説明

エンジンの自動停止始動装置

【課題】車両の走行状態において、運転者の意思に基づいて、エンジンのアイドル運転継続又は、エンジン停止の操作を簡易化して、ISS装置の利用を容易にして、環境技術の多用と、運転者の操作の煩雑さを軽減する。
【解決手段】圧縮空気を高圧の油圧に変換してブレーキに供給するブレーキブースター83,84,85と、エアタンク71,72とブレーキブースター83,84,85との間を接続するエア管路73,74と、エア管路73,74に設けられブレーキペダル24の踏込み量に応じた圧力を出力するブレーキバルブ70と、該出力されるエア圧力を検出するエア圧力センサ8と、該検出値に基づいて、エンジン停止又は、始動を制御する自動停止始動制御手段とを備え、エア圧力が所定値以上の場合、エンジン5を停止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたエンジンの自動停止・再始動を実行することにより、燃費を向上させると共に、運転者の操作の煩雑さを軽減する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の速度やエンジンの回転数に応じて、変速比を自動的に切り替えるオートマチックトランスミッション(以下A/Tと称する)が広く知られており、多くの自動車に採用されている。A/Tの1つとして、トルクコンバータと遊星歯車を組み合わせ油圧制御によって自動的に変速を行うトルクコンバータ式A/Tがあり、トルクコンバータ式A/Tは、乗用車のみならず、頻繁に発進・停止を繰り返す必要のある路線バスや宅配用トラック等にも採用されている。
【0003】
ところで、A/T搭載の路線バスにおいては、車両が停止するとエンジンの自動停止始動装置(通称アイドリングストップ装置で以後「ISS装置」と略称する)が作動して、エンジンが停止する。
ところが、交差点等の横断歩道において、歩行者の通過待ちのための瞬時の停車でも、運転者の意思に関係なくアイドリングストップしてしまい、直ぐに発進できないことがある。
そのため、アイドリングストップをしたくない場合には、車両の停止前から、フットスイッチ(図2の符号25参照)を踏みながら、ブレーキペダル(図2の符号24参照)をも踏み続ける必要があり、運転者に煩雑な操作をさせていることにより、ISS装置を敬遠する運転者が存在している。
【0004】
そこで、特開2001−12269号公報(特許文献1)に開示された技術は、エンジン自動停止・自動再始動装置において、ブレーキ操作の有無を検出する2つ以上のセンサと、各センサからの複数のブレーキ操作有無信号によりブレーキ操作の有無を判断するようにしている。
このようにすることにより、何らかの事由によりブレーキスイッチに障害が生じた場合、自動停止の所定条件を満たしていても、ブレーキペダル信号がOFFの状態のままとなり、エンジンが自動的に停止しないことを防止している。
また、ブレーキペダルを操作していないのに、自動停止の条件を満たしてしまい、エンジンが自動的に停止するのを防止する技術開示がなされている。
【0005】
また、特開2004−124923号公報(特許文献2)に開示された技術は、ブレーキの動作を検出するブレーキスイッチと、ブレーキの油圧を検出するブレーキ油圧検出センサとを備え、エンジン始動要求が判定された際に、ブレーキスイッチによるブレーキの作動が検出され、ブレーキ油圧センサで検出された油圧が所定値以上の場合にエンジン始動と判別することにより、車両の不用意な移動を確実に防止すると共に、エンジン始動により駆動力が発生しても、ドライバーにショック等が伝わることがないようにする技術開示が成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−12269号公報
【特許文献2】特開2004−124923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示される技術は、複数のブレーキ操作有無信号によりブレーキ操作の有無を判断するようにして、ブレーキスイッチに障害が生じた場合でも自動停止の所定条件を誤判断しないようにしたもので、車両の走行状態によって、アイドルストップを停止(アイドリング継続)、又はエンジン停止を運転者の意思で行えるものではない。
【0008】
