けられている。ドアモータ34の駆動力は、駆動用ベルト35等のベルトや複数のプーリを含む開閉伝達機構を介してかごドア2,3に伝達される。また、ドアモータ34の駆動力は、変位機構36を介して敷居延長部材9に伝達される。
【0040】
変位機構36は、第1ないし第3の伝達ベルト37〜39、第1ないし第5の伝達プーリ40〜44、延長部材駆動ギヤ45及びラック46を有している。伝達プーリ40〜44は、ドアモータ34の回転軸と平行、即ち水平な回転軸を中心として回転される。
【0041】
第1の伝達ベルト37は、ドアモータ34に直結されたプーリ34aと第1の伝達プーリ40との間に巻かれている。第2の伝達プーリ41は、第1の伝達プーリ40と同軸に設けられ、第1の伝達プーリ40と一体に回転する。
【0042】
第2の伝達ベルト38は、第2の伝達プーリ41と第3の伝達プーリ42との間に巻かれている。第4の伝達プーリ43は、第3の伝達プーリ42と同軸に設けられ、第3の伝達プーリ42と一体に回転する。
【0043】
第3の伝達ベルト39は、第4の伝達プーリ43と第5の伝達プーリ44との間に巻かれている。延長部材駆動ギヤ45は、第5の伝達プーリ44と同軸に設けられ、第5の伝達プーリ44と一体に回転する。ラック46は、敷居延長部材9の下部に設けられ、延長部材駆動ギヤ45と噛み合っている。
【0044】
敷居延長部材9は、変位機構36により、かごドア2,3の開閉動作に連動してかごドア2,3とは逆方向に変位される。具体的には、敷居延長部材9は、全戸開時に、図23及び図24に示すように、かご出入口1の幅の範囲内に位置する。これに対して、全戸閉時には、敷居延長部材9は、図21及び図22に示すように全戸開時よりも戸袋側に位置する。即ち、敷居延長部材9は、全戸開時には、かご出入口1の幅の範囲内でかご敷居本体6と乗場敷居との間に位置し、実質的な敷居隙間寸法を縮小させる。また、全戸閉時には、敷居延長部材9は、かごが昇降しても乗場インターロックローラ8と干渉しない位置まで戸袋側へ退避される。
【0045】
このようなエレベータの敷居装置によれば、敷居延長部材9が変位機構36によりかごドア2,3の開閉動作に機械的に連動して変位されるので、安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができる。また、ドア係合装置の種類によらず、かごの走行中にドア係合装置と敷居延長部材9とが接触することはない。従って、既設のエレベータに適用する場合にも、ドア係合装置の取り替えは不要である。また、乗場敷居の改造は不要であるため、階床数の増加によってコストが高くなることもない。
【0046】
実施の形態13.
次に、図25はこの発明の実施の形態13によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図、図26は図25のXXVI−XXVI線に沿う断面図、図27は図25の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図、図28は図27のXXVIII−XXVIII線に沿う断面図である。
【0047】
図において、変位機構36は、第1及び第2の伝達ベルト37,38、第1ないし第3の伝達プーリ40〜42、伝達ギヤ47、延長部材駆動ギヤ45及びラック46を有している。伝達ギヤ47は、第3の伝達プーリ42と同軸に設けられ、第3の伝達プーリ42と一体に回転する。また、伝達ギヤ47は、延長部材駆動ギヤ45と噛み合っている。即ち、実施の形態13では、第3の伝達プーリ42から延長部材駆動ギヤ45への駆動力の伝達が伝達ギヤ47により行われる。また、ラック46は、敷居延長部材9の上部に設けられている。他の構成は、実施の形態12と同様である。
【0048】
このように、駆動力の伝達の一部を、プーリとベルトとの組み合わせに代えて、伝達ギヤ47により行ってもよく、敷居延長部材9をかごドア2,3の開閉に機械的に連動させることができる。
【0049】
実施の形態14.
