説明

エンジン吸気構造

【課題】水や埃等が混入されていない低温の外気を吸気経路へ導入することが可能となるとともに、吸気音を低減することが可能なエンジン吸気構造を提供する。
【解決手段】フェンダ空間1内にエンジンと外気とを連通する吸気経路2が配置されているエンジン吸気構造であって、吸気経路2を吸気ダクト10と消音部12とを備えた構成とし、吸気ダクト10の一方の端部をエンジンと連通させ、吸気ダクト10の他方の端部を消音部12と連結し、消音部12が備える吸音部材16を、吸音特性を有する材料によって形成し、吸音部材16に設けた吸気通路22によって、吸気ダクト10の他方の端部とウインドシールド側開口部24とを連通させ、ウインドシールド側開口部24を、エンジンフード6の車両前後方向後端部とウインドシールド26との間に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フェンダ空間内に配置されるエンジンの吸気経路を備え、エンジン吸気量を確保しつつ、室内または外部に洩れる騒音を防止するためのエンジン吸気構造にする。
【背景技術】
【0002】
エンジン内に高温の外気が吸入されると、エンジンの吸気充填効率が低下し、エンジン出力を向上させることが困難となるため、エンジンの吸気経路と連通する外気導入口は、低温の外気を導入可能な位置に配置する必要がある。
また、エンジン内に水や埃等が導入されると、エンジンが故障するおそれがあるため、外気導入口を配置する位置は、例えば、水溜りを走行するときに水が導入されない位置等、エンジン内に吸入される外気に、水や埃等が混入されない位置に設定する必要がある。
【0003】
外気導入口を、エンジン内に吸入される外気に水や埃等が混入されない位置に配置したものとしては、例えば、特許文献1に記載されているエンジン吸気構造がある。このエンジン吸気構造は、フェンダパネルと、エンジンコンパートメントパネルと、インナーライナとで囲まれて形成されるフェンダ空間内に、吸気経路と連通する外気導入口を配置したものである。
【特許文献1】特許3622369号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエンジン吸気構造は、フェンダパネル等で囲まれて形成されるフェンダ空間内に、吸気経路と連通する外気導入口が配置されているため、以下に記載するような問題が発生するおそれがある。
フェンダ空間内は、フェンダパネル等で囲まれて形成されているため、外気との連通部が形成されていない場合や、容積が小さい場合が多く、フェンダ空間内へ外気が効率良く供給されないおそれがある。このため、フェンダ空間内へ供給される外気のみでは、エンジン吸気量が不足するという問題が発生するおそれがある。
【0005】
また、エンジンの吸気動作に伴って発生する吸気音が、外気導入口からフェンダ空間内に放射され、この放射音が車室内に伝播して、車室内への不快な騒音として顕在化されるという問題が発生するおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、エンジン吸気量を確保しつつ、吸気音を低減可能なエンジン吸気構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、少なくともフェンダパネルとエンジンコンパートメントパネルとに囲まれて形成されるフェンダ空間内に、エンジンと外気とを連通する吸気経路の少なくとも一部が配置されるエンジン吸気構造であって、
前記吸気経路の一方の端部が、前記エンジンコンパートメントパネルに開口したエンジン側開口部を介して前記エンジンと連通し、前記吸気経路の他方の端部が、エンジンフードの車両前後方向後端部とウインドシールドとの間に形成されたウインドシールド側開口部を介して外気と連通し、
前記フェンダ空間内経路の内部で発生する吸気音を低減させる消音部が、前記吸気経路のうち前記フェンダ空間内に配置されるフェンダ空間内経路の少なくとも一部に設けられていることを特徴とするエンジン吸気構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸気経路の一方の端部がエンジンと連通し、吸気経路の他方の端部がウインドシールド側開口部を介して外気と連通しているため、外気を効率良く吸気経路へ導入することが可能となる。ここで、吸気経路への外気導入の効率が上がると、吸気音が増大することが懸念されるが、吸気経路のうち、フェンダ空間内に配置されるフェンダ空間内経路の少なくとも一部を、フェンダ空間内経路の内部で発生する吸気音を低減させる消音部としたため、吸気音を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
(構成)
図1は、本実施形態のエンジン吸気構造を備えた車両Cの一部を示す図である。なお、図1中では、説明のために、フェンダパネルを取り外した状態を示している。
図1中に示すように、本実施形態のエンジン吸気構造では、フェンダ空間1内に、エンジン(図示せず)と外気とを連通する吸気経路2の一部が配置されている。なお、以下の説明では、吸気経路2の一部、すなわち、吸気経路2のうち、フェンダ空間1内に配置されている部分を、フェンダ空間内経路4と記載して説明する。
【0009】
フェンダ空間1は、エンジンフード6を閉じた状態で、エンジンフード6と、フェンダパネル(図示せず)と、フェンダパネルに連結されているエンジンコンパートメントパネル8に囲まれて形成される空間であり、後述するウインドシールド側開口部を介して外気と連通している。なお、フェンダ空間1は、エンジンフード6を開けた状態で、フェンダパネルと、エンジンコンパートメントパネル8に囲まれて形成される空間である。
【0010】
吸気経路2は、吸気ダクト10と、消音部12とを備えている。
吸気ダクト10は、例えば、パイプ等の管状部材によって形成されており、断面形状が楕円形に形成されているとともに、断面積が両端部間において同一となるように形成されている。
吸気ダクト10の一方の端部は、エンジンコンパートメントパネル8に開口したエンジン側開口部14を介してエンジンと連通しており、吸気ダクト10の他方の端部は、消音部12と連結されている。したがって、吸気ダクト10は、吸気経路2のエンジン側の部分を構成している。
【0011】
消音部12は、フェンダ空間内経路4の一部に構成されており、吸音部材16を備えている。また、消音部12は、吸気ダクト10とウインドシールド側開口部との間に介装されて、吸気経路2のウインドシールド側開口部の部分を構成している。
消音部12が配置される位置は、フェンダ空間1内において、消音部12とエンジン側開口部14との距離が、消音部12とウインドシールド側開口部との距離よりも長くなる位置となっている。また、消音部12が配置される位置は、フェンダ空間1内において、フェンダ空間1を、車両前後方向前方の前方部分を形成する前方フェンダ空間18と、車両前後方向前方の後方部分を形成する後方フェンダ空間20とに隔離する位置に配置されている。
【0012】
吸音部材16は、例えば、ウレタン等の吸音特性を有する材料によって形成されており、吸気通路22が設けられている。また、吸音部材16は、吸音特性を有する材料によって形成されることにより、フェンダ空間内経路4の内部で発生する吸気音を低減させる機能を有している。なお、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸音部材16を、連続気泡構造のウレタンによって形成した場合を例にあげて説明する。
【0013】
吸気通路22は、吸気ダクト10の他方の端部とウインドシールド側開口部とを連通しており、吸気経路2の一部を構成している。また、吸気通路22は、吸気ダクト10と同様、断面形状が楕円形に形成されているとともに、断面積が両端部間において同一となるように形成されている。
したがって、吸気ダクト10と消音部12とを備える吸気経路2は、両端部間において断面形状が楕円形に形成されているとともに、両端部間において断面積が同一となるように形成されている。
【0014】
図2は、ウインドシールド側開口部24の構成を示す図である。なお、図2中では、図1と同様、説明のために、フェンダパネルを取り外した状態を示している。
図2中に示すように、ウインドシールド側開口部24は、エンジンフード6の車両前後方向後端部とウインドシールド26との間に形成されており、図中に矢印で示すように、フェンダ空間1内へ外気を導入可能となっている。
また、フェンダ空間1の下方には、ワイパ28を駆動させるワイパモータ30が配置されている。
【0015】
図3は、図1のIII―III線断面図である。
図3中に示すように、吸音部材16は、ホイルハウスプロテクタ32、フェンダパネル34及びエンジンコンパートメントパネル8と接触している。
ホイルハウスプロテクタ32は、フェンダパネル34及びエンジンコンパートメントパネル8の、それぞれの下端に連結されている。
図4は、図1中に記載した円IVの内部及びその周辺の拡大図である。
図4中に示すように、吸音部材16は、吸気ダクト10の他方の端部と隙間無く接触しており、吸気ダクト10と吸気通路22は、隙間無く連通して、共に吸気経路2の一部を構成している。
【0016】
図5は、消音部12を示す図であり、図5(a)は、消音部12を車両前後方向前方から見た状態を示す図であり、図5(b)は、消音部12を図5(a)中に記載した矢印Bの方向から見た状態を示す図である。また、図5(c)は、消音部12を車両前後方向後方から見た状態を示す図であり、図5(d)は、消音部12を図5(c)中に記載した矢印Dの方向から見た状態を示す図である。
【0017】
図5中に示すように、消音部12は、全体として、フェンダ空間1の空間形状に応じた形状となるように形成されている。
吸気通路22の吸気ダクト10側の端部は、消音部12の車両前後方向前方の面に形成され、車両前後方向前方へ向けて開口しており、吸気ダクト10の他方の端部と対向している。吸気通路22のウインドシールド側開口部24側の端部は、消音部12のエンジンコンパートメントパネル8と接触する面に形成され、車両上方へ向けて開口しており、ウインドシールド側開口部24と対向している。
【0018】
図6は、消音部12の構成を示す図である。
図6中に示すように、消音部12は、フェンダ空間1内においてフェンダパネル34と接触するフェンダパネル側消音部36と、フェンダ空間1内においてエンジンコンパートメントパネル8と接触するエンジンコンパートメントパネル側消音部38を備えている。
フェンダパネル側消音部36及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38は、共に、例えば、モールド注型品によって構成されており、互いに貼り合せられることによって、消音部12を形成している。
【0019】
フェンダパネル側消音部36のエンジンコンパートメントパネル側消音部38と対向する面には、吸気通路22に応じた形状のフェンダパネル側凹部40が形成されている。
エンジンコンパートメントパネル側消音部38のフェンダパネル側消音部36と対向する面には、吸気通路22に応じた形状のエンジンコンパートメントパネル側凹部42と、消音部側開口部44が形成されている。
【0020】
図7は、消音部12をフェンダ空間1内に配置した状態を、車両上方から見た図である。なお、図7中では、説明のために、エンジンフードを取り外した状態を示している。また、図7中では、エンジンへ吸気される空気が移動する方向を、「吸気方向」と記載した矢印で示している。