また、特許文献2に開示される技術は、ブレーキの動作を検出するブレーキスイッチと、ブレーキの油圧を検出するブレーキ油圧検出センサとによって、ブレーキが確実に作動しているのを判断して、再始動時に車両の不用意な移動を確実に防止すると共に、エンジン始動により駆動力が発生しても、ドライバーにショック等が伝わることを防止するもので、車両の走行状態によって、アイドルストップを停止(アイドリング継続)、又はエンジン停止を運転者の意思で行えるものではない。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明においては、車両の走行状態において、運転者の意思に基づいて、エンジンのアイドル運転継続又は、エンジン停止の操作を簡易化して、ISS装置の利用を容易にして、環境技術の多用と、運転者の操作の煩雑さを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために本発明においては、車両に搭載されたエンジンを自動停止又は自動始動させるエンジンの自動停止始動装置において、
前記車両に搭載され圧縮空気を貯蔵するエアタンクと、
前記圧縮空気を油圧に変換してブレーキに供給するブレーキブースターと、
前記エアタンクと前記ブレーキブースターとの間を接続するエア管路と、
前記エア管路に設けられ前記エアタンクからの圧縮空気をブレーキペダルの踏込み量に応じた圧力にて出力するブレーキバルブと、
前記エア管路の前記ブレーキバルブと前記ブレーキブースターとの間に配設され、前記ブレーキバルブから出力されるエア圧力を検出するエア圧力検出手段と、
前記エンジンを自動停止及び自動始動可能なエンジン制御手段と、
前記検出されたエア圧力の検出値に基づいて、エンジン自動停止又は、自動始動を前記エンジン制御手段に出力するエンジンの自動停止始動制御手段とを備え、
前記エア圧力検出手段が所定値以上のエア圧力を検出した場合に、前記エンジンを停止するように前記エンジン制御手段を制御することを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、従来は、瞬時的な一時停止や、緩い坂道での一時停止の場合は、エンジンストップしないように、運転手はブレーキペダルを操作すると共に、アイドリングストップしないようにフットスイッチを車両が停止する前から踏続けなければならず、操作が煩雑で、運転者の疲労、更には、安全運転に影響がおよぶことが考えられ、これらの操作の煩雑さを解消することができる。
【0012】
このような構造にすることにより、運転者の意思に基づいて、ブレーキペダルの操作量を変化させることで、エンジンの運転継続又は、エンジンを停止が可能となり、瞬時的な一時停止や、緩い坂道での一時停止で運転手の意思に反してエンジンストップしないようにしたので、横断歩道の歩行者が渡り終るとすぐに発進できる。また、坂道等ではエンジンストールが発生しないので、車両の後ずさりの発生がなく、歩行者、自車両の乗客の乗降に対する安全運転が向上する。
【0013】
また、本発明において好ましくは、前記エンジンの自動停止始動制御手段は、前記エア圧力検出手段が圧力上昇を検知し始めた初期の段階で、前記車両のストップランプを点灯させる信号を出力するようにするとよい。
【0014】
このような構造にすることにより、エア圧力検出手段の検出圧力によって、エンジンの自動停止始動制御手段からストップランプを点灯させる信号を出力するようにしたので、ストップランプスイッチが不要となり、コスト低減が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
ブレーキペダルの踏込み量によってエア圧力が変化するブレーキバルブから出力されるエア圧力を検出するエア圧力検出手段によって、検出されたエア圧力の検出値に基づいて、エンジン自動停止を行えるようにしたので、車両の走行状態において、運転者の意思に基づいて、エンジンのアイドル運転継続又は、エンジン停止の操作を簡易化して、ISS装置の利用の容易化により、省燃費化に伴う環境改善を促進すると共に、運転者の操作の煩雑さを軽減することによる安全運転向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のエンジンの自動停止始動装置を適用した路線バスの斜視図である。
【図2】本発明の操作装置が配置された図1A部の運転席周りの概略説明図を示す。
【図3】本発明の実施例におけるエンジンの自動停止始動装置の構成を示したブロック図である。
【図4】本実施形態におけるブレーキバルブのブレーキペダル踏込み量に対するエア圧力の出力特性の説明図を示す。
【図5】本実施形態におけるブレーキ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】(A)は本実施形態におけるエア圧力によるアイドリング継続条件図、(B)はエア圧力によるアイドリング停止条件図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
また、説明の方向性を示す場合、運転席に着座した状態を基準にして、「上下方向」、「左右方向」及び「前後方向」を記述する。
