説明

エンジンのベルト張力自動調整装置

【課題】部品点数が少なく簡単な構造で、オートテンショナーの組立、調整が容易且つ組立、調整工数を低減し得るベルト張力自動調整装置を提供する。
【解決手段】エンジンのベルト張力自動調整装置において、オートテンショナーを、テンションプーリを回転自在に支持するテンションプーリ支持ハウジングとスプリングケースとの間に、テンションプーリ支持ハウジングとスプリングケースとの相対移動を案内する複数のガイドバーを介設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランク軸に連動される複数のプーリとベルトを介して連動されるテンションプーリの位置をスプリングケース内に収納されたスプリングをそなえたオートテンショナーによって自動調整することによりベルトの張力を所要の張力に保持するエンジンのベルト張力自動調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主として車両用エンジンに用いられるベルト張力自動調整装置は、クランク軸に連動される複数のプーリとベルトを介して連動されるテンションプーリの位置をスプリングケース内に収納されたスプリングをそなえたオートテンショナーによって自動調整することにより、前記テンションプーリと複数のプーリとの間に架設されたベルトの張力を所要の張力に保持するように構成されたものが多く用いられている。
【0003】
図5はかかるオートテンショナー付きベルト張力自動調整装置をそなえた車両用エンジンの前端部における補機駆動プーリ及びベルト張力自動調整装置の配置を示すエンジン前方から視た概略正面図、図6は概略側面図(図5におけるZ矢視図)であり、図5〜6において、14はエンジン本体、10はクランク軸(図示省略)の軸端に固定されたクランクプーリ(10zはクランク軸心)、11はウォータポンプ駆動用のウォータポンププーリ、12はエアコンのコンプレッサー駆動用のエアコンプーリ、13はオルタネータ駆動用のオルタネータプーリである。
【0004】
1はテンションプーリで、該テンションプーリ1と前記クランクプーリ10、ウォータポンププーリ11、エアコンプーリ12、及びオルタネータプーリ13との間にはベルト2が架設されて、これらのプーリは前記クランクプーリ10から入力されるエンジン回転力によりベルト2を介して連動されている。
24は前記テンションプーリ1の位置を変化することにより前記ベルト2の張力を自動調整するオートテンショナー、26は前記ベルト2の交換時にオートテンショナー24のスプリング25を縮小状態で固定するためのスプリング固定装置である。
【0005】
かかるオートテンショナー24については、特許文献1(特開平10−299846号公報)、特許文献2(特開2000−213607号公報)等の技術が提供されている。
特許文献1においては、エンジンブロック4に揺動自在に取付けられ、揺動側端部にテンションプーリ5を回転自在に取付けたアーム1を有し、該アーム1に油圧ダンパ機構11を有するアクチュエータ6のロッド10を接続し、そのロッド10に外方向への突出性を付与する張力調整ばね12の弾性力によりアーム1を一方向に押圧してテンションプーリ5をベルトに押し付けて、ベルトの張力を自動調整する油圧式オートテンショナーが開示されている。
【0006】
また特許文献2においては、前記テンションプーリを回転自在に支持するテンションプーリ支持ハウジングの円筒部の内周にダンピング用のスプリングを同心に配置して該スプリングの一端側をテンションプーリ支持ハウジングで支持し、該スプリングの外周をエンジン本体に固定され前記テンションプーリ支持ハウジングの円筒部と同心のエンジン側ハウジング側の円筒部で覆うとともに該スプリングの他端側を該エンジン側ハウジング側で支持するように構成されたベルト張力自動調整装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−299846号公報
【特許文献2】特開2000−213607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来技術には次のような問題点を有している。
図5〜6に示される従来技術にあっては、オートテンショナー24とテンションプーリ1の支持ハウジングとの間にレバー類やアームを介在しているため、オートテンショナー24からテンションプーリ1までの連結リンクの設置スペースが大きくなり、多くの補機駆動プーリが配設されているエンジン前方部位に設置するのが困難となる。
また、かかる従来技術にあっては、ベルト2の交換時に該ベルト2の張力を弛めるため、オートテンショナー24のスプリング25を、図5に2点鎖線で示すように縮小状態で保持するためのスプリング固定装置26を格別に設ける必要があるため、ベルト張力自動調整装置の構造が複雑で、部品点数も多くなる。
