説明

エレベータ運転システム

【課題】無駄にエレベータを稼働させることによる運行効率の悪化を防止するエレベータ運転システムを提供する。
【解決手段】居室10内の玄関付近にエレベータ11の呼び登録を解除する呼び登録解除釦12が設けられている。居室10の玄関ドア13に、居住者が玄関を通過して玄関ドア13を開けることにより動作する第1の検出センサー14が設けられ、また、通路15の玄関ドア13付近に、通路15に出た居住者を検出する第2の検出センサー16が設けられている。第1の検出センサー14と第2の検出センサー16の動作により、エレベータ11に対する居住階への自動乗場呼び登録を実行する。居住者が通路15に出てもエレベータ11を利用しない場合は、呼び登録解除釦12を押すことにより、エレベータ11を無駄に稼働させて運行効率を悪化させないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば玄関を共有するマンションなどの集合住宅に設置されるエレベータを運転するエレベータ運転システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、エレベータの利用者の行先のほとんどが居住階から玄関階であるとか、あるいは玄関階から居住階であるマンションなどの集合住宅(以下、集合住宅という。)を対象とし、操作が簡単で、かつセキュリティを強化することができるエレベータ運転システムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、集合住宅の玄関階に乗場釦を設置せず、集合住宅に居住する居住者の居室の鍵または個人を識別する手段によって居住者を識別し、該識別時にエレベータかご室の呼び及び居住階を行先階として登録する居住者識別装置を設置すると共に、この居住者識別装置による呼び登録に応答し、玄関階に着床して戸を開き、所定時間後に戸を閉じて行先階まで走行するようにされた集合住宅用エレベータの運転システムが開示されている。また、同文献1には、行先釦の設置されていないエレベータかご室及び居住者の外出を検出し、居住者の居住階へのエレベータかご室の呼びを登録する外出検出器を備えた点についても開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、玄関に設置した個人識別装置が特定個人を識別すると、玄関ドアの開錠と共にエレベータの乗場呼びを自動登録するエレベータ運転制御システムにおいて、乗場呼びを登録してからエレベータが玄関階に到着するまでの時間に基づき玄関階での戸開時間を決定し、無駄な戸開待機を防止し、また個人の歩行速度に対応した戸開時間を設定するエレベータ運転制御システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、居住者がエレベータを利用するとき、乗場でかご呼び釦を押してから、かごが到着するまでの待ち時間を短くするために、居室内にかご呼び釦、かご位置表示装置を設けたエレベータの呼び登録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−22821号公報(要約の欄、図1)
【特許文献2】特開2002−220177号公報(要約の欄、図1)
【特許文献3】特開平05−201633号公報(要約の欄、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1、2に開示された発明においては、居住者の居室からの外出を検出して居住階へのエレベータかご室の呼びを自動登録しているが、この外出の判断は、居室の玄関ドアの開閉により行っている。しかし、例えば、子供が通路で遊ぶ場合や、同じ階の他の居室を訪問する場合、あるいは外出はするがエレベータでなく階段を使用する場合など、居室の外には出るがエレベータを使用しない場合があり、これらの場合、エレベータを無駄に稼働させることとなり、運行効率を悪化させることになる。
【0008】
また、上記特許文献2においては、個人の歩行速度に対応して、玄関からエレベータホールまでの移動時間を学習して戸開時間を設定しているが、居住者の外出時の状態は、一人で外出する場合や家族や友人と複数人で外出する場合、また、乳幼児を連れて外出する場合など、その時々で異なるものである。また、家族で居住している場合には、その個人個人で歩行速度は異なる。従って、移動時間を学習して戸開時間を設定すると、無駄な戸開をすることになったり、逆に戸開時間が不足する場合もある。
【0009】
また、上記特許文献3においては、居室内にかご呼び釦、かご位置表示装置を設けており、設置のための費用が高価となる。
【0010】