【0018】
図1は本発明のブレーキ装置を適用したオートマチックトランスミッション(以後「A/T」と称す)搭載の路線バスの斜視図である。車両であるバス1は前輪1aの前側に配設された前扉1aと後輪1dの前側に配設された中扉1bを有している。前扉1a及び中扉1bは、運転席1eでの操作によって乗客の乗降時に開けられ、走行時には閉じられている。本発明のエンジンの自動停止始動装置(以後「ISS装置」と称す)の運転席周り(図1のA部)の各装置が図2に示すように配設されている。
図2によると、ISS装置の運転席周り装置2は、ISS装置が「制御中」又は、「システム異常」と、「ISS ENG停止中」(ENG:エンジン)と、「ISS」のシステム作動中であることを表示する多重表示モニターが配設されたメータークラスター21と、ハンドル26の右側にISS装置の作動・停止を行うISS装置メーンスイッチ22と、運転席1eの床面に、ISS装置のエンジン始動を行うフットスイッチ25、ブレーキペダル24と、アクセルペダル23とが配設されている。
【0019】
図3は本発明のISS装置の構成を示すブロック図である。
3はISS制御手段(ISS ECU)で、ISSECU3には、ISS装置の作動を一時的にキャンセルまたは自動停止したエンジン5を始動させるときに使用するフットスイッチ25のON又は、OFFの信号と、A/Tがニュートラル位置又は、他の変速段の場合の信号50(レンジアデンダント信号)、ISS装置を使用する時はON、使用しない時はOFFにするエンジンストップスイッチ22(ISSメーンスイッチ)信号と、エンジン5を始動させるためのISSスターターからの信号60と、ブレーキ回路のエア圧力を検知するエア圧力センサ8、車両停止状態を検知する車速センサの信号41(図示省略)等が入力される。
【0020】
6はエンジン制御手段であるエンジンECUで、エンジン5の回転数、出力、始動及び停止等を制御するものである。
そして、エンジンECU6とISSECU3とは、CAN信号で連結されており、エンジン5側の稼働状況の情報をISSECU3側に通信して、ISSECU3側でアイドリングストップを実施するかを判断して、その判断結果をエンジンECU6側に通信するようになっている。
その情報が、メータークラスター21に表示されるシステムになっている。
【0021】
図5は本実施形態におけるブレーキ装置7の概略構成を示すブロック図である。
図5に示したブレーキ装置7においては、後輪1d用のエアタンクであるリヤ用エアタンク71が接続されたエア管路である第1エア管路73と、前輪1c用のフロント用エアタンク72が接続されたエア管路である第2エア管路74とが配設されている。第1及び第2エア管路73、74の途中にはブレーキバルブであるデュアルブレーキバルブ70が介装されており、デュアルブレーキバルブ70にはブレーキペダル24が接続されている。つまり、ブレーキペダル24を運転席1eで操作することにより、デュアルブレーキバルブ70が開閉し、第1及び第2エア管路73、74内のエアの流通量を調節することができる。
【0022】
第2エア管路74は、さらに第2ダブルチェックバルブ77を介し、FWブレーキブースター83に接続されている。ここで、第2ダブルチェックバルブ77は、デュアルブレーキバルブ70又は後述する第2ブレーキコントロールバルブ79からFWブレーキブースター83方向へのエアの流通を可能とするものである。また、FWブレーキブースター83はエア圧力を高圧の油圧に変換するよう構成されており、FWブレーキブースター83は前輪1cの各FLブレーキ832、FRブレーキ831に接続されている。
そして、デュアルブレーキバルブ70と第2ダブルチェックバルブ77の間には、ブレ−キペダル24の踏込み量に応じてデュアルブレーキバルブ70から出力されるエア圧力を検知するエア圧力検出手段であるエア圧力センサ8が介装されている。
エア圧力センサ8のエア圧力検知信号はISSECU3に送信され、ISSECU3にて処理されて、ストップランプ点灯用信号の発信、エンジンECU6、エンジン5の制御に利用される。
【0023】
同様に、第1エア管路73は、第1ダブルチェックバルブ76を介し、RRブレーキブースター84、RLブレーキブースター85に接続されている。ここで、第1ダブルチェックバルブ76は、デュアルブレーキバルブ70又は後述する第1ブレーキコントロールバルブ78からRRブレーキブースター84、RLブレーキブースター85方向へのエアの流通を可能とするものである。RRブレーキブースター84,RLブレーキブースター85は後輪1dの各RRブレーキ841,RLブレーキ851に接続されている。
【0024】
