説明

エンジンの潤滑装置

【課題】潤滑油に混入した燃料を減らすことができるエンジンの潤滑装置を提供する。
【解決手段】エンジン10のオイルパン21に潤滑油22が収容されている。エンジン10の内部には潤滑油22の一部を霧化するためのミスト噴霧器60が設けられている。ミスト噴霧器60はエンジン10の内部に潤滑油のミストを発生させ、クランクケース20を含むエンジン内部に潤滑油のミストを浮遊させるようになっている。エンジン10は排気浄化用のパティキュレートフィルタ(DPF)を備えている。パティキュレートフィルタの強制再生のためにポスト噴射が行なわれると、燃料の一部が潤滑油22に混入する。このためミスト噴霧器60によって潤滑油の霧化を促進し、ミストに含まれる燃料を蒸発させやすくする。蒸発した燃料は、クランクケース換気手段として機能するオイルセパレータ51を介して、エンジン10の吸気系に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン等のエンジンの潤滑システムに適用されるエンジンの潤滑装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンにおいて、排気を浄化するための装置として、特許文献1あるいは特許文献2に開示されているように、酸化触媒とパティキュレートフィルタを用いる連続再生式DPF(Diesel particulate filter)が知られている。連続再生式DPFは、排気中のNOを酸化触媒によって酸化させてNOに変化させ、NOによってパティキュレートフィルタ中のスート(主として炭素)を比較的低い温度域で燃焼させることができる。
【0003】
上記連続再生式DPFにおいて、パティキュレートフィルタにスートが過剰に堆積すると、エンジン出力が低下するばかりか、スート燃焼時の異常高温によって、パティキュレートフィルタが溶損するおそれがある。このため、堆積したスートを強制的に燃焼(すなわち強制再生)させる必要がある。強制再生の手段として、ポスト噴射を行うことが知られている。ポスト噴射は、エンジンの膨張行程あるいは排気行程において、燃料噴射弁から燃焼室内に燃料を噴射する操作である。
【0004】
エンジンのオイルパンには、規定量の潤滑油(この明細書ではオイルとも称する)が収容されている。オイルパンに収容された潤滑油は、オイルポンプを含む潤滑油流路を介して、エンジン各部の潤滑対象箇所あるいは冷却対象箇所に供給されている。しかし前記ポスト噴射が行なわれると、シリンダの内面に付着した燃料の一部がクランクケース内に入り、オイルパンの潤滑油中に混入することが知られている。ポスト噴射の回数が多くなると、潤滑油中に混入する燃料の量が増加し、いわゆる潤滑油希釈が生じる。
【0005】
図7はディーゼルエンジンを備えた車両の走行距離と燃料混入量の変化の一例を示している。図7に線分Aで示されるように走行距離が増えるにつれて潤滑油への燃料混入量が増加してゆく。燃料混入量が増えると、図7の線分Bで示すように燃料蒸発量も増加する。しかし燃料の一部は蒸発せずに潤滑油中に残る。
【0006】
このため図8に線分Cで示されるように、燃料混入量と燃料蒸発量とがバランスしたところで潤滑油中の燃料残量が決まる。一方、図8に線分Dで示されるように、車両の走行距離が増えるとオイル消費量も増加する。このため図8に線分Eで示すように、潤滑油の見かけ上の増減量は、走行距離が増えてもそれほど変化しない。しかし走行距離が増えると潤滑油中の燃料の割合が増えているため、潤滑油希釈によって潤滑油の粘性が低下したり、潤滑性能が低下したりするなど、所定の潤滑性能に支障が生じるおそれがある。
【0007】
潤滑油希釈を防ぐために、ポスト噴射の回数を抑制したり、ポスト噴射以外の排気浄化手段を用いたりすることも考えられたが、ポスト噴射は排気浄化のために有効な手段であるため、ポスト噴射を採用するディーゼルエンジンにおいてポスト噴射に影響を与えることなく潤滑油希釈を防ぐことが望まれていた。
【0008】
特許文献3に、潤滑油希釈を防ぐための潤滑油希釈抑制装置が開示されている。この潤滑油希釈抑制装置は、ピストンに向けて潤滑油を吹付けるオイルジェットを有するエンジンにおいて、潤滑油の希釈度に応じた量の潤滑油をピストンに吹付け、ピストンに付着した潤滑油をピストンの熱によって加熱することにより、潤滑油に含まれる燃料を蒸発させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−259533号公報