この発明は、上記従来技術の課題を解消することを目的とし、無駄にエレベータを稼働させることによる運行効率の悪化を防止するエレベータ運転システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るエレベータ運転システムは、玄関を共有するマンションなどの集合住宅に設置され、上記集合住宅の居室内から玄関ドアを開けて通路へ出た人を検出することにより、居住階の乗場呼び登録を自動的に実行するエレベータ運転システムにおいて、上記居室内に上記自動乗場呼び登録を解除する呼び登録解除装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るエレベータ運転システムによれば、居室者は呼び登録を行うという作業を意識することなく外出し、玄関の鍵をかけ、乗場に移動している間にかご室が居室者のいる階に走行することにより、居室者の乗場での待ち時間を削減できると共に、居室の外には出るがエレベータを使用しない場合には、自動呼び登録を解除することで無駄にエレベータを稼働させることを防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ運転システムのエレベータ呼び登録装置を説明するイメージ図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータ運転システムに用いられるエレベータ制御装置を説明するブロック構成図である。
【図3】集合住宅全体の利用状態設定データを示す図である。
【図4】居室毎の利用状態設定データを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエレベータ運転システムの基本動作を説明するフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係るエレベータ運転システムの基本動作を説明するフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係るエレベータ運転システムにおける呼び登録解除釦の操作による動作を説明するフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態2に係るエレベータ運転システムにおける戸開時間延長動作を説明するフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態3に係るエレベータ運転システムにおける居室毎の利用状態設定変更動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、この発明に係るエレベータ運転システムについて好適な実施の形態を説明する。なお、この実施の形態により発明が限定されるものではなく、諸種の設計的変更をも含むものである。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るエレベータ運転システムのエレベータ呼び登録装置を示すイメージ図である。図1において、居室10内の玄関付近にエレベータ11の呼び登録を解除する呼び登録解除装置、例えば呼び登録解除釦12が設けられている。居室10の玄関に設けられた玄関ドア13に、居住者が玄関を通過して玄関ドア13を開けることにより動作する第1の検出センサー14が設けられており、また、通路15の玄関ドア13付近には、通路15に出た居住者を検出する第2の検出センサー16が設けられている。
【0016】
第1の検出センサー14と第2の検出センサー16の動作により、エレベータ11に対する居住階への乗場呼びを自動的に登録するように構成されており、また、居住者が玄関を通過する際に、通過人数や通過速度などを検出し、これにより利用状態を判断し、エレベータ11が居住者のいる階に到着した際の戸開時間を設定するように構成されている。
【0017】
なお、居住者が通路15に出てもエレベータ11を利用しない場合は、呼び登録解除釦12を押すことにより、エレベータ11を無駄に稼働させて運行効率を悪化させないように構成されている。
【0018】
図2は、実施の形態1に係るエレベータ運転システムに用いられるエレベータ制御装置を説明するブロック構成図である。図2において、エレベータ制御装置20は、従来のエレベータ制御装置と同様に、乗場呼び釦21の操作により乗場呼びを登録する乗場呼び登録手段22、かご呼び釦23の操作によりかご呼びを登録するかご呼び登録手段24、エレベータドア25の開閉を指令する戸開指令手段26を備えている。
【0019】
また、エレベータ制御装置20は、第1の検出センサー14、第2の検出センサー16、及び呼び登録解除釦12のそれぞれの動作により居住者の外出を判定する外出判定手段27、外出判定手段27の信号に基づいて動作する通過人数判定手段28、同じく外出判定手段27の信号に基づいて動作する通過時間判定手段29、通過人数判定手段28と通過時間判定手段29の出力信号から戸開時間を判定し、戸開指令手段26に戸開時間を出力する戸開時間判定手段30を備えている。
【0020】