図7中に示すように、消音部側開口部44は、消音部12がフェンダ空間1内に配置された状態で、車両上方へ向けて開口するとともに、ウインドシールド側開口部24と連通する位置に形成されている。
そして、フェンダパネル側消音部36及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38を互いに貼り合せて、消音部12を形成した状態では、フェンダパネル側凹部40及びエンジンコンパートメントパネル側凹部42によって、吸気通路22が形成される(図5参照)。
【0021】
(動作)
次に、本実施形態のエンジン吸気構造の動作について説明する。
車両Cの走行時、すなわち、エンジンの駆動時において、エンジンへ吸気される空気は、まず、ウインドシールド側開口部24を介して、吸気経路2の一部を構成する吸気通路22内へ導入される(図7参照)。
このとき、ウインドシールド側開口部24は、エンジンフード6の車両前後方向後端部とウインドシールド26との間に形成されているため、吸気通路22内へ導入される低温の外気に、水や埃等が混入する可能性が低減される。また、車両Cの走行時にウインドシールド26へ当たる外気の一部が、効率良くウインドシールド側開口部24へ移動するため、大容量の外気が吸気通路22内へ導入される。
【0022】
ここで、エンジンは、吸気動作に伴って、吸気経路2内に存在する気体に吸気脈動を発生させる圧力源をなしており、この吸気脈動が吸気音を構成する。エンジンの吸気動作に伴って発生する吸気脈動は、吸気経路2内に存在する気体に発生する圧力変動であり、この圧力変動は、複数の周波数の圧力変動から構成されている。すなわち、エンジンの吸気動作に伴って発生する吸気脈動は、複数の周波数の吸気脈動から構成されている。
【0023】
このとき、吸気通路22は、吸音特性を有する材料によって形成された吸音部材16に設けられているため、エンジンの吸気動作に伴って、フェンダ空間内経路4の内部で発生する吸気音は、吸音部材16によって吸音されて低減される(図1参照)。
また、吸音部材16を備える消音部12は、フェンダ空間1内において、消音部12とエンジン側開口部14との距離が、消音部12とウインドシールド側開口部24との距離よりも長くなる位置に配置されている(図1参照)。
【0024】
このため、消音部12を、吸気脈動が減衰している位置に配置することが可能となり、吸気音の低減効率を向上させることが可能となる。これは、吸気音の発生は、エンジンの吸気動作に伴って発生する吸気脈動に起因しており、消音部12とエンジンとの距離が長いほど、消音部12の位置が、吸気脈動が減衰している位置となるためである。
また、消音部12が、上記の位置に配置されているため、エンジンの吸気動作に伴って発生する吸気脈動の共鳴周波数が低くなり、吸気通路22内の空気は、乗員が不快に感じる高い周波数の吸気音を低減されつつ、吸気通路22内を移動する。これは、消音部12とエンジンとの距離が長いほど、吸気経路2内の共鳴により発生する吸気音の周波数が低くなるためである。
【0025】
吸気通路22内へ導入された空気は、吸気音を吸音部材16によって吸音されて低減されつつ、吸気ダクト10内へ移動する。そして、吸気ダクト10内へ移動した空気は、エンジンへ吸気される(図1参照)。
このとき、吸音部材16は、吸気ダクト10の他方の端部と隙間無く接触しており、吸気ダクト10と吸気通路22は、隙間無く連通しているため、吸気通路22内から吸気ダクト10内へ移動する空気が、吸気経路2の外部へ漏出することが防止されている(図4参照)。
【0026】
(第一実施形態の効果)
(1)本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気経路の他方の端部が、ウインドシールド側開口部を介して外気と連通しており、ウインドシールド側開口部は、エンジンフードの車両前後方向後端部とウインドシールドとの間に形成されている。
このため、吸気通路内へ導入される低温の外気に、水や埃等が混入する可能性を低減させることが可能となるため、水や埃等が混入されていない低温の外気を、吸気経路内へ導入することが可能となる。また、外気が効率良くウインドシールド側開口部へ移動するため、大容量の外気が吸気通路内へ導入されることとなり、大容量の外気を、吸気経路内へ導入することが可能となる。
その結果、エンジンの吸気充填効率低下を防止することが可能となり、エンジン出力を向上させることが可能となるとともに、エンジンの故障を防止することが可能となる。また、大排気量のエンジンに対応することが可能となり、大排気量のエンジンを備えた車種に適用することが可能となる。
【0027】
(2)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気経路の一部を構成する吸気通路が、吸音特性を有する材料によって形成された吸音部材に設けられているため、エンジンの吸気動作に伴って発生する吸気音は、吸音部材によって吸音されて低減される。
このため、エンジンの吸気動作に伴って発生する吸気音を、遮音材等によってフェンダ空間内を遮蔽することなく低減させることが可能となり、エンジンの吸気量を不足させることなく、吸気音が、車室内への不快な騒音として顕在化されることを防止することが可能となる。
その結果、騒音問題及び吸気量不足問題の両方を解決することが可能となる。
【0028】
(3)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部を、フェンダ空間内において、消音部とエンジン側開口部との距離が、消音部とウインドシールド側開口部との距離よりも長くなる位置に配置している。
このため、消音部を、吸気脈動が減衰している位置に配置することが可能となり、吸気音の低減効率を向上させることが可能となる。また、エンジンの吸気動作に伴って発生する吸気脈動の共鳴周波数が低くなり、吸気通路内の空気は、乗員が不快に感じる高い周波数の吸気音を低減されつつ、吸気通路内を移動する。
その結果、吸気音を効率良く低減させることが可能となるとともに、不快な吸気音が乗員に伝達されることを防止することが可能となるため、吸気音の音質を向上させることが可能となる。
【0029】
(4)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸音部材が、ホイルハウスプロテクタ、フェンダパネル及びエンジンコンパートメントパネルに接触している。
このため、エンジンの吸気動作に伴って吸気ダクトが振動しても、この振動が抑制されることとなり、吸気ダクトの振動に起因する騒音を抑制することが可能となる。
その結果、エンジンの駆動時における静粛性を向上させることが可能となる。
【0030】
(5)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気経路が、断面形状が楕円形となるように形成されているため、吸気経路内を移動する空気の流れを、所望の状態に整流することが可能となる。
その結果、エンジンの吸気効率を向上させることが可能となり、エンジン出力を向上させることが可能となる。
(6)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気経路が、断面積が両端部間において同一となるように形成されているため、吸気経路内を移動する空気の流れを、所望の状態に整流することが可能となる。
その結果、エンジンの吸気効率を向上させることが可能となり、エンジン出力を向上させることが可能となる。
【0031】
(7)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸音部材が、吸気ダクトの他方の端部と隙間無く接触しており、吸気ダクトと吸気通路は、隙間無く連通しているため、吸気通路内から吸気ダクト内へ移動する空気が、吸気経路の外部へ漏出することが防止されている。
その結果、エンジンの吸気効率を向上させることが可能となり、エンジン出力を向上させることが可能となる。
(8)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部が、フェンダ空間内において、フェンダ空間を、車両前後方向前方の前方部分を形成する前方フェンダ空間と、車両前後方向前方の後方部分を形成する後方フェンダ空間とに隔離する位置に配置されている。
その結果、前方フェンダ空間内において発生した吸気音が、後方フェンダ空間内へ伝播されることが防止されるため、エンジンの駆動時における静粛性を向上させることが可能となる。
【0032】
(応用例)
(1)なお、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気ダクト10を、断面形状が楕円形となるように形成したが、吸気ダクト10の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、吸気ダクト10を、断面形状が真円形となるように形成してもよい。要は、吸気ダクト10が、断面形状が円形となるように形成されていればよい。
【0033】
(2)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気ダクト10を、断面形状が楕円形となるように形成して、断面形状が円形となるように形成したが、吸気ダクト10の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、吸気ダクト10を、断面形状が方形となるように形成してもよい。もっとも、本実施形態のエンジン吸気構造のように、吸気ダクト10を、断面形状が円形となるように形成することが、吸気ダクト10内を移動する空気の流れを、所望の状態に整流することが可能となるため、好適である。
【0034】
(3)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気ダクト10を、断面積が両端部間において同一となるように形成したが、吸気ダクト10の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、吸気ダクト10を、断面積が両端部間において異なるように形成してもよい。
(4)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気通路22を、吸気ダクト10と同様、断面形状が楕円形となるように形成したが、吸気通路22の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、吸気通路22を、断面形状が真円形となるように形成してもよい。要は、吸気通路22が、断面形状が円形となるように形成されていればよい。
【0035】
(5)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気通路22を、吸気ダクト10と同様、断面形状が楕円形となるように形成して、断面形状が円形となるように形成したが、吸気通路22の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、吸気通路22を、断面形状が方形となるように形成してもよい。もっとも、本実施形態のエンジン吸気構造のように、吸気通路22を、断面形状が円形となるように形成することが、吸気通路22内を移動する空気の流れを、所望の状態に整流することが可能となるため、好適である。
