説明

エレベータドアの安全装置

【課題】 広域エリアの乗客の動きを見ながら、ドア閉時の乗客の安全を確保する。
【解決手段】 乗りかご1のかごドア上方の上枠3に設けられ、当該かごドア近傍の限られた危険検出エリア16及び要注意検出エリア17にわたる広域エリアの画像を取り込んで集光させる撮影レンズ7aと、この撮影レンズで集光された広域エリアの画像を撮影するカメラ7b,7cと、エレベータドア5(かごドア・乗場ドア)の開閉時に前記カメラで撮影されたフレーム画像データを取り込んで、前記要注意検出エリアに相当するエリアをマスク処理し、前記危険検出エリア内のフレーム画像データに乗客が存在するとき、反転処理を実行するエレベータ制御装置11とを備えたエレベータドアの安全装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、エレベータドア開閉時に乗降する乗客の安全を確保するエレベータドアの安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータには、乗りかごに乗る乗客の安全を確保するために、エレベータドアの安全装置が設けられている。
【0003】
従来の一般的なエレベータドアの安全装置は、エレベータドア近傍に複数個の検知センサ(例えば光電センサ)などが配列され、エレベータドアの閉時に光電センサにてエレベータドア近辺に居る乗客を検知し、エレベータドアに挟まれそうな状態にあるとき、乗りかご上部に搭載されるドア制御装置にドア開指示を出し、反転処理(ドア開動作)を行わせることにより、乗客の安全を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−232455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の一般的なエレベータドアの安全装置では、乗客のドア引き込みやドアに挟まれる可能性の有無を検知することから、エレベータドア近辺に乗客が居るか否か、つまり限られた狭いエリアに乗客が居るか否かを見るものである。
【0006】
その結果、実際には、乗客がエレベータドア近辺に居なくても、急いでエレベータドアに近づいてくるなど、乗降する乗客の移動速度によって危険な状態となりうることが考えられるが、現状では限られたエリアだけを見ているので、その狭いエリアから外れた乗客の状態を全く把握できず、危険な状態を予測することが難しい。
【0007】
この発明の実施形態としては、以上のような問題を解決するためになされたもので、広域エリアの乗客の動きを見ながら、危険な状態を判断し、乗客の安全を確保するエレベータドアの安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、1つの実施形態によれば、エレベータの乗りかごに乗降する乗客の安全を確保するエレベータドアの安全装置において、前記乗りかごのかごドア上方の上枠に設けられ、当該かごドア近傍の限られた危険検出エリア及び要注意検出エリアにわたる広域エリアの画像を取り込んで集光させる撮影レンズと、この撮影レンズで集光された広域エリアの画像を撮影するカメラと、エレベータドア(かごドア・乗場ドア)の開閉時に前記カメラで撮影されたフレーム画像データを取り込んで、前記要注意検出エリアに相当するエリアをマスク処理し、前記危険検出エリア内のフレーム画像データに乗客が存在するとき、反転動作を実行するエレベータ制御手段とを備えたエレベータドアの安全装置である。
【0009】
また、別の実施形態によれば、乗りかごのかごドア上方の上枠に設けられ、当該かごドア近傍の限られた危険検出エリア及び要注意検出エリアにわたる広域エリアの画像を取り込んで集光させる撮影レンズと、この撮影レンズで集光された広域エリアの画像を撮影するカメラと、前記エレベータドアのドア開後にカメラで撮影されたフレーム画像データを取り込んで、前記要注意検出エリアから前記危険検出エリアに移動する乗客の画像から危険な状態と判断したとき、反転処理を実行するエレベータ制御手段とを備えたエレベータドアの安全装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るエレベータドアの安全装置が適用される乗りかご内部からかごドア側を見た図。
【図2】一実施形態に係るエレベータドアの安全装置を示す全体構成図。
【図3】広域エリアの画像を撮影レンズで取り込んで集光し、監視カメラに結像させるイメージ図。