更に、エレベータ制御装置20は、後述する居室毎の利用状態設定データを入力する居室毎の利用状態設定データ入力手段31から入力される居室毎の利用状態設定データを受信する居室毎の利用状態設定データ受信手段32、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33、居室毎の利用状態設定データ変更手段34を備えており、これらから出力されるデータにより、外出判定手段27が後述する利用状態点数判定手段35からの信号に基づいて、乗場呼び登録手段22への乗場呼び登録、かご呼び登録手段24へのかご呼び登録、通過人数判定手段28への通過人数の出力、及び通過時間判定手段への通過時間の出力を実行する。なお、外出判定手段27には、エレベータドア25の開閉を検出するエレベータドア検出手段36からの検出信号が入力されるように構成されている。
【0021】
図3及び図4は、居室毎の利用状態設定データ入力手段31から管理者により入力され、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33に記憶される設定データの一例を示し、図3はマンションなどの集合住宅全体の利用状態設定データであり、図4は居室毎の利用状態設定データを示している。
【0022】
エレベータ制御装置20は上記のように構成されており、第1の検出センサー14と第2の検出センサー16の出力信号により、エレベータ制御装置20の外出判定手段27が居住者の外出を判定する。そして、呼び登録解除釦12が押下されておらず、利用状態のマイナスポイントが図3に示す集合住宅全体の利用状態点数MAX値を越えていなければ、乗場呼び登録手段22により居住階の乗場呼びを登録する。しかし、外出判定手段27が居住者の外出を判定しても、呼び登録解除釦12の押下を判定した場合は、乗場呼びの自動登録は行わない。ここで、利用状態のマイナスポイントとは、居住者にエレベータ11の利用意志がなく外出した場合であって、呼び登録解除釦12を押下せず外出した場合に付与されるポイントで、所謂、マナー違反ポイントのことである。
【0023】
ところで、居住者がエレベータ11の利用意志がなく外出する場合に、呼び登録解除釦12を押下せずに外出し、第1の検出センサー14と第2の検出センサー16がこれを検出した場合は、利用状態のマイナスポイントが図3に示す集合住宅全体の利用状態点数MAX値を越えていなければ、居住階の乗場呼びが登録されるため、エレベータ11の運行状態が悪くなる。このエレベータ11の運行状態が悪くなることは、居室の外に出た居住者にとっては問題とはならないため、呼び登録解除釦12が押下されない可能性がある。そこで、呼び登録解除釦12の使用を居住者に推進するために、エレベータ制御装置20には、ポイント性のシステムが設けられている。呼び登録解除釦12を押下せずに居室の外に出てエレベータ11を使用しなかった場合にはマイナスポイントを付与され、呼び登録解除釦12を使用して外出した場合にはプラスポイントが付与される。そして、マイナスポイントとプラスポイントが相殺され、マイナスポイントが所定値以上となれば、その居室の自動呼び登録は無効とするように構成されている。このマイナスポイントとプラスポイントの相殺を実行する手段として利用状態点数判定手段35が機能する。
【0024】
実施の形態1に係るエレベータ運転システムは上記のように構成されており、次にその動作について説明する。図5及び図6は、実施の形態1に係るエレベータ運転システムの基本動作を説明するフローチャートである。
図5及び図6において、ステップ1(以降の説明ではステップをSと略記する。)で、図3に示す集合住宅全体の呼び自動設定(呼び自動設定[集合住宅])の設定状態を判定し、呼び自動設定が「非設定」と判定された場合は処理を終了する。呼び自動設定が「設定」と判定された場合はS2で居室数分の判定が完了したかを判定する。
【0025】
S2において、居室数分の判定が完了したと判定された場合は処理を終了し、居室数分の判定が完了していないと判定された場合はS3に進んで、判定中の居室について図4の居室毎の呼び自動設定(呼び自動設定[居室])の設定状態を判定する。
【0026】
S3において、判定中の居室の呼び自動設定が「非設定」と判定された場合はS2に戻って次の居室の判定に移る。判定中の居室の呼び自動設定が「設定」と判定された場合はS4に進み、居住者が外出したかどうかを判定する。
【0027】
なお、上記S1からS3は、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33と外出判定手段27により実行され、S4は、第1の検出センサー14と第2の検出センサー16、及び外出判定手段27により実行される。
【0028】
次に、S4で居住者が外出していないと判定された場合は、S2戻って次の居室の判定に移る。居住者が外出したと判定された場合はS5に進み、呼び登録解除釦12が押下されたかどうかを判定する。上記S5は、呼び登録解除釦12と外出判定手段27により実行される。
【0029】