(6)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気通路22を、吸気ダクト10と同様、断面積が両端部間において同一となるように形成したが、吸気通路22の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、吸気通路22を、断面積が両端部間において異なるように形成してもよい。
【0036】
(7)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部12を、フェンダ空間1内において、消音部12とエンジン側開口部14との距離が、消音部12とウインドシールド側開口部24との距離よりも長くなる位置に配置したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、消音部12を、フェンダ空間1内において、消音部12とエンジンとの距離が、消音部12とウインドシールド側開口部24との距離よりも短くなる位置に配置してもよい。また、消音部12を、フェンダ空間1内において、消音部12とエンジンとの距離が、消音部12とウインドシールド側開口部24との距離と同一となる位置に配置してもよい。
【0037】
(8)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部12を、フェンダ空間1内において、消音部12とエンジン側開口部14との距離が、消音部12とウインドシールド側開口部24との距離よりも長くなる位置に配置したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、吸気ダクト10のうち、エンジンとエンジンコンパートメントパネル8との間に配置される部分が長い場合は、消音部12を、フェンダ空間1内において、消音部12とエンジン側開口部14との距離が、消音部12とウインドシールド側開口部24との距離よりも長くなる位置に配置しなくともよい。要は、消音部12を配置する位置は、消音部12とウインドシールド側開口部24との距離よりも、消音部12とエンジンとの距離が長くなる位置であればよい。
【0038】
(9)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸音部材16を、ホイルハウスプロテクタ32、フェンダパネル34及びエンジンコンパートメントパネル8と接触させているが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、吸音部材16を、ホイルハウスプロテクタ32、フェンダパネル34及びエンジンコンパートメントパネル8のうち、少なくとも二つと接触させてもよい。また、吸音部材16を、ホイルハウスプロテクタ32、フェンダパネル34及びエンジンコンパートメントパネル8の全てと離間させてもよい。
【0039】
(10)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸音部材16を、連続気泡構造のウレタンによって形成したが、これに限定されるものではなく、吸音部材16を、半連続気泡構造のウレタンによって形成してもよい。また、例えば、フェンダパネル側消音部36を連続気泡構造のウレタンによって形成し、エンジンコンパートメントパネル側消音部38を半連続気泡構造のウレタンによって形成する等、フェンダパネル側消音部36とエンジンコンパートメントパネル側消音部38とを、異なる材料によって形成してもよい。
(11)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸音部材16を、ウレタンによって形成したが、これに限定されるものではなく、吸音部材16を、吸音特性を有するゴム等の弾性材料によって形成してもよい。要は、吸音部材16は、吸音特性を有する材料によって形成されていればよい。
【0040】
(12)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気ダクト10の他方の端部が消音部12と連結されており、吸気ダクト10が吸気経路2のエンジン側の部分を構成し、消音部12が吸気経路2のウインドシールド側開口部24の部分を構成しているが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、吸気ダクト10の一方の端部をエンジンと連通させるとともに、吸気ダクト10の他方の端部を外気と連通させ、消音部12を、吸気ダクト10の両端部間に形成してもよい。
(13)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部12によって、フェンダ空間内経路4の一部を構成したが、これに限定されるものではなく、消音部12によって、フェンダ空間内経路4の複数箇所を構成してもよい。
【0041】
(第二実施形態)
(構成)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図8は、本実施形態のエンジン吸気構造の構成を示す図であり、消音部12の構成を示す図である。
図8中に示すように、本実施形態のエンジン吸気構造の構成は、消音部12の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。すなわち、本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部12が備える吸音部材16の形状を、直方体に形成された一体物の吸音材料Mを切削加工することにより、全体として、フェンダ空間1の空間形状に応じた形状となるように形成している。なお、図8中では、吸音材料Mを加工して形成した吸音部材16の形状を、破線によって示している。また、吸音材料Mの形状は、直方体に限定されるものではない。
また、吸音部材16は、吸気ダクトの他方の端部とウインドシールド側開口部とを連通させる吸気通路22を備えている。この吸気通路22は、吸音部材16に繰り抜き加工を施すことにより形成されている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0042】
(動作)
本実施形態のエンジン吸気構造の動作に関する説明は、上述した第一実施形態と同様であるため省略する。
(第二実施形態の効果)
(1)本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部が備える吸音部材の形状を、一体物の吸音材料を切削加工することにより、全体として、フェンダ空間の空間形状に応じた形状となるように形成している。
また、吸音部材は、吸気ダクトの他方の端部とウインドシールド側開口部とを連通させる吸気通路を備えており、この吸気通路は、吸音部材に繰り抜き加工を施すことにより形成されている。
その結果、上述した第一実施形態のエンジン吸気構造と比較して、例えば、モールド注型に用いる金型等の設備を必要としないため、消音部の製作コストを低減することが可能となる。
【0043】
(第三実施形態)
(構成)
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図9は、本実施形態のエンジン吸気構造の構成を示す図である。
図9中に示すように、本実施形態のエンジン吸気構造の構成は、消音部12の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。
消音部12は、吸気通路22と、複数の貫通孔46と、吸音部材16とを備えている。
吸気通路22は、例えば、パイプ等の管状部材によって形成されており、吸気ダクト10の他方の端部とウインドシールド側開口部24とを連通させている。また、吸気通路22は、上述した第一実施形態と同様、断面形状が楕円形に形成されているとともに、断面積が両端部間において同一となるように形成されている。
【0044】
複数の貫通孔46は、吸気通路22の外周面を貫通しており、吸気通路22の内部と吸気通路22の外部とを連通させる通路中連通部を構成している。
吸音部材16は、吸気通路22の外周側に配置されており、各貫通孔46を覆っている。また、吸音部材16は、上述した第一実施形態と同様、例えば、ウレタン等の吸音特性を有する材料によって形成されている。
図10は、図9のX―X線断面図である。
図10中に示すように、吸音部材16は、吸気通路22の外周面と離間している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0045】
(動作)
次に、本実施形態のエンジン吸気構造の動作について説明する。なお、以下の説明では、消音部12以外の動作については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
車両Cの走行時、すなわち、エンジンの駆動時において、エンジンへ吸気される空気は、まず、ウインドシールド側開口部24を介して、吸気経路2の一部を構成する吸気通路22内へ導入される(図7参照)。
このとき、吸気通路22は、管状部材によって形成されているため、吸気通路22内を移動する空気の流れを、所望の状態に整流することが可能となっている(図9参照)。
【0046】
また、吸気通路22の外周面には、吸気通路22の外周面を貫通する複数の貫通孔46が形成されており、各貫通孔46は、吸気通路22の内部と吸気通路22の外部とを連通させる通路中連通部を形成している(図9参照)。
さらに、吸気通路22の外周側には、各貫通孔46を覆う吸音部材16が、吸気通路22の外周面と離間して配置されている(図10参照)。
【0047】
このため、各貫通孔46と、吸気通路22と吸音部材16との間に形成される空間によって、消音部12内に、吸気通路22の体積膨張部が設けられることとなり、吸気通路22内を移動する空気の通気抵抗を減少させることが可能となっている(図10参照)。
また、吸音部材16は、吸音特性を有する材料によって形成されているため、吸気通路22内を空気が移動すると、エンジンの吸気動作に伴って発生する吸気音は、吸音部材16によって吸音されて低減される(図9参照)。
吸気通路22内へ導入された空気は、吸気音を吸音部材16によって吸音されて低減されつつ、吸気ダクト10内へ移動する。そして、吸気ダクト10内へ移動した空気は、エンジンへ吸気される(図1参照)。
【0048】
(第三実施形態の効果)
(1)本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部が備える吸気通路が、管状部材によって形成されているため、吸気通路内を移動する空気の流れを、所望の状態に整流することが可能となっている。
その結果、エンジンの吸気効率を向上させることが可能となり、エンジン出力を向上させることが可能となる。
【0049】
(2)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気通路の外周面に、吸気通路の外周面を貫通する複数の貫通孔が形成されており、これらの貫通孔が、吸気通路の内部と吸気通路の外部とを連通させる通路中連通部を形成している。また、吸気通路の外周側に、通路中連通部を覆う吸音部材が、吸気通路の外周面と離間して配置されている。
このため、通路中連通部と、吸気通路と吸音部材との間に形成される空間によって、消音部内に、吸気通路の体積膨張部が設けられることとなり、吸気通路内を移動する空気の通気抵抗を減少させることが可能となっている。