【0009】
また、特許文献1に示される油圧式オートテンショナーにおいては、アクチュエータ6及び張力調整ばね12の弾性力をテンションプーリ5に伝達するためのアーム1を有しているため、この場合も、装置の設置スペースが大きくなり、多くの補機駆動プーリが配設されているエンジン前方部位に設置するのが困難となる。
【0010】
また、油圧ダンパ機構11を収容するシリンダ8の外周と,ロッド10と協動しシリンダ8の周囲に設けられた外筒とが間隔を存して設けられているため、ベルトの振れ等により発生するテンションプーリ5の横振動で、シリンダ8の外周面と外筒の内周面とが衝突して、外周面に摩耗が発生する可能性がある。
【0011】
また特許文献2に示されるベルト張力自動調整装置においては、テンションプーリ支持ハウジングの円筒部の内周にダンピング用のスプリングを同心に配置し、該スプリングの外周をエンジン本体に固定されたエンジン側ハウジング側の円筒部で覆うように構成されているので、ベルト張力自動調整装置が小型コンパクトで設置スペースが比較的小さくなり、オートテンショナーの支持剛性も高く保持できるが、嵌合寸法の長いエンジン側ハウジング側の円筒部とテンションプーリ支持ハウジングの円筒部とを、スプリング反力に抗しながら同心に組み付ける必要があるため、オートテンショナーの組立、調整が煩雑で、多くの組立工数を要するとともに、部品数も多くなる。
【0012】
従って、本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、部品点数が少なく簡単な構造で、オートテンショナーの組立、調整が容易且つ組立、調整工数を低減し得るベルト張力自動調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はかかる目的を達成するもので、オートテンショナーのテンションプーリの位置をスプリングケース内に収納されたスプリングにより自動調整してベルトの張力を所要の張力に保持するエンジンのベルト張力自動調整装置において、前記オートテンショナーは、前記スプリングの一端に連結されると共に前記テンションプーリを回転自在に支持するテンションプーリ支持ハウジングと前記スプリングの他端に連結される前記スプリングケースとの間に、該スプリングの軸線と平行に配置されて前記テンションプーリ支持ハウジングとスプリングケースとの相対移動を案内する複数のガイドバーを備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0014】
かかる発明において、好ましくは次のように構成する。
(1)前記ガイドバーは、一端側を前記スプリングケース側に形成された嵌合穴に摺動可能に嵌合されるとともに他端側を前記テンションプーリ支持ハウジングの嵌合穴に圧入されて、前記スプリングの軸線廻りの円周方向に2本設けられる(請求項2)。
(2)前記ガイドバーの少なくともいずれか1本にベルト交換時における前記スプリング圧縮用のネジ穴を形成するとともに、前記スプリングケースに前記ガイドバーのネジ穴と同心に設けられた挿通穴に挿通し前記ガイドバーのネジ穴に螺合する調整用ボルトを設けて、該調整用ボルトを前記ガイドバーのネジ穴にねじ込むことにより、前記スプリングを圧縮して、前記テンションプーリ位置を移動可能に構成する(請求項3)。
【0015】
また、本発明は、前記スプリングケースの外側及びテンションプーリ支持ハウジングの全部または一部をカバーで覆うとともに前記テンションプーリ支持ハウジングにピンを突設し、前記カバーに前記スプリングの軸線方向に沿うように長穴を形成した長穴部を設け、該長穴部に前記ピンの自由端側を相対移動可能に嵌合し、前記長穴部に標識を設け、該標識と前記ピンの位置との関係から前記ベルトの伸び量を検知可能に構成したことを特徴とする(請求項4)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、テンションプーリを回転自在に支持するテンションプーリ支持ハウジングとスプリングが収納されるスプリングケースとの間に、スプリングの軸線と平行に配置された2本のガイドバーを介設し、ベルト張力の変化に従い該ガイドバーに沿ってテンションプーリ支持ハウジングとスプリングケースとが相対移動するように構成したので、複数のガイドバー好ましくは2本のガイドバー(請求項2)の両端部をテンションプーリ支持ハウジング及びスプリングケースに、該テンションプーリ支持ハウジング及びスプリングケースが相対移動可能に嵌合するのみで、スプリングの中心とテンションプーリの作動中心とを一致させてベルトの張力を所要の張力に保持することができる。