【図4】乗客が広域エリアを動いている状態を説明する図。
【図5】エレベータ制御装置の一構成例を説明する機能ブロック図。
【図6】図5に示すエレベータ制御装置の動作手順を概略的に説明する図。
【図7】エレベータ制御装置の別の構成例を説明する機能ブロック図。
【図8】図7に示すエレベータ制御装置の動作手順を概略的に説明する図。
【図9】エレベータドアを反転処理する場合の一事例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2は一実施形態に係るエレベータドアの安全装置を説明する図である。図1は乗りかごの内側からかごドア側を見た図、図2はエレベータドアの安全装置を示す構成図である。
【0012】
図1において、1は乗りかご、2は乗りかご1の中央両サイドに立設される縦枠、3は両縦枠2,2の上部に跨る上枠、4は両縦枠2,2の下部に跨る下枠、5aはかごドア、6はかご操作パネルである。
【0013】
上枠3略中央の下面部には所定の広いエリアにわたる画像を撮影する撮像手段7が取り付けられている。
【0014】
さらに、乗りかご1の上部などにはかごドア5aa及び乗場ドア5b(図4参照)からなるエレベータドア5(図4参照)を開閉動作させるドア制御装置8が搭載されている。
【0015】
エレベータドアの安全装置は図2に示すように、撮像手段7と、エレベータ制御装置11と、フレーム画像データを順次格納するデータベース12と、乗りかご1上部のドア制御装置8と、エレベータドア5とで構成される。
【0016】
撮像手段7は、乗りかご1のエレベータドア5内外の広いエリアからの光画像を取り込んで所定方向(カメラ撮影方向)に集光させる撮影レンズ7aと、この撮影レンズ7aを介して集められた光画像を予め定めるフレームレートに従って撮影するCCD,C−MOS等の撮像素子などを備えた監視カメラ7bと、監視カメラ7bで撮像されたフレーム画像データを順次伝送する監視カメラ7b内のフレーム画像伝送制御部7cとが設けられている。
【0017】
撮影レンズ7aは、図3に示すように球状の反射鏡、凹面鏡、球状レンズ、反射形集光レンズ或いは透過形集光レンズ等と呼ばれる集光機能を有するものが用いられ、図4に示すように例えば従来の限られた狭い危険検出エリア(必須検出エリア)16だけでなく、例えば危険検出エリア(必須検出エリア)16を囲む乗りかご1内外を含む要注意検出エリア(拡大検出エリア)17から発する光画像を取り込んで集光させる機能を有する。なお、図4において、9は三方枠、10(A),10(B),10(C)は乗客の画像である。
【0018】
エレベータ制御装置11は、乗場呼びやかご呼びに対する呼び登録階(目的階)にエレベータを運行制御するが、本実施形態との関係では、予め定めるフレームレートに従って撮影する撮像手段7からのフレーム画像データを取り込んだ後、検出不要エリアをマスク処理しつつ、フレーム画像データを順次データベース12に格納し、検出エリア内の乗客の有無を判断し、例えばドア閉時に検出エリア内に乗客有りの場合には反転処理を実行する。なお、具体的な動作説明は後記する。
【0019】
ドア制御装置8は、エレベータ制御装置11からのドア開指令またはドア閉指令に従って、エレベータドア5を開閉制御する。
【0020】
次に、乗客が図4に示す危険検出エリア(必須検出エリア)16内に居て危険な状態であると判断したときの処理例について、図5及び図6を参照して説明する。
【0021】
図5はエレベータ制御装置11の機能的なブロック構成図である。
【0022】
エレベータ制御装置11は、呼び登録階にエレベータ号機を運行制御する運行制御手段111と、ドア開時に撮像手段7から取り込んだフレーム画像データのうち、例えば要注意検出エリア(拡大検出エリア)17の画像をマスク処理するドア開時不要エリア画像マスク処理手段112と、このドア開時のマスク処理後のフレーム画像データから危険検出エリア16に乗客が存在するか否かを検出する第1の乗客有無検出手段113とが設けられ、さらに、ドア閉時不要エリア画像マスク処理手段114、第2の乗客有無検出手段115及びドア反転処理手段116が設けられている。
【0023】
ドア閉時不要エリア画像マスク処理手段114は、ドア閉時に撮像手段7から取り込んだフレーム画像データのうち、例えば要注意検出エリア(拡大検出エリア)17の画像をマスク処理する機能を有する。
【0024】