さらに、エアタンク71と第1ダブルチェックバルブ76の間には、第3エア管路86が設けられている。第3エア管路86には、リヤ用エアタンク71から第1ダブルチェックバルブ76方向へのエアの流通を可能とするチェックバルブ86aと、第3エア管路86内を閉止・開放する第1ブレーキコントロールバルブ78が設けられており、第1ブレーキコントロールバルブ78の上流(エアタンク71)側にはオリフィス78aが設けられている。
【0025】
同様に、エアタンク72と第2ダブルチェックバルブ77の間には、第4エア管路87が設けられている。第4エア管路87には、フロント用エアタンク72から第2ダブルチェックバルブ77方向へのエアの流通を可能とするチェックバルブ87aと、第4エア管路87内を閉止・開放する第2ブレーキコントロールバルブ79が設けられている。
【0026】
以上の構成の図5に示した実施例に係るブレーキ装置の動作について説明する。
まず通常の運転時の動作について説明する。
運転手によりブレーキペダル24が操作されてデュアルブレーキバルブ70が開作動すると、フロント用エアタンク72から高圧のエアが第2エア管路74を流通し、デュアルブレーキバルブ70及び第2ダブルチェックバルブ77を介してFWブレーキブースター83に供給され、FWブレーキブースター83においてエア圧力が油圧に変換され、高圧のブレーキ油がFRブレーキ831,FLブレーキ832に供給されてバス1の前輪に制動力が付与される。同様に、リヤ用エアタンク71からの高圧のエアが第1エア管路73を流通し、デュアルブレーキバルブ70及び第1ダブルチェックバルブ76を介してRRブレーキブースター84及びRLブレーキブースター85に供給され、RRブレーキブースター84及びRLブレーキブースター85においてエア圧力が油圧に変換され、高圧のブレーキ油がRRブレーキ841、RLブレーキ851に供給されてバス1の後輪に制動力が付与される。
【0027】
図4にブレーキペダル24の踏込み量に対するデユアルブレーキバルブ70から出力されるエア圧力の特性図の一例を示す。
横軸にブレーキペダル24の踏込み量、縦軸にデユアルブレーキバルブ70から出力されるエア圧力を示している。
デユアルブレーキバルブ70から出力されるエア圧力はブレーキペダル24の踏込み量に対して比例した出力となっている。
この、エア圧力をエア圧力センサ8によってISSECU3に送信され、該ISSECU3においてエア圧力がストップランプ点灯用閾値として予め設定された第1閾値又は、所定値として設定した第2閾値に達したと判断する。
第1閾値とは、エア圧力が発生した初期にバス1が平坦な路面で停車できると共に、ISSECU3はストップランプを点灯する指示信号を発信するストップランプ点灯用として検知できる程度の圧力に達した状態である。
これは、運転者がブレーキペダル24を操作するのを早期に後続の車両に知らせることにより、自車両への追突を防止するものである。
また、第2閾値とは、急勾配(例えば12%勾配以上)のある路面で、ブレーキペダル24を深く踏込む必要がある程度の圧力に達した状態である。
【0028】
既述の通り、A/T搭載のバス1が停止すると、ISS装置が作用して、瞬時にアイドリングストップをする。
しかし、一時停止、右折、左折又は横断歩道の歩行者通過待ち等の場合、すぐに発進できるように、ブレーキペダル24の踏込み量を調整することによりアイドリングストップを防止している。
この場合の、デュアルブレーキバルブ70から出力されるエア圧力は、エア圧力センサ8によってISSECU3に送信され、ISSECU3によって処理される。
即ち、運転者がすぐに発進できる体制(アイドリング状態を維持)を希望する場合、運転者は平坦地や急勾配(例えば12%勾配以上)よりも緩い勾配で停車させる程度のブレーキペダル24を踏込みでは、ISSECU3は第2閾値未満のエア圧力の状態であると判断して、エンジン5のアイドリングを継続維持させる。
一方、バス1が停留所、信号待ち、踏切等の比較的長い停車を維持する場合は、停車後にブレーキペダル24をさらに踏込む(急勾配、例えば12%勾配以上の在る路面で停車できる程度まで踏込む)ことで、ISSECU3は第2閾値以上のエア圧力の状態であると判断して、アイドリングを停止させる。
尚、急勾配(例えば12%勾配以上)で運転者がすぐに発進できる態勢(アイドリング状態を維持)を希望する場合、運転者は停車する前からフットスイッチ25を踏みONさせた状態で停車する又は、ISS装置メーンスイッチをOFFすることで、ISSECU3は第2閾値のエア圧力の状態によらず、エンジン5のアイドリングを継続維持させることもできる。
【0029】
エア圧力センサ8によりアイドリングを継続・停止の動作機構について図6に基づいて説明する。