【0017】
従って本発明によれば、前記特許文献2のような嵌合寸法の長いスプリング側の円筒部とテンションプーリ側の円筒部とを、スプリング反力に抗しながら同心に組み付けるものに比べて組立、調整が簡単であり、オートテンショナーの組立工数を低減できるとともに、複数のガイドバーの両端部をテンションプーリ支持ハウジング及びスプリングケースに嵌合する構造であるため、前記特許文献2の技術に比べて部品点数も低減できる。
さらには、前記特許文献1等のような、スプリング側とテンションプーリ側とを連結するリンク類を必要とせず、かかる従来技術に比べてベルト張力自動調整装置の設置スペースを縮小でき、多くの補機駆動プーリが設置されて狭隘になっているエンジン前方部位であっても、ベルト張力自動調整装置を容易に設置できる。
【0018】
また、ガイドバーの少なくともいずれか1本にベルト交換時におけるスプリング圧縮用のネジ穴を形成するとともに、スプリングケースにガイドバーのネジ穴と同心に設けられた挿通穴に挿通しガイドバーのネジ穴に螺合する調整用ボルトを設けていることにより(請求項3)、ベルトの交換時には、該調整用ボルトをガイドバーのネジ穴にねじ込むことにより、スプリングを圧縮して、前記テンションプーリ位置をベルトの弛み方向に移動して、該ベルトの張力を弛めることが可能となり、ガイドバーのネジ穴をスプリングを圧縮用として利用でき、格別なスプリング収縮手段を設けることなくベルトの交換が可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、テンションプーリ支持ハウジングにピンを突設し、スプリングケースの外側及びテンションプーリ支持ハウジングの全部または一部を覆うカバーにスプリングの軸線方向に沿うように長穴を形成した長穴部を設け、該長穴部に前記ピンの自由端側を相対移動可能に嵌合し、長穴部に標識を設け、該標識とピンの位置との関係からベルトの伸び量を検知可能に構成したので(請求項4)、カバーに設けた標識をベルトの交換時期に設定すれば、この標識とピンの位置とが合致したことを目視するのみで、ベルトの交換時期を簡単に検知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
図5は本発明に係るオートテンショナー付きベルト張力自動調整装置をそなえた車両用エンジンの前端部における補機駆動プーリ及びベルト張力自動調整装置の配置を示すエンジン前方から視た概略正面図である。
図5において、10はクランク軸(図示省略)の軸端に固定されたクランクプーリ、11はウォータポンプ駆動用のウォータポンププーリ、12はエアコンのコンプレッサー駆動用のエアコンプーリ、13はオルタネータ駆動用のオルタネータプーリである。
1はテンションプーリで、該テンションプーリ1と前記クランクプーリ10、ウォータポンププーリ11、エアコンプーリ12、及びオルタネータプーリ13との間にはベルト2が架設されて、これらのプーリは前記クランクプーリ10から入力されるエンジン回転力によりベルト2を介して連動されている。
100は前記テンションプーリ1の位置を変化することにより前記ベルト2の張力を自動調整するオートテンショナーである。
【0022】
図1は本発明の実施例に係る車両用エンジンのベルト張力自動調整装置におけるオートテンショナーのスプリング中心線に沿う断面図、図2は図1におけるダンパ機構の詳細を示すZ部拡大断面図、図3は図1におけるA−A線断面図、図4は図1におけるB−B線断面図である。
図1〜4において、3はテンションプーリ支持ハウジングで、前記テンションプーリ1は、該テンションプーリ支持ハウジング3に2個の軸受1a,1bを介して回転自在に支持されている。
14はスプリングケース、5は該スプリングケース14内に収納されたスプリングで、該スプリング5は、上端部(他端)を(前記スプリングケース14と一体的に形成される)エンジン側ハウジング4に取付ボルト7を介して固定されたバネ受21に支持され、下端部(一端)を前記テンションプーリ支持ハウジング3の上面に支持されている。
【0023】
50は前記スプリング5の内側に配設された油圧ダンパー機構で、次のように構成されている。
図2において、4aは前記テンションプーリ支持ハウジング3上に立設された円筒状のダンパーケースで、該ダンパーケース4aの上部外周は、前記バネ受21の下部に延設された円筒部の内周に相対摺動可能に嵌合されている。
7は前記ダンパーケース4a内に相対摺動可能に嵌合されたダンパーピストンで、該ダンパーケース4a内は該ダンパーピストン7によって2つの油室9a,9bに区画されている。該2つの油室9a,9bは前記ダンパーピストン7に穿孔された小径の油通路8によって連通されている。