【特許文献2】特開2003−83036号公報
【特許文献3】特開2009−92006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献3のように潤滑油をオイルジェットによって液体の状態でピストンに付着させ、潤滑油中の燃料をピストンの熱によって蒸発させる場合、エンジンの運転状況に応じてピストンが特に高温になっているときには、ピストンに触れた潤滑油中の燃料が沸点近くまで瞬時に加熱されて蒸発する。このため燃料の成分によっては燃料が高温の影響によって変質する懸念がある。しかも潤滑油希釈の程度によってオイルジェットから噴出する潤滑油の量が変化するため、ピストンの冷却度にばらつきが生じ、極端な場合にはピストンの冷却不足を生じてしまう。
【0011】
従って本発明の目的は、潤滑油に混入した燃料の量を減らすことができ、かつ、燃料が過剰に加熱されたり、オイルジェットが影響を受けたりすることを回避できるエンジンの潤滑装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の潤滑装置は、エンジンのクランクケース下部に形成されたオイルパンと、前記オイルパンに収容された前記潤滑油をエンジン各部に供給するためのオイルポンプを含む潤滑油流路と、前記エンジンの内部に前記潤滑油のミストをピストンとは異なる方向に向けて噴霧することにより前記クランクケースを含むエンジン内部に潤滑油のミストを浮遊させるミスト噴霧器と、前記エンジン内部の前記ミストから蒸発した燃料をエンジンの吸気系に供給するクランクケース換気手段とを具備している。
【0013】
前記クランクケース換気手段の一例は、前記クランクケース内のミストをガスから分離させるオイルセパレータを含み、該オイルセパレータに、ミスト中の燃料の蒸発を促進する加熱手段が設けられている。
【0014】
前記ミスト噴霧器は、エンジンの運転状況に応じて噴霧量を調整可能な弁機構を含んでいてもよい。この弁機構は、前記エンジンが高回転域で運転されている状態において、低回転域のときよりも噴霧量を減少させるかまたは噴霧を停止させるように構成されていてもよい。
【0015】
さらにエンジンの排気流路に設けられた排気浄化用のパティキュレートフィルタと、前記パティキュレートフィルタの強制再生条件が成立したときに該エンジンのポスト噴射を指令する制御部とを具備し、前記制御部は前記ポスト噴射が行なわれたのちに前記ミスト噴霧器を作動させてミストを噴霧するように前記弁機構を制御してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ミスト噴霧器によって潤滑油の霧化を促進することができ、潤滑油に混入した燃料の蒸発が促進される。このため潤滑油に混入した燃料の量を減らすことができ、潤滑油希釈により潤滑油が劣化することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す潤滑装置を備えたディーゼルエンジンを模式的に示す断面図。
【図2】図1に示されたディーゼルエンジンのオイルセパレータを一部断面で示す側面図。
【図3】図1に示されたディーゼルエンジンのオイルジェット機構とミスト噴霧器を一部断面で示す側面図。
【図4】燃料の炭素数と沸点の関係を示すグラフ。
【図5】図1に示されたディーゼルエンジンの排気系を模式的に示した図。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す潤滑装置を備えたディーゼルエンジンを模式的に示す断面図。
【図7】走行距離と燃料混入量との関係等を示すグラフ。
【図8】走行距離と燃料残量との関係等を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の第1の実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
図1はエンジン(内燃機関)の一例であるディーゼルエンジン10の一部を模式的に示している。ディーゼルエンジン10は、エンジン本体11(一部のみ示す)と、潤滑装置12とを備えている。エンジン本体11の燃焼室15は、ピストン16の頂部とシリンダ17の内面との間に形成されている。
【0019】