S5において、呼び登録解除釦12が押下されたと判定された場合はS8に進む。S8で呼び登録解除釦12の押下フラグをOFFし、S9において判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す利用状態点数に、例えばプラス3ポイントを付加(利用状態点数−3)し、S22に進む。上記S8は、呼び登録解除釦12と外出判定手段27により実行され、S9は、利用状態点数判定手段35により実行される。
【0030】
S5において、呼び登録解除釦12が押下されていないと判定された場合はS6に進み、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す呼び自動設定が停止状態となっていないかどうかを判定する。上記S6は、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33と外出判定手段27により実行される。
【0031】
S6において、呼び自動設定が停止状態となっていると判定された場合(ON)はS10に進み、呼び自動設定が停止状態となっていない場合(OFF)はS7で乗場呼びの自動登録を行う。ここで、上記S7は、外出判定手段27と乗場呼び登録手段22により実行され、登録する呼びの種類は、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す呼びの種類とする。
【0032】
次に、S10において、外出判定手段27により外出してからの時間のカウントを開始し、S11でエレベータ11が外出を検出した居住階に到着したかどうかを判定する。
【0033】
S11において、外出判定手段27によりエレベータ11が外出を検出した居住階に到着していないと判定された場合はS22に進み、エレベータ11が外出を検出した居住階に到着したと判定された場合はS12に進んで、外出判定手段27により居住者がエレベータ11に乗車したかどうかをエレベータドア検出手段36の検出信号に基づいて判定する。
【0034】
S12において、居住者がエレベータ11に乗車していないと判定された場合はS13に進み、居住者が外出してから、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す居室から乗場までに要する設定時間以上経過したかどうかを、居室毎の利用状態設定データに基づいて判定する。上記S13は、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33と外出判定手段27により実行される。
【0035】
S13において、設定時間以上経過していないと判定された場合はS22に進み、設定時間を経過したと判定された場合はS14に進んで、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す利用状態点数に、例えばマイナス3ポイントを付加(利用状態点数+3)し、S15で外出してからの時間カウントを0クリアしてS22の処理に進む。上記S14は、利用状態点数判定手段35により実行される。
【0036】
S12において、居住者がエレベータ11に乗車したと判定された場合はS16に進み、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す利用状態点数に、例えばプラス1ポイントを付加(利用状態点数−1)し、S17で同じ階の他の居室で外出を検出したかどうか判定する。上記S16は、利用状態点数判定手段35により実行され、S17は、第1の検出センサー14と第2の検出センサー16、及び外出判定手段27により実行される。
【0037】
S17において、同じ階の他の居室で外出を検出した場合はS22の処理に進み、同じ階の他の居室で外出を検出していない場合はS18に進んで、同じ居室から初めに外出した人がエレベータ11に乗車する前に続けて外出を検出したかどうか判定する。上記S18は、第1の検出センサー14と第2の検出センサー16、及び外出判定手段27により実行される。
【0038】
S18において、続けて外出したことを検出した場合はS22の処理に進み、続けて外出していないことを検出した場合はS19に進んで、居住者が一人で外出したかどうかを判定する。上記S19は、第1の検出センサー14と第2の検出センサー16、及び外出判定手段27により実行される。
【0039】
S19において、居住者が一人で外出していないと判定された場合はS22の処理に進み、居住者が一人で外出したと判定された場合はS20に進んで、外出してからの経過時間が判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す居室から乗場までに要する時間の設定値以上であるかどうかを判定する。上記S20は、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33と外出判定手段27により実行される。
【0040】