【0024】
35は該ダンパーピストン7の上部側に連結されたピストンロッドで、該ピストンロッド35の上端部は前記バネ受21あるいはエンジン側ハウジング4に固定されている。41は前記ダンパーケース4aの内周の前記ダンパーピストン7の下方部位に固定されて前記ダンパーピストン7の下方への移動を規制するスリーブである。
30は前記ピストンロッド35の外周を流体密に支持するオイルシール、31は前記ダンパーピストン7の下部に固定された逆止弁付きのリテーナ、32は前記リテーナ31とスリーブ41の底部との間に架設された戻しばねである。
【0025】
前記のように構成されたベルト張力自動調整装置において、ベルト2の張力は、前記スプリング5のばね力と油圧ダンパー機構50のダンパーピストン7の変位との共働によって自動調整する。
テンションプーリ1の振動発生時には、前記油圧ダンパー機構50のダンパーピストン7とダンパーケース4aとの相対移動によって前記2つの油室9a,9b内の油がダンパーピストン7に穿孔された小径の油通路8を通って出入りすることによる、いわゆるダッシュポット作用によって、振動を減衰せしめるとともに、前記スプリング5の弾性によって振動を減衰せしめる。
【0026】
図1,3,4,に戻って、10a,10bは前記テンションプーリ支持ハウジング3とスプリングケース14との相対移動を案内するガイドバーで、図3のように、前記スプリング5の軸線5z廻りの円周方向に中心角α(この実施例では120°)で以って2本設けられている(3本以上でもよい)。
図1のように、前記ガイドバー10a,10bは、下端側を前記テンションプーリ支持ハウジング3に穿孔された嵌合穴10g,10f、に圧入されている。また前記ガイドバー10a,10bの上端側は、前記スプリングケースに穿孔された穴10h及び10eにそれぞれ圧入されたブッシュ10k及び10mの内周面を構成する嵌合穴10d及び10e内に往復摺動可能に嵌合されている。
【0027】
前記ガイドバーの少なくともいずれか1本(この例ではガイドバー10b)には、ベルト2の交換時における前記スプリング5圧縮用のネジ穴10cを形成するとともに、前記スプリングケース14に前記ガイドバー10bのネジ穴10と同心に設けられた挿通穴14s、及び前記ガイドバー10のネジ穴10cに螺合する調整用ボルト6を設けている。
ベルト2の交換時には、該調整用ボルト6をガイドバー10bのネジ穴10cにねじ込むことにより、スプリング5を圧縮して、前記テンションプーリ1の位置をベルト2の弛み方向に移動して、該ベルト2の張力を弛めることが可能となり、ガイドバー10bのネジ穴10cをスプリング5の圧縮用として利用でき、格別なスプリング収縮手段を設けることなくベルト2の交換が可能となる。
【0028】
11は板材からなるカバーで、前記スプリングケース14の外側のほぼ全部及び前記テンションプーリ支持ハウジング3の上部を覆っている。
12は前記テンションプーリ支持ハウジング3の上部にスプリング5の軸線5zに直角方向に突設されたピンで、図1のように、前記カバー11に前記スプリング5の軸線方向に沿うように設けた長溝11a(長穴部)に前記ピン12の自由端側を相対移動可能に嵌合し、前記長溝11aに設けた標識11bと前記ピン12の位置との関係から前記ベルト2の伸び量を検知可能に構成している。
このように構成すれば、カバー11に設けた標識11bをベルト2の交換時期に設定しておけば、この標識11bとピン12の位置とが合致したことを目視するのみで、ベルト2の交換時期を簡単に検知できる。
【0029】
かかる実施例によれば、テンションプーリ1を回転自在に支持するテンションプーリ支持ハウジング3とスプリング5が収納されるスプリングケース14との間に、スプリング5の軸線5zと平行に配置された複数本(この例では2本)のガイドバー10a,10bを介設し、ベルト張力の変化に従い該ガイドバー10a,10bに沿ってテンションプーリ支持ハウジング3とスプリングケース14とが相対移動するように構成したので、複数のガイドバー10a,10bの両端部をテンションプーリ支持ハウジング3及びスプリングケース14に、該テンションプーリ支持ハウジング3及びスプリングケース14が相対移動可能に嵌合するのみで、スプリング5の軸心5zとテンションプーリ1の作動中心とを一致させてベルト2の張力を所要の張力に保持することができる。
【0030】
従ってかかる実施例によれば、従来技術のような嵌合寸法の長いスプリング側の円筒部とテンションプーリ側の円筒部とを、スプリング反力に抗しながら同心に組み付けるものに比べて組立、調整が簡単であり、オートテンショナー100の組立工数を低減できるとともに、複数のガイドバー10a,10bの両端部をテンションプーリ支持ハウジング3及びスプリングケース14に嵌合する構造であるため、前記従来技術に比べて部品点数も低減できる。