第2の乗客有無検出手段115は、ドア閉時のマスク処理後のフレーム画像データから危険検出エリア16に乗客が存在するか否かを検出する。ドア反転処理手段116は、危険検出エリア16に乗客が居ると検出したときに反転処理(例えばドア開動作)を実行するものである。
【0025】
以下、以上のような構成のエレベータ制御装置11を備えたエレベータドアの安全装置の動作手順の概要について、図6を参照して説明する。
【0026】
エレベータ制御装置11は、動作を開始すると、運行制御手段111を実行する。運行制御手段111は、かご呼びや乗場呼びに基づく呼び登録がなされているか否かを判断し(S1)、呼び登録有りの場合には呼び登録階(目的階)に向かって運行制御する(S2)。乗りかご1が呼び登録階に着床すると(S3)、ドア制御装置8にドア開指令を送信するとともに、撮影手段6にカメラ起動指令を送信し(S4,S5)、引き続き、ドア開時不要エリア画像マスク処理手段112を実行する。なお、ドア開指令とカメラ起動指令の送信タイミングは逆であってもよい。
【0027】
なお、ドア制御装置8は、ドア開指令を受けると、エレベータドア5を開放する。一方、撮影手段7は、カメラ起動指令を受けると、フレームレートに従って従来から限られた狭い危険検出エリア16及び乗りかご1内の要注意検出エリア17にわたる広域エリアの画像を撮影レンズ7aで反射させつつ集めて監視カメラ7bに結像させて撮影する。
【0028】
エレベータ制御装置11のドア開時不要エリア画像マスク処理手段112は、例えば監視カメラ7b内のフレーム画像伝送制御部7cからフレーム画像データが送られ、あるいはフレーム画像伝送制御部7cからフレーム画像データを取り込み、要注意検出エリア17に相当する不要エリアをマスク処理し、危険検出エリア16内のフレーム画像データだけをデータベース12に順次格納していく(S6)。このとき、エレベータ制御装置11は、エレベータドア5が開動作中であることを把握している。
【0029】
ここで、エレベータ制御装置11は第1の乗客有無検出手段113を実行する。第1の乗客有無検出手段113は、ドア開時のマスク処理後のフレーム画像データと乗客の例えば頭部パターンとのパターンマッチングにより順次危険検出エリア16に乗客の有無を判断していく(S7)。ここで、乗客有りと判断すると、乗客がエレベータドア5に引き込まれる可能性があるので、反転処理(ドア開停止)指令をドア制御装置8に送信し、エレベータドア5の現在開動作中を停止保持させつつ(S8)、ステップS6に戻り、ドア開時のマスク処理後のフレーム画像データから乗客が危険検出エリア16内に居なくなるまでドア開保持を続ける(反転処理手段116)。
【0030】
そこで、乗客が危険検出エリア16内に居なくなったことを確認し、ドアが完全に開いたことを確認すると、ドア閉時不要エリア画像マスク処理手段114を実行する。
【0031】
ドア閉時不要エリア画像マスク処理手段114は、ドア制御装置8にドア閉指令を送信した後(S9)、前述同様にフレームレートに従って撮影されたフレーム画像データを取り込み、要注意検出エリア17に相当する不要エリアをマスク処理し、危険検出エリア16内のフレーム画像データだけをデータベース12に順次格納していく(S10)。このとき、エレベータ制御装置11は、エレベータドア5が閉動作中であることを把握している。
【0032】
さらに、エレベータ制御装置11は第2の乗客有無検出手段115を実行する。この第2の乗客有無検出手段115は、ドア閉時のマスク処理後のフレーム画像データと乗客の例えば頭部パターンとのパターンマッチングにより順次危険検出エリア16に乗客が存在するか否かを検出していく(S11)。ここで、乗客有りと判断したとき、反転処理を実行する(反転処理手段)。すなわち、ステップS4に戻ってドア反転動作,つまりドア開指令をドア制御装置8に送信し、ドア開動作を実行する。
【0033】
一方、ステップS11にて、乗客が危険検出エリア16から居なくなり、かつ、ドアが完全に閉じたとき、フレーム画像データを消去する(S12)。そして、継続処理であれば(S13)、ステップS1に戻って同様の処理を繰り返し実行する。
【0034】
従って、以上のような実施形態によれば、かごドア近傍の限られた狭い危険検出エリア16及び要注意検出エリア17にわたる広域エリアの画像を撮影レンズ7aにより取り込んで集光させ、監視カメラ7bにて撮影した後、その撮影されたフレーム画像データを取り込んで、要注意検出エリアに相当するエリアをマスク処理した後、危険検出エリア内のフレーム画像データに乗客が存在するとき、反転処理を実行するので、必要に応じて広域エリアのフレーム画像データに乗客が存在するか、或いは危険検出エリアだけに絞って乗客の有無を調べることができる。