S20において、設定値未満と判定された場合はS22の処理に進み、設定値以上と判定された場合はS21に進んで、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す居室から乗場までに要する時間の設定値を書き換える。上記S21は、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33と居室毎の利用状態設定データ変更手段34、及び外出判定手段27により実行される。
【0041】
次に、S22において、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す利用状態点数が前回値と異なるかどうかを判定する。前回値と同じである場合は処理を終了し、利用状態点数が前回値と異なる場合はS23に進んで、利用状態点数が図3の集合住宅全体の利用状態設定データに示す利用状態点数MAX値以上であるかどうかを判定する。上記S22及びS23は、利用状態点数判定手段35により実行される。
【0042】
S23において、利用状態点数MAX値以上である場合はS24に進み、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す呼び自動設定停止を「ON」に設定し、S26の処理に進む。S23で利用状態点数がMAX値未満の場合はS25に進み、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す呼び自動設定停止を「OFF」に設定する。上記S24及びS25は、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33と外出判定手段27により実行される。
【0043】
次に、S26において、外出判定手段27によって判定中の居室の呼び自動設定の設定状態を変更した旨を管理人に通知し、処理を終了する。通知の方法は、メール送信や、監視盤に表示するなど様々である。
【0044】
次に、呼び登録解除釦の操作による動作について説明する。図7は、呼び登録解除釦12の操作による動作を説明するフローチャートである。
図7において、S70で図3に示す集合住宅全体の呼び自動設定(呼び自動設定[集合住宅])の設定状態を判定する。呼び自動設定が「非設定」の場合は処理を終了する。呼び自動設定が「設定」の場合はS71に進み、居室数分の判定が完了したかを判定する。
【0045】
S71において、居室数分の判定が完了したと判定された場合は処理を終了し、居室数分の判定が完了していないと判定された場合はS72に進んで、判定中の居室について図4の居室毎の呼び自動設定(呼び自動設定[居室])の設定状態を判定する。上記S70からS72は、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33と外出判定手段27により実行される。
【0046】
S72において、判定中の居室の呼び自動設定が「非設定」と判定された場合はS71に戻って次の居室の判定に移る。判定中の居室の呼び自動設定が「設定」と判定された場合はS73に進み、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す解除釦押下フラグがONしているかどうかを判定する。
【0047】
S73において、解除釦押下フラグがONしていないと判定された場合は、S74に進み、呼び登録解除釦12が押下されたかどうかを判定する。呼び登録解除釦12が押下されていない場合は処理を終了し、呼び登録解除釦12が押下された場合はS75に進んで、判定中の居室について図4の居室毎の利用状態設定データに示す解除釦押下フラグをONする。そして、S76で呼び登録解除釦12の押下からの時間カウントを開始し、処理を終了する。上記S73からS76は、呼び登録解除釦12と外出判定手段27により実行される。
【0048】
S73において、解除釦押下フラグがONしている場合はS77に進み、呼び登録解除釦12の押下から所定時間経過したが、居住者が外出したかどうかを判定する。
【0049】
S77で居住者が外出したと判定された場合は処理を終了し、外出していないと判定された場合はS78進み、解除釦押下フラグをOFFし、S79で呼び登録解除釦12の押下からの時間カウントを0クリアして処理を終了する。上記S77は、第1の検出センサー14、第2の検出センサー16、呼び登録解除釦12、及び外出判定手段27により実行され、S78、S79は、呼び登録解除釦12と外出判定手段27により実行される。
【0050】
以上説明したように、実施の形態1に係るエレベータ運転システムによれば、居室者は呼び登録を行うという作業を意識することなく外出し、玄関の鍵をかけ、乗場に移動している間にかご室が居室者のいる階に走行することにより、居室者の乗場での待ち時間を削減できると共に、居室の外には出るがエレベータを使用しない場合には、自動呼び登録を解除することで無駄にエレベータを稼働させることを防止できる効果がある。
【0051】