さらには、従来技術のような、スプリング5側とテンションプーリ1側とを連結するリンク類を必要とせず、かかる従来技術に比べてベルト張力自動調整装置の設置スペースを縮小でき、多くの補機駆動プーリが設置されて狭隘になっているエンジン前方部位であっても、ベルト張力自動調整装置を容易に設置できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、部品点数が少なく簡単な構造で、オートテンショナーの組立、調整が容易且つ組立、調整工数を低減し得るベルト張力自動調整装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例に係る車両用エンジンのベルト張力自動調整装置におけるオートテンショナーのスプリング中心線に沿う断面図である。
【図2】図1におけるダンパ機構の詳細を示すW部拡大断面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】図1におけるB−B線断面図である。
【図5】本発明に係るオートテンショナー付きベルト張力自動調整装置をそなえた車両用エンジンの前端部における補機駆動プーリ及びベルト張力自動調整装置の配置を示すエンジン前方から視た概略正面図である。
【図6】従来のオートテンショナー付きベルト張力自動調整装置をそなえた車両用エンジンの前端部における補機駆動プーリ及びベルト張力自動調整装置の配置を示すエンジン前方から視た概略正面図である。
【図7】図6におけるZ矢視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 テンションプーリ
2 ベルト
3 テンションプーリ支持ハウジング
4 エンジン側ハウジング
5 スプリング
6 調整用ボルト
10a,10b ガイドバー
10k,10m ブッシュ
11 カバー
11a 標識
12 ピン
14 スプリングケース
50 油圧ダンパー機構
100 オートテンショナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートテンショナーのテンションプーリの位置をスプリングケース内に収納されたスプリングにより自動調整してベルトの張力を所要の張力に保持するエンジンのベルト張力自動調整装置において、前記オートテンショナーは、前記スプリングの一端に連結されると共に前記テンションプーリを回転自在に支持するテンションプーリ支持ハウジングと前記スプリングの他端に連結される前記スプリングケースとの間に、該スプリングの軸線と平行に配置されて前記テンションプーリ支持ハウジングとスプリングケースとの相対移動を案内する複数のガイドバーを備えたことを特徴とするエンジンのベルト張力自動調整装置。
【請求項2】
前記ガイドバーは、一端側を前記スプリングケース側に形成された嵌合穴に摺動可能に嵌合されるとともに他端側を前記テンションプーリ支持ハウジングの嵌合穴に圧入されて、前記スプリングの軸線廻りの円周方向に2本設けられたことを特徴とする請求項1記載のエンジンのベルト張力自動調整装置。
【請求項3】
前記ガイドバーの少なくともいずれか1本にベルト交換時における前記スプリング圧縮用のネジ穴を形成するとともに、前記スプリングケースに前記ガイドバーのネジ穴と同心に設けられた挿通穴に挿通し前記ガイドバーのネジ穴に螺合する調整用ボルトを設けて、該調整用ボルトを前記ガイドバーのネジ穴にねじ込むことにより、前記スプリングを圧縮して、前記テンションプーリ位置を移動可能に構成したことを特徴とする請求項1または2のいずれかの項に記載のエンジンのベルト張力自動調整装置。
【請求項4】
前記スプリングケースの外側及びテンションプーリ支持ハウジングの全部または一部をカバーで覆うとともに、前記テンションプーリ支持ハウジングにピンを突設し、前記カバーに前記スプリングの軸線方向に沿うように長穴を形成した長穴部を設け、該長穴部に前記ピンの自由端側を相対移動可能に嵌合し、前記長穴部に標識を設け、該標識と前記ピンの位置との関係から前記ベルトの伸び量を検知可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のエンジンのベルト張力自動調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−270928(P2007−270928A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96146(P2006−96146)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】