【0035】
また、エレベータ制御装置11は、図5に示すような構成とすることにより、エレベータドア5の開時及び閉時の何れでも、危険検出エリア内のフレーム画像データに乗客が存在するとき、反転処理(ドア開停止保持・ドア開動作)を実行し、乗客のドア引き込みや挟まれるのを容易に回避することができる。
【0036】
次に、乗客が図4に示す危険検出エリア(必須検出エリア)16及び要注意検出エリア(拡大検出エリア)17内に居て危険な状態にあると判断したときの処理例について、図7ないし図9を参照して説明する。
【0037】
図7はエレベータ制御装置11の機能的なブロック構成図である。
【0038】
エレベータ制御装置11は、呼び登録階にエレベータ号機を運行制御する運行制御手段121と、ドア開後予め定めるフレームレートに従って撮像手段7で撮影したフレーム画像データを収集するフレーム画像収集手段122と、要注意検出エリア(拡大検出エリア)17内の乗客の移動方向や移動速度から危険の可能性を判断する危険判断手段123と、遅い乗客の移動速度から特定の乗客(例えばお年寄りや小さな子供など)に対する危険の可能性を判断する特定乗客危険判断手段124と、何れの判断手段123,124で危険ないし特定の乗客と判断したときに反転処理(例えばドア開動作等)を行う反転処理手段125とで構成されている。
【0039】
次に、以上のような構成のエレベータ制御装置11を備えたエレベータドアの安全装置における処理動作の概要について、図8及び図9を参照して説明する。
【0040】
エレベータ制御装置11は、動作を開始すると、運行制御手段121を実行する。運行制御手段111は、かご呼びや乗場呼びに基づく呼び登録がなされているか否かを判断し(S21)、呼び登録有りの場合には呼び登録階(目的階)に向かって運行制御する(S22)。乗りかご1が呼び登録階に着床すると(S23)、ドア制御装置8にドア開指令を送信した後(S24)、フレーム画像収集手段122を実行する。
【0041】
フレーム画像収集手段122は、ドアが完全に開状態になったことを判断すると(S25)、カメラ起動指令を送信するとともに、ドア閉指令を送信した後(S26,S27)、フレームレートに従って撮像手段7で撮影したフレーム画像データをフレーム画像伝送制御部7cから受け取り、またはフレーム画像伝送制御部7cから取り込み、データベース12に順次格納し(S28)、危険判断手段123及び特定乗客危険判断手段124を実行する。
【0042】
危険判断手段123は、前回収集したフレーム画像データと乗客の例えば頭部パターンとのパターンマッチングにより検出エリア17内に図9に示すように例えば3人の乗客10(A)、10(B)、10(C)の存在を確認し、それら乗客10(A)、10(B)、10(C)の画像と当該乗客画像の座標位置データを格納する。引き続き、今回収集したフレーム画像データと乗客に関する例えば頭部パターンとのパターンマッチングにより検出エリア17及び16内に例えば3人の乗客10(A)、10(B)、10(C)の存在を確認し、該当乗客10(A)、10(B)、10(C)の座標位置データを取り出す。
【0043】
そして、フレームレートと前回・今回の各乗客の座標位置データとから乗客の移動方向及び移動速度を計算し、図4に示すように乗客が要注意検出エリア17から危険検出エリア16に向かっているか、さらに要注意検出エリア17から危険検出エリア16に入ったか、つまり、危険の可能性があるか否かを判断する(S29)。例えば乗客10(C)のように要注意検出エリア17から危険検出エリア16に入ったと判断したとき、或いは乗客10(B)のように要注意検出エリア17から危険検出エリア16の方向に予め定める速度以上の移動速度で向かっているとき、危険の可能性があると判断し、反転処理手段125を実行する。
【0044】
反転処理手段125は、ステップS24に戻り、ドア開指令を送信し、ドア開動作を実行する。
【0045】