その結果、エンジンの吸気効率を向上させることが可能となり、エンジン出力を向上させることが可能となる。また、エンジンに吸気される空気の体積膨張率を向上させることが可能となるため、乗員が不快に感じる高い周波数の吸気音とともに、中域の周波数の吸気音を効率良く低減させることが可能となる。
【0050】
(応用例)
(1)なお、本実施形態のエンジン吸気構造では、通路中連通部を、吸気通路22の外周面を貫通する貫通孔46によって形成したが、通路中連通部の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、吸気通路22の外周面に、吸気通路22の内部と吸気通路22の外部とを連通させる連通管を取り付け、この連通管によって、通路中連通部を形成してもよい。要は、通路中連通部の構成は、吸気通路22の内部と吸気通路22の外部とを連通させる構成であればよい。
(2)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、通路中連通部を、吸気通路22の外周面を貫通する複数の貫通孔46によって形成したが、通路中連通部の構成は、これに限定されるものではなく、通路中連通部を、吸気通路22の外周面を貫通する一つの貫通孔46によって形成してもよい。
【0051】
(第四実施形態)
(構成)
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図11は、本実施形態のエンジン吸気構造の構成を示す図である。
図11中に示すように、本実施形態のエンジン吸気構造の構成は、消音部12の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。すなわち、本実施形態のエンジン吸気構造の構成は、吸気経路2のうち、吸気ダクト10の他方の端部が、消音部12と離間しており、吸気ダクト10と吸気通路22との間には、隙間Iが形成されている。吸気ダクト10の他方の端部は、吸気通路22の吸気ダクト10側の端部と対向している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0052】
(動作)
次に、本実施形態のエンジン吸気構造の動作について説明する。なお、以下の説明では、消音部12以外の動作については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
車両Cの走行時、すなわち、エンジンの駆動時において、エンジンへ吸気される空気は、まず、ウインドシールド側開口部24を介して、吸気経路2の一部を構成する吸気通路22内へ導入される(図7参照)。
吸気通路22内へ導入された空気は、吸気音を吸音部材16によって吸音されて低減されつつ、吸気ダクト10内へ移動する。そして、吸気ダクト10内へ移動した空気は、エンジンへ吸気される(図1参照)。
【0053】
このとき、吸気ダクト10の他方の端部は、消音部12と離間しており、吸気ダクト10と吸気通路22との間には、隙間Iが形成されている(図11参照)。
このため、吸気通路22内へ導入された空気に、雨水等の液体が混入していても、この液体は、吸気ダクト10と吸気通路22との間に形成された隙間Iから車両下方へ落下することとなり、吸気通路22内から吸気ダクト10内へ移動する空気に、雨水等の液体が混入することが防止されている。なお、図11中では、液体が隙間Iから車両下方へ落下する方向を、下向きの矢印によって示している。
また、吸気ダクト10の他方の端部は、吸気通路22の吸気ダクト10側の端部と対向している。このため、吸気通路22内から吸気ダクト10内へ移動する空気のうち、吸気ダクト10と吸気通路22との間に形成された隙間から、吸気経路2外へ移動する空気の量を減少させることが可能となる。
【0054】
(第四実施形態の効果)
(1)本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気ダクトの他方の端部が消音部と離間しており、吸気ダクトと吸気通路との間に、隙間が形成されている。
このため、吸気通路内へ導入された空気に、雨水等の液体が混入していても、この液体は、吸気ダクトと吸気通路との間に形成された隙間から車両下方へ落下することとなる。
その結果、吸気通路内から吸気ダクト内へ移動する空気に、雨水等の液体が混入することが防止されるため、エンジンの故障を防止することが可能となる。
【0055】
(2)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気ダクトの他方の端部は、吸気通路の吸気ダクト側の端部と対向している。
このため、吸気通路内から吸気ダクト内へ移動する空気のうち、吸気ダクトと吸気通路との間に形成された隙間から、吸気経路外へ移動する空気の量を減少させることが可能となる。
その結果、エンジン出力を向上させることが可能となるとともに、大排気量のエンジンに対応することが可能となり、大排気量のエンジンを備えた車種に適用することが可能となる。
【0056】
(応用例)
(1)なお、本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気ダクト10と吸気通路22との間に隙間Iを形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、消音部12が、吸気ダクト10の途中に形成されている場合等は、吸気ダクト10のウインドシールド26側の部分と消音部12との間に、隙間を形成してもよい。要は、吸気経路2のうち、フェンダ空間内経路4と吸気通路22との間に、空気に混入した液体が車両下方へ落下する隙間が形成されていればよい。
【0057】
(第五実施形態)
(構成)
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
本実施形態のエンジン吸気構造の構成は、消音部12の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。
図12は、消音部12の構成を示す図である。なお、図12(a)は、消音部12を車両前後方向前方から見た状態を示す図であり、図12(b)は、消音部12を図12(a)中に記載した矢印Bの方向から見た状態を示す図である。また、図12(c)は、消音部12を車両前後方向後方から見た状態を示す図であり、図12(d)は、消音部12を図12(c)中に記載した矢印Dの方向から見た状態を示す図である。
図12中に示すように、消音部12は、水抜き開口部48を有している。
水抜き開口部48は、吸気通路22と連通するとともに車両下方へ開口しており、その開口面積が、吸気通路22の断面積よりも小さくなるように形成されている。
また、水抜き開口部48は、車両下方へ開口して、吸気通路22と後方フェンダ空間(図1参照)とを連通させている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0058】
(動作)
次に、本実施形態のエンジン吸気構造の動作について説明する。なお、以下の説明では、消音部12以外の動作については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
車両Cの走行時、すなわち、エンジンの駆動時において、エンジンへ吸気される空気は、まず、ウインドシールド側開口部24を介して、吸気経路2の一部を構成する吸気通路22内へ導入される(図7参照)。
このとき、消音部12が有する水抜き開口部48は、吸気通路22と連通するとともに車両下方へ開口している(図12参照)。
【0059】
このため、吸気通路22内へ導入された空気に、雨水等の液体が混入していても、この液体は、水抜き開口部48から車両下方へ落下することとなり、吸気通路22内から吸気ダクト10内へ移動する空気に、雨水等の液体が混入することが防止されている。なお、図12中では、液体が水抜き開口部48から車両下方へ落下する方向を、下向きの矢印によって示している。
また、水抜き開口部48は、その開口面積が、吸気通路22の断面積よりも小さくなるように形成されているとともに、吸気通路22と後方フェンダ空間とを連通させている(図12参照)。
【0060】
このため、吸気通路22内から吸気ダクト10内へ移動する空気が、水抜き開口部48を通じて後方フェンダ空間内へ移動することが防止されている。これは、後方フェンダ空間が閉空間であることにより、後方フェンダ空間内の気圧が正圧に維持されるためである。
吸気通路22内へ導入された空気は、吸気音を吸音部材16によって吸音されて低減されつつ、吸気ダクト10内へ移動する。そして、吸気ダクト10内へ移動した空気は、エンジンへ吸気される(図1参照)。
【0061】
(第五実施形態の効果)
(1)本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部が有する水抜き開口部が、吸気通路と連通するとともに車両下方へ開口している。
このため、吸気通路内へ導入された空気に、雨水等の液体が混入していても、この液体は、から車両下方へ落下することとなり、吸気通路内から吸気ダクト内へ移動する空気に、雨水等の液体が混入することが防止されている。
その結果、エンジンの故障を防止することが可能となる。
【0062】
(2)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、水抜き開口部が、その開口面積が、吸気通路の断面積よりも小さくなるように形成されているとともに、吸気通路と後方フェンダ空間とを連通させている。
このため、吸気通路内から吸気ダクト内へ移動する空気が、水抜き開口部を通じて後方フェンダ空間内へ移動することが防止されている。
その結果、エンジン出力を向上させることが可能となるとともに、大排気量のエンジンに対応することが可能となり、大排気量のエンジンを備えた車種に適用することが可能となる。
【0063】
(応用例)
(1)なお、本実施形態のエンジン吸気構造では、水抜き開口部48が、吸気通路22と後方フェンダ空間とを連通させている構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、水抜き開口部48が、吸気通路22と車両外部とを連通させている構成であってもよい。要は、水抜き開口部48の構成は、吸気通路22内へ導入された空気に混入している液体を、車両下方へ落下させることが可能な構成であればよい。
【0064】
(第六実施形態)
(構成)
次に、本発明の第六実施形態について説明する。
本実施形態のエンジン吸気構造の構成は、消音部12の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。
図13は、消音部12の構成を示す図である。なお、図13(a)は、消音部12を車両前後方向前方から見た状態を示す図であり、図13(b)は、消音部12を図13(a)中に記載した矢印Bの方向から見た状態を示す図である。また、図13(c)は、消音部12を車両前後方向後方から見た状態を示す図であり、図13(d)は、消音部12を図13(c)中に記載した矢印Dの方向から見た状態を示す図である。
【0065】
図13中に示すように、消音部12に設けられた吸気通路22は、ウインドシールド(図1参照)側に配置されたウインドシールド側吸気通路50と、エンジン側に配置されたエンジン側吸気通路52とを備えている。