次に、図29はこの発明の実施の形態14によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図、図30は図29のXXX−XXX線に沿う断面図、図31は図29の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図、図32は図31のXXXII−XXXII線に沿う断面図である。
【0050】
図において、変位機構36は、第1ないし第3の伝達ベルト37〜39、第1ないし第5の伝達プーリ40〜44、一対の連動プーリ48a,48b、ロープ49及び接続部材50を有している。第3のベルト39は、中間部が交差するように第4の伝達プーリ43と第5の伝達プーリ44との間に巻かれている。これにより、第5の伝達プーリ44は、第4の伝達プーリ43とは逆方向へ回転される。
【0051】
連動プーリ48aは、第5の伝達プーリ44と同軸に設けられ、第5の伝達プーリ44と一体に回転する。連動プーリ48a,48bは、かご出入口1の幅方向に互いに間隔をおいて配置されている。ロープ49は、連動プーリ48a,48b間に巻かれている。ロープ49の両端部は、接続部材50を介して敷居延長部材9の下部に接続されている。他の構成は、実施の形態12と同様である。
【0052】
このような敷居装置では、ドアモータ34の駆動力が伝達されて連動プーリ48aが回転されることにより、ロープ49が循環され、敷居延長部材9が変位される。即ち、第5の伝達プーリ44から敷居延長部材9への駆動力の伝達は、連動プーリ48a,48b及びロープ49により行ってもよく、敷居延長部材9をかごドア2,3の開閉に機械的に連動させることができる。
【0053】
ここで、図33は図21のロープ49の敷居延長部材9への接続構造の第1の例を示す断面図、図34は図21のロープ49の敷居延長部材9への接続構造の第2の例を示す断面図である。第1の例では、接続部材50が敷居延長部材9の下部に取り付けられているので、接続部材50の敷居延長部材9への取付が容易である。また、第2の例では、ロープ49が延長部材案内溝6c内に配置されているので、全体をコンパクトに構成することができる。
【0054】
実施の形態15.
次に、図35はこの発明の実施の形態15によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図、図36は図35のXXXVI−XXXVI線に沿う断面図、図37は図35の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図、図38は図37のXXXVIII−XXXVIII線に沿う断面図である。
【0055】
図において、かご敷居本体6の乗場側端面には、全戸開時に敷居延長部材9の反戸袋側端部に隣接するように、かつ全戸閉時に乗場インターロックローラ8との干渉を避けるように、固定延長部材25が固定されている。他の構成は、実施の形態12と同様である。即ち、実施の形態15は、実施の形態11で示した固定延長部材25を実施の形態12に適用した例である。
【0056】
このような固定延長部材25を用いることにより、可動の敷居延長部材9の長さを短縮することができ、敷居延長部材9の移動量を小さくすることができる。
【0057】
なお、実施の形態12〜15では、かご敷居装置について説明したが、乗場側に乗場ドアを駆動するドアモータがある場合、この発明は乗場敷居装置にも適用できる。
【0058】
実施の形態16.
次に、図39はこの発明の実施の形態16によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図、図40は図39のXXXX−XXXX線に沿う断面図、図41は図39の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図、図42は図41のXXXXII−XXXXII線に沿う断面図である。
【0059】
図において、かご敷居本体6の長手方向両端部近傍には、一対の連動プーリ51,52が配置されている。連動プーリ51,52は、鉛直な回転軸を中心として回転される。連動プーリ51,52間には、無端状のロープ53が巻かれている。ロープ53の一側は、第2の敷居溝6b内を通されており、第1及び第2の接続部53a,53bで第2のかごドア3の下端部(戸の脚)に接続されている。これにより、ロープ53は、第2のかごドア3の開閉動作に連動して循環される。
【0060】
また、ロープ53の他側は、敷居延長部材9に接続されている。ロープ53の敷居延長部材9への接続構造は、図33又は図34と同様である。実施の形態16の変位機構54は、連動プーリ51,52、ロープ53及び接続部材50(図33、図34)を有している。
【0061】
このようなエレベータの敷居装置によれば、敷居延長部材9が変位機構54によりかごドア2,3の開閉動作に機械的に連動して変位されるので、安価で簡単な構成により全戸開時の敷居隙間寸法を縮小することができる。また、ドア係合装置の種類によらず、かごの走行中にドア係合装置と敷居延長部材9とが接触することはない。従って、既設のエレベータに適用する場合にも、ドア係合装置の取り替えは不要である。また、乗場敷居の改造は不要であるため、階床数の増加によってコストが高くなることもない。
【0062】
なお、実施の形態16では、かご敷居装置について説明したが、この発明は乗場敷居装置にも適用できる。
また、実施の形態1〜16では、片開き式のドア装置を示したが、この発明は、両開き式のドア装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータの敷居装置を乗場側から見た正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1の要部を矢印IV方向から見た側面図である。
【図5】図1のかご敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるエレベータの敷居装置の要部を示す側面図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるエレベータの敷居装置の要部断面図である。
【図9】この発明の実施の形態4によるエレベータの敷居装置の要部断面図である。
【図10】この発明の実施の形態5によるエレベータの敷居装置の要部断面図である。
【図11】この発明の実施の形態6によるエレベータの敷居装置の要部断面図である。
【図12】この発明の実施の形態7によるエレベータの敷居装置の要部断面図である。