また、ポイント性のシステムを設けることにより、呼び登録解除釦12を押下せずに居室の外に出てエレベータを使用しなかった場合にはマイナスポイント、呼び登録解除釦12を使用して外出した場合にはプラスポイントを付与し、マイナスポイントとプラスポイントが相殺され、マイナスポイントが所定値以上となれば、その居室の自動呼び登録は無効とするように構成されているので、無駄にエレベータを稼働させる、所謂、マナー違反を防止する効果がある。
【0052】
また、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33が、図3あるいは図4に示す設定データを保有することにより、それぞれの居住者にあったエレベータの運転を自動的に行うことができ、快適にエレベータを使用することができる。
【0053】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係るエレベータ運転システムについて説明する。
実施の形態2に係るエレベータ運転システムは、実施の形態1と同様、図1及び図2に示すように構成されている。そして、エレベータ制御装置20は、居室毎の利用状態設定データ受信手段32、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33、居室毎の利用状態設定データ変更手段34を備えており、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33に図3及び図4に示すデータが保有されている。
【0054】
図2に示すように、エレベータ制御装置20に設けられた外出判定手段27は、第1の検出センサー14、及び第2の検出センサー16が作動したことを判定し、通過人数判定手段28により玄関を通過した通過人数を判定し、通過時間判定手段29により通過速度を判定する。そして、戸開時間判定手段30により戸開時間を決定し、戸開指令手段26でエレベータドア25の戸開時間を制御するように構成されている。
【0055】
図8は、戸開時間延長動作を説明するフローチャートである。
図8において、S80で外出判定手段27により第1の検出センサー14、及び第2の検出センサー16が作動したかどうかを判定する。第1の検出センサー14、及び第2の検出センサー16が作動していないと判定した場合は処理を終了し、作動したと判定した場合はS81に進んで、通過人数判定手段28により通過人数を判定し、通過時間判定手段29により通過速度を判定する。
【0056】
次に、S82において、通過人数分演算したかどうかを判定し、通過人数分演算していない場合はS83に進んで、通過速度は所定値以下かどうかを判定する。S82及びS83は、外出判定手段27、通過人数判定手段28、及び通過時間判定手段29により実行される。
【0057】
S83において、通過速度が所定値以下であると判定された場合はS84に進み、通過速度が所定値以下であるのが2人目以上であるかどうかを判定する。通過速度が所定値以下であるのが2人目以上でない場合はS85に進み、戸開時間に例えば4sec加算してS82に戻り、次の通過居住者の判定を行う。通過速度が所定値以下であるのが2人目以上である場合はS86に進み、戸開時間に例えば3sec加算してS82に戻り、次の通過居住者の判定を行う。S84は、外出判定手段27、通過人数判定手段28、及び通過時間判定手段29により実行され、S85及びS86は、戸開時間判定手段30により実行される。
【0058】
S83において、通過速度は所定値以下でない場合はS87に進み、通過速度が所定値以上であるのが2人目以上であるかどうかを判定する。通過速度が所定値以上であるのが2人目以上でない場合はS88に進み、戸開時間に例えば10sec加算してS82に戻り、次の通過居住者の判定を行う。通過速度が所定値以上であるのが2人目以上である場合はS89に進み、戸開時間に例えば9sec加算してS82に戻り、次の通過居住者の判定を行う。S87は、外出判定手段27、通過人数判定手段28、及び通過時間判定手段29により実行され、S88及びS89は、戸開時間判定手段30により実行される。
【0059】
S82において、通過人数分演算した場合はS90に進み、戸開時間判定手段30により演算値を戸開時間に設定して処理を終了する。
【0060】
以上のように、実施の形態2に係るエレベータ運転システムによれば、実施の形態1の効果に加えて、居住者の外出時の人数、あるいは歩行速度など外出時の状態に応じて無駄なく戸開時間を制御できる効果がある。
【0061】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係るエレベータ運転システムについて説明する。
実施の形態3に係るエレベータ運転システムは、実施の形態1と同様、図1及び図2に示すように構成されている。そして、エレベータ制御装置20は、居室毎の利用状態設定データ受信手段32、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33、居室毎の利用状態設定データ変更手段34を備えており、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33に図3及び図4に示すデータが保有されている。