ウインドシールド側吸気通路50とエンジン側吸気通路52とは離間しているため、ウインドシールド側吸気通路50とエンジン側吸気通路52との間には、水抜き隙間54が形成されている。
消音部12のうち、ウインドシールド側吸気通路50の後方フェンダ空間側端部を形成する部分の下方には、鋭角に形成された水切り部56が形成されている。
エンジン側吸気通路52は、車両前後方向前方、すなわち、吸気ダクト(図1参照)側へ向かうにつれて車両上方へ向かうように傾斜している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0066】
(動作)
次に、本実施形態のエンジン吸気構造の動作について説明する。なお、以下の説明では、消音部12以外の動作については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
車両Cの走行時、すなわち、エンジンの駆動時において、エンジンへ吸気される空気は、まず、ウインドシールド側開口部24を介して、吸気経路2の一部を構成する吸気通路22内へ導入される(図7参照)。
このとき、吸気通路22が備えるウインドシールド側吸気通路50とエンジン側吸気通路52とは離間しているため、ウインドシールド側吸気通路50とエンジン側吸気通路52との間には、水抜き隙間54が形成されている(図13参照)。
【0067】
このため、吸気通路22内へ導入された空気に、雨水等の液体が混入していても、この液体は、水抜き隙間54から車両下方へ落下することとなり、ウインドシールド側吸気通路50からエンジン側吸気通路52へ移動する空気に、雨水等の液体が混入することが防止されている。なお、図13中では、液体が水抜き隙間54から車両下方へ落下する方向を、下向きの矢印によって示している。
また、消音部12のうち、ウインドシールド側吸気通路50の後方フェンダ空間側端部を形成する部分の下方には、鋭角に形成された水切り部56が形成されている(図13参照)。
このため、空気に混入した液体が、水切り部56に沿って後方フェンダ空間内へ移動することとなり、ウインドシールド側吸気通路50からエンジン側吸気通路52へ移動する空気の水切れ性が向上している。
【0068】
また、エンジン側吸気通路52は、車両前後方向前方へ向かうにつれて車両上方へ向かうように傾斜している。
このため、ウインドシールド側吸気通路50からエンジン側吸気通路52へ移動する空気に液体が混入していても、この混入している液体は、エンジン側吸気通路52の傾斜に沿って車両下方へ落下することとなり、エンジン側吸気通路52から吸気ダクトへ移動する空気に、液体が混入することが防止されている。
エンジン側吸気通路52から吸気ダクト10内へ移動した空気は、エンジンへ吸気される(図1参照)。
【0069】
(第六実施形態の効果)
(1)本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気通路が備えるウインドシールド側吸気通路とエンジン側吸気通路とが離間しており、ウインドシールド側吸気通路とエンジン側吸気通路との間に、水抜き隙間が形成されている。
このため、吸気通路内へ導入された空気に、雨水等の液体が混入していても、この液体は、ウインドシールド側吸気通路からエンジン側吸気通路へ移動する途中で、水抜き隙間から車両下方へ落下する。
その結果、吸気通路内から吸気ダクト内へ移動する空気に、雨水等の液体が混入することが防止されるため、エンジンの故障を防止することが可能となる。
【0070】
(2)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部のうち、ウインドシールド側吸気通路の後方フェンダ空間側端部を形成する部分の下方に、鋭角に形成された水切り部が形成されている。
このため、空気に混入した液体が、水切り部に沿って後方フェンダ空間内へ移動することとなり、ウインドシールド側吸気通路からエンジン側吸気通路へ移動する空気の水切れ性が向上している。
その結果、吸気通路内から吸気ダクト内へ移動する空気に、雨水等の液体が混入することが防止されるため、エンジンの故障を防止することが可能となる。
【0071】
(3)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、エンジン側吸気通路が、車両前後方向前方へ向かうにつれて車両上方へ向かうように傾斜している。
このため、ウインドシールド側吸気通路からエンジン側吸気通路へ移動する空気に液体が混入していても、この混入している液体は、エンジン側吸気通路の傾斜に沿って車両下方へ落下する。
その結果、エンジン側吸気通路から吸気ダクトへ移動する空気に、液体が混入することが防止され、吸気通路内から吸気ダクト内へ移動する空気に、雨水等の液体が混入することが防止されるため、エンジンの故障を防止することが可能となる。
【0072】
(応用例)
(1)なお、本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部12のうち、ウインドシールド側吸気通路50の後方フェンダ空間側端部を形成する部分の下方に、鋭角に形成された水切り部56を形成したが、これに限定されるものではなく、水切り部56を形成しなくともよい。
【0073】
(第七実施形態)
(構成)
次に、本発明の第七実施形態について説明する。
本実施形態のエンジン吸気構造の構成は、消音部12の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。
図14は、消音部12の構成を示す図である。なお、図14(a)は、消音部12を車両前後方向前方から見た状態を示す図であり、図14(b)は、消音部12を図14(a)中に記載した矢印Bの方向から見た状態を示す図である。また、図14(c)は、消音部12を車両前後方向後方から見た状態を示す図であり、図14(d)は、消音部12を図14(c)中に記載した矢印Dの方向から見た状態を示す図である。
【0074】
図14中に示すように、消音部12は、消音部側開口部44の周辺、すなわち、吸気通路22の外気側の開口部周辺に形成された水抜き傾斜部58を備えている。なお、図14(d)中では、水抜き傾斜部58が形成された部分を、斜線によって示している。
吸気通路22の外気側の開口部は、車両上方へ開口しており、ウインドシールド側開口部24と連通している。
【0075】
図15は、消音部12をフェンダ空間1内に配置した状態を、車両上方から見た図である。なお、図15中では、説明のために、エンジンフードを取り外した状態を示している。
図15中に示すように、水抜き傾斜部58は、切削加工等によって形成されており、車両前後方向後方、すなわち、ウインドシールド26へ向かうにつれて車両下方へ向かうように傾斜している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0076】
(動作)
次に、本実施形態のエンジン吸気構造の動作について説明する。なお、以下の説明では、消音部12以外の動作については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
車両Cの走行時、すなわち、エンジンの駆動時において、エンジンへ吸気される空気は、まず、ウインドシールド側開口部24を介して、吸気経路2の一部を構成する吸気通路22内へ導入される(図7参照)。
このとき、消音部12は、消音部側開口部44の周辺に形成された水抜き傾斜部58を備えている。また、水抜き傾斜部58は、切削加工等によって形成されており、車両前後方向後方へ向かうにつれて車両下方へ向かうように傾斜している(図14参照)。
【0077】
このため、吸気通路22内へ導入される前の空気に、雨水等の液体が混入していても、この液体は、水抜き傾斜部58の傾斜に沿って、車両前後方向後方(図15中に「水抜き方向」と示す方向)へ移動した後、車両下方へ落下することとなり、吸気通路22内へ導入される空気に、雨水等の液体が混入することが防止されている。なお、図14中では、液体が水抜き傾斜部58の傾斜に沿って車両前後方向後方へ移動する方向を、車両前後方向後方へ向かうにつれて車両下方へ向かうように傾斜した矢印によって示している。
吸気通路22内へ導入された空気は、吸気音を吸音部材16によって吸音されて低減されつつ、吸気ダクト10内へ移動する。そして、吸気ダクト10内へ移動した空気は、エンジンへ吸気される(図1参照)。
【0078】
(第七実施形態の効果)
(1)本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部が、吸気通路の外気側の開口部周辺に形成された水抜き傾斜部を備えている。そして、水抜き傾斜部は、車両前後方向後方へ向かうにつれて車両下方へ向かうように傾斜している。
このため、吸気通路内へ導入される前の空気に、雨水等の液体が混入していても、この液体は、水抜き傾斜部の傾斜に沿って、車両前後方向後方へ移動した後、車両下方へ落下することとなる。
その結果、吸気通路内へ導入される空気に、雨水等の液体が混入することが防止されるため、エンジンの故障を防止することが可能となる。
【0079】
(第八実施形態)
(構成)
次に、本発明の第八実施形態について説明する。
本実施形態のエンジン吸気構造の構成は、消音部の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。すなわち、本実施形態のエンジン吸気構造では、フェンダパネル側消音部36と、エンジンコンパートメントパネル側消音部38とが、互いに吸音特性の異なる材料で形成されており、互いに吸音率のピーク周波数帯域が異なっている(図6参照)。
【0080】
本実施形態では、一例として、フェンダパネル側消音部36を、発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)を材料として形成し、エンジンコンパートメントパネル側消音部38を、ポリエステル(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)を材料として形成した場合について説明する。
フェンダパネル側消音部36に形成されているフェンダパネル側凹部40と、エンジンコンパートメントパネル側消音部38に形成されているエンジンコンパートメントパネル側凹部42は、共に吸気通路22を構成している。
【0081】
図16は、消音部を構成する部材、具体的には、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部の製作方法の一部を示す図である。なお、図16(a)は、第一実施形態における、消音部を構成する部材の製作方法の一部を示す図であり、図16(b)は、本実施形態における、消音部を構成する部材の製作方法の一部を示す図である。なお、図16中では、吸音特性の異なる二種類の材料を、「材料A」、「材料B」と記載して表している。
【0082】
図16(a)中に示すように、第一実施形態において、消音部を構成する部材を製作する際には、二組の金型、または二箇所の空間を有する一組の金型60を用いる。そして、吸音特性の同一な材料(図中では「材料A」)を投入することにより、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部を製作している。なお、図16(a)中では、二箇所の空間を有する一組の金型60を用いて、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部を製作した場合を示している。