一方、ステップS29において、危険の可能性無しと判断したとき、特定乗客危険判断手段124を実行する。特定乗客危険判断手段124は、要注意検出エリア17内に検出された例えば3人の乗客10(A)、10(B)、10(C)について、要注意検出エリア17から移動しつつ危険検出エリア16内の方向に入ろうとしており、かつ、移動速度が通常の乗客の移動速度よりも十分に遅い所定の移動速度以下であるとき、お年寄りや小さな子供と判断し(S30)、ドア開状態の延長を決定し(S31)、ステップS24に戻す反転処理を実行する実行する(反転処理手段125)。
【0046】
反転処理手段125は、ステップS24に戻り、ドア開指令を送信し、ドア開動作を実行する。
【0047】
一方、ステップS30にて、ドアが完全に閉じ、かつ、乗客が危険な状態になく、かつ、ドアが完全に閉じたとき、フレーム画像データを消去する(S32)。そして、継続処理であれば(S33)、ステップS1に戻って同様の処理を繰り返し実行する。
【0048】
従って、以上のような実施形態によれば、危険検出エリア16及び要注意検出エリア17にわたる広域エリアの光画像をカメラ7bで撮影し、要注意検出エリア17から危険検出エリア16に移動する乗客の画像から危険な状態と判断したとき、反転処理を実行するので、乗客の動きを判断しながら速やかに乗客の危険な状態を判断できる。
【0049】
また、エレベータ制御装置11は、図7に示すような構成とすることにより、前回収集したフレーム画像データの中の乗客と今回収集したフレーム画像データの中の同一の乗客とから移動方向及び移動速度を求め、エレベータドア5が閉じるまでの間に危険検出エリア16に入ってくる危険な状態を予測し、反転処理を実行するので、例えばお年寄りや小さな子供であっても、容易に危険な状態を判断できる。
【0050】
(その他の実施形態)
(1) 上記実施の形態では、図4に示すように乗りかご1内に要注意検出エリア17を設定したが、乗場側にも同様に要注意検出エリア17を設定してもよい。
【0051】
このような構成によれば、乗場側から駆け込んでくる乗客を速やかに検出し、危険な状態にあると判断して反転処理を行うことにより、乗客の更なる安全を確保することができる。
【0052】
(2) 上記実施の形態では、危険検出エリア16と要注意検出エリア17とに分けたが、要注意検出エリア17を更に細分し、危険検出エリア16からの乗客の距離及び移動速度に応じて重レベル、中レベル、低レベルの危険度を判定し、重レベルの危険度のときだけ反転処理を実行することにより、むやみに反転動作させることなく、確実に危険と判定したときに反転動作を行わせることができる。
【0053】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。さらに、上記実施の形態には種々の上位,下位段階の発明が含まれており、開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば問題点を解決するための手段に記載される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されうることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…乗りかご、3…上枠、5…エレベータドア、5a…かごドア、5b…乗場ドア、7…撮像手段、7a…撮影レンズ、7b…監視カメラ、7c…フレーム画像伝送制御部、8…ドア制御装置、10(A),10(B),10(C)…乗客画像、11…エレベータ制御装置、12…データベース、16…危険検出エリア、17…要注意検出エリア、111,121…運行制御手段、112…ドア開時フレーム画像マスク処理手段、113…第1の乗客有無検出手段、114…ドア閉時フレーム画像マスク処理手段、115…第2の乗客有無検出手段、116…反転処理手段、122…フレーム画像データ収集手段、123…危険判断手段、124…特定乗客危険判断手段、125…反転処理手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかごを利用する乗客の安全を確保するエレベータドアの安全装置において、
前記乗りかごのかごドア上方の上枠に設けられ、当該かごドア近傍の限られた危険検出エリア及び当該危険検出エリアを囲む要注意検出エリアにわたる広域エリアの画像を取り込んで集光させる撮影レンズと、
この撮影レンズで集光された広域エリアの画像を撮影するカメラと、