【0062】
図4に示す居室毎の利用状態設定データは、居住者の利用状態の変化に応じて管理者が設定変更できるように構成されている。即ち、エレベータ制御装置20では、管理者が、居室毎の利用状態設定データ入力手段31により設定データを変更入力すると、居室毎の利用状態設定データ受信手段32により、管理者が入力した設定データを受信し、居室毎の利用状態設定データ変更手段34により、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33が記憶している居室毎の利用状態設定データを受信したデータに変更するように構成されている。
【0063】
図9は、その居室毎の利用状態設定データ変更動作を説明するフローチャートである。 即ち、S100において、居室毎の利用状態設定データ受信手段32は、ポートをオープンし、S101で設定データの入力を待つ。
【0064】
S101において、設定データの入力があるとS102に進み、居室毎の利用状態設定データ変更手段34で居室毎の利用状態設定データ記憶手段33が保有する図4の居室毎の利用状態設定データを受信した新たなデータに書き換え、S101に戻って次の設定データの入力を待つ。
【0065】
以上のように、実施の形態3に係るエレベータ運転システムによれば、実施の形態1及び2の効果に加えて、居室毎の利用状態設定データ記憶手段33が保有する居室毎の利用状態設定データを、居住者の利用状態の変化に応じて変更することができるので、居住者にとって、快適にエレベータを使用することができる。
【0066】
なお、上記各実施の形態においては、エレベータを利用するのが、集合住宅の居住者として説明したが、これに限らず、居住者の親族、近親者、知人、友人など、居住者の居室に出入りする居住者の関係者をも含むものである。
【符号の説明】
【0067】
10 居室
11 エレベータ
12 呼び登録解除釦
13 玄関ドア
14 第1の検出センサー
15 通路
16 第2の検出センサー
20 エレベータ制御装置
21 乗場呼び釦
22 乗場呼び登録手段
23 かご呼び釦
24 かご呼び登録手段
25 エレベータドア
26 戸開指令手段
27 外出判定手段
28 通過人数判定手段
29 通過時間判定手段
30 戸開時間判定手段
31 居室毎の利用状態設定データ入力手段
32 居室毎の利用状態設定データ受信手段
33 居室毎の利用状態設定データ記憶手段
34 居室毎の利用状態設定データ変更手段
35 利用状態点数判定手段
36 エレベータドア検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関を共有するマンションなどの集合住宅に設置され、上記集合住宅の居室内から玄関ドアを開けて通路へ出た人を検出することにより、居住階の乗場呼び登録を自動的に実行するエレベータ運転システムにおいて、
上記居室内に上記自動乗場呼び登録を解除する呼び登録解除装置を備えたことを特徴とするエレベータ運転システム。
【請求項2】
上記通路へ出た人が、上記呼び登録解除装置により上記自動乗場呼び登録を解除しない場合にマイナスポイントを与えると共に、上記呼び登録解除装置により上記自動乗場呼び登録を解除した場合にプラスポイントを与えて、上記マイナスポイントと上記プラスポイントを相殺するように構成し、上記マイナスポイントが所定値以上となった場合に、当該居室の上記自動乗場呼び登録を無効とすることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ運転システム。
【請求項3】
上記居室内の人が、上記居室内から上記居室の玄関を通過する際に、通過人数や通過速度を検出し、その検出結果によりエレベータが上記居住階に到着したときの戸開時間を決定することを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ運転システム。
【請求項4】
上記居室毎の利用状態を記憶する居室毎の利用状態設定データ記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のエレベータ運転システム。
【請求項5】
上記居室毎の利用状態設定データ記憶手段に記憶される居室毎の利用状態設定データは、居室毎の利用状態設定データ入力手段から管理者が随時変更できることを特徴とする請求項4に記載のエレベータ運転システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−131606(P2012−131606A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284862(P2010−284862)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】