【0083】
これに対し、本実施形態において、消音部を構成する部材を製作する際には、図16(b)中に示すように、二箇所の空間を有する一組の金型60を用いる。そして、吸音特性が互いに異なる材料(図中では「材料A」と「材料B」)を投入することにより、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部を製作している。なお、本実施形態では、一例として、材料Aによってフェンダパネル側消音部を製作し、材料Bによってエンジンコンパートメントパネル側消音部を製作した場合について説明する。
【0084】
図17は、本実施形態の消音部を構成する部材、具体的には、フェンダパネル側消音部36及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38を、それぞれ、互いに対向する面から見た状態を示す図である。
消音部を組立てる際には、図17中に斜線で示した部分、すなわち、フェンダパネル側消音部36の、エンジンコンパートメントパネル側消音部38と対向する面のうち、フェンダパネル側凹部40を除く部分に、接着剤を塗布する。そして、フェンダパネル側消音部36とエンジンコンパートメントパネル側消音部38を貼り合わせる。または、エンジンコンパートメントパネル側消音部38の、フェンダパネル側消音部36と対向する面のうち、エンジンコンパートメントパネル側凹部42を除く部分に接着剤を塗布する。そして、フェンダパネル側消音部36とエンジンコンパートメントパネル側消音部38を貼り合わせる。
【0085】
なお、エンジンコンパートメントパネル側消音部38と、フェンダパネル側消音部36の両方に接着剤を塗布して、フェンダパネル側消音部36とエンジンコンパートメントパネル側消音部38を貼り合わせ、消音部を組立ててもよい。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
なお、上記のようなフェンダパネル側消音部36とエンジンコンパートメントパネル側消音部38は、少なくとも吸気通路22を構成する複数の吸音部材構成部を構成している。
【0086】
また、上記のようなフェンダパネル側凹部40は、吸気通路22を構成する第一溝を構成している。
また、上記のようなエンジンコンパートメントパネル側凹部42は、吸気通路22を構成する第一溝と互いに対向する第二溝を構成している。
また、上記のようなフェンダパネル側消音部36は、第一溝が形成される第一吸音材を構成している。
また、上記のようなエンジンコンパートメントパネル側消音部38は、第二溝が形成されるとともに、第一吸音材と吸音特性の異なる材料で形成された第二吸音材を構成している。
【0087】
(動作)
次に、本実施形態のエンジン吸気構造の動作について説明する。なお、以下の説明では、消音部12以外の動作については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
車両Cの走行時、すなわち、エンジンの駆動時において、エンジンへ吸気される空気は、まず、ウインドシールド側開口部24を介して、吸気経路2の一部を構成する吸気通路22内へ導入される(図7参照)。
【0088】
このとき、消音部12のうち少なくとも吸気通路22を構成する部材、具体的には、フェンダパネル側消音部36と、エンジンコンパートメントパネル側消音部38は、互いに吸音特性の異なる材料で形成されており、互いに吸音率のピーク周波数帯域が異なっている。
このため、吸気通路22内へ導入された空気は、フェンダパネル側消音部36と、エンジンコンパートメントパネル側消音部38によって、吸音率のピーク周波数帯域が異なる吸気音を吸音されて低減されつつ、吸気ダクト10内へ移動する。そして、吸気ダクト10内へ移動した空気は、エンジンへ吸気される(図1参照)。
【0089】
(第八実施形態の効果)
(1)本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部のうち少なくとも吸気通路を構成する部材、すなわち、フェンダパネル側消音部と、エンジンコンパートメントパネル側消音部を、互いに吸音特性の異なる材料で形成している。
このため、フェンダパネル側消音部とエンジンコンパートメントパネル側消音部が、互いに吸音率のピーク周波数帯域が異なっており、吸気通路内へ導入された空気が、吸音率のピーク周波数帯域が異なる吸気音を吸音されて低減されつつ、吸気ダクト内へ移動する。
【0090】
その結果、吸音率の周波数範囲を向上させることが可能となり、吸気音を効率良く低減させることが可能となるとともに、不快な吸気音が乗員に伝達されることを防止することが可能となるため、吸気音の音質を向上させることが可能となる。
また、消音部の周辺に配置されている部品の形状等を変更することなく、吸音率の周波数範囲を向上させることが可能となるため、製造コストを増加させることなく、吸気音の音質を向上させることが可能となる。
【0091】
(応用例)
(1)なお、本実施形態のエンジン吸気構造では、消音部を、互いに吸音特性の異なる材料で形成された、フェンダパネル側消音部36と、エンジンコンパートメントパネル側消音部38によって構成したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、フェンダパネル側消音部36と、エンジンコンパートメントパネル側消音部38を、吸音特性の同一な材料で形成してもよい。この場合、フェンダパネル側消音部36またはエンジンコンパートメントパネル側消音部38と独立して、例えば、フェンダパネル側凹部40の表面に、吸気通路22の一部を構成する、半円筒状の吸音部材構成部を備えた構成とする。そして、フェンダパネル側消音部36またはエンジンコンパートメントパネル側消音部38を形成する材料と、吸音部材構成部を形成する材料を、互いに吸音特性の異なる材料で形成する。要は、吸気通路22が、複数の部材によって構成され、これら複数の部材のうち少なくとも二つが、互いに吸音特性の異なる材料で形成されていればよい。
【0092】
(2)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、フェンダパネル側消音部36を、発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)を材料として形成し、エンジンコンパートメントパネル側消音部38を、ポリエステル(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)を材料として形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、フェンダパネル側消音部36を、ポリエステル(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)を材料として形成し、エンジンコンパートメントパネル側消音部38を、発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)を材料として形成してもよい。要は、フェンダパネル側消音部36と、エンジンコンパートメントパネル側消音部38が、互いに吸音特性の異なる材料で形成されており、互いに吸音率のピーク周波数帯域が異なっていればよい。また、フェンダパネル側消音部36、エンジンコンパートメントパネル側消音部38を形成する材料は、上述した発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)、ポリエステル(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)の他に、例えば、スラブチップウレタンフォーム(吸音率のピーク周波数帯域400Hz〜4000Hz)や、ポリプロピレン(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)等を用いてもよい。
【0093】
(3)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、フェンダパネル側消音部36を、発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)のみ、すなわち、同一材料を用いたモールド成形によって形成したが、フェンダパネル側消音部36の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、フェンダパネル側消音部36を、例えば、車両前後方向の前方側と後方側に二分割し、前方側と後方側を、互いに吸音特性の異なる材料で形成してもよい。エンジンコンパートメントパネル側消音部38に関しても同様である。
【0094】
(第九実施形態)
(構成)
次に、本発明の第九実施形態について説明する。
本実施形態のエンジン吸気構造の構成は、消音部12の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。
図18は、消音部12の構成を示す図である。
図18中に示すように、本実施形態の消音部12は、共に、フェンダパネル側消音部36及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38に取り付けられて、吸気通路22を三列の通路に区分する二つの仕切り材62a,62bを備えている。なお、図18中では、説明のために、二つの仕切り材62a,62bのうち、上方に配置されている仕切り材62を、仕切り材62aとし、二つの仕切り材62a,62bのうち、下方に配置されている仕切り材62を、仕切り材62bとしている。
【0095】
仕切り材62aと仕切り材62bは、互いに吸音特性の異なる材料で形成されており、互いに吸音率のピーク周波数帯域が異なっている。
本実施形態では、一例として、仕切り材62aを、発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)を材料として形成し、仕切り材62bを、ポリエステル(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)を材料として形成した場合について説明する。
【0096】
図19は、エンジンコンパートメントパネル側消音部38を、フェンダパネル側消音部と対向する面から見た状態を示す図である。
図19中に示すように、各仕切り材62a,62bは、共に、吸気通路22内における空気の流れに沿って延在する板状に形成されている。各仕切り材62a,62bの両端は、それぞれ、消音部側開口部44と、図外の吸気ダクトと連通しているエンジン側開口部64との間に、隙間を空けて配置されている。すなわち、各仕切り材62a,62bは、吸気通路22の一部を、三列の通路に区分している。
吸気通路22は、各仕切り材62a,62bの体積に応じて、例えば、フェンダパネル側凹部40及びエンジンコンパートメントパネル側凹部42を加工することにより、上述した第一実施形態における吸気通路22と、同程度の容積を有している。
【0097】
図20は、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38への、仕切り材62の取り付け方法を示す図であり、図20(a)は、仕切り材62の構成を示す図、図20(b)は、エンジンコンパートメントパネル側消音部38の構成を示す図である。