図6(A)はアイドリングを継続する場合で、55において、エア圧力センサ8からの検出値が第2閾値未満(第1圧力段階)であること、41で車速センサ(図示省略)からの検出値が停車状態(V1<1.7km/h)、ISS装置のメーンスイッチ22がON(ISS装置作動状態)これらの条件を満たした時(AND)、ISSECU3はアイドリング継続の信号をエンジンECU6に出力する。
また、図6(B)はアイドリングを停止する場合で、55において、エア圧力センサ8からの検出値が第2閾値以上(第2圧力段階)であること、41で車速センサ(図示省略)からの検出値が停車状態(V1<1.7km/h)、ISS装置のメーンスイッチ22がON(ISS装置作動状態)これらの条件を満たした時(AND)、ISSECU3はアイドリング停止の信号をエンジンECU6に出力する。
尚、本実施形態におけるエア圧力検出はエア圧力センサ8の検出値をISSECU3にて判断しているが、エア圧力センサ8に変えて、エア圧力スイッチを用いて、エア圧力スイッチOFFの場合は第2閾値未満でエンジンのアイドリングは継続され、エア圧力スイッチONの場合は第2閾値として使用することが可能であり、同様の効果を得られる。
【0030】
このような構成にすることにより、運転者の意思に基づいて、ブレーキペダルの操作量を変化させることで、エンジンの運転継続又は、エンジンを停止が可能となり、瞬時的な一時停止や、緩い坂道での一時停止で運転手の意思に反してエンジンストップしないようにしたので、横断歩道の歩行者が渡り終るとすぐに発進できる。また、坂道等ではエンジンストールが発生しないので、車両の後ずさりの発生がなく、歩行者、自車両の乗客の乗降に対する安全運転が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
車両に搭載されたエンジンの自動停止・再始動を実行することにより、燃費を向上させると共に、運転者の操作の煩雑さを軽減する装置に利用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 バス(車両)
1b 中扉
2 運転席周り
3 ISSECU(自動停止始動制御手段)
5 エンジン
6 エンジンECU(エンジン制御手段)
7 ブレーキ装置
8 エア圧力センサ(エア圧力検出手段)
21 メータークラスター
22 ISS装置メーンスイッチ
24 ブレーキペダル
25 フットスイッチ
70 デュアルブレーキバルブ(ブレーキバルブ)
71 リヤ用エアタンク(エアタンク)
72 フロント用エアタンク(エアタンク)
73 第1エア管路(エア管路)
74 第2エア管路(エア管路)
76 第1ダブルチェックバルブ
77 第2ダブルチェックバルブ
83 FWブレーキブースター(ブレーキブースター)
84 RRブレーキブースター(ブレーキブースター)
85 RLブレーキブースター(ブレーキブースター)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたエンジンを自動停止又は自動始動させるエンジンの自動停止始動装置において、
前記車両に搭載され圧縮空気を貯蔵するエアタンクと、
前記圧縮空気を高圧の油圧に変換してブレーキに供給するブレーキブースターと、
前記エアタンクと前記ブレーキブースターとの間を接続するエア管路と、
前記エア管路に設けられ前記エアタンクからの圧縮空気をブレーキペダルの踏込み量に応じた圧力にて出力するブレーキバルブと、
前記エア管路の前記ブレーキバルブと前記ブレーキブースターとの間に配設され、前記ブレーキバルブから出力されるエア圧力を検出するエア圧力検出手段と、
前記エンジンを自動停止及び自動始動可能なエンジン制御手段と、
前記検出されたエア圧力の検出値に基づいて、エンジン自動停止又は、自動始動を前記エンジン制御手段に出力するエンジンの自動停止始動制御手段とを備え、
前記エア圧力検出手段が所定値以上のエア圧力を検出した場合に、前記エンジンを停止するように前記エンジン制御手段を制御することを特徴とするエンジンの自動停止始動装置。
【請求項2】
前記エンジンの自動停止始動制御装置は、前記エア圧検出手段が圧力上昇を検知し始めた初期の段階で、前記車両のストップランプを点灯させる信号を出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載のエンジンの自動停止始動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96365(P2013−96365A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242318(P2011−242318)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】