【図13】この発明の実施の形態8によるエレベータの敷居装置の要部断面図である。
【図14】この発明の実施の形態9によるエレベータの敷居装置の要部を示す側面図である。
【図15】この発明の実施の形態10によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図である。
【図16】図15の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図である。
【図17】この発明の実施の形態11によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図である。
【図18】図17のXVIII−XVIII線に沿う断面図である。
【図19】図17の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図である。
【図20】図19のXX−XX線に沿う断面図である。
【図21】この発明の実施の形態12によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図である。
【図22】図21のXXII−XXII線に沿う断面図である。
【図23】図21の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV線に沿う断面図
【図25】この発明の実施の形態13によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図である。
【図26】図25のXXVI−XXVI線に沿う断面図である。
【図27】図25の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図である。
【図28】図27のXXVIII−XXVIII線に沿う断面図である。
【図29】この発明の実施の形態14によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図である。
【図30】図29のXXX−XXX線に沿う断面図である。
【図31】図29の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図である。
【図32】図31のXXXII−XXXII線に沿う断面図である。
【図33】図21のロープの敷居延長部材への接続構造の第1の例を示す断面図である。
【図34】図21のロープの敷居延長部材への接続構造の第2の例を示す断面図である。
【図35】この発明の実施の形態15によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図である。
【図36】図35のXXXVI−XXXVI線に沿う断面図である。
【図37】図35の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図である。
【図38】図37のXXXVIII−XXXVIII線に沿う断面図である。
【図39】この発明の実施の形態16によるエレベータの敷居装置の全戸閉時の状態を示す正面図である。
【図40】図39のXXXX−XXXX線に沿う断面図である。
【図41】図39の敷居装置の全戸開時の状態を示す正面図である。
【図42】図41のXXXXII−XXXXII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 かご出入口、2 第1のかごドア(エレベータドア)、3 第2のかごドア(エレベータドア)、6 かご敷居本体、6c,6d,6e,6h 延長部材案内溝、9 敷居延長部材、10,22 案内部材、11 リンク機構、25 固定延長部材、34 ドアモータ、36,54 変位機構、37〜39 伝達ベルト、40〜44 伝達プーリ、51,52 連動プーリ、53 ロープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口の下部に固定された敷居本体、
上記敷居本体の前端部に隣接して設けられ、エレベータドアの開閉方向に平行に往復動可能な敷居延長部材、及び
全戸開時に上記敷居延長部材が上記出入口の幅の範囲内に位置し、全戸閉時には上記敷居延長部材が全戸開時の位置から退避されるように、上記エレベータドアの開閉動作に機械的に連動させて上記敷居延長部材を変位させる変位機構
を備えていることを特徴とするエレベータの敷居装置。
【請求項2】
上記敷居本体には、上記敷居延長部材の往復動を案内する延長部材案内溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの敷居装置。
【請求項3】
上記敷居延長部材には、上記延長部材案内溝に係合する案内部材が取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のエレベータの敷居装置。
【請求項4】
上記変位機構は、上記エレベータドアの開閉動作に伴って変位する部材と上記敷居延長部材との間に連結されているリンク機構であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータの敷居装置。
【請求項5】
上記変位機構は、上記エレベータドアを開閉させるドアモータの駆動力を上記敷居延長部材に伝達することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータの敷居装置。
【請求項6】
上記変位機構は、複数の伝達ベルト及び複数の伝達プーリを有することを特徴とする請求項5記載のエレベータの敷居装置。
【請求項7】
上記変位機構は、一対の連動プーリと、上記連動プーリ間に巻かれているとともに、上記エレベータドアの下端部及び上記敷居延長部材に接続され、上記エレベータドアの開閉動作を上記敷居延長部材に伝達するロープとを有していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータの敷居装置。
【請求項8】
全戸開時に上記敷居延長部材の反戸袋側端部に隣接するように上記敷居本体の前端面に固定されている固定延長部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜請求項7までのいずれか1項に記載のエレベータの敷居装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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