図20(a)中に示すように、仕切り材62は、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部と対向する面に、柱状に形成された複数の固定部66を有している。なお、図20(a)中では、説明のために、仕切り材62を、湾曲していない一枚の板状部材として表している。
【0098】
固定部66は、例えば、インサート成形等によって、仕切り材62と一体に成形してもよい。また、例えば、仕切り材62のフェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部と対向する面に孔を設けておき、この孔に差し込むことにより、仕切り材62に固定してもよい。
図20(b)中に示すように、エンジンコンパートメントパネル側凹部42には、固定部66が挿通可能な形状の固定用開口部68が、複数箇所形成されている。また、特に図示しないが、フェンダパネル側凹部にも同様に、複数箇所の固定孔が形成されている。
そして、各固定用開口部68に各固定部66を挿通することにより、仕切り材62が、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38へ取り付けられ、消音部12が構成される。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0099】
(動作)
次に、本実施形態のエンジン吸気構造の動作について説明する。なお、以下の説明では、消音部12以外の動作については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
車両Cの走行時、すなわち、エンジンの駆動時において、エンジンへ吸気される空気は、まず、ウインドシールド側開口部24を介して、吸気経路2の一部を構成する吸気通路22内へ導入される(図7参照)。
【0100】
このとき、仕切り材62aと仕切り材62bは、互いに吸音特性の異なる材料で形成されており、互いに吸音率のピーク周波数帯域が異なっている。
このため、吸気通路22内へ導入された空気は、仕切り材62aと仕切り材62bによって、吸音率のピーク周波数帯域が異なる吸気音を吸音されて低減されつつ、吸気ダクト10内へ移動する。そして、吸気ダクト10内へ移動した空気は、エンジンへ吸気される(図1参照)。
【0101】
また、各固定用開口部68に各固定部66を挿通することにより、仕切り材62が、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38へ取り付けられ、消音部12が構成されている。
このため、スロットルペダル(図示せず)の操作に応じて気流の変化が発生する吸気通路22内において、各仕切り材62a,62bの取り付け状態が変化することに起因する、気流の変化の発生が防止される。したがって、エンジンの吸気状態が不安定な状態となることを防止することが可能となる。
【0102】
(第九実施形態の効果)
(1)本実施形態のエンジン吸気構造では、吸気通路を複数列の通路に区分する二つの仕切り材を、互いに吸音特性の異なる材料で形成しているため、二つの仕切り材が、互いに吸音率のピーク周波数帯域が異なっている。
このため、吸気通路内へ導入された空気が、吸音率のピーク周波数帯域が異なる吸気音を吸音されて低減されつつ、吸気ダクト内へ移動するため、消音部の周辺に配置されている部品の形状等を変更することなく、吸音率の周波数範囲を向上させることが可能となる。
その結果、製造コストを増加させることなく、吸気音を効率良く低減させることが可能となるとともに、不快な吸気音が乗員に伝達されることを防止することが可能となるため、吸気音の音質を向上させることが可能となる。
【0103】
(応用例)
(1)なお、本実施形態のエンジン吸気構造では、二つの仕切り材62a,62bによって、吸気通路22を三列の通路に区分する構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、三つ以上の仕切り材62によって、吸気通路22を四列以上の通路に区分する構成としてもよい。この場合、三つ以上の仕切り材62のうち、少なくとも二つの仕切り材62が、互いに吸音特性の異なる材料で形成されていればよい。
【0104】
(2)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、二つの仕切り材62a,62bによって、吸気通路22を三列の通路に区分する構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、一つの仕切り材62によって、吸気通路22を二列の通路に区分する構成としてもよい。この場合、例えば、仕切り材62を、発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)を材料として形成し、フェンダパネル側消音部36及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38のうち少なくとも一方を、ポリエステル(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)を材料として形成する。すなわち、仕切り材62と、フェンダパネル側消音部36及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38のうち少なくとも一方とが、互いに吸音特性の異なる材料で形成されており、互いに吸音率のピーク周波数帯域が異なっている構成とする。
【0105】
(3)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、仕切り材62aを、発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)を材料として形成し、仕切り材62bを、ポリエステル(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)を材料として形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、仕切り材62aを、ポリエステル(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)を材料として形成し、仕切り材62bを、発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)を材料として形成してもよい。要は、仕切り材62aと仕切り材62bが、互いに吸音特性の異なる材料で形成されており、互いに吸音率のピーク周波数帯域が異なっていればよい。また、仕切り材62を形成する材料は、上述した発泡性のゴム(吸音率のピーク周波数帯域315Hz〜2500Hz)、ポリエステル(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)の他に、例えば、スラブチップウレタンフォーム(吸音率のピーク周波数帯域400Hz〜4000Hz)や、ポリプロピレン(吸音率のピーク周波数帯域1000Hz〜10000Hz)等を用いてもよい。
【0106】
(4)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、仕切り材62が、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部と対向する面に、柱状に形成された複数の固定部66を有している。また、各固定部66を、エンジンコンパートメントパネル側凹部42に形成されている、複数の固定用開口部68に挿通する構成としたが、これに限定されるものではない。
【0107】
すなわち、例えば、図21(a)中に示すように、仕切り材62を、板状の基材70に、基材70よりも面積が小さく、仕切り材62と同じ材料を用いて形成されている吸音材72を貼り付けて構成する。そして、基材70の吸音材72から突出している部分を、板状に形成された固定部66としてもよい。なお、図21(a)中では、説明のために、仕切り材62を、湾曲していない一枚の板状部材として表している。
【0108】
この場合、図21(b)中に示すように、エンジンコンパートメントパネル側凹部42に、固定部66が挿通可能な形状、すなわち、曲線状の固定用開口部68を形成し、特に図示しないが、フェンダパネル側凹部にも同様に、曲線状の固定孔を形成する。
なお、図21は、フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38への、仕切り材62の取り付け方法の変形例を示す図であり、図21(a)は、仕切り材62の構成を示す図、図21(b)は、エンジンコンパートメントパネル側消音部38の構成を示す図である。
【0109】
(5)また、本実施形態のエンジン吸気構造では、各仕切り材62a,62bの両端が、それぞれ、吸気通路22の一部を、三列の通路に区分している構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、各仕切り材62a,62bの両端が、それぞれ、消音部側開口部44と、エンジン側開口部64との間に、隙間を空けず配置されており、吸気通路22全体を、三列の通路に区分している構成としてもよい。
【0110】
(実施例)
本発明例のエンジン吸気構造及び比較例のエンジン吸気構造を用い、エンジンの駆動時において、ウインドシールド側開口部近傍における吸気音の音圧レベルを測定した。
本発明例のエンジン吸気構造としては、図1に示すような、本発明の第一実施形態で説明したものと同様の構成を有するエンジン吸気構造を用いた。
比較例のエンジン吸気構造としては、消音部を備えていない構造のエンジン吸気構造を用いた。ここで、比較例のエンジン吸気構造では、フェンダ空間内に、吸気ダクトと連通する外気導入口を配置している。
【0111】
図22は、本発明例のエンジン吸気構造及び比較例のエンジン吸気構造を用い、エンジンの駆動時において、ウインドシールド側開口部近傍における吸気音の音圧レベルを測定した結果を示す図である。なお、図22の縦軸は、ウインドシールド側開口部近傍における吸気音の音圧レベル(図中では、「音圧レベル[dB]」と記載している)を示しており、一目盛りが10dBとなっている。また、図22の横軸は、エンジンの駆動に伴って発生する周波数(図中では、「周波数[Hz]」と記載している)の高さを示している。
【0112】
次に、図22を参照して、エンジンの駆動時において、ウインドシールド側開口部近傍における吸気音の音圧レベルを測定した結果について説明する。なお、図22中では、本発明例のエンジン吸気構造を用いて音圧レベルを測定した結果を実線によって示し、比較例のエンジン吸気構造を用いて音圧レベルを測定した結果を破線によって示している。
また、ウインドシールド側開口部近傍における吸気音の音圧レベルは、ウインドシールド側開口部の近傍にマイクロフォンを配置し、このマイクロフォンによって吸気音の音圧レベルを検出することにより測定した。ウインドシールド側開口部とマイクロフォンとの距離は、50mmに設定した。
【0113】
図22中に示されているように、本発明例のエンジン吸気構造では、比較例のエンジン吸気構造と比較して、特に高周波帯域における吸気音の音圧レベルが、平均8dB低減されている。なお、図22中では、本発明例のエンジン吸気構造によって、比較例のエンジン吸気構造よりも吸気音が低減された範囲を、斜線で示している。