燃焼室15に臨んで燃料噴射弁18が配置されている。燃焼室15は吸排気弁を介して吸気ポート19aと排気ポート19bとに連通している。燃料噴射弁18は、燃料供給管18aから供給される加圧燃料を所定のタイミングで燃焼室15内に噴射するように構成されている。
【0020】
シリンダ17の下方にクランクケース20が設けられている。クランクケース20の最下部にオイルパン21が配置されている。オイルパン21はクランクケース20の一部をなしている。オイルパン21には所定量の潤滑油22が収容されている。この明細書では潤滑油をオイルと称することもある。潤滑装置12は、潤滑油22をエンジン各部の潤滑対象部あるいは冷却対象部に供給する機能を有している。
【0021】
潤滑装置12は、ストレーナ30を備えたオイル吸入管31と、オイルポンプ32と、オイルクーラ33と、フィルタ34と、メインオイル通路35と、複数系統の分配管36と、オイル戻し管37などを含んでいる。
【0022】
オイルパン21内の潤滑油22は、オイル吸入管31からオイルポンプ32を経て加圧された状態でメインオイル通路35に供給され、分配管36を介してクランクシャフトやコンロッド、各種のベアリング、シャフト類、ロッカアーム、カム機構、テンショナ等の潤滑対象部あるいは冷却対象部などのエンジン各部に送られるようになっている。これらオイルポンプ32やメインオイル通路35および分配管36等は、潤滑油22をエンジン各部に供給するための潤滑油流路38を構成している。
【0023】
またメインオイル通路35には、ピストン16の熱負荷対策として、各気筒ごとにオイルジェット機構40が配置されている。オイルジェット機構40は、メインオイル通路35から供給される潤滑油の圧力が所定値を越えた状態において、潤滑油をピストン16に向けてノズル40a(図3に示す)から噴出し、液状の潤滑油をピストン16に付着させることにより、各気筒のピストン16の冷却をなすように構成されている。
【0024】
オイルパン21に収容された潤滑油22の液面よりも高い位置に、クランクケース20内のブローバイガス等を吸入する吸入口50が開口している。この吸入口50は、オイルセパレータ51に連通している。オイルセパレータ51はブリーザ装置と称されることもある。
【0025】
図2はオイルセパレータ51の一例を示している。オイルセパレータ51はオイル分離室52を備えている。オイル分離室52には、クランクケース20内のブローバイガスや潤滑油22のミストおよび潤滑油22から蒸発した燃料などが導入される。オイル分離室52には、ミストを衝突させる部材53と、ガスに旋回流等を生じさせる気流発生室54などが設けられている。オイルセパレータ51の出口側に、PCVバルブ55が設けられている。PCVはポジティブ・クランクケース・ベンチレーション(positive crankcase ventilation)の略称である。
【0026】
オイル分離室52にガスと共に導入された潤滑油のミストは、オイル分離室52にてガスから分離し、オイル戻し部56を経てオイルパン21に戻される。こうしてオイルが分離されたガスは、PCVバルブ55を経てガス流出口57からエンジン10の吸気系に供給される。PCVバルブ55は、オイルセパレータ51から流出するガスの圧力に応じて開閉し、所定圧力を越えるガスをオイルセパレータ51からエンジン10の吸気系に供給するようになっている。エンジン10の吸気系は、エンジン本体11の吸気ポート19aに連通している。オイルセパレータ51とPCVバルブ55とガス流出口57は、クランクケース換気手段を構成している。
【0027】
図3に示すように、オイルジェット機構40の近傍にミスト噴霧器60が配置されている。メインオイル通路35から供給される潤滑油の油圧が所定の値を越えると、弁体61が開弁することにより、加圧された潤滑油がオイルジェット機構40とミスト噴霧器60との双方に供給されるようになっている。ミスト噴霧器60は、メインオイル通路35から供給される潤滑油をエンジン10の内部に噴霧することにより、いわゆる霧吹きの原理によって潤滑油を霧化し、クランクケース20を含むエンジン内部に潤滑油のミストMを浮遊させる。
【0028】
エンジン本体11が作動すると、クランクケース20内に進入したブローバイガス中の燃料の一部が潤滑油22に混入する。ポスト噴射が行なわれたときにも燃料の一部が潤滑油22に混入する。オイルパン21に収容されている潤滑油22は、エンジン本体11が作動している間、例えば80℃前後の高温になっているため、潤滑油22に含まれる燃料の一部が自然に蒸発する。しかも本実施形態では、ミスト噴霧器60によってエンジン内部の潤滑油の霧化を促進することができるため、潤滑油の表面積を増大させることができ、その結果、潤滑油中の燃料の蒸発が促進される。