エレベータドア(かごドア・乗場ドア)の開閉時に前記カメラで撮影されたフレーム画像データを取り込んで、前記要注意検出エリアに相当するエリアをマスク処理し、前記危険検出エリア内のフレーム画像データ中に乗客が居るとき、前記エレベータドアの反転処理を実行するエレベータ制御手段とを備えたことを特徴とするエレベータドアの安全装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータドアの安全装置において、
前記エレベータ制御手段は、乗場呼びやかご呼びに対する呼び登録階にエレベータを運行制御する運行制御手段と、前記呼び登録階に着床後の前記ドア開時に前記カメラで撮影されたフレーム画像データを取り込んで、前記要注意検出エリアに相当するエリアをマスク処理するドア開時画像マスク処理手段と、マスク処理後のフレーム画像データ中に乗客が居るか否かを検出する第1の乗客有無検出手段と、この第1の乗客有無検出手段で乗客が居ると検出したとき、前記ドア開動作を停止保持する第1の反転処理手段と、前記ドア閉時に前記カメラで撮影されたフレーム画像データを取り込んで、前記要注意検出エリアに相当するエリアをマスク処理するドア閉時画像マスク処理手段と、このマスク処理後のフレーム画像データ中に乗客が居るか否かを検出する第2の乗客有無検出手段と、この第2の乗客有無検出手段で乗客が居ると判断したとき、前記ドア開動作を行う第2の反転処理手段とを設けたことを特徴とするエレベータドアの安全装置。
【請求項3】
エレベータの乗りかごを利用する乗客の安全を確保するエレベータドアの安全装置において、
前記乗りかごのかごドア上方の上枠に設けられ、当該かごドア近傍の限られた危険検出エリア及び当該危険検出エリアを囲む要注意検出エリアにわたる広域エリアの画像を取り込んで集光させる撮影レンズと、
この撮影レンズで集光された広域エリアの画像を撮影するカメラと、
前記エレベータドアのドア開後に前記カメラで撮影されたフレーム画像データを取り込んで、前記要注意検出エリアから前記危険検出エリアに移動する乗客の画像から危険な状態と判断したとき、ドア開動作を実行するエレベータ制御手段とを備えたことを特徴とするエレベータドアの安全装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベータドアの安全装において、
前記エレベータ制御手段は、乗場呼びやかご呼びに対する呼び登録階にエレベータを運行制御する運行制御手段と、前記呼び登録階に着床した後のドア開後に予め定めるフレームレートに従って前記カメラで撮影されたフレーム画像データを順次収集するフレーム画像データ収集手段と、この収集手段で収集された複数のフレーム画像データ中に存在する同一乗客の画像の移動位置データと前記フレームレートとから得られる乗客の移動方向・移動速度に基づき、前記要注意検出エリアから前記危険検出エリアに移動する乗客の危険を判断する危険判断手段と、この危険判断手段で危険な状態にあると判断したとき、前記ドア開動作を実行する第1の反転処理手段とを設けたことを特徴とするエレベータドアの安全装置。
【請求項5】
請求項4に記載のエレベータドアの安全装において、
前記危険判断手段で乗客が危険な状態に無いと判断された場合でも、乗客の通常移動速度よりも十分に遅い所定の移動速度の乗客画像が前記要注意検出エリアから前記危険検出エリアの方向に移動しているとき、当該乗客が危険な状態にあると判断する特定乗客危険判断手段と、この特定乗客危険判断手段で危険な状態にあると判断したとき、前記エレベータドアのドア開動作を延長する第2の反転処理手段とをさらに設けたことを特徴とするエレベータドアの安全装置。
【請求項6】
請求項1または請求項3に記載のエレベータドアの安全装置において、
前記撮影レンズとしては、前記広域エリアの画像を反射させて前記カメラの撮像素子に集光し結像させる球状の反射鏡を用いたことを特徴とするエレベータドアの安全装置。
【請求項7】
請求項1または請求項3に記載のエレベータドアの安全装置において、
前記撮影レンズとしては、前記広域エリアの画像を透過屈折させつつ前記カメラの撮像素子に集光し結像させる透過形集光レンズを用いたことを特徴とするエレベータドアの安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−20823(P2012−20823A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159138(P2010−159138)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】