また、車室内の運転席において、運転者の耳の位置にマイクロフォンを配置し、このマイクロフォンによって、車室内へ導入される吸気音の音圧レベルを測定した結果、特に高周波帯域における吸気音の音圧レベルが、約2dB低減されていることが確認された。
以上の測定結果から、本発明例のエンジン吸気構造は、比較例のエンジン吸気構造と比較して、吸気音の低減効果が高いことが確認された。
【0114】
次に、本発明の第八実施形態で説明したものと同様の構成を有する消音部(以下、「本発明の消音部」と記載する)を用い、残響室法吸音率の特性実験を行った。
図23は、本発明の第八実施形態の消音部を用い、残響室法吸音率の特性実験を行った結果を示す図である。なお、図23の縦軸は吸音率を示しており、図23の横軸は、エンジンの駆動に伴って発生する周波数(図中では、「周波数[Hz]」と記載している)の高さを示している。
【0115】
次に、図23を参照して、エンジンの駆動時において、残響室法吸音率の特性実験を行った結果について説明する。なお、図23中では、材料Aが有する吸音率特性の測定結果を実線によって示し、材料Bが有する吸音率特性の測定結果を破線によって示している。また、図23中では、本発明の消音部によって、従来の消音部よりも吸音率が向上した範囲を、斜線で示している。
【0116】
図23中に示されているように、本発明の消音部では、従来の消音部と比較して、吸音率の周波数範囲が拡大されていることが確認された。したがって、本発明の消音部を実車に用いることにより、エンジン駆動時における吸音率の周波数範囲が拡大され、車両の騒音問題解決、吸気音の音質向上、エンジン駆動時における静粛性の向上が可能であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の第一実施形態のエンジン吸気構造を備えた車両Cの一部を示す図である。
【図2】ウインドシールド側開口部24の構成を示す図である。
【図3】図1のIII―III線断面図である。
【図4】図1中に記載した円IVの内部及びその周辺の拡大図である。
【図5】消音部12を示す図である。
【図6】消音部12の構成を示す図である。
【図7】消音部12をフェンダ空間1内に配置した状態を、車両上方から見た図である。
【図8】本発明の第二実施形態のエンジン吸気構造の構成を示す図であり、消音部12の構成を示す図である。
【図9】本発明の第三実施形態のエンジン吸気構造の構成を示す図である。
【図10】図9のX―X線断面図である。
【図11】本発明の第四実施形態のエンジン吸気構造の構成を示す図である。
【図12】本発明の第五実施形態のエンジン吸気構造の構成を示す図であり、消音部12の構成を示す図である。
【図13】本発明の第六実施形態のエンジン吸気構造の構成を示す図であり、消音部12の構成を示す図である。
【図14】本発明の第七実施形態のエンジン吸気構造の構成を示す図であり、消音部12の構成を示す図である。
【図15】消音部12をフェンダ空間1内に配置した状態を、車両上方から見た図である。
【図16】本発明の第八実施形態の消音部を構成する部材の製作方法の一部を示す図である。
【図17】本発明の第八実施形態の消音部を構成する部材を、それぞれ、互いに対向する面から見た状態を示す図である。
【図18】本発明の第九実施形態の消音部12の構成を示す図である。
【図19】エンジンコンパートメントパネル側消音部38を、フェンダパネル側消音部と対向する面から見た状態を示す図である。
【図20】フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38への、仕切り材62の取り付け方法を示す図である。
【図21】フェンダパネル側消音部及びエンジンコンパートメントパネル側消音部38への、仕切り材62の取り付け方法の変形例を示す図である。
【図22】本発明例のエンジン吸気構造及び比較例のエンジン吸気構造を用い、エンジンの駆動時において、ウインドシールド側開口部近傍における吸気音の音圧レベルを測定した結果を示す図である。
【図23】本発明の第八実施形態の消音部を用い、残響室法吸音率の特性実験を行った結果を示す図である。
【符号の説明】
【0118】
1 フェンダ空間
2 吸気経路
4 フェンダ空間内経路
6 エンジンフード
8 エンジンコンパートメントパネル
10 吸気ダクト
12 消音部
14 エンジン側開口部
16 吸音部材
18 前方フェンダ空間
20 後方フェンダ空間
22 吸気通路
24 ウインドシールド側開口部
26 ウインドシールド
28 ワイパ
30 ワイパモータ
32 ホイルハウスプロテクタ
34 フェンダパネル
36 フェンダパネル側消音部
38 エンジンコンパートメントパネル側消音部
40 フェンダパネル側凹部
42 エンジンコンパートメントパネル側凹部
44 消音部側開口部
46 貫通孔
48 水抜き開口部
50 ウインドシールド側吸気通路
52 エンジン側吸気通路
54 水抜き隙間
56 水切り部
58 水抜き傾斜部
60 金型
62 仕切り材
64 エンジン側開口部
66 固定部
68 固定用開口部
70 基材
72 吸音材
C 車両
M 吸音材料
I 吸気ダクトと吸気通路との間に形成された隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと外気とを連通する吸気経路の少なくとも一部が、少なくともフェンダパネルとエンジンコンパートメントパネルとに囲まれて形成されるフェンダ空間内に配置されるエンジン吸気構造であって、
前記吸気経路は、一方の端部が前記エンジンコンパートメントパネルに開口したエンジン側開口部を介して前記エンジンと連通し、他方の端部がエンジンフードの車両前後方向後端部とウインドシールドとの間に形成されたウインドシールド側開口部を介して外気と連通し、
前記吸気経路のうち前記フェンダ空間内に配置されるフェンダ空間内経路の少なくとも一部を、前記フェンダ空間内経路の内部で発生する吸気音を低減させる消音部としたことを特徴とするエンジン吸気構造。
【請求項2】
前記消音部は、前記フェンダ空間内経路の一部を構成する吸気通路を設けた吸音部材を備えることを特徴とする請求項1に記載したエンジン吸気構造。
【請求項3】
前記消音部は、前記フェンダ空間内経路の一部を構成する吸気通路と、当該吸気通路の外周面に形成されて吸気通路の内部と吸気通路の外部とを連通させる通路中連通部と、前記吸気通路の外周側に配置されて少なくとも前記通路中連通部を覆い、且つ前記吸気通路の外周面と離間する吸音部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載したエンジン吸気構造。
【請求項4】
前記吸気通路は、管状部材によって形成され、
前記通路中連通部は、前記吸気通路の外周面を貫通する一つまたは複数の貫通孔によって形成されていることを特徴とする請求項3に記載したエンジン吸気構造。
【請求項5】
前記消音部と前記エンジンとの距離は、前記消音部と前記ウインドシールド側開口部との距離よりも長いことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項6】
前記消音部は、前記フェンダパネル及び前記エンジンコンパートメントパネルのうち少なくとも一方と接触していることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項7】
前記吸気経路の少なくとも一部の断面形状を、円形としたことを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項8】
前記吸気経路の少なくとも一部の断面積を、前記両端部間において同一としたことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項9】
前記フェンダ空間内経路と前記吸気通路との間に、隙間を形成したことを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項10】
前記消音部は、前記吸気通路と連通するとともに車両下方へ開口する水抜き開口部を備え、
前記水抜き開口部の開口面積は、前記吸気通路の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項2から9のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項11】
前記吸気通路は、前記ウインドシールド側に配置されたウインドシールド側吸気通路と、前記エンジン側に配置されたエンジン側吸気通路と、を備え、
前記ウインドシールド側吸気通路と前記エンジン側吸気通路との間に水抜き隙間を形成し、
前記エンジン側吸気通路は、車両前後方向前方へ向かうにつれて車両上方へ向かうように傾斜していることを特徴とする請求項2から9のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項12】
前記吸気通路の外気側の開口部は、車両上方へ開口し、
前記吸気通路の外気側の開口部の周辺は、車両前後方向後方へ向かうにつれて車両下方へ向かうように傾斜していることを特徴とする請求項2から11のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項13】
前記吸音部材は、前記吸気通路を構成する複数の吸音部材構成部を備え、
前記複数の吸音部材構成部のうち少なくとも二つは、互いに吸音特性の異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項2から12のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項14】
前記吸音部材は、第一溝が形成される第一吸音材と、第二溝が形成される第二吸音材と、を備え、
前記吸気通路は、前記第一溝及び前記第二溝が互いに対向することにより形成され、
前記第一吸音材と前記第二吸音材は、互いに吸音特性の異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項2から12のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項15】
前記吸気通路の少なくとも一部を複数列の通路に区分する複数の仕切り材を備え、
前記複数の仕切り材のうち少なくとも二つは、互いに吸音特性の異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項2から14のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。
【請求項16】
前記吸気通路の少なくとも一部を複数列の通路に区分する一または複数の仕切り材を備え、
前記仕切り材と前記吸音部材は、互いに吸音特性の異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項2から14のうちいずれか1項に記載したエンジン吸気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−57528(P2008−57528A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189206(P2007−189206)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】