【0029】
クランクケース20を含むエンジン内部のミストは、ブローバイガスと共に吸入口50からオイルセパレータ51に導入され、オイル分離室52において、オイル分がガスから分離される。オイルが除去された燃料を含むガスは、PCVバルブ55とガス流出口57を経てエンジンの吸気系に送られる。
【0030】
オイルセパレータ51のPCV流路(例えばオイル分離室52)に加熱手段70が設けられている。この加熱手段70は、PCV流路を通るミストを加熱する。加熱手段70の一例は、通電によって発熱する電気ヒータであり、オイル分離室52の外側からミストを加熱することにより、燃料の蒸発を促進する。
【0031】
なお、加熱手段70の他の例として、エンジン本体11の高熱部(例えば排気系)とオイルセパレータ51との間に、熱伝導率の高い部材を配置することにより、エンジン本体11に発生した熱をPCV流路(例えばオイル分離室52)内のミストに伝えるようにしてもよい。また、オイル分離室52の内部に放熱フィンを配置し、この放熱フィンを介してオイル分離室52の外側からPCV流路内のミストを加熱するようにしてもよい。
【0032】
PCV流路内のミストを加熱する温度は、燃料の種類等に応じて設定されている。図4に模式的に示すように、燃料(軽油)の一例では、炭素数14〜17付近が最も多い。この例では燃料の沸点が250℃付近となる。これに対し潤滑油は炭素数が一般に20以上あり、沸点が350℃付近を越えている。よって、PCV流路を通るミストを、オイルパン21内の潤滑油22の温度よりも高い温度(例えば100〜200℃)に加熱することにより、潤滑油の蒸発を抑制しつつ、燃料の蒸発を促進することができる。
【0033】
こうして潤滑油中の燃料が蒸発するため、オイルセパレータ51によってガスから分離した潤滑油中の燃料が減少し、その潤滑油がオイル戻し部56からオイルパン21に戻される。このためオイルパン21内の潤滑油22に含まれる燃料の量が減り、潤滑油22の潤滑油希釈を抑制することができる。
【0034】
図5に示すようにエンジン本体11の排気流路80にタービン81と、酸化触媒82と、パティキュレートフィルタ83と、圧力センサ84,85などが設けられている。パティキュレートフィルタ83は、排気流路80を通る排気中のパティキュレートを捕集することができる。排気流路80は、エンジン本体11の排気ポート19bに連通している。
【0035】
ECU(Electronic Control Unit)等を含む制御部62は、圧力センサ84,85によって検出されたパティキュレートフィルタ83の前後の差圧やエンジン回転数などに基いて、パティキュレートフィルタ83のスート(煤)の堆積量を推定する。この制御部62には、スートの堆積量が許容値を越えたとき、すなわち強制再生を開始する条件が成立したときに、ポスト噴射を行なうように燃料噴射弁18を制御するプログラムが組込まれている。
【0036】
ポスト噴射が行われると、エンジンの膨張行程あるいは排気行程において燃焼室15内に噴射された燃料が酸化触媒82に到達し、燃料(HC)が酸化させられることにより、連続運転時よりも高い温度域(例えば500℃〜550℃以上)で、パティキュレートフィルタ83においてスートがOにより直接酸化(燃焼)させられる。なお、酸化触媒82によって消費されなかった燃料(HC)がパティキュレートフィルタ83上のスートに付着し、さらに燃焼が活性化される。
【0037】
前記ポスト噴射が行なわれたときに、燃料の一部がクランクケース20に入り、潤滑油22中に混入する。このためポスト噴射は潤滑油22中の燃料の割合を増加させる原因となる。しかるに本実施形態の潤滑装置12では、ミスト噴霧器60によって潤滑油22を霧化することができる。このため潤滑油の表面積が増加することにより、潤滑油22よりも沸点が低い燃料(軽油)の蒸発が促される。
【0038】
このためオイルパン21内の潤滑油22に含まれる燃料の含有率が減少する。よって、排気浄化のためのDPFを備えたディーゼルエンジン10においてDPFの強制再生のためにポスト噴射が行なわれたとしても、潤滑油22中の燃料が増加することを抑制でき、潤滑油22の質が低下することを防止できるとともに、ポスト噴射による潤滑油希釈の問題を回避できる。
【0039】
図6は本発明の第2の実施形態に係るディーゼルエンジン10Aを示している。このエンジン10Aは、オイルポンプ32とメインオイル通路35との間の油路35aにミスト噴霧器60Aが配置されている。ミスト噴霧器60Aは、噴霧するミストの量を変化させることが可能な弁機構60Bと、弁機構60Bを制御する制御部62を備えている。
【0040】
弁機構60Bの一例では、制御部62によって開度が制御されるデューティ弁を用いることにより、エンジン10の運転状況に応じて、ミスト噴霧器60Aの噴霧量を変化させるようにしている。例えばエンジン10Aが高回転域で運転されているときには、アイドリングあるいは低速走行時等の低回転域よりも噴霧量を少なくするかまたは噴霧を停止させることにより、高回転域で霧化が過剰になることによる潤滑油不足を回避するようにしてもよい。
【0041】
エンジン10Aが回転している間、燃焼室15からクランクケース20内に漏れる未燃燃料の一部が潤滑油22に混入する。このためミスト噴霧器60Aを作動させる時機は問わない。しかしポスト噴射時に潤滑油22に混入する燃料の量は、ポスト噴射時以外に潤滑油22に混入する燃料の量よりも多いため、制御部62の一例では、ポスト噴射が行なわれたのち、所定時間、ミスト噴霧器60Aを作動させて潤滑油を霧化させ続けるような制御プログラムが組込まれていてもよい。このように所定時間だけミスト噴霧器60Aを作動させることにより、霧化に要するエネルギーを節約することができる。
【0042】
なお本発明を実施するに当たって、エンジンの具体的な態様をはじめとして、ミスト噴霧器や潤滑油流路、クランクケース換気手段、加熱手段等の具体的な形状や配置等を適宜に変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0043】
10,10A…エンジン(ディーゼルエンジン)
18…燃料噴射弁
20…クランクケース
21…オイルパン
22…潤滑油
32…オイルポンプ
38…潤滑油流路
51…オイルセパレータ
60,60A…ミスト噴霧器
70…加熱手段
83…パティキュレートフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのクランクケース下部に形成されたオイルパンと、
前記オイルパンに収容された前記潤滑油をエンジン各部に供給するためのオイルポンプを含む潤滑油流路と、
前記エンジンの内部に前記潤滑油のミストを噴霧することにより前記クランクケースを含むエンジン内部に潤滑油のミストを浮遊させるミスト噴霧器と、
前記エンジン内部の前記ミストから蒸発した燃料をエンジンの吸気系に供給するクランクケース換気手段と、
を具備したことを特徴とするエンジンの潤滑装置。
【請求項2】
前記クランクケース換気手段は、前記クランクケース内のミストをガスから分離させるオイルセパレータを含み、該オイルセパレータに、ミスト中の燃料の蒸発を促進する加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの潤滑装置。
【請求項3】
前記ミスト噴霧器はエンジンの運転状況に応じて噴霧量を調整可能な弁機構を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの潤滑装置。
【請求項4】
該弁機構は前記エンジンが高回転域で運転されている状態において低回転域よりも噴霧量を減少させるかまたは噴霧を停止することを特徴とする請求項3に記載のエンジンの潤滑装置。
【請求項5】
前記エンジンの排気流路に設けられた排気浄化用のパティキュレートフィルタと、
前記パティキュレートフィルタの強制再生条件が成立したときに該エンジンのポスト噴射を指令する制御部とを具備し、
前記制御部は前記ポスト噴射が行なわれたのちに前記ミスト噴霧器を作動させてミストを噴霧するように前記弁機構を制御することを特徴とする請求項3に記載のエンジンの潤滑装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−62793(P2012−62793A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205839(P2010−205839)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】